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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023054631
(43)【公開日】2023-04-14
(54)【発明の名称】電圧レギュレータ
(51)【国際特許分類】
   G05F 1/56 20060101AFI20230407BHJP
   G05F 1/10 20060101ALI20230407BHJP
【FI】
G05F1/56 310D
G05F1/10 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021163601
(22)【出願日】2021-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下本 晃平
(72)【発明者】
【氏名】松尾 裕介
【テーマコード(参考)】
5H410
5H430
【Fターム(参考)】
5H410BB04
5H410CC02
5H410DD02
5H410EA11
5H410EA34
5H410EB37
5H410FF03
5H410FF25
5H410HH01
5H430BB03
5H430BB09
5H430BB11
5H430EE06
5H430EE14
5H430FF04
5H430FF13
5H430GG04
5H430HH03
(57)【要約】
【課題】電圧レギュレータにおける配線抵抗に起因する電圧降下を補償すること。
【解決手段】実施形態に係る電圧レギュレータは、エラーアンプと、基準電圧源と、位相補償回路と、オフセット電圧調整回路とを備える。前記エラーアンプは、反転入力端子に出力電圧のフィードバックが入力される。前記基準電圧源は、前記エラーアンプの非反転入力端子に基準電圧を供給する。前記位相補償回路は、前記基準電圧源の前記基準電圧の出力端子と、前記エラーアンプの非反転入力端子との間に接続され、負荷端からの正帰還に位相余裕を発生する。前記オフセット電圧調整回路は、前記基準電圧源の接地端子と、グランド電位の接地線との間に接続され、前記基準電圧源の接地端子にオフセット電圧を印加する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反転入力端子に出力電圧のフィードバックが入力されるエラーアンプと、
前記エラーアンプの非反転入力端子に基準電圧を供給する基準電圧源と、
前記基準電圧源の前記基準電圧の出力端子と、前記エラーアンプの非反転入力端子との間に接続され、負荷端からの正帰還に位相余裕を発生する位相補償回路と、
前記基準電圧源の接地端子と、グランド電位の接地線との間に接続され、前記基準電圧源の接地端子にオフセット電圧を印加するオフセット電圧調整回路と
を具備する電圧レギュレータ。
【請求項2】
前記オフセット電圧調整回路は、負荷端の負側とグランド電位の接地線との間に直列に接続される複数の抵抗を有し、
前記基準電圧源の接地端子は、オフセット電圧が発生する前記複数の抵抗の接続点に接続される、
請求項1に記載の電圧レギュレータ。
【請求項3】
前記オフセット電圧調整回路は、電圧レギュレータの出力電流又は入力電流に応じた電流を生成する電流源と、前記電流源の一端とグランド電位の接地線との間に接続される抵抗とを有し、
前記基準電圧源の接地端子は、オフセット電圧が発生する前記抵抗と前記電流源の一端との接続点に接続される、
請求項1に記載の電圧レギュレータ。
【請求項4】
前記エラーアンプの前記反転入力端子は、負荷端の正側の電圧に応じた電圧が入力する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電圧レギュレータ。
【請求項5】
前記エラーアンプの前記反転入力端子は、前記エラーアンプの出力端子の電圧に応じた電圧が入力する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電圧レギュレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の実施形態は、電圧レギュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の電子機器などにおいて、要求される電源電圧を安定的に負荷に供給するために電圧レギュレータが使用されている。例えば、電圧レギュレータは、誤差増幅器により検出された出力電圧と基準電圧との差に基づいて、出力電圧が所望の電圧となるようにパワートランジスタを制御するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-010563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電圧レギュレータにおいては、配線が有する抵抗成分、すなわち配線抵抗に起因して負荷端の電圧が低下するという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、上記に鑑みてなされたものであって、電圧レギュレータにおける配線抵抗に起因する電圧降下を補償することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、実施形態に係る電圧レギュレータは、エラーアンプと、基準電圧源と、位相補償回路と、オフセット電圧調整回路とを備える。前記エラーアンプは、反転入力端子に出力電圧のフィードバックが入力される。前記基準電圧源は、前記エラーアンプの非反転入力端子に基準電圧を供給する。前記位相補償回路は、前記基準電圧源の前記基準電圧の出力端子と、前記エラーアンプの非反転入力端子との間に接続され、負荷端からの正帰還に位相余裕を発生する。前記オフセット電圧調整回路は、前記基準電圧源の接地端子と、グランド電位の接地線との間に接続され、前記基準電圧源の接地端子にオフセット電圧を印加する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電圧レギュレータにおける配線抵抗に起因する電圧降下を補償することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る電圧レギュレータの構成の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る電圧レギュレータにおける位相補償回路の構成の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る電圧レギュレータにおける位相補償回路の構成の別の一例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る電圧レギュレータにおける位相補償回路の構成の別の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る電圧レギュレータにおける位相補償回路の構成の別の一例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る電圧レギュレータにおける位相補償回路の構成の別の一例を示す図である。
図7図7は、実施形態に係る電圧レギュレータの構成の別の一例を示す図である。
図8図8は、実施形態に係る電圧レギュレータとは異なり、オフセット電圧調整回路が搭載されていない電圧レギュレータの構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、電圧レギュレータの実施形態について詳細に説明する。以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作を行うものとして、重複する説明は適宜省略する。なお、以下の実施形態において、「接続」とは、「電気的な接続」を意味するとする。
【0010】
図1は、実施形態に係る電圧レギュレータ1の構成の一例を示す図である。電圧レギュレータ1は、外部電源10から供給される入力電圧を用いて、負荷40に必要な電圧を供給するように構成される電源装置である。なお、図1は、電圧レギュレータ1の負荷端の正側の配線抵抗Rw1と、負側の配線抵抗Rw2とを模式的に例示している。
【0011】
外部電源10は、電圧レギュレータ1に電源電圧を供給するための電源である。外部電源10は、一端が電源回路20の外部入力端子VSUPに接続され、他端がグランド電位となるノード(以下、接地線と記載する。)に接続される。負荷40は、電圧レギュレータ1から供給される電源電圧を用いて動作する負荷である。負荷40は、消費電力を削減する要求や使用用途に応じて、必要とする電源電圧が変化する負荷であってもよいし、定電圧で動作する負荷であってもよい。負荷40は、+端子が電圧レギュレータ1の負荷端の正側に接続され、-端子が電圧レギュレータ1の負荷端の負側、すなわち接地線に接続される。
【0012】
電圧レギュレータ1は、図1に示すように、電源回路20、オフセット電圧調整回路30、コンデンサC1、コンデンサC2、抵抗R1及び抵抗R2を有する。
【0013】
抵抗R1及び抵抗R2は、電圧レギュレータ1の負荷端の正側と接地線との間に直列に接続される。つまり、抵抗R1及び抵抗R2は、負荷40に並列である。図1に示す例では、抵抗R1は、抵抗R2と負荷端との正側の間に接続される。抵抗R2は、抵抗R1と接地線との間に接続される。抵抗R1及び抵抗R2の各抵抗値は、例えば負荷端の正側の配線抵抗Rw1や負荷40の要求する電圧値などに応じた分圧を発生するように決定されればよい。
【0014】
電源回路20は、負荷40が必要とする電圧を供給する電源回路である。電源回路20は、外部入力端子VSUPから供給される入力電圧を用いて外部出力端子OUTへ所定の電圧を出力する。外部入力端子VSUPは、外部電源10の一端に接続される。外部出力端子OUTは、コンデンサC2を介して、接地線に接続される。また、外部出力端子OUTは、負荷40の+端子に接続される。換言すれば、負荷40は、コンデンサC2に並列に、外部出力端子OUTに接続される。
【0015】
電源回路20は、図1に示すように、基準電圧源21、インピーダンス素子23及びエラーアンプ25を有する。
【0016】
基準電圧源21は、外部入力端子VSUPからの入力電圧を用いて電源回路20における基準電圧を生成する。具体的には、基準電圧源21は、インピーダンス素子23を介してエラーアンプ25の非反転入力端子(+)に入力される基準電圧を発生する電圧源である。つまり、基準電圧源21は、エラーアンプ25の非反転入力端子(+)に出力端子BGR-OUTからの基準電圧を供給する。基準電圧源21としては、例えばBGR(Band Gap Reference)回路が利用される。基準電圧源21は、外部入力端子VSUPと接地端子BGR-GNDとの間に接続される。
【0017】
エラーアンプ25は、非反転入力端子(+)と反転入力端子(-)との間の電位差に応じた増幅結果を出力する演算増幅器である。エラーアンプ25の非反転入力端子(+)は、インピーダンス素子23を介して基準電圧源21の出力端子BGR-OUTに接続される。また、エラーアンプ25の非反転入力端子(+)は、電源回路20の入力端子INPに接続される。エラーアンプ25の反転入力端子(-)は、電源回路20の入力端子INNに接続される。入力端子INNは、抵抗R1と抵抗R2との接続点に接続される。上述したように、抵抗R1及び抵抗R2は、外部出力端子OUTと接地線との間に直列に接続される。つまり、エラーアンプ25の反転入力端子(-)には、出力電圧の分圧電圧(フィードバック)が入力される。また、エラーアンプの反転入力端子(-)は、入力端子INN及び抵抗R1を介して、負荷端の正側に接続される。
【0018】
また、図1は、エラーアンプ25の出力段としてのPMOSトランジスタ251及びNMOSトランジスタ253を例示する。なお、図1に示す例では、説明の簡単のために、エラーアンプ25の入力段及び利得段を省略している。
【0019】
PMOSトランジスタ251は、ドレイン及びソースのいずれか一方が外部入力端子VSUPに接続され、他方がNMOSトランジスタ253のドレイン及びソースのいずれか一方に接続される。NMOSトランジスタ253のドレイン及びソースの他方は、接地端子GNDを介して、接地線に接続される。PMOSトランジスタ251及びNMOSトランジスタ253の各ドレイン間、あるいは各ソース間は、電源回路20の外部出力端子OUTに接続される。
【0020】
インピーダンス素子23及びコンデンサC1は、位相補償回路35を構成する。位相補償回路35は、負荷40に接続される電圧レギュレータ1の負荷端の負側からの正帰還に例えば遅延を与え、位相余裕を発生する回路である。図2は、実施形態に係る電圧レギュレータ1における位相補償回路35の構成の一例を示す図である。図2は、インピーダンス素子23としての抵抗R5を例示する。すなわち、抵抗R5は、基準電圧源21の出力端子BGR-OUTとエラーアンプ25の非反転入力端子(+)との間に接続される抵抗素子である。また、抵抗R5及びエラーアンプ25の非反転入力端子(+)は、それぞれ電源回路20の入力端子INPに接続される。入力端子INPは、コンデンサC1を介して接地線に接続される。換言すれば、コンデンサC1は、エラーアンプ25の非反転入力端子(+)と、グランド電位の接地線との間に接続される。
【0021】
オフセット電圧調整回路30は、基準電圧源21の接地端子にオフセット電圧を印加する回路である。具体的には、オフセット電圧調整回路30は、電圧レギュレータ1の負荷端の負側の電位、すなわち負荷40の-端子の電位を基準電圧源21の接地端子BGR-GNDに帰還する回路である。つまり、オフセット電圧調整回路30は、負荷40の-端子の電位に応じて基準電圧源21の接地端子BGR-GNDの電位をオフセット電圧の印加により持ち上げる回路である。
【0022】
オフセット電圧調整回路30は、図1に示すように、抵抗R3及び抵抗R4を有する。抵抗R3及び抵抗R4は、負荷端の負側とグランド電位の接地線との間に直列に接続される複数の抵抗の一例である。抵抗R3及び抵抗R4の各抵抗値は、負荷端の負側の配線抵抗Rw2に応じた分圧(オフセット電圧)を発生するように決定されればよい。例えば、負荷端の正側の配線抵抗Rw1と、負側の配線抵抗Rw2の抵抗値とが等しい場合は、抵抗R1,R2及び抵抗R3,R4の抵抗値がR1:R2=R3:R4となるように設定すればよい。図1に示す例では、抵抗R3及び抵抗R4は、電圧レギュレータ1の負荷端の負側と接地線との間に直列に接続される。抵抗R3は、負荷端の負側と抵抗R4との間に接続される。抵抗R4は、抵抗R3と接地線との間に接続される。また、抵抗R3と抵抗R4との接続点は、基準電圧源21の接地端子BGR-GNDに接続される。つまり、基準電圧源21の接地端子BGR-GNDは、オフセット電圧が発生する複数の抵抗R3,R4の接続点に接続される。
【0023】
図8は、実施形態に係る電圧レギュレータ1とは異なり、オフセット電圧調整回路30が搭載されていない電圧レギュレータ5の構成の一例を示す図である。図8に示すように、電圧レギュレータ5において、基準電圧源21の接地端子は、接地端子GNDを介して接地線に接続される。つまり、電圧レギュレータ5は、本実施形態に係るオフセット電圧調整回路30を有していない。
【0024】
従来、外部出力端子OUTが所望の電圧であっても、配線抵抗Rw1による電圧降下に伴い、負荷の+端子では所望の電圧より低い電圧となる場合があった。同様に、配線抵抗Rw2による電圧降下に伴い、負荷の-端子の電位が上がり、負荷端において、負荷が要求する電位差が得られない場合があった。
【0025】
このような中、図8に例示するような一般的なリニアレギュレータとしての電圧レギュレータ5においては、配線抵抗に起因する負荷端の電圧降下を抑制するために、例えば負荷の+端子近くから帰還を行うことで、配線抵抗に起因する電圧降下が加味された出力電圧を出力することができる。一方で、オフセット電圧調整回路30を有していない電圧レギュレータ5では、負荷端の負側の配線抵抗を検出できないため、負荷端の負側の配線抵抗に起因する電圧降下を抑制することはできなかった。
【0026】
また、負荷端の負側の配線抵抗を検出するためには、センス回路など補正用のための回路を搭載する必要があり、回路構成の小型化やコスト低減が困難であった。
【0027】
一方で、本実施形態に係る電圧レギュレータ1は、基準電圧源21の接地端子と、グランド電位の接地線との間に接続され、基準電圧源21の接地端子にオフセット電圧を印加するオフセット電圧調整回路30を有する。つまり、本実施形態に係る電圧レギュレータ1には、負荷端の電圧を帰還するオフセット電圧調整回路30が、基準電圧源21の接地端子に接続された接地端子BGR-GND及び接地線に接続するように設けられている。
【0028】
したがって、本実施形態に係る電圧レギュレータ1によれば、基準電圧源21の接地側に対して負荷端の電圧を帰還することによりオフセット電圧を印加し、配線抵抗により低下した電圧に応じて基準電圧源21の接地側の電位を持ち上げることができる。つまり、本実施形態に係る電圧レギュレータ1によれば、センス回路など補正用のための回路を搭載することなく、負荷端の電圧補正が可能となる。換言すれば、本実施形態に係る電圧レギュレータ1によれば、配線抵抗による電圧降下を補償することができる。これにより、電圧レギュレータ1の内部回路の規模を増やすことなく、負荷端に供給する電圧を安定化することができる。
【0029】
また、本実施形態に係る電圧レギュレータ1は、基準電圧源21の基準電圧の出力端子BGR-OUTと、エラーアンプ25の非反転入力端子(+)との間に接続され、負荷端からの正帰還に位相余裕を発生する位相補償回路35を有する。図8に例示するように、一般的なリニアレギュレータにおいても、位相補償回路35のコンデンサC1と同様に、基準電圧源21からの基準電圧のホワイトノイズを低減する目的でコンデンサC1が設けられる場合があった。
【0030】
一方で、本実施形態に係る電圧レギュレータ1では、基準電圧源21が接地端子GNDを介して接地線に接続された電圧レギュレータ5とは異なり、基準電圧源21の接地端子BGR-GNDは、オフセット電圧調整回路30を介して接地線に接続される。つまり、本実施形態に係る電圧レギュレータ1によれば、ホワイトノイズ低減に加えて、正帰還のスピードを落として電圧上昇を緩やかにし、正帰還での発振を抑制する効果を得ることができる。
【0031】
なお、位相補償回路35のインピーダンス素子23としては、抵抗R5に限らず、他の回路構成を利用することもできる。
【0032】
例えば、インピーダンス素子23として出力電流が制限されたアンプ231,233を利用することができる。
【0033】
図3は、実施形態に係る電圧レギュレータ1における位相補償回路35の構成の別の一例を示す図である。図3の位相補償回路35は、インピーダンス素子23としてのトランスコンダクタンスアンプ(相互コンダクタンス(gm)アンプ)231を有する。
【0034】
トランスコンダクタンスアンプ231は、図3に示すように、基準電圧源21の基準電圧の出力端子BGR-OUTと、エラーアンプ25の非反転入力端子(+)との間に接続される。具体的には、トランスコンダクタンスアンプ231の非反転入力端子(+)は、基準電圧源21の基準電圧の出力端子BGR-OUTに接続される。トランスコンダクタンスアンプ231の反転入力端子(-)は、トランスコンダクタンスアンプ231の出力端に接続される。トランスコンダクタンスアンプ231の出力端は、エラーアンプ25の非反転入力端子(+)に接続されるとともに、入力端子INP及びコンデンサC1を介して接地線に接続される。この構成であっても、上述の実施形態と同様の効果が得られる。
【0035】
図4は、実施形態に係る電圧レギュレータ1における位相補償回路35の構成の別の一例を示す図である。図4の位相補償回路35は、インピーダンス素子23としての2段アンプ233を有する。
【0036】
2段アンプ233は、例えば差動段と、当該差動段の後段に設けられ、当該差動段に比してソース能力が弱い出力段とを有する。つまり、2段アンプ233は、2段目の電流能力が制限されたアンプであると表現することができる。2段アンプ233は、図4に示すように、基準電圧源21の基準電圧の出力端子BGR-OUTと、エラーアンプ25の非反転入力端子(+)との間に接続される。具体的には、2段アンプ233の非反転入力端子(+)は、基準電圧源21の基準電圧の出力端子BGR-OUTに接続される。2段アンプ233の反転入力端子(-)は、2段アンプ233の出力端に接続される。2段アンプ233の出力端は、エラーアンプ25の非反転入力端子(+)に接続されるとともに、入力端子INP及びコンデンサC1を介して接地線に接続される。この構成であっても、上述の実施形態と同様の効果が得られる。
【0037】
また、例えば、インピーダンス素子23としてコンデンサC3又はダイオードD1を抵抗R5に並列に接続した回路構成を利用することができる。
【0038】
図5は、実施形態に係る電圧レギュレータ1における位相補償回路35の構成の別の一例を示す図である。図5の位相補償回路35は、インピーダンス素子23として、抵抗R5と、抵抗R5に並列に接続されたコンデンサC3とを有する。この構成であっても、上述の実施形態と同様の効果が得られる。
【0039】
図6は、実施形態に係る電圧レギュレータ1における位相補償回路35の構成の別の一例を示す図である。図6の位相補償回路35は、インピーダンス素子23として、抵抗R5と、抵抗R5に並列に接続されたダイオードD1とを有する。
【0040】
ダイオードD1は、入力端子INP又はエラーアンプ25の非反転入力端子(+)から基準電圧源21の出力端子BGR-OUTへの電流の逆流を遮断する回路素子である。ダイオードD1としては、順方向電圧による損失やスイッチング損失が低減された高速充電用ダイオードが利用されてもよい。ダイオードD1は、アノードが基準電圧源21の出力端子BGR-OUTに接続され、カソードが入力端子INP及びエラーアンプ25の非反転入力端子(+)に接続される。この構成であっても、上述の実施形態と同様の効果が得られる。
【0041】
なお、上述の各実施形態に係る電圧レギュレータ1において、負荷端の正側の配線抵抗Rw1が既知の場合もあり得る。図7は、実施形態に係る電圧レギュレータ1の構成の別の一例を示す図である。
【0042】
図7の電圧レギュレータ1において、抵抗R1の抵抗R2との接続点の反対側の一端は、外部出力端子OUTに接続される。つまり、エラーアンプ25の反転入力端子(-)は、負荷端の正側に代えて、エラーアンプ25の出力端子に接続される。
【0043】
また、図7の電圧レギュレータ1において、オフセット電圧調整回路30は、複数の抵抗R3,R4に代えて、複数の抵抗R6,R7を有する。つまり、図7の電圧レギュレータ1において、基準電圧源21の接地端子BGR-GNDは、オフセット電圧が発生する複数の抵抗R6,R7の接続点に接続される。抵抗R6及び抵抗R7の各抵抗値は、負荷端の各配線抵抗Rw1,Rw2に応じた分圧(オフセット電圧)を発生するように決定されればよい。ここで、負荷端の正側の配線抵抗Rw1の抵抗値は既知であるとする。
【0044】
このように、図7の電圧レギュレータ1によれば、負荷端の負側の配線抵抗Rw2に起因する電圧降下に加えて、抵抗値が既知の負荷端の正側の配線抵抗Rw1に起因する電圧降下を、オフセット電圧調整回路30により補償することができる。したがって、図7の電圧レギュレータ1によれば、上述の実施形態と同様の効果に加えて、負荷端の正側のセンス配線、すなわち抵抗R1と負荷端の正側との間の配線を不要とすることができるという効果が得られる。
【0045】
なお、上述の各実施形態に係る電圧レギュレータ1において、オフセット電圧調整回路30は、電圧レギュレータ1の出力電流又は入力電流に比例した電流を生成する電流源と抵抗とを有していてもよい。
【0046】
例えば、図1の電圧レギュレータ1において、オフセット電圧調整回路30は、負荷端の負側の配線抵抗Rw2に応じた分圧(オフセット電圧)を発生するように、抵抗R3に代えて電流源を設けてもよい。具体的には、電流源の出力端は、抵抗R3の一端と同様に、抵抗R4との接続点において基準電圧源21の接地端子BGR-GNDに接続される。電流源の入力端は、抵抗R3の他端とは異なり、例えば、出力端子BGR-OUTや外部入力端子VSUPなどの電源回路20内のノードに接続される。なお、電流源の入力端は、電源回路20内のノードに限らず、電源回路20の外部のノードに接続されても構わない。電流源は、電圧レギュレータ1の外部出力端子OUTからの出力電流又は外部入力端子VSUPへの入力電流に応じた電流を抵抗R4に供給する。抵抗R4は、電流源からの電流に応じてオフセット電圧を発生する。なお、電流源は電圧レギュレータ1の出力電流又は入力電流に応じた電流を生成すればよく、電源回路20の内部に設けても電源回路20の外部に設けても構わない。この構成であっても、上述の実施形態と同様の効果が得られる。さらに、負荷40に供給する電流が一定ではない場合においても、負荷40へ供給する電流の増減に応じたオフセット電圧が発生するため、配線抵抗に起因する電圧降下を高精度に補償することができる。
【0047】
例えば、図1の電圧レギュレータ1において、オフセット電圧調整回路30は、予め決定された抵抗値の配線抵抗に応じた分圧(オフセット電圧)を発生するように、上述の電流源からの電流を抵抗R4に供給する。ここで、予め決定された配線抵抗の抵抗値とは、例えば、配線抵抗Rw2の抵抗値以上の大きさである。この構成であれば、上述の実施形態と同様の効果に加えて、抵抗R3と、負荷端の負側のセンス配線、すなわち抵抗R4と負荷端の負側との間の配線を不要とすることができるという効果が得られる。
【0048】
例えば、図7の電圧レギュレータ1において、オフセット電圧調整回路30は、負荷端の各配線抵抗Rw1,Rw2に応じた分圧(オフセット電圧)を発生するように、抵抗R6に代えて電流源を設けてもよい。具体的には、電流源の出力端は、抵抗R6の一端と同様に、抵抗R7との接続点において基準電圧源21の接地端子BGR-GNDに接続される。電流源の入力端は、抵抗R6の他端とは異なり、例えば、出力端子BGR-OUTや外部入力端子VSUPなどの電源回路20内のノードに接続される。なお、電流源の入力端は、電源回路20内のノードに限らず、電源回路20の外部のノードに接続されても構わない。電流源は、電圧レギュレータ1の外部出力端子OUTからの出力電流又は外部入力端子VSUPへの入力電流に応じた電流を抵抗R7に供給する。抵抗R7は、電流源からの電流に応じてオフセット電圧を発生する。なお、電流源は電圧レギュレータ1の出力電流又は入力電流に応じた電流を生成すればよく、電源回路20の内部に設けても電源回路20の外部に設けても構わない。この構成であっても、上述の実施形態と同様の効果が得られる。さらに、負荷に供給する電流が一定ではない場合においても、負荷へ供給する電流の増減に応じたオフセット電圧が発生するため、配線抵抗に起因する電圧降下を高精度に補償することができる。
【0049】
例えば、図7の電圧レギュレータ1において、オフセット電圧調整回路30は、予め決定された抵抗値の配線抵抗に応じた分圧(オフセット電圧)を発生するように、上述の電流源からの電流を抵抗R7に供給する。ここで、予め決定された配線抵抗の抵抗値とは、例えば、配線抵抗Rw1及び配線抵抗Rw2の合計値以上の大きさである。この構成であれば、上述の実施形態と同様の効果に加えて、抵抗R3と、負荷端の各センス配線を不要とすることができるという効果が得られる。
【0050】
なお、上述の各実施形態に係る電圧レギュレータ1において、複数の抵抗R3,R4及び複数の抵抗R6,R7が、それぞれ2つの抵抗素子である場合を例示したが、これに限らない。複数の抵抗R3,R4及び複数の抵抗R6,R7は、それぞれ3以上の複数の抵抗素子であっても構わない。また、上述したように、抵抗R3に代えて電流源を設ける場合や抵抗R6に代えて電流源を設ける場合には、抵抗R4及び抵抗R7は、それぞれ2以上の複数の抵抗素子であっても構わない。さらに、上述の各実施形態では図示していないが、コンデンサを抵抗R4または抵抗R7に並列接続して追加してもよい。このようにコンデンサを付加することにより、発生させるオフセット電圧の電圧変化を緩やかにすることができ、上述の位相補償回路35と同様に位相余裕を発生させるため、電圧レギュレータ1における発振耐性が向上する構成として好適である。
【0051】
なお、上述の各実施形態に係る電圧レギュレータ1において、複数の抵抗R3,R4又は複数の抵抗R6,R7の各抵抗値は、負荷端の各配線抵抗Rw1,Rw2及び負荷40が必要とする電圧に応じた分圧(オフセット電圧)を発生するように決定されればよい。また、各抵抗R3,R4,R6,R7は、それぞれ、負荷40が必要とする電圧の変化に応じて抵抗値が可変に設定できるように構成されていても構わない。
【0052】
以上説明したように、実施形態に係る電圧レギュレータ1によれば、配線抵抗Rw1,Rw2に起因する電圧降下を補償することができる。
【0053】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
1,5 電圧レギュレータ
10 外部電源
20 電源回路
21 基準電圧源(BGR)
23 インピーダンス素子
231 トランスコンダクタンスアンプ
233 2段アンプ
25 エラーアンプ
251 PMOSトランジスタ
253 NMOSトランジスタ
30 オフセット電圧調整回路
35 位相補償回路
40 負荷
BGR-GND,GND 接地端子
BGR-OUT 出力端子
C1,C2,C3 コンデンサ
D1 ダイオード
INN,INP 入力端子
OUT 外部出力端子
R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7 抵抗(抵抗素子)
Rw1,Rw2 配線抵抗
VSUP 外部入力端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8