(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056393
(43)【公開日】2023-04-19
(54)【発明の名称】精製処理装置、基板処理システム及び処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20230412BHJP
【FI】
H01L21/304 648Z
H01L21/304 643A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021165719
(22)【出願日】2021-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】井上 毅哉
(72)【発明者】
【氏名】関口 賢治
(72)【発明者】
【氏名】岩下 光秋
(72)【発明者】
【氏名】上田 博一
(72)【発明者】
【氏名】秋山 浩二
(72)【発明者】
【氏名】浅子 竜一
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157CB14
5F157DA11
5F157DB33
(57)【要約】
【課題】IPAを精製する精製処理装置、基板処理システム及び処理方法を提供する。
【解決手段】基板処理装置に精製したイソプロピルアルコールを供給する精製処理装置であって、精製前のイソプロピルアルコールとイオン液体とを混合し、前記イソプロピルアルコールと前記イオン液体とを分離させることで前記イソプロピルアルコールを精製する処理容器と、前記処理容器に精製前の前記イソプロピルアルコールを供給する精製前溶媒供給口と、前記処理容器に前記イオン液体を供給するイオン液体供給口と、前記処理容器から前記基板処理装置に精製した前記イソプロピルアルコールを供給する精製後溶媒排出口と、を有する、精製処理装置。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理装置に精製したイソプロピルアルコールを供給する精製処理装置であって、
精製前のイソプロピルアルコールとイオン液体とを混合し、前記イソプロピルアルコールと前記イオン液体とを分離させることで前記イソプロピルアルコールを精製する処理容器と、
前記処理容器に精製前の前記イソプロピルアルコールを供給する精製前溶媒供給口と、
前記処理容器に前記イオン液体を供給するイオン液体供給口と、
前記処理容器から前記基板処理装置に精製した前記イソプロピルアルコールを供給する精製後溶媒排出口と、を有する、
精製処理装置。
【請求項2】
前記処理容器から前記イオン液体を排出する廃液排出口と、を有する、
請求項1に記載の精製処理装置。
【請求項3】
前記処理容器内の前記イソプロピルアルコールと前記イオン液体とを攪拌する攪拌機構を備える、
請求項1または請求項2に記載の精製処理装置。
【請求項4】
前記イソプロピルアルコール及び前記イオン液体の温度を調整する温度調整部を備える、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の精製処理装置。
【請求項5】
前記温度調整部は、前記処理容器に供給される精製前の前記イソプロピルアルコール及び前記イオン液体の温度を調整する、
請求項4に記載の精製処理装置。
【請求項6】
前記温度調整部は、前記処理容器内の前記イソプロピルアルコール及び前記イオン液体の温度を調整する、
請求項5に記載の精製処理装置。
【請求項7】
前記精製前溶媒供給口は、イソプロピルアルコールを収容するタンクから精製前の前記イソプロピルアルコールが供給される、
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の精製処理装置。
【請求項8】
前記精製前溶媒供給口は、前記基板処理装置で回収された前記イソプロピルアルコールが供給される、
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の精製処理装置。
【請求項9】
前記イオン液体は、前記イソプロピルアルコールよりも比重が重い、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の精製処理装置。
【請求項10】
前記イオン液体は、DEME-BF4、AEIm-BF4、AMIm-BF4、EMIm-BF4のうち、いずれかである、
請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の精製処理装置。
【請求項11】
前記基板処理装置と、請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の精製処理装置を含む、基板処理システム。
【請求項12】
金属を含むイソプロピルアルコールとイオン液体とを混合させる工程と、
前記イソプロピルアルコールと前記イオン液体とを分離させる工程と、
分離した前記イソプロピルアルコールを他の装置に供給する工程と、を有する、処理方法。
【請求項13】
前記イソプロピルアルコールと前記イオン液体とを分離させる工程は、
混合した前記イソプロピルアルコール及び前記イオン液体を冷却して静置する、
請求項12に記載の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、精製処理装置、基板処理システム及び処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ウエハに薬液を供給してウエハを洗浄する基板処理装置が知られている。この基板処理装置において、ウエハに希フッ酸(DHF液)が吐出され、DHF液による薬液洗浄が行われる。次に、このウエハに、純水(リンス液)が吐出され、リンス処理が行われる。その後、このウエハに、イソプロピルアルコール(IPA)が供給され、ウエハが乾燥処理される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一の側面では、本開示は、IPAを精製する精製処理装置、基板処理システム及び処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、一の態様によれば、基板処理装置に精製したイソプロピルアルコールを供給する精製処理装置であって、精製前のイソプロピルアルコールとイオン液体とを混合し、前記イソプロピルアルコールと前記イオン液体とを分離させることで前記イソプロピルアルコールを精製する処理容器と、前記処理容器に精製前の前記イソプロピルアルコールを供給する精製前溶媒供給口と、前記処理容器に前記イオン液体を供給するイオン液体供給口と、前記処理容器から前記基板処理装置に精製した前記イソプロピルアルコールを供給する精製後溶媒排出口と、を有する、精製処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
一の側面によれば、IPAを精製する精製処理装置、基板処理システム及び処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態に係る基板処理システムの構成を説明する構成図の一例である。
【
図2】精製処理装置の構成を説明する断面模式図の一例である。
【
図3】精製処理装置の動作を説明するフローチャートの一例である。
【
図4】イオン液体によるIPA精製を説明する模式図である。
【
図5】イオン液体による金属除去の結果の一例を示すグラフである。
【
図6】精製処理装置の構成を説明する断面模式図の他の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0009】
図1は、本実施形態に係る基板処理システム1の構成を説明する構成図の一例である。
【0010】
基板処理システム1は、基板処理装置10と、精製処理装置20と、IPA供給装置30と、イオン液体供給装置40と、を備える。
【0011】
基板処理装置10は、例えば、ウエハを洗浄する洗浄装置である。基板処理装置10は、例えば、スピンチャックと、洗浄薬液供給部と、リンス液供給部と、乾燥液供給部と、不活性ガス供給部と、を有する。スピンチャックは、ウエハを保持して回転する。洗浄薬液供給部は、スピンチャックに保持されたウエハに洗浄薬液(例えば、希フッ酸(DHF(Diluted HydroFluoric acid)液:希フッ化水素水溶液))を供給する。なお、洗浄薬液は、希フッ酸を含む酸性洗浄薬液に限られるものではなく、レジスト剥離剤やアセトン溶剤のような有機系溶剤を用いてもよい。リンス液供給部は、スピンチャックに保持されたウエハにリンス液(例えば、純水)を供給する。乾燥液供給部は、スピンチャックに保持されたウエハに乾燥液(イソプロピルアルコール。以下、IPAと称する。)を供給する。不活性ガス供給部は、スピンチャックに保持されたウエハに不活性ガス(例えば、N2ガス)を供給する。
【0012】
基板処理装置10は、薬液処理工程と、リンス処理工程と、乾燥処理工程と、を行うことによりウエハを洗浄する。薬液処理工程は、スピンチャックがウエハを保持して回転する状態で、ウエハに洗浄薬液(例えば、DHF液)を供給する。これにより、ウエハの表面に薬液の液膜を形成して、薬液処理する。リンス処理工程は、スピンチャックがウエハを保持して回転する状態で、ウエハにリンス液(例えば、純水)を供給する。これにより、ウエハの表面に残存している薬液が押し流され、ウエハの表面に純水の液膜が形成される。乾燥処理工程は、スピンチャックがウエハを保持して回転する状態で、ウエハに乾燥液(IPA)を供給する。これにより、ウエハの表面に残存しているリンス液が押し流され、ウエハの表面に乾燥液の液膜が形成される。その後、乾燥液の供給を停止し、ウエハを回転させ、ウエハの表面の乾燥液を振り切る。更に、ウエハに不活性ガス(例えば、N2ガス)を吹き付け、ウエハを乾燥させる。
【0013】
精製処理装置20は、IPAを精製する。具体的には、IPAからIPA中に含まれる微量の水分や金属等の不純物を除去することにより、IPAを精製する。そして、精製処理装置20は、精製したIPAを基板処理装置10(乾燥液供給部)に供給する。
【0014】
IPA供給装置30は、精製処理装置20にIPA(イソプロピルアルコール)を供給する。
【0015】
イオン液体供給装置40は、精製処理装置20にイオン液体を供給する。イオン液体としては、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムテトラフルオロボラート(以下、「DEME-BF4」と称する。)、1-アリル-3-エチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート(以下、「AEIm-BF4」と称する。)、1-アリル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート(以下、「AMIm-BF4」と称する。)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート(以下、「EMIm-BF4」と称する。)等を用いることができる。
【0016】
基板処理装置10と精製処理装置20とは、流路21で接続され、基板処理装置10から回収したIPAを精製処理装置20に供給する。IPA供給装置30と精製処理装置20とは流路22で接続され、IPA供給装置30から精製処理装置20にIPAを供給する。イオン液体供給装置40と精製処理装置20とは流路23で接続され、イオン液体供給装置40から精製処理装置20にイオン液体を供給する。精製処理装置20と基板処理装置10(乾燥液供給部)とは流路24で接続され、精製処理装置20で精製したIPAを基板処理装置10(乾燥液供給部)に供給する。精製処理装置20には、流路25が接続され、廃液を排出する。
【0017】
次に、精製処理装置20は、について、
図2を用いて更に説明する。
図2は、精製処理装置20の構成を説明する断面模式図の一例である。
【0018】
精製処理装置20は、処理容器210と、温度調節機構221,222、攪拌機構230、開閉弁241~245と、制御部260と、を備える。
【0019】
処理容器210は、精製前のIPA及びイオン液体が供給され、処理容器210内でIPAを精製する。また、処理容器210は、精製したIPAを基板処理装置10(乾燥液供給部)に供給する。
【0020】
処理容器210は、流路21と接続され、処理容器210に精製前のIPAを供給する精製前溶媒入口を有する。また、処理容器210は、流路22と接続され、処理容器210に精製前のIPAを供給する精製前溶媒供給口を有する。また、処理容器210は、流路23と接続され、処理容器210にイオン液体を供給するイオン液体供給口を有する。
【0021】
ここで、イオン液体は、IPAに対して不溶性を有する。また、イオン液体は、IPAよりも比重が重い。このため、処理容器210に供給されたIPA及びイオン液体を含む溶液250は、静置することにより、
図2に示すように、上層のIPA層251と下層のイオン液体層252に分離する。
【0022】
また、処理容器210は、流路24と接続され、処理容器210から基板処理装置10(乾燥液供給部)に精製したIPAを排出する精製後溶媒排出口を有する。ここで、精製後溶媒排出口は、処理容器210内の溶液250が2層に分離した溶液のうち上層の溶液(IPA層251)を回収するように、処理容器210の側壁のうち上部側に設けられている。
【0023】
また、処理容器210は、流路25と接続され、処理容器210から処理済のイオン液体(廃液)を排出する廃液排出口を有する。ここで、廃液排出口は、処理容器210内の溶液250が2層に分離した溶液のうち下層の溶液(イオン液体層252)を回収するように、処理容器210の底面に設けられている。
【0024】
温度調節機構221は、処理容器210に収容された溶液250の温度を調節する。温度調節機構222は、流路21~23を介して処理容器210に供給される精製前のIPA及びイオン液体の温度を調節する。なお、温度調節機構221,222の動作は、制御部260によって制御される。
【0025】
攪拌機構230は、処理容器210に収容された溶液250を攪拌する。即ち、攪拌機構230は、上層のIPA層251と下層のイオン液体層252とを攪拌して、IPAとイオン液体とを混合する。なお、攪拌機構230の動作は、制御部260によって制御される。
【0026】
開閉弁241は、流路21に設けられている。開閉弁242は、流路22に設けられている。開閉弁243は、流路23に設けられている。開閉弁244は、流路24に設けられている。開閉弁245は、流路25に設けられている。なお、開閉弁241~245の動作は、制御部260によって制御される。
【0027】
制御部260は、温度調節機構221,222、攪拌機構230、開閉弁241~245の動作を制御することにより、精製処理装置20全体の動作を制御する。
【0028】
次に、精製処理装置20によるIPAの精製処理について、
図3を用いて説明する。
図3は、精製処理装置20の動作を説明するフローチャートの一例である。
【0029】
ステップS101において、制御部260は、開閉弁242及び開閉弁243を開き、精製前のIPA及びイオン液体を処理容器210に供給する。なお、制御部260は、開閉弁241を開き、基板処理装置10から回収されたIPAを処理容器210に供給してもよい。また、制御部260は、温度調節機構222を制御して、処理容器210に供給される精製前のIPA及びイオン液体の温度を調節してもよい。処理容器210へのIPA及びイオン液体の供給が完了すると、制御部260は、開閉弁242(241)及び開閉弁243を閉じる。
【0030】
ステップS102において、制御部260は、攪拌機構230を動作させ、処理容器210内のIPA及びイオン液体を含む溶液250を攪拌する。攪拌が終了すると、制御部260は、攪拌機構230の動作を停止させる。
【0031】
ステップS103において、制御部260は、攪拌機構230を止めた状態で、溶液250を静置する。これにより、IPA層251とイオン液体層252を分離する。
【0032】
ここで、制御部260は、温度調節機構221を制御して、IPA層251とイオン液体層252を分離する温度まで溶液250を冷却(温度調節)してもよい。また、制御部260は、温度調節機構221を制御して、基板処理装置10に供給するIPAの温度に基づいて、溶液250を冷却または加熱(温度調節)してもよい。
【0033】
これにより、精製前のIPA中に含まれる微量の水分や金属がイオン液体層252に移動し、IPA層251のIPAから水分や金属を除去(精製)することができる。
【0034】
ステップS104において、制御部260は、開閉弁244を開き、IPA層251から精製されたIPAを基板処理装置10に供給する。
【0035】
なお、イオン液体は、複数回再利用してもよい。また、開閉弁245を開くことにより、処理容器210からIPA及び水分や金属を含んだイオン液体を廃液として排出することができる。
【0036】
図4は、イオン液体によるIPA精製を説明する模式図である。ここでは、精製前のIPAに含まれる微量の金属を除去する場合を例に説明する。
【0037】
精製前のIPAを含むIPA層251中には、除去対象金属251aが含まれている。また、イオン液体層252には、アニオン、カチオンなどのイオン液体成分252aが含まれている。
【0038】
IPAとイオン液体を攪拌することにより、イオン液体成分252aと除去対象金属251aとが接し、例えば錯体252bを形成する。なお、除去対象金属251aとイオン液体成分252aとの結合構造は、錯体に限られるものではない。そして、溶液250を静置(及び冷却)することにより、IPA層251とイオン液体層252に分離し、錯体252bはイオン液体層252中に含まれる。これにより、IPA層251から除去対象金属251aを除去することができる。
【0039】
なお、
図4においてはIPAから金属を除去する場合を例に説明したが、これに限られるものではない。精製前のIPAに含まれる微量の水分についても、同様にイオン液体によってIPAから除去することができる。
【0040】
図5は、イオン液体による金属除去の結果の一例を示すグラフである。ここでは、IPAにメタル標準液(各金属100ppbが5%硝酸内に溶解した溶液)を添加した汚染IPAを作成した。次に、作成した汚染IPA30mlに、イオン液体としてDEME-BF4を10mlを投入し、攪拌及び冷却静置し、上層のIPAと下層のイオン液体とに分離させた。それぞれの液体を採取し、ICP-MSで各金属原子の質量分析を行った。
【0041】
図5のグラフにおいて、常温未分離は、攪拌後の液体の結果を示す。冷却上層は、冷却静置による分離後のIPAの結果を示す。冷却下層は、冷却静置による分離後のイオン液体の結果を示す。
【0042】
図5に示すように、Fe以外の金属元素で、上層よりも下層の方がメタル検出量が多くなった。また、Cr以外の金属元素では、分離前よりも分離後の上層の方が検出量が少ない。即ち、IPAとイオン液体が分離する際、下層に金属が移動しており、上層では金属除去の効果が得られていることを示す。
【0043】
なお、
図5においては、イオン液体としてDEME-BF4を用いる例を示したが、これに限られるものではない。IPAから除去する金属に応じて好ましいイオン液体を選択することにより、IPAから除去対象金属を好適に除去することができる。
【0044】
以上、本実施形態に係る基板処理システム1によれば、精製処理装置20でIPA中の微量な水分や金属を除去(精製)し、精製したIPAを基板処理装置10に供給することができる。
【0045】
ここで、IPAを精製する際、例えば、IPAを加熱し、不純物との蒸気圧差を利用しターゲットとなる金属汚染物をキレート(錯体)化させて蒸留除去する一般的な高純度化手法が知られている。これに対し、精製処理装置20を用いたIPAの精製方法によれば、IPAを蒸留する温度まで加熱することなく、IPAを精製することができる。これにより、本実施形態に係る基板処理システム1では、引火性を有しかつ揮発性の高いIPAを高温に加熱することなく、IPAを精製することができる。また、難燃性を有しかつ揮発性がない(または十分に低い)イオン液体を用いることにより、近傍装置への影響を抑えることができる。
【0046】
また、IPAを使用する装置(基板処理装置10)から離れた場所で高純度のIPAを精製し、タンク、配管等で搬送する構成においては、搬送中にIPAの純度が劣化するおそれがある。これに対し、本実施形態に係る基板処理システム1では、IPAを使用する装置(基板処理装置10)に近い位置に精製処理装置20を設置することができるので、精製処理装置20から基板処理装置10へのIPAの搬送中にIPAの純度が劣化することを防止することができる。
【0047】
また、イオン液体は、熱安定性が高く、IPAを使用する装置(基板処理装置10)が真空プロセスの環境であっても好適に利用することができる。
【0048】
なお、
図2において、精製処理装置20は、精製したIPAを基板処理装置10に供給する場合を例に説明したがこれに限られるものではない。
【0049】
図6は、精製処理装置20の構成を説明する断面模式図の他の一例である。
図4等で前述したように、IPA中の水分等の不純物は、イオン液体に取り込まれる。また、イオン液体は、イオン液体中に取り込まれた不純物をIPAに戻すことを抑制する。また、イオン液体は熱安定性が高く、例えば真空プロセスの環境であっても、イオン液体が気化しない。このため、不純物を含むイオン液体がIPAに残留していても、その後の処理に悪影響を及ぼさない場合もある。そのような場合は、
図6に示すように、精製処理装置20は、IPAとイオン液体とが混合した溶液250を他の装置に供給する構成であってもよい。
【0050】
本開示の実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。また、上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲、及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 基板処理システム
10 基板処理装置
20 精製処理装置
21~25 流路
30 IPA供給装置
40 イオン液体供給装置
210 処理容器
221,222 温度調節機構
230 攪拌機構
241~245 開閉弁
250 溶液
251 IPA層
252 イオン液体層