(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023053927
(43)【公開日】2023-04-13
(54)【発明の名称】PPARα活性化剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9794 20170101AFI20230406BHJP
A61K 36/88 20060101ALI20230406BHJP
A61K 36/48 20060101ALI20230406BHJP
A61K 36/539 20060101ALI20230406BHJP
A61K 36/739 20060101ALI20230406BHJP
A61K 36/73 20060101ALI20230406BHJP
A61K 36/82 20060101ALI20230406BHJP
A61K 36/889 20060101ALI20230406BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20230406BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230406BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20230406BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20230406BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230406BHJP
A61P 17/16 20060101ALI20230406BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
A61K8/9794
A61K36/88
A61K36/48
A61K36/539
A61K36/739
A61K36/73
A61K36/82
A61K36/889
A61K8/9789
A61Q19/00
A61Q1/00
A61Q5/00
A61P17/00
A61P17/16
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157367
(22)【出願日】2022-09-30
(31)【優先権主張番号】P 2021162499
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(71)【出願人】
【識別番号】000113908
【氏名又は名称】マルホ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104802
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 尚人
(74)【代理人】
【識別番号】100186772
【弁理士】
【氏名又は名称】入佐 大心
(72)【発明者】
【氏名】土井 健史
(72)【発明者】
【氏名】橘 敬祐
(72)【発明者】
【氏名】福田 昭平
(72)【発明者】
【氏名】福島 純
(72)【発明者】
【氏名】阪田 昌弘
【テーマコード(参考)】
4C083
4C088
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083CC02
4C083CC31
4C083EE12
4C083EE13
4C088AB12
4C088AB38
4C088AB45
4C088AB51
4C088AB71
4C088AB83
4C088AC03
4C088AC04
4C088AC05
4C088AC11
4C088AC12
4C088BA08
4C088CA03
4C088MA07
4C088MA63
4C088NA14
4C088ZA89
(57)【要約】
【課題】ガマエキスの新たな作用ないし用途、あるいはその作用ないし用途に基づく化粧料を提供すること。
【解決手段】本発明として、例えば、ガマエキスを有効成分として含有する、PPARα活性化剤を挙げることができる。
本発明によれば、皮膚の表皮に存在するPPARαを活性化することができるので、皮膚のバリア機能を効果的に改善することができる。また、皮膚のバリア機能が正常に保たれると、皮膚は適度に水分を保持することができる。その結果、きめの整った美肌を維持することができるので、本発明は美容にも効果を有しうる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガマエキスを有効成分として含有する、PPARα活性化剤。
【請求項2】
前記ガマエキスが、ヒメガマの花穂から抽出されるエキスである、請求項1に記載のPPARα活性化剤。
【請求項3】
さらに他のエキスを含有する、請求項1に記載のPPARα活性化剤。
【請求項4】
前記他のエキスが、アセンヤクエキス、オウゴン根エキス、ワレモコウエキス、テンチャエキス、チャ葉エキス、アサイヤシ果実エキス、またはキイチゴ果汁である、請求項3に記載のPPARα活性化剤。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のPPARα活性化剤を含む、皮膚バリア機能改善剤。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか一項に記載のPPARα活性化剤を含む、皮膚外用剤。
【請求項7】
請求項1~4のいずれか一項に記載のPPARα活性化剤を含む、化粧料。
【請求項8】
化粧料が、スキンケア化粧料、美肌化粧料、機能性化粧料、メイクアップ化粧料、毛髪用化粧料、ボディケア化粧料、またはフレグランス化粧料である、請求項7に記載の化粧料。
【請求項9】
ガマエキスの含有量が総重量に対して0.05重量%~3.0重量%の範囲内である、請求項1~4のいずれか一項に記載のPPARα活性化剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に化粧品の技術分野に属する。本発明は、ガマエキス(Cattail Extract)を有効成分として含有するPPARα(α型ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体)活性化剤等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
PPARは、細胞の核内レセプタースーパーファミリーに属する転写因子であって、これまで3つのサブタイプ(α、γ、β/δ)が同定されている。いずれのサブタイプも、レチノイドX受容体(RXR)とヘテロ2量体を形成してPPAR応答配列(PPRE)に結合し、リガンドや翻訳後修飾により活性化されることで標的遺伝子群の発現を調節し、機能を発揮する。この中、PPARαは、肝臓で脂肪酸の代謝や善玉コレステロール(HDL)の産生を促し、代謝をすることから、PPARαのリガンドは高脂血症治療薬として用いられている。また、PPARαは、表皮にも発現しており、ケラチノサイトの分化誘導、脂質産生の促進、皮膚バリア機能の向上、皮膚炎症の抑制などに関わっている。そのため、皮膚のPPARαの転写活性を調節できる化合物(PPARαモジュレーター)は、皮膚疾患の改善、美容の用途に貢献できる可能性があり、化粧品の素材となり得る。
【0003】
非特許文献1では、PPARαモジュレーターの有用性に着目し、約200種類の天然物抽出エキスの中から、PPARαの機能を制御し、皮膚疾患や皮膚バリア機能の改善等の美容効果を発揮し得る素材の探索が行われている。当該文献におけるスクリーニングにおいては、テトラサイクリンの有無によりPPARαに対する特異性と活性の評価が可能な、独自に構築されたPPARαモジュレータースクリーニング細胞が用いられている。
【0004】
ガマエキスは、ガマ科(Typhaceae)に属する多年生の抽水植物から抽出されるエキスであって、原料のガマ科植物としては、例えば、ヒメガマ(Typha angustifolia Linne)が挙げられる。ガマ科植物の花穂に含まれる花粉(蒲黄、ホオウ)には、フラボノイド類のイソラムネチン配糖体、脂肪酸類(例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸)、ステロール類(例えば、α-ティファステロール、β-シトステロール)、糖類(例えば、グルコース、フルクトース、ラムノース)などの成分が含まれており、止血、通経、利尿などの作用がある。また、ガマエキスの主な作用として、例えば、ヒアルロニダーゼ阻害作用、エラスターゼ阻害作用、コラーゲン産生促進作用、リパーゼ阻害作用、収斂作用、抗糖化作用、頭皮頭髪ケア作用が知られている。
【0005】
ガマエキスは、また、抗炎症作用を有することから、特許文献1では、敏感肌に好適とする皮膚外用剤の抗炎症剤として、ω3脂肪酸などのバリア機能正常化剤と共に用いられている。特許文献2では、ガマの抽出物は、皮膚の保護機能やバリア機能の発現に深く関与するセラミドの産生を促進する成分の一つとして開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003-63942号公報
【特許文献2】特開2000-319157号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】橘敬祐、「核内受容体PPARを介して皮膚の美容効果を発揮する化粧品素材の探索」、コスメトロジー研究報告、Vol.20、2012、2-10頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ガマエキスの新たな作用ないし用途、あるいはその作用ないし用途に基づく化粧料を提供することを主な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、ガマエキスがPPARαに対する活性化効果を有することを見出し、本発明を完成するに到った。
【0010】
本発明として、例えば、以下のものを挙げることができる。
[1]ガマエキスを有効成分として含有する、PPARα活性化剤。
[2]前記ガマエキスが、ヒメガマの花穂から抽出されるエキスである、上記[1]に記載のPPARα活性化剤。
[3]さらに他のエキスを含有する、上記[1]または[2]に記載のPPARα活性化剤。
[4]前記他のエキスが、アセンヤクエキス、オウゴン根エキス、ワレモコウエキス、テンチャエキス、チャ葉エキス、アサイヤシ果実エキス、またはキイチゴ果汁である、上記[3]に記載のPPARα活性化剤。
[5]上記[1]~[4]のいずれか一項に記載のPPARα活性化剤を含む、皮膚バリア機能改善剤。
[6]上記[1]~[4]のいずれか一項に記載のPPARα活性化剤、または上記[5]に記載の皮膚バリア機能改善剤を含む、皮膚外用剤。
[7]上記[1]~[4]のいずれか一項に記載のPPARα活性化剤、または上記[5]に記載の皮膚バリア機能改善剤を含む、化粧料。
[8]化粧料が、スキンケア化粧料、美肌化粧料、メイクアップ化粧料、毛髪用化粧料、ボディケア化粧料、またはフレグランス化粧料である、上記[7]に記載の化粧料。
[9]ガマエキスの含有量が総重量に対して0.05重量%~3.0重量%の範囲内である、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載のPPARα活性化剤、上記[5]に記載の皮膚バリア機能改善剤、上記[6]に記載の皮膚外用剤、または上記[7]もしくは[8]に記載の化粧料。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、皮膚の表皮に存在するPPARαを活性化することができるので、皮膚のバリア機能を効果的に改善することができる。また、皮膚のバリア機能が正常に保たれると、皮膚は適度に水分を保持することができる。その結果、きめの整った美肌を維持することができるので、本発明は美容にも効果を有し得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】PPARαへの活性化能および選択的活性化能をワンハイブリッドアッセイにより評価した試験結果を表す。横軸は、添加したヒメガマ抽出液(本発明のPPARα活性化剤)の終濃度を、縦軸は、各PPARサブタイプのリガンド(PPARα:0.1μM GW7647、PPARδ:0.1μM GW501516、PPARγ:10μM ロシグリタゾン)(陽性対照)で処理したときの活性を100%、溶媒であるDMSO(陰性対照)で処理したときの活性を0%としたときの比活性を、それぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について詳述する。
1 本発明のPPARα活性化剤
本発明のPPARα活性化剤(以下、「本発明活性化剤」という。)は、PPARαを活性化させる剤であって、ガマエキスを有効成分として含有することを特徴とする。本発明活性化剤は、ガマエキス以外に他のエキスを含有し得る。また、本発明活性化剤は、皮膚バリア機能改善剤、皮膚外用剤、または化粧料の含有成分として用いることができる。
【0014】
本発明活性化剤は、PPARαに対する選択的活性化剤とすることができる。ここで、選択的活性化剤とは、対象因子を選択的ないし特異的に活性化させる剤のことをいう。PPARα選択的活性化剤の態様である場合の本発明活性化剤は、他のPPARサブタイプ(例えば、PPARβ/δ、PPARγ)に対しては低い活性化能しか有しないか、あるいは殆ど活性化能を有しないながら、PPARαに対しては高い活性化能を示すことができる。
【0015】
1.1 ガマエキス
本発明活性化剤は、有効成分としてガマエキスを含有する。ガマエキスとは、ガマ科植物、即ち、ヒメガマ(Typha angustifolia Linne)またはその他同属植物(Typhaceae)の主として花穂から抽出して得られるエキスのことをいい、当該ガマ科植物の例としては、ヒメガマの他に、ガマ、コガマを挙げることができる。本発明活性化剤に含まれるガマエキスは、これらの中でも、ヒメガマから得られるエキスであることが好ましい。
【0016】
ガマエキスの抽出の際に用いられる溶媒に特に制限はないが、通常植物成分の抽出に用いられる溶媒、例えば、精製水、蒸留水、イオン交換水等の水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の一価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等の二価アルコール;その他の液状多価アルコール;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジプロピルエーテル等のエーテル;ペンタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、石油エーテル等の炭化水素;ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン系有機溶媒;アセトニトリルが適当である。これらの抽出溶媒は、一種または二種以上を用いることができる。これらの中でも、1,3-ブチレングリコールまたは1,3-ブチレングリコール水溶液が好ましい。
【0017】
本発明活性化剤において、ガマエキスの含有量は、本発明の効果を損なわない範囲内、いわゆる有効量の範囲内であれば特に制限されないが、総重量に対して0.05重量%~3.0重量%の範囲内であることが適当である。その中でも、0.4重量%~2.15重量%の範囲内が好ましく、0.5重量%~1.0重量%の範囲内がより好ましい。
【0018】
1.2 他の含有成分
本発明活性化剤は、ガマエキス以外に他のエキスを含んでいてもよい。このような他のエキスとして、例えば、アセンヤクエキス、オウゴン根エキス、ワレモコウエキス、テンチャエキス、チャ葉エキス、アサイヤシ果実エキス、キイチゴ果汁を挙げることができる。これらの中でも、オウゴン根エキス、ワレモコウエキス、キイチゴ果汁が好ましく、オウゴン根エキス、キイチゴ果汁がより好ましい。これらの成分は、ガマエキスと組み合わせて用いることで、PPARα活性をさらに高め得る。本発明活性化剤は、上記エキスを一種または二種以上含有することができる。
【0019】
上記エキスの抽出の際に用いられる溶媒にも特に制限はなく、適当な溶媒および好適な溶媒はガマエキスの場合と同様である。
【0020】
本発明活性化剤は、上記エキス以外に担体を適量含有することができる。当該担体として、例えば、固形、半固形または液状の希釈剤、充填剤、その他の処方用の助剤を挙げることができる。これらの担体を一種または二種以上含有することができる。
【0021】
1.3 皮膚バリア機能改善剤
本発明の皮膚バリア機能改善剤(以下、「本発明改善剤」という。)は、本発明活性化剤を含有し、したがって、ガマエキス等の上記エキスを含有し得る。本発明改善剤において、上記エキスの含有量は、本発明の効果を損なわない範囲内、いわゆる有効量の範囲内であれば特に制限されないが、その適当量および好適量は、上記本発明活性化剤の場合と同様である。
また、本発明改善剤は、皮膚外用剤、または化粧料の含有成分として用いることができる。
【0022】
皮膚バリア機能とは、外部からの異物等の侵入を防ぐ、皮膚の防御膜としての機能のことであり、皮膚における水分透過性の調節機能が大きく関わっている。
本発明改善剤を用いると、上記エキスによるPPARαの活性化により、水チャネルであるアクアポリン3(AQP3)が表皮に発現し、真皮から表皮へ水およびグリセリンが輸送され得る。グリセリンは、表皮における脂質合成量を増加させ得る。
また、PPARαの活性化により、表皮におけるヒアルロン酸合成酵素3(HAS3)によるヒアルロン酸(HA)産生が促進され得る。HAは、皮膚の水分保持や組織の形態維持に資する生体高分子であり、このHAとヒアルロン酸レセプターCD44との相互作用は、コレステロール硫酸合成酵素SULTB1bやセラミド合成酵素SPT2の発現を促進し、表皮バリア脂質の一種であるコレステロールの合成や、表皮角化細胞の分化誘導、増殖を促進し得る。
このような、表皮における脂質合成量の増加、コレステロールの合成促進、表皮角化細胞の分化誘導・増殖促進により、表皮における親水層と親油層とのラメラ構造の形成および角層細胞の形成が促進され得、そして皮膚のバリア機能が回復促進され得る。
以上のようにして、本発明改善剤は、皮膚のバリア機能改善効果を奏し得る。
【0023】
2 皮膚外用剤
本発明の皮膚外用剤(以下、「本発明外用剤」という。)は、本発明活性化剤または本発明改善剤を含有し、したがって、ガマエキス等の上記エキスを含有し得る。本発明外用剤において、上記エキスの含有量は、本発明の効果を損なわない範囲内、いわゆる有効量の範囲内であれば特に制限されないが、その適当量および好適量は、上記本発明活性化剤の場合と同様である。
【0024】
本発明外用剤の剤型は、皮膚の局所表面に有効成分を直接投与できる剤型であれば特に制限されず、例えば、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、液剤(懸濁剤、乳剤、ローション剤等)、パップ剤、テープ剤、シート剤、エアゾール剤、外用散剤、およびスプレー剤を挙げることができる。
【0025】
これらの製剤を調製するに際して、有効成分以外に、通常の外用剤を調製するのに使用される各種配合成分を適宜選択して使用することができる。そのような成分として、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、ないしローション剤の場合には、白色ワセリン、黄色ワセリン、ラノリン、サラシミツロウ、セタノール、ステアリルアルコール、ステアリン酸、硬化油、ゲル化炭化水素、ポリエチレングリコール(マクロゴール)、1,3-ブチレングリコール、エタノール、イソプロパノール、流動パラフィン、スクワラン等の基剤;オレイン酸、ミリスチン酸イソプロピル、トリイソオクタン酸グリセリン、クロタミトン、セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪族アルコール、植物油等の溶剤および溶解補助剤;チモール、トコフェロール誘導体、アスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等の酸化防止剤;フェノキシエタノール、パラヒドロキシ安息香酸エステル等の防腐剤;グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、プロピレングリコール、ヒアルロン酸ナトリウム等の保湿剤;ポリオキシエチレン誘導体、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン等の界面活性剤;カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩類、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の増粘剤;エデト酸ナトリウム水和物、クエン酸水和物、クエン酸ナトリウム水和物等の安定化剤(キレート剤、抗酸化剤を含む);ジメチコン、環状シリコーン、変性シリコーン等のシリコーン類;サリチル酸等の角質柔軟成分を挙げることができる。さらに、所望により保存剤、吸収促進剤、pH調整剤、着色剤(酸化鉄等の顔料を含む)、着香剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤(酸化チタン、酸化亜鉛等)、賦形剤、分散剤、乳化剤、等張化剤、緩衝剤、充填剤、架橋剤、清涼化剤、皮膜剤、その他の適当な添加剤を配合することができる。
【0026】
パップ剤については、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸共重合体等の粘着付与剤;硫酸アルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、塩化アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ジヒドロキシアルミニウムアセテート等の架橋剤;ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩類、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の増粘剤;グリセリン、ポリエチレングリコール(マクロゴール)、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール等の多価アルコール類;ポリオキシエチレン誘導体等の界面活性剤;L-メントール等の香料;パラヒドロキシ安息香酸エステル等の防腐剤;精製水;プラスチックフィルム、不織布、木綿等の支持体を挙げることができる。さらに、所望により安定剤、保存剤、吸収促進剤、pH調整剤、その他の適当な添加剤を配合することができる。
【0027】
テープ剤については、天然ゴム、イソプレンゴム、ポリイソブチレン、ポリブテン、液状ポリイソプレン、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SISブロック共重合体)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、スチレン-エチレン・ブチレン-スチレンブロック共重合体や、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(共)重合体、ポリアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等のアクリル樹脂等の粘着剤;脂環族飽和炭化水素系樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂等の粘着付与樹脂;液状ゴム、流動パラフィン等の軟化剤;ジブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤;プロピレングリコール等の多価アルコール;オレイン酸等の吸収促進剤;ポリオキシエチレン誘導体等の界面活性剤、その他の適当な添加剤を配合することができる。また、ポリアクリル酸ナトリウムやポリビニルアルコールのような含水可能な高分子と少量の精製水を加えて含水テープ剤とすることもできる。この場合にあっても、さらに、所望により安定剤、保存剤、吸収促進剤、pH調整剤、その他の適当な添加剤を配合することができる。
【0028】
エアゾール剤については、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、液剤(懸濁剤、乳剤、およびローション剤)等の調製に用いられる白色ワセリン、黄色ワセリン、ラノリン、サラシミツロウ、セタノール、ステアリルアルコール、ステアリン酸、硬化油、ゲル化炭化水素、ポリエチレングリコール(マクロゴール)、流動パラフィン、スクワラン等の基剤;オレイン酸、ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸イソプロピル、トリイソオクタン酸グリセリン、クロタミトン、セバシン酸ジエチル、ラウリン酸ヘキシル、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪族アルコール、植物油等の溶剤および溶解補助剤;トコフェロール誘導体、アスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等の酸化防止剤;パラヒドロキシ安息香酸エステル等の防腐剤;グリセリン、プロピレングリコール、ヒアルロン酸ナトリウム等の保湿剤;ポリオキシエチレン誘導体、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン等の界面活性剤;カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩類、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の増粘剤;ジメチルエーテル、液化石油ガス、フッ化炭化水素等の噴射剤;二酸化炭素、窒素、亜酸化窒素等の圧縮ガス;さらに、各種安定剤、緩衝剤、矯味剤、 懸濁化剤、乳化剤、芳香剤、保存剤、溶解補助剤、その他の適当な添加剤を配合することができる。
【0029】
外用散剤については、バレイショデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、タルク、酸化亜鉛等の賦形剤またはその他の適当な添加剤を配合することができる。この場合にあっても、さらに、所望により各種安定剤、保存剤、吸収促進剤、乳糖などの糖類、その他の適当な添加剤を配合することができる。
【0030】
上記外用剤を調製する方法としては特に限定されず、所望の剤型に応じて、各成分および必要に応じた基剤成分をよく混練する等の常法により製造することができる。また、パップ剤やテープ剤の調製においては、混練した混合物を剥離紙上に展延、乾燥し、さらに柔軟な支持体と貼り合わせ、所望の大きさに裁断することにより調製することができる。
【0031】
上記外用剤は、例えば、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、液剤(懸濁剤、乳剤、ローション剤等)、エアゾール剤および外用散剤の場合には、皮膚患部に塗布等により直接適用したり、あるいは、布等の支持体に塗布または含浸させて適用したりするなど、常法により使用することができる。また、パップ剤やテープ剤の場合には、これらの製剤を皮膚患部に直接貼付することにより使用することができる。
【0032】
本発明外用剤は、PPARαの機能低下に由来する皮膚疾患をはじめとして、皮膚バリア機能の低下を伴う疾患を有する場合においても広く適用することができる。当該疾患としては、例えば、湿疹、皮膚炎(アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、刺激性接触皮膚炎、脂漏性皮膚炎等)、蕁麻疹類(尋常性痒疹等)、物理的・化学的皮膚障害(皮膚損傷、光老化等)、紫斑、紅斑、酒さ、角化症(炎症性角化症、不全角化症、乾癬等)、膠原病(全身性硬化症、限局性強皮症等)、色素異常症(肝斑、白斑、炎症後の色素沈着等)、皮膚腫瘍(日光角化症、皮膚ガン、黒色表皮腫、線維肉腫、皮膚乳頭腫等)、口腔粘膜疾患(皮膚リシューマニア症等)、表皮肥厚(表皮過形成、苔癬化を含む。)、表皮委縮、脂肪肥大症、脂肪萎縮症、ハンセン病を挙げることができる。
【0033】
3 化粧料
本発明の化粧料(以下、「本発明化粧料」という。)は、本発明活性化剤または本発明改善剤を含有し、したがって、ガマエキス等の上記エキスを含有し得る。本発明化粧料において、上記エキスの含有量は、本発明の効果を損なわない範囲内、いわゆる有効量の範囲内であれば特に制限されないが、その適当量および好適量は、上記本発明活性化剤の場合と同様である。
【0034】
なお、ここで化粧料とは、医薬品医療機器等法に規定されるような「化粧品」のみならず、薬用化粧品等の「医薬部外品」をも含む。
【0035】
本発明化粧料の種類に特に制限はなく、例えば、スキンケア化粧料、美肌化粧料、機能性化粧料、メイクアップ化粧料、毛髪用化粧料、ボディケア化粧料、またはフレグランス化粧料のいずれであってもよい。これらの中でも、本発明化粧料は、スキンケア化粧料、美肌化粧料、ボディケア化粧料、機能性化粧料の態様であることが好ましく、スキンケア化粧料、美肌化粧料、機能性化粧料の態様であることがより好ましい。
【0036】
上記スキンケア化粧料、美肌化粧料、または機能性化粧料としては、例えば、界面活性剤型洗顔料、溶剤型洗顔料等の洗顔料;ソフニングローション、収れん化粧水、ふき取り用化粧水、多層式化粧水等の化粧水;エモリエントローション、マッサージローション、クレンジングローション、サンプロテクト、角質スムーザー、エルボーローション、ヘアーミルク、ハンドローション、ボディローション等の乳液;弱油性クリーム(バニシングクリーム)、O/W型中油性クリーム、O/W型油性クリーム(マッサージクリーム)、W/O型エモリエントクリーム(コールドクリーム)、O/W/O型マルチプルクリーム等のクリーム;ジェル;エッセンス(美容液);パック;保湿化粧品;紫外線防御剤;美白剤;抗シワ剤;抗酸化剤;肌荒れ改善剤;ニキビ用剤を挙げることができる。
【0037】
上記メイクアップ化粧料としては、例えば、アンダーメイクアップ、コントロールカラー、パウダリーファンデーション、ケーキファンデーション、油性ファンデーション、乳化ファンデーション等のベースメイクアップ;口紅、頬紅、アイライナー、マスカラ、アイブロー、アイシャドー、ネイルエナメル等のポイントメイクアップが挙げられる。
【0038】
上記毛髪用化粧料としては、例えば、シャンプー、リンス、コンディショナー、トリートメント、整髪料、パーマネントウェーブ用剤、ヘアカラー、ヘアブリーチ、育毛剤が挙げられる。
【0039】
上記ボディケア化粧料としては、例えば、ボディシャンプー、ボディローション、ボディ用クリーム、スリミング化粧料(痩身用化粧品)、ハンドクリーム、制汗・デオドラント化粧料、脱毛剤、除毛剤、リペラント剤、浴用剤が挙げられる。
【0040】
上記フレグランス化粧料としては、例えば、香水(パーフューム、パルファム)、オードパルファム、オードトワレ、オーデコロン、フレッシュコロンが挙げられる。
【0041】
本発明化粧料の剤型は、上記各種化粧料の目的に適合する剤型であれば特に限定されず、例えば、透明液状(化粧水、美容オイル、クレンジングオイル等)、分散液状(ネイルエナメル、水白粉等)、乳状(乳液、アイライナー等)、クリーム状(クレーム、マスカラ等)、ジェル状(リップグロー、クレンジングジェル等)、半固形状(練白粉、練香水等)、固形状(ファンデーション、口紅等)、フォーム状(クレンジングフォーム、ヘアフォーム等)、粉末状・顆粒状(ベビーパウダー、浴用剤等)、エアゾール状(デオドラントスプレー、ヘアスプレー等)、シート状(パック、脱毛テープ等、マスク、衣類)の各剤型を挙げることができる。
【0042】
これらの化粧料を製造するに際して、本発明活性化剤以外に各種配合成分を適宜選択して使用することができる。そのような配合成分として、水(精製水、蒸留水、イオン交換水等)、1価アルコール(エタノール、イソプロパノール等)、保湿剤、油剤、界面活性剤、色素・色材、香料、美白有効成分、抗シワ成分、紫外線吸収剤、褪色防止剤、酸化防止剤、美容成分、防腐剤、消炎成分、殺菌成分、鎮痒成分等を挙げることができる。
【0043】
上記保湿剤としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール(300、400、1500、4000)、ポリグリセリン等の多価アルコール;グルコース、ショ糖、トレハロース、プルラン、マルチトール等の糖類;ピロリドンカルボン酸、シトルリン等のアミノ酸類;ヘパリン類似物質やムコ多糖等の多糖類;ヒアルロン酸またはその塩、コラーゲン等の生体高分子が挙げられる。
【0044】
上記油剤としては、例えば、カカオ脂、シア脂、オリーブ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、アーモンド油、ヤシ油、ゴマ油、コーン油、大豆油、サフラワー油、馬油、卵黄油、ミンク油、牛脂、馬脂等の油脂;カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ホホバ油、ミツロウ、ラノリン、オレンジラフィー油等のロウ;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトオレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の脂肪酸;セタノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、コレステロール、シトステロール等の高級アルコール;流動パラフィン、ワセリン、パラフィン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、スクワラン、プリスタン等の炭化水素;トリイソステアリン酸グリセリル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル等のエステル;シロキサン、ジメチコン、環状ジメチルシリコーン油、メチルポリシロキ酸、メチルフェニルポリシロキ酸等のシリコーン油;その他、動物油・植物油・合成油等の起源や固形・液状・揮発性等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤類、油溶性樹脂等が挙げられる。
【0045】
上記界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸石けん、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸エスエル塩、N-アシルアミノ酸塩、N-アシル-N-メチルタウリン塩等のアニオン界面活性剤;塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム等のカチオン界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルイミダゾリニウムベタイン等の両性界面活性剤;ポリエチレングリコール型ノニオン界面活性剤(ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル等)、多価アルコールエステル型ノニオン界面活性剤(グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等)、ブロックポリマー型界面活性剤等のノニオン界面活性剤;アクリル酸・メタクリル酸アルキル(C10-30)共重合体、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、セルロース誘導体等の高分子系界面活性剤;レシチン等の天然系界面活性剤;シリコーン系界面活性剤が挙げられる。
【0046】
上記色素または色材としては、例えば、パラアミノ安息香酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、メトキシケイヒ酸誘導体、サリチル酸誘導体等の紫外線吸収剤;酸化チタン微粒子、二酸化亜鉛微粒子等の紫外線散乱剤;二酸化チタン、酸化亜鉛等の白色顔料;酸化鉄、酸化クロム、カーボンブラック、群青等の着色顔料;マイカ、セリサイト、タルク、カオリン等の体質顔料;真珠光沢顔料;アゾ系染料、キサンテン系染料、インジゴイド系染料、レーキ、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料等の有機合成色素;βカロテン、リロピン、クロシン、ラファニン、シソニン、カルサミン、サフラワーイエロー、クロロフィル、リボフラビン、コチニール、アリザリン、シコニン、クルクミン等の天然色素;ポリエチレンパウダー、ナイロンパウダー等の高分子粉体が挙げられる。
【0047】
上記香料としては、例えば、ローズ油、ジャスミン油、ラベンダー油、ユーカリ油、パチュリー油、ペパーミント油、レモングラス油、レモン油、ライム油、ベルガモット油、白檀、シナモン、バーク油、オークモス、イリス油、ベチバー油、ムスク、シベット、カスリウム、アンバーグリース等の天然香料;α-リモネン、β-カリオフィレン、シス-3-ヘキセノール、リナロール、ファルネソール、β-フェニルエチルアルコール、2,6-ノナジェナール、シトラール、α-ヘキシルシンナミックアルデヒド、β-イオノン、L-カルボン、シクロペンタデカノン、リナリルアセテート、ベンジルベンゾエート、γ-ウンデカラクトン、オイゲノール、ローズオキサイド、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール等の合成香料が挙げられる。
【0048】
上記美白有効成分としては、例えば、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩、アスコルビン酸-2-グルコシド、3-O-エチルアスコルビン酸、テトラヘキシルデカン酸アスコルビル、コウジ酸、ハイドロキノンβ-D-グルコシド、エラグ酸、4n-ブチルレゾルシノール、4-メトキシサリチル酸カリウム、4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノール、5,5′-ジプロピルビフェニル-2,2′-ジオール、リノール酸、trans-4-アミノメチルシクロヘキサン酸、トラネキサム酸セチル塩酸塩、カミツレエキス、アデノシン-1-リン酸-2Na、ニコチン酸アミドが挙げられる。
【0049】
上記抗シワ成分としては、例えば、グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等の多価アルコール;セラミド;セリン、グリシン、ピロリドンカルボン酸等のアミノ酸;コラーゲン;ヒアルロン酸;レチナール(ビタミンA);ナイアシンアミド;エラスチン;プロテオグリカンが挙げられる。
【0050】
本発明化粧料を製造する方法は特に制限されず、所望の剤型に応じて、常法により製造することができる。例えば、バッチ式真空乳化機等の乳化機、コロイドミル等の分散機、またはヘンシルミキサーやハンマーミキサー等の混合機・粉砕機を用いて、本発明活性化剤を含む上記各種配合成分を混ぜ合わせ、必要に応じて冷却機、成形機等を用いて所望の剤型とすることができる。
【0051】
また、適宜の製造方法により得られた本発明化粧料を、例えば、充填機、包装機等を用いて、チューブ容器、ボトル容器(細口)、クリーム容器(広口)、パウダー容器、コンパクト容器、スティック容器、ペンシル容器、ブラシ付き容器、ポンプ式ボトル、エアゾール容器等にパッケージングし、化粧料製品とすることができる。
【実施例0052】
以下、実施例および試験例(実施例等)を掲げて本発明を詳しく説明するが、本発明は以下の実施例等の態様に限定されるものではない。
【0053】
使用した成分等は、次の通りである。
<エキス>
・ヒメガマ抽出液:ヒメガマの乾燥花穂から、1,3-ブチレングリコール水溶液により抽出して得られたエキス(ガマエキスの一種)
・ガンビールノキ抽出液:ガンビールノキの葉および若枝から、1,3-ブチレングリコール水溶液により抽出して得られたエキス(アセンヤクエキスの一種)
・オウゴン抽出液:オウゴンの根から、1,3-ブチレングリコール水溶液により抽出して得られたエキス(オウゴン根エキスの一種)
・ワレモコウ抽出パウダー:ワレモコウの根および根茎から抽出されたエキス(ワレモコウエキスの一種)
・甜茶抽出液:甜茶の葉から、1,3-ブチレングリコール水溶液により抽出して得られたエキス(テンチャエキスの一種)
・緑茶抽出液:チャの葉(緑茶)から抽出されたエキス(チャ葉エキスの一種)
・アサイヤシ抽出液:アサイヤシの果実から抽出して得られたエキス(アサイヤシ果実エキスの一種)
・キイチゴ抽出液:キイチゴの果実から抽出して得られたエキス(キイチゴ果汁の一種)
・その他、医薬部外品原料規格に記載されたエキスをはじめとする数十種類のエキス
<試薬等>
・エフェクターα:pBIND-hPPARα-LBD(酵母の転写因子GAL4のDNA結合領域とヒトPPARαのリガンド結合領域との融合タンパク質を発現するエフェクタープラスミド)(JBC, 2018, 293, 10333-10343)
・エフェクターβ/δ:pBIND-hPPARβ/δ-LBD(酵母の転写因子GAL4のDNA結合領域とヒトPPARβ/δのリガンド結合領域との融合タンパク質を発現するエフェクタープラスミド)(JBC, 2018, 293, 10333-10343)
・エフェクターγ:pBIND-hPPARγ-LBD(酵母の転写因子GAL4のDNA結合領域とヒトPPARγのリガンド結合領域との融合タンパク質を発現するエフェクタープラスミド)(JBC, 2018, 293, 10333-10343)
・レポーター:4xUAS-tk-Luc(GAL4の認識配列を含むプロモーターの下流に、ルシフェラーゼをコードする遺伝子が組み込まれたレポータープラスミド)(JBC, 2018, 293, 10333-10343)
・トランスフェクション試薬:Invitrogen社製LipofectamineTM 2000
・細胞溶解液:プロメガ社製Passive Lysis Buffer
・発光基質液:プロメガ社製Dual-Luciferase reporter assay system
・DMSO:ジメチルスルホキシド(各試験における陰性対照物質)
・GW7647:Propanoic acid, 2-[[4-[2-[[(cyclohexylamino)carbonyl](4-cyclohexylbutyl)amino]ethyl]phenyl]thio]-2-methyl(PPARα活性化能評価試験における陽性対照物質)
・GW501516:Acetic acid, 2-[2-Methyl-4-[[[4-methyl-2-[4-(trifluoromethyl)phenyl]-5-thiazolyl]methyl]thio]phenoxy](PPARβ/δ活性化能評価試験における陽性対照物質)
・ロシグリタゾン: 5-[4-(2-[methyl(pyridin-2-yl)amino]ethoxy)benzyl]thiazolidine-2,4-dione(PPARγ活性化能評価試験における陽性対照物質)
【0054】
[試験例1] ガマエキスのPPARα活性化能およびPPARα選択的活性化能の評価
(1)細胞の播種
活性炭/デキストラン処理したウシ胎児血清(終濃度10%)を加え、ペニシリン/ストレプトマイシン(終濃度2%)を添加したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM 10% c/d FBS 2% P/S)にて培養したヒト肝癌由来HepG2細胞を、96wellプレートに1well当たり3×104cells/110 μLになるように播種した。
【0055】
(2)トランスフェクション
20時間培養後に、エフェクターα(10ng)およびレポーター(100ng)を含むOpti-MEMTM培地(Gibco社)ならびに上記トランスフェクション試薬を各well中に導入した。
【0056】
(3)ルシフェラーゼアッセイ
24時間経過後に、培地(DMEM 10% c/d FBS 2% P/S)中にヒメガマ抽出液(終濃度0.05~3%)を添加した(本発明活性化剤、実施例1)。また、陰性対照としてDMSO(終濃度0.1%)、陽性対照としてGW7647(終濃度0.1μM)をそれぞれ用いた。
さらに24時間経過後に、培地を除去後、細胞溶解液を加えて攪拌し、細胞を溶解した。その後、発光基質液を添加して、ルミネッセンスプレートリーダー(BERTHOLD TECHNOLOGIES社製 TriStar2 LB942)を用いてルシフェラーゼ活性を測定し、陽性対照物質で処理したときの活性を100%、溶媒であるDMSO(陰性対照物質)で処理したときの活性を0%としたときの比活性を算出した。
エフェクターβ/δおよびエフェクターγについても、それぞれ同様の試験を行った。なお、当該各試験における陽性対照物質としては、GW501516(終濃度0.1μM)およびロシグリタゾン(終濃度10μM)をそれぞれ用いた。
試験結果を
図1に示す(n=3)。
【0057】
(4)結果
図1に示すように、本発明活性化剤は、PPARαに対して良好な活性化能(転写活性化効果)を有する。また、
図1より、本発明活性化剤は、PPARαに対する選択的活性化能を有することも明らかとなった。
【0058】
[試験例2] ガマエキスと他成分の組み合わせの活性評価
(1)試験条件
上記非特許文献1に記載のスクリーニング細胞を、試験例1と同様の培地を用いて4×104cells/150 μLになるように96wellプレートに播種した。当該スクリーニング細胞のゲノムには、PPARαの認識配列(PPRE)を含むプロモーターの下流に、ルシフェラーゼをコードする遺伝子が組み込まれている。
24時間経過後に、ヒメガマ抽出液(終濃度0.5%)およびヒメガマ抽出液以外の上記数十種類のいずれかのエキス(終濃度0.5%)を添加した培地(DMEM 10% c/d FBS 2% P/S)に交換し、スクリーニングを行った(実施例2~36)。なお、活性の比較基準としてヒメガマ抽出液単独(終濃度1%)、陰性対照としてDMSO(終濃度0.1%)、陽性対照としてGW7647(終濃度0.1μM)をそれぞれ用いた。
さらに24時間経過後に、上記試験例1と同様の手順によりルシフェラーゼアッセイを行い、活性を算出した。
【0059】
(2)結果
上記スクリーニングにより、ヒメガマ抽出液と組み合わせて添加するエキスとして、ガンビールノキ抽出液、オウゴン抽出液、ワレモコウ抽出パウダー、甜茶抽出液、緑茶抽出液、アサイヤシ抽出液、キイチゴ抽出液を用いた7通りの場合において、いずれも、ヒメガマ抽出液単独の場合以上の活性が認められた。
本発明活性化剤等の本発明によれば、皮膚の表皮に存在するPPARαを活性化することができるので、皮膚のバリア機能を効果的に改善することができる。また、皮膚のバリア機能が正常に保たれると、皮膚は適度に水分を保持することができる。その結果、きめの整った美肌を維持することができる。したがって、皮膚用医薬品産業および化粧品産業において有用である。