(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023052790
(43)【公開日】2023-04-12
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20230404BHJP
F21V 7/28 20180101ALI20230404BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230404BHJP
【FI】
F21S2/00 495
F21S2/00 494
F21S2/00 498
F21V7/28 240
F21Y115:10
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012887
(22)【出願日】2023-01-31
(62)【分割の表示】P 2018131915の分割
【原出願日】2018-07-11
(31)【優先権主張番号】P 2017167944
(32)【優先日】2017-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119301
【弁理士】
【氏名又は名称】蟹田 昌之
(72)【発明者】
【氏名】山田 元量
(57)【要約】
【課題】装置外周部上において装置中央部上と同等の輝度を確保して、装置上の輝度を装置の全域において均一に近づけることができる発光装置を提供する。
【解決手段】基体と、前記基体の上面に配置された複数の光源と、平面視で前記複数の光源の各々をそれぞれが包囲する複数の包囲部を有し、前記複数の包囲部のそれぞれが上方に向かって広がる傾斜側面を有するリフレクタと、を備え、前記複数の光源が隣接する間隔は、平面視において均一であり、前記複数の包囲部は、前記傾斜側面の上端で規定される開口が略矩形であり、複数の第1包囲部と、前記複数の第1包囲部を取り囲み、前記傾斜側面の上端で規定される開口面積が前記第1包囲部よりも小さい複数の第2包囲部を有する発光装置。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、
前記基体の上面に配置された複数の光源と、
平面視で前記複数の光源の各々をそれぞれが包囲する複数の包囲部を有し、前記複数の包囲部のそれぞれが上方に向かって広がる傾斜側面を有するリフレクタと、を備え、
前記複数の光源が隣接する間隔は、平面視において均一であり、
前記複数の包囲部は、前記傾斜側面の上端で規定される開口が略矩形であり、複数の第1包囲部と、前記複数の第1包囲部を取り囲み、前記傾斜側面の上端で規定される開口面積が前記第1包囲部よりも小さい複数の第2包囲部を有し、
前記リフレクタは、前記傾斜側面の下端から前記光源に向かって延在する平面部を有し、
前記第2包囲部における前記平面部の前記光源側端部から前記光源端部までの距離は、前記第1包囲部における前記平面部の前記光源側端部から前記光源端部までの距離よりも小さい発光装置。
【請求項2】
前記複数の包囲部は、さらに複数の第3包囲部を有し、
前記第3包囲部は、前記第1包囲部と前記第2包囲部との間に設けられ、前記開口面積が、前記第1包囲部よりも小さく、前記第2包囲部よりも大きい、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記光源はバットウィング型の配光特性を有する請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記光源は、発光素子と、前記発光素子からの光を広配光化させるレンズと、を有する請求項1から3のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記光源は、発光素子と、前記発光素子を被覆する封止部材と、前記封止部材の上方に設けられた反射層と、を有する請求項1から4のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記光源は、発光素子と、前記発光素子の上面に設けられた反射層と、前記発光素子と前記反射層とを被覆する封止部材と、を有する請求項1から4のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記複数の光源を挟んで前記基体と対向するよう配置される透光性の光学部材を備え、
前記傾斜側面の上端から前記光学部材までの距離は、前記基体上面から前記傾斜側面の上端までの距離の1/2以下である請求項1から6のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記光学部材は、誘電体多層膜で形成され、入射する光の一部を反射し、一部を透過するハーフミラーを備える請求項7に記載の発光装置。
【請求項9】
前記基体の上面から前記第2包囲部の傾斜側面の上端までの高さは、前記基体の上面から前記第1包囲部の傾斜側面の上端までの高さより高い請求項1から8のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項10】
前記基体の表面は、前記光源と電気的に接続される導体配線を備え、前記導体配線が前記光源に電気的に接続される部分以外が絶縁部材によって被覆されている請求項1から9のいずれか1項に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の光源を備えた発光装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の発光装置では、装置外周部上の輝度が装置中央部上の輝度よりも低くなる虞がある。装置中央部上には装置の他の部分から出射された光が届きやすいのに対し、装置外周部上には装置の他の部分から出射された光が届きにくいためである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は、例えば、次の手段により解決することができる。
【0006】
基体と、前記基体の上面に配置された複数の光源と、平面視で前記複数の光源の各々をそれぞれが包囲する複数の包囲部を有し、前記複数の包囲部のそれぞれが上方に向かって広がる傾斜側面を有するリフレクタと、を備え、前記複数の光源が隣接する間隔は、平面視において均一であり、前記複数の包囲部は、前記傾斜側面の上端で規定される開口が略矩形であり、複数の第1包囲部と、前記複数の第1包囲部を取り囲み、前記傾斜側面の上端で規定される開口面積が前記第1包囲部よりも小さい複数の第2包囲部を有する発光装置。
【発明の効果】
【0007】
上記の発光装置によれば、装置外周部における包囲部上の光密度が、装置中央部における包囲部上の光密度よりも高くなる。したがって、装置外周部上において装置中央部上と同等の輝度を確保して、装置上の輝度を装置の全域において均一に近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】実施形態1に係る発光装置の模式的平面図である。
【
図1B】
図1Aにおいて複数の第1包囲部を灰色着色部で表示した図である。
【
図1C】
図1Aにおいて複数の第2包囲部を灰色着色部で表示した図である。
【
図2A】実施形態1に係る光源の他の例を示す模式的断面図である。
【
図2B】実施形態1に係る光源の他の例を示す模式的断面図である。
【
図3】実施形態1に係るリフレクタの他の例を示す模式的断面図である。
【
図4A】
図1Aの部分拡大図において第1包囲部と第2包囲部とにおける絶縁部材の開口をそれぞれ灰色着色部で表示した図である。
【
図4B】実施形態1に係るリフレクタの他の例を示す模式的断面図である。
【
図5A】実施形態2に係る発光装置の模式的平面図である。
【
図5B】
図5Aにおいて複数の第1包囲部を灰色着色部で表示した図である。
【
図5C】
図5Aにおいて複数の第2包囲部を灰色着色部で表示した図である。
【
図5D】
図5Aにおいて複数の第3包囲部を灰色着色部で表示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態1に係る発光装置1]
図1Aは実施形態1に係る発光装置の模式的平面図である。
図1Bは、複数の第1包囲部32の位置を理解しやすいよう、
図1Aにおいて複数の第1包囲部32を灰色着色部で表示した図である。
図1Cは、複数の第2包囲部34の位置を理解しやすいよう、
図1Aにおいて複数の第2包囲部34を灰色着色部で表示した図である。
図1A、
図1B、及び
図1Cでは、リフレクタ30の形状を理解しやすいよう、基体10、発光素子22、リフレクタ30のみを図示し、光学部材40などの図示は省略している。
図1Dは
図1A中の1D-1D断面図であり、
図1Eは
図1Dの部分拡大図である。
図1Fは
図1Eの部分拡大図である。
【0010】
図1Aから
図1Fに示すように、実施形態1に係る発光装置1は、基体10と、基体10の上面に配置された複数の光源20と、平面視で複数の光源20の各々をそれぞれが包囲する複数の包囲部を有し、複数の包囲部のそれぞれが上方に向かって広がる傾斜側面Xを有するリフレクタ30と、を備え、複数の包囲部は、複数の第1包囲部32と、複数の第1包囲部32を取り囲み、傾斜側面Xの上端で規定される開口面積が第1包囲部32よりも小さい複数の第2包囲部34を有する発光装置である。以下、詳細に説明する。
【0011】
(発光装置1)
発光装置1は例えば直下型バックライト装置である。
【0012】
(基体10)
基体10は、光源20を載置するための部材である。
【0013】
基体10の材料としては、例えば、セラミックス、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、BTレジン、ポリフタルアミド(PPA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂が挙げられる。セラミックスとしては、例えば、アルミナ、ムライト、フォルステライト、ガラスセラミックス、窒化物系(例えば、AlN)、炭化物系(例えば、SiC)、LTCC等が挙げられる。基体10の材料に樹脂を用いる場合は、ガラス繊維や、SiO2、TiO2、Al2O3等の無機フィラーを樹脂に混合し、機械的強度の向上、熱膨張率の低減、光反射率の向上等を図ることもできる。基体10には、金属部材の表面に絶縁層が形成された金属基板を用いてもよい。
【0014】
基体10の厚さは適宜選択することができる。基体10は、例えば、ロール・ツー・ロール方式で製造可能なフレキシブル基板であってもよいし、リジット基板であってもよい。リジット基板は湾曲可能な薄型リジット基板であってもよい。
【0015】
(複数の光源20)
複数の光源20は基体10の上面に配置される。
【0016】
複数の光源20のピッチ、つまり、複数の光源20が隣接する間隔Pは、平面視における縦方向及び横方向において均一(均一であるとみなせる程度の誤差がある場合を含む。)であることが好ましい。このようにすれば、光源20の配置等には変更を加えることなく、リフレクタ30における第1包囲部32と第2包囲部34の大きさを変えるだけで、例えば、第2包囲部34の開口面積S2を第1包囲部32の開口面積S1よりも小さくするだけで、装置外周部上の輝度を装置中央部上と同等に確保することができ、発光装置1の設計が容易になる。
【0017】
各光源20は発光ダイオードなどの発光素子22を有していてもよい。発光素子22は、例えば、透光性の基板と、基板上に積層された半導体層と、を有する。透光性の基板には、例えばサファイアを用いることができる。半導体層は、例えば、n型半導体層、活性層、及びp型半導体層を、基板側からこの順に有している。半導体層には、例えば、ZnSe、窒化物系半導体(InxAlyGa1-x-yN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)、またはGaPなどのほか、GaAlAs、AlInGaPなどを用いることができる。n型半導体層上には例えばn側電極が形成されており、p型半導体層上には例えばp側電極が形成されている。
【0018】
各光源20は封止部材26を有していてもよい。封止部材26は、発光素子22を外部環境から保護するとともに、発光素子22から出力される光を光学的に制御する部材である。封止部材26は、発光素子22を被覆するように基体10上に配置される。
【0019】
封止部材26の材料としては、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂あるいはそれらを混合させた樹脂や、ガラスなどの透光性材料を用いることができる。これらのうち、耐光性および成形のしやすさを考慮して、シリコーン樹脂を選択することが好ましい。封止部材26には、光拡散材や、発光素子22からの光を吸収して発光素子22からの出力光とは異なる波長の光を発する蛍光体等の波長変換部材や、発光素子22の発光色に対応する着色剤を含有させることができる。
【0020】
封止部材26は、例えば、圧縮成型や射出成型などのほか、滴下や描画により形成することができる。また、封止部材26の材料の粘度を最適化することにより、材料自体の表面張力によって形状を制御することも可能である。滴下や描画による場合は、金型を必要とすることなく、より簡便に封止部材26を形成することができる。粘度は、所望の粘度を有する材料を封止部材26の材料として用いることにより調整してもよいし、上述した光拡散材、波長変換部材、あるいは着色剤を利用して調整してもよい。
【0021】
各光源20はバットウィング型の配光特性を有していることが好ましい。このようにすれば、各光源20の真上方向に出射される光量を抑制して、各光源20の配光を広げることができる。したがって、特に基体10と対向して透光性の光学部材40を設ける場合において、発光装置1の厚みを小さくすることができる。よって、装置外周部上において装置中央部上と同等の輝度を確保しつつ、厚みが小さい薄型の発光装置を提供することができる。
【0022】
バットウィング型の配光特性とは、中心部が外周部よりも暗くなる配光特性をいう。バットウィング型の配光特性の一例としては、光軸Lを0°とする場合に、0°よりも配光角の絶対値が大きい角度において、発光強度が強くなる発光強度分布を有する配光特性や、45°~90°付近において、発光強度が最も強くなる発光強度分布を有する配光特性を挙げることができる。
【0023】
各光源20は、発光素子22の上面に反射膜28を有していてもよい。この場合、封止部材26は、例えば発光素子22と反射層28とを被覆するように設けることができる。このように封止部材26を設ければ、封止部材26を例えば後述する
図2Aに示す形状などのような形状に形成して、バットウィング型の配光特性を容易に実現することができる。
【0024】
図2Aは実施形態1に係る光源の他の例を示す模式的断面図である。封止部材26の形状は例えばドーム状であってもよいが、
図2Aに示すように、発光素子22からの光を広配光化させる形状、具体的には、発光素子の直上に凹部を有する形状であってもよい。このようにすれば、封止部材26が広配光化させるレンズとして機能し、前述した反射層28を設けずとも、バットウィング型の配光特性を得ることが可能となる。あるいは、反射膜28を設けつつレンズとして機能する封止部材26を設けることで、さらに容易にバットウィング型の配光特性を得ることが可能となる。
【0025】
図2Bは実施形態1に係る光源の他の例を示す模式的断面図である。
図2Bに示すように、各光源20は封止部材26の上方に反射層28を有していてもよい。このようにすれば、発光素子22の上方向への光は反射層28で反射され、発光素子22の直上の光量が抑制される。したがって、バットウィング型の配光特性を容易に実現することができる。
【0026】
反射層28は、金属膜であってもよいし、誘電体多層膜であってもよい。
【0027】
複数の光源20は、互いに独立して駆動可能であることが好ましく、特に、光源20ごとの調光制御(例えば、ローカルディミングやハイダイナミックレンジ:HDR)が可能であることが好ましい。
【0028】
(リフレクタ30)
リフレクタ30は、光源20から出射される光を反射する部材である。リフレクタ30は、光源20からの出射光に対する反射率が、440nm~630nmの領域で平均70%以上であることが好ましい。リフレクタ30には、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素等の金属酸化物粒子からなる反射材を含有する樹脂を用いて成形された部材や、反射材を含有しない樹脂の表面に反射材が設けられた部材などを用いることができる。
【0029】
リフレクタ30は、平面視で複数の光源20の各々をそれぞれが包囲する複数の包囲部を有する。1つの包囲部は1つの光源を包囲する。複数の包囲部は、複数の第1包囲部32と、複数の第1包囲部32を取り囲む複数の第2包囲部34と、を有する。第2包囲部34の開口面積S2は第1包囲部32の開口面積S1よりも小さい。これにより、第2包囲部34上の光密度が、第1包囲部32上の光密度よりも高くなり、装置外周部上の光密度が、装置中央部上の光密度よりも高くなる。なお、開口面積は傾斜側面Xの上端で規定される面積である。また、光密度とは単位面積当たりの光の強さの度合いである。
【0030】
リフレクタの傾斜側面の上端で規定される開口が略矩形である。複数の包囲部において、開口が略矩形であることで、装置上の輝度を装置の全域においてムラがなく均一に近づけることができる。
【0031】
リフレクタ30の厚みTは、例えば100~300μmである。リフレクタ30は、複数の包囲部それぞれにおいて、上方に向かって広がる傾斜側面Xを有する。ここで、リフレクタ30は、さらに、複数の包囲部それぞれにおいて、傾斜側面Xの下端から光源20に向かって延在する平面部を有することが好ましい。なお、
図1Eでは、第2包囲部34の傾斜側面Xの傾斜角度が、第1包囲部32の傾斜側面Xの傾斜角度よりも大きい。
【0032】
例えば
図4Bに示すように、第2包囲部34における平面部の光源側端部から光源端部までの距離D2は、第1包囲部32における平面部の光源側端部から光源端部までの距離D1よりも小さいことが好ましい。このようにすれば、より一層、第2包囲部34上の光密度を第1包囲部32上の光密度より高くして、装置外周部における包囲部上の光密度を、装置中央部における包囲部上の光密度よりも高くすることができる。
【0033】
図3は実施形態1に係るリフレクタの他の例を示す模式的断面図である。
図3に示すように、基体10の上面から第2包囲部34の傾斜側面Xの上端までの高さH2は、基体10の上面から第1包囲部32の傾斜側面Xの上端までの高さH1より高いことが好ましい。このようにすれば、第2包囲部34内での光の多重反射量が増すため、より一層、第2包囲部34上の光密度を高めて、装置外周部上の輝度を高めることができる。
【0034】
(光学部材40)
光学部材40は複数の光源20を挟んで基体10と対向するよう配置される。傾斜側面Xの上端から光学部材40までの距離K2は、基体10上面から傾斜側面Xの上端までの距離K1の1/2以下であることが好ましい。このようにすれば、リフレクタ30から光学部材40までの距離に対して、第1包囲部32や第2包囲部34の深さが相対的に深くなり、第1包囲部32や第2包囲部34内における光の多重反射の繰り返し回数を増やすことができる。したがって、光学部材40が配置されている位置における、各包囲部の光密度を高めることができる。
【0035】
光学部材40には例えばハーフミラーなどの透光性の部材を用いることができる。ハーフミラーには、例えば、入射する光の一部を反射し、一部を透過する部材を用いることができる。
【0036】
ハーフミラーの反射率は、垂直入射よりも斜め入射の方が低くなるように設定されていることが好ましい。すなわち、ハーフミラーは、各光源20から放射された光のうち、光軸方向に対して平行に出射した光に対しては、光反射率が高く、放射角度(光軸方向に対して平行である場合は放射角度が0度であるものとする。)が広がっていくに従い、光反射率が低下する特性(換言すると、ハーフミラーを透過する光量が増加する特性)を有していることが好ましい。このようにすれば、ハーフミラーを光出射側から観察した場合において、均質な輝度分布を容易に得ることができる。
【0037】
ハーフミラーには例えば誘電体多層膜を用いることができる。誘電体多層膜を用いることで、光吸収の少ない反射膜を得ることができる。加えて、膜の設計により反射率を任意に調整することができ、角度によって反射率を制御することも可能となる。例えば、ハーフミラーに対して垂直に入射する光に対してこれよりも斜めに入射する光に対して反射率が低くなるよう誘電体多層膜の膜を設計すれば、光取り出し面に対して垂直に入射する光に対する反射率が高く、光取り出し面に対する角度が大きくなるほど反射率が低くなる特性を容易に実現することができる。
【0038】
発光装置1は、光学部材40の光出射側に光拡散板を備えていてもよい。光拡散板は、複数の光源20から放射された光を拡散させることにより輝度ムラを削減させる部材である。光拡散板を形成する材料には、例えば、ポリカーボネイト樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂等、可視光に対して光吸収の少ない材料を用いることができる。光拡散板には、例えば、母材となる材料中に屈折率の異なる材料を含有させた部材や、母材となる材料の表面形状を加工して光を散乱させる部材を用いることができる。
【0039】
(導体配線50)
基体10の表面には、光源20(発光素子22)に電力を供給するための導体配線50を配置することができる。導体配線50は、光源20(発光素子22)の電極と電気的に接続され、外部からの電流(電力)を供給するための部材である。
【0040】
導体配線50の材料は、基体10として用いられる材料や製造方法等によって適宜選択することができる。例えば、基体10の材料としてセラミックスを用いる場合、導体配線50の材料には、セラミックスシートの焼成温度にも耐え得る高融点を有する材料を用いるのが好ましく、例えば、タングステン、モリブデンのような高融点の金属を用いるのが好ましい。さらに、これらの金属の表面を、鍍金やスパッタリング、蒸着などにより、ニッケル、金、銀などの他の金属材料で被覆したものを導体配線50として用いることもできる。基体10の材料としてガラスエポキシ樹脂を用いる場合、導体配線50の材料には、加工し易い材料を用いることが好ましい。
【0041】
導体配線50は、基体10の一面又は両面に、蒸着、スパッタ、めっき等の方法によって形成することができる。プレスにより金属箔を貼りつけてこれを導体配線50としてもよい。印刷法又はフォトリソグラフィー等を用いてマスキングし、エッチング工程によって、所定の形状に導体配線50をパターニングすることができる。
【0042】
(接合部材60)
発光装置1は接合部材60を有していてもよい。接合部材60は、光源20を基体10及び/又は導体配線50に固定するための部材である。接合部材60の一例としては、絶縁性の樹脂や導電性の部材が挙げられる。光源20をフリップチップ実装する場合は導電性の部材を接合部材60として用いることができる。Au含有合金、Ag含有合金、Pd含有合金、In含有合金、Pb-Pd含有合金、Au-Ga含有合金、Au-Sn含有合金、Sn含有合金、Sn-Cu含有合金、Sn-Cu-Ag含有合金、Au-Ge含有合金、Au-Si含有合金、Al含有合金、Cu-In含有合金、金属とフラックスの混合物等は接合部材60の一例である。
【0043】
接合部材60としては、例えば、液状、ペースト状、固体状(シート状、ブロック状、粉末状、ワイヤ状)の部材を単一にまたは組み合わせて用いることができ、組成や基体10の形状等に応じて、適宜選択することができる。光源20を導体配線50に電気的に接続する工程と、光源20を基体10上に載置や固定などする工程と、を一の工程ではなく別の工程に分けて行う場合には、接合部材60とは別のワイヤをさらに用いて、これで光源と導体配線50を電気的に接続してもよい。
【0044】
(絶縁部材70)
基体10上には、導体配線50を絶縁被覆するためのレジストなどの絶縁部材70が配置されていてもよい。絶縁部材70を配置させる場合には、導体配線50の絶縁を行う目的だけでなく、絶縁部材70に白色系のフィラーを含有させることにより、光を反射させ、あるいは光の漏れや吸収を防いで、発光装置1の光取り出し効率を上げることもできる。絶縁部材70の材料は、絶縁性であれば特に限定されないが、発光素子22からの光の吸収が少ない材料であることが特に好ましい。具体的には、例えば、エポキシ、シリコーン、変性シリコーン、ウレタン樹脂、オキセタン樹脂、アクリル、ポリカーボネイト、ポリイミド等を絶縁部材70の材料として用いることができる。
【0045】
絶縁部材70は、基体10の表面と、導体配線50のうち発光素子22等に対して電気的に接続される部分以外と、を被覆するように設けられていることが好ましい。ただし、基体10の表面のうち発光素子22の配置領域は絶縁部材70に被覆されていないことが好ましく、第2包囲部34における絶縁部材70の開口の面積S4は、
図4A、
図4Bに示すように、第1包囲部32における絶縁部材70の開口の面積S3より小さいことがより好ましい。このようにすることで、装置外周部上においても、装置中央部上と同等の輝度を確保することがより容易となる。
【0046】
以上説明したように、実施形態1に係る発光装置1によれば、装置外周部における包囲部上の光密度が、装置中央部における包囲部上の光密度よりも高くなる。したがって、装置外周部上において装置中央部上と同等の輝度を確保して、装置上の輝度を装置の全域において均一に近づけることができる。
【0047】
[実施形態2に係る発光装置2]
図5Aは実施形態2に係る発光装置の模式的平面図であり、
図5Bは、複数の第1包囲部32の位置を理解しやすいよう、
図5Aにおいて複数の第1包囲部32を灰色着色部で表示した図である。
図5Cは、複数の第2包囲部34の位置を理解しやすいよう、
図5Aにおいて複数の第2包囲部34を灰色着色部で表示した図である。
図5Dは、複数の第3包囲部36の位置を理解しやすいよう、
図5Aにおいて複数の第3包囲部36を灰色着色部で表示した図である。
図5Eは
図5A中の5E-5E断面図である。
【0048】
図5Aから
図5Eに示すように、実施形態2に係る発光装置2は、複数の包囲部が、第1包囲部32と第2包囲部34との間に複数の第3包囲部36を有しており、各第3包囲部36における傾斜側面Xの上端で規定される開口面積S3が、第1包囲部32の開口面積S1よりも小さく、第2包囲部34の開口面積S2よりも大きい点で、実施形態1に係る発光装置1と相違し、その他の点で同じ構成を有する。実施形態2に係る発光装置2によれば、第2包囲部34上の光密度>第3包囲部36上の光密度>第1包囲部32上の光密度の関係が成立し、装置中央部から装置外周部に向かうにつれて、装置上の光密度が高くなる。したがって、より一層、装置外周部上において装置中央部上と同等の輝度を確保して、装置上の輝度を装置の全域において均一に近づけることができる。
【0049】
以上、実施形態について説明したが、これらの説明によって特許請求の範囲に記載された構成は何ら限定されるものではない。
【符号の説明】
【0050】
1 発光装置
10 基体
20 光源
22 発光素子
26 封止部材
28 反射層
30 リフレクタ
32 第1包囲部
34 第2包囲部
36 第3包囲部
40 光学部材
50 導体配線
60 接合部材
70 絶縁部材
D1、D2 包囲部における平面部の光源側端部から光源端部までの距離
H1、H2 基体の上面から傾斜側面の上端までの高さ
K1 基体上面から傾斜側面の上端までの距離
K2 傾斜側面の上端から光学部材までの距離
P 光源が隣接する間隔(ピッチ)
S1、S2、S3 包囲部の開口面積
S3、S4 絶縁部材の開口の面積
T リフレクタの厚み
X 傾斜側面