(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023054715
(43)【公開日】2023-04-14
(54)【発明の名称】感光性樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
G03F 7/027 20060101AFI20230407BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20230407BHJP
G03F 7/031 20060101ALI20230407BHJP
C08G 73/10 20060101ALI20230407BHJP
C08G 69/26 20060101ALI20230407BHJP
C08F 299/02 20060101ALI20230407BHJP
C08G 75/045 20160101ALI20230407BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20230407BHJP
【FI】
G03F7/027 514
G03F7/004 501
G03F7/031
G03F7/004 512
C08G73/10
C08G69/26
C08F299/02
C08G75/045
H05K1/03 610N
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021163742
(22)【出願日】2021-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】海老澤 和明
(72)【発明者】
【氏名】入江 真樹子
【テーマコード(参考)】
2H225
4J001
4J030
4J043
4J127
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
【課題】高速加速寿命試験(HAST:High Accelerated Stress Test)における良好な耐久性を示し、且つ誘電正接が低いパターン化された樹脂膜を形成できる感光性樹脂組成物と、当該感光性樹脂組成物からなる感光性層を有する感光性ドライフィルムと、前述の感光性ドライフィルムの製造方法と、前述の感光性樹脂組成物を用いるパターン化された樹脂膜の製造方法とを提供すること。
【解決手段】ポリイミド樹脂(A-I)、及びポリアミック酸(A-II)、並びに、ポリアミド樹脂(A-III)からなる群より選択される少なくとも1種である樹脂(A)と、感光剤(C)とを含み、特定の条件で製膜した場合に所定の値以下の誘電正接を示す樹脂膜を形成できる感光性樹脂組成物に、多官能チオール化合物(D)を配合する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂(A)、感光剤(C)、及び多官能チオール化合物(D)を含む感光性樹脂組成物であって、
前記樹脂(A)が、
ジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物とに由来するポリイミド樹脂(A-I)、及びポリアミック酸(A-II)、並びに、
ジアミン化合物と、ジカルボン酸化合物、又はジカルボン酸化合物のアミド形成性誘導体とに由来するポリアミド樹脂(A-III)からなる群より選択される少なくとも1種を含み、
前記樹脂(A)が、その分子鎖上にラジカル重合性基を有し、前記感光剤(C)が光ラジカル重合開始剤(C1)であるか、又は、前記樹脂(A)がその分子鎖上にカチオン重合性基を有し、前記感光剤(C)が光カチオン重合開始剤(C2)であり、
前記感光性樹脂組成物を用いて形成された、厚さ10μmの樹脂膜を試料として用い、空洞共振器法で、室温25℃、湿度50%、周波数36GHzの条件で測定された誘電正接の値が、0.01以下である、感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記ジアミン化合物が、下記式(A1):
【化1】
(式(A1)中、Xは、炭素原子数1以上100以下の有機基であり、R
a1は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、又はハロゲン原子であり、R
a2は、炭素原子数1以上20以下の脂肪族基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホン酸基、又はハロゲン原子であり、Arは、R
a2で置換されていてもよいフェニル基、又はR
a2で置換されていてもよいナフチル基であり、ma1は、0以上10以下の整数であり、ma2は、0以上7以下の整数であり、ma3は、1以上10以下の整数である。)
で表される、ジアミン化合物(A-1)、下記式(A2):
【化2】
(式(A2)中、R
a3及びR
a4は、それぞれ独立に、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基、又はハロゲン原子であり、ma4及びma5は、それぞれ独立に0以上4以下の整数である。
で表される部分構造を有し、前記ジアミン化合物(A-1)に該当しない、ジアミン化合物(A-2)、下記式(A3):
【化3】
(式(A3)中、R
a5及びR
a6は、それぞれ独立に、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基、又はハロゲン原子であり、ma6及びma7は、それぞれ独立に0以上4以下の整数であり、R
a7及びR
a8は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のハロゲン化アルキル基、又はフェニル基であり、R
a7とR
a8とは互いに結合して環を形成してもよい。)
で表される部分構造を有し、前記ジアミン化合物(A-1)、及び前記ジアミン化合物(A-2)に該当しない、ジアミン化合物(A-3)、及びダイマージアミン化合物(A4)からなる群から選択される1種以上を含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記多官能チオール化合物(D)が、下記式(d1):
【化4】
(式(d1)中、R
d1は置換基を有していてもよい2価の鎖状脂肪族炭化水素基であり、R
d2はヘテロ原子を含んでもよいn価の脂肪族炭化水素基であり、nは2以上4以下の整数である。)
で表される多官能チオール化合物を含む、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記樹脂(A)が、前記ポリアミド樹脂(A-II)を含み、
前記ポリアミド樹脂(A-II)が、テトラカルボン酸二無水物とラジカル重合性基を有するアルコール類との反応物に由来する構成単位か、前記反応物に由来する構成単位と同様の構造の構成単位を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記樹脂(A)がその分子鎖上にラジカル重合性基を有し、前記光ラジカル重合開始剤(C1)がオキシムエステル系光重合開始剤である、請求項1~4のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
基材フィルムと、前記基材フィルムの表面に形成された感光性層とを有し、前記感光性層が請求項1~5のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物からなる感光性ドライフィルム。
【請求項7】
基材フィルム上に、請求項1~5のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を塗布して感光性層を形成することを含む、感光性ドライフィルムの製造方法。
【請求項8】
基板上に、請求項1~5のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物からなる感光性層を積層する積層工程と、
前記感光性層に、位置選択的に活性光線又は放射線を照射して露光する露光工程と、
露光後の前記感光性層を現像し、パターン化された樹脂膜を得る現像工程と、を含む、パターン化された樹脂膜の製造方法。
【請求項9】
前記樹脂(A)が、前記ポリアミック酸(A-II)、又はテトラカルボン酸二無水物とモノヒドロキシ化合物との反応によって合成し得るジカルボン酸化合物に由来する構成単位を含む前記ポリアミド樹脂(A-III)を含み、
パターン化された前記樹脂膜を得た後に、前記樹脂膜をベークして、前記ポリアミック酸(A-II)、又はテトラカルボン酸二無水物とモノヒドロキシ化合物との反応によって合成し得るジカルボン酸化合物に由来する構成単位を含む前記ポリアミド樹脂(A-III)をポリイミド樹脂(A-I)に変換することを含む、請求項8に記載のパターン化された樹脂膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の構造のジアミン化合物から誘導され得る構成単位を含むポリイミド樹脂、ポリアミック酸、ポリアミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、及びポリベンゾオキサゾール樹脂前駆体からなる群より選択される少なくとも1種と、感光剤とを含む感光性樹脂組成物と、当該感光性樹脂組成物からなる感光性層を有する感光性ドライフィルムと、前述の感光性ドライフィルムの製造方法と、前述の感光性樹脂組成物を用いるパターン化された樹脂膜の製造方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイミド樹脂、及びポリアミド樹脂は、優れた耐熱性、機械的強度、及び絶縁性や、低誘電率等の特性を有するため、種々の素子や、多層配線基板等の電子基板のような電気・電子部品において、絶縁材や保護材として広く使用されている。
【0003】
近年、携帯電話等の通信機器では、高周波数化が進んでいる。そのため、通信機器が有する金属配線を絶縁する絶縁部にも高周波数化への対応が求められる。
ここで、周波数が高いほど伝送損失が増加し、伝送損失が増加すると電気信号が減衰する。したがって、ポリイミド樹脂、及びポリアミド樹脂に対して、高周波数化への対応として、さらに伝送損失を低減するために、高周波数帯域でのさらなる低誘電正接化と、さらなる低誘電率化が求められる。
【0004】
また、種々の素子や電子基板を作製する際に、所望する位置にだけ絶縁材や保護材を形成する必要がある場合が多い。このため、低い誘電正接と低い誘電率とを示し、且つパターニングされた樹脂膜を形成できる感光性樹脂組成物が求められている。
【0005】
上記のような要求から、例えば、パターニングされたポリイミド樹脂膜を形成できる感光性樹脂組成物として、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニルに由来する構成単位を有する特定の構造の芳香族ポリアミド樹脂と、光重合開始剤とを含む感光性樹脂組成物(特許文献1、実施例を参照。)や、側鎖に不飽和二重結合を有するポリイミド前駆体と、特定のラジカル発生量を示すオキシム構造を有する光重合開始剤とを含む感光性樹脂組成物(特許文献2を参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2019/044874号
【特許文献2】国際公開第2021/020463号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1や特許文献2に記載される感光性樹脂組成物を用いる場合、フォトリソグラフィー法を適用することにより、誘電正接が低いパターン化されたポリイミド樹脂膜を形成できる。しかし、特許文献1や特許文献2に記載されるような感光性樹脂組成物を用いてパターニングされた樹脂膜を形成する場合、高速加速寿命試験(HAST:High Accelerated Stress Test)において良好な耐久性を示す樹脂膜を形成しにくい問題がある。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであって、高速加速寿命試験(HAST:High Accelerated Stress Test)における良好な耐久性を示し、且つ誘電正接が低いパターン化された樹脂膜を形成できる感光性樹脂組成物と、当該感光性樹脂組成物からなる感光性層を有する感光性ドライフィルムと、前述の感光性ドライフィルムの製造方法と、前述の感光性樹脂組成物を用いるパターン化された樹脂膜の製造方法とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、ポリイミド樹脂(A-I)、及びポリアミック酸(A-II)、並びに、ポリアミド樹脂(A-III)からなる群より選択される少なくとも1種である樹脂(A)と、感光剤(C)とを含み、特定の条件で製膜した場合に所定の値以下の誘電正接を示す樹脂膜を形成できる感光性樹脂組成物に、多官能チオール化合物(D)を配合することにより上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
【0010】
本発明の第1の態様は、樹脂(A)、感光剤(C)、及び多官能チオール化合物(D)を含む感光性樹脂組成物であって、
樹脂(A)が、
ジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物とに由来するポリイミド樹脂(A-I)、及びポリアミック酸(A-II)、並びに、
ジアミン化合物と、ジカルボン酸化合物、又はジカルボン酸化合物のアミド形成性誘導体とに由来するポリアミド樹脂(A-III)からなる群より選択される少なくとも1種を含み、
樹脂(A)が、その分子鎖上にラジカル重合性基を有し、感光剤(C)が光ラジカル重合開始剤(C1)であるか、又は、樹脂(A)がその分子鎖上にカチオン重合性基を有し、感光剤(C)が光カチオン重合開始剤(C2)であり、
感光性樹脂組成物を用いて形成された、厚さ10μmの樹脂膜を試料として用い、空洞共振器法で、室温25℃、湿度50%、周波数36GHzの条件で測定された誘電正接の値が、0.01以下である、感光性樹脂組成物である。
【0011】
本発明の第2の態様は、基材フィルムと、基材フィルムの表面に形成された感光性層とを有し、感光性層が第1の態様にかかる感光性樹脂組成物からなる感光性ドライフィルムである。
【0012】
本発明の第3の態様は、基材フィルム上に、第1の態様にかかる感光性樹脂組成物を塗布して感光性層を形成することを含む、感光性ドライフィルムの製造方法である。
【0013】
本発明の第4の態様は、基板上に、第1の態様にかかる感光性樹脂組成物からなる感光性層を積層する積層工程と、
感光性層に、位置選択的に活性光線又は放射線を照射して露光する露光工程と、
露光後の感光性層を現像し、パターン化された樹脂膜を得る、現像工程と、を含む、パターン化された樹脂膜の製造方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、フォトリソグラフィー法を適用することにより、誘電正接が低いパターン化された樹脂膜を形成できる感光性樹脂組成物と、当該感光性樹脂組成物からなる感光性層を有する感光性ドライフィルムと、前述の感光性ドライフィルムの製造方法と、前述の感光性樹脂組成物を用いるパターン化された樹脂膜の製造方法とを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
≪感光性樹脂組成物≫
感光性樹脂組成物は、樹脂(A)、感光剤(C)、及び多官能チオール化合物(D)を含む。
樹脂(A)は、ジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物とに由来するポリイミド樹脂(A-I)、及びポリアミック酸(A-II)、並びに、ジアミン化合物と、ジカルボン酸化合物、又はジカルボン酸化合物のアミド形成性誘導体とに由来するポリアミド樹脂(A-III)からなる群より選択される少なくとも1種を含む。
感光性樹脂組成物において、樹脂(A)が、その分子鎖上にラジカル重合性基を有し、感光剤(C)が光ラジカル重合開始剤(C1)であるか、又は、樹脂(A)がその分子鎖上にカチオン重合性基を有し、感光剤(C)が光カチオン重合開始剤(C2)である。
【0016】
樹脂(A)におけるラジカル重合性基、又はカチオン重合性基の量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。樹脂(A)におけるラジカル重合性基、又はカチオン重合性基の量は、例えば、樹脂(A)の重量に対する官能基のモル数として、0.0005モル/g以上0.0500モル/g以下が好ましく、0.001モル/g以上0.0380モル/g以下がより好ましく、0.0015mol/g以上0.0028モル/g以下がさらに好ましい。樹脂(A)におけるラジカル重合性基、又はカチオン重合性基の量は、典型的にはNMR分析により測定することができる。
【0017】
感光剤(C)は、感光性樹脂組成物に感光性を付与する成分である。上記の通り、樹脂(A)はラジカル重合性基、又はカチオン重合性基を有する。感光剤(C)は当該重合性基間の重合反応を進行させる、所謂重合開始剤であってよい。このため、感光性樹脂組成物は、露光による硬化によって現像液に対して不溶化する。つまり、重合性基を有する樹脂(A)と、感光剤(C)としての重合開始剤とを組み合わせて含む感光性樹脂組成物は、ネガ型の感光性樹脂組成物に該当する。
【0018】
感光性樹脂組成物を用いて形成された、厚さ10μmの樹脂膜を試料として用い、空洞共振器法で、室温25℃、湿度50%、周波数36GHzの条件で測定された誘電正接の値は、0.01以下である。
【0019】
上記のように誘電正接の低い樹脂膜を形成し得る感光性樹脂組成物を用いて、フォトリソグラフィー法によりパターニングされた樹脂膜を形成する場合、HASTにおいて良好な耐久性を示す樹脂膜を形成しにくい。
【0020】
しかし、上記の構成を備える感光性樹脂組成物を用いて形成する場合、HASTにおいて良好な耐久性を示すパターニングされた樹脂膜を形成できる。
以下、感光性樹脂組成物の必須、又は任意の成分について説明する。
【0021】
<樹脂(A)>
前述の通り、樹脂(A)は、ジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物とに由来するポリイミド樹脂(A-I)、及びポリアミック酸(A-II)、ジアミン化合物、並びに、ジカルボン酸化合物、又はジカルボン酸化合物のアミド形成性誘導体とに由来するポリアミド樹脂(A-III)からなる群より選択される少なくとも1種を含む。
【0022】
以下、ポリイミド樹脂(A-I)、ポリアミック酸(A-II)、及びポリアミド樹脂(A-III)について説明する。
【0023】
〔ポリイミド樹脂(A-I)、及びポリアミック酸(A-II)〕
ポリイミド樹脂(A-I)、及びポリアミック酸(A-II)は、ジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物とに由来する樹脂である。ポリイミド樹脂(A-I)、及びポリアミック酸(A-II)を与える、ジアミン化合物、及びテトラカルボン酸二無水物の種類は、樹脂(A)が、ラジカル重合性基、又はカチオン重合性基を有し、感光性樹脂組成物を用いて、前述の所定の誘電正接を示す樹脂膜を形成できる限り特に限定されない。
【0024】
感光性樹脂組成物を用いて形成される樹脂膜の誘電正接の低さの点から、ポリイミド樹脂(A-I)、及びポリアミック酸(A-II)を与えるジアミン化合物は、それぞれ下記式(A1):
【化1】
(式(A1)中、Xは、炭素原子数1以上100以下の有機基であり、R
a1は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、又はハロゲン原子であり、R
a2は、炭素原子数1以上20以下の脂肪族基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホン酸基、又はハロゲン原子であり、Arは、R
a2で置換されていてもよいフェニル基、又はR
a2で置換されていてもよいナフチル基であり、ma1は、0以上10以下の整数であり、ma2は、0以上7以下の整数であり、ma3は、1以上10以下の整数である。)
で表されるジアミン化合物(A-1)、下記式(A2):
【化2】
(式(A2)中、R
a3及びR
a4は、それぞれ独立に、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基、又はハロゲン原子であり、ma4及びma5は、それぞれ独立に0以上4以下の整数である。
で表される部分構造を有し、ジアミン化合物(A-1)に該当しない、ジアミン化合物(A-2)、下記式(A3):
【化3】
(式(A3)中、R
a5及びR
a6は、それぞれ独立に、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基、又はハロゲン原子であり、ma6及びma7は、それぞれ独立に0以上4以下の整数であり、R
a7及びR
a8は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のハロゲン化アルキル基、又はフェニル基であり、R
a7とR
a8とは互いに結合して環を形成してもよい。)
で表される部分構造を有し、ジアミン化合物(A-1)、及びジアミン化合物(A-2)に該当しない、ジアミン化合物(A-3)、及びダイマージアミン化合物(A4)からなる群から選択される1種以上を含むのが好ましい。
【0025】
ポリイミド樹脂(A-I)の製造方法は特に限定されない。ポリイミド樹脂(A-I)は、通常、ジアミン化合物と、テトラカルボン酸二無水物とを反応させて得られるポリアミック酸(A-II)を閉環、イミド化させることにより得られる。
【0026】
(ジアミン化合物)
ジアミン化合物は、以下の式(A2)で表される。
H2N-A1-NH2・・・(A2)
(式(A2)中、A1は2価の有機基を表す。)
【0027】
A1は2価の有機基である。A1は、2つのアミノ基の他に、1又は複数の置換基を有していてもよい。
置換基の好適な例としては、フッ素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数1以上6以下のフッ素化アルキル基、炭素原子数1以上6以下のフッ素化アルコキシ基、カルボキシ基、又はヒドロキシ基が好ましい。
置換基がフッ素化アルキル基又はフッ素化アルコキシ基である場合、パーフルオロアルキル基又はパーフルオロアルコキシ基であるのが好ましい。
【0028】
A1としての有機基の炭素原子数の下限値は2が好ましく、6がより好ましく、上限値として50が好ましく、30がより好ましい。
A1は、脂肪族基であってもよいが、1以上の芳香環を含む有機基であることが好ましい。
【0029】
A1が1以上の芳香環を含む有機基である場合、当該有機基は、1の芳香族基そのものであってもよく、2以上の芳香族基が、脂肪族炭化水素基及びハロゲン化脂肪族炭化水素基や、酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子等のヘテロ原子を含む結合を介して結合された基であってもよい。A1に含まれる、酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子等のヘテロ原子を含む結合としては、-CONH-、-NH-、-N=N-、-CH=N-、-COO-、-O-、-CO-、-SO-、-SO2-、-S-、及び-S-S-等が挙げられ、-COO-、-O-、-CO-、及び-S-が好ましい。
【0030】
アミノ基と結合するA1中の芳香環はベンゼン環であることが好ましい。A1中のアミノ基と結合する環が2以上の環を含む縮合環である場合、当該縮合環中のアミノ基と結合する環はベンゼン環であることが好ましい。
また、A1に含まれる芳香環は、芳香族複素環であってもよい。
【0031】
A
1が芳香族環を含む有機基である場合、形成される樹脂膜の電機特性と機械特性との向上の点から、当該有機基は下記式(21)~(24)で表される基のうちの少なくとも1種であることが好ましい。
【化4】
【0032】
(21)~(24)中、R111は、水素原子、フッ素原子、カルボキシ基、スルホン酸基、ヒドロキシ基、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、及び炭素原子数1以上4以下のハロゲン化アルキル基よりなる群から選択される1種を示す。式(24)中、Q1は、9,9’-フルオレニリデン基、又は、式:-C6H4-、-C6H4-C6H4-、-O-C6H4-C6H4-O-、-O-C6H4-CO-C6H4-O-、-O-C6H4-C(CH3)2-C6H4-O-、-OCO-C6H4-COO-、-OCO-C6H4-C6H4-COO-、-OCO-、-O-、-CO-、-C(CF3)2-、-C(CH3)2-、-CH2-、-O-C6H4-SO2-C6H4-O-、-C(CH3)2-C6H4-C(CH3)2-、-O-C10H6-O-、-O-C6H4-O-、-O-CH2-O-、-O-(CH2)2-O-、-O-(CH2)3-O-、-O-(CH2)4-O-、-O-(CH2)5-O-、及び-O-(CH2)6-O-で表される基よりなる群から選択される1種を示す。
【0033】
Q1の例示における、-C6H4-はフェニレン基であり、m-フェニレン基、及びp-フェニレン基が好ましく、p-フェニレン基がより好ましい。また、-C10H6-は、ナフタレンジイル基であり、ナフタレン-1,2-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、ナフタレン-2,3-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、及びナフタレン-2,7-ジイル基が好ましく、ナフタレン-1,4-ジイル基、及びナフタレン-2,6-ジイル基がより好ましい。
【0034】
式(21)~(24)中のR111としては、形成される樹脂膜の電気特性向上の観点から、水素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、又はトリフルオロメチル基がより好ましく、水素原子、又はトリフルオロメチル基が特に好ましい。
【0035】
式(24)中のQ1としては、形成される樹脂膜の電気特性と機械特性の点から、-C6H4-C6H4-、-O-C6H4-C6H4-O-、-O-C6H4-CO-C6H4-O-、-O-C6H4-C(CH3)2-C6H4-O-、-OCO-C6H4-COO-、-OCO-C6H4-C6H4-COO-、-OCO-、-O-、-CO-、-C(CF3)2-、-C(CH3)2-、-CH2-、-O-C6H4-SO2-C6H4-O-、-C(CH3)2-C6H4-C(CH3)2-、-O-C10H6-O-、-O-C6H4-O-、-O-CH2-O-、-O-(CH2)2-O-、-O-(CH2)3-O-、-O-(CH2)4-O-、-O-(CH2)5-O-、及び-O-(CH2)6-O-が好ましい。感光性樹脂組成物中の樹脂(A)の電気特性と機械特性向上の点から、式(24)中のQ1としては、-O-C6H4-C6H4-O-、-O-C6H4-C(CH3)2-C6H4-O-がより好ましく、-O-C6H4-C6H4-O-で表され-C6H4-がともにp-フェニレン基である基が特に好ましい。
【0036】
式(A2)で表されるジアミン化合物として芳香族ジアミン化合物を用いる場合、例えば、以下に示される芳香族ジアミン化合物を好適に用いることができる。
すなわち、芳香族ジアミン化合物としては、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、2,4-ジアミノトルエン、4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジアミノビフェニル、3,4’-ジアミノビフェニル、1,5-ジアミノナフタレン、2,6-ジアミノナフタレン、9,10-ジアミノアントラセン、9,10-ビス(4-アミノフェニル)アントラセン、4,4’-ジアミノ-2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、3,4’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)メタン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2’-ビス[N-(3-アミノベンゾイル)-3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル]プロパン、2,2’-ビス[N-(4-アミノベンゾイル)-3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル]プロパン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、3-カルボキシ-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3-スルホ-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノベンズアニリド、3,3’-ジアミノベンズアニリド、1,4-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,2-ビス(4-アミノフェノキシ)エタン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)プロパン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ブタン、1,5-ビス(4-アミノフェノキシ)ペンタン、1,6-ビス(4-アミノフェノキシ)ヘキサン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、3,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、3,3’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(3-アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[N-(3-アミノベンゾイル)-3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル]スルホン、ビス[N-(4-アミノベンゾイル)-3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル]スルホン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、2,2-ビス[4-{4-アミノ-2-(トリフルオロメチル)フェノキシ}フェニル]ヘキサフルオロプロパン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-アミノ-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス[N-(3-アミノベンゾイル)-3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル]フルオレン、9,9-ビス[N-(4-アミノベンゾイル)-3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル]フルオレン、2,7-ジアミノフルオレン、2-(4-アミノフェニル)-5-アミノベンゾオキサゾール、2-(3-アミノフェニル)-5-アミノベンゾオキサゾール、2-(4-アミノフェニル)-6-アミノベンゾオキサゾール、2-(3-アミノフェニル)-6-アミノベンゾオキサゾール、1,4-ビス(5-アミノ-2-ベンゾオキサゾリル)ベンゼン、1,4-ビス(6-アミノ-2-ベンゾオキサゾリル)ベンゼン、1,3-ビス(5-アミノ-2-ベンゾオキサゾリル)ベンゼン、1,3-ビス(6-アミノ-2-ベンゾオキサゾリル)ベンゼン、2,6-ビス(4-アミノフェニル)ベンゾビスオキサゾール、2,6-ビス(3-アミノフェニル)ベンゾビスオキサゾール、ビス[(3-アミノフェニル)-5-ベンゾオキサゾリル]、ビス[(4-アミノフェニル)-5-ベンゾオキサゾリル]、ビス[(3-アミノフェニル)-6-ベンゾオキサゾリル]、ビス[(4-アミノフェニル)-6-ベンゾオキサゾリル]、N,N’-ビス(3-アミノベンゾイル)-2,5-ジアミノ-1,4-ジヒドロキシベンゼン、N,N’-ビス(4-アミノベンゾイル)-2,5-ジアミノ-1,4-ジヒドロキシベンゼン、N,N’-ビス(4-アミノベンゾイル)-4,4’-ジアミノ-3,3-ジヒドロキシビフェニル、N,N’-ビス(3-アミノベンゾイル)-3,3’-ジアミノ-4,4-ジヒドロキシビフェニル、N、N’-ビス(4-アミノベンゾイル)-3,3’-ジアミノ-4,4-ジヒドロキシビフェニル、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエタン-1,1-ジイル)]ジアニリン、3,5-ジアミ安息香酸、3,4-ジアミノ安息香酸、4-アミノ安息香酸4-アミノフェニルエステル、1,3-ビス(4-アニリノ)テトラメチルジシロキサン、1,4-ビス(3-アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、オルト-トリジンスルホン等が挙げられる。これらの中では、電気特性と機械特性向上の点から、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、3,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、及び3,3’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニルが好ましい。
【0037】
また、A
1としては、鎖状の脂肪族基及び/又は芳香族環を有していてもよいケイ素原子含有基を採用することができる。このようなケイ素原子含有基としては、典型的には、以下に示される基を用いることができる。
【化5】
【0038】
両末端にアミノ基を有し、且つケイ素原子含有基を有する化合物の具体例としては、両末端アミノ変性メチルフェニルシリコーン(例えば信越化学社製の、X-22-1660B-3(数平均分子量4,400程度)及びX-22-9409(数平均分子量1,300程度))、両末端アミノ変性ジメチルシリコーン(例えば信越化学社製の、X-22-161A(数平均分子量1,600程度)、X-22-161B(数平均分子量3,000程度)及びKF8012(数平均分子量4,400程度);東レダウコーニング製のBY16-835U(数平均分子量900程度);並びにJNC社製のサイラプレーンFM3311(数平均分子量1000程度))等が挙げられる。
【0039】
また、式(A2)で表されるジアミン化合物として、オキシアルキレン基を有するジアミンも好ましく使用できる。オキシアルキレン基の好ましい例としては、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基(-C(CH3)-CH2-O-、-CH2-C(CH3)-O-、又は-CH2CH2CH2-O-)が挙げられる。
オキシアルキレン基を有するジアミンは、2種以上のオキシアルキレン基を組み合わせて含んでいてもよい。オキシアルキレン基を有するジアミンが、2種以上のオキシアルキレン基を含む場合、2種以上のオキシアルキレン基はブロック的にジアミンに含まれてもよく、ランダム的にジアミンに含まれてもよい。
オキシアルキレン基を有するジアミンは、環式基を含まないのが好ましく、芳香族基を含まないのがより好ましい。
オキシアルキレン基を有するジアミンの具体例としては、それぞれHUNTSUMAN社製の、ジェファーミン(登録商標)KH-511、ジェファーミン(登録商標)ED-600、ジェファーミン(登録商標)ED-900、ジェファーミン(登録商標)ED-2003、ジェファーミン(登録商標)EDR-148、ジェファーミン(登録商標)EDR-176、ジェファーミン(登録商標)D-200、ジェファーミン(登録商標)D-400、ジェファーミン(登録商標)D-2000、及びジェファーミン(登録商標)D-4000、並びに1-(2-(2-(2-アミノプロポキシ)エトキシ)プロポキシ)プロパン-2-アミン、及び1-(1-(1-(2-アミノプロポキシ)プロパン-2-イル)オキシ)プロパン-2-アミン等が挙げられる。
【0040】
前述の通り、ジアミン化合物は、上記の式(A1)で表されるジアミン化合物(A-1)、前述の式(2)表される部分構造を有し、ジアミン化合物(A-1)に該当しないジアミン化合物(A-2)、前述の式(A3)で表される部分構造を有し、ジアミン化合物(A-1)、及びジアミン化合物(A-2)に該当しないジアミン化合物(A-3)、及びダイマージアミン化合物(A4)からなる群から選択される1種以上を含むのが好ましい。
【0041】
(ジアミン化合物(A-1))
ジアミン化合物(A-1)は、下記式(A1)で表される化合物である。
【化6】
(式(A1)中、Xは、炭素原子数1以上100以下の有機基であり、R
a1は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、又はハロゲン原子であり、R
a2は、炭素原子数1以上20以下の脂肪族基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホン酸基、又はハロゲン原子であり、Arは、R
a2で置換されていてもよいフェニル基、又はR
a2で置換されていてもよいナフチル基であり、ma1は、0以上10以下の整数であり、ma2は、0以上7以下の整数であり、ma3は、1以上10以下の整数である。)
【0042】
式(A1)において、Arは、Ra2で置換されていてもよいフェニル基、又はRa2で置換されていてもよいナフチル基である。Arは、フェニル基、又はナフチル基であるのが好ましい。つまり、式(A1)において、ma2は、0であるのが好ましい。
【0043】
式(A1)において、Ra2は、炭素原子数1以上20以下の脂肪族基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホン酸基、又はハロゲン原子である。Ra2としての有機基は、O、N、S、P、B、Si、ハロゲン原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。
Ra2としての脂肪族基の炭素原子数は、1以上12以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。
【0044】
Ra2としての脂肪族基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、及びn-イコシル基等の鎖状アルキル基;ビニル基、1-プロペニル基、2-n-プロペニル基(アリル基)、1-n-ブテニル基、2-n-ブテニル基、及び3-n-ブテニル基等の鎖状アルケニル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロヘプチル基等のシクロアルキル基;クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロヘプチル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロノニル基、及びパーフルオロデシル基等のハロゲン化鎖状アルキル基;2-クロロシクロヘキシル基、3-クロロシクロヘキシル基、4-クロロシクロヘキシル基、2,4-ジクロロシクロヘキシル基、2-ブロモシクロヘキシル基、3-ブロモシクロヘキシル基、及び4-ブロモシクロヘキシル基等のハロゲン化シクロアルキル基;ヒドロキシメチル基、2-ヒドロキシエチル基、3-ヒドロキシ-n-プロピル基、及び4-ヒドロキシ-n-ブチル基等のヒドロキシ鎖状アルキル基;2-ヒドロキシシクロヘキシル基、3-ヒドロキシシクロヘキシル基、及び4-ヒドロキシシクロヘキシル基等のヒドロキシシクロアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、n-ノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、n-ウンデシルオキシ基、n-トリデシルオキシ基、n-テトラデシルオキシ基、n-ペンタデシルオキシ基、n-ヘキサデシルオキシ基、n-ヘプタデシルオキシ基、n-オクタデシルオキシ基、n-ノナデシルオキシ基、及びn-イコシルオキシ基等の鎖状アルコキシ基;ビニルオキシ基、1-プロペニルオキシ基、2-n-プロペニルオキシ基(アリルオキシ基)、1-n-ブテニルオキシ基、2-n-ブテニルオキシ基、及び3-n-ブテニルオキシ基等の鎖状アルケニルオキシ基;メトキシメチル基、エトキシメチル基、n-プロポキシメチル基、2-メトキシエチル基、2-エトキシエチル基、2-n-プロポキシエチル基、3-メトキシ-n-プロピル基、3-エトキシ-n-プロピル基、3-n-プロポキシ-n-プロピル基、4-メトキシ-n-ブチル基、4-エトキシ-n-ブチル基、及び4-n-プロポキシ-n-ブチル基等のアルコキシアルキル基;メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、n-プロポキシメトキシ基、2-メトキシエトキシ基、2-エトキシエトキシ基、2-n-プロポキシエトキシ基、3-メトキシ-n-プロポキシ基、3-エトキシ-n-プロポキシ基、3-n-プロポキシ-n-プロポキシ基、4-メトキシ-n-ブチルオキシ基、4-エトキシ-n-ブチルオキシ基、及び4-n-プロポキシ-n-ブチルオキシ基等のアルコキシアルコキシ基;ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、及びデカノイル基等の脂肪族アシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロポキシカルボニル基、n-ブチルオキシカルボニル基、n-ペンチルオキシカルボニル基、n-ヘキシルカルボニル基、n-ヘプチルオキシカルボニル基、n-オクチルオキシカルボニル基、n-ノニルオキシカルボニル基、及びn-デシルオキシカルボニル基等の鎖状アルキルオキシカルボニル基;ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブタノイルオキシ基、ペンタノイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ヘプタノイルオキシ基、オクタノイルオキシ基、ノナノイルオキシ基、及びデカノイルオキシ基等の脂肪族アシルオキシ基である。
【0045】
式(A1)において、ma3は1以上10以下の整数である。ma3の値は、1以上10以下であれば特に限定されず、Xの構造に応じて適宜選択される。ma3の値は、1以上4以下が好ましく、1又は2がより好ましい。
【0046】
式(A1)において、Xは、炭素原子数1以上100以下の有機基である。Xとしての有機基の炭素原子数は、2以上80以下が好ましく、6以上50以下がより好ましい。Xとしての有機基は、O、N、S、P、B、Si、ハロゲン原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。なお、式(A1)で表される化合物において、2つのアミノ基は、それぞれXとしての有機基中の炭素原子に結合する。
【0047】
Xとしての有機基としては、脂肪族基であってもよく、芳香族基であってもよく、脂肪族基と芳香族基との組み合わせであってもよい。Xとしての有機基は、酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子等のヘテロ原子を含む結合を介して結合された基であってもよい。Xとしての有機基に含まれる、酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子等のヘテロ原子を含む結合としては、-CONH-、-NH-、-N=N-、-CH=N-、-COO-、-O-、-CO-、-SO-、-SO2-、-S-、及び-S-S-等が挙げられ、-O-、-CO-、及び-S-が好ましい。
【0048】
Xとしての有機基が、脂肪族基である場合、当該脂肪族基は、飽和脂肪族基であっても不飽和脂肪族基であってもよい。Xとしての有機基が脂肪族基である場合、当該脂肪族基は、脂肪族炭化水素基であるのが好ましい。Xとしての有機基が脂肪族基である場合、当該脂肪族基は、鎖状であっても、環状であっても、鎖状の脂肪族基と環状の脂肪族基との組み合わせであってもよい。鎖状の脂肪族基は、分岐を有していてもよい。
【0049】
Xとしての有機基が脂肪族基である場合、当該脂肪族基としては炭素原子数1以上20以下のアルキレン基から(ma1+ma3+2)個の水素原子を除いた基が好ましく、炭素原子数1以上16以下のアルキレン基から(ma1+ma3+2)個の水素原子を除いた基がより好ましく、炭素原子数1以上12以下のアルキレン基から(ma1+ma3+2)個の水素原子を除いた基がさらに好ましい。
【0050】
Xとしての有機基が、芳香族基を含む基である場合、式(A1)中のX、Ar、R
a1、及びR
a2で構成される基としては下記の式(11)~式(15)で表される基が挙げられる。
【化7】
【0051】
式(11)~式(15)において、Ar、Ra1、Ra2、ma1、ma2、及びma3は式(A1)中のこれらと同様である。式(13)において、ma4、及びma5は、それぞれ独立に0以上4以下の整数である。ma6、及びma7は、それぞれ独立に0以上4以下の整数であり、ma6及びma7の和は、1以上8以下である。式(14)において、ma8、ma9、及びma10は、それぞれ独立に0以上4以下の整数である。ma8、ma9、及びma10の和は、0以上10以下である。ma11、ma12、及びma13は、それぞれ独立に0以上4以下の整数である。ma11、ma12、及びma13の和は、1以上10以下である。式(15)において、ma14は、0以上3以下の整数である。ma15は、0以上5以下の整数である。ma14、及びma15の和は、0以上8以下である。ma16は、0以上3以下の整数である。ma17は、0以上5以下の整数である。ma16、及びma17の和は、1以上8以下である。
【0052】
式(11)において、ma1は0が好ましく、ma2は0が好ましく、ma3は1又は2が好ましい。
式(12)において、ma1は0が好ましく、ma2は0が好ましく、ma3は1又は2が好ましい。
式(13)において、ma2は0が好ましく、ma4及びma5は、それぞれ0が好ましく、ma6及びma7は、それぞれ0、1、又は2が好ましく、ma6及びma7の和は1以上であり、4以下が好ましい。
式(14)において、ma2は0が好ましく、ma8、ma9、及びma10は、それぞれ0が好ましく、ma11、ma12、及びma13は、それぞれ0、1、又は2が好ましく、ma11、ma12、及びma13の和は1以上であり、6以下が好ましい。
式(15)において、ma2は0が好ましく、ma14及びma15は、それぞれ0が好ましく、ma16及びma17はそれぞれ0、1、又は2が好ましく、ma16及びma17の和は、1以上であり、4以下が好ましい。
【0053】
式(11)~式(15)において、Ra3は、単結合、又は2価の連結基である。ただし、2価の連結基は芳香族基を含む基ではない。2価の連結基としては、炭素原子数1以上20以下の脂肪族炭化水素基、-CONH-、-NH-、-N=N-、-CH=N-、-COO-、-O-、-CO-、-SO-、-SO2-、-S-、及び-S-S-、並びにこれらの基から選択される2種以上を組み合わせた基等が挙げられる。連結基の炭素原子数は1以上20以下が好ましく、1以上12以下がより好ましく、1以上6以下がさらに好ましい。連結基としての脂肪族炭化水素基は、1以上の不飽和結合を有してもよく、分岐を有してもよく、環構造を含んでいてもよい。連結基としての脂肪族炭化水素基の具体例としては、メチレン基、エタン-1,2-ジイル基(エチレン基)、エタン-1,1-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-1,1-ジイル基、プロパン-2,2-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、ノナン-1,9-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基、ウンデカン-1,11-ジイル基、ドデカン-1,12-ジイル基、トリデカン-1,13-ジイル基、テトラデカン-1,14-ジイル基、ペンタデカン-1,15-ジイル基、ヘキサデカン-1,16-ジイル基、ヘプタデカン-1,17-ジイル基、オクタデカン-1,18-ジイル基、ノナデカン-1,19-ジイル基、イコサン-1,20-ジイル基、エテン-1,2-ジイル基(ビニレン基)、プロペン-1,3-ジイル基、エチン-1,2-ジイル基、及びプロピン-1,3-ジイル基等が挙げられる。
【0054】
連結基の好適な例としては、炭素原子数1以上6以下のアルキレン基、炭素原子数2以上6以下のアルケニレン基、炭素原子数2以上6以下のアルキニレン基、炭素原子数1以上6以下のアルキレンオキシ基、炭素原子数2以上6以下のアルケニレンオキシ基、炭素原子数2以上6以下のアルキニレンオキシ基、炭素原子数1以上6以下のアルキレンチオ基、炭素原子数2以上6以下のアルケニレンチオ基、炭素原子数2以上6以下のアルキニレンチオ基、炭素原子数1以上6以下のアルキレンアミノ基、炭素原子数2以上6以下のアルケニレンアミノ基、炭素原子数2以上6以下のアルキニレンアミノ基、-CONH-、-NH-、-COO-、-O-、-CO-、-SO-、-SO2-、-S-、-OCONH-、及び-OCOO-等が挙げられる。
【0055】
形成される樹脂膜が低い誘電正接と、良好な機械的性質を示す点から、式(A1)で表されるジアミン化合物(A-1)は、下記式(A1-1):
【化8】
(式(A1-1)中、R
a1、R
a2、Ar、ma1、ma2、及びma3は、式(A1)中のこれらと同様であり、Y
a1は、炭素原子数1以上20以下の有機基、又は単結合であり、Y
a2は、炭素原子数1以上20以下の有機基であり、na1は0又は1であり、na2は0又は1である。na1が1である場合、Ya1は、単結合でない。)
で表される化合物であるのが好ましい。
【0056】
式(A1-1)中、Ya1としての有機基は、O、N、S、P、B、Si、ハロゲン原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。Ya1としての有機基は、炭化水素基であるのが好ましい。Ya1としての炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であっても、芳香族炭化水素基であっても、脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基との組み合わせてあってもよい。Ya1としての炭化水素基としては、芳香族炭化水素基が好ましく、フェニレン基、及びナフタレンジイル基がより好ましい。Ya1としての芳香族炭化水素基の好適な具体例としては、p-フェニレン基、m-フェニレン基、o-フェニレン、ナフタレン-1,4-ジイル基、ナフタレン-1,2-ジイル基、ナフタレン-1,3-ジイル基、ナフタレン-1,5-ジイル基、ナフタレン-1,6-ジイル基、ナフタレン-1,7-ジイル基、ナフタレン-1,8-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-2,7-ジイル基、及びナフタレン-2,3-ジイル基が挙げられる。これらの芳香族炭化水素基の中では、p-フェニレン基、及びm-フェニレン基が好ましく、p-フェニレン基がより好ましい。
【0057】
式(A1-1)において、na2が1であるのが好ましく、na1及びna2がともに1であり、Ya1が有機基であるのがより好ましい。この場合、エーテル結合の立体的な自由度の高さに起因して、感光性樹脂組成物を用いて硬化膜を形成する際に、式(A1-1)で表される構成単位が良好にパッキングされやすく、機械特性、熱的特性、電気特性等に優れる硬化膜を形成しやすいと考えらえる。
【0058】
式(A1-1)において、ma1は0が好ましく、ma2は0が好ましく、ma3は、1又は2が好ましい。
【0059】
以上説明した式(A1)で表されるジアミン化合物(A-1)の具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
【化9】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
(ジアミン化合物(A-2))
ジアミン化合物(A-2)は、下記式(A2)で表される部分構造を有し、ジアミン化合物(A-1)に該当しないジアミン化合物である。
【化17】
(式(A2)中、R
a3及びR
a4は、それぞれ独立に、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基、又はハロゲン原子であり、ma4及びma5は、それぞれ独立に0以上4以下の整数である。)
【0068】
式(A2)中、Ra3及びRa4としての炭素原子数1以上4以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、及びtert-ブチル基が挙げられる。これらのアルキル基の中では、メチル基及びエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
式(A2)中、Ra3及びRa4としての炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、及びtert-ブチルオキシ基が挙げられる。これらのアルコキシ基の中では、メトキシ基及びエトキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。
式(A2)中、Ra3及びRa4としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。これらのハロゲン原子の中では、塩素原子、及び臭素原子が好ましい。
【0069】
式(A2)において、ma4及びma5は、それぞれ独立に0以上4以下の整数である。ジアミン化合物(A-2)の入手が容易であること等から、ma4及びma5は、それぞれ。0以上2以下の整数が好ましく、0がより好ましい。
【0070】
ジアミン化合物(A2)として好適な化合物としては、下記式(A2-1)で表される化合物が挙げられる。
【化18】
(式(A2-1)中、X
1及びX
2はそれぞれ独立に、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基、及びハロゲン原子からなる群より選択される1以上の基で置換されていてもよい芳香族炭化水素基である。R
a3、R
a4、ma4、及びma5は、式(A2)中のこれらと同様である。)
【0071】
式(A2-1)におけるX1及びX2は、それぞれ独立に、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基、及びハロゲン原子からなる群より選択される1以上の基で置換されていてもよい2価の芳香族炭化水素基である。
置換基としての炭素原子数1以上4以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、及びtert-ブチル基が挙げられる。これらのアルキル基の中では、メチル基及びエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
置換基としての炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、及びtert-ブチルオキシ基が挙げられる。これらのアルコキシ基の中では、メトキシ基及びエトキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。
置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。これらのハロゲン原子の中では、塩素原子、及び臭素原子が好ましい。
【0072】
X1及びX2としての芳香族炭化水素基の炭素原子数は特に限定されず、例えば、6以上50以下が好ましく、6以上20以下がより好ましい。なお、前述の芳香族炭化水素基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含まない。
X1、及びX2としての芳香族炭化水素基としては、o-フェニレン基、m-フェニレン基、及びp-フェニレン基等のフェニレン基、ナフタレン-1,4-ジイル基、ナフタレン-1,3-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、及びナフタレン-2,7-ジイル基等のナフタレンジイル基、ビフェニル-4,4’-ジイル基、ビフェニル-3,4’-ジイル基、及びビフェニル-3,3’-ジイル基等のビフェニルジイル基が好ましい。
【0073】
X1、及びX2としては、p-フェニレン基、m-フェニレン基、ナフタレン-1,4-ジイル基、及びビフェニル-4,4’-ジイル基が好ましく、p-フェニレン基、及びビフェニル-4,4’-ジイル基がより好ましく、p-フェニレン基がさらに好ましい。
【0074】
以上説明した式(A2)で表されるジアミン化合物(A-2)の具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
【化19】
【0075】
(ジアミン化合物(A-3))
ジアミン化合物(A-3)は、下記式(A3)で表される部分構造を有し、ジアミン化合物(A-1)及びジアミン化合物(A-2)に該当しないジアミン化合物である。
【化20】
(式(A3)中、R
a5及びR
a6は、それぞれ独立に、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基、又はハロゲン原子であり、ma6及びma7は、それぞれ独立に0以上4以下の整数であり、R
a7及びR
a8は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のハロゲン化アルキル基、又はフェニル基であり、R
a7とR
a8とは互いに結合して環を形成してもよい。)
【0076】
式(A3)中、Ra5及びRa6としての炭素原子数1以上4以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、及びtert-ブチル基が挙げられる。これらのアルキル基の中では、メチル基及びエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
式(A3)中、Ra5及びRa6としての炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、及びtert-ブチルオキシ基が挙げられる。これらのアルコキシ基の中では、メトキシ基及びエトキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。
式(A3)中、Ra5及びRa6としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。これらのハロゲン原子の中では、塩素原子、及び臭素原子が好ましい。
【0077】
式(A3)において、ma6及びma7は、それぞれ独立に0以上4以下の整数である。ジアミン化合物(A-3)の入手が容易であること等から、ma6及びma7は、それぞれ、0以上2以下の整数が好ましく、0がより好ましい。
【0078】
式(A3)中、Ra7及びRa8としての炭素原子数1以上4以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、及びtert-ブチル基が挙げられる。
式(A3)中、Ra7及びRa8としての炭素原子数1以上4以下のハロゲン化アルキル基としては、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、1,1-ジフルオロエチル基、及び1,1,2,2,2-ペンタフルオロエチル基が挙げられる。
式(A3)中のRa7及びRa8としては、ポリイミド樹脂(A-I)の有機溶媒への溶解性が良好であることや、ジアミン化合物(A-3)の入手が容易であること等から、水素原子、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、及びフェニル基が好ましい。
また、Ra7及びRa8が互いに結合して、シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基、シクロヘプチリデン基、及びシクロオクチリデン基等の炭素原子数5以上8以下のシクロアルキリデン基を形成するのも好ましい。
【0079】
式(A3)で表される部分構造の好適な具体例としては、下記の構造が挙げられる。
【化21】
【0080】
ジアミン化合物(A3)として好適な化合物としては、下記式(A3-1)で表される化合物が挙げられる。
【化22】
(式(A3-1)中、X
3及びX
4はそれぞれ独立に、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基、及びハロゲン原子からなる群より選択される1以上の基で置換されていてもよい芳香族炭化水素基である。R
a5、R
a6、R
a7、R
a8、及びma6、及びma7は、式(A3)中のこれらと同様である。)
【0081】
式(A3-1)におけるX3及びX4は、それぞれ独立に、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基、及びハロゲン原子からなる群より選択される1以上の基で置換されていてもよい2価の芳香族炭化水素基である。
置換基としての炭素原子数1以上4以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、及びtert-ブチル基が挙げられる。これらのアルキル基の中では、メチル基及びエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
置換基としての炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、及びtert-ブチルオキシ基が挙げられる。これらのアルコキシ基の中では、メトキシ基及びエトキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。
置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。これらのハロゲン原子の中では、塩素原子、及び臭素原子が好ましい。
【0082】
X3及びX4としての芳香族炭化水素基の炭素原子数は特に限定されず、例えば、6以上50以下が好ましく、6以上20以下がより好ましい。なお、前述の芳香族炭化水素基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含まない。
X3及びX4としての芳香族炭化水素基としては、o-フェニレン基、m-フェニレン基、及びp-フェニレン基等のフェニレン基、ナフタレン-1,4-ジイル基、ナフタレン-1,3-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、及びナフタレン-2,7-ジイル基等のナフタレンジイル基、ビフェニル-4,4’-ジイル基、ビフェニル-3,4’-ジイル基、及びビフェニル-3,3’-ジイル基等のビフェニルジイル基が好ましい。
【0083】
X3及びX4としては、p-フェニレン基、m-フェニレン基、ナフタレン-1,4-ジイル基、及びビフェニル-4,4’-ジイル基が好ましく、p-フェニレン基、及びビフェニル-4,4’-ジイル基がより好ましく、p-フェニレン基がさらに好ましい。
【0084】
以上説明した式(A3)で表されるジアミン化合物(A-3)の具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
【化23】
【0085】
【0086】
(ダイマージアミン化合物(A-4))
感光性樹脂組成物を用いて、高周波数帯域における誘電率、及び誘電性正接の低い硬化物を形成しやすいことから、ジアミン化合物としては、ダイマージアミン化合物(A-4)も好ましい。ダイマージアミン化合物(A-4)は、ダイマー酸が有するの2つの末端カルボキシ基が、アミノメチル基、又はアミノ基に置換されてなるジアミン化合物である。ダイマー酸は、不飽和脂肪酸の分子間重合反応によって得られる既知の二塩基酸である。ダイマー酸を製造するための工業的製造プロセスは、ほぼ標準化されている。典型的には、ダイマー酸は、炭素原子数11以上22以下の不飽和脂肪酸を、粘土触媒等の存在下に二量化して得られる。工業的に得られるダイマー酸は、オレイン酸、リノール酸、及びリノレン酸等の炭素原子数18の不飽和脂肪酸を二量化して得られる炭素原子数36の二塩基酸が主成分である。工業的に得られるダイマー酸は、精製の度合いに応じ、炭素原子数18のモノマー酸、炭素原子数54のトリマー酸、及び炭素原子数20以上54以下の他の重合脂肪酸を、それぞれ任意の量、含有し得る。
ダイマージアミン化合物(A-4)としては下記式(31)で表されるジアミン化合物が好ましい。
【化25】
【0087】
式(31)において、e、f、g、及びhはそれぞれ0以上の整数である。e+fは、6以上17以下の整数、g+hは、8以上19以下である。式(31)中、波線部は炭素-炭素単結合、又は炭素-炭素二重結合を意味する。ただし、式(31)で表される化合物の1分子中に、少なくとも1つは炭素-炭素二重結合が存在する。
【0088】
さらに伸度に優れる硬化物を形成できることから、式(31)で表されるジアミン化合物としては、下記式(32)で表される化合物が好ましい。
【化26】
【0089】
式(31)で表されるジアミン化合物の市販品としては、下記式(33)で表される化合物を含む、バーサミン551(BASF社製)、及びプリアミン1074(クローダジャパン社製)や、上記式(32)で表される化合物を含むバーサミン552(BASF社製)、プリアミン1073(クローダジャパン社製)、及びプリアミン1075(クローダジャパン社製)が挙げられる。このような市販されるダイマージアミン化合物(A-4)は、通常、複数種のアミン化合物を含む混合物である。
【化27】
【0090】
また、式(31)で表されるジアミン化合物を、トリメリット酸無水物に由来する酸ハライドと反応させることにより、下記式(34)で表されるテトラカルボン酸二無水物が得られる。下記式(34)で表されるテトラカルボン酸二無水物を、ポリイミド樹脂(A-I)、及びポリアミック酸(A-II)を製造するための原料として用いることも好ましい。
式(34)において、i、j、k、及びlはそれぞれ0以上の整数である。i+jは、6以上17以下の整数、k+lは、8以上19以下である。式(34)中、波線部は炭素-炭素単結合、又は炭素-炭素二重結合を意味する。
【化28】
【0091】
樹脂(A)が、ポリイミド樹脂(A-I)、及びポリアミック酸(A-II)である場合、ポリイミド樹脂(A-I)、及びポリアミック酸(A-II)におけるジアミン化合物に由来する全構成単位のモル数に対する、ジアミン化合物(A-1)、ジアミン化合物(A-2)、ジアミン化合物(A-3)、及びダイマージアミン化合物(A-4)からなる群より選択される1種以上の化合物に由来する構成単位のモル数の比率は、10モル%以上100モル%以下が好ましく、15モル%以上100モル%以下がより好ましく、20モル%以上100モル%以下がさらに好ましい。
【0092】
前述の通り、感光性樹脂組成物に配合される樹脂(A)は、感光性の点から、感光剤(C)の作用により重合し得るラジカル重合性基、又はカチオン重合性基をその分子鎖上に有する。
【0093】
ポリイミド樹脂(A-I)、及びポリアミック酸(A-II)の分子鎖におけるラジカル重合性基、又はカチオン重合性基の結合位置は特に限定されない。
ラジカル重合性基としては、典型的には、エチレン性不飽和二重結合を含有する基が挙げられる。エチレン性不飽和二重結合含有基としては、ビニル基、及びアリル基等のアルケニル基を含むアルケニル基含有基が好ましく、(メタ)アクリロイル基含有基がより好ましい。
カチオン重合性基としては、典型的には、エポキシ基含有基、オキセタニル基含有基、ビニルオキシ基含有基等が挙げられる。これらの中では、エポキシ基含有基、及びビニルオキシ基含有基が好ましい。エポキシ基含有基としては、脂環式エポキシ基含有基や、グリシジル基が好ましい。なお、脂環式エポキシ基とは、脂肪族環式基において隣接する環構成原子としての2つの炭素原子が酸素原子を介して結合している脂肪族環式基である。つまり、脂環式エポキシ基は、脂肪族環上に、2つの炭素原子と1つの酸素原子とからなる3員環を含むエポキシ基を有する。
【0094】
上記のラジカル重合性基、及びカチオン重合性基は、ポリイミド樹脂(A-I)、及びポリアミック酸(A-II)の分子鎖中の芳香環に結合しているのが好ましい。
このため、式(A2)中の2価の有機基A1は、例えば、前述の式(21)~(24)で表される芳香族基の芳香環上に、さらにラジカル重合性基、又はカチオン重合性基が結合した基であってもよい。
【0095】
ポリイミド樹脂(A-I)、及びポリアミック酸(A-II)の分子鎖中の芳香環に結合するラジカル重合性基の好適な例としては、下記式(A-a)又は下記式(A-b)で表される基であって、ビニルオキシ基含有基に該当しない基が挙げられる。
-(A01)na-R01・・・(A-a)
-(A01)na-R02-A02-R01・・・(A-b)
【0096】
式(A-a)及び式(A-b)において、R01は、炭素原子数2以上10以下のアルケニル基である。R02は、炭素原子数1以上10以下のアルキレン基である。
A01は、-O-、-CO-、-CO-O-、-O-CO-、-CO-NH-、-NH-CO-、又は-NH-である。
A02は、-O-、-CO-、-CO-O-、-O-CO-、-CO-NH-、-NH-CO-、又は-NH-である。
naは、0又は1である。
【0097】
主鎖中の芳香環に結合するラジカル重合性基の好適な具体例としては、
-O-R03、
-O-CH2CH2-O-R03、
-O-CH2CH2CH2-O-R03、
-O-CH2CH2CH2CH2-O-R03、
-CO-O-CH2CH2-O-R03、
-CO-O-CH2CH2CH2-O-R03、
-CO-O-CH2CH2CH2CH2-O-R03、
-O-CH2CH2-NH-R03、
-O-CH2CH2CH2-NH-R03、
-O-CH2CH2CH2CH2-NH-R03、
-CO-O-CH2CH2-NH-R03、
-CO-O-CH2CH2CH2-NH-R03、
-CO-O-CH2CH2CH2CH2-R03、
-NH-R03、
-NH-CH2CH2-O-R03、
-NH-CH2CH2CH2-O-R03、
-NH-CH2CH2CH2CH2-O-R03、
-CO-NH-CH2CH2-O-R03、
-CO-NH-CH2CH2CH2-O-R03、
-CO-NH-CH2CH2CH2CH2-O-R03、
-NH-CH2CH2-NH-R03、
-NH-CH2CH2CH2-NH-R03、
-NH-CH2CH2CH2CH2-NH-R03、
-CO-NH-CH2CH2-NH-R03、
-CO-NH-CH2CH2CH2-NH-R03、及び、
-CO-NH-CH2CH2CH2CH2-NH-R03で表される基が挙げられる。これらの基におけるR03は、アリル基、又は(メタ)アクリロイル基である。
【0098】
ポリイミド樹脂(A-I)、及びポリアミック酸(A-II)の分子鎖中の芳香環に結合しているのが好ましい。ポリイミド樹脂(A-I)、及びポリアミック酸(A-II)の分子鎖中の芳香環に結合するカチオン重合性基の好適な例としては、ビニルオキシ基、及び下記式(A-c)~式(A-h)で表される基が挙げられる。
-(A01)na-R04・・・(A-c)
-(A01)na-R02-R05・・・(A-d)
-(A01)na-R02-(CO)nb-A03-R04・・・(A-e)
-(A01)na-R02-(CO)nb-A03-R07-R05・・・(A-f)
-(A01)na-R02-O-R06・・・(A-g)
-(A01)na-R02-(CO)nb-A03-R07-O-R06・・・(A-j)
【0099】
式(A-c)~式(A-h)において、R02は、炭素原子数1以上10以下のアルキレン基である。R04は、炭素原子数2以上20以下のエポキシアルキル基、又は炭素原子数3以上20以下の脂環式エポキシ基である。R05は、炭素原子数3以上20以下の脂環式エポキシ基である。R06は、ビニル基である。R07は、炭素原子数1以上10以下のアルキレン基である。
A01は、-O-、-CO-、-CO-O-、-O-CO-、-CO-NH-、-NH-CO-、又は-NH-である。
A03は、-O-又は-NH-である。
nbは0又は1である。
【0100】
主鎖中の芳香環に結合するカチオン重合性基の好適な具体例としては、
-R07、
-O-CH2CH2-R07、
-O-CH2CH2CH2-R07、
-O-CH2CH2CH2CH2-R07、
-CO-O-CH2CH2-R07、
-CO-O-CH2CH2CH2-R07、
-CO-O-CH2CH2CH2CH2-R07、
-NH-CH2CH2-R07、
-NH-CH2CH2CH2-R07、
-NH-CH2CH2CH2CH2-R07、
-CO-NH-CH2CH2-R07、
-CO-NH-CH2CH2CH2-R07、及び、
-CO-NH-CH2CH2CH2CH2-R07で表される基が挙げられる。これらの基におけるR07は、ビニルオキシ基、グリシジルオキシ基、エポキシシクロペンチル基、エポキシシクロヘキシル基、又はエポキシシクロヘプチル基である。
【0101】
式(A2)中の、A
1が、ラジカル重合性基、又はカチオン重合性基を有する芳香族基である場合の、当該芳香族基の具体例としては以下の基が挙げられる。
【化29】
【0102】
【0103】
【0104】
(テトラカルボン酸二無水物)
テトラカルボン酸二無水物としては、従来から、ポリアミック酸及びポリイミド樹脂の製造に用いられているテトラカルボン酸二無水物を特に制限なく用いることができる。
テトラカルボン酸二無水物としては、下記式(A3)で表される化合物が挙げられる。テトラカルボン酸二無水物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【化32】
(式(A3)中、A
2は炭素原子数6以上50以下の4価の有機基である。)
【0105】
式(A3)中、A2は、炭素原子数6以上50以下の4価の有機基であり、式(A3)における2個の-CO-O-CO-で表される酸無水物基の他に、1又は複数の置換基を有していてもよい。
置換基の好適な例としては、フッ素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数1以上6以下のフッ素化アルキル基、炭素原子数1以上6以下のフッ素化アルコキシ基が好ましい。また、式(a1-1)で表される化合物は、酸無水物基の他にカルボキシ基、カルボン酸エステル基を含んでいてもよい。
置換基がフッ素化アルキル基又はフッ素化アルコキシ基である場合、パーフルオロアルキル基又はパーフルオロアルコキシ基であるのが好ましい。
以上の置換基については、後述の芳香族基が芳香環上に有していてもよい1又は複数の置換基についても同様のことがいえる。
【0106】
A2を構成する炭素原子数は8以上がより好ましく、12以上がさらに好ましい。また、A2を構成する炭素原子数は40以下がより好ましく、30以下がさらに好ましい。A2は、脂肪族基であっても、芳香族基であっても、これらの構造を組み合わせた基であってもよい。A2は、炭素原子、及び水素原子の他に、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子を含んでいてもよい。A2が酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子を含む場合、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子は、含窒素複素環基、-CONH-、-NH-、-N=N-、-CH=N-、-COO-、-O-、-CO-、-SO-、-SO2-、-S-、及び-S-S-から選択される基として、A1に含まれてもよく、-O-、-CO-、-S-、及びから選択される基として、A1に含まれることがより好ましい。
【0107】
式(A3)で表されるテトラカルボン酸二無水物は、脂肪族基に結合するジカルボン酸無水物基を2つ有する脂肪族テトラカルボン酸二無水物であっても、芳香族基に結合するジカルボン酸無水物基を少なくとも1つ有する芳香族テトラカルボン酸二無水物であってもよい。
なお、芳香族テトラカルボン酸二無水物は、芳香族基に結合するジカルボン酸無水物基を2つ有するのが好ましい。
【0108】
脂肪族テトラカルボン酸二無水物は、脂環式構造を含有してもよい。該脂環式構造は多環式であってもよい。脂環式構造を有さない脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物(例えば、リカシッドBT-100、新日本理化社製)が挙げられる。
脂環式構造を有する脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン-1,2,4,5-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロペンタノン-α’-スピロ-2”-ノルボルナン-5,5”,6,6”-テトラカルボン酸二無水物(例えば、エネハイド(登録商標)CpODA、エネオス社製)、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシ)ヘキサフルオロプロパン二無水物[5,5’-(1,4-フェニレン)ビスノルボルナン]-2,2’,3,3’-テトラカルボン酸二無水物(例えば、エネハイド(登録商標)BzDA、エネオス社製)、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-5(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)ナフト[1,2-C]フラン-1,3-ジオン(例えば、リカシッドTDA-100、新日本理化社製)、が挙げられる。
【0109】
式(A3)で表され、芳香族基に結合するジカルボン酸無水物基を2つ有する芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、1,4-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、4,4’-オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルフィドテトラカルボン酸二無水物、トリメリット酸(3,4-ジカルボキシフェニル)二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6-ピリジンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシ)メタン二無水物、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシ)エタン二無水物、2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェニルオキシ)フェニル]プロパン二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェニルカルボニルオキシ)ビフェニル二無水物、2,6-ビス(3,4-ジカルボキシフェニルカルボニルオキシ)ナフタレン二無水物、1,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニルカルボニルオキシ)エタン二無水物(例えば、リカシッドTMEG100、新日本理化社製)、及び1,10-ビス(3,4-ジカルボキシフェニルカルボニルオキシ)デカン二無水物(例えば、10BTA、黒金化成社製)等が挙げられる。
これらの芳香族テトラカルボン酸二無水物の中では、電気特性に優れる硬化物を形成しやすい点で、2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェニルオキシ)フェニル]プロパン二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェニルカルボニルオキシ)ビフェニル二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェニルオキシ)ビフェニル二無水物、2,6-ビス(3,4-ジカルボキシフェニルカルボニルオキシ)ナフタレン二無水物、及びα,ω-ビス(3,4-ジカルボキシフェニルカルボニルオキシ)アルカン二無水物が好ましい。α,ω-ビス(3,4-ジカルボキシフェニルカルボニルオキシ)アルカン二無水物中の直鎖アルキレン基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、2以上12以下がより好ましい。α,ω-ビス(3,4-ジカルボキシフェニルカルボニルオキシ)アルカン二無水物の好適な具体例としては、1,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニルカルボニルオキシ)エタン二無水物(例えば、リカシッドTMEG100、新日本理化社製)、及び1,10-ビス(3,4-ジカルボキシフェニルカルボニルオキシ)デカン二無水物(例えば、10BTA、黒金化成社製)が挙げられる。
【0110】
また、感光性樹脂組成物の硬化膜の反り抑制や、感光性樹脂組成物のフォトリソグラフィー特性が良好である点で、芳香族テトラカルボン酸二無水物がビフェニルテトラカルボン酸二無水物であるのも好ましい。
ビフェニルテトラカルボン酸二無水物としては、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が挙げられ、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が好ましい。
【0111】
芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、また、例えば、下記一般式(a3-2)~(a3-4)で表される化合物であってもよい。
【化33】
【0112】
上記式(a3-2)及び式(a3-3)において、Ra01、Ra02及びRa03は、それぞれ、ハロゲンで置換されていてもよい脂肪族基、酸素原子、硫黄原子、1つ以上の2価元素を介した芳香族基のいずれかであるか、又はそれらの組み合わせによって構成される2価の基を示す。Ra02及びRa03は、同一であっても異なっていてもよい。
すなわち、Ra01、Ra02及びRa03は、炭素-炭素の一重結合、炭素-酸素-炭素のエーテル結合又はハロゲン元素(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)を含んでいてもよい。式(a3-2)で表される化合物としては、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)プロパン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)メタン二無水物、1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)エタン二無水物、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ヘキサフルオロプロパン二無水物、及び1,4-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物等が挙げられる。
【0113】
また、上記式(a3-4)において、Ra04、Ra05はハロゲンで置換されていてもよい脂肪族基、1つ以上の2価元素を介した芳香族基、ハロゲンのいずれかであるか、又はそれらの組み合わせによって構成される1価の置換基を示す。Ra04、及びRa05は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。式(a3-4)で表される化合物として、ジフルオロピロメリット酸二無水物、及びジクロロピロメリット酸二無水物等も用いることができる。
【0114】
前述の通り、ポリイミド樹脂(A-I)、及びポリアミック酸(A-II)は、その分子鎖上にラジカル重合性基、又はカチオン重合性基を有するのも好ましい。
このため、式(A3)中の4価の有機基A
2は、下記式(a3-5)~式(a3-7)で表される基であってもよい。
【化34】
式(a3-5)~式(a3-7)における、R
a01、R
a02、及びR
a03は、前述の式(a3-2)、式(a3-3)、及び式(a3-4)における、R
a01、R
a02、及びR
a03と同様である。
式(a3-5)、式(a3-6)、及び式(a3-7)における、R
a06は、ラジカル重合性基、又はカチオン重合性基である。ラジカル重合性基、又はカチオン重合性基としては、それぞれ前述の基が挙げられる。
テトラカルボン酸二無水物自体が反応性に富む。例えば、エポキシ基は、カルボン酸無水物基と容易に反応してしまう。このため、A
2が、式(a3-5)~式(a3-7)で表される基であるテトラカルボン酸二無水物に由来する構成単位に相当する構成単位を、ポリイミド樹脂(A-I)、又はポリアミック酸(A-II)に導入する場合、ポリイミド樹脂(A-I)、又はポリアミック酸(A-II)を合成した後に、ポリイミド樹脂(A-I)、又はポリアミック酸(A-II)の分子鎖上に、ラジカル重合性基、又はカチオン重合性基を導入するのが好ましい。
【0115】
ラジカル重合性基、又はカチオン重合性基を導入するための反応としては、例えば、
1)ポリイミド樹脂(A-I)、又はポリアミック酸(A-II)の分子鎖中の芳香環に結合するハロゲン原子と、ラジカル重合性基、又はカチオン重合性基を有するアルコール化合物とのエーテル化反応、
2)ポリイミド樹脂(A-I)、又はポリアミック酸(A-II)の分子鎖中の芳香環に結合するヒドロキシ基と、ラジカル重合性基、又はカチオン重合性基を有するカルボン酸ハライドとのエステル化反応、
3)ポリイミド樹脂(A-I)、又はポリアミック酸(A-II)の分子鎖中の芳香環に結合するカルボキシ基と、ラジカル重合性基、又はカチオン重合性基を有する有機ハライドとのエステル化反応、及び、
4)ポリイミド樹脂(A-I)、又はポリアミック酸(A-II)の分子鎖中の芳香環に結合するアミノ基と、ラジカル重合性基、又はカチオン重合性基を有する有機ハライドとのN-置換反応等が挙げられる。ラジカル重合性基、又はカチオン重合性基を導入するための反応はこれらの反応に限定されない。
【0116】
なお、例えばアセチル基のような保護基により保護されたヒドロキシ基や、メトキシカルボニル基のようなカルボン酸エステル基、tert-ブトキシカルボニル基のような保護基で保護されたアミノ基等を芳香環上に有するポリイミド樹脂(A-I)、又はポリアミック酸(A-II)を合成した後、周知の方法で脱保護を行うことにより、ヒドロキシ基、カルボキシ基、又はアミノ基等を芳香環上に有するポリイミド樹脂(A-I)、又はポリアミック酸(A-II)を得ることができる。
【0117】
(ポリイミド樹脂(A-I)、及びポリアミック酸(A-II)の製造方法)
ポリイミド樹脂(A-I)、及びポリアミック酸(A-II)の製造方法は、特に限定されない。以上説明したポリイミド樹脂(A-I)は、典型的には、上記のジアミン化合物と、テトラカルボン酸二無水物とを反応させてポリアミック酸(A-II)を得た後、当該ポリアミック酸(A-II)をイミド化させることにより製造され得る。
ポリアミック酸(A-II)を製造する際に、テトラカルボン酸二無水物と、ジアミンとは、それぞれ1種を単独で使用されても、2種以上を組み合わせて使用されてもよい。
ポリイミド樹脂(A-I)、及びポリアミック酸(A-II)は、前述の通り、ラジカル重合性基、又はカチオン重合性基を有してもよい。ラジカル重合性基、又はカチオン重合性基は、ポリアミック酸(A-II)の合成後、又はポリイミド樹脂(A-I)の合成後に分子鎖上に導入されてもよい。
ポリアミック酸(A-II)の合成後、又はポリイミド樹脂(A-I)の合成後にラジカル重合性基、又はカチオン重合性基を、ポリアミック酸、又はポリイミド樹脂(A)の分子鎖上に導入する場合、その導入方法は特に限定されない。
ラジカル重合性基、又はカチオン重合性基を分子鎖上に導入する方法の典型例としては、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基等の官能基を有するポリアミック酸(A-II)、又はポリイミド樹脂(A-I)と、ラジカル重合性基を有するカルボン酸、ラジカル重合性基を有するカルボン酸ハライド、ラジカル重合性基を有するアルコール類、ラジカル重合性基を有するフェノール類、ラジカル重合性基を有するアミン類、ラジカル重合性基を有するハロゲン化化合物、カチオン重合性基を有するカルボン酸、カチオン重合性基を有するカルボン酸ハライド、カチオン重合性基を有するアルコール類、カチオン重合性基を有するフェノール類、カチオン重合性基を有するアミン類、又はカチオン重合性基を有するハロゲン化合物とを、周知の縮合剤を用いた縮合反応や、ウィリアムソンのエーテル化反応等の公知の方法により反応させる方法が挙げられる。
【0118】
反応や、ラジカル重合性基又はカチオン重合世基を有する化合物の入手が容易である点から、ポリアミック酸(A-II)が有するカルボキシ基の一部又は全部を、ラジカル重合性基を有するアルコール類、又はカチオン重合性基を有するアルコール類と縮合させるのが好ましい。
なお、ポリアミック酸(A-II)が有するカルボキシ基が、ラジカル重合性基を有するアルコール類、又はカチオン重合性基を有するアルコール類により変性されても、変性されたポリアミック酸(A-II)は、加熱等の方法によりイミド化される。この場合、ラジカル重合性基を有するアルコール類、又はカチオン重合性基を有するアルコール類が脱離しながら、閉環によるイミド化が進行する。
縮合反応の方法は特に限定されない。例えば、ポリアミック酸(A-II)が有するカルボキシ基と、ラジカル重合性基を有するアルコール類、又はカチオン重合性基を有するアルコール類とを、カルボジイミド化合物等の縮合剤の存在下に縮合させることができる。
また、ポリアミック酸(A-II)が有するカルボキシ基を、塩化チオニル等のハロゲン化剤と反応させてハロゲノカルボニル基(カルボン酸ハライド基)とした後、ハロゲノカルボニル基と、ラジカル重合性基を有するアルコール類、又はカチオン重合性基を有するアルコール類とを反応させてもよい。
【0119】
ラジカル重合性基を有するアルコール類としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-メトキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-ブトキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-tert-ブチルオキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-シクロヘキシルオキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロパン-2-イル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、及びフタル酸1-(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)2-(2-ヒドロキシプロピル)等のジオール類のモノ(メタ)アクレート;グリセリン-1,3-ジ(メタ)アクリレート、グリセリン-1,2-ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の水酸基を有するポリオール類の(メタ)アクリレート;N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシアルキル基置換(メタ)アクリルアミド;(ヒドロキシメチル)ビニルケトン、及び(2-ヒドロキシエチル)ビニルケトン等の水酸基含有ケトン;アリルアルコール、5-ヘキセン-1-オール、3-ヘキセン-1-オール、6-ヘプテン-1-オール、5-オクテン-1-オール、3-オクテン-1-オール、3-ノネン-1-オール、6-ノネン-1-オール、9-デセン-1-オール、4-デセン-1-オール、10-ウンデセン-1-オール、11-ドデセン-1-オール、エライドリノレイルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、及びエルシルアルコール等のアルケニルアルコールが挙げられる。
なお、本出願の明細書において(メタ)アクリレートは、アクリレート、及びメタクリレートの双方を意味する。
カチオン重合性基を有するアルコール類としては、エチレングリコールモノグリシジルエーテル、1,3-プロパンジオールモノグリシジルエーテル、プロピレングリコールモノグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールモノグリシジルエーテル、1,5-ペンタンジオールモノグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールモノグリシジルエーテル、ジエチレングリコールモノグリシジルエーテル、及びジプロピレングリコールモノグリシジルエーテル等のグリコール類のモノグリシジルエーテルや、グリシジルアルコール、及び3,4-エポキシ-1-ブタノール等のヒドロキシ基で置換されたエポキシアルカンが挙げられる。
【0120】
ポリアミック酸(A-II)を合成する際の、テトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物の使用量は特に限定されないが、テトラカルボン酸二無水物1モルに対して、ジアミン化合物を0.8モル以上1.2モル以下用いることが好ましく、0.9モル以上1.1モル以下用いることがより好ましく、0.95モル以上1.05モル以下用いることが特に好ましい。
また、得られるポリアミック酸(A-II)の重量平均分子量は、その用途にあわせて適宜設定すればよい。樹脂の重量平均分子量は、GPC(ゲルバミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の重量平均分子量として測定することができる。ポリアミック酸(A-II)の重量平均分子量は、例えば、機械特性が良好な硬化膜を得る観点で、上記ポリスチレン換算で5000以上であり、15000以上が好ましく、250000000以上がより好ましい。一方、得られるポリアミック酸(A-II)の重量平均分子量は、現像性を向上させる観点で、例えば上記ポリスチレン換算で100000以下であり、80000以下が好ましく、50000以下がより好ましい。
この重量平均分子量は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物の配合量や、溶媒や反応温度等の反応条件を調整して、上述の値とすればよい。
【0121】
テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との反応は、通常、有機溶媒中で行われる。テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との反応に使用される有機溶媒は、テトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物を溶解させることができ、テトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物と反応しない有機溶媒であれば特に限定されない。有機溶媒は単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0122】
テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との反応に用いる有機溶媒の例としては、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルプロピオンアミド、N,N-ジメチルイソブチルアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジメチルイソ酪酸アミド、メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、N-メチルカプロラクタム、N,N’-ジメチルプロピレンウレア、N,N,N’,N’-テトラメチルウレア、及びピリジン等の含窒素極性溶媒;ジメチルスルホキシド;スルホラン;γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン、ε-カプロラクトン、及びα-メチル-γ-カプロラクトン等のラクトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、及びシュウ酸ジエチル等のエステル類;エチレンカーボネート、及びプロピレンカーボネート等のカーボネート;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、及びシクロヘキサノン等のケトン類;アセトニトリル;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジオキサン、及びテトラヒドロフラン等のエーテル類;ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、1,4-ジクロロブタン、クロロベンゼン、及びo-ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、及びキシレン等が挙げられる。
これらの有機溶媒は、1種を単独で用いられても2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
【0123】
これらの有機溶媒の中では、生成するポリアミック酸(A-II)、及びポリイミド樹脂(A-I)の溶解性から、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N-メチルカプロラクタム、及びN,N,N’,N’-テトラメチルウレア等の含窒素極性溶剤が好ましい。
【0124】
テトラカルボン酸二無水物と、ジアミン化合物とを反応させる際の温度は、反応が良好に進行する限り特に限定されない。典型的には、テトラカルボン酸二無水物と、ジアミン化合物との反応温度は、-5℃以上120℃以下が好ましく、0℃以上80℃以下がより好ましく、0℃以上50℃以下が特に好ましい。テトラカルボン酸二無水物と、ジアミン化合物とを反応させる時間は、反応温度によっても異なるが、典型的には、30分以上20時間以下が好ましく、1時間以上8時間以下がより好ましく、2時間以上6時間以下が特に好ましい。
【0125】
なお、上記の方法でポリアミック酸(A-II)を製造する場合、ポリアミック酸の一部で閉環が生じ、部分的にイミド化が進行する場合がある。便宜的に、イミド化率が50%以下である樹脂を、ポリアミック酸(A-II)とし、イミド化率が50%超である樹脂をポリイミド樹脂(A-I)とする。
【0126】
また、テトラカルボン酸二無水物、及び/又はジアミン化合物がエチレン性不飽和二重結合を含むラジカル重合性基含有基を有する場合、反応中のエチレン性不飽和二重結合間の架橋を防ぐ目的で、重合禁止剤を少量用いてもよい。重合禁止剤としては、ハイドロキノン、4-メトキシフェノール、tert-ブチルピロカテコール、及びビス-tert-ブチルヒドロキシトルエン等のフェノール類や、フェノチアジンが挙げられる。重合禁止剤の使用量は、例えば、エチレン性不飽和二重結合のモル数に対して、0.01モル%以上5モル%以下が好ましい。
【0127】
以上説明した方法により、ポリアミック酸(A-II)を含む溶液が得られる。
得られたポリアミック酸(A-II)を、閉環させてイミド化することによりポリイミド樹脂(A-I)が生成する。
イミド化の方法は特に限定されない。イミド化は、加熱により行われてもよく、イミド化剤を用いて行われてもよい。
【0128】
加熱によりイミド化を行う場合、加熱は、ポリアミック酸(A-II)の溶液又は懸濁液に対して行われてもよく、固体状のポリアミック酸(A-II)に対して行われてもよい。
ポリアミック酸(A-II)の溶液を加熱してイミド化を行う場合、イミド化の際に副生する水を除去しながら加熱を行うのが好ましい。
イミド化のための加熱の条件は、ポリアミック酸(A-II)又はポリイミド樹脂(A-I)が分解せず、良好にイミド化が進行する限り特に限定されない。
ポリアミック酸(A-II)の溶液に対して加熱を行う場合、典型的には、加熱温度として80℃以上220℃以下が好ましく、100℃以上200℃以下がより好ましく、120℃以上180℃以下が特に好ましい。固体状のポリアミック酸(A-II)に対して加熱を行う場合、典型的には、加熱温度として、180℃以上400℃以下が好ましく、200℃以上350℃以下がより好ましい。
加熱時間は、加熱温度にもよるが、典型的には、1時間以上24時間以下が好ましく、2時間以上12時間以下がより好ましい。
【0129】
イミド化剤により、ポリアミック酸(A-II)をイミド化する場合、通常、ポリアミック酸(A-II)の溶液又は懸濁液に対してイミド化剤を加えてイミド化が実施される。イミド化剤によるイミド化を行う場合に用いることができる有機溶媒としては、例えば、ポリアミック酸(A-II)の調製に用いることができる有機溶媒と同様の有機溶媒を用いることができる。
イミド化剤によるイミド化を行う場合に、ポリアミック酸(A-II)の溶液又は懸濁液におけるポリアミック酸(A-II)の濃度は特に限定されない。典型的には、ポリアミック酸(A-II)の溶液又は懸濁液におけるポリアミック酸(A-II)の濃度は、5質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上30質量%以下がより好ましい。
イミド化剤の使用量は特に限定されない。イミド化剤の使用量は、イミド化剤の種類に応じて、ポリアミック酸(A-II)が所望する程度にイミド化されるように選択される。
イミド化剤によるイミド化を行う場合の反応温度は、特に限定されない。反応温度は、例えば、0℃以上100℃以下が好ましく、5℃以上50℃以下がより好ましい。
イミド化剤を用いる場合のイミド化反応の時間は、特に限定されない。イミド化反応は、イミド化剤の種類に応じて、例えば、30分以上24時間程度行われるのが好ましく、1時間以上12時間以下行われるのがより好ましく、2時間以上6時間以下行われるのがさらに好ましい。
【0130】
イミド化剤としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水安息香酸、無水トリフルオロ酢酸、アセチルクロライド、トシルクロライド、メシルクロライド、クロルギ酸エチル、トリフェニルホスフィンとジベンゾイミダゾリルジスルフィド、ジシクロヘキシルカルボジイミド、カルボジイミダゾール、2-エトキシ-1-エトキシカルボニル-1,2-ジヒドロキノリン、及びシュウ酸N,N’-ジスクシンイミジルエステル等の脱水剤や、ピリジン、ピコリン、2,6-ルチジン、コリジン、トリエチルアミン、N-メチルモルフォリン、4-N,N’-ジメチルアミノピリジン、イソキノリン、トリエチルアミン、1,4-ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン、及び1,8-ジアザビシクロ〔5.4.0〕-7-ウンデセン等の塩基性化合物が挙げられる。
【0131】
〔ポリアミド樹脂(A-III)〕
ポリアミド樹脂(A-III)は、ジアミン化合物と、ジカルボン酸化合物、又はジカルボン酸化合物のアミド形成性誘導体とに由来する樹脂である。
【0132】
(ジアミン化合物)
ジアミン化合物としては、ポリイミド樹脂(A-I)、及びポリアミック酸(A-II)について説明した化合物と同様の化合物を用いることができる。
前述の通り、感光性樹脂組成物に配合される樹脂(A)は、感光剤(C)の作用により重合し得るラジカル重合性基、又はカチオン重合性基をその分子鎖上に有する。
【0133】
ポリアミド樹脂(A-III)の分子鎖におけるラジカル重合性基、又はカチオン重合性基の結合位置は特に限定されない。ラジカル重合性基、及びカチオン重合性基について、ポリイミド樹脂(A-I)、及びポリアミック酸(A-II)について前述した通りである。
ポリアミド樹脂(A-III)におけるラジカル重合性基、又はカチオン重合性基の量は、ポリイミド樹脂(A-I)、及びポリアミック酸(A-II)におけるラジカル重合性基、又はカチオン重合性基の量と同様である。
【0134】
(ジカルボン酸化合物、及びジカルボン酸化合物のアミド形成性誘導体)
ジカルボン酸化合物としては、従来からポリアミド樹脂の原料として使用されている種々のジカルボン酸化合物を特に制限なく使用することができる。
ジカルボン酸化合物としては、例えば、炭素原子数2以上50以下の脂肪族ジカルボン酸、炭素原子数8以上50以下の芳香族カルボン酸が好ましい。
【0135】
ジカルボン酸化合物のアミド形成性誘導体としては、ジカルボン酸化合物のジカルボン酸ハライド、及び活性化されたジカルボン酸化合物が挙げられる。ジカルボン酸ハライドとしては、ジカルボン酸クロリド、及びジカルボン酸ブロミドが好ましく、ジカルボン酸クロリドがより好ましい。活性化されたジカルボン酸化合物における、カルボキシ基に由来する活性基としては、フェノキシカルボニル基、(2-チオキソ-2,3-ジヒドロベンゾオキサゾール-3-イル)カルボニル基、1H-1,2,3-トリアゾール-1-イルカルボニル基、1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシカルボニル基、1H-イミダゾール-1-イルカルボニル基、スクシンイミジルオキシカルボニル基、及び3H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-イルオキシカルボニル基が挙げられる。
カルボキシ基に由来する活性基が、芳香環を含む場合、当該芳香環は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、トリフルオロメチル基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フェノキシ基、及びニトロ基からなる群より選択される1種以上の置換基で置換されていてもよい。
【0136】
ジカルボン酸化合物の好適な例としては、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、及び4,4’-ジカルボキシビフェニル、これらのアルキル、アルコキシ又はハロゲン置換体が挙げられる。
置換基としてのアルキル基としては、炭素原子数1以上4以下のアルキル基が好ましい。置換基としてのアルコキシ基としては、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基が好ましい。
前述のジカルボン酸化合物が、アルキル基、アルコキシ基、又はハロゲンで置換されている場合、置換数は1以上4以下が好ましく、1又は2がより好ましく、1がさらに好ましい。
【0137】
また、ポリイミド樹脂(A-I)、及びポリアミック酸(A-II)について説明したカルボン酸二無水物の酸無水物基に、モノヒドロキシ化合物、又はモノアミノ化合物を反応させることにより得られる、2つのカルボキシ基と、2つのカルボン酸エステル基又は2つのカルボン酸アミド基とを有するジカルボン酸化合物も、ジカルボン酸化合物として好適に使用できる。
【0138】
芳香族テトラカルボン酸二無水物の好適な例である、ピロメリット酸二無水物、1,4-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、4,4’-オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルフィドテトラカルボン酸二無水物、トリメリット酸(3,4-ジカルボキシフェニル)二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6-ピリジンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物、[5,5’-(1,4-フェニレン)ビスノルボルナン]-2,2’,3,3’-テトラカルボン酸二無水物(例えば、エネハイド(登録商標)BzDA、エネオス社製)、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-5(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)ナフト[1,2-C]フラン-1,3-ジオン(例えば、リカシッドTDA-100、新日本理化社製)、2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェニルオキシ)フェニル]プロパン二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェニルカルボニルオキシ)ビフェニル二無水物、2,6-ビス(3,4-ジカルボキシフェニルカルボニルオキシ)ナフタレン二無水物、1,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニルカルボニルオキシ)エタン二無水物(例えば、リカシッドTMEG100、新日本理化社製)、及び1,10-ビス(3,4-ジカルボキシフェニルカルボニルオキシ)デカン二無水物(例えば、10BTA、黒金化成社製)等に対応するジカルボン酸化合物としては、これらの芳香族テトラカルボン酸二無水物に、Ra21-OHで表されるアルコール、又はRa21-NH2で表されるアミンを反応させて得られるジカルボン酸化合物が好ましい。
Ra21は、1価の有機基である。
このようなジカルボン酸化合物は、当該ジカルボン酸化合物において隣接する炭素原子上に位置する、カルボキシ基と、-CO-Xa-Ra21で表される基とのペアを、2対有する。Xaは、-O-、又は-NHである。
【0139】
Ra21としての1価の有機基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上16以下がより好ましく、1以上12以下がさらに好ましく、1以上8以下が特に好ましい。
Ra21としての1価の有機基としては、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数2以上20以下のアルケニル基、炭素原子数6以上20以下のアリール基、炭素原子数2以上20以下のアルコキシアルキル基、炭素原子数3以上20以下のアルコキシアルコキシアルキル基、炭素原子数4以上20以下の(メタ)アクリロイルオキシアルキル基、炭素原子数5以上20以下の(メタ)アクリロイルオキシアルキルオキシアルキル基、炭素原子数4以上20以下のグリシジルオキシアルキル基、及び炭素原子数5以上20以下のグリシジルオキシアルキルオキシアルキル基が挙げられる。
【0140】
カルボキシ基と、-CO-Xa-Ra21で表される基とのペアを、2対有する上記のジカルボン酸化合物には、カルボキシ基の位置と、-CO-Xa-Ra21で表される基の位置とが異なる異性体が存在する。上記のジカルボン酸化合物としては、このような異性体のうちの1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一例として、ピロメリット酸二無水物に対応するジカルボン酸化合物に関しては、異性体として、下記式(a4-a1)で表される化合物と、下記式(a4-a2)で表される化合物とが存在する。また、1,4-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物に対応するジカルボン酸化合物に関しては、異性体として、下記式(a4-b1)で表される化合物と、下記式(a4-b2)で表される化合物と、下記式(a4-b3)で表される化合物とが存在する。
下記式(a4-a1)、式(a4-a2)、及び式(a4-b1)~式(a4-b3)において、Xa、及びRa21は、それぞれ上述した通りである。
【0141】
【0142】
前述の式(a3-2)~式(a3-4)で表されるテトラカルボン酸二無水物に対応するジカルボン酸化合物としては、下記式(a4-2a)~式(a4-2c)、式(a4-3a)~式(a4-3c)、及び式(a4-4a)~式(a4-4c)で表される化合物が挙げられる。式(a4-2a)~式(a4-2c)、式(a4-3a)~式(a4-3c)、及び式(a4-4a)~式(a4-4c)において、R
a01~R
a05は、式(a3-2)~式(a3-4)におけるこれらと同様である。式(a4-2a)~式(a4-2c)、式(a4-3a)~式(a4-3c)、及び式(a4-4a)~式(a4-4c)において、X
a、及びR
a21は、前述の通りである。
【化36】
【0143】
前述の式(a3-5)~式(a3-7)で表されるテトラカルボン酸二無水物に対応するジカルボン酸化合物としては、下記式(a4-5a)~式(a4-5c)、式(a4-6a)~式(a4-6c)、式(a4-7a)、及び式(a4-7b)で表される化合物が挙げられる。式(a4-5a)~式(a4-5c)、式(a4-6a)~式(a4-6c)、式(a4-7a)、式(a4-7b)において、Ra01~Ra03、Ra06、m1、及びm2は、式(a3-5)~式(a3-7)におけるこれらと同様である。式(a4-5a)~式(a4-5c)、式(a4-6a)~式(a4-6c)、式(a4-7a)、及び式(a4-7b)において、Xa、及びRa21は、前述の通りである。
【0144】
【0145】
テトラカルボン酸二無水物と反応させることによりジカルボン酸化合物を与えるモノヒドロキシ化合物としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、n-ペンタノール、及びn-ヘキサノール等のアルカンモノオール;フェノール、p-クレゾール、m-クレゾール、o-クレゾール、α-ナフトール、及びβ-ナフトール等のフェノール類又はナフトール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、1,3-プロパンジオールモノメチルエーテル、1,3-プロパンジオールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、及びジプロピレングリコールモノエチルエーテル等のグリコール類のモノエーテル;前述のラジカル重合性基を有するアルコール類;前述のカチオン重合性基を有するアルコール類が挙げられる。
【0146】
テトラカルボン酸二無水物と、上記のモノヒドロキシ化合物又はモノアミノ化合物との反応は、ポリアミック酸(II)の製造方法として前述した、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との反応と同様の方法で行うことができる。テトラカルボン酸二無水物と、上記のモノヒドロキシ化合物又はモノアミノ化合物との反応は、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、1,4-アザビシクロ[2,2,2]オクタン等の有機塩基の存在下に行ってもよい。これらの塩基は単独で用いてもよく、2種類以上を同時に用いてもよい。
モノヒドロキシ化合物又はモノアミノ化合物の使用量は、テトラカルボン酸二無水物1モルに対して、1.8モル以上2.2モル以下が好ましく、2モル以上2.1モル以下がより好ましい。
テトラカルボン酸二無水物と、上記のモノヒドロキシ化合物又はモノアミノ化合物との反応によるジカルボン酸化合物が得られる。ジカルボン酸化合物の製造において、製造条件によっては、一方のジカルボン酸無水物基のみがモノヒドロキシ化合物又はモノアミノ化合物と反応することにより、ジカルボン酸無水物基を有するモノカルボン酸化合物が生成したり、テトラカルボン酸二無水物の一部が反応系内の水分と反応することにより、テトラカルボン酸化合物やトリカルボン酸化合物が生成したりする。
樹脂が得られる限りにおいて、上記のモノカルボン酸化合物、トリカルボン酸化合物、及びテトラカルボン酸化合物から選択される少なくとも1種を含むジカルボン酸化合物を、ポリアミド樹脂(A-III)の製造に用いることができる。
ジカルボン酸化合物が、不純物として上記のモノカルボン酸化合物、トリカルボン酸化合物、及びテトラカルボン酸化合物から選択される少なくとも1種を含む場合、ジカルボン酸化合物中の、不純物としての、上記のモノカルボン酸化合物、トリカルボン酸化合物、及びテトラカルボン酸化合物から選択される少なくとも1種の含有量は、不純物の質量を含むジカルボン酸化合物の質量に対して、30質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましく、1質量%以下が特に好ましい。
【0147】
(ポリアミド樹脂(A-III)の製造方法)
ポリアミド樹脂(A-III)の製造方法は特に限定されない。
ポリアミド樹脂(A-III)の好ましい製造方法としては、例えば、ジアミン化合物と、ジカルボン酸化合物とを、縮合剤により縮合させる方法挙げられる。縮合剤としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキノリン、1,1-カルボニルジオキシ-ジ-1,2,3-ベンゾトリアゾール、N,N’-ジスクシンイミジルカーボネート等が挙げられる。
【0148】
他の好ましい方法としては、ジカルボン酸化合物、又はジカルボン酸化合物の酸ハライドと、ジアミン化合物とを、塩基の存在下に縮合させる方法挙げられる。この方法においては、必要に応じて、塩基とともに縮合剤を用いてもよい。
酸ハライドとしては、酸塩化物及び酸臭化物が好ましく、酸塩化物がより好ましい。
塩基としては、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、1,4-アザビシクロ[2,2,2]オクタン等が挙げられる。
縮合剤としては、トリフェニルホスファイト、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、N,N’-カルボニルジイミダゾール、ジメトキシ-1,3,5-トリアジニルメチルモルホリニウム、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、(2,3-ジヒドロ-2-チオキソ-3-ベンゾオキサゾリル)ホスホン酸ジフェニル、及び4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)4-メトキシモルホリウムクロリド水和物等が挙げられる。
【0149】
具体的には、ジカルボン酸化合物、又はジカルボン酸化合物の酸ハライドと、ジアミン化合物とを、上記の塩基の存在下に、有機溶剤中で、例えば、-20℃以上150℃以下、好ましくは0℃以上50℃以下において、30分以上24時間以下、好ましくは1時間以上4時間以下反応させる。
塩基の使用量は、除去が容易な量で、且つ高分子量体が得やすいという観点から、ジカルボン酸化合物、又はジカルボン酸化合物の酸ハライドのモル数に対して、2倍モル以上4倍モル以下であることが好ましい。
【0150】
また、ジカルボン酸化合物が有するカルボキシ基を、活性基に変換した後、ジカルボン酸化合物に由来する活性基を有する化合物と、ジアミン化合物とを縮合させる方法も好ましい。活性化されたジカルボン酸化合物における、カルボキシ基に由来する活性基としては、フェノキシカルボニル基、(2-チオキソ-2,3-ジヒドロベンゾオキサゾール-3-イル)カルボニル基、1H-1,2,3-トリアゾール-1-イルカルボニル基、1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシカルボニル基、1H-イミダゾール-1-イルカルボニル基、スクシンイミジルオキシカルボニル基、及び3H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-イルオキシカルボニル基が挙げられる。
カルボキシ基に由来する活性基が、芳香環を含む場合、当該芳香環は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、トリフルオロメチル基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フェノキシ基、及びニトロ基からなる群より選択される1種以上の置換基で置換されていてもよい。
【0151】
感光性樹脂組成物の保存安定性を向上や、感光性樹脂組成物を用いて形成される膜の機械特性のさらなる向上、樹脂(A)を製造する際の重合の再現性の向上等を目的として、樹脂(A)の主鎖末端は、末端封止剤で封止されてもよい。末端封止剤としては、モノアミン、酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸ハロゲン化物、モノ活性エステル化合物等が挙げられる。
末端封止に用いられるモノアミンとしては、公知の化合物を使用できる。モノアミンとしては、例えば、アニリン、2-エチニルアニリン、3-エチニルアニリン、4-エチニルアニリン、3-ヒドロキシアニリン、4-ヒドロキシアニリン、3-アミノチオフェノール、及び4-アミノチオフェノール等の芳香族モノアミンや、ヘキシルアミン、及びオクチルアミン等の炭素原子数3以上20以下の分岐構造を有してもよい脂肪族モノアミン、シクロヘキシルアミン等の脂環式構造を有するモノアミンや、トリメトキシアミノプロピルシラン、及びトリエトキシアミノプロピルシラン等のアミノシランが挙げられる。
末端封止剤として用いられる酸無水物、モノ酸ハロゲン化物、モノ活性エステル化合物の中では、酸無水物が好ましい。酸無水物としては、公知の酸無水物、及びその誘導体を使用できる。例えば、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、xo-3,6-エポキシ-1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物、スクシン酸無水物、無水マレイン酸、ナジック酸無水物、及びそれらの誘導体が挙げられる。
樹脂(A)における末端封止剤の導入率としては、感光性樹脂組成物を用いて形成される膜の機械特性や、感光性樹脂組成物の現像性が優れる観点から、全モノマーのモル数に対して、40モル%以下が好ましく、20モル%以下がより好ましく、10モル%以下がさらに好ましい。
【0152】
<モノマー化合物(B)>
樹脂(A)が、ラジカル重合性基を有する場合、感光性樹脂組成物は、ポリイミド樹脂(A)とともに、モノマー化合物(B)として、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマー化合物を含んでいてもよい。かかるモノマー化合物(B)は、単官能モノマー化合物であっても、多官能モノマー化合物であってもよく、多官能モノマー化合物が好ましい。
【0153】
単官能モノマー化合物としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、クロトン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、tert-ブチルアクリルアミドスルホン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能光重合性モノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0154】
多官能モノマー化合物としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル)エーテル、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリンエチレンオキサイド(EO)付加物のトリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロピレンオキサイド(PO)付加物のトリ(メタ)アクリレート、グリセリンEO/PO共付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンEO付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO/PO共付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンEO付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンPO付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンEO/PO共付加物のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールノナ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、ペンタペンタエリスリトールウンデカ(メタ)アクリレート、ペンタペンタエリスリトールドデカ(メタ)アクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、1,3-アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3,5-アダマンタントリオールジ(メタ)アクリレート、1,3,5-アダマンタントリオールトリ(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、9,9-ビス[4-(2-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)-3-メチルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)-3、5-ジメチルフェニル]フルオレン、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート(すなわち、トリレンジイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネートと2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応物、トリ((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドメチレンエーテル、多価アルコールとN-メチロール(メタ)アクリルアミドとの縮合物等の多官能モノマー化合物や、トリアクリルホルマール等が挙げられる。これらの多官能モノマー化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0155】
また、特公昭48-41708号公報、特公昭50-6034号公報、及び特開昭51-37193号公報に記載されるウレタン(メタ)アクリレート類;特開昭48-64183号公報、特公昭49-43191号公報、及び特公昭52-30490号公報に記載されるポリエステル(メタ)アクリレート類;エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシ(メタ)アクリレート類;特開2008-292970号公報の段落[0254]~[0257]に記載の化合物;多官能カルボン酸にグリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基とエチレン性不飽和基を有する化合物を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート;特開2010-160418号公報、特開2010-129825号公報、及び特許第4364216号等に記載される、フルオレン環を有し、エチレン性不飽和結合を有する基を2個以上有する化合物やカルド樹脂;特公昭46-43946号公報、特公平1-40337号公報、及び特公平1-40336号公報に記載の不飽和化合物;特開平2-25493号公報に記載のビニルホスホン酸系化合物;特開昭61-22048号公報に記載のペルフルオロアルキル基を含む化合物;日本接着協会誌,vol.20,No.7,300~308ページ(1984年)に記載される光重合性モノマー及びオリゴマーもの好ましく使用される。
【0156】
これらのエチレン性不飽和二重結合を有するモノマー化合物の中でも、硬化物の基板への密着性、硬化物の強度を高める傾向にある点から、3官能以上の多官能モノマー化合物が好ましく、4官能以上の多官能モノマー化合物がより好ましく、5官能以上の多官能モノマー化合物がさらに好ましい。
【0157】
樹脂(A)が、カチオン重合性基としてビニルオキシ基含有基を有する場合、感光性樹脂組成物は、樹脂(A)とともに、モノマー化合物(B)として、ビニルエーテル化合物を含んでいてもよい。かかるビニルエーテル化合物は、ビニルオキシ基を1つ有する単官能化合物であっても、ビニルオキシ基を2以上有する多官能化合物であってもよい。
【0158】
樹脂(A)がカチオン重合性基としてエポキシ基含有基を有する場合、感光性樹脂組成物はモノマー化合物(B)として、種々のエポキシ化合物を含んでいてもよい。
【0159】
感光性樹脂組成物におけるモノマー化合物(B)の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。感光性樹脂組成物におけるモノマー化合物(B)の含有量は、後述する溶媒(S)の質量を除いた感光性樹脂組成物の質量を100質量部としたときに、0.1質量部以上50質量部以下が好ましく、0.5質量部以上40質量部以下がより好ましく、1質量部以上25質量部以下が特に好ましい。
【0160】
<感光剤(C)>
感光性樹脂組成物は、樹脂(A)の種類に応じた種類の感光剤(C)を含む。樹脂(A)が、その分子鎖上にラジカル重合性基を有する場合、感光剤(C)として、光ラジカル重合開始剤(C1)が使用される。樹脂(A)が、その分子鎖上にカチオン重合性基を有する場合、感光剤(C)として、光カチオン重合開始剤(C2)が使用される。
光ラジカル重合開始剤(C1)、及び光カチオン重合開始剤(C2)としては、特に限定されず、従来公知の光重合開始剤を用いることができる。
【0161】
光ラジカル重合開始剤(C1)として具体的には、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、1-(4-ドデシルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ケトン、2-メチル-1-〔4-(メチルチオ)フェニル〕-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、2-(4-メチルベンジル)-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-2-(ベンゾイルオキシムイミノ)-1-プロパノン、1-フェニル-1,2-ブタジオン-2-(o-メトキシカルボニル)オキシム、1,3-ジフェニルプロパントリオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、エタノン,1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-ベンゾイル)オキシム、1-フェニル-3-エトキシプロパントリオン-2-(O-ベンゾイル)オキシム、O-アセチル-1-[6-(2-メチルベンゾイル)-9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル]エタノンオキシム(Irgacure OXE02、BASFジャパン社製)、(9-エチル-6-ニトロ-9H-カルバゾール-3-イル)[4-(2-メトキシ-1-メチルエトキシ)-2-メチルフェニル]メタノンO-アセチルオキシム、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(0-アセチルオキシム)、2-(ベンゾイルオキシイミノ)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1-オクタノン(Irgacure OXE01、BASFジャパン社製)、NCI-831(ADEKA社製)、NCI-930(ADEKA社製)、OXE-03(BASFジャパン社製)、OXE-04(BASFジャパン社製)、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、4-ベンゾイル-4’-メチルジメチルスルフィド、4-ジメチルアミノ安息香酸、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-イソアミル、4-ジエチル安息香酸エチル、ベンジル-β-メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)オキシム、o-ベンゾイル安息香酸メチル、ベンゾイルギ酸メチル、ベンゾイルギ酸エチル、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2-クロロチオキサンテン、2,4-ジエチルチオキサンテン、2-メチルチオキサンテン、2-イソプロピルチオキサンテン、アントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、2-アミノアントラキノン、β-クロルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン、2,3-ジフェニルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンズスベロン、メチレンアントロン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンヒドロペルオキシド、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(m-メトキシフェニル)-イミダゾリル二量体、ベンゾフェノン、2-クロロベンゾフェノン、p,p’-ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、4-ヒドロキシベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、フルオレノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン-n-ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、p-ジメチルアセトフェノン、p-ジメチルアミノプロピオフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p-tert-ブチルアセトフェノン、2-フェニルアセトフェノン、p-ジメチルアミノアセトフェノン、p-tert-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-tert-ブチルジクロロアセトフェノン、α,α-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、2-ヒドロキシ-3-(3,4-ジメチル-9-オキソ-9H-チオキサンテン-2-イロキシ)-N,N,N-トリメチル-1-プロパナミニウムクロリド、4-アジドベンザルアセトフェノン、2,6-ビス(p-アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6-ビス(p-アジドベンジリデン)-4-メチルシクロヘキサノン、ジベンゾスベロン、ペンチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、9-フェニルアクリジン、1,7-ビス-(9-アクリジニル)ヘプタン、1,5-ビス-(9-アクリジニル)ペンタン、1,3-ビス-(9-アクリジニル)プロパン、p-メトキシトリアジン、2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-メチル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(フラン-2-イル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-n-ブトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(3-ブロモ-4-メトキシ)フェニル-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(2-ブロモ-4-メトキシ)フェニル-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(3-ブロモ-4-メトキシ)スチリルフェニル-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(2-ブロモ-4-メトキシ)スチリルフェニル-s-トリアジン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、4-ベンゾイル-4’-メチル-ジフェニルサルファイド、アルキル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-N,N-ジメチル-N-[2-(1-オキソ-2-プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4-ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド、2-ヒドロキシ-3-(4-ベンゾイルフェノキシ)-N,N,N-トリメチル-1-プロペンアミニウムクロリド一水塩、ナフタレンスルフォニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、N-フェニルチオアクリドン、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、四臭素化炭素、トリブロモフェニルスルホン等が挙げられる。これらの光ラジカル重合開始剤(C1)は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
感度が良好である点からは、光ラジカル重合開始剤(C1)としては、オキシムエステル系光重合開始剤が好ましい。
【0162】
光ラジカル重合開始剤(C1)の中では、感光性樹脂組成物の感度の点で、オキシムエステル化合物が好ましい。
オキシムエステル化合物としては、下記式(c1)で表される部分構造を有する化合物が好ましい。
【0163】
【化38】
(式(c1)中、
n1は、0、又は1であり、
R
c2は、一価の有機基であり、
R
c3は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上20以下の脂肪族炭化水素基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、
*は結合手である。)
【0164】
光カチオン重合開始剤(C2)としては、典型的にはオニウム塩類が挙げられる。光カチオン重合開始剤(C2)としては、オキソニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、及びヨードニウム塩が挙げられ、スルホニウム塩、及びヨードニウム塩が好ましく、スルホニウム塩がより好ましい。
【0165】
感光性樹脂組成物における、光ラジカル重合開始剤(C1)、又は光カチオン重合開始剤(C2)の含有量は、感光性樹脂組成物が所望するフォトリソグラフィー特性を有する限り特に限定されない。感光性樹脂組成物における光ラジカル重合開始剤(C1)、又は光カチオン重合開始剤(C2)の含有量は、典型的には、樹脂(A)の質量と、モノマー化合物(B)の質量との合計100質量部に対して、0.01質量以上20質量部以下が好ましく、0.1質量部以上15質量部以下がより好ましく、1質量部以上10質量部以下がさらに好ましい。
【0166】
<多官能チオール化合物(D)>
感光性樹脂組成物は、多官能チオール化合物(D)を化合物を含む。感光性樹脂組成物が多官能チオール化合物(D)を含むことにより、感光性樹脂組成物を用いて、高速加速寿命試験(HAST:High Accelerated Stress Test)における良好な耐久性を示し、且つ誘電正接が低いパターン化された樹脂膜を形成できる。
多官能チオール化合物(D)は、1分子中に2以上のメルカプト基を有する化合物であって、所望する効果を損なわない化合物であれば特に限定されない。
【0167】
多官能チオール化合物(D)としては、下記式(d1)で表される化合物が好ましい。
【化39】
(式(d1)中、R
d1は置換基を有していてもよい2価の鎖状脂肪族炭化水素基であり、R
d2はヘテロ原子を含んでもよいn価の脂肪族基であり、nは2以上4以下の整数である。)
【0168】
式(d1)中、Rd1としての2価の鎖状脂肪族炭化水素基は、炭素-炭素不飽和二重結合を含んでいてもよく、アルキレン基であるのが好ましい。Rd1としての2価の鎖状脂肪族炭化水素基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上8以下がより好ましい。
【0169】
Rd1としての2価の鎖状脂肪族炭化水素基の好適な具体例としては、メチレン基、エチレン基(エタン-1,2-ジイル基)、プロパン-1,3-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-1,1-ジイル基、プロパン-2,2-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、ブタン-1,2-ジイル基、ブタン-1,1-ジイル基、ブタン-2,3-ジイル基、ブタン-2,2-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ペンタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,3-ジイル基、ペンタン-1,2-ジイル基、ペンタン-1,1-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘキサン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,4-ジイル基、ヘキサン-1,3-ジイル基、ヘキサン-1,2-ジイル基、ヘキサン-1,1-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、ヘプタン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,5-ジイル基、ヘプタン-1,4-ジイル基、ヘプタン-1,3-ジイル基、ヘプタン-1,2-ジイル基、ヘプタン-1,1-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、オクタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,6-ジイル基、オクタン-1,5-ジイル基、オクタン-1,4-ジイル基、オクタン-1,3-ジイル基、オクタン-1,2-ジイル基、及びオクタン-1,1-ジイル基等が挙げられる。
【0170】
式(d1)中、Rd2としてのヘテロ原子を含んでもよいn価の脂肪族基は、直鎖状でも分岐鎖状でも環状でもよい。えとしての脂肪族基が含んでいてもよいヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子が挙げられる。
Rd2としての脂肪族基の炭素原子数は、1以上10以下が好ましく、3以上8以下がより好ましい。Rd2としての脂肪族基の好ましい例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基や、ヘプチル基から、水素原子を1つ、2つ又は3つ除いた基が挙げられる。
また、2,4,6-トリオキソ-1,3,5-トリアジナン-1,3,5-トリイル基も、環上の脂肪族基として好ましい。
【0171】
式(d1)で表される多官能チオール化合物(D)の具体例としては、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(3-メルカプトブチレート)、1,3-プロパンジオールビス(3-メルカプトブチレート)、1,4-ブタンジオール(3-メルカプトブチレート)、エチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、1,3-プロパンジオールビス(3-メルカプトプロピオネート)、1,4-ブタンジオール(3-メルカプトプロピオネート)、1,3,5-トリス(2-(3-メルカプトブタノイルオキシ)エチル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン、及び1,3,5-トリス(2-(3-メルカプトプロパノイルオキシ)エチル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオンが挙げられる。
【0172】
多官能チオール化合物(D)を使用することにより所望する効果を得やすい点から、感光性樹脂組成物における、多官能チオール化合物(D)の使用量は、ポリアミド樹脂に対して、0.01質量%以上30質量%以下が好ましく、0.05質量%以上20質量%以下がより好ましく、1質量%以上10質量%以下がさらに好ましい。
【0173】
<有機溶媒(S)>
感光性樹脂組成物は、塗布性の調整の目的等で有機溶媒(S)を含んでいてもよい。有機溶媒(S)の種類は、樹脂(A)やその他の成分が良好に溶解する限り特に限定されない。
【0174】
樹脂(A)の溶解性が良好である点から、有機溶媒(S)の具体例としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、ヘキサメチルホスホルアミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N,N-ジメチルイソ酪酸アミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、N,N-ジメチルプロピオンアミド、N,N-ジメチルイソブチルアミド、N,N-ジメチルプロピレン尿素等の含窒素極性溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、及びイソホロン等のケトン類;γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン、ε-カプロラクトン、α-メチル-γ-ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸-n-プロピル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソペンチル、ギ酸-n-ペンチル、プロピオン酸-n-ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸-n-ブチル、メトキシ策酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸-n-ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-エトキシプロピオン酸メチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸-n-プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2-オキソブタン酸メチル、2-オキソブタン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、等のエステル類;ジアセトンアルコール、及び3-メチル-3-メトキシブタノール等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、等のグリコールエーテル類;アニソール等の芳香族エーテル類;ジオキサン、及びテトラヒドロフラン等の環状エーテル類;エチレンカーボネート、及びプロピレンカーボネート等の環状エステル類;アニソール、トルエン、及びキシレン等の芳香族溶媒;リモネン等の脂肪族炭化水素類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類が挙げられる。
【0175】
有機溶媒(S)の使用量は、均一な液状の感光性樹脂組成物を調製できれば特に限定されない。感光性樹脂組成物は、懸濁液でも溶液であってもよく、溶液であるのが好ましい。典型的には、有機溶媒(S)は、感光性樹脂組成物の固形分濃度が、好ましくは15質量%以上50質量%以下、より好ましくは20質量%以上45質量%以下であるように用いられる。
【0176】
<その他の成分>
感光性樹脂組成物は、必要に応じて、以上説明した成分以外の種々の添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、着色剤、分散剤、増感剤、密着促進剤、重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤、消泡剤、界面活性剤、イミド化促進剤、密着性向上剤としての含窒素複素環化合物、及びシランカップリング剤等が挙げられる。また、感光性樹脂組成物は、必要に応じて、種々の充填材、又は強化材を含んでいてもよい。
【0177】
増感剤としては、公知の化合物を使用できる。増感剤としては、例えば、ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ジエチルチオキサントン、N-フェニルジエタノールアミン、N-フェニルグリシン、7-ジエチルアミノ-3-ベンゾイルクマリン、7-ジエチルアミノ―4-メチルクマリン、N-フェニルモルホリン、及びこれらの誘導体が挙げられる。
【0178】
重合禁止剤としては、公知の化合物を使用できる。重合禁止剤としては、例えば、フェノール性水酸基を有する化合物や、ニトロソ化合物、N-オキシド化合物、キノン化合物、N-オキシル化合物、及びフェノチアジン化合物等が挙げられる。より具体的には、重合禁止剤としては、Irganox1010、Irganox1035、Irganox1098、Irganox1135、Irganox245、Irganox259、Irganox3114、(いずれもBASFジャパン社製)、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、及び4-メトキシフェノールが好ましく、Irganox1010、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、及び4-メトキシフェノールがより好ましい。
【0179】
感光性樹脂組成物の優れた現像性と、良好な酸化防止効果とを両立する観点で、重合禁止剤の使用量は、樹脂(A)の質量に対して、0.005質量%以上1質量%以下が好ましく、0.01質量%以上0.5質量%以下がより好ましく、0.03質量%以上0.3質量%以下がさらに好ましい。
【0180】
含窒素複素環化合物は、金属表面に配位して安定化することにより、感光性樹脂組成物を用いて形成される膜の金属表面に対する密着性を向上させる。含窒素複素環化合物としては、公知の化合物を使用できる。含窒素複素間化合物としては、例えば、イミダゾール、ピラゾール、インダゾール、カルバソール、トリアゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、テトラゾール、ピリジン、ピペリジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、シアヌル酸、イソシアヌル酸、及びそれらの誘導体が挙げられる。金属との配位性の観点から好ましい含窒素複素間化合物の具体例としては、1H-ベンゾトリアゾール、4-メチル-1H-メチルベンゾトリアゾール、5-メチル-1H-メチルベンゾトリアゾール、4-カルボキシ-1H-メチルベンゾトリアゾール、及び5-カルボキシ-1H-メチルベンゾトリアゾール等のトリアゾール類や、1H-テトラゾール、5-メチル-1H-テトラゾール、及び5-フェニル-1H-テトラゾール等のトリアゾール類が挙げられる。
【0181】
感光性樹脂組成物の優れた現像性と、感光性樹脂組成物を用いて形成される膜の基板等への密着性の向上とを両立する観点から、含窒素複素環化合物の使用量は、樹脂(A)の質量に対して、0.01質量%以上5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上3質量%以下がより好ましい。
【0182】
シランカップリング剤を感光性樹脂組成物に配合することにより、感光性樹脂組成物を用いて形成される膜の基板等に対する密着性を向上させることができる。シランカップリング剤としては、公知の化合物を使用できる。シランカップリング剤としては、例えば、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(エポキシシクロヘキシル)トリエトキシシラン、トリス(3-トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、トリス(3-トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3-アミノプロピルトリメトキシシランと酸無水物との反応物、3-アミノプロピルトリエトキシシランと酸無水物との反応物等が挙げられる。
3-アミノプロピルトリメトキシシラン、又は3-アミノプロピルトリエトキシシランと反応させる酸無水物としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、ナジック酸無水物、3-ヒドロキシフタル酸無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、及び4,4’-オキシジフタル酸二無水物等が挙げられる。
【0183】
シランカップリング剤の使用量は、樹脂(A)の質量に対して、0.01質量%以上10質量%以下が好ましい。
【0184】
界面活性剤を感光性樹脂組成物に配合することにより、感光性樹脂組成物の塗布性が向上し、また感光性樹脂組成物の基板との濡れ性が向上する。界面活性剤としては、公知の化合物を使用できる。界面活性剤としては、例えば、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、及びシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。
【0185】
界面活性剤の使用量は、樹脂(A)の質量に対して、0.001質量%以上1質量%以下が好ましい。
【0186】
樹脂(A)が、加熱によりポリイミド樹脂に変換され得る樹脂である場合、感光性樹脂組成物が、環化促進剤を含有していてもよい。環化促進剤は、ポリアミック酸(A-II)や、テトラカルボン酸二無水物とモノヒドロキシ化合物との反応によって合成し得るジカルボン酸化合物に由来する構成単位を含むポリアミド樹脂(A-III)の環化によるポリイミド樹脂の生成を促進する。
感光性樹脂組成物が環化促進剤を含む場合、感光性樹脂組成物を用いて、環化によってポリイミド樹脂、又はベンゾオキサゾール樹脂を生成させつつ形成された膜の、機械特性や耐候信頼性が向上する。環化促進剤としては、公知の熱塩基発生剤や熱酸発生剤が用いられる。
【0187】
各種添加剤の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。使用量が上記されていない添加剤についての使用量は、感光性樹脂組成物の固形分の質量に対して、例えば、0.001質量%以上60質量%以下の範囲内で適宜調整すればよく、好ましくは0.01質量%以上5質量%以下である。
【0188】
<感光性樹脂組成物の調製方法>
以上説明した、必須の成分と、必要に応じて任意の成分とを、それぞれ所望する量均一に混合することにより感光性樹脂組成物を調製できる。混合方法は特に限定されない。感光性樹脂組成物中の異物を除去する目的で、感光性樹脂組成物をフィルターによって濾過することが好ましい。
【0189】
≪感光性ドライフィルム≫
感光性ドライフィルムは、基材フィルムと、該基材フィルムの表面に形成された感光性層とを有し、感光性層が前述の感光性樹脂組成物からなるものである。
【0190】
基材フィルムとしては、光透過性を有するものが好ましい。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム等が挙げられるが、光透過性及び破断強度のバランスに優れる点でポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが好ましい。
【0191】
基材フィルム上に、前述の感光性樹脂組成物を塗布して感光性層を形成することにより、感光性ドライフィルムが製造される。
基材フィルム上に感光性層を形成するに際しては、アプリケーター、バーコーター、ワイヤーバーコーター、ロールコーター、カーテンフローコーター等を用いて、基材フィルム上に乾燥後の膜厚が好ましくは0.5μm以上300μm以下、より好ましくは1μm以上300μm以下、特に好ましくは3μm以上100μm以下となるように感光性樹脂組成物を塗布し、乾燥させる。
【0192】
感光性ドライフィルムは、感光性層の上にさらに保護フィルムを有していてもよい。この保護フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム等が挙げられる。
【0193】
≪パターン化された樹脂膜の製造方法≫
基板上に、前述の感光性樹脂組成物からなる感光性層を積層する積層工程と、
感光性層に、位置選択的に活性光線又は放射線を照射して露光する露光工程と、
露光後の感光性層を現像し、パターン化された樹脂膜を得る、現像工程と、を含む方法により、パターン化された樹脂膜を製造できる。
【0194】
感光性層を積層する基板としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたもの等を例示することができる。基板としては、シリコン基板やガラス基板等を用いることもできる。
【0195】
感光性層は、例えば以下のようにして、基板上に積層される。すなわち、液状の感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、加熱により溶媒を除去することによって所望の膜厚の感光性層を形成する。感光性層の厚さは、鋳型となるレジストパターンを所望の膜厚で形成できる限り特に限定されない。感光性層の膜厚は特に限定されないが、0.5μm以上が好ましく、0.5μm以上300μm以下がより好ましく、1μm以上150μm以下が特に好ましく、3μm以上100μm以下が最も好ましい。
また、前述の感光性ドライフィルムを、基板上に適用して、基板上に感光性層を積層してもよい。
【0196】
基板上への感光性樹脂組成物の塗布方法としては、スピンコート法、スリットコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、アプリケーター法等の方法を採用することができる。感光性層に対してはプレベークを行うのが好ましい。プレベーク条件は、感光性樹脂組成物中の各成分の種類、配合割合、塗布膜厚等によって異なるが、通常は70℃以上200℃以下で、好ましくは80℃以上150℃以下で、2分以上120分以下程度である。
上記のようにして形成された感光性層に対して、所定のパターンのマスクを介して、活性光線又は放射線、例えば波長が300nm以上500nm以下の紫外線又は可視光線が選択的に照射(露光)される。
【0197】
放射線の線源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、アルゴンガスレーザー等を用いることができる。また、放射線には、マイクロ波、赤外線、可視光線、紫外線、X線、γ線、電子線、陽子線、中性子線、イオン線等が含まれる。放射線照射量は、感光性樹脂組成物の組成や感光性層の膜厚等によっても異なるが、例えば超高圧水銀灯使用の場合、100mJ/cm2以上10000mJ/cm2以下である。
【0198】
次いで、露光された感光性層を、従来知られる方法に従って現像し、不要な部分を溶解、除去することにより、所定の形状にパターン化された樹脂膜が形成される。この際、感光性樹脂組成物に含まれる成分に応じた現像液が使用される。感光性樹脂組成物が、ポリアミック酸(A-II)のようなアルカリ可溶性基を有する樹脂を樹脂(A)として含む場合、現像液としては、アルカリ性水溶液が使用される。感光性樹脂組成物が、ラジカル重合性基、又はカチオン重合世基を有する樹脂を樹脂(A)として含み、アルカリ性水溶液に対して可溶な成分、又は露光によりアルカリ性水溶液に可溶化する成分を含まないか少量しか含まない場合、現像液としては、前述の有機溶媒(S)を用いることができる。
【0199】
アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n-プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(水酸化テトラメチルアンモニウム)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセン、1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]-5-ノナン等のアルカリ類の水溶液を使用することができる。また、上記アルカリ類の水溶液にメタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加した水溶液を現像液として使用することもできる。
【0200】
現像時間は、感光性樹脂組成物の組成や感光性層の膜厚等によっても異なるが、通常1分以上30分以下の間である。現像方法は、液盛り法、ディッピング法、パドル法、スプレー現像法等のいずれでもよい。
【0201】
現像後は、必要に応じて洗浄を30秒以上90秒以下の間行い、エアーガンや、オーブン等を用いてパターン化された樹脂膜を乾燥させる。このようにして、基板の表面上に、所望する形状にパターン化された樹脂膜が形成される。洗浄溶剤については、特に限定されない。一例として、アルカリ現像した場合の洗浄溶剤としては、水やアルコール類等が使用可能である。有機溶剤にて現像した場合は、ソルベントショックが起きない範囲で、(S)有機溶剤が使用可能である。
【0202】
樹脂膜が、ポリアミック酸(A-II)、又はテトラカルボン酸二無水物とモノヒドロキシ化合物との反応によって合成し得るジカルボン酸化合物に由来する構成単位を含むポリアミド樹脂(A-III)を含む場合、現像後、必要に応じて、現像された塗布膜に対して、ベークを施すことにより、テトラカルボン酸二無水物とモノヒドロキシ化合物との反応によって合成し得るジカルボン酸化合物に由来する構成単位を含むポリアミド樹脂(A-III)やポリアミック酸(A-II)をポリイミド樹脂(A)に変換してもよい。
ベーク温度は、樹脂(A)について前述した通りである。また、ベークは、硬化膜の酸化を防ぎ、機械特性が良好な硬化膜を得る観点で、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
【0203】
上記のようにして形成されるパターン化された樹脂膜は、例えば、半導体デバイスの絶縁膜、再配線層用層間絶縁膜や、タッチパネルディスプレーや有機電界発光表示パネル等における絶縁膜や保護膜として好適に用いられる。前述した感光性樹脂組成物は解像性が良好であることから、上記のようにして形成されるパターン化された樹脂膜は、特に、三次元実装デバイスにおける再配線層用層間絶縁膜等として、好ましく用いることができる。
また、上記のようにして形成されるパターン化された樹脂膜は、エレクトロニクス用のフォトレジスト、ガルバニック(電解)レジスト、エッチングレジスト、ソルダートップレジスト等としても好適に使用され得る。
さらに、上記のようにして形成されるパターン化された樹脂膜は、オフセット版面、又はスクリーン版面等の版面の製造、成形部品をエッチングする際のエッチングマスクの形成、エレクトロニクス部品、特に、マイクロエレクトロニクス部品における保護ラッカー、及び誘電層の製造等にも用いることもできる。
【実施例0204】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されない。
【0205】
実施例1~実施例12、及び比較例1~比較例10において、ジアミン化合物としてDA1~DA4を用いた。DA1、DA2、及びDA4は下記の化合物である。DA3は、前述の式(32)で表される化合物である。
【化40】
【0206】
〔実施例1〕
4,4’-オキシジフタル酸二無水物31.02g(0.10モル)をN-メチル-2-ピロリドン(NMP)69gに溶解させた。得られた溶液に、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)26.03g(0.20モル)と、ピリジン15.82g(0.20モル)と、ジメチルアミノピリジン24.43g(0.20モル)を加えた後、室温で16時間溶液を撹拌して、4,4’-オキシジフタル酸のジ-2-メタクリロイルオキシエチルエステルを得た。
【0207】
得られた4,4’-オキシジフタル酸のジ-2-メタクリロイルオキシエチルエステル0.1モルを含むジカルボン酸溶液を0℃に冷却した後、ジシクロヘキシルカルボジイミド42.30g(0.21モル)とNMP42gとからなる溶液と、36.84g(0.10モル)の上記のDA1とNMP43gとからなるジアミン溶液とを、ジカルボン酸溶液中に滴下した。滴下終了後、得られた反応液を室温で4時間撹拌して、縮合反応を行った。反応終了後、反応液にメタノール19.7gを注入した後、沈殿物をろ過により除去し、反応液を得た。得られた反応液をイソプロピルアルコール水溶液に滴下し、褐色のポリアミド樹脂粉末を析出させた。析出した粉末をろ過により回収した後、イソプロピルアルコールにより3回洗浄した。洗浄後の粉末を減圧乾燥させて、4,4’-オキシジフタル酸のジ-2-メタクリロイルオキシエチルエステルと、上記のDA1との重縮合物であるポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミド樹脂は、ラジカル重合性基として2-(メタクリロイルオキシ)エトキシカルボニル基を有する。
【0208】
得られたポリアミド樹脂を、濃度30質量%となるようにγ-ブチロラクトンに溶解させた後、得られた溶液にポリアミド樹脂の質量に対して5質量%のオキシムエステル系開始剤(Irgacure OXE02(BASFジャパン社))と、ポリアミド樹脂の質量に対して1質量%の多官能チオール化合物(D)と、ポリアミド樹脂の質量に対して0.05質量%の重合禁止剤(Irganox 1010(BASFジャパン社))と、ポリアミド樹脂の質量に対して0.02質量%の界面活性剤(ポリフローNO.77(共栄社化学社))と、ポリアミド樹脂の質量に対して3質量%のN-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]フタル酸アミドを加えて、感光性樹脂組成物を得た。
多官能チオール化合物(D)としては、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート))(カレンズMT PE1(昭和電工株式会社製))を用いた。
【0209】
〔実施例2〕
ポリアミド樹脂の質量に対して5質量%の多官能チオール化合物(D)を用いることの他は、実施例1と同様に感光性樹脂組成物を得た。
【0210】
〔実施例3〕
ポリアミド樹脂の質量に対して10質量%の多官能チオール化合物(D)を用いることの他は、実施例1と同様に感光性樹脂組成物を得た。
【0211】
〔実施例4〕
テトラカルボン酸二無水物を、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物0.10モルに変えること、及びポリアミド樹脂の質量に対して3質量%の多官能チオール化合物(D)を用いることの他は、実施例1と同様に感光性樹脂組成物を得た。
【0212】
〔実施例5〕
ジアミン化合物を、0.10モルの上記のDA2に変えること、及びポリアミド樹脂の質量に対して3質量%の多官能チオール化合物(D)を用いることの他は、実施例1と同様に感光性樹脂組成物を得た。
【0213】
〔実施例6〕
4,4’-オキシジフタル酸二無水物0.10モルを、4,4’-オキシジフタル酸二無水物0.08モル、及び1,10-ビス(3,4-ジカルボキシフェニルカルボニルオキシ)デカン二無水物(10BTA、黒金化成社製)0.02モルの混合物に変えること、ジアミン化合物を、0.10モルの上記のDA2に変えること、及びポリアミド樹脂の質量に対して3質量%の多官能チオール化合物(D)を用いることの他は、実施例1と同様に感光性樹脂組成物を得た。
【0214】
〔実施例7〕
テトラカルボン酸二無水物を、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物0.10モルに変えること、ジアミン化合物を、0.08モルの上記のDA2、及び0.02モルのDA3(前述の式(32)で表される化合物の混合物に変えること、及びポリアミド樹脂の質量に対して3質量%の多官能チオール化合物(D)を用いることの他は、実施例1と同様に感光性樹脂組成物を得た。
【0215】
〔実施例8〕
テトラカルボン酸二無水物を、2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェニルオキシ)フェニル]プロパン二無水物0.10モルに変えること、及びポリアミド樹脂の質量に対して3質量%の多官能チオール化合物(D)を用いることの他は、実施例1と同様に感光性樹脂組成物を得た。
【0216】
〔実施例9〕
多官能チオール化合物(D)を、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート))(カレンズMT NR1(昭和電工株式会社製))に変えること、及び多官能チオール化合物(D)の使用量を、ポリアミド樹脂の質量に対して5質量%に変えることの他は、実施例1と同様に感光性樹脂組成物を得た。
【0217】
〔実施例10〕
ジアミン化合物を、0.08モルの上記のDA2、及び0.02モルのDA3(前述の式(32)で表される化合物の混合物に変えること、多官能チオール化合物(D)を、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート))(カレンズMT NR1(昭和電工株式会社製))に変えること、及び多官能チオール化合物(D)の使用量を、ポリアミド樹脂の質量に対して5質量%に変えることの他は、実施例1と同様に感光性樹脂組成物を得た。
【0218】
〔実施例11〕
ジアミン化合物を、0.08モルの上記のDA2、及び0.02モルの上記のDA4の混合物に変えること、及び多官能チオール化合物(D)の使用量を、ポリアミド樹脂の質量に対して5質量%に変えることの他は、実施例1と同様に感光性樹脂組成物を得た。
【0219】
〔実施例12〕
テトラカルボン酸二無水物を、1,10-ビス(3,4-ジカルボキシフェニルカルボニルオキシ)デカン二無水物(10BTA、黒金化成社製)0.10モルに変えることの他は、実施例1と同様にして感光性樹脂組成物とを得た。
【0220】
〔比較例1〕
多官能チオール化合物(D)を用いないことの他は、実施例1と同様に感光性樹脂組成物を得た。
【0221】
〔比較例2〕
多官能チオール化合物(D)を用いないことの他は、実施例4と同様に感光性樹脂組成物を得た。
【0222】
〔比較例3〕
多官能チオール化合物(D)を用いないことの他は、実施例5と同様に感光性樹脂組成物を得た。
【0223】
〔比較例4〕
多官能チオール化合物(D)を用いないことの他は、実施例6と同様に感光性樹脂組成物を得た。
【0224】
〔比較例5〕
多官能チオール化合物(D)を用いないことの他は、実施例7と同様に感光性樹脂組成物を得た。
【0225】
〔比較例6〕
多官能チオール化合物(D)を用いないことの他は、実施例8と同様に感光性樹脂組成物を得た。
【0226】
〔比較例7〕
多官能チオール化合物(D)を用いないことの他は、実施例9と同様に感光性樹脂組成物を得た。
【0227】
〔比較例8〕
多官能チオール化合物(D)を用いないことの他は、実施例10と同様に感光性樹脂組成物を得た。
【0228】
〔比較例9〕
多官能チオール化合物(D)を用いないことの他は、実施例11と同様に感光性樹脂組成物を得た。
【0229】
〔比較例10〕
多官能チオール化合物(D)を用いないことの他は、実施例12と同様に感光性樹脂組成物を得た。
【0230】
得られた実施例1~実施例12、及び比較例1~比較例10の感光性樹脂組成物を用いて、以下の方法に従って、樹脂膜の誘電正接の評価と、樹脂膜の高速加速寿命試験(HAST:High Accelerated Stress Test)とを行った。
【0231】
<誘電正接評価>
感光性樹脂組成物をシリコンウエハー上にスピンコーターにより塗布した後、感光性樹脂組成物の薄膜を90℃で240秒間ベークした。ベークされた塗布膜を、高圧水銀灯を用いて積算光量2000mJ/cm2で露光した。露光後の膜をイナートオーブンにて、窒素雰囲気下で、温度を5℃/分の昇温速度で230℃まで昇温し、同温度にて塗布膜を1時間加熱した。温度が100℃まで下がったところで、ウエハを取り出し、2wt%フッ化水素酸水溶液に5分~30分間浸漬し、ウエハから樹脂膜を剥離することで、各実施例、及び比較例で得た樹脂が閉環によりイミド化されたポリイミド樹脂からなる樹脂膜を得た。剥離後の樹脂膜の膜厚は、10μmであった。
【0232】
得られたフィルムの誘電正接(tanδ)を、電子情報通信学会の信学技報 vol. 118, no. 506, MW2018-158, pp. 13-18, 2019年3月 「感光性絶縁フィルムの円筒空洞共振器法によるミリ波複素誘電率評価に関する検討」(高萩耕平(宇都宮大学)、海老澤和明(東京応化工業株式会社)、古神義則(宇都宮大学)、清水隆志(宇都宮大学))に記載された方法で測定した。ネットワークアナライザーHP8510C(キーサイト社製)を使用し、空洞共振器法で、室温25℃、湿度50%、周波数36GHz、サンプル厚さ10μmの条件で測定した。誘電正接の測定値に基づき、以下の基準に従い誘電正接の評価を行った。
〇:誘電正接値が0.01以下。
×:誘電正接値が0.01超。
【0233】
<高速加速寿命試験(HAST)>
感光性樹脂組成物を銅スパッタウエハー上にスピンコーターにより塗布した後、感光性樹脂組成物の薄膜を90℃で240秒間ベークした。ベークされた塗布膜を、高圧水銀灯を用いて積算光量2000mJ/cm2で露光した。露光後の膜をイナートオーブンにて、窒素雰囲気下で、温度を5℃/分の昇温速度で230℃まで昇温し、同温度にて塗布膜を1時間加熱した。温度が100℃まで下がったところで、ウエハを取り出した。前記ウエハを恒温槽(ESPEC STH-120)を用いて120℃、相対湿度85%の環境に100時間さらした。前記ウエハを光学顕微鏡で観察し、浮きや剥がれが無いものを〇、あるものを×とした。
【0234】
上記の試験の結果、実施例1~12について、いずれも、誘電正接評価、及び高速加速寿命試験(HAST)について○判定であった。
他方、比較例1~10について、いずれも、誘電正接評価について○判定である一方で、高速加速寿命試験について×判定であった。
実施例1~12、及び比較例1~比較例10の比較によれば、厚さ10μmの樹脂膜を試料として用い、空洞共振器法で、室温25℃、湿度50%、周波数36GHzの条件で測定された誘電正接の値が、0.01以下である樹脂膜を形成でき、且つポリアミド樹脂及び感光剤を含む感光性樹脂組成物であれば、HASTの耐性に優れる樹脂膜を形成できることが分かる。
【0235】
また、実施例1~12の感光性樹脂沿組成物を用いて、以下の方法に従ってパターン化された樹脂膜を形成したところ、いずれの実施例の感光性樹脂組成物を用いた場合も、所望するサイズのビアホールを有する樹脂膜を形成できた。
つまり、実施例1~12の感光性樹脂組成物は、いずれも良好なフォトリソグラフィー特性を有する。
<パターン化された樹脂膜の形成>
得られた各実施例の感光性樹脂組成物を、スピンコーターにより銅スパッタウェハー上に塗布した。塗布後に形成された感光性樹脂組成物からなる膜を、80℃で300秒間ベークして膜厚12μmの塗布膜を得た。塗布膜に対して、開口径50μmのビアホールを形成できるネガ型マスクを介してghi線露光機(ウルトラテック製)を用いて、2000mJ/cm2、Focus0μmで露光を行った。露光された塗布膜を、シクロペンタノンに120秒間浸漬して現像を行い50μmのビアホールを有したパターン化された樹脂膜を形成した。