(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056197
(43)【公開日】2023-04-19
(54)【発明の名称】処理液供給装置及び処理液供給方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20230412BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20230412BHJP
【FI】
H01L21/30 564Z
B05C11/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021165385
(22)【出願日】2021-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(74)【代理人】
【識別番号】100187849
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 隆史
(74)【代理人】
【識別番号】100212059
【弁理士】
【氏名又は名称】三根 卓也
(72)【発明者】
【氏名】緒方 誠
(72)【発明者】
【氏名】橋本 克也
(72)【発明者】
【氏名】三坂 晋一朗
(72)【発明者】
【氏名】今村 真人
(72)【発明者】
【氏名】田尻 卓也
【テーマコード(参考)】
4F042
5F146
【Fターム(参考)】
4F042AA07
4F042AB00
4F042BA07
4F042BA12
4F042CA01
4F042CB02
4F042CB08
4F042CB11
4F042CB20
4F042CB25
4F042DF09
4F042DF32
4F042DH09
4F042EB09
4F042EB13
4F042EB17
4F042ED04
5F146JA01
5F146JA02
5F146JA03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】基板に対する処理液の吐出部に供給する処理液の消費量を抑えながら処理液の清浄度を向上させる。
【解決手段】基板に処理液を吐出する吐出部に処理液を供給する処理液供給装置であって、吐出部に接続された供給管路と、供給管路に介設され吐出部に処理液を圧送する第1ポンプと、第1ポンプの上流側に介設された第1開閉弁と、処理液を濾過するフィルタと、供給管路における第1ポンプの下流側に介設された第2開閉弁と、一端が供給管路における第1ポンプ及びフィルタと第2開閉弁との間から分岐され、他端が供給管路における第1開閉弁の下流側であって第1ポンプ及びフィルタの上流側に接続された戻り管路と、戻り管路に介設され、戻り管路の一端に向けて記処理液を圧送する第2ポンプと、戻り管路における一端と第2ポンプとの間に介設された第3開閉弁と、戻り管路における他端と第2ポンプとの間に介設された第4開閉弁と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に処理液を吐出する吐出部に前記処理液を供給する処理液供給装置であって、
前記吐出部に接続された供給管路と、
前記供給管路に介設され、前記処理液の吸込みと送り出しを同時に行い、前記吐出部に前記処理液を圧送する第1ポンプと、
前記供給管路における前記第1ポンプの上流側に介設された第1開閉弁と、
前記供給管路に介設され、前記処理液を濾過するフィルタと、
前記供給管路における前記第1ポンプの下流側に介設された第2開閉弁と、
一端が前記供給管路における前記第1ポンプ及び前記フィルタと前記第2開閉弁との間から分岐され、他端が前記供給管路における前記第1開閉弁の下流側であって前記第1ポンプ及び前記フィルタの上流側に接続された戻り管路と、
前記戻り管路に介設され、前記戻り管路の前記一端に向けて前記処理液を圧送する第2ポンプと、
前記戻り管路における前記一端と前記第2ポンプとの間に介設された第3開閉弁と、
前記戻り管路における前記他端と前記第2ポンプとの間に介設された第4開閉弁と、を備える、処理液供給装置。
【請求項2】
前記第1開閉弁、前記第2開閉弁、前記第3開閉弁、前記第4開閉弁、前記第1ポンプ及び前記第2ポンプを制御する制御部をさらに備える、請求項1に記載の処理液供給装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記吐出部からの吐出時において、前記第1ポンプからの送り出しによる前記処理液と前記第2ポンプからの前記戻り管路の前記一端に向けた送り出しによる前記処理液とが混合されて前記吐出部に供給されるよう、前記第1開閉弁、前記第2開閉弁、前記第3開閉弁、前記第4開閉弁、前記第1ポンプ及び前記第2ポンプを制御する、請求項2に記載の処理液供給装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記吐出部からの吐出時において、前記第3開閉弁を開状態としてから前記第2開閉弁を開状態とする、請求項3に記載の処理液供給装置。
【請求項5】
前記戻り管路は、前記供給管路における前記第1ポンプ及び前記フィルタを含む部分と共に前記処理液の循環路を構成し、
前記制御部は、前記吐出部からの吐出時以外の時において、前記処理液が前記循環路を循環するよう、前記第1開閉弁、前記第2開閉弁、前記第3開閉弁、前記第4開閉弁、前記第1ポンプ及び前記第2ポンプを制御する、請求項2~4のいずれか1項に記載の処理液供給装置。
【請求項6】
複数の前記吐出部に前記処理液を供給し、
前記供給管路、前記第2開閉弁、前記第3開閉弁及び前記戻り管路は、前記吐出部毎に設けられ、
前記供給管路は、下流側が合流し主供給管路を成し、
前記戻り管路は、前記他端側が合流し主戻り管路を成し、
前記第1開閉弁、前記第1ポンプ及び前記フィルタは、前記主供給管路に介設され、
前記第2ポンプ及び前記第4開閉弁は、前記主戻り管路に介設されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の処理液供給装置。
【請求項7】
前記戻り管路それぞれは、対応する前記供給管路と共に前記処理液の循環路を構成する、請求項6に記載の処理液供給装置。
【請求項8】
一の前記吐出部から吐出される時に、他の前記吐出部に対する前記第2開閉弁及び前記第3開閉弁は閉状態とされる、請求項6または7に記載の処理液供給装置。
【請求項9】
前記第2ポンプから送出される前記処理液の設定流量は、前記吐出部毎に決定される、請求項6~8のいずれか1項に記載の処理液供給装置。
【請求項10】
前記吐出部は前記第2開閉弁と一体化されている、請求項1~9のいずれか1項に記載の処理液供給装置。
【請求項11】
基板に処理液を吐出する吐出部に処理液供給装置を用いて前記処理液を供給する処理液供給方法であって、
前記処理液供給装置は、
前記吐出部に接続された供給管路と、
前記供給管路に介設され、前記処理液の吸込みと送り出しを同時に行い(行うように構成され)、前記吐出部に前記処理液を圧送する第1ポンプと、
前記供給管路における前記第1ポンプの上流側に介設された第1開閉弁と、
前記供給管路に介設され、前記処理液を濾過するフィルタと、
前記供給管路における前記第1ポンプの下流側に介設された第2開閉弁と、
一端が前記供給管路における前記第1ポンプ及び前記フィルタと前記第2開閉弁との間から分岐され、他端が前記供給管路における前記第1開閉弁の下流側であって前記第1ポンプ及び前記フィルタの上流側に接続された戻り管路と、
前記戻り管路に介設され、前記戻り管路の前記一端に向けて前記処理液を圧送する第2ポンプと、
前記戻り管路における前記一端と前記第2ポンプとの間に介設された第3開閉弁と、
前記戻り管路における前記他端と前記第2ポンプとの間に介設された第4開閉弁と、を備え、
前記戻り管路は、前記供給管路における前記第1ポンプ及び前記フィルタを含む部分と共に前記処理液の循環路を構成し、
前記吐出部からの吐出時には、前記第1ポンプから圧送された前記処理液と前記第2ポンプから前記戻り管路の前記一端に向けて圧送された前記処理液とを混合して前記吐出部に供給し、
前記吐出部からの吐出時以外の時において、前記第1ポンプから圧送された前記処理液を、前記第2ポンプ内を通過させ、前記循環路を循環させる、処理液供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、処理液供給装置及び処理液供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、レジスト液を貯留する処理液容器と、ウェハにレジスト液を吐出するノズルと、処理液容器とノズルとを接続する配管からなるレジスト液供給路と、を備えたレジスト液供給装置が開示されている。レジスト液供給路には、処理液容器からのレジスト液を一時的に貯留するバッファタンク、レジスト液をろ過して異物を除去するためのフィルタ、ポンプ、流量調整部、オペレーションバルブ及びサックバックバルブが上流側からこの順に設けられている。レジスト液の吐出は、エアオペバルブを開くと共にポンプを動作させることにより、処理液容器から送られたバッファタンク内のレジスト液がレジスト液供給路を通って下流側に移動する。このため例えば流量調整部にて設定された流量でレジスト液がノズルから吐出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示にかかる技術は、基板に対する処理液の吐出部に供給する処理液の消費量を抑えながら当該処理液の清浄度を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、基板に処理液を吐出する吐出部に前記処理液を供給する処理液供給装置であって、前記吐出部に接続された供給管路と、前記供給管路に介設され、前記処理液の吸込みと送り出しを同時に行い、前記吐出部に前記処理液を圧送する第1ポンプと、前記供給管路における前記第1ポンプの上流側に介設された第1開閉弁と、前記供給管路に介設され、前記処理液を濾過するフィルタと、前記供給管路における前記第1ポンプの下流側に介設された第2開閉弁と、一端が前記供給管路における前記第1ポンプ及び前記フィルタと前記第2開閉弁との間から分岐され、他端が前記供給管路における前記第1開閉弁の下流側であって前記第1ポンプ及び前記フィルタの上流側に接続された戻り管路と、前記戻り管路に介設され、前記戻り管路の前記一端に向けて前記処理液を圧送する第2ポンプと、前記戻り管路における前記一端と前記第2ポンプとの間に介設された第3開閉弁と、前記戻り管路における前記他端と前記第2ポンプとの間に介設された第4開閉弁と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板に対する処理液の吐出部に供給する処理液の消費量を抑えながら当該処理液の清浄度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態にかかる処理液供給装置の構成の概略を示す説明図である。
【
図2】循環吐出動作時の処理液供給装置の状態を示す図である。
【
図3】吐出動作時の処理液供給装置の状態を示す図である。
【
図4】補充動作時の処理液供給装置の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
半導体デバイス等の製造プロセスにおけるフォトリソグラフィー工程では、半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という。)等の基板上に所定のレジストパターンを形成するために一連の処理が行われる。上記一連の処理には、例えば、基板上にレジスト液を供給しレジスト膜を形成するレジスト塗布処理、レジスト膜を露光する露光処理、露光されたレジスト膜に現像液を供給して現像する現像処理等が含まれる。
【0009】
レジスト液や現像液等の処理液の基板への吐出は吐出ノズルを介して行われる。また、吐出ノズルに接続された供給管路には、処理液中の微細な異物(パーティクル)を除去するフィルタが介設されている。
【0010】
しかし、上述のようにフィルタを設けたとしても、供給管路内で処理液が滞留すると、基板に吐出する処理液には異物が含まれ、欠陥として検出される場合がある。
これを避けるため、供給管路内の処理液を、吐出ノズル等から定期的に排出する方法があるが、この方法は、排出する分、処理液の消費量が多く、コストの面で改善の余地がある。
【0011】
そこで、本開示にかかる技術は、基板に対する処理液の吐出部に供給する処理液の消費量を抑えながら当該処理液の清浄度を向上させる。
【0012】
以下、本実施形態にかかる処理液供給装置及び処理液供給方法を、図面を参照して説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
図1は、本実施形態にかかる処理液供給装置の構成の概略を示す説明図である。
図1の処理液供給装置100は、吐出部としての吐出ノズルに処理液を供給する。本実施形態において、処理液供給装置100は、複数(図の例では4つ)の吐出ノズル1a~1dに処理液を供給する。言い換えると、処理液供給装置100は、複数の吐出ノズル1a~1dで共通である。ただし、処理液供給装置100の供給先の吐出ノズルの数は1つであってもよい。
【0014】
なお、以下では、処理液供給装置100に係る部材のうち、吐出ノズル1a~1d等、機能が共通するものについては、参照符号のアルファベットを適宜省略して説明する。例えば、「吐出ノズル1a~1d」については、「吐出ノズル1」と適宜省略して説明する。
【0015】
吐出ノズル1a~1dはそれぞれ、対応する保持部であるスピンチャック2上のウェハW(基板の一例)に、処理液を吐出する。処理液供給装置100が供給し吐出ノズル1a~1dが吐出する処理液は例えばレジスト液である。
【0016】
処理液供給装置100は、吐出ノズル1a~1dに接続された供給管路150a~150dを備えている。供給管路150は、吐出ノズル1毎に設けられ、例えば、下流側端が吐出ノズル1に接続され、上流側端がレジスト液ボトル101に接続されている。
供給管路150a~150dは上流側が合流し主供給管路151を成している。また、供給管路150a~150dは、主供給管路151より上流側が当該主供給管路151から枝供給管路152a、152bに分岐されており、枝供給管路152a、152bそれぞれの上流端部にレジスト液ボトル101a、101bが接続されている。
【0017】
レジスト液ボトル101は、内部にレジスト液を貯留する液供給源であり、交換可能なものである。本実施形態においては、レジスト液ボトル101が複数(具体的には2つ)設けられており、一のレジスト液ボトル101を交換している間でも、他のレジスト液ボトル101からレジスト液を供給可能となっている。レジスト液ボトル101a、101bに接続された枝供給管路152a、152bには開閉弁V1a、V1bが介設されている。
【0018】
また、レジスト液ボトル101a、101bには、開閉弁V2a、V2bが介設された気体供給管路200a、200bも接続されている。気体供給管路200a、200bは、窒素ガス等の不活性ガスの供給源であるガス供給源110a、110bとレジスト液ボトル101a、101bとを接続するものであり、開閉弁V2a、V2bの上流側に圧力調整用の電空レギュレータ111a、111bが設けられている。
【0019】
なお、本実施形態では、第1ポンプ102とレジスト液ボトル101は、直接接続されており、バッファタンク等の中継容器が間に設けられていない。したがって、第1ポンプ102に吸い込まれるレジスト液に、中継容器の貯留室の内壁から発生した異物が混入することがない。
【0020】
供給管路150a~150dには、第1ポンプ102、フィルタ103及び流量計104が介設されている。本実施形態において、第1ポンプ102、フィルタ103及び流量計104は、供給管路150間で共通であり、主供給管路151に介設されている。また、第1ポンプ102、フィルタ103及び流量計104は、例えば上流側からこの順で設けられている。
【0021】
供給管路150a~150dにおける第1ポンプ102の上流側には、第1開閉弁V11が介設されている。本実施形態において、第1開閉弁V11も供給管路150間で共通であり、また、第1開閉弁V11は、主供給管路151における第1ポンプ102の上流側に介設されている。
【0022】
さらに、供給管路150a~150dにおける第1ポンプ102の下流側には、第2開閉弁V12a~V12dが介設されている。本実施形態において、第2開閉弁V12は、供給管路150毎すなわち吐出ノズル1毎に設けられている。
また、第2開閉弁V12は吐出ノズル1と一体化されている。これにより、第2開閉弁V12と吐出ノズル1とを接続する配管内でレジスト液が滞留して清浄度が低下するのを抑制することができる。
【0023】
第1ポンプ102は、レジスト液の吸込みと送り出しを同時に行うように構成されており、例えば磁気浮上型遠心ポンプである。第1ポンプ102は、レジスト液ボトル101等からのレジスト液を吸込み、そのレジスト液を吐出ノズル1等に圧送する。この第1ポンプ102は、一定流量且つ一定圧力でレジスト液を常時送り出すことができる。なお、「レジスト液の吸込みと送り出しを同時に行う」とは、具体的には、レジスト液の吸込み動作と、レジスト液の送り出し動作とを、機械的な切り替えをすることなく行うことを意味する。
【0024】
フィルタ103は、レジスト液を濾過してパーティクルを除去する。具体的には、フィルタ103は、第1ポンプ102から送出されたレジスト液を濾過して当該レジスト液内のパーティクルを除去する。
【0025】
また、処理液供給装置100は、戻り管路160a~160dを備えている。戻り管路160は、供給管路150毎すなわち吐出ノズル1毎に設けられている。
戻り管路160の一端は、供給管路150における第1ポンプ102及びフィルタ103と第2開閉弁V12との間から分岐されている。具体的には、戻り管路160の一端は、対応する供給管路150における、主供給管路151より下流側であって第2開閉弁V12よりも上流側から分岐されている。
一方、戻り管路160の他端は、供給管路150における第1開閉弁V11の下流側であって第1ポンプ102及びフィルタ103の上流側に接続されている。具体的には、戻り管路160の他端は、主供給管路151における第1開閉弁V11と第1ポンプ102及びフィルタ103との間に接続されている。
【0026】
したがって、戻り管路160は、供給管路150の一部と共にレジスト液の循環路を構成する。具体的には、戻り管路160それぞれは、対応する供給管路150の一部と共にレジスト液の循環路を構成する。「供給管路150の一部」とは、供給管路150における第1ポンプ102及びフィルタ103を含む部分である。
【0027】
さらに、戻り管路160a~160dは、上記他端側が合流し主戻り管路161を成している。
また、戻り管路160a~160dには、第2ポンプ105が介設されている。本実施形態において、第2ポンプ105は、戻り管路160間で共通であり、主戻り管路161に介設されている。
【0028】
戻り管路160a~160dにおける上記一端と第2ポンプ105との間には流量計106a~106d及び第3開閉弁V13a~V13dが介設されている。本実施形態において、流量計106及び第3開閉弁V13は、戻り管路160毎すなわち吐出ノズル1毎に設けられている。また、流量計106及び第3開閉弁V13は、主戻り管路161側からこの順で設けられている。
【0029】
さらに、戻り管路160a~160dにおける上記他端と第2ポンプ105との間には第4開閉弁V14が介設されている。本実施形態において、第4開閉弁V14は、戻り管路160間で共通であり、主戻り管路161に介設されている。
【0030】
第2ポンプ105は、少なくとも戻り管路160における上記一端に向けて、すなわち、少なくとも吐出ノズル1側に向けて、レジスト液を圧送可能に構成されている。また、本実施形態において、第1ポンプ102からの圧送によりレジスト液が戻り管路160における上記一端から上記他端に向けて流れる際、すなわち、戻り管路160を含む循環路をレジスト液が循環する際、第2ポンプ105はレジスト液の圧送を行わず、単なる管路となる。したがって、第2ポンプ105は、例えばダイヤフラムポンプから構成される。
【0031】
なお、本実施形態では、主供給管路151における第1ポンプ102とフィルタ103との間には、開閉弁V15が設けられている。
【0032】
さらに、処理液供給装置100は、制御部Mを備える。制御部Mは、例えばCPUやメモリ等を備えたコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、処理液供給装置100における処理を制御するプログラムが格納されている。なお、上記プログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、当該記憶媒体Hから制御部Mにインストールされたものであってもよい。記憶媒体Hは、一時的なものであっても非一時的なものであってもよい。また、プログラムの一部または全ては専用ハードウェア(回路基板)で実現してもよい。
【0033】
処理液供給装置100に設けられた各弁には、制御部Mにより制御可能な電磁弁や空気作動弁が用いられ、各弁と制御部Mは電気的に接続されている。また、制御部Mは、第1ポンプ102及び第2ポンプ105と電気的に接続されている。この構成により、処理液供給装置100における一連の処理は制御部Mの制御の下、自動で行うことが可能となっている。
制御部Mはさらに各流量計に接続されている。したがって、制御部Mは流量計による測定結果に基づいて制御を行うことができる。
【0034】
<処理液供給装置100の動作>
次に、
図2~
図4に基づいて、処理液供給装置100の動作について説明する。
図2~
図4はそれぞれ、循環動作時、吐出動作時、補充動作時の処理液供給装置100の状態を示す図である。
図2~
図4では、開状態の弁を白塗りで、閉状態の弁を黒塗りで、レジスト液または不活性ガスが流通している管を太線で示すことで、その他の弁の開閉状態については説明を適宜省略する。なお、循環動作及び吐出動作それぞれの前において、供給管路150、戻り管路160は予めレジスト液が充填されているものとする。また、以下の各動作は、制御部Mの制御の下、行われる。
【0035】
<循環>
処理液供給装置100では、いずれの吐出ノズル1にもレジスト液を供給しない時、すなわち、いずれの吐出ノズル1からもレジスト液の吐出が行われない時、供給管路150内にレジスト液が滞留することがないよう、戻り管路160を含む循環路内でレジスト液を循環させる。具体的には、
図2に示すように、第1開閉弁V11及び全ての第2開閉弁V12が閉状態とされ、開閉弁V15、全ての第3開閉弁V13及び第4開閉弁V14が開状態とされる。そして、第2ポンプが駆動されずに、第1ポンプ102が駆動される。
【0036】
これにより、第1ポンプ102によるレジスト液の吸込みと送り出しが同時に行われ、レジスト液が、戻り管路160及び供給管路150の一部を含む循環路内を、フィルタ103に濾過されながら循環する。具体的には、戻り管路160a及び供給管路150aの一部を含む循環路内と、戻り管路160b及び供給管路150bの一部を含む循環路内と、戻り管路160c及び供給管路150cの一部を含む循環路内と、戻り管路160d及び供給管路150dの一部を含む循環路内とを、レジスト液がフィルタ103に濾過されながら循環する。
【0037】
循環時、第1ポンプ102が、流量計104での測定結果が所望の値となるように、レジスト液の送り出しを行う。また、循環時に、各流量計106での測定結果が所望の値となるように、対応する第3開閉弁V13の開度を調整し、各戻り管路160のレジスト液の流量を調整してもよい。
なお、循環時に、レジスト液が第2ポンプ105内も通過するが、第2ポンプは作動せず、レジスト液が通流する管路の役割を果たす。
【0038】
上述の循環は、処理液供給装置100の立ち上げ時等にも行われる。この場合、レジスト液がフィルタ103により複数回濾過されるように、上記循環が行われる。
【0039】
このようにレジスト液の循環を行うことで、フィルタ103等に付着していたパーティクルが、滞留によりレジスト液に混入されるのを抑制することができる。
【0040】
<吐出>
処理液供給装置100では、例えば、複数の吐出ノズル1a~1dのうち1つにのみレジスト液を供給し、当該1つからレジスト液が吐出される。吐出ノズル1aからの吐出時は、
図3に示すように、例えば、開閉弁V1a、V2aが開状態とされる。また、第1開閉弁V11、開閉弁V15、吐出ノズル1aに対応する第2開閉弁V12aが開状態とされ、レジスト液の供給対象ではない他の吐出ノズル1b~1dに対応する第2開閉弁V12b~V12dは閉状態とされる。この状態で、ガス供給源110aから不活性ガスによりレジスト液ボトル101a内が加圧されると共に、第1ポンプ102が駆動される。
これにより、第1ポンプ102から送液され、吐出ノズル1aに対応する供給管路150aに充填されていた、フィルタ103を通過したレジスト液が、吐出ノズル1aに供給される。
【0041】
さらに、吐出ノズル1aに対応する第3開閉弁V13aが開状態とされ、レジスト液の供給対象ではない他の吐出ノズル1b~1dに対応する第3開閉弁V13b~V13d及び第4開閉弁V14は閉状態とされる。そして、第2ポンプ105が駆動される。
これにより、第2ポンプ105から送液され、吐出ノズル1aに対応する戻り管路160aに充填されていたレジスト液が、吐出ノズル1aに供給される。言わば、レジスト液が、前述の循環の際とは逆流するように流れ、戻り管路160aを介して、吐出ノズル1aに供給される。
【0042】
したがって、吐出ノズル1aからの吐出時には、第1ポンプ102からの送り出しによるレジスト液と、第2ポンプ105からの戻り管路160aの上記一端に向けた送り出しによるレジスト液とが混合されて、吐出ノズル1aに供給される。
なお、戻り管路160内のレジスト液もフィルタ103を通過したものである。
【0043】
レジスト液の供給先の吐出ノズル1に対応する第3開閉弁V13を開状態としてから、同対応する第2開閉弁V12を開状態としてもよい。これにより、吐出ノズル1からのレジスト液の吐出圧を安定させることができる。
【0044】
ところで、フィルタ103には、当該フィルタ103を通過するレジスト液の流量に適正な範囲がある。例えば、フィルタ103を通過するレジスト液の流量が低すぎると、レジスト液内のパーティクルがフィルタ103内において部分的に滞留してしまうおそれがある。また、フィルタ103を通過するレジスト液の流量が高いと、フィルタ103のメンブレン等に付着していたパーティクルがレジスト液内に混入してしまう恐れ等がある。
【0045】
この点、本実施形態では、吐出ノズル1aからの吐出時に、磁気浮上型遠心ポンプ等から構成される第1ポンプ102が、流量計104での測定結果が所望の値となるように、レジスト液の送り出しを行う。したがって、レジスト液の清浄度が低下するのを抑制することができる。
【0046】
また、フィルタ103を通過するレジスト液の流量が一定であることが好ましい。なぜならば、フィルタ103を通過するレジスト液の流量が安定していないと、フィルタ103のメンブレン(膜)が通液中に動いてしまい、メンブレンから異物が生じてしまうためである。
【0047】
この点に関し、本実施形態では、第1ポンプ102が、例えば磁気浮上型遠心ポンプで構成されており、吐出ノズル1aからの吐出時に、レジスト液の吸込みと送り出しを同時に行う。
【0048】
ここで、第1ポンプ102が、本実施形態と異なり、1のダイヤフラムポンプから構成され、レジスト液の吸込みと送り出しを同時に行うことができない場合を考える。この場合、上記1のダイヤフラムポンプはレジスト液の吸込みを行わずにレジスト液の送り出しを行う。具体的には、吐出ノズル1aからの吐出の際、ダイヤフラムポンプは、ダイヤフラムによって形成される貯留室内へのレジスト液の吸込みを行わすに、上記貯留室内の容積が小さくなるように当該貯留室が変形することにより、貯留室内のレジスト液の送り出しを行う。しかし、この方式では、レジスト液の流量を所望の値とするためには、貯留室内のレジスト液の量に応じて、レジスト液の圧力(具体的にはダイヤフラムに与える圧力)を変化させなければいけない。したがって、第1ポンプ102が、本実施形態と異なり、1のダイヤフラムポンプから構成され、レジスト液の吸込みと送り出しを同時に行うことができない場合、レジスト液を所望の流量且つ一定の圧力で送出することができない。
【0049】
それに対し、本実施形態では、第1ポンプ102が、上述のように、吐出ノズル1aからの吐出の際、レジスト液の吸込みと送り出しを同時に行うことができるため、レジスト液を所望の流量で送出するために、レジスト液の圧力を変化させる必要がない。
したがって、本実施形態では、吐出ノズル1aからの吐出時に、第1ポンプ102が、レジスト液を所望の流量且つ一定の圧力で送出することができる。すなわち、フィルタ103を通過するレジスト液の流量を所望の値としつつ、上記レジスト液の圧力を一定にすることができる。したがって、レジスト液の清浄度をさらに向上させることができる。
【0050】
ただし、フィルタ103に適した流量で第1ポンプ102からレジスト液の送り出しを行うと、所定時間あたりの吐出ノズル1aからの吐出量が不足することがある。
この点、本実施形態では、吐出ノズル1aからの吐出時に、第1ポンプ102からだけでなく、第2ポンプ105からもレジスト液の送出が行われ、吐出ノズル1aに対応する戻り管路160aを含む循環路を逆流するように流れたレジスト液が、吐出ノズル1aに補助的に供給される。したがって、フィルタ103に適した流量で第1ポンプ102からレジスト液の送り出しを行っても、所定時間あたりの吐出ノズル1aからの吐出量が不足することがない。
【0051】
なお、吐出ノズル1aからの吐出の際、第2ポンプ105は、吐出ノズル1aに対応する流量計106aでの測定結果が所望の値すなわち設定値となるように、レジスト液の送り出しを行う。
第2ポンプ105から送出されるレジスト液の設定流量(すなわち流量計106aでの測定結果の目標値)は、吐出ノズル1毎に決定されてもよい。これにより、処理液供給装置100の設置状態(例えば、供給先の吐出ノズル1から第2ポンプ105までの距離や供給先の吐出ノズルの高さ位置等)によらず、所定時間あたりの吐出ノズル1からの吐出量を、所望の値にすることができ、例えば、吐出ノズル1間で等しくすることができる。
【0052】
<補充>
処理液供給装置100では、吐出ノズル1からの吐出後、第2ポンプ105へのレジスト液の補充が行われる。具体的には、
図4に示すように、例えば、開閉弁V1a、V2aが開状態とされる。また、第1開閉弁V11、開閉弁V15及びいずれかの第3開閉弁V13が開状態とされ、他の第3開閉弁V13、全ての第2開閉弁V12及び第4開閉弁V14が閉状態とされる。この状態で、ガス供給源110aから不活性ガスによりレジスト液ボトル101a内が加圧されると共に、第2ポンプ105が駆動されずに、第1ポンプ102が駆動される。
これにより、第2ポンプにレジスト液が補充される。補充が終了すると、前述の循環動作が行われる。
【0053】
第2ポンプ105への補充時においても、第1ポンプ102は、流量計104での測定結果が所望の値となるように、レジスト液の送り出しを行う。そのため、第2ポンプ105への補充時も、フィルタ103内にレジスト液が滞留することがない。
【0054】
つまり、本実施形態では、循環時、吐出ノズルからの吐出時及び第2ポンプ105への補充中も、レジスト液がフィルタ103を同じ流量で絶えず通過する。したがって、フィルタ103内のメンブレンが動くのを抑制することができる。例えば、吐出動作から第2ポンプ105への補充動作に切り換えるときや、第2ポンプへの補充動作から循環動作に切り換えるとき等に、フィルタ103内のメンブレンが動くのを、抑制することができる。その結果、メンブレンからの異物の発生を抑制することができる。
【0055】
<主な効果>
以上のように、本実施形態では、管路の一端が供給管路150における第1ポンプ102及びフィルタ103と第2開閉弁V12との間から分岐され、管路の他端が供給管路150における第1開閉弁V11の下流側であって第1ポンプ102及びフィルタ103の上流側に接続された戻り管路160が設けられている。そのため、この戻り管路160と供給管路150における第1ポンプ102及びフィルタ103を含む部分とで循環路を構成することができる。したがって、吐出ノズル1からの吐出を行わないときに、上述の循環路内でレジスト液を循環させることができるため、レジスト液の滞留によりレジスト液の清浄度が悪化するのを抑制することができる。また、本実形態では、レジスト液の清浄度の悪化の抑制のために、吐出ノズル1等からレジスト液を排出する必要がないため、レジスト液の消費量を抑えることができる。つまり、本実施形態によれば、レジスト液の消費量を抑えながら、レジスト液の清浄度を向上させることができる
ている。
【0056】
また、本実施形態では、レジスト液の吸込みと送り出しを同時に行うように構成された第1ポンプ102が供給管路150に介設されている。そのため、前述したように、吐出ノズル1aからの吐出の際、この第1ポンプ102からレジスト液を所望の流量且つ一定の圧力で送出することができる。したがって、フィルタ103を通過するレジスト液の流量を所望の値としつつ、上記レジスト液の圧力を一定にすることができる。よって、レジスト液の清浄度をさらに向上させることができる。
【0057】
さらに、本実施形態では、戻り管路の前記一端に向けてレジスト液を圧送する第2ポンプ105が設けられている。そのため、前述したように、フィルタ103に適した流量で第1ポンプ102からレジスト液の送り出しを行っても、所定時間あたりの吐出ノズル1からの吐出量が不足することがない。
【0058】
また、本実施形態では、一の処理液供給装置100が、複数の吐出ノズル1にレジスト液を供給する。したがって、吐出ノズル1から吐出されるレジスト液の状態を、吐出ノズル1間で均一にすることができる。
【0059】
(変形例)
以上の例では、フィルタ103は、供給管路150における第1ポンプ102の下流側に設けられていたが、上流側に設けられてもよい。
【0060】
また、以上の例と異なり、第1ポンプ102は、複数のダイヤフラムポンプから構成されてもよい。例えば、第1ポンプ102において、第1ダイヤフラムポンプからレジスト液の送り出しを行いながら、第2ダイヤフラムポンプから第1ダイヤフラムポンプにレジスト液を送り出し、その間に、第3ダイヤフラムポンプにレジスト液の補充すなわちレジスト液の吸込みを行うようにしてもよい。これによっても、吐出動作中等において、一定の流量且つ一定の圧力でフィルタ103に通液することができる。
【0061】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1(1a~1d) 吐出ノズル
100 処理液供給装置
102 第1ポンプ
103 フィルタ
105 第2ポンプ
150(150a~150d) 供給管路
160(160a~160d) 戻り管路
V11 第1開閉弁
V12(V12a~V12a) 第2開閉弁
V13(V13a~V13d) 第3開閉弁
V14(V14a~V14d) 第4開閉弁
W ウェハ