(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023052195
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】包装容器
(51)【国際特許分類】
B65D 75/34 20060101AFI20230404BHJP
B65D 77/20 20060101ALI20230404BHJP
A61J 1/03 20230101ALI20230404BHJP
B65D 51/24 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
B65D75/34
B65D77/20 H
A61J1/03 370
B65D51/24 200
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000217
(22)【出願日】2023-01-04
(62)【分割の表示】P 2018120739の分割
【原出願日】2018-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】藤森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100155066
【弁理士】
【氏名又は名称】貞廣 知行
(72)【発明者】
【氏名】岡本 大
(72)【発明者】
【氏名】古川 秀一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 豊明
(57)【要約】
【課題】錠剤などの小型の内容物を収納しても、開封しやすく誤飲されにくい包装容器を提供する。
【解決手段】2個以上の内容物16を収納するポケット部13を複数有する包装体12と、包装体12に接合されてポケット部13を覆う蓋材11と、を有するPTP形式の包装容器10であって、ポケット部13の最大寸法Aが16mm以上、ポケット部13の深さDが4mm以上、ポケット部の中心13cから包装体のエッジ12aまでの長さCが10mmより大きく、ポケット部13の間隔Bが4mm以上、ポケット部の周縁部13aから包装体のエッジ12aまでの距離Eが2.5mm以上であり、蓋材11の面方向に対する垂線とポケット部の周縁部13aとの成す角度θが10°以下であり、包装体12を構成するシートの厚さが、蓋材11に接合される部分において150μm以上250μm以下、ポケット部13において最も薄い箇所で50μm以上である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2個以上の内容物を収納するポケット部を複数有する包装体と、
前記ポケット部の間隔および周囲で前記包装体に接合されて前記ポケット部を覆う蓋材と、
を有するPTP形式の包装容器であって、
前記蓋材の面方向に沿った前記ポケット部の最大寸法が16mm以上であり、
前記ポケット部の深さが4mm以上であり、
前記蓋材の面方向に沿った前記ポケット部の中心から前記包装体のエッジまでの長さが10mmより大きく、
前記ポケット部とこれに隣接する次のポケット部との間隔が4mm以上であり、
前記ポケット部の周縁部から前記包装体のエッジまでの距離が2.5mm以上であり、
前記蓋材の面方向に垂直で、前記ポケット部の中心を通る断面において、前記蓋材の面方向に対する垂線と前記ポケット部の周縁部との成す角度が10°以下であり、
前記包装体を構成するシートの厚さが、前記蓋材に接合される部分において150μm以上250μm以下であり、前記ポケット部において最も薄い箇所で50μm以上であることを特徴とする包装容器。
【請求項2】
前記ポケット部を構成する前記シートの各部が、前記蓋材の面方向に対する垂線と成す角度を垂線角度と定義するとき、前記蓋材の面方向に沿った前記ポケット部の中心からの距離が前記ポケット部の最大寸法の85%より大きい領域における垂線角度は、前記ポケット部の中心における垂線角度と異なることを特徴とする請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
前記蓋材の、前記包装体に接合される面とは反対側に、シールが貼付されており、前記シールは、前記ポケット部に該当する部分に、日付を記載するための欄または日付が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の包装容器。
【請求項4】
前記ポケット部の周囲に、前記内容物の種類が記載されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の包装容器。
【請求項5】
前記包装体を構成するシートが、樹脂材料としてポリエチレンまたはポリプロピレンのいずれか1種を単一材料として使用している層が少なくとも1層存在し、その厚さが前記シートの厚さの60%以上であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の包装容器。
【請求項6】
前記包装体を構成するシートが、2枚以上の同一材料の樹脂フィルムを、接着剤層を介してラミネートした積層体であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の包装容器。
【請求項7】
前記包装体を構成するシートの厚さが、前記ポケット部において最も薄い箇所で50μm以上63μm以下であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤などの小型の内容物を収納しても、開封しやすく誤飲されにくい包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
PTP(プレススルーパッケージ)等のブリスター包装は、内容物を別々のポケットに収納できるので、使用する分だけを開封することができ、錠剤等の包装に適している。例えば、特許文献1には、非シール部をタブとしてめくることによって開封することが可能なブリスター包装体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載された発明は、内容物を収納するポケットの横に離隔できる幅を有する境界部が形成されていることが要件となっているが、薬剤を使用する患者の視点では、内容物が入っていないことが内容物未充填と区別がつかず、結果的に境界部分に薬が入っていないと勘違いし、紛らわしい包装であると、誤解を与える可能性が大いにあった。
【0005】
また、近年高齢者によるPTPの誤飲問題が社会問題として認識されているが、特許文献1にはそういった記述がなく、高齢者の誤飲に対して十分配慮された包装形態であるとは言い難い。また、高齢者は服用する薬の種類が多く、何をいつ飲むのかがわかりにくく、飲み忘れにつながり、服薬コンプライアンスの低下につながる事例も多く見られる。また、特許文献1で、ブリスターシートの材料については、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)など一般的なものが記載されており、シート材料に特徴があるものではない。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、錠剤などの小型の内容物を収納しても、開封しやすく誤飲されにくい包装容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、内容物を収納するポケット部を複数有する包装体と、前記ポケット部の間隔および周囲で前記包装体に接合されて前記ポケット部を覆う蓋材と、を有するPTP形式の包装容器であって、前記蓋材の面方向に沿った前記ポケット部の最大寸法が16mm以上であり、前記ポケット部の深さが4mm以上であり、前記蓋材の面方向に沿った前記ポケット部の中心から前記包装体のエッジまでの長さが10mmより大きく、前記ポケット部とこれに隣接する次のポケット部との間隔が4mm以上であり、前記ポケット部の周縁部から前記包装体のエッジまでの距離が2.5mm以上であり、前記蓋材の面方向に垂直で、前記ポケット部の中心を通る断面において、前記蓋材の面方向に対する垂線と前記ポケット部の周縁部との成す角度が10°以下であり、前記包装体を構成するシートの厚さが、前記蓋材に接合される部分において150μm以上250μm以下であり、前記ポケット部において最も薄い箇所で50μm以上であることを特徴とする包装容器を提供する。
【0008】
前記ポケット部を構成する前記シートの各部が、前記蓋材の面方向に対する垂線と成す角度を垂線角度と定義するとき、前記蓋材の面方向に沿った前記ポケット部の中心からの距離が前記ポケット部の最大寸法の85%より大きい領域における垂線角度は、前記ポケット部の中心における垂線角度と異なる構成としてもよい。
【0009】
前記蓋材の、前記包装体に接合される面とは反対側に、シールが貼付されており、前記シールは、前記ポケット部に該当する部分に、日付を記載するための欄または日付が設けられていてもよい。
前記ポケット部の周囲に、前記内容物の種類が記載されていてもよい。
前記ポケット部のそれぞれには、前記内容物として、1個以上の錠剤が収納されていてもよい。
【0010】
前記包装体を構成するシートが、樹脂材料としてポリエチレンまたはポリプロピレンのいずれか1種を単一材料として使用している層が少なくとも1層存在し、その厚さが前記シートの厚さの60%以上であってもよい。
前記包装体を構成するシートが、2枚以上の同一材料の樹脂フィルムを、接着剤層を介してラミネートした積層体であってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、錠剤などの小型の内容物を収納しても、開封しやすく誤飲されにくい包装容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の包装容器の一例を示す断面図である。
【
図2】包装容器を構成するシート材の一例を示す断面図である。
【
図3】蓋材に貼付されるシール材の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、好適な実施形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1は、本実施形態の包装容器の一例を示す。本実施形態の包装容器10は、蓋材11と、複数のポケット部13を有する包装体12とを備える。ポケット部13には、内容物16を収納することができる。蓋材11は、ポケット部13の間隔および周囲で包装体12に接合されてポケット部13の上を覆っている。また、本実施形態の包装容器10はPTP形式であり、ポケット部13の側から内容物16を押し出すことにより、蓋材11を突き破って内容物16を取り出すことができる。
【0014】
本実施形態の包装体12では、ポケット部13が収納空間15を有するように成形され、内容物16が収納されていないときでも収納空間15の形状が維持されている。内容物16は、例えば錠剤やカプセル剤等の固形物でもよく、液体、粉体等の流動物であってもよい。PTP包装の場合は、蓋材11を押し破る際の圧力に耐え得る固形物であることが好ましい。内容物16の種類は特に限定されず、医薬品、化粧品、食品、洗浄剤、電池、玩具、機械部品など任意である。ポケット部13のそれぞれに収納される内容物16の個数は限定されず、1個以上であれば2個以上でもよい。
【0015】
蓋材11は、収納空間15が開口した側において包装体12を覆うことにより、包装容器10を封止する。本実施形態の蓋材11は、少なくとも基材11aと、接合部14に接合される封止層11bと、を有する積層体である。ここで、蓋材11の表面とは、封止層11bが設けられる側とは反対側の面である。また、蓋材11の封止層11bが設けられる側の面は、蓋材11の裏面とする。これらの表面と裏面とは、蓋材11の厚さ方向に対向する両側の面である。
【0016】
ポケット部13の平面形状は、特に限定されず、例えば円形、楕円形、四角形、六角形、多角形等が挙げられる。ポケット部13の平面形状が、内容物16の輪郭形状と略相似となるように合わせてもよい。ポケット部13の断面形状は、概略として、ポケット部13の周縁部13aと、ポケット部13の中心13cを含む底部13bと、を含む。ポケット部13の周縁部13aは、底部13bに向けて径を縮小するように、例えば球面状、円錐状等のテーパ状に形成されている。あるいは、周縁部13aが径を縮小することなく、例えば円筒状等の筒状に形成されてもよい。ポケット部13の底部13bは、
図1のように平面状でもよく、あるいは球面状、円錐状などの曲面状でもよい。ポケット部13の中心13cは、例えばポケット部13またはその平面形状の重心としてもよい。
【0017】
本実施形態の包装容器10では、ポケット部13とその周囲および間隔の寸法を大きくすることにより、包装容器10を開封しやすくし、また、包装容器10の誤飲を抑制することができる。例えば障害等により片手で開封する必要がある場合も、ポケット部13と接合部14とに別々の指を当てる等して、容易に開封することができる。
【0018】
包装容器10を提供する側では複数のポケット部13を有するように包装容器10を構成していても、内容物16の使用者(患者、その看護者、介護者など)がポケット部13ごとに包装容器10を切り分ける場合がある。そのような場合でも、ポケット部13自体の寸法が大きいことにより、包装容器10の誤飲を抑制することができる。例えば、蓋材11の面方向に沿ったポケット部13の最大寸法Aが16mm以上であり、ポケット部13の深さDが4mm以上である。
【0019】
蓋材11の面方向に沿った最大寸法Aとは、例えばポケット部13の平面形状が円形である場合、円の直径に該当する。最大寸法Aを求める際、ポケット部13の範囲は、接合部14に沿う面からポケット部13の底部13bに向けて成形された部分全体としてもよい。また、ポケット部13の周縁部13aと接合部14との間に丸み等の境界部が設けられている場合は、周縁部13aに沿う面と接合部14に沿う面とが交差する位置を仮想的にポケット部13の平面形状の輪郭として、最大寸法Aを求めてもよい。
【0020】
また、ポケット部13の深さDとは、例えば、蓋材11の面に垂直な深さ方向における蓋材11とポケット部13の底部13bとの間の最大寸法である。ポケット部13上で蓋材11が凹状または凸状となる場合は、接合部14の上面をポケット部13内に延長した面と、ポケット部13の底部13bが最も深くなる箇所との距離を、ポケット部13の深さDとしてもよい。
【0021】
ポケット部13の最大寸法Aの上限は特に限定されないが、例えば30mm、40mm、50mm等が挙げられる。ポケット部13の深さDの上限は特に限定されないが、例えば10mm、15mm、20mm等が挙げられる。最大寸法Aと深さDとの比は、例えば、A/Dが2~10程度であってもよい。ポケット部13の中心13cおよびその近傍部がポケット部13のうちで最も深い箇所であってもよいが、中心13cとは異なる1箇所または2箇所以上にポケット部13の最も深い箇所が設定されてもよい。
【0022】
また、蓋材11の面方向に沿ったポケット部13の中心13cから包装体12のエッジ12aまでの長さCが10mmより大きく、互いに隣接するポケット部13の間隔Bが4mm以上であり、ポケット部13の周縁部13aから包装体12のエッジ12aまでの距離Eが2.5mm以上である。これにより、包装容器10を仮にポケット部13ごとに切り分けた場合でも、ポケット部13の周囲に手指等を掛ける余白が確保され、包装容器10を開封しやすくなる。
【0023】
ポケット部13の中心13cから包装体12のエッジ12aまでの長さCの上限は特に限定されないが、例えば15mm、20mm、30mm等が挙げられる。ポケット部13の間隔Bの上限は特に限定されないが、例えば7mm、10mm、15mm等が挙げられる。ポケット部13の周縁部13aから包装体12のエッジ12aまでの距離Eの上限は特に限定されないが、例えば5mm、7mm、10mm等が挙げられる。
【0024】
また、蓋材11の面方向に垂直で、ポケット部13の中心13cを通る断面において、蓋材11の面方向に対する垂線とポケット部13の周縁部13aとの成す角度θは、10°以下であることが好ましい。これにより、ポケット部13を有する包装体12をシートから成形して搬送する際に、ポケット部13とその周囲および間隔の寸法が大きくても、ポケット部13を治具により安定的に支持して、包装容器10の搬送を容易にすることができる。
【0025】
ポケット部13を構成するシートの各部が、蓋材11の面方向に対する垂線と成す角度を垂線角度と定義するとき、ポケット部13の周縁部13aにおける垂線角度は、ポケット部13の中心13cにおける垂線角度と異なっている。蓋材11の面方向に沿ったポケット部13の中心13cからの距離がポケット部13の最大寸法Aの85%より大きい領域においては、ポケット部13の中心13cにおける垂線角度と異なる垂線角度を有することが好ましい。
図1に示すように、ポケット部13の底部13bにおいて、中心13cに近い所定の範囲が、ポケット部13の中心13cにおける垂線角度と同等の垂線角度を有してもよい。なお、垂線角度は、ポケット部13を構成するシートに沿う面と、蓋材11に沿う面に対する垂線との成す角度である。ポケット部13の周縁部13aは、垂線角度が0°となる箇所を含んでもよい。また、ポケット部13の底部13bは、垂線角度が90°となる箇所を含んでもよい。
【0026】
図1に示すようにポケット部13の底部13bが平坦な場合は、蓋材11の面に垂直な深さ方向において、垂線角度が上述の角度θの範囲(10°以下)となる周縁部13aがポケット部13の深さD全体にわたり設けられてもよい。底部13bが曲面である場合は、ポケット部13の深さ方向における周縁部13aの範囲が、ポケット部13の深さDの20%以上、30%以上、あるいは50%以上でもよい。
【0027】
垂線角度が上述の角度θの範囲(10°以下)となる箇所を周縁部13aとし、その内側で中心13cを含む領域を底部13bとするとき、周縁部13aと底部13bとの境界線で囲まれる平面形状の大きさ(図示しないが、これを底部13bの最大寸法Fとする。)は、ポケット部13の最大寸法Aの85%より大きいことが好ましい。周縁部13aにおいて上述の角度θが0°である場合、底部13bの最大寸法Fがポケット部13の最大寸法Aと同程度、例えば最大寸法Aの100%以下でもよい。底部13bの最大寸法Fは、ポケット部13の最大寸法Aおよび深さDと同様に、ポケット部13の内面側の形状に基づいて設定することができる。
【0028】
包装体12を構成するシートの厚さは、蓋材11に接合される部分において150μm以上250μm以下であり、ポケット部13において最も薄い箇所で50μm以上であることが好ましい。蓋材11に接合される部分におけるシートの厚さは、ポケット部13を成形する前のシートの厚さと同等でもよい。シートの厚さを従来より薄めにすることで、ポケット部13の寸法が大きくても、変形に必要な力を小さくすることができる。また、最も薄い箇所の厚さを確保することで、内容物16の変質、劣化等を抑制することができる。蓋材11に接合される部分またはポケット部13を成形する前のシートの厚さは、200μm以下であることがより好ましい。
【0029】
包装体12を構成する材料は特に限定されないが、樹脂等のフィルム、シート、成形体が挙げられる。包装体12を構成する樹脂としては、特に限定されないが、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、フッ素樹脂等の1種または2種以上が挙げられる。包装体12を構成するシートは、単層でも多層でもよい。包装体12において、複数の材料が、積層、塗布、成膜、混合、分散等により複合された構成であってもよい。
【0030】
包装体12を構成するシートにおいて、樹脂材料としてポリエチレンまたはポリプロピレンのいずれか1種を単一材料として使用している層が少なくとも1層存在することが好ましい。また、ポリエチレンまたはポリプロピレンのいずれか1種を単一材料として使用している層の厚さ(2層以上の場合は合計の厚さ)が、シート全体の厚さの60%以上であることが好ましい。
【0031】
また、
図2に示すように、包装体12を構成するシートが、2枚以上の同一材料の樹脂フィルム21,22を、接着剤層23を介してラミネートした積層体20であってもよい。樹脂フィルム21,22としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましく、ポリエチレンまたはポリプロピレンのいずれか1種を単一材料で用いたフィルムがより好ましい。
【0032】
接着剤層23は、ポリエステル系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂等の接着剤から構成することができる。接着剤が、例えば、イソシアネート化合物やエポキシ化合物等の硬化剤を用いて主剤の樹脂を硬化させる2液硬化型の接着剤であってもよい。主剤の樹脂は、硬化剤と反応可能な官能基を有するプレポリマーであってもよい。接着剤層23の厚さは特に限定されないが、例えば2~5μm程度が挙げられる。
【0033】
包装体12の光学特性は、内容物16の用途等に応じて、無色透明、有色透明、半透明、不透明など任意に設定することができる。紫外線や赤外線等による内容物16の劣化を抑制するため、包装体12が可視光を透過して、紫外線または赤外線を吸収する材料を用いることも可能である。
【0034】
外部から収納空間15へ酸素または水蒸気の浸透を抑制するため、バリア性を有する包装体12を用いることが好ましい。バリア性材料としては、ポリ塩化ビニリデン、エチレンビニルアルコール共重合体、金属、金属酸化物等が挙げられる。アルミニウム等の金属をバリア性材料として用いる場合は、箔または蒸着膜として積層することが好ましい。
【0035】
蓋材11の封止層11bを構成する材料としては、ヒートシール剤やシーラント樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。封止層11bの熱可塑性樹脂は、包装体12との接着性等に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオレフィン系樹脂、酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、アイオノマー樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。封止層11bの形成方法は特に限定されないが、塗布、押出被覆、ドライラミネート等が挙げられる。
【0036】
本実施形態の蓋材11において、封止層11bは、基材11aの一方の面に積層されている。封止層11bは、少なくとも接合部14のみに形成されればよい。基材11aの全面にわたり、封止層11bが積層されてもよい。蓋材11の裏面において、封止層11bがポケット部13に該当する領域に形成されなくてもよく、封止層11bが内容物16に直接接してもよく、封止層11b上のうち、収納空間15に面する領域に、任意の層が積層されてもよい。
【0037】
蓋材11は、少なくともポケット部13に該当する領域において、内容物16を介した押圧による突き刺し破壊性を有することが好ましい。内容物16を介した押圧による突き刺し破壊性を有する基材11aとして、アルミニウム箔またはアルミニウム合金箔等の金属箔、グラシン紙、樹脂フィルムが挙げられる。基材11aが、2種以上の材料から構成されてもよい。
【0038】
樹脂フィルムに突き刺し破壊性を付与するには、樹脂の組成や熱処理条件等を調整する方法、無機質粉末等の添加剤を配合する方法、非貫通の小孔を形成する方法等が挙げられる。基材11aがアルミニウム箔またはアルミニウム合金箔等の金属箔を有する場合は、開封性が安定し、遮光性やバリア性にも優れるので、医薬品等の包装に好適である。基材11aが、金属箔のみから構成されてもよい。基材11aを構成する金属箔が、封止層11b側の面またはその反対側の面に表面処理層またはコーティング層等を有してもよい。基材11aの封止層11bとは反対側の面には、催吐剤層などを設けてもよい。
【0039】
蓋材11の少なくとも片面には、印刷を施してもよい。基材11aに印刷適性を付与するため、基材11aの片面または両面に印刷可能な樹脂等の皮膜を設けてもよい。包装体12が透明な場合には、蓋材11の表面に限らず、包装体12側の裏面に印刷を設けることもできる。印刷内容は、図柄、表示、記号等を含むことができる。蓋材11を包装体12に接合した状態において、蓋材11が平面状でもよく、ポケット部13に対して凹または凸に湾曲することもあり得る。
【0040】
蓋材11を包装体12に接合する工程としては、ポケット部13に内容物16を収納した後、包装体12上に蓋材11を重ね合わせ、ヒートシール等により、接合部14を封止する工程が例示される。蓋材11のうちポケット部13に該当する領域の表面に、ハーフカット線等による易開封部、引手等の開封補助部を設けることも可能である。
【0041】
図1に示すように、蓋材11の、包装体12に接合される面とは反対側に、シール30が貼付されてもよい。シール30としては、例えば樹脂フィルムの片面に粘着剤層を形成した積層体が挙げられる。蓋材11にシール30を貼付したままでは、ポケット部13を押圧しても蓋材11が破れず、内容物16が取り出されないため、チャイルドレジスタンス機能が付与される。内容物16を取り出すには、まず蓋材11からシール30を剥離し、その後は、通常のようにポケット部13を押圧することで、蓋材11を破り、内容物16を取り出すことができる。
【0042】
図3に、このシール30の一例を示す。シール30は、包装体12のポケット部13に該当する部分31に、日付を記載するための欄または日付が設けられていてもよい。ポケット部13に該当する部分31が、接合部14に該当する部分32と異なる色または模様を有してもよい。日付を記載するための欄には、「月」、「日」に相当する語句が印字されていてもよい。「□月□日」(□は空白を表す。)という文字の代わりに、「□/□」等のように月日を記号で分けて記載できるようにしてもよい。あらかじめ日付および曜日を記載してもよく、あるいは日付を省略して曜日を記載してもよい。曜日は、例えば「日・月・火・水・木・金・土」のような略称でもよい。日付または曜日の表示は、英語等の外国語で相当する語句を用いてもよい。
【0043】
ポケット部13の周囲に、内容物16の種類が記載されていてもよい。ここで、ポケット部13の周囲とは、包装体12における接合部14でもよく、蓋材11またはシール30において接合部14に該当する部分でもよい。内容物16が錠剤である場合には、内容物16の種類として、薬剤の名称を記載することが好ましい。包装容器10の少なくとも1箇所に薬剤の名称が記載される場合、各ポケット部13の周囲に、薬剤の略称を記載してもよい。これにより、ポケット部13ごとに包装容器10を切り分ける場合でも、内容物16の種類を容易に特定することができる。
【0044】
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
ポケット部を有する包装体に蓋材を接合した包装容器は、さらに袋や箱等の外装体に包装されてもよい。
【実施例0045】
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
【0046】
実施例1
厚さ12μmのポリエステルフィルム(東洋紡製E4100)と厚さ20μmのアルミ箔(UACJ製箔製1N30)との間に、厚さ20μmのポリエチレン(住友化学製L405)を樹脂温度300℃にて溶融押出し、サンドイッチラミネートした。さらに、アルミ箔面に厚さ100μmのポリエチレン(住友化学製L405)を押出ラミネートし、ポリエチレンを含む多層フィルムを作製した。
【0047】
実施例2
厚さ12μmのポリエステルフィルム(東洋紡製E4100)の片面に厚さ150μmのポリエチレン(住友化学製L405)を樹脂温度300℃にて溶融押出ラミネートし、ポリエチレンを含む多層フィルムを作製した。
【0048】
実施例3
厚さ25μmのナイロンフィルム(ユニチカ製ON)と厚さ20μmのアルミ箔(UACJ製箔製1N30)との間に、厚さ20μmのポリエチレン(住友化学製L405)を樹脂温度300℃にて溶融押出し、サンドイッチラミネートした。さらに、アルミ箔面に厚さ100μmのポリエチレン(住友化学製L405)を押出ラミネートし、ポリエチレンを含む多層フィルムを作製した。
【0049】
実施例4
厚さ25μmのナイロンフィルム(ユニチカ製ON)の片面に厚さ150μmのポリエチレン(住友化学製L405)を樹脂温度300℃にて溶融押出ラミネートし、ポリエチレンを含む多層フィルムを作製した。
【0050】
実施例5
厚さ100μmのポリプロピレンフィルム(東レフィルム加工製ZK93KM)と厚さ100μmのポリエチレンフィルム(アイセロ製N165)とを、その間にポリウレタン系接着剤(三井化学製A910)を使用してドライラミネートし、ポリエチレンおよびポリプロピレンを含む多層フィルムを作製した。
【0051】
実施例6
厚さ100μmのポリプロピレンフィルム(東レフィルム加工製ZK93KM)2枚を、ポリウレタン系接着剤(三井化学製A910)を使用してドライラミネートし、ポリプロピレンを含む多層フィルムを作製した。
【0052】
比較例1
厚さ12μmのポリエステルフィルム(東洋紡製E4100)と厚さ9μmのアルミ箔(UACJ製箔製1N30)との間に、厚さ13μmのポリエチレン(住友化学製L405)を樹脂温度300℃にて溶融押出し、サンドイッチラミネートした。さらに、アルミ箔面に厚さ50μmのポリエチレン(住友化学製L405)を押出ラミネートし、ポリエチレンを含む多層フィルムを作製した。
【0053】
比較例2
厚さ50μmのポリプロピレンフィルム(東レフィルム加工製ZK93KM)2枚を、ポリウレタン系接着剤(三井化学製A910)を使用してドライラミネートし、ポリプロピレンを含む多層フィルムを作製した。
【0054】
成形機械適性
CKD製ブリスター包装機300Eを使用し、実施例1~6で作製した多層フィルムの成形、錠剤充填、アルミ蓋材のヒートシール、打ち抜き加工を行い、アルミ蓋材を接合したPTPシートを作製した。成形したポケット部の形状を保持できるか(打ち抜きを施したポケット部が凹んでいないか)、ポケット部の最小厚さ(最も薄い箇所の厚さ)、シートの打ち抜き加工ができるかどうかを試験した。また、本適性の確認では、ポケットの径が20mmとなるように成形金型を作製した。その結果を表1および表2に示す。
【0055】
【0056】
【0057】
実施例1で作製したPTPシートの蓋材のアルミ箔面に日付を記載できるシールを貼り合わせ、官能試験にて、シール上に日付が書きやすいか、書きにくいか試験した。被験者として、30人の成人健常者に試験を行った。その結果を表3に示す。
【0058】
A…ポケット部の最大寸法、B…ポケット部の間隔、C…ポケット部の中心から包装体のエッジまでの長さ、D…ポケット部の深さ、E…ポケット部の周縁部から包装体のエッジまでの距離、θ…ポケット部の周縁部の角度、10…包装容器、11…蓋材、11a…基材、11b…封止層、12…包装体、12a…エッジ、13…ポケット部、13a…周縁部、13b…底部、13c…中心、14…接合部、15…収納空間、16…内容物、20…積層体、21,22…樹脂フィルム、23…接着剤層、30…シール、31…ポケット部に該当する部分、32…接合部に該当する部分。