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特開2023-54912情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023054912
(43)【公開日】2023-04-17
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20230410BHJP
   G01M 17/007 20060101ALI20230410BHJP
【FI】
G06T7/00 300E
G01M17/007 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021163903
(22)【出願日】2021-10-05
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.THUNDERBOLT
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】梅谷 信行
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096AA06
5L096AA09
5L096BA04
5L096CA05
5L096DA02
5L096JA03
5L096KA04
5L096KA15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】情報処理装置100が、ネットワーク110を介して通信可能に接続されている情報処理システムにおいて、情報処理装置は、制御部を有する。制御部は、第1移動体の画像に基づいて、深度を情報として持つ第1深度情報を取得し、第1深度情報に基づいて、第1移動体と第2移動体との類似度を取得し、第2移動体に関する第2パラメータと類似度とに基づいて、第1移動体に関する第1パラメータを予測する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置であって、
制御部を有し、
前記制御部は、
第1移動体の画像に基づいて、深度を情報として持つ第1深度情報を取得し、
前記第1深度情報に基づいて、前記第1移動体と、第2移動体と、の類似度を取得し、
前記第2移動体に関する第2パラメータと、前記類似度と、に基づいて、前記第1移動体に関する第1パラメータを予測する、
情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記制御部は、
前記第1移動体の画像に基づいて、前記第1移動体のシルエットを情報として持つ第1シルエット情報と、前記第1移動体の法線を情報として持つ第1法線情報と、を取得し、
前記第1深度情報と、前記第1シルエット情報と、前記第1法線情報と、に基づいて、前記類似度を取得する、
情報処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理装置において、
前記制御部は、
前記第1深度情報と、前記第1シルエット情報と、前記第1法線情報と、を合成した第1合成情報を取得し、
前記第1合成情報に基づいて、前記類似度を取得する、
情報処理装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の情報処理装置において、
前記制御部は、
前記第1シルエット情報と、前記第2移動体の第2シルエット情報と、に基づいて、前記第1移動体及び前記第2移動体のシルエットが重なる部分と、シルエットが重ならない部分と、を取得し、
前記シルエットが重なる部分と、前記シルエットが重ならない部分と、について、それぞれ前記類似度を取得する、
情報処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の情報処理装置において、
前記制御部は、
前記シルエットが重なる部分の類似度を、前記第1深度情報及び前記第2移動体の第2深度情報の差と、前記第1法線情報及び前記第2移動体の第2法線情報の平均と、の積に基づいて、取得する、
情報処理装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の情報処理装置において、
前記制御部は、
前記シルエットが重ならない部分の類似度を、前記シルエットが重なる部分の面積と、前記シルエットが重ならない部分の面積と、の比率に基づいて、取得する、
情報処理装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までの何れか1項に記載の情報処理装置において、
前記第1移動体の画像は、複数の視点から描画された前記第1移動体が含まれ、
複数の視点から描画された前記第1移動体の画像に基づいて、複数の前記第1深度情報を取得し、
前記制御部は、複数の前記第1深度情報に基づいて、前記類似度を取得する、
情報処理装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7までの何れか1項に記載の情報処理装置において、
前記第1パラメータ及び前記第2パラメータは、空気抵抗である、
情報処理装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8までの何れか1項に記載の情報処理装置において、
前記制御部は、
前記第2移動体に関する第2パラメータと、前記類似度と、に基づいて、前記第1移動体に関する第1パラメータを予測すると共に前記第1パラメータの信頼度を取得する、
情報処理装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9までの何れか1項に記載の情報処理装置において、
前記制御部は、
前記第2移動体に関する第2パラメータと、前記類似度と、を機械学習モデルに入力し、前記機械学習モデルからの出力値に基づき前記第1移動体に関する前記第1パラメータを予測する、
情報処理装置。
【請求項11】
請求項10に記載の情報処理装置において、
前記機械学習モデルでは、ガウス過程が用いられている、
情報処理装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11までの何れか1項に記載の情報処理装置において、
前記第1移動体及び前記第2移動体は、車両である、
情報処理装置。
【請求項13】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
第1移動体の画像に基づいて、第1深度画像を取得し、
前記第1深度画像と、前記第1深度画像と同じ角度の第2移動体に関する第2深度画像と、前記、第2移動体に関する第2パラメータと、に基づいて、
前記第1移動体に関する第1パラメータを予測する、
情報処理方法。
【請求項14】
プログラムであって、
コンピュータを、請求項1から請求項12までの何れか1項に記載の情報処理装置の制御部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、外観を損ねることなく空気抵抗を改善するための構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019―151303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の構造の空気抵抗を知るには実物の車両を作る必要があったため、より効率的に移動体の物理量を予測できる技術が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、情報処理装置が提供される。この情報処理装置は、制御部を有する。制御部は、第1移動体の画像に基づいて、深度を情報として持つ第1深度情報を取得する。第1深度情報に基づいて、第1移動体と、第2移動体と、の類似度を取得する。第2移動体に関する第2パラメータと、類似度と、に基づいて、第1移動体に関する第1パラメータを予測する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、情報処理システムのシステム構成の一例を示す図である。
図2図2は、情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態1に係る情報処理の一例を示すアクティビティ図である。
図4図4は、実施形態1に係る合成情報を取得する処理の一例を示すイメージ図である。
図5図5は、実施形態1に係るシルエットの重なりの一例を示すイメージ図である。
図6図6は、実施形態1に係る情報処理の一例を示すイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0008】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0009】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0010】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0011】
[実施形態1]
1.システム構成
図1は、情報処理システムのシステム構成の一例を示す図である。
図1に示されるように、情報処理システムは、情報処理装置100と、ネットワーク110と、を含む。情報処理装置100は、ネットワーク110を介して通信可能に接続されている。情報処理装置100は、実施形態に係る処理を実行する。例えば、情報処理装置100は、第1移動体の画像に基づいて、深度を情報として持つ第1深度情報Dを取得する。情報処理装置100は、第1深度情報に基づいて、第1移動体と、第2移動体と、の類似度を取得する。情報処理装置100は、第2移動体に関する第2パラメータと、類似度と、に基づいて、第1移動体に関する第1パラメータを予測する。これにより、より効率的に移動体の物理量を予測することができる。
【0012】
図1では、説明の簡略化のため、情報処理システムにおいて、情報処理装置100は1台しか図示していない。しかし、ユーザの数だけ、情報処理装置100が情報処理システムに含まれる。情報処理装置100の一例としては、PC(Personal Computer)がある。但し、このことは本実施形態を制限するものではなく、情報処理装置100は、スマートフォンであってもよいし、タブレット型コンピュータ等であってもよい。
【0013】
2.ハードウェア構成
本節では、本実施形態のハードウェア構成について説明する。以下、情報処理装置100のハードウェア構成について説明する。
【0014】
図2は、情報処理装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。
情報処理装置100は、制御部201と、記憶部202と、通信部203と、入力部204と、出力部205とを有し、これらの構成要素が情報処理装置100の内部において通信バスを介して電気的に接続されている。各構成要素についてさらに説明する。
【0015】
制御部201は、情報処理装置100に関連する全体動作の処理及び制御を行う。制御部201は、例えば中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)である。制御部201が、記憶部202に記憶された所定のプログラムを読み出し、プログラムに基づき処理を実行することによって、情報処理装置100に係る種々の機能、例えば、後述する図3に示される処理が実現される。なお、制御部201は単一であることに限定されず、機能ごとに複数の制御部201を有するように実施してもよい。またそれらの組合せであってもよい。
なお、他の実施形態として、後述する通信部203及びネットワーク110を介して、ネットワーク110上の他の情報処理装置の記憶部に記憶された所定のプログラムを読み出し、プログラムに基づき処理を実行してもよい。
【0016】
記憶部202は、前述の記載により定義される様々な情報を記憶する。これは、例えば、制御部201によって実行される情報処理装置100に係る種々のプログラム等を記憶するソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして、又は、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施されうる。記憶部202は、制御部201によって実行される情報処理装置100に係る種々のプログラム、変数及び制御部201がプログラムに基づき処理を実行する際に用いるデータ等を記憶している。
【0017】
通信部203は、USB、IEEE1394、Thunderbolt、有線LANネットワーク通信等といった有線型の通信手段が好ましいものの、無線LANネットワーク通信、3G/LTE/5G等のモバイル通信、Bluetooth(登録商標)通信等を必要に応じて含めてもよい。すなわち、これら複数の通信手段の集合として実施することがより好ましい。すなわち、情報処理装置100は、通信部203及びネットワーク110を介して、外部から種々の情報を通信してもよい。
【0018】
入力部204は、情報処理装置100の筐体に含まれるものであってもよいし、外付けされるものであってもよい。例えば、入力部204は、出力部205と一体となってタッチパネルとして実施されてもよい。タッチパネルであれば、ユーザは、タップ操作、スワイプ操作等を入力することができる。もちろん、タッチパネルに代えて、スイッチボタン、マウス、QWERTYキーボード等を採用してもよい。すなわち、入力部204がユーザによってなされた操作入力を受け付ける。当該入力が命令信号として、通信バスを介して制御部201に転送され、制御部201が必要に応じて所定の制御又は演算を実行しうる。
【0019】
出力部205は、例えば、情報処理装置100の筐体に含まれるものであってもよいし、外付けされるものであってもよい。出力部205は、ユーザが操作可能なグラフィカルユーザインターフェース(Graphical User Interface:GUI)の画面を表示する。これは例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ及びプラズマディスプレイ等の表示デバイスを、情報処理装置100の種類に応じて使い分けて実施することが好ましい。
【0020】
3.情報処理方法
本節では、前述した情報処理装置100によって実行される情報処理方法について説明する。
【0021】
3.1 情報処理の概要
図3は、実施形態1に係る情報処理の一例を示すアクティビティ図である。
【0022】
A301において、情報処理装置100の制御部201は、入力部204を介して入力形状データ401の入力を受け付ける。本実施形態において、制御部201は、複数の視点から描画された車両の画像を入力形状データ401として用いる。
【0023】
A302において、制御部201は、入力部204を介して計算開始の指示を受け付ける。
【0024】
入力形状データ401の入力及び計算開始の指示がされた場合、A303において、制御部201は、与えられた入力形状データ401の解析を行うことで深度情報、法線情報及びシルエット情報をそれぞれ取得する。
【0025】
A304において、制御部201は、取得した深度情報、法線情報及びシルエット情報を合成することで合成情報を取得する。深度情報、法線情報、シルエット情報及び合成情報の取得については、図4を用いて詳述する。
【0026】
A305において、制御部201は、合成情報に含まれるシルエット情報と、記憶部202に記憶されている他の車両のシルエット情報と、を比較する。制御部201は、入力された車両のシルエット情報と、記憶されていた車両のシルエットと、が重ならない部分及び重なる部分を取得する。詳しくは、図5を用いて説明する。
【0027】
A306において、制御部201は、入力された車両のシルエット情報と、記憶されていた車両のシルエットが重ならない部分の類似度を取得する。詳しくは、数1を用いて後述する。
【0028】
また、A306と並列して、A307において、制御部201は、入力された車両のシルエット情報と、記憶されていた車両のシルエットが重なる部分の類似度を取得する。詳しくは、数2を用いて後述する。
【0029】
A306及びA307において、2種類の類似度を取得した場合、A308において、制御部201は、2種類の類似度及び記憶されていた車両の空気抵抗を機械学習モデルに入力する。
【0030】
A309において、制御部201は、機械学習モデルの中で2種類の類似度を、重み付けをして足し合わせる。このとき、重み付けは、機械学習モデルの中で最適化される。また、この足し合わせにより得られた類似度は、入力された車両と記憶されていた車両との近さを表す。制御部201は、足し合わせにより得られた類似度と、記憶されていた車両の空気抵抗と、から回帰することで、入力された車両の空気抵抗を予測する。なお、A308からA309までの詳しい流れについては、図6を用いて詳述する。
【0031】
3.2 情報処理の詳細
続いて、前述した情報処理の詳細を説明する。
【0032】
図4は、実施形態1に係る合成情報を取得する処理のイメージの一例を示す図である。
図4には、入力形状データ401と、第1深度情報Dと、第1法線情報Nと、第1シルエット情報Sと、第1合成情報402と、が含まれる。入力形状データ401には、複数の視点から描画された車両が含まれる。本実施形態では、入力形状データ401は、CAD等のソフト上でキャプチャした車両の画像である。ここで、深度情報は、物体を面に投影したときの深さの程度を表す情報である。本実施形態では、第1深度情報Dは、投影した面から見て車両が立体的に嵩高いほど濃く表示されている。ここで、法線情報は、物体を画像に投影したときの接点において接線(又は接平面)と直交する直線を表す情報である。本実施形態では、第1法線情報Nは、投影した面から見て、車両の法線の傾きが、面と並行に近づくほど濃く表示されている。ここで、シルエット情報は、物体を面に投影したときのシルエットを表す情報である。本実施形態では、第1シルエット情報Sは、黒をベースに、車両がある部分について白く表示されている。ここで、第1合成情報402は、第1深度情報Dと、第1法線情報Nと、第1シルエット情報Sと、が合成された情報であり、パラメータ化された、深度情報と、法線情報と、シルエット情報と、を有する。
制御部201は、入力部204を介して入力形状データ401の入力及び計算開始の指示がされた場合、入力形状データ401に基づいて、深度を情報として持つ第1深度情報Dと、車両の法線を情報として持つ第1法線情報Nと、車両のシルエットを情報として持つ第1シルエット情報Sと、を取得する。具体的には、制御部201は、複数の視点から描画された車両の画像に基づいて、複数の視点についての第1深度情報Dと、複数の視点についての第1法線情報Nと、複数の視点についての第1シルエット情報Sと、を取得する。次に、制御部201は、第1深度情報Dと、第1法線情報Nと、第1シルエット情報Sと、を合成した第1合成情報402を取得する。後に、制御部201は、取得した第1合成情報402に基づいて、類似度F、Fを取得する。言い換えると、制御部201は、第1深度情報Dと、第1法線情報Nと、第1シルエット情報Sと、に基づいて、類似度F、Fを取得する。具体的には、制御部201は、複数の視点についての第1深度情報Dと、複数の視点についての第1法線情報Nと、複数の視点についての第1シルエット情報Sと、に基づいて、類似度F、Fを取得する。これにより、深度情報、法線情報及びシルエット情報といった種々の情報により類似度を取得するので、より正確な類似度を取得することができる。
【0033】
図5は、実施形態1に係るシルエットの重なりの一例を示すイメージ図である。
ベン図情報500には、第1車両の第1シルエット情報Sと、第2車両の第2シルエット情報Sとが集合として表されている。第1車両の第1シルエット情報S及び第2車両の第2シルエット情報Sが重なる部分は、積集合(A∩B)であり、第1車両の第1シルエット情報S及び第2車両の第2シルエット情報Sが重ならない部分は、対称差集合((A∪B)-(A∩B))である。
制御部201は、第1合成情報402を取得したかどうかを判定する。制御部201は、第1合成情報402を取得したと判定した場合、第1車両の第1シルエット情報Sと、第2移動体の第2シルエット情報Sと、に基づいて、第1移動体及び第2移動体のシルエットが重なる部分(A∩B)と、シルエットが重ならない部分((A∪B)-(A∩B))と、を取得する。次に、制御部201は、シルエットが重なる部分(A∩B)と、シルエットが重ならない部分((A∪B)-(A∩B))と、について、それぞれ重なり尺度Fと、深さの類似度Fと、を取得する。なお、重なり尺度Fと、深さの類似度Fと、は、それぞれ類似度の一例である。これにより、シルエットの重なりに応じて類似度の取得方法を使い分けるので、より正確な類似度を取得することができる。
【0034】
制御部201は、シルエットが重ならない部分((A∪B)-(A∩B))を取得したかどうかを判定する。制御部201は、シルエットが重ならない部分((A∪B)-(A∩B))を取得したと判定した場合、シルエットが重ならない部分((A∪B)-(A∩B))の重なり尺度Fを、シルエットの面積の比率に基づいて、取得する。具体的には、制御部201は、シルエットが重ならない部分((A∪B)-(A∩B))の重なり尺度Fを、第1車両の第1シルエット情報Sと第2車両の第2シルエット情報Sについて、その積集合(A∩B)を和集合(A∪B)で割ることで得られる。より具体的には、以下の数1により求められる。ここで、重なり尺度Fは、ジャガード係数ともいう。なお、数1において、Areaは、面積を表している。これにより、シルエットの重なりが少ない場合でも、車両同士の類似度を取得することができる。
【0035】
【数1】
【0036】
また、制御部201は、シルエットが重なる部分(A∩B)を取得したかどうかを判定する。制御部201は、シルエットが重なる部分(A∩B)を取得したと判定した場合、シルエットが重なる部分(A∩B)の深さの類似度Fを、第1深度情報D及び第2車両の第2深度情報Dの差と、第1法線情報N及び前記第2移動体の第2法線情報Nの平均と、の積に基づいて、取得する。具体的には、制御部201は、シルエットが重なる部分(A∩B)の深さの類似度Fを、第1深度情報D及び第2車両の第2深度情報Dの差と、第1法線情報N及び第2法線情報Nの平均と、の積を、シルエットが重なる部分(A∩B)について積分することで得られる。より具体的には、以下の数2により求められる。言い換えると、制御部201は、第1深度情報Dに基づいて、第1車両と、第2車両と、の深さの類似度Fを取得する。これにより、深度情報を用いるので、車両のより細かい部分を考慮して類似度を取得することができる。
【0037】
【数2】
【0038】
図6は、実施形態1に係る情報処理の一例を示すイメージ図である。
図6には、入力形状データ401と、第1合成情報402と、機械学習モデル610と、パラメータ620と、が含まれる。入力形状データ401には、1以上の視点から描画された移動体が含まれる。入力形状データ601は、移動体の一部のみが描画された画像であってもよい。第1合成情報402は、入力形状データ401の深度情報を解析することにより得られる。機械学習モデル610は、訓練データと、入力された合成情報602を基に、処理を行い、パラメータ620を取得する。機械学習モデル610の例としては、CNN(Convolutional neural network)等が挙げられる。本実施形態では、訓練データは、他の移動体の合成情報と、その移動体の空気抵抗と、がペアになっているデータである。パラメータ620は、機械学習モデル610による回帰分析の結果として取得される物理量である。パラメータ620は、移動体に関する物理量であればよく、本実施形態では、空気抵抗である。
制御部201は、重なり尺度F及び深さの類似度Fを取得したかどうかを判定する。制御部201は、重なり尺度F及び深さの類似度Fを取得したと判定した場合、機械学習モデルの中で2種類の類似度について、重み付けをして足し合わせる。このとき、この足し合わせにより得られた類似度Fは、入力された車両と記憶されていた車両との近さを表す。次に、制御部201は、足し合わせにより得られた類似度Fと、記憶されていた車両の空気抵抗と、から回帰することで、入力された車両の空気抵抗を予測する。すなわち、制御部201は、第2車両に関する第2空気抵抗と、第1車両と第2車両の類似度と、に基づいて、第1車両に関する第1空気抵抗を予測する。制御部201は、第2車両に関する第2空気抵抗と、類似度と、に基づいて、第1車両に関する第1空気抵抗を予測すると共に第1空気抵抗の信頼度を取得する。例えば、制御部201は、空気抵抗として0.3を出力し、信頼度として「80%の確率で空気抵抗は、0.28~0.32である」という結果を出力する。すなわち、制御部201は、第2車両に関する第2パラメータと、類似度と、を機械学習モデルに入力し、機械学習モデルからの出力値に基づき第1車両に関する第1パラメータを予測する。ここで、本実施形態の機械学習モデルでは、ガウス過程が用いられている。制御部201は、ガウス過程を用いることによって、訓練データの空気抵抗及び入力形状データと訓練データとの類似度を基に、入力形状データの空気抵抗の予測値として期待値と、信頼度として分散と、をそれぞれ取得する。また、このとき、類似度Fは、ガウス過程におけるカーネル関数として機能する。これにより、ガウス過程を用いるので、訓練データに近いデータが入力された場合は、精度良くパラメータを予測できる。
以上、本発明の一つによれば、より効率的に移動体の物理量を予測することができる。
【0039】
[変形例1]
実施形態では車両の全体が入力形状データとして与えられた例について説明をしたが、変形例1では移動体の一部が入力形状データとして与えられてもよい。
この場合、まず、制御部201は、移動体の一部の画像を入力形状データとして受け付ける。次に、制御部201は、記憶部202から全体の形状を参照し入力された部分のみを置き換える。以降は、制御部201は、その入力された部分のみを置き換えた形状を入力形状データとして、処理を行う。これにより、入力形状の一部のデータのみを用意することで、全体の形状のパラメータを得ることができる。
【0040】
なお、車両は、移動体の一例である。移動体の他の例としては、アミューズメントパーク等の乗り物、ジェットコースター、飛行機、船、電車、自動二輪車等の鞍乗型車両、自転車、タクシー、バス、であってもよい。加えて、移動体は、ユーザが直接操縦しない乗り物、例えば、ラジコン、ドローン等であってもよい。
【0041】
次に記載の各態様で提供されてもよい。
前記情報処理装置において、前記制御部は、前記第1移動体の画像に基づいて、前記第1移動体のシルエットを情報として持つ第1シルエット情報と、前記第1移動体の法線を情報として持つ第1法線情報と、を取得し、前記第1深度情報と、前記第1シルエット情報と、前記第1法線情報と、に基づいて、前記類似度を取得する、情報処理装置。
前記情報処理装置において、前記制御部は、前記第1深度情報と、前記第1シルエット情報と、前記第1法線情報と、を合成した第1合成情報を取得し、前記第1合成情報に基づいて、前記類似度を取得する、情報処理装置。
前記情報処理装置において、前記制御部は、前記第1シルエット情報と、前記第2移動体の第2シルエット情報と、に基づいて、前記第1移動体及び前記第2移動体のシルエットが重なる部分と、シルエットが重ならない部分と、を取得し、前記シルエットが重なる部分と、前記シルエットが重ならない部分と、について、それぞれ前記類似度を取得する、情報処理装置。
前記情報処理装置において、前記制御部は、前記シルエットが重なる部分の類似度を、前記第1深度情報及び前記第2移動体の第2深度情報の差と、前記第1法線情報及び前記第2移動体の第2法線情報の平均と、の積に基づいて、取得する、情報処理装置。
前記情報処理装置において、前記制御部は、前記シルエットが重ならない部分の類似度を、前記シルエットが重なる部分の面積と、前記シルエットが重ならない部分の面積と、の比率に基づいて、取得する、情報処理装置。
前記情報処理装置において、前記第1移動体の画像は、複数の視点から描画された前記第1移動体が含まれ、複数の視点から描画された前記第1移動体の画像に基づいて、複数の前記第1深度情報を取得し、前記制御部は、複数の前記第1深度情報に基づいて、前記類似度を取得する、情報処理装置。
前記情報処理装置において、前記第1パラメータ及び前記第2パラメータは、空気抵抗である、情報処理装置。
前記情報処理装置において、前記制御部は、前記第2移動体に関する第2パラメータと、前記類似度と、に基づいて、前記第1移動体に関する第1パラメータを予測すると共に前記第1パラメータの信頼度を取得する、情報処理装置。
前記情報処理装置において、前記制御部は、前記第2移動体に関する第2パラメータと、前記類似度と、を機械学習モデルに入力し、前記機械学習モデルからの出力値に基づき前記第1移動体に関する前記第1パラメータを予測する、情報処理装置。
前記情報処理装置において、前記機械学習モデルでは、ガウス過程が用いられている、情報処理装置。
前記情報処理装置において、前記第1移動体及び前記第2移動体は、車両である、情報処理装置。
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、第1移動体の画像に基づいて、第1深度画像を取得し、前記第1深度画像と、前記第1深度画像と同じ角度の第2移動体に関する第2深度画像と、前記、第2移動体に関する第2パラメータと、に基づいて、前記第1移動体に関する第1パラメータを予測する、情報処理方法。
プログラムであって、コンピュータを、前記情報処理装置の制御部として機能させるためのプログラム。
もちろん、この限りではない。
【0042】
最後に、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0043】
100 :情報処理装置
110 :ネットワーク
201 :制御部
202 :記憶部
203 :通信部
204 :入力部
205 :出力部
401 :車両の画像
402 :第1合成情報
500 :ベン図情報
610 :機械学習モデル
620 :パラメータ
:第1深度情報
:第2深度情報
:重なり尺度
:深さの類似度
:類似度
:第1法線情報
:第1法線情報
:第1シルエット情報
:第2シルエット情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6