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特開2023-51734ステージ、検査装置およびステージの動作方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051734
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】ステージ、検査装置およびステージの動作方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/68 20060101AFI20230404BHJP
【FI】
H01L21/68 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111352
(22)【出願日】2022-07-11
(31)【優先権主張番号】P 2021162243
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】小林 将人
(72)【発明者】
【氏名】小林 弘人
(72)【発明者】
【氏名】阿川 裕晃
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA39
5F131CA08
5F131EA02
5F131EA22
5F131EA27
(57)【要約】
【課題】基台にかかる荷重の均等化を促すことができる技術を提供する。
【解決手段】ステージは、1つの基台と、前記基台を昇降可能に支持する4つの可動体と、前記4つの可動体の各々に対応して設けられ、当該4つの可動体を個別に昇降させる4つの駆動モータと、前記4つの可動体の各々の昇降を案内する4つのガイド部と、前記基台の昇降方向と直交する方向に沿って一連に連続し、かつ前記昇降方向に平行な壁面を有し、当該壁面に前記4つのガイド部の全てを固定する1つの支持フレームと、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステージであって、
1つの基台と、
前記基台を昇降可能に支持する4つの可動体と、
前記4つの可動体の各々に対応して設けられ、当該4つの可動体を個別に昇降させる4つの駆動モータと、
前記4つの可動体の各々の昇降を案内する4つのガイド部と、
前記基台の昇降方向と直交する方向に沿って一連に連続し、かつ前記昇降方向に平行な壁面を有し、当該壁面に前記4つのガイド部の全てを固定する1つの支持フレームと、を有する、
ステージ。
【請求項2】
前記基台の昇降時に前記4つの駆動モータ毎の目標位置を設定し、前記目標位置に基づき前記4つの駆動モータの動作を制御する制御部と、
前記4つの駆動モータの各々に設けられ、当該駆動モータのトルクを検出する4つのトルクセンサと、を備え、
前記制御部は、前記4つのトルクセンサの各々からフィードバックされた前記トルクに基づき、前記4つの駆動モータ毎の前記目標位置を補正する、
請求項1記載のステージ。
【請求項3】
前記制御部は、前記4つのトルクセンサのトルクに基づき、前記基台のチルト状態を認識し、前記基台のチルト状態に応じて前記4つの駆動モータ毎の前記目標位置を補正する補正値を算出する、
請求項2記載のステージ。
【請求項4】
前記支持フレームは、前記昇降方向を直交する方向に、一対の側壁と、前記一対の側壁の間を連結する連結壁と、を有することで、平面視でH字状に形成され、
前記4つの可動体、前記4つの駆動モータおよび前記4つのガイド部は、前記一対の側壁の間に配置されている、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のステージ。
【請求項5】
前記支持フレームは、前記連結壁の一方の前記壁面に前記4つのガイド部のうち2つを固定しているとともに、前記連結壁の他方の前記壁面に前記4つのガイド部のうち残りの2つを固定している、
請求項4に記載のステージ。
【請求項6】
前記4つの可動体は、前記4つの駆動モータの各々に接続される横延在部と、前記横延在部の延在方向と直交して延在し前記4つのガイド部の各々に案内される縦延在部と、有する、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のステージ。
【請求項7】
前記支持フレームおよび前記4つのガイド部は、前記昇降方向に沿って前記4つの駆動モータの設置位置よりも長く延在している、
請求項6に記載のステージ。
【請求項8】
前記4つの駆動モータは、ダイレクトドライブモータである、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のステージ。
【請求項9】
前記4つの駆動モータ自体、または前記4つの可動体と前記4つの駆動モータとの間に、磁気により前記駆動モータの回転運動を減速させる磁気減速部を備える、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のステージ。
【請求項10】
前記磁気減速部は、ステータ、当該ステータと同軸の高速ロータおよび低速ロータを有し、前記駆動モータ自体を構成する磁気ギヤードモータである、
請求項9に記載のステージ。
【請求項11】
磁気減速部は、前記4つの可動体と前記4つの駆動モータとの間に、ステータ、当該ステータと同軸の高速ロータおよび低速ロータを有する磁気減速機構をそれぞれ備える、
請求項9に記載のステージ。
【請求項12】
基板を載置して搬送するステージを有し、搬送された前記基板にプローブを接触させて当該基板の電気的特性を検査する検査装置であって、
前記ステージは、
1つの基台と、
前記基台を昇降可能に支持する4つの可動体と、
前記4つの可動体の各々に対応して設けられ、当該4つの可動体を個別に昇降させる4つの駆動モータと、
前記4つの可動体の各々の昇降を案内する4つのガイド部と、
前記基台の昇降方向と直交する方向に沿って一連に連続し、かつ前記昇降方向に平行な壁面を有し、当該壁面に前記4つのガイド部の全てを固定する1つの支持フレームと、を有する、
検査装置。
【請求項13】
ステージの動作方法であって、
1つの基台を搬送する工程と、
4つの駆動モータを個別に駆動して、当該4つの駆動モータの各々に設けられた4つの可動体により前記基台を昇降させる工程と、を有し、
前記基台を昇降させる工程では、
前記基台の昇降方向と直交する方向に沿って一連に連続する1つの支持フレームにおいて、前記昇降方向に平行な壁面に固定された4つのガイド部の各々により、前記4つの可動体の各々の昇降を案内する、
ステージの動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ステージ、検査装置およびステージの動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ウエハの検査を行う検査装置において、被検査体を所定位置に搬送するためのステージ(検査ステージ)が開示されている。このステージは、ウエハを載置する1つの基台(載置台)を3つの昇降駆動機構により支持して、当該3つの昇降駆動機構の昇降位置を監視しながら基台を昇降させる。
【0003】
検査装置は、ウエハの検査において、多数(数万)のコンタクトプローブをウエハに接触させる。このため、基台には、多数のコンタクトプローブから大きな荷重がかかることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000―260852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、基台の姿勢を適切に調整して、基台にかかる荷重の均等化を促すことができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、ステージであって、1つの基台と、前記基台を昇降可能に支持する4つの可動体と、前記4つの可動体の各々に対応して設けられ、当該4つの可動体を個別に昇降させる4つの駆動モータと、前記4つの可動体の各々の昇降を案内する4つのガイド部と、前記基台の昇降方向と直交する方向に沿って一連に連続し、かつ前記昇降方向に平行な壁面を有し、当該壁面に前記4つのガイド部の全てを固定する1つの支持フレームと、を有する、ステージが提供される。
【発明の効果】
【0007】
一態様によれば、基台の姿勢を適切に調整して、基台にかかる荷重の均等化を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係るステージを有する検査装置を示す概略断面図である。
図2】検査装置のステージを示す概略側面図である。
図3】ステージのZ軸移動機構を拡大して示す斜視図である。
図4】Z軸移動機構の支持フレームを示す斜視図である。
図5】Z軸移動機構を概略的に示す縦断面図である。
図6】Z軸移動機構の駆動モータ、モータドライバ部およびステージ制御部を示すブロック図である。
図7】Z軸移動機構の昇降部の配置例を示す概略説明図である。
図8】ウエハの検査時におけるステージの動作を示すフローチャートである。
図9】コンタクトプローブの荷重に対するステージによる基台の動作を示す説明図である。
図10図10(a)は、ステージによる載置面補正を示す概略説明図であり、図10(b)は、ステージによる平行補正を示す概略説明図である。
図11】変形例に係るZ軸移動機構を示す概略説明図である。
図12図12(a)は、変形例に係る駆動モータに適用した磁気ギヤードモータを示す概略説明図である。図12(b)は、変形例に係る駆動モータとZ軸可動体の間に適用した磁気減速機構を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
図1は、一実施形態に係るステージ30を有する検査装置1を示す概略断面図である。図1に示すように、一実施形態に係る検査装置1は、ウエハ(基板)Wに形成された複数の半導体デバイス(被検査体、DUT;Device Under Test)の各々の電気的特性を検査する装置である。なお、被検査体を有する基板は、ウエハWに限られるものではなく、半導体デバイスが配置されたキャリア、ガラス基板、チップ単体などを含む。検査装置1は、ステージ30を収容する収容室12と、収容室12に隣接して配置されるローダ13と、収容室12の上方に配置されるテスタ20と、を備える。
【0011】
収容室12は、内部が空洞の筐体形状を有する。収容室12の内部には、ウエハWを載置するステージ30と、ステージ30に対向するように配置されるプローブカード15と、ステージ30上のウエハWを撮像する検査側カメラ29と、が収容される。プローブカード15は、ウエハWの各半導体デバイスの電極に対応して設けられた電極パッドや半田バンプに対応して配置された多数の針状のプローブ(接触端子)16を有する。検査側カメラ29は、ステージ30の傾斜やステージ30に載置されたウエハWの位置などを撮像する。
【0012】
ローダ13は、搬送容器であるFOUP(不図示)からウエハWを取り出して収容室12の内部のステージ30へ載置する。また、ローダ13は、検査が行われたウエハWをステージ30から取り出してFOUPへ収容する。
【0013】
プローブカード15は、インタフェース17を介してテスタ20へ接続される。各プローブ16は、ウエハWの各半導体デバイスの電極に対応して設けられた電極パッドや半田バンプに接触する。これにより、各プローブ16は、テスタ20からインタフェース17を介して半導体デバイスへ電力を供給し、またはインタフェース17を介して半導体デバイスからの信号をテスタ20へ伝達する。
【0014】
テスタ20は、半導体デバイスが搭載されるマザーボードの回路構成の一部を再現するテストボード(不図示)を有する。テストボードは、制御を行うコントローラ90に接続されており、半導体デバイスからの信号に基づいて半導体デバイスの良否を判断する。テスタ20は、テストボードを取り替えることにより、複数種のマザーボードの回路構成を再現することができる。
【0015】
ステージ30は、ローダ13とプローブカード15の対向位置との間でウエハWを搬送する。また、ステージ30は、検査において、プローブカード15に向かってウエハWを上昇させる一方で、検査後にウエハWを下降させる。さらに、ステージ30には、プローブカード15の位置を確認するステージ側カメラ19が配置されている。
【0016】
図2は、検査装置1のステージ30を示す概略側面図である。図2に示すように、検査装置1は、ステージ30を支持するフレーム構造31を有する。フレーム構造31に設置されたステージ30は、収容室12内において適宜の3次元位置(X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向)にウエハWを搬送する。ステージ30は、移動部32(X軸移動機構33、Y軸移動機構34、Z軸移動機構40)、基台35、針研機構60、ステージ制御部70およびモータドライバ部80を有する。
【0017】
フレーム構造31は、移動部32を支持する上ベース310と、ステージ制御部70およびモータドライバ部80を支持する下ベース311と、上ベース310や下ベース311の四隅に設けられる複数の支柱312と、を含む2段構造を呈している。
【0018】
移動部32のX軸移動機構33は、上ベース310の上面に固定されてX軸方向に沿って延在する複数のガイドレール330と、各ガイドレール330間にわたって配置されるX軸可動体331と、を含む。X軸可動体331は、図示しないX軸動作部(モータ、ギア機構など)を内部に有し、このX軸動作部はモータドライバ部80に接続されている。これにより、X軸可動体331は、モータドライバ部80からの電力供給に基づきX軸方向に往復動する。
【0019】
同様に、Y軸移動機構34は、X軸可動体331の上面に固定されてY軸方向に沿って延在する複数のガイドレール340と、各ガイドレール340間にわたって配置されるY軸可動体341と、を含む。Y軸可動体341には、平面視で長方形状の水平移動台342が設置されている。Y軸可動体341も、図示しないY軸動作部(モータ、ギア機構など)を内部に有し、このY軸動作部はモータドライバ部80に接続されている。これにより、Y軸可動体341は、モータドライバ部80からの電力供給に基づきY軸方向に往復動する。
【0020】
Z軸移動機構40は、水平移動台342(Y軸可動体341)に設置されるとともに、その上部において基台35を保持している。Z軸移動機構40は、基台35をZ軸方向(鉛直方向)に変位させることで、基台35に載置されたウエハWを昇降させる本実施形態の昇降機構を構成している。このZ軸移動機構40の構成については後に詳述する。
【0021】
以上の移動部32により搬送される基台35は、適宜の保持手段(真空吸着、メカニカルチャックなど)により、その上面においてウエハWを保持するチャックとして機能する。基台35は、Z軸移動機構40に係合されるボトムプレート350と、ボトムプレート350の上側に積層されるチャックトップ351と、を有する。
【0022】
ボトムプレート350は、Z軸移動機構40に係合可能な適宜の平面形状(略多角形状)に形成される。チャックトップ351は、平面視で円形状に形成され、ボトムプレート350よりも厚みを持つように構成されている。チャックトップ351の上面は、ウエハWを載置面する載置面35aとなっている。また、基台35は、載置面35aの温度を調整する温調機構、載置面35aの温度を検出する温度センサ、および載置面35aに載置されたウエハWを真空吸着する吸着機構などを備えた構成でもよい(共に不図示)。
【0023】
ステージ30の針研機構60は、水平移動台342において、Z軸移動機構40の隣接位置に設置される。針研機構60の上部には、プローブカード15から下方に突出しているプローブ16を研磨する研磨体61が設けられる。針研機構60は、研磨体61をZ軸方向に変位させる研磨側Z軸移動機構62を有する。研磨側Z軸移動機構62は、基台35のZ軸移動機構40と略同様に構成される。
【0024】
ステージ制御部70は、検査装置1のコントローラ90に接続され、コントローラ90の指令に基づき、ステージ30の動作を制御する。ステージ制御部70は、例えば、ステージ30全体の動作を制御するメイン制御部、移動部32の動作を制御するPLC、温調機構を制御する温度コントローラ、照明制御部、電源ユニットなどを有する(共に不図示)。ステージ制御部70のメイン制御部は、図示しない1以上のプロセッサ、メモリ、入出力インタフェースおよび電子回路等を有するステージ用コンピュータ内臓ボードを適用し得る。1以上のプロセッサは、CPU、ASIC、FPGA、複数のディスクリート半導体からなる回路等のうち1つまたは複数を組み合わせたものであり、メモリに記憶されたプログラムおよびレシピを実行処理する。メモリは、不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含み、ステージ制御部70の記憶部を形成している。
【0025】
ステージ制御部70は、ローダ13からステージ30の基台35にウエハWを受け取った後、水平方向(X軸-Y軸方向)に移動部32を移動させ、所定のテスタ20のプローブカード15にウエハWが対向するように位置合わせを行う。位置合わせ後に、ステージ制御部70は、ステージ30により基台35を上昇させ、プローブカード15のプローブ16にウエハWを接触させる。この状態で、検査装置1のコントローラ90は、テスタ20による電気的検査を開始する。また、ステージ制御部70は、テスタ20の検査終了後に、上記と逆動作により、検査後のウエハWを下降および水平移動させ、ローダ13にウエハWを戻す。
【0026】
図3は、ステージ30のZ軸移動機構40を拡大して示す斜視図である。図3に示すように、Z軸移動機構40は、水平移動台342に設置される支持フレーム41を有する。支持フレーム41は、基台35の昇降方向と直交する方向(水平方向:X軸‐Y軸方向)に沿って一連に連続する部材である。ここで、「昇降方向と直交する方向に沿って一連に連続する」とは、支持フレーム41が分離せずに連続することにより、平面視で所定の形状を呈していることをいう。この支持フレーム41は、Z軸移動機構40の4つの昇降部45を保護するとともに、各昇降部45の昇降をガイドする。つまり、Z軸移動機構40は、上記した1つの基台35(チャック:図1も参照)を、4つの昇降部45により昇降させる構成としている。
【0027】
各昇降部45は、基台35を直接支持するZ軸可動体46と、Z軸可動体46を昇降させる駆動モータ47と、Z軸可動体46の昇降を案内するガイド部48と、を含む。すなわち、Z軸移動機構40は、1つの支持フレーム41と、4つのZ軸可動体46、4つの駆動モータ47と、4つのガイド部48と、を含んで構成されている。
【0028】
図4は、Z軸移動機構40の支持フレーム41を示す斜視図である。図4に示すように、支持フレーム41は、一対の側壁42と、当該一対の側壁42の間を延在する1つの連結壁43とを有し、平面視でH字状に形成されている。一対の側壁42の上面および連結壁43の上面が面一に連なることで、支持フレーム41の上部は平坦状に形成されている。支持フレーム41の下部は、一対の側壁42の下面に対して、連結壁43の下部の大部分が突出しており、段差状を呈している。連結壁43は、水平移動台342に支持フレーム41を固定した状態で、水平移動台342(Y軸可動体341)に形成された孔342a(図5参照)に挿入され、Y軸可動体341よりも下方に突出している。
【0029】
一対の側壁42は、水平移動台342の上面に固定される。各側壁42は、側面視で、X軸方向に長く延在し、かつZ軸方向に短く延在する略長方形状を呈している。そして、各側壁42のX軸方向(長辺)の中間位置に、連結壁43が連結されている。また、各側壁42のZ軸方向の長さは、基台35の昇降距離よりも短く設定されている。一対の側壁42の下面寄り所定位置には、複数のネジ止め用空間420が形成されている。このネジ止め用空間420から各側壁42を貫通した固定ネジ421が水平移動台342に螺合されることで、支持フレーム41は水平移動台342に強固に固定される(図3も参照)。
【0030】
連結壁43は、Y軸方向(幅方向)かつZ軸方向(高さ方向、鉛直方向)に延在する略長方形状に形成されている。連結壁43のY軸方向の長さは、側壁42のX軸方向の長さよりも長い。また、支持フレーム41は、連結壁43のZ軸方向の長さが側壁42のZ軸方向の長さよりも充分に(例えば、2倍程度)長いことで、連結壁43の下側が一対の側壁42よりも下方向に延出した形状となっている。
【0031】
連結壁43の壁面43a、43bには、4つの昇降部45のガイド部48がそれぞれ固定される。このガイド部48は、Z軸方向に延在する一対のレール49を有する。一対のレール49は、連結壁43の上端から下端までの間を直線状に延在し、ネジ止めなどの固定手段によって強固に固定されている。またガイド部48は、一対のレール49の間かつ連結壁43の壁面43a、43bの上部に、Z軸可動体46の上昇を制限する移動制限ブロック50を有する。
【0032】
そして、Z軸移動機構40は、連結壁43のX軸方向の一方の壁面43aに2つのガイド部48(一対のレール49、移動制限ブロック50)を備えるとともに、連結壁43のX軸方向の他方の壁面43bに2つのガイド部48を備える。一方の壁面43aおよび他方の壁面43bに設けられる各2つのガイド部48がY軸方向に並ぶことで、一方の壁面43aおよび他方の壁面43bの各々には、4つのレール49がZ軸方向に沿って互いに平行に延在している。
【0033】
図3に戻り、昇降部45の駆動モータ47は、水平移動台342に固定され、Z軸正方向に突出する軸部470を有する。この駆動モータ47の種類は、特に限定されるものではないが、Z軸移動機構40の小型化を図るために、例えば、ダイレクトドライブモータを適用するとよい。ダイレクトドライブモータは、減速機構を備えずに軸部470の軸方向に対して低く構成され、また低速かつ高トルクで回転することができる。
【0034】
駆動モータ47とZ軸可動体46の間には、当該駆動モータ47の回転運動をZ軸可動体46の直線運動に変換する動力変換部51が設けられている。例えば、動力変換部51は、駆動モータ47のロータ(不図示)に連結されるナット52に対して、ボールネジ53を螺合した構造を採ることができる。このボールネジ53は、駆動モータ47の軸部470と同軸にあり、駆動モータ47内の適宜の位置でスプライン嵌合されるとともに、その上端側にZ軸可動体46が固定される。この動力変換部51によって、昇降部45は、ナット52の回転下にボールネジ53(軸部470)をZ軸方向に沿って往復動させ、このボールネジ53に連れてZ軸可動体46を昇降させる。
【0035】
さらに、駆動モータ47は、ロータの回転角度を検出するエンコーダ54と、基台35からロータにかかる荷重値をトルク(電流値)として検出するトルクセンサ55(図6参照)と、を備える。
【0036】
昇降部45のZ軸可動体46は、基台35を支持する部材であり、駆動モータ47の駆動に基づき昇降することで、当該基台35を昇降させる。本実施形態に係るZ軸移動機構40は、4つのZ軸可動体46(昇降部45)の各々を個別に昇降させることにより、基台35のチルトを調整可能としている。
【0037】
図5は、Z軸移動機構40を概略的に示す縦断面図である。図5に示すように、Z軸可動体46は、水平方向(X軸-Y軸方向)に平行な横延在部460と、横延在部460に連なるとともに鉛直方向に平行な縦延在部461と、を有し、側面断面視で、略L字状に形成されている。
【0038】
横延在部460は、平面視で、略多角形状に形成され、X軸方向中央部からX軸方向外側寄り(連結壁43から離れた位置)にボールネジ53(軸部470)が連結されている。Z軸可動体46は、このボールネジ53のZ軸方向の直線運動に基づき、鉛直方向に昇降する。
【0039】
縦延在部461は、支持フレーム41の連結壁43の隣接位置で、当該連結壁43に対向するように設けられている。縦延在部461は、Y軸方向に短く延在する一方で、Z軸方向に長く延在する長方形状に形成されている。縦延在部461において支持フレーム41の連結壁43に対向する対向面には、一対のレール49に配置される一対のスライダ56が設けられている。スライダ56は、レール49に係合することで、Z軸方向(レール49の延在方向)への移動がガイドされる。このレール49およびスライダ56により、Z軸可動体46は、水平方向(X軸-Y軸方向)へのZ軸可動体46の離脱が防止されつつ、Z軸方向への移動がガイドされる。
【0040】
また図3に示すように、Z軸可動体46は、基台35のボトムプレート350に接触する接触子57を、横延在部460の上面に固定している。すなわち、基台35は、4つの接触子57に支持される。この接触子57は、平坦状の上面を有する硬質なブロックに形成されている。なお、Z軸移動機構40は、接触子57に代えて、ロードセルなどの荷重センサを適用した構成でもよい。これにより例えば、ステージ制御部70は、荷重センサが検出した荷重を用いて、基台35のチルト状態などを一層精度よく認識することができる。
【0041】
図6は、Z軸移動機構40の駆動モータ47、モータドライバ部80およびステージ制御部70を示すブロック図である。図6に示すように、ステージ制御部70の内部には、駆動モータ47を駆動するZ軸用コントローラ71が4つの駆動モータ47毎に設けられている。また、モータドライバ部80の内部には、各Z軸用コントローラ71の目標位置に基づき、駆動モータ47に供給する電流を制御するサーボアンプ81がそれぞれ設けられている。なお、サーボアンプ81は、駆動モータ47に一体化していてもよい。
【0042】
Z軸用コントローラ71は、PLCなどが適用され、ステージ制御部70のメイン制御部から基台35の昇降位置に関わる位置指令を制御周期毎に受信することで、駆動モータ47の目標位置を算出する。PLCは、プロセッサ(または集積回路)を有している。Z軸用コントローラ71は、算出した目標位置をサーボアンプ81に出力する目標位置出力部72を備える。サーボアンプ81は、目標位置出力部72から受信した目標位置に応じて駆動モータ47に供給する電力を調整する。
【0043】
また、駆動モータ47に設けられたエンコーダ54が検出するロータの回転角度は、サーボアンプ81の位置制御器82にフィードバックされる。サーボアンプ81は、位置制御器82内で目標位置に対する実位置の差分を算出し、差分に応じて駆動モータ47に供給する電力を調整する。
【0044】
一方、トルクセンサ55が検出するトルクは、ステージ制御部70に送信される。トルクセンサ55のトルクは、複数のプローブ16からウエハWおよび基台35にかかる荷重を、各昇降部45にて分散した荷重値に相当する。そして、ステージ制御部70は、トルクセンサ55から受信したトルクに基づき、目標位置に対する補正量(チルト補正量)を算出する補正量算出部73を有する。
【0045】
補正量算出部73は、4つのトルクセンサ55から検出した各トルクに基づき、4つの駆動モータ47の目標位置を補正するチルト補正量を最終的に算出する。例えば、補正量算出部73は、4つのトルクセンサ55の各トルクから複数のプローブ16が基台35上にかける荷重負荷位置を抽出し、さらに荷重負荷位置から基台35全体のチルト状態を推定して、チルト状態に基づき各チルト補正量を得る。
【0046】
荷重負荷位置は、基台35上に設定された数十~数百点の位置において、複数のプローブ16がウエハWに接触した際に、各駆動モータ47にかかる各トルクを予めデータベース化しておくことが好ましい。これにより、補正量算出部73は、取得した4つのトルクに基づき荷重負荷位置を認識できる。また例えば、補正量算出部73は、荷重負荷位置と基台35のチルト状態との関係を示す荷重‐チルト特性のマップ情報MIまたは関数を保有しており、認識した荷重負荷位置に基づき、基台35全体のチルト状態を推定する。チルト状態は、基台35が傾いているX軸-Y軸方向の位置や傾いている度合(チルト量)などで示される。
【0047】
補正量算出部73は、推定した基台35全体のチルト状態に基づき、基台35の載置面35aを水平にするための各駆動モータ47のチルト補正量を設定する。チルト状態からチルト補正量の算出は、例えば、所定の演算式を用いてもよく、チルト状態に対応する各駆動モータ47のチルト補正量を記述したデータを用いてもよい。これにより例えば、一の駆動モータ47のトルクが他の駆動モータ47のトルクよりも相対的に大きい場合には、プローブ16の荷重が一の駆動モータ47に多くかかっていることになる。このため、補正量算出部73は、相対的に大きなトルクがかかっている一の駆動モータ47のチルト補正量を、他の駆動モータ47のチルト補正量よりも大きく設定する。
【0048】
4つのZ軸用コントローラ71は、補正量算出部73が算出した各々のチルト補正量を受信すると、その受信タイミングと同周期の位置指令にチルト補正量を加えることで、補正した目標位置を算出する。目標位置出力部72は、この補正した目標位置をサーボアンプ81に出力する。これにより、Z軸移動機構40は、プローブ16の荷重によって基台35が傾いた場合でも、4つの昇降部45(駆動モータ47)の各々が適切に昇降して基台35を水平にすることができる。
【0049】
図2に戻り、ステージ30の隣接位置に配置される針研機構60も、ステージ30と同じ構成からなる研磨側Z軸移動機構62を有する。すなわち、研磨側Z軸移動機構62は、研磨側支持フレーム63と、研磨側支持フレーム63に支持されるとともに、研磨体61を昇降させる4つの研磨側昇降部64と、を備える。研磨側支持フレーム63は、支持フレーム41と同様に、一対の側壁および連結壁(不図示)を有し、平面視でH字状に形成されている。また、各研磨側昇降部64は、昇降部45と同様に、研磨側駆動モータ65、研磨側動力変換部66、研磨側Z軸可動体67および研磨側ガイド部68を有する。
【0050】
この研磨側Z軸移動機構62も、プローブ16に研磨体61を接触させる際に、4つの研磨側昇降部64により研磨体61のチルトを補正することができる。換言すれば、針研機構60も、荷重を受ける研磨体61(本開示の基台35に相当)の姿勢を適切に調整する機能を有する。つまりプローブ16の研磨時に、針研機構60は、研磨体61を水平に保つことで、プローブ16の研磨量を均等化することができる。
【0051】
本実施形態に係るステージ30および検査装置1は、基本的には以上のように構成され、以下その作用について説明する。
【0052】
まずZ軸移動機構40が4つの昇降部45を有することの意義について、図7を参照して説明する。図7は、Z軸移動機構40の駆動モータ47の軸部470(昇降部45)の配置例を示す概略説明図であり、(a)は、本実施形態に係るZ軸移動機構40を示し、(b)は、参考例に係るZ軸移動機構100を示す。なお、図7中では、4つの駆動モータ47または3つの駆動モータ47を結ぶ線が基台35に外接しているが、この線は基台35よりも内側に位置してもよい。
【0053】
図7(b)に示すように、参考例に係るZ軸移動機構100は、3つの駆動モータ47により基台35を昇降させる。この場合、3つの駆動モータ47の配置は、基台35の姿勢を安定してバランスさせるために、基台35に対して大きく離れた位置に配置される。すなわち、3つの駆動モータ47で基台35を支持するZ軸移動機構100では、ステージ30の平面サイズが大きくなる。
【0054】
これに対し、図7(a)に示すように、本実施形態に係るZ軸移動機構40は、4つの駆動モータ47により基台35を昇降させる。このZ軸移動機構40は、参考例に係るZ軸移動機構100に比べて、基台35の近くに4つの駆動モータ47を配置することができる。つまり、Z軸移動機構40は、4つの駆動モータ47によってステージ30の平面サイズを小さくしつつ、基台35を安定してバランスさせることができる。
【0055】
図8は、ウエハWの検査時におけるステージ30の動作を示すフローチャートである。図9は、プローブ16の荷重に対するステージ30による基台35の動作を示す説明図であり、(a)は、プローブ16の荷重の中心がずれた場合を示し、(b)は、基台35の姿勢の調整を示す。
【0056】
検査装置1は、ウエハWの検査時に、コントローラ90の制御に基づきステージ30の基台35の載置面35aにウエハWを載置する。基台35にウエハWが載置されると、ステージ制御部70は、コントローラ90から移動指示を受信する。これにより図8に示すように、ステージ制御部70は、移動部32を制御して、水平方向(X軸-Y軸方向)に沿ってウエハWを搬送する(ステップS1)。この水平方向の搬送によって、ステージ30は、テスタ20の下方にウエハWを配置させる。
【0057】
その後、ステージ制御部70は、各Z軸用コントローラ71から各サーボアンプ81に、駆動モータ47の目標位置を出力する(ステップS2)。これにより、各サーボアンプ81から適宜の電力が各駆動モータ47に供給され、各駆動モータ47は、基台35を鉛直方向上側に上昇させる。各Z軸可動体46は、駆動モータ47の上昇時に、昇降方向と直交する方向に沿って連続する支持フレーム41に固定された各ガイド部48にガイドされる。そのため、各Z軸可動体46は、鉛直方向に沿って円滑に変位し、基台35をガタツキなく上昇させる。また、ステージ制御部70は、プローブカード15のプローブ16に基台35が接触するまで、同じ昇降速度で各Z軸可動体46を上昇させる。したがって、ステージ30は、基台35の載置面35aの水平を良好に維持することができる。
【0058】
基台35の上昇に伴って、テスタ20が支持している各プローブ16がウエハWに接触する。この際、図9(a)に示すように、各プローブ16の荷重の重心が、基台35の中心からずれていると、基台35にチルト(傾き)が発生する。一例として、各プローブ16から約500kgの荷重が基台35の外周部付近にかかった場合、基台35は、μm単位で傾くことになる。
【0059】
このため、ステージ制御部70は、Z軸移動機構40の4つの昇降部45を独立的に制御して、基台35のチルト状態を補正することで載置面35aを水平化する。具体的には、ステージ制御部70は、基台35の上昇時に、各トルクセンサ55からトルク(荷重値)をそれぞれ取得する(ステップS3)。
【0060】
そして、ステージ制御部70は、プローブ16がウエハWの任意の位置に接触した際における、リアルタイムの各トルクを取得し、補正量算出部73により4つの昇降部45毎のチルト補正量を算出する(ステップS4)。補正量算出部73は、上記したように、各トルクに基づき各プローブ16の荷重負荷位置を抽出し、さらに荷重負荷位置から基台35全体のチルト状態を推定し、チルト状態に基づき各チルト補正量を算出する。各チルト補正量は、基台35のチルト状態を3次元座標上で高精度に補正可能な値となっている。
【0061】
ステージ制御部70の各Z軸用コントローラ71は、補正量算出部73から送信されたチルト補正量を位置指令に加算して、補正した目標位置を各サーボアンプ81に出力する(ステップS5)。これにより、各サーボアンプ81は、この補正した目標位置に応じた電力を各駆動モータ47に供給し、各駆動モータ47は、相互に独立して回転し、Z軸可動体46を昇降させる。例えば図9(b)に示すように、ステージ30は、基台35においてプローブ16から荷重がかかっている箇所付近の1つまたは2つのZ軸可動体46が他の箇所のZ軸可動体46よりも僅かに上昇する。その結果、ステージ30は、基台35の載置面35aの傾きを補正して、載置面35aを水平にすることができる。
【0062】
ステージ30によって載置面35aが水平に保たれることで、各プローブ16の荷重のバラツキが抑制され、各プローブ16の接触抵抗を安定化させることができる。このため、ステージ制御部70は、ウエハWの電気的検査を開始するために、基台35のチルト補正済の情報を検査装置1のコントローラ90などに送信する(ステップS6)。この情報に基づき、コントローラ90は、ステージ30に搬送されたウエハWの検査を開始する。なお、コントローラ90は、検査側カメラ29の画像情報を受信して載置面35aが水平となったことを認識し、検査を開始してもよい。これにより、検査装置1は、ウエハWを精度よく検査可能となり、ウエハWの検査においてイールドを向上させることができる。
【0063】
また、4つの昇降部45を有するZ軸移動機構40は、基台35のチルトを調整することに限定されず、検査時に種々の制御を行うことができる。以下、図10を参照して、Z軸移動機構40の他の制御について説明する。図10(a)は、ステージ30による載置面補正を示す概略説明図であり、図10(b)は、ステージ30による平行補正を示す概略説明図である。
【0064】
図10(a)に示すように、例えば、基台35は、温度の影響を受けることで載置面35aが凹状または凸状に反るように変形する場合があり、これにより載置面35aの平面度が低下する。そのため、ステージ30は、Z軸移動機構40を用いて載置面補正を実施することができる。載置面補正において、ステージ制御部70は、検査側カメラ29により撮像した載置面35aの画像情報に基づき、この載置面35aの反りを検出することで、載置面35aの反りに応じて4つの昇降部45の昇降を独立して調整する。よって載置面35aが反った場合でも、複数のプローブ16が接触する箇所の載置面35aを水平にすることができ、各プローブ16の接触抵抗を安定化させることが可能となる。
【0065】
また、図10(b)に示すように、プローブカード15側が傾斜した場合に、ステージ30は、プローブカード15の傾斜に合うように基台35の載置面35aを傾斜させる平行補正を実施することができる。例えば平行補正において、ステージ30は、ステージ側カメラ19により撮像したプローブカード15の画像情報に基づき、プローブカード15の傾斜状態(傾斜の方向、チルト量)を算出し、この傾斜状態に応じて4つの昇降部45の昇降を独立して調整する。これにより、プローブカード15が傾斜した場合でも、複数のプローブ16に対して載置面35aを平行に対向させることができ、各プローブ16の接触抵抗を安定化させることが可能となる。
【0066】
また、ステージ30は、上記した実施形態に限定されず、種々の変形例を採ることができる。図11は、変形例に係るZ軸移動機構40A、40Bを示す概略説明図であり、(a)は、方形状の支持フレーム41Aを有するZ軸移動機構40Aを示し、(b)は、十字形状の支持フレーム41Bを有するZ軸移動機構40Bを示す。
【0067】
図11(a)に示すように、Z軸移動機構40Aは、平面視で、長方形状(方形環状)の支持フレーム41Aを有し、支持フレーム41Aの内側の壁面43c、43dに4つの昇降部45のガイド部48を固定した構成でもよい。例えば、ガイド部48は、支持フレーム41の一対の短辺にそれぞれ2つずつ設けられ、内側に配置されたZ軸可動体46の変位をガイドする。この場合でも、支持フレーム41は、各昇降部45を安定して昇降させることで、基台35のチルトを補正することができる。
【0068】
また図11(b)に示すように、Z軸移動機構40Bは、平面視で、十字形状の支持フレーム41Bを有し、この支持フレーム41の壁面43e、43f、43g、43hに4つの昇降部45のガイド部48を固定した構成でもよい。この場合でも、支持フレーム41は、ガイド部48を強固に固定することができ、各昇降部45を安定して昇降させることができる。なお図11(b)に例示するように、各昇降部45のガイド部48は、異なる壁面43e、43f、43g、43hに複数のレール49を備えてよい(この構成は、他のZ軸移動機構40、40Aにも適用可能である)。
【0069】
また図12は、変形例に係る昇降部45A、45Bを示す概略説明図であり、(a)は、駆動モータ47に適用した磁気ギヤードモータ58Aを示し、(b)は、駆動モータ47とZ軸可動体46の間に適用した磁気減速機構58Bを示す。図12に示すように、ステージ30は、4つの駆動モータ47自体、または4つZ軸可動体46と4つの駆動モータ47との間に、磁気により駆動モータ47の回転運動を減速させる磁気減速部58を備えてもよい。
【0070】
例えば、磁気減速部58としては、図12(a)に示すように、駆動モータ47として磁気減速機能を備えた磁気ギヤードモータ58Aを適用した構成があげられる。一例として、磁気ギヤードモータ58Aは、ステータ581と、ステータ581と同軸の高速ロータ582および低速ロータ583とを有する。ステータ581は、磁気ギヤードモータ58Aの外周部側に位置し、複数のコイルを周方向に沿って環状に配置しており、Z軸用コントローラ71の制御下にモータドライバ部80から各コイルに対して三相交流電力が供給される。高速ロータ582は、磁気ギヤードモータ58Aの中心側に設けられ、その外周面には複数の磁極(N極、S極)が周方向に沿って環状に配置されている。低速ロータ583は、ステータ581と高速ロータ582との間に配置された環状部材であり、複数のポールピースを周方向に沿って環状に配置している。そして、低速ロータ583には、この低速ロータ583の回転をZ軸可動体46の直線運動に変換する動力変換部51(図3参照)が連結されている。
【0071】
以上のように構成された磁気ギヤードモータ58Aは、モータドライバ部80(図2参照)からの三相交流電力に基づき、内側の高速ロータ582を回転させる。そして、高速ロータ582の回転に応じて、高速ロータ582の外側に配置された低速ロータ583が低速、高トルクで回転する。磁気ギヤードモータ58Aの減速比は、高速ロータ582の磁極数と低速ロータ583のポールピース数との割合で設定することができる。昇降部45Aは、このように磁気ギヤードモータ58Aを適用することで、Z軸可動体46を昇降させる際の消費電力を大幅に低減できる。また、磁気ギヤードモータ58Aは、小型化を図りつつ、トルクを増大できることで、フットプリントを可及的に小さくできる。さらに、磁気ギヤードモータ58Aは、高速ロータ582および低速ロータ583を相互に非接触としてトルク伝達を行うことができるので、振動低減につながり、ステージ30の移動においてウエハWのコンタクト性能を向上させる。その結果、テスト時のイールド向上を期待することができる。
【0072】
あるいは、磁気減速部58は、図12(b)に示すように、各駆動モータ47と各Z軸可動体46(動力変換部51)との間に、磁気減速機構58Bをそれぞれ備えた構成でもよい。磁気減速機構58Bは、例えば、複数のポールピースを環状に配置したステータ586と、ステータ586の内側で複数の磁極を環状に配置した高速ロータ587と、ステータ586の外側で複数の磁極を環状に配置した低速ロータ588と、を有する。この場合、ステータ586は固定されている一方で、駆動モータ47の軸部470に高速ロータ587が連結されている。高速ロータ587は、駆動モータ47の回転に追従して回転する。低速ロータ588は、高速ロータ587の磁極の回転がステータ586の複数のポールピースを介して伝達されることで、高速ロータ587の回転に対して減速した状態で回転するようになる。したがって、磁気減速機構58Bを有する昇降部45Bも、磁気ギヤードモータ58Aと同様に、消費電力の低減、小型化、軽量化、振動低減等の効果を得ることができる。
【0073】
以上の実施形態で説明した本開示の技術的思想および効果について以下に記載する。
【0074】
本開示の第1の態様は、ステージ30であって、被搬送体(ウエハW)を載置する1つの基台35と、基台35を昇降可能に支持する4つの可動体(Z軸可動体46)と、4つの可動体の各々に対応して設けられ、当該4つの可動体を個別に昇降させる4つの駆動モータ47と、4つの可動体の各々の昇降を案内する4つのガイド部48と、基台35の昇降方向と直交する方向に沿って一連に連続し、かつ昇降方向に平行な壁面43a~43hを有し、当該壁面43a~43hに4つのガイド部48の全てを固定する1つの支持フレーム41、41A、41Bと、を有する。
【0075】
上記によれば、ステージ30は、4つの可動体(Z軸可動体46)を個別に昇降させることで、基台35の姿勢を適切に調整することができる。特に、ステージ30は、昇降方向と直交する平面方向に一連に連続する支持フレーム41、41A、41Bにより、4つのガイド部48を固定することで、各可動体を円滑に昇降させることが可能となり、基台35にかかる荷重の均等化を促すことができる。さらに、4つの可動体、4つの駆動モータ47および4つのガイド部48は、ステージ30の平面サイズを可及的に小さくできる。
【0076】
また、基台35の昇降時に4つの駆動モータ47毎の目標位置を設定し、目標位置に基づき4つの駆動モータ47の動作を制御する制御部(ステージ制御部70)と、4つの駆動モータ47の各々に設けられ、当該駆動モータ47のトルクを検出する4つのトルクセンサ55と、を備え、制御部は、4つのトルクセンサ55の各々からフィードバックされたトルクに基づき、4つの駆動モータ47毎の目標位置を補正する。これにより、ステージ30は、基台35にかかる荷重に基づき、4つの可動体を精度よく昇降させることができる。
【0077】
また、制御部(ステージ制御部70)は、4つのトルクセンサ55のトルクに基づき、基台35のチルト状態を認識し、基台35のチルト状態に応じて4つの駆動モータ47毎の目標位置を補正する補正値を算出する。これにより、ステージ30は、4つの駆動モータ47を一層精度よく制御することが可能となり、例えば、基台35が水平から傾いた場合でも基台35を迅速に水平に戻すことができる。
【0078】
また、支持フレーム41は、昇降方向を直交する方向に、一対の側壁42と、一対の側壁42の間を連結する連結壁43と、を有することで、平面視でH字状に形成され、4つの可動体(Z軸可動体46)、4つの駆動モータ47および4つのガイド部48は、一対の側壁42の間に配置されている。これにより、ステージ30は、支持フレーム41により4つのガイド部48を安定して支持することで、可動体の昇降をスムーズに行うことができる。
【0079】
また、支持フレーム41は、連結壁43の一方の壁面43aに4つのガイド部48のうち2つを固定しているとともに、連結壁43の他方の壁面43bに4つのガイド部48のうち残りの2つを固定している。これにより、ステージ30は、2つの可動体(Z軸可動体46)が連結壁43の延在方向に沿って並ぶように設けられ、平面サイズをより小さくすることができる。
【0080】
また、4つの可動体(Z軸可動体46)各々は、4つの駆動モータ47の各々に接続される横延在部460と、横延在部460の延在方向と直交して延在し4つのガイド部48の各々に案内される縦延在部461と、有する。これにより、4つの可動体は、ガイド部48との接触区間が長くなり、ガイド部48に沿って一層安定して昇降できる。
【0081】
また、支持フレーム41、41A、41Bおよび4つのガイド部48は、昇降方向に沿って4つの駆動モータ47の設置位置よりも長く延在している。これにより、ステージ30は、可動体(Z軸可動体46)の昇降距離をかせぐことができ、また可動体を安定して昇降させることが可能となる。
【0082】
また、4つの駆動モータ47は、ダイレクトドライブモータである。これにより、ステージ30は、駆動モータ47の高さを小さくでき、基台35の昇降方向にもコンパクト化を促すことができる。
【0083】
また、4つの駆動モータ47自体、または4つ可動体(Z軸可動体46)と4つの駆動モータ47との間に、磁気により駆動モータ47の回転運動を減速させる磁気減速部58を備える。これにより、ステージ30は、消費電力の低減、小型化、軽量化、振動低減等の効果を得ることができる。
【0084】
また、磁気減速部58は、ステータ581、当該ステータ581と同軸の高速ロータ582および低速ロータ583を有し、駆動モータ47自体を構成する磁気ギヤードモータ58Aである。このように磁気ギヤードモータ58Aを採用することで、ステージ30は、駆動モータ47自体の小型化を促すことができるので、ステージ30全体(例えば、Z軸方向の高さ等)の小型化をより一層促進することが可能となる。
【0085】
また、磁気減速部58は、4つの可動体(Z軸可動体46)と4つの駆動モータ47との間に、ステータ586、当該ステータ586と同軸の高速ロータ587および低速ロータ588を有する磁気減速機構58Bをそれぞれ備える。このように磁気減速機構58Bを備えた場合でも、ステージ30は、駆動モータ47の回転をスムーズに減速してZ軸可動体46を昇降させることができる。そのため、小型の駆動モータ47を採用することができ、結果的にステージ30全体としての小型化を促進できる。
【0086】
また、本開示の第2の態様は、基板(ウエハW)を載置して搬送するステージ30を有し、搬送された基板にプローブ16を押圧して当該基板の電気的特性を検査する検査装置1であって、ステージ30は、1つの基台35と、基台35を昇降可能に支持する4つの可動体(Z軸可動体46)と、4つの可動体の各々に対応して設けられ、当該4つの可動体を個別に昇降させる4つの駆動モータ47と、4つの可動体の各々の昇降を案内する4つのガイド部48と、基台35の昇降方向と直交する方向に沿って一連に連続し、かつ昇降方向に平行な壁面43a~43hを有し、当該壁面43a~43hに4つのガイド部48の全てを固定する1つの支持フレーム41、41A、41Bと、を有する。
【0087】
また、本開示の第3の態様は、ステージ30の動作方法であって、1つの基台35を搬送する工程と、4つの駆動モータ47を個別に駆動して、当該4つの駆動モータ47の各々に設けられた4つの可動体(Z軸可動体46)により基台35を昇降させる工程と、を有し、基台35を昇降させる工程では、基台35の昇降方向と直交する方向に沿って一連に連続する1つの支持フレーム41、41A、41Bにおいて、昇降方向に平行な壁面43a~43hに固定された4つのガイド部48の各々により、4つの可動体の各々の昇降を案内する。
【0088】
第2および第3の態様でも、基台35の姿勢を適切に調整して、基台35にかかる荷重の均等化を促すことができる。
【0089】
今回開示された実施形態に係るステージ30、検査装置1およびステージ30の動作方法は、すべての点において例示であって制限的なものではない。実施形態は、添付の請求の範囲およびその主旨を逸脱することなく、様々な形態で変形および改良が可能である。上記複数の実施形態に記載された事項は、矛盾しない範囲で他の構成も取り得ることができ、また、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0090】
1 検査装置
30 ステージ
35 基台
41、41A、41B 支持フレーム
43a~43h 壁面
46 Z軸可動体
47 駆動モータ
48 ガイド部
W ウエハ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
図10
図11
図12