(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023054803
(43)【公開日】2023-04-14
(54)【発明の名称】豆類及び/又は雑穀類を含有する膨化食品組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 5/00 20160101AFI20230407BHJP
A23L 3/52 20060101ALI20230407BHJP
A23L 11/00 20210101ALI20230407BHJP
A23L 7/10 20160101ALI20230407BHJP
A23L 19/00 20160101ALI20230407BHJP
A23L 7/161 20160101ALI20230407BHJP
A23L 3/40 20060101ALI20230407BHJP
【FI】
A23L5/00 E
A23L3/52
A23L11/00 Z
A23L7/10 Z
A23L19/00 A
A23L7/161
A23L3/40 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004546
(22)【出願日】2023-01-16
(62)【分割の表示】P 2022559779の分割
【原出願日】2022-01-21
(31)【優先権主張番号】P 2021009117
(32)【優先日】2021-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】514057743
【氏名又は名称】株式会社Mizkan Holdings
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 稔
(57)【要約】 (修正有)
【課題】エアリーな食感と、歯に付着しにくく、成形性の自由度が改善された豆類含有膨化食品組成物を提供する。
【解決手段】下記1)~6)を全て充足する、豆類及び/又は雑穀類含有の膨化食品組成物。1)食物繊維を乾燥質量換算で3質量%以上含有し、2)でんぷんを乾燥質量換算で5質量%以上含有し、3)タンパク質を乾燥質量換算で4質量%以上含有し、4)豆類、雑穀類、イモ類、種実類、野菜類及び果実類から選ばれる1種以上の食用植物に含有された状態の可溶性炭水化物を乾燥質量換算で2質量%以上含有し、5)豆類及び/又は雑穀類の可食部及び食用植物の食物繊維局在部位を、膨化食品組成物全体に対して、乾燥質量換算で10質量%以上含有し、6)膨化食品組成物の2質量%水分散液を、レーザ回折式粒度分布測定装置を用い、超音波処理による分散液中の膨化食品組成物粒子の個数基準平均径が30μm以下、最大粒子径が300μm以上である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(1)から(7)を全て充足する、豆類及び/又は雑穀類を含有する膨化食品組成物。
(1)食物繊維を乾燥質量換算で3質量%以上含有する。
(2)でんぷんを乾燥質量換算で5質量%以上含有する。
(3)タンパク質を乾燥質量換算で4質量%以上含有する。
(4)豆類、雑穀類、イモ類、種実類、野菜類及び果実類から選ばれる1種以上の食用植物に含有された状態の可溶性炭水化物を乾燥質量換算で2質量%以上含有する。
(5)豆類及び/又は雑穀類の可食部及び食用植物の食物繊維局在部位を、膨化食品組成物全体に対して、乾燥質量換算で10質量%以上含有する。
(6)膨化食品組成物の2質量%水分散液を、レーザ回折式粒度分布測定装置を用いて、蒸留水を測定溶媒として、超音波処理を行った場合における、分散液中の膨化食品組成物粒子の個数基準平均径が30μm以下である。
(7)膨化食品組成物の2質量%水分散液を、レーザ回折式粒度分布測定装置を用いて、蒸留水を測定溶媒として、超音波処理を行わない場合における、分散液中の膨化食品組成物粒子の最大粒子径が300μm以上である。
【請求項2】
膨化食品組成物全体に対する少糖類の合計含有量の割合が乾燥質量換算で1.0質量%以上である、請求項1に記載の膨化食品組成物。
【請求項3】
可溶性炭水化物に対するグルコースとフルクトースの合計含有量の割合が乾燥質量換算で30質量%以下である、請求項1又は2に記載の膨化食品組成物。
【請求項4】
超音波処理を行った場合におけるd90低下率が10%以上である、請求項1又は2に記載の膨化食品組成物。
【請求項5】
超音波処理を行った場合における個数基準平均径低下率が60%以下である、請求項1又は2に記載の膨化食品組成物。
【請求項6】
密度が1.00g/cm3未満である、請求項1又は2に記載の膨化食品組成物。
【請求項7】
穀類、イモ類、種実類、野菜類及び果実類の含有量が乾燥質量換算で5質量%以上である、請求項1又は2に記載の膨化食品組成物。
【請求項8】
油ちょうによる調製品でない、請求項1又は2に記載の膨化食品組成物。
【請求項9】
無発酵膨化食品組成物又は発酵膨化食品組成物である、請求項1又は2に記載の膨化食品組成物。
【請求項10】
豆類及び/又は雑穀類から選ばれる1種以上の可食部と食用植物の食物繊維局在部位が同一種類の植物由来のものを含有する、請求項1又は2に記載の膨化食品組成物。
【請求項11】
豆類が、エンドウ属、インゲンマメ属、キマメ属、ササゲ属、ソラマメ属、ヒヨコマメ属、及びヒラマメ属から選ばれる1種以上である、請求項1又は2に記載の膨化食品組成物。
【請求項12】
雑穀類が、あわ、ひえ、きび、もろこし、ライ麦、えん麦、はと麦、とうもろこし、そば、アマランサス、及びキノアから選ばれる1種以上である、請求項1又は2に記載の膨化食品組成物。
【請求項13】
食用植物の食物繊維局在部位が、豆類の種皮部、オオバコの種皮部、及び雑穀類のふすま部から選ばれる1種以上である、請求項1又は2に記載の膨化食品組成物。
【請求項14】
食品添加物を実質的に含有しない、請求項1~13のいずれかに記載の膨化食品組成物。
【請求項15】
膨化食品組成物全体のでんぷん含量に占める、精製されたでんぷんの割合が乾燥質量換算で50質量%以下である、請求項1又は2に記載の膨化食品組成物。
【請求項16】
膨化食品組成物全体のでんぷん含量に占める、豆類及び/又は雑穀類に由来するでんぷんの割合が乾燥質量換算で30質量%以上である、請求項1又は2に記載の膨化食品組成物。
【請求項17】
膨化食品組成物全体のでんぷん含量に占める、小麦に由来するでんぷんの割合が乾燥質量換算で50質量%以下である、請求項1又は2に記載の膨化食品組成物。
【請求項18】
請求項1~17のいずれかに記載の膨化食品組成物を含む食品。
【請求項19】
請求項1~17のいずれかに記載の膨化食品組成物の製造方法であって、下記(i)から(ii)の段階を含む、膨化食品組成物の製造方法。
(i)下記(1)から(5)を全て充足する、生地組成物を調製する段階。
(1)微細化豆類及び/又は雑穀類の可食部及び食用植物の食物繊維局在部位が乾燥質量換算で10質量%以上である
(2)でんぷんを乾燥質量換算で5質量%以上含有する
(3)食物繊維の含有量が乾燥質量換算で3質量%以上である
(4)タンパク質の含有量が乾燥質量換算で4質量%以上である
(5)豆類、雑穀類、イモ類、種実類、野菜類及び果実類から選ばれる1種以上の食用植物に含有された状態の可溶性炭水化物が乾燥質量換算で2質量%以上である。
(ii)前記(i)の生地組成物内部の気泡を膨張させる段階。
【請求項20】
段階(ii)が(I)から(II)の段階を含む、請求項19記載の膨化食品組成物の製造方法。
(I)前記(i)の組成物を、加圧条件下、温度100℃以上で混練する段階。
(II)前記(I)の組成物を、温度100℃以上で常圧に戻す段階。
【請求項21】
段階(ii)が(III)から(IV)の段階を含む、請求項19又は20記載の膨化食品組成物の製造方法。
(III)前記(i)の生地組成物を酵母発酵させる及び/または膨張剤を混合させる段階。
(IV)前記(III)の生地を、焼成する段階。
【請求項22】
前記(i)に記載の生地組成物が、微細化豆類及び/又は雑穀類並びに/又はイモ類、種実類、野菜類及び果実類から選ばれる1種以上の食用植物から形成される50メッシュオンの顆粒状複合体を、乾燥質量換算で生地組成物全体の10質量%以上含有する、請求項19又は20に記載の膨化食品の製造方法。
【請求項23】
前記(ii)の膨化処理前後で、各組成物の2質量%水分散液を、前記擾乱後d90が40%以上増加する、請求項19又は20に記載の膨化食品組成物の製造方法。
【請求項24】
前記段階(ii)の膨化処理前後で、各組成物の2質量%水分散液を、前記超音波処理を行った場合におけるd90低下率が30%超増加する、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項25】
前記段階(ii)の膨化処理前後で、各組成物の2質量%水分散液を、前記超音波処理を行った場合における個数基準平均径低下率が60%以下増加する、請求項19又は20に記載の膨化食品組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、豆類及び/又は雑穀類を含有する膨化食品組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、菓子類等に挙げられる膨化食品組成物は、エアリーな食感が求められており、小麦粉等の澱粉質原料を主体とするドウを膨化させる膨化食品を製造する方法が知られている。また、風味の向上のために副原料として砂糖などの甘味料を調整する方法が知られている。しかしながら、通常そのような膨化食品は咀嚼時に歯に付着しやすい特性を持つほか、膨化が不十分でエアリーな食感にならず、更には成形性の自由度が低いという課題があった。
【0003】
上記課題や技術に対して、特許文献1には、小麦粉に由来するでんぷんを用いてパフを製造する技術が記載されているが、豆類及び/又は雑穀類の可食部及び食用植物の食物繊維局在部を原料として使用したパフは開示されておらず、付着性が改善されエアリーな食感の良いものではなかった。また、特許文献2、特許文献3には、砂糖が配合されたパフを製造する技術が記載されているものの、豆類及び/又は雑穀類の可食部及び食用植物の食物繊維局在部を含有するものではなく、さらに前記糖類は、食用植物に含有された状態の可溶性炭水化物ではなく、組織中で遊離した状態で存在するため、膨化処理に伴う熱変性や着色に起因する課題(風味や色調など)で品質を損なうばかりか、膨化食品組成物特有の粘着性の低さや組織の脆さを有してしまい、これら組成物を後の工程で圧着成形しても結着性が低かったりして、成形性の自由度は依然として低く好ましくない品質であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭62-55045号公報
【特許文献2】特開2003-18970号公報
【特許文献3】DE.102009048508.A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、エアリーな食感を有するとともに、歯に付着しにくく、さらに成形性の自由度が改善された豆類及び/又は雑穀類を含有する膨化食品組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の事情に鑑みて鋭意研究した結果、豆類及び/又は雑穀類を含有する膨化食品組成物に、食用植物に含有された状態の可溶性炭水化物を配合し、これらの各含有量を特定値以上に調整した上で、擾乱前後における膨化食品組成物の粒子径を制御することで、咀嚼時に歯に付着しやすい特性や、エアリーな食感が改善され、さらに、膨化処理時や膨化処理後の成形性の自由度が改善できることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、次の[1]~[25]を提供するものである。
[1]下記(1)から(7)を全て充足する、豆類及び/又は雑穀類を含有する膨化食品組成物。
(1)食物繊維を乾燥質量換算で3質量%以上、又は4質量%以上、又は5質量%以上、又は6質量%以上、又は7質量%以上、又は8質量%以上、又は9質量%以上、又は10質量%以上であり、一方、前記含有率の上限としては、特に限定されるものではないが、通常50質量%以下であればよく、又は40質量%以下、又は30質量%以下、又は25質量%以下、又は20質量%以下含有する。
(2)でんぷんを乾燥質量換算で5質量%以上、又は7質量%以上、又は8質量%以上、又は10質量%以上、又は11質量%以上、又は13質量%以上、又は15質量%以上であり、一方、上限としては、特に制限されるものではないが、60質量%以下、又は50質量%以下、又は40質量%以下含有する。
(3)タンパク質を乾燥質量換算で4.0質量%以上、又は5.0質量%以上、又は6.0質量%以上、又は7.0質量%以上、又は8.0質量%以上、又は9.0質量%以上、又は10質量%以上、又は11質量%以上、又は12質量%以上、又は13質量%以上、又は14質量%以上、又は15質量%以上、又は16質量%以上、又は17質量%以上、又は18質量%以上であり、上限は特に制限されないが、40質量%以下、又は30質量%以下、又は25質量%以下含有する。
(4)豆類、雑穀類、イモ類、種実類、野菜類及び果実類から選ばれる1種以上の食用植物に含有された状態の可溶性炭水化物を乾燥質量換算で2質量%以上、又は3質量%以上、又は4質量%以上、又は5質量%以上、又は6質量%以上、又は7質量%以上、又は8質量%以上、又は9質量%以上であり、また、上限としては、特に制限されるものではないが、50質量%以下、又は45質量%以下、又は40質量%以下、又は35質量%以下、又は30質量%以下、又は25質量%以下含有する。
(5)豆類及び/又は雑穀類の可食部及び食用植物の食物繊維局在部位を、膨化食品組成物全体に対して、乾燥質量換算で10質量%以上、又は15質量%以上、又は20質量%以上、又は25質量%以上、又は30質量%以上、又は35質量%以上、又は40質量%以上、又は50質量%以上であり、上限は特に制限されないが100質量%以下、又は97質量%以下、又は95質量%以下、又は93質量%以下、又は90質量%以下含有する。
(6)膨化食品組成物の2質量%水分散液を、レーザ回折式粒度分布測定装置を用いて、蒸留水を測定溶媒として、超音波処理を行った場合における、分散液中の膨化食品組成物粒子の個数基準平均径が30μm以下、又は25μm以下、又は20μm以下、又は18μm以下、又は15μm以下、又は13μm以下、又は10μm以下であり、下限は特に制限されないが、0.1μm超、又は2.0μm超、又は4.0μm超である。
(7)膨化食品組成物の2質量%水分散液を、レーザ回折式粒度分布測定装置を用いて、蒸留水を測定溶媒として、超音波処理を行わない場合における、分散液中の膨化食品組成物粒子の最大粒子径が300μm以上、又は350μm以上、又は400μm以上、又は500μm以上、又は600μm以上、又は700μm以上、又は800μm以上、又は900μm以上、又は1000μm以上、特には1100μm以上であり、一方、上限としては、特に限定されるものではないが、2000μm以下、又は1700μm以下である。
[2]膨化食品組成物全体に対する少糖類の合計含有量の割合が乾燥質量換算で1.0質量%以上、又は1.5質量%以上、又は2.0質量%以上、又は2.5質量%以上、又は3.0質量%以上、又は4.0質量%以上、又は5.0質量%以上であり、一方、上限は特に制限されないが40質量%以下、又は35質量%以下、又は30質量%以下、又は25質量%以下、又は20質量%以下、又は15質量%以下である、[1]に記載の膨化食品組成物。
[3]可溶性炭水化物に対するグルコースとフルクトースの合計含有量の割合が乾燥質量換算で30質量%以下、又は25質量%以下、又は20質量%以下、又は15質量%以下であり、一方、下限は特に制限されないが0質量%以上、又は1質量%以上、又は2質量%以上、又は3質量%以上、又は4質量%以上、又は5質量%以上である、[1]又は[2]に記載の膨化食品組成物。
[4]超音波処理を行った場合におけるd90低下率が10%以上、又は14%以上、又は16%以上、又は18%以上、又は20%以上であり、一方、上限としては、特に限定されるものではないが、90%以下、又は80%以下、又は70%以下、又は65%以下、又は60%以下である、[1]~[3]のいずれかに記載の膨化食品組成物。
[5]超音波処理を行った場合における個数基準平均径低下率が60%以下、又は55%以下、又は50%以下であり、一方、下限としては、特に限定されるものではないが、0%以上、又は10%以上である、[1]~[4]のいずれかに記載の膨化食品組成物。
[6]密度が1.00g/cm3未満、又は0.90g/cm3以下、又は0.85g/cm3以下、又は0.80g/cm3以下、又は0.75g/cm3以下、又は0.70g/cm3以下、又は0.65g/cm3以下であり、下限としては特に限定されるものではないが、0.04g/cm3以上、又は0.05g/cm3以上、又は0.08g/cm3以上、0.10g/cm3以上、又は0.12g/cm3以上、又は0.15g/cm3以上、又は0.17g/cm3以上、又は0.20g/cm3以上、又は0.24g/cm3以上、又は0.27g/cm3以上である、[1]~[5]のいずれかに記載の膨化食品組成物。
[7]穀類、イモ類、種実類、野菜類及び果実類の含有量が乾燥質量換算で5質量%以上、又は7質量%以上、又は10質量%以上であり、上限としては特に限定されるものではないが、90質量%以下、又は80質量%以下、又は60質量%以下である、[1]~[6]のいずれかに記載の膨化食品組成物。
[8]油ちょうによる調製品でない、[1]~[7]のいずれかに記載の膨化食品組成物。
[9]無発酵膨化食品組成物又は発酵膨化食品組成物である、[1]~[8]のいずれかに記載の膨化食品組成物。
[10]豆類及び/又は雑穀類から選ばれる1種以上の可食部と食用植物の食物繊維局在部位が同一種類の植物由来のものを含有する、[1]~[9]のいずれかに記載の膨化食品組成物。
[11]豆類が、エンドウ属、インゲンマメ属、キマメ属、ササゲ属、ソラマメ属、ヒヨコマメ属、及びヒラマメ属から選ばれる1種以上である、[1]~[10]のいずれかに記載の膨化食品組成物。
[12]雑穀類が、あわ、ひえ、きび、もろこし、ライ麦、えん麦、はと麦、とうもろこし、そば、アマランサス、及びキノアから選ばれる1種以上である、[1]~[11]のいずれかに記載の膨化食品組成物。
[13]食用植物の食物繊維局在部位が、豆類の種皮部、オオバコの種皮部、及び雑穀類のふすま部から選ばれる1種以上である、[1]~[12]のいずれかに記載の膨化食品組成物。
[14]食品添加物を実質的に含有しない、[1]~[13]のいずれかに記載の膨化食品組成物。
[15]膨化食品組成物全体のでんぷん含量に占める、精製されたでんぷんの割合が乾燥質量換算で50質量%以下である、[1]~[14]のいずれかに記載の膨化食品組成物。
[16]膨化食品組成物全体のでんぷん含量に占める、豆類及び/又は雑穀類に由来するでんぷんの割合が乾燥質量換算で30質量%以上、又は40質量%以上、又は50質量%以上、又は60質量%以上、又は70質量%以上、又は80質量%以上、又は90質量%以上であり、また、上限は特に制限されないが、通常100質量%以下、又は100質量%未満である、[1]~[15]のいずれかに記載の膨化食品組成物。
[17]膨化食品組成物全体のでんぷん含量に占める、小麦に由来するでんぷんの割合が乾燥質量換算で50質量%以下、又は30質量%以下、又は10質量%以下であり、また、下限としては特に限定されないが0質量%以上である、[1]~[16]のいずれかに記載の膨化食品組成物。
[18][1]~[17]のいずれかに記載の膨化食品組成物を含む食品。
【0008】
[19][1]~[17]のいずれかに記載の膨化食品組成物の製造方法であって、下記(i)から(ii)の段階を含む、膨化食品組成物の製造方法。
(i)下記(1)から(5)を全て充足する、生地組成物を調製する段階。
(1)微細化豆類及び/又は雑穀類の可食部及び食用植物の食物繊維局在部位が乾燥質量換算で10質量%以上、又は15質量%以上、又は20質量%以上、又は25質量%以上、又は30質量%以上、又は35質量%以上、又は40質量%以上、又は50質量%以上であり、上限は特に制限されないが100質量%以下、97質量%以下、又は95質量%以下、又は93質量%以下、又は90質量%以下含有する
(2)でんぷんを乾燥質量換算で5質量%以上、又は7質量%以上、又は8質量%以上、又は10質量%以上、又は11質量%以上、又は13質量%以上、又は15質量%以上であり、一方、上限としては、特に制限されるものではないが、60質量%以下、又は50質量%以下、又は40質量%以下含有する
(3)食物繊維の含有量が乾燥質量換算で3質量%以上、又は4質量%以上、又は5質量%以上、又は6質量%以上、又は7質量%以上、又は8質量%以上、又は9質量%以上、又は10質量%以上であり、一方、前記含有率の上限としては、特に限定されるものではないが、通常50質量%以下であればよく、又は40質量%以下、又は30質量%以下、又は25質量%以下、又は20質量%以下含有する
(4)タンパク質の含有量が乾燥質量換算で4.0質量%以上、又は5.0質量%以上、又は6.0質量%以上、又は7.0質量%以上、又は8.0質量%以上、又は9.0質量%以上、又は10質量%以上、又は11質量%以上、又は12質量%以上、又は13質量%以上、又は14質量%以上、又は15質量%以上、又は16質量%以上、又は17質量%以上、又は18質量%以上であり、上限は特に制限されないが、40質量%以下、又は30質量%以下含有する
(5)豆類、雑穀類、イモ類、種実類、野菜類及び果実類から選ばれる1種以上の食用植物に含有された状態の可溶性炭水化物が乾燥質量換算で2質量%以上、又は3質量%以上、又は4質量%以上、又は5質量%以上、又は6質量%以上、又は7質量%以上、又は8質量%以上、又は9質量%以上であり、また、上限としては、特に制限されるものではないが、50質量%以下、又は45質量%以下、又は40質量%以下、又は35質量%以下、又は30質量%以下、又は25質量%以下含有する。
(ii)前記(i)の生地組成物内部の気泡を膨張させる段階。
[20]段階(ii)が(I)から(II)の段階を含む、[19]記載の膨化食品組成物の製造方法。
(I)前記(i)の組成物を、加圧条件下、温度100℃以上、又は105℃以上、又は110℃以上、又は115℃以上であり、一方、上限としては、300℃以下、又は250℃以下、又は200℃以下、又は190℃以下、又は180℃以下、又は170℃以下、又は165℃以下、又は160℃以下、又は155℃以下で混練する段階。
(II)前記(I)の組成物を、温度100℃以上、又は105℃以上、又は110℃以上、又は115℃以上であり、一方、上限としては、300℃以下、又は250℃以下、又は200℃以下、又は190℃以下、又は180℃以下、又は170℃以下、又は165℃以下、又は160℃以下、又は155℃以下で常圧に戻す段階。
[21]段階(ii)が(III)から(IV)の段階を含む、[19]又は[20]記載の膨化食品組成物の製造方法。
(III)前記(i)の生地組成物を酵母発酵させる及び/または膨張剤を混合させる段階。
(IV)前記(III)の生地を、焼成する段階。
[22]前記(i)に記載の生地組成物が、微細化豆類及び/又は雑穀類並びに/又はイモ類、種実類、野菜類及び果実類から選ばれる1種以上の食用植物から形成される50メッシュオン、又は42メッシュオン、又は36メッシュオン、又は30メッシュオン、又は26メッシュオン、又は22メッシュオン、又は18メッシュオンであり、サイズ上限は特に制限されないが、0.1メッシュパス、又は0.5メッシュパス、又は1メッシュパスの顆粒状複合体を、乾燥質量換算で生地組成物全体の10質量%以上、又は20質量%以上、又は30質量%以上、又は40質量%以上、又は50質量%以上、又は60質量%以上、又は70質量%以上、又は80質量%以上、又は90質量%以上であり、上限は特に制限されないが、100質量%以下、又は100質量%未満含有する、[19]~[21]のいずれかに記載の膨化食品の製造方法。
[23]前記(ii)の膨化処理前後で、各組成物の2質量%水分散液を、前記擾乱後d90が40%以上、又は45%以上、又は50%以上、又は55%以上、又は60%以上、又は65%以上、又は70%以上であり、上限は特に制限されないが、1000%以下、又は700%以下、又は350%以下増加する、[19]~[22]のいずれかに記載の膨化食品組成物の製造方法。
[24]前記段階(ii)の膨化処理前後で、各組成物の2質量%水分散液を、前記超音波処理を行った場合におけるd90低下率が30%超、又は35%超、又は40%超、又は45%超、又は50%超、又は55%超、又は60%超であり、上限は特に制限されないが、1000%以下、又は700%以下増加する、[19]~[23]のいずれかに記載の方法。
[25]前記段階(ii)の膨化処理前後で、各組成物の2質量%水分散液を、前記超音波処理を行った場合における個数基準平均径低下率が60%以下、又は55%以下、又は50%以下であり、下限は特に制限されないが、0%超、又は10%以上増加する、[19]~[24]のいずれかに記載の膨化食品組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、エアリーな食感を有するとともに、歯に付着しにくく、さらに成形性の自由度が改善された豆類及び/又は雑穀類を含有する膨化食品組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明において任意の数値範囲規定について複数の上限値及び/又は複数の下限値を示す場合、特に明示されない場合であっても少なくとも上限規定の最大値と下限規定の最小値とを組み合わせた数値範囲規定が直接的に記載されており、さらに当該上限値のうち任意の上限値と当該下限値のうち任意の下限値とを組み合わせて得られる全ての数値範囲が本発明の対象として意図される。例えば、可溶性炭水化物含量の範囲規定における「乾燥質量換算で2質量%以上であるが、中でも3質量%以上が好ましく、更には4質量%以上が好ましく、又は5質量%以上が好ましく、又は6質量%以上が好ましく、又は7質量%以上が好ましく、又は8質量%以上が好ましく、特には9質量%以上が好ましい。」及び「特に制限されるものではないが、好ましくは30質量%以下、中でも25質量%以下であることが好ましい。」との記載は、開示された上限と下限とを任意で組み合わせて得られる全ての数値範囲、即ち、2質量%以上30質量%以下、2質量%以上25質量%以下、3質量%以上30質量%以下、3質量%以上25質量%以下、4質量%以上30質量%以下、4質量%以上25質量%以下、5質量%以上30質量%以下、5質量%以上25質量%以下、6質量%以上30質量%以下、6質量%以上25質量%以下、7質量%以上30質量%以下、7質量%以上25質量%以下、8質量%以上30質量%以下、8質量%以上25質量%以下、9質量%以上30質量%以下、9質量%以上25質量%以下の全てが本発明の対象に含まれることを意味する 。
【0011】
本発明は、以下(1)から(7)を全て充足する、豆類及び/又は雑穀類を含有する膨化食品組成物に関する。
(1)食物繊維を乾燥質量換算で3質量%以上含有する。
(2)でんぷんを乾燥質量換算で5質量%以上含有する。
(3)タンパク質を乾燥質量換算で4質量%以上含有する。
(4)豆類、雑穀類、イモ類、種実類、野菜類及び果実類から選ばれる1種以上の食用植物に含有された状態の可溶性炭水化物を乾燥質量換算で2質量%以上含有する。
(5)豆類及び/又は雑穀類から選ばれる1種以上の可食部及び食用植物の食物繊維局在部位を膨化食品組成物全体に対して、乾燥質量換算で10質量%以上含有する。
(6)膨化食品組成物の2質量%水分散液を、分散液レーザ回折式粒度分布測定装置を用いて、蒸留水を測定溶媒として、超音波処理を行った場合における、該分散液中の膨化食品組成物粒子の個数基準平均径が30μm以下である。
(7)膨化食品組成物の2質量%水分散液を、レーザ回折式粒度分布測定装置を用いて、蒸留水を測定溶媒として、超音波処理を行わない場合における、該分散液中の膨化食品組成物粒子の最大粒子径が300μm以上である。
【0012】
[膨化食品組成物]
本発明における「膨化食品組成物」(以下単に組成物と呼ぶ場合がある)とは、原料を膨張させることにより調製される食品組成物である。具体的には、乾燥した食用植物を含む原料に圧力をかけた後に一気に常圧下に開放することによって、原料中の水分を膨張・蒸発させ膨らませたシリアルパフや、乾燥した食用植物の粉に水を加えて加熱・加圧し、練ったものを急速に圧力低下させることによってスポンジ状に膨らませたシリアルパフ等が挙げられる。また、生地組成物を加熱処理や膨張剤や酵母などによる発酵処理によって体積を増加させることで製造した、塊状膨化組成物であるブレッド又はそれに類する食品(ブレッド様食品と称する場合がある)も含まれる。なお、膨化食品組成物には、膨化組成物を所望の形状に成形したシリアルパフ又はブレッド様食品も含まれ、より具体的には、圧着成形された膨化組成物加工品(本発明において圧着成形に伴う組成物圧縮によって、その体積が圧縮前後で50%以下に減少した状態のもの)も含まれる。
【0013】
すなわち、本発明における「膨化食品組成物」とは、組成物内部の気泡を膨張させた食品、その加工品及びこれを含有する組成物を指す。また、本発明の膨化組成物は、膨化食品独特のエアリーな食感を有することを好ましい特徴とする。本発明において「エアリーな食感」とは、膨化食品内部のふくらみに由来する、膨化食品独特の食感を表す。具体的には、クラッカーにおけるサクサクとした食感や、パンにおけるふっくら感などが挙げられる。いったん形成された膨化組成物であっても、組成物が硬質化してその構造が破壊され難くなったり、組成物が膨化状態を保持できずに萎んでしまい内部の空隙が少なくなったりすると、このようなエアリーな食感は感じられにくくなる。
【0014】
(原料)
本発明の組成物の原料は、本発明において規定する各種の成分組成及び物性を達成しうる限り、特に制限されるものではない。しかし、原料としては、1種又は2種以上の食用植物を用いることが好ましく、食用植物として豆類及び/又は雑穀類を用いることが好ましく、少なくとも豆類を含有することがより好ましい。また、食用植物としては、上記した日本食品標準成分表2015年版(七訂)に記載の食品群分類に記載された植物性食材(野菜類、芋類、きのこ類、果実類、藻類、穀類(特に雑穀類)、種実類等)以外に、野菜類として通常食用に供される野草(オオバコ、わらび、ふき、よもぎ等)も用いることができる。また、本発明の組成物に使用する食用植物の乾量基準含水率は、通常15質量%未満、中でも13質量%未満、更には11質量%未満、さらには10質量%未満であることが好ましい。一方、斯かる乾量基準含水率の下限は、特に制限されるものではないが、通常0質量%以上、さらに0.01質量%以上であることが好ましい。
【0015】
[豆類]
本発明における「豆類」としては、その可食部及び/又は非可食部に食物繊維(特に不溶性食物繊維)が含有されるものであれば、その種類は任意である。例としては、これらに限定されるものではないが、インゲン、ベニバナインゲン、ウズラマメ、ダイズ(特にエダマメ)、エンドウ(特にグリーンピース、黄色エンドウ、白色エンドウ)、キマメ、緑豆、ササゲ、アズキ、ソラマメ、ダイズ、黒豆、ヒヨコマメ、レンズマメ、ヒラ豆、ラッカセイ、ルピナス豆、グラスピー、イナゴマメ、コーヒー豆、カカオ豆等が挙げられる。中でも、ダイズ(特にエダマメ)、エンドウ(特にグリーンピース)、黒豆等が好ましく、さらにエンドウ(特にグリーンピース、黄色エンドウ、白色エンドウ)、ヒヨコマメ、インゲン、ソラマメ、緑豆が好ましい。尚、エダマメはダイズを未熟な状態で、収穫前に乾燥させずに、鞘ごと収穫したもので、豆が緑色の外観を呈するものである。栄養価の観点から、非可食部は、収穫前にその色が変わるほど乾燥させるダイズよりも、収穫前に乾燥していないものが好ましく、特に非可食部を使用する場合には、エダマメを使用することが好ましい。
本発明の膨化食品組成物に対する豆類の含有割合は乾燥質量換算で、例えば10質量%以上100質量%以下の範囲とすることができる。より具体的には、好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは25質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは35質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは45質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上であることが好ましい。上限は特に制限されないが100質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましい。
ここで、本発明において「乾燥質量」とは、特に断りがない限り、後記する「乾量基準含水率」から算出される水分量を食品全体の質量から除いた残分の質量を表し、「乾燥質量換算(乾燥質量基準、乾量基準と称する場合もある)」とは組成物の乾燥質量を分母、各成分の含有量を分子として算出される、各成分の含有割合を表す(なお「湿潤質量換算」「湿潤質量基準」は、組成物の水を含んだ湿潤質量を分母、各成分の含有量を分子として算出される、各成分の含有割合を表す)。すなわち、各測定値の乾燥質量換算値とは、実際に乾燥処理を施した後の組成物を分析するのではなく、湿潤質量から算出することで求められる。また本発明の組成物における乾燥質量換算の規定のうち、水分の有無や加工前後によってその値が変化しない原料配合に関する規定や栄養成分に関する規定は、段階(i)の生地組成物や段階(ii)においても充足される場合がある。なお、特に記載がない場合、割合は乾燥質量換算として表す。
【0016】
また、本発明における豆類はダイズ属、エンドウ属、インゲンマメ属、キマメ属、ササゲ属、ソラマメ属、ヒヨコマメ属及びヒラマメ属から選ばれる1種以上の豆類を含有しても良いが、エンドウ属、インゲンマメ属、キマメ属、ササゲ属、ソラマメ属、ヒヨコマメ属及びヒラマメ属から選ばれる1種以上の豆類を含有することがより好ましい。尚、ササゲ属の豆類を用いる場合は、その使用量が膨化食品組成物中に30%以下であるとより好ましい。尚、一部の可食部(エダマメ、グリーンピースなど)が野菜として取り扱われる食材について、非可食部(鞘など)と合わさった植物全体の状態(ダイズ、エンドウなど)で豆類かどうかを判断することができる。
【0017】
尚、豆類としては、でんぷん含量が少ない豆類(例えば大豆等)は別途でんぷんを補う必要があるため、でんぷんを所定量以上含有する豆類が好ましい。具体的には、でんぷん含量が乾燥質量換算で通常3質量%以上、中でも6質量%以上、さらには10質量%以上である豆類を用いることが好ましい。また、上記規定を段階(i)で充足する場合がある。
【0018】
[雑穀類]
本発明において「雑穀類」とは、後述する穀類のうち、主要な穀類であるコメ、小麦、大麦以外のものを指し、いわゆるイネ科穀類以外の疑似雑穀(アカザ科、ヒユ科)をも含む概念である。本発明の組成物に雑穀類を用いる場合、使用する雑穀類の種類は、限定されるものではないが、例としては、イネ科、アカザ科、ヒユ科から選ばれる1種以上の雑穀類であることが好ましく、イネ科であることがより好ましい。具体例としては、これらに限定されるものではないが、あわ、ひえ、きび、もろこし、ライ麦、えん麦(オーツ麦)、はと麦、とうもろこし、そば、アマランサス、キノアなどが挙げられ、特にえん麦(オーツ麦)、アマランサス、キノアのいずれか1種類または2種類以上を用いることが好ましい。また、雑穀類はグルテンを実質的に含有しない(具体的にはグルテン含有量が10質量ppm未満の状態を表す)ことが好ましく、グルテンを含有しないことがより好ましい。
本発明膨化食品組成物に対する雑穀類の含有割合は乾燥質量換算で、例えば10質量%以上100質量%以下の範囲とすることができる。より具体的には、好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは25質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは35質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは45質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上であることが好ましい。上限は特に制限されないが100質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましい。また、豆類と雑穀類を共に含有する膨化食品組成物において、その合計含有量が前記規定を充足することが好ましい。また、上記規定を段階(i)で充足する場合がある。
【0019】
[食物繊維]
本発明において「食物繊維」とは、ヒトの消化酵素で消化されない食品中の難消化性成分の総称であり、「水溶性食物繊維」、「不溶性食物繊維」の合計した「食物繊維総量」によって表す。また、本発明において「水溶性食物繊維」とは、食物繊維のうち水可溶性のものを指し、「不溶性食物繊維」とは、食物繊維のうち水不溶性のものを指す。可溶性食物繊維の例としては、制限されるものではないが、ペクチン、グルコマンナン、アルギン酸ナトリウム、ポリデキストロース、イヌリン、サイリウムハスク(含有される食物繊維のうち約50%が可溶性)等が挙げられる。不溶性食物繊維の例としては、制限されるものではないが、リグニン、セルロース、ヘミセルロース、キチン、キトサン、βグルカン、またそれらを含有する食材(例えばオーツ麦、サイリウムハスク(食物繊維のうち約50%が不溶性)等)が挙げられる。但し、不溶性食物繊維の中でもリグニン、特に酸可溶性リグニンを含有する膨化食品組成物は、本発明を適用することにより、膨化食品組成物が硬くなりすぎず、エアリーな食感を生じるという効果が得られるため好ましい。また、サイリウムハスクやオーツ麦(食物繊維のうち約70%が不溶性)のように不溶性食物繊維と可溶性食物繊維を共に含有する原料を使用することが好ましい。具体的には組成物全体における、食物繊維の乾燥質量換算含有割合に対する、可溶性食物繊維の乾燥質量換算含有割合が、例えば5質量%以上70質量%以下の範囲とすることができる。より具体的に、その下限が5質量%以上、又は10質量%以上、又は15質量%以上、又は20質量%以上、又は25質量%以上、又は30質量%以上であることが好ましい。その上限は特に制限されないが通常70質量%以下、又は65質量%以下、又は60質量%以下である。また、サイリウムハスクは単なる高温処理であれば問題ないが、高温混練処理(100℃を超えるエクストルーダー処理など)によって粘着性が生じ加工適性が低下したり食感が変化したりする場合があるため、発酵膨化食品組成物において可溶性食物繊維含有食材を上記規定を充足するように使用することが好ましく、より具体的には発酵膨化食品組成物製造における段階(i)で上記規定を充足することが好ましい。
【0020】
本発明の膨化食品組成物は、食物繊維(好ましくは不溶性食物繊維)を一定以上の含有率で含有する。具体的には、本発明の膨化食品組成物における食物繊維(好ましくは不溶性食物繊維)の含有率は、乾燥質量換算で例えば3質量%以上50質量%以下の範囲とすることができる。より具体的に、その下限が3質量%以上である。中でも4質量%以上、さらには5質量%以上、さらには6質量%以上、さらには7質量%以上、さらには8質量%以上、さらには9質量%以上、特には10質量%以上であることが好ましい。食物繊維(好ましくは不溶性食物繊維)の含有率を前記下限値以上とすることにより、喫食時の歯への付着の抑制の観点から好ましい。一方、前記含有率の上限としては、特に限定されるものではないが、食感のよさ(エアリーな食感があり、硬すぎない)の観点から、通常50質量%以下であればよく、中でも40質量%以下、中でも30質量%以下、中でも25質量%以下、特には20質量%以下であることが好ましい。
【0021】
本発明の膨化食品組成物は、少なくとも1種又は2種以上の食用植物に由来する食物繊維(特に不溶性食物繊維)を含有する。これに加えて、本発明の膨化食品組成物は、食用植物以外に由来する食物繊維(特に不溶性食物繊維)を含有していてもよいが、含有される食物繊維(特に不溶性食物繊維)の過半が組成物に配合された食用植物に由来することがより好ましく、含有される食物繊維(特に不溶性食物繊維)の全てが組成物に配合された食用植物に由来することがより好ましく、食用植物に含有された状態の食物繊維(特に不溶性食物繊維)として組成物に配合されていることがさらに好ましい。また、食用植物に含有された状態の可溶性炭水化物と不溶性食物繊維が同じ植物に含有された状態であることで、膨化組成物を圧着した際に組成物がスムースに結着するものの、圧着装置である金型などには組成物が付着しない特性を有するため特に好ましい。その理由は定かではないが、可溶性炭水化物が食物繊維(特に不溶性食物繊維)に含浸し、圧着時に組成物間で当該構造が絡み合うことで結着性が増すためと考えられる。
本発明の膨化食品組成物が、食用植物以外に由来する食物繊維(特に不溶性食物繊維)を含有する場合、その由来は制限されない。例えば、食物繊維(特に不溶性食物繊維)を含有する食用植物以外の各種天然材料に由来するものでもよく、合成されたものでもよく、両者を混合して用いてもよい。天然材料に由来する食物繊維(特に不溶性食物繊維)を用いる場合、1種又は2種以上の天然材料に含有される食物繊維(特に不溶性食物繊維)を単離・精製して用いてもよいが、食物繊維(特に不溶性食物繊維)を含有する天然材料をそのまま用いてもよい。また、上記規定を段階(i)で充足する場合がある。
【0022】
本発明において、膨化食品組成物中の食物繊維総量(可溶性食物繊維含量、不溶性食物繊維含量)の測定方法は、プロスキー変法を用い、「食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)」及び「日本食品標準成分表2015年版(七訂)分析マニュアル」に記載の方法に準じて測定する。
【0023】
[でんぷん]
本発明の膨化食品組成物は、でんぷんを所定割合以上含有することで、膨化食品組成物としての良好な膨化性と、エアリーな食感を奏するという本発明の効果が奏される。その原因は定かではないが、タンパク質や食物繊維(特に不溶性食物繊維)がでんぷんと相互作用してネットワーク構造を形成し、その結果として本発明の効果を奏している可能性がある。
【0024】
本発明の膨化食品組成物中のでんぷん含量は、乾燥質量換算で例えば、5質量%以上60質量%以下の範囲とすることができる。より具体的に、通常5質量%以上であるが、7質量%以上が好ましく、さらには8質量%以上が好ましく、さらには10質量%以上が好ましく、さらには11質量%以上が好ましく、さらには13質量%以上が好ましく、特には15質量%以上が好ましい。一方、でんぷん含量の上限としては、特に制限されるものではないが、本発明の膨化食品組成物中に、乾燥質量換算で、60質量%以下が好ましく、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。
【0025】
本発明において、膨化食品組成物全体のでんぷん含量に占める、精製されたでんぷんの割合としては、精製でんぷんはその製造工程で、微量な栄養成分等が失われてしまうという観点から、乾燥質量換算で50質量%以下であることが好ましく、中でも40質量%以下、さらには30質量%以下、さらには20質量%以下、さらには10質量%以下、特には使用しないことがより好ましい。尚、精製されたでんぷんとしては、特に限定されるものではないが、食用植物由来の精製生でんぷんや、それらの加工でんぷん等が挙げられるが、特には、コーン、じゃがいも、タピオカ及び片栗から選ばれる1以上に由来する精製でんぷんの含有量が前記した規定量以下であることが好ましい。
【0026】
本発明の組成物中のでんぷんの由来は特に制限されない。例としては、植物由来のものや動物由来のものが挙げられ、これらから単離された純品として組成物に配合されたものであってもよいが、特には豆類及び/又は雑穀類に含有された状態で組成物に配合される態様での豆類由来でんぷん及び/又は雑穀類由来のでんぷんが好ましい。
具体的には、組成物全体の総でんぷん含有量に対する、豆類に由来するでんぷん及び/又は雑穀類に由来するでんぷん合計含有量、好ましくは豆類に由来するでんぷん含有量の比率が、乾燥質量換算で例えば30質量%以上100質量%以下の範囲とすることができる。より具体的に、その下限は通常30質量%以上、中でも40質量%以上、又は50質量%以上、又は60質量%以上、又は70質量%以上、又は80質量%以上、又は90質量%以上であることで歯への付着性が改善された組成物となるため好ましい。上限は特に制限されないが、通常100質量%以下、好ましくは100質量%未満である。豆類由来でんぷんとしては、特にエンドウ由来のものが好ましく、黄色エンドウ由来のものが最も好ましい。雑穀類由来でんぷんとしては、オーツ麦由来のものが好ましい。また、豆類由来でんぷん及び雑穀類由来でんぷんの合計が上記規定を充足することが好ましい。
また、組成物全体の総でんぷん含有量に対する、豆類に含有された状態で組成物に配合される態様でのでんぷん及び/又は雑穀類に含有された状態で組成物に配合される態様でのでんぷん合計含有量、好ましくは豆類に含有された状態で組成物に配合される態様でのでんぷん含有量の比率が、乾燥質量換算で例えば30質量%以上100質量%以下の範囲とすることができる。より具体的に、その下限は通常30質量%以上、中でも40質量%以上、又は50質量%以上、又は60質量%以上、又は70質量%以上、又は80質量%以上、又は90質量%以上であることで歯への付着性が改善された組成物となるため好ましい。上限は特に制限されないが、通常100質量%以下、好ましくは100質量%未満である。また、豆類に含有された状態で組成物に配合される態様でのでんぷん及び雑穀類に含有された状態で組成物に配合される態様でのでんぷんの合計が上記規定を充足することが好ましい。
【0027】
また、本発明において、膨化食品組成物全体のでんぷん含量に占める、小麦に由来するでんぷんの割合としては、乾燥質量換算で例えば0質量%以上50質量%以下の範囲とすることができる。より具体的に、その上限は50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましく、特に実質的に含有しない(具体的にはアレルゲンの表示基準である10ppm未満、特に一般的な測定方法の下限である1ppm未満の含有量であることを表す)又は含有しないことが好ましい。下限としては特に限定されず、0質量%以上、又は0質量%以上であっても構わない。また、上記規定を段階(i)で充足する場合がある。
【0028】
尚、本発明において、組成物中のでんぷん含有量は、日本食品標準成分表2015年版(七訂)に準じ、AOAC996.11の方法に従い、80%エタノール抽出処理により、測定値に影響する可溶性炭水化物(ぶどう糖、麦芽糖、マルトデキストリン等)を除去した方法で測定する。
【0029】
[タンパク質]
本発明の膨化食品組成物は、組成物のタンパク質含量が、所定範囲内であることを好ましい特徴とする。具体的に、本発明の膨化組成物の前記タンパク質含量は、通常乾燥質量換算で例えば4.0質量%以上40質量%以下の範囲とすることができる。より具体的には、4.0質量%以上であることが好ましい。中でも5.0質量%以上、更には6.0質量%以上、とりわけ7.0質量%以上、又は8.0質量%以上、又は9.0質量%以上、又は10質量%以上、又は11質量%以上、又は12質量%以上、又は13質量%以上、又は14質量%以上、又は15質量%以上、又は16質量%以上、又は17質量%以上、又は18質量%以上とすることが好ましい。上限は特に制限されないが、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、又は25質量%以下とすることができる。
【0030】
本発明の組成物中のタンパク質の由来は特に制限されない。例としては、植物由来のものや動物由来のものが挙げられ、これらから単離された純品として組成物に配合されたものであってもよいが、特には豆類及び/又は雑穀類に含有された状態で組成物に配合される態様での豆類由来タンパク質及び/又は雑穀類由来タンパク質が好ましい。具体的には、組成物全体の総タンパク質含有量に対する、豆類由来タンパク質及び/又は雑穀類由来タンパク質の合計含有量、好ましくは豆類由来タンパク質含有量の比率が、乾燥質量換算で例えば10質量%以上100質量%以下の範囲とすることができる。より具体的に、通常10質量%以上、中でも20質量%以上、更には30質量%以上、とりわけ40質量%以上、又は50質量%以上、又は60質量%以上、又は70質量%以上、又は80質量%以上、又は90質量%以上であることが好ましい。上限は特に制限されないが、通常100質量%以下、好ましくは100質量%未満である。豆類由来タンパク質としては、特にエンドウ由来のものが好ましく、黄色エンドウ由来のものが最も好ましい。雑穀類由来タンパク質としては、オーツ麦由来のものが好ましい。また、上記規定を段階(i)で充足する場合がある。
【0031】
尚、本発明において、組成物中のタンパク質含有量は、食品表示法(「食品表示基準について」(平成27年3月30日消食表第139号))に規定された燃焼法(改良デュマ法)を用いて測定された全窒素割合に、「窒素-タンパク質換算係数」を乗じて算出する方法で測定する。
【0032】
[可溶性炭水化物]
本発明において「可溶性炭水化物」とは、水に可溶な炭水化物であり、単糖類、少糖類(単糖が2~10個程度結合した糖類)の総称である。従って、それよりもはるかに多くの糖が結合した成分であるでんぷんはその概念には含まれない。
【0033】
本発明の組成物は、膨化食品組成物の結着性を向上させ、成形性の自由度を改善する観点から、豆類、穀類(特に雑穀類)、イモ類、種実類、野菜類及び果実類から選ばれる1種以上の食用植物に含有された状態の可溶性炭水化物が乾燥質量換算で所定割合以上含有される。具体的には可溶性炭水化物が乾燥質量換算で例えば2質量%以上50質量%以下の範囲とすることができる。より具体的には、通常2質量%以上であるが、中でも3質量%以上が好ましく、更には4質量%以上が好ましく、又は5質量%以上が好ましく、又は6質量%以上が好ましく、又は7質量%以上が好ましく、又は8質量%以上が好ましく、特には9質量%以上が好ましい。一方、可溶性炭水化物含量の上限としては、特に制限されるものではないが、好ましくは50質量%以下、又は45質量%以下、又は40質量%以下、又は35質量%以下、30質量%以下、中でも25質量%以下であることが好ましい。食用植物に含有された状態で組成物に配合される態様で可溶性炭水化物を含有させることにより、膨化食品組成物の結着性を向上させ、成形性の自由度を改善する原因は定かではないが、多数の反応性に富むヒドロキシ基が存在する一方で、これらが食用植物中で多様な成分に保持されていることで、熱変性や着色などの品質劣化を生じないまま、膨化食品組成物間の結着性が向上し、成形性の自由度が改善されるため好ましい。本発明において「食用植物に含有された状態の可溶性炭水化物」とは、精製糖などのように特定の可溶性炭水化物を他の天然成分(可溶性炭水化物以外の成分)から完全に抽出したものではなく、食用植物に含有される可溶性炭水化物(特にショ糖)が他の可溶性炭水化物以外の成分の一部又は全部と共存しつつ含有された状態を指す。例えば、食用植物を破砕、酵素分解するなどして得られた可溶性炭水化物を、任意で濃縮、ろ過、殺菌するなどして可溶性炭水化物以外の成分の一部または全部と共存しつつ含有する状態が例示される。
【0034】
尚、食用植物に含有された状態で組成物に配合される態様での可溶性炭水化物とは、具体的には、可溶性炭水化物を含有する豆類や食用植物またはその加工品の状態(例えば可溶性炭水化物であるショ糖を一定割合以上含有するビーツパウダー 、スイートコーンパウダー、アーモンドパウダー、マンゴーパウダー、さつまいもパウダー)として組成物に配合される態様でもよいが、可溶性炭水化物を他の天然成分(可溶性炭水化物以外の成分、より好ましくはポリフェノールや可溶性食物繊維をはじめとする可溶性炭水化物以外の可溶性成分)とともに含有する未精製又は粗精製果汁(例えばデーツ果汁、特に透明果汁ではない粗精製デーツ果汁)の状態や、食用植物中のでんぷんを酵素分解して得られた可溶性炭水化物を他の可溶性炭水化物以外の成分とともに含有する未精製又は粗精製水あめの状態で、前記豆類及び/又は雑穀類や食用植物に含浸される態様で組成物に配合されてもよい。本発明において、膨化食品組成物全体の可溶性炭水化物含有量に占める、精製された可溶性炭水化物含有量の割合としては、精製された可溶性炭水化物はその製造工程で、微量な栄養成分等が失われてしまうという観点から、乾燥質量換算で50質量%以下であることが好ましく、中でも40質量%以下、さらには30質量%以下、さらには20質量%以下、さらには10質量%以下、特には使用しないことがより好ましい。尚、精製された可溶性炭水化物としては、特に限定されるものではないが、精製ショ糖、精製果糖及び精製ぶどう糖の含有量が前記した規定量以下であることが好ましい。また、上記規定を段階(i)で充足する場合がある。
【0035】
尚、本発明の膨化食品組成物中における可溶性炭水化物含有量は、「日本食品標準成分表2015年版(七訂)分析マニュアル」における「利用可能炭水化物(ぶどう糖、果糖
、ガラクトース、しょ糖、麦芽糖、乳糖及びトレハロース)」の測定方法に準じて高速液体クロマトグラフ法を用い、濃度既知の単糖類または少糖類(2~10糖)標準品との含有量比較によって求められた各測定値を合計することで求めることができる。
【0036】
[食用植物]
本発明の膨化食品組成物は、前記豆類及び/又は雑穀類の他に、穀類(特に雑穀類に含まれない主要な穀類であるコメ、小麦、大麦)、イモ類、種実類、野菜類、及び果実類から選ばれる食用植物を含有する場合がある。これらの食用植物は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせで併用してもよい。また、これらの食用植物はそのまま用いてもよく、各種の処理(例えば乾燥、加熱、灰汁抜き、皮むき、種実抜き、追熟、塩蔵、果皮加工等)を加えてから使用しても良い。尚、食用植物は、可食部と非可食部とを合わせた植物全体の状態でその分類を判断することができる。また、これら食用植物の含有量は、本発明の目的を損なわない範囲内で適宜設定することができる。
【0037】
穀類としては、その可食部及び/又は非可食部に食物繊維(特に不溶性食物繊維)が含有されるものであれば、その種類は任意である。例としては、これらに限定されるものではないが、アマランサス、アワ、エンバク、オオムギ、キビ、キヌア、コムギ、コメ、サトウキビ、ソバ、コーン(トウモロコシ)、ハトムギ、ヒエ、フォニオ、モロコシ等が挙げられる。中でも後述する雑穀類であることが好ましく、例えばエンバク(オーツ麦)又はコーン(特にはスイートコーン)が好ましい。その含有割合は乾燥質量換算で例えば1質量%以上50質量%以下の範囲とすることができる。より具体的には、好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは4質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは6質量%以上、さらに好ましくは7質量%以上、さらに好ましくは8質量%以上、さらに好ましくは9質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であることが好ましい。上限は特に制限されないが好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。
【0038】
イモ類としては、その可食部及び/又は非可食部に食物繊維(特に不溶性食物繊維)が含有されるものであれば、その種類は任意である。例としては、これらに限定されるものではないが、キクイモ、コンニャクイモ、サツマイモ、サトイモ、ミズイモ、ヤツガシラ、ジャガイモ、ヤマノイモ、イチョウイモ、ナガイモ、ヤマトイモ、ジネンジョ、ダイジョ、キャッサバ、ヤーコン、タロイモ、タシロイモ、ムラサキイモ、ヤムイモ等が挙げられる。中でもサツマイモ、ムラサキイモ等が好ましく、特にはサツマイモが好ましい。その含有割合は乾燥質量換算で例えば1質量%以上50質量%以下の範囲とすることができる。より具体的には、好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは4質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは6質量%以上、さらに好ましくは7質量%以上、さらに好ましくは8質量%以上、さらに好ましくは9質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であることが好ましい。上限は特に制限されないが好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。
【0039】
種実類としては、その可食部及び/又は非可食部に食物繊維(特に不溶性食物繊維)が含有されるものであれば、その種類は任意である。これらに限定されるものではないが、アーモンド、アサ、アマニ、エゴマ、カシューナッツ、カボチャの種、カヤ、ギンナン、クリ、クルミ、ケシ、ココナツ、ゴマ、シイ、トチ、ハスの実、ヒシ、ピスタチオ、ヒマワリの種、ブラジルナッツ、ヘーゼルナッツ、ペカン、マカダミアナッツ、マツ、ラッカセイが挙げられる。中でも、アーモンド、カシューナッツ、カボチャの種、マカダミアナッツ、ピスタチオ、ヘーゼルナッツ、ココナッツ等が好ましく、さらにアーモンド、カシューナッツ、カボチャの種、ヘーゼルナッツが好ましい。その含有割合は乾燥質量換算で例えば1質量%以上50質量%以下の範囲とすることができる。より具体的には、好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは4質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは6質量%以上、さらに好ましくは7質量%以上、さらに好ましくは8質量%以上、さらに好ましくは9質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であることが好ましい。上限は特に制限されないが好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。
【0040】
野菜類としては、その可食部及び/又は非可食部に食物繊維(特に不溶性食物繊維)が含有されるものであれば、その種類は任意である。例としては、これらに限定されるものではないが、アーティチョーク、アサツキ、アシタバ、アスパラガス、アロエ、ウリ、サヤインゲン、ウド、トウミョウ、サヤエンドウ、スナップエンドウ、オクラ、カブ、カボチャ、カラシナ、カリフラワー、キク、キャベツ、キュウリ、ギョウジャニンニク、クウシンサイ、クレソン、クワイ、ケール、ゴボウ、コマツナ、ザーサイ、シシトウ、シソ、ササゲ、シュンギク、ショウガ、ズイキ、スグキナ、ズッキーニ、セリ、セロリ、タアサイ、ダイコン、タカナ、タケノコ、タマネギ、チコリ、チンゲンサイ、トウガラシ、トマト、ナス、ナバナ、ニガウリ、ニラ、ニンジン、ノザワナ、ハクサイ、パクチョイ、バジル、パセリ、ビーツ(ビートルート)、ピーマン、フキ、ブロッコリー、ヘチマ、ホウレンソウ、ホースラディッシュ、ミズナ、ミツバ、ミョウガ、モヤシ、キュウリ、モロヘイヤ、ユリネ、ヨモギ、ラッキョウ、ルッコラ、ルバーブ、レタス、レンコン、ワケギ、ワサビ、ワラビ、オオバコ(サイリウム)、ハーブ(コリアンダー、セージ、タイム、バジル、オレガノ、ローズマリー、ミント、レモングラス、ディル等)等が挙げられる。中でもニンジン、カボチャ、キャベツ、ケール、パプリカ、ビーツ(ビートルート)、ブロッコリー、ホウレンソウ、タマネギ、ゴボウ、レンコン及びトマト等が好ましい。その含有割合は乾燥質量換算で例えば1質量%以上50質量%以下の範囲とすることができる。より具体的には、好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは4質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは6質量%以上、さらに好ましくは7質量%以上、さらに好ましくは8質量%以上、さらに好ましくは9質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であることが好ましい。上限は特に制限されないが好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。
【0041】
果実類としては、その可食部及び/又は非可食部に食物繊維(特に不溶性食物繊維)が含有されるものであれば、その種類は任意である。例としては、これらに限定されるものではないが、アセロラ、アボカド、アンズ、イチゴ、イチジク、ウメ、カンキツ類(イヨカン、ウンシュウミカン、オレンジ、グレープフルーツ、ライム、レモン等)、オリーブ、カキ、キウイ、グアバ、ココナッツ、ザクロ、スイカ、スモモ、チェリー(サクランボ、ブラックチェリー等)、ナツメ、ナツメヤシ(デーツ)、パイナップル、ハスカップ、バナナ、パパイア、ビワ、ブドウ、ベリー(ブルーベリー、ラズベリー等)、マンゴー、マンゴスチン、メロン、モモ、リンゴ等が挙げられる。中でも、アボカド、イチゴ、ベリー、カンキツ類、マンゴー、パイナップル、ブドウ及びリンゴ等が好ましく、特にはカンキツ類、マンゴー、パイナップル、デーツが好ましい。その含有割合は乾燥質量換算で例えば1質量%以上50質量%以下の範囲とすることができる。より具体的には、好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは4質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは6質量%以上、さらに好ましくは7質量%以上、さらに好ましくは8質量%以上、さらに好ましくは9質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であることが好ましい。上限は特に制限されないが好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。
【0042】
尚、前記食用植物の中でも、本発明の効果の顕著な奏効の観点から、本発明における食用植物は、可溶性炭水化物と食物繊維(特に不溶性食物繊維)を共に所定量以上含有するスイートコーン、ビーツ、アーモンド、マンゴー、サツマイモ及びデーツから選ばれる1種以上であることが好ましい。また、それら食用植物をそのまま用いても良いが、乾燥粉砕物(パウダー)の状態で用いても良いし、搾汁の状態で用いることもできる。具体的には、乾燥粉砕物であればキヌアパウダー、えん麦パウダー、きびパウダー、ビーツパウダー、スイートコーンパウダー、アーモンドパウダー、マンゴーパウダー、さつまいもパウダーの状態で、搾汁であればマンゴー果汁やデーツ果汁の状態で用いることができる。また、上記規定を段階(i)で充足する場合がある。
【0043】
[乾燥食材類の可食部と食用植物の食物繊維局在部位]
本発明における膨化食品組成物は、豆類及び/又は雑穀類の可食部に加えて、食用植物の食物繊維(可溶性食物繊維と不溶性食物繊維の合計)局在部位を含有することで咀嚼時の歯への付着性が改善された、良好な固形状組成物となるため好ましい。具体的には、本発明の膨化食品組成物における豆類及び/又は雑穀類の可食部及び食用植物の食物繊維局在部位の合計含有率、好ましくは豆類の可食部並びに食用植物の食物繊維局在部位の合計含有率、特に豆類の可食部及び豆類の食物繊維局在部位との合計含有率は、乾燥質量換算で例えば10質量%以上100質量%以下の範囲とすることができる。より具体的には、その下限が乾燥質量換算で10質量%以上である。中でも15質量%以上、さらには20質量%以上、さらには25質量%以上、さらには30質量%以上、さらには35質量%以上、さらには40質量%以上、特には50質量%以上であることが好ましい。一方、前記含有率の上限としては、特に限定されるものではないが、通常100質量%以下、97質量%以下、又は95質量%以下、又は93質量%以下、好ましくは90質量%以下である。
【0044】
また、食用植物の食物繊維局在部位として豆類の種皮部、オオバコ種皮部及び雑穀類のふすま部のいずれか1種以上を、前記可食部と共に所定割合含有することが好ましい。さらに、食物繊維局在部位が不溶性食物繊維局在部位であっても良く、さらに豆類及び/又は雑穀類の可食部及び食用植物の不溶性食物繊維局在部位の合計含有率が上記割合であることが好ましい。
具体的には、本発明における膨化食品組成物は、豆類の可食部に加えて、豆類の食物繊維局在部位(種皮部)を含有することで咀嚼時の歯への付着性が改善された、良好な固形状組成物となるため好ましい。具体的には、本発明の膨化食品組成物における豆類の可食部及び豆類食物繊維局在部位の合計含有率は、乾燥質量換算で例えば10質量%以上100質量%以下の範囲とすることができる。より具体的には、その下限が乾燥質量換算で10質量%以上である。中でも15質量%以上、さらには20質量%以上、さらには25質量%以上、さらには30質量%以上、さらには35質量%以上、さらには40質量%以上、特には50質量%以上であることが好ましい。一方、前記含有率の上限としては、特に限定されるものではないが、通常100質量%以下、又は97質量%以下、又は95質量%以下、又は93質量%以下、好ましくは90質量%以下である。
【0045】
また、本発明における膨化食品組成物は、雑穀類の可食部に加えて、雑穀類の食物繊維局在部位(ふすま部)を含有することで咀嚼時の歯への付着性が改善された、良好な固形状組成物となるため好ましい。具体的には、本発明の膨化食品組成物における雑穀類の可食部及び雑穀類食物繊維局在部位の合計含有率は、乾燥質量換算で例えば10質量%以上100質量%以下の範囲とすることができる。より具体的には、その下限が乾燥質量換算で10質量%以上である。中でも15質量%以上、さらには20質量%以上、さらには25質量%以上、さらには30質量%以上、さらには35質量%以上、さらには40質量%以上、特には50質量%以上であることが好ましい。一方、前記含有率の上限としては、特に限定されるものではないが、通常100質量%以下、97質量%以下、又は95質量%以下、又は93質量%以下、好ましくは90質量%以下である。
また、豆類及び/又は雑穀類の可食部及び食用植物の食物繊維局在部位を共に微細化した微細化豆類及び/又は微細化雑穀類の状態で含有することがさらに好ましい。
【0046】
また、本発明における膨化食品組成物は、通常食用に供される野草であるオオバコにおける種皮部(オオバコ種皮又はサイリウムハスクと称される場合がある)を食用植物の食物繊維局在部位として所定割合以上含有することが好ましく、さらに後述する酵素処理(具体的にはセルラーゼ及び/又はペクチナーゼ及び/又はキシラナーゼによって処理されることが好ましく、特に少なくともペクチナーゼ又はキシラナーゼによって処理されることが好ましい)されたオオバコにおける種皮部を所定割合以上含有することが好ましい。例えば、その含有量が0.1質量%以上20質量%以下の範囲とすることができる。具体的には、その下限が乾燥質量換算で0.1質量%以上であることが好ましい。より好ましくは0.2質量%以上、さらには0.3質量%以上、又は0.4質量%以上、又は0.5質量%以上、又は1.0質量%以上、又は1.5質量%以上が好ましい。一方、上限は通常限定されないが、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらには7.5質量%以下、又は5質量%以下としてもよい。
セルラーゼやペクチナーゼやキシラナーゼなどの酵素処理を施した原料を用いる場合、いずれか一種のみを用いてもよいが、少なくともペクチナーゼ又はキシラナーゼを用いて処理することが好ましい。またペクチナーゼを用いて処理する場合、ペクチナーゼとセルラーゼを併用することが好ましい。微生物発酵を行う組成物においては、発酵前の生地にセルラーゼやペクチナーゼやキシラナーゼなどの酵素を添加することで、発酵処理と並行して酵素処理を行っても良く、あらかじめ原料である不溶性食物繊維含有原料に酵素処理を行ったものを使用しても良い。特に、通常食用に供される野草であるオオバコにおける種皮部(オオバコ種皮又はサイリウムハスクと称される場合がある)を上記酵素によって処理したものを用いることで、良好な膨化物となるため好ましい。また、後述する段階(i)の生地組成物において、上記割合でオオバコ種皮を含有することが好ましく、豆類及び/又は雑穀類の可食部とオオバコ種皮を組み合わせて用いることがさらに好ましく、生地組成物に発酵工程を行う発酵膨化食品組成物であることが特に好ましい。また、上記規定を段階(i)で充足する場合がある。また、サイリウムハスクまたは酵素処理サイリウムハスクは単なる高温処理であれば問題ないが、高温混練処理(100℃を超えるエクストルーダー処理など)によって粘着性が生じ加工適性が低下したり食感が変化したりする場合があるため、発酵膨化食品組成物において上記規定を充足するようにサイリウムハスクまたは酵素処理サイリウムハスクを含有することが好ましく、より具体的には発酵膨化食品組成物製造における段階(i)で上記規定を充足することが好ましい。
【0047】
本発明における食用植物の食物繊維局在部位とは、食材全体において食物繊維(すなわち可溶性食物繊維と不溶性食物繊維の合計)が局在する部位、具体的には、食材における可食部よりも、高い食物繊維含有割合を有する部位を表し、乾燥状態において、より好ましくは可食部の1.1倍以上、さらに好ましくは1.2倍以上、さらに好ましくは1.3倍以上、さらに好ましくは1.4倍以上、さらに好ましくは1.5倍以上、さらに好ましくは1.6倍以上、さらに好ましくは1.7倍以上、さらに好ましくは1.8倍以上、さらに好ましくは1.9倍以上、よりさらに好ましくは2.0倍以上の食物繊維含有割合を有する部位を表す。例えば、豆類において可食部(子葉部)における食物繊維含有割合よりも相対的に高い食物繊維含有割合を有する種皮部(特に不溶性食物繊維局在部位に該当する)、雑穀類において、可食部における不溶性食物繊維含有割合よりも相対的に高い不溶性食物繊維含有割合を有するふすま部(特に不溶性食物繊維局在部位に該当する)が不溶性食物繊維局在部位に該当する。また、通常食用に供される野草であるオオバコにおける、種皮部(オオバコ種皮又はサイリウムハスクと称される場合がある)が食物繊維局在部位(特に可溶性食物繊維及び不溶性食物繊維局在部位)に該当する。特にオオバコ種皮部は不溶性食物繊維に加えて、可溶性食物繊維も含有されるため、栄養面から好ましい。
【0048】
また、食用植物の食物繊維局在部位における食物繊維含有割合は、乾燥質量換算で食物繊維含有割合が例えば10質量%超50質量%以下の範囲とすることができる。具体的には、10質量%超、さらに好ましくは11質量%超、さらに好ましくは12質量%超、さらに好ましくは13質量%超、さらに好ましくは14質量%超、さらに好ましくは15質量%超、さらに好ましくは16質量%超、さらに好ましくは17質量%超、さらに好ましくは18質量%超、さらに好ましくは19質量%超、さらに好ましくは20質量%超であることが好ましい。上限は特に制限されないが好ましくは50質量%以下である。また、本発明における食用植物の食物繊維局在部位は、後述する食材の「可食部」の一部(例えば豆類の種皮部分)であっても「非可食部」であってもよいが、食用植物の食物繊維局在部位が「可食部」の一部であることが好ましい。
また、本発明の膨化食品組成物において微細化豆類の食物繊維局在部位(種皮部)を含有する場合、その含有率は乾燥質量換算で例えば0.01質量%以上10質量%以下の範囲とすることができる。具体的には、下限が乾燥質量換算で0.01質量%以上であることが好ましい。中でも0.02質量%以上、さらには0.03質量%以上、さらには0.04質量%以上、さらには0.05質量%以上、さらには0.06質量%以上、さらには0.07質量%以上、特には0.08質量%以上であることが好ましい。一方、前記含有率の上限としては、特に限定されるものではないが、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。また、後述する段階(i)の生地組成物において、上記割合で豆類種皮部を含有することが好ましく、豆類及び/又は雑穀類の可食部と豆類種皮部を組み合わせて用いることがより好ましく、豆類の可食部と豆類種皮部とを組み合わせて用いることがさらに好ましい。また、前述するオオバコ種皮部と豆類種皮部とを共に含有することが特に好ましい。また、食物繊維局在部位が不溶性食物繊維局在部位であって、上記規定を充足するものであっても良い。
【0049】
また、本発明に用いる豆類及び/又は雑穀類において、これらの可食部及び食用植物の食物繊維局在部位(特に不溶性食物繊維局在部位又は非可食部)はそれぞれ別の種類の食用植物に由来するものであってもよいが、風味の統一性の観点から、同一種類の食用植物に由来する可食部及び食物繊維局在部位(特に不溶性食物繊維局在部位または非可食部)を含むことが好ましい。さらには、同一個体の食用植物に由来する可食部及び食物繊維局在部位(特に不溶性食物繊維局在部位又は非可食部)を含むことが好ましい。即ち、同一個体の食用植物に由来する可食部の一部又は全部と、食物繊維局在部位(特に不溶性食物繊維局在部位又は非可食部)の一部又は全部とを使用することで、斯かる食用植物を無駄なく利用することができる。従って、食用植物の食物繊維局在部位として、可食部である豆類及び/又は雑穀類と同一種類の食用植物に由来する食物繊維局在部位を使用することが好ましい。具体的に、豆類の可食部を使用する場合には豆類の食物繊維局在部位(特に不溶性食物繊維局在部位である種皮部分)を使用することが好ましく、雑穀類の可食部を使用する場合には、雑穀類の食物繊維局在部位(特に不溶性食物繊維局在部位であるふすま部分)を使用することが好ましい。
【0050】
また、本発明の組成物には、乾燥野菜類、乾燥穀類(特に乾燥雑穀類)、乾燥イモ類、乾燥豆類及び乾燥果実類の「非可食部」を使用することができる。本発明において、前記乾燥野菜類、乾燥穀類(特に乾燥雑穀類)、乾燥イモ類、乾燥豆類及び乾燥果実類の「非可食部」とは、食用植物の通常飲食に適さない部分や、通常の食習慣では廃棄される部分を表し、「可食部」とは、食用植物全体から廃棄部位(非可食部)を除いた部分を表す。特に厚い食物繊維層や、毛茸等を含有する食用植物の場合、厚い食物繊維層や、毛茸等を含有する部分は、摂食性や他の食品との相性が悪く、従来は喫食に用いられず廃棄される部分が多かったが、本発明ではこうした厚い食物繊維層や、毛茸等を含有する非可食部を好適に使用することができる。「非可食部」の具体例を表1に示す。
【0051】
食用植物の非可食部の例としては、前述の各種の食用植物や豆類の皮、種実、芯、搾り滓等が挙げられる。中でも、これらに限定されるものではないが、コーン(例としてスイートコーン等)、パプリカ、カボチャ、ビーツ、ブロッコリー、ホウレンソウ、ニンジン、ケール、ダイズ(特にエダマメ)、エンドウ、ソラマメ、トマト、米、タマネギ、キャベツ、りんご、ぶどう、さとうきび、柑橘類(例としてウンシュウミカン、ユズ等)等の皮、種実、芯、搾り滓等は、栄養が豊富に残存しているため、本発明に好適に使用することができる。食用植物の非可食部の具体例としては、これらに限定されるものではないが、コーン(例としてスイートコーン等)の包葉、めしべ及び穂軸(芯)、パプリカの種及びへた、カボチャの種及びわた、ビーツの皮、ブロッコリーの茎葉、ホウレンソウの株元、ニンジンの根端及び葉柄基部、ケールの葉柄基部、ダイズ(エダマメ)の鞘(さや)、エンドウの鞘(さや)、ソラマメの種皮及び鞘(さや)、トマトのへた、米(籾)の籾殻、タマネギの皮(保護葉)、底盤部及び頭部、キャベツの芯、りんごの芯、ぶどうの果皮及び種子、さとうきびの搾り滓、柑橘類(例としてウンシュウミカン、ユズ等)の皮、種及びわた等が挙げられる。尚、人体に有害な成分を人体に影響する程度含まないものが好ましい。
【0052】
尚、本発明に使用される前記豆類や食用植物における、非可食部の部位や比率は、その食品や食品の加工品を取り扱う当業者であれば、当然に理解することが可能である。例としては、日本食品標準成分表2015年版(七訂)に記載の「廃棄部位」及び「廃棄率」を参照し、これらをそれぞれ非可食部の部位及び比率として扱うことができる。以下の表1に、食用植物の例と、それらについて日本食品標準成分表2015年版(七訂)に記載されている「廃棄部位」及び「廃棄率」(即ち非可食部の部位及び比率)を挙げる。
【0053】
【0054】
尚、本発明の効果の奏効の観点から、膨化食品組成物に占める前記豆類や食用植物の非可食部の割合は乾燥質量換算で、例えば1質量%以上90質量%以下の範囲とすることができる。具体的には、下限としては、乾燥質量換算で、1質量%以上であることが好ましい。中でも2質量%以上、さらには3質量%以上、さらには5質量%以上、特には8質量%以上であることが好ましい。尚、上限としては、特に限定されるものではないが、90質量%以下、中でも80質量%以下、特には70質量%以下であることがより好ましい。
【0055】
本発明における膨化食品組成物は前記豆類及び雑穀類の他に、穀類(雑穀類に含まれない主要な穀類であるコメ、小麦、大麦)、イモ類、種実類、野菜類及び果実類並びにそれらの加工品(例えば果汁、乾燥粉砕物であるパウダーなど)を含有してもよいが、その合計含有量は、本発明の効果の奏効の観点から、膨化食品組成物に占める割合として、乾燥質量換算で例えば0質量%以上90質量%以下の範囲とすることができる。より具体的には、0質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることが好ましく、7質量%以上がより好ましく、10質量%以上が特に好ましい。上限としては特に限定されるものではないが、乾燥質量換算で90質量%以下、又は80質量%以下、又は60質量%以下であることが好ましい。
また、含有される豆類、穀類(雑穀類を含む)、イモ類、種実類、野菜類及び果実類が乾燥物であることが好ましく、さらに乾燥された微細化物(粉末、パウダー)であることが好ましい。粉末の擾乱後(超音波処理後)の粒子径d50は、例えば0.3μm以上500μm未満の範囲とすることができる。より具体的には、500μm未満が好ましく、450μm以下がより好ましく、400μm以下がさらに好ましく、350μm以下がさらに好ましく、300μm以下がさらに好ましく、250μm以下がさらに好ましく、200μm以下がさらに好ましく、150μm以下がさらに好ましく、100μm以下がさらに好ましく、90μm以下がさらに好ましく、80μm以下がさらに好ましく、70μm以下がさらに好ましく、60μm以下がさらに好ましく、50μm以下がよりさらに好ましい。擾乱後(超音波処理後)の粒子径d50の下限は特に制限されないが、通常0.3μm以上、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは10μm以上である。
また前述の微細化物類を使用した場合においては、最終的な膨化組成物中において微細化物の形状を保った状態で結着してなる組成物であってもよく、生地組成物中の微細化物が加工に伴って膨化組成物中において溶融し混然一体となった状態のものであってもよい。また、上記規定を段階(i)で充足する場合がある。
【0056】
[粒子径に関連する特性]
本発明の膨化食品組成物は、不溶性食物繊維を微粒子または微粒子複合体の形態で含有する。斯かる微粒子は、1種又は2種以上の不溶性食物繊維のみから形成されるものであってもよいが、1種又は2種以上の不溶性食物繊維と、1種又は2種以上の他の成分とから形成されるものであってもよい。
【0057】
また、本発明の膨化食品組成物においては、不溶性食物繊維を含む前述の微粒子の少なくとも一部が複数個凝集し、膨化食品組成物の分散液の擾乱によって解砕しうる複合体を形成する。本発明の膨化食品組成物は、不溶性食物繊維を斯かる複合体の状態で含有することにより、エアリーな食感で、歯に付着しにくい食感が達成される。尚、本発明では特に断り無き限り、微粒子複合体を解砕させる外部からの擾乱の典型的な例として、膨化食品組成物の分散液の超音波処理を想定するものとする。本発明において「超音波処理」とは、特に指定が無い限り、測定サンプルに対して周波数40kHzの超音波を出力40Wにて3分間印加する処理を表す。
【0058】
本発明の膨化食品組成物は、不溶性食物繊維を含む微粒子の複合体を含有すると共に、膨化食品組成物の分散液に擾乱を加える前後における斯かる微粒子及び複合体に関する粒子径等の種々の物性値を後述する範囲に調節することにより、エアリーな食感で、歯に付着しにくい食感が達成される。その原因は不明であるが、膨化食品組成物中であたかも食物繊維が複数縒り集まったような特徴的な形状の複合体を形成し、この複合体が様々な効果を発揮すると考えられる。
【0059】
特に、本発明の膨化食品組成物は、その分散液に擾乱を加えない状態、即ち超音波処理を行う前の状態では、多数の比較的崩壊しづらい強固な結合を有する微粒子複合体を含有するのに対し、擾乱を加えた状態、即ち超音波処理を行った後の状態では、その微粒子複合体の一部又は全部が崩壊して単独の微粒子となる。そのため、超音波処理前と処理後では、粒子径に関する各種パラメータがその崩壊度合いに応じて変化する。
【0060】
尚、本発明における「粒子径」とは、特に指定が無い限り全て体積基準で測定されたものを表す。また、本発明における「粒子」とは、特に指定が無い限り単独の微粒子のみならず、それらが凝集してなる微粒子複合体も含みうる概念である。
【0061】
(個数基準平均径)
本発明における「個数基準平均径」とは、本発明の乾燥粉末中の粒子をすべて球形と仮定して計算によって求められた仮想の個数分布から求めた平均径であり、Σ(v/d2)/Σ(v/d3)によって算出するものであって(d:各粒径チャンネルの代表値、v:チャンネルごとの体積基準のパーセント)、体積基準平均径とは、その数値が大きく異なる。その特性として、微細粒子の「数」が相対的に多い組成物においてその値が小さくなるため、最終的な組成物において生成される粒子複合体構造(典型的には擾乱後d90の数値によって規定される)以外に微細な粒子を含有する特性を反映した指標である。また、原料として組成物と同程度の個数基準平均径を有する食用植物粉末を用いることで、そのような特性を有する組成物を得ることができる。
本発明において、膨化食品組成物の2質量%水分散液を、レーザ回折式粒度分布測定装置を用いて、蒸留水を測定溶媒として、超音波処理を行ったサンプルについて測定した個数基準平均径が所定の値以下であることが成形性の観点から好ましい。具体的には、粒子をすべて球形と仮定した場合における2質量%水分散液中膨化食品組成物粒子の個数基準平均径が30μm超であるとエアリーな食感が失われやすくなるため、例えば0.1μm超30μm以下の範囲とすることができる。より具体的には、30μm以下であることが好ましく、25μm以下であることが好ましく、20μm以下であることが好ましく、18μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましく、13μm以下であることが好ましく、10μm以下であることが好ましい。下限は特に制限されないが、0.1μm超であることが好ましく、2.0μm超であることが好ましく、4.0μm超であることが好ましい。また、上記規定を段階(i)で充足する場合がある。
【0062】
(最大粒子径に関する特性)
さらに、本発明の膨化食品組成物において、膨化食品組成物の分散液の擾乱前、即ち超音波処理前の最大粒子径が所定値以上の粒子を含ませることで、エアリーな食感が付与されるとともに、歯への付着が抑制される。具体的に、本発明の膨化食品組成物の分散液の擾乱前、即ち超音波処理前の膨化食品組成物の2質量%水分散液中の粒子の最大粒子径が300μm未満であるとエアリーな食感が感じられにくくなるため、擾乱前最大粒子径は例えば300μm以上2000μm以下の範囲とすることができる。具体的には、下限としては、300μm以上である。中でも、350μm以上、さらには400μm以上、又は500μm以上、又は600μm以上、又は700μm以上、又は800μm以上、又は900μm以上、又は1000μm以上、特には1100μm以上であることが好ましい。一方、本発明の膨化食品組成物の2質量%水分散液の擾乱前、即ち超音波処理前の分散液中の粒子の最大粒子径の上限としては、特に限定されるものではないが、2000μm以下が好ましく、中でも1700μm以下であることが好ましい。また、上記規定を段階(i)で充足する場合がある。
【0063】
(膨化食品組成物の2質量%水分散液中の超音波処理を行った場合における粒子径の90%積算径(d90)の低下率)
本発明の膨化食品組成物においては、膨化食品組成物の2質量%水分散液に対して超音波処理を行った場合における粒子径d90低下率(擾乱時d90低下率、擾乱時d90低下割合またはd90解砕率と称する場合がある)が所定以上であることで、エアリーな食感が付与されるとともに、歯への付着が抑制されるため好ましい。具体的には、(擾乱前d90-擾乱後d90)/擾乱前d90割合が所定の値以上であることが好ましい。なお、粒子径d90とは、擾乱前(即ち超音波処理前)または擾乱後(即ち超音波処理後)における膨化食品組成物の2質量%水分散液中の90%積算径を測定することで得られる。前述の通り擾乱前後のd90は体積基準(体積で重み付けされた分布)で測定するため、組成物全体における粒子のうち、体積が大きい粒子(典型的には複合体化した粒子)が多く含まれる組成物特性を表し、d90低下率が一定以上であることは組成物に結合強度の弱い複合体が含有される特性を表す。
例えば本発明の膨化食品組成物の超音波処理時における膨化食品組成物の2質量%水分散液中のd90低下率(解砕率)が10%以上300%以下の範囲とすることができる。より具体的には、本発明の膨化食品組成物の超音波処理時における膨化食品組成物の2質量%水分散液中のd90低下率(解砕率)の下限としては、10%以上であることで、十分に強固な複合体が形成され、本発明の効果がより顕著に奏されるため、好ましい。中でも、14%以上、さらには16%以上、さらには18%以上、特には20%以上であることが好ましい。一方、本発明の膨化食品組成物の超音波処理時における膨化食品組成物の2質量%水分散液中のd90低下率の上限としては、特に限定されるものではないが、90%以下が好ましく、中でも80%、又は70%以下、65%以下、60以下であることが好ましい。また、上記規定を段階(i)で充足する場合がある。
【0064】
尚、粒子径d90とは、粒子径分布をある粒子径から2つに分けた場合に、大きい側の粒子頻度%の累積値と、小さい側の粒子頻度%の累積値との比が、10:90となる粒子径として定義される。
【0065】
(膨化食品組成物の2質量%水分散液中の超音波処理を行った場合における個数基準平均径低下率)
本発明の膨化食品組成物においては、膨化食品組成物の2質量%水分散液に対して超音波処理を行った場合における個数基準平均径低下率(擾乱時個数基準平均径低下率または擾乱時個数基準平均径低下割合と称する場合がある)が所定以下であることで、好ましい食感の組成物となるため好ましい。具体的には、「(擾乱前個数基準平均径-擾乱後個数基準平均径)/擾乱前個数基準平均径」割合が所定の値以下であることが好ましい。なお、個数基準平均径とは、擾乱前(即ち超音波処理前)または擾乱後(即ち超音波処理後)における膨化食品組成物の2質量%水分散液中の個数基準平均径を測定することで得られる。個数基準平均径低下率が一定以下であることは、組成物に含有される相対的に微小な粒子のうち、複合体化されていない粒子が一定以上含有されるという特性を表す。
例えば本発明の膨化食品組成物の超音波処理時における膨化食品組成物の2質量%水分散液中の個数基準平均径低下率が0%以上60%以下の範囲とすることができる。より具体的には、本発明の膨化食品組成物の超音波処理時における膨化食品組成物の2質量%水分散液中の個数基準平均径低下率の上限としては、60%以下であることが好ましい。中でも、55%以下、さらには50%以下であることが好ましい。一方、本発明の膨化食品組成物の超音波処理時における膨化食品組成物の2質量%水分散液中の個数基準平均径低下率の下限としては、特に限定されるものではないが、0%以上が好ましく、中でも10%以上であることが好ましい。
【0066】
(粒子径に関する測定方法)
本発明の膨化食品組成物の分散液の擾乱後、即ち超音波処理後の分散液中の粒子の粒子径は以下の条件で測定する。まず、測定時の溶媒は、後述する膨化食品組成物の測定時のサンプルの構造に影響を与え難い蒸留水を用いる。すなわち、膨化食品組成物の分散液は、膨化食品組成物の2質量%水分散液であるのが好ましい。測定に使用されるレーザ回折式粒度分布測定装置としては、レーザ回折散乱法によって少なくとも0.02μmから2000μmの測定範囲を有するレーザ回折式粒度分布測定装置を用いる。例えばマイクロトラック・ベル株式会社のMicrotrac MT3300 EX2システムを使用し、測定アプリケーションソフトウェアとしては、例えばDMSII(Data Management System version 2、マイクロトラック・ベル株式会社)を使用する。前記の測定装置及びソフトウェアを使用する場合、測定に際しては、同ソフトウェアの洗浄ボタンを押下して洗浄を実施したのち、同ソフトウェアのSetzeroボタンを押下してゼロ合わせを実施し、サンプルローディングでサンプルの濃度が適正範囲内に入るまでサンプルを直接投入する。擾乱前のサンプル、即ち超音波処理を行なわないサンプルは、サンプル投入後のサンプルローディング2回以内にその濃度を適正範囲内に調整した後、直ちに流速60%で10秒の測定時間でレーザ回折した結果を測定値とする。一方、擾乱後のサンプル、即ち超音波処理を行ったサンプルを測定する場合、サンプル投入後に前記の測定装置を用いて超音波処理を行い、続いて測定を行う。その場合、超音波処理を行っていないサンプルを投入し、サンプルローディングにて濃度を適正範囲内に調整した後、同ソフトの超音波処理ボタンを押下して超音波処理を行う。その後、3回の脱泡処理を行った上で、再度サンプルローディング処理を行い、濃度が依然として適正範囲であることを確認した後、速やかに流速60%で10秒の測定時間でレーザ回折した結果を測定値とする。測定時のパラメータとしては、例えば分布表示:体積、粒子屈折率:1.60、溶媒屈折率:1.333、測定上限(μm)=2000.00μm、測定下限(μm)=0.021μmとする。
【0067】
尚、本発明の膨化食品組成物の分散液中の粒子の粒子径測定時のサンプルは、特に指定がない限り、膨化食品組成物試料1gを約80℃の蒸留水50gに浸漬し、5分程度静置し、その後、スパーテルでよく攪拌、懸濁させ、目開き2.36mm、線径(Wire Dia.)1.0mmである8メッシュ(ASTM E11-04)の篩を通過した溶液(2質量%水分散液)を用いる。
【0068】
また、本発明における膨化食品組成物の分散液中の粒子の各種の粒子径を求める際には、チャンネル(CH)毎の粒子径分布を測定した上で、後掲の表2に記載した測定チャンネル毎の粒子径を規格として用いて求める。具体的には、後掲の表2の各チャンネルに規定された粒子径以下で、且つ数字が一つ大きいチャンネルに規定された粒子径(測定範囲の最大チャンネルにおいては、測定下限粒子径)よりも大きい粒子の頻度を、後掲の表2のチャンネル毎に測定し、測定範囲内の全チャンネルの合計頻度を分母として、各チャンネルの粒子頻度%を求める(これを「○○チャンネルの粒子頻度%」とも称する)。例えば、1チャンネルの粒子頻度%は、2000.00μm以下かつ1826.00μmより大きい粒子の頻度%を表す。特に、最大粒子径については、後掲の表2の132チャンネルのそれぞれにおける粒子頻度%を測定して得られた結果について、粒子頻度%が認められたチャンネルのうち、最も粒子径が大きいチャンネルの粒子径として求める。言い換えれば、本発明において膨化食品組成物の分散液中の粒子の最大粒子径をレーザ回折式粒度分布測定装置を用いて測定する場合、その測定条件としては、測定溶媒として蒸留水を用い、測定上限2000.00μm、測定下限0.021μmの対象について、サンプル投入後速やかに粒子径を測定するということになる。
【0069】
【0070】
[単糖類]
本発明において「単糖類」とは、加水分解によって最も単純な構造になった糖質である。単糖類の例としては、制限されるものではないが、グルコース、キシロース、マンノース、ガラクトース、アラビノース、リキソース、フルクトースが挙げられる。
【0071】
本発明の膨化食品組成物が、生地組成物に発酵工程を行わない無発酵膨化食品組成物(例えばエクストルーダーによる調製品)である場合、膨化食品組成物中の可溶性炭水化物含量に対する単糖類含量の割合は、成形性の観点に加えて60℃以上の加温条件下で圧着成形する際の変色を抑制する観点からその割合が少ないことが好ましい。例えば0質量%以上30質量%以下の範囲とすることができる。より具体的には当該割合が乾燥質量換算で30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、さらには20質量%以下が好ましく、特には15質量%以下が好ましい。一方、下限は特に制限されないが0質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは4質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上である。また、膨化食品組成物が上記規定を充足しても良い。さらに、無発酵膨化食品組成物に比べて相対的に加熱温度が低い発酵膨化食品組成物において、下限が0質量%以上、又は1質量%以上、又は2質量%以上、又は3質量%以上又は4質量%以上、又は5質量%以上、上限が100質量%以下、又は95質量%以下であっても良い。
【0072】
また膨化食品組成物が、生地組成物に発酵工程を行わない無発酵膨化食品組成物(例えばエクストルーダーによる調製品)である場合、上記単糖の中でも、本発明の膨化食品組成物中の可溶性炭水化物含量に対するグルコースとフルクトースの合計含有量割合は、乾燥質量換算で例えば0質量%以上30質量%以下の範囲とすることができる。より具体的には30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、さらには20質量%以下が好ましく、特には15質量%以下が好ましい。一方、下限は特に制限されないが0質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは4質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上である。また、膨化食品組成物が上記規定を充足しても良い。さらに、無発酵膨化食品組成物に比べて相対的に加熱温度が低い発酵膨化食品組成物において、下限が0質量%以上、又は1質量%以上、又は2質量%以上、又は3質量%以上又は4質量%以上、又は5質量%以上、上限が100質量%以下、又は95質量%以下であっても良い。
【0073】
さらに、本発明の膨化食品組成物中(特に生地組成物に発酵工程を行わない無発酵膨化食品組成物)の可溶性炭水化物含量に対する少糖類(単糖が2~10個程度結合した糖類)含量の割合が一定以上であることで、成形性の観点に加えて60℃以上の加温条件下で圧着成形適正が向上することから好ましい。例えば1.0質量%以上40質量%以下の範囲とすることができる。より具体的には、その下限が乾燥質量換算で1.0質量%以上、さらには1.5質量%以上が好ましく、又は2.0質量%以上が好ましく、又は2.5質量%以上が好ましく、又は3.0質量%以上が好ましく、又は4.0質量%以上が好ましく、特には5.0質量%以上が好ましい。一方、上限は特に制限されないが40質量%以下、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下である。また、上記規定を段階(i)で充足する場合がある。
【0074】
尚、本発明の膨化食品組成物中の可溶性炭水化物含量に対するグルコースとフルクトースの合計含有量の割合は、高速液体クロマトグラフ法を用い、「日本食品標準成分表2015年版(七訂)分析マニュアル」に記載の方法に準じて測定する。
【0075】
[密度]
本発明の膨化組成物は、膨化によりその密度(「かさ密度」また「密度比重」と称される場合もある)が所定の値未満であることが好ましい。具体的には、本発明の組成物の密度(かさ密度)は、例えば0.04g/cm3超1.0g/cm3未満の範囲とすることが好ましい。より具体的に、その上限は、1.00g/cm3未満であることが好ましく、中でも、0.90g/cm3以下、さらには0.85g/cm3以下、さらには0.80g/cm3以下、さらには0.75g/cm3以下、さらには0.70g/cm3以下、特には0.65g/cm3以下がより好ましい。下限としては特に限定されるものではないが、形態維持の観点から、0.04g/cm3以上が好ましく、中でも0.05g/cm3以上、さらに0.08g/cm3以上、0.10g/cm3以上、さらには0.12g/cm3以上、さらには0.15g/cm3以上、さらには0.17g/cm3以上、さらには0.20g/cm3以上、さらには0.24g/cm3以上、特には0.27g/cm3以上であることがより好ましい。尚、本発明における組成物の密度は見た目かさ比重に準じた方法で測定することができる。具体的には、膨化食品組成物の密度の測定方法としては、当該組成物質量を、当該組成物が内接する最小体積の仮想直方体体積で割り返すことで求められる、組成物重量を、組成物の見た目かさ体積(「組成物自身の体積」「組成物表面における外部と連通した細孔の体積」「内部空隙の体積」「組成物外部において組成物が内接する最小体積の仮想直方体との間に形成される空隙」を合算した体積)によって除することで求められる値である。例えば約100gの試料を圧密せずに乾いた250mLメスシリンダー(最小目盛単位:2mL)に静かに入れることで近似的に測定することができる。なお、密度の値は、「比重(4℃大気圧下℃における水の密度0.999 972 g/cm3に対する、ある物質の密度の比)」の値とほぼ一致するため、上記規定における数値を無単位数とした比重によって規定しても良い。
【0076】
[乾量基準含水率]
本発明における膨化食品組成物における水分含量(乾量基準含水率)は、原料に含有される水分量と別途添加した水分量とが、膨化加工後に組成物に残存した合計含有量を表す。その含有量は、膨化食品組成物全体の質量に対する割合(水を除いた状態の試料の重量を100とする乾量基準含水率)として、例えば0質量%以上50質量%以下の範囲とすることができる。具体的には50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましく、20質量%以下であることが特に好ましい。下限としては特に限定されるものではないが、0質量%以上であることが好ましい。
【0077】
乾量基準含水率は、日本食品標準成分表2015年版(七訂)に準じ、減圧加熱乾燥法で90℃に加温することで測定する。具体的には、あらかじめ恒量になったはかり容器(W0)に適量の試料を採取して秤量し(W1)、常圧において、所定の温度(より詳しくは90℃)に調節した減圧電気定温乾燥器中に、はかり容器の蓋をとるか、口を開けた状態で入れ、扉を閉じ、真空ポンプを作動させて、所定の減圧度において一定時間乾燥し、真空ポンプを止め、乾燥空気を送って常圧に戻し、はかり容器を取り出し、蓋をしてデシケーター中で放冷後、質量をはかる。そのようにして恒量になるまで乾燥、放冷、秤量する(W2)ことを繰り返し、乾量基準含水率(質量%)を次の計算式で求める。
【0078】
[数1]
水分(g/100g)=(W1-W2)/(W2-W0)×100
【0079】
〔式中、W0は恒量としたはかり容器の質量(g)を示し、W1は試料を入れたはかり容器の乾燥前の質量(g)を示し、W2は試料を入れたはかり容器の乾燥後の質量(g)を示す。〕
【0080】
[油脂]
本発明の膨化食品組成物は、1種又は2種以上の油脂を含有していてもよい。その割合は、乾燥質量換算で例えば0質量%以上50質量%以下の範囲とすることができる。より具体的には、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましく、20質量%以下であることが特に好ましい。下限としては特に限定されるものではないが、0質量%以上であることが好ましい。2種以上の油脂を含有する場合は、2種以上の油脂の組合せやその比率は任意である。油脂の種類としては、食用油脂、各種脂肪酸やそれらを原料とする食品などが挙げられるが、食用油脂を用いることが好ましい。食用油脂は、食材中に含まれる油脂でもよいが、食材とは別の食用油脂を添加する方が、食材とのなじみが良いため好ましい。なお、食材とは別の食用油脂を添加する場合は、斯かる食材とは別の食用油脂が、膨化食品組成物の全油脂分含量の10質量%以上、中でも30質量%以上を占めるように、その使用量を調整することが好ましい。本発明における「全油脂分含量」とは、膨化食品組成物中の全油脂分(即ち、膨化食品組成物の調製時に配合した油脂のみならず、原料とする食品やその他の任意成分に含まれる油脂分も含めた全油脂分)の膨化食品組成物全体に対する質量比率を表す。尚、全油脂分含量は、クロロホルム・メタノール混液抽出法を用い、「食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)」に記載の方法に準じて測定する。
【0081】
食用油脂の具体例としては、ごま油、菜種油、高オレイン酸菜種油、大豆油、パーム油、綿実油、コーン油、ひまわり油、高オレイン酸ひまわり油、サフラワー油、オリーブ油、亜麻仁油、米油、椿油、荏胡麻油、香味油、ココナッツオイル、グレープシードオイル、ピーナッツオイル、アーモンドオイル、アボカドオイル、カカオバター、サラダ油、キャノーラ油、又はMCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、ジグリセリド、硬化油、エステル交換油、乳脂、牛脂などの動物性油脂などが挙げられるが、特に、ごま油、オリーブ油、菜種油、大豆油、ひまわり油、米油、ココナッツオイル、パーム油などの常温(20℃)下で液体状の食用油脂が好ましく、風味の観点から、オリーブ油、ココナッツオイル、菜種油がより好ましい。また、それら液体状の食用油脂割合が膨化食品組成物の全油脂分含量の10質量%以上、中でも30質量%以上、更には50質量%以上、又は70質量%以上、又は90質量%以上を占めるように、その使用量を調整することが好ましい。各種脂肪酸を原料とする食品の具体例としては、バター、マーガリン、ショートニング、生クリーム、豆乳クリーム(例えば不二製油株式会社の「濃久里夢(こくりーむ)」(登録商標))などが挙げられる。また、上記規定を段階(i)で充足する場合がある。
【0082】
[その他の条件]
本発明の膨化食品組成物は、歯への付着の観点から、膨化食品組成物を加熱した油脂中で揚げたり炒めたりする油ちょうによる調製品でないことが好ましい。
【0083】
また、本発明の膨化食品組成物は、製造工程の簡素化の観点から、エクストルーダーによる調製品であることが好ましい。尚、エクストルーダーについては、後述の膨化食品組成物の製造方法において詳述する。
【0084】
更に、本発明の膨化食品組成物は、本発明の効果のより顕著な奏効の観点から、前記豆類の食物繊維局在部位である種皮部を含有することが好ましい。尚、豆類の種皮部とは、豆が入っている鞘のことではなく、豆粒自体の表層を覆う膜状構造の皮を指す。豆類の種皮部は、一般的な脱皮機等により豆類から分離できる。尚、豆類の種皮部は、種皮部付きの豆類を用いることによってもよく、豆類から分離した種皮部を別途用いることによってもよい。
【0085】
また、本発明に用いる豆類及び/又は雑穀類において、これらの可食部及び食用植物の食物繊維局在部位はそれぞれ別の種類の豆類、雑穀類に由来するものであってもよいが、風味の統一性の観点から、同一種類の食用植物に由来する可食部及び食物繊維局在部位を含むことが好ましい。さらには、同一個体の豆類及び/又は雑穀類に由来する可食部及び食物繊維局在部位を含むことが好ましい。即ち、同一個体の豆類及び/又は雑穀類に由来する可食部の一部又は全部と、食物繊維局在部位の一部又は全部とを使用することで、斯かる豆類及び/又は雑穀類を無駄なく利用すること、食物繊維局在部位は豆類が本来有する特徴的な香りが強いため食物繊維局在部位をおいしく食べることが可能となる。特に食物繊維局在部位が不溶性食物繊維局在部位であることが好ましい。
【0086】
さらに、豆類のうち、種皮部分を有する豆類(ダイズ類やエンドウ類など)における粉末化した種皮部分(食物繊維局在部位)を含有することで風味(フレーバーリリース)が良好な固形状組成物となるため好ましい。乾燥豆類の粉末化した種皮部分と、可食部から種皮部分を除去した残分(子葉部分など)とは、それぞれ別の種類の豆類に由来するものであってもよいが、風味の統一性の観点から、同一種類の豆類に由来することが好ましく、さらには、同一個体の豆類に由来することがより好ましい。また、乾燥豆類の粉末化した種皮部分と可食部から種皮部分を除去した残分は、それぞれ別個に破砕したものを使用しても良く、種皮部分を有する乾燥豆類を丸ごと破砕したものを使用しても良く、他の破砕する食用植物(乾燥野菜類、乾燥穀類(特に乾燥雑穀類)、乾燥イモ類、乾燥果実類)と、乾燥豆類の種皮部分及び/又は可食部から種皮部分を除去した残分とを共に破砕したものを使用しても良い。また、特に豆類としてエンドウ類の種皮を含有することが好ましい。
【0087】
(その他の成分)
本発明の膨化食品組成物は、前記の各種成分に加えて、1種又は2種以上のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分の例としては、調味料、油脂、食品添加物、栄養成分、結着剤等が挙げられる。
【0088】
栄養成分の例としては、ビタミン類(ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK及び葉酸等)、畜肉や乳、卵等が由来の動物性たんぱく質、脂質(α-リノレン酸、EPA、DHA等のn-3系脂肪酸や、リノール酸やアラキドン酸等のn-6系脂肪酸等)、食物繊維、ポリフェノール等の機能性成分等が挙げられる。栄養成分の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲内で、その種類に応じて適宜設定することができる。
【0089】
但し、本発明の膨化食品組成物は、結着剤を実質的に含有しないことが好ましい。結着剤の例としては、卵や乳等の動物性たんぱく質含有食材やその抽出物、リン酸一ナトリウムやリン酸二カリウム等の正リン酸塩、ポリリン酸ナトリウムやメタリン酸ナトリウム等の重合リン酸塩等が挙げられる。本発明の膨化食品組成物は、こうした結着剤を使用せずとも、喫食時の飛散性を抑える効果が得られる。また、健康志向の消費者が満足する品質を提供する観点からも、こうした結着剤の使用は抑えることが望ましい。特に卵及び/又は乳は、「食品表示基準」(平成27年内閣府令第10号)で定められている特定原材料で、諸外国でもアレルゲンとして定められているものであることから、アレルゲンを望まない消費者の観点から、卵を実質的に含まない構成、又は乳を実質的に含まない構成が好ましく、卵と乳を共に実質的に含まない構成が最も好ましい。この場合、実質的に含まないとは、アレルゲンとして影響がある量を含まないことをいい、例えば、日本の「食品表示基準」(平成27年内閣府令第10号)において表示の対象となる特定原材料等の総たんぱく量を含まないことをいい、より具体的にはその含有量がアレルゲンの表示基準である10ppm未満(より好ましくは一般的な測定方法の下限である1ppm未満)であることをいう。
【0090】
具体的に、本発明の膨化食品組成物は、結着剤、特に卵及び/又は乳に由来する成分の含量が、膨化食品組成物全体の5質量%以下であることが好ましく、中でも3質量%以下、さらには1質量%以下、特には実質的に0質量%であることがより好ましい。尚、本発明において、卵及び/又は乳に由来する成分とは、例えば、「食品表示基準について」(消食表第139号)の別添「アレルゲンを含む食品に関する表示」の別表1にある卵及び/又は乳が挙げられ、具体的には、鶏卵、あひるやうずらの卵等の食用鳥卵、鶏卵の加工製品、生乳、牛乳、加工乳等の乳、クリーム、バター、チーズ、アイスクリーム、練乳、粉乳、粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、発酵乳、乳酸菌飲料、乳飲料等の乳製品や乳又は乳製品を主原料とする食品等をいう。
【0091】
また、本発明の膨化食品組成物は、いわゆる食品添加物の乳化剤、着色料及び増粘安定剤から選ばれる成分(例えば、食品添加物表示ポケットブック(平成23年版)の「表示のための食品添加物物質名表」に「着色料」、「増粘安定剤」、「乳化剤」として記載されているもの)から選ばれる何れか1つの含有量が乾燥質量換算で通常1.0質量以下、中でも0.5質量%以下、更には0.1質量%以下、特に実質的に含有しない(具体的には、アレルゲンの表示基準である10ppm未満、特に一般的な測定方法の下限である1ppm未満の含有量であることを表す)又は含有しないことが好ましい。また、何れか2つの含有量が通常1.0質量以下、中でも0.5質量%以下、更には0.1質量%以下、特に実質的に含有しない(具体的には、アレルゲンの表示基準である10ppm未満、特に一般的な測定方法の下限である1ppm未満の含有量であることを表す)又は含有しないことがより好ましい。さらに、3つ全ての含有量が通常1.0質量以下、中でも0.5質量%以下、更には0.1質量%以下、特に実質的に含有しない(具体的には、アレルゲンの表示基準である10ppm未満、特に一般的な測定方法の下限である1ppm未満の含有量であることを表す)又は含有しないことが好ましい。特に、食品添加物の含有量が通常1.0質量以下、中でも0.5質量%以下、更には0.1質量%以下、特に含有しないことがより好ましい。また、上記規定を段階(i)で充足する場合がある。
【0092】
また、本発明の膨化食品組成物は、食品添加物としてのセルロース(セルロースを酸加水分解又はアルカリ酸化分解して得られる実質的に一定の重合度を有するもの。典型的には重合度100~300であり、市販品としては、アビセル(旭化成)などが挙げられる)が膨化食品組成物全体の5質量%以下であることが好ましく、中でも3質量%以下、さらには1質量%以下、特には実質的に0質量%であることがより好ましい。
【0093】
調味料、食品添加物等の例としては、醤油、味噌、アルコール類、食塩、人工甘味料(例えばスクラロース、アスパルテーム、サッカリン、アセスルファムK等)、ミネラル(例えば亜鉛、カリウム、カルシウム、クロム、セレン、鉄、銅、ナトリウム、マグネシウム、マンガン、ヨウ素及びリン等)、香料、香辛料、pH調整剤(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、乳酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸及び酢酸等)、デキストリン、シクロデキストリン、酸化防止剤(例えば茶抽出物、生コーヒー豆抽出物、クロロゲン酸、香辛料抽出物、カフェ酸、ローズマリー抽出物、ルチン、ケルセチン、ヤマモモ抽出物、ゴマ抽出物等)等、乳化剤(例えばグリセリン脂肪酸エステル、サポニン、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン等)、着色料、増粘安定剤、糖類(ブドウ糖、ショ糖(スクロース)、果糖、ブドウ糖果糖液糖、果糖ブドウ糖液糖)、糖アルコール(キシリトール、エリスリトール、マルチトール)等が挙げられる。
【0094】
本発明の膨化食品組成物は、健康志向の消費者が満足する品質を提供する観点から、食品添加物(例えば、食品添加物表示ポケットブック(平成23年版)中の「表示のための食品添加物物質名表」に記載されている物質を食品添加物用途に用いたもの)を実質的に含有しないことがとりわけ望ましい。具体的に、本発明の膨化食品組成物は、食品添加物の含量が、乾燥質量換算で膨化食品組成物全体の5質量%以下であることが好ましく、中でも3質量%以下、さらには1質量%以下、特には実質的に0質量%であることがより好ましい。尚、調味料の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲内で、その種類に応じて適宜設定することができる。
【0095】
(その他の食材)
本発明の膨化食品組成物は、前記豆類及び/又は雑穀類や食用植物に加えて、その他の食材を含有していてもよい。ここでいう、その他の食材とは、具体的には、レーザ回折式粒子径分布測定の測定対象とならない2000μm(2mm)より大きい食材や具材をいう。斯かるその他の食材としては、植物性食材、微生物性食材、動物性食材等が挙げられるが、いずれを用いてもよい。これらの食材は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせで併用してもよい。また、これらの食材はそのまま用いてもよく、各種の処理(例えば乾燥、加熱、灰汁抜き、皮むき、種実抜き、追熟、塩蔵、果皮加工等)を加えてから使用してもよい。尚、その他の食材の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲内で、その種類に応じて適宜設定することができる。また、上記規定を段階(i)で充足する場合がある。
【0096】
[膨化食品組成物の製造方法]
本発明の膨化食品組成物の製造方法は、特に制限されるものではなく、前記の各種要件を充足する膨化食品組成物が得られる限りにおいて、任意の手法を用いることができる。例えば、本発明の膨化食品組成物の前記の材料、例えば豆類及び食用植物と、任意により用いられるその他の食材、及びその他の成分とを混合して生地組成物を調製し、次いで生地組成物内部の気泡を膨張させ、本発明の膨化食品組成物を効率的に製造することが可能である。
【0097】
より具体的には、例えば、下記(i)から(ii)の段階を含む、豆類及び食用植物を含有する膨化食品組成物の製造方法を挙げることができる。
(i)下記(1)から(5)を全て充足する、生地組成物を調製する段階。
(1)微細化された豆類及び/又は雑穀類の可食部及び食用植物の食物繊維局在部位が乾燥質量換算で10質量%以上である。
(2)でんぷんを乾燥質量換算で5質量%以上含有する
(3)食物繊維(特に不溶性食物繊維)の含有量が乾燥質量換算で3質量%以上である。
(4)タンパク質の含有量が乾燥質量換算で4質量%以上である。
(5)豆類、雑穀類、イモ類、種実類、野菜類及び果実類から選ばれる1種以上の食用植物に含有された状態の可溶性炭水化物が乾燥質量換算で2質量%以上である。
(ii)前記(i)の生地組成物内部の気泡を膨張させる段階。
【0098】
(段階(i))
段階(i)においては、豆類及び食用植物と、任意に用いられるその他の食材及びその他の成分とを混合し、食物繊維(特に不溶性食物繊維)、でんぷん、可溶性炭水化物及びタンパク質の各含有量が前記範囲内となるように調整する。
【0099】
本発明においては、容易な取り扱い性の観点から、豆類及び食用植物、任意により用いられるその他の食材としては、予め乾燥処理を施した豆類及び食用植物、即ち乾燥食材を使用することが好ましい。
【0100】
食材の乾燥方法としては、一般的に食品の乾燥に用いられる任意の方法を用いることができる。例としては、天日乾燥、陰干し、フリーズドライ、エアドライ(例えば熱風乾燥、流動層乾燥法、噴霧乾燥、ドラム乾燥、低温乾燥等)、加圧乾燥、減圧乾燥、マイクロウェーブドライ、油熱乾燥等が挙げられる。中でも、食材が本来有する色調や風味の変化の程度が小さく、食品以外の香り(こげ臭等)を制御できるという点から、エアドライ(例えば熱風乾燥、流動層乾燥法、噴霧乾燥、ドラム乾燥、低温乾燥等)又はフリーズドライによる方法が好ましい。
【0101】
また、食用植物、任意で用いられるその他の食材としては、予め粉砕したものを用いてもよい。粉砕処理の手段は特に限定されず、処理時の温度や圧力も何れであってもよい。粉砕処理の装置の例としては、ブレンダー、ミキサー、ミル機、混練機、粉砕機、解砕機、磨砕機等の機器類が挙げられるが、これらの何れであってもよく、乾式粉砕又は湿式粉砕のいずれであってもよい。なお、食用植物等の原料、並びに食物繊維(特に不溶性食物繊維)、でんぷん及びタンパク質の具体的構成は、前述したとおりである。
【0102】
また、段階(i)においては、上記の予め乾燥処理を施した豆類及び食用植物、即ち乾燥食材をあらかじめ混練によって顆粒化し、任意で乾燥させた顆粒状原料複合体の状態で使用してもよい。上記の顆粒状複合体の大きさは特に制限されるものではないが、後記[本発明の膨化食品組成物の膨化前生地組成物]に記載されるサイズであることが好ましい。
【0103】
(段階(ii))
段階(ii)においては、前記段階(i)で得られた生地組成物内部の気泡を膨張させることで、エアリーな食感の組成物を得ることができる。より具体的には、段階(ii)が(I)から(II)の段階を含む膨化食品組成物の製造方法を採用することができる。
段階(I)前記(i)の組成物を、加圧条件下、温度100℃以上で混練する段階。
段階(II)前記(I)の組成物を、温度100℃以上で常圧に戻す段階。
【0104】
(段階(I))
段階(I)においては、前記段階(i)で得られた生地組成物を、加圧条件下、温度100℃以上で混練する。このような高温加圧条件で生地組成物を混練することで、食物繊維(特に不溶性食物繊維)、でんぷん、タンパク質等の複合体の形成が促進され、所望の特性に制御しやすくなる。また、この温度は生地組成物が焦げない程度の高温であることが好ましい。
【0105】
混練時の温度は、例えば100℃以上300℃以下の範囲とすることができる。より具体的に、下限としては、通常100℃以上であるが、中でも105℃以上、更には110℃以上、特に115℃以上とすることが好ましい。混練時の下限温度を前記とすることで、膨化食品組成物をべたつかずエアリーな食感にすることができる。特に豆類は140℃以上であることが好ましい。一方、混練時の温度の上限としては、通常300℃以下、250℃以下、更に200℃以下、更に190℃以下、更に180℃以下、更に170℃以下、更に165℃以下、更には160℃以下、特に155℃以下とすることが好ましい。混練時の上限温度を前記とすることで、膨化食品組成物を硬すぎずエアリーな食感にすることができる。
【0106】
混練時の圧力は、例えば0.1MPa以上50MPa以下の範囲とすることができる。より具体的に、下限は、通常0.1MPa以上、更には0.3MPa以上、更には0.5MPa以上、更には1MPa以上、更には2MPa以上、更には3MPa以上とすることが好ましい。一方、混練時の圧力の上限は、圧力設備の耐圧性等の要請から適宜定めればよいが、例えば50MPa以下とすることができる。
【0107】
混練時間は、混練の温度及び圧力、混練容器の大きさ等から適宜定めればよいが、一般的には、例えば0.5分間以上60分間以内の範囲とすることができる。より具体的に、混練時間の下限は、通常0.5分間以上、好ましくは0.8分以上、より好ましくは1分間以上、更に好ましくは2分間以上である。一方、混練時間の上限は、通常60分間以内、好ましくは30分間以内、更に好ましくは15分間以内とすることができる。
【0108】
(段階(II))
段階(II)においては、前記段階(I)後の組成物を、組成物温度が100℃以上の状態で常圧に戻す。その段階(II)における温度は、例えば100℃以上300℃以下の範囲とすることができる。より具体的に、下限としては通常100℃以上であるが、中でも105℃以上、更には110℃以上、特に115℃以上とすることが好ましい。上限は特に限定されないが、通常300℃以下、250℃以下、更に200℃以下、更に190℃以下、更に180℃以下、更に170℃以下、更に165℃以下、更には160℃以下、特に155℃以下である。このように一定以上の組成物温度を保ったまま組成物を減圧することで、組成物中の水分が急激に蒸発して組成物が膨化しやすくなる。従って、段階(I)後の組成物を、所定温度以上に保った状態で、加圧条件下から速やかに常圧下に放出することが好ましい。
【0109】
圧力を常圧に戻すときの温度、圧力条件は、組成物の膨化を促進できれば特に制限されないが、通常は段階(II)における温度は、段階(I)における温度以下であることが好ましく、段階(I)における温度から10℃以上低下することがより好ましい。なお、温度の低下は段階(II)において組成物内部の水分が急激に蒸発することで組成物から熱を奪うことで達成されても良い。
【0110】
(エクストルーダー)
以上説明した本発明の製造方法により、本発明の膨化食品組成物を製造することができるが、高温条件での混練処理(前記段階(I)及び前記段階(II))については、エクストルーダーを用いることが好ましい。即ち、エクストルーダーを用いて前記の段階(I)及び段階(II)を実施すれば、通常圧力条件を前記の範囲を充足するための管理が不要であり、温度条件についても効率的に前記の範囲に調整、維持することが可能である。よって、エクストルーダーを用いることで、本発明の膨化食品組成物を効率的且つ簡便に製造することが可能となる。
【0111】
エクストルーダーの種類は特に限定されないが、加水、混練、加熱、冷却、押出し成形までの各処理をひとつのユニットで実施できるものが好ましい。具体的には、1軸エクストルーダー及び2軸エクストルーダーのいずれも使用することができるが、工業的な生産性の観点から、2軸エクストルーダーを用いることが好ましい。
【0112】
エクストルーダーで本発明の製造方法を実施する場合、その条件は以下のとおりである。
【0113】
段階(i)では、生地組成物を調製すべき原料をエクストルーダーに投入して混合する。通常はエクストルーダーに、まず原材料である微細化食用植物等の固形材料を投入した後、続いて水を投入する。
【0114】
エクストルーダー内での投入原料の滞留時間(バレル内に投入されてから排出口から排出されるまでのバレル内滞留時間)は、バレル内容積やバレル内圧力等を考慮し適宜に調節すればよく、特に限定されるものではないが、例えば0.5分以上60分以下の範囲とすることができる。より具体的に、本発明の効果をより高める観点からは、通常0.5分以上、好ましくは0.8分以上、より好ましくは1分以上、更に好ましくは2分以上、更に好ましくは3分以上であって、通常60分以下、好ましくは30分以下、更に好ましくは15分以下である。
【0115】
エクストルーダーへの投入原料のフィード流量も特に限定されず、バレル内容積、滞留時間、バレル内圧力等を考慮し適宜に調節すればよい。例えば、0.06kg/時間(hr)以上1000kg/時間(hr)以下の範囲とすることができる。より具体的に、通常0.06kg/時間(hr)以上、好ましくは0.1kg/時間(hr)以上、より好ましくは0.2kg/時間(hr)以上、更に好ましくは0.3kg/時間(hr)以上であって、通常1000kg/時間(hr)以下、好ましくは800kg/時間(hr)以下、より好ましくは600kg/時間(hr)以下、更に好ましくは400kg/時間(hr)以下とすることができる。
【0116】
エクストルーダーへの水の投入量は、所望の生地組成物の物性に応じて適当に調整することができるが、段階(i)における生地組成物の乾量基準含水率(生地組成物から水の重量を除いた固形分重量を分母とした、水を含まない状態の試料の重量を100とする含水率)が所定割合となるように、豆類及び/又は雑穀類などの原料に含有される水分に加えて適宜水を含有させることが好ましい。例えば乾量基準含水率が3質量%以上100質量%以下の範囲とすることができる。より具体的には、生地組成物における乾量基準含水率の下限が3質量%以上、中でも5質量%以上、更には7質量%以上、特に10質量%以上とすることが好ましい。上限は特に制限されないが、通常100質量%以下、好ましくは80質量%以下、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。
【0117】
段階(I)では、エクストルーダーを用いて生地組成物を高温加圧下で混練する。混練時の温度条件は前述したとおりであるが、エクストルーダーバレル内における滞留時間の過半における温度が前記温度範囲内を満たすことが好ましい。混練時の加圧条件も前述したとおりであるが、エクストルーダーを用いて混練を行う場合には通常は前述の加圧条件を充足するため、通常は圧力の管理は不要である。混練処理時のエクストルーダーのスクリュー回転数は、特に制限されるものではなく、一般的な条件に設定することができる。例としては、50~1000rpmの範囲内(例えば250rpm程度)とすることが望ましい。
【0118】
段階(II)では、高温加圧条件下で混練処理を行った組成物を、その温度を維持したまま常圧下に押出し成形する等の方法で常圧に戻す。これにより、組成物中の水分が一気に膨張・蒸発して膨化し、擾乱前後の粒子の粒子径が上記範囲内に制御された膨化食品組成物を効率的且つ簡便に製造することができる。
さらに、段階(II)の膨化処理時又は膨化処理後に所望の形状に成形するが、本発明の膨化食品組成物は、膨化後の組成物が圧着成形しやすいという特性を有する。特に膨化処理後の組成物でも全く問題なく成形できるため、本発明には圧着成型された状態の膨化食品組成物加工品が含まれる。
具体的には、袋状または筒状といった組成物内部に内容物が充填可能な形状に成型した膨化食品組成物における内部空間に内容物を充填した後、開口部を圧着成形によって密封することによって得られる膨化食品組成物加工品や、複数の形状の膨化食品組成物を圧着成形によって一体化させた状態の膨化食品組成物加工品が例示される。
【0119】
(段階(III))
また、段階(ii)が(III)から(IV)の段階を含む膨化食品組成物の製造方法であってもよい。
段階(III)前記(i)の生地組成物を酵母発酵させる及び/または膨張剤を混合させる段階。
段階(IV)前記(III)の生地を、焼成する段階。
具体的には、段階(III)においては、前記段階(i)で得られた生地組成物を、生地組成物を加熱処理やや酵母などによる発酵処理によって体積を増加させることで、エアリーな食感の組成物になるため好ましい。
【0120】
段階(III)の膨張剤については、当該技術分野にて公知の手法により、任意の条件で実施することができる。通常は、ベーキングパウダーを用いたものがある。ベーキングパウダーを用いたものがある。ベーキングパウダーは、炭酸ガスを発生する重曹を基剤(ガス発生剤)として含有すると共に、この重曹の分解を助けるための助剤として酸性剤を含有する。また、膨張剤には、低い温度で大量のガスを発生させる速効性(即効性)のもの、高い温度になってから大量のガスを発生させる遅効性のもの、即効性と遅効性との中間に位置する中間性のもの、じっくりと焼き上げるために長い加熱時間に耐えられる持続性のものなどがあるが、いずれの膨張剤を用いても良い。
【0121】
段階(III)の発酵処理における、発酵処理発酵手法は特に制限されず、当該技術分野にて公知の手法により、任意の条件で実施することができる。通常は、生地組成物を酵母と混合し、所定の温度で所定の時間に亘って保持すればよい。発酵用酵母としては、制限されるものではないが、清酒酵母、パン酵母、ビール酵母、ワイン酵母等が挙げられる。発酵温度も制限されないが、例えば0℃以上60℃以下の範囲とすることができる。より具体的には通常0℃以上、中でも4℃以上、さらには10℃以上である。上限は特に制限されないが、通常60℃以下、中でも50℃以下とすることができる。発酵時間も制限されないが、例えば通常30分以上36時間以内の範囲とすることができる。より具体的には通常30分以上、中でも60分以上、また、通常36時間以内、中でも24時間以内とすることができる。その配合量は発酵温度、時間に応じて任意で調整することができるが、生地組成物において乾燥質量換算で0.01質量%以上10質量%以下とすることができる。より具体的には、その下限が0.01質量%以上、中でも0.05質量%以上、更には0.1質量%以上、又は0.2質量%以上、又は0.3質量%以上、特に0.4質量%以上とすることが好ましい。上限は特に制限されないが、通常10質量%以下、好ましくは8質量%以下、より好ましくは6質量%以下、さらに好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下、特に好ましくは2質量%以下である。
【0122】
(段階(IV))
(段階(IV))における焼成方法については、特に限定されることはないが、生地を挟み焼するようなホットサンドメーカー用ワッフルプレートや、加熱機能を持ったオーブンレンジなどを使用することができる。
【0123】
(段階(IV))において、ホットサンドメーカー用ワッフルプレートを用いる場合、組成物温度が100℃以上で焼成する。例えば100℃以上200℃以下の範囲とすることができる。より具体的には温度下限としては通常100℃以上であるが、中でも105℃以上、更には110℃以上、特に115℃以上とすることが好ましい。上限は特に限定されないが、通常200℃以下である。
【0124】
(段階(IV))において、オーブンレンジを用いる場合、組成物温度が100℃以上で焼成する。例えば100℃以上240℃以下の範囲とすることができる。より具体的には温度下限としては通常100℃以上であるが、中でも105℃以上、更には110℃以上、特に115℃以上とすることが好ましい。上限は特に限定されないが、通常240℃以下である。
【0125】
さらに本発明には膨化食品組成物を所定の温度以上で圧着成形する方法及びその方法によって得られる膨化食品組成物加工品が含まれる。具体的には、膨化食品組成物加工品を製造するにあたり、段階(ii)の後にさらに段階(V)を行う方法が含まれる。すなわち本発明には、段階(V)として、例えば、60℃以上100℃未満の範囲の状態で圧着成形する方法が含まれる。より具体的には膨化処理後組成物を60℃以上(より好ましくは70℃以上、さらに好ましくは80℃以上。上限は特に制限されないが通常100℃未満)の状態で圧着成形する方法が含まれる。
また、組成物の圧着成形に際しては、圧着成形に伴う組成物圧縮によって、その体積が圧縮前後で、例えば、0%超50%以下の範囲に減少する状態まで組成物開口部や2以上の組成物や組成物と組成物以外の内容物が接触した状態で押圧すれば良く、特に組成物同士が圧着成型される態様(組成物開口部や2以上の組成物が接触した状態で押圧する態様)がより強固に圧着成型されるため好ましい。より具体的には50%以下(より好ましくは40%以下、さらに好ましくは30%以下、さらに好ましくは20%以下、さらに好ましくは10%以下。下限は特に制限されないが通常0%超)に減少する状態まで組成物開口部や2以上の組成物が接触した状態で押圧すれば良い。圧着時に組成物を圧縮する圧力は特に制限されないが、好ましくは1MPa以上であり、その上限についても特に制限されないが好ましくは100MPa以下である。圧着に要する時間も特に制限されないが、好ましくは1秒以上であり、上限についても特に制限されないが好ましくは100秒以下である。
【0126】
また、前記段階(ii)の膨化処理前後で、前記擾乱後(超音波処理を行った場合における測定値また超音波処理後測定値と同じ意味を表す)d90は所定割合以上増加する(すなわち、「(膨化処理後組成物における擾乱後d90-膨化処理前の生地組成物における擾乱後d90)/膨化処理前の生地組成物における擾乱後d90」で規定される増加率が一定以上の数値となる)ことが好ましい。
例えば、段階(ii)における膨化処理の前後で40%以上1000%以下の範囲とすることができる、より具体的には、斯かる値は、段階(ii)における膨化処理の前後で通常40%以上、中でも45%以上、更には50%以上、とりわけ55%以上、又は60%以上、又は65%以上、又は70%以上とすることが好ましい。その理由は定かではないが、膨化処理時の加工によって糊化による強固なでんぷん構造が作られる可能性がある。上限は特に制限されないが、例えば通常1000%以下、又は700%以下、又は350%以下とすることができる。なお、本発明において特に指定が無い場合、「膨化処理前」とは(i)の段階における生地組成物の状態を表す、「膨化処理後」とは(ii)の段階が完了した後における膨化組成物の状態を表す。
【0127】
また、前記段階(ii)の膨化処理前後で、前記超音波処理時における膨化食品組成物の2質量%水分散液中のd90低下率(解砕率)は所定割合以上増加する(すなわち、「(膨化処理後組成物における解砕率-膨化処理前の生地組成物における解砕率)/膨化処理前の生地組成物における解砕率」で規定される増加率が一定以上の数値となる)ことが好ましい。
例えば、段階(ii)における膨化処理の前後で30%超1000%以下の範囲とすることができる、より具体的には、斯かる値は、段階(ii)における膨化処理の前後で通常30%超、中でも35%超、更には40%超、とりわけ45%超、又は50%超、又は55%超、又は60%超とすることが好ましい。その理由は定かではないが、膨化処理時の加工によって糊化による強固なでんぷん構造が作られる可能性がある。上限は特に制限されないが、例えば通常1000%以下、又は700%以下とすることができる。
【0128】
また、前記段階(ii)の膨化処理前後で、前記超音波処理を行った場合における個数基準平均径は所定割合以下増加する(すなわち、「(膨化処理後組成物における擾乱後個数基準平均径-膨化処理前の生地組成物における擾乱後個数基準平均径)/膨化処理前の生地組成物における擾乱後個数基準平均径」で規定される増加割合が一定以下の数値となる)ことが好ましい。
例えば段階(ii)における膨化処理の前後で0%超60%以下の範囲とすることができる、より具体的には、斯かる値は、段階(ii)における膨化処理の前後で通常60%以下、中でも55%以下、更には50%以下とすることが好ましい。その理由は定かではないが、膨化処理時の加工によって生成される強固なでんぷん構造以外に微細な粒子を保持されることで好ましい食感が奏されている可能性がある。下限は特に制限されないが、例えば通常0%超、又は10%以上とすることができる。
【0129】
[本発明の膨化食品組成物を含有する食品]
尚、本発明には、本発明の膨化食品組成物を含有する食品が含まれる。具体例としては、これらに限定されるものではないが、菓子、あられや、本発明の膨化食品組成物を生地に練りこんだニュートリジョンバー、袋状又は筒状といった組成物によって形成された内部空間(袋の内容部や筒を貫通する内部空間部に相当)に内容物が充填可能な形状に成型した膨化食品組成物内部に膨化物以外の内容物(チョコレートなど)を封入した内容物入り膨化食品組成物(パフ等)や、平板状に成形した2つの膨化物の縁部を圧着成形して袋状とした膨化食品組成物によって形成された内部空間(袋の内容部に相当)に膨化物以外の内容物(卵サラダや野菜、ウインナーなどの具材)を封入した内容物入り膨化食品組成物(ブレッド、ブレッド様食品、サンドイッチ等)や、V字型溝やU字型溝を穿った膨化組成物の溝部内に膨化物以外の内容物(卵サラダや野菜やウインナーなどの具材)を充填し、膨化組成物と内容物とを手動または機械で圧着成型したような内容物挟持膨化食品組成物(ブレッド、ブレッド様食品、サンドイッチ等)が例示される。また、V字型溝やU字型溝を穿った生地組成物の溝部内に膨化物以外の内容物(卵サラダや野菜やウインナーなどの具材)を充填し、その後の加工工程(例えば焼成工程)によって生地組成物が膨張することで膨化物と内容物とが圧着されて最終的に一体化するような内容物挟持膨化食品組成物(ブレッド、ブレッド様食品、サンドイッチ等)であっても良い。
【0130】
[本発明の膨化食品組成物の膨化前生地組成物]
前記段階(i)に記載の生地組成物は前記の材料、すなわち微細化豆類及び/又は雑穀類並びに/又は穀類、イモ類、種実類、野菜類及び果実類から選ばれる1種以上の食用植物から形成される所定の大きさ以上の顆粒状複合体の状態で用いることが生産性の観点から好ましい。具体的には、例えば豆類及び食用植物と、任意により用いられるその他の食材、及びその他の成分とを混合して調製し、混練によって顆粒化された顆粒状複合体を用いることで、エクストルーダー加工を行う際に安定的に生産することが可能である。なお顆粒状複合体は、顆粒化後に任意で乾燥処理を行っても良い。
【0131】
前記顆粒状複合体については、篩分画によって得られる特定メッシュオン及び/又は特定メッシュパスの顆粒状複合体画分によって特徴づけられる。本発明において、「メッシュオン」とは、特定サイズの篩上にとどまる顆粒状複合体画分を指し、「メッシュパス」とは、特定サイズの篩を通過する顆粒状複合体画分を指す。各画分含有量は、顆粒状複合体を目開きの異なる篩によって分画することによって測定する。例えば、「50メッシュオン」とは、50メッシュの篩上にとどまる顆粒状複合体画分を意味し、「0.1メッシュパス50メッシュオン」とは、0.1メッシュの篩を通過し50メッシュの篩上にとどまる顆粒状複合体画分を意味する。本発明における「メッシュ」とは金網・篩・フィルター等の目の密度を表す単位であり、1インチあたりの網目の数を表す。すなわち、例えば「1メッシュオン(パス)」とは、目開き2.50センチメートルの篩上にとどまる(通過する)顆粒状複合体画分を意味し、「0.1メッシュオン(パス)」とは、目開き25.0センチメートルの篩上にとどまる(通過する)顆粒状複合体画分を意味し、「50メッシュオン(パス)」とは目開き300マイクロメートルの篩上にとどまる(通過する)顆粒状複合体画分を意味する。
【0132】
具体的には、メッシュオンの針金の太さと目の間隔は、U.S.A. Standard Testing Sieves ASTM Specifications E 11-04にて規定されている数値(例えば50メッシュは、同文献中のNominal Dimensions, Permissible Variation for Wire Cloth of Standard Testing Sieves (U.S.A.) Standard Seriesにおける「Alternative」に規定された「No.50」と対応し、1メッシュは「1.00”」と対応する)またはそれに準じた数値を採用し、測定したい顆粒状複合体を含むサンプル(20℃)100gを、段階的に目開きの大きいものから小さいものへと順番に上から重ねた篩上に均等に広げて、組成物サイズが変わらない程度の負荷で振動させながら各篩上の画分重量が一定となるまで処理することでサイズを測定することができる。
【0133】
本発明の顆粒状複合体画分のサイズは例えば、50メッシュオン0.1メッシュパスの範囲とすることができる。より具体的には下限については、通常50メッシュオンであることが混練処理時のフィード速度が安定するため好ましい。中でも42メッシュオン、更に36メッシュオン、更に30メッシュオン、更に26メッシュオン、さらに22メッシュオン、特に18メッシュオンであることが好ましい。一方、本発明の顆粒状複合体のサイズ上限は、特に制限されないが、通常0.1メッシュパス、中でも0.5メッシュパス、さらに1メッシュパスであることが好ましい。
【0134】
また、当該サイズの顆粒状複合体画分(例えば50メッシュオン0.1メッシュパスサイズの画分)を乾燥質量換算で生地組成物全体の例えば、10質量%以上100質量%以下の範囲で含有することで、混練処理時のフィード速度が安定するため好ましい。より具体的には10質量%以上、中でも20質量%以上、更に30質量%以上、さらに40質量%以上、さらに50質量%以上、又は60質量%以上、又は70質量%以上、又は80質量%以上、さらに90質量%以上であることが好ましい。上限は特に制限されないが、通常100質量%以下、好ましくは100質量%未満である。
【実施例0135】
以下、本発明を実施例に則してさらに詳細に説明するが、これらの実施例はあくまでも説明のために便宜的に示す例に過ぎず、本発明は如何なる意味でもこれらの実施例に限定されるものではない。
【0136】
[膨化食品組成物試料の調製]
下記の表3~表6に示す材料を用いて、比較例及び試験例の膨化食品組成物試料を調製した。穀類、イモ類、種実類、野菜類、果実類としては食用植物に含有された態様の可溶性炭水化物(ショ糖)を多く(1質量%以上) 含有し、かつ他の天然成分(可溶性炭水化物以外の成分)も含有するものを用いた。具体的に、豆類の一種である黄色エンドウマメ(不溶性食物繊維局在部位である種皮を0.1質量%含有したもの)、黄色エンドウマメ(種皮なし)、ヒヨコマメ(不溶性食物繊維局在部位である種皮を1質量%含有したもの)、白インゲン(不溶性食物繊維局在部位である種皮を2質量%含有したもの)、ソラマメ(不溶性食物繊維局在部位である種皮を0.1質量%含有したもの)、白色エンドウマメ(不溶性食物繊維局在部位である種皮を1質量%含有したもの)、緑豆(不溶性食物繊維局在部位である種皮を0.1質量%含有したもの)、を微細化したもの(パウダー)と、雑穀類の一種であるキヌア、きび、えん麦(オーツ麦)、スイートコーン(非可食部と可食部の全部)、野菜類の一種であるビーツ(ビートルート、非可食部と可食部の全部)、キャベツ(非可食部と可食部の全部)、種実類の一種であるアーモンド、果実類の一種であるマンゴー、イモ類の一種であるサツマイモの乾燥物については、少なくとも水分活性値が0.95以下になるまで乾燥処理し、粉末化した。なお、各食材の可食部として、一般的に飲食に供される部分(非可食部以外の部分)を用いると共に、一部の食材の非可食部として、ビートルートはその根端、皮及び葉柄、キャベツはその芯、スイートコーンは穂軸を用いた。得られた乾燥粉末に、でんぷんを主とする食用植物の加工品の一種である米でんぷんパウダー、玄米パウダー、タンパク質を主とする小麦粉、油脂の一種であるナタネ油、可溶性炭水化物を含有する食用植物の加工品であって、食用植物に含有された状態の可溶性炭水化物(ショ糖)を多く(1質量%以上) 含有し、かつ他の天然成分(可溶性炭水化物以外の成分)も含有する果汁であるデーツ果汁、ビーツ果汁、バナナ果汁、柿果汁、野菜類(オオバコ)の食物繊維局在部位として酵素(天野エンザイム社製ペクチナーゼG「アマノ」)処理後サイリウムハスク粉末、精製された糖質の一種である精製ショ糖、不溶性食物繊維の一種であるセルロース粉末、ブレッド状の組成物を製造するためのパン酵母、炭酸水素ナトリウムを、表3~表6に示す原料配合割合に従って適宜混合した後、表中の「乾量基準含水率(質量%)」となるように適宜加水し、生地組成物を調製した。試験例1~7、比較例8、試験例9~22、比較例23~25、試験例26、試験例27、比較例28、比較例29については、生地組成物をエクストルーダーによって、加圧条件下、温度100℃以上で混練する段階(I)を経た後、温度100℃以上で常圧に戻す工程(II)を経て、生地組成物内部の気泡を膨張させた。
具体的には、エクストルーダーとして、スエヒロ社製の二軸エクストルーダーを用い、前記調製した生地を加圧条件下温度100℃以上で混練する段階として出口温度120℃となるように加圧混練した後(I)、前記(I)の組成物を温度100℃以上で常圧下に押出すことで組成物周辺の圧力を急激に減圧し(II)、組成物内部の水分を気化させることで膨化処理を行って、膨化食品組成物を調製した。加圧混練時の圧力は大気圧との差圧によって膨化処理が行える程度の圧力(具体的には1MPa以上)に適宜調整した。
また、試験例31については、調製した生地組成物に膨張剤としてベーキングパウダーとして炭酸水素ナトリウムを乾燥質量基準で0.5質量%混合し(III)、生地を金型(山善社製ホットサンドメーカー用 ワッフルプレート)に挟み、140℃で4分間焼成すること(IV)で生地組成物内部の気泡を膨張させた。
また、試験例30、試験例32~34、比較例35、試験例36~39については、生地組成物を酵母発酵させる段階(III)を経た後、発酵後の生地を、焼成する段階(IV)を経て、生地組成物内部の気泡を膨張させた。具体的には、生地に酵母(オリエンタル酵母社製生イースト)を乾燥質量基準で0.4質量%混合し、15℃16時間発酵させる段階を経た後、発酵後の生地をオーブン(株式会社東芝オーブンレンジER-VD7000)で200℃15分焼成することで生地組成物内部の気泡を膨張させた。
【0137】
[膨化食品組成物試料の成分含有量の測定]
各膨化食品組成物試料を適宜量り取り、組成物全体に対する食用植物に含有された状態の可溶性炭水化物及び単糖(グルコース、フルクトース含有量)は、「日本食品標準成分表2015年版(七訂)分析マニュアル」における「利用可能炭水化物(ぶどう糖、果糖
、ガラクトース、しょ糖、麦芽糖、乳糖及びトレハロース)」の測定方法に準じて高速液体クロマトグラフ法を用い、濃度既知の単糖類または少糖類(2~10糖)標準品との含有量比較によって求められた各測定値を合計することで求めた。食物繊維総量(不溶性食物繊維含量、可溶性食物繊維含量)は、プロスキー変法を用い、「食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)」及び「日本食品標準成分表2015年版(七訂)分析マニュアル」に記載の方法に準じて測定した。全油脂分含量は、クロロホルム・メタノール混液抽出法を用い、「食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)」に記載の方法に準じて測定した。でんぷん含量は、80%エタノール抽出処理により、測定値に影響する可溶性炭水化物(ぶどう糖、麦芽糖、マルトデキストリン等)を除去した方法を用い、「AOAC996.11」に記載の方法に準じて測定した。タンパク質含量は、ケルダール法-窒素・たんぱく質換算法を用い、「日本食品標準成分表2015年版(七訂)分析マニュアル」に準じて測定した。他の項目は、上記分析値より計算し、算出した。「食用植物に含有された状態の可溶性炭水化物含有量」については、豆類、雑穀類、イモ類、種実類、野菜類及び果実類などの食用植物に含有された状態の可溶性炭水化物を乾燥質量換算で記載した。
【0138】
[膨化食品組成物試料の密度の測定]
密度は、各膨化食品組成物試料100gを圧密せずに乾いた250mLメスシリンダー(最小目盛単位:2mL)に静かに入れることで測定した。
【0139】
[膨化食品組成物試料中の粒子径分布の測定]
各膨化食品組成物試料又は生地組成物1gを約80℃の蒸留水50gに浸漬し、5分程度静置し、その後、スパーテルでよく攪拌、懸濁させ、目開き2.36mm、線径(Wire Dia.)1.0mmである8メッシュ(ASTM E11-04)の篩を通過した溶液(膨化食品組成物試料の2質量%水分散液)を粒子径分布測定用サンプルとした。
【0140】
レーザ回折式粒子径分布測定装置として、マイクロトラック・ベル株式会社のMicrotrac MT3300 EX2システムを用い、各食品組成物試料の2質量%水分散液中の粒子の粒子径分布を測定した。測定アプリケーションソフトウェアとしてはDMSII(Data Management System version 2、マイクロトラック・ベル株式会社)を用いた。測定時の溶媒を蒸留水とし、測定は、測定アプリケーションソフトウェアの洗浄ボタンを押下して洗浄を実施したのち、同ソフトのSetzeroボタンを押下してゼロ合わせを実施し、サンプルローディングで適正濃度範囲に入るまでサンプルを直接投入した。
【0141】
擾乱を加えない超音波処理前の試料の測定は、試料投入後にサンプルローディング2回以内に試料濃度を適正範囲内に調整した後、直ちに流速60%で10秒の測定時間でレーザ回折測定を行って得られた結果を測定値とした。一方、擾乱を加えた超音波処理後の試料の測定は、試料投入後にサンプルローディングにて試料濃度を適正範囲内に調整した後、同ソフトの超音波処理ボタンを押下して周波数40kHzの超音波を出力40Wにて、3分間印加した。その後、3回の脱泡処理を行った上で、再度サンプルローディング処理を行い、試料濃度が依然として適正範囲であることを確認した後、速やかに流速60%で10秒の測定時間でレーザ回折測定を行って得られた結果を測定値として最大粒子径、60%積算径(d60)、20μm以上2000μm以下の範囲における積算頻度%等を測定した。測定条件は、分布表示:体積、粒子屈折率:1.60、溶媒屈折率:1.333、測定上限(μm)=2000.00μm、測定下限(μm)=0.021μmを用いた。
【0142】
試料のチャンネル毎の粒子径分布を測定する際は、前掲の表2に記載した測定チャンネル毎の粒子径を規格として用いて測定した。各チャンネルに規定された粒子径以下で、且つ数字が一つ大きいチャンネルに規定された粒子径(測定範囲の最大チャンネルにおいては、測定下限粒子径)よりも大きい粒子の頻度を各チャンネル毎に測定し、測定範囲内の全チャンネルの合計頻度を分母として、各チャンネルの粒子頻度%を求めた。具体的には以下132チャンネルのそれぞれにおける粒子頻度%を測定した。測定して得られた結果から、最も粒子径が大きいチャンネルの粒子径を最大粒子径とした。
【0143】
[膨化食品組成物試料の官能評価]
上記手順で得られた比較例及び試験例の膨化食品組成物試料について、以下の手順によりその官能評価を行った。なお、(1)微細化豆類及び/又は雑穀類の可食部及び食用植物の食物繊維局在部位の乾燥質量換算含有量、(2)でんぷんの乾燥質量換算含有量、(3)食物繊維(特に不溶性食物繊維)の乾燥質量換算含有量、(4)タンパク質の乾燥質量換算含有量、(5)食用植物に含有された状態の可溶性炭水化物の乾燥質量換算含有量については、その値が膨化処理によって変化せず、生地における値と組成物における値が同じ数値であった。
【0144】
まず、各官能試験を行う官能検査員として、予め食品の味、食感や外観などの識別訓練を実施した上で、特に成績が優秀で、商品開発経験があり、食品の味、食感や外観などの品質についての知識が豊富で、各官能検査項目に関して絶対評価を行うことが可能な検査員を選抜した。具体的には、下記A)~C)の識別訓練を実施した上で、特に成績が優秀で、食品の味や食感といった品質についての知識が豊富で、各官能検査項目に関して絶対評価を行うことが可能な検査員を選抜した。
A)五味(甘味:砂糖の味、酸味:酒石酸の味、旨み:グルタミン酸ナトリウムの味、塩味:塩化ナトリウムの味、苦味:カフェインの味)について、各成分の閾値に近い濃度の水溶液を各1つずつ作製し、これに蒸留水2つを加えた計7つのサンプルから、それぞれの味のサンプルを正確に識別する味質識別試験。
B)濃度がわずかに異なる5種類の食塩水溶液、酢酸水溶液の濃度差を正確に識別する濃度差識別試験。
C)メーカーA社醤油2つにメーカーB社醤油1つの計3つのサンプルからB社醤油を正確に識別する3点識別試験。
【0145】
次に、以上の手順で選抜された訓練された官能検査員10名が、各比較例及び各試験例の膨化食品組成物試料について、その品質を評価する官能試験を行った。この官能試験では、「咀嚼時の歯への付着性」、「エアリーな食感」、「総合評価」の各項目については組成物を摂食することで、「成形性」の評価に際しては、筒状に成形して膨化させた組成物開口部を80℃でその体積が圧縮前後で20%に減少した状態で5秒間圧着成形し、成型後組成物を20℃に冷却して5分間経過した後に、圧着成形された開口部が十分に結着しているか(剥離しないか)を「成形性」として、以下の基準に従いそれぞれ5点満点で評価を行った。また、合わせて組成物の香りや成形時の焦げについても評価して、コメントを記載した。
【0146】
また、前記の何れの評価項目でも、事前に検査員全員で標準サンプルの評価を行い、評価基準の各スコアについて標準化を行った上で、10名によって客観性のある官能検査を行った。各評価項目の評価は、各項目の5段階の評点の中から、各検査員が自らの評価と最も近い数字をどれか一つ選択する方式で評価した。評価結果の集計は、10名のスコアの算術平均値から算出し、小数点以下は四捨五入した。
【0147】
<評価基準1:咀嚼時の歯への付着性>
5:歯に付着しにくく、好ましい。
4:やや歯に付着しにくく、やや好ましい。
3:歯への付着性は中庸であるが、許容範囲。
2:やや歯に付着しやすく、やや好ましくない。
1:歯に付着しやすく、好ましくない。
【0148】
<評価基準2:エアリーな食感>
5:エアリーな食感が十分に強く感じられ、好ましい。
4:エアリーな感がやや強く感じられ、やや好ましい。
3:エアリーな食感は中庸であるが、許容範囲。
2:エアリーな食感がやや弱く、やや好ましくない。
1:エアリーな食感が弱く、好ましくない。
【0149】
<評価基準3:成形性>
5:組成物開口部が完全に結着されており、好ましい。
4:組成物開口部がほぼ完全に結着されており、やや好ましい。
3:組成物開口部が概ね結着されており、許容範囲。
2:組成物開口部が一部結着されておらず、やや好ましくない。
1:組成物開口部が結着されておらず、好ましくない。
【0150】
<評価基準4:総合評価>
5:食味と成形性のバランスが良く、好ましい。
4:食味と成形性のバランスがやや良く、好ましい。
3:食味と成形性のバランスが許容範囲。
2:食味と成形性のバランスがやや悪く、やや好ましくない。
1:食味と成形性のバランスが悪く、好ましくない。
【0151】
[膨化食品組成物試料の解析・評価結果]
比較例及び試験例の膨化食品組成物試料の成分含量や物性等の測定値、及び官能試験の評価結果を以下の表3~表5に示す。
【0152】
【0153】
【0154】