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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023054606
(43)【公開日】2023-04-14
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20230407BHJP
【FI】
B41J2/01 305
B41J2/01 401
B41J2/01 451
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021163564
(22)【出願日】2021-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】井上 孔佑
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 英明
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EB03
2C056EB12
2C056EB35
2C056EC03
2C056EC12
2C056EC31
2C056EC34
2C056FA04
2C056FA13
2C056FA14
2C056HA46
2C056KD06
(57)【要約】
【課題】回転体による記録媒体の実際の搬送速度と、設定上の搬送速度と、が異なる場合でも、所望のタイミングで記録媒体に印刷可能な液体吐出装置を提供する。
【解決手段】本発明は、記録媒体を搬送可能な回転体と、前記記録媒体に液体を吐出する記録ヘッドと、前記回転体の回転変位量を検出可能な回転検出部と、前記回転体上に取り付けられる複数のリファレンス部材と、前記記録媒体および前記回転体の構造を検出可能に設けられるタイミング検出部と、前記タイミング検出部により前記リファレンス部材が検出される理想的な前記回転変位量である理想値を記憶する記憶部と、前記タイミング検出部により前記リファレンス部材が検出された際の前記回転変位量の実測値と、前記理想値と、に基づいて、前記記録ヘッドから液体を吐出させる制御部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送可能な回転体と、
前記記録媒体に液体を吐出する記録ヘッドと、
前記回転体の回転変位量を検出可能な回転検出部と、
前記回転体上に取り付けられる複数のリファレンス部材と、
前記記録媒体および前記回転体の構造を検出可能に設けられるタイミング検出部と、
前記タイミング検出部により前記リファレンス部材が検出される理想的な前記回転変位量である理想値を記憶する記憶部と、
前記タイミング検出部により前記リファレンス部材が検出された際の前記回転変位量の実測値と、前記理想値と、に基づいて、前記記録ヘッドから液体を吐出させる制御部と、
を備える液体吐出装置。
【請求項2】
前記制御部は、さらに、前記理想値に対する前記実測値の誤差の比率に基づいて、前記理想値の補正値を算出する、請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記制御部は、さらに、前記補正値に基づいて前記理想値を補正して、当該補正後の理想値に基づいて前記記録媒体の位置を検出する、請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記制御部は、さらに、前記実測値と、前記記録媒体の位置と、の関係性を表す近似曲線を算出し、前記近似曲線を用いて、前記記録媒体の位置を算出する、請求項3に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記制御部は、さらに、前記実測値と、前記記録媒体の位置と、の関係性を表す変換用の算出式を記憶部に保存し、当該変換用の算出式を用いて、前記実測値を、前記記録媒体の位置に変換する、請求項3に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記制御部は、さらに、前記実測値と、前記記録媒体の位置と、の関係性を表す変換用のテーブルを記憶部に保存し、当該テーブルを用いて、前記実測値を前記記録媒体の位置に変換する、請求項3に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記記録媒体への記録を実施する前に、前記回転体を回転させて、前記補正値を算出する、請求項2から6のいずれか一に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記記録媒体への記録前に実施するイニシャル動作時における前記回転体の回転時に、前記補正値を算出する、請求項2から6のいずれか一に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記記録媒体への記録を実施する際に、前記回転体を回転させて、前記補正値を算出する、請求項2から6のいずれか一に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記回転体が回転する度に、前記補正値を算出する、請求項2から6のいずれか一に記載の液体吐出装置。
【請求項11】
前記制御部は、複数の前記回転変位量の平均に基づいて、前記補正値を算出する、請求項2から10のいずれか一に記載の液体吐出装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記複数のリファレンス部材の判別を、前記タイミング検出部により検出される前記リファレンス部材の形状の差異により検出する、請求項1から11のいずれか一に記載の液体吐出装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記複数のリファレンス部材の判別を、前記複数のリファレンス部材間の距離に基づいて算出する、請求項1から11のいずれか一に記載の液体吐出装置。
【請求項14】
前記回転体に取り付けられるホームポジション認識部をさらに備え、
前記制御部は、前記タイミング検出部により前記ホームポジション認識部を検出してから検出される前記回転変位量に基づいて、前記リファレンス部材の判別を行う、請求項1から11のいずれか一に記載の液体吐出装置。
【請求項15】
前記制御部は、さらに、検出した前記記録媒体の位置を用いて、液体の吐出タイミングを調整する、請求項3から6のいずれか一に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式の商用印刷機等の液体吐出装置では、記録媒体をドラム等の回転体によって搬送しながらヘッドからのインク等の液体の吐出によって印刷する記録方式を用いているものがある。この記録方式でドラムの回転状態(回転変位量)をエンコーダによって認識する際、ドラムが偏心をもって回転している場合、ドラムの回転状態を正しく認識することができず、所望のタイミングにて印刷することができないため、画質に影響を与える。これに対して、回転体の設定上の回転速度と、エンコーダによる回転状態の検出から算出される回転速度と、を比較し、エンコーダによる回転状態を補正する技術が開発されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の技術では、設定した回転速度と、回転体の実際の回転速度と、に差異がある場合、ドラムの所望の回転状態を検出することが難しい。
【0004】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、回転体による記録媒体の実際の搬送速度と、設定上の搬送速度と、が異なる場合でも、所望のタイミングで記録媒体に印刷可能な液体吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、記録媒体を搬送可能な回転体と、前記記録媒体に液体を吐出する記録ヘッドと、前記回転体の回転変位量を検出可能な回転検出部と、前記回転体上に取り付けられる複数のリファレンス部材と、前記記録媒体および前記回転体の構造を検出可能に設けられるタイミング検出部と、前記タイミング検出部により前記リファレンス部材が検出される理想的な前記回転変位量である理想値を記憶する記憶部と、前記タイミング検出部により前記リファレンス部材が検出された際の前記回転変位量の実測値と、前記理想値と、に基づいて、前記記録ヘッドから液体を吐出させる制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、回転体による記録媒体の実際の搬送速度と、設定上の搬送速度と、が異なる場合でも、所望のタイミングで記録媒体に印刷可能とする、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本実施の形態にかかる液体吐出装置を適用した画像形成システムの一例を示す図である。
図2図2は、本実施の形態にかかる画像形成システムが有するヘッドモジュールの構成の一例を示す図である。
図3図3は、本実施の形態にかかる画像形成システムが有するドラム、ドラム軸エンコーダ、および吐出タイミングセンサの構成の一例を示す図である。
図4図4は、本実施の形態にかかる画像形成システムにおいて記録媒体の理想位置と実際の位置とにズレが生じる例を説明するための図である。
図5図5は、本実施の形態にかかる画像形成システムにおけるドラムの実測値の補正処理の一例を説明するための図である。
図6図6は、本実施の形態にかかる画像形成システムにおける理想値と実測値との誤差の検出処理の一例を説明するための図である。
図7図7は、本実施の形態にかかる画像形成システムにおける理想値の補正処理の一例を説明するための図である。
図8図8は、本実施の形態にかかる画像形成システムにおいてエンコーダカウント値と記録媒体の位置との関係性を表すグラフの一例である。
図9図9は、本実施の形態にかかる画像形成システムの機能構成の一例を示す図である。
図10図10は、本実施の形態にかかる画像形成システムにおけるエンコーダカウント値のカウント処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図11図11は、本実施の形態にかかる画像形成システムにおけるエンコーダカウント値のカウント処理の流れの他の例を示すフローチャートである。
図12図12は、本実施の形態にかかる画像形成システムにおける印刷処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図13図13は、本実施の形態にかかる画像形成システムにおける印刷処理の他の流れの一例を示すフローチャートである。
図14図14は、本実施の形態にかかる画像形成システムにおける印刷処理の他の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、液体吐出装置の実施の形態を詳細に説明する。
【0009】
図1は、本実施の形態にかかる液体吐出装置を適用した画像形成システムの一例を示す図である。まず、図1を用いて、本実施の形態にかかる画像形成システムの一例について説明する。
【0010】
本実施の形態にかかる画像形成システムは、図1に示すように、画像形成部210(液体吐出装置の一例)、給紙部220、レジスト調整部230、乾燥部240、記録媒体反転部250、および排紙部290を備える。
【0011】
本実施の形態にかかる画像形成システムでは、まず、給紙部220の給紙スタック221に積載された用紙等の記録媒体が、エアー分離部222によって1枚ずつピックアップされ、画像形成部210の方向に搬送される。次いで、画像形成システムは、給紙部220から搬送された記録媒体がレジスト調整部230に達すると、レジスト調整部230において、その内部に設けられるレジストローラ対231によって記録媒体の傾きを補正する。
【0012】
また、画像形成システムは、レジスト調整した記録媒体を画像形成部210に送る。画像形成部210は、円筒形状のドラム10の表面に設けた記録媒体グリッパ11によって記録媒体の先端を挟んで、ドラム10が回転することで、ヘッドモジュール28K~28Pに対向する位置に記録媒体を搬送する。すなわち、ドラム10は、記録媒体を搬送可能な回転体の一例である。また、画像形成部210は、円筒形状のドラム10の表面に沿って、インクジェット方式によりインク(液体の一例)を吐出する記録ヘッドユニットであるヘッドモジュール28K~28Pが、所定のインク色のインクが充填された状態で放射状に角度をもって配置されている。
【0013】
複数のヘッドモジュール28K~28Pが、ドラム10の外側から、当該ドラム10の表面に保持される記録媒体の外周面に向かってインクを吐出することにより、記録媒体上に画像を形成する。円筒形状のドラム10の外周面には、取付誤差検出溝12が設けられている。取付誤差検出溝12は、画像形成部210に対するドラム10の取付誤差の検出に用いる溝である。本実施の形態では、取付誤差検出溝12は、ドラム10上に取り付けられ、後述する吐出タイミングセンサ302(図3等参照)により検出可能なリファレンス部材の一例として機能する。
【0014】
また、画像形成システムは、画像が形成された記録媒体を、乾燥部240に送る。乾燥部240は、乾燥ユニット241が取り付けられ、乾燥ユニット241の下を記録媒体を通過させることによって、記録媒体の水分を蒸発させる。また、乾燥部240は、記録媒体反転機構251を含む記録媒体反転部250を有している。画像形成システムは、両面印刷時には、記録媒体反転部250において記録媒体を反転させ、反転搬送部252によって、再度、画像形成部210に記録媒体を搬送する。その際、画像形成システムは、画像形成部210内部に設けられるレジストローラ253によって記録媒体の傾きを補正する。
【0015】
画像形成システムは、乾燥部240による記録媒体の乾燥を終えると、記録媒体を排紙部290に搬送し、記録媒体を揃えた状態で排紙部290に積載する。
【0016】
図2は、本実施の形態にかかる画像形成システムが有するヘッドモジュールの構成の一例を示す図である。次に、図2を用いて、本実施の形態にかかる画像形成システムが有するヘッドモジュール28の構成の一例について説明する。
【0017】
ヘッドモジュール28は、主に、駆動制御基板17、記録ヘッド15、およびケーブル16を有する。駆動制御基板17は、駆動制御部26、駆動波形生成部27、および記憶部18を有する。ケーブル16は、記録制御基板コネクタ19、ヘッド側コネクタ20が取り付けられており、駆動制御基板17と、記録ヘッド15に搭載されているヘッド基板22と、の間でのアナログ信号およびデジタル信号の通信を担う。
【0018】
記録ヘッド15は、記録媒体にインク(液体の一例)を吐出する記録ヘッドの一例である。本実施の形態では、記録ヘッド15は、残留振動検知モジュール21、ヘッド基板22、ヘッド駆動IC基板24、インクタンク23、および剛性プレート25を有する。本実施の形態では、画像形成システムをライン走査型インクジェット記録装置に適用した例について説明するが、記録ヘッド15が記録媒体の搬送方向に直交する方向に移動させながら、搬送方向に搬送される記録媒体に画像を形成するシリアル走査型プリンタ、その他の液滴吐出装置等に適用することも可能である。
【0019】
図3は、本実施の形態にかかる画像形成システムが有するドラム、ドラム軸エンコーダ、および吐出タイミングセンサの構成の一例を示す図である。次に、図3を用いて、本実施の形態にかかる画像形成システムが有するドラム10、ドラム軸エンコーダ301、および吐出タイミングセンサ302の構成の一例について説明する。
【0020】
本実施の形態にかかる画像形成システムは、図3に示すように、ドラム軸エンコーダ301および吐出タイミングセンサ302を有する。ドラム軸エンコーダ301は、ドラム10のエンコーダカウント値(回転変位量の一例)を検出可能な回転検出部の一例である。本実施の形態では、ドラム軸エンコーダ301は、ドラム10の軸に取り付けられている。そして、駆動制御部26は、ドラム10の回転時に、あるタイミングから、ドラム軸エンコーダ301により検出されるエンコーダカウント値をカウントして、ドラム10の現在の回転位置を算出する。
【0021】
駆動制御部26は、記録媒体がドラム10上を搬送されるため、回転位置の算出結果に基づいて、記録ヘッド15からインクを吐出するタイミング(以下、吐出タイミングという)を決定する。本実施の形態では、ドラム10は、図3に示すように、完全な円柱ではなく、ヘッドモジュール28のメンテナンスに用いる取付誤差検出溝12、および記録媒体の搬送に用いる記録媒体グリッパ11(図1参照)を有する。
【0022】
吐出タイミングセンサ302は、記録媒体の理想位置と、記録媒体の実際の位置とのズレを検出するためのセンサである。具体的には、吐出タイミングセンサ302は、記録媒体およびドラム10の構造を検出可能に設けられるタイミング検出部の一例である。例えば、ドラム10上の記録媒体グリッパ11では、必ずしも、記録媒体を理想的な状態でグリップできない場合があり、その場合、記録媒体の理想位置と、記録媒体の実際の位置とにズレが生じる。そのため、本実施の形態にかかる画像形成システムは、吐出タイミングセンサ302を有している。
【0023】
図4は、本実施の形態にかかる画像形成システムにおいて記録媒体の理想位置と実際の位置とにズレが生じる例を説明するための図である。次に、図4を用いて、本実施の形態にかかる画像形成システムにおいて記録媒体の理想位置と実際の位置とにズレが生じる他の例について説明する。
【0024】
例えば、図4に示すように、ドラム10に偏心がある場合、駆動制御部26により算出される回転位置と、ドラム10の実際の状態(回転位置)と、が一致しない。具体的には、複数の取付誤差検出溝12の間における回転変位量(エンコーダカウンタ値)は等しくなるのが理想であるが、ドラム10に偏心がある場合、複数の取付誤差検出溝12の間のエンコーダカウント値が、理想値(目標値)から増減することになる。ここで、理想値は、吐出タイミングセンサ302により取付誤差検出溝12が検出される理想的なエンコーダカウンタ値である。このようなドラム10の偏心が生じている場合、ドラム軸エンコーダ301のエンコーダカウント値を基準にしてヘッドモジュール28からインクを吐出すると、記録媒体に対するインクの着弾タイミングが想定されているタイミングと異なるため、画質低下の要因となる。
【0025】
そのため、本実施の形態では、駆動制御部26は、実測値と、理想値と、に基づいて、記録ヘッド15からインクを吐出させる。ここで、実測値は、吐出タイミングセンサ302により取付誤差検出溝12が検出された際のエンコーダカウント値である。具体的には、駆動制御部26は、理想値と、実測値と、の誤差を検出する。そして、駆動制御部26は、理想値に対する誤差の比率に基づいて、理想値の補正値を算出し、当該補正値に基づいて、理想値を補正する。さらに、駆動制御部26は、当該補正した理想値に基づいて、記録媒体の位置を検出する。
【0026】
図5は、本実施の形態にかかる画像形成システムにおけるドラムの実測値の補正処理の一例を説明するための図である。次に、図5を用いて、本実施の形態にかかる画像形成システムにおけるドラム10の実測値の補正処理の一例について説明する。図5(b)において、縦軸は、ドラム10のエンコーダカウンタ値を表し、横軸は、記録媒体の位置を表す。
【0027】
図5(a)に示すように、記録媒体グリッパ11によって記録媒体をグリップするグリップ位置は、記録媒体毎にばらつく可能性がある。そのため、例えば、駆動制御部26は、吐出タイミングセンサ302によって記録媒体を検出し、記録媒体を検出してからの目的のエンコーダカウント値を決定することで、グリップ位置のばらつきをキャンセルすることができる。ここで、目的のエンコーダカウント値は、例えば、吐出タイミングセンサ302により記録媒体が検出されてから、記録媒体がヘッドモジュール28に達するまでのエンコーダカウンタ値であっても良い。
【0028】
ここでは、吐出タイミングセンサ302とヘッドモジュール28との物理的な位置関係は一定であるものとする。したがって、駆動制御部26は、図5(b)に示すように、吐出タイミングセンサ302により記録媒体を検出してからの目的のエンコーダカウント値を決定する。そして、駆動制御部26は、決定した目的のエンコーダカウント値に基づいて、吐出タイミングを制御する。これにより、記録媒体のグリップ位置にばらつきをキャンセルすることができ、理想的なグリップ状態とは異なるグリップ状態で搬送されてきた記録媒体に対しても、所望のタイミングで画像を形成することができる。しかしながら、本対応では、ドラム10が偏心した場合における記録媒体に対する画像形成に対する影響をキャンセルすることができない。
【0029】
図6は、本実施の形態にかかる画像形成システムにおける理想値と実測値との誤差の検出処理の一例を説明するための図である。次に、図6を用いて、本実施の形態にかかる画像形成システムにおける理想値と実測値との誤差の検出処理の一例について説明する。
【0030】
本実施の形態では、吐出タイミングセンサ302は、取付誤差検出溝12の物理的な構成(構造)を検出する。そして、駆動制御部26は、図6に示すように、吐出タイミングセンサ302による取付誤差検出溝12の検出開始から検出終了までのドラム軸エンコーダ301によるエンコーダカウント値の検出結果を取得する。例えば、ドラム10のドラム面(1→2)の理想値が1000カウントであるにも関わらず、ドラム軸エンコーダ301から取得したドラム面(1→2)の実測値が1010カウントである場合、駆動制御部26(制御部の一例)は、理想値と実測値との誤差を算出する。さらに、駆動制御部26は、理想値に対する誤差の比率(+1%)を、理想値の補正値として算出する。
【0031】
本実施の形態では、駆動制御部26は、ドラム10が回転していれば、補正値を算出することができるので、記録媒体に対しての印刷(記録の一例)を実施する前に、ドラム10を回転させて、補正値を算出しても良い。または、駆動制御部26は、記録媒体への印刷前に実施するイニシャル動作時におけるドラム10の回転時に、補正値を算出しても良い。また、駆動制御部26は、記録媒体への印刷を実施する際に、ドラム10を回転させて、補正値を算出しても良い。または、駆動制御部26は、記録媒体に対する印刷前に補正値を予め算出しておき、記録媒体に対する印刷開始時から、当該算出した補正値に基づいて、ドラム軸エンコーダ301によるエンコーダカウント値を補正しても良い。
【0032】
また、本実施の形態では、取付誤差検出溝12を用いて、補正値を算出しているが、ドラム10に設けられるリファレンス部材であれば、取付誤差検出溝12以外の部材(例えば、空吐出受け部)を用いて、補正値を算出することも可能である。その際、ドラム10上の複数の部材を用いて補正値を算出することによって、ドラム10上を細かい区間に分けて、各区間の補正値を算出することができる。
【0033】
図7は、本実施の形態にかかる画像形成システムにおける理想値の補正処理の一例を説明するための図である。図7において、縦軸は、エンコーダカウント値を表し、横軸は、記録媒体の位置を表す。次に、図7を用いて、本実施の形態にかかる画像形成システムにおける実測値の補正処理の一例について説明する。
【0034】
例えば、図6のドラム面(1→2)における理想値の補正値は、「+1%」である。そして、ドラム面(1→2)において記録媒体を検出してエンコーダカウント値を取得する場合、駆動制御部26は、理想値に対して「+1%」の補正を行うことにより、実測に近い、吐出タイミングセンサ302からヘッドモジュール28までのエンコーダカウント値を取得することができる。
【0035】
これにより、ドラム10に偏心がある場合でも、記録媒体がヘッドモジュール28に到達するタイミングを実測に近いタイミングで算出することができる。また、物理的な構成の位置をリファレンスとして用いて、理想値を補正しているので、ドラム10の回転速度が一定でない場合であっても、理想値を補正することができる。その結果、ドラム10による記録媒体の実際の搬送速度と、設定上の搬送速度と、が異なる場合でも、所望のタイミングで記録媒体に印刷可能となる。
【0036】
本実施の形態では、算出する補正値の数と、記録媒体に対する印刷で使用するドラム面の数とが同一の場合について説明しているが、これに限定するものではく、算出した補正値と、当該補正値により補正する実測値を検出した箇所が一致していれば、補正値の数と、ドラム面の数とが一致していなくても良い。
【0037】
図8は、本実施の形態にかかる画像形成システムにおいてエンコーダカウント値と記録媒体の位置との関係性を表すグラフの一例である。図8において、縦軸は、エンコーダカウンタ値を表し、横軸は、記録媒体の位置を表す。次に、図8を用いて、本実施の形態にかかる画像形成システムにおいて、エンコーダカウンタ値と記録媒体の位置との関係性を算出する処理の一例を説明するための図である。
【0038】
本実施の形態では、駆動制御部26は、図8に示すように、実測値(エンコーダカウンタ値)と、記録媒体の位置と、の関係性を表す近似曲線を算出する。例えば、駆動制御部26は、最小二乗法等を用いて、実測値と記録媒体の位置との関係性を表す近似曲線を算出する。これにより、駆動制御部26は、算出した近似曲線を用いて、エンコーダカウンタ値を、記録媒体の位置に容易に変換することができる。また、ドラム10上においてリファレンス部材が設けられていない箇所の実測値の補正をするためのプロファイルが可能となる。
【0039】
そして、駆動制御部26は、当該近似曲線に基づいて、エンコーダカウント値から記録媒体の位置を算出する。これにより、所望のタイミングで記録媒体に対してインクを吐出することが可能となる。
【0040】
または、本実施の形態では、駆動制御部26は、実測値と、記録媒体の位置と、の関係性を表す変換用の算出式を、記憶部901b(図9参照)に保存しても良い。そして、駆動制御部26は、当該変換用の算出式を用いて、エンコーダカウンタ値を、記録媒体の位置に変換する計算を随時行っても良い。これにより、エンコーダカウンタ値を記録媒体の位置に変換するために用いるデータの記憶に用いるメモリ容量を節約することができる。
【0041】
または、本実施の形態では、駆動制御部26は、補正後の実測値と、記録媒体の位置と、の関係性を表す変換用のテーブルを、記憶部901b(図9参照)に保存しても良い。そして、駆動制御部26は、当該変換用のテーブルを用いて、エンコーダカウンタ値を、記録媒体の位置に変換しても良い。これにより、エンコーダカウンタ値から記録媒体の位置への変換処理を高速化することができる。
【0042】
図9は、本実施の形態にかかる画像形成システムの機能構成の一例を示す図である。次に、図9を用いて、本実施の形態にかかる画像形成システムの機能構成の一例について説明する。
【0043】
本実施の形態にかかる画像形成システムは、図9に示すように、回転検出部901、印刷処理部902、取付誤差検出溝(リファレンス部材の一例)を有するドラム(回転体)10、および記録ヘッド15を有する。
【0044】
印刷処理部902は、駆動制御基板17等により実現され、制御部902a、およびヘッド駆動部902bを有する。制御部902aは、記録ヘッド15の駆動を制御する。ヘッド駆動部902bは、制御部902aにより制御され、記録ヘッド15を駆動する。
【0045】
回転検出部901は、制御部901a、記憶部901b、ドラム軸エンコーダ(回転量検出部)301、および吐出タイミングセンサ(記録媒体到達タイミング検出部)302を有する。
【0046】
ドラム軸エンコーダ301は、ドラム10のエンコーダカウント値を検出する。吐出タイミングセンサ302は、リファレンス部材の一例である取付誤差検出溝12を検出する。記憶部901bは、理想値、上述した近似曲線、変換用の算出式、変換用のテーブル等を記憶する記憶部の一例である。制御部901aは、実測値と、理想値と、に基づいて、記録ヘッド15からインクを吐出させる。具体的には、制御部901aは、理想値と、実測値との誤差を検出し、理想値に対する当該誤差の比率に基づいて、理想値の補正値を算出する。さらに、制御部901aは、補正した理想値に基づいて、記録媒体の位置を算出する。そして、制御部901aは、記録媒体の位置に基づいて、適切なタイミングで印刷が行われるように、印刷処理部902と通信を行う。
【0047】
図10は、本実施の形態にかかる画像形成システムにおけるエンコーダカウント値のカウント処理の流れの一例を示すフローチャートである。次に、図10を用いて、本実施の形態にかかる画像形成システムにおけるエンコーダカウント値のカウント処理の流れの一例について説明する。ここでは、ドラム10に対して複数のリファレンス部材の一例である3つの取付誤差検出溝12-A,12-B,12-Cが設けられている例について説明する。
【0048】
本実施の形態では、制御部901aは、まず、ドラム軸エンコーダ301からのエンコーダカウント値の取得回数iを0に設定し、ドラム軸エンコーダ301によるエンコーダカウント値のカウントを開始する(ステップS1001)。次に、吐出タイミングセンサ302によってリファレンス部材の一例である取付誤差検出溝12が検出されると(ステップS1002)、制御部901aは、前回検出されたリファレンス部材が取付誤差検出溝12-Aか否かを判断する(ステップS1003)。
【0049】
ここで、制御部901aは、以下の方法によりリファレンス部材の一例である取付誤差検出溝12が、取付誤差検出溝12-A~12-Cのいずれであるかを判別する。
【0050】
例えば、ドラム10が、当該ドラム10のホームポジションを認識可能とするホームポジション認識部を備える場合、制御部901aは、吐出タイミングセンサ302によってホームポジション認識部を検出されてからのエンコーダカウント値を検出しておき、当該検出したエンコーダカウント値に基づいて、吐出タイミングセンサ302によって検出した取付誤差検出溝12が、取付誤差検出溝12-A~12-Cのいずれであるかを判別しても良い。これにより、少なく処理でリファレンス部材を判別することができる。
【0051】
また、複数の取付誤差検出溝12-A~12-Cのそれぞれの形状が異なる場合、制御部901aは、吐出タイミングセンサ302により検出される取付誤差検出溝12の形状の差異に基づいて、取付誤差検出溝12-A~12-Cのいずれであるかを判別しても良い。ここで、取付誤差検出溝12の形状が異なる場合とは、例えば、取付誤差検出溝12のそれぞれのサイズが異なる場合等である。これにより、ドラム10にホームポジション認識部を設けなくても、取付誤差検出溝12を判別することが可能となる。
【0052】
また、隣り合う取付誤差検出溝12の間の距離が異なる場合、制御部901aは、吐出タイミングセンサ302により検出される隣り合う取付誤差検出溝12間の距離に基づいて、取付誤差検出溝12-A~12-Cのいずれであるかを判別しても良い。これにより、ドラム10のホームポジション認識部を設けなくても、取付誤差検出溝12を判別することができる。
【0053】
図10に戻り、前回検出されたリファレンス部材が取付誤差検出溝12-Aである場合(ステップS1003:Yes)、制御部901aは、取付誤差検出溝12-Aと取付誤差検出溝12-B間のエンコーダカウント値のカウントを開始する(ステップS1004)。その後、吐出タイミングセンサ302によって取付誤差検出溝12-Bが検出されると(ステップS1005)、制御部901aは、取付誤差検出溝12-Aと取付誤差検出溝12-B間のエンコーダカウント値を記憶部901bに格納する(ステップS1006)。また、制御部901aは、取得回数iをカウントアップする(ステップS1007)。
【0054】
次に、制御部901aは、3つの取付誤差検出溝12の全ての期間のエンコーダカウンタ値の取得が完了したか否かを判断する(ステップS1008)。全ての期間のエンコーダカウンタ値が取得された場合(ステップS1008:Yes)、すなわち、取得回数iが3である場合、制御部901aは、取得回数iをクリアして、エンコーダカウンタ値のカウントを終了する(ステップS1009)。
【0055】
また、前回検出されたリファレンス部材が取付誤差検出溝12-Aでない場合(ステップS1003:No)、制御部901aは、前回検出されたリファレンス部材が取付誤差検出溝12-Bか否かを判断する(ステップS1010)。前回検出されたリファレンス部材が取付誤差検出溝12-Bである場合(ステップS1010:Yes)およびステップS1008において取得回数iが3でないと判断された場合(ステップS1008:No)、制御部901aは、取付誤差検出溝12-Bと取付誤差検出溝12-C間のエンコーダカウント値のカウントを開始する(ステップS1011)。その後、吐出タイミングセンサ302によって取付誤差検出溝12-Cが検出されると(ステップS1012)、制御部901aは、取付誤差検出溝12-Bと取付誤差検出溝12-C間のエンコーダカウント値を記憶部901bに格納する(ステップS1013)。また、制御部901aは、取得回数iをカウントアップする(ステップS1014)。
【0056】
次に、制御部901aは、3つの取付誤差検出溝12の全ての期間のエンコーダカウンタ値の取得が完了したか否かを判断する(ステップS1015)。全ての期間のエンコーダカウンタ値が取得された場合(ステップS1015:Yes)、すなわち、取得回数iが3である場合、制御部901aは、取得回数iをクリアして、エンコーダカウンタ値のカウントを終了する(ステップS1009)。
【0057】
また、前回検出されたリファレンス部材が取付誤差検出溝12-Bでない場合(ステップS1010:No)およびステップS1008において取得回数iが3でないと判断された場合(ステップS1015:No)、制御部901aは、取付誤差検出溝12-Cと取付誤差検出溝12-A間のエンコーダカウント値のカウントを開始する(ステップS1016)。その後、吐出タイミングセンサ302によって取付誤差検出溝12-Aが検出されると(ステップS1017)、制御部901aは、取付誤差検出溝12-Cと取付誤差検出溝12-A間のエンコーダカウント値を記憶部901bに格納する(ステップS1018)。また、制御部901aは、取得回数iをカウントアップする(ステップS1019)。
【0058】
次に、制御部901aは、3つの取付誤差検出溝12の全ての期間のエンコーダカウンタ値の取得が完了したか否かを判断する(ステップS1020)。全ての期間のエンコーダカウンタ値が取得された場合(ステップS1020:Yes)、すなわち、取得回数iが3である場合、制御部901aは、取得回数iをクリアして、エンコーダカウンタ値のカウントを終了する(ステップS1009)。一方、全ての期間のエンコーダカウンタ値が取得されていない場合(ステップS1020:No)、制御部901aは、ステップS1004に戻る。
【0059】
図11は、本実施の形態にかかる画像形成システムにおけるエンコーダカウント値のカウント処理の流れの他の例を示すフローチャートである。次に、図11を用いて、本実施の形態にかかる画像形成システムにおけるエンコーダカウント値のカウント処理の他の例について説明する。
【0060】
本実施の形態では、制御部901aは、各取付誤差検出溝12間のエンコーダカウント値を平均化する平均回数jのカウントを開始する(ステップS1101)。そして、図10に示すカウント処理により各取付誤差検出溝12(リファレンス部材の一例)間のエンコードカウンタ値が検出される度に(ステップS1102)、制御部901aは、平均回数jをカウントアップする(ステップS1103)。次に、制御部901aは、平均回数jが予め設定された回数Nに達したか否かを判断する(ステップS1104)。
【0061】
平均回数jが予め設定された回数Nに達していない場合(ステップS1104:No)、制御部901aは、ステップS1102に戻る。一方、平均回数jが予め設定された回数Nに達した場合(ステップS1104:Yes)、制御部901aは、平均回数jをクリアし(ステップS1105)、複数のエンコーダカウント値を平均化して、記憶部901b等に格納する(ステップS1106)。その後、制御部901aは、複数のエンコーダカウント値の平均に基づいて、補正値を算出する。これにより、エンコーダカウント値の検出精度を向上させることができる。また、エンコーダカウント値を平均化する回数Nを、センサ等の検出精度に合わせて調整することも可能である。
【0062】
図12は、本実施の形態にかかる画像形成システムにおける印刷処理の流れの一例を示すフローチャートである。次に、図12を用いて、本実施の形態にかかる画像形成システムにおける印刷処理の流れの一例について説明する。
【0063】
本実施の形態では、制御部901aは、記録媒体に対する印刷の開始前に、取付誤差検出溝12(リファレンス部材の一例)間のエンコーダカウント値を検出する(ステップS1201)。次に、制御部901aは、エンコーダカウント値の検出結果等を用いて、補正値を算出する(ステップS1202)。その後、制御部901aは、算出した補正値に基づいて理想値を補正し、当該補正後の理想値に基づいて、記録媒体の位置を検出して、当該記録媒体の位置に基づいて、記録ヘッド15からのインクの吐出タイミングを調整して、記録媒体に対する印刷を開始する(ステップS1203)。これにより、印刷ジョブの1ページ目の記録媒体から、実測値の補正を実行することができる。
【0064】
図13は、本実施の形態にかかる画像形成システムにおける印刷処理の他の流れの一例を示すフローチャートである。次に、図13を用いて、本実施の形態にかかる画像形成システムにおける印刷処理の他の流れの一例について説明する。
【0065】
本実施の形態では、制御部901aは、ドラム10に記録媒体が搬送される前のイニシャル動作時に、取付誤差検出溝12(リファレンス部材の一例)間のエンコーダカウント値を検出する(ステップS1302)。次に、制御部901aは、エンコーダカウント値の検出結果等を用いて、補正値を算出する(ステップS1303)。その後、制御部901aは、ドラム10に記録媒体が搬送されると、算出した補正値に基づいて理想値を補正し、当該補正後の理想値に基づいて、記録媒体の位置を検出して、当該記録媒体の位置に基づいて、記録媒体に対する印刷を開始する(ステップS1301)。これにより、印刷ジョブの1ページ目の記録媒体から、実測値の補正を実行することができる。
【0066】
図14は、本実施の形態にかかる画像形成システムにおける印刷処理の他の流れの一例を示すフローチャートである。次に、図14を用いて、本実施の形態にかかる画像形成システムにおける印刷処理の他の流れの一例について説明する。
【0067】
本実施の形態では、制御部901aは、記録媒体に対する印刷が開始されると(ステップS1401)、それに並行して、取付誤差検出溝12(リファレンス部材の一例)間のエンコーダカウント値を検出する(ステップS1402)。次に、制御部901aは、エンコーダカウント値の検出結果等を用いて、補正値を算出する(ステップS1403)。その後、記録媒体への印刷が終了していない場合(ステップS1404:No)、制御部901aは、ステップS1402に戻り、算出した補正値に基づいて理想値を補正し、当該補正後の理想値に基づいて、記録媒体の位置を検出し、当該検出した記録媒体の位置に基づいて、記録媒体に対する印刷を実行する。さらに、制御部901aは、ステップS1402に進み、エンコーダカウント値の検出を繰り返す。すなわち、制御部901aは、ドラム10が回転する度に、補正値を算出する。
【0068】
一方、記録媒体への印刷が終了すると(ステップS1404:Yes)、制御部901aは、エンコーダカウント値の検出および補正値の算出を終了する。これにより、環境変化によりセンサ特性が変化した場合でも適切な補正値に基づいて実測値の補正を実行することができる。
【0069】
このように、本実施の形態にかかる画像形成システムによれば、ドラム10に偏心がある場合でも、記録媒体がヘッドモジュール28に到達するタイミングを実測に近いタイミングで算出することができる。また、物理的な構成の位置をリファレンスとして用いて、理想値を補正しているので、ドラム10の回転速度が一定でない場合であっても、理想値を補正することができる。その結果、ドラム10による記録媒体の実際の搬送速度と、設定上の搬送速度と、が異なる場合でも、所望のタイミングで記録媒体に印刷可能となる。
【0070】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0071】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0072】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0073】
また、「液体」は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0074】
また、「液体を吐出する装置」としては他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液をノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【符号の説明】
【0075】
10 ドラム
12 取付誤差検出溝
15 記録ヘッド
210 画像形成部
301 ドラム軸エンコーダ
302 吐出タイミングセンサ
901 回転検出部
901a,902a 制御部
902b ヘッド駆動部
901b 記憶部
902 印刷処理部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0076】
【特許文献1】特開2015-193152号公報
図1
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