(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056176
(43)【公開日】2023-04-19
(54)【発明の名称】現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20230412BHJP
G03G 15/09 20060101ALI20230412BHJP
【FI】
G03G15/08 390B
G03G15/09 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021165350
(22)【出願日】2021-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】矢部 謙治
(72)【発明者】
【氏名】千葉 祐介
【テーマコード(参考)】
2H031
2H077
【Fターム(参考)】
2H031AC07
2H031AC38
2H031BA06
2H031EA03
2H031FA01
2H077AB02
2H077AC02
2H077AD06
2H077AD13
2H077BA08
2H077CA11
2H077EA03
2H077GA13
(57)【要約】
【課題】可撓性シート部材の変形を生じにくくする。
【解決手段】現像領域に対して回転方向の下流側で現像ケース26kに一端側が固定端として保持されて、回転方向に沿うように現像ローラ26aと現像ケース26kとの隙間に配置された可撓性シート部材26rが設けられている。さらに、可撓性シート部材26rの他端側を自由端としたまま固定せずに、少なくとも回転方向の変位を制限する制限部26mが設けられている。そして、可撓性シート部材26rは、他端側26r2に少なくとも1つの貫通穴部26r3が形成されている。また、制限部26mは、貫通穴部26r3に挿入される挿入部26m1が形成されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に対向又は接触して現像領域を形成して、所定の回転方向に回転しながら前記像担持体の表面に形成される潜像を前記現像領域で現像する現像剤担持体と、
前記現像領域に対して前記回転方向の下流側で前記現像剤担持体に対して隙間をあけて対向する現像ケースと、
前記現像領域に対して前記回転方向の下流側で前記現像ケースに一端側が固定端として保持されて、前記回転方向に沿うように前記現像剤担持体と前記現像ケースとの前記隙間に配置された可撓性シート部材と、
前記可撓性シート部材の他端側を自由端としたまま固定せずに、少なくとも前記回転方向の変位を制限する制限部と、
を備え、
前記可撓性シート部材は、前記他端側に少なくとも1つの貫通穴部が形成され、
前記制限部は、前記貫通穴部に挿入される挿入部を具備したことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記挿入部は、前記貫通穴部に対して隙間をあけて挿入されることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記貫通穴部は、前記回転方向の長さが、前記回転方向に直交する回転軸方向の長さに比べて長いことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記制限部は、前記現像ケースに対して着脱可能に設置されたことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の現像装置。
【請求項5】
前記制限部は、前記現像ケースに対して前記現像剤担持体に近づく方向に突出するように一体的に形成されたことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の現像装置。
【請求項6】
前記制限部は、前記可撓性シート部材の前記他端側の前記現像剤担持体に近づく方向への変位を制限するストッパ部が形成されたことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載の現像装置。
【請求項7】
前記可撓性シート部材は、前記貫通穴部に対して前記他端側に、当該可撓性シート部材の強度を補強する補強部が形成されたことを特徴とする請求項1~請求項6のいずれかに記載の現像装置。
【請求項8】
前記現像ケースは、前記可撓性シート部材の前記一端側と前記貫通穴部との間に対応する位置に、前記現像剤担持体との前記隙間を狭める凸部が、前記回転方向に直交する回転軸方向にわたって形成されたことを特徴とする請求項1~請求項7のいずれかに記載の現像装置。
【請求項9】
前記現像ケースは、前記現像剤担持体の上方を覆うように配置され、
前記可撓性シート部材は、前記現像剤担持体に担持された現像剤に対して腹当りするように配置されたことを特徴とする請求項1~請求項8のいずれかに記載の現像装置。
【請求項10】
非現像剤工程時に所定のタイミングで、前記現像剤担持体が前記回転方向に対して逆方向に回転されることを特徴とする請求項1~請求項9のいずれかに記載の現像装置。
【請求項11】
画像形成装置本体に対して着脱可能に設置されるプロセスカートリッジであって、
請求項1~請求項10のいずれかに記載の現像装置と前記像担持体とを一体的に備えたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項12】
請求項1~請求項10のいずれかに記載の現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、感光体ドラムなどの像担持体に形成された潜像を現像する現像装置と、それを備えたプロセスカートリッジ、画像形成装置と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置に設置される現像装置において、トナー飛散を防止することを目的として、現像ケースに可撓性シート部材(シート部材)を設置する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
詳しくは、特許文献1における現像装置は、感光体ドラム(像担持体)に対向する現像ローラ(現像剤担持体)の上方を覆う現像ケースが設けられている。また、現像ケースには、現像領域に対して現像ローラの回転方向下流側に対応する位置に、シート部材(可撓性シート部材)の根元部(一端側)が固定端として保持されている。そして、シート状部材は、その自由端側(他端側)が、現像ケースと現像ローラとの間で回転方向に沿うように配置されている。このように現像ケースに設置されたシート部材によって、現像ケースと現像ローラとの隙間に吸い込み気流が形成されて、その隙間からトナーが吹き出してしまう不具合が軽減されることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術は、製造工場などで、現像剤担持体(現像ローラ)と可撓性シート部材との間の隙間(ギャップ)をチェックするために、その隙間にRゲージなどの測定器具を抜き差ししたときなどに、可撓性シート部材が大きく変形してしまうことがあった。そして、そのような場合に、可撓性シート部材の本来の機能が充分に発揮されず、トナー飛散などが生じてしまっていた。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、可撓性シート部材の変形が生じにくい、現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明における現像装置は、像担持体に対向又は接触して現像領域を形成して、所定の回転方向に回転しながら前記像担持体の表面に形成される潜像を前記現像領域で現像する現像剤担持体と、前記現像領域に対して前記回転方向の下流側で前記現像剤担持体に対して隙間をあけて対向する現像ケースと、前記現像領域に対して前記回転方向の下流側で前記現像ケースに一端側が固定端として保持されて、前記回転方向に沿うように前記現像剤担持体と前記現像ケースとの前記隙間に配置された可撓性シート部材と、前記可撓性シート部材の他端側を自由端としたまま固定せずに、少なくとも前記回転方向の変位を制限する制限部と、を備え、前記可撓性シート部材は、前記他端側に少なくとも1つの貫通穴部が形成され、前記制限部は、前記貫通穴部に挿入される挿入部を具備したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、可撓性シート部材の変形が生じにくい、現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
【
図5】現像装置における可撓性シート部材の自由端側を示す拡大図である。
【
図6】現像装置における可撓性シート部材の自由端側を幅方向に示す断面図である。
【
図7】ケーシングギャップに対してRゲージを抜き差しした状態を示す図である。
【
図8】現像ローラが逆回転されたときの状態を示す図である。
【
図9】変形例1としての、現像装置における可撓性シート部材の自由端側を幅方向に示す断面図である。
【
図10】変形例2としての、現像装置における可撓性シート部材の自由端側を示す拡大図である。
【
図11】
図10の可撓性シート部材が現像ケースに設置される動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
まず、
図1にて、画像形成装置1における全体の構成・動作について説明する。
本実施の形態における画像形成装置1は、複数のプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKが中間転写ベルト40に対向するように並設されたタンデム型のカラー画像形成装置である。また、複数のプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKの感光体ドラム21に対向するように現像装置26(
図2参照)が設置されている。
【0011】
図1において、1は画像形成装置としてのカラー複写機の装置本体、2は原稿を原稿読込部3に搬送する原稿搬送部、3は原稿の画像情報を読み込む原稿読込部、4は入力画像情報に基づいたレーザ光を発する書込み部(露光部)、を示す。
また、20Y、20M、20C、20BKは各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応したプロセスカートリッジ、40は複数色のトナー像が重ねて転写される中間転写ベルト、を示す。
また、61は用紙等のシートPが収納される給紙装置、65は中間転写ベルト40上に形成されたトナー像をシートPに転写する2次転写ローラ、66はシートP上の未定着画像を定着する定着装置、を示す。
また、70は複数のプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKに対応した各現像装置26に各色のトナーを補給するためのトナー容器、80はクリーニング装置23(
図2参照)や中間転写ベルトクリーニング装置81で回収された未転写トナーが廃トナーとして回収される廃トナー回収容器、を示す。
【0012】
ここで、
図2をも参照して、各プロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKは、それぞれ、像担持体としての感光体ドラム21、帯電装置22、クリーニング装置23、が一体化されたものである。そして、各プロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKは、寿命に達したときに画像形成装置本体1から取り外されて、新品のものに交換される。
また、各現像装置26は、各プロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKの感光体ドラム21にそれぞれ対向するように設置されている。そして、現像装置26は、寿命に達したときに画像形成装置本体1から取り外されて、新品のものに交換される。なお、画像形成装置本体1に対する現像装置26の着脱操作と、画像形成装置本体1に対するプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKの着脱操作と、はそれぞれ別々に独立しておこなうことができる。
各プロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKにおける感光体ドラム21(像担持体)上では、それぞれ、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナー像が形成される。
【0013】
以下、画像形成装置における、通常のカラー画像形成時の動作について説明する。
まず、原稿は、原稿搬送部2の搬送ローラによって、原稿台から搬送されて、原稿読込部3のコンタクトガラス上に載置される。そして、原稿読込部3で、コンタクトガラス上に載置された原稿の画像情報が光学的に読み取られる。
そして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像情報は、書込み部4に送信される。そして、書込み部4からは、各色の画像情報に基づいたレーザ光L(露光光)が、それぞれ、対応するプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKの感光体ドラム21(
図2参照)の表面に向けて照射される。
【0014】
一方、4つの感光体ドラム21は、それぞれ、
図1、
図2の時計方向に回転している。そして、まず、感光体ドラム21の表面は、帯電装置22(帯電ローラ)との対向位置で、一様に帯電される(帯電工程である。)。こうして、感光体ドラム21上には、帯電電位が形成される。その後、帯電された感光体ドラム21の表面は、それぞれの書込み部4によるレーザ光の照射位置に達して、その位置で画像情報に基づいた静電潜像が形成される(露光工程である。)。
【0015】
イエロー成分に対応したレーザ光は、紙面左側から1番目のプロセスカートリッジ20Yの感光体ドラム21の表面に照射される。このとき、イエロー成分のレーザ光は、高速回転するポリゴンミラーにより、感光体ドラム21の回転軸方向(主走査方向)に走査される。こうして、帯電装置22にて帯電された後の感光体ドラム21上には、イエロー成分に対応した静電潜像が形成される。
同様に、シアン成分のレーザ光は、紙面左から2番目のプロセスカートリッジ20Cの感光体ドラム21の表面に照射されて、シアン成分の静電潜像が形成される。マゼンタ成分に対応したレーザ光は、紙面左から3番目のプロセスカートリッジ20Mの感光体ドラム21の表面に照射されて、マゼンタ成分に対応した静電潜像が形成される。ブラック成分のレーザ光は、紙面左から4番目のプロセスカートリッジ20BKの感光体ドラム21の表面に照射されて、ブラック成分の静電潜像が形成される。
【0016】
その後、各色の静電潜像が形成された感光体ドラム21の表面は、それぞれ、現像装置26との対向位置に達する。そして、各現像装置26から感光体ドラム21上に各色のトナーが供給されて、感光体ドラム21上の潜像が現像される(現像工程である。)。
その後、現像工程後の感光体ドラム21の表面は、それぞれ、中間転写ベルト40との対向位置に達する。ここで、それぞれの対向位置には、中間転写ベルト40の内周面に当接するように1次転写ローラ24が設置されている。そして、1次転写ローラ24の位置で、中間転写ベルト40上に、感光体ドラム21上に形成された各色のトナー像が、順次重ねて転写される(1次転写工程である。)。
【0017】
そして、1次転写工程後の感光体ドラム21の表面は、それぞれ、クリーニング装置23との対向位置に達する。そして、クリーニング装置23で、感光体ドラム21上に残存する未転写トナーが回収される(クリーニング工程である。)。なお、クリーニング装置23で回収された未転写トナーは、不図示の廃トナー搬送経路を通過して、廃トナー回収容器80内に回収される。
その後、感光体ドラム21の表面は、除電装置の位置で残留電位が除電されて、感光体ドラム21における一連の作像プロセスが終了する。
【0018】
他方、感光体ドラム21上の各色の画像が重ねて転写された中間転写ベルト40の表面は、図中の矢印方向に走行して、2次転写ローラ65の位置に達する。そして、2次転写ローラ65の位置で、シートP上に中間転写ベルト40上のフルカラーの画像が2次転写される(2次転写工程である。)。
その後、中間転写ベルト40の表面は、中間転写ベルトクリーニング装置81の位置に達する。そして、中間転写ベルト40上の未転写トナーが中間転写ベルトクリーニング装置81に回収されて、中間転写ベルト40上の一連の転写プロセスが完了する。
なお、中間転写ベルトクリーニング装置81で回収された未転写トナーは、不図示の廃トナー搬送経路を通過して、廃トナー回収容器80内に回収される。
【0019】
ここで、2次転写ローラ65の位置に搬送されるシートPは、給紙装置61からレジストローラ64等を経由して搬送されるものである。
詳しくは、シートPを収納する給紙装置61から、給紙ローラ62により給送されたシートPが、搬送路を通過した後に、レジストローラ64の位置に導かれる。レジストローラ64の位置に達したシートPは、中間転写ベルト40上のトナー像とタイミングを合わせて、2次転写ローラ65の位置に向けて搬送される。
【0020】
その後、フルカラー画像が転写されたシートPは、定着装置20の位置に導かれる。そして、定着装置20において、定着ローラと加圧ローラとのニップにて、カラー画像がシートP上に定着される。
そして、定着工程後のシートPは、排紙ローラ69によって装置本体1外に出力画像として排出された後に、排紙トレイ5上にスタックされて、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0021】
次に、
図2及び
図3にて、画像形成装置の作像部について詳述する。
なお、画像形成装置本体1に設置される4つの作像部は、作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる以外はほぼ同一構造であるので、プロセスカートリッジや現像装置などの構成部材における符号のアルファベット(Y、M、C、BK)を除して図示する。
【0022】
図2に示すように、プロセスカートリッジ20は、主として、像担持体としての感光体ドラム21と、帯電装置22と、クリーニング装置23と、がケースに一体的に収納されている。
感光体ドラム21は、負帯電性の有機感光体であって、ドラム状導電性支持体上に感光層等を設けたものである。
帯電装置22は、導電性芯金の外周に中抵抗の弾性層を被覆してなる帯電ローラである。そして、この帯電装置22(帯電ローラ)に電源部から所定の電圧が印加されて、これにより対向する感光体ドラム21の表面を一様に帯電する。
クリーニング装置23には、感光体ドラム21に当接するクリーニングブレード25a及びクリーニングローラ25bが設置されている。クリーニングブレード25aは、ウレタンゴム等のゴム材料からなり、感光体ドラム21表面に所定角度かつ所定圧力で当接している。クリーニングローラ25bは、芯金上にブラシ毛が周設されたブラシローラである。
【0023】
図2、
図3に示すように、現像装置26は、主として、現像剤担持体としての現像ローラ26a、現像ローラ26aに対向する第1搬送スクリュ26b1(第1搬送部材)、仕切部材26eを介して第1搬送スクリュ26b1に対向する第2搬送スクリュ26b2(第2搬送部材)、現像ローラ26aに対向して現像ローラ26a上に担持された現像剤の量を規制するドクターブレード26c(現像剤規制部材)、等で構成される。
【0024】
現像装置26内には、キャリアとトナーとからなる現像剤(2成分現像剤)が収容されている。
なお、本実施の形態では、トナーの平均粒径が5.2μm程度に、キャリアの平均粒径が35μm程度に、トナー濃度が7wt%程度に、現像装置26内の現像剤量が250g程度に設定されている
【0025】
現像ローラ26aは、感光体ドラム21に対して微小なギャップをあけて対向して現像領域を形成するように構成されている。現像ローラ26aは、
図3に示すように、内部に固設されてローラ外周面上に複数の磁極H1~H5(
図4参照)を形成するマグネット26a1と、マグネット26a1の周囲を回転するスリーブ26a2と、で構成される。
【0026】
詳しくは、
図4を参照して、汲上げ磁極H5が磁性体としてのキャリアに作用して、第1搬送経路B1(
図2参照)に収容された現像剤Gが現像ローラ23a上に汲上げられる。現像ローラ23a上に担持された現像剤Gは、その一部がドクターブレード26c(
図2参照)の位置で掻き取られて、第1搬送経路B1に戻される。一方、汲上げ磁極H5による磁力が作用するドクターブレード26cの位置で、ドクターブレード26cと現像ローラ26aとのドクターギャップを通過して現像ローラ26a上に担持された現像剤Gは、主磁極H1の位置で穂立ちして現像領域において磁気ブラシとなって感光体ドラム21に摺接する。こうして、現像ローラ26aに担持された現像剤G中のトナーが感光体ドラム21上の潜像に付着する。その後、主磁極H1の位置を通過した現像剤Gは、複数の搬送磁極H2、H3によって、現像上ケース26k(現像ケース)との間を搬送された後に、剤離れ磁極H4の位置まで搬送される。そして、剤離れ磁極H4の位置で、反発磁界(現像ローラ26aから離れる方向に作用する磁界である。)がキャリアに作用して、現像ローラ26a上に担持されていた現像工程後の現像剤Gが現像ローラ26aから脱離される。脱離後の現像剤Gは、第1搬送経路B1内に落下して第1搬送スクリュ26b1(
図2、
図3参照)によって第1搬送経路B1の下流に向けて搬送される。
【0027】
図2、
図3を参照して、搬送部材としての搬送スクリュ26b1、26b2は、現像装置26の内部に収容された現像剤を長手方向(幅方向)に搬送して循環経路(
図3にて破線矢印で示す循環経路である。)を形成する。すなわち、第1搬送スクリュ26b1による第1搬送経路B1と、第2搬送スクリュ26b2による第2搬送経路B2と、による現像剤の循環経路が形成されている。
第1搬送経路B1と第2搬送経路B2とは仕切部材26e(壁部)によって隔絶されていて、2つの搬送経路B1、B2の長手方向両端部は互いに連通口26f、26gを介して連通している。具体的に、
図3を参照して、第1搬送経路B1の搬送方向上流側の端部と、第2搬送経路B2の搬送方向下流側の端部と、が第1連通口26fを介して連通している。また、第1搬送経路B1の搬送方向下流側の端部と、第2搬送経路B2の搬送方向上流側の端部と、が第2連通口26gを介して連通している。すなわち、仕切部材26eは、長手方向両端部を除く位置に配設されている。
【0028】
第1搬送スクリュ26b1(第1搬送経路B1)は現像ローラ26aに対向するように配設され、第2搬送スクリュ26b2(第2搬送経路B2)は仕切部材26eを介して第1搬送スクリュ26b1(第1搬送経路B1)に対向するように配設されている。第1搬送スクリュ26b1は、現像剤を長手方向(幅方向、回転軸方向)に搬送しながら、現像ローラ26aに向けて現像剤を供給するとともに、現像ローラ26aから離脱した現像工程後の現像剤を回収する。第2搬送スクリュ26b2は、第1搬送経路B1から搬送された現像工程後の現像剤と、補給口26dから補給されたフレッシュなトナーと、を長手方向に搬送しながら撹拌・混合する。
本実施の形態において、2つの搬送スクリュ26b1、26b2は、水平方向に並設されている。2つの搬送スクリュ26b1、26b2は、いずれも、回転軸にスクリュ部が巻装されたものであって、600rpm程度の回転数で回転駆動される。
【0029】
図2等を参照して、本実施の形態における現像装置26は、装置内と装置外とを連通させる開口部26k1にフィルタ26tが設置されている。
詳しくは、現像装置26の現像上ケース26k(現像ケース)の天井部には、内外に貫通する開口部26k1(通気路)が形成されている。そして、その開口部26k1を塞ぐようにフィルタ26tが設けられている。フィルタ26tは、トナーを捕集して通気するためのものである。
換言すると、現像装置26の内部から外部に向けて空気を送出するための開口部26k1が、現像上ケース26kに形成されている。そして、その開口部26k1を取付け部として、フィルタ26tが設置されている。このフィルタ26tは、トナーやキャリアの粒径よりも小さなメッシュからなり、空気のみが通過できるように形成されている。
【0030】
ここで、現像領域の下流側における現像ローラ26aと現像上ケース26kとのギャップW(ケーシングギャップ)は、0.6~1.0mmの範囲内になるように設定されている。
ケーシングギャップWが小さ過ぎてしまうと、現像ローラ26aに担持された現像工程後の現像剤が、現像ローラ26aと現像上ケース26kとのギャップWにスムーズに搬送されずに、そこから溢れて現像装置26の外部に漏出してしまいやすくなる。
これに対して、ケーシングギャップWが大き過ぎてしまうと、現像ローラ26aに担持された現像剤が現像ケース26k(可撓性シート部材26r)の内周面に摺接しにくくなって、ポンプ作用による現像装置26の内部に向けての吸込み気流が形成されにくくなり、現像装置26からのトナー飛散(現像領域の周囲へのトナー飛散である。)が生じやすくなってしまう。
ケーシングギャップWを適正な範囲に維持することで、現像剤の漏出やトナー飛散を軽減することができる。
さらに、上述したケーシングギャップWにおける吸込み気流によって、現像装置26の内圧は高まる傾向にあり、内圧が高まってしまうと現像装置26の隙間からトナー飛散が生じてしまうことになる。これに対して、本実施の形態では、フィルタ26tが設置された開口部26k1が設けられているため、トナーを捕集して外部への飛散を防止しながら通気のみをおこなって、現像装置26の内圧の上昇を抑えている。すなわち、現像装置26の内圧の上昇によるトナー飛散を防止している。
なお、本実施の形態では、現像ローラ26aと現像上ケース26kとの隙間(ケーシングギャップW)に入り込むように、可撓性シート部材26rが設置されているが、これについては
図4等を用いて後で詳しく説明する。
【0031】
先に述べた作像プロセスを、現像工程を中心にしてさらに説明する。
現像ローラ26aは、所定の回転方向(
図2の矢印方向(反時計方向)である。)に回転している。現像装置26内の現像剤は、
図3に示すように、間に仕切部材26eを介在するように配設された第1搬送スクリュ26b1及び第2搬送スクリュ26b2の矢印方向の回転によって、トナー容器70からトナー補給経路を経て補給口26dから補給されたトナーとともに撹拌混合されながら長手方向に循環する(
図3中の破線矢印方向の循環である。)。
そして、摩擦帯電してキャリアに吸着したトナーは、現像ローラ26a上に形成された剤汲上げ極H5によって、キャリアとともに現像ローラ26a上に汲み上げられる。現像ローラ26a上に担持された現像剤は、
図2中の矢印方向に搬送されて、ドクターブレード26cとの対向位置に達する。そして、現像ローラ26a上の現像剤は、この位置で現像剤量が適量化された後に、感光体ドラム21との対向位置(現像領域である。)まで搬送される。そして、現像領域に形成された電界によって、感光体ドラム21上に形成された潜像にトナーが吸着される。その後、現像ローラ26a上に残った現像剤はスリーブの回転にともない第1搬送経路B1の上方に達して、この位置で現像ローラ26aから離脱される。ここで、現像領域における電界は、現像用の電源によって現像ローラ26aに印加される所定の電圧(現像バイアス)と、帯電工程と露光工程とによって感光体ドラム21の表面に形成される表面電位(潜像電位)と、によって形成されるものである。
【0032】
なお、トナー容器70内のトナーは、現像装置26内のトナーの消費にともない、トナー補給経路(不図示)を経由して補給口26dから現像装置26内に適宜に補給されるものである。現像装置26内のトナーの消費は、現像装置26内の現像剤のトナー濃度(現像剤中のトナーの割合である。)を磁気的に検知するトナー濃度センサ(不図示)によって検知される。
また、補給口26dは、第2搬送スクリュ26b2の長手方向(
図3の左右方向である。)の一端であって、第2搬送スクリュ26b2(第2搬送経路B2)の上方に設けられている。
【0033】
以下、本実施の形態において特徴的な、現像装置26の構成・動作について詳しく説明する。
先に
図2、
図3等を用いて説明したように、現像装置26には、現像剤担持体としての現像ローラ26aや、現像ケースとしての現像上ケース26kが設けられている。
現像剤担持体としての現像ローラ26aは、像担持体としての感光体ドラム21に対向して現像領域を形成して、所定の回転方向(
図2、
図4の反時計方向(矢印方向)である。)に回転しながら感光体ドラム21の表面に形成される潜像を現像領域で現像するためのものである。
現像ケースとしての現像上ケース26kは、現像領域に対して回転方向(
図2、
図4の反時計方向である。)の下流側で現像ローラ26aに対して隙間(ケーシングギャップW)をあけて対向するケーシングである。
【0034】
ここで、
図2を参照して、本実施の形態では、現像装置26のケーシング(筐体)として、上述した現像上ケース26kの他に、現像下ケース26jが設けられている。
現像下ケース26jは、現像装置26のベースとなるケーシングであって、現像ローラ26aや搬送スクリュ26b1、26b2を回転可能に保持するとともに、ドクターブレード26cを保持している。
これに対して、現像上ケース26k(現像ケース)は、現像ローラ26a(現像剤担持体)の上方を覆うように配置されている。また、現像上ケース26kは、現像ローラ26a、搬送スクリュ26b1、26b2、ドクターブレード26cを保持した状態の現像下ケース26jに対して、パッチン止めやネジ締結などによって着脱可能に構成されている。
【0035】
ここで、
図4等を参照して、本実施の形態における現像装置26には、現像ローラ26aの回転方向に沿うように現像ローラ26a(現像剤担持体)と現像上ケース26k(現像ケース)との隙間(ケーシングギャップW)に、可撓性シート部材26rが配置されている。
この可撓性シート部材26rは、その一端側26r1が、現像領域(現像ローラ26aが感光体ドラム21に対向する位置である。)に対して
図4の矢印で示す回転方向の下流側で現像上ケース26kに、固定端として保持されている。具体的に、本実施の形態では、可撓性シート部材26rの一端側26r1が、両面テープなどによって現像上ケース26kの端面(感光体ドラム21に対向する端面である。)に貼着されている。また、可撓性シート部材26rの他端側26r2は、自由端であって、いずれの部材にも固定されない状態になっている。そして、可撓性シート部材26rは、現像ローラ26aに担持された現像剤Gに対して腹当りするように配置されている。
なお、本実施の形態では、可撓性シート部材26rとして、厚さが0.1mm程度の略矩形のウレタンシートを用いている。また、本実施の形態において、可撓性シート部材26rは、その全長(一端側26r1から他端側26r2までの範囲)が、現像上ケース26kの対向面26k10(現像ローラ26aに対向する面である。)と略一致するか、対向面26k10よりも少し短くなるか、するように形成されている。
【0036】
このように構成された可撓性シート部材26rを設けることで、現像ローラ26aと現像上ケース26kとの間で現像ローラ26a上に担持される現像剤量(汲み上げ量)が増減しても、その現像剤量に応じて可撓性シート部材26rがフレキシブルに変形する(撓む)ことになるため、現像ローラ26aに担持された現像剤Gに対して腹当りした状態が維持されやすくなる(全体的に現像剤Gから離れた状態になりにくくなる)。そのため、現像ローラ26aと現像上ケース26kとの隙間に、安定した吸込み気流(
図4の白矢印を参照)が形成されて、その隙間からトナーが吹き出してしまう不具合(トナー飛散)が軽減されることになる。
【0037】
ここで、
図4~
図6を参照して、本実施の形態における現像装置26には、可撓性シート部材26rの他端側26r2を自由端としたまま固定せずに、少なくとも回転方向(現像ローラ26aの回転方向であって、
図4、
図5の矢印方向やその逆方向である。)の変位を制限する制限部26m(制限部材)が設けられている。
特に、本実施の形態における制限部26mは、可撓性シート部材26rの他端側26r2の回転方向の変位に限らず、回転方向に直交する回転軸方向(幅方向)を含む多方向の変位を制限するように構成されている。
すなわち、本実施の形態において、可撓性シート部材26rの他端側26r2は、制限部26mによって、ルーズに保持されて(ある程度は変位可能に保持されて)、自由端の状態が維持されているものの、無制限に変位することなく、その変位が一定範囲を超えないように制限されている。
具体的に、本実施の形態では、制限部26mとして、樹脂材料からなる鋲状の部材を用いている。制限部26mの材料としては、現像剤Gが付着しにくい(現像剤G(トナー)に対する親和性の低い)ものであることが好ましい。また、制限部26mは、可撓性シート部材26rの他端側26r2(自由端)を、ルーズに保持するとともに、変位を制限する程度の強度があれば足りる。
【0038】
さらに詳しくは、本実施の形態において、可撓性シート部材26rは、他端側26r2に少なくとも1つの貫通穴部26r3が形成されている。具体的に、本実施の形態における可撓性シート部材26rは、他端側26r2の端面26r20から少し離れた位置であって、回転軸方向(幅方向)の中央部に、1つの略長穴状の貫通穴部26r3が形成されている。
一方、制限部26m(制限部材)は、可撓性シート部材26rの貫通穴部26r3に挿入される略円柱状の挿入部26m1が形成されている。そして、この制限部26mの挿入部26m1が、貫通穴部26r3に対して隙間をあけて挿入されることになる。すなわち、挿入部26m1は、貫通穴部26r3に対してルーズに差し込まれることになる。さらに換言すると、
図6に示すように、挿入部26m1は、その断面積が、貫通穴部26r3の穴面積に対して小さくなるように形成されている。
【0039】
このような構成により、可撓性シート部材26rの他端側26r2が大きく変位しそうになっても、その貫通穴部26r3が制限部26m(挿入部26m1)に干渉して、その変位が制限されることになる。
したがって、現像ローラ26aと可撓性シート部材26rとの間の隙間(ギャップ)にRゲージ200(
図7参照)などの測定器具を抜き差ししたり、現像ローラ26aを逆回転したりしても、可撓性シート部材26rに捲れなどの大きな変形が生じにくくなる。
【0040】
詳しくは、
図7を参照して、現像装置26の製造工場などで、現像ローラ26aと可撓性シート部材26rとの間の隙間(ギャップ)をチェックするために、その隙間に色々な厚みのRゲージ200(測定器具)が抜き差しされる。
このとき、
図7(B)に比較例として示す現像装置126のように、可撓性シート部材126rの他端側126r2の変位(移動)を制限する制限部が設けられていない場合には、Rゲージ200が図の両矢印方向に移動することにより、可撓性シート部材126rは、Rゲージ200に引きずられて、捲れたり、蛇腹状になったり、大きく変形してしまうことがあった。そして、そのような状態で出荷された現像装置126は、可撓性シート部材の本来の機能が充分に発揮されず、トナー飛散などが生じてしまっていた。
これに対して、本実施の形態における現像装置26は、可撓性シート部材26rの他端側26r2の変位(移動)を制限する制限部26mが設けられているため、
図7(A)に示すように、Rゲージ200が図の両矢印方向に移動しても、可撓性シート部材26rは、Rゲージ200に引きずられることなく、大きな変形は生じない。そのため、可撓性シート部材の本来の機能が充分に発揮されることになる。
【0041】
また、
図8(B)に比較例として示す現像装置126のように、可撓性シート部材126rの他端側126r2の変位(移動)を制限する制限部が設けられていない場合には、可撓性シート部材126rの他端側126r2(自由端側)が完全にフリーな状態(位置が定まりにくい状態)になって、可撓性シート部材126rと現像上ケース126kとの間に現像剤Gが入り込みやすくなる(乗り上がりやすくなる)。特に、
図8に示すように、現像ローラ26aが所定のタイミングで逆方向(
図8において矢印で示す時計方向である。)に回転される場合には、そのような不具合が生じやすくなる。そして、可撓性シート部材126rと現像上ケース126kとの間に現像剤Gが入り込んでしまうと、可撓性シート部材126rが狙いのものから大きく変形してしまって、現像ローラ26a上の現像剤Gに強く当り過ぎてしまい、ケーシングギャップWに良好な吸込み気流が形成されにくくなってしまう。そのため、ケーシングギャップWから装置外へのトナー飛散が生じやすくなる。
これに対して、本実施の形態における現像装置26は、可撓性シート部材26rの他端側26r2の変位(移動)を制限する制限部26mが設けられていて、可撓性シート部材26rの他端側26r2(自由端側)が制限部26mでルーズに保持されるため、
図8(A)に示すように、可撓性シート部材26rと現像上ケース126kとの間に現像剤Gが入り込みにくくなり、そのようなトナー飛散が生じにくくなる。
【0042】
なお、本実施の形態では、非現像剤工程時(非画像形成時)に所定のタイミング(例えば、一連の印刷動作が終了した後である。)で、現像ローラ26aが回転方向に対して逆方向(
図4の時計方向である。)に回転されるように制御している。
このような制御をおこなうことで、現像ローラ26aとドクターブレード26cとの間(ドクターギャップ)に現像剤Gが滞留してしまう不具合(詰まってしまう不具合)などを軽減することができる。
【0043】
ここで、本実施の形態における可撓性シート部材26rにおいて、貫通穴部26r3は、回転方向(
図6の上下方向である。)の長さが、回転方向に直交する回転軸方向(
図6の左右方向である。)の長さに比べて長くなるように形成されている。
具体的に、本実施の形態において、貫通穴部26r3は、回転方向を長手方向とする長穴である。そして、貫通穴部26r3は、その短手方向(回転軸方向)の長さが、制限部26mの挿入部26m1の外径に対して僅かに大きくなるように形成されている。
このように構成することで、可撓性シート部材26rは、その他端側26r2(自由端)が幅方向(回転軸方向)に変位しにくくなり(位置ズレしにくくなり)、可撓性シート部材26のシール性が幅方向にわたって維持されることになる。
また、可撓性シート部材26rは、その他端側26r2(自由端)が回転方向にある程度は変位可能になるため、ケーシングギャップWにおいて現像ローラ26a上に担持される現像剤量が増減しても、それに応じて可撓性シート部材26rがフレキシブルに変形して、可撓性シート部材26のシール性が維持されることになる。
【0044】
ここで、
図5等を参照して、本実施の形態において、制限部26mは、可撓性シート部材26rの他端側26r2の現像ローラ26a(現像剤担持体)に近づく方向への変位を制限するストッパ部26m2が形成されている。
詳しくは、ストッパ部26m2は、貫通穴部26r3の穴面積(特に、短手方向の長さ)に対して充分に大きな断面積となるように形成されていて(ストッパ部26m2の投影面が貫通穴部26r3に重なるように形成されていて)、可撓性シート部材26rと現像ローラ26aとの間に位置するように配置されている。
このような構成により、可撓性シート部材26rが現像上ケース26kの対向面26k10から大きく離れてしまう不具合が防止されて、現像ローラ26aに対する離間距離がある程度定められることになる。したがって、先に
図8を用いて説明した効果が維持されやすくなる。
このように、可撓性シート部材26rは、一端側26r1と他端側26r2とを除く腹部が、現像ローラ26aに対向するように(現像ローラ26aに担持された現像剤Gに摺接するように)配置されることになる。
【0045】
ここで、本実施の形態において、制限部26mは、現像上ケース26k(現像ケース)に対して着脱可能に設置されている。
特に、本実施の形態において、制限部26mは、現像上ケース26kに対して製造時に後付けできるように構成されている。
具体的に、現像装置26の製造工程前(組付け前)において、現像上ケース26kと可撓性シート部材26rと制限部26mとは、それぞれ別部材として用意される。そして、現像装置26の製造工程時(組付け時)において、現像上ケース26kに可撓性シート部材26rの一端側26r1が貼着され、その後に、貫通穴部26r3に挿入部26m1が挿通された状態で、現像上ケース26kに制限部26mが接合される(対向面26k10に形成された嵌合穴に挿入部26m1が鋲打ちされる)。こうして、現像上ケース26kと可撓性シート部材26rと制限部26mとからなるサブアッセンブリ部品が完成して、そのサブアッセンブリ部品が、現像ローラ26a、搬送スクリュ26b1、26b2、ドクターブレード26cを保持した状態の現像下ケース26jに接続されることになる。こうして、現像装置26が完成することになる。
【0046】
ここで、
図4等を参照して、本実施の形態において、現像上ケース26k(現像ケース)は、可撓性シート部材26rの一端側26r1と貫通穴部26r3との間に対応する位置に、現像ローラ26aとの隙間(ケーシングギャップW)を狭める凸部26k2が、回転方向に直交する回転軸方向(
図4の紙面垂直方向であって、幅方向であり、長手方向である。)にわたって形成されている。
具体的に、現像上ケース26kの対向面26k10の一部にケーシングギャップWを狭める凸部26k2を形成して、それ以外の部分のケーシングギャップWは略均一になるように構成している。また、凸部26k2と現像ローラ26aとの隙間(ケーシングギャップW)は、現像ローラ26aに対する可撓性シート部材26rの狙いの離間距離(良好な吸込み気流を形成するための隙間)と略一致するように設定している。
このように凸部26k2を設けることで、凸部26k2を設けない場合に比べて、ケーシングギャップWにおける可撓性シート部材26rの姿勢が安定して、良好な吸込み気流が安定的に形成されやすくなる。そのため、ケーシングギャップWから装置外へのトナー飛散も生じにくくなる。
【0047】
なお、本実施の形態において、現像上ケース26kと現像ローラ26aとのケーシングギャップWは、長手方向で略均一になるように構成している。これに対して、長手方向両端部のケーシングギャップWが、長手方向中央部のケーシングギャップWに比べて狭くなるように構成することもできる。このように構成した場合には、可撓性シート部材26rの長手方向両端部のコシが、長手方向中央部のものに比べて弱くても、長手方向にわたって良好な吸込み気流を形成することができる。
また、本実施の形態において、可撓性シート部材26rは、その腹部(裏あて部分)が、少なくとも、2つの搬送磁極P2、P3の間の現像剤G(穂が寝ている部分である。)に摺接するように配置することが好ましい。このように構成することで、P2磁極での現像剤と可撓性シート部材26rとのあたりが強くなるため、安定した吸込み気流が形成されやすくなる。ケーシングギャップWにおける現像剤Gの滞留は、穂が立っている部分においてギャップWを狭めたときに生じやすいため、2つの搬送磁極P2、P3の間の凸部26k2でギャップWを狭める本実施の形態の構成が有用である。
また、可撓性シート部材26rは、ケーシングギャップWにおいて現像剤Gの穂が立っている部分(法線方向磁力の強い、P2磁極である。)で腹当たりしていることが好ましい。これは、吸い込み気流が、穂が寝ている部分ではなくて、穂が立っている部分で発生しやすいためである。
【0048】
なお、本実施の形態における現像装置26には、先に
図2を用いて説明したように、現像装置26の内圧上昇を軽減する開口部26k1及びフィルタ26tが設けられている。本実施の形態における現像装置26において、このような開口部26k1及びフィルタ26tが設けられていない場合であっても、可撓性シート部材26rや制限部26mが上述したように作用することによって、装置外へのトナー飛散は軽減される。しかし、本実施の形態のもののように、開口部26k1及びフィルタ26tを設けることで、トナー飛散を軽減する効果がさらに高められることになる。
また、その場合に、本実施の形態では、可撓性シート部材26rが現像ローラ26a上の現像剤Gに安定した力である程度強く当ることになるため、吸い込み気流が逆流しにくくなり、現像剤Gとともに巻き込まれる空気量も少なくなる。したがって、開口部26k1(フィルタ26t)から装置外に抜ける空気量も少なくなって、フィルタ26tの目詰まりも軽減される。
【0049】
<変形例1>
図9に示すように、変形例1における現像装置26において、可撓性シート部材26rは、貫通穴部26r3に対して他端側(他端側26r2の端面26r20に近づく側である。)に、可撓性シート部材26rの強度を補強する補強部26r5が形成されている。
詳しくは、変形例1において、補強部26r5は、可撓性シート部材26rと同じ材料からなり同じ幅で回転方向の長さが短いものを1枚又は複数枚、他端側の端部に重ねて貼着したものである。すなわち、可撓性シート部材26rは、補強部26r5の部分のみ、厚みが厚くなって、補強されている。
このように構成することにより、可撓性シート部材26rに貫通穴部26r3を形成しても、可撓性シート部材26rの他端側26r2の強度が大きく低下して変形しやすくなってしまう不具合を軽減することができる。
なお、変形例1では、
図9に示すように、可撓性シート部材26rに、複数の貫通穴部26r3を、幅方向の離れた位置に形成している。また、これに対応して、それぞれの貫通穴部26r3に挿入される制限部26mを複数設けている。
このように構成した場合であっても、可撓性シート部材26rの変形を生じにくくすることができる。
【0050】
<変形例2>
図10に示すように、変形例2における現像装置26は、可撓性シート部材26rの変位を制限する制限部として機能する突出部26k5が、現像上ケース26k(現像ケース)に対して現像ローラ26a(現像剤担持体)に近づく方向に突出するように一体的に形成されている。
すなわち、変形例2では、制限部として機能する突出部26k5が、現像上ケース26kとは別部品として設けられているのではなくて、現像上ケース26kの一部として一体的に設けられている。
この制限部としての突出部26k5には、可撓性シート部材26rの貫通穴部26r3に挿入される挿入部26k51が形成されている。
また、制限部としての突出部26k5には、可撓性シート部材26rの他端側26r2の現像ローラ26a(現像剤担持体)に近づく方向への変位を制限するストッパ部26k52が形成されている。
詳しくは、
図10に示すように、突出部26k5(制限部)は、略フック状に形成されていて、その頭部(回転方向に沿うように延在している。)がストッパ部26k52として機能する。そして、そのストッパ部26k52は、
図11(A)に示すように、その投影面が、貫通穴部26r3内に含まれるように、形成されている。また、挿入部26k51は、ストッパ部26k52の一端側(回転方向上流側)の端部に繋がっている。
【0051】
変形例2のように突出部26k5(制限部)を現像上ケース26kに一体的に形成した場合には、現像装置26の製造工程前(組付け前)において、現像上ケース26k(突出部26k5が形成されている。)と可撓性シート部材26rとが、それぞれ別部材として用意される。そして、現像装置26の製造工程時(組付け時)において、現像上ケース26kに可撓性シート部材26rの一端側26r1が貼着され、それに前後して、
図11(A)に示すように、可撓性シート部材26rの他端側26r2をさらに他端側にずらして貫通穴部26r3にストッパ部26k52を通して、貫通穴部26r3に挿入部26k51を挿入する。その後、
図11(B)に示すように、可撓性シート部材26rの他端側26r2を白矢印方向の正常位置にずらして、貫通穴部26r3に対してストッパ部26k52をオーバーラップさせる(ストッパ部26k52として機能する位置に移動させる)。こうして、現像上ケース26k(及び、突出部26k5)と可撓性シート部材26rとからなるサブアッセンブリ部品が完成して、そのサブアッセンブリ部品が、現像ローラ26a、搬送スクリュ26b1、26b2、ドクターブレード26cを保持した状態の現像下ケース26jに接続されることになる。こうして、現像装置26が完成することになる。
このように構成した場合であっても、可撓性シート部材26rの変形を生じにくくすることができる。
特に、変形例2では、突出部26k5(制限部)を現像上ケース26kに一体的に形成しているため、制限部と現像上ケース26kとを別部品として形成する場合に比べて、部品点数が少なくすることができる。
【0052】
以上説明したように、本実施の形態における現像装置26は、感光体ドラム21(像担持体)に対向(又は、接触)して現像領域を形成して、所定の回転方向に回転しながら感光体ドラム21の表面に形成される潜像を現像領域で現像する現像ローラ26a(現像剤担持体)と、現像領域に対して回転方向の下流側で現像ローラ26aに対して隙間をあけて対向する現像ケース26k(現像上ケース)と、が設けられている。また、現像領域に対して回転方向の下流側で現像ケース26kに一端側が固定端として保持されて、回転方向に沿うように現像ローラ26aと現像ケース26kとの隙間に配置された可撓性シート部材26rが設けられている。さらに、可撓性シート部材26rの他端側を自由端としたまま固定せずに、少なくとも回転方向の変位を制限する制限部26mが設けられている。そして、可撓性シート部材26rは、他端側26r2に少なくとも1つの貫通穴部26r3が形成されている。また、制限部26mは、貫通穴部26r3に挿入される挿入部26m1が形成されている。
これにより、可撓性シート部材26rの変形を生じにくくすることができる。
【0053】
なお、本実施の形態では、現像装置26をプロセスカートリッジ20の構成部材とせずに、画像形成装置本体1に対して単独で着脱できるユニットとした。これに対して、現像装置26をプロセスカートリッジ20の構成部材の1つとして、画像形成装置本体1に対してプロセスカートリッジとして一体的に着脱されるように構成することもできる。
そして、このような場合にも、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
なお、本願において、「プロセスカートリッジ」とは、像担持体を帯電する帯電装置と、像担持体上に形成された潜像を現像する現像装置と、像担持体上をクリーニングするクリーニング装置と、のうち少なくとも1つと、像担持体と、が一体化されて、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されたユニットと定義する。
【0054】
また、本実施の形態では、2つの搬送スクリュ26b1、26b2(搬送部材)が水平方向に並設されていて、ドクターブレード26cが現像ローラ26aの下方に配置された現像装置26に対して、本発明を適用した。しかし、本発明が適用される現像装置の構成はこれに限定されることなく、例えば、3つ以上の搬送部材が水平方向に並設された現像装置や、複数の搬送部材が上下方向に並設されている現像装置や、ドクターブレードが現像ローラの上方に配置された現像装置に対しても、本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤を用いた現像装置26に対して、本発明を適用した。これに対して、トナー(外添剤等も含む。)のみからなる1成分現像剤を用いた現像装置に対しても、本発明を適用することができる。その場合、現像ローラ(現像剤担持体)は、感光体ドラム(像担持体)に接触して現像領域を形成するものとすることができる。
また、本実施の形態では、可撓性シート部材26rの回転方向を含む多方向の変位を制限するように制限部26mを形成したが、可撓性シート部材の回転方向の変位のみを制限するように制限部を形成することもできる。
そして、それらのような場合にも、本実施の形態のものとほぼ同様の効果を得ることができる。
【0055】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態の中で示唆した以外にも、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0056】
1 画像形成装置(画像形成装置本体)、
20、20Y、20M、20C、20BK プロセスカートリッジ、
21 感光体ドラム(像担持体)、
26 現像装置、
26a 現像ローラ(現像剤担持体)、
26j 現像下ケース、
26k 現像上ケース(現像ケース)、
26k2 凸部、
26k5 突出部(制限部)、
26k51 挿入部、 26k52 ストッパ部、
26m 制限部、
26m1 挿入部、
26m2 ストッパ部、
26r 可撓性シート部材、
26r1 一端側(固定端)、
26r2 他端側(自由端)、
26r3 貫通穴部、
26r5 補強部、
G 現像剤。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0057】