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特開2023-5174消耗部材、プラズマ処理装置及び消耗部材の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023005174
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】消耗部材、プラズマ処理装置及び消耗部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20230111BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021106925
(22)【出願日】2021-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】茂山 和基
(72)【発明者】
【氏名】長山 将之
(72)【発明者】
【氏名】三浦 衛
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004BA09
5F004BB12
5F004BB13
5F004BB18
5F004BB22
5F004BB23
5F004BB25
5F004BB26
5F004BB28
5F004BB29
5F004CA06
(57)【要約】
【課題】本開示は、プラズマ処理装置に用いる消耗部材を安価に製造する技術を提供する。
【解決手段】石英又はセラミックスのいずれかの材料により形成されるプラズマ処理装置に用いられる消耗部材であって、第1純度の前記材料により形成されたコア部と、前記コア部の周囲における前記プラズマ処理装置におけるプラズマにより損耗される部分に設けられ、前記第1純度より高い第2純度の前記材料で形成された保護部と、を有する消耗部材。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
石英又はセラミックスのいずれかの材料により形成されるプラズマ処理装置に用いられる消耗部材であって、
第1純度の前記材料により形成されたコア部と、
前記コア部の周囲における前記プラズマ処理装置におけるプラズマにより損耗される部分に設けられ、前記第1純度より高い第2純度の前記材料で形成された保護部と、
を有する、
消耗部材。
【請求項2】
前記消耗部材は、エッジリング、カバーリング、静電チャックの側面に設けられる絶縁リング、シャワーヘッドの天井面に設けられる上部電極カバー、当該上部電極カバーを押さえるシールドリング又はシャワーヘッドを支える支持部材の少なくともいずれかである、
請求項1に記載の消耗部材。
【請求項3】
前記保護部は、前記コア部の周囲にスラリキャスト法によって形成される、
請求項1又は請求項2のいずれかに記載の消耗部材。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の消耗部材を備える、
プラズマ処理装置。
【請求項5】
石英又はセラミックスのいずれかの材料により形成されるプラズマ処理装置に用いられる消耗部材の製造方法であって、
(a)第1純度の前記材料により形成されたコア部を型に載置する工程と、
(b)前記型に前記第1純度より高い第2純度の前記材料のスラリを供給する工程と、
(c)前記型に供給された前記スラリを焼成して保護部を形成する工程と、
を含む、
消耗部材の製造方法。
【請求項6】
石英又はセラミックスのいずれかの材料により形成されるプラズマ処理装置に用いられる消耗部材の製造方法であって、
(a)第1純度の前記材料により形成されたコア部を型に載置する工程と、
(b)前記型に前記第1純度より高い第2純度の前記材料のスラリを供給する工程と、
(c)前記型に供給された前記スラリを焼成して拡張保護部を形成する工程と、
(d)前記拡張保護部を加工して保護部を形成する工程と、
を含む、
消耗部材の製造方法。
【請求項7】
前記(a)の前に、コア部用型に前記第1純度の前記材料の第2スラリを供給し、前記コア部用型に供給された前記第2スラリを焼成して前記コア部を形成する工程、
を更に備える、
請求項5又は請求項6のいずれかに記載の消耗部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、消耗部材、プラズマ処理装置及び消耗部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ドライエッチング装置等のプラズマ処理装置において、プラズマにさらされることで消耗する消耗部材が用いられる。消耗部材として石英を用いた部材が用いられる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-220500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、プラズマ処理装置に用いる消耗部材を安価に製造する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、石英又はセラミックスのいずれかの材料により形成されるプラズマ処理装置に用いられる消耗部材であって、第1純度の前記材料により形成されたコア部と、前記コア部の周囲における前記プラズマ処理装置におけるプラズマにより損耗される部分に設けられ、前記第1純度より高い第2純度の前記材料で形成された保護部と、を有する消耗部材である。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、プラズマ処理装置に用いる消耗部材を安価に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態のプラズマ処理システムの一例を示す図である。
図2図2は、本実施形態のプラズマ処理装置に用いる消耗部材の一例の上面図である。
図3図3は、本実施形態のプラズマ処理装置に用いる消耗部材の一例の断面図である。
図4図4は、第1実施形態の消耗部材の製造方法を説明するフローチャートである。
図5図5は、第1実施形態の消耗部材の製造方法を説明する図である。
図6図6は、第1実施形態の消耗部材の製造方法を説明する図である。
図7図7は、第1実施形態の消耗部材の製造方法を説明する図である。
図8図8は、第1実施形態の消耗部材の製造方法を説明する図である。
図9図9は、第1実施形態の消耗部材の製造方法を説明する図である。
図10図10は、第1実施形態の消耗部材の製造方法を説明する図である。
図11図11は、第1実施形態の消耗部材の製造方法を説明する図である。
図12図12は、第1実施形態の消耗部材の製造方法を説明する図である。
図13図13は、第2実施形態の消耗部材の製造方法を説明するフローチャートである。
図14図14は、第2実施形態の消耗部材の製造方法を説明する図である。
図15図15は、第2実施形態の消耗部材の製造方法を説明する図である。
図16図16は、第2実施形態の消耗部材の製造方法を説明する図である。
図17図17は、第2実施形態の消耗部材の製造方法を説明する図である。
図18図18は、第2実施形態の消耗部材の製造方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面を参照しながら、本開示の限定的でない例示の実施形態について説明する。添付の全図面中、同一又は対応する部材又は部品については、同一又は対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。
【0009】
〔プラズマ処理装置〕
以下に、プラズマ処理システムの構成例について説明する。
【0010】
プラズマ処理システムは、容量結合プラズマ処理装置1及び制御部2を含む。容量結合プラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、ガス供給部20、電源30及び排気システム40を含む。また、プラズマ処理装置1は、基板支持部11及びガス導入部を含む。ガス導入部は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に導入するように構成される。ガス導入部は、シャワーヘッド13を含む。基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10内に配置される。シャワーヘッド13は、基板支持部11の上方に配置される。一実施形態において、シャワーヘッド13は、プラズマ処理チャンバ10の天部(ceiling)の少なくとも一部を構成する。プラズマ処理チャンバ10は、シャワーヘッド13、プラズマ処理チャンバ10の側壁10a及び基板支持部11により規定されたプラズマ処理空間10sを有する。プラズマ処理チャンバ10は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10sに供給するための少なくとも1つのガス供給口と、プラズマ処理空間からガスを排出するための少なくとも1つのガス排出口とを有する。側壁10aは接地される。シャワーヘッド13及び基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10筐体とは電気的に絶縁される。
【0011】
基板支持部11は、本体部111及びリングアセンブリ112を含む。本体部111は、基板(ウェハ)Wを支持するための中央領域(基板支持面)111aと、リングアセンブリ112を支持するための環状領域(リング支持面)111bとを有する。本体部111の環状領域111bは、平面視で本体部111の中央領域111aを囲んでいる。基板Wは、本体部111の中央領域111a上に配置され、リングアセンブリ112は、本体部111の中央領域111a上の基板Wを囲むように本体部111の環状領域111b上に配置される。一実施形態において、本体部111は、基台及び静電チャックを含む。基台は、導電性部材を含む。基台の導電性部材は下部電極として機能する。静電チャックは、基台の上に配置される。静電チャックの上面は、基板支持面111aを有する。リングアセンブリ112は、1又は複数の環状部材を含む。1又は複数の環状部材のうち少なくとも1つはエッジリングである。また、図示は省略するが、基板支持部11は、静電チャック、リングアセンブリ112及び基板のうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、流路、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。流路には、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。また、基板支持部11は、基板Wの裏面と基板支持面111aとの間に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部を含んでもよい。
【0012】
シャワーヘッド13は、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。シャワーヘッド13は、少なくとも1つのガス供給口13a、少なくとも1つのガス拡散室13b、及び複数のガス導入口13cを有する。ガス供給口13aに供給された処理ガスは、ガス拡散室13bを通過して複数のガス導入口13cからプラズマ処理空間10s内に導入される。また、シャワーヘッド13は、導電性部材を含む。シャワーヘッド13の導電性部材は上部電極として機能する。なお、ガス導入部は、シャワーヘッド13に加えて、側壁10aに形成された1又は複数の開口部に取り付けられる1又は複数のサイドガス注入部(SGI:Side Gas Injector)を含んでもよい。
【0013】
ガス供給部20は、少なくとも1つのガスソース21及び少なくとも1つの流量制御器22を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスを、それぞれに対応のガスソース21からそれぞれに対応の流量制御器22を介してシャワーヘッド13に供給するように構成される。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスの流量を変調又はパルス化する1又はそれ以上の流量変調デバイスを含んでもよい。
【0014】
電源30は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ処理チャンバ10に結合されるRF電源31を含む。RF電源31は、ソースRF信号及びバイアスRF信号のような少なくとも1つのRF信号(RF電力)を、基板支持部11の導電性部材及び/又はシャワーヘッド13の導電性部材に供給するように構成される。これにより、プラズマ処理空間10sに供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマが形成される。従って、RF電源31は、プラズマ処理チャンバ10において1又はそれ以上の処理ガスからプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部の少なくとも一部として機能し得る。また、バイアスRF信号を基板支持部11の導電性部材に供給することにより、基板Wにバイアス電位が発生し、形成されたプラズマ中のイオン成分を基板Wに引き込むことができる。
【0015】
一実施形態において、RF電源31は、第1のRF生成部31a及び第2のRF生成部31bを含む。第1のRF生成部31aは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して基板支持部11の導電性部材及び/又はシャワーヘッド13の導電性部材に結合され、プラズマ生成用のソースRF信号(ソースRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、ソースRF信号は、13MHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第1のRF生成部31aは、異なる周波数を有する複数のソースRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のソースRF信号は、基板支持部11の導電性部材及び/又はシャワーヘッド13の導電性部材に供給される。第2のRF生成部31bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して基板支持部11の導電性部材に結合され、バイアスRF信号(バイアスRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、バイアスRF信号は、ソースRF信号よりも低い周波数を有する。一実施形態において、バイアスRF信号は、400kHz~13.56MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第2のRF生成部31bは、異なる周波数を有する複数のバイアスRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のバイアスRF信号は、基板支持部11の導電性部材に供給される。また、種々の実施形態において、ソースRF信号及びバイアスRF信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。
【0016】
また、電源30は、プラズマ処理チャンバ10に結合されるDC電源32を含んでもよい。DC電源32は、第1のDC生成部32a及び第2のDC生成部32bを含む。一実施形態において、第1のDC生成部32aは、基板支持部11の導電性部材に接続され、第1のDC信号を生成するように構成される。生成された第1のバイアスDC信号は、基板支持部11の導電性部材に印加される。一実施形態において、第1のDC信号が、静電チャック内の電極のような他の電極に印加されてもよい。一実施形態において、第2のDC生成部32bは、シャワーヘッド13の導電性部材に接続され、第2のDC信号を生成するように構成される。生成された第2のDC信号は、シャワーヘッド13の導電性部材に印加される。種々の実施形態において、第1及び第2のDC信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。なお、第1及び第2のDC生成部32a,32bは、RF電源31に加えて設けられてもよく、第1のDC生成部32aが第2のRF生成部31bに代えて設けられてもよい。
【0017】
排気システム40は、例えばプラズマ処理チャンバ10の底部に設けられたガス排出口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力調整弁及び真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、プラズマ処理空間10s内の圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0018】
制御部2は、本開示において述べられる種々の工程をプラズマ処理装置1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御部2は、ここで述べられる種々の工程を実行するようにプラズマ処理装置1の各要素を制御するように構成され得る。一実施形態において、制御部2の一部又は全てがプラズマ処理装置1に含まれてもよい。制御部2は、例えばコンピュータ2aを含んでもよい。コンピュータ2aは、例えば、処理部(CPU:Central Processing Unit)2a1、記憶部2a2、及び通信インターフェース2a3を含んでもよい。処理部2a1は、記憶部2a2に格納されたプログラムに基づいて種々の制御動作を行うように構成され得る。記憶部2a2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース2a3は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介してプラズマ処理装置1との間で通信してもよい。
【0019】
<プラズマ処理装置に用いる消耗部材>
ドライエッチング装置等のプラズマ処理装置1のプラズマ処理チャンバ10内で用いられる部材は、プラズマにさらされる。ドライエッチング装置等のプラズマ処理装置1のプラズマ処理チャンバ10内で用いられるプラズマにさらされて損耗する部材は、消耗部材として定期的に交換される。
【0020】
消耗部材としては、例えば、リングアセンブリ112の環状部材(エッジリング、カバーリング)、静電チャックの側面に設けられる絶縁リング、シャワーヘッド13の天井面に設けられる上部電極カバー、当該上部電極カバーを押さえるシールドリング又はシャワーヘッド13を支える支持部材等が挙げられる。
【0021】
消耗部材は、例えば、石英、セラミックス等により形成される。消耗部材の損耗個所、損耗個所ごとの損耗深さは、使用条件等に応じて予想できる。損耗個所は、処理基板への汚染を防ぐ目的で、高純度の材料を用いて形成することが望ましい。一方、消耗部材において、消耗しない部分は、部材の体積に多くを占める。消耗しない部分は、処理基板に影響を与えないので、純度の低い材料を用いることができる。
【0022】
そこで、本実施形態に係るプラズマ処理装置に用いられる消耗部材は、損耗しない範囲を安価な低純度材料で製作して、損耗する部分を高純度なスラリ材によりモールドで成形する。
【0023】
<エッジリング115>
消耗部材の一例として、リングアセンブリ112の環状部材であるエッジリング115を例に説明する。なお、ここでは、消耗部材として、エッジリング115について説明するが、消耗部材としては、エッジリングに限らない。消耗部材は、例えば、カバーリング、静電チャックの側面に設けられる絶縁リング、シャワーヘッド13の天井面に設けられる上部電極カバー、当該上部電極カバーを押さえるシールドリング又はシャワーヘッド13を支える支持部材等でもよい。
【0024】
また、ここでは、エッジリング115の材料について石英について説明するが、消耗部材の材料にセラミックスを用いてもよい。
【0025】
図2は、本実施形態に係る消耗部材の一例であるエッジリング115の上面図である。図3は、本実施形態に係る消耗部材の一例であるエッジリング115の断面図である。具体的には、図3は、図2のI-I断面図である。なお、以下に示す断面図においては、図3の断面に対応する断面の断面図を示す。
【0026】
エッジリング115は、リングアセンブリ112の環状部材の一つである。エッジリング115は、基板Wの周囲に配置される。エッジリング115は、石英により形成される。エッジリング115は、コア部115cと、保護部115sと、を有する。
【0027】
コア部115cは、プラズマ処理装置1で使用中にプラズマにより損耗されず、プラズマに露出されない部分に設けられる。コア部115cは、保護部115sを構成する石英に対して低い純度の石英で構成される。コア部115cは、後述するようにスラリキャスト法により形成してもよいし、溶融石英を固化して形成してもよい。
【0028】
保護部115sは、プラズマ処理装置1で使用中にプラズマにより損耗される部分に設けられる。また、保護部115sは、プラズマ処理装置1で使用中に、プラズマによりコア部115cが損耗されないように、少なくとも一定の厚さでコア部115cのプラズマにより損耗される可能性がある部分に設けられる。保護部115sは、高純度の石英で構成される。保護部115sは、プラズマ処理装置1で使用中にプラズマにより損耗される可能性があることから、処理基板を汚染しないように高純度の石英により構成される。
【0029】
コア部115cと保護部115sは、純度の異なる同じ材料で形成することが望ましい。エッジリング115は、プラズマにさらされて高温になる。異なる材料で形成した場合には、エッジリング115が高温になったときに、熱膨張率の差により、材料が割れたり剥がれたりする場合がある。エッジリング115は、コア部115cと保護部115sとを同じ材料で形成することから、温度を高くなったときに割れや剥がれを防止できる。
【0030】
例えば、プラズマ処理装置1において、t1時間程度プラズマを生成すると、エッジリング115は、場所によってΔTミリメートル程度損耗するとする。保護部115sの損耗する部分の厚さは、使用予定時間をt2時間とすると、少なくともΔT×t2/t1ミリメートルとする。保護部115sの損耗する部分の厚さは、例えば、0.2から2ミリメートルである。
【0031】
<第1実施形態>
次に、消耗部材の一例としてエッジリング115を用いて、製造方法について説明する。図4は、第1実施形態に係る消耗部材の製造方法を説明するフローチャートである。
【0032】
最初に、コア部115cを形成する工程について説明する。コア部115cは、スラリキャスト法により形成する。コア部115cをスラリキャスト法により形成するために、第1スラリ120を用意する。第1スラリ120は、コア部115cを構成する石英の原料粉と、水又はアルコール等の液体とを調合して作成される。第1スラリ120の原料粉の純度は、標準的な純度とする。
【0033】
第1純度の第1スラリ120をコア部用型116に供給する(ステップS10、第1純度の材料の第1スラリをコア部用型に供給する工程)。図5は、コア部用型116の断面図である。コア部用型116は、基部116aと、蓋部116bと、を備える。基部116aは、溝部116gを有する。基部116aの上に、蓋部116bを載置して、溝部116gに第1スラリ120を図示しない導入口から供給する。
【0034】
なお、溝部116gの寸法は、第1スラリ120を焼成することにより最終的に縮むことを考慮して、コア部115cの寸法より若干大きく形成されている。図6は、コア部用型116の溝部116gに第1スラリ120を供給した状態を示す断面図である。
【0035】
第1スラリ120は、標準的な純度の石英を形成するためのスラリである。後述する第2スラリ125と比較すると原料粉の石英の純度が低い。コア部115cは、プラズマにより損耗されない部分であることから、標準的な純度である第1スラリ120を用いて形成する。
【0036】
次に、コア部用型116に供給された第1スラリ120を焼成してコア部115cを形成する(ステップS20、コア部用型に供給された第1スラリを焼成してコア部を形成する工程)。図7は、コア部用型116に供給された第1スラリ120を焼成してコア部115cを形成した状態を示す断面図である。
【0037】
次に、形成したコア部115cをコア部用型116から取り外す。図8は、コア部用型116から取り外したコア部115cを示す上面図である。図9は、コア部用型116から取り外したコア部115cを示す断面図である。なお、図8及び図9においては、最終的に形成するエッジリング115を仮想エッジリング115fとして点線で示す。
【0038】
次に、保護部115sを形成する工程について説明する。保護部115sは、スラリキャスト法により形成する。保護部115sをスラリキャスト法により形成するために、第2スラリ125を用意する。第2スラリ125は、保護部115sを構成する石英の原料粉と、水又はアルコール等の液体とを調合して作成される。第2スラリ125の原料粉の純度は、第1スラリ120の原料粉の純度より高い純度とする。
【0039】
コア部115cをエッジリング用型117に載置する(ステップS30、コア部をエッジリング用型に載置する工程)。図10は、エッジリング用型117にコア部115cを載置した状態を示す断面図である。
【0040】
エッジリング用型117は、基部117aと、蓋部117bと、を備える。基部117aの上に蓋部117bを載置すると、溝部117gが形成される。なお、溝部117gの寸法は、第2スラリ125を焼成することにより最終的に縮むことを考慮して、保護部115sの寸法より若干大きくなっている。
【0041】
蓋部117bを基部117aに載置する前に、コア部115cを基部117aに載置する。そして、蓋部117bを基部117aに載置する。蓋部117bを基部117aに載置すると、コア部115cは、溝部117gの内部に位置する。
【0042】
次に、コア部115cが載置されたエッジリング用型117に、第1純度より高い第2純度の第2スラリ125を、エッジリング用型117に供給する(ステップS40、エッジリング用型に第1純度より高い第2純度の材料の第2スラリを供給する工程)。
【0043】
溝部117gに第2スラリ125を図示しない導入口から供給する。図11は、エッジリング用型117の溝部117gに第2スラリ125を供給した状態を示す断面図である。
【0044】
エッジリング115の保護部115sは、プラズマによって損耗される可能性がある部分に設けられる。したがって、保護部115sは、高純度の石英により形成する。保護部115sを高純度の石英により形成するために、第1純度より高い第2純度の第2スラリ125を用いて、保護部115sを形成する。
【0045】
次に、エッジリング用型117に供給された第2スラリ125を焼成して保護部115sを形成する(ステップS50、エッジリング用型に供給された第2スラリを焼成して保護部を形成する工程)。図12は、エッジリング用型117に供給された第2スラリ125を焼成して保護部115sを形成した状態を示す断面図である。
【0046】
最後に、エッジリング用型117からエッジリング115を取り外す。上述の工程により、図2及び図3に示すエッジリング115を製造する。
【0047】
[作用・効果]
第1実施形態に係る消耗部材の製造方法によれば、プラズマに損耗される部分を高純度の石英で形成するとともに、プラズマに損耗されない部分を高純度の石英より純度の低い石英で形成できる。
【0048】
プラズマに露出されない部分を高純度の石英より純度の低い石英で形成することにより、消耗部材のコストを抑えることができる。また、高純度の石英材料は、入手性に課題があるが、高純度の石英材料の部分を減らすことにより、高純度の石英材料を使用する量を低減できる。
【0049】
また、高純度のスラリの原料粉は、低純度のスラリの原料粉から高純度化することにより得ることができる。したがって、スラリキャスト法で消耗部材を製造することにより、スラリの原料粉の入手性を向上できる。
【0050】
なお、本実施形態に係る消耗部材の製造方法では、コア部115cをスラリキャスト法で形成したが、コア部115cはスラリキャスト法以外の手法を用いて形成してもよい。
【0051】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る消耗部材の製造方法について説明する。第2実施形態に係る石英材料の製造方法は、第1実施形態に係る消耗部材の製造方法に対して、最終工程において削り加工を行って、最終的な製品形状を作成する点が異なる。
【0052】
図13は、第2実施形態に係る消耗部材の製造方法を説明するフローチャートである。ステップS10及びステップS20については、第2実施形態に係る消耗部材の製造方法と同じであることから説明を省略する。
【0053】
ステップS20の次に、コア部115cを中間加工物用型118に載置する(ステップS35、コア部を中間加工物用型に載置する工程)。図14は、中間加工物用型118にコア部115cを載置した状態を示す断面図である。
【0054】
中間加工物用型118は、基部118aと、蓋部118bと、を備える。基部118aの上に蓋部118bを載置すると、溝部118gが形成される。なお、溝部118gの寸法は、エッジリング115より削り代を含めて大きくなっている。図14において、最終的に形成するエッジリング115を仮想エッジリング115fとして点線で示す。
【0055】
蓋部118bを基部118aに載置する前に、コア部115cを基部118aに載置する。そして、蓋部118bを基部118aに載置する。蓋部118bを基部118aに載置すると、コア部115cが溝部118gの内部に位置する。
【0056】
次に、コア部115cが載置された中間加工物用型118に、第1純度より高い第2純度の第2スラリ125を、中間加工物用型118に供給する(ステップS45、中間加工物用型に第1純度より高い第2純度の第2スラリを供給する工程)。
【0057】
溝部118gに第2スラリ125を図示しない導入口から供給する。図15は、中間加工物用型118の溝部118gに第2スラリ125を供給した状態を示す断面図である。
【0058】
エッジリング115の保護部115sは、プラズマに露出される部分に設けられる。したがって、保護部115sは、高純度の石英により形成する。保護部115sを高純度の石英により形成するために、第1純度より高い第2純度の材料の第2スラリ125を用いて、保護部115sを形成する。
【0059】
次に、中間加工物用型118に供給された第2スラリ125を焼成して拡張保護部115tを形成する(ステップS55、中間加工物用型に供給された第2スラリを焼成して拡張保護部を形成する工程)。図16は、中間加工物用型118に供給された第2スラリ125を焼成して拡張保護部115tを形成した状態を示す断面図である。
【0060】
次に、拡張保護部115tを削り加工して保護部115sを形成する(ステップS65拡張保護部を加工して保護部を形成する工程)。図17は、ステップS55で拡張保護部115tを形成して、中間加工物用型118から取り外した中間加工物115mの上面図である。図18は、ステップS55で拡張保護部115tを形成して、中間加工物用型118から取り外した中間加工物115mの断面図である。図17及び図18において、最終的に形成するエッジリング115を仮想エッジリング115fとして点線で示す。
【0061】
中間加工物115mは、最終的なエッジリング115より拡張保護部115tの部分が大きくなっている。ステップS65において、中間加工物115mを削り加工して、エッジリング115を作成する。
【0062】
[作用・効果]
第2実施形態に係る消耗部材の製造方法によれば、第1実施携帯に係る消耗部材の製造方法の効果に加えて、最終的な消耗部材を高い寸法精度で形成できる。
【0063】
<変形例>
エッジリング用型117又は中間加工物用型118に載置するコア部115cについては、コア部115cのみに限らない。例えば、一度使用したエッジリング115を再生するために、保護部115sの一部がコア部115cに残留しているものでもよい。
【0064】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 プラズマ処理装置
2 制御部
10 プラズマ処理チャンバ
11 基板支持部
13 シャワーヘッド
111 本体部
111a 基板支持面
111a 中央領域(基板支持面)
111b 環状領域(リング支持面)
112 リングアセンブリ
115 エッジリング
115c コア部
115s 保護部
115t 拡張保護部
116 コア部用型
117 エッジリング用型
118 中間加工物用型
120 第1スラリ
125 第2スラリ
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
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図18