(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055343
(43)【公開日】2023-04-18
(54)【発明の名称】食品カット装置及び食品カット方法
(51)【国際特許分類】
A23N 15/00 20060101AFI20230411BHJP
A23N 15/04 20060101ALI20230411BHJP
【FI】
A23N15/00 Z
A23N15/04
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021164635
(22)【出願日】2021-10-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001421
【氏名又は名称】キユーピー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】516148494
【氏名又は名称】株式会社芝製作所
(72)【発明者】
【氏名】丸岡 泰幸
【テーマコード(参考)】
4B061
【Fターム(参考)】
4B061AA01
4B061AA02
4B061AB04
4B061AB06
4B061AB10
4B061BA02
4B061BA03
4B061BB07
4B061BB09
4B061BB13
4B061BB16
4B061CB05
4B061CB13
4B061CB30
(57)【要約】
【課題】長尺方向の寸法が一定でない食品であっても、略定寸に切り分け可能とし、歩留まりを向上できる食品カット装置を提供する。
【解決手段】長尺な食品Fを略定寸にカットする食品カット装置であって、食品Fを個々に保持し、保持した食品Fをその長尺方向と交差する方向に搬送する搬送部と、食品Fの長尺方向の寸法を測定する測定部と、食品Fの長尺方向に並ぶ複数の切断刃61、62を備え、食品Fを複数のカット片に切り分ける分割カット部6と、を備え、複数の切断刃61、62のうち、少なくとも一部の切断刃62は、食品Fの長尺方向に移動可能な可動切断刃であり、測定部の測定結果に応じて、可動切断刃である切断刃62の位置が変更される。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺な食品を略定寸にカットする食品カット装置であって、
前記食品を個々に保持し、保持した前記食品をその長尺方向と交差する方向に搬送する搬送部と、
前記食品の前記長尺方向の寸法を測定する測定部と、
前記長尺方向に並ぶ複数の切断刃を備え、前記食品を複数のカット片に切り分ける分割カット部と、を備え、
前記複数の切断刃のうち、少なくとも一部の切断刃は、前記長尺方向に移動可能な可動切断刃であり、前記測定部の測定結果に応じて、前記可動切断刃の前記長尺方向の位置が変更される、食品カット装置。
【請求項2】
前記食品の搬送方向において前記分割カット部の上流側に配置され、前記食品を前記長尺方向において中央側に寄せる中央寄せ手段を更に備え、
前記分割カット部は、(N-1)個の前記切断刃を備え、(N-1)個の前記切断刃のうち、前記長尺方向の両端に位置する前記切断刃が前記可動切断刃であり、
前記食品の前記長尺方向の寸法が所定の閾値以上のとき、中央寄せされた前記食品を前記分割カット部がN個のカット片に切り分ける、請求項1に記載の食品カット装置。
【請求項3】
前記食品の搬送方向において前記分割カット部の上流側に配置され、前記食品を前記長尺方向において片側に寄せる片寄せ手段を更に備え、
前記食品の前記長尺方向の寸法が前記所定の閾値未満、且つ前記所定の閾値よりも小さい他の閾値以上のとき、片寄せされた前記食品を前記分割カット部が(N-1)個のカット片に切り分ける、請求項2に記載の食品カット装置。
【請求項4】
前記食品の前記長尺方向の寸法が前記他の閾値未満の前記食品をカットせずに排出する規格外食品排出部を更に備える、請求項3に記載の食品カット装置。
【請求項5】
前記食品の搬送方向において前記測定部の上流側に配置され、前記食品の一端部又は両端部をカットするヘタカット部を更に備える、請求項1~4のいずれか1項に記載の食品カット装置。
【請求項6】
長尺な食品を略定寸にカットする食品カット方法であって、
前記食品を個々に保持し、保持した前記食品をその長尺方向と交差する方向に搬送する搬送工程と、
前記食品の前記長尺方向の寸法を測定する測定工程と、
前記長尺方向に並ぶ複数の切断刃によって、前記食品を複数のカット片に切り分ける分割カット工程と、を含み、
前記複数の切断刃のうち、少なくとも一部の切断刃は、前記長尺方向に移動可能な可動切断刃であり、前記測定工程の測定結果に応じて、前記可動切断刃の前記長尺方向の位置を変更する、食品カット方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、食品カット装置及び食品カット方法に関する。
【背景技術】
【0002】
<背景技術の説明>
長尺な食品を搬送する搬送部を備え、長尺な食品を連続的にカットする食品カット装置が知られている(例えば、特許文献1~3参照)。
【0003】
<特許文献1の説明>
特許文献1の食品カット装置では、長尺な食品を定寸に切り分けることが可能であるが、長尺方向の寸法が一定でない食品の切り分けに適用した場合、定寸に満たない無駄なカット片が発生し、歩留まりが低下するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-160417号公報
【特許文献2】特開2011-194516号公報
【特許文献3】特開2020-141633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
<背景技術の課題>
そこで、本開示は、長尺方向の寸法が一定でない食品であっても、略定寸に切り分け可能とし、歩留まりを向上できる食品カット装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
<請求項1の内容>
1つの側面では、以下のような解決手段を提供する。
(1)長尺な食品を略定寸にカットする食品カット装置であって、前記食品を個々に保持し、保持した前記食品をその長尺方向と交差する方向に搬送する搬送部と、前記食品の前記長尺方向の寸法を測定する測定部と、前記長尺方向に並ぶ複数の切断刃を備え、前記食品を複数のカット片に切り分ける分割カット部と、を備え、前記複数の切断刃のうち、少なくとも一部の切断刃は、前記長尺方向に移動可能な可動切断刃であり、前記測定部の測定結果に応じて、前記可動切断刃の前記長尺方向の位置が変更されることを特徴とする。
【0007】
<請求項2の内容>
(2)上記(1)の構成において、前記食品の搬送方向において前記分割カット部の上流側に配置され、前記食品を前記長尺方向において中央側に寄せる中央寄せ手段を更に備え、前記分割カット部は、(N-1)個の前記切断刃を備え、(N-1)個の前記切断刃のうち、前記長尺方向の両端に位置する前記切断刃が前記可動切断刃であり、前記食品の前記長尺方向の寸法が所定の閾値以上のとき、中央寄せされた前記食品を前記分割カット部がN個のカット片に切り分けることを特徴とする。
【0008】
<請求項3の内容>
(3)上記(2)の構成において、前記食品の搬送方向において前記分割カット部の上流側に配置され、前記食品を前記長尺方向において片側に寄せる片寄せ手段を更に備え、前記食品の前記長尺方向の寸法が前記所定の閾値未満、且つ前記所定の閾値よりも小さい他の閾値以上のとき、片寄せされた前記食品を前記分割カット部が(N-1)個のカット片に切り分けることを特徴とする。
【0009】
<請求項4の内容>
(4)上記(3)の構成において、前記食品の前記長尺方向の寸法が前記他の閾値未満の前記食品をカットせずに排出する規格外食品排出部を更に備えることを特徴とする。
【0010】
<請求項5の内容>
(5)上記(1)~(4)のいずれかの構成において、前記食品の搬送方向において前記測定部の上流側に配置され、前記食品の一端部又は両端部をカットするヘタカット部を更に備えることを特徴とする。
【0011】
<請求項6の内容>
(6)長尺な食品を略定寸にカットする食品カット方法であって、前記食品を個々に保持し、保持した前記食品をその長尺方向と交差する方向に搬送する搬送工程と、前記食品の前記長尺方向の寸法を測定する測定工程と、前記長尺方向に並ぶ複数の切断刃によって、前記食品を複数のカット片に切り分ける分割カット工程と、を含み、前記複数の切断刃のうち、少なくとも一部の切断刃は、前記長尺方向に移動可能な可動切断刃であり、前記測定工程の測定結果に応じて、前記可動切断刃の前記長尺方向の位置を変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、長尺方向の寸法が一定でない食品であっても、略定寸に切り分けることができるので、略定寸に満たない無駄なカット片の発生を抑制し、歩留まりを向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る食品カット装置の平面図である。
【
図2】食品カット装置を食品搬送方向の一側方から視た側面図である。
【
図3】食品カット装置を食品搬送方向の始端側から視た正面図である。
【
図4】食品カット装置を食品搬送方向の終端側から視た背面図である。
【
図5】搬送部の食品保持部材を示す図であり、(a)は食品保持部材の平面図、(b)は食品保持部材の正面図、(c)は食品保持部材の側面図、(d)は食品保持部材の使用状態を示す側面図である。
【
図6】食品保持部材の着脱構造を示す
図1のA-A断面図である。
【
図8】食品押圧ユニットの構成を示す平面図である。
【
図9】分割カット部を示す正面図であり、(a)は寸法が250mm以上の食品を分割カットする分割カット部の正面図、(b)は寸法が220~249mmの食品を分割カットする分割カット部の正面図、(c)は寸法が200~219mmの食品を分割カットする分割カット部の正面図、(d)は寸法が180~199mmの食品を分割カットする分割カット部の正面図である。
【
図10】、制御部の入出力構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態の説明-1>
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ符号を付している。また、食品Fの長尺方向を左右方向、食品Fの長尺方向と直交する食品搬送方向を前後方向、食品Fの長尺方向及び食品搬送方向に直交する方向を上下方向と称する場合がある。
【0015】
<食品カット装置の構成-1>
図1は、本発明の一実施形態に係る食品カット装置の平面図、
図2は、食品カット装置を食品搬送方向の一側方から視た側面図、
図3は、食品カット装置を食品搬送方向の始端側から視た正面図、
図4は、食品カット装置を食品搬送方向の終端側から視た背面図である。
図1~
図4に示すように、食品カット装置100は、長尺な食品Fを略定寸にカットする装置であって、食品Fを左右方向に沿って個々に保持し、保持した食品Fを前後方向に搬送する搬送部2を備える。本実施形態では、長尺な食品Fを胡瓜とし、胡瓜の両端部(ヘタ)をカットした後、両端部がカットされた胡瓜を4又は5個のカット片に分割カットするが、分割カットする食品Fの種類、両端部のカットの有無、分割数などは任意に変更することができる。
【0016】
<食品カット装置の構成-2>
搬送部2の食品搬送経路には、その上流側から順番に、食品Fの両端部をカットするヘタカット部3と、食品Fを中央側に寄せ、且つ食品Fの長尺方向の寸法を測定する測定部4(中央寄せ手段)と、必要に応じて食品Fを片側に寄せる片寄せ部5(片寄せ手段)と、左右方向に並ぶ複数の切断刃61、62を備え、食品Fを複数のカット片に切り分ける分割カット部6と、長尺方向の寸法が後述する第4閾値に満たない食品Fを分割カットせずに排出する規格外食品排出部7と、分割カットされたカット片を排出するカット片排出部8と、が配置されている。
【0017】
<食品カット装置の構成-3>
本実施形態の食品カット装置100では、搬送部2の食品搬送経路上に、ヘタカット部3、測定部4及び片寄せ部5を配置するにあたり、これらをユニット化している。ヘタカット部3、測定部4及び片寄せ部5が組み付けられるユニットフレーム101は、
図3に示すように、一側端部を支点とする上下回動に基づき、食品搬送経路の上方に対向する通常位置と、上方に回動して食品搬送経路の上面部及びユニットフレーム101の下面部を開放する退避位置と、に移動可能に構成されている。このような構成によれば、ユニットフレーム101を退避位置に移動させることで、搬送部2、ヘタカット部3、測定部4及び片寄せ部5のメンテナンス(清掃、整備、調整など)が容易になる。なお、ユニットフレーム101の移動は、ユニット開閉シリンダ102が行うが、手動式であってもよい。
【0018】
<食品カット装置の構成-4>
食品カット装置100は、さらに制御部9を備える。制御部9は、ハードウェアとソフトウェアとの協働により食品カット装置100の各部を制御するコントローラであり、その入出力構成及び制御手順は後述する。
【0019】
<搬送部の構成-1>
図5は、搬送部の食品保持部材を示す図であり、(a)は食品保持部材の平面図、(b)は食品保持部材の正面図、(c)は食品保持部材の側面図、(d)は食品保持部材の使用状態を示す側面図、
図6は、食品保持部材の着脱構造を示す
図1のA-A断面図である。
図1~
図6に示すように、搬送部2は、搬送終端側に左右方向に沿って配置される駆動軸21と、駆動軸21を回転させる搬送モータ22と、駆動軸21の両端部に設けられる一対の駆動スプロケット21aと、搬送始端側に左右方向に沿って配置される従動軸23と、従動軸23の両端部に設けられる一対の従動スプロケット23aと、一対の駆動スプロケット21aと一対の従動スプロケット23aとの間に巻き掛けられる一対の搬送チェーン24と、一対の搬送チェーン24間に架け渡し状に装着され、且つ搬送方向に並列する複数の食品保持部材25と、食品搬送経路において搬送チェーン24の下方への弛みを規制する一対のチェーンガイド26と、食品搬送経路(上側移動経路)において食品保持部材25の両端部を上方から押さえる一対の上側ガイド27と、非食品搬送経路(下側移動経路)において食品保持部材25の両端部を下方から押さえる一対の下側ガイド28と、を備える。
【0020】
<搬送部の構成-2>
図5及び
図6に示すように、食品保持部材25は、左右方向に長尺な樹脂部材であり、食品Fを左右方向に沿う姿勢で保持する保持溝部25aと、食品搬送方向において保持溝部25aの上流側の端部から上方に突出し、食品Fの前後方向の脱落を規制する突出片25bと、左右方向に所定の間隔で保持溝部25a及び突出片25bに形成され、複数の切断刃61、62が上方から入り込む複数の凹部25c、25dと、左右方向両端部に形成され、上側ガイド27又は下側ガイド28で押さえられる押え部25eと、底面部の左右両端側に形成され、搬送チェーン24から上方に突出するピン24aに嵌合する嵌合穴25fと、を備える。なお、複数の凹部25c、25dのうち、両端に位置する凹部25dは、切断刃62の左右方向の移動を許容するために、他の凹部25cよりも左右幅が広くしてある。
【0021】
<搬送部の構成-3>
図6に示すように、一対の上側ガイド27は、少なくとも一部が、食品保持部材25の押え部25eを上方から押さえる通常位置と、押え部25eの上方から外側方へ退避する退避位置と、に回動可能に構成されている。このような構成によれば、上側ガイド27を退避位置とすることで、食品保持部材25の取り外しが可能になるため、食品保持部材25の清掃や交換が容易になる。
【0022】
<ヘタカット部の構成-1>
図7は、食品カット装置の要部平面図、
図8は、食品押圧ユニットの構成を示す平面図である。
図7に示すように、ヘタカット部3は、食品Fを左寄せする左寄せ部31と、左寄せされた食品Fの左側端部をカットする左側カット部32と、食品Fを右寄せする右寄せ部33と、右寄せされた食品Fの右側端部をカットする右側カット部34と、を備える。なお、左側カット部32及び右側カット部34は、搬送部2の搬送力で食品Fの端部をカットする静止式の切断刃を備える構成であってもよいし、切断刃の回転動作などで食品Fの端部をカットする動作式の切断刃を備える構成であってもよい。
【0023】
<ヘタカット部の構成-2>
左寄せ部31は、前後一対のガイドレール311で左右方向スライド可能に支持されるスライダ312と、スライダ312を左右にスライドさせる左寄せシリンダ313と、スライダ312に設けられ、スライダ312の左寄せ動作に応じて食品Fを所定の左寄せ位置(例えば、左側の上側ガイド27に当接する位置)まで押す食品押圧ユニット110と、を備える。
【0024】
<ヘタカット部の構成-3>
右寄せ部33は、左寄せ部31と左右対称に構成されており、前後一対のガイドレール331で左右方向スライド可能に支持されるスライダ332と、スライダ332を左右にスライドさせる右寄せシリンダ333と、スライダ332に設けられ、スライダ332の右寄せ動作に応じて食品Fを所定の右寄せ位置(例えば、右側の上側ガイド27に当接する位置)まで押す食品押圧ユニット110と、を備える。
【0025】
<ヘタカット部の構成-4>
図8に示すように、食品押圧ユニット110は、スライダ312、332に固定される固定部111と、固定部111に左右方向スライド可能に支持されるスライド軸112と、スライド軸112の一端部に設けられ、食品Fを押す押圧部材113と、スライド軸112の外周部に装着され、スライド軸112(押圧部材113)を前進方向に付勢する付勢部材114と、スライド軸112の他端部に設けられ、固定部111に当接してスライド軸112の前進方向の限度位置を規定するストッパ115と、固定部111に設けられ、固定部111とストッパ115との間に生じる隙間Cを検出する押圧完了センサ116と、を備える。
【0026】
<ヘタカット部の構成-5>
シリンダ313、333の縮小に応じてスライダ312、332が左寄せ又は右寄せ動作すると、食品押圧ユニット110の押圧部材113が食品Fの一端部を押し、他端部が上側ガイド27に当接する左寄せ位置又は右寄せ位置まで食品Fを移動させる。食品Fが左寄せ位置又は右寄せ位置まで移動すると、付勢部材114が圧縮され、固定部111とストッパ115との間に隙間Cが生じ、これを押圧完了センサ116が検出すると、左寄せ又は右寄せ動作が終わり、シリンダ313、333がスライダ312、332を初期位置に戻す。なお、測定部4及び片寄せ部5も食品押圧ユニットを備えるが、その構成は食品押圧ユニット110と略同等であるため、同じ符号を用いることで、食品押圧ユニット110の説明を援用する。
【0027】
<測定部の構成-1>
図7に示すように、測定部4は、食品Fを長尺方向において中央側に寄せつつ、食品Fの長尺方向の寸法を測定するために、食品Fを左方向に押す左押圧部41と、食品Fを右方向に押す右押圧部42と、左押圧部41と右押圧部42を連動させる連動部43と、連動部43の回動角度を検出する回動角検出部44と、を備える。
【0028】
<測定部の構成-2>
左押圧部41は、前後一対のガイドレール411で左右方向スライド可能に支持されるスライダ412と、スライダ412に設けられ、スライダ412の押圧動作に応じて食品Fを左方向に押す食品押圧ユニット110と、を備える。
【0029】
<測定部の構成-3>
右押圧部42は、左押圧部41と左右対称に構成されており、前後一対のガイドレール421で左右方向スライド可能に支持されるスライダ422と、スライダ422に設けられ、スライダ422の押圧動作に応じて食品Fを右方向に押す食品押圧ユニット110と、を備える。
【0030】
<測定部の構成-4>
連動部43は、左押圧部41と右押圧部42との左右方向中間点に設けられ、上下方向に沿う中心軸431を回動させる中央寄せモータ432と、中心軸431から2方向に延出し、中心軸431と一体的に回動するアーム433と、アーム433の一端部と左押圧部41のスライダ412を連結する左押圧ロッド434と、アーム433の他端部と右押圧部42のスライダ422を連結する右押圧ロッド435と、を備える。
【0031】
<測定部の構成-5>
中央寄せモータ432の駆動に応じて中心軸431が
図7の時計回り方向に回動すると、アーム433がロッド434、435を介して左押圧部41及び右押圧部42のスライダ412、422及び食品押圧ユニット110を中央側にスライドさせ、食品Fを中央側に向けて押圧する。そして、左押圧部41及び右押圧部42に設けられる食品押圧ユニット110の押圧完了センサ116が押圧完了を検出すると、中央寄せ動作が終わり、中央寄せモータ432がスライダ412、422を初期位置に戻す。
【0032】
<測定部の構成-6>
回動角検出部44は、中心軸431と一体的に回動する円盤441と、円盤441の外周縁部を上下から挟むように配置されるフォトインタラプタ442と、を備える。円盤441の外周縁部には、周方向に所定の間隔で並ぶ複数のスリット441aが形成されており、フォトインタラプタ442は、円盤441の回動に伴うスリット441aの通過を検出し、通過スリット数に対応するパルス信号を出力する。そして、通過スリット数は、アーム433の回動角、つまり、中央寄せされた食品Fの長尺方向の寸法に応じて変化するため、フォトインタラプタ442が出力するパルス信号に基づいて、食品Fの長尺方向の寸法を特定することが可能になる。なお、本実施形態の測定部4は、中央寄せ手段を兼ねるが、中央寄せ手段を備えないものであってもよい。例えば、食品Fをカメラで撮影し、その画像から食品Fの長尺方向の寸法を測定してもよい。
【0033】
<片寄せ部の構成-1>
片寄せ部5は、左寄せ部31と略同様の構成であり、前後一対のガイドレール51で左右方向スライド可能に支持されるスライダ52と、スライダ52を左右にスライドさせる片寄せシリンダ53と、スライダ52に設けられ、スライダ52の左方向への片寄せ動作に応じて食品Fを所定の片寄せ位置まで押す食品押圧ユニット110と、を備える。片寄せ部5による所定の片寄せ位置は、分割カット部6に設けられる切断刃61、62のうち、右端に位置する切断刃62の左右位置を基準として設定される。具体的には、食品Fの右端が、右端の切断刃62よりも僅か(例えば、1mm)に左側に位置し、右端の切断刃62による食品Fのカットが不可能となる位置を所定の片寄せ位置としている。
【0034】
<分割カット部の構成-1>
図9は、分割カット部を示す正面図であり、(a)は寸法が250mm以上の食品を分割カットする分割カット部の正面図、(b)は寸法が220~249mmの食品を分割カットする分割カット部の正面図、(c)は寸法が200~219mmの食品を分割カットする分割カット部の正面図、(d)は寸法が180~199mmの食品を分割カットする分割カット部の正面図である。
図9に示すように、分割カット部6は、左右方向に並ぶ複数の切断刃61、62と、切断刃61、62を昇降させる切断刃昇降シリンダ63と、を備える。
【0035】
<分割カット部の構成-2>
複数の切断刃61、62のうち、左右両端の切断刃62は、左右方向に移動可能な可動切断刃であり、左端の切断刃62は、左切断刃移動シリンダ64によって左右方向の位置が変更され、右端の切断刃62は、右切断刃移動シリンダ65によって左右方向の位置が変更される。なお、本実施形態では、各切断刃62の左右位置を外側位置と内側位置との2位置としているが、各切断刃62の左右位置は、多段階に変更してもよいし、無段階に変更してもよい。
【0036】
<分割カット部の構成-3>
各切断刃62は、測定部4の測定結果に応じて、左右位置が変更される。また、分割カット部6による食品Fの分割カット数や分割カット動作の実行/不実行も測定部4の測定結果に応じて変更される。その詳細は後述する。
【0037】
<規格外食品排出部の構成-1>
規格外食品排出部7は、分割カット部6が分割カットしなかった規格外の食品Fを食品保持部材25上から搬送部2の一側方に配置される容器(図示せず)内に排出する。規格外食品排出部7は、例えば、
図4に示すように、左右方向に移動して食品保持部材25上の食品Fを一側方に掃き出す規格外食品排出アクチュエータ71を備えて構成される。なお、本実施形態の規格外食品排出部7は、右側端部を支点とする上下回動に基づき、食品搬送経路の上方に対向する通常位置と、上方に回動して食品搬送経路の上面部及び規格外食品排出部7の下面部を開放する退避位置と、に移動可能に構成されている。このような構成によれば、規格外食品排出部7を退避位置に移動させることで、搬送部2及び規格外食品排出部7のメンテナンス(清掃、整備、調整など)が容易になる。
【0038】
<カット片排出部の構成-1>
図1及び
図2に示すように、カット片排出部8は、搬送部2の搬送終端部に構成される。カット片を保持する食品保持部材25が搬送部2の搬送終端部まで到達すると、駆動スプロケット21aの円弧に沿って下降し、保持しているカット片を落下させる。落下したカット片は、図示しない容器又は搬送装置に収容され、つぎの工程(例えば、調理工程)に運ばれる。
【0039】
<制御部の入出力構成-1>
図10は、制御部の入出力構成を示すブロック図である。
図10に示すように、制御部9の入力側には、前述した複数の押圧完了センサ116及びフォトインタラプタ442の他に、食品カット装置100の始動、停止などを行う操作部120が接続される一方、制御部9の出力側には、前述したユニット開閉シリンダ102、搬送モータ22、左寄せシリンダ313、右寄せシリンダ333、中央寄せモータ432、片寄せシリンダ53、切断刃昇降シリンダ63、左切断刃移動シリンダ64、右切断刃移動シリンダ65及び規格外食品排出アクチュエータ71の他に、食品カット装置100の各種状態を表示する表示部130が接続されている。
【0040】
<制御部の制御手順-1>
制御部9は、食品F(両端がカットされた胡瓜)が略定寸(40から60mm)に分割カット(4又は5分割)されるように、測定部4の測定結果(食品Fの長尺方向の寸法)に基づいて、片寄せ部5及び分割カット部6を制御する。また、長尺方向の寸法が第4閾値に満たない規格外の食品Fについては、分割カットせずに排出されるように分割カット部6及び規格外食品排出部7を制御する。
【0041】
<制御部の制御手順-2>
以下、長尺方向の寸法が第1閾値(例えば、250mm)以上の食品Fを5つのカット片に分割カットする際の制御手順(
図9の(a))と、長尺方向の寸法が第1閾値未満で、且つ第2閾値(例えば、220mm)以上の食品Fを5つのカット片に分割カットする際の制御手順(
図9の(b))と、長尺方向の寸法が第2閾値未満で、且つ第3閾値(例えば、200mm)以上の食品Fを4つのカット片に分割カットする際の制御手順(
図9の(c))と、長尺方向の寸法が第3閾値未満で、且つ第4閾値(例えば、180mm)以上の食品Fを4つのカット片に分割カットする際の制御手順(
図9の(d))と、長尺方向の寸法が第4閾値未満の食品Fを規格外の食品Fとして分割カットせずに排出する際の制御手順と、について順次説明する。ただし、固定切断刃である2つの切断刃61の左右方向の間隔は50mm、可動切断刃である切断刃62と切断刃61との左右方向の間隔は、切断刃62が内側位置のとき45mm、切断刃62が外側位置のとき55mmとする。
【0042】
<制御部の制御手順-3>
図9の(a)に示すように、制御部9は、測定部4の測定結果が第1閾値以上の場合、片寄せ部5による片寄せを実行することなく、測定部4で中央寄せされた食品Fを分割カット部6に搬送させる。制御部9は、この食品Fを分割カットする際、左右端の切断刃62をいずれも外側位置とさせた後、切断刃61、62を下降させて食品Fを5つのカット片に分割カットする。このような制御手順によれば、中央のカット片は、固定切断刃である2つの切断刃61間で50mmにカットされ、その両隣のカット片は、固定切断刃である切断刃61と可動切断刃である切断刃62と間で55mmにカットされ、さらに、その外側に隣接するカット片は、可動切断刃である切断刃62によって45~55mmの範囲でカットされる。
【0043】
<制御部の制御手順-4>
図9の(b)に示すように、制御部9は、測定部4の測定結果が第1閾値未満で、且つ第2閾値以上の場合、片寄せ部5による片寄せを実行することなく、測定部4で中央寄せされた食品Fを分割カット部6に搬送させる。制御部9は、この食品Fを分割カットする際、左右端の切断刃62をいずれも内側位置とさせた後、切断刃61、62を下降させて食品Fを5つのカット片に分割カットする。このような制御手順によれば、中央のカット片は、固定切断刃である2つの切断刃61間で50mmにカットされ、その両隣のカット片は、固定切断刃である切断刃61と可動切断刃である切断刃62と間で45mmにカットされ、さらに、その外側に隣接するカット片は、可動切断刃である切断刃62によって40~54.5mmの範囲でカットされる。
【0044】
<制御部の制御手順-5>
図9の(c)に示すように、制御部9は、測定部4の測定結果が第2閾値未満で、且つ第3閾値以上の場合、片寄せ部5による片寄せを実行させ、所定の片寄せ位置(食品Fの左端が右端の切断刃61の外側位置よりも1mm程度内側となる位置)に片寄せされた食品Fを分割カット部6に搬送させる。制御部9は、この食品Fを分割カットする際、左右端の切断刃62をいずれも外側位置とさせた後、切断刃61、62を下降させて食品Fを4つのカット片に分割カットする。このような制御手順によれば、中央のカット片は、固定切断刃である2つの切断刃61間で50mmにカットされ、その右隣のカット片は、固定切断刃である右側の切断刃61によって54mmにカットされ、左隣のカット片は、固定切断刃である切断刃61と可動切断刃である切断刃62と間で55mmにカットされ、さらに、その外側に隣接するカット片は、可動切断刃である切断刃62によって41~60mmの範囲でカットされる。
【0045】
<制御部の制御手順-6>
図9の(d)に示すように、制御部9は、測定部4の測定結果が第3閾値未満で、且つ第4閾値以上の場合、片寄せ部5による片寄せを実行させ、所定の片寄せ位置に片寄せされた食品Fを分割カット部6に搬送させる。制御部9は、この食品Fを分割カットする際、右端の切断刃62を外側位置、左端の切断刃62を内側位置とさせた後、切断刃61、62を下降させて食品Fを4つのカット片に分割カットする。このような制御手順によれば、中央のカット片は、固定切断刃である2つの切断刃61間で50mmにカットされ、その右隣のカット片は、固定切断刃である右側の切断刃61によって54mmにカットされ、左隣のカット片は、固定切断刃である切断刃61と可動切断刃である切断刃62と間で45mmにカットされ、さらに、その外側に隣接するカット片は、可動切断刃である切断刃62によって41~50mmの範囲でカットされる。
【0046】
<制御部の制御手順-7>
制御部9は、測定部4の測定結果が第4閾値未満の場合、片寄せ部5による片寄せや、分割カット部6による分割カットを実行することなく、食品Fを規格外食品排出部7まで搬送させた後、規格外食品排出部7を動作させて規格外の食品Fを搬送部2の外側方に配置される容器内に排出させる。
【0047】
<実施形態の効果-1>
以上のように説明した本実施形態によれば、長尺な食品Fを略定寸にカットする食品カット装置100であって、食品Fを個々に保持し、保持した食品Fをその長尺方向と交差する方向に搬送する搬送部2と、食品Fの長尺方向の寸法を測定する測定部4と、食品Fの長尺方向に並ぶ複数の切断刃61、62を備え、食品Fを複数のカット片に切り分ける分割カット部6と、を備え、複数の切断刃61、62のうち、少なくとも一部の切断刃62は、食品Fの長尺方向に移動可能な可動切断刃であり、測定部4の測定結果に応じて、可動切断刃である切断刃62の位置が変更されるので、長尺方向の寸法が一定でない食品Fであっても、略定寸に切り分けることができ、その結果、略定寸に満たない無駄なカット片の発生を抑制し、歩留まりを向上させることが可能となる。
【0048】
<実施形態の効果-2>
また、食品カット装置100は、食品Fの搬送方向において分割カット部6の上流側に配置され、食品Fを長尺方向において中央側に寄せる中央寄せ手段(測定部4)を更に備え、分割カット部6は、(N-1)個の切断刃61、62を備え、(N-1)個の切断刃61、62のうち、両端に位置する切断刃62が可動切断刃であり、食品Fの長尺方向の寸法が第2閾値以上のとき、中央寄せされた食品Fを分割カット部6がN個のカット片に切り分けるので、N個のカット片に切り分ける際、可動切断刃である切断刃62の位置変更に基づいてカット片のカット幅を調整し、N個のカット片に切り分け可能な食品Fの寸法範囲を拡張することができる。
【0049】
<実施形態の効果-3>
また、食品カット装置100は、食品Fの搬送方向において分割カット部6の上流側に配置され、食品Fを長尺方向において片側に寄せる片寄せ部5を更に備え、食品Fの長尺方向の寸法が第2閾値未満、且つ第4閾値以上のとき、片寄せされた食品Fを分割カット部6が(N-1)個のカット片に切り分けるので、略定寸のカット片に切り分け可能な食品Fの寸法範囲を拡張することができる。
【0050】
<実施形態の効果-4>
また、食品カット装置100は、食品Fの長尺方向の寸法が第4閾値未満の食品Fをカットせずに排出する規格外食品排出部7を更に備えるので、無駄なカット片の発生をより確実に抑制することが可能になる。
【0051】
<実施形態の効果-5>
また、食品カット装置100は、食品Fの搬送方向において測定部4の上流側に配置され、食品Fの両端部をカットするヘタカット部3を更に備えるので、食品Fの両端部(へた等)を含まないカット片が得られる。
【0052】
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0053】
100 食品カット装置
2 搬送部
21 駆動軸
21a 駆動スプロケット
22 搬送モータ
23 従動軸
23a 従動スプロケット
24 搬送チェーン
24a ピン
25 食品保持部材
25a 保持溝部
25b 突出片
25c 凹部
25d 凹部
25e 押え部
25f 嵌合穴
26 チェーンガイド
27 上側ガイド
28 下側ガイド
3 ヘタカット部
31 左寄せ部
311 ガイドレール
312 スライダ
313 左寄せシリンダ
32 左側カット部
33 右寄せ部
331 ガイドレール
332 スライダ
333 右寄せシリンダ
34 右側カット部
4 測定部
41 左押圧部
411 ガイドレール
412 スライダ
42 右押圧部
421 ガイドレール
422 スライダ
43 連動部
431 中心軸
432 中央寄せモータ
433 アーム
434 左押圧ロッド
435 右押圧ロッド
44 回動角検出部
441 円盤
441a スリット
442 フォトインタラプタ
5 片寄せ部
51 ガイドレール
52 スライダ
53 片寄せシリンダ
6 分割カット部
61 切断刃
62 切断刃
63 切断刃昇降シリンダ
64 左切断刃移動シリンダ
65 右切断刃移動シリンダ
7 規格外食品排出部
71 規格外食品排出アクチュエータ
8 カット片排出部
9 制御部
101 ユニットフレーム
102 ユニット開閉シリンダ
110 食品押圧ユニット
111 固定部
112 スライド軸
113 押圧部材
114 付勢部材
115 ストッパ
116 押圧完了センサ
120 操作部
130 表示部