(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056112
(43)【公開日】2023-04-19
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
B05C 5/00 20060101AFI20230412BHJP
B05C 11/00 20060101ALI20230412BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05C11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021165228
(22)【出願日】2021-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】酒井 慶太郎
【テーマコード(参考)】
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
4F041AB01
4F041BA01
4F041BA10
4F041BA13
4F041BA17
4F041BA36
4F042AB00
4F042BA08
4F042BA12
4F042CB20
(57)【要約】
【課題】ノズルの閉塞において熱影響を受けにくい液体吐出ヘッドを提供する。
【解決手段】
液体を吐出するノズルを有するノズル部材と、前記ノズルを開閉する弁体、アクチュエータ、および前記アクチュエータを保持し、前記アクチュエータの駆動により弾性変形して前記アクチュエータの駆動力を前記弁体に伝える弾性部材を有する駆動ユニットと、前記ノズル部材を保持するとともに、前記駆動ユニットを収容する収容部材と、を備える液体吐出ヘッドであって、前記収容部材に対する前記駆動ユニットの固定位置は、前記アクチュエータの前記ノズル部材と相反する側の端部における前記弾性部材による保持位置よりも、前記ノズル側にある。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するノズルを有するノズル部材と、
前記ノズルを開閉する弁体、アクチュエータ、および前記アクチュエータを保持し、前記アクチュエータの駆動により弾性変形して前記アクチュエータの駆動力を前記弁体に伝える弾性部材を有する駆動ユニットと、
前記ノズル部材を保持するとともに、前記駆動ユニットを収容する収容部材と、
を備える液体吐出ヘッドであって、
前記収容部材に対する前記駆動ユニットの固定位置は、前記アクチュエータの前記ノズル部材と相反する側の端部における前記弾性部材による保持位置よりも、前記ノズル側にあることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
液体を吐出するノズルを有するノズル部材と、
前記ノズルを開閉する弁体、アクチュエータ、および前記アクチュエータを保持し、前記アクチュエータの駆動により弾性変形して前記アクチュエータの駆動力を前記弁体に伝える弾性部材を有する駆動ユニットと、
前記ノズル部材を保持するとともに、前記駆動ユニットを収容する収容部材と、
を備える液体吐出ヘッドであって、
前記収容部材に対する前記駆動ユニットの固定位置は、前記アクチュエータの前記流体の吐出方向における中央の位置よりも前記ノズル側にあることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項3】
液体を吐出するノズルを有するノズル部材と、
前記ノズルを開閉する弁体、アクチュエータ、および前記アクチュエータを保持し、前記アクチュエータの駆動により弾性変形して前記アクチュエータの駆動力を前記弁体に伝える弾性部材を有する駆動ユニットと、
前記ノズル部材を保持するとともに、前記駆動ユニットを収容する収容部材と、
を備える液体吐出ヘッドであって、
前記収容部材に対する前記駆動ユニットの固定位置は、前記収容部材の前記液体の吐出方向における中央の位置よりも前記ノズル側にあることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記収容部材は、前記弁体、前記アクチュエータおよび前記弾性部材よりも熱膨張係数の低い材料からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記液体吐出ヘッドは、前記弁体と前記アクチュエータとの間に移動機構を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッドと、
前記ノズルと対象物とを相対的に動かす移動手段と、
を備えることを特徴とする液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ノズルに連通するキャビティに吐出液体を加圧供給すると共に、ピンでノズルを閉塞可能とし、このピンをアクチュエータでノズルに対して離接可能とし、このアクチュエータを制御装置で制御する構成とすることで、ピンがノズルから離間している間だけ、加圧供給されている吐出液体がノズルから液滴として吐出される液滴吐出ヘッドを開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
熱により収縮する特性を有するアクチュエータにおいては、アクチュエータ自身が駆動時に発する熱によって収縮することもあり、その場合、ノズルの閉塞が不完全になる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、液体を吐出するノズルを有するノズル部材と、前記ノズルを開閉する弁体、アクチュエータ、および前記アクチュエータを保持し、前記アクチュエータの駆動により弾性変形して前記アクチュエータの駆動力を前記弁体に伝える弾性部材を有する駆動ユニットと、前記ノズル部材を保持するとともに、前記駆動ユニットを収容する収容部材と、
を備える液体吐出ヘッドであって、前記収容部材に対する前記駆動ユニットの固定位置は、前記アクチュエータの前記ノズル部材と相反する側の端部における前記弾性部材による保持位置よりも、前記ノズル側にあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、ノズルの閉塞において熱影響を受けにくい液体吐出ヘッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の実施形態に係る液体吐出ヘッドの全体斜視図。
【
図2】本発明の実施形態に係る液体吐出ヘッドの全体断面図。
【
図3】本発明の実施形態に係る駆動ユニット単体の説明図。
【
図6】本発明の実施形態に係る駆動ユニットの変形例を示す説明図。
【
図7】本発明の実施形態に係る液体吐出装置の全体斜視図。
【
図8】
図7の液体吐出装置のキャリッジの全体斜視図。
【
図9】本発明の実施形態に係る液体吐出装置の別の例を示す概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の実施形態を、図面を用いて以下に説明する。
【0008】
図1は、本発明の実施形態に係る液体吐出ヘッドの全体斜視図である。
【0009】
液体吐出ヘッド(以下、ヘッドと称する)300は、ハウジング310、コネクタ350、液体供給ポート311および液体回収ポート313を主に備える。ハウジング310は金属材料または樹脂材料からなる。コネクタ350は、液体を吐出するための駆動信号等、電気信号を伝送するための端子であり、本実施形態ではハウジング310の上部にコネクタ350を設けている。液体供給ポート311と液体回収ポート313は、ハウジング310の左右に位置し、液体供給ポート311は液体をヘッド内に供給する。また、液体回収ポート313は液体をヘッドから排出する。
【0010】
図2は、本発明の実施形態に係る液体吐出ヘッドの全体断面図(
図1のA-A線矢視断面図)である。
【0011】
ハウジング310は、その上部に電気信号を伝送するためのコネクタ350を備えており、下部には液体を吐出するノズル302を備えたノズル板301を保持している。また、ハウジング310は、液体供給ポート311からの液体を、ノズル板301上を経て液体回収ポート313側へ送る流路312を備えている。ここで、ノズル板301は「ノズル部材」の一例である。
【0012】
さらに、ハウジング310は、液体供給ポート311と液体回収ポート313との間に、流路312内の液体をノズル302から吐出するための駆動ユニット330を収容している。駆動ユニット330についての詳細は後述するが、概略として駆動ユニット330は、ニードル弁331、圧電素子332および板バネ枠体333を備える。板バネ枠体333は圧電素子332を保持するとともに、圧電素子332の駆動により弾性変形して圧電素子332の駆動力をニードル弁331に伝える。ニードル弁331は、板バネ枠体333の弾性変形を受けてノズル302を開閉する。ここで、駆動ユニット330を構成するニードル弁331は「弁体」の一例であり、圧電素子332は「アクチュエータ」の一例であり、板バネ枠体333は「弾性部材」の一例である。また、ハウジング310は「収容部材」の一例である。
【0013】
駆動ユニット330は、ノズル302の数と一致しており、本実施形態では1列に並べた8個のノズル302に対応する8個の駆動ユニット330を備えた構成を例示している。なお、ノズル302および駆動ユニット330の数および配列は、上記に限るものではない。例えばノズル302および駆動ユニット330の数は、9個以上でもよいし、または複数ではなく1個であってもよい。また、ノズル302および駆動ユニット330の配列は、1列ではなく複数列で配置してもよい。
【0014】
上記の構成において、液体の流れとしては、加圧した状態の液体を液体供給ポート311が外部から取り込み、液体を矢印a1方向へ送り、液体を流路312に供給する。流路312は、液体供給ポート311からの液体を矢印a2方向へ送る。そして、液体回収ポート313は、流路312に沿って配置したノズル302から吐出しなかった液体を矢印a3方向へ排出する。
【0015】
液体の吐出動作としては、圧電素子332を作動し、ニードル弁331が図において上方向へ変位すると、ニードル弁331によって閉じていたノズル302が開いた状態になり、流路312を流れる液体がノズル302から吐出する。また、圧電素子332を作動し、ニードル弁331が下方向へ変位すると、ニードル弁331の先端部がノズル302に当接してノズル302が閉じた状態になり、ノズル302から液体が吐出しなくなる。なお、ノズル302から液体を吐出している期間は、ノズル302からの吐出効率を下げないようにするために、液体回収ポート313からの液体の排出は一時的に行わないようにしてもよい。次に、駆動ユニット330の構成を詳細に説明する。
【0016】
図3は、本発明の実施形態に係る駆動ユニット単体の説明図である。
【0017】
駆動ユニット330は、ニードル弁331、圧電素子332および板バネ枠体333を備える。ノズル板301はハウジング310に接合している。また、流路312はハウジング310に設けた複数の駆動ユニット330に共通の流路である。
【0018】
ニードル弁331は、
図4に示すように、その先端がノズル板301に設けたノズル302に対向しており、ニードル弁331の先端がノズル板301に当接することでノズル302を閉塞する。なお、ニードル弁331は、
図3に示すように、先端に弾性体331aを設け、ノズル302をより確実に閉塞するようにしてもよい。
【0019】
ハウジング310は、軸受321を介してニードル弁331を支持しており、さらに、軸受321とニードル弁331との間にはOリングなどのシール部材315を装着している。ハウジング310の内部に形成した空間322には、板バネ枠体333を配置している。板バネ枠体333は、ニードル弁保持部333a、枠部333b、伸縮部333c、空間333dおよび圧電素子保持部333e、333fを備える。ニードル弁保持部333aはニードル弁331の後端部を保持する。枠部333bは、例えば金属板からなり、中央部に空間333dを備えている。伸縮部333cは、枠部333bの一部に一体で形成した板バネであり、この部位が伸縮可能になっている。
【0020】
板バネ枠体333の空間333dは、圧電素子332の設置スペースを形成する。圧電素子保持部333eは、枠部333bのニードル弁保持部333a後側から空間333dに向かって突出しており、圧電素子保持部333fは、枠部333bの圧電素子保持部333eと対面する部位において空間333dに向かって突出している。
【0021】
上記構成の板バネ枠体333に圧電素子332を取り付ける場合は、伸縮部333cの弾性変形を利用して板バネ枠体333を若干伸ばし、空間333dを広げた状態にする。広げた状態の空間333dに圧電素子332を挿入したならば、板バネ枠体333を伸ばした状態から解放する。これにより、板バネ枠体333は、伸縮部333cが元に戻ろうとする復元力によって、圧電素子332の長手方向両端を、圧電素子保持部333eと圧電素子保持部333fとで挟み込むようにして保持する。従って空間333dに圧電素子332を挿入したデフォルト状態においては、伸縮部333cが少し伸びた状態になる。
【0022】
なお、本実施形態において、弾性部材としての板バネ枠体333は、ニードル弁保持部333a、枠部333b、伸縮部333cおよび圧電素子保持部333e、333fを一体の部材で構成しているが、このうち一部の部位を別部材で構成してもよい。例えば、伸縮部333cをバネなどで構成し、バネを枠部333bに取り付けてもよい。
【0023】
ハウジング310に対する駆動ユニット330の取り付けは、例えばハウジング310に設けたネジ穴310aと板バネ枠体333に設けたネジ穴333gとをネジ310bで締結することにより行う。なお、板バネ枠体333に設けたネジ穴333gは、板バネ枠体333を貫通しない深さで形成している。ネジ穴333gは貫通穴にしてもよいが、その場合は、圧電素子332に達しない長さのネジ310bを使用する。また、締結箇所は1箇所に限るものではない。例えば、図において右側にも同様のネジ穴を設け、ハウジング310と駆動ユニット330とを左右から締結するようにしてもよい。そして、これらネジ穴310a、333gおよびネジ310bによる締結部は、固定点314を成し、固定点314は線B上に設けている(固定点314についての詳細は後述する)。
【0024】
上記の構成により、ニードル弁331および圧電素子332は、板バネ枠体333を介して同軸上、すなわち液体の吐出方向に直列に並んだ配置となる。そして、圧電素子332に電圧を印加すると、圧電素子332が伸張する。圧電素子332が伸張すると、板バネ枠体333の伸縮部333cが弾性変形して当該伸張を吸収し、圧電素子332の先端部に設置したニードル弁保持部333aをノズル302側(図において下側)へ押す。このように、板バネ枠体333が圧電素子332の駆動により弾性変形して、圧電素子332の駆動力をニードル弁331に伝える。これにより、ニードル弁331の先端部(本実施形態では弾性体331a)がノズル302に当接してノズル302を閉塞し、流路312に加圧供給した液体のノズル302からの吐出を止める。
【0025】
また、圧電素子332への電圧印加を停止すると、圧電素子332は収縮する。圧電素子332が収縮すると、伸縮部333cが弾性変形して当該収縮を吸収し、圧電素子332の先端部に設置したニードル弁保持部333aを後端側(図において上側)へ引っ張る。これにより、ニードル弁331の先端部(本実施形態では弾性体331a)がノズル302から離間してノズル302を開放し、流路312に加圧供給した液体をノズル302から吐出する。次に、固定点314について説明する。
【0026】
図5は、固定位置を説明する図である。
図5(a)は比較例、
図5(b)は本発明の実施形態に係るヘッド構成を示しており、両者共にニードル弁331の周囲に存在する軸受、シール部材、流路等は便宜上、省略した概略図として示している。
【0027】
比較例は、ハウジング310と駆動ユニット330との締結位置、つまりハウジング310に対する駆動ユニット330の固定位置としての固定点314を、駆動ユニット330のノズル板301と相反する側の端部寄り(線C上)に設けており、固定点314からニードル弁331先端までの長さ(自由長)はL1である。
【0028】
ところで、圧電素子332には、その周囲の環境温度の上昇や、圧電素子332自身が駆動する際に発する熱によって圧電素子332の全長(長手方向の長さ)が収縮する特性を有するものがある。よって、圧電素子332が熱で収縮してしまうと、圧電素子332に電圧を印加しても圧電素子332の伸張量が足りず、ニードル弁331の先端がノズル302に届かなくなり、ノズル302を閉塞できなくなる。
【0029】
駆動ユニット330の熱による収縮量(ΔL)は、固定点314からニードル弁331先端までの自由長(L)に比例しており、自由長が長くなると収縮量も増大する傾向がある。そのため、比較例のように自由長が長い場合、駆動ユニット330の熱による収縮量(ΔL)も大きくなり、ノズル302を閉塞できない状態が発生しやすくなる。一方で高粘度の液体に対応可能なヘッドを得るためには、大きな変位量を発生できる駆動ユニット330が必要であり、このような駆動ユニット330を実現する上で長尺の圧電素子は有効である。
【0030】
そこで、本実施形態では
図5(b)に示すように、固定点314からニードル弁331先端までの自由長L2を短くして収縮の影響を抑えるようにしている。つまり、比較例よりも固定点314をノズル板301側(線B上)に設け、これにより収縮量(ΔL)を固定点314からニードル弁331先端までの収縮の影響に抑え、温度上昇に伴う収縮量の絶対値を減らす。
【0031】
具体的には、固定点314を、圧電素子332のノズル板301と相反する側の端部における板バネ枠体333による保持位置(例えば位置P)よりも、ノズル302側に配置する。固定点314からニードル弁331先端までの自由長L2は、可能な限り短い方が収縮の影響を抑えることができるため、より好ましくは、固定点314を圧電素子332の長手方向(液体の吐出方向)長さL3の半分(L3/2)よりもノズル302側に設ける。または、固定点314を、ハウジング310の長手方向(液体の吐出方向)長さL4の半分(L4/2)よりもノズル302側に設ける。ここで、圧電素子332の長手方向(液体の吐出方向)長さL3は、圧電素子332に電圧を印加しないときの圧電素子332の長さである。
【0032】
上述のように、本実施形態は、液体を吐出するノズル302を有するノズル板301と、ノズル302を開閉するニードル弁331、圧電素子332、および圧電素子332を保持し、圧電素子332の駆動により弾性変形して圧電素子332の駆動力をニードル弁331に伝える板バネ枠体333を有する駆動ユニット330と、ノズル板301を保持するとともに、駆動ユニット330を収容するハウジング310と、を備えるヘッド300であって、ハウジング310に対する駆動ユニット330の固定点314は、圧電素子332のノズル板301と相反する側の端部における板バネ枠体333による保持位置(位置P)よりも、ノズル302側にある。
【0033】
また、上述のように、液体を吐出するノズル302を有するノズル板301と、ノズル302を開閉するニードル弁331、圧電素子332、および圧電素子332を保持し、圧電素子332の駆動により弾性変形して圧電素子332の駆動力をニードル弁331に伝える板バネ枠体333を有する駆動ユニット330と、ノズル板301を保持するとともに、駆動ユニット330を収容するハウジング310と、を備えるヘッド300であって、ハウジング310に対する駆動ユニット330の固定点314は、圧電素子332の流体の吐出方向における中央の位置よりもノズル302側にある。
【0034】
また、上述のように、液体を吐出するノズル302を有するノズル板301と、ノズル302を開閉するニードル弁331、圧電素子332、および圧電素子332を保持し、圧電素子332の駆動により弾性変形して圧電素子332の駆動力をニードル弁331に伝える板バネ枠体333を有する駆動ユニット330と、ノズル板301を保持するとともに、駆動ユニット330を収容するハウジング310と、を備えるヘッド300であって、ハウジング310に対する駆動ユニット330の固定点314は、ハウジング310の液体の吐出方向における中央の位置よりもノズル302側にある。
【0035】
これにより、熱による収縮の影響を、固定点314からニードル弁331先端までの自由長L2の間で発生した収縮に抑えることが可能になり、ノズル302の閉塞において熱影響を受けにくいヘッド300を提供できる。
【0036】
また、収縮量(ΔL)は各部材の材料選定に依存する。例えば、材料コスト等の関係で、圧電素子332と板バネ枠体333には、温度上昇に伴い収縮する特性の材料を用い、ハウジング310とニードル弁331には、温度上昇に伴い熱膨張し伸張する特性の材料を用いる場合がある。また、その場合、圧電素子332および板バネ枠体333の収縮量が、ハウジング310およびニードル弁331の伸張量よりも大きい場合もある。このような場合、収縮量(ΔL)は、圧電素子332および板バネ枠体333の収縮量のみでなく、ハウジング310およびニードル弁331の伸張量が加わるので、収縮量(ΔL)はより増大してしまう。これに対しては、例えばハウジング310を、熱膨張係数の低い材料で形成することで、伸張量を低減する。
【0037】
上述のように、本実施形態において、ハウジング310は、ニードル弁331、圧電素子332および板バネ枠体333よりも熱膨張係数の低い材料からなる。これにより、ハウジング310の熱膨張による伸張が減り、全体の収縮量(ΔL)をより低減することができる。
【0038】
図6は、本発明の実施形態に係る駆動ユニットの変形例を示す概略図であり、
図6(a)は概略平面図、
図6(b)は概略側面図を示す。
【0039】
本変形例も上述の実施形態と同様、ハウジング510は、液体を吐出するノズル502を有するノズル板501を保持し、また、その内部には駆動ユニット530を収容している。上述の実施形態では、
図3に示したように板バネ枠体333(ニードル弁保持部333a)がニードル弁331を保持する構成としたが、本変形例はテコ機構部534がニードル弁531を保持する点が異なる。以下に変形例の構成を説明する。
【0040】
ハウジング510は、ノズル板501を保持し、ノズル板501の後側(図の右側)には、液体を通すための流路512を備えている。また、ハウジング510は、駆動ユニット530を収容するための空間522を備えている。駆動ユニット530は、ニードル弁531、圧電素子532、板バネ枠体533およびテコ機構部534を備える。ニードル弁531は、その先端がノズル板501に設けたノズル502に対向しており、ニードル弁531の先端がノズル板501に当接することでノズル502を閉塞する。ハウジング510とニードル弁531との間にはOリングなどのシール部材515を装着し、流路512を通る液体が圧電素子532側へ流入することを阻止する。
【0041】
駆動ユニット530の板バネ枠体533は、変形部533a、枠部533b、伸縮部533c、空間533d等を備える。変形部533aは、枠部533bの先端部(図の左側)を2つに分岐するような形状をしており、圧電素子532が板バネ枠体333をノズル502側(矢印a方向)に押すと、変形部533aは矢印b方向に変形する構成となっている。枠部533bは例えば金属板からなり、中央部に空間533dを備えている。伸縮部533cは、枠部533bの一部に一体で形成した板バネであり、この部位が伸縮可能になっている。板バネ枠体533の空間533dは、圧電素子532の設置スペースを形成する。
【0042】
そして、板バネ枠体533は、伸縮部533cの復元力によって、圧電素子532の長手方向両端を、空間533dで挟み込むようにして保持する。なお、本変形例において、板バネ枠体533は、変形部533a、枠部533bおよび伸縮部533cを一体の部材で構成しているが、このうち一部の部位を別部材で構成してもよい。例えば、伸縮部533cをバネなどで構成し、バネを枠部533bに取り付けてもよい。
【0043】
テコ機構部534は、ゴムや軟質樹脂等または薄い金属板等を成形加工することによって形成した弾性変形可能な部材からなり、
図6(a)のように台形状に屈曲した形状をしている。テコ機構部534の端部534aは、板バネ枠体533の変形部533aに固定しており、ニードル弁保持部534bはニードル弁531を保持する。ここで、本変形例において、ノズル板501は「ノズル部材」の一例であり、ニードル弁531は「弁体」の一例であり、圧電素子532は「アクチュエータ」の一例である。また、板バネ枠体533は「弾性部材」の一例であり、テコ機構部534は「移動機構」の一例であり、ハウジング510は「収容部材」の一例である。
【0044】
上記のような構造を備えたテコ機構部534は、圧電素子532に所定の電圧を印加すると圧電素子532が伸び、圧電素子532は、板バネ枠体533に設けた2つの変形部533aの中央部付近をノズル502側(矢印a方向)へ押圧する。すると、板バネ枠体533の変形部533aは、圧電素子532側(矢印b方向)に変形し、これに伴い、変形部533aに端部534aを固定したテコ機構部534も矢印b方向へ開くように変形する。これにより、ニードル弁保持部534bに保持したニードル弁531は、圧電素子532側(矢印c方向)に移動し、ノズル502を開放する。なお、圧電素子532に電圧を印加していない状態では、テコ機構部534には外部から力が加わらない状態となり、上述した変形は生じないため、ニードル弁531はノズル502を閉塞する。
【0045】
ハウジング510に対する駆動ユニット530の取り付けは、例えばハウジング510に設けたネジ穴510aと板バネ枠体533に設けたネジ穴533gとをネジ510bで締結することにより行う。その際、本変形例においても、ハウジング510に対する駆動ユニット530の固定位置としての固定点514(ネジ穴510a、533gおよびネジ510bによる締結部)をノズル板501側に可能な限り寄せて設ける。これにより、熱による駆動ユニット530の収縮量(ΔL)を固定点514からニードル弁531先端までの収縮の影響に抑えることが可能になる。
【0046】
具体的には、固定点514を、圧電素子532の、ノズル板501と相反する側の端部における板バネ枠体533による保持位置(例えば位置P)よりも、ノズル502側に配置する。より好ましくは、固定点514を、圧電素子532の長手方向(液体の吐出方向)長さL3の半分(L3/2)よりもノズル502側に配置する。または、固定点514を、ハウジング510の長手方向(液体の吐出方向)長さL4の半分(L4/2)よりもノズル502側に配置する。
【0047】
このようにニードル弁531と板バネ枠体533との間にテコ機構部534が介在した構成のヘッド500においても、熱による収縮の影響を、固定点514とニードル弁531先端との間で発生した収縮に抑えることが可能になり、ノズル502の閉塞において熱影響を受けにくくすることができる。
【0048】
図7は、本発明の実施形態に係る液体吐出装置の全体斜視図である。ここに例示した液体吐出装置は、例えばトラックの車体側面などに画像を形成する印刷装置である。
【0049】
印刷装置1000は、対象物の一例である被描画物100に対向して設置している。印刷装置1000は、X軸レール101と、このX軸レール101と交差するY軸レール102と、X軸レール101およびY軸レール102と交差するZ軸レール103を備える。Y軸レール102は、X軸レール101がY方向(正側および負側)に移動可能なように、X軸レール101を保持する。また、X軸レール101は、Z軸レール103がX方向(正側および負側)に移動可能なように、Z軸レール103を保持する。そして、Z軸レール103は、キャリッジ1がZ方向(正側および負側)に移動可能なように、キャリッジ1を保持する。
【0050】
印刷装置1000は、キャリッジ1をZ軸レール103に沿ってZ方向に動かす第1のZ方向駆動部92と、Z軸レール103をX軸レール101に沿ってX方向に動かすX方向駆動部72を備える。また、印刷装置1000は、X軸レール101をY軸レール102に沿ってY方向に動かすY方向駆動部82を備える。さらに、印刷装置1000は、キャリッジ1に対してヘッド保持体70をZ方向に動かす第2のZ方向駆動部93を備える。
【0051】
上記構成の印刷装置1000は、キャリッジ1をX方向、Y方向およびZ方向に動かしながら、ヘッド保持体70に設けた液体吐出ヘッドから液体の一例であるインクを吐出し、被描画物100に描画を行う。なお、キャリッジ1およびヘッド保持体70のZ方向の移動は、必ずしもZ方向に平行であることを意味するものではなく、少なくともZ方向の成分を含んでいれば斜めの移動であってもよい。ここで、各レール101、102、103および各駆動部72、82、92、93は「移動手段」の一例である。
【0052】
なお、図において被描画物100の表面形状は平面としているが、被描画物100の表面形状は、車やトラックの車体などのように鉛直に近い面、曲率半径の大きい面、もしくは多少の凹凸を有する面でもよい。
【0053】
図8は、
図7に示した印刷装置のキャリッジの全体斜視図であり、キャリッジ1を被描画物100側から見たものである。
【0054】
キャリッジ1はヘッド保持体70を備える。また、キャリッジ1は、
図7に示した第1のZ方向駆動部92からの動力によりZ軸レール103に沿ってZ方向(正側および負側)へ移動可能である。ヘッド保持体70は、
図7に示した第2のZ方向駆動部93からの動力によりキャリッジ1に対してZ方向(正側および負側)へ移動可能である。また、ヘッド保持体70は液体吐出ヘッド300を取り付けるためのヘッド固定板70aを備えている。ここでは、
図1乃至
図5で説明したヘッド300を、ヘッド固定板70aに6個取り付けた構成を例示しており、6個のヘッド300a~300fを積層状に並べて設けている。勿論、ヘッド300に代えて
図6で説明したヘッド500を用いてもよい。
【0055】
液体吐出ヘッド300a~300fは、それぞれ複数のノズル302を備えている。なお、ヘッド300a~300fで用いるインクの色の種類や数は、各ヘッド毎に異なる色としてもよいし、すべて同じ色としてもよい。例えば、印刷装置1000として例示した液体吐出装置が、単色を用いる塗装装置である場合は、ヘッド300a~300fで用いるインクは同色でよい。また、ヘッド300を構成するヘッドの数は6つに限るものではない。ヘッド300の数は7つ以上であってもよく、また、6つより少なくてもよい。
【0056】
ヘッド300は、図示のように各ヘッドのノズル列が水平面(X-Z面)と交差し、かつ複数のノズル302の配列方向をX軸に対して傾けた状態でヘッド固定板70aに固定する。この状態でノズル302は、重力方向と交差する方向(Z方向正側)にインクを吐出し、被描画物100に所望の描画を行う。
【0057】
図9は、本発明の実施形態に係る液体吐出装置の別の例を示す概略構成図、
図10は、
図9の一部拡大図である。ここに例示した液体吐出装置は、航空機の機体などに画像を形成する印刷装置である。
【0058】
印刷装置2000は、キャリッジ1を往復直線移動させるリニアレール404と、リニアレール404を適宜所定の位置へ移動させ、その位置で保持する多関節ロボット405とを備えている。多関節ロボット405は、複数の関節によって人間の腕のように自由な動きを可能としたロボットアーム405aを備えており、ロボットアーム405aの先端を自由に移動させ、且つ、正確な位置に配置することができる。
【0059】
多関節ロボット405としては、例えば、6つの軸、すなわち6つの関節を備えた6軸制御型の産業用ロボットを用いることができる。6軸型の多関節ロボットによれば予め動作に関する情報をティーチングしておくことで、きわめて正確、且つ、迅速にリニアレール404を被描画物702(航空機)の所定位置に対峙させることができる。ロボット405は、6軸に限定されるものではなく、5軸、7軸など適宜の軸数を備えた多関節ロボットを用いることができる。
【0060】
ロボット405のロボットアーム405aはフォーク状の支持部材424を備えている。この支持部材424の左側の枝部424aの先端には垂直リニアレール423aを、右側の枝部424bの先端には垂直リニアレール423bを平行になるようにして取り付けている。そして、キャリッジ1を移動可能に保持したリニアレール404の両端を、2つの垂直リニアレール423a、423bにそれぞれ架け渡すようにして支持させている。
【0061】
キャリッジ1は、
図8で説明した実施形態の構成などを備えるものであり、被描画物702に向けて液体を吐出するヘッドを備えている。ヘッドとしては、上述のヘッド300や、例えばイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、ホワイトなどの各色の液体を吐出する複数のヘッド300、または複数のノズル列を有するヘッド300を備えている。このキャリッジ1の各ヘッド300またはヘッド300の各ノズル列に対しては、インクタンク330から各色の液体が供給される。なお、本実施形態においても、
図6で説明したヘッド500を用いる構成としてもよい。
【0062】
キャリッジ1は、リニアレール404上を移動することで第1の軸の方向へ動き、このリニアレール404が垂直リニアレール423a、423b上を移動することで第1の軸と交差する第2の軸の方向へ動くことが可能である。また、図示しないがキャリッジ1には、前述の第1の軸および第2の軸と交差する第3の軸の方向(本変形例では被描画物702に向けての液体吐出方向)にてキャリッジ1を移動させる第1の駆動手段を備えている。また、キャリッジ1は、前述のヘッドを、キャリッジ1に対して第3の軸の方向にて移動させる第2の駆動手段を備えている。
【0063】
この印刷装置2000は、ロボット405によりリニアレール404を被描画物702の描画領域に移動させ、描画データに応じてキャリッジ1をリニアレール404に沿って移動しながらヘッド300を駆動して、描画を行う。そして、1ライン分の描画が終了したときに、垂直リニアレール423a、423bを駆動することにより、キャリッジ1のヘッド300をあるラインから次のラインに移動させる。この動作を繰り返して、被描画物702の所要の描画領域に描画することが可能となる。
【0064】
以下、
図11乃至
図14を用いて本発明の適用例を説明する。本発明は、
図11に示した例えばドローン(drone)のような無人航空機6000への適用も可能である。無人航空機6000は、自身に搭載した測距センサ等の検出器610の検出結果に基づき無人航空機6000の位置を制御する。無人航空機6000は、インク等の液体を吐出するヘッド620を備えており、液体タンク630に収容した液体を、ケーブル640を介してヘッド620へ供給する。そして、上記の位置制御に基づいて、無人航空機6000はヘッド620から対象物(本実施形態では建物の壁面)100に向けて液体を吐出し、対象物100の塗装部Pに液体を塗布する。この場合においては、ヘッド620として本発明の液体吐出ヘッドを用いることが可能である。
【0065】
また、本発明は、
図12に示した例えばウォールクライミングロボットのような無人車両7000への適用も可能である。無人車両7000は、対象物(本実施形態では建物の壁面)100を無人車両7000の底部で吸引しながらローラ710を駆動して移動することが可能である。無人車両7000は、インク等の液体を吐出するヘッド720を備えており、液体タンク730に収容した液体を、ケーブル740を介してヘッド720へ供給する。そして、無人車両7000はヘッド720から対象物(本実施形態では建物の壁面)100に向けて液体を吐出し、対象物100の塗装部Pに液体を塗布する。この場合においては、ヘッド720として本発明の液体吐出ヘッドを用いることが可能である。
【0066】
また、本発明は、
図13に示した例えば自動車の車体を塗装する塗装ロボット8000への適用も可能である。塗装ロボット8000は、複数の関節によって人間の腕のように自由な動きを可能としたロボットアーム810を備え、ロボットアーム810の先端に液体を吐出するヘッド820を備えている。また、ロボットアーム810はヘッド820の近傍に3Dセンサ830を備えている。塗装ロボット8000としては、5軸、6軸、7軸など適宜の軸数を備えた多関節ロボットを用いることができる。塗装ロボット8000は、3Dセンサ830によって対象物(本実施形態では車体)100に対するヘッド820の位置を検知し、その検知結果に基づきロボットアーム810を動かして対象物100を塗装する。この場合においては、ヘッド820として本発明の液体吐出ヘッドを用いることが可能である。
【0067】
また、本発明は、
図14に示した例えば路面走行ロボットのような無人車両9000への適用も可能である。無人車両9000は、対象物(本実施形態では車道、歩道等の路面)100を、ホイール910を駆動して移動することが可能である。無人車両9000は、インク等の液体を吐出するヘッド920を備えており、液体タンク930に収容した液体を、ケーブル940を介してヘッド920へ供給する。そして、無人車両9000はヘッド920から対象物100に向けて液体を吐出し、対象物100の塗装部Pに液体を塗布し、例えば横断歩道、停止線、センターライン等を路面に形成する。この場合においては、ヘッド920として本発明の液体吐出ヘッドを用いることが可能である。
【0068】
なお、本発明において、液体は、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどでもよい。これらは例えば、インクジェット用インク、塗装用塗料、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0069】
また、上記の実施形態ではノズル板301とハウジング310とを別々の部材としたが、両者を一体的に単一の部材で形成してもよい。両者を単一の部材で形成する場合、ニードル弁331の先端とノズル板301とが当接する位置を境に、ニードル弁331が設けられる側の部位をハウジング310、ニードル弁331が設けられない側の部位をノズル板301と定義する。
【0070】
また、本発明に係る液体吐出装置は、対象物に対して液体吐出ヘッドを動かす構成のものに限らない。液体吐出ヘッドと対象物とは相対的に移動が可能であればよく、対象物を液体吐出ヘッドに対して動かす構成のものであってもよい。
【0071】
以上説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
【0072】
[第1態様]
第1態様は、液体を吐出するノズル(例えばノズル302)を有するノズル部材(例えばノズル板301)と、前記ノズルを開閉する弁体(例えばニードル弁331)、アクチュエータ(例えば圧電素子332)、および前記アクチュエータを保持し、前記アクチュエータの駆動により弾性変形して前記アクチュエータの駆動力を前記弁体に伝える弾性部材(例えば板バネ枠体333)を有する駆動ユニット(例えば駆動ユニット330)と、前記ノズル部材を保持するとともに、前記駆動ユニットを収容する収容部材(例えばハウジング310)と、を備える液体吐出ヘッド(例えばヘッド300)であって、前記収容部材に対する前記駆動ユニットの固定位置(例えば固定点314)は、前記アクチュエータの前記ノズル部材と相反する側の端部における前記弾性部材による保持位置(例えば位置P)よりも、前記ノズル側にあることを特徴とするものである。
【0073】
[第2態様]
第2態様は、液体を吐出するノズル(例えばノズル302)を有するノズル部材(例えばノズル板301)と、前記ノズルを開閉する弁体(例えばニードル弁331)、アクチュエータ(例えば圧電素子332)、および前記アクチュエータを保持し、前記アクチュエータの駆動により弾性変形して前記アクチュエータの駆動力を前記弁体に伝える弾性部材(例えば板バネ枠体333)を有する駆動ユニット(例えば駆動ユニット330)と、前記ノズル部材を保持するとともに、前記駆動ユニットを収容する収容部材(例えばハウジング310)と、を備える液体吐出ヘッド(例えばヘッド300)であって、前記収容部材に対する前記駆動ユニットの固定位置(例えば固定点314)は、前記アクチュエータの前記流体の吐出方向における中央の位置(例えば吐出方向長さL3の半分)よりも前記ノズル側にあることを特徴とするものである。
【0074】
[第3態様]
第3態様は、液体を吐出するノズル(例えばノズル302)を有するノズル部材(例えばノズル板301)と、前記ノズルを開閉する弁体(例えばニードル弁331)、アクチュエータ(例えば圧電素子332)、および前記アクチュエータを保持し、前記アクチュエータの駆動により弾性変形して前記アクチュエータの駆動力を前記弁体に伝える弾性部材(例えば板バネ枠体333)を有する駆動ユニット(例えば駆動ユニット330)と、前記ノズル部材を保持するとともに、前記駆動ユニットを収容する収容部材(例えばハウジング310)と、を備える液体吐出ヘッド(例えばヘッド300)であって、前記収容部材に対する前記駆動ユニットの固定位置(例えば固定点314)は、前記収容部材の前記液体の吐出方向における中央の位置(例えば吐出方向長さL4の半分)よりも前記ノズル側にあることを特徴とするものである。
【0075】
第1態様乃至第3態様によれば、ノズルの閉塞において熱影響を受けにくい液体吐出ヘッドを提供することができる。
【0076】
[第4態様]
第4態様は、第1態様乃至第3態様のいずれかにおいて、前記収容部材(例えばハウジング310)は、前記弁体(例えばニードル弁331)、前記アクチュエータ(例えば圧電素子332)および前記弾性部材(例えば板バネ枠体333)よりも熱膨張係数の低い材料からなることを特徴とするものである。
【0077】
第4態様によれば、収容部材の熱膨張による伸張が減り、全体の収縮量をより低減することができる。
【0078】
[第5態様]
第5態様は、第1態様乃至第4態様のいずれかにおいて、前記液体吐出ヘッド(例えばヘッド500)は、前記弁体(例えばニードル弁531)と前記アクチュエータ(例えば圧電素子532)との間に移動機構(例えばテコ機構部534)を有することを特徴とするものである。
【0079】
第5態様によれば、弁体とアクチュエータとの間に移動機構を備えた構成においても、ノズルの閉塞において熱影響を受けにくい液体吐出ヘッドを提供することができる。
【符号の説明】
【0080】
300 液体吐出ヘッド
301 ノズル板
302 ノズル
330 駆動ユニット
331 ニードル弁
332 圧電素子
333 板バネ枠体
314 固定点
【先行技術文献】
【特許文献】
【0081】