(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055136
(43)【公開日】2023-04-17
(54)【発明の名称】異常検知システム、異常検知方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20230410BHJP
【FI】
G05B23/02 302R
G05B23/02 R
G05B23/02 T
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021164286
(22)【出願日】2021-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】516046776
【氏名又は名称】関西エアポート株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐川 大志
(72)【発明者】
【氏名】田中 謙司
(72)【発明者】
【氏名】平田 勝巳
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 利加
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223AA21
3C223AA23
3C223BA03
3C223CC02
3C223DD03
3C223EB03
3C223FF02
3C223FF04
3C223FF05
3C223FF12
3C223FF22
3C223FF24
3C223FF26
3C223FF35
3C223FF42
3C223FF52
3C223GG01
3C223HH03
3C223HH08
3C223HH29
(57)【要約】
【課題】設備機器の消費エネルギーの異常な変動を検出すること。
【解決手段】第1推定部21は、第1期間の第1情報と第2情報とを用いて機械学習を行うことで生成された第1学習モデルに、推定対象時点の第2情報を入力して消費エネルギーの第1確率分布を推定する。第1情報は設備機器E1の消費エネルギーの測定値であり、第2情報は消費エネルギーの変動要因となる情報である。第2推定部22は、第2期間の第1情報と第2情報とを用いて機械学習を行うことで生成された第2学習モデルに、推定対象時点の第2情報を入力して消費エネルギーの第2確率分布を推定する。第1算出部31は、推定対象時点の消費エネルギーの測定値が第1確率分布の期待値から離れている度合いを示す第1異常スコアを求める。第2算出部32は、推定対象時点の消費エネルギーの測定値が第2確率分布の期待値から離れている度合いを示す第2異常スコアを求める。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設に設けられた設備機器の消費エネルギーの測定値である第1情報を取得する第1取得部と、
前記設備機器の消費エネルギーの変動要因となる第2情報を取得する第2取得部と、
第1期間の前記第1情報と前記第2情報とを用いて機械学習を行うことで生成された第1学習モデルに、推定対象時点における前記第2情報を入力して前記推定対象時点における前記設備機器の消費エネルギーの第1確率分布を推定する第1推定部と、
前記第1期間とは異なる第2期間の前記第1情報と前記第2情報とを用いて機械学習を行うことで生成された第2学習モデルに、前記推定対象時点における前記第2情報を入力して前記推定対象時点における前記設備機器の消費エネルギーの第2確率分布を推定する第2推定部と、
前記第1確率分布と、前記推定対象時点における前記第1情報とに基づいて、前記推定対象時点における前記設備機器の消費エネルギーの測定値が前記第1確率分布の期待値から離れている度合いを示す第1異常スコアを求める第1算出部と、
前記第2確率分布と、前記推定対象時点における前記第1情報とに基づいて、前記推定対象時点における前記設備機器の消費エネルギーの測定値が前記第2確率分布の期待値から離れている度合いを示す第2異常スコアを求める第2算出部と、
前記第1異常スコア及び前記第2異常スコアを出力する出力部と、を備える、
異常検知システム。
【請求項2】
前記第1期間が前記第2期間よりも長い、
請求項1に記載の異常検知システム。
【請求項3】
前記第1期間と前記第2期間の長さが同じで、
前記第1期間と前記第2期間の時期が互いに異なる、
請求項1に記載の異常検知システム。
【請求項4】
前記第2情報が、前記施設における気象に関連する気象関連情報と、時刻に関する時間情報と、暦に関連するカレンダー情報と、前記施設の稼働状況に関連する施設関連情報とのうち少なくとも1つを含む、
請求項1~3のいずれか1項に記載の異常検知システム。
【請求項5】
前記第1算出部は、前記第1確率分布の期待値及び分散と、前記推定対象時点における前記第1情報とに基づいて、前記第1異常スコアを求め、
前記第2算出部は、前記第2確率分布の期待値及び分散と、前記推定対象時点における前記第1情報とに基づいて、前記第2異常スコアを求める、
請求項1~4のいずれか1項に記載の異常検知システム。
【請求項6】
前記設備機器は、複数の設備機器の一つであり、
前記第1推定部は、前記複数の設備機器の各々について、前記第1確率分布を推定し、
前記第2推定部は、前記複数の設備機器の各々について、前記第2確率分布を推定し、
前記第1算出部は、前記複数の設備機器の各々について、前記第1異常スコアを求め、
前記第2算出部は、前記複数の設備機器の各々について、前記第2異常スコアを求め、
前記出力部は、表示部の画面に、前記第1異常スコア又は前記第2異常スコアの値の大きい順番に所定個数の前記設備機器の名称を並べて表示する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の異常検知システム。
【請求項7】
前記複数の設備機器の各々に対応して複数の管理部門が設定されており、
前記複数の管理部門の各々は、前記複数の設備機器のうち対応する設備機器の管理業務を行い、
前記出力部は、前記表示部の画面に、前記所定個数の設備機器の名称と、前記所定個数の設備機器の各々を管理する管理部門の情報とを対応付けて表示する、
請求項6に記載の異常検知システム。
【請求項8】
前記複数の設備機器の中から表示対象の設備機器を示す選択情報を受け付ける受付部を更に備え、
前記出力部は、前記選択情報に基づいて、前記表示対象の設備機器の前記第1情報と、前記表示対象の設備機器について求めた前記第1異常スコア及び前記第2異常スコアとを時系列で表示するグラフを、前記表示部の画面に表示する、
請求項6又は7に記載の異常検知システム。
【請求項9】
前記第1期間の前記第1情報と前記第2情報とを用いて機械学習を行って前記第1学習モデルを生成する第1学習部と、
前記第2期間の前記第1情報と前記第2情報とを用いて機械学習を行って前記第2学習モデルを生成する第2学習部と、を更に備える、
請求項1~8のいずれか1項に記載の異常検知システム。
【請求項10】
施設に設けられた設備機器の消費エネルギーの測定値である第1情報を取得する第1取得ステップと、
前記設備機器の消費エネルギーの変動要因となる第2情報を取得する第2取得ステップと、
第1期間の前記第1情報と前記第2情報とを用いて機械学習を行うことで生成された第1学習モデルに、推定対象時点における前記第2情報を入力して前記推定対象時点における前記設備機器の消費エネルギーの第1確率分布を推定する第1推定ステップと、
前記第1期間とは異なる第2期間の前記第1情報と前記第2情報とを用いて機械学習を行うことで生成された第2学習モデルに、前記推定対象時点における前記第2情報を入力して前記推定対象時点における前記設備機器の消費エネルギーの第2確率分布を推定する第2推定ステップと、
前記第1確率分布と、前記推定対象時点における前記第1情報とに基づいて、前記推定対象時点における前記設備機器の消費エネルギーの測定値が前記第1確率分布の期待値から離れている度合いを示す第1異常スコアを求める第1算出ステップと、
前記第2確率分布と、前記推定対象時点における前記第1情報とに基づいて、前記推定対象時点における前記設備機器の消費エネルギーの測定値が前記第2確率分布の期待値から離れている度合いを示す第2異常スコアを求める第2算出ステップと、
前記第1異常スコア及び前記第2異常スコアを出力する出力ステップと、を含む、
異常検知方法。
【請求項11】
コンピュータシステムに、請求項10に記載の異常検知方法を実行させるための、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、異常検知システム、異常検知方法、及びプログラムに関する。より詳細には、本開示は、施設における設備機器の消費エネルギーを検知する異常検知システム、異常検知方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、建物の一部区域又は全区域を対象に、エネルギー管理を行うエネルギー管理システムを開示する。エネルギー管理システムは、基準時の空調スケジュールと、省エネルギー制御内容である空調スケジュールとから、省エネ率を算出する。エネルギー管理システムは、省エネルギー制御実施時の空調エネルギー消費量と、省エネ率とから基準時に想定される空調エネルギー消費量を算出する。また、エネルギー管理システムは、制御期間において空調機での空調消費エネルギー量が上限値以内に収まるように、以後の空調スケジュールを作成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のエネルギー管理システムが管理する空調機(設備機器)の空調消費エネルギー量(消費エネルギー)は、周期性や季節性などの時間的要因、又は、気温などの気象的要因によって変動する。また、空調消費エネルギー量は、ユーザが空調機を使うときの使い方によっても変動する。例えば、空調機の温度設定を適正温度に比べて過剰に低くする過剰冷房、又は、空調機の温度設定を適正温度に比べて過剰に高くする過剰暖房が行われると、空調消費エネルギー量は増加する。
【0005】
特許文献1のエネルギー管理システムでは、空調消費エネルギー量の変動は検出可能であるが、空調消費エネルギー量の変動が時間的要因又は気象要因により発生する妥当なレベルであるか、妥当なレベルを超えた異常な変動であるかを検出することはできなかった。
【0006】
本開示の目的は、設備機器の消費エネルギーの異常な変動を検出可能な異常検知システム、異常検知方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の異常検知システムは、第1取得部と、第2取得部と、第1推定部と、第2推定部と、第1算出部と、第2算出部と、出力部と、を備える。前記第1取得部は、施設に設けられた設備機器の消費エネルギーの測定値である第1情報を取得する。前記第2取得部は、前記設備機器の消費エネルギーの変動要因となる第2情報を取得する。前記第1推定部は、第1学習モデルに推定対象時点における前記第2情報を入力して前記推定対象時点における前記設備機器の消費エネルギーの第1確率分布を推定する。前記第1学習モデルは、第1期間の前記第1情報と前記第2情報とを用いて機械学習を行うことで生成された学習モデルである。前記第2推定部は、第2学習モデルに前記推定対象時点における前記第2情報を入力して前記推定対象時点における前記設備機器の消費エネルギーの第2確率分布を推定する。前記第2学習モデルは、前記第1期間とは異なる第2期間の前記第1情報と前記第2情報とを用いて機械学習を行うことで生成された学習モデルである。前記第1算出部は、前記第1確率分布と、前記推定対象時点における前記第1情報とに基づいて、前記推定対象時点における前記設備機器の消費エネルギーの測定値が前記第1確率分布の期待値から離れている度合いを示す第1異常スコアを求める。前記第2算出部は、前記第2確率分布と、前記推定対象時点における前記第1情報とに基づいて、前記推定対象時点における前記設備機器の消費エネルギーの測定値が前記第2確率分布の期待値から離れている度合いを示す第2異常スコアを求める。前記出力部は、前記第1異常スコア及び前記第2異常スコアを出力する。
【0008】
本開示の一態様の異常検知方法は、第1取得ステップと、第2取得ステップと、第1推定ステップと、第2推定ステップと、第1算出ステップと、第2算出ステップと、出力ステップと、を含む。前記第1取得ステップでは、施設に設けられた設備機器の消費エネルギーの測定値である第1情報を取得する。前記第2取得ステップでは、前記設備機器の消費エネルギーの変動要因となる第2情報を取得する。前記第1推定ステップでは、第1学習モデルに推定対象時点における前記第2情報を入力して前記推定対象時点における前記設備機器の消費エネルギーの第1確率分布を推定する。前記第1学習モデルは、第1期間の前記第1情報と前記第2情報とを用いて機械学習を行うことで生成された学習モデルである。前記第2推定ステップでは、第2学習モデルに前記推定対象時点における前記第2情報を入力して前記推定対象時点における前記設備機器の消費エネルギーの第2確率分布を推定する。前記第2学習モデルは、前記第1期間とは異なる第2期間の前記第1情報と前記第2情報とを用いて機械学習を行うことで生成された学習モデルである。第1算出ステップでは、前記第1確率分布と、前記推定対象時点における前記第1情報とに基づいて、前記推定対象時点における前記設備機器の消費エネルギーの測定値が前記第1確率分布の期待値から離れている度合いを示す第1異常スコアを求める。前記第2算出ステップでは、前記第2確率分布と、前記推定対象時点における前記第1情報とに基づいて、前記推定対象時点における前記設備機器の消費エネルギーの測定値が前記第2確率分布の期待値から離れている度合いを示す第2異常スコアを求める。前記出力ステップでは、前記第1異常スコア及び前記第2異常スコアを出力する。
【0009】
本開示の一態様のプログラムは、コンピュータシステムに、前記異常検知方法を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、設備機器の消費エネルギーの異常な変動を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る異常検知システムの概略的なブロック図である。
【
図2】
図2は、同上の異常検知システムの動作を説明するフローチャートである。
【
図3】
図3は、消費エネルギーの推定値の確率分布を示すグラフである。
【
図4】
図4は、消費エネルギー及び異常スコアの時間変化を示すグラフである。
【
図5】
図5は、同上の異常検知システムによる異常スコアの表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態)
(1)概要
以下の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0013】
本開示の異常検知システム1は、
図1に示すように、第1取得部11と、第2取得部12と、第1推定部21と、第2推定部22と、第1算出部31と、第2算出部32と、出力部40と、を備える。
【0014】
第1取得部11は、施設(Facility)F1に設けられた設備機器E1の消費エネルギーの測定値である第1情報を取得する。
【0015】
第2取得部12は、設備機器E1の消費エネルギーの変動要因となる第2情報を取得する。
【0016】
第1推定部21は、第1学習モデルに推定対象時点における第2情報を入力して、推定対象時点における設備機器E1の消費エネルギーの第1確率分布を推定する。第1学習モデルは、第1期間の第1情報と第2情報とを用いて機械学習を行うことで生成されたモデルである。第1学習モデルは、第2情報が入力されると、第1情報(つまり設備機器E1の消費エネルギー)の推定値又は推定値の第1確率分布を出力するようなモデルであり、第1期間における第1情報と第2情報とを用いて機械学習を行うことによって生成される。
【0017】
第2推定部22は、第2学習モデルに推定対象時点における第2情報を入力して、推定対象時点における設備機器E1の消費エネルギーの第2確率分布を推定する。第2学習モデルは、第1期間とは異なる第2期間の第1情報と第2情報とを用いて機械学習を行うことで生成された学習モデルである。第2学習モデルは、第2情報が入力されると、第1情報(つまり設備機器E1の消費エネルギー)の推定値又は推定値の第2確率分布を出力するようなモデルであり、第2期間における第1情報と第2情報とを用いて機械学習を行うことによって生成される。
【0018】
第1算出部31は、第1確率分布と、推定対象時点における第1情報とに基づいて、推定対象時点における設備機器E1の消費エネルギーの測定値が第1確率分布の期待値から離れている度合いを示す第1異常スコアを求める。
【0019】
第2算出部32は、第2確率分布と、推定対象時点における第1情報とに基づいて、推定対象時点における設備機器E1の消費エネルギーの測定値が第2確率分布の期待値から離れている度合いを示す第2異常スコアを求める。
【0020】
出力部40は、第1異常スコア及び第2異常スコアを出力する。
【0021】
ここにおいて、施設F1は、エネルギーを消費する設備機器E1が設けられた建物である。施設F1は、例えば、空港、鉄道、フェリー港のような交通機関のターミナル施設、ショッピングモール、百貨店、スーパーマーケット等の商業施設、オフィスビル、工場、病院等の建物を含み得る。なお、以下の実施形態では、異常検知システム1を、空港のターミナル施設のような施設F1に適用した場合を例に説明する。
【0022】
施設F1に設けられる設備機器E1は、電気エネルギー又は熱エネルギー等のエネルギーを消費して所定の機能を実行する機器である。施設F1には複数の設備機器E1が設けられている。複数の設備機器E1は、例えば、施設F1の環境を制御する機器を含み得る。この種の設備機器E1としては、例えば、空調機器、照明機器、給湯機器等がある。設備機器E1が電気機器の場合、設備機器E1の消費エネルギー量は、設備機器E1が消費した電力量で評価される。設備機器E1が、温水又は冷水を利用して空気の温度を調整する空調機器である場合、設備機器E1の消費エネルギー量は、温水又は冷水を作るために使用される電力又はガスの使用量、或いは、電力又はガス等を使用して作られた温水又は冷水の使用量で評価される。なお、施設F1が空港のターミナル施設のような大規模な施設である場合、施設F1には数十~数百の設備機器E1が設置される。施設F1に設置される複数の設備機器E1は、複数種類の機器を含んでいてもよいし、同一種類の機器でもよい。
【0023】
第1情報は、設備機器E1の消費エネルギーの測定値であり、例えば、電力又はガスの使用量、或いは、空調機器用の温水又は冷水の使用量のうち少なくとも1つの消費量の測定値を含むことが好ましい。施設F1に複数の設備機器E1が設置されている場合、第1情報は、個々の設備機器E1の消費エネルギーの測定値でもよいし、施設F1全体の消費エネルギーの測定値でもよい。また、施設F1に設置された複数の設備機器E1が、複数のグループに分けられている場合、第1情報は、グループごとに測定された消費エネルギーの測定値でもよい。なお、複数の設備機器E1は、例えば、設備機器E1が設置されている場所(例えば設備機器E1が設置されている建物又は建物の階など)でグループ分けされてもよいし、用途(例えば施設F1の1階部分の空調系統、2階部分の空調系統など)でグループ分けされてもよい。
【0024】
なお、第1情報は、電力、ガス、空調機器用の温水又は冷水の使用量に限定されず、それ以外の消費エネルギーの測定値でもよい。第1取得部11が第1情報を「取得」するとは、例えば、第1情報の時系列データを記憶するデータベースから第1情報を取得する態様のほか、第1情報を測定するセンサ等から第1情報を直接取得する態様を含み得る。
【0025】
第2情報は、設備機器E1の消費エネルギーの変動要因となる事象に関連する情報を含む。設備機器E1の消費エネルギーは、周期性や季節性などの時間的要因、及び、天候などの要因によって変動(増加又は減少)する可能性がある。したがって、第2情報は、例えば、施設F1における気象に関連する気象関連情報と、時刻に関する時間情報と、曜日及び祝日等の暦に関連するカレンダー情報と、施設F1の稼働状況に関連する施設関連情報とのうち少なくとも1つを含むことが好ましい。このような第2情報と第1情報とを用いて機械学習を行って第1学習モデル及び第2学習モデルを生成しているので、気象関連情報、時間情報、カレンダー情報、及び施設関連情報のうちの少なくとも1つに関連する消費エネルギーの変動を考慮して、推定対象時点における消費エネルギーを推定することができる。
【0026】
気象関連情報は、例えば、施設F1が存在する場所の気温、湿度、降水量、日射量、風向、風速などの気象データのうち少なくとも一つを含む。
【0027】
時間情報は、設備機器E1の消費エネルギーを測定した時刻、第2情報を測定した時刻などの情報を含む。
【0028】
施設関連情報は、施設F1の稼働状況に関連する情報である。施設F1が空港のターミナル施設である場合、施設関連情報は、空港を離発着する飛行機のフライトスケジュールに関するフライト情報、及び、飛行機に搭乗する搭乗客数に関する情報のうち少なくとも1つを含むことが好ましい。施設F1がショッピングモールなどの商業施設である場合、施設関連情報は、商業施設の営業時間、来客数の情報のうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0029】
なお、第2情報が、気象関連情報、時間情報、カレンダー情報、及び施設関連情報の全てを含むことは必須ではない。第2情報は、気象関連情報、時間情報、カレンダー情報、及び施設関連情報の少なくとも1つを含んでいればよく、以下の実施形態では第2情報が、気象関連情報としての気温の情報と、時間情報と、カレンダー情報とを含む場合を例に説明する。なお、第2取得部12が第2情報を「取得」するとは、例えば、第2情報の時系列データを記憶するデータベースから第2情報を取得する態様のほか、第2情報を測定するセンサ等から第2情報を直接取得する態様を含み得る。
【0030】
本実施形態では、推定対象時点における設備機器E1の消費エネルギーの異常スコアを求めるために、第1期間の第1情報と第2情報とを用いて機械学習を行うことで生成した第1学習モデルと、第2期間の第1情報と第2情報とを用いて機械学習を行うことで生成した第2学習モデルとを用いている。第1推定部21は、推定対象時点における第2情報を第1学習モデルに入力して推定対象時点における消費エネルギーの第1確率分布を推定する。第2推定部22は、推定対象時点における第2情報を第2学習モデルに入力して推定対象時点における消費エネルギーの第2確率分布を推定する。そして、第1算出部31は、測定対象時点における消費エネルギーの測定値が第1確率分布の期待値から離れている度合いを示す第1異常スコアを求め、第2算出部32は、測定対象時点における消費エネルギーの測定値が第2確率分布の期待値から離れている度合いを示す第2異常スコアを求めている。
【0031】
ここにおいて、第1学習モデルは、第1期間において第2情報に起因して変動する消費エネルギーをもとに生成された学習モデルである。第1推定部21は、推定対象時点における第2情報を第1学習モデルに入力することで、第1期間での消費エネルギーの変動傾向を考慮して推定対象時点における消費エネルギーを推定している。そして、第1算出部31は、推定対象時点における消費エネルギーの推定値(第1確率分布の期待値)と測定値との乖離度合いを示す第1異常スコアを求めている。推定対象時点における消費エネルギーの測定値が、第1期間において第2情報に起因して変動する消費エネルギーの傾向と一致していれば、第1異常スコアは小さくなるが、一致していなければ大きな値となる。
【0032】
また、第2学習モデルは、第2期間において第2情報に起因して変動する消費エネルギーをもとに生成された学習モデルである。第2推定部22は、推定対象時点における第2情報を第2学習モデルに入力することで、第2期間での消費エネルギーの変動傾向を考慮して推定対象時点における消費エネルギーを推定している。そして、第2算出部32は、推定対象時点における消費エネルギーの推定値(第2確率分布の期待値)と測定値との乖離度合いを示す第2異常スコアを求めている。推定対象時点における消費エネルギーの測定値が、第2期間において第2情報に起因して変動する消費エネルギーの傾向と一致していれば、第2異常スコアは小さくなるが、一致していなければ大きな値となる。
【0033】
ここで、第1期間と第2期間とは互いに異なる期間である。第1異常スコアは、第1期間において第2情報に起因して変動する消費エネルギーの傾向に基づいて算出された異常スコアとなり、第2異常スコアは、第2期間において第2情報に起因して変動する消費エネルギーの傾向に基づいて算出された異常スコアとなる。したがって、第1異常スコア及び第2異常スコアの値をもとに、第2情報に含まれる変動要因を考慮した上で、消費エネルギーが異常に変動しているか否かを判断することができる。
【0034】
また、異常検知システム1は、第1期間での消費エネルギーの傾向に基づいて推定した推定値との乖離度合いを示す第1異常スコアと、第2期間での消費エネルギーの傾向に基づいて推定した推定値との乖離度合いを示す第2異常スコアとを出力している。よって、施設F1の管理者は、第1異常スコアに基づいて第1期間での消費エネルギーの傾向から逸脱した消費エネルギーの異常な変動を把握でき、第2異常スコアに基づいて第2期間での消費エネルギーの傾向から逸脱した消費エネルギーの異常な変動を把握できる。例えば第1期間と第2期間とで消費エネルギーの傾向が変化した場合、測定対象時点における消費エネルギーが、第1期間での消費エネルギーの傾向から外れていても、第2期間での消費エネルギーの傾向に一致していれば、第1異常スコアに比べて第2異常スコアは低い値となる。この場合、第1異常スコアのみでは設備機器E1の消費エネルギーが異常に変動したと判断される可能性があるが、第1異常スコアに加えて第2異常スコアを求めることで、施設F1の管理者は消費エネルギーの変動が異常ではないと判断できる。したがって、設備機器E1の消費エネルギーの異常な変動を検出可能な異常検知システム1を提供することができる。
【0035】
なお、設備機器E1の消費エネルギーの異常な変動は、第2情報に含まれる変動要因以外の外的要因によって発生すると考えられる。
【0036】
外的要因には種々の要因があり、外的要因としては、例えば、設備機器E1の変則的な使い方がある。設備機器E1が例えば空調機器である場合、外的要因は、冷房時の設定温度を適正温度よりも低めに設定すること、暖房時の設定温度を適正温度よりも高めに設定すること、運転時間を必要以上に長くすること、風量を通常よりも大きくすること、等がある。
【0037】
また、施設F1が空港のターミナル施設である場合、消費エネルギーを増加させる外的要因としては、空港を離発着する便数の増加、又は、離発着便の遅延及び欠航などによるターミナル施設の利用時間の増加などがある。ターミナル施設の利用時間が増加すると、設備機器E1の使用時間が長くなり、消費エネルギーが増加する。また、離発着便の欠航によって、ターミナル施設に滞留者がいる場合、照明器具及び空調機器などの設備機器E1の使用時間が長くなり、消費エネルギーが増加する。
【0038】
また、消費エネルギーを増加させる外的要因としては、設備機器E1の不具合も含まれる。例えば、設備機器E1が冷温水を利用して空調を行う空調機器である場合、冷温水バルブの故障(例えば冷温水バルブが全開状態でロックされるような故障)によって冷温水が無駄に消費されたり、ポンプの制御装置に不具合が発生したりすることで、消費エネルギーが増加する。
【0039】
また、消費エネルギーを増加させる外的要因には、第1期間又は第2期間における気象の状況とは異なる異常な気象状況も含まれる。例えば、設備機器E1が空調機器である場合、冷房時では第1期間又は第2期間に比べて気温が異常に上昇すること、暖房時では第1期間又は第2期間に比べて気温が異常に低下することによって消費エネルギーの増加が発生する。また、第1期間又は第2期間に比べて湿度が異常に増加したり、第1期間又は第2期間に比べて日射量が異常に増加したりすることでも、空調機器の消費エネルギーが増加する可能性がある。
【0040】
また、消費エネルギーを増加させる外的要因には、施設F1の運用時間又は運用方法の変更も含まれる。例えば、新型コロナウィルスなどの感染症対策として、施設F1の一部エリアの運用方法を変更した場合、例えば搭乗待合エリアをウィルス検査場に変更した場合、空調機器及び照明器具などの使用時間が長くなり、消費エネルギーが増加することになる。
【0041】
以上のような外的要因によって消費エネルギーが増加した場合、第1異常スコア及び第2異常スコアの少なくとも一方が大きな値となるので、施設F1の管理者は、第1異常スコア及び第2異常スコアの値をもとに、消費エネルギーの異常な変動を把握できる。このとき、施設F1の管理者は、消費エネルギーの異常な変動が発生した要因を検討することで、設備機器E1の消費エネルギーの変動が設備機器E1の無駄な使用によって発生したものか否かを把握でき、設備機器E1の無駄な使用と判明した場合には設備機器E1の使い方等を見直すことで省エネルギーを実現することができる。
【0042】
例えば、設備機器E1が過剰に使用されるなどして、設備機器E1の消費エネルギーが第1期間又は第2期間における消費エネルギーの傾向から外れると、第1異常スコア又は第2異常スコアの値が大きくなる。よって、第1異常スコア及び第2異常スコアの値から設備機器E1の異常(非効率)な使われ方を検出することができ、設備機器E1のエネルギーコストの低減を図ることができる。
【0043】
なお、第2期間は第1期間と異なる期間であるが、第2期間は、第1期間と時間的に異なる期間でもよいし、第1期間とは異なる特定の事象が発生している期間でもよい。第1期間と時間的に異なる期間とは、例えば第1期間よりも短い期間である。また、特定の事象が発生している期間とは、例えば、特異な気象現象が発生している期間、スポーツの国際大会や万博等の大規模イベントの開催により空港の発着便が増加する期間などである。ここで、特異な気象現象が発生している期間とは、例えば、台風が発生した期間、熱波などで気温が異常に上昇している異常高温期間、寒波などで気温が異常に低下している異常冷温期間などである。なお、以下の実施形態では、第1期間が第2期間よりも長く、例えば、第1期間が1年~数年程度の長期の期間、第2期間が直近の数週間から数か月の短期の期間である場合について説明を行う。
【0044】
(2)詳細
以下、本実施形態に係る異常検知システム1について図面を参照して詳しく説明する。
【0045】
(2.1)構成
図1は、異常検知システム1の概略的なシステム構成図である。
【0046】
異常検知システム1は、上述のように、第1取得部11と、第2取得部12と、第1推定部21と、第2推定部22と、第1算出部31と、第2算出部32と、出力部40と、を備える。また、本実施形態の異常検知システム1は、第1学習部51と、第2学習部52と、受付部41とを、更に備えている。
【0047】
ここで、異常検知システム1は、例えば、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムを、コンピュータシステムのプロセッサが実行することにより、異常検知システム1の機能(第1取得部11、第2取得部12、第1推定部21、第2推定部22、第1算出部31、第2算出部32、出力部40、受付部41、第1学習部51、及び第2学習部52など)が実現される。したがって、第1取得部11、第2取得部12、第1推定部21、第2推定部22、第1算出部31、第2算出部32、出力部40、受付部41、第1学習部51、及び第2学習部52は、コンピュータシステムによって実現される機能ブロックを示しているに過ぎず、必ずしも実体のある構成を示しているわけではない。異常検知システム1が実行するプログラムは、メモリに記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。また、異常検知システム1が備える一部又は全部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0048】
第1取得部11は、施設F1に設けられた複数の設備機器E1の消費エネルギーの測定値(第1情報)を取得する。本実施形態では、施設F1に、複数の設備機器E1の消費エネルギーを管理するBEMS(Building Energy Management System)100が導入されている場合を想定する。BEMS100は、複数の設備機器E1の各々について消費エネルギーの時系列データを蓄積しており、第1取得部11は、インターネット等の通信ネットワークを介して、BEMS100から複数の設備機器E1の消費エネルギーの測定値を取得する。第1取得部11は、例えば所定のサンプリング周期で(例えば1時間ごとに)BEMS100から複数の設備機器E1の消費エネルギーの測定値を取得する。
【0049】
第2取得部12は、設備機器E1の消費エネルギーの変動要因となる第2情報を取得する。施設F1には、施設F1が存在する場所の気温を計測する温度センサが設けられ、温度センサが計測した気温の時系列データはデータサーバ110に蓄積されている。また、データサーバ110は、曜日及び祝日等のカレンダー情報を記憶している。第2取得部12は、インターネット等の通信ネットワークを介して、データサーバ110から第2情報として気温の測定値と、カレンダー情報とを取得するとともに、タイマーなどから時間情報を取得する。第2取得部12は、例えば、第1取得部11が第1情報を取得するタイミングで、第2情報を定期的に取得する。
【0050】
第1学習部51は、例えば複数の設備機器E1の各々について第1学習モデルを作成する。第1学習部51は、複数の設備機器E1の各々について、第1取得部11が取得した第1期間(例えば推定対象時点から過去1年間)における第1情報、第2取得部12が取得した第1期間における第2情報を用いて機械学習(例えば、深層学習)を行い、第1学習モデルを作成する。なお、第1学習部51は、第1取得部11及び第2取得部12がそれぞれ第1情報及び第2情報を取得するごとに、第1期間における第1情報及び第2情報を用いて第1学習モデルを再学習しており、第1学習モデルを逐次更新している。
【0051】
第2学習部52は、例えば複数の設備機器E1の各々について第2学習モデルを作成する。第2学習部52は、複数の設備機器E1の各々について、第1取得部11が取得した第2期間(例えば推定対象時点から過去1ヶ月間)における第1情報、第2取得部12が取得した第2期間における第2情報を用いて機械学習を行い、第2学習モデルを作成する。なお、第2学習部52は、第1取得部11及び第2取得部12がそれぞれ第1情報及び第2情報を取得するごとに、第2期間における第1情報及び第2情報を用いて第2学習モデルを再学習しており、第2学習モデルを逐次更新している。
【0052】
なお、第1学習部51及び第2学習部52による第1学習モデル及び第2学習モデルの学習方法については「(2.3)学習モデルの学習方法」で説明する。
【0053】
第1推定部21は、第1学習モデルに推定対象時点における第2情報を入力して、推定対象時点における設備機器E1の消費エネルギーの第1確率分布を推定する。従来、推論中のニューラルネットワークにドロップアウト層を適用することで、推論結果が正規分布に従ってばらつくとの研究が報告されている。本実施形態ではこの原理を利用し、第1推定部21が、第1学習モデルを用いて推定対象時点における設備機器E1の消費エネルギーの推論を複数回行う。そして、第1推定部21は、複数回の推定結果の期待値(平均値)及び分散を計算することで、第1確率分布の期待値及び分散を求める。
【0054】
第2推定部22は、第2学習モデルに推定対象時点における第2情報を入力して、推定対象時点における設備機器E1の消費エネルギーの第2確率分布を推定する。第2推定部22は、第1推定部21と同様に、第2学習モデルを用いて推定対象時点における設備機器E1の消費エネルギーの推論を複数回行う。そして、第2推定部22は、複数回の推定結果の期待値(平均値)及び分散を計算することで、第2確率分布の期待値及び分散を求める。
【0055】
第1算出部31は、第1確率分布(期待値及び分散の情報)と、推定対象時点における第1情報とに基づいて、推定対象時点における設備機器E1の消費エネルギーの測定値が発生する確率を求める。そして、第1算出部31は、この確率に基づいて、消費エネルギーの測定値が第1確率分布の期待値から離れている度合いを示す第1異常スコアを求める。
【0056】
第2算出部32は、第2確率分布(期待値及び分散の情報)と、推定対象時点における第1情報とに基づいて、推定対象時点における設備機器E1の消費エネルギーの測定値が発生する確率を求める。そして、第2算出部32は、この確率に基づいて、消費エネルギーの測定値が第2確率分布の期待値から離れている度合いを示す第2異常スコアを求める。
【0057】
なお、第1算出部31及び第2算出部32による第1異常スコア及び第2異常スコアの算出方法については「(2.4)異常スコアの算出方法」において説明する。
【0058】
出力部40は、第1異常スコア及び第2異常スコアを出力する。異常検知システム1は、インターネット等のネットワークを介して端末装置200と通信可能に構成されている。出力部40は、第1異常スコア及び第2異常スコアの算出結果を含む出力データを端末装置200に出力することによって、端末装置200の表示部201に第1異常スコア及び第2異常スコアの算出結果などを表示させる。
【0059】
本実施形態の異常検知システム1は、複数の設備機器E1が設けられる施設F1に適用されるので、第1推定部21は、複数の設備機器E1の各々について、第1確率分布を推定する。第2推定部22は、複数の設備機器E1の各々について、第2確率分布を推定する。第1算出部31は、複数の設備機器E1の各々について、第1異常スコアを求める。第2算出部32は、複数の設備機器E1の各々について、第2異常スコアを求める。
【0060】
ここで、端末装置200は、例えば施設F1の管理者が使用するコンピュータ端末である。端末装置200は、通信機能を有するコンピュータ端末であり、ノート型のパーソナルコンピュータ、タブレット型のコンピュータ端末、スマートフォンなどを含み得る。端末装置200は、液晶ディスプレイ等の薄型のディスプレイ装置からなる表示部201と、ユーザの操作を受け付ける操作部202とを有している。端末装置200は、異常検知システム1から受信した出力データをもとに、第1異常スコア及び第2異常スコアの算出結果などを表示部201に表示する。
【0061】
(2.2)動作説明
本実施形態の異常検知システム1の動作を
図2~
図5等に基づいて説明する。なお、
図2に示すフローチャートは、本実施形態に係る異常検知方法の一例に過ぎず、処理の順序が適宜変更されてもよいし、処理が適宜追加又は省略されてもよい。
【0062】
異常検知システム1は、複数の設備機器E1の各々について、推定対象時点における消費エネルギーの測定値をもとに第1異常スコア及び第2異常スコアを算出する処理を実行する。以下では、複数の設備機器E1のうちの1つについて第1異常スコア及び第2異常スコアを算出する処理を説明する。
【0063】
第1取得部11は定期的(例えば1時間ごと)に第1情報を取得する第1取得ステップを実行し、第2取得部12は、第1取得部11が第1情報を取得するタイミングで第2情報を取得する第2取得ステップを実行する(ステップS1)。なお、第1取得部11が取得した第1情報、第2取得部12が取得した第2情報は異常検知システム1が備える記憶部に記憶される。
【0064】
第1学習部51は、新たに取得した第1情報及び第2情報を含む、第1期間における第1情報及び第2情報を用いて第1学習モデルの再学習を行う。これにより、第1学習部51は、第1期間(例えば過去の数年間)における第1情報と第2情報とを用いて機械学習を行うことで、第1学習モデルを生成する(ステップS2)。また、第2学習部52は、新たに取得した第1情報及び第2情報を含む、第2期間における第1情報及び第2情報を用いて第2学習モデルの再学習を行う。これにより、第2学習部52は、第2期間(例えば直近の1ヶ月間)における第1情報と第2情報とを用いて機械学習を行うことで、第2学習モデルを生成する(ステップS3)。なお、第1学習モデル及び第2学習モデルの生成方法については「(2.3)学習モデルの生成方法」において詳細に説明する。
【0065】
次に、第1推定部21は、推定対象時点における第2情報を第1学習モデルに入力することによって、推定対象時点における消費エネルギーの第1確率分布を求める第1推定ステップを実行する(ステップS4)。これにより、第1推定部21は、第1期間において、同じような気象関連情報、時間情報、カレンダー情報のもとで発生した消費エネルギーの値をもとに、推定対象時点における消費エネルギーを推定し、消費エネルギーの第1確率分布を推定することができる。なお、第1推定ステップで推定された消費エネルギーの推定値(第1確率分布の期待値)は異常検知システム1の記憶部に記憶される。
【0066】
また、第2推定部22は、推定対象時点における第2情報を第2学習モデルに入力することによって、推定対象時点における消費エネルギーの第2確率分布を求める第2推定ステップを実行する(ステップS5)。これにより、第2推定部22は、第2期間において、同じような気象関連情報、時間情報、カレンダー情報のもとで発生した消費エネルギーの値をもとに、推定対象時点における消費エネルギーを推定し、消費エネルギーの第2確率分布を推定することができる。なお、第2推定ステップで推定された消費エネルギーの推定値(第2確率分布の期待値)は異常検知システム1の記憶部に記憶される。
【0067】
次に、第1算出部31は、第1確率分布と、推定対象時点における消費エネルギーの測定値(第1情報)とに基づいて、消費エネルギーの測定値が推定値から離れている度合いを示す第1異常スコアを求める第1算出ステップを実行する(ステップS6)。
【0068】
また、第2算出部32は、第2確率分布と、推定対象時点における第1情報(消費エネルギーの測定値)とに基づいて、消費エネルギーの測定値が推定値から離れている度合いを示す第2異常スコアを求める第2算出ステップを実行する(ステップS7)。
【0069】
なお、第1算出部31が求めた第1異常スコア、及び第2算出部32が求めた第2異常スコアは異常検知システム1の記憶部に記憶される。第1異常スコア及び第2異常スコアの算出方法については「(2.4)異常スコアの算出方法」で詳細に説明する。
【0070】
異常検知システム1は、複数の設備機器E1の各々について、上記のステップS1~S7の処理を実行し、推定対象時点における消費エネルギーの測定値をもとに第1異常スコア及び第2異常スコアを算出する。
【0071】
第1異常スコア及び第2異常スコアが算出されると、出力部40は、第1異常スコア及び第2異常スコアを含む出力データを端末装置200に送信する。端末装置200は、異常検知システム1から受信した出力データをもとに、第1異常スコア及び第2異常スコアなどを表示する表示画面を表示部201に表示させる出力ステップを実行する(ステップS8)。なお、出力部40が表示部201に表示させる表示画面については「(2.5)表示画面の説明」で詳細に説明する。
【0072】
異常検知システム1は、BEMS100から取得した第1情報を用いて、複数の設備機器E1の各々について、第1異常スコア及び第2異常スコアを算出しているので、BEMS100で収集・蓄積された第1情報を有効に活用して消費エネルギーの異常な変動を検出できる。したがって、施設F1の管理者は、異常検知システム1が出力する第1異常スコア及び第2異常スコアの値に基づいて、設備機器E1の過剰な使用や、無駄な使用によって消費エネルギーの異常な増加がないかを検証することが可能になる。また、施設F1で建物の断熱化や設備機器E1の高効率化などの省エネ対策を行ったり、空調機器の設定温度を見直すなどして、消費エネルギーが減少した場合でも、異常検知システム1は、第1異常スコア及び第2異常スコアの値に基づいて、消費エネルギーの異常な減少(この事例では省エネ対策による減少)を検知できる。また、異常検知システム1は、機械学習によって生成された第1学習モデル及び第2学習モデルを用いて消費エネルギーの第1確率分布及び第2確率分布をそれぞれ推定する。そして、異常検知システム1は、消費エネルギーの第1確率分布及び第2確率分布をもとに第1異常スコア及び第2異常スコアを求め、第1異常スコア及び第2異常スコアの値を出力するので、施設F1の管理者が各設備機器E1の消費エネルギーの測定値を一つ一つチェックする場合に比べて、人的な作業コストを低減でき、また消費エネルギーの異常な変動を短時間で検知することもできる。
【0073】
なお、上記の説明では、異常検知システム1が、例えば1時間ごとに、各設備機器E1の消費エネルギーを取得して第1異常スコア及び第2異常スコアを算出しているが、第1異常スコア及び第2異常スコアを算出する周期は適宜変更可能である。異常検知システム1は、例えば1日ごと、1週間ごと、或いは1ヶ月ごとに、各設備機器E1の消費エネルギーを取得して第1異常スコア及び第2異常スコアを算出してもよい。異常検知システム1が、1日ごとに第1異常スコア及び第2異常スコアを算出する場合、第1取得部11は、1日に1回、各設備機器の1日分の消費エネルギーを第1情報として取得し、第2取得部12は、例えば当日の温度の平均値を第2情報として取得すればよい。そして、第1学習部51は、第1期間の第1情報と第2情報とを用いて第1学習モデルを学習するとともに、第2学習部52は、第2期間の第1情報と第2情報とを用いて第2学習モデルを学習する。第1推定部21は、当日の第2情報を第1学習モデルに入力して当日の消費エネルギーの第1確率分布を推定し、第2推定部22は、当日の第2情報を第2学習モデルに入力して当日の消費エネルギーの第2確率分布を推定する。そして、第1算出部31が、第1確率分布と推定対象時点の消費エネルギーの測定値とを用いて第1異常スコアを算出し、第2算出部32が、第2確率分布と推定対象時点の消費エネルギーの測定値とを用いて第2異常スコアを算出すればよい。
【0074】
(2.3)学習モデルの生成方法
上述のように第1学習部51は、複数の設備機器E1の各々について、第1期間における第1情報及び第2情報を用いて機械学習を行い、第1学習モデルを作成する。また、第2学習部52は、複数の設備機器E1の各々について、第2期間における第1情報及び第2情報を用いて機械学習を行い、第2学習モデルを作成する。
【0075】
ここで、消費エネルギーの異常検知には、異常ラベルが付与された複数の測定値を教師データとして学習したモデルを用いて異常を検知するアプローチと、過去の測定データを用いて学習したモデルから算出される推定値と測定値の差を利用して異常スコアを算出するアプローチがある。前者のアプローチでは複数の消費エネルギーの測定値に異常ラベルをそれぞれ付与する手間がかかる。
【0076】
そこで、第1学習部51では、第1期間の複数の第1情報に異常ラベルを付与することなく、第1期間の複数の第1情報と複数の第2情報とを用いて機械学習を行うことで、第1学習モデルを作成する。
【0077】
すなわち、第1学習部51は、第1期間における複数の第1情報と複数の第2情報とを用いて機械学習を行うことで、第1期間における時間的要因及び気象的要因による変動を考慮した第1学習モデルを作成する。第1学習モデルに、推定対象時点における第2情報を入力すると、第1学習モデルは、時間情報、カレンダー情報、及び気温が同様の条件であった場合に発生すると予測される消費エネルギーの推定値を出力する。
【0078】
同様に、第2学習部52では、第2期間の複数の第1情報に異常ラベルを付与することなく、第2期間の複数の第1情報と複数の第2情報とを用いて機械学習を行うことで、第2学習モデルを作成する。
【0079】
すなわち、第2学習部52は、第2期間における複数の第1情報と複数の第2情報とを用いて機械学習を行うことで、第2期間における時間的要因及び気象的要因による変動を考慮した第2学習モデルを作成する。第2学習モデルに、推定対象時点における第2情報を入力すると、第2学習モデルは、時間情報、カレンダー情報、及び気温が同様の条件であった場合に発生すると予測される消費エネルギーの推定値を出力する。
【0080】
(2.4)異常スコアの算出方法
第1算出部31及び第2算出部32は、それぞれ、第1異常スコア及び第2異常スコアの算出を行う。第1算出部31による第1異常スコアの算出方法と、第2算出部32による第2異常スコアの算出方法とは同様であるので、以下では第1算出部31が第1異常スコアを算出する算出方法を例に説明を行う。
【0081】
第1推定部21は、推定対象時点における第2情報を第1学習モデルに入力することによって、推定対象時点における消費エネルギーの推定を複数回行い、複数回の推定値の平均値(期待値)及び分散を求めることで、第1確率分布の期待値及び分散を求める。ここで、
図3は、消費エネルギーの第1確率分布の算出結果の一例を示す。
【0082】
消費エネルギーの第1確率分布が求まると、第1算出部31は、推定対象時点における消費エネルギーの測定値(第1情報)と、第1確率分布とを用いて、第1異常スコアSC1を求めるのであるが、以下の式(1)を用いて第1異常スコアSC1を求めている。ここで、式(1)中のXtは、推定対象時点における第2情報、ytは、推定対象時点における消費エネルギーの測定値である。また、p(yt|Xt)は、推定対象時点における第2情報Xtに対して、消費エネルギーの測定値ytが出力される条件付き確率を示しており、p(yt|Xt)は式(2)で表される。
【0083】
【0084】
【0085】
第1算出部31は、式(1)及び式(2)に、推定対象時点における消費エネルギーの測定値と、推定対象時点における消費エネルギーの期待値及び分散とを入力することで、第1異常スコアSC1を演算により求めている。言い換えると、第1算出部31は、第1確率分布の期待値及び分散と、推定対象時点における第1情報(消費エネルギー)とに基づいて、第1異常スコアSC1を求めている。
【0086】
第1異常スコアSC1は、推定対象時点における消費エネルギーの測定値ytが第1確率分布の期待値μから離れている度合いを示す値である。例えば、
図3に示す第1確率分布において、消費エネルギーの測定値ytが値y1である場合は、測定値ytが値y2である場合に比べ、期待値μから離れている度合いが大きいので、第1異常スコアSC1の値は大きくなる。
【0087】
異常検知システム1では、第1情報及び第2情報を取得するごとに第1異常スコア及び第2異常スコアを算出しており、第1異常スコア及び第2異常スコアの算出結果は時系列データとして記憶部に記憶されている。
【0088】
ここで、
図4は、ある設備機器E1の消費エネルギーの測定値、推定値、及び第1異常スコアの時間変化の一例を示すグラフである。
図4において、C1は設備機器E1の消費エネルギーの測定値、C2は第1推定部21によって推定された推定値、C3は第1異常スコアである。なお、
図4の例では、異常検知システム1は、1日ごとに第1情報及び第2情報を取得して、第1異常スコアの算出を行っている。ここで、異常検知システム1では、第1異常スコアの値に閾値Th1を設定してもよく、第1異常スコアの値が閾値Th1を超えると、消費エネルギーが異常に増加又は減少したと判断してもよい。
【0089】
なお、第2算出部32は、第1算出部31と同様の方法で第2異常スコアを求めており、第2算出部32は、第2確率分布の期待値及び分散と、推定対象時点における第1情報(消費エネルギーの測定値)とに基づいて、第2異常スコアを求めている。
【0090】
(2.5)表示画面の説明
出力部40は出力データを端末装置200に出力することによって端末装置200の表示部201に表示画面を表示させており、この表示画面について
図5を参照して説明する。
図5は、表示部201に表示される表示画面G1の一例を示している。なお、異常検知システム1は、複数の設備機器E1の各々について、1日ごとに第1異常スコア及び第2異常スコアを算出しているものとする。
【0091】
表示画面G1の上部には、表示対象とする設備機器E1を入力するための入力ボックスA1と、異常度スコア(第1異常スコア及び第2異常スコア)のランキング表示を行う対象日を入力するための入力ボックスA2と、が表示されている。
【0092】
端末装置200を使用する管理者が、操作部202を用いて、入力ボックスA1の右端に表示されたプルダウンボタンB1を選択する操作を行うと、設備機器E1の選択肢を表示するプルダウンメニューが現れる。
図5の例では、設備機器E1の選択肢として熱源と空調とがあり、管理者は操作部202を用いて熱源を選択している。
【0093】
また、端末装置200を使用する管理者が、操作部202を用いて、入力ボックスA2の右端に表示されたプルダウンボタンB2を選択する操作を行うと、対象日の選択肢を表示するプルダウンメニューが現れる。
図5の例では、管理者は操作部202を用いて、2021年1月9日を対象日として選択している。
【0094】
端末装置200を使用する管理者が、表示対象とする設備機器E1及び対象日を選択すると、選択内容を示す選択情報が異常検知システム1に送信される。異常検知システム1の受付部41が端末装置200から選択情報を受け付けると、出力部40は選択情報に基づいて、熱源に対応する複数の設備機器E1のうち、対象日の異常スコア(第1異常スコア又は第2異常スコア)が大きい順に所定個数(例えば3つ)の設備機器E1の名称などを表示するランキング表示部A3を入力ボックスA1,A2の下側に表示する。すなわち、出力部40は、表示部201の画面(具体的にはランキング表示部A3)に、複数の設備機器E1のうち、第1異常スコア又は第2異常スコアの値の大きい順番に所定個数の設備機器E1の名称を並べて表示させている。したがって、端末装置200を使用する管理者は、ランキング表示部A3の表示内容から、第1異常スコア又は第2異常スコアの値が大きかった設備機器E1、つまり消費エネルギーが異常に変動したと判断される設備機器E1を把握することができる。また、複数の設備機器E1の種類や規模が異なる場合でも、第1異常スコア又は第2異常スコアの値を用いることで相互に比較することができるという利点もある。
【0095】
また、本実施形態では、第1期間が第2期間よりも長い期間に設定されている。したがって、第1期間での消費エネルギーの傾向に基づく第1異常スコアと、第1期間よりも短い第2期間での消費エネルギーの傾向に基づく第2異常スコアとを求めることができる。例えば、最近起こった事象(例えばパンデミック等)の影響で消費エネルギーが変動した場合、長期的な観点で評価した値である第1異常スコアは大きな値となるが、短期的な観点で評価した値である第2異常スコアは小さい値となる。また、短期的な事象の影響が収束した(例えばパンデミックが収束した)場合、長期的な観点で評価した値である第1異常スコアは小さな値となり、短期的な観点で評価した値である第2異常スコアも大きな値となるので、短期的な事象の影響が収束し、消費エネルギーが事象の発生前の傾向に戻りつつあることを確認できる。したがって、異常検知システム1は、第1異常スコアと第2異常スコアの両方を求めることで、推定対象時点における消費エネルギーの測定値が異常な値であるか否かをより正確に判断できる。
【0096】
ここで、ランキング表示部A3には、所定個数の設備機器E1の各々について、複数の項目の情報が表示されている。
図5の例では、所定個数の設備機器E1の各々について、「ID」、「Building」、「場所」、「担当」、「デバイス」の5つの項目の情報が表示されている。ここで、「ID」は、例えば設備機器E1の固有の識別情報である。「Building」は、例えば設備機器E1が設置されている建物の名称である。「場所」は、例えば建物内で設備機器E1が設置されている場所の名称である。「担当」は、例えば設備機器E1を管理する管理部門の名称である。「デバイス」は、例えば設備機器E1の型番などの情報である。なお、各設備機器E1について表示する項目は上記のものに限定されず、適宜、追加、変更、削除が可能である。
【0097】
図5の例では、ランキング表示部A3には、第2異常スコアの値が大きい順番に3つの設備機器E1の情報が表示されている。ランキング表示部A3の右側には、各設備機器E1の第1異常スコアの値を棒グラフで表示するスコア表示部A4と、各設備機器E1の第2異常スコアの値を棒グラフで表示するスコア表示部A5と、が並べて表示されている。なお、ランキング表示部A3に表示する設備機器E1の数は3つに限定されず、2つでもよいし、4つ以上でもよい。
【0098】
施設F1を管理する事業を行う事業体では、複数の設備機器E1の各々に対応して複数の管理部門が設定されており、複数の管理部門の各々が、複数の設備機器E1のうち対応する設備機器E1の管理業務を行っている。そして、出力部40は、表示部201の画面(
図5の例ではランキング表示部A3)に、所定個数(例えば3つ)の設備機器E1の名称と、所定個数の設備機器E1の各々を管理する管理部門の情報とを対応付けて表示している。
【0099】
ランキング表示部A3には、第2異常スコアの上位3つの設備機器E1をそれぞれ管理する管理部門が明示されているので、上位3つの設備機器E1の各々を管理する責任がある管理部門が明確になる。したがって、上位3つの設備機器E1の各々を管理する管理部門に対して、管理対象の設備機器E1の消費エネルギーの変動が、設備機器E1の異常な使用によるものか否かをチェックするように促すことができる。
【0100】
なお、端末装置200を使用する管理者が、操作部202を用いてスコア表示部A4を選択する操作を行うと、第1異常スコアでのランキング表示を選択する選択情報が異常検知システム1に送信される。受付部41が端末装置200から選択情報を受け付けると、出力部40は選択情報に基づいて、熱源に対応する複数の設備機器E1のうち、対象日の第1異常スコアが大きい順に所定個数(例えば3つ)の設備機器E1の名称などを表示するランキング表示部A3を表示させる。また、出力部40は、ランキング表示部A3の横に、第1異常スコアを表示するスコア表示部A4と、第2異常スコアを表示するスコア表示部A5と、を並べて表示させる。
【0101】
また、端末装置200を使用する管理者が、操作部202を用いて、ランキング表示部A3において時系列データを表示させたい表示対象の設備機器E1の情報が表示された行を選択する操作を行うと、表示対象の設備機器E1を示す選択情報が異常検知システム1に送信される。受付部41が端末装置200から選択情報を受け付けると、出力部40は選択情報に基づいて、表示対象の設備機器E1の第1情報(消費エネルギーの測定値)と、表示対象の設備機器E1について求めた第1異常スコアと第2異常スコアとを時系列で表示するグラフを、表示部201の画面に表示する。
図5の例では、出力部40は、表示対象の設備機器E1について消費エネルギーの測定値と第1異常スコアとを時系列で表示するグラフ表示部A6と、表示対象の設備機器E1について消費エネルギーの測定値と第2異常スコアとを時系列で表示するグラフ表示部A7とを上下に並べて表示している。なお、出力部40は、グラフ表示部A6に、消費エネルギーの測定値(C11)と、第1学習モデルを用いて推定した消費エネルギーの推定値(C21)と、第1異常スコア(C31)とを表示している。また、出力部40は、グラフ表示部A7に、消費エネルギーの測定値(C12)と、第2学習モデルを用いて推定した消費エネルギーの推定値(C22)と、第2異常スコア(C32)とを表示している。また、グラフ表示部A6,A7には、対象日を示す縦線が表示されており、対象日以降には網掛け表示が施されている。
【0102】
なお、端末装置200を使用する管理者が、操作部202を用いて、表示対象の設備機器E1を選択する操作を行っていない場合、グラフ表示部A6,A7には、例えば、第1異常スコア又は第2異常スコアの値が最も大きい設備機器E1のグラフが表示されている。
【0103】
このように、グラフ表示部A6には、第1異常スコアに加えて、消費エネルギーの測定値と、第1学習モデルを用いて推定した消費エネルギーの推定値とが表示され、グラフ表示部A7には、第2異常スコアに加えて、消費エネルギーの測定値と、第2学習モデルを用いて推定した消費エネルギーの推定値とが表示されている。端末装置200を使用する管理者は、グラフ表示部A6,A7の表示内容を見ることで、表示対象の設備機器E1の消費エネルギーと、第1異常スコア及び第2異常スコアの時間変化を視覚的に把握しやすくなる。したがって、管理者は、設備機器E1の消費エネルギーの変動が異常であるか否か、つまり設備機器E1の使用が適切か否かを判断しやすくなる。
【0104】
なお、出力部40が表示部201に表示させる表示画面G1は
図5に示す表示形態に限定されず、適宜変更が可能である。
【0105】
(3)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、異常検知システム1と同様の機能は、異常検知方法、コンピュータプログラム、又はプログラムを記録した非一時的な記録媒体等で具現化されてもよい。一態様に係る異常検知方法は、第1取得ステップと、第2取得ステップと、第1推定ステップと、第2推定ステップと、第1算出ステップと、第2算出ステップと、出力ステップと、を含む。第1取得ステップでは、施設F1に設けられた設備機器E1の消費エネルギーの測定値である第1情報を取得する。第2取得ステップでは、設備機器E1の消費エネルギーの変動要因となる第2情報を取得する。第1推定ステップでは、第1学習モデルに推定対象時点における第2情報を入力して、推定対象時点における設備機器E1の消費エネルギーの第1確率分布を推定する。第1学習モデルは、第1期間の第1情報と第2情報とを用いて機械学習を行うことで生成されたモデルである。第2推定ステップでは、第2学習モデルに推定対象時点における第2情報を入力して、推定対象時点における設備機器E1の消費エネルギーの第2確率分布を推定する。第2学習モデルは、第1期間とは異なる第2期間の第1情報と第2情報とを用いて機械学習を行うことで生成されたモデルである。第1算出ステップでは、第1確率分布と、推定対象時点における第1情報とに基づいて、推定対象時点における設備機器の消費エネルギーの測定値が第1確率分布の期待値から離れている度合いを示す第1異常スコアを求める。第2算出ステップでは、第2確率分布と、推定対象時点における第1情報とに基づいて、推定対象時点における設備機器E1の消費エネルギーの測定値が第2確率分布の期待値から離れている度合いを示す第2異常スコアを求める。出力ステップでは、第1異常スコア及び第2異常スコアを出力する。一態様に係る(コンピュータ)プログラムは、コンピュータシステムに、異常検知方法を実行させるためのプログラムである。
【0106】
以下、上記の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0107】
本開示における異常検知システム1は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における異常検知システム1としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0108】
また、異常検知システム1における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは異常検知システム1に必須の構成ではなく、異常検知システム1の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、異常検知システム1の少なくとも一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0109】
上記の実施形態では、第1推定部21が、推論時の第1学習モデルにドロップアウト層を適用し、推論を複数回行うことで、第1確率分布の期待値及び分散を求めているが、第1学習モデルが、1回の推論で第1確率分布の期待値及び分散を直接出力してもよい。同様に、第2学習モデルが、1回の推論で第2確率分布の期待値及び分散を直接出力してもよい。
【0110】
例えば、第1学習部51が第1学習モデルを学習する際の損失関数として正規分布の負の対数尤度を下記の式(3)のように定義する。なお、式(3)において、yは予測対象である設備機器E1の消費エネルギー、変数βはβ=1/σ2、σは消費エネルギーの確率分布の標準偏差、μは消費エネルギーの確率分布の期待値である。
【0111】
【0112】
第1学習部51は、この損失関数を用い、第1確率分布の期待値μと変数βの2つの出力を持つ第1学習モデルを機械学習により生成する。ニューラルネットワークは、損失関数を最小化するように学習を行うので、式(1)の第1項によりβがなるべく大きくなるように(つまりσがなるべく小さくなるように)学習が進む。また、式(1)の第2項によりμがなるべくyに近づき、かつ、βがなるべく小さくなる(つまりσがなるべく大きくなる)ように学習が進む。したがって、σは、第1項による小さくなる方向と、第2項による大きくなる方向との両方に引っ張られ、両者がバランスした値に落ち着くことになり、その値が第1確率分布の標準偏差として求められる。これにより、第1学習部51は、第2情報が入力されると、消費エネルギーの第1確率分布の期待値と分散とを直接出力するような第1学習モデルを生成することができる。この場合、第1推定部21は、推定対象時点の第2情報を第1学習モデルに入力することで、推定対象時点の消費エネルギーの第1確率分布の期待値と分散とを直接出力することができる。
【0113】
上記実施形態の異常検知システム1は、第1期間を第2期間よりも長い期間に設定しているが、第1期間と第2期間の長さが同じで、第1期間と第2期間の時期が互いに異なるように設定してもよい。ここで、第1期間と第2期間の時期が互いに異なるとは、期間の始まりと終わりが第1期間と第2期間とで互いに異なっていればよく、第1期間の一部が、第2期間に含まれていてもよい。例えば、第1期間が2018年の1月1日から2019年の12月31日までの2年間、第2期間が2019年の1月1日から2020年の12月31日までの2年間のように部分的に期間が重なっていてもよい。
【0114】
例えば、異常検知システム1は、第1期間を一昨年の1年間、第2期間を昨年の1年間のように、長さは同じであるが時期が異なる時期に設定してもよい。これにより、異常検知システム1では、一昨年の1年間の第1情報と第2情報とを用いて第1学習モデルを作成し、昨年の1年間の第1情報と第2情報とを用いて第2学習モデルを作成する。ここで、一昨年と昨年とで設備機器E1の消費エネルギーの傾向が変化している場合に、推定対象時点での消費エネルギーが、一昨年の消費エネルギーの傾向から外れていても、昨年の消費エネルギーの傾向に一致していれば、第1異常スコアに比べて第2異常スコアは低い値となる。この場合、第1異常スコアのみでは設備機器E1の消費エネルギーが異常に変動したと判断される可能性があるが、第1異常スコアに加えて第2異常スコアを求めることで、消費エネルギーの変動が異常ではないと判断できる。したがって、設備機器E1の消費エネルギーの異常な変動を検出可能な異常検知システム1を提供することができる。
【0115】
また、異常検知システム1の第1取得部11は、施設全体の消費エネルギーを第1情報として取得してもよく、施設全体の消費エネルギーの異常な変動を検出することができる。また、施設F1に設置された複数の設備機器E1が、設置場所又は用途などで複数のグループに分けられている場合、第1取得部11は、各グループの消費エネルギーを第1情報として取得してもよく、グループごとに消費エネルギーの異常な変動を検出することができる。
【0116】
また、異常検知システム1は、3つ以上の期間での第1情報と第2情報とを用いて機械学習を行うことでそれぞれ生成された3つ以上の学習モデルを用いて3つ以上の異常スコアを求めてもよい。これにより、推定対象時点における消費エネルギーの測定値が異常な値であるか否かをより正確に判断することができる。
【0117】
また、上記の実施形態において2値の比較において、「超える」としているところは「以上」であってもよい。つまり、2値の比較において、2値が等しい場合を含むか否かは、基準値等の設定次第で任意に変更できるので、「超える」か「以上」かに技術上の差異はない。同様に、「以下」としているところは「未満」であってもよい。
【0118】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様の異常検知システム(1)は、第1取得部(11)と、第2取得部(12)と、第1推定部(21)と、第2推定部(22)と、第1算出部(31)と、第2算出部(32)と、出力部(40)と、を備える。第1取得部(11)は、施設(F1)に設けられた設備機器(E1)の消費エネルギーの測定値である第1情報を取得する。第2取得部(12)は、設備機器(E1)の消費エネルギーの変動要因となる第2情報を取得する。第1推定部(21)は、第1学習モデルに推定対象時点における第2情報を入力して推定対象時点における設備機器(E1)の消費エネルギーの第1確率分布を推定する。第1学習モデルは、第1期間の第1情報と第2情報とを用いて機械学習を行うことで生成された学習モデルである。第2推定部(22)は、第2学習モデルに推定対象時点における第2情報を入力して推定対象時点における設備機器(E1)の消費エネルギーの第2確率分布を推定する。第2学習モデルは、第1期間とは異なる第2期間の第1情報と第2情報とを用いて機械学習を行うことで生成された学習モデルである。第1算出部(31)は、第1確率分布と、推定対象時点における第1情報とに基づいて、推定対象時点における設備機器(E1)の消費エネルギーの測定値が第1確率分布の期待値から離れている度合いを示す第1異常スコアを求める。第2算出部(32)は、第2確率分布と、推定対象時点における第1情報とに基づいて、推定対象時点における設備機器(E1)の消費エネルギーの測定値が第2確率分布の期待値から離れている度合いを示す第2異常スコアを求める。出力部(40)は、第1異常スコア及び第2異常スコアを出力する。
【0119】
この態様によれば、設備機器(E1)の消費エネルギーの異常な変動を検出可能な異常検知システム(1)を実現できる。
【0120】
第2の態様の異常検知システム(1)では、第1の態様において、第1期間が第2期間よりも長い。
【0121】
この態様によれば、第1期間での消費エネルギーの傾向に基づく第1異常スコアと、第1期間よりも短い第2期間での消費エネルギーの傾向に基づく第2異常スコアとを求めることができる。例えば、最近起こった事象(例えばパンデミック等)の影響で消費エネルギーが変動した場合、長期的な観点で評価した値である第1異常スコアは大きな値となるが、短期的な観点で評価した値である第2異常スコアは小さい値となる。したがって、第1異常スコアと第2異常スコアの両方を求めることで、推定対象時点における消費エネルギーの測定値が異常な値であるか否かをより正確に判断できる。
【0122】
第3の態様の異常検知システム(1)では、第1の態様において、第1期間と第2期間の長さが同じで、第1期間と第2期間の時期が互いに異なる。
【0123】
この態様によれば、第1期間での消費エネルギーの傾向に基づく第1異常スコアと、第1期間よりも短い第2期間での消費エネルギーの傾向に基づく第2異常スコアとを求めることができる。したがって、第1異常スコアと第2異常スコアの両方を求めることで、推定対象時点における消費エネルギーの測定値が異常な値であるか否かをより正確に判断できる。
【0124】
第4の態様の異常検知システム(1)では、第1~第3のいずれかの態様において、第2情報が、施設(F1)における気象に関連する気象関連情報と、時刻に関する時間情報と、暦に関連するカレンダー情報と、施設(F1)の稼働状況に関連する施設関連情報とのうち少なくとも1つを含む。
【0125】
この態様によれば、気象関連情報、時間情報、カレンダー情報、及び施設関連情報のうちの少なくとも1つに関連する消費エネルギーの変動を考慮して、測定対象時点における消費エネルギーの測定値が異常な値であるか否かを判断できる。
【0126】
第5の態様の異常検知システム(1)では、第1~第4のいずれかの態様において、第1算出部(31)は、第1確率分布の期待値及び分散と、推定対象時点における第1情報とに基づいて、第1異常スコアを求める。第2算出部(32)は、第2確率分布の期待値及び分散と、推定対象時点における第1情報とに基づいて、第2異常スコアを求める。
【0127】
この態様によれば、設備機器(E1)の消費エネルギーの異常な変動を検出可能な異常検知システム(1)を実現できる。
【0128】
第6の態様の異常検知システム(1)では、第1~第5のいずれかの態様において、設備機器(E1)は、複数の設備機器(E1)の一つである。第1推定部(21)は、複数の設備機器(E1)の各々について、第1確率分布を推定する。第2推定部(22)は、複数の設備機器(E1)の各々について、第2確率分布を推定する。第1算出部(31)は、複数の設備機器(E1)の各々について、第1異常スコアを求める。第2算出部(32)は、複数の設備機器(E1)の各々について、第2異常スコアを求める。出力部(40)は、表示部(201)の画面に、第1異常スコア又は第2異常スコアの値の大きい順番に所定個数の設備機器(E1)の名称を並べて表示する。
【0129】
この態様によれば、複数の設備機器(E1)の種類や規模が異なる場合でも、第1異常スコア又は第2異常スコアの値を用いることで相互に比較することが可能になる。
【0130】
第7の態様の異常検知システム(1)では、第6の態様において、複数の設備機器(E1)の各々に対応して複数の管理部門が設定されている。複数の管理部門の各々は、複数の設備機器(E1)のうち対応する設備機器(E1)の管理業務を行う。出力部(40)は、表示部(201)の画面に、所定個数の設備機器(E1)の名称と、所定個数の設備機器(E1)の各々を管理する管理部門の情報とを対応付けて表示する。
【0131】
この態様によれば、消費エネルギーの測定値が異常と判断された設備機器(E1)の管理部門を視覚的に把握しやすくなるという利点がある。
【0132】
第8の態様の異常検知システム(1)は、第6又は第7のいずれかの態様において、複数の設備機器(E1)の中から表示対象の設備機器(E1)を示す選択情報を受け付ける受付部(41)を更に備える。出力部(40)は、選択情報に基づいて、表示対象の設備機器(E1)の第1情報と、表示対象の設備機器(E1)について求めた第1異常スコア及び第2異常スコアとを時系列で表示するグラフを、表示部(201)の画面に表示する。
【0133】
この態様によれば、表示部(201)の画面に表示されたグラフから、表示対象の設備機器(E1)の消費エネルギーと、第1異常スコア及び第2異常スコアの時間変化を視覚的に把握しやすくなるという利点がある。
【0134】
第9の態様の異常検知システム(1)は、第1~第8のいずれかの態様において、第1学習部(51)と、第2学習部(52)と、を更に備える。第1学習部(51)は、第1期間の第1情報と第2情報とを用いて機械学習を行って第1学習モデルを生成する。第2学習部(52)は、第2期間の第1情報と第2情報とを用いて機械学習を行って第2学習モデルを生成する。
【0135】
この態様によれば、第1学習部(51)及び第2学習部(52)が第1学習モデル及び第2学習モデルの再学習を行うことで、第1学習モデル及び第2学習モデルを更新することができる。
【0136】
第10の態様の異常検知方法は、第1取得ステップと、第2取得ステップと、第1推定ステップと、第2推定ステップと、第1算出ステップと、第2算出ステップと、出力ステップと、を含む。第1取得ステップでは、施設(F1)に設けられた設備機器(E1)の消費エネルギーの測定値である第1情報を取得する。第2取得ステップでは、設備機器(E1)の消費エネルギーの変動要因となる第2情報を取得する。第1推定ステップでは、第1学習モデルに推定対象時点における第2情報を入力して推定対象時点における設備機器(E1)の消費エネルギーの第1確率分布を推定する。第1学習モデルは、第1期間の第1情報と第2情報とを用いて機械学習を行うことで生成された学習モデルである。第2推定ステップでは、第2学習モデルに推定対象時点における第2情報を入力して推定対象時点における設備機器(E1)の消費エネルギーの第2確率分布を推定する。第2学習モデルは、第1期間とは異なる第2期間の第1情報と第2情報とを用いて機械学習を行うことで生成された学習モデルである。第1算出ステップでは、第1確率分布と、推定対象時点における第1情報とに基づいて、推定対象時点における設備機器(E1)の消費エネルギーの測定値が第1確率分布の期待値から離れている度合いを示す第1異常スコアを求める。第2算出ステップでは、第2確率分布と、推定対象時点における第1情報とに基づいて、推定対象時点における設備機器(E1)の消費エネルギーの測定値が第2確率分布の期待値から離れている度合いを示す第2異常スコアを求める。出力ステップでは、第1異常スコア及び第2異常スコアを出力する。
【0137】
この態様によれば、設備機器(E1)の消費エネルギーの異常な変動を検出することができる。
【0138】
第11の態様のプログラムは、コンピュータシステムに、第10の態様の異常検知方法を実行させるためのプログラムである。
【0139】
この態様によれば、設備機器(E1)の消費エネルギーの異常な変動を検出することができる。
【0140】
上記態様に限らず、上記実施形態に係る異常検知システム(1)の種々の構成(変形例を含む)は、異常検知方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化可能である。
【0141】
第2~第9の態様に係る構成については、異常検知システム(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0142】
1 異常検知システム
11 第1取得部
12 第2取得部
21 第1推定部
22 第2推定部
31 第1算出部
32 第2算出部
40 出力部
41 受付部
51 第1学習部
52 第2学習部
201 表示部
E1 設備機器
F1 施設