(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023005536
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/22 20060101AFI20230111BHJP
E02F 3/43 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
E02F9/22 E
E02F3/43 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021107525
(22)【出願日】2021-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100214961
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 洋三
(72)【発明者】
【氏名】▲橋▼本 涼太
(72)【発明者】
【氏名】島津 泰彦
(72)【発明者】
【氏名】沖本 翔
【テーマコード(参考)】
2D003
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB04
2D003BA02
2D003BB04
2D003DA03
2D003DB02
2D003DB04
2D003DB08
2D003FA02
(57)【要約】
【課題】掘削作業における掘削抵抗が大きくなることを抑制しつつ、掘削作業の効率が低下することを抑制できる建設機械を提供する。
【解決手段】建設機械10のコントローラ50は、バケット6に収容された土砂の収容状態を判定する収容状態判定部53と、バケット6に作用する掘削抵抗を減少させることが可能な方向である抵抗減少方向D2,D3,D4にバケット6が変位するように作業装置3を動作させるための指令信号である抵抗減少指令信号を、収容状態判定部53による判定の結果に応じて出力する作業装置制御部55,56と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械であって、
機体と、
前記機体に起伏可能に支持されたブームと前記ブームに回動可能に支持されたアームと前記アームに支持されたバケットであって前記アームに回動可能に取り付けられた基端部であるバケット基端部及びその反対側の先端部であるバケット先端部を有するとともに土砂を収容することが可能な空間である収容空間を画定する内面を有するバケットとを含む作業装置と、
前記バケット基端部が前記バケット先端部よりも高い位置に配置された前記バケットの姿勢であって地盤の土砂を掘削することが可能な姿勢である掘削姿勢で少なくとも前記バケット先端部を含む部分が前記地盤に接した状態を維持しながら前記バケットを前記地盤に対して変位させることにより前記地盤の土砂を掘削する掘削作業が行われるように前記作業装置を動作させるための少なくとも一つの操作装置と、
コントローラと、を備え、
前記コントローラは、
前記バケットに収容された土砂の収容状態を判定する収容状態判定部と、
前記バケットに作用する掘削抵抗を減少させることが可能な方向である抵抗減少方向に前記バケットが変位するように前記作業装置を動作させるための指令信号である抵抗減少指令信号を、前記収容状態判定部による判定の結果に応じて出力する作業装置制御部と、を有する、建設機械。
【請求項2】
請求項1に記載の建設機械であって、
前記収容状態判定部は、前記バケットの前記内面のうち前記掘削姿勢において上部に位置する部分である特定上部領域と土砂との接触状態を判定する接触状態判定部であり、
前記作業装置制御部は、前記接触状態判定部による判定の結果に応じて前記抵抗減少指令信号を出力する、建設機械。
【請求項3】
請求項2に記載の建設機械であって、
前記作業装置制御部は、前記バケットの前記特定上部領域に土砂が接触していると前記接触状態判定部が判定した場合に前記抵抗減少指令信号を出力する、建設機械。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の建設機械であって、
前記作業装置制御部は、前記バケットの前記特定上部領域に土砂が接触していないと前記接触状態判定部が判定し、前記バケットの前記収容空間に収容された土砂の量が予め定められた閾値である土砂量閾値よりも大きい場合に、前記抵抗減少指令信号を出力する、建設機械。
【請求項5】
請求項2~4の何れか1項に記載の建設機械であって、
前記作業装置制御部は、前記バケットの前記特定上部領域に土砂が接触していないと前記接触状態判定部が判定し、前記掘削作業において前記バケットが前記地盤から受ける反力である掘削反力が予め定められた閾値である反力閾値よりも大きい場合に、前記抵抗減少指令信号を出力する、建設機械。
【請求項6】
請求項2~5の何れか1項に記載の建設機械であって、
前記作業装置の姿勢に関する情報である作業装置姿勢情報を取得する作業装置姿勢情報取得器と、
前記バケットの前記収容空間に収容された土砂に関する情報である土砂情報を取得する土砂情報取得器と、をさらに備え、
前記コントローラは、
前記作業装置姿勢情報を用いて前記バケットの姿勢であるバケット姿勢を演算するバケット姿勢演算部と、
前記バケット姿勢と前記土砂情報とを用いて前記バケットの前記収容空間における土砂の堆積状態を演算する堆積状態演算部と、をさらに有し、
前記接触状態判定部は、前記堆積状態に基づいて前記特定上部領域と土砂との接触状態を判定する、建設機械。
【請求項7】
請求項2~5の何れか1項に記載の建設機械であって、
前記特定上部領域に配置され、前記バケットの前記収容空間に収容された土砂から受ける荷重である土砂荷重を検出することが可能な荷重検出器をさらに備え、
前記接触状態判定部は、前記荷重検出器により検出された前記土砂荷重に基づいて前記特定上部領域と土砂との接触状態を判定する、建設機械。
【請求項8】
請求項2~5の何れか1項に記載の建設機械であって、
前記コントローラは、予め定められた基準面に対する前記特定上部領域の傾きに対応する指標値である傾き指標値を演算する傾き演算部をさらに有し、
前記作業装置制御部は、前記傾き演算部により演算された前記傾き指標値が予め定められた閾値である傾き閾値よりも大きい場合には、前記抵抗減少指令信号を出力しない、建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、油圧ショベルなどの建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、地面を掘削するようにバケットが地中を進行する掘削時にバケットが地面から受ける掘削反力の大きさを測定し、測定された掘削反力の大きさに応じてブームの旋回位置を変化させ、測定された掘削力が大きければ、ブームがバケットの進行方向を上方へ向かって偏向させる油圧ショベルを開示している。
【0003】
特許文献2は、パワーショベルの作業機制御装置を開示している。この作業機制御装置は、パワーショベルのバケット、アーム及びブームの角度を検出する第1の検出手段と、掘削抵抗が小さくかつ満杯に近い掘削状態となるバケットの刃先の移動軌跡を記憶した記憶手段と、前記検出手段で検出したバケット、アーム及びブームの角度情報と前記記憶手段から読み出したバケット刃先の移動軌跡情報に基づいてバケットの姿勢を制御する第1の制御手段と、バケットの掘削抵抗が設定値以上になったことを検出する第2の検出手段と、この第2の検出手段の出力によって前記記憶手段から読み出したバケット刃先の移動軌跡情報を掘削抵抗が小さくなる方向に修正する手段と、を備える。
【0004】
特許文献1,2の建設機械は、掘削作業においてバケットが地面から受ける掘削反力(掘削抵抗)を検出し、検出された掘削反力(掘削抵抗)が大きいときにはバケットの進行方向を掘削抵抗が小さくなる上方に修正する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8-81977号公報
【特許文献2】特開昭62-160325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1,2の建設機械では、上述のように掘削作業において掘削抵抗を小さくするか否かの判定が掘削反力のみに基づいて行われるので、掘削作業の効率が必ずしもよいとは言えない。具体的には、例えばバケットのツースが地面に進入するときの抵抗(貫入抵抗)が大きい場合、バケットの進行方向を上方に修正して掘削抵抗を小さくする制御が行われる。この場合、バケットによる掘削の完了時におけるバケット内の土砂量がバケットの容量に対して大幅に少なくなることがある。一方、バケット内の土砂量がバケットの容量に達していても、例えば土質に起因してバケットの掘削抵抗が前記設定値に達していない場合、バケットの進行方向はそのまま維持される。この場合、バケット内の土砂量が十分であるにもかかわらずバケットが地中の深いところを掘削し続けることになるので、無駄なエネルギーが消費される。従って、特許文献1,2の建設機械では、掘削作業の効率が必ずしもよいとは言えない。
【0007】
本開示は、上記のような問題を踏まえてなされたものであり、掘削作業における掘削抵抗が大きくなることを抑制しつつ、掘削作業の効率が低下することを抑制できる建設機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
提供される建設機械は、機体と、前記機体に起伏可能に支持されたブームと前記ブームに回動可能に支持されたアームと前記アームに支持されたバケットであって前記アームに回動可能に取り付けられた基端部であるバケット基端部及びその反対側の先端部であるバケット先端部を有するとともに土砂を収容することが可能な空間である収容空間を画定する内面を有するバケットとを含む作業装置と、前記バケット基端部が前記バケット先端部よりも高い位置に配置された前記バケットの姿勢であって地盤の土砂を掘削することが可能な姿勢である掘削姿勢で少なくとも前記バケット先端部を含む部分が前記地盤に接した状態を維持しながら前記バケットを前記地盤に対して変位させることにより前記地盤の土砂を掘削する掘削作業が行われるように前記作業装置を動作させるための少なくとも一つの操作装置と、コントローラと、を備え、前記コントローラは、前記バケットに収容された土砂の収容状態を判定する収容状態判定部と、前記バケットに作用する掘削抵抗を減少させることが可能な方向である抵抗減少方向に前記バケットが変位するように前記作業装置を動作させるための指令信号である抵抗減少指令信号を、前記収容状態判定部による判定の結果に応じて出力する作業装置制御部と、を有する。
【0009】
この建設機械では、掘削作業において掘削抵抗を減少させる制御を行うか否かの判定がバケットに収容された土砂の収容状態に応じて行われるので、掘削作業における掘削抵抗が大きくなることを抑制しつつ、掘削作業の効率が低下することを抑制できる。具体的には、バケット内の土砂量が増加すると掘削作業における掘削抵抗も大きくなる傾向にある。従って、バケットに収容された土砂の収容状態は、掘削作業における掘削抵抗の大きさとの相関性が高い。よって、バケットに収容された土砂の収容状態は、掘削作業において掘削抵抗を減少させる制御を行うか否かの判定の指標となり得る。この建設機械では、掘削作業において掘削抵抗を減少させる制御を行うか否かの判定がバケットに収容された土砂の収容状態に応じて行われるので、バケット内の土砂量が多くなって掘削抵抗が大きくなったとき又は掘削抵抗が大きくなる傾向にあるときにはバケットを抵抗減少方向に変位させて掘削抵抗を減少させることができる。また、掘削作業において掘削抵抗が大きくなっていなくても、バケット内の土砂量が多くなったときには、バケットを抵抗減少方向に変位させて掘削抵抗をさらに減少させるので、無駄なエネルギーが消費されることを抑制できる。これにより、掘削作業における掘削抵抗が大きくなることを抑制しつつ、掘削作業の効率が低下することを抑制できる。
【0010】
前記収容状態判定部は、前記バケットの前記内面のうち前記掘削姿勢において上部に位置する部分である特定上部領域と土砂との接触状態を判定する接触状態判定部であり、前記作業装置制御部は、前記接触状態判定部による判定の結果に応じて前記抵抗減少指令信号を出力することが好ましい。この構成では、バケットに収容された土砂の収容状態の判定は、バケットの内面の特定上部領域と土砂との接触状態の判定を用いて行われる。すなわち、この構成では、掘削作業において掘削抵抗を減少させる制御を行うか否かの判定が特定上部領域と土砂との接触状態に応じて行われる。これにより、掘削作業における掘削抵抗が大きくなることを抑制しつつ、掘削作業の効率が低下することを抑制できる。具体的には、バケットの内面のうち掘削姿勢において上部に位置する部分である特定上部領域は、掘削作業においてバケット内の土砂量が少ないときには土砂と接触せず、掘削作業においてバケット内の土砂量が多くなったときには土砂と接触する。また、上述したようにバケット内の土砂量が増加すると掘削作業における掘削抵抗も大きくなる傾向にある。従って、特定上部領域と土砂との接触状態は、掘削作業における掘削抵抗の大きさとの相関性が高い。よって、特定上部領域と土砂との接触状態は、掘削作業において掘削抵抗を減少させる制御を行うか否かの判定の指標となり得る。この建設機械では、掘削作業において掘削抵抗を減少させる制御を行うか否かの判定が特定上部領域と土砂との接触状態に応じて行われるので、バケット内の土砂量が多くなって掘削抵抗が大きくなったとき又は掘削抵抗が大きくなる傾向にあるときにはバケットを抵抗減少方向に変位させて掘削抵抗を減少させることができる。また、掘削作業において掘削抵抗が大きくなっていなくても、バケット内の土砂量が多くなったときには、バケットを抵抗減少方向に変位させて掘削抵抗をさらに減少させるので、無駄なエネルギーが消費されることを抑制できる。これにより、掘削作業における掘削抵抗が大きくなることを抑制しつつ、掘削作業の効率が低下することを抑制できる。
【0011】
前記作業装置制御部は、前記バケットの前記特定上部領域に土砂が接触していると前記接触状態判定部が判定した場合に前記抵抗減少指令信号を出力することが好ましい。この構成では、バケット内の土砂が特定上部領域に接触している場合にバケットを抵抗減少方向に変位させて掘削抵抗を減少させるので、掘削作業においてバケット内の土砂量を十分に確保することができる。
【0012】
前記作業装置制御部は、前記バケットの前記特定上部領域に土砂が接触していないと前記接触状態判定部が判定し、前記バケットの前記収容空間に収容された土砂の量が予め定められた閾値である土砂量閾値よりも大きい場合に、前記抵抗減少指令信号を出力することが好ましい。この構成では、掘削作業においてバケット内の土砂が特定上部領域に接触していなくてもバケット内の土砂量が土砂量閾値よりも大きくなった場合には、抵抗減少指令信号が出力されるので、バケット内の土砂が特定上部領域に接触して掘削抵抗が増大する前に、バケットを抵抗減少方向に変位させて掘削抵抗を減少させることができる。これにより、無駄なエネルギーが消費されることをさらに抑制できる。
【0013】
前記建設機械は、前記作業装置制御部は、前記バケットの前記特定上部領域に土砂が接触していないと前記接触状態判定部が判定し、前記掘削作業において前記バケットが前記地盤から受ける反力である掘削反力が予め定められた閾値である反力閾値よりも大きい場合に、前記抵抗減少指令信号を出力してもよい。この構成では、反力閾値は、例えば、掘削反力が大きくなってバケットが動作するスピードが大きく低下することを抑制することが可能な値に設定されることが好ましい。バケットの動作スピードが大きく低下すると、掘削作業の効率が低下する。この構成では、バケット内の土砂が特定上部領域に接していない場合であっても掘削反力が反力閾値よりも大きい場合には、バケットを抵抗減少方向に変位させて掘削抵抗を減少させるので、掘削作業の効率が低下することをさらに抑制できる。
【0014】
前記建設機械は、前記作業装置の姿勢に関する情報である作業装置姿勢情報を取得する作業装置姿勢情報取得器と、前記バケットの前記収容空間に収容された土砂に関する情報である土砂情報を取得する土砂情報取得器と、をさらに備え、前記コントローラは、前記作業装置姿勢情報を用いて前記バケットの姿勢であるバケット姿勢を演算するバケット姿勢演算部と、前記バケット姿勢と前記土砂情報とを用いて前記バケットの前記収容空間における土砂の堆積状態を演算する堆積状態演算部と、をさらに有し、前記接触状態判定部は、前記堆積状態に基づいて前記特定上部領域と土砂との接触状態を判定することが好ましい。この構成では、バケット内の実際の土砂の堆積状態に基づいて特定上部領域と土砂との接触状態を判定することができる。
【0015】
前記建設機械は、前記特定上部領域に配置され、前記バケットの前記収容空間に収容された土砂から受ける荷重である土砂荷重を検出することが可能な荷重検出器をさらに備え、前記接触状態判定部は、前記荷重検出器により検出された前記土砂荷重に基づいて前記特定上部領域と土砂との接触状態を判定してもよい。この構成では、荷重検出器により検出された土砂荷重に基づいて特定上部領域と土砂との接触状態を判定するので、例えば画像処理データに基づいて接触状態を判定する場合に比べて、コントローラによる処理の負荷が大きくなることを抑制できる。
【0016】
前記コントローラは、予め定められた基準面に対する前記特定上部領域の傾きに対応する指標値である傾き指標値を演算する傾き演算部をさらに有し、前記作業装置制御部は、前記傾き演算部により演算された前記傾き指標値が予め定められた閾値である傾き閾値よりも大きい場合には、前記抵抗減少指令信号を出力しないことが好ましい。掘削作業におけるバケットの姿勢は、掘削作業における掘削抵抗の大きさとの相関性が高い。具体的には、例えば水平面(基準面の一例)に対する特定上部領域の傾きが大きい場合には、掘削抵抗が小さくなる傾向にあり、水平面に対する特定上部領域の傾きが小さい場合には、掘削抵抗が大きくなる傾向にある。従って、傾き指標値が傾き閾値よりも大きい場合には、掘削作業において掘削抵抗を減少させる制御を行う必要がない可能性が高く、この場合には抵抗減少指令信号を出力しない。これにより、コントローラによる処理の負荷を低減することができる。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、掘削作業における掘削抵抗が大きくなることを抑制しつつ、掘削作業の効率が低下することを抑制できる建設機械が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本開示の実施形態に係る油圧ショベルを示す側面図である。
【
図2】前記油圧ショベルのコントローラの機能構成及びその入出力信号を示すブロック図である。
【
図3】前記油圧ショベルのバケットを示す断面図であり、バケットの抵抗減少動作の一例を示している。
【
図4】前記油圧ショベルのバケットを示す断面図であり、バケットの抵抗減少動作の他の例を示している。
【
図5】前記油圧ショベルのバケットを示す断面図であり、バケットの抵抗減少動作のさらに他の例を示している。
【
図6】前記油圧ショベルのバケットを示す断面図である。
【
図7】前記コントローラの演算制御動作を示すフローチャートである。
【
図8】前記コントローラの演算制御動作の他の例を示すフローチャートである。
【
図9】前記実施形態の変形例に係る油圧ショベルのコントローラの機能構成及びその入出力信号を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示の実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る油圧ショベル10を示す側面図である。
図1に示すように、油圧ショベル10は、地盤G上を走行可能な下部走行体1と、上下方向に向く旋回中心軸Zの回りに旋回可能に下部走行体1に支持された上部旋回体2と、上部旋回体2に支持された作業装置3と、を備える。下部走行体1及び上部旋回体2は機体の一例である。なお、図面における「前」及び「後」は、上部旋回体2の向きを基準とする方向である。
【0020】
下部走行体1は、一対のクローラ走行装置と、これらの走行装置をつなぐ下部フレームと、を備える。上部旋回体2は、下部フレームに旋回可能に支持された上部フレームと、上部フレームの前部に支持されたキャビンと、上部フレームの後部に支持されたカウンタウエイトと、を備える。本実施形態では、作業装置3は、ブーム4と、アーム5と、バケット6と、を備える。
【0021】
ブーム4は、上部旋回体2の上部フレームに対して起伏可能となるように上部フレームに支持されている。具体的には、ブーム4は、上部フレームに水平軸A1を中心として上方向及び下方向にそれぞれ回動可能となるように取り付けられた基端部であるブーム基端部と、その反対側の先端部であるブーム先端部と、を有する。
【0022】
アーム5は、ブーム4に対して回動可能となるようにブーム4に支持されている。具体的には、アーム5は、ブーム先端部に水平軸A2を中心としてアーム引き方向及びアーム押し方向にそれぞれ回動可能となるように取り付けられた基端部であるアーム基端部と、その反対側の先端部であるアーム先端部と、を有する。アーム引き方向は、アーム5のアーム先端部が機体に近づく回動方向であり、アーム押し方向は、アーム引き方向と逆の回動方向である。
【0023】
バケット6は、アーム5に対して回動可能となるようにアーム5に支持されている。具体的には、バケット6は、アーム先端部に水平軸A3を中心としてバケット引き方向及びバケット押し方向にそれぞれ回動可能となるように取り付けられた基端部であるバケット基端部61と、その反対側の先端部であるバケット先端部62と、を有する。バケット引き方向は、例えば
図1に示すようにバケット6が掘削動作を行う場合に、バケット先端部62が機体に近づく回動方向であり、バケット押し方向は、バケット引き方向と逆の回動方向である。
【0024】
バケット6は、バケット基端部61を含むバケット本体6Aと、複数のツース6B(複数の爪)と、を有する。バケット本体6Aは、バケット6の器部分を構成し、土砂を収容することが可能な空間である収容空間を有する。バケット本体6Aは、当該収容空間を画定する内面を有する。複数のツース6Bは、バケット6のバケット先端部62を構成し、バケット本体6Aの幅方向に沿って並ぶようにバケット本体6Aの端部に固定されている。バケット本体6Aの幅方向は、水平軸A3に平行な方向であり、左右方向である。複数のツース6Bのそれぞれは、バケット本体6Aの端部から前記幅方向に直交する方向に突出している。
【0025】
バケット引き方向及びバケット押し方向のそれぞれは、例えばアーム5に対するバケット6の角度を用いて規定することができる。アーム基端部の回動中心である水平軸A2とバケット基端部の回動中心である水平軸A3とを通る直線L1と、水平軸A3とバケット6の先端(ツース6Bの先端)とを通る直線L2と、のなす角度をバケット角度θとする。この場合、バケット引き方向は、バケット角度θが小さくなる回動方向であり、バケット押し方向は、バケット角度θが大きくなる回動方向である。
【0026】
油圧ショベル10は、作業装置3を油圧により動かすための複数の油圧アクチュエータをさらに備える。複数の油圧アクチュエータは、ブームシリンダ7と、アームシリンダ8と、バケットシリンダ9と、旋回モータ11と、を含む。
【0027】
シリンダ7,8,9のそれぞれは、作動油の供給を受けることにより伸縮動作する油圧シリンダにより構成される。ブームシリンダ7は、当該ブームシリンダ7の伸縮に伴なってブーム4が起伏するように、つまりブーム上げ方向及びブーム下げ方向にブーム4がそれぞれ回動するように、上部旋回体2とブーム4とに取り付けられている。アームシリンダ8は、当該アームシリンダ8の伸縮に伴なってアーム5がアーム引き方向及びアーム押し方向にそれぞれ回動するようにブーム4とアーム5とに取り付けられている。バケットシリンダ9は、当該バケットシリンダ9の伸縮によりバケット6がバケット引き方向及びバケット押し方向にそれぞれ回動するようにアーム5とバケット6とに取り付けられている。
【0028】
旋回モータ11は、下部走行体1に対して上部旋回体2を油圧により旋回させるための油圧モータである。旋回モータ11は、出力軸を有し、当該出力軸が図略の減速機を介して上部旋回体2の上部フレームに連結されている。旋回モータ11は、作動油の供給を受けることによりその供給の方向に対応した方向に前記出力軸が回転するように動作し、これにより、上部旋回体2を左旋回方向及び右旋回方向のそれぞれに旋回させることが可能である。
【0029】
図2に示すように、油圧ショベル10は、複数の操作装置と、複数のセンサと、コントローラ50と、をさらに備える。
【0030】
複数の操作装置は、バケット6の姿勢が掘削姿勢であり、少なくともバケット先端部62を含む部分が地盤Gに接した状態を維持しながらバケット6を地盤Gに対して変位させることにより地盤Gの土砂を掘削する掘削作業が行われるように作業装置3を動作させることが可能な装置である。
【0031】
複数の操作装置は、ブーム操作装置21と、アーム操作装置22と、バケット操作装置23と、を含む。これらの操作装置21,22,23のそれぞれは、操作レバーを備え、作業装置3を動作させるためのオペレータによる操作が当該操作レバーに対して与えられることにより、当該操作に対応する電気信号であるレバー信号をコントローラ50に入力する電気レバー装置により構成される。具体的には次の通りである。
【0032】
ブーム操作装置21は、ブーム4を動作させるための操作であるブーム操作がオペレータにより与えられるブーム操作レバーと、ブーム操作レバーに与えられたブーム操作に対応するレバー信号であるブーム操作信号を生成してコントローラ50に入力するブーム操作信号生成部と、を備える。
【0033】
アーム操作装置22は、アーム5を動作させるための操作であるアーム操作がオペレータにより与えられるアーム操作レバーと、アーム操作レバーに与えられたアーム操作に対応するレバー信号であるアーム操作信号を生成してコントローラ50に入力するアーム操作信号生成部と、を備える。
【0034】
バケット操作装置23は、バケット6を動作させるための操作であるバケット操作がオペレータにより与えられるバケット操作レバーと、バケット操作レバーに与えられたバケット操作に対応するレバー信号であるバケット操作信号を生成してコントローラ50に入力するバケット操作信号生成部と、を備える。
【0035】
複数のセンサのそれぞれは、コントローラ50による作業装置3の動作の制御を可能にするために必要な情報を検出し、当該情報に対応する電気信号である検出信号をコントローラ50に入力する。複数のセンサは、ブーム角度センサ31と、アーム角度センサ32と、バケット角度センサ33と、複数のシリンダ圧力センサ35と、画像取得センサ80(画像取得器)と、機体傾斜角度センサ34と、を含む。
【0036】
ブーム角度センサ31、アーム角度センサ32及びバケット角度センサ33は、作業装置3の姿勢に関する情報である作業装置姿勢情報を取得する作業装置姿勢情報取得器の一例である。画像取得センサ80は、バケット6の収容空間に収容された土砂に関する情報である土砂情報を取得する土砂情報取得器の一例である。
【0037】
ブーム角度センサ31は、上部旋回体2に対するブーム4の角度であるブーム角度を検出し、検出したブーム角度に対応する検出信号であるブーム姿勢検出信号をコントローラ50に入力する。ブーム角度センサ31は、例えば
図1に示すようにブーム4のブーム基端部に配置されている。
【0038】
アーム角度センサ32は、ブーム4に対するアーム5の角度であるアーム角度を検出し、検出したアーム角度に対応する検出信号であるアーム姿勢検出信号をコントローラ50に入力する。アーム角度センサ32は、例えば
図1に示すようにアーム5のアーム基端部に配置されている。
【0039】
バケット角度センサ33は、アーム5に対するバケット6の角度であるバケット角度θを検出し、検出したバケット角度θに対応する検出信号であるバケット姿勢検出信号をコントローラ50に入力する。バケット角度センサ33は、例えば
図1に示すようにバケット6のバケット基端部61に配置されている。
【0040】
ブーム角度センサ31、アーム角度センサ32及びバケット角度センサ33のそれぞれは、例えば、レゾルバであってもよく、ロータリーエンコーダであってもよく、ポテンショメータであってもよく、IMU(Inertial Measurement Unit)であってもよく、他のセンサであってもよい。
【0041】
機体傾斜角度センサ34は、機体の傾斜角度を検出するためのセンサである。機体傾斜角度センサ34は、例えば上部旋回体2に配置され、水平面に対する機体の傾斜角度を検出し、検出した傾斜角度に対応する検出信号をコントローラ50に入力する。機体傾斜角度センサ34は、例えばIMUにより構成されていてもよい。
【0042】
複数のシリンダ圧力センサ35は、ブームシリンダ7の圧力を検出する少なくとも一つのシリンダ圧力センサと、アームシリンダ8の圧力を検出する少なくとも一つのシリンダ圧力センサと、バケットシリンダ9の圧力を検出する少なくとも一つのシリンダ圧力センサと、を含む。具体的には、本実施形態では、複数のシリンダ圧力センサ35は、ブームシリンダ7のヘッド側室の圧力を検出するシリンダ圧力センサと、ブームシリンダ7のロッド側室の圧力を検出するシリンダ圧力センサと、アームシリンダ8のヘッド側室の圧力を検出するシリンダ圧力センサと、アームシリンダ8のロッド側室の圧力を検出するシリンダ圧力センサと、バケットシリンダ9のヘッド側室の圧力を検出するシリンダ圧力センサと、バケットシリンダ9のロッド側室の圧力を検出するシリンダ圧力センサと、を含む。複数のシリンダ圧力センサ35のそれぞれは、検出した圧力に対応する検出信号である圧力検出信号をコントローラ50に入力する。
【0043】
画像取得センサ80は、バケット6の前記収容空間に収容された土砂に関する情報である土砂情報を取得し、当該土砂情報をコントローラ50に入力する。画像取得センサ80は、バケット6の内面及びバケット6に収容された土砂の形状データ(例えば、後述する初期画像情報、掘削中画像情報など)を計測可能である。画像取得センサ80は、例えば、物体の距離を示す計測データを計測する測距センサにより構成されていてもよい。測距センサは、例えば、LiDAR(Light Detection And Ranging)であってもよい。LiDARは、近赤外光、可視光、紫外線などの光を対象物に照射し、その反射光を光センサでとらえることにより対象物までの距離を測定することが可能である。測距センサは、TOF(Time of Flight)センサ又はステレオカメラなどの複数の画素単位で深度が計測可能なセンサであってもよい。
【0044】
画像取得センサ80は、掘削作業においてバケット6の前記収容空間に収容された土砂に関する土砂情報を取得することが可能な位置に配置される。掘削作業では、バケット6は、例えば
図1に示すように掘削作業の開始前の位置である開始前位置P1、掘削作業中の位置である作業中位置P2、及び掘削作業の終盤の位置である終盤位置P3の順に変位する。本実施形態では、画像取得センサ80は、
図1に示すように上部旋回体2のキャビンに配置され、バケット6が前記作業中位置P2及び前記終盤位置P3を含む範囲にあるときに、バケット6の内面及びバケット6に収容された土砂を撮像可能な視野(例えば
図1において二点鎖線で示される範囲の視野)を有する。なお、画像取得センサ80は、ブーム4の下面に配置されていてもよく、アーム5の内側面に配置されていてもよい。ブーム4の下面は、ブーム4の複数の面のうち、
図1において地盤Gを向いた面であり、アーム5の内側面は、アーム5の複数の面のうち、
図1において後側を向いた面である。
【0045】
コントローラ50は、複数の操作装置から入力される操作信号及び複数のセンサから入力される検出信号に基づいて作業装置3の動作の制御を行う。コントローラ50は、CPU及びメモリを含むコンピュータを備える。
【0046】
コントローラ50は、バケット姿勢演算部51と、土砂量演算部52と、接触状態判定部53と、掘削反力演算部54と、バケット進行方向判定部55と、バケット進行方向制御部56と、を備える。
【0047】
バケット姿勢演算部51は、前記作業装置姿勢情報を用いてバケット6の姿勢であるバケット姿勢を演算する。具体的に、バケット姿勢演算部51は、ブーム角度センサ31から入力されるブーム姿勢検出信号、アーム角度センサ32から入力されるアーム姿勢検出信号、及びバケット角度センサ33から入力されるバケット姿勢検出信号に基づいてバケット姿勢を演算する。
【0048】
土砂量演算部52は、前記バケット姿勢と前記土砂情報とを用いてバケット6の収容空間における土砂の堆積状態を演算する。土砂量演算部52は、堆積状態演算部の一例である。
【0049】
接触状態判定部53は、バケット6の内面における特定上部領域64と土砂との接触状態を判定する。本実施形態では、接触状態判定部53は、土砂量演算部52により演算される前記堆積状態に基づいて前記接触状態を判定する。接触状態判定部53は、前記接触状態の判定の結果を表すデータをメモリの所定の領域(フラグ)に格納する。接触状態判定部53は、収容状態判定部の一例である。
【0050】
特定上部領域64は、バケット6の内面のうち掘削姿勢において上部に位置する部分である。
図1に示すように、掘削姿勢は、バケット基端部61がバケット先端部62よりも高い位置に配置されたバケット6の姿勢であり、バケット6が作業中位置P2及び終盤位置P3に配置されているときのようにバケット6の開口部が後側を向いてバケット6が地盤Gの土砂を掘削することが可能な姿勢である。
【0051】
バケット6は、
図1に示すように、掘削姿勢において上部に位置する上板65と、掘削姿勢において下部に位置する下板66と、上板65と下板66とをつなぐように湾曲する底板68と、上板65の右縁、底板68の右縁及び下板66の右縁に接続される右板(図示省略)と、上板65の左縁、底板68の左縁及び下板66の左縁に接続される左板67と、を有する。バケット6の内面は、上板65の内側面と底板68の内側面と下板66の内側面とを含み、右板の内側面及び左板の内側面を含まない。特定上部領域64は、例えば
図3の上図に示すように、バケット6の内面のうち、バケット6における境界部PSよりも上側に位置する部分である。本実施形態では、境界部PSは、掘削姿勢においてバケット6の内面のうち最も前側に位置する部分である。従って、境界部PSは、バケット6の姿勢に応じて変わる部位である。接触状態判定部53は、バケット姿勢演算部51により演算されるバケット姿勢に基づいて境界部PSの位置を演算することができる。なお、境界部PSは、バケット6の姿勢に応じて変わる部位ではなく、予め定めされた特定の部位(固定部位)であってもよい。境界部PSが固定部位である場合、境界部PSは、例えばバケット6の開口部が水平面に平行に配置されたときに最も下に位置する部位(底の部位)であってもよい。また、境界部PSは、バケット6の内面において、バケット6の幅方向に平行な水平な直線上に内面の左端から右端まで設定されてもよく、幅方向の複数の領域ごとに異なる高さ位置となるように領域ごとに設定されていてもよい。境界部PSは、必ずしも内面の左端から右端まで設定されていなくてもよく、幅方向の一部の領域にのみ設定されていてもよい。
【0052】
掘削反力演算部54は、機体傾斜角度センサ34により検出される機体の傾斜角度(上部旋回体2の姿勢)と、ブーム角度センサ31、アーム角度センサ32及びバケット角度センサ33により検出される作業装置3の姿勢(ブーム4の姿勢、アーム5の姿勢及びバケット6の姿勢)と、複数のシリンダ圧力センサ35により検出されるブームシリンダ7の圧力、アームシリンダ8の圧力及びバケットシリンダ9の圧力と、作業装置3におけるリンク間の寸法に関する寸法情報と、に基づいて、掘削反力を演算する。前記リンク間の寸法は、予めコントローラ50の記憶部に記憶されており、例えば、前記水平軸A1と前記水平軸A2との距離、前記水平軸A2と前記水平軸A3との距離を含む。機体傾斜角度センサ34、ブーム角度センサ31、アーム角度センサ32、バケット角度センサ33、及び複数のシリンダ圧力センサ35は、掘削反力測定器の一例である。
【0053】
バケット進行方向判定部55及びバケット進行方向制御部56は、作業装置制御部の一例である。作業装置制御部は、バケット6に作用する掘削抵抗を減少させることが可能な方向である抵抗減少方向にバケット6が変位するように作業装置3を動作させるための指令信号である抵抗減少指令信号を、接触状態判定部53による判定の結果に応じて出力する。具体的には以下の通りである。
【0054】
バケット進行方向判定部55は、バケット6の進行方向を制御してバケット6に作用する掘削抵抗を減少させる必要があるか否かを判定する。本実施形態では、バケット進行方向判定部55は、接触状態判定部53による判定の結果(判定フラグ)、バケット姿勢演算部51により演算されるバケット姿勢、及び掘削反力演算部54により演算される掘削反力に基づいて、バケット6に作用する掘削抵抗を減少させる必要があるか否かを判定する。
【0055】
バケット進行方向制御部56は、複数の操作装置からそれぞれ入力されるレバー信号、及びバケット進行方向判定部55による判定の結果に基づいて、作業装置3を動作させるための指令信号を出力する。すなわち、バケット進行方向制御部56は、ブーム操作装置21から入力されるブーム操作信号、アーム操作装置22から入力されるアーム操作信号、バケット操作装置23から入力されるバケット操作信号、及びバケット進行方向判定部55による判定の結果に基づいて、作業装置3を動作させるための指令信号を出力する。
【0056】
バケット6に作用する掘削抵抗を減少させる必要がないとバケット進行方向判定部55が判定した場合には、バケット進行方向制御部56は、ブーム操作信号、アーム操作信号及びバケット操作信号に対応した指令信号を作業装置駆動部に出力する。一方、バケット6に作用する掘削抵抗を減少させる必要があるとバケット進行方向判定部55が判定した場合には、バケット進行方向制御部56は、バケット6に作用する掘削抵抗を減少させることが可能な方向である抵抗減少方向にバケット6が変位するように作業装置3を動作させるための指令信号である抵抗減少指令信号を作業装置駆動部に出力する。抵抗減少指令信号は、ブーム操作信号、アーム操作信号及びバケット操作信号に対応した指令信号のうちの少なくとも一つの指令信号が修正された修正指令信号を含む。
【0057】
作業装置駆動部は、複数の比例弁と、コントロールバルブユニット77と、を含む。複数の比例弁は、一対のブーム比例弁71,72と、一対のアーム比例弁73,74と、一対のバケット比例弁75,76と、を含む。比例弁71~76のそれぞれは、例えば電磁比例弁により構成される。コントロールバルブユニット77は、ブームコントロールバルブと、アームコントロールバルブと、バケットコントロールバルブと、を含む。
【0058】
コントロールバルブユニット77は、図略の油圧ポンプと、複数の油圧アクチュエータと、の間に介在し、複数の油圧アクチュエータのそれぞれに供給される作動油の流量及び作動油の供給方向を調節する。
【0059】
具体的には、コントロールバルブユニット77は、ブームシリンダ7に供給される作動油の流量及び作動油の供給方向を調節するブームコントロールバルブと、アームシリンダ8に供給される作動油の流量及び作動油の供給方向を調節するアームコントロールバルブと、バケットシリンダ9に供給される作動油の流量及び作動油の供給方向を調節するバケットコントロールバルブと、を含む。
【0060】
バケット6に作用する掘削抵抗を減少させる必要がないとバケット進行方向判定部55が判定した場合には、バケット進行方向制御部56は、ブーム操作信号、アーム操作信号及びバケット操作信号に対応した指令信号を作業装置駆動部の複数の比例弁71~76に出力する。具体的には次の通りである。
【0061】
ブーム操作装置21から前記ブーム操作信号が入力されると、バケット進行方向制御部56は、当該ブーム操作信号に対応する指令信号であるブーム指令信号を、一対のブーム比例弁71,72のうちブーム操作の操作方向に対応するブーム比例弁に入力する。これにより、前記ブーム指令信号に応じてブーム比例弁において減圧されたパイロット圧が、ブームコントロールバルブの一対のパイロットポートの一方に入力される。その結果、前記油圧ポンプの作動油が、ブームシリンダ7のヘッド側室及びロッド側室のうち前記ブーム指令信号に対応する方に前記ブーム指令信号に応じた流量で供給されるので、ブーム4が前記ブーム指令信号に応じた方向に前記ブーム指令信号に応じた速度で回動する。
【0062】
アーム操作装置22から前記アーム操作信号が入力されると、バケット進行方向制御部56は、当該アーム操作信号に対応する指令信号であるアーム指令信号を、一対のアーム比例弁73,74のうちアーム操作の操作方向に対応するアーム比例弁に入力する。これにより、前記アーム指令信号に応じてアーム比例弁において減圧されたパイロット圧が、アームコントロールバルブの一対のパイロットポートの一方に入力される。その結果、前記油圧ポンプの作動油が、アームシリンダ8のヘッド側室及びロッド側室のうち前記アーム指令信号に対応する方に前記アーム指令信号に応じた流量で供給されるので、アーム5が前記アーム指令信号に応じた方向に前記アーム指令信号に応じた速度で回動する。
【0063】
バケット操作装置23から前記バケット操作信号が入力されると、バケット進行方向制御部56は、当該バケット操作信号に対応する指令信号であるバケット指令信号を、一対のバケット比例弁75,76のうちバケット操作の操作方向に対応するバケット比例弁に入力する。これにより、前記バケット指令信号に応じてバケット比例弁において減圧されたパイロット圧が、バケットコントロールバルブの一対のパイロットポートの一方に入力される。その結果、前記油圧ポンプの作動油が、バケットシリンダ9のヘッド側室及びロッド側室のうち前記バケット指令信号に対応する方に前記バケット指令信号に応じた流量で供給されるので、バケット6が前記バケット指令信号に応じた方向に前記バケット指令信号に応じた速度で回動する。
【0064】
一方、バケット6に作用する掘削抵抗を減少させる必要があるとバケット進行方向判定部55が判定した場合には、バケット進行方向制御部56は、バケット6に作用する掘削抵抗を減少させることが可能な方向である抵抗減少方向にバケット6が変位するように作業装置3を動作させるための指令信号である抵抗減少指令信号を作業装置駆動部に出力する。
【0065】
図3は、バケット6の抵抗減少動作の一例を示し、
図4は、バケット6の抵抗減少動作の他の例を示し、
図5は、バケット6の抵抗減少動作のさらに他の例を示している。
図3、
図4及び
図5に示す抵抗減少動作は、バケット6の進行方向が上側に修正される点で共通している。なお、
図3~
図5におけるバケット6の断面は、鉛直方向に平行な断面である。
【0066】
まず、
図3に示す抵抗減少動作について説明する。
図3の上図は、掘削作業においてバケット6が例えば水平方向に近い方向である第1方向D1に動作している状態を示している。この状態で、バケット6に作用する掘削抵抗を減少させる必要があるとバケット進行方向判定部55が判定した場合、バケット進行方向制御部56は、バケット6の進行方向が第1方向D1から第2方向D2に変わるように作業装置3を動作させるための指令信号である抵抗減少指令信号を作業装置駆動部に出力する。第2方向D2は、第1方向D1よりも上向きの成分の割合が増加した斜め上の方向である。
【0067】
図3のようにバケット6の進行方向を変える場合、本実施形態では、バケット進行方向制御部56は、アーム操作信号に対応するアーム指令信号をそのまま出力し(修正せずに出力し)、ブーム操作信号に対応するブーム指令信号及びバケット操作信号に対応するバケット指令信号をそれぞれ修正した抵抗減少指令信号を出力する。すなわち、本実施形態では、
図3の上図に示す状態でバケット6に作用する掘削抵抗を減少させる必要があるとバケット進行方向判定部55が判定した場合、バケット進行方向制御部56は、アーム5がオペレータによるアーム操作に応じた動作を行い、ブーム4がオペレータによるブーム操作に応じた回動動作ではなくブーム操作に応じた動作よりもブーム4がさらにブーム上げ方向に動作し、バケット6がオペレータによるバケット操作に応じた動作ではなく、バケット操作に応じた動作よりもバケット6がさらにバケット引き方向に動作するように、複数の比例弁71~76に指令信号を出力する。これにより、バケット6の進行方向は、第1方向D1から第2方向D2に変化するので、バケット6に作用する掘削抵抗を減少させることができる。
【0068】
次に、
図4に示す抵抗減少動作について説明する。
図4の左図は、掘削作業においてバケット6が例えば水平方向に近い方向である第1方向D1に動作している状態を示している。この状態で、バケット6に作用する掘削抵抗を減少させる必要があるとバケット進行方向判定部55が判定した場合、バケット進行方向制御部56は、バケット6の進行方向が第1方向D1から第3方向D3に変わるように作業装置3を動作させるための指令信号である抵抗減少指令信号を作業装置駆動部に出力する。第3方向D3は、第1方向D1よりも上向きの成分の割合が増加した方向であり、
図4の中央図では上方向である。
【0069】
図4の左図から中央図のようにバケット6の進行方向を変える場合、本実施形態では、バケット進行方向制御部56は、アーム操作信号に対応するアーム指令信号及びバケット操作信号に対応するバケット指令信号をそれぞれそのまま出力し(修正せずに出力し)、ブーム操作信号に対応するブーム指令信号を修正した抵抗減少指令信号を出力する。すなわち、本実施形態では、
図4の左図に示す状態でバケット6に作用する掘削抵抗を減少させる必要があるとバケット進行方向判定部55が判定した場合、バケット進行方向制御部56は、アーム5及びバケット6がオペレータによるアーム操作及びバケット操作に応じた動作をそれぞれ行い、ブーム4がオペレータによるブーム操作に応じた回動動作ではなくブーム操作に応じた動作よりもブーム4がさらにブーム上げ方向に動作するように、複数の比例弁71~76に指令信号を出力する。これにより、バケット6の進行方向は、第1方向D1から第3方向D3に変化するので、バケット6に作用する掘削抵抗を減少させることができる。
【0070】
バケット進行方向制御部56は、予め定められた条件が満たされると、バケット進行方向制御部56は、ブーム操作信号に対応するブーム指令信号、アーム操作信号に対応するアーム指令信号及びバケット操作信号に対応するバケット指令信号をそれぞれそのまま出力する。これにより、ブーム4、アーム5及びバケット6がオペレータによるブーム操作、アーム操作及びバケット操作に応じた動作をそれぞれ行うので、
図4の右図のようにバケット6の進行方向が第3方向D3から第1方向D1又はこれに近い方向に変わる。前記予め定められた条件としては、例えば、バケット6の進行方向が第1方向D1から第3方向D3に変化した時点からの経過時間が予め定められた時間を経過することであってもよい。また、前記予め定められた条件としては、例えば、バケット6の進行方向が第1方向D1から第3方向D3に変化した時点からの第3方向D3への移動距離が予め定められた距離に達することであってもよい。さらに、前記予め定められた条件としては、例えば、バケット6の進行方向が第1方向D1から第3方向D3に変化した時点からのブーム4の回動角度が予め定められた角度に達することであってもよい。
【0071】
次に、
図5に示す抵抗減少動作について説明する。
図5の上図は、掘削作業においてバケット6が例えば水平方向に近い方向である第1方向D1に動作している状態を示している。この状態で、バケット6に作用する掘削抵抗を減少させる必要があるとバケット進行方向判定部55が判定した場合、バケット進行方向制御部56は、掘削作業を完了するように作業装置3を動作させるための信号である抵抗減少指令信号を作業装置駆動部に出力する。具体的には、バケット進行方向制御部56は、バケット6の進行方向が第1方向D1から第4方向D4に変わるように作業装置3を動作させるための指令信号である抵抗減少指令信号を作業装置駆動部に出力する。第4方向D4は、第1方向D1よりも上向きの成分の割合が増加した方向であり、
図5の下図では地盤Gから離れる上方向又は斜め上方向である。
【0072】
図5の上図から下図のようにバケット6の進行方向を変える場合、本実施形態では、バケット進行方向制御部56は、ブーム操作信号に対応するブーム指令信号、アーム操作信号に対応するアーム指令信号及びバケット操作信号に対応するバケット指令信号をそれぞれ修正した抵抗減少指令信号を出力する。すなわち、本実施形態では、
図5の上図に示す状態でバケット6に作用する掘削抵抗を減少させる必要があるとバケット進行方向判定部55が判定した場合、バケット進行方向制御部56は、ブーム4、アーム5及びバケット6がオペレータによるブーム操作、アーム操作及びバケット操作に応じた回動動作ではなく、バケット6が地盤Gから離れる方向に動作するように、複数の比例弁71~76に指令信号を出力する。これにより、バケット6の進行方向は、第1方向D1から第4方向D4に変化するので、バケット6に作用する掘削抵抗を減少させることができる。
【0073】
本実施形態では、バケット姿勢演算部51は、傾き演算部を含む。傾き演算部は、
図6に示すように予め定められた基準面Hに対する特定上部領域64の傾きに対応する指標値である傾き指標値を演算する。本実施形態では、基準面Hは、水平面であり、傾き指標値は、基準面Hに対するバケット6の上板65の角度θ1である。本実施形態では、上板65の一部は、平板状(
図6の断面では直線状)であるので、上板65の平板状の部分と基準面Hとの角度をθ1とすることができる。ただし、上板65は、全体が湾曲していてもよい。上板65が湾曲した形状を有する場合、前記傾き指標値は、例えば、上板65の予め定められた部位における接線と基準面Hとの角度であってもよい。
【0074】
前記作業装置制御部は、前記傾き演算部により演算された上板65の角度θ1が予め定められた閾値である傾き閾値よりも大きい場合には、前記抵抗減少指令信号を出力しない。掘削作業におけるバケット6の姿勢は、掘削作業における掘削抵抗の大きさとの相関性が高い。具体的には、例えば水平面Hに対する特定上部領域64の傾きが大きい場合には、掘削抵抗が小さくなる傾向にあり、水平面Hに対する特定上部領域64の傾きが小さい場合には、掘削抵抗が大きくなる傾向にある。従って、上板65の角度θ1が傾き閾値よりも大きい場合には、掘削作業において掘削抵抗を減少させる制御を行う必要がない可能性が高く、この場合には抵抗減少指令信号を出力しない。これにより、コントローラ50による処理の負荷を低減することができる。
【0075】
図7は、コントローラ50の演算制御動作を示すフローチャートである。コントローラ50は、複数の操作装置21~23からのレバー信号の入力をそれぞれ受ける(ステップS11)。また、コントローラ50は、画像取得センサ80からの土砂情報、複数のシリンダ圧力センサ35からの圧力検出信号、及び角度センサ31~34からの姿勢検出信号の入力をそれぞれ受ける。
【0076】
次に、バケット姿勢演算部51は、ブーム姿勢検出信号、アーム姿勢検出信号、及びバケット姿勢検出信号に基づいてバケット姿勢を演算する(ステップS12)。また、バケット姿勢演算部51の傾き演算部は、ブーム姿勢検出信号、アーム姿勢検出信号、及びバケット姿勢検出信号に基づいて、基準面Hに対するバケット6の上板65の角度θ1を演算する(ステップS12)。
【0077】
次に、土砂量演算部52は、前記バケット姿勢と前記土砂情報とを用いてバケット6の収容空間における土砂の堆積状態を演算する(ステップS13)。
【0078】
次に、バケット進行方向判定部55は、バケット6の上板65の角度θ1が予め定められた閾値である傾き閾値よりも小さいか否かを判定する(ステップS14)。
【0079】
上板65の角度θ1が傾き閾値以上である場合(ステップS14においてNO)、バケット進行方向判定部55は、バケット6に作用する掘削抵抗を減少させる必要がないと判定し、バケット進行方向制御部56は、ブーム操作信号、アーム操作信号及びバケット操作信号に対応した指令信号の修正を行わない(ステップS19)。この場合、バケット進行方向制御部56は、ブーム操作信号、アーム操作信号及びバケット操作信号に対応した指令信号を作業装置駆動部に出力する(ステップS17)。
【0080】
一方、上板65の角度θ1が傾き閾値よりも小さい場合(ステップS14においてYES)、接触状態判定部53は、土砂量演算部52により演算される前記堆積状態に基づいて前記接触状態を判定する(ステップS15)。
【0081】
具体的には、土砂量演算部52(堆積状態演算部)は、ステップS13において、例えば、前記バケット姿勢と前記土砂情報とを用いてバケット6の収容空間における土砂の堆積状態を、例えば次のように演算することができる。すなわち、土砂量演算部52は、バケット6の収容空間に土砂などの物体が何も収容されていない状態である非収容状態のバケット6内の画像である初期画像に関する情報(初期画像情報)と、掘削作業中に例えばLiDARなどの画像取得センサ80により取得されるバケット6内の画像に関する情報(掘削中画像情報)と、を比較することにより、例えば
図3に示すようにバケット6の内面と土砂の上面とが交わる部分PA(
図3の断面図における交点PA)の位置を演算することができる。例えば、土砂量演算部52は、掘削中画像情報が取得された時点におけるバケット姿勢に対応するように初期画像情報を変換することで、初期画像情報と掘削中画像情報とを比較することができる。そして、接触状態判定部53は、演算された部分PAがバケット6の内面のうち特定上部領域64の範囲内にあるか否かを判定することにより、前記接触状態を判定することができる。前記初期画像情報は、コントローラ50のメモリに予め記憶されたものであってもよい。また、前記初期画像情報は、掘削作業の開始前又は開始時点において、画像取得センサ80により取得されるものであってもよい。
【0082】
なお、土砂量演算部52は、バケット6の内面と土砂の上面とが交わる部分PAの位置を、例えばバケット6の内面における幅方向の中央のような予め設定された特定の幅方向位置において演算してもよい。また、LiDARのような測距センサは、バケット6の内面と土砂の上面とが交わる部分PAに対応するデータを、複数の幅方向位置において取得することが可能である。この場合には、接触状態判定部53は、前記複数の幅方向位置におけるバケット6の内面と土砂の上面とが交わる部分PAの位置の平均値を演算し、この平均値を用いて前記接触状態を判定してもよい。また、接触状態判定部53は、前記複数の幅方向位置におけるバケット6の内面と土砂の上面とが交わる部分PAの位置の最小値又は最大値を演算し、この最小値又は最大値を用いて前記接触状態を判定してもよい。
【0083】
バケット6の特定上部領域64(バケット6の上面)に土砂が接触していると接触状態判定部53が判定した場合(ステップS15においてYES)、バケット進行方向判定部55は、バケット6に作用する掘削抵抗を減少させる必要があると判定し、バケット進行方向制御部56は、ブーム操作信号、アーム操作信号及びバケット操作信号に対応した指令信号のうちの少なくとも一つを修正する(ステップS16)。
【0084】
指令信号の修正は、バケット6が行う抵抗減少動作に対応するように予め設定されたバケット6の移動パターン(目標ルート)に応じて行われてもよい。例えば、油圧ショベル10は、
図3、
図4及び
図5の抵抗減少動作のうち、掘削作業においてバケット6に行わせる抵抗減少動作をオペレータが掘削作業の開始時に選択するための入力器を備えていてもよい。この場合、バケット進行方向制御部56は、ステップS16において、オペレータによって選択された抵抗減少動作に対応するように予め定められた移動パターンに沿ってバケット6が変位するように、ブーム操作信号、アーム操作信号及びバケット操作信号に対応した指令信号のうちの少なくとも一つを修正し(ステップS16)、修正された指令信号である抵抗減少指令信号を含む指令信号を複数の比例弁71~76に出力する(ステップS17)。これにより、バケット6に作用する掘削抵抗を減少させることが可能な方向である抵抗減少方向にバケット6が変位する。
【0085】
一方、バケット6の特定上部領域64に土砂が接触していないと接触状態判定部53が判定した場合(ステップS15においてNO)、掘削反力演算部54は、機体傾斜角度センサ34から入力される検出信号と、ブーム角度センサ31、アーム角度センサ32及びバケット角度センサ33から入力される検出信号と、複数のシリンダ圧力センサ35から入力される圧力検出信号と、作業装置3におけるリンク間の寸法に関する寸法情報と、に基づいて掘削反力を演算し、バケット進行方向判定部55は、演算された掘削反力が予め定められた閾値である反力閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップS18)。
【0086】
掘削反力が反力閾値よりも大きい場合(ステップS18においてYES)、バケット進行方向判定部55は、バケット6に作用する掘削抵抗を減少させる必要があると判定し、バケット進行方向制御部56は、ブーム操作信号、アーム操作信号及びバケット操作信号に対応した指令信号のうちの少なくとも一つを修正し(ステップS16)、修正された指令信号である抵抗減少指令信号を含む指令信号を複数の比例弁71~76に出力する(ステップS17)。これにより、バケット6に作用する掘削抵抗を減少させることが可能な方向である抵抗減少方向にバケット6が変位する。
【0087】
一方、掘削反力が反力閾値以下である場合(ステップS18においてNO)、バケット進行方向判定部55は、バケット6に作用する掘削抵抗を減少させる必要がないと判定し、バケット進行方向制御部56は、ブーム操作信号、アーム操作信号及びバケット操作信号に対応した指令信号の修正を行わない(ステップS19)。この場合、バケット進行方向制御部56は、ブーム操作信号、アーム操作信号及びバケット操作信号に対応した指令信号を作業装置駆動部に出力する(ステップS17)。
【0088】
図8は、コントローラ50の演算制御動作の他の例を示すフローチャートである。
図8におけるステップS31~S33の処理は、
図7におけるステップS11~S13の処理と同様であり、また、
図8におけるステップS34~S36、S38の処理は、
図7におけるステップS15~S17、S19の処理と同様であるので、これらの処理に関する詳細な説明は省略する。また、
図8に示す演算制御動作では、
図7におけるステップS14,S18の処理が省略されており、ステップS37の処理を有している。従って、以下では、主にステップS37に関連する内容について説明する。
【0089】
図8に示す演算制御動作において、バケット6の特定上部領域64(バケット6の上面)に土砂が接触していないと接触状態判定部53が判定した場合(ステップS34においてNO)、バケット進行方向判定部55は、バケット6内の土砂量が予め定められた閾値である土砂量閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップS37)。バケット進行方向判定部55は、バケット6内の土砂量を、例えば、土砂量演算部52により演算される前記交わる部分PA(前記交点PA)に基づいて判定可能(演算可能)である。具体的には、例えば、コントローラ50は、前記交わる部分PA(前記交点PA)の位置とバケット6内の土砂量との関係を表すマップを予め記憶しており、バケット進行方向判定部55は、バケット6内の土砂量を、土砂量演算部52により演算される前記交わる部分PA(前記交点PA)と、前記マップと、に基づいて演算することができる。土砂量閾値は、例えば、掘削の完了時におけるバケット内の土砂量がバケットの容量に対して大幅に少なくなることを抑制しつつ、無駄なエネルギーが消費されることを抑制することができるような値に設定されてもよい。
【0090】
土砂量が土砂量閾値よりも大きい場合(ステップS37においてYES)、バケット進行方向判定部55は、バケット6に作用する掘削抵抗を減少させる必要があると判定し、バケット進行方向制御部56は、ブーム操作信号、アーム操作信号及びバケット操作信号に対応した指令信号のうちの少なくとも一つを修正し(ステップS35)、修正された指令信号である抵抗減少指令信号を含む指令信号を複数の比例弁71~76に出力する(ステップS36)。これにより、バケット6に作用する掘削抵抗を減少させることが可能な方向である抵抗減少方向にバケット6が変位する。
【0091】
一方、土砂量が土砂量閾値以下である場合(ステップS37においてNO)、バケット進行方向判定部55は、バケット6に作用する掘削抵抗を減少させる必要がないと判定し、バケット進行方向制御部56は、ブーム操作信号、アーム操作信号及びバケット操作信号に対応した指令信号の修正を行わない(ステップS38)。この場合、バケット進行方向制御部56は、ブーム操作信号、アーム操作信号及びバケット操作信号に対応した指令信号を作業装置駆動部に出力する(ステップS36)。
【0092】
図9は、本実施形態の変形例に係る油圧ショベル10のコントローラ50の機能構成及びその入出力信号を示すブロック図である。この変形例に係る油圧ショベル10は、
図2に示すブロック図の画像取得センサ80に代えて、荷重検出器82を備える。この荷重検出器82は、バケット6の収容空間に収容された土砂に関する情報である土砂情報を取得する土砂情報取得器の他の一例である。
【0093】
荷重検出器82は、バケット6の内面のうち特定上部領域64に配置され、バケット6の収容空間に収容された土砂から受ける荷重である土砂荷重を検出することが可能なセンサである。具体的には、荷重検出器82は、特定上部領域64の少なくとも一部分に取り付けられる。荷重検出器82としては、例えばひずみ計、感圧センサー、ロードセルなどを用いることができる。荷重検出器82は、検出した土砂荷重に対応する検出信号である荷重検出信号をコントローラ50に入力する。
【0094】
接触状態判定部53は、荷重検出器82により検出された前記土砂荷重に基づいて特定上部領域64と土砂との接触状態を判定する。具体的には、接触状態判定部53は、例えば、荷重検出器82により検出された土砂荷重が、予め定められた閾値である荷重閾値以上である場合に、特定上部領域に土砂が接触していると判定してもよい。この変形例では、荷重検出器82により検出された土砂荷重に基づいて特定上部領域64と土砂との接触状態を判定するので、例えば
図2に示すブロック図におけるLiDARなどの画像取得センサ80のように画像処理データ(点群データ)に基づいて接触状態を判定する場合に比べて、コントローラ50による処理の負荷が大きくなることを抑制できる。
【0095】
以上説明したように、本実施形態に係る油圧ショベル10では、掘削作業において掘削抵抗を減少させる制御を行うか否かの判定がバケット6の内面の特定上部領域64と土砂との接触状態に応じて行われるので、掘削作業における掘削抵抗が大きくなることを抑制しつつ、掘削作業の効率が低下することを抑制できる。
【0096】
土砂情報取得器がバケット6の内面に接触する土砂から受ける荷重を直接的に検出するようなセンサ(例えば上述した荷重検出器82のようなセンサ)である場合には、接触状態判定部53は、そのセンサからコントローラ50に入力される検出信号に基づいて、特定上部領域64と土砂との接触状態を直接的に判定することができる。また、土砂情報取得器が例えば上述した画像取得センサ80のようなセンサである場合には、接触状態判定部53は、そのセンサからコントローラ50に入力される画像情報などの土砂情報に基づいて、特定上部領域64と土砂との接触状態を間接的に判定する(接触状態を推定する)ことができる。
【0097】
本実施形態では、前記作業装置制御部は、バケット6の特定上部領域64に土砂が接触していると接触状態判定部53が判定した場合に前記抵抗減少指令信号を出力し、バケット6を抵抗減少方向に変位させて掘削抵抗を減少させるので、掘削作業においてバケット6内の土砂量を十分に確保することができる。
【0098】
本実施形態では、前記作業装置制御部は、バケット6の特定上部領域64に土砂が接触していないと接触状態判定部53が判定し、バケット6の収容空間に収容された土砂の量が予め定められた閾値である土砂量閾値よりも大きい場合に、前記抵抗減少指令信号を出力する。掘削作業においてバケット6内の土砂が特定上部領域64に接触していなくてもバケット6内の土砂量が土砂量閾値よりも大きくなった場合には、抵抗減少指令信号が出力されるので、バケット6内の土砂が特定上部領域64に接触して掘削抵抗が増大する前に、バケット6を抵抗減少方向に変位させて掘削抵抗を減少させることができる。これにより、無駄なエネルギーが消費されることを抑制できる。
【0099】
本実施形態では、前記作業装置制御部は、バケット6の特定上部領域64に土砂が接触していないと接触状態判定部が判定し、前記掘削反力が反力閾値よりも大きい場合に、前記抵抗減少指令信号を出力する。本実施形態では、反力閾値は、掘削反力が大きくなってバケット6が動作するスピードが大きく低下することを抑制することが可能な値に設定される。バケット6の動作スピードが大きく低下すると、掘削作業の効率が低下する。本実施形態では、バケット6内の土砂が特定上部領域64に接していない場合であっても掘削反力が反力閾値よりも大きい場合には、バケット6を抵抗減少方向に変位させて掘削抵抗を減少させるので、掘削作業の効率が低下することをさらに抑制できる。
【0100】
本実施形態では、接触状態判定部53は、堆積状態演算部の一例である土砂量演算部52により演算される堆積状態に基づいて前記特定上部領域64と土砂との接触状態を判定する。すなわち、本実施形態では、バケット6内の実際の土砂の堆積状態に基づいて特定上部領域64と土砂との接触状態を判定することができる。
【0101】
本実施形態の変形例では、接触状態判定部53は、荷重検出器82により検出された土砂荷重に基づいて特定上部領域64と土砂との接触状態を判定するので、例えば画像処理データに基づいて接触状態を判定する場合に比べて、コントローラ50による処理の負荷が大きくなることを抑制できる。
【0102】
本実施形態では、前記作業装置制御部は、バケット姿勢演算部51の傾き演算部により演算された前記傾き指標値が傾き閾値よりも大きい場合には、前記抵抗減少指令信号を出力しない。傾き指標値が傾き閾値よりも大きい場合には、掘削作業において掘削抵抗を減少させる制御を行う必要がない可能性が高く、この場合には抵抗減少指令信号を出力しない。これにより、コントローラ50による処理の負荷を低減することができる。
【0103】
[変形例]
以上、本開示の実施形態に係る建設機械について説明したが、本開示は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例を含む。
【0104】
(A)操作装置について
前記実施形態では、複数の操作装置(操作装置21,22,23)のそれぞれは電気レバー装置により構成されているが、このような形態に限られない。複数の操作装置のそれぞれは、操作レバーとリモコン弁とを備える操作装置であってもよい。この場合、複数の操作装置のそれぞれのリモコン弁は、図略のパイロットポンプと、当該リモコン弁に対応するコントロールバルブの一対のパイロットポートと、の間に介在する。当該リモコン弁は、操作レバーの操作量に応じたパイロット圧を、操作レバーの操作方向に対応するパイロットポートに供給するように作動する。これにより、当該操作装置に対応するシリンダに供給される作動油の流量及び作動油の供給方向が調節される。この場合、比例弁71~76のそれぞれは、当該比例弁に対応するリモコン弁とコントロールバルブのパイロットポートとの間に介在するように配置されてもよい。
【0105】
(B)作業装置姿勢情報取得器について
前記作業装置姿勢情報取得器は、例えば、複数のストロークセンサであってもよい。複数のストロークセンサは、ブームシリンダ7のシリンダ長さを検出するブームシリンダストロークセンサ、アームシリンダ8のシリンダ長さを検出するアームシリンダストロークセンサ、及びバケットシリンダ9のシリンダ長さを検出するバケットシリンダストロークセンサを含む。複数のストロークセンサのそれぞれは、検出したシリンダ長さに対応する検出信号をコントローラ50に入力する。コントローラ50は、作業装置3におけるリンク間の寸法に関する寸法情報、各シリンダの取付位置に関する寸法情報などを予め記憶している。リンク間の寸法は、例えば、前記水平軸A1と前記水平軸A2との距離、前記水平軸A2と前記水平軸A3との距離を含む。複数のストロークセンサのシリンダ長さと前記寸法情報から、機体とブーム4との相対角度、ブーム4とアーム5の相対角度、アーム5とバケット6の相対角度、作業装置3の姿勢などが幾何学的に演算可能である。従って、バケット姿勢演算部51は、複数のストロークセンサから入力される検出信号及び前記寸法情報に基づいて、バケット6の姿勢を幾何学的に演算することができる。
【0106】
(C)本開示に係る建設機械は、例えば、(1)掘削作業においてオペレータを支援するマシンコントロールが行われる場合、(2)油圧ショベル10による掘削作業をオペレータが遠隔操作する場合、(3)油圧ショベル10を自動運転(例えば全自動運転)する場合、などにも適用可能である。
【0107】
(1)マシンコントロールについて
コントローラ50のメモリに予め記憶された掘削作業におけるバケット6の目標掘削面に沿ってバケット6が変位するように作業装置3の動作をコントローラ50が自動的に制御するようなマシンコントロールが行われる場合には、掘削作業が行われるように作業装置を動作させるための少なくとも一つの操作装置は、キャビン内に配置されてオペレータが入力操作可能な操作スイッチなどの操作装置であってもよく、前記複数の操作装置の何れかの操作装置(例えばアーム操作装置)であってもよい。この場合、オペレータの入力操作が前記操作装置に入力されると、コントローラ50は、作業現場の地盤を目標掘削面に対応する形状に掘削する掘削作業が行われるように作業装置3を動作させるマシンコントロールを実行する。このマシンコントロールによる掘削作業において、作業装置制御部は、前記抵抗減少方向にバケットが変位するように作業装置を動作させるための抵抗減少指令信号を、前記接触状態判定部による判定の結果に応じて出力する。
【0108】
実際の現場の状況は、作業関係者が作業前に把握できないような種々の状況を含むため、上記のようなマシンコントロールにおいて、予め記憶された目標掘削面に沿ってバケット6が変位するように作業装置3の動作をコントローラ50が自動的に制御するだけでは、必ずしも効率的な掘削作業を行うことができない場合がある。このような場合でも、作業装置制御部が抵抗減少指令信号を接触状態判定部による判定の結果に応じて出力するような制御が行われることで、実際の現場の状況に合うようにバケット6を動作させることができ、効率的な掘削作業を行うことが可能になる。
【0109】
(2)遠隔操作について
油圧ショベル10による掘削作業をオペレータが遠隔操作する場合、建設機械は、油圧ショベル10により構成される建設機械本体と、油圧ショベル10から離れた遠隔地に配置された遠隔操作装置と、を含む。遠隔操作装置は、油圧ショベル10のキャビン内の前記ブーム操作装置21、前記アーム操作装置22及び前記バケット操作装置23に対応する図略のブーム遠隔操作装置、アーム遠隔操作装置及びバケット遠隔操作装置を備える。オペレータがブーム遠隔操作装置、アーム遠隔操作装置及びバケット遠隔操作装置のそれぞれの操作レバーを操作すると、それに対応する操作信号が無線又は有線による通信を介して油圧ショベル10のコントローラ50に入力され、作業装置3が操作信号に対応する動作を行う。この場合、掘削作業が行われるように作業装置を動作させるための少なくとも一つの操作装置は、前記ブーム遠隔操作装置、前記アーム遠隔操作装置及び前記バケット遠隔操作装置を含む。この遠隔操作による掘削作業においても、作業装置制御部は、前記抵抗減少方向にバケットが変位するように作業装置を動作させるための抵抗減少指令信号を、前記接触状態判定部による判定の結果に応じて出力する。また、この遠隔操作において、上述したようなマシンコントロールが行われてもよい。この場合、掘削作業が行われるように作業装置を動作させるための少なくとも一つの操作装置は、遠隔地に配置されてオペレータが入力操作可能な操作スイッチなどの操作装置であってもよく、遠隔地に配置された前記ブーム遠隔操作装置、前記アーム遠隔操作装置及び前記バケット遠隔操作装置の何れかの操作装置であってもよい。
【0110】
上記のような遠隔操作では、オペレータが遠隔地でモニターを見ながら油圧ショベル10を操縦するので、オペレータは実際の現場の状況を詳細に把握しにくい場合があり、その結果、必ずしも効率的な掘削作業を行うことができない場合がある。このような場合でも、作業装置制御部が抵抗減少指令信号を接触状態判定部による判定の結果に応じて出力するような制御を行うことで、実際の現場の状況に合うようにバケット6を動作させることができ、効率的な掘削作業を行うことが可能になる。
【0111】
(3)自動運転について
コントローラ50のメモリに予め記憶された掘削作業におけるバケット6の目標経路に沿ってバケット6が変位するように作業装置3の動作をコントローラ50が自動的に制御するような自動運転が行われる場合には、掘削作業が行われるように作業装置を動作させるための少なくとも一つの操作装置は、例えばオペレータが入力操作可能な情報端末であってもよい。このような情報端末は、例えばパーソナルコンピュータであってもよく、タブレットなどの携帯情報端末であってもよく、他の情報端末であってもよい。オペレータが情報端末に対して入力操作を行うと、当該情報端末は、油圧ショベル10の自動運転をコントローラ50に開始させるための指令である開始指令を出力し、出力された開始指令は、無線又は有線の通信を介してコントローラ50に入力される。オペレータは、油圧ショベル10の外において前記情報端末に対する入力操作を行ってもよく、油圧ショベル10のキャビン内において前記情報端末に対する入力操作を行ってもよい。この自動運転(例えば全自動運転)による掘削作業においても、作業装置制御部は、前記抵抗減少方向にバケットが変位するように作業装置を動作させるための抵抗減少指令信号を、前記接触状態判定部による判定の結果に応じて出力する。
【0112】
自動運転についてより具体的に説明すると次の通りである。この自動運転では、コントローラ50は、例えば、掘削開始位置にバケット6のツースが到達したか否かを判定する。前記ツースが掘削開始位置に到達したことが検知されると、コントローラ50は、掘削作業を開始する。この掘削作業において、作業装置制御部は、前記目標経路に対応する指令信号である目標対応指令信号を出力して作業装置3の動作を制御するが、例えば、バケット6の特定上部領域64に土砂が接触していると接触状態判定部53が判定した場合には、作業装置制御部は、前記抵抗減少方向にバケットが変位するように作業装置を動作させるための抵抗減少指令信号(前記目標対応指令信号を修正した信号)を出力する。
【0113】
実際の現場の状況は、作業関係者が作業前に把握できないような種々の状況を含むため、前記自動運転において、予め記憶された掘削作業におけるバケット6の目標経路に沿ってバケット6が変位するように作業装置3の動作をコントローラ50が自動的に制御するだけでは、必ずしも効率的な掘削作業を行うことができない場合がある。このような場合でも、作業装置制御部が抵抗減少指令信号を接触状態判定部による判定の結果に応じて出力するような制御が行われることで、実際の現場の状況に合うようにバケット6を動作させることができ、効率的な掘削作業を行うことが可能になる。
【0114】
(D)収容状態判定部について
前記実施形態では、収容状態判定部は、特定上部領域64と土砂との接触状態を判定する接触状態判定部53であり、作業装置制御部は、接触状態判定部53による判定の結果に応じて前記抵抗減少指令信号を出力する。ただし、収容状態判定部は、掘削作業においてバケットに収容された土砂の収容状態を判定することができるものであればよく、必ずしも前記実施形態のように特定上部領域64と土砂との接触状態を判定するものでなくてもよい。この場合、作業装置制御部は、収容状態判定部による判定の結果に応じて前記抵抗減少指令信号を出力する。
【0115】
具体的には、収容状態判定部は、例えば、掘削作業においてバケット内に土砂が所定量入ったことことを判定する土砂量判定部であってもよく、この場合、作業装置制御部は、土砂量判定部による判定の結果に応じて前記抵抗減少指令信号を出力する。土砂量判定部は、例えば、バケット内の土砂量(土砂の体積又は土砂の重量)を検出可能なセンサからコントローラ50に入力される検出信号に基づいて、バケット内に土砂が所定量入ったか否かを判定してもよい。また、土砂量演算部52(堆積状態演算部)が、前記初期画像情報と前記掘削中画像情報とを比較することにより、バケット内の土砂量(例えば土砂の体積)を演算する場合には、土砂量判定部は、土砂量演算部52により演算されたバケット内の土砂量に基づいて、バケット内に土砂が所定量入ったか否かを判定してもよい。
【符号の説明】
【0116】
3 :作業装置
4 :ブーム
5 :アーム
6 :バケット
61 :バケット基端部
62 :バケット先端部
64 :特定上部領域
65 :バケットの上板
9 :バケットシリンダ
10 :油圧ショベル(建設機械)
21 :ブーム操作装置
22 :アーム操作装置
23 :バケット操作装置
31 :ブーム角度センサ(作業装置姿勢情報取得器)
32 :アーム角度センサ(作業装置姿勢情報取得器)
33 :バケット角度センサ(作業装置姿勢情報取得器)
34 :機体傾斜角度センサ
35 :シリンダ圧力センサ
50 :コントローラ
51 :バケット姿勢演算部
52 :土砂量演算部
53 :接触状態判定部(収容状態判定部)
54 :掘削反力演算部
55 :バケット進行方向判定部(作業装置制御部)
56 :バケット進行方向制御部(作業装置制御部)
80 :画像取得センサ(土砂情報取得器)
82 :荷重検出器(土砂情報取得器)
D2 :第2方向(抵抗減少方向)
D3 :第3方向(抵抗減少方向)
D4 :第4方向(抵抗減少方向)
H :水平面(基準面)
θ1 :水平面に対するバケットの上板の角度(傾き指標値)