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特開2023-52710触媒及び光学活性アミド化合物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023052710
(43)【公開日】2023-04-12
(54)【発明の名称】触媒及び光学活性アミド化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 31/24 20060101AFI20230405BHJP
   C07C 233/05 20060101ALI20230405BHJP
   C07C 231/12 20060101ALI20230405BHJP
【FI】
B01J31/24 Z
C07C233/05
C07C231/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020036607
(22)【出願日】2020-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(71)【出願人】
【識別番号】000252300
【氏名又は名称】富士フイルム和光純薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 修
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 由樹
(72)【発明者】
【氏名】正水 佳津哉
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 哲司
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169BA02A
4G169BA02B
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BA21A
4G169BA21B
4G169BA22A
4G169BA27A
4G169BA27B
4G169BA47A
4G169BB07A
4G169BC69A
4G169BC70A
4G169BC71A
4G169BC71B
4G169BC72A
4G169BC73A
4G169BC74A
4G169BC75A
4G169BE13A
4G169BE13B
4G169BE14A
4G169BE14B
4G169BE26A
4G169BE26B
4G169BE37B
4G169BE38B
4G169CB02
4G169CB57
4G169CB62
4G169CB65
4G169CB66
4G169CB67
4G169CB70
4G169CB72
4G169CB74
4G169CB77
4G169DA05
4G169FA02
4G169FA08
4G169FB04
4G169FB14
4G169FB29
4G169FB31
4G169FB37
4G169FB57
4G169ZA36A
4G169ZA36B
4H006AA02
4H006AC11
4H006AC53
4H006AD17
4H006BA24
4H006BC10
4H006BE20
(57)【要約】
【課題】光学活性アミン化合物を製造する。
【解決手段】ヘテロポリ酸と塩基性基を含む固相担体と白金族錯体とから構成される、不斉水素化触媒。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘテロポリ酸と塩基性基を含む固相担体と白金族錯体とから構成される、不斉水素化触媒。
【請求項2】
エナミド化合物の不斉水素化用の請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
前記白金族錯体が白金族元素と配位子を含み、白金族元素が白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)及びオスミウム(Os)からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の触媒。
【請求項4】
前記配位子が少なくとも1種の不斉配位子を含む、請求項3に記載の触媒。
【請求項5】
前記配位子が単座ホスフィン配位子、二座ホスフィン配位子、単座含窒素配位子、二座含窒素配位子からなる群から選択される、請求項3に記載の触媒。
【請求項6】
前記固相担体がシリカ又は樹脂である、請求項1~5のいずれか1つに記載の触媒。
【請求項7】
前記固相担体がメソポーラスシリカである、請求項1~5のいずれか1つに記載の触媒。
【請求項8】
塩基性基がアミノ基である、請求項1~7のいずれか1つに記載の触媒。
【請求項9】
エナミド化合物を請求項1~8のいずれかに記載の触媒の存在下に不斉水素化して光学活性アミド化合物を得る工程を含む、光学活性アミド化合物の製造方法。
【請求項10】
エナミド化合物が下記式(I)
【化1】
(式中、
は、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアリール基、又は置換されていてもよいアラルキル基を示す。
、Rは、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいヘテロアリールアルキル基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、モノアルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、カルボキシル基、置換されていてもよいアルコキシカルボニル基、置換されていてもよいアリールオキシカルボニル基、置換されていてもよいアラルキルオキシカルボニル基、置換されていてもよいアルキルカルボニル基、置換されていてもよいアリールカルボニル基、置換されていてもよいアラルキルカルボニル基、置換されていてもよいヘテロアリールカルボニル基、又は置換されていてもよいヘテロアリール置換アラルキルカルボニル基を示す。
は、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいヘテロアリールアルキル基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、モノアルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、カルボキシル基、置換されていてもよいアルコキシカルボニル基、置換されていてもよいアリールオキシカルボニル基、置換されていてもよいアラルキルオキシカルボニル基、置換されていてもよいアルキルカルボニル基、置換されていてもよいアリールカルボニル基、置換されていてもよいアラルキルカルボニル基、置換されていてもよいヘテロアリールカルボニル基、又は置換されていてもよいヘテロアリール置換アラルキルカルボニル基を示す。また、RとR、RとR、RとR、或いは、RとRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、単環もしくは多環の環を形成してもよい。)
で表され、光学活性アミド化合物が下記式(II)
【化2】
(式中、R~Rは、前記に定義される通りである。*1は不斉炭素を表す。*2はRとRが異なり、かつ、いずれのRも水素原子以外の基であるときに不斉炭素を表す。)
で表される、請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
前記工程を加圧水素ガス条件で行う、請求項9又は10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記工程をフローリアクター内で行う、請求項9~11のいずれか1つに記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒及び光学活性アミド化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学活性アミド化合物及びそれを加水分解して得られる光学活性アミン化合物は、医薬、農薬、天然物、電子材料並びにそれらの中間体として有用な有機化合物である。
しかしながら、これらの光学活性化合物の合成は依然として難しい課題である。
キラルアミンの合成方法として、不斉触媒を用いたイミン又はエナミドの不斉水素化反応が知られている。
【0003】
例えば、非特許文献1は、アルミナ等の金属酸化物担体にヘテロポリ酸リンカーを介してカチオン性有機金属錯体触媒を担持したものを光学活性エナミドの触媒として使用し、連続フロー法で、光学活性アミドを製造する方法(Augustine method)を開示している。
しかしながら、非特許文献1の方法では、経時的に触媒活性が低下する不具合があった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Zacharias Amara, et al. Org. Process Res. Dev. (2016), 20, 1321-1327
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、光学活性アミド化合物を高い光学純度及び収率で得るための新規な触媒及び製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の不斉水素化触媒及び光学活性アミド化合物の製造方法を提供するものである。
〔1〕ヘテロポリ酸と塩基性基を含む固相担体と白金族錯体とから構成される、不斉水素化触媒。
〔2〕エナミド化合物の不斉水素化用の〔1〕に記載の触媒。
〔3〕前記白金族錯体が白金族元素と配位子を含み、白金族元素が白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)及びオスミウム(Os)からなる群から選ばれる少なくとも1種である、〔1〕又は〔2〕に記載の触媒。
〔4〕前記配位子が少なくとも1種の不斉配位子を含む、〔3〕に記載の触媒。
〔5〕前記配位子が単座ホスフィン配位子、二座ホスフィン配位子、単座含窒素配位子、二座含窒素配位子からなる群から選択される、〔3〕に記載の触媒。
〔6〕前記固相担体がシリカ又は樹脂である、〔1〕~〔5〕のいずれか1つに記載の触媒。
〔7〕前記固相担体がメソポーラスシリカである、〔1〕~〔5〕のいずれか1つに記載の触媒。
〔8〕塩基性基がアミノ基である、〔1〕~〔7〕のいずれか1つに記載の触媒。
〔9〕エナミド化合物を〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の触媒の存在下に不斉水素化して光学活性アミド化合物を得る工程を含む、光学活性アミド化合物の製造方法。
〔10〕エナミド化合物が下記式(I)
【0007】
【化1】
(式中、
は、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアリール基、又は置換されていてもよいアラルキル基を示す。
、Rは、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいヘテロアリールアルキル基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、モノアルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、カルボキシル基、置換されていてもよいアルコキシカルボニル基、置換されていてもよいアリールオキシカルボニル基、置換されていてもよいアラルキルオキシカルボニル基、置換されていてもよいアルキルカルボニル基、置換されていてもよいアリールカルボニル基、置換されていてもよいアラルキルカルボニル基、置換されていてもよいヘテロアリールカルボニル基、又は置換されていてもよいヘテロアリール置換アラルキルカルボニル基を示す。
は、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいヘテロアリールアルキル基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、モノアルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、カルボキシル基、置換されていてもよいアルコキシカルボニル基、置換されていてもよいアリールオキシカルボニル基、置換されていてもよいアラルキルオキシカルボニル基、置換されていてもよいアルキルカルボニル基、置換されていてもよいアリールカルボニル基、置換されていてもよいアラルキルカルボニル基、置換されていてもよいヘテロアリールカルボニル基、又は置換されていてもよいヘテロアリール置換アラルキルカルボニル基を示す。また、RとR、RとR、RとR、或いは、RとRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、単環もしくは多環の環を形成してもよい。)
で表され、光学活性アミド化合物が下記式(II)
【0008】
【化2】
(式中、R~Rは、前記に定義される通りである。*1は不斉炭素を表す。*2はRとRが異なり、かつ、いずれのRも水素原子以外の基であるときに不斉炭素を表す。)
で表される、〔9〕に記載の製造方法。
〔11〕前記工程を加圧水素ガス条件で行う、〔9〕又は〔10〕に記載の製造方法。
〔12〕前記工程をフローリアクター内で行う、〔9〕~〔11〕のいずれか1つに記載の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高い光学収率で光学活性アミド化合物を製造可能な新規な触媒及びその触媒を用いた光学活性アミド化合物の製造方法を提供することができる。
本発明の触媒は、例えば、フロー法でエナミド化合物の不斉水素化を行った場合でも高い触媒活性が長く維持される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の触媒及びフロー反応の1例を示すイメージ図である。HPAは、ヘテロポリ酸を表す。
図2】N吸脱着等温測定結果を示す図である。
図3】本発明の1つの実施形態のフロー条件を示す図である。
図4】本発明の他の1つの実施形態のフロー条件と結果を示す図である。
図5】本発明の他の1つの実施形態のフロー条件と結果を示す図である。
図6】本発明の他の1つの実施形態のフロー条件と結果を示す図である。
図7】本発明の他の1つの実施形態のフロー条件と結果を示す図である。
図8】本発明の他の1つの実施形態のフロー条件と結果を示す図である。
図9】本発明の他の1つの実施形態のフロー条件と結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の不斉水素化触媒は、(1)ヘテロポリ酸、(2)塩基性基を含む固相担体、(3)白金族錯体の3成分を含む。実施例で示される本発明の触媒及びフロー法の一例を図1に示す。
【0012】
ヘテロポリ酸と塩基性基を含む固相担体は、酸-塩基相互作用により結合し、ヘテロポリ酸と白金族錯体は静電的相互作用で結合する。
好ましい1つの実施形態の触媒は、ヘテロポリ酸と塩基性基を含む固相担体から構成される担体複合体に、白金族錯体を担持したものである。
【0013】
ヘテロポリ酸は、代表的にKeggin型あるいはDawson型の化学構造で示され、ヘテロ原子が分子の中心に位置する構造を有し、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等の酸素酸であるイソポリ酸と、異種元素の酸素酸とが縮合してなるポリ酸である。このような異種元素の酸素酸としては、主にケイ素(Si)、リン(P)、ヒ素(As)の酸素酸が挙げられる。
ヘテロポリ酸の具体例としては、リンモリブデン酸、ケイモリブデン酸、リンタングステン酸、リンタングストモリブデン酸、ケイタングステン酸等が挙げられ、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、ケイタングステン酸が好ましく、リンタングステン酸、ケイタングステン酸がより好ましい。
なお、これらのヘテロポリ酸は、公知の合成法によって合成してもよく、市販品を用いてもよい。例えば、リンタングステン酸(H(PW1240)・nHO)や、リンモリブデン酸(H(PMo1240)・nHO)は、関東化学(株)、富士フイルム和光純薬(株)、シグマアルドリッチジャパン(株)、日本無機化学工業(株)、日本新金属(株)等から入手可能である。
【0014】
固相担体としては、メソポーラスシリカ、アモルファスシリカ等のシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカ・アルミナ複合酸化物、シリカ・チタニア複合酸化物、シリカ・アルミナ・チタニア複合酸化物及びこれらの物理的混合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の酸化物担体、或いは樹脂が挙げられ、シリカ及び樹脂が好ましく、シリカがより好ましく、メソポーラスシリカがさらに好ましい。
【0015】
塩基性基としては、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基が挙げられ、第1級アミノ基が好ましい。
第2級アミノ基は、-NHR
(式中、Rはアルキル基、アリール基、アラルキル基又はヒドロキシアルキル基を表す。)
で示される基が挙げられる。
第3級アミノ基としては、-NR
(式中、R、Rは夫々独立してアルキル基、アリール基、アラルキル基又はヒドロキシアルキル基を表す。)で示される基が挙げられる。
【0016】
塩基性基は、固相担体上に、通常は0.01mmol/g以上、好ましくは0.05mmol/g以上、より好ましくは0.5~2.0mmol/gの範囲で含む。
【0017】
塩基性基は、固相担体(酸化物担体又は樹脂)に直接結合されてもよく、2価のリンカー基を介してこれらに結合されてもよい。リンカー基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン等のアルキレン基、フェニレン等のアリーレン基、-CONH-、-NH-CO-、-CO-、-O-、-COO-等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を組み合わせることができる。例えば、3-アミノプロピルトリメトキシシランで固相担体(酸化物担体)を修飾した場合、塩基性基はアミノ基(NH)であり、プロピレン(-CHCHCH-)はリンカー基である。また、トリアルコキシシラン由来のSi-(O-)は固相担体(酸化物担体)の一部とみなすことができる。
塩基性基は、固相担体が酸化物担体の場合、例えば、酸化物担体と塩基性基を含むシランカップリング剤を反応させることにより、酸化物担体に導入することができる。塩基性基を含むシランカップリング剤としては、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン等が挙げられる。
【0018】
酸化物担体100gに対し、例えば、0.5~2.0molのシランカップリング剤を常法に従い反応させることで、塩基性基を含む酸化物担体を得ることができる。
【0019】
塩基性基を含む樹脂としては、塩基性基を含むモノマーのホモポリマー、塩基性基を含むモノマーと塩基性基を含まないモノマーの共重合体、或いは、塩基性基を含まないモノマーのホモポリマーもしくはコポリマーに対し、塩基性基をポリマーの合成後に導入してもよい。このような樹脂のなかでも、塩基性基を含むモノマーと塩基性基を含まないモノマーの共重合体が好ましい。
【0020】
塩基性基を含むモノマーとしては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、3-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、3-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、3-アミノプロピル(メタ)アクリレート、3-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-アミノエチル(メタ)アクリルアミド、2-ビニルアニリン、3-ビニルアニリン、4-ビニルアニリン、N-ビニルピリジン等が挙げられる。
【0021】
塩基性基を含まないモノマーの具体例としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等の炭素数2~20のエチレン性不飽和脂肪族炭化水素類、例えば、スチレン、4-メチルスチレン、4-エチルスチレン、ジビニルベンゼン等の炭素数8~20のエチレン性不飽和芳香族炭化水素類、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酢酸イソプロペニル等の炭素数3~20のアルケニルエステル類、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン等の炭素数2~20の含ハロゲンエチレン性不飽和化合物類、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、ビニル酢酸、アリル酢酸、ビニル安息香酸等の炭素数3~20のエチレン性不飽和カルボン酸類(これら酸類は、例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩やアンモニウム塩等の塩の形になっていてもよい。)、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、イタコン酸メチル、イタコン酸エチル、マレイン酸メチル、マレイン酸エチル、フマル酸メチル、フマル酸エチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、3-ブテン酸メチル等のエチレン性不飽和カルボン酸エステル類、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、シアン化アリル等の炭素数3~20の含シアノエチレン性不飽和化合物類、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド等の炭素数3~20のエチレン性不飽和アミド化合物類、例えば、アクロレイン、クロトンアルデヒド等の炭素数3~20のエチレン性不飽和アルデヒド類、例えば、ビニルスルホン酸、4-ビニルベンゼンスルホン酸等の炭素数2~20のエチレン性不飽和スルホン酸類(これら酸類は、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩等の塩の形になっていてもよい。)、例えば、ビニルアミン、アリルアミン等の炭素数2~20のエチレン性不飽和脂肪族アミン類、例えば、ビニルアニリン等の炭素数8~20のエチレン性不飽和芳香族アミン類、例えば、N-ビニルピロリドン、ビニルピペリジン等の炭素数5~20のエチレン性不飽和脂肪族ヘテロ環状アミン類、例えば、アリルアルコール、クロチルアルコール等の3~20のエチレン性不飽和アルコール類、例えば、4-ビニルフェノール等の炭素数8~20のエチレン性不飽和フェノール類等が挙げられる。
【0022】
塩基性基を樹脂の合成後に導入する方法としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、イタコン酸、イタコン酸エステル、フマル酸、フマル酸エステル、マレイン酸、マレイン酸エステル、クロトン酸、クロトン酸エステル等の側鎖にカルボン酸又はカルボン酸エステルを含むモノマーを繰り返し単位として含む樹脂と、N,N-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、N,N-ジメチル-1,2-エタンジアミン、N,N-ジエチル-1,3-プロパンジアミン、N,N-ジエチル-1,2-エタンジアミン、ピペラジン、1,2-エタンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,3-プロパンジアミン、N,N'-ジメチルエタンジアミン、N,N'-ジエチル-エタンジアミン、N,N'-ジメチル-1,2-プロパンジアミン、N,N'-ジエチル-1,2-プロパンジアミン等のジアミン化合物を反応させることにより、ジアミン化合物の一方のアミノ基がアミドを形成し、他方のアミノ基が塩基性基である樹脂が得られる。
【0023】
樹脂に対する塩基性基の導入量は、樹脂の繰り返し単位1molに対して、0.1~2.0mol程度である。
【0024】
白金族錯体は、白金族元素と配位子を含み、白金族元素は白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)及びオスミウム(Os)からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、ロジウム(Rh)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)又はこれらの組み合わせが好ましく、ロジウム(Rh)がより好ましい。
【0025】
配位子としては、単座ホスフィン配位子、二座ホスフィン配位子、単座含窒素配位子、二座含窒素配位子が挙げられ、単座ホスフィン配位子及び二座ホスフィン配位子が好ましい。
白金族元素と配位する配位子のうち、少なくとも1つは不斉配位子である。
【0026】
単座ホスフィン配位子の具体例としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ(4-トリル)ホスフィン、トリ(3,5-キシリル)ホスフィン、トリシクロへキシルホスフィン、トリ(tert-ブチルホスフィン)、2-ジフェニルホスフィノ-2’-メトキシ-1,1’-ビナフチル(MOP)等が挙げられる。
【0027】
二座ホスフィン配位子の具体例としては、例えば、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(DPPF)、1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン(DPPM)、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(DPPE)、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(DPPP)、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン(DPPE)、1,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフタレン(BINAP)、5,5’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-4,4’-ビ-1,3-ベンゾジオキソール(SEGPHOS)、5,5’-ビス[ビス(3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-4,4’-ビ-1,3-ベンゾジオキソール(DM-SEGPHOS)及び5,5’-ビス[ビス(3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-メトキシフェニル)ホスフィノ]-4,4’-ビ-1,3-ベンゾジオキソール(DTBM-SEGPHOS)、DIOP、BPPFA、BPPM、CHIRAPHOS、NORPHOS、DEGPHOS、BPE、TRAP、DuPHOS、BICHEP、DPPBA、JosiPhos、PHANEPHOS、BICP、Taniaphos、TunePhos、SDP、DIPAMP、BIPNOR、BisP、MiniPHOS、TangPhos、Trichickenfootphos、DuanPhos、QuinoxP、BenzP等が挙げられる。
【0028】
【化3】
【0029】
【化4】
【0030】
単座アミン配位子の具体例としては、例えば、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、キヌクリジン等が挙げられる。
【0031】
二座アミン配位子の具体例としては、例えば、2-ピコリルアミン、エチレンジアミン(EDA)、テトラメチルエチレンジアミン、1,2-ジフェニルエチレンジアミン(DPEN)、N-(p-トルエンスルホニル)-1,2-ジフェニルエチレンジアミン(Ts-DPEN)、N-(メタンスルホニル)-1,2-ジフェニルエチレンジアミン(Ts-DPEN)、1,1-ビス(4-メトキシフェニル)-3-メチルブタン-1,2-ジアミン(DAIPEN)等が挙げられる。
【0032】
本発明の不斉水素化触媒は、反応溶液に添加してもよいが、例えば、フローリアクターでフロー法により不斉水素化を行う場合には、本発明の不斉水素化触媒をカラム管等のリアクターに充填させたものを用いることが好ましい。
【0033】
本発明の不斉水素化触媒は、固相担体を、好ましくは50~90質量%、より好ましくは60~80質量%;ヘテロポリ酸を、好ましくは8~45質量%、より好ましくは19~40質量%;白金族触媒を、好ましくは0.5~5質量%、より好ましくは0.5~1.5質量%含む。固相担体とヘテロポリ酸の質量比は、好ましくは固相担体:ヘテロポリ酸=1.5:1~4:1である。
【0034】
本発明の不斉水素化触媒は、エナミド化合物の不斉水素化用として用いることができる。具体的には、本発明の不斉水素化触媒を用いることにより、エナミド化合物の不斉水素化を行うことで、光学活性アミド化合物を得ることができる。
【0035】
エナミド化合物としては、下記式(I)で表される化合物が挙げられる。
【0036】
【化5】
(式中、R~Rは、前記に定義される通りである。)
【0037】
エナミド化合物の不斉水素化は、スキーム1に従い行うことができる。
スキーム1
【0038】
【化6】
(式中、R~R、*1、*2は、前記に定義される通りである。)
【0039】
本発明の不斉水素化反応では、*1の炭素は必ず不斉炭素になり、この不斉炭素の立体配置(RまたはS)を制御することができる。RとRが異なり、かつ、R及びRのいずれも水素原子以外の基である場合、*1と*2の2つの炭素が不斉炭素になり、1つのエナンチオマー(RR、SS、RS、SRの4つのうちの一つ)が選択的に得られる。
【0040】
スキーム1で得られる光学活性アミド化合物のアミド基を加水分解してR-CO基を脱離させることにより、光学活性アミン化合物を得ることができる。
【0041】
本発明の不斉水素化触媒(Asymmetric Hydrogenation Catalyst)の存在下でエナミド化合物(I)と水素源を反応系内で反応させることで光学活性アミド化合物(II)を得ることができる。水素源としては、例えば、水素(H)ガス、例えば、メチルヒドラジン、エチルヒドラジン等のヒドラジン類、例えば、ギ酸アンモニウム等が挙げられ、水素(H)ガスが好ましい。
【0042】
バッチ法における本発明の不斉水素化触媒の使用量は、エナミド化合物1molに対して、通常は0.01~30mol%、好ましくは0.1~10mol%である。
【0043】
水素源が水素(H)ガスの場合、バッチ法における水素(H)ガスは、通常は0.1~20MPa、好ましくは1~10MPaの圧力になるように反応系内に供給し、常圧又は加圧条件下で不斉水素化反応を行うことが好ましい。
【0044】
バッチ法における反応温度は、通常は20~200℃、好ましくは50~100℃である。
【0045】
バッチ法における反応時間は、通常は5分~48時間、好ましくは10分~12時間である。
【0046】
水素源が水素(H)ガスの場合には、フロー法における水素(H)ガスは、通常は0.1~5MPa、好ましくは0.1~1MPaの圧力になるように反応系内に供給し、常圧又は加圧条件下で不斉水素化反応を行うことが好ましい。また、フロー法において、本発明の不斉水素化触媒を充填したカラム管等のリアクター通過後の流路に対して、背圧弁等を設けて背圧をかけてもよい。背圧としては、通常は0~5MPa、好ましくは0~1MPaである。なお、ここでいう背圧値は、背圧弁を用いない場合において既に生じている圧力を除した値であり、リアクター通過後の流路直後の圧力に対して、更に負荷される圧力を意味する。
【0047】
フロー法における反応温度は、通常は20~200℃、好ましくは30~80℃である。
【0048】
フロー法におけるリアクターの材質や形状は、本発明の製造方法に適用可能な材質や形状を選択すればよく、特に限定されないが、例えば、内径10mm、長さ50mmのステンレス管等が挙げられる。
【0049】
フロー法におけるチューブの材質や形状は、本発明の製造方法に適用可能な材質や形状を選択すればよく、特に限定されないが、例えば、内径1mmのテフロン(登録商標)製のチューブ等が挙げられる。
【0050】
エナミド化合物がCOOH又はフェノール性OH、スルホン酸基等の酸性基、あるいは、アミノ基、イミノ基、アミジノ基等の塩基性基を有する場合、酸付加塩又は塩基塩として不斉水素化反応に供することができる。酸付加塩の生成に用いる酸としては塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、臭化水素酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等が挙げられ、塩基塩の生成に用いられる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられる。
【0051】
エナミド化合物は、例えば、溶媒に溶解して反応系内で反応させる。エナミド化合物を溶解させる溶媒としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール等のアルコール、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。溶媒は無水溶媒であることが好ましい。
【0052】
不斉水素化反応は、フローリアクター内でフロー法で行うことが好ましい。不斉水素化触媒は、フローリアクター内の固定化触媒反応に使用することができる。
【0053】
フローリアクターは、原料導入口と生成物排出口と、これらを連通する流路とを備える。前記流路は、必要に応じて、同流路、ミキサー部又はリアクター部(滞留部)の少なくとも1つを備えていてもよい。水素源は、エナミド化合物を含む溶液と混合されて原料供給口からリアクター内に供給されてもよいし、エナミド化合物の溶液と水素源とが別々の原料供給口からリアクター内に供給されて、リアクター内で水素源とエナミド化合物を含む溶液とか混合されてもよい。
水素の供給速度は、リアクターの体積及びエナミド化合物の供給量により変化し、実施例の反応条件を参考にして当業者であれば容易に決定することができる。
原料導入口は、通常、原料が充填された容器に接続されている。生成物排出口には、必要に応じて、生成物を貯蔵するための容器を接続してもよい。
【0054】
フローリアクターで反応させた光学活性アミド化合物は、光学純度(エナンチオマー過剰率、ee)及び収率が高く、必ずしも精製する必要はないが、蒸留、再結晶、再沈殿、カラムクロマトグラフィー、溶媒抽出等の通常の精製手段により精製してもよい。反応に使用した溶媒は蒸留により回収し再利用することができる。
【0055】
本明細書において、アルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の直鎖又は分岐を有するC1-10、C1-6、C1-4又はC1-3のアルキル基が挙げられる。
【0056】
シクロアルキル基の具体例としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のC1-10、C1-6のシクロアルキル基が挙げられる。
【0057】
アルケニル基の具体例としては、例えば、ビニル基、アリル基、1-プロペニル基、2-メチル-2-プロペニル基、イソプロペニル基、1-、2-若しくは3-ブテニル基、2-、3-若しくは4-ペンテニル基、2-メチル-2-ブテニル基、3-メチル-2-ブテニル基、5-ヘキセニル基、1-シクロペンテニル基、1-シクロヘキセニル基、3-メチル-3-ブテニル基等の直鎖又は分岐を有するC2-10、C2-6、C2-4又はC2-3のアルケニル基が挙げられる。
【0058】
アリール基の具体例としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、アントリル基、ビフェニリル基、テトラヒドロナフチル基、クロマニル基、2,3-ジヒドロ-1,4-ジオキサナフタレニル基、インダニル基、フェナントリル基等の5又は6員の芳香族炭化水素環からなる単環又は多環系の基が挙げられる。
【0059】
アラルキル基の具体例としては、例えば、ベンジル基、ナフチルメチル基、フルオレニルメチル基、アントリルメチル基、ビフェニリルメチル基、テトラヒドロナフチルメチル基、クロマニルメチル基、2,3-ジヒドロ-1,4-ジオキサナフタレニルメチル基、インダニルメチル基、フェナントリルメチル基、フェネチル基、ナフチルエチル基、フルオレニルエチル基、アントリルエチル基、ビフェニリルエチル基、テトラヒドロナフチルエチル基、クロマニルエチル基、2,3-ジヒドロ-1,4-ジオキサナフタレニルエチル基、インダニルエチル基、フェナントリルエチル基等が挙げられる。
【0060】
ヘテロアリール基の具体例としては、例えば、フリル基、チエニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾ[b]チエニル基、ベンズイミダゾリル基等のN、O及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む、5又は6員の芳香環からなる単環又は多環系の基が挙げられる。
【0061】
ヘテロアリールアルキル基の具体例としては、例えば、フリルメチル基、チエニルメチル基、ピロリルメチル基、イミダゾリルメチル基、ピラゾリルメチル基、オキサゾリルメチル基、チアゾリルメチル基、イソオキサゾリルメチル基、イソチアゾリルメチル基、ピリジルメチル基、ピラジニルメチル基、ピリミジニルメチル基、ピリダジニルメチル基、インドリルメチル基、キノリルメチル基、イソキノリルメチル基、ベンゾ[b]チエニルメチル基、ベンズイミダゾリルメチル基、フリルエチル基、チエニルエチル基、ピロリルエチル基、イミダゾリルエチル基、ピラゾリルエチル基、オキサゾリルエチル基、チアゾリルエチル基、イソオキサゾリルエチル基、イソチアゾリルエチル基、ピリジルエチル基、ピラジニルエチル基、ピリミジニルエチル基、ピリダジニルエチル基、インドリルエチル基、キノリルエチル基、イソキノリルエチル基、ベンゾ[b]チエニルエチル基、ベンズイミダゾリルエチル基等が挙げられる。
【0062】
モノアルキルアミノ基の具体例としては、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n-プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n-ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、tert-ブチルアミノ基、n-ペンチルアミノ基、イソペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基等が挙げられる。
【0063】
ジアルキルアミノ基の具体例としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジn-プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジn-ブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、ジtert-ブチルアミノ基、ジn-ペンチルアミノ基、ジイソペンチルアミノ基、ジヘキシルアミノ基等が挙げられる。
【0064】
アシルアミノ基の具体例としては、例えば、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アラルキルカルボニルアミノ基等が挙げられる。
【0065】
アルキルカルボニルアミノ基の具体例としては、例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、n-プロピルカルボニルアミノ基、イソプロピルカルボニルアミノ基、n-ブチルカルボニルアミノ基、イソブチルカルボニルアミノ基、tert-ブチルカルボニルアミノ基、n-ペンチルカルボニルアミノ基、イソペンチルカルボニルアミノ基、ヘキシルカルボニルアミノ基等が挙げられる。
【0066】
アリールカルボニルアミノ基の具体例としては、例えば、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基、フルオレニルカルボニルアミノ基、アントリルカルボニルアミノ基、ビフェニリルカルボニルアミノ基、テトラヒドロナフチルカルボニルアミノ基、クロマニルカルボニルアミノ基、2,3-ジヒドロ-1,4-ジオキサナフタレニルカルボニルアミノ基、インダニルカルボニルアミノ基、フェナントリルカルボニルアミノ基等が挙げられる。
【0067】
アラルキルカルボニルアミノ基の具体例としては、例えば、ベンジルカルボニルアミノ基、ナフチルメチルカルボニルアミノ基、フルオレニルメチルカルボニルアミノ基、アントリルメチルカルボニルアミノ基、ビフェニリルメチルカルボニルアミノ基、テトラヒドロナフチルメチルカルボニルアミノ基、クロマニルメチルカルボニルアミノ基、2,3-ジヒドロ-1,4-ジオキサナフタレニルメチルカルボニルアミノ基、インダニルメチルカルボニルアミノ基、フェナントリルメチルカルボニルアミノ基、フェネチルカルボニルアミノ基、ナフチルエチルカルボニルアミノ基、フルオレニルエチルカルボニルアミノ基、アントリルエチルカルボニルアミノ基、ビフェニリルエチルカルボニルアミノ基、テトラヒドロナフチルエチルカルボニルアミノ基、クロマニルエチルカルボニルアミノ基、2,3-ジヒドロ-1,4-ジオキサナフタレニルエチルカルボニルアミノ基、インダニルエチルカルボニルアミノ基、フェナントリルエチルカルボニルアミノ基等が挙げられる。
【0068】
モノアルキルカルバモイル基の具体例としては、例えば、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、n-プロピルカルバモイル基、イソプロピルカルバモイル基、n-ブチルカルバモイル基、イソブチルカルバモイル基、tert-ブチルカルバモイル基、n-ペンチルカルバモイル基、イソペンチルカルバモイル基、ヘキシルカルバモイル基等が挙げられる。
【0069】
ジアルキルカルバモイル基の具体例としては、例えば、ジメチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、ジn-プロピルカルバモイル基、ジイソプロピルカルバモイル基、ジn-ブチルカルバモイル基、ジイソブチルカルバモイル基、ジtert-ブチルカルバモイル基、ジn-ペンチルカルバモイル基、ジイソペンチルカルバモイル基、ジヘキシルカルバモイル基等が挙げられる。
【0070】
アルコキシカルボニル基の具体例としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0071】
アリールオキシカルボニル基の具体例としては、例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、フルオレニルオキシカルボニル基、アントリルオキシカルボニル基、ビフェニリルオキシカルボニル基、テトラヒドロナフチルオキシカルボニル基、クロマニルオキシカルボニル基、2,3-ジヒドロ-1,4-ジオキサナフタレニルオキシカルボニル基、インダニルオキシカルボニル基、フェナントリルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0072】
アラルキルオキシカルボニル基の具体例としては、例えば、ベンジルオキシカルボニル基、ナフチルメチルオキシカルボニル基、フルオレニルメチルオキシカルボニル基、アントリルメチルオキシカルボニル基、ビフェニリルメチルオキシカルボニル基、テトラヒドロナフチルメチルオキシカルボニル基、クロマニルメチルオキシカルボニル基、2,3-ジヒドロ-1,4-ジオキサナフタレニルメチルオキシカルボニル基、インダニルメチルオキシカルボニル基、フェナントリルメチルオキシカルボニル基、フェネチルオキシカルボニル基、ナフチルエチルオキシカルボニル基、フルオレニルエチルオキシカルボニル基、アントリルエチルオキシカルボニル基、ビフェニリルエチルオキシカルボニル基、テトラヒドロナフチルエチルオキシカルボニル基、クロマニルエチルオキシカルボニル基、2,3-ジヒドロ-1,4-ジオキサナフタレニルエチルオキシカルボニル基、インダニルエチルオキシカルボニル基、フェナントリルエチルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0073】
アルキルカルボニル基の具体例としては、例えば、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、n-プロピルカルボニル基、イソプロピルカルボニル基、n-ブチルカルボニル基、イソブチルカルボニル基、tert-ブチルカルボニル基、n-ペンチルカルボニル基、イソペンチルカルボニル基、ヘキシルカルボニル基等が挙げられる。
【0074】
アリールカルボニル基の具体例としては、例えば、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、フルオレニルカルボニル基、アントリルカルボニル基、ビフェニリルカルボニル基、テトラヒドロナフチルカルボニル基、クロマニルカルボニル基、2,3-ジヒドロ-1,4-ジオキサナフタレニルカルボニル基、インダニルカルボニル基、フェナントリルカルボニル基が挙げられる。
【0075】
アラルキルカルボニル基の具体例としては、例えば、ベンジルカルボニル基、ナフチルメチルカルボニル基、フルオレニルメチルカルボニル基、アントリルメチルカルボニル基、ビフェニリルメチルカルボニル基、テトラヒドロナフチルメチルカルボニル基、クロマニルメチルカルボニル基、2,3-ジヒドロ-1,4-ジオキサナフタレニルメチルカルボニル基、インダニルメチルカルボニル基、フェナントリルメチルカルボニル基、フェネチルカルボニル基、ナフチルエチルカルボニル基、フルオレニルエチルカルボニル基、アントリルエチルカルボニル基、ビフェニリルエチルカルボニル基、テトラヒドロナフチルエチルカルボニル基、クロマニルエチルカルボニル基、2,3-ジヒドロ-1,4-ジオキサナフタレニルエチルカルボニル基、インダニルエチルカルボニル基フェナントリルエチルカルボニル基等が挙げられる。
【0076】
ヘテロアリールカルボニル基の具体例としては、例えば、フリルカルボニル基、チエニルカルボニル基、ピロリルカルボニル基、イミダゾリルカルボニル基、ピラゾリルカルボニル基、オキサゾリルカルボニル基、チアゾリルカルボニル基、イソオキサゾリルカルボニル基、イソチアゾリルカルボニル基、ピリジルカルボニル基、ピラジニルカルボニル基、ピリミジニルカルボニル基、ピリダジニルカルボニル基、インドリルカルボニル基、キノリルカルボニル基、イソキノリルカルボニル基、ベンゾ[b]チエニルカルボニル基、ベンズイミダゾリルカルボニル基等が挙げられる。
【0077】
ヘテロアリール置換アラルキルカルボニル基の具体例としては、例えば、フリルメチルカルボニル基、チエニルメチルカルボニル基、ピロリルメチルカルボニル基、イミダゾリルメチルカルボニル基、ピラゾリルメチルカルボニル基、オキサゾリルメチルカルボニル基、チアゾリルメチルカルボニル基、イソオキサゾリルメチルカルボニル基、イソチアゾリルメチルカルボニル基、ピリジルメチルカルボニル基、ピラジニルメチルカルボニル基、ピリミジニルメチルカルボニル基、ピリダジニルメチルカルボニル基、インドリルメチルカルボニル基、キノリルメチルカルボニル基、イソキノリルメチルカルボニル基、ベンゾ[b]チエニルメチルカルボニル基、ベンズイミダゾリルメチルカルボニル基等が挙げられる。
【0078】
、Rとそれらが結合している炭素原子と一緒になって形成される環を形成したときの式(I)又は式(II)の化合物としては、例えば、下記式が挙げられる。
【0079】
【化7】
(式中、R、R、*1、*2は前記に定義される通りである。)
【0080】
、Rとそれらが結合している炭素原子と一緒になって形成される環を形成したときの式(I)又は式(II)の化合物としては、例えば、下記式が挙げられる。
【0081】
【化8】
(式中、R、R、*1、*2は前記に定義される通りである。)
【0082】
、Rとそれらが結合している炭素原子と一緒になって形成される環を形成したときの式(I)又は式(II)の化合物としては、例えば、下記式が挙げられる。
【0083】
【化9】
(式中、Y~Yは、各々独立してCR又はNを示し、Rは置換基を示す。R、R、*1、*2は前記に定義される通りである。)
【0084】
、Rとそれらが結合している炭素原子と一緒になって形成される環を形成したときの式(I)又は式(II)の化合物としては、例えば、下記が挙げられる。
【0085】
【化10】
(式中、Y~Yは、各々独立してCR又はNを示し、Rは置換基を示す。R、R、*1、*2は前記に定義される通りである。)
【0086】
本明細書において、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいヘテロアリールアルキル基、置換されていてもよいアルコキシカルボニル基、置換されていてもよいアリールオキシカルボニル基、置換されていてもよいアラルキルオキシカルボニル基、置換されていてもよいアルキルカルボニル基、置換されていてもよいアリールカルボニル基、置換されていてもよいアラルキルカルボニル基、置換されていてもよいヘテロアリールカルボニル基、置換されていてもよいヘテロアリール置換アラルキルカルボニル基の置換基、Rで表される置換基としては、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、C1-4アルキル基(メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル)、C2-4アルケニル基(ビニル、アリル)、C1-4アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ)、アルコキシカルボニル基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、カルバモイル基、モノアルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、カルボキシル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、水酸基等が挙げられる。
【0087】
式(I)又は式(II)で示される化合物としては、R、R及びRの少なくとも1つが、置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよいアルコキシカルボニル基である化合物が好ましい。
【実施例0088】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。
NMR測定にあたっては、JEOL JNM-ECA 500又はECX 600分光計を使用し、1H-NMRの内部標準(δ=0 ppm)としてテトラメチルシランを使用し、13C-NMRの内部標準(δ=77.36 ppm)として重クロロホルムを使用した。既知化合物の構造は、文献に示された1H-NMR又は13C-NMRのデータと比較することにより確認した。
ICP-AES分析は、Shimadzu ICPS-7510装置を用いて行った。
HPLC分析は、(株)ダイセル製のキラルカラムを備えたShimadzu LC-20AB、SPD-M20A、及びDGU-20A3を用いて行った。
遠心分離は、Kokusan H-36αを用いて行った。
窒素吸脱着等温測定のデータは、BELSORP-mini Microtrac Bellで記録した。
分取薄層クロマトグラフィーは、Wakogel B-5Fを用いて行った。
溶媒は、無水グレードのものを富士フイルム和光純薬工業から購入して使用した。全ての溶媒は、使用直前に凍結脱気法で脱気した。
[Rh(nbd)2]BF4はStrem Chemical Inc.から購入した。
メソポーラスシリカ(KIT-6及びSBA-15)は、公知の方法に従って調製し、N吸脱着等温測定により分析した。
CARiACT-Q10は、Fuji Silysia Chemical Ltd.から購入した。
酸化アルミニウム(90, active basic)は、Sigma-Aldrich Co. LLC.から購入した。
アミノプロピルトリエトキシシランは、Tokyo Chemical Industry Co., Ltd.から購入した。
QuinoxP*は、公知の方法に従って調製した。
BenzP*は、Nippon Chemical Industrial Co., Ltd.から購入した。
キラルリガンドは、公知の方法に従い合成した。
エナミド化合物は、市販品から公知の方法に従って調製した。
生成物のラセミサンプルは、公知の方法に従って調製した。
市販の試薬は、特記しない限り、さらに精製することなく使用した。
全ての反応は、特記しない限り、アルゴン雰囲気で行った。
【0089】
実施例1
1.Rh-QuinoxP*/STA/KIT-6-NH2の製造スキームを以下に示す。
【0090】
【化11】
【0091】
1.(a) メソポーラスシリカ(KIT-6)の官能基化
攪拌子と還流冷却器を備えた100 mLの丸底フラスコにKIT-6(2.0 g)を加えた。KIT-6は、真空中100℃で1時間乾燥した。室温に冷却後、アルゴン風船を備え付けた。トルエン(50 mL)をフラスコに入れ、次いで、アミノプロピルトリエトキシシラン(442.7 mg、2.0 mmol)を加えた。反応混合物を15時間還流した。室温に冷却後、固体を濾過で集め、トルエン(20 mL)で3回、さらにTHF(20 mL)で2回洗浄した。次に固体を室温で3時間真空中で乾燥してKIT-6-NH2を白色固体として得た(2.41 g)。
【0092】
1.(b) ヘテロポリ酸(STA)との塩形成
攪拌子を備えた100 mL丸底のフラスコにKIT-6-NH2(2.0 g)を加えた。iPrOH(30 mL)をフラスコに加え、次いでSTA(661 mg、0.2 mmol)のiPrOH(20 mL)溶液を加えた。反応混合物を室温で15時間撹拌した。固体を濾過で集め、iPrOH(20 mL)で3回、THF(20 mL)で2回洗浄した。次に、固体を室温で3時間真空中で乾燥してSTA/KIT-6-NH2を白色固体として得た(2.60 g)。
【0093】
1.(c) ロジウム(Rh)錯体の固定化
攪拌子を備えた、オーブンで乾燥した試験管にSTA/KIT-6-NH2(100 mg)を加えた。固体を室温で1時間真空中で乾燥した。一方で、もう1つのオーブンで乾燥した試験管にRh(nbd)2BF4(1.9 mg、0.005 mmol)とQuinoxP*(1.8 mmol、0.0055 mmol)を加えた。iPrOH(1 mL)を該フラスコに加え、溶液を室温で1時間撹拌し、Rh-Quinox錯体の橙色溶液を得た。iPrOH(1 mL)を担体材料(STA/KIT-6-NH2)を備えたフラスコに加え、Rh錯体溶液をカニューレを介して加えた。混合物を室温で3時間撹拌した。フラスコを3,000 rpmで15分間遠心分離した。遠心分離後、上清をカニューレで除いた。このフラスコにiPrOH(2 mL)を加え、室温で10分間撹拌した。この洗浄操作を5回繰り返し、上清を除去後、固体を真空下に室温で3時間乾燥した。Rh-QuinoxP*/STA/KIT-6-NH2を橙色固体として得た(101 mg)。
【0094】
2. Rh担持量評価
KIT-6は使用前の1時間真空下に1時間乾燥したものを使用した。
KIT-6/NH2 は1.(a)で調製したものを使用した。
STA/KIT-6は1.(b)の手順に従って表面をアミンで官能基化していないものを用いた。
【0095】
各固相担体へのRh錯体の固定化は、1(c)の手順に従い行った。得られた固体(10 mg)を室温でのHF水溶液処理により分解し透明な溶液を得た。この溶液をH2Oで25 mLに希釈し、溶液をICP-AESで分析してRhの実際の担持量を測定した。担持効率を以下の式に従い算出した(表1)。
【0096】
【表1】
【0097】
3. Rh-QuinoxP*/STA/KIT-6-NH 2 の特性評価
吸脱着等温線の測定結果を図2及び表2に示す。
【0098】
【表2】
【0099】
4. エナミド化合物(N-エチル-N-(1-フェニルエチル)アセトアミド)のフロー水素化
【0100】
4.(a) 固定化リアクター
グローブボックス内で20 mLのガラスバイアルにRh-QuinoxP*/STA/KIT-6-NH2(200 mg, Rh:0.01 mmol)と固体希釈材としてW-50 (600 mg)を加えた。固体を十分に混合して均一な固体を得、カラム末端の底部にフィルターを備えたステンレスカラム(Φ10*500 mm)に充填した。固液ミキサーがカラムの他端に備えられていた。3方切換装置がガスと液体の入口に備えられ、閉じられた。カラムの出口にスクリューストッパーが備えられ、系全体をアルゴン雰囲気下に維持した。
【0101】
4.(b) 基質溶液
2口の200 mLの丸底フラスコにエナミド化合物(1.63 g、10 mmol)を導入し、アルゴン雰囲気に置換した。トルエン(50 mL)とiPrOH(50 mL)を該フラスコに加え、撹拌して均一溶液を調製した。該溶液をアルゴン風船下に維持した。
【0102】
4.(c) フローシステムの前処理
水素シリンダーとマスフローコントローラを3方切換装置のガス注入口に備えつけた。H2ガスを25 mL/minの速度で流し、固定床リアクターに導入した。触媒カラムの末端のスクリューストッパーは、H2ガスの導入後に除去した。H2ガスフローは反応終了まで続けた。プランジャーポンプと圧力モニターを液体流入口の3方切換装置に導入した。トルエンを0.2 mL/minの流量で流し、固定化リアクターに導入した。リアクターを30℃に加熱した。この時点で溶液の流量は設定値に調整した。最後に、背圧調整器をカラムに備え、H2ガス圧を5 atmに調整した。
【0103】
4.(d) エナミド化合物の触媒水素化
プランジャーポンプの入口をトルエンから基質溶液に変えてフロー水素化を開始した。リアクターの末端から得られた溶液は1時間毎にバイアルに集めた。2 mLの溶液をバイアルから取り、エバポレートして粗生成物(32.8 mg)を得た。1H-NMR分析後、分取TLCで精製して目的のアミド(31.9 mg)を白色固体として得た。エナンチオ選択性をHPLC分析で決定した。別の2 mLの溶液をエバポレートし、H2SO4/HNO3で処理して有機物を分解した。得られた溶液をH2Oで25 mLに希釈した。溶液をICP-AESで分析してRhの溶出を測定した。フロー反応は24時間続けた。
【0104】
5. エナミドの連続フロー水素化の結果
反応は、上記の手順に従って行った。フロー反応は24時間連続して行い、得られた溶液をフロー開始から3時間、15時間、24時間の時点で分析した。得られた溶液(1 mL)を収率とエナンチオ選択性を決定するために使用した。溶媒を除去後、粗混合物を分取TLC(ヘキサン:酢酸エチル=1:3)で精製し、エナンチオ選択性をCHIRALPAK AD-3((株)ダイセル製)を備えたHPLCで決定した。
【0105】
6. o-置換エナミド化合物の最適化
標準的な触媒を用いたo-置換エナミド(N-[1-(2-メチルフェニル)エチニル]アセトアミド)1iの不斉水素化(生成物:N-[(1R)-1-(2-メチルフェニル)エチル]アセトアミド;2i)の最初の実験では、エナンチオ選択性が有意に低下した。従って、異なるキラルリガンドを有する触媒が以下の標準的な手順で調製され、フロー不斉水素化に使用された。結果を表2に示す。
【0106】
実施例2
本発明の1つの実施形態における連続フロー条件を図3に示し、結果を表3に示す。
【0107】
【表3】
【0108】
実施例3
本発明の他の実施形態における連続フロー条件と不斉水素化反応の収率とeeを図4に示す。
【0109】
実施例4
本発明の他の実施形態における連続フロー条件と不斉水素化反応の収率とeeを図6~8に示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9