(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023054909
(43)【公開日】2023-04-17
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20230410BHJP
H01L 21/316 20060101ALI20230410BHJP
H05H 1/46 20060101ALN20230410BHJP
【FI】
H01L21/31 C
H01L21/316 X
H05H1/46 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021163895
(22)【出願日】2021-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】上田 博一
(72)【発明者】
【氏名】森 淳
(72)【発明者】
【氏名】川上 聡
(72)【発明者】
【氏名】平山 昌樹
(72)【発明者】
【氏名】梅下 尚己
(72)【発明者】
【氏名】秋元 敏和
【テーマコード(参考)】
2G084
5F045
5F058
【Fターム(参考)】
2G084AA07
2G084AA13
2G084BB11
2G084CC04
2G084CC06
2G084CC14
2G084CC33
2G084FF02
2G084FF15
2G084FF31
5F045AB31
5F045AB32
5F045AB37
5F045AC16
5F045DP03
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5F045EH11
5F045EM09
5F058BC02
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5F058BF07
5F058BF29
5F058BF36
5F058BG01
5F058BG02
(57)【要約】
【課題】OHラジカルを効率的に生成できる技術を提供する。
【解決手段】本開示の一態様によるプラズマ処理装置は、処理容器内にプラズマを生成するためのプラズマ生成機構と、前記処理容器内に生成される前記プラズマに接するように設けられるイオン液体の流路と、前記イオン液体にOH含有液体を添加するOH含有液体供給部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理容器内にプラズマを生成するためのプラズマ生成機構と、
前記処理容器内に生成される前記プラズマに接するように設けられるイオン液体の流路と、
前記イオン液体にOH含有液体を添加するOH含有液体供給部と、
を備える、プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記処理容器内に設けられる載置台と、
前記処理容器内を前記プラズマが生成される第1空間と前記載置台が設けられる第2空間とに仕切る仕切部材と、
を備え、
前記流路は、前記仕切部材に形成されている、
請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記流路は、
前記第1空間に露出する露出部と、
前記第1空間に露出しない非露出部と、を含む、
請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記流路は、上流部の高さ位置が下流部の高さ位置よりも高い、
請求項2又は3に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記OH含有液体供給部は、前記上流部の高さ位置よりも高い位置から前記流路に前記OH含有液体を滴下する、
請求項4に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記OH含有液体は、H2Oである、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
処理容器内に基板を収容することと、
前記処理容器内にイオン液体を供給することと、
前記イオン液体にOH含有液体を添加することと、
前記OH含有液体が添加されたイオン液体をプラズマに晒すことによりOHラジカルを生成することと、
生成された前記OHラジカルにより前記基板に酸化処理を行うことと、
を有する、プラズマ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
OHラジカルを酸化処理に使用する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、OHラジカルを効率的に生成できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によるプラズマ処理装置は、処理容器内にプラズマを生成するためのプラズマ生成機構と、前記処理容器内に生成される前記プラズマに接するように設けられるイオン液体の流路と、前記イオン液体にOH含有液体を添加するOH含有液体供給部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、OHラジカルを効率的に生成できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施形態のプラズマ処理装置を示す概略断面図
【
図10】第1の実施形態の第1変形例のプラズマ処理装置を示す概略断面図
【
図11】第1の実施形態の第2変形例のプラズマ処理装置を示す概略断面図
【
図12】第1の実施形態の第3変形例のプラズマ処理装置を示す概略断面図
【
図13】第2の実施形態のプラズマ処理装置を示す概略図
【
図14】第3の実施形態のプラズマ処理装置を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面を参照しながら、本開示の限定的でない例示の実施形態について説明する。添付の全図面中、同一又は対応する部材又は部品については、同一又は対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。
【0009】
〔第1の実施形態〕
図1~
図9を参照し、第1の実施形態のプラズマ処理装置について説明する。第1の実施形態のプラズマ処理装置1は、例えば500℃以下の低温で酸化処理により酸化膜を形成するプロセス(プラズマ処理方法)に好適に利用できる。酸化膜としては、例えば二酸化ケイ素(SiO
2)が挙げられる。また、酸化膜としては、例えば、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、酸化ジルコニウム(ZrO
2)、酸化ハフニウム(HfO
2)、チタン酸ストロンチウム(STO;SrTiO
3)、チタン酸バリウム(BTO;BaTiO
3)等の高誘電膜(High-k膜)が挙げられる。
【0010】
プラズマ処理装置1は、チャンバ10、ステージ20、マイクロ波導入機構30、ガス供給部40、シャワープレート50、液体循環部60、OH含有液体供給部70、排気部80及び制御部90を備える。
【0011】
チャンバ10は、略円筒状に形成されている。チャンバ10の底壁11の略中央部には、開口部12が形成されている。底壁11には、開口部12と連通し、下方に突出する排気室13が設けられている。チャンバ10の側壁14には、基板Wが通過する搬入出口15が形成されている。搬入出口15は、ゲートバルブ16によって開閉される。チャンバ10は、マイクロ波導入機構30の一部と共に内部を減圧可能な処理容器を構成する。処理容器の内部には基板Wが収容される。
【0012】
ステージ20は、処理対象となる基板Wを載置する載置台である。ステージ20は、略円板状を有する。ステージ20は、窒化アルミニウム(AlN)等のセラミックスにより形成されている。ステージ20は、排気室13の底部略中央から上方に延びる略円筒状のAlN等のセラミックスからなる支柱21に支持されている。
【0013】
マイクロ波導入機構30はプラズマ生成機構を構成しており、チャンバ10の上部に設けられている。マイクロ波導入機構30は、チャンバ10内にマイクロ波を供給する。マイクロ波導入機構30は、マイクロ波出力部、マイクロ波伝送部、マイクロ波放射部等を含む。マイクロ波は、マイクロ波出力部により出力され、マイクロ波伝送部及びマイクロ波放射部を通ってチャンバ10の内部に導入される。マイクロ波の周波数は、例えば300MHz~10GHzである。
【0014】
ガス供給部40は、チャンバ10の天壁17の下方かつシャワープレート50の上方に位置するプラズマ励起空間A1にプラズマ励起ガスを供給する。ガス供給部40は、例えばチャンバ10の側壁14を貫通するガスノズルであってよい。プラズマ励起空間A1には、ガス供給部40からプラズマ励起ガスが供給され、プラズマ励起ガスがマイクロ波により励起されてプラズマPが発生する。プラズマ励起ガスとしては、例えばアルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)等の希ガスが挙げられる。
【0015】
シャワープレート50は、チャンバ10内を、プラズマPが生成されるプラズマ励起空間A1と、ステージ20が設けられるプロセス空間A2とに仕切る。シャワープレート50は、ステンレス鋼、アルミニウム等の金属材料により形成されている。シャワープレート50は、平面形状が円形の平板である(
図2)。シャワープレート50は、外枠51、プラズマ通過部52及び溝53を有する(
図2)。
【0016】
外枠51は、チャンバ10の内径と略同じ外径を有する円環状を有する。外枠51は、チャンバ10の内壁に取り付けられる。
【0017】
プラズマ通過部52は、外枠51の内側に位置する。プラズマ通過部52は、略90度で交差して格子をなす複数の筋52aを有する。複数の筋52aは、例えば10cm以下の間隔で設けられる。プラズマ励起空間A1において発生したプラズマPは、複数の筋52aによって画定される開口52bを通過し、プロセス空間A2へと供給される。
【0018】
溝53は、シャワープレート50上、すなわち、外枠51上及び筋52a上に形成されている。溝53は、シャワープレート50上においてイオン液体ILが流れる流路(以下「液体流路」ともいう。)を形成する。溝53は、液体受け部53a、液体排出部53b及び流路形成部53cを含む。
【0019】
液体受け部53aは、外枠51上に設けられる。ただし、液体受け部53aは筋52a上に設けられてもよい。液体受け部53aには、OH含有液体を含むイオン液体ILが滴下される。
【0020】
液体排出部53bは、例えばシャワープレート50の中心Oを挟んで液体受け部53aと反対側の外枠51上に設けられる。ただし、液体排出部53bは筋52a上に設けられてもよい。液体排出部53bは、シャワープレート50上からイオン液体ILを排出する。液体排出部53bから排出されるイオン液体ILは、例えば側壁14の内面を伝って底壁11まで流れる。
【0021】
流路形成部53cは、外枠51上及び筋52a上に形成されている。流路形成部53cは、一端が液体受け部53aと連通し、他端が液体排出部53bと連通する。流路形成部53cは、液体受け部53aに滴下されたイオン液体ILを液体排出部53bに向けて輸送する。流路形成部53cを流れるイオン液体ILは、プラズマ励起空間A1において生成されるプラズマPに接する。これにより、イオン液体ILがプラズマPにより加熱されて、イオン液体ILに含まれるOH含有液体が蒸発する。さらに、蒸発したOH含有液体がプラズマPにより励起されることでOHラジカルが生成される。生成されたOHラジカルは、シャワープレート50の開口52bを介してプロセス空間A2へ供給される。これにより、基板Wへの酸化処理が行われる。流路形成部53cは、
図2に示されるように、液体受け部53aから液体排出部53bに向かってジグザグ状に蛇行するように形成されることが好ましい。これにより、シャワープレート50上においてプラズマPに接するイオン液体ILの量が増えるので、OHラジカルの生成量が増加する。
【0022】
流路形成部53cは、上流部Uの高さ位置が下流部Dの高さ位置よりも高いことが好ましい。これにより、イオン液体ILが自重で上流部Uから下流部Dに向かって流れる。上流部Uは、液体受け部53aと連通する位置の近傍である。下流部Dは、液体排出部53bと連通する位置の近傍である。例えば、
図5に示されるように、上流部Uが下流部Dよりも高くなるようにシャワープレート50を水平面Hに対して傾斜させることにより、上流部Uの高さ位置を下流部Dの高さ位置よりも高くできる。また、例えば
図6に示されるように、上流部Uのシャワープレート50の厚さが下流部Dのシャワープレート50の厚さよりも厚くなるようにシャワープレート50を形成することにより、上流部Uの高さ位置を下流部Dの高さ位置よりも高くできる。
【0023】
流路形成部53cは、
図7に示されるように、プラズマ励起空間A1に露出する露出部V1と、プラズマ励起空間A1に露出しない非露出部V2とを有していてもよい。露出部V1は、溝53の上方の開口が蓋54で塞がれていない領域である。非露出部V2は、溝53の上方の開口が蓋54で塞がれることにより形成される。非露出部V2ではH
2Oの蒸発が抑制されるので、下流部Dにおいてイオン液体ILに含まれるOH含有液体の量を確保できる。その結果、上流部Uにおいて発生するOHラジカルと下流部Dにおいて発生するOHラジカルの密度差を小さくできる。蓋54の数や大きさは限定されないが、例えば下流部Dより上流部Uに多くの蓋54を配置することが好ましい。これにより、上流部UにおけるOH含有液体の蒸発量が選択的に抑制されるので、下流部Dにおいてイオン液体ILに含まれるOH含有液体の量を確保できる。また、上流部Uに配置される蓋54は、下流部Dに配置される蓋54よりも、液体流路に沿った方向の長さが長いことが好ましい。これにより、上流部UにおけるOH含有液体の蒸発量を下流部DにおけるOH含有液体の蒸発量よりも抑制できるので、下流部Dにおいてイオン液体ILに含まれるOH含有液体の量を確保できる。また、
図8に示されるように、溝53の両脇に溝53から溢れたイオン液体ILを通流させる側溝55が設けられていてもよい。側溝55の深さは、例えば溝53の深さよりも浅くてよい。側溝55は、溝53の片脇のみに設けられていてもよい。また、
図9に示されるように、蓋54の上面を覆うようにイオン液体ILを流すことが好ましい。これにより、蓋54がプラズマPに晒されることが防止されるので、蓋54がプラズマダメージを受けることが抑制される。
【0024】
液体循環部60は、チャンバ10内からイオン液体ILを回収すると共に、回収したイオン液体ILをシャワープレート50上の溝53に供給する。液体循環部60は、貯留タンク61、回収口62、温調器63、粘性ポンプ64、供給管65及び流量制御器66を含む。
【0025】
貯留タンク61は、イオン液体ILを貯留する。イオン液体ILとしては、例えば1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-n-オクチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-n-ブチル-1-メチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンス ルホニル)イミド、1,1,1-トリ-n-ブチル-1-n-ドデシルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリブチルヘキサデシルホスホニウム3-トリメチルシリル-1-プロパンスルホネート(BHDP・DSS)、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムテトラフルオロボラート(DEME・BF4)、N-(2-メトキシエチル)-N-メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(MEMP・TFSI)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート(EMI・AcO)、コリンクロライドウレアが挙げられる。なお、イオン液体ILはこれに限定されるものではなく、OH含有液体を吸収する性質を有するものであれば、別のイオン液体ILを利用してもよい。OH含有液体としてH2Oを用いる場合、H2Oを吸収しやすいという観点から、イオン液体ILとしては、DEME・BF4が好適である。
【0026】
回収口62は、排出溝62a及び排出穴62bを含む。排出溝62aは、底壁11上に円環状に形成されている。排出溝62aは、底壁11に到達したイオン液体ILを排出穴62bに誘導する。排出穴62bは、排出溝62aの底面に形成され、底壁11を貫通する。排出溝62aに到達したイオン液体ILは排出穴62bを介して貯留タンク61に流れ込む。
【0027】
温調器63は、ヒータ、温度センサ(いずれも図示せず)等を含む。温調器63は、温度センサの検出値に基づいてヒータを制御することにより、貯留タンク61内のイオン液体ILの温度を調整する。
【0028】
粘性ポンプ64は、貯留タンク61に接続される。粘性ポンプ64は、例えば貯留タンク61の鉛直方向下方に位置する。粘性ポンプ64は、貯留タンク61内から供給管65にイオン液体ILを送液する。
【0029】
供給管65は、一端が粘性ポンプ64に接続され、他端が側壁14を貫通してプラズマ励起空間A1に位置する。供給管65は、シャワープレート50の上方から溝53にイオン液体ILを滴下する。溝53に滴下されたイオン液体ILは、液体受け部53aから流路形成部53cを通って液体排出部53bまで流れた後、側壁14の内面を伝って底壁11まで流れる。
【0030】
流量制御器66は、供給管65に介設されている。流量制御器66は、供給管65を流れるイオン液体ILの流量を制御する。流量制御器66は、例えば液体マスフローコントローラである。
【0031】
OH含有液体供給部70は、イオン液体ILにOH含有液体を添加する。OH含有液体供給部70は、供給源71、供給管72及び流量制御器73を含む。
【0032】
供給源71は、OH含有液体の供給源である。OH含有液体としては、例えば水(H2O)、重水(D2O)、アルコールが挙げられる。
【0033】
供給管72は、一端が供給源71に接続されている。供給管72は、他端がチャンバ10外において供給管65に接続され、チャンバ10外において供給管65を流れるイオン液体ILにOH含有液体を添加する。ただし、供給管72は、他端がチャンバ10内において供給管65に接続され、チャンバ10内において供給管65を流れるイオン液体ILにOH含有液体を添加してもよい。また、供給管72は、他端が供給管65に接続されることなく、側壁14を貫通してシャワープレート50の上方に位置し、シャワープレート50の上方から溝53にOH含有液体を滴下するように構成されていてもよい。この場合、溝53上にはイオン液体ILとは別にOH含有液体が滴下され、溝53内においてイオン液体ILにOH含有液体が添加される。このように、供給管72は、粘性ポンプ64の下流側においてイオン液体ILにOH含有液体を供給する。
【0034】
流量制御器73は、供給管72を流れるOH含有液体の流量を制御する。流量制御器73は、例えばOH含有液体の流量をイオン液体ILの流量の0.1%~3.0%に調整する。流量制御器73は、例えば液体マスフローコントローラである。
【0035】
排気部80は、排気管81及び排気装置82を含む。排気管81は、排気室13の底壁に設けられている。排気装置82は、排気管81に接続されている。排気装置82は、真空ポンプ、圧力制御弁等を含み、排気管81を介してチャンバ10内を排気して減圧する。
【0036】
制御部90は、メモリ、プロセッサ、入出力インターフェイス等を有する。メモリには、プロセッサによって実行されるプログラム及び各処理の条件等を含むレシピが格納されている。プロセッサは、メモリから読み出したプログラムを実行し、メモリ内に記憶されたレシピに基づいて、入出力インターフェイスを介して、プラズマ処理装置1の各部を制御する。
【0037】
以上に説明したように、プラズマ処理装置1は、チャンバ10内に生成されるプラズマPに接するように設けられる液体流路を含むシャワープレート50と、イオン液体ILにOH含有液体を添加するOH含有液体供給部70とを備える。これにより、シャワープレート50上に形成される液体流路に、OH含有液体が添加されたイオン液体ILを流すことができる。液体流路を流れるイオン液体ILはプラズマPに接するため、イオン液体ILがプラズマPにより加熱されてイオン液体ILに含まれるOH含有液体が蒸発し、OHラジカルが生成される。このように、プラズマPの発生源の近傍にOH含有液体が供給されるので、OHラジカルを効率的に生成できる。また、シャワープレート50上に形成される液体流路をイオン液体ILが流れることによりOHラジカルが生成されるので、OHラジカルを発生させるためにチャンバ10内に別途水蒸気(H2O)を供給しなくてよい。そのため、チャンバ10内に水蒸気を供給するための水蒸気供給ノズルが不要となる。
【0038】
また、プラズマ処理装置1によれば、シャワープレート50上に形成される液体流路にイオン液体ILを流すことにより、液体流路がプラズマPに晒されることが防止される。これにより、シャワープレート50に対するプラズマダメージが軽減され、チャンバ10内において金属汚染等のコンタミネーションが生じることを抑制できる。
【0039】
また、プラズマ処理装置1によれば、液体流路を流れるイオン液体ILの温度を調整することにより、イオン液体ILを温調流体として機能させることができる。例えば、チャンバ10内においてプラズマ処理が行われると、シャワープレート50がプラズマPに晒されるため高温となる。そこで、液体流路に低温のイオン液体ILを流すことにより、シャワープレート50を冷却してシャワープレート50が高温になることを抑制できる。
【0040】
次に、
図10を参照し、第1の実施形態の第1変形例のプラズマ処理装置について説明する。
図10に示されるように、第1変形例のプラズマ処理装置1Aにおいては、側壁14の内面に、チャンバ10の周方向に沿ってイオン液体を流動させるガイド溝14aが形成されている。ガイド溝14aは、例えば側壁14の内面の周方向に沿って延びる螺旋状を有する。これにより、液体排出部53bから回収口62までの経路を確定させることができる。他の構成は、プラズマ処理装置1と同様である。第1変形例のプラズマ処理装置1Aによってもプラズマ処理装置1と同様の効果を得ることができる。
【0041】
次に、
図11を参照し、第1の実施形態の第2変形例のプラズマ処理装置について説明する。
図11に示されるように、第2変形例のプラズマ処理装置1Bは、第2ガス供給部42を有する。第2ガス供給部42は、プロセス空間A2にプロセスガスを供給する。第2ガス供給部42は、例えばチャンバ10の側壁14を貫通するガスノズルであってよい。プロセスガスとしては、例えばシリコン含有ガス、金属含有ガスが挙げられる。他の構成は、プラズマ処理装置1と同様である。第2変形例のプラズマ処理装置1Bによってもプラズマ処理装置1と同様の効果を得ることができる。
【0042】
次に、
図12を参照し、第1の実施形態の第3変形例のプラズマ処理装置について説明する。
図12に示されるように、第3変形例のプラズマ処理装置1Cは、第3ガス供給部43を有する。第3ガス供給部43は、供給源43a、流路43b及び噴出孔43cを有する。供給源43aは、プロセスガスの供給源である。プロセスガスとしては、例えばシリコン含有ガス、金属含有ガスが挙げられる。流路43bは、シャワープレート50に形成されている。噴出孔43cは、流路43bからシャワープレート50の下方に開口する。第3ガス供給部43は、供給源43aから、流路43b及び噴出孔43cを介してプロセス空間A2にプロセスガスを供給する。他の構成は、プラズマ処理装置1と同様である。第3変形例のプラズマ処理装置1Cによってもプラズマ処理装置1と同様の効果を得ることができる。
【0043】
また、第1変形例から第3変形例の2つ以上を組み合わせてもよい。すなわち、プラズマ処理装置は、ガイド溝14a、第2ガス供給部42及び第3ガス供給部43のうち2つ以上を有していてもよい。
【0044】
〔第2の実施形態〕
図13を参照し、第2の実施形態のプラズマ処理装置の一例について説明する。
図13に示されるように、第2の実施形態のプラズマ処理装置2は、シャワープレート50を有しておらず、側壁14及び天壁17に固定された液体供給部材100を有する。他の構成は、プラズマ処理装置1と同様である。
【0045】
液体供給部材100は、チャンバ10の周方向に沿って設けられている。液体供給部材100には、第1流路101及び第2流路102が形成されている。第1流路101は、液体供給部材100の内部に、チャンバ10の周方向に沿って形成されている。第1流路101は、円環状を有する。第1流路101には、供給管65からイオン液体ILが供給される。第2流路102は、一端が第1流路101と連通し、他端がチャンバ10内と連通する。第2流路102の他端は、チャンバ10内に生成されるプラズマPに接するように設けられる。第2流路102は、チャンバ10の周方向に間隔をあけて複数設けられていることが好ましい。これにより、側壁14の広範囲にイオン液体ILを供給できるので、プラズマPに接するイオン液体ILの量が増加する。その結果、OH含有液体の蒸発量が増加し、OHラジカルの生成量が増加する。
【0046】
第1流路101に供給されるイオン液体ILは、第2流路102を介してチャンバ10内に供給され、側壁14の内面を伝って底壁11まで流れる。このとき、イオン液体ILは、チャンバ10内において生成されるプラズマPに接する。これにより、イオン液体ILがプラズマPにより加熱されて、イオン液体ILに含まれるOH含有液体が蒸発する。さらに、蒸発したOH含有液体がプラズマPにより励起されることでOHラジカルが生成される。また、側壁14の内面に、チャンバ10の周方向に沿ってイオン液体を流動させる溝(図示せず)が形成されていてもよい。また、側壁14の一部に石英等により形成される透過窓(図示せず)を設け、透過窓を介して側壁14の内面を流れるOH含有液体を含むイオン液体ILに紫外光を照射する照射源(図示せず)を設けてもよい。照射源からOH含有液体を含むイオン液体ILに紫外光を照射することにより、OHラジカルの生成量が増加する。
【0047】
第2の実施形態のプラズマ処理装置2によってもプラズマ処理装置1と同様の効果を得ることができる。
【0048】
〔第3の実施形態〕
図14を参照し、第3の実施形態のプラズマ処理装置の一例について説明する。
図14に示されるように、第3の実施形態のプラズマ処理装置3は、マイクロ波導入機構30を有しておらず、誘導結合プラズマ生成機構31を有する。他の構成は、プラズマ処理装置2と同様である。
【0049】
誘導結合プラズマ生成機構31はプラズマ生成機構を構成しており、チャンバ10の上部に設けられている。誘導結合プラズマ生成機構31は、高周波電源、コイル等を有する。高周波電源からコイルに高周波電流が供給されることにより、チャンバ10内に供給されるプラズマ励起ガスが励起されてプラズマPが発生する。
【0050】
第3の実施形態のプラズマ処理装置3によってもプラズマ処理装置1と同様の効果を得ることができる。なお、プラズマ処理装置は、誘導結合プラズマ生成機構31に代えて、容量結合プラズマ生成機構を有していてもよい。
【0051】
なお、上記の実施形態において、シャワープレート50は仕切部材の一例であり、プラズマ励起空間A1は第1空間の一例であり、プロセス空間A2は第2空間の一例である。
【0052】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1、1A~1C、2、3 プラズマ処理装置
10 チャンバ
30 マイクロ波導入機構
31 誘導結合プラズマ生成機構
53 溝
70 OH含有液体供給部