(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055685
(43)【公開日】2023-04-18
(54)【発明の名称】コーティング用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/64 20060101AFI20230411BHJP
A61Q 90/00 20090101ALI20230411BHJP
【FI】
A61K8/64
A61Q90/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161902
(22)【出願日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】P 2021164827
(32)【優先日】2021-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 靭
(72)【発明者】
【氏名】坂田 瑞希
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC112
4C083AC182
4C083AC242
4C083AD411
4C083AD412
4C083BB49
4C083BB60
4C083CC02
4C083DD08
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE03
4C083EE07
4C083FF01
4C083FF05
(57)【要約】
【課題】
噴霧によって塗布することが可能で、化粧料に対して、高いコーティング保護効果を持つコーティング用組成物を提供すること。
【解決手段】
低分子脂質ペプチド又はその薬学的に使用可能な塩からなる少なくとも1種の脂質ペプチド型化合物を含有することを特徴とするコーティング用組成物。
噴霧可能なコーティング用組成物を形成し、皮膚上等に塗布された該コーティング用組成物は、被膜を形成し、皮膚上に事前に塗布されている化粧料を、摩擦から保護することとともに、衣服やマスク等への化粧料の付着を抑制する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低分子脂質ペプチド又はその薬学的に使用可能な塩からなる少なくとも1種の脂質ペプチド型化合物を含有することを特徴とするコーティング用組成物。
【請求項2】
前記脂質ペプチド型化合物が、炭素原子数9乃至23の脂肪族基からなる脂質部に、アミノ酸の繰り返し結合構造を有するペプチド部が結合された化合物である、請求項1に記載のコーティング用組成物。
【請求項3】
前記脂質ペプチド型化合物が、下記式(1)乃至式(3)で表される化合物又はその薬学的に使用可能な塩のうちの少なくとも1種からなることを特徴とする、請求項2に記載のコーティング用組成物。
【化1】
(式中、R
1は炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、R
2は水素原子、又は炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基を表し、R
3は-(CH
2)
n-X基を表し、nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、-CONH
2基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環若しくは6員環又は5員環と6員環から構成される縮合複素環を表す。)
【化2】
(式中、R
4は炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、R
5乃至R
7はそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基、又は-(CH
2)
n-X基を表し、nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、-CONH
2基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環若しくは6員環又は5員環と6員環から構成される縮合複素環を表す。)
【化3】
(式中、R
8は炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、R
9乃至R
12はそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基、又は-(CH
2)
n-X基を表し、nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、-CONH
2基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環若しくは6員環又は5員環と6員環から構成される縮合複素環を表す。)
【請求項4】
噴霧することが可能である請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のコーティング
用組成物。
【請求項5】
請求項1に記載のコーティング用組成物を使用することを特徴とする、化粧料を摩擦から保護する方法。
【請求項6】
請求項1に記載のコーティング用組成物を含む被膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコーティング用組成物に関し、より詳細には、少なくとも1種の脂質ペプチド型化合物を含有するコーティング用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、化粧料の分野において、マスクや衣服とのこすれ等の摩擦によって生じる化粧崩れを防ぎたいという要望が高まっている。これらの要望をかなえるべく、化粧料そのものの強度を高めるための技術開発が行われてきた。その一方で、化粧料の種類を問わず、その強度を高めたいという要望は根強い。このような要望を満たすために、種々の化粧料に対して、化粧崩れを起こすことなく、長持ちをさせるためのコーティング剤の開発が求められている。化粧料の上からコーティングする材料としては、所望の化粧料の上から直接塗布する化粧崩れ防止用オーバーコート剤が開発されている(特許文献1)。
また、噴霧することで、塗布できるミスト化粧料も報告されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-320905号公報
【特許文献2】特開2019-172601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の化粧崩れ防止用オーバーコート剤は直接塗布して使用するものであって、直接塗布すると化粧膜を引きずる力が働いてしまうため化粧膜のヨレや剥がれが起きてしまい満足な効果は得られないという課題がある。
一方、特許文献2に記載のミスト化粧料は、肌に直接触れることなく、霧状に吐出・塗布することが可能であるため、化粧膜に影響を与えることなく塗布できる点で有利ではあるが、該ミスト化粧料に含まれる成分にアレルギーを起こす可能性のある消費者には使用できず、さらにマスクや衣服とのこすれ等の摩擦によって生じる化粧崩れを防ぐ観点から開発されているものではない。
【0005】
したがって、従来知られているコーティング剤では、特にマスクや衣服とのこすれ等の摩擦によって生じる化粧崩れを防ぐものとしては必ずしも有効ではなかった。
したがって、噴霧によって塗布することが可能で、より簡単に高いコーティング保護効果を持つ被膜を形成でき、特に摩擦に対して、皮膚に塗布された化粧料を保護する、コーティング用組成物の開発が求められている。
【0006】
したがって本発明は、噴霧によって塗布することが可能で、化粧料に対して、高いコーティング保護効果を持つコーティング用組成物を提供することを目的とする。
また、より簡単にコーティング性に優れた被膜を形成することができるコーティング用組成物を提供することを目的とする。
また、化粧料との結び付き具合が、特に摩擦から皮膚に塗布された化粧料を保護するにあたり非常に適しているコーティング用組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、皮膚に塗布された化粧膜にヨレや剥がれを生じさせずに形成でき、且つ、皮膚に塗布された化粧膜を、特に摩擦から保護することができる被膜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、少なくとも1種の脂質ペプチド型化合物を用いることで、噴霧可能なコーティング用組成物を調製することができ、皮膚上に塗布された該コーティング用組成物は、被膜を形成し、これにより皮膚上にあらかじめ塗布されている化粧料を、摩擦から保護することを見出し、本発明を完成した。
また、本発明者は、上記コーティング用組成物は、衣服やマスク等への化粧料の付着を抑制することも見出し、本発明を完成した。
さらに、本発明者は、上記コーティング用組成物を用いて形成される被膜は、皮膚上に形成された際に、皮膚が伸縮しても崩壊することはなく、物理的な損傷を受けても、自己修復することを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、第1観点として、低分子脂質ペプチド又はその薬学的に使用可能な塩からなる少なくとも1種の脂質ペプチド型化合物を含有することを特徴とするコーティング用組成物に関する。
第2観点として、前記脂質ペプチド型化合物が、炭素原子数9乃至23の脂肪族基からなる脂質部に、アミノ酸の繰り返し結合構造を有するペプチド部が結合された化合物である、第1観点に記載のコーティング用組成物に関する。
第3観点として、前記脂質ペプチド型化合物が、下記式(1)乃至式(3)で表される化合物又はその薬学的に使用可能な塩のうちの少なくとも1種からなることを特徴とする、第2観点に記載のコーティング用組成物に関する。
【化1】
(式中、R
1は炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、R
2は水素原子、又は炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基を表し、R
3は-(CH
2)
n-X基を表し、nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、-CONH
2基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環若しくは6員環又は5員環と6員環から構成される縮合複素環を表す。)
【化2】
(式中、R
4は炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、R
5乃至R
7はそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基、又は-(CH
2)
n-X基を表し、nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、-CONH
2基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環若しくは6員環又は5員環と6員環から構成される縮合複素環を表す。)
【化3】
(式中、R
8は炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、R
9乃至R
12はそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基、又は-(CH
2)
n-X基を表し、nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、-CONH
2基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環若しくは6員環又は5員環と6員環から構成される縮合複素環を表す。)
【0009】
第4観点として、噴霧することが可能である第1観点乃至第3観点のいずれか1つに記載のコーティング用組成物に関する。
第5観点として、第1観点乃至第4観点のいずれか1つに記載のコーティング用組成物を使用することを特徴とする化粧料を摩擦から保護する方法に関する。
第6観点として、第1観点乃至第4観点のいずれか1つに記載のコーティング用組成物を使含む被膜に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、少なくとも1種の脂質ペプチド型化合物を含有することにより、噴霧可能なコーティング用組成物を形成することができ、かつ、噴霧された該コーティング用組成物は被膜を形成することで、化粧料をコーティングすることができる。
また、本発明によれば、形成された被膜は、摩擦によって被膜が適度に崩壊するとともに、時間の経過に従って再生することで、化粧料を摩擦から保護することができ、マスクや衣類への化粧料の付着を抑制することができる。
【0011】
さらに、本発明に用いられる脂質ペプチド型化合物は脂質とペプチドのみから構成される非常に安全性の高い人工低分子化合物であるので、本発明のコーティング用組成物は生体安全性が高い。したがって、従来のコーティング剤では、アレルギーを引きおこす成分が含まれている可能性があるために使用できなかった消費者でも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施例1、実施例2,および比較例1乃至比較例6において、裁断した人工皮革の大きさとファンデーションの塗布エリアを示す図である。
【
図2】実施例1、実施例2,および比較例1乃至比較例6において、マスク摩擦評価用具を示す図である。
【
図3】実施例1、実施例2,および比較例1乃至比較例6において使用した、摩擦試験機改造・使用例を示す図である。
【
図4】実施例1、実施例2,および比較例1乃至比較例6において、階調変換を行った箇所を示す図である。
【
図5】実施例1、および比較例1乃至比較例3において、ミストの種類及び塗布の有無による革表面での化粧膜をマスクで摩擦した結果の写真である。
【
図6】実施例1、および比較例1乃至比較例3において、階調の相対的な変化を表したグラフである。
【
図7】実施例2、および比較例4乃至比較例6において、ミストの種類及び塗布の有無による皮脂革表面での化粧膜をマスクで摩擦した結果の写真である。
【
図8】実施例2、および比較例4乃至比較例6において、階調の相対的な変化を表したグラフである。
【
図9】実施例3乃至実施例5、および比較例7乃至比較例9において、ミストの種類及び塗布の有無による皮脂革表面での化粧膜をマスクで摩擦した結果の写真である。
【
図10】実施例3乃至実施例5、および比較例7乃至比較例9において、階調の相対的な変化を表したグラフである。
【
図11】実施例6において、表面に被膜を形成させた人工皮革の引っ張り前後における、走査電子顕微鏡のSEM画像である。
図11(a)は観察倍率4500倍のSEM画像であり、
図11(b)は観察倍率10000倍のSEM画像である。
【
図12】実施例6及び比較例10において、被膜の回復量を表したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、低分子脂質ペプチド又はその薬学的に使用可能な塩からなる少なくとも1種の脂質ペプチド型化合物を含有することを特徴とするコーティング用組成物に関する。
【0014】
上記の脂質ペプチド型化合物としては、炭素原子数9乃至23の脂肪族基からなる脂質部に、アミノ酸の繰り返し結合構造を有するペプチド部が結合された化合物であることが好ましい。
【0015】
また、上記の脂質ペプチド型化合物としては、下記式(1)乃至式(3)で表される化合物(脂質ペプチド)又はその薬学的に使用可能な塩(疎水性部位である脂質部と親水性部位であるペプチド部とを有する低分子化合物)のうちの少なくとも1種からなることがより好ましい。
【化4】
【0016】
上記式(1)において、R1は炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、R1は不飽和結合を0乃至2個有し得る炭素原子数11乃至23の直鎖状脂肪族基であることが好ましい。
R1及び隣接するカルボニル基で構成される脂質部(アシル基)の具体例としては、ラウロイル基、ドデシルカルボニル基、ミリストイル基、テトラデシルカルボニル基、パルミトイル基、マルガロイル基、オレオイル基、エライドイル基、リノレオイル基、ステアロイル基、バクセノイル基、オクタデシルカルボニル基、アラキドイル基、エイコシルカルボニル基、ベヘノイル基、エルカノイル基、ドコシルカルボニル基、リグノセイル基、ネルボノイル基等を挙げることができ、特に好ましいものとして、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、マルガロイル基、ステアロイル基、オレオイル基、エライドイル基及びベヘノイル基が挙げられる。
【0017】
上記式(1)において、ペプチド部に含まれるR2は、水素原子、又は炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基を表す。
上記炭素原子数1若しくは2の分岐鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基とは、主鎖の炭素原子数が1乃至4であり、かつ炭素原子数1若しくは2の分岐鎖を有し得るアルキル基を意味し、その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基又はtert-ブチル基などが挙げられる。
【0018】
上記R2は好ましくは、水素原子、又は炭素原子数1の分岐鎖を有し得る炭素原子数1乃至3のアルキル基であり、より好ましくは水素原子である。
炭素原子数1の分岐鎖を有し得る炭素原子数1乃至3のアルキル基とは、主鎖の炭素原子数が1乃至3であり、かつ炭素原子数1の分岐鎖を有し得るアルキル基を意味し、その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、i-ブチル基
又はsec-ブチル基などが挙げられ、好ましくはメチル基、i-プロピル基、i-ブチル基又はsec-ブチル基である。
【0019】
上記式(1)において、R3は-(CH2)n-X基を表す。上記-(CH2)n-X基において、nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、-CONH2基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環式基若しくは6員環式基、又は5員環と6員環から構成される縮合複素環式基を表す。
上記R3を表す-(CH2)n-X基において、Xは好ましくはアミノ基、グアニジノ基、カルバモイル基(-CONH2基)、ピロール基、イミダゾール基、ピラゾール基又はインドール基であり、より好ましくはイミダゾール基である。また、上記-(CH2)n-X基において、nは好ましくは1又は2であり、より好ましくは1である。
したがって、上記-(CH2)n-基は、好ましくはアミノメチル基、2-アミノエチル基、3-アミノプロピル基、4-アミノブチル基、カルバモイルメチル基、2-カルバモイルエチル基、3-カルバモイルブチル基、2-グアニジノエチル基、3-グアニジノブチル基、ピロールメチル基、4-イミダゾールメチル基、ピラゾールメチル基、又は3-インドールメチル基を表し、より好ましくは4-アミノブチル基、カルバモイルメチル基、2-カルバモイルエチル基、3-グアニジノブチル基、4-イミダゾールメチル基又は3-インドールメチル基を表し、さらに好ましくは4-イミダゾールメチル基である。
【0020】
上記式(1)で表される化合物において、脂質ペプチド型化合物として特に好適な脂質ペプチドとしては、以下の脂質部とペプチド部(アミノ酸集合部)から形成される化合物である。なお、本明細書において、アミノ酸の略称としては、アラニン(Ala)、アスパラギン(Asn)、グルタミン(Gln)、グリシン(Gly)、ヒスチジン(His)、イソロシン(Ile)、ロイシン(Leu)、リジン(Lys)、トリプトファン(Trp)、バリン(Val)を表す。:ラウロイル-Gly-His、ラウロイル-Gly-Gln、ラウロイル-Gly-Asn、ラウロイル-Gly-Trp、ラウロイル-Gly-Lys、ラウロイル-Ala-His、ラウロイル-Ala-Gln、ラウロイル-Ala-Asn、ラウロイル-Ala-Trp、ラウロイル-Ala-Lys;ミリストイル-Gly-His、ミリストイル-Gly-Gln、ミリストイル-Gly-Asn、ミリストイル-Gly-Trp、ミリストイル-Gly-Lys、ミリストイル-Ala-His、ミリストイル-Ala-Gln、ミリストイル-Ala-Asn、ミリストイル-Ala-Trp、ミリストイル-Ala-Lys;パルミトイル-Gly-His、パルミトイル-Gly-Gln、パルミトイル-Gly-Asn、パルミトイル-Gly-Trp、パルミトイル-Gly-Lys、パルミトイル-Ala-His、パルミトイル-Ala-Gln、パルミトイル-Ala-Asn、パルミトイル-Ala-Trp、パルミトイル-Ala-Lys;ステアロイル-Gly-His、ステアロイル-Gly-Gln、ステアロイル-Gly-Asn、ステアロイル-Gly-Trp、ステアロイル-Gly-Lys、ステアロイル-Ala-His、ステアロイル-Ala-Gln、ステアロイル-Ala-Asn、ステアロイル-Ala-Trp、ステアロイル-Ala-Lys。
【0021】
最も好ましいものとして、ラウロイル-Gly-His、ラウロイル-Ala-His-ミリストイル-Gly-His、ミリストイル-Ala-His;パルミトイル-Gly-His、パルミトイル-Ala-His;ステアロイル-Gly-His、ステアロイル-Ala-Hisが挙げられる。
【0022】
【0023】
上記式(2)において、R4は炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、好ましい具体例としては、前出のR1で定義したものと同じ基が挙げられる。
上記式(2)において、R5乃至R7は、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基、又は-(CH2)n-X基を表し、且つR5乃至R7のうち少なくとも一つ以上が-(CH2)n-X基を表す。nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、-CONH2基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環式基若しくは6員環式基、又は5員環と6員環から構成される縮合複素環式基を表す。ここでR5乃至R7の好ましい具体例としては、前出のR2及びR3で定義したものと同じ基が挙げられる。
【0024】
上記式(2)で表される化合物において、好適な脂質ペプチドとしては、以下の脂質部とペプチド部(アミノ酸集合部)から形成される化合物である。例えば、ミリストイル-Gly-Gly-His、ミリストイル-Gly-Gly-Gln、ミリストイル-Gly-Gly-Asn、ミリストイル-Gly-Gly-Trp,ミリストイル-Gly-Gly-Lys、ミリストイル-Gly-Ala-His、ミリストイル-Gly-Ala-Gln、ミリストイル-Gly-Ala-Asn、ミリストイル-Gly-Ala-Trp,ミリストイル-Gly-Ala-Lys、ミリストイル-Ala-Gly-His、ミリストイル-Ala-Gly-Gln、ミリストイル-Ala-Gly-Asn、ミリストイル-Ala-Gly-Trp,ミリストイル-Ala-Gly-Lys、ミリストイル-Gly-His-Gly、ミリストイル-His-Gly-Gly、パルミトイル-Gly-Gly-His、パルミトイル-Gly-Gly-Gln、パルミトイル-Gly-Gly-Asn、パルミトイル-Gly-Gly-Trp,パルミトイル-Gly-Gly-Lys、パルミトイル-Gly-Ala-His、パルミトイル-Gly-Ala-Gln、パルミトイル-Gly-Ala-Asn、パルミトイル-Gly-Ala-Trp、パルミトイル-Gly-Ala-Lys、パルミトイル-Ala-Gly-His、パルミトイル-Ala-Gly-Gln、パルミトイル-Ala-Gly-Asn、パルミトイル-Ala-Gly-Trp,パルミトイル-Ala-Gly-Lys、パルミトイル-Gly-His-Gly、パルミトイル-His-Gly-Gly。
【0025】
これらのうち、最も好ましいものとして、ラウロイル-Gly-Gly-His、ミリストイル-Gly-Gly-His、パルミトイル-Gly-Gly-His、パルミトイル-Gly-His-Gly、パルミトイル-His-Gly-Gly、ステアロイル-Gly-Gly-Hisが挙げられる。
【0026】
【0027】
上記式(3)において、R8は炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、好ましい具体例としては、前出のR1で定義したものと同じ基が挙げられる。
上記式(3)において、R9乃至R12は、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基、又は-(CH2)n-X基を表し、且つR9乃至R12のうち少なくとも一つ以上が-(CH2)n-X基を表す。nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、-CONH2基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環式基若しくは6員環式基、又は5員環と6員環から構成される縮合複素環式基を表す。ここでR9乃至R12の好ましい具体例としては、前出のR2及びR3で定義したものと同じ基が挙げられる。
【0028】
上記式(3)で表される化合物において、好適な脂質ペプチド型化合物としては、ラウロイル-Gly-Gly-Gly-His、ミリストイル-Gly-Gly-Gly-His、パルミトイル-Gly-Gly-Gly-His、パルミトイル-Gly-Gly-His-Gly、パルミトイル-Gly-His-Gly-Gly、パルミトイル-His-Gly-Gly-Gly、ステアロイル-Gly-Gly-Gly-His等が挙げられる。
【0029】
本発明において、脂質ペプチド型化合物の含有量は、コーティング用組成物の総質量に対して、例えば0.01乃至30質量%、好ましくは、0.02乃至10質量%、より好ましくは0.03乃至5質量%である。
なお、本発明において、脂質ペプチド型化合物は、上記式(1)乃至式(3)で表される化合物(脂質ペプチド)又はその薬学的な使用可能な塩のうちの少なくとも1種を用いることがより好ましく、これら化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0030】
本発明の組成物は、少なくとも1種の上記脂質ペプチド型化合物の他に、水、アルコール、多価アルコール又はそれらの混合溶液を含むことができる。
【0031】
上記水としては、浄水、精製水、硬水、軟水、天然水、海洋深層水、電解アルカリイオン水、電解酸性イオン水、イオン水、及びクラスター水などが挙げられる。
【0032】
上記アルコールとは、1価のアルコールであり、例えば、水に任意の割合で溶解する炭素原子数1乃至6のアルコール、具体的にはメタノール、エタノール、2-プロパノール及びi-ブタノール等、並びに高級アルコール、具体的には、オレイルアルコール及びフェノキシアルコールなどが挙げられる。
【0033】
上記多価アルコールとは、2価以上のアルコールであり、例えば、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、グリセリン、イソペンチルジオール、エチルヘキサンジオール、エリスルロース、オゾン化グリセリン、カプリリルグリコール、グリコール、(C15-18)グリコール、(C20-30)グリコール、ジエチレングリコール、ジグリセリン、ジチアオクタンジオール、DPG、チオグリセリン、1,10-デカンジオール、デシレングリコール、トリエチレングリコール、チリメチルギドロキシメチルシクロヘキサノール、フィタントリオール、フェノキシプロパンジオール、1,2-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、1,2-ヘキサンジオール、ヘキシレングリコール、ペンチレングリコール、メチルプロパンジオール、メンタンジオール、ラウリルグリコール及びポリプロピレングリコールが挙げられる。
【0034】
本発明において、多価アルコールを含む場合、その含有量は、コーティング用組成物の総質量に対して、例えば1質量%乃至60質量%、好ましくは、1質量%乃至30質量%
とすることができる。
なお、本発明において、多価アルコールを含む場合、多価アルコールは1種を単独で、又は二種以上を組み合わせて用いられ得る。
【0035】
[その他添加剤]
本発明のコーティング用組成物は、必要に応じて一般に化粧品用添加剤や、医薬部外品用添加剤及び医薬用添加剤として使用可能な添加剤などを含むことができる。
化粧品、医薬部外品又は医薬等の皮膚外用剤に配合される生理活性物質及び機能性物質等の添加成分としては、例えば顔料、油性基剤、保湿剤、感触向上剤、上記以外の界面活性剤、高分子、増粘・ゲル化剤、溶剤、酸化防止剤、還元剤、酸化剤、防腐剤、抗菌剤、殺菌剤、キレート剤、pH調整剤、酸、アルカリ、無機塩、紫外線吸収剤、美白剤、ビタミン類及びその誘導体類、育毛用薬剤、血行促進剤、刺激剤、ホルモン類、抗しわ剤、抗老化剤、ひきしめ剤、冷感剤、温感剤、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤、植物・動物・微生物エキス、鎮痒剤、角質剥離・溶解剤、制汗剤、清涼剤、収れん剤、酵素、核酸、香料、色素、着色剤、染料、消炎剤、抗炎症剤、抗喘息、抗慢性閉塞性肺疾患、抗アレルギー、免疫調整剤、抗感染症剤及び抗真菌剤等が挙げられる。
これらその他添加剤の含有量は、その種類によって種々変化し得るが、コーティング用組成物の総質量に対して、例えば0.001質量%乃至20質量%、あるいは0.01質量%乃至10質量%程度とすることができる。
【0036】
界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤等が好ましいものとして挙げられる。界面活性剤として好ましいものを例示すると、陰イオン性界面活性剤としては、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム等の脂肪酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル塩;ラウレス硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸トリエタノールアミン等のポリオキシエチレンアルキル硫酸塩;ココイルメチルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンカリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウム、ミリストイルメチルタウリンナトリウム、ラウロイルメチルアラニンナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、ラウロイルサルコシントリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸メチルアラニンナトリウム等のアシルN-メチルアミノ酸塩;ココイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン、ココイルアラニントリエタノールアミン等のアシルアミノ酸塩;ラウレス酢酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム等のコハク酸エステル塩;脂肪酸アルカノールアミドエーテルカルボン酸塩;アシル乳酸塩;ポリオキシエチレン脂肪アミン硫酸塩;脂肪酸アルカノールアミド硫酸塩;硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等の脂肪酸グリセリド硫酸塩;アルキルベンゼンポリオキシエチレン硫酸塩;α-オレフィンスルホン酸ナトリウム等のオレフィンスルホン酸塩;スルホコハク酸ラウリル2ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム等のアルキルスルホコハク酸塩;スルホコハク酸ラウレス2ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等のアルキルエーテルスルホコハク酸塩;テトラデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、テトラデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;アルキルナフタレンスルホン酸塩;アルカンスルホン酸塩;α-スルホ脂肪酸メチルエステル塩;アシルイセチオン酸塩;アルキルグリシジルエーテルスルホン酸塩;アルキルスルホ酢酸塩;ラウレスリン酸ナトリウム、ジラウレスリン酸ナトリウム、トリラウレスリン酸ナトリウム、モノオレスリン酸ナトリウム等のアルキルエーテルリン酸エステル塩;ラウリルリン酸カリウム等のアルキルリン酸エステル塩;カゼインナトリウム;アルキルアリールエーテルリン酸塩;
脂肪酸アミドエーテルリン酸塩;ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸等のリン脂質類;カルボン酸変性シリコーン、リン酸変性シリコーン、硫酸変性シリコーン等のシリコーン系陰イオン性界面活性剤等;非イオン性界面活性剤としては、ラウレス(ポリオキシエチレンラウリルエーテル)類、セテス(ポリオキシエチレンセチルエーテル)類、ステアレス(ポリオキシエチレンステアリルエーテル)類、ベヘネス(ポリオキシエチレンベヘニルエーテル)類、イソステアレス(ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル)類、オクチルドデセス(ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル)類等の種々のポリオキシエチレン付加数のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油モノイソステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油トリイソステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油マレイン酸等のヒマシ油及び硬化ヒマシ油誘導体;ポリオキシエチレンフィトステロール;ポリオキシエチレンコレステロール;ポリオキシエチレンコレスタノール;ポリオキシエチレンラノリン;ポリオキシエチレン還元ラノリン;ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン2-デシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンモノブチルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン水添ラノリン、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレングリセリンエーテル等のポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレングリコール;PPG-9ジグリセリル等の(ポリ)グリセリンポリオキシプロピレングリコール;ステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、パルミチン酸グリセリル、ミリスチン酸グリセリル、オレイン酸グリセリル、ヤシ油脂肪酸グリセリル、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、α,α’-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等のグリセリン脂肪酸部分エステル類;ステアリン酸ポリグリセリル-2、同3、同4、同5、同6、同8、同10、ジステアリン酸ポリグリセリル-6、同10、トリステアリン酸ポリグリセリル-2、デカステアリン酸ポリグリセリル-10、イソステアリン酸ポリグリセリル-2、同3、同4、同5、同6、同8、同10、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2(ジイソステアリン酸ジグリセリル)、同3、同10、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2、デカイソステアリン酸ポリグリセリル-10、オレイン酸ポリグリセリル-2、同3、同4、同5、同6、同8、同10、ジオレイン酸ポリグリセリル-6、トリオレイン酸ポリグリセリル-2、デカオレイン酸ポリグリセリル-10等のポリグリセリン脂肪酸エステル;モノステアリン酸エチレングリコール等のエチレングリコールモノ脂肪酸エステル;モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコールモノ脂肪酸エステル;ペンタエリスリトール部分脂肪酸エステル;ソルビトール部分脂肪酸エステル;マルチトール部分脂肪酸エステル;マルチトールエーテル;ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル;ショ糖脂肪酸エステル、メチルグルコシド脂肪酸エステル、ウンデシレン酸トレハロース等の糖誘導体部分エステル;カプリリルグルコシド等のアルキルグルコシド;アルキルポリグリコシド;ラノリンアルコール;還元ラノリン;ポリオキシエチレンジステアレート、ポリチレングリコールジイソステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンジオレエート等のポリオキシエチレン脂肪酸モノ及びジエステル;ポリオキシエチレン・プロピレングリコール脂肪酸エステル;ポリオキシエチレングリセリンモノステアレート、ポリオキシエチレングリセリンモノイソステアレート、ポリオキシエチレングリセリントリイソステアレート等のポリオキシエチレンモノオレエート等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソ
ルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタンテトラオレエート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビトールモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビトールペンタオレエート、ポリオキシエチレンソルビトールモノステアレート等のポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンメチルグルコシド脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンアルキルエーテル脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビトールミツロウ等のポリオキシエチレン動植物油脂類;イソステアリルグリセリルエーテル、キミルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等のアルキルグリセリルエーテル類;多価アルコールアルキルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルアミン;テトラポリオキシエチレン・テトラポリオキシプロピレン-エチレンジアミン縮合物類;サポニン、ソホロリピッド等の天然系界面活性剤;ポリオキシエチレン脂肪酸アミド;ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(コカミドMEA)、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(コカミドDEA)、ラウリン酸モノエタノールアミド(ラウラミドMEA)、ラウリン酸ジエタノールアミド(ラウラミドDEA)、ラウリン酸モノイソプロパノールアミド(ラウラミドMIPA)、パルミチン酸モノエタノールアミド(パルタミドMEA)、パルミチン酸ジエタノールアミド(パルタミドDEA)、ヤシ油脂肪酸メチルエタノールアミド(コカミドメチルMEA)等の脂肪酸アルカノールアミド類;ラウラミンオキシド、コカミンオキシド、ステアラミンオキシド、ベヘナミンオキシド等のアルキルジメチルアミンオキシド;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;ポリオキシエチレンアルキルメルカプタン;ジメチコンコポリオール等のポリエーテル変性シリコーン、ポリシロキサン・オキシアルキレン共重合体、ポリグリセリン変性シリコーン、糖変性シリコーン等のシリコーン系非イオン性界面活性剤等;陽イオン性界面活性剤としては、ベヘントリモニウムクロリド、ステアルトリモニウムクロリド、セトリモニウムクロリド、ラウリルトリモニウムクロリド等のアルキルトリメチルアンモニウムクロリド;ステアリルトリモニウムブロミド等のアルキルトリメチルアンモニウムブロミド;ジステアリルジモニウムクロリド、ジココジモニウムクロリド等のジアルキルジメチルアンモニウムクロリド;ステアラミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン等の脂肪酸アミドアミン及びその塩;ステアロキシプロピルジメチルアミン等のアルキルエーテルアミン及びその塩又は四級塩;エチル硫酸長鎖分岐脂肪酸(12~31)アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム等の脂肪酸アミド型四級アンモニウム塩;ポリオキシエチレンアルキルアミン及びその塩又は四級塩;アルキルアミン塩;脂肪酸アミドグアニジウム塩;アルキルエーテルアミンモニウム塩;アルキルトリアルキレングリコールアンモニウム塩;ベンザルコニウム塩;ベンゼトニウム塩;塩化セチルピリジニウム等のピリジニウム塩;イミダゾリニウム塩;アルキルイソキノリニウム塩;ジアルキルモリホニウム塩;ポリアミン脂肪酸誘導体;アミノプロピルジメチコン及びアモジメチコン等のアミノ変性シリコーン、カチオン変性シリコーン、カチオン変性及びポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性及びポリエーテル変性シリコーン等のシリコーン系陽イオン性界面活性剤等;両性界面活性剤としては、ラウリルベタイン(ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン)等のN-アルキル-N,N-ジメチルアミノ酸ベタイン;コカミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン等の脂肪酸アミドアルキル-N,N-ジメチルアミノ酸ベタイン;ココアンホ酢酸ナトリウム、ラウロアンホ酢酸ナトリウム等のイミダゾリン型ベタイン;アルキルジメチルタウリン等のアルキルスルホベタイン;アルキルジメチルアミノエタノール硫酸エステル等の硫酸型ベタイン;アルキルジメチルアミノエタノールリン酸エステル等のリン酸型ベタイン;ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、スフィンゴミエリン等のスフィンゴリン脂質、リゾレシチン、水素添加大豆リン脂質、部分水素添加大豆リン脂質、水素添加卵黄リン脂質、部分水素添加卵黄リン脂質、水酸化レシチン等のリン脂質類;シリコーン系両性界面活性剤等;高分子界面活性剤としては、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、デンプン誘導体、トラガントガム、アクリル
酸・メタアクリル酸アルキル共重合体;シリコーン系各種界面活性剤が好ましいものとして挙げられる。
【0037】
[コーティング用組成物の製造方法]
本発明のコーティング用組成物は、例えば、少なくとも1種の脂質ペプチド型化合物、水及び所望によりその他の成分を加熱しながら混合、撹拌した後、静置放冷することによって製造され得る。
【0038】
[被膜及びその製造方法]
本発明はまた上記コーティング用組成物を含む被膜に関する。
本発明はまた上記のコーティング用組成物を使用することを特徴とする被膜の製造方法に関する。被膜を製造する方法としては、被膜を製造することができれば特に制限されず、上記の被膜形成組成物を被塗布物に塗布または噴霧した後、自然乾燥や加熱乾燥などにより乾燥させる方法などが挙げられるが、あらかじめ塗布された化粧料等が加重によって影響を受けない点を考えれば、噴霧した後に、自然乾燥させる方法が好ましい。
本発明のコーティング用組成物は、特に化粧料の保護に対して有効である。本願発明のコーティング用組成物が保護する化粧料としては、例えば、リキッドファンデーション、パウダーファンデーション、及びクリームファンデーションが挙げられ、特にクリームファンデーションに対して有効である。
【0039】
本発明のコーティング用組成物から形成された被膜は、摩擦によって適度に崩壊するとともに、時間の経過に従って再生する。被膜が適度に崩壊するとは、本発明のコーティング用組成物から形成された被膜が化粧料と非常に適した結び付きをしており、したがって、摩擦によって、化粧料の上に乗った被膜が取り除かれるが、それは、ある程度は化粧料と結び付いていることで容易に取り除かれるわけでもなく、かつ化粧料とあまり強固に結び付かないために化粧料が一緒に引きはがされにくいことを示す。さらに、時間の経過に従って再生するとは、崩れることによって流動性を発現した後に、時間の経過に従って、再度、被膜を形成することを示す。したがって、この点で、すなわち皮膚に塗布された化粧料を摩擦から保護するにあたり、本発明のコーティング用組成物は、従来のコーティング剤と比較して非常に優れているため、化粧料を摩擦から保護することができ、マスクや衣類への化粧料の付着も抑制するという効果を奏する。
【実施例0040】
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0041】
合成例で用いた試薬は、以下に示すように市販されている試薬を使用し、合成した各化合物の分析には、以下に示す機器を使用した。
<試薬>
メタノール:関東化学株式会社(特級)
トルエン:関東化学株式会社(1級)
グリシンメチルエステル塩酸塩:東京化成工業株式会社
L-ヒスチジン:東京化成工業株式会社、協和発酵バイオ株式会社
ナトリウムメトキサイド 28%メタノール溶液:和光純薬工業株式会社(28% ナトリウムメトキシドメタノール溶液)
炭酸ナトリウム:純正化学株式会社(1級)
塩酸:関東化学株式会社(1級)
アセトニトリル:関東化学株式会社(特級)
塩化チオニル:東京化成工業株式会社
アセトン:関東化学株式会社(1級)
テトラヒドロフラン:関東化学株式会社(1級)
酢酸エチル:関東化学株式会社(1級)
【0042】
[合成例1:脂質ペプチド型化合物(N-パルミトイル-Gly-His)の合成]
500mLの4つ口フラスコに、L-ヒスチジン14.2g(91.6mmol)、N-パルミトイル-Gly-メチル30.0g(91.6mmol)、トルエン300gを投入し、塩基であるナトリウムメトキサイド 28%メタノール溶液35.3g(183.2mmol)を加え、油浴で60℃に加熱し1時間撹拌を続けた。その後、油浴を外し、25℃まで放冷し、この溶液をアセトン600gで再沈殿させ、ろ取した。ここで得られた固体を、水600gとメタノール750gの混合溶液に溶解し、ここに6規定塩酸30.5mL(183.2mmol)を加えて中和し固体を析出させ、ろ過した。次に、得られた固体をテトラヒドロフラン120gと水30gの混合溶液に60℃で溶解させ、酢酸エチル150gを加え、60℃から30℃まで冷却した。その後、析出した固体をろ過した。さらに得られた固体を、テトラヒドロフラン120gとアセトニトリル60g溶剤中に溶解し、60℃に加熱し、1時間撹拌した後に冷却し、ろ過した。ここで得られた固体を水120gで洗浄し、ろ過後に減圧乾燥を行いN-パルミトイル-Gly-Hisフリー体(以下、単にPal-GHとも称する)の白色の結晶、26.9g(収率65%)を得た。
【0043】
[調製例1.プレミックスの調製]
Pal-GH、添加剤としてステアリン酸、1,2-ヘキサンジオール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル及び水を、下記の表1に示す割合にて300mLビーカー(HARIO株式会社製)に加え、液温80℃で、撹拌はアズワン(株)製のLABORATORY HIGH MIXERを用いて200rpmで加熱撹拌を行い、均一溶液とした。撹拌しながら、冷却を行い、液温が60℃になったところで静置放冷を行い、ES-01プレミックスを調製した。
【0044】
【0045】
[調製例2.ES-01ミスト溶液の作製]
200mLビーカー(HARIO株式会社製)に純水を199.0g入れ、80℃まで加熱した。同時に、1.0gのES-01プレミックスを80℃で、なお撹拌はアズワン(株)製のLABORATORY HIGH MIXERを用いて200rpmで加熱撹拌を行い、得られた均一液体を1.0g測り、加熱した純水に添加した。その混合溶液を80℃、200rpmで30分間加熱撹拌を行い、均一な溶液を得た。室温まで冷却後、該溶液をミストボトルに移し、0.5%のES-01ミスト溶液を得た。また同じ手順で、198.0g、190.0gの純水を80℃まで加熱し、80℃で溶かしたES-01プレミックスをそれぞれに2.0g、10.0gを添加し、80℃、200rpmで30分間加熱撹拌を行い、均一な溶液を得た。室温まで冷却後、該溶液をミストボトルに移し
、1.0%のES-01ミスト溶液及び5.0%のES-01ミスト溶液を得た。
【0046】
[調製例3.ファンデーション塗布サンプルの作製]
図1に示すように、4.0×7.5cm
2の大きさに裁断した、人工皮革サプラーレ(黒)(出光テクノファイン株式会社製)に、幅2.0cmのエリアで、リキッドファンデーション
*4を2滴程度滴下した。または、パウダーファンデーション
*5のパウダーを均一に全エリアに撒く程度に塗布し、黒色が見えない程度まで指で薄くかつ均一に伸ばした。塗布後のサンプルは室温で30分以上乾燥した。
*4:市販リキッドファンデーション(DECORTE-302)
*5:市販パウダーファンデーション(KOSE OC-410)
【0047】
[調製例4.人の皮脂模倣肌表面でのファンデーション塗布サンプルの作製]
スクワランオイル*6とトリエスター*7を、室温で、蓋つきのミストボトルに混合(wt%:wt%=3:7)して作製した、人の皮脂模倣液をミストボトルに入れ、上記、調製例3と同様に裁断した人工皮革サプラーレの幅2.0cmのエリアに皮脂模倣液ミストを約15-20cmの距離で2回スプレーし、指で均一にのばして、室温で15分以上乾燥した。
その後、調製例3と同様の手法で、人の皮脂模倣肌表面の皮質塗布エリア上に、リキッドファンデーション*4、パウダーファンデーション*5のパウダー、またはクリームファンデーション*8を塗布し、乾燥した。
*6:スクワラン 日光ケミカルズ(株)製
*7:トリエスター F-810 日光ケミカルズ(株)製
*8:市販クリームファンデーション (KOSE モイスチュア コンセントレート ファンデーション OC-405)
【0048】
[試験例1]
調製例3で作製した人工皮革サプラーレのファンデーション塗布エリアを中心に、約15-20cmの距離から0.5%ES-01ミストを5回均一にスプレーし、室温で10分以上乾燥した処方を実施例1とした。0.5%ES-01ミストとの比較として、市販のメークキープミスト#1*9及び、メークキープミスト#2*10を市販容器のまま、ファンデーション塗布サンプルのエリアを中心に、約15-20cmの距離からミストを5回均一にスプレーし、室温で10分以上乾燥した処方を、それぞれ、比較例1および比較例2とした。また、ミスト塗布しないサンプルを比較例3とした。
*9:メークキープミスト#1(KOSE メイク キープ ミスト EX 無色)
*10:メークキープミスト#2(KATE キープフィックスチェンジャー)
【0049】
[試験例2]
調製例4で作製した、人の皮脂模倣肌表面の処理を施した人工皮革サプラーレのファンデーション塗布エリアを中心に、約15-20cmの距離から0.5%ES-01ミストを5回均一にスプレーし、室温で10分以上乾燥した処方を実施例2とした。0.5%ES-01ミストとの比較として、市販のメークキープミスト#1及び、メークキープミスト#2を市販容器のまま、リキッドファンデーション及びパウダーファンデーション塗布サンプルのエリアを中心に、約15-20cmの距離からミストを5回均一にスプレーし、室温で10分以上乾燥した処方を、それぞれ、比較例4および比較例5とした。また、ミスト塗布しないサンプルを比較例6とした。
【0050】
[試験例3]
調製例4で作製した、人の皮脂模倣肌表面の処理を施した人工皮革サプラーレのクリームファンデーション塗布エリアを中心に、約15-20cmの距離から5.0%ES-01ミスト、1.0%ES-01ミスト、及び0.5%ES-01ミストを6回均一にスプ
レーし、室温で15分以上乾燥した処方をそれぞれ実施例3、実施例4、及び実施例5とした。ES-01ミストとの比較として、市販のメークキープミスト#1及び、メークキープミスト#2を市販容器のまま、ファンデーション塗布サンプルのエリアを中心に、約15-20cmの距離からミストを6回均一にスプレーし、室温で15分以上乾燥した処方を、それぞれ、比較例7および比較例8とした。また、ミスト塗布しないサンプルを比較例9とした。
【0051】
[マスク摩擦評価の方法]
摩擦試験機(Friction Tester KES-SE、KATO TECH CO., LTD.;力計ユニット:BAL)の運動台を改装して、マスク摩擦評価を行った(
図3)。
マスクの内層布を4.0×4.0cm
2に裁ち切り、輪ゴムで直径2.3cmの円柱型重しの底に固定した。底面のマスク内層布を平坦状になるように整えた。輪ゴム、マスク内層布、円柱型重しの重量は全部合わせて5.0gとなるように調整した(
図2)。その後、重しと摩擦試験機の本体と糸で繋ぎ、連結部位の高さを0.4cmに揃えるように調整した。サンプルは
図3に示すような位置で、摩擦試験機野ねじで固定し、重しをファンデーション塗布エリア外の部位から摩擦を行った。重しは1.0mm/秒の移動速度で、サンプル表面を片方向3回擦った(
図3)。
その後サンプルを回収し、ファンデーション塗布表面を写真ボックス(LED Portable Photo Studio, PULUZ)に固定位置に設置し、LED強度を5に設定した。デジタルカメラ(Tough BHWB44003, OLYMPUS Co.)で撮影した写真をImageJで色彩を抜き、
図4に示す箇所の階調変換を行った。ファンデーション塗布エリアの摩擦によるファンデーションの落ちを、崩れと定義し、摩擦によってファンデーションが未塗布エリアへの展延を、よれと定義した。
崩れ分析に対し、摩擦されたファンデーション塗布エリアにランダムに三点を選択し、測定エリア(x)とした。摩擦されてないファンデーション塗布エリアを選択し、対象(control)とした。
また、よれ分析に対しては、摩擦方向(重しの移動方向)に沿って、ファンデーション塗布エリアと接する上側でのよれエリアに、ランダムに三点を選択し、測定エリア(x)とした(
図4)。未処理のサプラーレエリア(control)を対象とした。
測定エリアの階調相対変化率を下記計算式1で計算した。
【数1】
階調相対変化率の結果をベースに、ファンデーション塗布表面を評価した。基準として、崩れ評価における階調相対変化率≦10%の場合は〇、10%<階調相対変化率≦20%の場合は△、20%<階調相対変化率の場合は×と判定した。また、よれ評価における階調相対変化率≦50%の場合は〇、50%<階調相対変化率≦100%の場合は△、100%<階調相対変化率の場合は×と判定した。
実施例1並びに比較例1、比較例2及び比較例3における判定結果を表2及び表3に示し、外観写真を
図5に示し、階調相対変化率結果を
図6に示した。また、実施例2並びに比較例4、比較例5及び比較例6の評価結果を表4及び表5に示し、外観写真を
図7に示し、階調相対変化率結果を
図8に示した。なお、実施例3、実施例4、及び実施例5並びに比較例7、比較例8及び比較例9の外観写真は
図9に示し、階調相対変化率結果を
図10に示した。
表2乃至表5及び
図5乃至
図10の結果より、本発明によるコーティング用組成物を噴霧することによって得られる被膜によって、マスク摩擦がもたらす化粧料のよれや崩れが、軽減されることが分かった。
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
[試験例4]
2.0×2.0cm
2に断裁した人工皮革サプラーレに、約15-20cmの距離から0.5%ES-01ミストを6回均一にスプレーし、室温で15分以上乾燥した処方を実施例6とした。左右上下に5回ずつ実施例6のサプラーレを強い力で引き延ばし、ショットキー電界放出形走査電子顕微鏡JSM-7800F(日本電子(株)製)を用いて作成した実施例6のサプラーレの表面観察を実施した。サンプルの固定はカーボンテープを用い、加速電圧は0.7kV、観察倍率4500倍又は10000倍の条件で観察したSEM画像を
図11に示した。実施例6のサプラーレは、左右上下に強い力で引き延ばした後も、引き延ばす前と比較して同様のファイバー構造を形成していることが確認でき、本発明のコーティング用組成物は肌に追随できる被膜を形成できることが確認できた。
【0057】
[試験例5]
2.0×2.0cm2に断裁した人工皮革サプラーレに、約15-20cmの距離から1.0%に調製したセルロースナノファイバーミストを6回均一にスプレーし、室温で15分以上乾燥した処方を比較例10とした。
【0058】
[自己修復性の評価の方法]
試験例4で作製した実施例6と比較例10のサンプルを、ナノインデンター(TI98
0トライボインデンター、BRUKER社製)を用いて、表面を200nmの深さまでスクラッチし、スクラッチ直後およびスクラッチ5分後のスクラッチされた部分の表面の膜厚から、スクラッチ部分の膜厚回復量を測定した結果を
図12に示した。実施例6のサンプルは、比較例10のサンプルと比較してスクラッチした膜厚が回復しており、本発明によるコーティング用組成物は自己修復性のある被膜を形成できることが確認できた。