(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023054656
(43)【公開日】2023-04-14
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20230407BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20230407BHJP
B41J 29/02 20060101ALI20230407BHJP
【FI】
G03G21/16 147
G03G15/00 550
B41J29/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021163632
(22)【出願日】2021-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【弁理士】
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】赤間 史朗
【テーマコード(参考)】
2C061
2H171
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AS02
2C061BB23
2C061DD02
2H171FA01
2H171FA03
2H171GA09
2H171GA36
2H171HA33
2H171HA40
2H171KA02
2H171KA22
2H171KA23
2H171KA27
(57)【要約】
【課題】運搬時に必ず取手部を構造部材に当接させて、取手部の変形や破損を防止する構成を有する画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成部を筐体の内部に備える画像形成装置として、筐体の一部であって、当該筐体を持ち上げる際に支持される筐体側面に形成された取手部材と、筐体を形成する構造部材と、を備え、取手部材は、筐体側面から内側に凹んだ部位と、筐体の上下方向に長手寸法を有する長穴形状のガイド溝を有し、構造部材は、ガイド溝と幅寸法が略等しい寸法からなるガイド部材を有し、ガイド溝及びガイド部材によって取手部材は筐体に対して上下方向に移動可能であり、取手部材が上方への移動したとき、構造部材に当接し移動が規制される、ことを特徴とする画像形成装置による。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成部を筐体の内部に備える画像形成装置であって、
前記筐体の一部であって、当該筐体を持ち上げる際に支持される筐体側面に形成された取手部材と、
前記筐体を形成する構造部材と、
を備え、
前記取手部材は、前記筐体側面から内側に凹んだ部位と、前記筐体の上下方向に長手寸法を有する長穴形状のガイド溝を有し、
前記構造部材は、前記ガイド溝と幅寸法が略等しい寸法からなるガイド部材を有し、
前記ガイド溝及び前記ガイド部材によって前記取手部材は前記筐体に対して上下方向に移動可能であり、
前記取手部材が上方への移動したとき、前記構造部材に当接し移動が規制される、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ガイド部材は、先端に、前記取手部材との間に微小隙間をもって規制部材を備える、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記取手部材には、ガイド溝が形成され、
当該取手部材が前記構造部材に対し下方へ移動したとき、前記ガイド溝の上端が前記ガイド部材に当接する、
請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記筐体は、前記取手部材と隣接する隣接カバー部材を備え、
前記取手部材が有する前記ガイド溝の上端と前記取手部材の下端との距離と、
前記隣接カバー部材の下端から前記取手部材が有する前記ガイド溝の上端に相当する位置までの距離は略同一である、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
媒体に画像を形成する画像形成装置が知られている。画像形成装置には様々な形態のものが知られているが、一つの筐体に媒体供給部を含む媒体収容トレイ、画像形成部、媒体排出部を含む排出トレイを具備するものも知られている。画像形成装置の運搬を支援する構造として、運搬者が筐体を持ち上げやすくするために、筐体の側面と底面の結合部位の近傍に、樹脂による運搬用取手を形成することがある。
【0003】
また、運搬時の負荷による運搬用取手の変形や破損を防止するために、運搬用取手を含む取手部品の上方向の変形や移動を、金属などの剛性の大きな部材で規制する構造が知られている。例えば、筐体の支持側面から内部に凹ませて形成された取手部と、筐体内部に載置されている機能部品を覆う補強部材とを備え、補強部材は支持側面と機能部品との間に離間して設けられ、取手部を機能部品の対向位置に配置する構造が知られている(特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の構造は、樹脂で形成される取手の上方へ移動を規制するために、取手の上方に補強部材を設けている。しかし、当該構成では、取手部材と支持部材との間に隙間が生じることで、取手部材の上方向への変形・移動防止が不十分になる、という課題がある。
【0005】
本発明は、運搬時に必ず取手部材を構造部材に当接させて、取手部の変形や破損を防止する構成を有する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的課題を解決するため、本発明の一態様は、画像形成部を筐体の内部に備える画像形成装置であって、前記筐体の一部であって、当該筐体を持ち上げる際に支持される筐体側面に形成された取手部材と、前記筐体を形成する構造部材と、を備え、前記取手部材は、前記筐体側面から内側に凹んだ部位と、前記筐体の上下方向に長手寸法を有する長穴形状のガイド溝を有し、前記構造部材は、前記ガイド溝と幅寸法が略等しい寸法からなるガイド部材を有し、前記ガイド溝及び前記ガイド部材によって前記取手部材は前記筐体に対して上下方向に移動可能であり、前記取手部材が上方への移動したとき、前記構造部材に当接し移動が規制される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、運搬時に必ず取手部材を構造部材に当接させて、取手部の変形や破損を防止する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る画像形成装置の実施形態の全体像を例示する斜視図。
【
図2】上記実施形態における取手部の部分拡大断面図。
【
図3】上記実施形態における支持側面をY方向に見た例を示す図。
【
図4】上記実施形態における取手部材の構造部材に対する保持部分の拡大断面図。
【
図5】上記実施形態における支持側面をY方向に見た別例を示す図。
【
図6】上記実施形態における取手部の動作例を示す部分拡大断面図。
【
図7】上記実施形態における取手部を備える支持側面と、これに隣接する面を構成する隣接カバー部材との位置関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[全体構造]
図1は、本発明に係る画像形成装置の実施形態としてのプリンタ1の斜視図である。プリンタ1は、周知の画像形成装置と同様の構成を備える。すなわち、筐体10の内部に収容された画像形成部と、画像形成部に対して供給されるシート状の媒体を収容する媒体収容部としての供給トレイ12と、画像形成部において画像が形成された排出された媒体を積層する排出トレイ13と、を主に備えている。これらの構成及び動作は本発明の特徴と直接は関係しないので詳細な説明及び図示を省略し、以下、本発明の特徴を構成する部分に関して詳細に説明する。
【0010】
プリンタ1は、
図1に例示するように全体形状が直方体状であって複数の側面を有している。その側面の一つに、プリンタ1を運搬するときの運搬用取手が形成され、運搬時にプリンタ1を支持するための筐体側面として機能する支持側面15がある。
【0011】
支持側面15は、プリンタ1の正面に対する側面又は背面の一部に相当する。支持側面15と底面の結合部分には、運搬用取手としての取手部150が形成されている。取手部150は、プリンタ1の支持側面15に支持される構造を備える取手部材151の切り欠き部分に相当する。
【0012】
[取手部150の構成]
支持側面15の一部を構成する取手部150の拡大断面図を
図2に示す。
図2に示すように、支持側面15の内側に配置され、プリンタ1が備える機能部品を保持する筐体としての構造部材110に対して、取手部材151が支持されて取手部150が構成されている。
【0013】
構造部材110は、プリンタ1の内部に配置され、金属などの剛性の大きい部材で構成され、プリンタ1の動作制御を実行するための機能部品を所定の位置で保持するための部材である。
【0014】
取手部材151は、プリンタ1を運搬するときの安全性や筐体のグリップ性を向上させるための構成として形成された樹脂製の部材である。取手部材151は、構造部材110の外側を保護する保護カバーの一部も構成する。また、取手部材151は、プリンタ1を運搬するときに運搬者が手を掛ける切り欠き部分としての取手部150を構成する。プリンタ1の運搬時にプリンタ1の重量による負荷が取手部材151に掛かるときに、取手部材151の変形や破損を防止するため、取手部材151の上方向への変形や移動を規制する規制部を構造部材110に設けてある。
【0015】
取手部材151には、上下方向(Z方向)において長手寸法を有する穴状のガイド溝153が形成されている。すなわち、ガイド溝153の平面視の形状は、長穴形状である。
【0016】
構造部材110には、ガイド溝153に引っ掛かる形状のガイド部材111が固定されている。
【0017】
図3は、支持側面15をY方向に見た図である。
図2と
図3を参照しながら取手部150の機能及び動作について更に詳細に説明する。ガイド部材111は、構造部材110の壁面から突出した部材であって、取手部材151に形成されているガイド溝153に引っ掛かるようになっている。
【0018】
図3に示すように、取手部150は取手部材151の奥行き方向(X方向)の中央部分に所定の長さ寸法を持って形成されていて、プリンタ1の筐体内部方向(Y方向)に凹み形状を有している。この凹み形状の部分が取手部150を構成する。
【0019】
そして、ガイド溝153は、取手部150の位置からX方向において外れている位置の上方(Z方向)に、幅寸法がガイド部材111の径寸法と略一致する寸法で形成されている。
【0020】
取手部150を支えてプリンタ1を運搬するときに持ち上げるときの状態について、
図2を参照しながら説明する。
図2(a)は、プリンタ1を持ち上げていない状態を例示している。
図2(b)は、プリンタ1を持ち上げている状態を例示している。
図2(b)に示すように、所定の位置に設置しているプリンタ1を移動させるときに取手部材151を持ち上げると、取手部材151は構造部材110に対して上方向に摺動する。そして、取手部材151の切り欠き部分(凹み部分)が構造部材110の下面に当接する。この当接により取手部材151の運搬時の負荷による上方向への移動は規制される。すなわち、プリンタ1の運搬時には、取手部材151が構造部材110に当接するので、取手部150の変形、破損が防止される。
【0021】
図4は、取手部材151が構造部材110に対して摺動可能に保持されている部分の拡大断面図である。
図4に示すように、ガイド部材111の先端部分には規制部材1111が設けられている。規制部材1111は、取手部材151の外側の面(外表面)との間に微小隙間を形成する位置に設けられる。
【0022】
規制部材1111は、ガイド部材111の先端部分に設けられた円形の部材であって、径寸法がガイド溝153の幅寸法よりも大きいものである。したがって、規制部材1111によって、ガイド部材111のY方向の移動は規制されるので、取手部材151が構造部材110に対してZ方向(上方向)に移動するときに、構造部材110から取手部材151が脱落することを防止させることができる。
【0023】
図5に示すように、ガイド溝153、規制部材1111を備えるガイド部材111を、取手部150を挟んでX方向の両端部付近に、それぞれ設けてもよい。
図5に示す様に、ガイド溝153と、規制部材1111を備えるガイド部材111の組を、取手部材151において複数箇所に設けると、取手部材151が構造部材110から脱落することなく上下方向に移動可能となる。
【0024】
なお、
図5において示した例のように、ガイド溝153と、規制部材1111を備えるガイド部材111の組を2箇所設けることで、取手部材151の脱落防止効果は向上するが、これに限定されるものではない。ガイド溝153と、規制部材1111を備えるガイド部材111の組を3箇所以上に設けてもよい。また、設ける位置は取手部材151の脱落を防止できる位置であれば、
図4及び
図5に例示した位置に限定されず、適宜選択可能である。
【0025】
また、
図6に示すように取手部材151は自重で下方に移動し、取手部材151に設けられたガイド溝153の上端が構造部材110に設けられたガイド部材111に当接することで規制される。運搬時以外はこの状態が保たれることになる。
【0026】
図7は、取手部150を有する取手部材151を備える支持側面15に対して隣接する面を構成する隣接カバー部材120との位置関係を示す図である。
図7に示すように、取手部材151のガイド溝153の上端と取手部材151の下端の距離を「A」とする。また、隣接カバー部材120の下端から、取手部材151のガイド溝153の上端に相当する位置までの距離を「B」とする。取手部材151は支持側面15において、AがBと略同一になるように構成される。
【0027】
したがって、プリンタ1の運搬時以外は、支持側面15を構成する取手部材151の下面は、これに隣接する隣接カバー部材120の下面と同じ位置になるように保たれる。これによって、取手部材151と隣接カバー部材120の下端が揃うので、外観品質が損なわれない。
【0028】
[効果]
以上説明のとおり、本実施形態に係るプリンタ1によれば、支持側面15の一部を構成する取手部材151が、プリンタ1の内部構成(機能部品)を保護及び保持する構造部材110に対して上下方向に移動可能に構成されている。そして、取手部材151によって構成される取手部150を、プリンタ1の運搬等のために持ち上げたとき、取手部材151が上方に移動し、取手部材151が構造部材110の下面に当接する。これによって、プリンタ1の運搬時に発生しうる取手部材151の変形、破損を防止できる。
【0029】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0030】
1 :プリンタ
10 :筐体
12 :供給トレイ
13 :排出トレイ
15 :支持側面
110 :構造部材
111 :ガイド部材
120 :隣接カバー部材
150 :取手部
151 :取手部材
153 :ガイド溝
1111 :規制部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0031】