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特開2023-5283ペプチドタグ付加タンパク質を用いた代謝物生産
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023005283
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】ペプチドタグ付加タンパク質を用いた代謝物生産
(51)【国際特許分類】
   C12P 13/04 20060101AFI20230111BHJP
   C12P 7/64 20220101ALI20230111BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20230111BHJP
   C12N 15/54 20060101ALI20230111BHJP
   C12N 15/53 20060101ALI20230111BHJP
   C12N 9/10 20060101ALN20230111BHJP
   C12N 9/04 20060101ALN20230111BHJP
   C12N 1/19 20060101ALN20230111BHJP
   C12N 1/21 20060101ALN20230111BHJP
【FI】
C12P13/04 ZNA
C12P7/64
C12N15/62 Z
C12N15/54
C12N15/53
C12N9/10
C12N9/04
C12N1/19
C12N1/21
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021107074
(22)【出願日】2021-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000183646
【氏名又は名称】出光興産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大岩 聖佳
(72)【発明者】
【氏名】小池 和好
【テーマコード(参考)】
4B050
4B064
4B065
【Fターム(参考)】
4B050CC04
4B050CC05
4B050DD02
4B050DD04
4B050EE10
4B050LL10
4B064AD85
4B064AE03
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA20
4B065AA24X
4B065AA72X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA13
4B065CA17
4B065CA46
4B065CA60
(57)【要約】
【課題】代謝産物を効率よく発酵生産するための方法を提供すること。
【解決手段】炭素源を含む培地で微生物を培養して代謝産物を生成させる工程、および、微生物菌体又は培地から代謝産物を回収する工程、を含む代謝産物の製造方法であって、前記微生物は、前記代謝産物の生合成に関与する1種以上の酵素が下記のペプチドタグが付加された融合タンパク質として発現するように改変されていることを特徴とする、前記製造方法。
1(PY1)qPZ1・・・(I)
2 2 PU1 q’・・・(II)
3 m'3 n'2 q'’・・・(III)
4 m'’(JY2 n'’)q''’4 r・・・(IV)
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素源を含む培地で微生物を培養して代謝産物を生成させる工程、および、
微生物菌体又は培地から代謝産物を回収する工程、を含む代謝産物の製造方法であって、前記微生物は、前記代謝産物の生合成に関与する1種以上の酵素が下記(I)~(IV)の
いずれか1種以上のアミノ酸配列からなるペプチドタグが付加された融合タンパク質として発現するように改変されていることを特徴とする、前記製造方法。
1(PY1)qPZ1・・・(I)
式(I)において、トータルの長さは6~50アミノ酸であり、
Pはプロリンを示し、
はアルギニン(R)、グリシン(G)、セリン(S)、リジン(K)、トレオニン(T)、ロイシン(L)、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)及びメチオニン(M)からなる群より独立に選択される0~5個のアミノ酸からなるアミノ酸配列を示し、
1はR、G、K、T、L、N、Q及びMからなる群より独立に選択される1~4個の
アミノ酸からなるアミノ酸配列を示し、
qは1~10の整数を示し、
1はR、G、S、K、T、L、N、Q及びMからなる群より独立に選択される0~1
0個のアミノ酸からなるアミノ酸配列を示す。
2 2 PU1 q’・・・(II)
式(II)において、トータルの長さは3~8アミノ酸であり、
Pはプロリンであり、
2はKおよびNから独立して選択されるアミノ酸残基であり、
2はイソロイシン(I)、フェニルアラニン(F)、M、アラニン(A)、バリン(
V)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、ヒスチジン(H)、バリン(V)、システイン(C)、Rから独立して選択されるアミノ酸残基であり、
1はR、G、S、K、T、L、N、Hから独立して選択されるアミノ酸残基である。
mは0、1、2または3であり、nは1または2であり、q’は0、1、2または3である。
3 m'3 n'2 q'’・・・(III)
式(III)において、トータルの長さは3~6アミノ酸であり、
3はI、F、M、A、VおよびRから独立して選択されるアミノ酸残基であり、
3は、KおよびNから独立して選択されるアミノ酸残基であり、
2は、G、I、Q、V、H、L、A、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、
RおよびTから独立して選択されるアミノ酸残基であり、
'およびn'は1または2の整数であり、q'’は0、1、2または3の整数である。
4 m'’(JY2 n'’)q''’4 r・・・(IV)
式(IV)において、トータルの長さは6~50アミノ酸であり、
JはQ、E、Gから選択されるアミノ酸残基であり、
4およびY2はそれぞれR、G、S、K、T、L、N、Q、H、プロリン(P)から独立して選択されるアミノ酸残基であって、JとしてQが含まれる場合は前記アミノ酸残基のうちQ以外であり、JとしてGが含まれる場合は前記アミノ酸残基のうちG以外であり、各繰り返し単位JY2 n'’に含まれるYのうち少なくとも1つはK、L、N、Q、Hま
たはRである。
4はR、G、S、K、T、N、Q、H、Pから独立して選択されるアミノ酸残基であ
って、JとしてQが含まれる場合は前記アミノ酸残基のうちQ以外であり、JとしてGが含まれる場合は前記アミノ酸残基のうちG以外である。
ただし、ペプチド中に含まれるPの数は0または1個である。
'’は0~5の整数であり、n'’は1、2または3であり、q''’は1~10の整数であり、r=0~10の整数である。
【請求項2】
前記酵素が解糖系酵素であり、代謝産物がピルビン酸、ホスホエノールピルビン酸またはこれらを出発物質として細胞内で生合成された物質である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記物質がアミノ酸である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
解糖系酵素がグリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAP)および/またはフルク
トキナーゼ(PFK)である、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記酵素が脂質合成酵素であり、代謝産物が脂質である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
脂質合成酵素がDiacylglycerol acyltransferase type 2(DGA1)および/または Lysophosphatidic acid:oleoyl-CoA acyltransferase 1(LOA1)である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ペプチドタグが配列番号38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64または66のいずれかのアミノ酸配列からなるタグである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記微生物が前記融合タンパク質をコードするDNAを含むプラスミドが導入された微生物
である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
微生物が細菌又は酵母である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、代謝酵素の高発現による有用代謝物の効率的な生産技術に関し、細菌または酵母等の微生物を用いて、代謝物の鍵酵素にペプチドタグを融合させて発現させることで、当該酵素の発現を向上させ、代謝物の生産性を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
放線菌やコリネ菌、酵母、大腸菌等の微生物は、抗生物質や医薬原体、化学品原料等の高付加価値な代謝物を生産することが知られている。代謝物は、細胞内で代謝酵素を介した多段階から成る代謝反応を経て合成されるため、酵素等のタンパク質に比べ生産性が低いことが課題となる。
【0003】
代謝物の生産性を向上させるため、変異誘発剤を用いた育種や培地組成の検討が行われてきたが、これらの方法では、代謝経路の律速となっている代謝反応の効率を直接向上させることは困難であるため、目的代謝物の十分な生産性の改善が見られないことが課題となっている。
【0004】
これに対して、代謝の律速反応に係る代謝酵素を遺伝子工学的手法により増産することで、代謝物を高生産する試みがなされている。
代謝酵素の増産方法としては、プラスミドDNA上で代謝酵素をコードする遺伝子を増幅
する方法がある。特許文献1では、解糖系の律速酵素であるグリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)をコードする遺伝子をプラスミドDNA上で増幅した大腸菌(Escherihia coli)を用いてピルビン酸を高生産する方法について開示されている。また特
許文献2では、GAPDHをプラスミドで増幅したコリネ型細菌(Corynebacterium glutamicum)を用いてアミノ酸等の有機化合物を高生産する方法について開示されている。
また、代謝酵素の増産方法として、強発現型プロモーターを用いる方法も試みられてい
る。例えば、特許文献3では、油糧酵母(Yarrowia lipolytica)中で油脂生産に係るDGA1(Diacylglycerol acyltransferase type 2)をコードする遺伝子に強発現型のTEFプロ
モーターを連結し、DGA1を高発現させることで、油脂を高生産する方法が挙げられている。
しかし、これらの手法を用いた場合も必ずしも代謝物生産性が十分に向上しない。
【0005】
代謝物を高生産する目的においては、目的代謝物に係る複数の代謝酵素の増産が必要となるため、従来の方法に代わる新しい代謝酵素の高生産方法が必要となる。
【0006】
特許文献4、5ではペプチドタグを酵素のN末端もしくはC末端に付加することで、当該酵素の生産性を向上可能であると述べられている。また、特許文献6では、シアノバクテリア内で他生物由来のエチレン合成酵素を上記ペプチドタグで高生産することで、エチレンの生産性が向上することが述べられている。
【0007】
しかし、特許文献4、5では代謝酵素への適用例は示されておらず、特許文献6は人工的に構築した代謝経路に対する当該ペプチドタグの適用に関するものである。従って、微生物が本来有する複雑な代謝経路に当該ペプチドタグが適用可能であるか不明であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004-283050
【特許文献2】特許第5296166
【特許文献3】特表2014-530626
【特許文献4】WO2017-115853
【特許文献5】WO2020/045530
【特許文献6】特開2021-52728
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、代謝酵素を微生物内で安定的かつ高発現させることで有用代謝物を高生産する、新規の代謝物生産方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは鋭意検討した結果、微生物に内在する代謝酵素にペプチドタグを付加して発現させることで当該酵素が高生産し、当該代謝酵素が触媒する代謝反応の下流において代謝物の生産性が向上することを見出し、このような知見に基づいて本発明の完成に至った。
【0011】
本発明は以下を提供する。
[1]炭素源を含む培地で微生物を培養して代謝産物を生成させる工程、および、
微生物菌体又は培地から代謝産物を回収する工程、を含む代謝産物の製造方法であって、前記微生物は、前記代謝産物の生合成に関与する1種以上の酵素が下記(I)~(IV)の
いずれか1種以上のアミノ酸配列からなるペプチドタグが付加された融合タンパク質として発現するように改変されていることを特徴とする、前記製造方法。
1(PY1)qPZ1・・・(I)
式(I)において、トータルの長さは6~50アミノ酸であり、
Pはプロリンを示し、
はアルギニン(R)、グリシン(G)、セリン(S)、リジン(K)、トレオニン(T)、ロイシン(L)、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)及びメチオニン(M)からなる群より独立に選択される0~5個のアミノ酸からなるアミノ酸配列を示し、
1はR、G、K、T、L、N、Q及びMからなる群より独立に選択される1~4個の
アミノ酸からなるアミノ酸配列を示し、
qは1~10の整数を示し、
1はR、G、S、K、T、L、N、Q及びMからなる群より独立に選択される0~1
0個のアミノ酸からなるアミノ酸配列を示す。
2 2 PU1 q’・・・(II)
式(II)において、トータルの長さは3~8アミノ酸であり、
Pはプロリンであり、
2はKおよびNから独立して選択されるアミノ酸残基であり、
2はイソロイシン(I)、フェニルアラニン(F)、M、アラニン(A)、バリン(
V)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、ヒスチジン(H)、バリン(V)、システイン(C)、Rから独立して選択されるアミノ酸残基であり、
1はR、G、S、K、T、L、N、Hから独立して選択されるアミノ酸残基である。
mは0、1、2または3であり、nは1または2であり、q’は0、1、2または3である。
3 m'3 n'2 q'’・・・(III)
式(III)において、トータルの長さは3~6アミノ酸であり、
3はI、F、M、A、VおよびRから独立して選択されるアミノ酸残基であり、
3は、KおよびNから独立して選択されるアミノ酸残基であり、
2は、G、I、Q、V、H、L、A、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、
RおよびTから独立して選択されるアミノ酸残基であり、
'およびn'は1または2の整数であり、q'’は0、1、2または3の整数である。
4 m'’(JY2 n'’)q''’4 r・・・(IV)
式(IV)において、トータルの長さは6~50アミノ酸であり、
JはQ、E、Gから選択されるアミノ酸残基であり、
4およびY2はそれぞれR、G、S、K、T、L、N、Q、H、プロリン(P)から独立して選択されるアミノ酸残基であって、JとしてQが含まれる場合は前記アミノ酸残基のうちQ以外であり、JとしてGが含まれる場合は前記アミノ酸残基のうちG以外であり、各繰り返し単位JY2 n'’に含まれるYのうち少なくとも1つはK、L、N、Q、Hま
たはRである。
4はR、G、S、K、T、N、Q、H、Pから独立して選択されるアミノ酸残基であ
って、JとしてQが含まれる場合は前記アミノ酸残基のうちQ以外であり、JとしてGが含まれる場合は前記アミノ酸残基のうちG以外である。
ただし、ペプチド中に含まれるPの数は0または1個である。
'’は0~5の整数であり、n'’は1、2または3であり、q''’は1~10の整数であり、r=0~10の整数である。
[2]前記酵素が解糖系酵素であり、代謝産物がピルビン酸、ホスホエノールピルビン酸またはこれらを出発物質として細胞内で生合成された物質である、[1]に記載の方法。[3]前記物質がアミノ酸である、[2]に記載の方法。
[4]解糖系酵素がグリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAP)および/または
フルクトキナーゼ(PFK)である、[2]または[3]に記載の方法。
[5]前記酵素が脂質合成酵素であり、代謝産物が脂質である、[1]に記載の方法。
[6]脂質合成酵素がDiacylglycerol acyltransferase type 2(DGA1)および/または Lysophosphatidic acid:oleoyl-CoA acyltransferase 1(LOA1)である、[5]に記載の方法。
[7]ペプチドタグが配列番号38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64または66のいずれかのアミノ酸配列からなるタグである、[1]~[6]のいずれかに記載の方法。
[8]前記微生物が前記融合タンパク質をコードするDNAを含むプラスミドが導入された
微生物である、[1]~[7]のいずれかに記載の方法。
[9]微生物が細菌又は酵母である、[1]~[8]のいずれかに記載の方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明の方法によれば、代謝酵素の高発現を利用した有用代謝物質の生産が可能となる。ペプチドタグを付加した融合タンパク質として発現させることで、代謝酵素の発現が安定的に持続するため、単なるプロモーター強化による発現増強の場合と比べても代謝産物の生産効率を顕著に向上させることができる。代謝産物の有用代謝物質としては、ピルビン酸やその代謝物、アミノ酸などの有機酸や、油脂や脂肪酸などの脂質などが含まれ、その中には医薬品、農薬、バイオ燃料、化成品等の原料になる有用物質も含まれ、本発明の方法は有用物質の生産において顕著に貢献をするものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】大腸菌-コリネ菌シャトルベクターの構築手順を示す図。
図2】大腸菌-Yarrowia lipytica用シャトルベクターの構築手順を示す図。
図3】各種タグ付加酵素をコードするYarrowia lipolytica用遺伝子発現プラスミドの構築手順を示す図。
図4】各種タグ付加酵素をコードするYarrowia lipolytica用遺伝子発現プラスミドの構築手順を示す図。
図5】ペプチドタグを用いた代謝酵素(GAPA)の発現量評価結果を示すグラフ。
図6】ペプチドタグを用いた代謝酵素(PFK)の発現量評価結果を示すグラフ。
図7】菌体中のGAPAおよびPFK活性測定結果結果を示すグラフ。
図8】ペプチドタグを付加したGAPAの酵素活性測定結果結果を示すグラフ。
図9】ペプチドタグ付加によるGAPA高発現株におけるピルビン酸量の評価結果を示すグラフ。
図10】ペプチドタグ付加によるGAPA高発現株における遊離アミノ酸量の評価結果を示すグラフ。
図11】DGA1およびLOA1の発現量の評価結果を示すグラフ。
図12】Yarrowia lipolytica DGA1およびLOA1 形質転換体の油脂生産量の評価結果を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の代謝産物の方法は、
炭素源を含む培地で微生物を培養して代謝産物を生成させる工程、および、
微生物菌体又は培地から代謝産物を回収する工程、を含む。
【0015】
微生物としては、細菌、酵母、糸状菌などが例示されるが、前記融合タンパク質を発現することができ、かつ、代謝産物を生産することができる微生物であれば限定はされない。融合タンパク質を発現させるもととなる微生物は変異株でもよいし、遺伝子改変株でもよい。
【0016】
細菌としては特に制限されず、グラム陽性菌でもグラム陰性菌でもよいが、例えば、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)などのエシェリヒア(Escherichia)属細菌;バ
チルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)などのバチルス(Bacillus)属細菌;セラチ
ア・マーセッセンス(Serratia marcescens)などのセラチア(Serratia)属細菌;シュ
ードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)などのシュードモナス(Pseudomonas)属細
菌;コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)などのコリネ型細菌;ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)などのロドコッカス(Rhodococcus)属細菌;ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)などのラクトバチルス(Lactobacillus)属細菌、ストレプトミセス・リビダンス(Streptomyces lividans)などのストレプトミセス(Streptomyces)属細菌;サーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)などのサーマス(Thermus)属細菌;ストレプトコッカス・ラクテ
ィス(Streptococcus lactis)などのストレプトコッカス(Streptococcus)属細菌;放
線菌(Actinomycetes);が例示される。
【0017】
酵母としては、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)などのサッカロミセス(Saccharomyces)属酵母;ピキア・パストリス(Pichia pastoris)などのピキア(Pichia)属酵母;キャンディダ・ユティリス(Candida utilis)などのキャンディダ(Candida)属酵母;シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)などのシゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属酵母;ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lypolitica)などのヤロウィア(Yarrowia)属酵母;メチニコビア・プルケリマ(Metschnikowia pulcherrima)などのメチニコビア(Metschnikowia)属酵母;リポマイセス・スターキー(Lipomyces starkeyi)などのリポマイセス(Lipomyces)属酵母;ロド
スポリジウム・トルロイデス(Rhodosporidium toruloides)などのロドスポリジウム(Rhodosporidium)属酵母;クリプトコッカス・テリコーラ(Cryptococcus terricola)な
どのクリプトコッカス(Cryptococcus)属酵母;エンドマイコプシス・バーナリス(Endomycopsis vernalis)などのエンドマイコプシス(Endomycopsis)属酵母;が例示される
【0018】
糸状菌としては、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus nigar)、アスペルギルス・
オリゼ(Aspergillus oryzae)などのアスペルギルス(Aspergillus)属菌;フザリウム
・フジクロイ(Fusarium fujikuroi)などのフザリウム(Fusarium)属菌;ペニシリウム・リラシナム(Penicilium lilacinum)、ペニシリウム・スピヌロサム(Penicilium spi
nulosum)などのペニシリウム(Penicilium)属菌;ムコール・シルシネロイデス(Mucor
circinelloides)などのムコール(Mucor)属菌;ジェオトリクム・カンディデュム(Geotrichum Candidum)などのジェオトリクム(Geotrichum)属菌;モルティエレラ・ ヴィナセア(Mortierella vinacea)、モルティエレラ・アルピナ(Mortierella alpina)な
どのモルティエレラ(Mortierella)属菌;が例示される。
【0019】
代謝産物としては、微生物を、炭素源を含む培地で培養することにより生合成される物質であれば特に限定はされないが、元来微生物が生合成する有機化合物であることが好ましく、例えば、解糖系における代謝物であるピルビン酸、ホスホエノールピルビン酸と、これらを出発材料として合成されるアミノ酸、フマル酸、コハク酸、酢酸、乳酸などの有機酸や、脂肪酸、油脂、リン脂質、糖脂質、コレステロール等の脂質または、アルカロイド、イソプレノイド、グルコシド、ポリケタイドおよび非リボソームペプチドなどが含まれる。ここで、アミノ酸としては、タウリン、グリシン、ロイシン、バリン、アラニン、アスパラギン酸、メチオニン、リジン、アルギニン、プロリン、GABA、グルタミン酸などが例示される。
【0020】
前記代謝産物の生合成に関与する酵素(代謝酵素)としては、上記の代謝産物の生合成に関与する酵素であれば特に限定されないが、培養対象となる微生物が元来有する酵素であることが好ましい。例えば、解糖系の酵素であり、具体的には、ヘキソキナーゼ(HK)、グルコース6-リン酸イソメラーゼ(PGI)、ホスホフルクトキナーゼ(PFK)、グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAP)、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)、ピルビン酸キナーゼ(PYK)が挙げられるが、その中ではGAPおよびPFKがより好ましい。解糖系
酵素にペプチドタグを付加して発現させることで、ピルビン酸等の解糖系の代謝産物およびその下流のアミノ酸等の有機酸などの代謝産物の生産効率を向上させることができる。
【0021】
また、代謝産物が脂質である場合は、代謝酵素は脂質生産に係る酵素であることが好ましく例えば、Diacylglycerol acyltransferase type 2(DGA1)およびLysophosphatidic acid:oleoyl-CoA acyltransferase 1(LOA1)、6-phosphogluconate dehydrogenase(GND)、ATP citrate lyase(ACL1)、Acetyl-CoA carboxylase(ACC)、Glycerol-3-phosphate O-acyltransferase(SCT1)、Phosphatidate phosphatase(PAH1)、1-Acylglycerol-3-phosphate O-acyltransferases(SLC1)、Phospholipid:diacylglycerol acyltransferase(LRO1)、Glycerol-3-phosphate dehydrogenase(GPD1)、Diacylglycerol acyltransferase type 1(DGA2)が例示されるが、DGA1またはLOA1であることがより好ましい。脂質生合成酵素にペプチドタグを付加して発現させることで、オレイン酸、リノール酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸などの各種脂肪酸、それら各種脂肪酸から成るモノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド等の脂質の生産効率を向上させることができる。
【0022】
また、代謝産物がイソプレノイド類である場合は、代謝酵素はイソプレノイド類に係る酵素であることが好ましく、例えば、Hydroxymethylglutaryl-CoA reductase(HMGCR)、1-Deoxy-D-xylulose 5-phosphate synthases(DXS)が例示される。イソプレノイド類合
成酵素にペプチドタグを付加して発現させることで、リモネン、メントール、カンファーなどのモノテルペン類;アブシジン酸、幼若ホルモン、アルテミシニンなどのセスキテルペン類;アビエチン酸、タキソールなどのジテルペン類;スクアレン、リモニン、ラノステロールなどのトリテルペン類;カロテノイドのようなテトラテルペン類;の生産効率を向上させることができる。
【0023】
さらに、代謝産物がポリケタイド化合物(PKS)である場合、代謝酵素は目的のPKS化合物の生産に係るPKS構成因子(Ketosynthase (KS)、Acyltransfrase (AT)、Acyl carrier protein (ACP))等が例示される。
【0024】
本発明の方法において使用される微生物は、上記のような代謝産物の生合成に関与する1種以上の酵素が下記の(I)~(IV)のペプチドタグが付加された融合タンパク質とし
て発現するように改変されていることを特徴とする。
【0025】
<ペプチドタグ(I)>
ペプチドタグ(I)は下記のアミノ酸配列を有する。
1(PY1)qPZ1・・・(I)
【0026】
1はアルギニン(R)、グリシン(G)、セリン(S)、リジン(K)、トレオニン
(T)、ロイシン(L)、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)及びメチオニン(M)から独立に選択される0~5個のアミノ酸からなるアミノ酸配列を示す。
1が0個のアミノ酸の場合、ペプチドタグのN末端のアミノ酸はPとなる。
1が1個のアミノ酸の場合、R、G、S、K、T、L、N、Q及びMから選択される
アミノ酸がペプチドタグのN末端となる。
1は1個のアミノ酸の場合、Q、L、N、M又はTであることが好ましく、Q、M又
はTであることがより好ましい。
1が2~5個のアミノ酸の場合、2~5個のX1はR、G、S、K、T、L、N、Q、Mから選択される同じアミノ酸残基であってもよいし、異なるアミノ酸残基であってもよい。
1の個数は、好ましくは1~5個であり、より好ましくは2~5個であり、さらに好
ましくは2~3個であり、特に好ましくは2個である。
1は2~5個のアミノ酸の場合、C末側の2アミノ酸、すなわち(PY1)qの直前の2
アミノ酸がRQ、RL、RN、RK、RM又はRTであることが好ましく、RQ、RM又はRTであることがより好ましい。
【0027】
(PY1)qにおけるY1はR、G、K、T、L、N、Q及びMから独立に選択される1~
4個のアミノ酸からなるアミノ酸配列を示し、qは1~10の整数を示す。
すなわち、(PY1)qとはPY1、すなわち、Y1が1個のアミノ酸(PY1 a)、2個のアミノ酸(PY1 a1 b)、3個のアミノ酸(PY1 a1 b1 c)又は4個のアミノ酸(PY1 a1 b1 c1 d)なので、PY1 a、PY1 a1 b、PY1 a1 b1 c、及びPY1 a1 b1 c1 dのいずれか1つ以上が合計でq回連続することを意味する(Pはプロリンを示す)。なお
、PY1は好ましくは2個のアミノ酸(PY1 a1 b)又は3個のアミノ酸(PY1 a1 b1 c)である。qは1~10の整数であり、好ましくは2~10の整数、より好ましくは2
~5の整数、さらに好ましくは2~3の整数、特に好ましくは2である。
それぞれのY1はR、G、K、T、L、N、Q及びMから選択される同じアミノ酸残基
であってもよいし、異なるアミノ酸残基であってもよいが、q回連続するPY1に含まれる全てのY1(ペプチドタグに含まれる全てのY1)のうち、少なくとも1つは、Q、N、L、M又はTであることが好ましく、2つ以上がQ、N、L、M又はTであることがより好ましい。
【0028】
1はR、G、S、K、T、L、N、Q及びMからなる群より独立に選択される0~1
0個のアミノ酸からなるアミノ酸配列を示す。
1が0個のアミノ酸の場合、ペプチドタグのC末端のアミノ酸はPとなる。
1が1個のアミノ酸の場合、R、G、S、K、T、L、N、Q及びMから選択される
アミノ酸がペプチドタグのC末端となる。
1が2~10個のアミノ酸の場合、2~10個のZ1はR、G、S、K、T、L、N、Q及びMから選択される同じアミノ酸残基であってもよいし、異なるアミノ酸残基であってもよい。
1の個数は、好ましくは1~10個であり、より好ましくは1~5個であり、より好
ましくは2~5個であり、さらに好ましくは2~3個であり、特に好ましくは2個である

1は1個のアミノ酸の場合、R又はSであることが好ましく、Rであることがより好
ましい。
1は2~10個のアミノ酸の場合、C末側の2アミノ酸、すなわちペプチドタグの最
後の2アミノ酸がRSであることが好ましい。
【0029】
ペプチドタグに含まれるアミノ酸、すなわち、X1に含まれるアミノ酸、Y1に含まれるアミノ酸、及びZ1に含まれるアミノ酸のうち、Q、N、L、M及びTが合計で3つ以上
含まれることが好ましく、Q、M又はTが合計で3つ以上含まれることがより好ましい。ペプチドタグに含まれるアミノ酸のうち、Q、N、L、M及びTの合計の割合は好ましくは20~50%、より好ましくは20~30%である。
【0030】
第一のポリペプチドの長さは6~50アミノ酸であるが、6~40アミノ酸であることが好ましく、8~40アミノ酸であることがより好ましく、10~30アミノ酸であることがさらに好ましく、12~25アミノ酸であることがいっそう好ましく、12~20アミノ酸であることが特に好ましい。
【0031】
ペプチドタグ(I)の例としては、PX12-20(配列番号40)、PX12-20v7(配列番号3
8)、PX12-32(配列番号42)、PX12-33(配列番号44)、PX12-110(配列番号46)が挙げられる。また、特開2021-052728やWO2017/115853やPCT/JP2019/033792に開示され
た配列も挙げられる。
【0032】
<ペプチドタグ(II)>
ペプチドタグ(II)は下記のアミノ酸配列を有する。
2 2 PU1 q’・・・(II)
【0033】
ここで、Pはプロリンであり、Z2はKおよびNから選択されるアミノ酸残基であり、
nは1または2である。
したがって、一般式(II)には下記の6種類の配列が含まれる。
2 KPU1 q’・・・(II-1)
2 KNPU1 q’・・・(II-2)
2 KKPU1 q’・・・(II-3)
2 NPU1 q’・・・(II-4)
2 NKPU1 q’・・・(II-5)
2 NNPU1 q’・・・(II-6)
【0034】
2はそれぞれイソロイシン(I)、フェニルアラニン(F)、メチオニン(M)、ア
ラニン(A)、バリン(V)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、ヒスチジン(H)、バリン(V)、システイン(C)、アルギニン(R)から独立して選択されるアミノ酸残基である。
2 とはX2がm個連続することを意味し、この場合のm個のX2はI、F、M、A、
V、W、Y、H、V、C、Rから選択される同じアミノ酸残基であってもよいし、異なるアミノ酸残基であってもよい。
mは0、1、2または3であり、好ましくは0または1であり、より好ましくは1である。なお、上記(II-1)または(II-4)の配列においては、mは0ではないことが好ましい。
【0035】
1はそれぞれR、G、S、K、T、L、N、Hから独立して選択されるアミノ酸残基
である。例えば、U1はGである。
1 q’とはU1がq個連続することを意味し、この場合のq個のU1はR、G、S
、K、T、L、N、Hから選択される同じアミノ酸残基であってもよいし、異なるアミノ酸残基であってもよい。
は0、1、2または3であり、好ましくは0または1である。
【0036】
ペプチドタグ(II)は、長さが3~8アミノ酸であり、4~8アミノ酸であることがより好ましく、4~7アミノ酸であることがさらに好ましく、4~6アミノ酸であることがいっそう好ましく、4~5アミノ酸であることがよりいっそう好ましく、4アミノ酸であることが特に好ましい。
【0037】
ペプチドタグ(II)の具体例としては、特に制限されないが、例えば、後述の表1に示される配列番号50、52、54、56、60、66で表されるアミノ酸配列からなるペプチドである。
また、下記のようなアミノ酸配列からなるペプチドを使用することもできる。
HKPG(配列番号83) IKPG(配列番号84) MKPG(配列番号85) NKPG(配列番号86) CKPG(配列番号87) YKPG(配列番号88) FKPG(配列番号89) INKP(配列番号90) MNKP(配列番号91) FNKP(配列番号92) WNKP(配列番号93)
RKNP(配列番号94) AKNP(配列番号95) IKNP(配列番号96)
【0038】
<ペプチドタグ(III)>
ペプチドタグ(III)は下記のアミノ酸配列を有する。
3 m'3 n'2 q'’・・・(III)
【0039】
3はそれぞれI、F、M、A、VおよびRから独立して選択されるアミノ酸残基であ
り、好ましくはR、MまたはIであり、より好ましくはRである。
'は1または2であり、好ましくは1である。
3 とはX3が1個または2個連続することを意味し、m'が2の場合は、I、F、M
、A、V、Rから選択される同じアミノ酸残基が2個存在してもよいし、異なるアミノ酸残基が2個存在してもよい。
【0040】
3はKまたはNであり、n’は1または2であり、好ましくは1である。
3 n'とはZ3が1個または2個連続することを意味し、以下のいずれかである。


KK
NN
KN
NK
【0041】
2はそれぞれG、I、Q、V、H、L、A、D、E、R、Tから独立して選択される
アミノ酸残基である。例えば、U2はGである。
2 q'’とはU2がq個連続することを意味し、この場合のq'’個のUはG、I、Q、V、H、L、A、D、E、R、Tから選択される同じアミノ酸残基であってもよいし、異なるアミノ酸残基であってもよい。
'’は0、1、2または3であり、好ましくは1または2である。
【0042】
ペプチドタグ(III)は、長さが3~6アミノ酸であり、3~5アミノ酸であることが
より好ましく、4~5アミノ酸であることがさらに好ましく、4アミノ酸であることが特に好ましい。
【0043】
ペプチドタグ(III)の具体例としては、特に制限されないが、例えば、配列番号58
、62、64で表されるアミノ酸配列からなるペプチドである。
また、下記のようなアミノ酸配列からなるペプチドを使用することもできる。
RKQG(配列番号97) RKIG(配列番号98) MKQG(配列番号99) RKVG(配列番号100) RKKG(配列番号101) RKHG(配列番号102) IKEG(配列番号103)
RNKG(配列番号104) RNKL(配列番号105) RNKA(配列番号106) INKD(配列番号107) MNKE(配列番号108) RNKI(配列番号109) RNKE(配列番号110) RNKR(配列番号111) RNKT(配列番号112) RNKV(配列番号113)
RKND(配列番号114)
【0044】
<ペプチドタグ(IV)>
ペプチドタグ(IV)は下記のアミノ酸配列を有する。
4 m'’(JY2 n'’)q''’4 r・・・(IV)
【0045】
ここで、JはQ(グルタミン)、E(グルタミン酸)、G(グリシン)から選択されるアミノ酸である。ペプチドタグ(IV)に含まれるJはQ、E、Gから選択される2または3種類のアミノ酸残基であってもよいが、Q、E、Gから選択されるいずれか1種類のアミノ酸残基であることが好ましい。
したがって、ペプチドタグ(IV)の好ましい態様としては、後述の(IV-1)~(IV-3)のペプチドが挙げられる。
【0046】
4はR、G、S、K、T、L、N、Q、H、プロリン(P)から独立して選択される
アミノ酸残基であり、好ましくは、R、K、N、Qから独立して選択されるアミノ酸残基であり、(I)の配列において、JとしてQが含まれる場合は前記アミノ酸残基のうちQ以外であり、JとしてGが含まれる場合は前記アミノ酸残基のうちG以外である。
4m'’とはX4がm'’個連続することを意味し、この場合のm'’個のX4はR、G、
S、K、T、L、N、Q、H、Pから選択される同じアミノ酸残基であってもよいし、異なるアミノ酸残基であってもよい。m'’は0~5の整数であるが、好ましくは1~5の
整数、より好ましくは1~3の整数である。
4m'’としては、例えば、R(K/N/Q)(K/N)である。
【0047】
2はR、G、S、K、T、L、N、Q、H、Pから独立して選択されるアミノ酸残基
であり、好ましくはR、K、N、Qから独立して選択されるアミノ酸残基であり、(I)の配列において、JとしてQが含まれる場合は前記アミノ酸残基のうちQ以外であり、JとしてGが含まれる場合は前記アミノ酸残基のうちG以外である。
(JY2n'’)q''’とはJY2n'’、すなわち、n'’が1、2または3であるため、JY2、JY22またはJY222がq''’回連続することを意味する(JはQ、EまたはG
を示す)。JY2、JY22とJY222が合計でq''’回連続していればよい。
ここで、それぞれのY2はR、G、S、K、T、L、N、Q、H、Pから選択される同
じアミノ酸残基であってもよいし、異なるアミノ酸残基であってもよいが、各繰り返し単位JY2n'’に含まれるY2のうち、少なくとも1つはK、L、N、Q、HまたはRであり、少なくとも1つはK、N、QまたはRであることが好ましい。また、それぞれのJY2n'’に含まれるY2のうち、2つ以上がK、L、N、Q、HまたはRであることがより好ましく、2つ以上がK、N、QまたはRであることがさらに好ましい。なお、n'’は好ま
しくは2または3であり、より好ましくは、2である。q''’は1~10の整数であり、好ましくは2~10の整数、より好ましくは2~5の整数、さらに好ましくは2~3の整数である。
JY2'’としては、例えば、J(K/N/Q)(K/N)である。
【0048】
4はR、G、S、K、T、N、Q、H、Pから独立して選択されるアミノ酸残基であ
って、好ましくはR、Sから独立して選択されるアミノ酸残基であり、(IV)の配列にお
いて、JとしてQが含まれる場合は前記アミノ酸残基のうちQ以外であり、JとしてGが含まれる場合は前記アミノ酸残基のうちG以外である。
JZ4rとはJの後にZ4がr個連続することを意味し、この場合のr個のZ4はR、G、S、K、T、N、Q、Pから選択される同じアミノ酸残基であってもよいし、異なるアミノ酸残基であってもよい。rは0~10の整数であるが、好ましくは1~10の整数、より好ましくは1~5の整数である。
JZ4rとしては、例えば、JRSである。
【0049】
なお、ペプチドタグ(IV)において含まれるPの数は0または1個である。したがって、X4にPが1個含まれる場合にはY2およびZ4がPを含むことはなく、Y2にPが1個含まれる場合にはX4およびZ4がPを含むことはなく、Z4にPが1個含まれる場合にはX4およびY2がPを含むことはない。下記の(IV-1)~(IV-3)のペプチドにおいても同
様である。
【0050】
ペプチドタグ(IV)は、長さが6~50アミノ酸であるが、6~40アミノ酸であることがより好ましく、8~40アミノ酸であることがさらに好ましく、10~30アミノ酸であることがいっそう好ましく、10~25アミノ酸であることがよりいっそう好ましく、12~20アミノ酸であることが特に好ましい。
【0051】
ペプチドタグ(IV)の好ましい態様は、ペプチドに含まれるJがG、EまたはQのいずれか1種類である下記の(IV-1)~(IV-3)のペプチドである。
(IV-1)X4m''(QY2n'')q''’QZ4r
(IV-2)X4m''(EY2n'')q''’EZ4r
(IV-3)X4m''(GY2 '')q''’GZ4r
【0052】
(IV-1)において、X4およびY2はそれぞれR、G、S、K、T、L、N、H、Pか
ら独立して選択されるアミノ酸残基であり、好ましくは、R、K、Nから独立して選択されるアミノ酸残基である。
各繰り返し単位QY2n'’に含まれるY2のうち少なくとも1つはK、L、N、HまたはRを含み、少なくとも1つはK、NまたはRを含むことが好ましい。
4はR、G、S、K、T、N、H、Pから独立して選択されるアミノ酸残基である。
(IV-1)において、m'’、n'’、q''’、rは(IV)におけるm'’、n'’、q''
、rと同様に定義される数字であり、それぞれの好ましい範囲も同じである。したがって、X4'’はX4がQを含まない以外は(IV)で説明したX4'’と同じであり、(QY2n'’)q''’はY2がQを含まない以外は(IV)で説明した(JY2n'’)q''’においてJ=Qに読み替えたものと同じであり、QZ4rはZ4がQを含まない以外は(IV)で説明した
JZ4rにおいてJ=Qに読み替えたものと同じである。
【0053】
(IV-2)において、X4およびY2はそれぞれR、G、S、K、T、L、N、Q、H、
Pから独立して選択されるアミノ酸残基であって、好ましくは、R、K、N、Qから独立して選択されるアミノ酸残基である。
各繰り返し単位EY2n'’に含まれるY2のうち少なくとも1つはK、L、N、Q、HまたはRを含み、少なくとも1つはK、N、QまたはRを含むことが好ましい。
4はR、G、S、K、T、N、Q、H、Pから独立して選択されるアミノ酸残基であ
る。
(IV-2)において、m'’、n'’、q''’、rは(I)におけるm'’、n'’、q''
、rと同様に定義される数字であり、それぞれの好ましい範囲も同じである。したがって、X4'’は(IV)で説明したX4'’と同じであり、(EY2n'’)q''’は(IV)で説明した(JY2n'’)q''’においてJ=Eに読み替えたものと同じであり、EZ4rは(IV)で説明したJZ4rにおいてJ=Eに読み替えたものと同じである。
【0054】
(IV-3)において、X4およびY2はそれぞれR、S、K、T、L、N、Q、H、Pか
ら独立して選択されるアミノ酸残基であって、好ましくは、R、K、N、Qから独立して選択されるアミノ酸残基である。
各繰り返し単位GY2n'’に含まれるY2のうち少なくとも1つはK、L、N、Q、HまたはRを含み、少なくとも1つはK、N、QまたはRを含むことが好ましい。
4はR、S、K、T、N、Q、H、Pから独立して選択されるアミノ酸残基である。
(IV-3)において、m'’、n'’、q''’、rは(IV)におけるm'’、n'’、q''’、rと同様に定義される数字であり、それぞれの好ましい範囲も同じである。したがって、X4'’はX4がGを含まない以外は(IV)で説明したX4'’と同じであり、(GY2n'’)q''’はY2がGを含まない以外は(IV)で説明した(JY2n'’)q''’においてJ=Gに読み替えたものと同じであり、GZ4rはZ4がGを含まない以外は(IV)で説明したJ
4rにおいてJ=Gに読み替えたものと同じである。
【0055】
ペプチドタグ(IV)の具体例としては、特に制限されないが、例えば、配列番号48で表されるアミノ酸配列からなるペプチドである。
また、下記のようなアミノ酸配列からなるペプチドを使用することもできる。
RKNEKNEKNERS(配列番号115)
RNKQNKQNKQRS(配列番号116)
RQNEQNEQNERS(配列番号117)
【0056】
上記のようなタグが酵素タンパク質に連結した融合タンパク質を微生物に発現させる。酵素タンパク質のN末端にペプチドタグが結合してもよいし、酵素タンパク質のC末端にペプチドタグが結合してもよいし、酵素タンパク質のN末端とC末端の両方にペプチドタグが結合してもよい。酵素タンパク質のN末端および/またはC末端にペプチドタグが直接結合してもよいし、1~数アミノ酸(例えば、1~5アミノ酸)の配列を介して結合してもよい。ペプチドタグは2種類以上連結させてもよい。
【0057】
ペプチドタグと酵素タンパク質の融合タンパク質を微生物に発現させるには、当該融合タンパク質をコードするDNAを微生物細胞に導入して形質転換微生物を得ることが好まし
い。
【0058】
このようなDNAは、酵素タンパク質をコードするDNA、およびペプチドタグをコードするDNAは読み枠を合わせて連結することで得ることができる。
【0059】
酵素タンパク質をコードするDNAは、例えば、公知の塩基配列に基づいて、一般的な遺
伝子工学的な手法により得ることができ、ペプチドタグをコードするDNAは公知の核酸合
成法で得ることができる。
なお、融合タンパク質をコードするDNAは、該タンパク質を生産させる宿主細胞に応じ
て、当該融合タンパク質の翻訳量が増大するように、融合タンパク質を構成するアミノ酸を示すコドンが適宜改変されていることも好ましい。また、宿主細胞において使用頻度の高いコドンを選択したり、GC含量が高いコドンを選択したり、宿主細胞のハウスキーピング遺伝子において使用頻度の高いコドンを選択したりする方法が挙げられる。
【0060】
融合タンパク質をコードするDNAは、宿主細胞における発現を向上させるために、宿主
細胞において機能するエンハンサー配列等を含むものであってもよい。エンハンサーとしては、Kozak配列等が挙げられる。
【0061】
融合タンパク質をコードするDNAは、一般的な遺伝子工学的手法により作製することが
でき、例えば、本発明のペプチドタグをコードするDNA、および有用タンパク質をコード
するDNA等をPCRやDNAリガーゼ等を用いて連結することで構築することができる。
【0062】
融合タンパク質をコードするDNAは、組換えベクターを用いて微生物に導入されること
が好ましい。導入は細胞内に保持させる形式でもよいし、染色体上に組み込む形式でもよい。組換えベクターは、前記融合タンパク質をコードするDNAが、ベクターが導入される
宿主細胞において発現可能なように、ベクター内に挿入されているものであればよい。ベクターは、宿主細胞において複製可能なものであれば特に制限されず、例えば、プラスミドDNA、ウイルスDNA等が挙げられる。また、ベクターは薬剤耐性遺伝子等の選択マーカーを含むことが好ましい。プラスミドベクターは宿主に応じて適宜選択できるが、例えば、pTrcHis2ベクター、pUC119、pBR322、pBluescript II KS+、pYES2、pAUR123、pQE-Tri、pET、pGEM-3Z、pGEX、pMAL、pRI909、pRI910、pBI221、pBI121、pBI101、pIG121Hm、pTrc99A、 pKK223、pA1-11、pXT1、pRc/CMV、pRc/RSV、pcDNA I/Neo、p3×FLAG-CMV-14、pCAT3、pcDNA3.1、pCMV等が例示される。
【0063】
ベクター内で用いられるプロモーターは、ベクターが導入される宿主細胞に応じて適宜選択することができる。例えば、酵母で発現させる場合、GAL1プロモーター、PGK1プロモーター、TEF1プロモーター、ADH1プロモーター、TPI1プロモーター、PYK1プロモーターなどが使用可能である。植物で発現させる場合、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモ
ーター、イネのアクチンプロモーター、トウモロコシのユビキチンプロモーター、レタスのユビキチンプロモーターなどが使用可能である。大腸菌で発現させる場合、T7プロモーターなどが挙げられ、ブレビバチルスで発現させる場合、P2プロモーターやP22プロモー
ターなどが挙げられる。誘導可能なプロモーターであってもよく、例えば、IPTGにより誘導可能なプロモーターであるlac、tac、trcの他、IAAで誘導可能なtrp、L-アラビノース
で誘導可能なara、テトラサイクリンを用いて誘導可能なPzt-1、高温(42℃)で誘導可能なPLプロモーター、コールドショック遺伝子の一つであるcspA遺伝子のプロモーターなどが使用できる。また、必要に応じ、ターミネーター配列も宿主細胞に応じて含めることができる。
【0064】
組換えベクターは、例えば、DNA構築物を適当な制限酵素で切断又はPCRによって制限酵素部位を付加し、ベクターの制限酵素部位またはマルチクローニングサイトに挿入することによって作製することができる。
【0065】
組換えベクターの微生物細胞への導入は、一般的な遺伝子工学的手法を用いて行うことができる。例えば、エレクトロポレーション法(Tada, et al., 1990, Theor.Appl.Genet, 80:475)、プロトプラスト法(Gene, 39, 281-286(1985))、ポリエチレングリコール法(Lazzeri, et al., 1991, Theor. Appl. Genet. 81:437)、アグロバクテリウムを利用した導入方法(Hood, et al., 1993, Transgenic, Res. 2:218,Hiei, et al.,1994 Plant J. 6:271)、パーティクルガン法(Sanford, et al., 1987, J. Part. Sci.tech.
5:27)、ポリカチオン法(Ohtsuki, et al., FEBS Lett. 1998 May 29;428(3):235-40.)などの方法を用いることが可能である。なお、遺伝子発現は一過的発現でもよく、染色体に組み込まれる安定的発現でもよい。
【0066】
上記のようなペプチドタグと酵素の融合タンパク質を発現する微生物を炭素源を含む培地で培養することで、微生物は目的の代謝産物を効率よく生産することができる。
【0067】
培養に用いる炭素源は微生物が資化しうるものを使用することができるが、具体的には、糖(グルコース、ラクトース、グリセロール、アラビノース、リボース、キシロース、ガラクトース、フルクトース、マンノース、イノシトール、マンニトール、ソルビトール、グルコサミン、N-アセチルグルコサミン、セロビオース、マルトース、スクロース、トレハロース、キシリトールなど)もしくは糖源原料が例示される。糖源原料とは、微生物
が生産するアミラーゼやセルラーゼ等の酵素により上述の糖を遊離する基質であり、デンプン、セルロース、ペクチン、キチンなどの多糖および稲わら、麦わら、もみ殻、食品廃棄物、建設発生木材、製材工場残材などのバイオマスを例とする原料が例示される。
【0068】
培地には炭素源以外の成分が含まれてもよい。その他の培地成分としては、アンモニウム塩、硝酸塩、尿素、大豆加水分解物、カゼイン分解物、ペプトン、酵母エキス、肉エキス、コーンスティープリカーなどの各種の有機、無機の窒素化合物が挙げられる。無機塩としては各種リン酸塩、硫酸塩、マグネシウム、カリウム、マンガン、鉄、亜鉛等の金属塩が用いられる。また、ビオチン、パントテン酸、イノシトール、ニコチン酸等のビタミン類、ヌクレオチド、アミノ酸などの生育を促進する因子を必要に応じて添加することができる。
【0069】
培養温度は微生物の生育至適温度に基づいて適宜設定すればよいが、通常、25℃~40℃、好ましくは30℃~37℃である。培養時間も特に制限はなく、目的の代謝物が蓄積されるに足りる時間であればよいが、例えば、1時間~120時間が好ましく、3時間~72時間とすることができる。
【0070】
以上のような培養行程により、代謝産物が産生され、培地中または菌体中に蓄積する。培地中に蓄積した代謝産物は、常法に従って、反応液より採取することができる。具体的には、例えば、遠心分離、ろ過等により菌体等の固形物を除去した後、カラムクロマトグラフィーにより精製するなどして、採取することができる。菌体中に蓄積した代謝産物は菌体を破砕したのち、破砕液から同様に採取することができる。
【実施例0071】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の態様は以下の実施例の態様には限定されない。
【0072】
1.実験方法及び材料
(1)大腸菌-コリネ菌シャトルベクターの構築
コリネ菌用の複製開始点pCG1 ori(図1 pUC-seq1)、代謝酵素発現用のtacプロモーター、マルチクローニングサイトおよびrrnBターミネーター(図1pUC-seq2)、大腸菌用の複製開始点colE1 oriおよびカナマイシン耐性遺伝子KanR図1 pUC-seq3)を含むDNAは株式会社ファスマックで合成した。pUC-seq2を鋳型DNAとし、プライマーセット(tacMCS-F
およびtacMCS-R)を用いてPCRを行い、増幅断片Aを得た。同様にpUC-seq3を鋳型DNAとし
、プライマーセット(oriKan-FおよびoriKan-R)を用いてPCRを行い、増幅断片Bを得た。PCR増幅条件は、94℃、5分間加熱した後、98℃、10秒間、60℃、 30秒間、68℃, 40秒間の
加熱処理を30サイクル行い、最後に68℃で5分間加熱とした。またpUC-Seq1をKpnIおよびBglIIを用いて切断した(断片C)。増幅断片A、増幅断片Bおよび断片CをIn-fusion HD Cloning Kit(TaKaRa)を用いて連結後、コンピテントセルDH5αと混合し、カナマイシン選
択培地で一晩培養を行った。得られたコロニーからプラスミドDNAを抽出し、大腸菌-コリネ菌シャトルベクター(pECKAN2)を取得した。
【0073】
(2)コリネ菌由来GAPAおよびPFK発現用プラスミドの構築
コリネ菌由来のグリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPA)をコードするDNA(配列番号29)およびホスホフルクトキナーゼ(PFK)をコードするDNA(配列番号31)は、株式会社ファスマックで合成した(pGAPAおよびpPFK)。pGAPAおよびpPFKを鋳型DNAとし、5’末端にペプチドタグ(表1)を連結したプライマーセット(表2)(核プラ
イマーの配列を表3に示す)を用いてPCRを行い、増幅断片を得た。上記増幅断片をpECKAN2のNdeIおよびXbaIサイトに挿入し、GAPA発現用プラスミドおよびPFK発現用プラスミドを構築した。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】
【表3】
【0077】
(3)ppcおよびldhA破壊用プラスミドの構築
コリネ菌(C.glutamicum ATCC13032)の染色体を鋳型にプライマーセット(表2)(各プ
ライマーの配列は表3)を用いてppcの5’末端および3’末端の増幅断片を得た(1st PCR)。次に上記増幅断片を鋳型DNAとしてプライマーセット(L-5ppc-FwおよびL-3ppc-Rv)を
用いて2nd PCRを行い、増幅断片(Δppc)を得た。またプライマーセット(表2)(各プラ
イマーの配列は表3)を用いてldhAの5’末端および3’末端の増幅断片を得た(1st PCR)
。次に上記増幅断片を鋳型DNAとしてプライマーセット(5ldhA-Fwおよび3ldhA-Rv)を用
いて2nd PCRを行い、増幅断片(ΔldhA)を得た。ΔppcおよびΔldhAをEcoRIおよびHindIIIで切断し、pK18mobsacBのEcoRIおよびHindIIIサイトに挿入し、ppcおよびldhA破壊用プラスミド(pC-ΔppcおよびpC-ΔldhA)を構築した。
【0078】
(4)ppc、ldhA二重破壊株の構築
コリネ菌(C.glutamicum ATCC13032)をA培地で前培養した後、100 mlの改変A培地に植え継ぎ、一晩本培養を行った。前培養および本培養の条件は30℃/180rpmおよび18℃/120rpmとした。A培地および改変A培地の組成は表4に記載した。本培養終了後、氷上で培養液を10分間冷却した後、遠心(4,000g/4℃/10分間)により回収した菌体を50 mlの10%(v/v)glycerolに懸濁した。遠心(4,000g/4℃/10分間)により回収した菌体を5 mlの10%(v/v)glycerolに懸濁し、コンピテント細胞とした。コンピテント細胞100 μlにppc破壊用プラスミド(pC-Δppc)1μgを混合し、600Ω、2.5Vの電気パルスを与えた後、1 mlのA培地(9% ソルビトール添加)を添加した。30℃で1.5時間回復培養を行った後、カナマイシンを含むA寒天
培地で培養し、生えてきたコロニーを取得した。上記コロニーをA液体培地で一晩培養し
た後、10%スクロースを含むA寒天培地に植菌した。一晩培養して得られたコロニーの中から、カナマイシンに感受性のものを選択し、ppc破壊株とした。続いてppc破壊株とpC-ΔldhAを用いて、上記と同様の手順でppc、ldhA二重破壊株を取得した。
【0079】
【表4】
【0080】
(5) GAPAおよびPFK発現株の構築
コリネ菌(C.glutamicum ATCC13032)の野生株およびppc、ldhA二重破壊株のコンピテン
ト細胞100μlと1μgのGAPAおよびPFK発現量プラスミドDNAを混合し、電気パルスを与え、1 mlのA培地(9% ソルビトール添加)で1.5時間回復培養を行った。カナマイシンを含むA寒天培地で一晩培養し、GAPA高発現株およびPFK高発現株を取得した。
【0081】
(6)GAPAおよびPFK発現量の評価
コリネ菌を100 mlのA培地入りのバッフルフラスコ中で一晩振とう培養を行った。培養
条件は30℃、180 rpmとした。培養液1mlを遠心分離(13,000 rpm/5分間)し、回収した菌体を4 mg/mlリゾチームを含むxTractor Buffer(TaKaRa)100 μlに懸濁した後、37℃で30分間処理した。遠心分離(13,000 rpm/5分間)により上清を回収し、等量の2×SDSサンプ
ルバッファー(アト―社)を混合後、10分間煮沸し、ウェスタンブロットに供試した。ウェスタンブロットの一次抗体にはAnti-His-tag Mouse mAb D291-3(MBL)、二次抗体にはAnti-Mouse IgG(AP-linked antibody)(Cell Signaling)を使用した。発現量の定量は、画像解析ソフト(CS Analyzer ver. 3.0、アトー株式会社)を用いてバンドの濃淡を比較することで行った。
【0082】
(7)GAPAおよびPFKの活性評価
GAPA発現株およびPFK発現株を100 mlのA培地で一晩培養を行い、遠心分離(13,000rpm/10分間)により菌を回収した。4 mg/mlリゾチームを含むxTractor Buffer(TaKaRa)100 μlに懸濁した後、37℃で30分間処理した。遠心分離(13,000 rpm/5分間)により上清を回収
し、菌体粗抽出物とした。PFKについては、上清をさらに限外濾過(Amicon ultra-10k)
したものを粗抽出物とした。精製GAPAはGAPAを含む上清をタンパク質精製キットTALON Metal affinity Resin(TaKaRa)で精製することで取得した。GAPA活性評価はGAPDH活性ア
ッセイキット(Cell Biolabs)、PFKの活性評価はPFK活性アッセイキット(MERCK)を用
いて行った。
【0083】
(8)GAPA高発現株におけるピルビン酸および遊離アミノ酸量の評価
GAPA高発現株を100 mlのA培地で一晩前培養した後、遠心分離(13,000 rpm/5分間)によ
り菌体を回収した。菌体を10 mlのBT培地(表4)に懸濁し、30 ml遠心管に移した後、密
閉した状態で72時間本培養を行った。培養条件は、前培養は33℃、180rpm、本培養は33℃、120rpmとした。培養液を遠心分離(13,000 rpm/5分間)し、上清中のピルビン酸および遊離アミノ酸を定量した。ピルビン酸の測定はピルビン酸定量キット(BioVision)を用いて
行った。遊離アミノ酸の測定はHPLC法で実施した(JAPAN TESTING LABORATORIES株式会社)。
【0084】
(9) 大腸菌-Yarrowia lipolyticaシャトルベクターの構築
Yarrowia lipoytica内でのプラスミド複製に係るori1001(GenBank:EU340887.1)およびCentromere1.1(GenBank:AF099207.1)、大腸菌内でのプラスミド複製に係るColE1 ori、ハ
イグロマイシン耐性遺伝子 (HYG)、代謝酵素発現に係るTEFプロモーター、マルチクロー
ニングサイトおよびCYC1ターミネーターから成るプラスミドを株式会社ファスマックで合成し、プラスミド3(pEYHYG)を取得した(図2、配列番号118)。
【0085】
(10) 各種タグ付加酵素をコードするYarrowia lipolytica用遺伝子発現プラスミドの構築
各種タグを付加する脂質生合成系酵素として、1) Diacylglycerol acyltransferase type2(DGA1、配列番号34)、2) Lysophosphatidic acid:oleoyl-CoA acyltransferase 1(LOA1、配列番号36)を用いた。これら酵素をコードするDNA(配列番号33,35)
は、Yarrowia lipolyticaより抽出したゲノムDNAをテンプレートとしてPCR反応によって
得た。
具体的には、各種酵素のNまたはC末端に各種タグ(表5)を付加するために、表6に示したように、ゲノムDNA、フォワードプライマー、リバースプライマーの組み合わせによるPCRを実施した。各プライマーの5’末端にはプラスミド3との相同配列を付加した。得られた増幅断片はQIAquick PCR Purification Kit(QIAGEN)で精製した後、Not I、Hind IIIで消化したプラスミド3に、In-Fusion HD Cloning Kit(TaKaRa)を用いて挿入し発現用
プラスミドを得た(図3図4)。次に、コンピテントセルDH5-α(株式会社ニッポンジーン)に構築したプラスミドを導入し、クローニングを行った。次に、プラスミドを抽出し、塩基配列を確認後、酵母の形質転換に用いた。
【0086】
【表5】
【0087】
【表6-1】
【表6-2】
【0088】
(11)Yarrowia lipolyticaの形質転換
Yarrowia lipolyticaを YPD-Rich培地150 mL(2% yeast extract, 4% peptone, 4% D-g
lucose, 0.01% Tryptophan, 0.002% Adenine)で28℃、180rpm、16~18時間、振盪培養した。濁度(OD600)が16~24になったのを確認後、培養物を遠心分離後、沈殿に1Mソルビ
トールを加え、懸濁後、再び遠心分離を行った。沈殿に再び1Mソルビトールを加え、菌体を懸濁後、遠心分離を行い、上清を除去した後、沈殿に1Mソルビトールを加えるとともに、形質転換用に構築した各種プラスミドDNA溶液を加え、ボルテックスミキサーで混合し
た。
上記の懸濁液200μLをエレクトロポレーション用0.2 cmキュベット(Bio-Rad社製 Gene Pulser Cuvette)に分注し、Micro Pulser(Bio-Rad社製)を用いて、エレクトロポレー
ションを3.0 KVの電圧で、一つのサンプルにつき2回実施した。サンプル懸濁液200μLにYPD-Rich培地を1,200μL加え、28 ℃、200 rpmで1時間振盪した。振盪後、遠心分離を行い、沈殿に1 mLの1Mソルビトールを加え、沈殿を懸濁し、YPDmプレート培地(0.2% yeast extract, 5% peptone, 0.1% D-glucose, 50mM ナトリウム-リン酸緩衝液 pH6.8, 2% Agar
)に塗布した。28℃で5~7日静置培養し、形質転換コロニーを得た。
【0089】
(12) Yarrowia lipolyticaの培養とサンプリング
PCRにより目的遺伝子の導入の確認できたクローンを、116YPD培地(1% ペプトン、1%
酵母エキス、6% グルコース)4 mLを分注した15 mL滅菌ラウンドチューブにOD600が0.1になる量を植菌し、28℃、200rpmで所定の時間振盪培養を行った。
培養2日後と4日後に、Oリングレススクリューキャップチューブ(WATOSON Bio Lab製)に培養物1.0 mLを分取し、油糧測定用サンプルとした。併せて、培養物100μLを1.5mLエッ
ペンドルフチューブに分取し、各酵素のウェスタン解析用サンプルとした。
【0090】
(13) Yarrowia lipolyticaからの酵素抽出
酵素抽出はAkira Hosomi らの方法(Akira Hosomi, et al,: J Biol Chem, 285, (32),
24324-24334, 2010)に従い、(4)でサンプリングした試料に1.0mLの0.1N NaOH溶液を加え、ボルテックスミキサーにて菌体を懸濁した後、氷冷化10分静置した。次に、4℃、15,000g、5分間遠心分離を行い、上清を棄てた後、沈殿を回収した。
【0091】
(14)ウェスタン解析
得られた酵素沈殿に100μLのサンプルバッファー(EZ Apply、ATTO製)を加え、ボルテックスミキサーにて撹拌後、沸騰水中で10分間加温し、サンプルのSDS化を行った。タン
パク質定量時の標準物質にはC末端に6×Hisタグを付加した精製GFPを標品として用いた。これをサンプルバッファーで2倍希釈を繰り返すことにより希釈系列を作成し、これらを
スタンダードとして用いた。酵素の電気泳動(SDS-PAGE)は、電気泳動槽(Criterion cell、Bio-Rad社製)およびCriterion TGX-ゲル(Bio-Rad社製)を用いた。電気泳動槽を泳動バッファー(Tris/Glycine/SDS Buffer、Bio -Rad社製)で満たし、ゲルウェルにSDS化したサンプルを15μLアプライし、200 V定電圧で40分間泳動した。電気泳動後のゲルは、トランスブロット転写パック(Bio-Rad社製)を用い、トランスブロットTurbo(Bio-Rad
社製)でブロッティングを行った。
ブロッティング後のメンブレンはブロッキング溶液(TBS系, pH7.2、ナカライテスク)に浸し、室温で1時間振盪後、TBS-T(137 mM 塩化ナトリウム、2.68 mM 塩化カリウム、1% ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、25 mM Tris-HCl、pH 7.4)中で室温、5分間の振盪を3回行い洗浄した。各種発現酵素の検出には、抗血清Mouse-monoclonal Anti-6×Hisタグ antibody(abcam) をTBS-Tで3,000倍希釈して使用した。本希釈液中にメ
ンブレンを浸し、室温で2時間振盪することにより抗原抗体反応を行い、TBS-T中で室温、5分間の振盪を3回行い洗浄した。二次抗体には、Anti-Mouse IgG, AP-linked Antibody(Cell Signaling TECHNOLOGY)を使用した。本希釈液中にメンブレンを浸し、室温で1時間振盪することにより抗原抗体反応を行い、TBS-T中で室温、5分間の振盪を3回行い洗浄し
た。アルカリホスファターゼによる発色反応は、発色液(0.1 M 塩化ナトリウム、5 mM
塩化マグネシウム、0.33 mg/mLニトロブルーテトラゾリウム、0.33 mg/mL 5-ブロモ-4-ク
ロロ-3-インドリル-リン酸、0.1 M Tris-HCl、pH9.5、)中にメンブレンを浸し、室温で15分間振盪することにより行い、メンブレンを蒸留水で洗浄した後、常温で乾燥した。
発色したメンブレンはスキャナー(PM-A900、エプソン)により解像度600 dpiで画像化し、画像解析ソフト(CS Analyzer ver. 3.0、アトー)を用い、各種酵素の発現量を測定した。
【0092】
(15)油脂量の測定
油脂量の測定は、ラボアッセイ トリグリセライド(富士フィルム和光純薬株式会社)を用いて実施した。先ず、1.5 mLのOリングレススクリューキャップチューブ(WATOSON Bio Lab製)にYarrowia lipolyticaの培養サンプル1.0 mLを分取し、7,000 g、10分間、遠心分離を実施。上清をピペットで抜き取り、沈殿に滅菌蒸留水0.7 mLを加え、ボルテックスミキサーで沈殿を再懸濁後、再び7,000 g、10分間、遠心分離を実施。上清をピペット
で除去後、沈殿を凍結乾燥機で乾燥した。乾燥した沈殿に260μLの滅菌蒸留水と40μLの10×PBS緩衝液(富士フィルム和光純薬株式会社)を加えボルテックスミキサーで沈殿を懸濁した後、沸騰浴中で10分間加熱し、リパーゼを失活させた。次に、それらサンプルにZymolyase溶液(Zymolyase-20T(Nacalai Tesque, Inc.) 25 mg/mL)を100μL加え、37℃
で1時間振盪した。更に、各サンプルにガラスビーズ(425-600μm)200μLとn-ヘキサンを500μL加え、1時間、ボルテックスミキサーで油分の抽出を行った。各サンプルに次にn-ヘキサンを500μL加え1時間、ボルテックスミキサーで油分の抽出を再度行った。更に、各サンプルを10,000 gで5分間、遠心分離を行い水相とヘキサン相を分離させた。
各サンプルの上記n-ヘキサン相を96穴マイクロプレートに2μL分注し、調製済の発色試薬(ラボアッセイ トリグリセライド)を200μL分注し、37℃で3時間インキュベートし
た。発色したサンプルは、マイクロプレートリーダーを用いて、600 nmと700 nmで吸光度を測定し、600 nmの吸光度から700 nmの吸光度を差し引いた値を各サンプルの測定値とした。一方、植物油をn-ヘキサンに溶解(100 mg/mL)後、n-ヘキサンで2倍希釈系列を調製し、上記サンプルと同様に発色後、吸光度を測定し、検量線を作製しサンプル中の油脂の定量を行った。
【0093】
2.結果
(1) ペプチドタグを用いた代謝酵素(GAPAおよびPFK)の発現量評価
従来法であるプラスミドDNAを用いた方法(比較例)および上記従来方法にペプチドタ
グ付加を組合せた方法(実施例)を用いてGAPAおよびPFKの発現量の比較を行った。GAPA
の発現量はペプチドタグの付加により、最大で17倍(大腸菌, 図5, 実施例5)および1.8
倍向上した(コリネ菌, 図5, 実施例9)。またPFKの発現量は、最大で3.5倍(大腸菌, 図6, 実施例2)および2.5倍向上した(コリネ菌, 図6, 実施例11)。
【0094】
(2) GAPAおよびPFK酵素活性評価
代謝物の生産性向上のためには、ぺプチドタグによる代謝酵素の高発現に伴う細胞内での上記酵素活性の向上が重要となる。そこで、ペプチドタグ付加によりGAPAが高発現した大腸菌の粗抽出物を用いてGAPA活性を測定した結果、GAPA活性は最大で6.5倍向上した(
図7, 実施例27)。またPFKを高発現させたコリネ菌でも、GAPAと同様に粗抽出物中のPFK
活性が1.5倍向上した(図7, 実施例28)。精製したGAPAを用いて酵素活性を測定した結果、ペプチドタグを付加したGAPA(実施例)はペプチドタグ付加前のGAPA(比較例)と同程度の酵素活性を保持していた(図8, 実施例29、30)。以上の結果から、ペプチドタグ付
加により酵素活性を保持した状態で当該酵素が高発現したことで、細胞内における総酵素活性が向上したといえる。
【0095】
(3) ペプチドタグを用いたGAPA高発現株における各種代謝物の生産性評価
コリネ菌の培養上清中のピルビン酸濃度を測定した結果、ペプチドタグ付加によりGAPAを高発現した場合(実施例)、ピルビン酸濃度は最大で3.5倍向上した(図9)。また培養
上清中の遊離アミノ酸量を測定した結果、ピルビン酸から合成されるロイシン、バリン、およびアラニンの生産性が向上した(図10)。また、ピルビン酸の前駆物質であるホスホエノールピルビン酸(PEP)から合成されるフェニルアラニンの生産性も向上した。さらに
、驚くべきことにピルビン酸に続くTCA回路を経由して合成されるグルタミン酸、アルギ
ニン、プロリン、GABA、アスパラギン酸、アスパラギン、リジンおよびメチオニンについても生産性の向上が確認された。
以上の結果から、ペプチドタグを従来法の代替もしくは従来法と組合せて使用することで代謝酵素が高発現し、これによって従来法に比べて代謝物の生産性をさらに向上可能であるといえる。特にGAPA等の解糖系と呼ばれる代謝経路の上流で働く酵素へのペプチドタグの適用は、解糖系の下流に位置する広範な代謝物の生産性向上に効果があると言える。
【0096】
(4) ペプチドタグを用いた代謝酵素(DGA1およびLOA1)の発現量評価(図11
タグ無し(Tag(-))を対象として、DGA1のN及びC末端に各種タグを付加し、当該酵素の発現量に対する各種タグの付加効果を確認した。その結果、グラフに示すように、検討を実施した何れの組合せにおいてもタグの付加により当該酵素の発現量は増加していた。特に、RNKP若しくはVNKEをN末端に付加した場合、及びPX12-20をC末端に付加した場合に顕
著な増加が見られた。
タグ無し(Tag(-))を対象として、LOA1のN末端に各種タグを付加し、当該酵素の発現
量に対する各種タグの付加効果を確認した。その結果、グラフに示すように、検討を実施した何れの組合せにおいてもタグの付加により当該酵素の発現量は増加していた。特に、RNKD若しくはRNKQをN末端に付加した場合に顕著な増加が見られた。
【0097】
(5) ペプチドタグを用いたDGA1およびLOA1高発現株における油脂生産量評価(図12
タグ無し(Tag(-))を対象として、DGA1のN及びC末端に(4)で当該酵素の発現量の増加
を確認した各種タグの、油脂生産量に対する影響を確認した。その結果、グラフに示すように、検討を実施した何れの組合せにおいてもタグの付加により油脂生産量は増加していた。また、当該酵素の発現量増加と油脂生産量増加の間に相関性が確認できた。
タグ無し(Tag(-))を対象として、LOA1のN末端に(4)で当該酵素の発現量を増加させることを確認した各種タグの、油脂生産量に対する影響を確認した。その結果、グラフに示すように、検討を実施した何れの組合せにおいてもタグの付加により油脂生産量は増加していた。また、当該酵素においても発現量増加と油脂生産量増加の間に相関性が確認できた。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【配列表】
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