(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056206
(43)【公開日】2023-04-19
(54)【発明の名称】マルチモードファイバのモード依存損失算出装置及びモード依存損失算出方法
(51)【国際特許分類】
G01M 11/02 20060101AFI20230412BHJP
【FI】
G01M11/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021165401
(22)【出願日】2021-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504155293
【氏名又は名称】国立大学法人島根大学
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】中村 篤志
(72)【発明者】
【氏名】岡本 達也
(72)【発明者】
【氏名】古敷谷 優介
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 文彦
【テーマコード(参考)】
2G086
【Fターム(参考)】
2G086KK01
(57)【要約】
【課題】本開示は、マルチモードファイバのモード依存損失を算出するために、各インパルス応答の時間軸を多重前の時間軸に回復するにあたり、各インパルス応答が時間軸上で広がるピークを有するときでも、時間軸上の多重に必要な遅延量を事前に測定しないときでも、多重前の時間軸を回復することを目的とする。
【解決手段】本開示では、複数の各インパルス応答に付与された同一の遅延量を解消するにあたり、同一の遅延量と「異なり得る」同一の時間量だけ、当該複数の各インパルス応答をシフトすることとした。しかし、同一の遅延量と同一の時間量との間の差分量に「依存することなく」、スペクトル伝達行列の特異値の最大値及び最小値に基づいて、マルチモードファイバFのモード依存損失を算出することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチモードファイバの各入力モードと各出力モードとの間の各インパルス応答を、時間軸上に多重して一括して取得するインパルス応答取得部と、
前記各インパルス応答の時間軸を多重前の時間軸に回復し、前記各入力モードを各列又は各行とし、前記各出力モードを各行又は各列とし、前記各インパルス応答をインパルス応答行列の各行列要素として算出するインパルス応答行列算出部と、
前記各インパルス応答を各スペクトル伝達関数に周波数変換し、前記各入力モードを各列又は各行とし、前記各出力モードを各行又は各列とし、前記各スペクトル伝達関数をスペクトル伝達行列の各行列要素として算出するスペクトル伝達行列算出部と、
前記スペクトル伝達行列の特異値の最大値及び最小値に基づいて、前記マルチモードファイバのモード依存損失を算出するモード依存損失算出部と、
を備えるマルチモードファイバのモード依存損失算出装置であって、
前記インパルス応答行列算出部は、全ての前記各インパルス応答のうちの複数の前記各インパルス応答に付与された同一の遅延量を解消するにあたり、前記同一の遅延量と異なり得る同一の時間量だけ、当該複数の前記各インパルス応答をシフトし、
前記モード依存損失算出部は、前記同一の遅延量と前記同一の時間量との間の差分量に依存することなく、前記スペクトル伝達行列の特異値の最大値及び最小値に基づいて、前記マルチモードファイバのモード依存損失を算出する
ことを特徴とするマルチモードファイバのモード依存損失算出装置。
【請求項2】
前記インパルス応答行列算出部は、時間軸上に多重された前記各インパルス応答を前記インパルス応答行列の各行列要素として配置するにあたり、前記インパルス応答行列の異なる列又は行に含まれる前記各インパルス応答を時間軸上で重畳させないようにすることを特徴とする、請求項1に記載のマルチモードファイバのモード依存損失算出装置。
【請求項3】
前記インパルス応答行列算出部は、前記同一の遅延量を付与する遅延線の長さから推定された前記同一の時間量だけ、当該複数の前記各インパルス応答をシフトすることを特徴とする、請求項1又は2に記載のマルチモードファイバのモード依存損失算出装置。
【請求項4】
マルチモードファイバの各入力モードと各出力モードとの間の各インパルス応答を、時間軸上に多重して一括して取得するインパルス応答取得手順と、
前記各インパルス応答の時間軸を多重前の時間軸に回復し、前記各入力モードを各列又は各行とし、前記各出力モードを各行又は各列とし、前記各インパルス応答をインパルス応答行列の各行列要素として算出するインパルス応答行列算出手順と、
前記各インパルス応答を各スペクトル伝達関数に周波数変換し、前記各入力モードを各列又は各行とし、前記各出力モードを各行又は各列とし、前記各スペクトル伝達関数をスペクトル伝達行列の各行列要素として算出するスペクトル伝達行列算出手順と、
前記スペクトル伝達行列の特異値の最大値及び最小値に基づいて、前記マルチモードファイバのモード依存損失を算出するモード依存損失算出手順と、
を順に備えるマルチモードファイバのモード依存損失算出方法であって、
前記インパルス応答行列算出手順は、全ての前記各インパルス応答のうちの複数の前記各インパルス応答に付与された同一の遅延量を解消するにあたり、前記同一の遅延量と異なり得る同一の時間量だけ、当該複数の前記各インパルス応答をシフトし、
前記モード依存損失算出手順は、前記同一の遅延量と前記同一の時間量との間の差分量に依存することなく、前記スペクトル伝達行列の特異値の最大値及び最小値に基づいて、前記マルチモードファイバのモード依存損失を算出する
ことを特徴とするマルチモードファイバのモード依存損失算出方法。
【請求項5】
前記インパルス応答行列算出手順は、時間軸上に多重された前記各インパルス応答を前記インパルス応答行列の各行列要素として配置するにあたり、前記インパルス応答行列の異なる列又は行に含まれる前記各インパルス応答を時間軸上で重畳させないようにすることを特徴とする、請求項4に記載のマルチモードファイバのモード依存損失算出方法。
【請求項6】
前記インパルス応答行列算出手順は、前記同一の遅延量を付与する遅延線の長さから推定された前記同一の時間量だけ、当該複数の前記各インパルス応答をシフトすることを特徴とする、請求項4又は5に記載のマルチモードファイバのモード依存損失算出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マルチモードファイバのモード依存損失を算出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
結合型マルチコアファイバ及び数モードファイバ等(総称してマルチモードファイバと記載する。)は、将来の大容量光通信を実現するための媒体として有望な光ファイバの一つである。マルチモードファイバを用いる空間分割多重(SDM)伝送システムでは、送信信号を復元するために伝送側で多入力多出力(MIMO)信号処理を用いる。
【0003】
MIMO信号処理を用いるSDM伝送システムでは、マルチモードファイバのモード依存損失(MDL)は伝送容量を制限する要因となる。SDM伝送システムの品質担保のために、マルチモードファイバのモード依存損失を算出する技術が必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】T.Arakawa et al,.“Simultaneous mode-by-mode impulse response measurement of multi-mode optical systems based on linear optical sampling”,Optics Express,Vol.27,No.9,12070.
【非特許文献2】S.Rommel et al.,“Few-mode fiber,splice and SDM component characterization by spatially-diverse optical vector network analysis”,Optics Express,Vol.25,No.19,22347.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
まず、一般的な従来技術を説明する。マルチモードファイバの各入力モードと各出力モードとの間の各インパルス応答が、一つずつ測定される。各インパルス応答の時間軸は、同一の時間軸に揃っており、各インパルス応答が、インパルス応答行列の各行列要素として算出される。各インパルス応答が、各スペクトル伝達関数に周波数変換され、各スペクトル伝達関数が、スペクトル伝達行列の各行列要素として算出される。スペクトル伝達行列の特異値は、各モードの損失に対応するため、スペクトル伝達行列の特異値の最大値及び最小値に基づいて、マルチモードファイバのモード依存損失が算出される。
【0006】
しかし、一般的な従来技術では、各インパルス応答が一つずつ測定されるため、マルチモードファイバの出力信号受信装置が多数必要となる。そして、マルチモードファイバの出力信号受信装置が一つのみでも、スイッチ又は手動で経路を切り替えて、各インパルス応答を順番に測定する必要があるため、各インパルス応答の測定時間が長時間となる。
【0007】
次に、非特許文献1、2を説明する。特に、一般的な従来技術との相違点を説明する。マルチモードファイバの各入力モードと各出力モードとの間の各インパルス応答が、時間軸上に多重して一括して測定される。各インパルス応答の時間軸が、多重前の時間軸に回復され、各インパルス応答が、インパルス応答行列の各行列要素として算出される。
【0008】
つまり、非特許文献1、2では、各インパルス応答が時間軸上に多重して一括して測定されるため、マルチモードファイバの出力信号受信装置が一つのみでよく、各インパルス応答の測定時間が短時間となる。しかし、非特許文献1、2では、各インパルス応答の時間軸が、多重前の時間軸に回復されるために、各インパルス応答に付与された遅延量が、正確に把握されたうえで解消される必要があり、以下の方法が採用されている。
【0009】
ここで、非特許文献1では、各インパルス応答間の相互相関が最大化されることにより、各インパルス応答に付与された遅延量が正確に把握される。一方で、非特許文献2では、マルチモードファイバの入力信号多重装置及び出力信号多重装置の遅延量が測定されることにより、各インパルス応答に付与された遅延量が正確に把握される。
【0010】
よって、非特許文献1では、マルチモードファイバの入力信号多重装置及び出力信号多重装置の遅延量が測定されるための、事前の手間が生じない。しかし、非特許文献1では、弱結合マルチモードファイバのように、各インパルス応答が時間軸上で明確なピークを有するときに、適用することができるものの、結合型マルチモードファイバのように、各インパルス応答が時間軸上で広がるピークを有するときに、適用することができない。
【0011】
一方で、非特許文献2では、弱結合マルチモードファイバのように、各インパルス応答が時間軸上で明確なピークを有するときに、適用することができるとともに、結合型マルチモードファイバのように、各インパルス応答が時間軸上で広がるピークを有するときも、適用することができる。しかし、非特許文献2では、マルチモードファイバの入力信号多重装置及び出力信号多重装置の遅延量が測定されるための、事前の手間が生じる。
【0012】
そこで、前記課題を解決するために、本開示は、マルチモードファイバのモード依存損失を算出するために、各インパルス応答の時間軸を多重前の時間軸に回復するにあたり、各インパルス応答が時間軸上で広がるピークを有するときでも、時間軸上の多重に必要な遅延量を事前に測定しないときでも、多重前の時間軸を回復することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するために、複数の各インパルス応答に付与された同一の遅延量を解消するにあたり、同一の遅延量と「異なり得る」同一の時間量だけ、当該複数の各インパルス応答をシフトすることとした。しかし、同一の遅延量と同一の時間量との間の差分量に「依存することなく」、スペクトル伝達行列の特異値の最大値及び最小値に基づいて、マルチモードファイバのモード依存損失を算出することができる。
【0014】
具体的には、本開示は、マルチモードファイバの各入力モードと各出力モードとの間の各インパルス応答を、時間軸上に多重して一括して取得するインパルス応答取得部と、前記各インパルス応答の時間軸を多重前の時間軸に回復し、前記各入力モードを各列又は各行とし、前記各出力モードを各行又は各列とし、前記各インパルス応答をインパルス応答行列の各行列要素として算出するインパルス応答行列算出部と、前記各インパルス応答を各スペクトル伝達関数に周波数変換し、前記各入力モードを各列又は各行とし、前記各出力モードを各行又は各列とし、前記各スペクトル伝達関数をスペクトル伝達行列の各行列要素として算出するスペクトル伝達行列算出部と、前記スペクトル伝達行列の特異値の最大値及び最小値に基づいて、前記マルチモードファイバのモード依存損失を算出するモード依存損失算出部と、を備えるマルチモードファイバのモード依存損失算出装置であって、前記インパルス応答行列算出部は、全ての前記各インパルス応答のうちの複数の前記各インパルス応答に付与された同一の遅延量を解消するにあたり、前記同一の遅延量と異なり得る同一の時間量だけ、当該複数の前記各インパルス応答をシフトし、前記モード依存損失算出部は、前記同一の遅延量と前記同一の時間量との間の差分量に依存することなく、前記スペクトル伝達行列の特異値の最大値及び最小値に基づいて、前記マルチモードファイバのモード依存損失を算出することを特徴とするマルチモードファイバのモード依存損失算出装置である。
【0015】
また、本開示は、マルチモードファイバの各入力モードと各出力モードとの間の各インパルス応答を、時間軸上に多重して一括して取得するインパルス応答取得手順と、前記各インパルス応答の時間軸を多重前の時間軸に回復し、前記各入力モードを各列又は各行とし、前記各出力モードを各行又は各列とし、前記各インパルス応答をインパルス応答行列の各行列要素として算出するインパルス応答行列算出手順と、前記各インパルス応答を各スペクトル伝達関数に周波数変換し、前記各入力モードを各列又は各行とし、前記各出力モードを各行又は各列とし、前記各スペクトル伝達関数をスペクトル伝達行列の各行列要素として算出するスペクトル伝達行列算出手順と、前記スペクトル伝達行列の特異値の最大値及び最小値に基づいて、前記マルチモードファイバのモード依存損失を算出するモード依存損失算出手順と、を順に備えるマルチモードファイバのモード依存損失算出方法であって、前記インパルス応答行列算出手順は、全ての前記各インパルス応答のうちの複数の前記各インパルス応答に付与された同一の遅延量を解消するにあたり、前記同一の遅延量と異なり得る同一の時間量だけ、当該複数の前記各インパルス応答をシフトし、前記モード依存損失算出手順は、前記同一の遅延量と前記同一の時間量との間の差分量に依存することなく、前記スペクトル伝達行列の特異値の最大値及び最小値に基づいて、前記マルチモードファイバのモード依存損失を算出することを特徴とするマルチモードファイバのモード依存損失算出方法である。
【0016】
これらの構成によれば、各インパルス応答の時間軸を多重前の時間軸におおよそ回復するのみにより、マルチモードファイバのモード依存損失を正確に算出することができる。
【0017】
また、本開示は、前記インパルス応答行列算出部は、時間軸上に多重された前記各インパルス応答を前記インパルス応答行列の各行列要素として配置するにあたり、前記インパルス応答行列の異なる列又は行に含まれる前記各インパルス応答を時間軸上で重畳させないようにすることを特徴とするマルチモードファイバのモード依存損失算出装置である。
【0018】
また、本開示は、前記インパルス応答行列算出手順は、時間軸上に多重された前記各インパルス応答を前記インパルス応答行列の各行列要素として配置するにあたり、前記インパルス応答行列の異なる列又は行に含まれる前記各インパルス応答を時間軸上で重畳させないようにすることを特徴とするマルチモードファイバのモード依存損失算出方法である。
【0019】
これらの構成によれば、各インパルス応答のシフトの時間量を延長線の長さと程遠く推定しないことにより、各インパルス応答の時間軸を多重前の時間軸におおよそ回復したうえで、マルチモードファイバのモード依存損失を正確に算出することができる。
【0020】
また、本開示は、前記インパルス応答行列算出部は、前記同一の遅延量を付与する遅延線の長さから推定された前記同一の時間量だけ、当該複数の前記各インパルス応答をシフトすることを特徴とするマルチモードファイバのモード依存損失算出装置である。
【0021】
また、本開示は、前記インパルス応答行列算出手順は、前記同一の遅延量を付与する遅延線の長さから推定された前記同一の時間量だけ、当該複数の前記各インパルス応答をシフトすることを特徴とするマルチモードファイバのモード依存損失算出方法である。
【0022】
これらの構成によれば、各インパルス応答のシフトの時間量を延長線の長さに基づいて推定することにより、各インパルス応答の時間軸を多重前の時間軸におおよそ回復したうえで、マルチモードファイバのモード依存損失を正確に算出することができる。
【発明の効果】
【0023】
このように、本開示は、マルチモードファイバのモード依存損失を算出するために、各インパルス応答の時間軸を多重前の時間軸に回復するにあたり、各インパルス応答が時間軸上で広がるピークを有するときでも、時間軸上の多重に必要な遅延量を事前に測定しないときでも、多重前の時間軸を回復することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本開示のモード依存損失算出システムの構成を示す図である。
【
図2】本開示のモード依存損失算出処理の手順を示す図である。
【
図3】本開示の時間軸上に多重された各インパルス応答を示す図である。
【
図4】従来技術の各インパルス応答の時間軸の回復処理を示す図である。
【
図5】従来技術の各インパルス応答の時間軸の回復処理を示す図である。
【
図6】本開示の遅延量の付与に対する特異値の保存を示す図である。
【
図7】本開示の各インパルス応答の時間軸の回復処理を示す図である。
【
図8】比較例の各インパルス応答の時間軸の回復処理を示す図である。
【
図9】本開示の各インパルス応答の時間軸の回復処理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
添付の図面を参照して本開示の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本開示の実施の例であり、本開示は以下の実施形態に制限されるものではない。
【0026】
(本開示のモード依存損失算出システムの構成)
本開示のモード依存損失算出システムの構成を
図1に示す。本開示のモード依存損失算出処理の手順を
図2に示す。本開示の時間軸上に多重された各インパルス応答を
図3に示す。モード依存損失算出システムSは、試験光生成装置1、入力信号多重装置2、出力信号多重装置3、参照光生成装置4、出力信号受信装置5及びモード依存損失算出装置6を備える。モード依存損失算出装置6は、
図2のモード依存損失算出プログラムをコンピュータにインストールし実現することができる。
図2のモード依存損失算出プログラムは、記録媒体に記録することができ、ネットワークを通して提供することもできる。
【0027】
マルチモードファイバFは、コアF1、F2を備える。試験光生成装置1は、マルチモードファイバFの入力側に配置され、パルス光源11を用いて、繰り返し周波数fで試験パルス光を生成する。参照光生成装置4は、マルチモードファイバFの出力側に配置され、パルス光源41を用いて、繰り返し周波数f-Δfで参照パルス光を生成する。
【0028】
入力信号多重装置2は、
図3の第1段のように、分波器21、遅延線22及び偏光ビームスプリッタ23を用いて、x偏波の出力と比べてy偏波の出力に対して、遅延量τ
3を付与する。入力信号多重装置2は、
図3の第2段のように、分波器24及び遅延線25を用いて、コアF1の入力と比べてコアF2の入力に対して、遅延量τ
2を付与する。
【0029】
マルチモードファイバFは、各入力モードと各出力モードとの間のモード結合を生じさせる。以下では、「1x」はx偏波がコアF1を伝搬する入力又は出力のモードを示し、「1y」はy偏波がコアF1を伝搬する入力又は出力のモードを示し、「2x」はx偏波がコアF2を伝搬する入力又は出力のモードを示し、「2y」はy偏波がコアF2を伝搬する入力又は出力のモードを示す。そして、「α’β’←αβ」(α、α’=1、2、β、β’=x、y)は、入力モード「αβ」と出力モード「α’β’」との間のモード結合を示す。
【0030】
出力信号多重装置3は、
図3の第3段のように、遅延線31及び合波器32を用いて、コアF1の出力と比べてコアF2の出力に対して、遅延量τ
1を付与する。出力信号受信装置5は、偏光ビームスプリッタ51、分波器52、光ハイブリッド部53x、光検出部54x及びA/D変換部55を用いて、x偏波の出力を分離して抽出する。出力信号受信装置5は、偏光ビームスプリッタ51、分波器52、光ハイブリッド部53y、光検出部54y及びA/D変換部55を用いて、y偏波の出力を分離して抽出する。
【0031】
図3の第4段では、入力モードαβと出力モードα’β’との間のインパルス応答α’β’←αβを、以下のように時間軸上に多重して一括して取得することができる。ここで、各インパルス応答α’β’←αβは、時間軸上で広がるピークを有する。
インパルス応答1x←1x、1y←1xに付与された遅延量=0
インパルス応答2x←1x、2y←1xに付与された遅延量=τ
1
インパルス応答1x←2x、1y←2xに付与された遅延量=τ
2
インパルス応答2x←2x、2y←2xに付与された遅延量=τ
2+τ
1
インパルス応答1x←1y、1y←1yに付与された遅延量=τ
3
インパルス応答2x←1y、2y←1yに付与された遅延量=τ
3+τ
1
インパルス応答1x←2y、1y←2yに付与された遅延量=τ
3+τ
2
インパルス応答2x←2y、2y←2yに付与された遅延量=τ
3+τ
2+τ
1
【0032】
モード依存損失算出装置6は、
図2のモード依存損失算出処理を実行する。まず、従来技術の各インパルス応答の時間軸の回復処理を説明する。次に、本開示の各インパルス応答の時間軸の回復処理を説明する。特に、従来技術との相違点を説明する。
【0033】
(従来技術の各インパルス応答の時間軸の回復処理)
従来技術の各インパルス応答の時間軸の回復処理を
図4及び
図5に示す。インパルス応答取得部61は、マルチモードファイバFの各入力モードと各出力モードとの間の各インパルス応答を、時間軸上に多重して一括して取得する(ステップS1)。
【0034】
インパルス応答行列算出部62は、各インパルス応答の時間軸を多重前の時間軸に回復し、各入力モードを各列とし、各出力モードを各行とし、各インパルス応答をインパルス応答行列の各行列要素として算出する(ステップS2)。ここで、インパルス応答行列算出部62は、全ての各インパルス応答のうちの複数の各インパルス応答に付与された同一の遅延量を解消するにあたり、同一の遅延量(非特許文献1、2の方法で測定可能。)と等しい同一の時間量だけ、当該複数の各インパルス応答をシフトする。
【0035】
図4では、インパルス応答2x←1x、2y←1xが、遅延量τ
1と等しい時間量τ
1だけシフトされ、インパルス応答1x←1x、1y←1xとともに、時間窓W1に含まれる。インパルス応答2x←2x、2y←2xが、遅延量τ
1と等しい時間量τ
1だけシフトされ、インパルス応答1x←2x、1y←2xとともに、時間窓W2に含まれる。インパルス応答2x←1y、2y←1yが、遅延量τ
1と等しい時間量τ
1だけシフトされ、インパルス応答1x←1y、1y←1yとともに、時間窓W3に含まれる。インパルス応答2x←2y、2y←2yが、遅延量τ
1と等しい時間量τ
1だけシフトされ、インパルス応答1x←2y、1y←2yとともに、時間窓W4に含まれる。
【0036】
図5の第1段から第2段へと、時間窓W2に含まれたインパルス応答1x←2x、1y←2x、2x←2x、2y←2xが、遅延量τ
2と等しい時間量τ
2だけシフトされ、インパルス応答1x←1x、1y←1x、2x←1x、2y←1xとともに、時間窓W1に含まれる。時間窓W4に含まれたインパルス応答1x←2y、1y←2y、2x←2y、2y←2yが、遅延量τ
2と等しい時間量τ
2だけシフトされ、インパルス応答1x←1y、1y←1y、2x←1y、2y←1yとともに、時間窓W3に含まれる。
【0037】
図5の第2段から第3段へと、時間窓W3に含まれたインパルス応答1x←1y、1y←1y、2x←1y、2y←1y、1x←2y、1y←2y、2x←2y、2y←2yが、遅延量τ
3と等しい時間量τ
3だけシフトされ、インパルス応答1x←1x、1y←1x、2x←1x、2y←1x、1x←2x、1y←2x、2x←2x、2y←2xとともに、時間窓W1に含まれる。このように、各インパルス応答の時間軸が回復される。
【0038】
スペクトル伝達行列算出部63は、各インパルス応答を各スペクトル伝達関数に周波数変換し、各入力モードを各列とし、各出力モードを各行とし、各スペクトル伝達関数をスペクトル伝達行列の各行列要素として算出する(ステップS3)。
【0039】
モード依存損失算出部64は、スペクトル伝達行列の特異値の最大値及び最小値に基づいて、マルチモードファイバFのモード依存損失を算出する(ステップS4)。ここで、モード依存損失算出部64は、スペクトル伝達行列Hを数式1の第2辺のように算出し、スペクトル伝達行列Hの特異値λ
1~λ
4を数式1の第3辺のように算出し(P、Qは、特異値ベクトルの配置行列。)、マルチモードファイバFのモード依存損失をMDL=λ
max
2/λ
min
2のように算出する(λ
max、λ
minは、λ
1~λ
4の最大値及び最小値。)。
【数1】
【0040】
(本開示の各インパルス応答の時間軸の回復処理)
本開示の遅延量の付与に対する特異値の保存を
図6に示す。
図6の左上欄及び左下欄では、入力モード1x、1y、2x、2y及び出力モード1x、1y、2x、2yのうち、全ての入力及び出力のモードに対して、遅延線Dによる遅延量τが付与されていない。
【0041】
図6の右上欄では、入力モード1x、1y、2x、2y及び出力モード1x、1y、2x、2yのうち、出力モード1xのみに対して、遅延線Dによる遅延量τが付与されている。マルチモードファイバF及び遅延線Dをともに考慮したスペクトル伝達行列H’は、数式2のように表される。ここで、数式2のスペクトル伝達行列H’は、数式1のスペクトル伝達行列Hに対して、第1行のみにe
-jωτ(ωは各周波数。)が乗算されている。
【数2】
【0042】
つまり、数式2のスペクトル伝達行列H’は、数式1のスペクトル伝達行列Hに対して、e-jωτ及び1(いずれの絶対値も1と等しい。)を対角要素に含む対角行列を左側から乗算されている。よって、数式2のスペクトル伝達行列H’の特異値λ1~λ4は、数式1のスペクトル伝達行列Hの特異値λ1~λ4と等しい。ただし、数式2の特異値ベクトルの配置行列P’は、数式1の特異値ベクトルの配置行列Pと異なる。そして、数式2の特異値λ1~λ4に基づくマルチモードファイバFのモード依存損失MDLは、数式1の特異値λ1~λ4に基づくマルチモードファイバFのモード依存損失MDLと等しい。
【0043】
図6の右下欄では、入力モード1x、1y、2x、2y及び出力モード1x、1y、2x、2yのうち、入力モード1xのみに対して、遅延線Dによる遅延量τが付与されている。マルチモードファイバF及び遅延線Dをともに考慮したスペクトル伝達行列H’は、数式3のように表される。ここで、数式3のスペクトル伝達行列H’は、数式1のスペクトル伝達行列Hに対して、第1列のみにe
-jωτ(ωは各周波数。)が乗算されている。
【数3】
【0044】
つまり、数式3のスペクトル伝達行列H’は、数式1のスペクトル伝達行列Hに対して、e-jωτ及び1(いずれの絶対値も1と等しい。)を対角要素に含む対角行列を右側から乗算されている。よって、数式3のスペクトル伝達行列H’の特異値λ1~λ4は、数式1のスペクトル伝達行列Hの特異値λ1~λ4と等しい。ただし、数式3の特異値ベクトルの配置行列Q’は、数式1の特異値ベクトルの配置行列Qと異なる。そして、数式3の特異値λ1~λ4に基づくマルチモードファイバFのモード依存損失MDLは、数式1の特異値λ1~λ4に基づくマルチモードファイバFのモード依存損失MDLと等しい。
【0045】
本開示の各インパルス応答の時間軸の回復処理を
図7及び
図9に示す。インパルス応答取得部61は、マルチモードファイバFの各入力モードと各出力モードとの間の各インパルス応答を、時間軸上に多重して一括して取得する(ステップS1)。
【0046】
インパルス応答行列算出部62は、各インパルス応答の時間軸を多重前の時間軸に回復し、各入力モードを各列とし、各出力モードを各行とし、各インパルス応答をインパルス応答行列の各行列要素として算出する(ステップS2)。ここで、インパルス応答行列算出部62は、全ての各インパルス応答のうちの複数の各インパルス応答に付与された同一の遅延量を解消するにあたり、同一の遅延量(非特許文献1、2の方法で測定不要。)と異なり得る同一の時間量だけ、当該複数の各インパルス応答をシフトする(ステップS2-1)。例えば、インパルス応答行列算出部62は、同一の遅延量を付与する遅延線の長さから推定された同一の時間量だけ、当該複数の各インパルス応答をシフトする。
【0047】
図7では、インパルス応答2x←1x、2y←1xが、遅延量τ
1と異なる時間量τ
1’だけシフトされ、インパルス応答1x←1x、1y←1xとともに、時間窓W1に含まれる。インパルス応答2x←2x、2y←2xが、遅延量τ
1と異なる時間量τ
1’だけシフトされ、インパルス応答1x←2x、1y←2xとともに、時間窓W2に含まれる。インパルス応答2x←1y、2y←1yが、遅延量τ
1と異なる時間量τ
1’だけシフトされ、インパルス応答1x←1y、1y←1yとともに、時間窓W3に含まれる。インパルス応答2x←2y、2y←2yが、遅延量τ
1と異なる時間量τ
1’だけシフトされ、インパルス応答1x←2y、1y←2yとともに、時間窓W4に含まれる。
【0048】
図9の第1段から第2段へと、時間窓W2に含まれたインパルス応答1x←2x、1y←2x、2x←2x、2y←2xが、遅延量τ
2と異なる時間量τ
2’だけシフトされ、インパルス応答1x←1x、1y←1x、2x←1x、2y←1xとともに、時間窓W1に含まれる。時間窓W4に含まれたインパルス応答1x←2y、1y←2y、2x←2y、2y←2yが、遅延量τ
2と異なる時間量τ
2’だけシフトされ、インパルス応答1x←1y、1y←1y、2x←1y、2y←1yとともに、時間窓W3に含まれる。
【0049】
図9の第2段から第3段へと、時間窓W3に含まれたインパルス応答1x←1y、1y←1y、2x←1y、2y←1y、1x←2y、1y←2y、2x←2y、2y←2yが、遅延量τ
3と異なる時間量τ
3’だけシフトされ、インパルス応答1x←1x、1y←1x、2x←1x、2y←1x、1x←2x、1y←2x、2x←2x、2y←2xとともに、時間窓W1に含まれる。このように、各インパルス応答の時間軸が回復される。
【0050】
ただし、インパルス応答行列算出部62は、時間軸上に多重された各インパルス応答をインパルス応答行列の各行列要素として配置するにあたり、インパルス応答行列の異なる列に含まれる各インパルス応答を時間軸上で重畳させない(ステップS2-2)。
【0051】
比較例の各インパルス応答の時間軸の回復処理を
図8に示す。
図8では、インパルス応答2x←1x、2y←1xが、遅延量τ
1と異なる時間量τ
1’だけシフトされ、インパルス応答1x←1x、1y←1xと異なり、時間窓W1に含まれなくなる。インパルス応答2x←2x、2y←2xが、遅延量τ
1と異なる時間量τ
1’だけシフトされ、インパルス応答1x←1x、1y←1xとともに、時間窓W1に含まれてしまう。インパルス応答2x←1y、2y←1yが、遅延量τ
1と異なる時間量τ
1’だけシフトされ、インパルス応答1x←1y、1y←1yと異なり、時間窓W3に含まれなくなる。インパルス応答2x←2y、2y←2yが、遅延量τ
1と異なる時間量τ
1’だけシフトされ、インパルス応答1x←1y、1y←1yとともに、時間窓W3に含まれてしまう。すると、時間量τ
2’、τ
3’のシフトが実行されても、各インパルス応答の時間軸が回復されない。
【0052】
スペクトル伝達行列算出部63は、各インパルス応答を各スペクトル伝達関数に周波数変換し、各入力モードを各列とし、各出力モードを各行とし、各スペクトル伝達関数をスペクトル伝達行列の各行列要素として算出する(ステップS3)。
【0053】
モード依存損失算出部64は、スペクトル伝達行列の特異値の最大値及び最小値に基づいて、マルチモードファイバFのモード依存損失を算出する(ステップS4)。ここで、モード依存損失算出部64は、同一の遅延量と同一の時間量との間の差分量に依存することなく、スペクトル伝達行列の特異値の最大値及び最小値に基づいて、マルチモードファイバFのモード依存損失を算出する(ステップS4-1)。
【0054】
つまり、モード依存損失算出部64は、スペクトル伝達行列H’を数式4の第2辺のように算出し、スペクトル伝達行列H’の特異値λ
1~λ
4を数式4の第3辺のように算出し(P’、Q’は、特異値ベクトルの配置行列。)、マルチモードファイバFのモード依存損失をMDL=λ
max
2/λ
min
2のように算出する(λ
max、λ
minは、λ
1~λ
4の最大値及び最小値。)。以下では、数式4の第2辺の対角行列の対角要素を説明する。
【数4】
【0055】
図7では、入力モード1x、1y、2x、2y及び出力モード1x、1y、2x、2yのうち、出力モード2x、2yのみに対して、遅延量τ
1’(≠τ
1)が解消されているが、遅延量τ
1-τ
1’(≠0)が維持されている。よって、数式4のスペクトル伝達行列H’は、数式1のスペクトル伝達行列Hに対して、e
-jω(τ1-τ1’)及び1(いずれの絶対値も1と等しい。)を対角要素に含む対角行列を左側から乗算されている。
【0056】
図9の第2段では、入力モード1x、1y、2x、2y及び出力モード1x、1y、2x、2yのうち、入力モード2x、2yのみに対して、遅延量τ
2’(≠τ
2)が解消されているが、遅延量τ
2-τ
2’(≠0)が維持されている。よって、数式4のスペクトル伝達行列H’は、数式1のスペクトル伝達行列Hに対して、e
-jω(τ2-τ2’)及び1(いずれの絶対値も1と等しい。)を対角要素に含む対角行列を右側から乗算されている。
【0057】
図9の第3段では、入力モード1x、1y、2x、2y及び出力モード1x、1y、2x、2yのうち、入力モード1y、2yのみに対して、遅延量τ
3’(≠τ
3)が解消されているが、遅延量τ
3-τ
3’(≠0)が維持されている。よって、数式4のスペクトル伝達行列H’は、数式1のスペクトル伝達行列Hに対して、e
-jω(τ3-τ3’)及び1(いずれの絶対値も1と等しい。)を対角要素に含む対角行列を右側から乗算されている。
【0058】
よって、数式4のスペクトル伝達行列H’の特異値λ1~λ4は、数式1のスペクトル伝達行列Hの特異値λ1~λ4と等しい。ただし、数式4の特異値ベクトルの配置行列P’、Q’は、数式1の特異値ベクトルの配置行列P、Qと異なる。そして、数式4の特異値λ1~λ4に基づくマルチモードファイバFのモード依存損失MDLは、数式1の特異値λ1~λ4に基づくマルチモードファイバFのモード依存損失MDLと等しい。
【0059】
このように、マルチモードファイバFのモード依存損失を算出するために、各インパルス応答の時間軸を多重前の時間軸に回復するにあたり、各インパルス応答が時間軸上で広がるピークを有するときでも(
図3、4、7、8を参照。)、時間軸上の多重に必要な遅延量を事前に測定しないときでも、多重前の時間軸を回復することができる。
【0060】
つまり、各インパルス応答の時間軸を多重前の時間軸におおよそ回復するのみにより、マルチモードファイバFのモード依存損失を正確に算出することができる。
【0061】
そして、各インパルス応答のシフトの時間量を延長線の長さと程遠く推定しないことにより、各インパルス応答の時間軸を多重前の時間軸におおよそ回復したうえで、マルチモードファイバFのモード依存損失を正確に算出することができる。
【0062】
さらに、各インパルス応答のシフトの時間量を延長線の長さに基づいて推定することにより、各インパルス応答の時間軸を多重前の時間軸におおよそ回復したうえで、マルチモードファイバFのモード依存損失を正確に算出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本開示のマルチモードファイバのモード依存損失算出装置及びモード依存損失算出方法は、マルチモードファイバ及びMIMO信号処理を用いるSDM伝送システム等において、マルチモードファイバのモード依存損失を算出することができる。
【符号の説明】
【0064】
S:モード依存損失算出システム
F:マルチモードファイバ
F1、F2:コア
W1、W2、W3、W4:時間窓
D:遅延線
1:試験光生成装置
2:入力信号多重装置
3:出力信号多重装置
4:参照光生成装置
5:出力信号受信装置
6:モード依存損失算出装置
11:パルス光源
21:分波器
22:遅延線
23:偏光ビームスプリッタ
24:分波器
25:遅延線
31:遅延線
32:合波器
41:パルス光源
51:偏光ビームスプリッタ
52:分波器
53x、53y:光ハイブリッド部
54x、54y:光検出部
55:A/D変換部
61:インパルス応答取得部
62:インパルス応答行列算出部
63:スペクトル伝達行列算出部
64:モード依存損失算出部