(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056564
(43)【公開日】2023-04-20
(54)【発明の名称】検出装置および検出方法
(51)【国際特許分類】
G01N 5/02 20060101AFI20230413BHJP
G01N 29/036 20060101ALI20230413BHJP
G01N 29/24 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
G01N5/02 A
G01N29/036
G01N29/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021165834
(22)【出願日】2021-10-08
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、研究成果展開事業(先端計測分析技術・機器開発プログラム)「超高感度無線無電極MEMS水晶振動子センサーの開発」委託研究開発、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(71)【出願人】
【識別番号】392022570
【氏名又は名称】サムコ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591287118
【氏名又は名称】学校法人日本工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100112715
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】荻 博次
(72)【発明者】
【氏名】野中 知行
(72)【発明者】
【氏名】加藤 史仁
【テーマコード(参考)】
2G047
【Fターム(参考)】
2G047AA01
2G047AA12
2G047BA04
2G047BC04
2G047BC19
2G047CA01
2G047GA13
2G047GB35
2G047GB38
2G047GF26
2G047GG32
2G047GG46
(57)【要約】
【課題】電磁場の供給源を備えない検出素子を用いて検出対象物を検出可能な検出装置を提供する。
【解決手段】送受信装置1の発生回路は、検出素子3-1~3-Mの各々に含まれる振動子を振動させる電磁場EWを送信アンテナ12によって検出素子3-1~3-Mへ無線給電する。送受信装置1の受信回路は、振動子が電磁場EWに基づいた電場Eに起因して振動するときの受信信号R0(t)と、振動子が検出対象物の影響を受けて振動するときの受信信号R1(t)とを受信アンテナ13を介して無線によって検出素子3-1~3-Mの各々から受信する。検出回路2は、受信信号R0(t),R1(t)に基づいて振動子の共振周波数の変化量を検出して検出対象物を検出する処理を検出素子3-1~3-Mから受信したM個の受信信号R0(t),R1(t)の全てについて実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が、振動子と、第1の受信アンテナと、第1の送信アンテナとを含むM(Mは、1以上の整数)個の検出素子と、
前記M個の検出素子にそれぞれ含まれる前記振動子の個数をそれぞれn1,n2,・・・,nM(n1,n2,・・・,nMの各々は、1以上の整数)としたとき、前記M個の検出素子におけるN(Nは、1以上の整数であり、N=n1+n2+・・・+nMを満たす。)個の振動子のそれぞれを共振周波数で振動させる電磁場を発生する発生回路と、前記発生回路によって発生された前記電磁場を前記M個の検出素子におけるM個の前記第1の受信アンテナへ無線給電する第2の送信アンテナと、前記M個の検出素子におけるM個の前記第1の送信アンテナから前記M個の検出素子におけるM個の受信信号を無線によって受信する第2の受信アンテナとを含む送受信装置と、
前記第2の受信アンテナによって受信された前記M個の受信信号に基づいて検出対象物を検出する検出回路とを備え、
前記M個の受信信号の各々は、50MHz以上の前記共振周波数で振動する振動波形からなり、
前記M個の第1の受信アンテナは、前記第2の送信アンテナから無線給電された前記電磁場を受信し、その受信した電磁場に基づいた振動電場をそれぞれ前記n1個の振動子、前記n2個の振動子、・・・、および前記nM個の振動子に印加し、
前記M個の検出素子における前記n1個の振動子、前記n2個の振動子、・・・、および前記nM個の振動子は、前記共振周波数で振動可能に支持されるとともに、前記振動電場が印加されると、前記M個の受信信号を発生し、
前記M個の第1の送信アンテナは、前記n1個の振動子、前記n2個の振動子、・・・、および前記nM個の振動子によって発生された前記M個の受信信号を無線によって前記第2の受信アンテナへ送信し、
前記検出回路は、前記第2の受信アンテナによって受信された前記M個の受信信号に基づいて、1個の前記受信信号における前記共振周波数の変化量を検出することによって前記検出対象物を検出する検出処理を前記M個の受信信号の全てについて実行する、検出装置。
【請求項2】
前記n1個の振動子、前記n2個の振動子、・・・、および前記nM個の振動子を、それぞれ、第1の振動子、第2の振動子、・・・、および第Mの振動子としたとき、
前記M個の受信信号は、前記第1の振動子、前記第2の振動子、・・・、および前記第Mの振動子が前記振動電場に起因して振動するときの第1の振動波形からなる前記M個の検出素子におけるM個の第1の受信信号と、前記第1の振動子、前記第2の振動子、・・・、および前記第Mの振動子が前記検出対象物の影響を受けて振動するときの第2の振動波形からなる前記M個の検出素子におけるM個の第2の受信信号とを含み、
前記第2の受信アンテナは、前記M個の第1の受信信号を受信した後に、前記M個の第2の受信信号を受信し、
前記検出回路は、
前記M個の第1の受信信号に基づいて前記第1の振動子、前記第2の振動子、・・・、および前記第Mの振動子のM個の第1の共振周波数を求める処理を実行し、
前記M個の第2の受信信号に基づいて前記第1の振動子、前記第2の振動子、・・・、および前記第Mの振動子のM個の第2の共振周波数を求める処理を実行し、
前記第1の共振周波数から前記第2の共振周波数を減算した共振周波数の変化量を求める処理を前記M個の第1および第2の共振周波数の全てについて実行してM個の前記共振周波数の変化量を求める処理を実行し、
1個の前記共振周波数の変化量に基づいて検出対象物を検出する処理を前記M個の共振周波数の変化量の全てについて実行して前記M個の検出素子における検出対象物を検出する処理を実行する、請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記M個の検出素子の各々において、前記第1の受信アンテナおよび前記第1の送信アンテナは、1個のアンテナである第1のアンテナ部材からなり、
前記第2の送信アンテナおよび前記第2の受信アンテナは、前記第1のアンテナ部材と異なる1個のアンテナである第2のアンテナ部材からなり、
前記第2のアンテナ部材は、前記発生回路によって発生された前記電磁場を、一定期間、前記M個の検出素子におけるM個の前記第1のアンテナ部材へ無線給電し、前記電磁場の前記M個の第1のアンテナ部材への無線給電を停止した後、前記M個の第1のアンテナ部材から前記M個の受信信号を無線によって受信し、
前記M個の検出素子において、前記M個の第1のアンテナ部材は、前記第2のアンテナ部材によって無線給電された前記電磁場を受信し、その受信した電磁場に基づいた前記振動電場を、前記一定期間、前記n1個の振動子、前記n2個の振動子、・・・、および前記nM個の振動子にそれぞれ印加し、前記振動電場の前記n1個の振動子、前記n2個の振動子、・・・、および前記nM個の振動子への印加を停止した後、前記n1個の振動子、前記n2個の振動子、・・・、および前記nM個の振動子によって発生された前記M個の受信信号を無線によって前記第2のアンテナ部材へ送信する、請求項1または請求項2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記第1のアンテナ部材の形状は、棒形状、または前記振動子の平面に対向する平面における渦巻形状である、請求項3に記載の検出装置。
【請求項5】
前記M個の検出素子の各々において、前記第1の受信アンテナは、1個のアンテナである第1のアンテナ部材からなり、前記第1の送信アンテナは、各々が前記第1のアンテナ部材と異なり、かつ、nm(mは、1~Mのいずれか)個の振動子に対応して設けられたnm(mは、1~Mのいずれか)個の第2のアンテナ部材からなり、
前記第2の送信アンテナは、第3のアンテナ部材からなり、
前記第2の受信アンテナは、前記第3のアンテナ部材と異なる第4のアンテナ部材からなり、
前記第3のアンテナ部材は、前記発生回路によって発生された前記電磁場を前記M個の検出素子におけるM個の前記第1のアンテナ部材へ無線給電し、
前記第4のアンテナ部材は、前記M個の受信信号を前記M個の検出素子におけるn1個の前記第2のアンテナ部材、n2個の前記第2のアンテナ部材、・・・、およびnM個の前記第2のアンテナ部材から無線によって受信し、
前記M個の検出素子の各々において、前記第1のアンテナ部材は、前記第3のアンテナ部材によって無線給電された前記電磁場を受信し、その受信した電磁場に基づいた前記振動電場を前記nm(mは、1~Mのいずれか)個の振動子に印加し、
前記M個の検出素子の各々において、前記nm(mは、1~Mのいずれか)個の第2のアンテナ部材は、前記nm(mは、1~Mのいずれか)個の振動子によって発生された受信信号を無線によって前記第4のアンテナ部材へ送信する、請求項1または請求項2に記載の検出装置。
【請求項6】
前記第1のアンテナ部材の形状は、棒形状、または前記振動子の平面に対向する平面における渦巻形状であり、
前記nm(mは、1~Mのいずれか)個の第2のアンテナ部材の各々は、棒形状、または前記振動子の平面に対向する平面における渦巻形状である、請求項5に記載の検出装置。
【請求項7】
前記M個の検出素子の各々において、前記nm(nmは、2以上の整数であり、mは、1~Mのいずれか)個の振動子は、相互に異なる前記nm(nmは、2以上の整数であり、mは、1~Mのいずれか)個の前記共振周波数でそれぞれ振動する前記nm(nmは、2以上の整数であり、mは、1~Mのいずれか)個の振動波形が重畳された重畳振動波形からなる重畳受信信号を前記受信信号として発生し、
前記M個の検出素子の各々において、前記第1の送信アンテナは、前記重畳受信信号を前記受信信号として無線によって前記第2の受信アンテナへ送信し、
前記検出回路は、前記第2の受信アンテナによって受信された前記M個の受信信号であるM個の前記重畳受信信号のうちの1個の前記重畳受信信号に基づいて前記nm(nmは、2以上の整数であり、mは、1~Mのいずれか)個の振動波形を検出し、その検出したnm(nmは、2以上の整数であり、mは、1~Mのいずれか)個の振動波形のうちの1つの振動波形に基づいて前記検出処理を実行することを前記nm(nmは、2以上の整数であり、mは、1~Mのいずれか)個の振動波形の全てについて実行して相互に異なるnm(nmは、2以上の整数であり、mは、1~Mのいずれか)個の前記検出対象物を検出することをm=1~Mの全てについて実行し、相互に異なるN(Nは、2以上の整数)個の前記検出対象物を検出する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項8】
前記N(Nは、2以上の整数)個の検出対象物は、応力、圧力、ガス、生体物質および温度の少なくとも2つを含む、請求項7に記載の検出装置。
【請求項9】
前記M個の検出素子は、人が立ち入ることができない建物内に設置される、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項10】
前記M個の検出素子は、構造物の内部に設置される、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項11】
前記M個の検出素子は、生体内に設置される、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項12】
前記M個の検出素子の各々は、
第1の面と前記第1の面に対向する第2の面とを有する空間部を含む基材と、
前記空間部の前記第1の面から前記第2の面の方向へ突出した第1の支持部材と、
前記空間部の前記第2の面から前記第1の面の方向へ突出した第2の支持部材と、
前記空間部内において前記第1および第2の面の少なくとも1つの面側に配置された前記第1の送信アンテナおよび前記第1の受信アンテナと、
前記空間部内において振動可能に前記第1の送信アンテナおよび/または前記第1の受信アンテナに接して配置された前記nm(mは、1~Mのいずれか)個の振動子とを含み、
前記第1の支持部材または前記第2の支持部材は、前記nm(mは、1~Mのいずれか)個の振動子が前記第1の面または前記第2の面に接触するのを防止するように前記nm(mは、1~Mのいずれか)個の振動子を支持する、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項13】
M(Mは、1以上の整数)個の検出素子にそれぞれ含まれる振動子の個数をそれぞれn1,n2,・・・,nM(n1,n2,・・・,nMの各々は、1以上の整数)としたとき、前記M個の検出素子におけるN(Nは、1以上の整数であり、N=n1+n2+・・・+nMを満たす。)個の振動子のそれぞれを共振周波数で振動させる電磁場を送信アンテナによって前記M個の検出素子に無線給電する第1のステップと、
前記n1個の振動子、前記n2個の振動子、・・・、および前記nM個の振動子が前記電磁場に基づいた振動電場の印加に応じてそれぞれ50MHz以上の共振周波数で振動する振動波形からなるM個の受信信号を受信アンテナによって前記M個の検出素子から受信する第2のステップと、
前記M個の受信信号に基づいて、1個の前記受信信号における前記共振周波数の変化量を検出することによって検出対象物を検出する処理を検出回路によって前記M個の受信信号の全てについて実行する第3のステップとを備える検出方法。
【請求項14】
前記n1個の振動子、前記n2個の振動子、・・・、および前記nM個の振動子を、それぞれ、第1の振動子、第2の振動子、・・・、および第Mの振動子としたとき、
前記M個の受信信号は、前記第1の振動子、前記第2の振動子、・・・、および前記第Mの振動子が前記振動電場に起因して振動するときの第1の振動波形からなる前記M個の検出素子におけるM個の第1の受信信号と、前記第1の振動子、前記第2の振動子、・・・、および前記第Mの振動子が前記検出対象物の影響を受けて振動するときの第2の振動波形からなる前記M個の検出素子におけるM個の第2の受信信号とを含み、
前記第2のステップにおいて、前記M個の第1の受信信号が前記受信アンテナによって受信された後に、前記M個の第2の受信信号が前記受信アンテナによって受信され、
前記第3のステップは、
前記M個の第1の受信信号に基づいて前記第1の振動子、前記第2の振動子、・・・、および前記第Mの振動子のM個の第1の共振周波数を求める処理を前記検出回路によって実行する第1のサブステップと、
前記M個の第2の受信信号に基づいて前記第1の振動子、前記第2の振動子、・・・、および前記第Mの振動子の振動子のM個の第2の共振周波数を求める処理を前記検出回路によって実行する第2のサブステップと、
前記第1の共振周波数から前記第2の共振周波数を減算した共振周波数の変化量を求める処理を前記M個の第1および第2の共振周波数の全てについて実行してM個の前記共振周波数の変化量を求める処理を前記検出回路によって実行する第3のサブステップと、
1個の前記共振周波数の変化量に基づいて検出対象物を検出する処理を前記M個の共振周波数の変化量の全てについて実行して前記M個の検出素子における検出対象物を検出する処理を前記検出回路によって実行する第4のサブステップとを含む、請求項13に記載の検出方法。
【請求項15】
前記第1のステップにおいて、前記電磁場は、前記振動子の共振周波数よりも高い周波数の搬送波に重畳されて前記M個の検出素子に無線給電される、請求項13または請求項4に記載の検出方法。
【請求項16】
前記第1のステップにおいて、前記電磁場は、前記送信アンテナおよび前記受信アンテナを構成し、かつ、1個のアンテナである送受信アンテナによって、一定期間、前記M個の検出素子に無線給電され、
前記第2のステップにおいて、前記M個の受信信号は、前記一定期間が経過した後に、前記送受信アンテナによって受信される、請求項13から請求項15のいずれか1項に記載の検出方法。
【請求項17】
前記M個の検出素子の各々において、前記nm(nmは、2以上の整数であり、mは、1~Mのいずれか)個の振動子は、前記共振周波数が相互に異なる複数の振動子からなる、請求項13から請求項16のいずれか1項に記載の検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、検出装置および検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載された検出素子が知られている。
図36は、特許文献1に記載された検出素子の断面図である。
図36を参照して、検出素子100は、基板101~103と、振動子104と、アンテナ105~108とを備える。基板101は、凹部111と、支持部材112とを有する。基板102は、貫通孔を有する。基板103は、凹部131と、支持部材132と、送廃液口133とを有する。その結果、基板103を積層することによって空間部SPが形成される。
【0003】
支持部材112は、基板101を厚み方向に貫通し、凹部111の底面111Aから凹部131の底面131Aへ向かって突出している。そして、支持部材112は、金属からなる。
【0004】
支持部材132は、凹部131の底面131Aから凹部111の底面111Aへ向かって突出している。支持部材132(132c)は、基板103を厚み方向に貫通する。支持部材132(132a),132(132b)は、基板103と同じ材料からなり、支持部材132(132c)は、金属からなる。
【0005】
支持部材112,132の各々は、円柱形状からなる。送廃液口133は、基板103の外表面から凹部131の底面131Aに至るまで基板103を厚み方向に貫通する。
【0006】
アンテナ105は、底面111Aおよび支持部材112を覆うように凹部111内に配置され、導電性薄膜からなる。
【0007】
アンテナ106は、基板101において、凹部111の底面111Aと反対側の表面に配置され、支持部材112に接する。その結果、アンテナ106は、アンテナ105に電気的に接続される。そして、アンテナ106は、アンテナ105と同じ導電性薄膜からなる。
【0008】
アンテナ107は、底面131Aおよび支持部材132を覆うように凹部131内に配置される。そして、アンテナ107は、アンテナ105と同じ導電性薄膜からなる。
【0009】
アンテナ108は、基板103において、凹部131の底面131Aと反対側の表面に配置され、支持部材132(132c)に接する。その結果、アンテナ108は、アンテナ107に電気的に接続される。
【0010】
振動子104は、例えば、アンテナ7に接して配置される。
【0011】
検出素子100においては、アンテナ105,106によって電磁場が振動子104に印加されると、振動子104が共振周波数で振動し、アンテナ107,108は、振動子104の振動信号からなる受信信号を検出する。
【0012】
検出対象物が振動子104に付着すると、振動子104の共振周波数が時間とともに減衰するので、振動子104の振動信号からなる受信信号に基づいて、共振周波数の減衰量(変化量)を検出して検出対象物を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
特許文献1においては、アンテナ105,106を介して電磁場を振動子104に印加することが記載されているが、電磁場を検出素子100に供給する方法については、記載されていないため、電磁場の供給源を検出素子100内に設けずに、検出素子100によって検出対象物を検出できるか否かは、不明である。
【0015】
そこで、この発明の実施の形態によれば、電磁場の供給源を備えない検出素子を用いて検出対象物を検出可能な検出装置を提供する。
【0016】
また、この発明の実施の形態によれば、電磁場の供給源を備えない検出素子を用いて検出対象物を検出可能な検出方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
(構成1)
この発明の実施の形態によれば、検出装置は、M(Mは、1以上の整数)個の検出素子と、送受信装置と、検出回路とを備える。M個の検出素子の各々は、振動子と、第1の受信アンテナと、第1の送信アンテナとを含む。送受信装置は、M個の検出素子にそれぞれ含まれる振動子の個数をそれぞれn1,n2,・・・,nM(n1,n2,・・・,nMの各々は、1以上の整数)としたとき、M個の検出素子におけるN(Nは、1以上の整数であり、N=n1+n2+・・・+nMを満たす。)個の振動子のそれぞれを共振周波数で振動させる電磁場を発生する発生回路と、発生回路によって発生された電磁場をM個の検出素子におけるM個の第1の受信アンテナへ無線給電する第2の送信アンテナと、M個の検出素子におけるM個の第1の送信アンテナからM個の検出素子におけるM個の受信信号を無線によって受信する第2の受信アンテナとを含む。検出回路は、第2の受信アンテナによって受信されたM個の受信信号に基づいて検出対象物を検出する。そして、M個の受信信号の各々は、50MHz以上の共振周波数で振動する振動波形からなる。M個の第1の受信アンテナは、第2の送信アンテナから無線給電された電磁場を受信し、その受信した電磁場に基づいた振動電場をそれぞれn1個の振動子、n2個の振動子、・・・、およびnM個の振動子に印加する。M個の検出素子におけn1個の振動子、n2個の振動子、・・・、およびnM個の振動子は、共振周波数で振動可能に支持されるとともに、振動電場が印加されると、M個の受信信号を発生する。M個の第1の送信アンテナは、n1個の振動子、n2個の振動子、・・・、およびnM個の振動子によって発生されたM個の受信信号を無線によって第2の受信アンテナへ送信する。検出回路は、第2の受信アンテナによって受信されたM個の受信信号に基づいて、1個の受信信号における共振周波数の変化量を検出することによって検出対象物を検出する検出処理をM個の受信信号の全てについて実行する。
【0018】
(構成2)
構成1において、n1個の振動子、n2個の振動子、・・・、およびnM個の振動子を、それぞれ、第1の振動子、第2の振動子、・・・、および第Mの振動子としたとき、M個の受信信号は、第1の振動子、第2の振動子、・・・、および第Mの振動子が振動電場に起因して振動するときの第1の振動波形からなるM個の検出素子におけるM個の第1の受信信号と、第1の振動子、第2の振動子、・・・、および第Mの振動子が検出対象物の影響を受けて振動するときの第2の振動波形からなるM個の検出素子におけるM個の第2の受信信号とを含む。第2の受信アンテナは、M個の第1の受信信号を受信した後に、M個の第2の受信信号を受信する。検出回路は、M個の第1の受信信号に基づいて第1の振動子、第2の振動子、・・・、および第Mの振動子のM個の第1の共振周波数を求める処理を実行し、M個の第2の受信信号に基づいて第1の振動子、第2の振動子、・・・、および第Mの振動子のM個の第2の共振周波数を求める処理を実行し、第1の共振周波数から第2の共振周波数を減算した共振周波数の変化量を求める処理をM個の第1および第2の共振周波数の全てについて実行してM個の共振周波数の変化量を求める処理を実行し、1個の共振周波数の変化量に基づいて検出対象物を検出する処理をM個の共振周波数の変化量の全てについて実行してM個の検出素子における検出対象物を検出する処理を実行する。
【0019】
(構成3)
構成1または構成2において、M個の検出素子の各々において、第1の受信アンテナおよび第1の送信アンテナは、1個のアンテナである第1のアンテナ部材からなる。第2の送信アンテナおよび第2の受信アンテナは、第1のアンテナ部材と異なる1個のアンテナである第2のアンテナ部材からなる。第2のアンテナ部材は、発生回路によって発生された電磁場を、一定期間、M個の検出素子におけるM個の第1のアンテナ部材へ無線給電し、電磁場のM個の第1のアンテナ部材への無線給電を停止した後、M個の第1のアンテナ部材からM個の受信信号を無線によって受信する。M個の検出素子において、M個の第1のアンテナ部材は、第2のアンテナ部材によって無線給電された電磁場を受信し、その受信した電磁場に基づいた振動電場を、一定期間、n1個の振動子、n2個の振動子、・・・、およびnM個の振動子にそれぞれ印加し、振動電場のn1個の振動子、n2個の振動子、・・・、およびnM個の振動子への印加を停止した後、n1個の振動子、n2個の振動子、・・・、およびnM個の振動子によって発生されたM個の受信信号を無線によって第2のアンテナ部材へ送信する。
【0020】
(構成4)
構成3において、第1のアンテナ部材の形状は、棒形状、または振動子の平面に対向する平面における渦巻形状である。
【0021】
(構成5)
構成1または構成2において、M個の検出素子の各々において、第1の受信アンテナは、1個のアンテナである第1のアンテナ部材からなり、第1の送信アンテナは、各々が第1のアンテナ部材と異なり、かつ、nm(mは、1~Mのいずれか)個の振動子に対応して設けられたnm(mは、1~Mのいずれか)個の第2のアンテナ部材からなる。第2の送信アンテナは、第3のアンテナ部材からなり、第2の受信アンテナは、第3のアンテナ部材と異なる第4のアンテナ部材からなる。第3のアンテナ部材は、発生回路によって発生された電磁場をM個の検出素子におけるM個の第1のアンテナ部材へ無線給電する。第4のアンテナ部材は、M個の受信信号をM個の検出素子におけるn1個の第2のアンテナ部材、n2個の第2のアンテナ部材、・・・、およびnM個の第2のアンテナ部材から無線によって受信する。M個の検出素子の各々において、第1のアンテナ部材は、第3のアンテナ部材によって無線給電された電磁場を受信し、その受信した電磁場に基づいた振動電場をnm(mは、1~Mのいずれか)個の振動子に印加する。M個の検出素子の各々において、nm(mは、1~Mのいずれか)個の第2のアンテナ部材は、nm(mは、1~Mのいずれか)個の振動子によって発生された受信信号を無線によって第4のアンテナ部材へ送信する。
【0022】
(構成6)
構成5において、第1のアンテナ部材の形状は、棒形状、または振動子の平面に対向する平面における渦巻形状であり、nm(mは、1~Mのいずれか)個の第2のアンテナ部材の各々は、棒形状、または振動子の平面に対向する平面における渦巻形状である。
【0023】
(構成7)
構成1から構成6のいずれかにおいて、M個の検出素子の各々において、nm(nmは、2以上の整数であり、mは、1~Mのいずれか)個の振動子は、相互に異なるnm(nmは、2以上の整数であり、mは、1~Mのいずれか)個の共振周波数でそれぞれ振動するnm(nmは、2以上の整数であり、mは、1~Mのいずれか)個の振動波形が重畳された重畳振動波形からなる重畳受信信号を受信信号として発生する。M個の検出素子の各々において、第1の送信アンテナは、重畳受信信号を受信信号として無線によって第2の受信アンテナへ送信する。検出回路は、第2の受信アンテナによって受信されたM個の受信信号であるM個の重畳受信信号のうちの1個の重畳受信信号に基づいてnm(nmは、2以上の整数であり、mは、1~Mのいずれか)個の振動波形を検出し、その検出したnm(nmは、2以上の整数であり、mは、1~Mのいずれか)個の振動波形のうちの1つの振動波形に基づいて検出処理を実行することをnm(nmは、2以上の整数であり、mは、1~Mのいずれか)個の振動波形の全てについて実行して相互に異なるnm(nmは、2以上の整数であり、mは、1~Mのいずれか)個の検出対象物を検出することをm=1~Mの全てについて実行し、相互に異なるN(Nは、2以上の整数)個の検出対象物を検出する。
【0024】
(構成8)
構成7において、N(Nは、2以上の整数)個の検出対象物は、応力、圧力、ガス、生体物質および温度の少なくとも2つを含む。
【0025】
(構成9)
構成1から構成8のいずれかにおいて、M個の検出素子は、人が立ち入ることができない建物内に設置される。
【0026】
(構成10)
構成1から構成8のいずれかにおいて、M個の検出素子は、構造物の内部に設置される。
【0027】
(構成11)
構成1から構成8のいずれかにおいて、M個の検出素子は、生体内に設置される。
【0028】
(構成12)
構成1から構成11のいずれかにおいて、M個の検出素子の各々は、基材と、第1の支持部材と、第2の支持部材と、第1の送信アンテナと、第1の受信アンテナと、nm(mは、1~Mのいずれか)個の振動子とを含む。基材は、第1の面と第1の面に対向する第2の面とを有する空間部を含む。第1の支持部材は、空間部の第1の面から第2の面の方向へ突出する。第2の支持部材は、空間部の第2の面から第1の面の方向へ突出する。第1の送信アンテナおよび第1の受信アンテナは、空間部内において第1および第2の面の少なくとも1つの面側に配置される。nm(mは、1~Mのいずれか)個の振動子は、空間部内において振動可能に第1の送信アンテナおよび/または第1の受信アンテナに接して配置される。第1の支持部材または第2の支持部材は、nm(mは、1~Mのいずれか)個の振動子が第1の面または第2の面に接触するのを防止するようにnm(mは、1~Mのいずれか)個の振動子を支持する。
【0029】
(構成13)
また、この発明の実施の形態によれば、検出方法は、
M(Mは、1以上の整数)個の検出素子にそれぞれ含まれる振動子の個数をそれぞれn1,n2,・・・,nM(n1,n2,・・・,nMの各々は、1以上の整数)としたとき、M個の検出素子におけるN(Nは、1以上の整数であり、N=n1+n2+・・・+nMを満たす。)個の振動子のそれぞれを共振周波数で振動させる電磁場を送信アンテナによってM個の検出素子に無線給電する第1のステップと、
n1個の振動子、n2個の振動子、・・・、およびnM個の振動子が電磁場に基づいた振動電場の印加に応じてそれぞれ50MHz以上の共振周波数で振動するときの振動波形からなるM個の受信信号を受信アンテナによってM個の検出素子から受信する第2のステップと、
M個の受信信号に基づいて、1個の受信信号における共振周波数の変化量を検出することによって検出対象物を検出する処理を検出回路によってM個の受信信号の全てについて実行する第3のステップとを備える。
【0030】
(構成14)
構成13において、n1個の振動子、n2個の振動子、・・・、およびnM個の振動子を、それぞれ、第1の振動子、第2の振動子、・・・、および第Mの振動子としたとき、M個の受信信号は、第1の振動子、第2の振動子、・・・、および第Mの振動子が振動電場に起因して振動するときの第1の振動波形からなるM個の検出素子におけるM個の第1の受信信号と、第1の振動子、第2の振動子、・・・、および第Mの振動子が検出対象物の影響を受けて振動するときの第2の振動波形からなるM個の検出素子におけるM個の第2の受信信号とを含む。第2のステップにおいて、M個の第1の受信信号が受信アンテナによって受信された後に、M個の第2の受信信号が受信アンテナによって受信される。
【0031】
第3のステップは、
M個の第1の受信信号に基づいて第1の振動子、第2の振動子、・・・、および第Mの振動子のM個の第1の共振周波数を求める処理を検出回路によって実行する第1のサブステップと、
M個の第2の受信信号に基づいて第1の振動子、第2の振動子、・・・、および第Mの振動子のM個の第2の共振周波数を求める処理を検出回路によって実行する第2のサブステップと、
第1の共振周波数から第2の共振周波数を減算した共振周波数の変化量を求める処理をM個の第1および第2の共振周波数の全てについて実行してM個の共振周波数の変化量を求める処理を検出回路によって実行する第3のサブステップと、
1個の共振周波数の変化量に基づいて検出対象物を検出する処理をM個の共振周波数の変化量の全てについて実行してM個の検出素子における検出対象物を検出する処理を検出回路によって実行する第4のサブステップとを含む。
【0032】
(構成15)
構成13または構成14の第1のステップにおいて、電磁場は、振動子の共振周波数よりも高い周波数の搬送波に重畳されてM個の検出素子に無線給電される。
【0033】
(構成16)
構成13から構成15のいずれかの第1のステップにおいて、電磁場は、送信アンテナおよび受信アンテナを構成し、かつ、1個のアンテナである送受信アンテナによって、一定期間、M個の検出素子に無線給電され、第2のステップにおいて、M個の受信信号は、一定期間が経過した後に、送受信アンテナによって受信される。
【0034】
(構成17)
構成13または構成16のいずれかにおいて、M個の検出素子の各々において、nm(nmは、2以上の整数であり、mは、1~Mのいずれか)個の振動子は、共振周波数が相互に異なる複数の振動子からなる。
【発明の効果】
【0035】
電磁場の供給源を備えない検出素子を用いて検出対象物を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】この発明の実施の形態1による検出装置の概略図である。
【
図3】
図2に示す線III-III間における検出素子3-1の断面図である。
【
図4】
図2に示すA方向から見た検出素子3-1の平面図である。
【
図5】
図3に示すアンテナ26,28の形状を示す図である。
【
図6】
図2から
図4に示す検出素子3-1の製造方法を示す第1の工程図である。
【
図7】
図2から
図4に示す検出素子3-1の製造方法を示す第2の工程図である。
【
図8】
図2から
図4に示す検出素子3-1の製造方法を示す第3の工程図である。
【
図9】
図2から
図4に示す検出素子3-1の製造方法を示す第4の工程図である。
【
図10】
図2から
図4に示す検出素子3-1の製造方法を示す第5の工程図である。
【
図11】
図2から
図4に示す検出素子3-1の製造方法を示す第6の工程図である。
【
図12】入力電圧および受信信号のタイミングチャートである。
【
図16】受信信号の振幅と周波数との関係を示す図である。
【
図17】
図1に示す検出装置の応用例を示す図である。
【
図18】
図1に示す検出装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図19】受信信号R0_SPM_D(t),R1_SPM_D(t)を示す概念図である。
【
図20】受信信号R0_SPM_D(t),R1_SPM_D(t)をフーリエ変換したときの周波数成分を示す概念図である。
【
図21】実施の形態1による別の検出装置の概略図である。
【
図22】実施の形態1における別の検出素子の概略図である。
【
図23】
図1に示す検出装置10の動作を説明するための別のフローチャートである。
【
図24】実施の形態1による検出対象物の検出方法を示すフローチャートである。
【
図25】実施の形態2による検出装置の概略図である。
【
図27】素子ユニットの配列構造を示す概略図である。
【
図28】
図25に示す検出装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図29】
図28のステップS24Aの詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図30】受信信号R0_SPM_SC(t),R1_SPM_SC(t)を示す概念図である。
【
図31】受信信号R0_SPM_SC(t),R1_SPM_SC(t)をフーリエ変換したときの周波数成分を示す概念図である。
【
図32】実施の形態2における別の検出素子の概略図である。
【
図33】実施の形態2による別の検出装置の概略図である。
【
図34】実施の形態2における更に別の検出素子の概略図である。
【
図35】実施の形態2による検出対象物の検出方法を示すフローチャートである。
【
図36】特許文献1に記載された検出素子の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0038】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による検出装置の概略図である。
図1を参照して、この発明の実施の形態1による検出装置10は、送受信装置1と、検出回路2と、M(Mは、1以上の整数)個の検出素子3-1~3-Mとを備える。
【0039】
送受信装置1は、本体部11と、送信アンテナ12と、受信アンテナ13とを含む。本体部11は、振動子を共振周波数で振動させるための電磁場EWを発生する発生回路と、振動子の振動波形からなる受信信号を受信する受信回路とを内蔵する。電磁場EWは、例えば、50MHz以上の周波数で振動する電磁場である。
【0040】
送信アンテナ12は、ケーブル14によって本体部11の発生回路に電気的に接続される。受信アンテナ13は、ケーブル15によって本体部11の受信回路に電気的に接続される。
【0041】
送信アンテナ12は、ケーブル14を介して発生回路から電磁場EWが供給されると、電磁場EWをM個の検出素子3-1~3-Mに無線給電する。この場合、送信アンテナ12は、一定期間、電磁場EWをM個の検出素子3-1~3-Mに無線給電し、一定期間が経過すると、電磁場EWのM個の検出素子3-1~3-Mへの無線給電を停止してもよい。また、送信アンテナ12は、検出対象物の検出期間中、電磁場EWのM個の検出素子3-1~3-Mへの無線給電を継続してもよい。
【0042】
受信アンテナ13は、M個の検出素子3-1~3-MからM個の受信信号を無線によって受信し、ケーブル15を介してM個の受信信号を本体部11の受信回路へ供給する。
【0043】
本体部11の受信回路は、受信アンテナ13からM個の受信信号を受信し、ケーブル16を介してM個の受信信号を検出回路2へ供給する。
【0044】
検出回路2は、本体部11の受信回路からケーブル16を介してM個の受信信号を受け、その受けたM個の受信信号に基づいて、後述する方法によって、検出素子3-1~3-Mにおける検出対象物を検出する。
【0045】
M個の検出素子3-1~3-Mの各々は、振動子を内蔵する。M個の検出素子3-1~3-Mは、送受信装置1の送信アンテナ12からの電磁場EWが届く領域において、相互に異なる位置に配置される。そして、M個の検出素子3-1~3-Mは、送受信装置1の送信アンテナ12によって電磁場EWが無線給電されると、その無線給電された電磁場EWに基づいて電場Eを振動子に印加し、振動子の振動波形からなる受信信号を無線によって送受信装置1の受信アンテナ13へ送信する。
【0046】
図2は、
図1に示す検出素子3-1の斜視図である。
図3は、
図2に示す線III-III間における検出素子3-1の断面図である。
図4は、
図2に示すA方向から見た検出素子3-1の平面図である。なお、
図2および
図4においては、アンテナが省略されている。また、
図2においては、見易くするために振動子24の外形だけが示されている。
【0047】
図2から
図4を参照して、検出素子3-1は、基板21~23と、振動子24と、アンテナ25~28とを備える。
【0048】
基板21は、凹部211と、支持部材212とを有する。基板23は、凹部231と、支持部材232と、送廃液口233とを有する。支持部材212は、基板21を厚み方向に貫通し、凹部211の底面211Aから凹部231の底面231Aへ向かって突出している。そして、支持部材212は、金属からなり、例えば、タングステン(W)からなる。なお、支持部材212は、W以外の金属からなっていてもよい。
【0049】
支持部材232は、凹部231の底面231Aから凹部211の底面211Aへ向かって突出している。なお、支持部材232(232c)は、基板23を厚み方向に貫通する。そして、支持部材232(232a),232(232b)は、基板23と同じ材料からなり、支持部材232(232c)は、金属からなり、例えば、Wからなる。なお、支持部材232(232c)は、W以外の金属からなっていてもよい。
【0050】
基板23の凹部231は、基板21の凹部211に対向している。支持部材212,232の各々は、例えば、円柱形状からなる。送廃液口233は、基板23の外表面から凹部231の底面231Aに至るまで基板23を厚み方向に貫通する。
【0051】
アンテナ25は、底面211Aおよび支持部材212を覆うように凹部211内に配置される。そして、アンテナ25は、導電性薄膜からなる。より具体的には、アンテナ25は、密着層/電極層の積層構造からなる。そして、密着層は、例えば、チタン(Ti)またはクロム(Cr)からなり、電極層は、例えば、金(Au)または白金(Pt)からなる。
【0052】
アンテナ26は、基板21において、凹部211の底面211Aと反対側の表面に配置され、支持部材212に接する。そして、アンテナ26は、
図3の紙面において、基板21~23の面内方向に沿って基板21~23よりも右側に突出している。その結果、支持部材212は、金属からなるので、アンテナ26は、アンテナ25に電気的に接続される。また、アンテナ26は、アンテナ25と同じ導電性薄膜からなる。
【0053】
アンテナ27は、底面231Aおよび支持部材232を覆うように凹部231内に配置される。そして、アンテナ27は、アンテナ25と同じ導電性薄膜からなる。
【0054】
アンテナ28は、基板23において、凹部231の底面231Aと反対側の表面に配置され、支持部材232(232c)に接する。そして、アンテナ28は、
図3の紙面において、基板21~23の面内方向に沿って基板21~23よりも右側に突出している。その結果、支持部材232(232c)は、金属からなるので、アンテナ28は、アンテナ27に電気的に接続される。そして、アンテナ28は、アンテナ25と同じ導電性薄膜からなる。
【0055】
基板21は、陽極接合によって基板22の一方の面に接合される。基板23は、凹部231が凹部211に対向するように陽極接合によって基板22の他方の面に接合される。その結果、基板22および凹部221,231によって空間部SPが形成される。
【0056】
振動子24は、例えば、流線形の平面形状を有し、例えば、水晶からなる。そして、振動子24は、例えば、36mm
2の面積を有する。振動子24は、軸X1に対して対称になるように空間部SP内に配置される。振動子24は、空間部SP内において、支持部材232を覆うアンテナ27に接して配置されるとともに支持部材212を覆うアンテナ25の極近傍に配置される。
図3においては、3個の支持部材212が図示されているが、実際には、
図2,4に示すように、3個よりも多くの支持部材212が凹部211内に形成されている。支持部材232についても同様である。そして、N1個の支持部材212およびN2個の支持部材232が設けられる。N1個およびN2個の各々は、振動子24が撓みによって凹部211の底面211Aまたは凹部231の底面231Aに接触するのを防止することができる個数である。N1個の具体的な数値は、振動子24が撓みによって凹部211の底面211Aに接触するのを防止することができるように支持部材212間の距離を考慮して決定され、N2個の具体的な数値は、振動子24が撓みによって凹部231の底面231Aに接触するのを防止することができるように支持部材232間の距離を考慮して決定される。なお、N1およびN2は、相互に同じであってもよく、相互に異なっていてもよい。
【0057】
空間部SPは、流線形の平面形状を有する。即ち、空間部SPは、振動子24の平面形状と相似な平面形状を有する。そして、空間部SPは、軸X1に対して対称になるように配置される。空間部SPには、例えば、4個の突出部PRJ1~PRJ4が配置されている。そして、突出部PRJ1~PRJ4は、空間部SPの内側に向かって突出している。振動子24は、4個の突出部PRJ1~PRJ4に接するように空間部SP内に配置される。振動子24が4個の突出部PRJ1~PRJ4に接することによって、検査対象の液体が空間部SP内に導入されても、振動子24が底面211A,231Aと平行な方向に移動するのを抑制できる(
図4参照)。
【0058】
空間部SPが流線形の平面形状を有するので、例えば、検出対象物を含む液体は、導入口215および流路213を経て空間部SPへ入ると、空間部SPの全体に広がって空間部SP内を流れ、流路214を経て排出口216へ到達する。従って、空間部SPの平面形状を流線形にすることによって、検出対象物を含む液体が空間部SP内で滞留するのを抑制できる。その結果、振動子24の平面部分の全体によって検出対象物を検出できる。
【0059】
図3においては、例えば、振動子24がアンテナ27に接するように配置されている。この場合、振動子24とアンテナ25との間隔は、例えば、5μmである。なお、検出素子3-1のアンテナ26が下地に接して配置された場合、振動子24がアンテナ25に接して配置され、この場合、振動子24とアンテナ27との間隔は、5μmである。このように、検出素子3-1においては、振動子24は、アンテナ25(またはアンテナ27)に接して配置されるか、アンテナ27(またはアンテナ25)の極近傍に配置される。
【0060】
基板21~23が相互に接合されることによって、流路213,214、導入口215および排出口216が形成される。
【0061】
流路213は、一方端が導入口215に連通し、他方端が空間部SPに連通する。流路214は、一方端が排出口216に連通し、他方端が空間部SPに連通する。導入口215は、流路213の一方端に連通する。排出口216は、流路214の一方端に連通する。
【0062】
基板21,23の各々は、例えば、ガラスからなる。基板22は、例えば、シリコン(Si)からなる。振動子24の厚みは、一般的には、10μmよりも薄く、例えば、3μmである。
【0063】
検出素子3-1において、アンテナ25,26(またはアンテナ27,28)は、送受信装置1の送信アンテナ12によって電磁場EWが無線給電されると、その無線給電された電磁場EWに基づいた電場Eを振動子24に印加する。
【0064】
振動子24は、アンテナ25,26(またはアンテナ27,28)によって電場Eが印加されると、振動する。アンテナ25,26が電場Eを振動子24に印加した場合、アンテナ27,28は、振動子24が電場Eによって振動したときの振動波形からなる受信信号を受信する。また、アンテナ27,28が電場Eを振動子24に印加した場合、アンテナ25,26は、振動子24が電場Eによって振動したときの振動波形からなる受信信号を受信する。従って、検出素子3-1においては、アンテナ25,26によって電場Eを振動子24に印加し、アンテナ27,28によって振動子24の振動波形からなる受信信号を受信してもよく、アンテナ27,28によって電場Eを振動子24に印加し、アンテナ25,26によって振動子24の振動波形からなる受信信号を受信してもよい。
【0065】
アンテナ25,26(またはアンテナ27,28)によって電場Eを振動子24に印加し、アンテナ27,28(またはアンテナ25,26)によって振動子24の振動波形からなる受信信号を受信する場合、検出対象物を含む液体が空間部SP内に導入され、振動子24の振動が微弱であっても、振動子24は、アンテナ25(またはアンテナ27)に接して配置されるか、アンテナ27(またはアンテナ25)の極近傍に配置されるので、振動子24の振動波形からなる受信信号を確実に検出できる。
【0066】
基板21の厚みD1は、例えば、250μmであり、基板22の厚みD2は、例えば、数μm~数十μmであり、基板23の厚みD3は、例えば、250μmである。
【0067】
空間部SPの幅(
図3の紙面の左右方向の寸法)は、例えば、2mmであり、空間部SPの高さ(
図3の紙面の上下方向の寸法)は、例えば、50μmである。
図3の紙面に垂直な方向における空間部SPの長さは、例えば、2.9mmである。支持部材212の底面211Aからの高さ(
図3の紙面の上下方向の寸法)および支持部材232の底面231Aからの高さ(
図3の紙面の上下方向の寸法)は、例えば、5μmである。
【0068】
なお、
図1に示す検出素子3-2~3-Mの各々も、
図2~
図4において説明した検出素子3-1と同じ構造からなり、検出素子3-2~3-Mの各々において、振動子24への電場Eの印加および振動子24からの受信信号の受信も、
図2~
図4において説明した検出素子3-1における振動子24への電場Eの印加および振動子24からの受信信号の受信と同じである。
【0069】
図5は、
図3に示すアンテナ26,28の形状を示す図である。
図5の(a)を参照して、アンテナ26,28の各々は、棒形状のアンテナからなる。また、
図5の(b)を参照して、アンテナ26,28の各々は、金属線を渦巻状に巻いた渦巻形状のアンテナからなる。渦巻形状のアンテナは、振動子24の平面(上面または底面)に対向する平面における渦巻形状を有する。更に、
図5の(c)を参照して、アンテナ26,28の各々は、金属平板を折り畳んだ折畳構造のアンテナからなる。ここで、金属平板を折り畳む方向は、振動子24の平面(上面または底面)に垂直な方向である。
【0070】
このように、アンテナ26,28の各々は、棒形状のアンテナ、渦巻形状のアンテナおよび折畳構造のアンテナのいずれかからなる。
【0071】
そして、アンテナ26,28は、相互に同じ形状のアンテナからなっていてもよく、相互に異なる形状のアンテナからなっていてもよい。
【0072】
図6から
図11は、それぞれ、
図2から
図4に示す検出素子3-1の製造方法を示す第1から第6の工程図である。
【0073】
なお、
図6および
図7は、ガラスプロセスの工程図を示し、
図8は、SOI(Silicon On Insulator)基板プロセスを示し、
図9および
図10は、水晶プロセスを示し、
図11は、パッケージプロセスを示す。
【0074】
図6を参照して、ガラスプロセスが開始されると、ショットジャパン社製の型番がGW4-009-Aであるガラス基板300を準備する(工程A-1)。ガラス基板300は、円柱形状を有する複数の金属部材301を所定の間隔で含む。複数の金属部材301の各々は、ガラス基板300を厚み方向に貫通する。そして、複数の金属部材301の各々は、タングステン(W)からなり、例えば、80μm~100μmの直径を有する。ガラス基板300においては、金属部材301とガラスとが密着しており、金属部材301とガラスとの間から液体および気体が漏れることはない。
【0075】
ガラス基板300を準備すると、ガラス基板300の両面にレジストを塗布し、その塗布した一方の面のレジストをフォトリソグラフィによってパターニングしてレジストパターン310を作製する(工程A-2)。または、両面に金属薄膜を成膜した後、両面にレジストを塗布し、その塗布した一方の面のレジストをフォトリソグラフィによってパターンニングして、金属薄膜をエッチングすることによって、金属マスクパターン310を作製する。
【0076】
そして、レジストパターン(または金属マスクパターン)310をマスクとして、バッファードフッ酸を用いてガラス基板300を、例えば、5μmの深さまでウェットエッチングし、凹部231および支持部材232を有する基板23を作製する(工程A-3)。この場合、ウェットエッチングによって、金属部材301の一部が露出し、支持部材232となる。
【0077】
なお、工程A-2,A-3によって、
図2に示す流路213,214を構成する部分、導入口215を構成する部分、および排出口216を構成する部分も作製される。
【0078】
その後、基板23の凹部231と反対側の表面に、スパッタリングによってクロム(Cr)および金(Au)を順次堆積し、導電性薄膜302を形成する(工程A-4)。この場合、Crの厚みは、例えば、30~40nmであり、Auの厚みは、例えば、200nmである。
【0079】
引き続いて、導電性薄膜302の表面にレジストを塗布し、その塗布したレジストをフォトリソグラフィによってパターンニングしてレジストパターン311を作製する(工程A-5)。
【0080】
そして、レジストパターン311をマスクとして導電性薄膜302をエッチングし、アンテナ28を作製する(工程A-6)。この場合、アンテナ28は、金属部材(W)からなる支持部材232に接して作製される。なお、導電性薄膜302のエッチングは、例えば、導電性薄膜302が金(Au)である場合、ヨウ素系エッチング液(例えば、ヨウ化カリウムとヨウ素の混合溶液)を用いて行われ、また、導電性薄膜302がクロム(Cr)である場合、硝酸系エッチング液(例えば、硝酸第二セリウムアンモニウムと硝酸等の混合溶液)を用いて行われる。
【0081】
工程A-6の後、基板23の凹部231側の表面にレジストを塗布し、その塗布したレジストをフォトリソグラフィによってパターニングしてレジストパターン312を作製する(工程A-7)。この場合、基板23の凹部231の端部に形成された傾斜部上に配置されたレジストパターン312の幅wrは、例えば、10~50μmであり、レジストパターン312の厚みは、例えば、4μmである。
【0082】
図7を参照して、工程A-7の後、レジストパターン312をマスクとして、基板23の凹部231側の表面の全体に、スパッタリングによってCrおよび白金(Pt)を順次堆積し、導電性薄膜303を形成する(工程A-8)。この場合、Crの厚みは、例えば、30~40nmであり、Ptの厚みは、例えば、100nm~200nmである。
【0083】
そして、レジストパターン312を除去し、アンテナ27を凹部231内に形成する(工程A-9)。この場合、レジストパターン312上に形成された導電性薄膜303は、リフトオフによって除去される。なお、レジストパターン312は、例えば、ネガレジストのOMR-100(東京応化工業(株))であり、フォトリソグラフィ後の現像には、専用のOMR現像液を用い、また、レジストは、硫酸と過酸化水素水を3:1で混合した混合液を用いて除去される。その後、除去された金属薄膜のバリを除去する目的で、純水中に浸しつつ超音波洗浄を行う。
【0084】
その後、機械加工によって、基板23に送廃液口233を形成する(工程A-10)。なお、送廃液口233は、円柱形状を有し、直径は、例えば、1mmである。これによって、ガラスプロセスが終了する。
【0085】
なお、ガラスプロセスの工程A-1~工程A-10を順次実行することによって、基板23と、基板23に形成されたアンテナ27,28とを含む構造物COMP1が作製される。また、ガラスプロセスの工程A-1~工程A-9を順次実行することによって、基板21と、基板21に形成されたアンテナ25,26とを含む構造物COMP2が作製される。
【0086】
次に、SOI基板プロセスについて説明する。
図8を参照して、SOI基板プロセスが開始されると、SOI基板320を準備する(工程B-1)。SOI基板320は、支持層321と、酸化膜層(BOX層)322と、活性層323とを含む。支持層321および活性層323は、単結晶シリコンからなり、酸化膜層322は、シリコン酸化膜(SiO
2)からなる。支持層321は、例えば、300μmの厚みを有し、酸化膜層322は、例えば、1μmの厚みを有し、活性層323は、例えば、10μmの厚みを有する。
【0087】
SOI基板320を準備すると、SOI基板320の活性層323の表面にレジストを塗布し、その塗布したレジストをフォトリソグラフィによってパターニングしてレジストパターン313を作製する(工程B-2)。
【0088】
そして、レジストパターン313をマスクとして、ドライエッチングによって活性層323の一部を除去する(工程B-3)。この場合、ボッシュプロセスと呼ばれるSF6によるエッチングと、C4F8による側壁保護とを交互に繰り返すエッチング手法が用いられる。なお、活性層323の一部をドライエッチングすることによって、流路213,214を構成する部分、導入口215を構成する部分および排出口216を構成する部分も形成される。
【0089】
工程B-3の後、上述した構造物COMP2の基板21と、SOI基板320の活性層323とが接するように陽極接合する(工程B-4)。この場合、陽極接合は、例えば、350℃の温度で600Vの電圧を印加して行われる。
【0090】
その後、SF6ガスとO2ガスとの混合ガスを用いたプラズマエッチングによって支持層321(シリコン)をエッチングする(工程B-5)。この場合、エッチング時の圧力は、10Paであり、パワーは、1kWであり、ステージ温度は、20℃である。そして、SF6ガスとO2ガスの混合ガスを用いたプラズマエッチング装置としては、RIE-10NR(サムコ株式会社製)を用いることができる。なお、CF4ガスを用いて支持層121(シリコン)をエッチングしてもよい。
【0091】
工程B-5の後、CHF3ガスを用いてプラズマエッチングによって酸化膜層322をエッチングする(工程B-6)。この場合、エッチング時の圧力は、20Paであり、パワーは、100Wであり、ステージ温度は、20℃である。そして、プラズマエッチング装置としては、RIE-800iPC(サムコ株式会社製)を用いることができる。また、プラズマエッチングによる酸化膜層322除去の際、プラズマ中のイオンが、アンテナ25の金属薄膜に衝突し、金属が飛散することを防止する目的で、バッファードフッ酸を用いたウェットエッチングにより酸化膜層322を除去してもよい。
【0092】
酸化膜層322をエッチングすることによって、基板21に基板22が接合された構造物COMP3が作製される。これによって、SOI基板プロセスが終了する。
【0093】
引き続いて、水晶プロセスについて説明する。
図9を参照して、水晶プロセスが開始されると、接着剤331によってATカット水晶基板332をシリコン基板330に張り合わせる(工程C-1)。その後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)により、水晶基板を研磨し、所望の板厚に調整する。
【0094】
そして、ATカット水晶基板332の表面にレジストを塗布し、その塗布したレジストをフォトリソグラフィによってパターニングしてレジストパターン314を作製する(工程C-2)。
【0095】
その後、レジストパターン314をマスクとして、CHF3ガスを用いたプラズマエッチングによってATカット水晶基板332をエッチングし、振動子24を作製する(工程C-3)。この場合、エッチング時の圧力は、20Paであり、パワーは、100Wであり、ステージ温度は、20℃である。そして、プラズマエッチング装置としては、RIE-800iPC(サムコ株式会社製)を用いることができる。
【0096】
引き続いて、O2ガスを用いたプラズマによって、接着剤331の表面に高エネルギー状態の酸素(酸素ラジカル)を照射し、接着剤331を構成する炭素と結合させ、CO2として気化、分解させ、アッシングによって振動子24に接していない接着剤331を除去する(工程C-4)。この場合、アッシングの圧力は、10Paであり、パワーは、1kWであり、ステージ温度は、20℃である。
【0097】
工程C-4の後、大気中で、振動子24の表面にポリイミド333を塗布する(工程C-5)。
【0098】
そして、上述したガラスプロセスによって作製した構造物COMP1のアンテナ27に、ポリイミド333(=接着剤)によって振動子24を接着する(工程C-6)。
【0099】
図10を参照して、工程C-6の後、
図6の工程B-5と同じ方法によって、シリコン基板330を除去する(工程C-7)。
【0100】
そして、工程C-4と同じアッシングによって、接着剤331を除去する(工程C-8)。これによって、水晶プロセスが終了する。なお、水晶プロセスによって作製された構造物をCOMP4とする。
【0101】
最後に、パッケージプロセスについて説明する。
図11を参照して、パッケージプロセスが開始されると、
図8に示す構造物COMP3の基板22を、
図10に示す構造物COMP4の基板23に陽極接合によって接合する(工程D-1)。この接合によって、振動子24は、構造物COMP3のアンテナ25に微弱な力で接し、またはアンテナ25との間で微小隙間(数μm~数十μm)を有する状態で配置される。なお、陽極接合の条件は、上述した条件と同じである。
【0102】
そして、東レ株式会社の製品名TOS-02の除去剤を用いて、振動子24とアンテナ27との間のポリイミド333(=接着剤)を除去する(工程D-2)。この場合、ポリイミド333(=接着剤)は、製品名TOS-02の除去剤の溶液を用いて除去される。製品名TOS-02の除去剤は、塩基性の除去剤であり、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)と、モノエタノールアミン(MEA)と、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)と、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)と、水とを含む。
【0103】
N-メチル-2-ピロリドン(NMP)の含有量は、例えば、10~50重量%であり、モノエタノールアミン(MEA)の含有量は、例えば、10~50重量%であり、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)の含有量は、例えば、10~50重量%であり、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)の含有量は、例えば、0.1~10重量%であり、水の含有量は、例えば、0.5~30重量%である。
【0104】
なお、ポリイミド333(=接着剤)は、塩基性の溶液に限らず、酸性の溶液または有機系の溶液によって除去されてもよい。
【0105】
ポリイミド333(=接着剤)を除去することによって、振動子24は、空間部SP内において、アンテナ27に接触するとともに、アンテナ25の極近傍(例えば、振動子24とアンテナ25との距離が5μm)に配置される。これによって、パッケージプロセスが終了し、検出素子3-1が完成する。
【0106】
上述した検出素子3-1の製造方法によれば、ガラスプロセスにおいて、厚み方向に貫通する金属部材301を含むガラス基板300の一方の表面側を部分的にエッチングして、凹部211および支持部材212を有する基板21と、凹部231および支持部材232を有する基板23とを作成する。そして、基板21の凹部211内にアンテナ25を形成し、基板21の凹部211と反対側の表面にアンテナ26を形成する。また、基板23の凹部231内にアンテナ27を形成し、基板23の凹部231と反対側の表面にアンテナ28を形成する。
【0107】
凹部231内に形成されたアンテナ27に振動子24を接着させた構造物COMP4の基板23と、構造物COMP3の基板22とを陽極接合によって接合してパッケージする。
【0108】
その結果、振動子24は、アンテナ25,27のいずれかに一方に接触し、アンテナ25,27のいずれか他方の極近傍に配置される。
【0109】
従って、振動子24の振動が微弱であっても、振動子24の振動信号からなる受信信号を確実に受信できる検出素子3-1を製造できる。
【0110】
また、上述した検出素子3-1の製造方法によれば、基本共振周波数が1GHz以上(振動子24の厚みが1.7μm以下)の検出素子3-1を実現できる。従って、バイオセンサーとして使用した場合、理論的な感度として、既存品であるBiolin Scientific社の水晶振動子バイオセンサーの8万倍程度の感度を実現できる。
【0111】
更に、上述した検出素子3-1の製造方法によれば、振動子24は、シリコン基板330に固定された状態でアンテナ27に接着され(
図9の工程C-6参照)、その後、アンテナ27に接着された状態で、アンテナ27との接着面と反対側の表面が露出される(
図10の工程C-7,C-8参照)。そして、振動子24は、アンテナ27に接着された状態でパッケージされる(
図11の工程D-1,D-2参照)。
【0112】
従って、検出素子3-1の製造工程においては、振動子24のみをピンセット等で操作することはないので、振動子24の厚みが10μmよりも薄くなっても、振動子24の破損を防止して検出素子3-1を製造できる。
【0113】
なお、
図1に示す検出素子3-2~3-Mの各々も、
図6から
図11において説明した製造方法によって製造され、検出素子3-1と同じ効果を有する。
【0114】
図12は、入力電圧Vinおよび受信信号Rのタイミングチャートである。
図13は、共振周波数のタイミングチャートである。
【0115】
図12および
図13を参照して、検出素子3-1における検出対象物の検出方法について説明する。検出対象物を検出する場合、送受信装置1の発生回路は、50MHz以上の周波数を有する入力電圧Vinからなる電磁場EWを発生し、その発生した電磁場EWを送信アンテナ12へ出力する。送受信装置1の送信アンテナ12は、発生回路から電磁場EWを受け、その受けた電磁場EWをM個の検出素子3-1~3-Mへ無線給電する。なお、送受信装置1の発生回路は、50MHz以上の周波数を有する入力電圧Vinを1GHzの搬送波に重畳して電磁場EW_SUPを発生し、送信アンテナ12は、電磁場EW_SUPをM個の検出素子3-1~3-Mへ無線給電してもよい。
【0116】
M個の検出素子3-1~3-Mの各々において、アンテナ25,26は、送受信装置1の送信アンテナ12から無線給電された電磁場EWを受信し、その受信した電磁場EWの入力電圧Vin(振動波形からなる入力電圧)に基づいて生成される振動電場Eを、タイミングt1からタイミングt2までの間、振動子24に印加する。そして、M個の検出素子3-1~3-Mの各々において、アンテナ25,26は、タイミングt2以降、入力電圧Vin(振動波形からなる入力電圧)に基づいて生成される振動電場Eの振動子24への印加を停止する。
【0117】
なお、アンテナ25,26は、電磁波EW_SUPを受信した場合、電磁波EW_SUPから入力電圧Vinを抽出し、その抽出した入力電圧Vin(振動波形からなる入力電圧)に基づいて生成される振動電場Eを、タイミングt1からタイミングt2までの間、振動子24に印加する。
【0118】
振動子24は、振動電場Eが印加されると、逆圧電効果によって共振し、表面に電位分布が発生する。
【0119】
そうすると、アンテナ27は、振動子24の表面に発生した電位分布を振動波形からなる受信信号Rとして受信する。この場合、アンテナ27は、検出対象物が振動子24に付着していなければ、振動波形からなる受信信号R0を受信し、検出対象物が振動子24に付着していれば、振動波形からなる受信信号R1を受信する。そして、アンテナ27は、その受信した受信信号R0,R1を支持部材232(導体部材からなる支持部材232)およびアンテナ28を介して無線によって送受信装置1へ送信する。
【0120】
送受信装置1の受信回路は、受信アンテナ13を介して受信信号R0,R1を受信し、その受信した受信信号R0,R1を検出回路2へ出力する。
【0121】
検出回路2は、送受信装置1の受信回路から受信信号R0を受信すると、その受信した受信信号R0の共振周波数f0を検出する。また、検出回路2は、送受信装置1の受信回路から受信信号R1を受信すると、その受信した受信信号R1の共振周波数f1(<f0)を検出する。そして、検出回路2は、共振周波数の変化量Δf=f0-f1を検出し、検出対象物が振動子24に付着したことを検知する。
【0122】
なお、
図12に示した発振・検出方法は一例にすぎない。例えば、ネットワークアナライザーを用いて、その透過応答(S12やS21)、反射応答(S11やS22)を計測することによっても、同様に、共振周波数を測定することができる。
【0123】
検出対象物が振動子24に付着すると、振動子24の質量が大きくなるので、振動子24の共振周波数f1は、検出対象物が振動子24に付着しない場合に比べ、低下する。
【0124】
従って、検出回路2は、入力電圧Vinがアンテナ25,26へ印加された後、受信信号Rをアンテナ27,28から受信し、検出対象物が振動子24に付着していないとき、受信信号Rから共振周波数f0を検出し、検出対象物が振動子24に付着すると、共振周波数f1まで徐々に変化する共振周波数fを検出する(
図13参照)。そして、検出回路2は、共振周波数fの変化量Δf=f0-f1を検出し、検出対象物が振動子24に付着したことを検知する。
【0125】
振動子24の共振周波数をfとし、振動子24の質量をmとし、振動子24の質量の変化量(=検出対象物の質量)をΔmとした場合、振動子24の共振周波数の変化量Δfは、次式によって表される。
【0126】
Δf=f・Δm/m・・・(1)
このように、共振周波数の変化量Δfは、振動子24の質量の変化量Δm、すなわち、検出対象物の質量に比例し、振動子24の質量mに反比例する。従って、検出対象物の質量が大きくなる程、または振動子24の質量(=厚み)が小さくなる程、共振周波数fの変化量Δfが大きくなり、検出対象物の振動子24への付着を検知し易くなる。また、共振周波数の変化量Δfは、温度、圧力および応力等による振動子24の形状変化によってももたらされるので、共振周波数の変化量Δfを検出することによって、温度、圧力および応力等を検出対象物として検出することができる。
【0127】
検出素子3-1~3-Mにおいては、導入口215および流路213を介して検査対象の液体を空間部SPに導入し、流路214および排出口216を介して空間部SPから検査対象の液体を排出しながら、即ち、検査対象の液体を循環させながら、上述した方法によって検出対象物の検出が行なわれる。
【0128】
この場合、振動子24は、上述したように、支持部材212上のアンテナ25または支持部材232上のアンテナ27に接触するのみであるので、アンテナ25,26によって電磁場EWに基づいた電場Eが印加されると、自由に振動する。従って、振動子24の安定な振動を確保して検出対象物を検出できる。
【0129】
また、無電極振動子等を用いた場合、振動子表面における検体(検査溶液または検査ガス)の電気的・磁気的性質に応じて、振動子の共振周波数が変化する。これは、振動の電気的・磁気的境界条件が変化するためである。この原理を用いて、標的の蛋白質または有機ガス等の検出も可能となる。
【0130】
上述したように、検出素子3-1~3-Mにおいては、アンテナ25,26およびアンテナ27,28のいずれか一方によって電磁場EWに基づいた電場Eを振動子24に印加し、アンテナ5,26およびアンテナ27,28のいずれか他方によって振動子24の振動信号からなる受信信号を受信するので、振動子24の厚さによる制限を受けないため、高効率な無線駆動を行うことができる。より具体的には、アンテナ25,27と振動子24との距離を飛躍的に縮めることができるため、振動子24の励振および信号受信を効果的に行うことができる。また、励振のために印加する電磁波出力を低減でき、また、振動子24からの発生電場が微弱であっても、検出対象物を容易に検出できる。
【0131】
また、空間部SPおよび振動子24の平面形状を流線形にすることによって、標的ガスまたは標的溶液が均一に振動子24の表面に流れ込み、振動子24の全面を検査領域として使用することができ、検出素子3-1~3-Mの感度を向上できる。
【0132】
更に、既存の水晶振動子センサーは、発振回路を使用して水晶振動子を励振しているため、水晶振動子の表面の各電極に、同時に、高い電位と低い電位とが印加される。電解質などの溶液中では電極間におけるリーク電流を生じるため、励振させることができない。その結果、振動子の片面しか検出面として使用できない(片面のみが溶液と接触した状態で使用する)。
【0133】
一方、実施の形態1による検出素子3-1~3-Mは、アンテナ25,26およびアンテナ27,28のいずれか一方によって電場Eを振動子24に印加して振動子24を励振させるため、アンテナ25,26およびアンテナ27,28のいずれか他方へのリーク電流を考慮する必要がない。その理由は、次のとおりである。検出素子3-1~3-Mにおいては、(1)アンテナ25,26およびアンテナ27,28のいずれか一方のアンテナから電場Eを振動子24に印加し、(2)逆圧電効果を介して振動子を振動し、(3)振動する振動子24の表面に圧電効果による電場が発生し、(4)アンテナ25,26およびアンテナ27,28のいずれか他方のアンテナで発生電場を検出するというように、駆動の工程が時系列的に分かれており、アンテナ25,26およびアンテナ27,28の両方に同時に通電させる必要がないからである。その結果、振動子24の全体を溶液中に浸漬することができ、振動子24の両面を検出面として使用できる。
【0134】
図14は、検出対象物の例を示す図である。
図14を参照して、検出素子3-1~3-Mの各々は、例えば、バイオセンサー、温度センサー、力(応力)センサーおよびガスセンサーとして用いることができる。
【0135】
検出素子3-1~3-Mの各々がバイオセンサーである場合、振動子24は、標的物質が付着すると、質量負荷が増加するため、振動子24の共振周波数が
図13に示すように低下する。標的物質は、例えば、タンパク質等の生体物質である。従って、検出素子3-1~3-Mの各々をバイオセンサーとして用いることができる。
【0136】
また、検出素子3-1~3-Mの各々が温度センサーである場合、振動子24は、温度変化によって弾性定数が変化するため、振動子24の共振周波数が
図13に示すように低下する。従って、検出素子3-1~3-Mの各々を温度センサーとして用いることができる。
【0137】
更に、検出素子3-1~3-Mの各々が力(応力)センサーである場合、外力が振動子24に印加されると、振動子24の形状が変化するため、振動子24の共振周波数が
図13に示すように低下する。従って、検出素子3-1~3-Mの各々を力(応力)センサーとして用いることができる。
【0138】
更に、検出素子3-1~3-Mの各々がガスセンサーである場合、特定のガスに感応する感応膜が振動子24の表面に設けられる。特定のガスが水素(H
2)ガスである場合、感応膜は、例えば、パラジウム(Pd)である。また、特定のガスが水素(H
2)ガス以外である場合、感応膜は、多孔質膜である。各種のガスが多孔質膜に吸着するので、多孔質膜を感応膜として用いることができる。そして、標的ガスが感応膜に付着すると、振動子24の質量増加に加え、振動子24の形状が変化するため、振動子24の共振周波数が
図13に示すように低下する。従って、検出素子3-1~3-Mの各々をガスセンサーとして用いることができる。
【0139】
なお、感応膜を備える検出素子を作製する場合、
図9の工程(C-4)と工程(C-5)との間に振動子24の露出面に感応膜を形成する工程を追加することによって、
図6から
図11に示す製造方法によって、ガスセンサーとして機能する検出素子を作製できる。この場合、工程(C-5)において、ポリイミド333が感応膜の表面に塗布される。
【0140】
検出素子3-1~3-Mの各々がバイオセンサー、力(応力)センサーおよびガスセンサーとして用いられる場合、振動子24は、水晶からなる。水晶は、温度安定性が良いので、温度変化の影響を除去して検出対象物を検出できるからである。
【0141】
また、検出素子3-1~3-Mの各々が温度センサーとして用いられる場合、振動子24は、リチウムナイオベート(LiNbO3)からなる。
【0142】
検出素子3-1~3-Mの各々が力(応力)センサーである場合、真空中または窒素雰囲気中(一般的には、不活性ガス中)で振動子24を封止することによって検出素子3-1~3-Mの各々を作製する。また、振動子24は、振動子24の面内方向の両端(
図3の紙面において左右方向の振動子24の両端)が基板22に接触するサイズを有する。振動子24の面内方向の両端を空間部SPの側壁(基板22)に接触させることによって、振動子24は、振動子24の面内方向の両端に力(応力)を受けて形状が変化するので、力(応力)を検出できる。
【0143】
また、検出素子3-1~3-Mの各々がガスセンサーである場合、真空中または窒素雰囲気中で振動子24を封止することによって検出素子3-1~3-Mの各々を作製する。
【0144】
このように、検出素子3-1をバイオセンサー、温度センサー、力(応力)センサーおよびガスセンサーとして用いることができるので、検出装置10において、M=4である場合(即ち、検出素子の個数が4個である場合)、例えば、検出素子3-1をバイオセンサーとして用い、検出素子3-2を力(応力)センサーとして用い、検出素子3-3を温度センサーとして用い、検出素子3-4をガスセンサーとして用いることができる。
【0145】
この場合、検出素子3-1~3-4は、それぞれ、異なる検出対象物を検出するので、検出素子3-1~3-4の4個の振動子24の共振周波数が相互に異なる。例えば、振動子24の厚みを変えることによって振動子24の共振周波数を変えることができるので、検出素子3-1~3-4の4個の振動子24は、相互に異なる厚みを有する。
【0146】
そして、送受信装置1は、電磁場EWを送信アンテナ12によって4個の検出素子3-1~3-4に無線給電するとともに、4個の検出素子3-1~3-4からそれぞれ受信信号R0_1,R0_2,R0_3,R0_4;R1_1,R1_2,R1_3,R1_4を受信アンテナ13によって受信する。ここで、検出素子3-1~3-4の4個の振動子24は、相互に異なる共振周波数で振動するので、受信信号R0_1,R0_2,R0_3,R0_4および受信信号R1_1,R1_2,R1_3,R1_4は、相互に異なる共振周波数で振動する振動波形からなる。
【0147】
従って、検出回路2は、受信信号R0_1,R1_1に基づいて検出素子3-1の振動子24の共振周波数の変化量Δf_1(=R0_1-R1_1)を検出して生体物質を検出し、受信信号R02,R1_2に基づいて検出素子3-2の振動子24の共振周波数の変化量Δf_2(=R0_2-R1_2)を検出して力(応力)を検出し、受信信号R0_3,R1_3に基づいて検出素子3-3の振動子24の共振周波数の変化量Δf_3(=R0_3-R1_3)を検出して温度を検出し、受信信号R0_4,R1_4に基づいて検出素子3-4の振動子24の共振周波数の変化量Δf_4(=R0_4-R1_4)を検出してガスを検出する。
【0148】
これによって、検出装置10は、同時に、異なる検出対象物を検出できる。
【0149】
図15は、圧力を検出する検出素子の概略図である。
図15を参照して、検出素子3-1Aは、
図3に示す検出素子3-1に針部材30を追加したものであり、その他は、検出素子3-1と同じである。
【0150】
針部材30は、基板21およびアンテナ25を厚み方向に貫通し、針部材30の先端部と振動子24との間隔がアンテナ25(支持部材212の底面231A側の先端部を覆うアンテナ25)と振動子24との間隔(=5μm)よりも小さくなるように配置される。
【0151】
針部材30は、基板21と、基板21に形成されたアンテナ25,26とを含む構造物COMP2を
図6および
図7に示すガラスプロセスを用いて作製するときのガラス基板100を厚み方向に貫通する金属部材301によって構成される。
【0152】
そして、針部材30を構成する金属部材301は、支持部材212を構成することになる金属部材301よりも長く、ガラス基板300を準備する工程(A-1)の段階において、先端部がガラス基板300の上面(
図6の工程(A-1)に示すガラス基板300の上面)から突出している。
【0153】
従って、検出素子3-1Aは、
図6から
図11において説明した製造方法に従って製造される。
【0154】
基板23側が下地に接して配置された検出素子3-1Aにおいて、基板21の上面(凹部211の底面211Aと反対側の面)に圧力が印加されると、針部材30は、凹部231の底面231Aの方向へ移動し、振動子24を凹部231の底面231Aの方向へ押す。その結果、振動子24は、凹部231の底面231A側へ突出するように撓むので、振動子24の形状が変化し、振動子24の共振周波数が
図13に示すように低下する。
【0155】
従って、振動子24の共振周波数の変化量Δfを検出することによって圧力を検出することができる。
【0156】
検出素子3-1~3-Mの各々は、圧力を検出する場合、
図15に示す検出素子3-1Aからなる。
【0157】
図16は、受信信号の振幅と周波数との関係を示す図である。
図16において、縦軸は、受信信号の振幅を表わし、横軸は、周波数を表す。また、曲線k1~k6は、それぞれ、送受信装置1と検出素子3-1との距離が1.5m,3m,5m,7m,10m,20mであるときの受信信号の振幅と周波数との関係を示す。更に、検出素子3-1のサイズは、6×6×0.5mm
3(6mm角、0.5mmの厚み)である。更に、送受信装置1は、116MHzの入力電圧Vinからなる電磁場EWを50Wの送信パワーで検出素子3-1に無線給電した。
【0158】
図16を参照して、送受信装置1と検出素子3-1との距離が1.5m~20mの範囲である場合、送受信装置1は、入力電圧Vinからなる電磁場EWを検出素子3-1に無線給電し、検出素子3-1から受信信号Rを受信して共振周波数(曲線k1~k6において、振幅が最大であるときの周波数)を検出することができた。
【0159】
なお、
図16に示されていないが、送受信装置1と検出素子3-1との距離が6m,8m,9m,11m,12m,13m,14m,15m,16m,17m,18mである場合についても、送受信装置1は、入力電圧Vinからなる電磁場EWを検出素子3-1に無線給電し、検出素子3-1から受信信号Rを受信して共振周波数を検出できることを確認済である。
【0160】
図16において説明したように、発明者は、入力電圧Vinからなる電磁場EWの供給源を検出素子3-1に設けなくても、検出素子3-1に含まれる振動子24を送信アンテナ12によって発振させることができることを見出した。そして、振動子24の共振周波数を遠隔で計測することができた。即ち、検出素子3-1に設けた電極によって振動電場を振動子24に供給しなくても、電磁場EWの電場成分を用いて振動子24を遠隔で発振させることができた。
【0161】
このように、検出装置10においては、電磁場EWの供給源を検出素子3-1に設けなくても、送受信装置1によって検出素子3-1の振動子24を発振させ、振動子24の共振周波数を計測できるので、半永久的に遠隔で検出素子3-1(振動子24)の信号を受信できる。
【0162】
従って、検出素子3-1を以下に示す応用例に用いることができる。
【0163】
[応用例]
図17は、
図1に示す検出装置10の応用例を示す図である。
図17の(a)を参照して、検出素子3-1を原子力発電所の内部に設置し、送受信装置1および検出回路2を原子力発電所の外部に設置する。
【0164】
そして、送受信装置1は、電磁場EWを送信アンテナ12によって検出素子3-1に無線給電し、検出素子3-1からの受信信号を受信アンテナ13によって受信する。そして、検出回路2は、送受信装置1から受信信号を受け、その受けた受信信号に基づいて共振周波数の変化量を検出して原子力発電所内のガス等を検出する。
【0165】
なお、検出素子3-1の設置場所は、原子力発電所内に限らず、一般的には、人が立ち入ることができない場所である。
【0166】
図17の(b)を参照して、検出素子3-1は、上述したように、6×6×0.5mm
3(6mm角、0.5mmの厚み)の小さいサイズを有するので、検出素子3-1を動物の内部に埋め込むことができる。
【0167】
そして、送受信装置1は、電磁場EWを送信アンテナ12によって検出素子3-1に無線給電し、検出素子3-1からの受信信号を受信アンテナ13によって受信する。検出回路2は、送受信装置1から受信信号を受け、その受けた受信信号に基づいて共振周波数の変化量を検出して動物の局所部分における温度を検出する。
【0168】
検出素子3-1を人の体内に埋め込むことも可能であり、上述した方法によって、人の体内の局所部分における温度を検出することができる。生体内の局所部分における温度は、最も重要な生体情報であり、例えば、呼吸にともなう気管または肺の局所的な温度変化の様子は、喘息の発症メカニズムの解明において重要である。従って、検出装置10を用いて生体内の局所的な温度変化を計測することによって、喘息の発症メカニズムの解明に寄与できる。
【0169】
図17の(c)を参照して、検出素子3-1を高速道路およびビル等のコンクリートに埋め込み、送受信装置1および検出回路2をトラックに搭載する。そして、トラックが検出素子3-1の設置場所の周辺に到着すると、送受信装置1は、電磁場EWを送信アンテナ12によって検出素子3-1に無線給電し、検出素子3-1からの受信信号を受信アンテナ13によって受信する。検出回路2は、送受信装置1から受信信号を受け、その受けた受信信号に基づいて共振周波数の変化量を検出してコンクリート内の温度または力を半永久的に検出する。コンクリート内の温度または力を半永久的に検出することによって、コンクリートの劣化状態を検知し、コンクリートの劣化部分を修理することによって事故を未然に防止することができる。
【0170】
検出装置10においては、検出素子3-1の振動子24の共振周波数を遠隔で計測することができるとの特徴によって、検出装置10の応用分野を広くできる。その結果、検出装置10は、広い応用分野において、安心・安全・健康な社会を構築するための貢献が期待される製品である。
【0171】
図18は、
図1に示す検出装置10の動作を説明するためのフローチャートである。なお、
図18においては、M個の検出素子3-1~3-Mが送受信装置1の送信アンテナ12によって送信された電磁波EWの到達範囲内に配置されていることを前提とし、M個の検出素子3-1~3-MにおけるM個の振動子24のM個の共振周波数が相互に異なることを前提とする。
【0172】
図18を参照して、検出装置10の動作が開始されると、送受信装置1の本体部11は、タイミングtが、電磁場EWをM個の検出素子3-1~3-Mに無線給電するタイミングT
SPであるか否かを判定する(ステップS1)。
【0173】
ステップS1において、タイミングtが、電磁場EWをM個の検出素子3-1~3-Mに無線給電するタイミングTSPであると判定されると、送受信装置1の発生回路は、電磁場EWを発生し、送信アンテナ12は、発生回路によって発生された電磁場EWをM個の検出素子3-1~3-Mに無線給電する(ステップS2)。
【0174】
M個の検出素子3-1~3-Mの各々は、送信アンテナ12から電磁場EWを無線によって受信する(ステップS3)。
【0175】
そして、M個の検出素子3-1~3-Mの各々において、電磁場EWに基づいた振動電場Eがアンテナ25,26(またはアンテナ27,28)によって振動子24に印加される(ステップS4)。
【0176】
その後、M個の検出素子3-1~3-Mの各々において、アンテナ27,28(またはアンテナ25,26)は、振動子24の振動波形からなる受信信号R0(t)を振動子24から受信し(ステップS5)、その後、振動子24の振動波形からなる受信信号R1(t)を振動子24から受信する(ステップS6)。ここで、受信信号R0(t)は、振動子4が振動電場Eのみに起因して振動するときの受信信号であり、受信信号R1(t)は、振動子24が検出対象物の影響を受けて振動するときの受信信号である。そして、受信信号R0(t),R1(t)は、時間tの関数である。
【0177】
そうすると、M個の検出素子3-1~3-Mの各々において、アンテナ27,28(またはアンテナ25,26)は、受信信号R0(t),R1(t)を無線によって送信する(ステップS7)。
【0178】
そして、送受信装置1の受信アンテナ13は、M個の受信信号R0_1(t)~R0_M(t)が重畳された受信信号R0_SPM_D(t)と、M個の受信信号R1_1(t)~R1_M(t)が重畳された受信信号R1_SPM_D(t)とを無線によって順次受信し(ステップS8)、その受信した受信信号R0_SPM_D(t),R1_SPM_D(t)を送受信装置1の受信回路へ出力する。送受信装置1の受信回路は、受信信号R0_SPM_D(t),R1_SPM_D(t)を受けると、その受けた受信信号R0_SPM_D(t),R1_SPM_D(t)を検出回路2へ出力する。
【0179】
検出回路2は、受信信号R0_SPM_D(t),R1_SPM_D(t)を受けると、その受けた受信信号R0_SPM_D(t)を1個の時間においてフーリエ変換してM個の周波数成分R0_1(f)~R0_M(f)を取得し(ステップS9)、受信信号R1_SPM_D(t)をk(kは、3以上の整数)個の時間t1~tkにおいてフーリエ変換してk組の周波数成分{R1_1(f)~R1_M(f)}_1~{R1_1(f)~R1_M(f)}_kを取得する(ステップS10)。
【0180】
ここで、R1_1(f)_1~R1_1(f)_kは、k個の時間t1~tkにおける検出素子3-1からの受信信号R1(t)の周波数成分を表わし、R1_2(f)_1~R1_2(f)_kは、k個の時間t1~tkにおける検出素子3-2からの受信信号R1(t)の周波数成分を表わし、以下、同様にして、R1_M(f)_1~R1_M(f)_kは、k個の時間t1~tkにおける検出素子3-Mからの受信信号R1(t)の周波数成分を表わす。
【0181】
ステップS10の後、検出回路2は、i=1を設定する(ステップS11)。そして、検出回路2は、周波数成分R0_i(f)に基づいて共振周波数f0_iを検出し(ステップS12)、周波数成分R1_i(f)_1~R1_i(f)_kに基づいて共振周波数f1_i_1~f1_i_kを検出する(ステップS13)。
【0182】
そうすると、検出回路2は、共振周波数f0_i,f1_i_1~f1_i_kに基づいて共振周波数の変化量Δf_iが時間tに対して低下することを検出することによって検出素子3-iにおいて検出対象物Dm_iが検出されたことを検知する(ステップS14)。この場合、検出回路2は、Δf_i_1=f0_i-f1_i_1、Δf_i_2=f0_i-f1_i_2、・・・、Δf_i_k=f0_i-f1_i_kを算出し、k個の時間t
1~t
kを説明変数とし、k個の変化量Δf_i_1~Δf_i_kを目的変数とする回帰関数RGFを最小二乗法によって求める。そして、検出回路2は、その求めた回帰関数RGFの変化量Δf_i(目的関数)が時間(説明変数)に対して
図13に示すように徐々に低下するとき、検出素子3-iにおいて検出対象物Dm_iが検出されたことを検知する。
【0183】
ステップS14の後、検出回路2は、i=Mであるか否かを判定する(ステップS15)。
【0184】
ステップS15において、i=Mでないと判定されたとき、検出回路2は、i=i+1を設定する(ステップS16)。その後、一連の動作は、ステップS12へ移行し、ステップS15において、i=Mであると判定されるまで、ステップS12~ステップS16が繰り返し実行される。
【0185】
そして、ステップS15において、i=Mであると判定されると判定されると、一連の動作が終了する。
【0186】
図19は、受信信号R0_SPM_D(t),R1_SPM_D(t)を示す概念図である。また、
図20は、受信信号R0_SPM_D(t),R1_SPM_D(t)をフーリエ変換したときの周波数成分を示す概念図である。なお、
図20において、k個の時間t
1~t
kのkをk=4とする。
【0187】
図19を参照して、受信信号R0_SPM_D(t)は、時間tに対して、M個の検出素子3-1~3-MにおけるM個の振動子24が振動電場Eのみによって振動しているときのM個の振動子24からの受信信号R0_1(t)~R0_M(t)が重畳された振動波形からなる。
【0188】
また、受信信号R1_SPM_D(t)は、時間tに対して、M個の検出素子3-1~3-MにおけるM個の振動子24が検出対象物の影響を受けて振動しているときのM個の振動子24からの受信信号R1_1(t)~R1_M(t)が重畳された振動波形からなる。
【0189】
そして、1個の時間t
0において、受信信号R0_SPM_D(t)をフーリエ変換すると、
図20に示すM個の周波数成分R0_1(f),R0_2(f),・・・,R0_M(f)が得られる。
【0190】
そして、R0_1(f),R0_2(f),・・・,R0_M(f)において、“R0”は、振動子24が振動電場Eのみに起因したときの受信信号を表し、“1”,“2”,・・・,“M”は、それぞれ、検出素子3-1~3-Mを表す引数であり、“f”は、周波数を表す。
【0191】
また、k個の時間t
1~t
kにおいて、受信信号R1_SPM_D(t)をフーリエ変換すると、
図20に示すk(=4)個の周波数成分R1_1(f)_1,R1_1(f)_2,・・・,R1_1(f)_k;R1_2(f)_1,R1_2(f)_2,・・・,R1_2(f)_k;・・・;R1_M(f)_1,R1_M(f)_2,・・・,R1_M(f)_kが得られる。
【0192】
そして、R1_1(f)_1,R1_1(f)_2,・・・,R1_1(f)_kにおいて、“R1”は、振動子24が検出対象物の影響を受けて振動したときの受信信号を表し、“1”は、検出素子3-1を表わし、“1”,“2”,・・・,“k”は、フーリエ変換する時間(k個の時間t1~tk)を表す引数である。
【0193】
R1_2(f)_1,R1_2(f)_2,・・・,R1_2(f)_k;・・・;R1_M(f)_1,R1_M(f)_2,・・・,R1_M(f)_kについても同様である。
【0194】
そして、周波数成分R0_1(f)に基づいて、周波数成分R0_1(f)の振幅が最大になるときの周波数が1番目の検出素子3-1の共振周波数f0_1として検出され、周波数成分R0_2(f)に基づいて、周波数成分R0_2(f)の振幅が最大になるときの周波数が2番目の検出素子3-2の共振周波数f0_2として検出され、以下、同様にして、周波数成分R0_M(f)に基づいて、周波数成分R0_M(f)の振幅が最大になるときの周波数がM番目の検出素子3-Mの共振周波数f0_Mとして検出される(
図20参照)。
【0195】
また、周波数成分R1_1(f)_1に基づいて、周波数成分R1_1(f)_1の振幅が最大になるときの周波数が1番目の検出素子3-1の時間t
1における共振周波数f1_1_1として検出され、周波数成分R1_1(f)_2に基づいて、周波数成分R1_1(f)_2の振幅が最大になるときの周波数が1番目の検出素子3-1の時間t
2における共振周波数f1_1_2として検出され、以下、同様にして、周波数成分R1_1(f)_kに基づいて、周波数成分R1_1(f)_kの振幅が最大になるときの周波数が1番目の検出素子3-1の時間t
kにおける共振周波数f1_1_kとして検出される(
図20参照)。
【0196】
更に、周波数成分R1_2(f)_1に基づいて、周波数成分R1_2(f)_1の振幅が最大になるときの周波数が2番目の検出素子3-2の時間t
1における共振周波数f1_2_1として検出され、周波数成分R1_2(f)_2に基づいて、周波数成分R1_2(f)_2の振幅が最大になるときの周波数が2番目の検出素子3-2の時間t
2における共振周波数f1_2_2として検出され、以下、同様にして、周波数成分R1_2(f)_kに基づいて、周波数成分R1_2(f)_kの振幅が最大になるときの周波数が2番目の検出素子3-2の時間t
kにおける共振周波数f1_2_kとして検出される(
図20参照)。
【0197】
以下、同様にして、周波数成分R1_M(f)_1に基づいて、周波数成分R1_M(f)_1の振幅が最大になるときの周波数がM番目の検出素子3-Mの時間t
1における共振周波数f1_M_1として検出され、周波数成分R1_M(f)_2に基づいて、周波数成分R1_M(f)_2の振幅が最大になるときの周波数がM番目の検出素子3-Mの時間t
2における共振周波数f1_M_2として検出され、以下、同様にして、周波数成分R1_M(f)_kに基づいて、周波数成分R1_M(f)_kの振幅が最大になるときの周波数がM番目の検出素子3-Mの時間t
kにおける共振周波数f1_M_kとして検出される(
図20参照)。
【0198】
そうすると、検出回路2は、共振周波数f0_1,f1_1_1~f1_1_kに基づいて、上述した方法によって、1番目の検出素子3-1における共振周波数の変化量Δf_1の時間依存性を示す回帰関数RGF_1を求め、共振周波数f0_2,f1_2_1~f1_2_kに基づいて、上述した方法によって、2番目の検出素子3-2における共振周波数の変化量Δf_2の時間依存性を示す回帰関数RGF_2を求め、以下、同様にして、共振周波数f0_M,f1_M_1~f1_M_kに基づいて、M番目の検出素子3-Mにおける共振周波数の変化量Δf_Mの時間依存性を示す回帰関数RGF_Mを求める。
【0199】
そして、検出回路2は、回帰関数RGF_1の変化量Δf_1(目的関数)が時間(説明変数)に対して
図13に示すように徐々に低下するとき、検出素子3-1において検出対象物Dm_1が検出されたことを検知し、回帰関数RGF_2の変化量Δf_2(目的関数)が時間(説明変数)に対して
図13に示すように徐々に低下するとき、検出素子3-2において検出対象物Dm_2が検出されたことを検知し、以下、同様にして、回帰関数RGF_Mの変化量Δf_M(目的関数)が時間(説明変数)に対して
図13に示すように徐々に低下するとき、検出素子3-Mにおいて検出対象物Dm_Mが検出されたことを検知する(
図18のステップS14参照)。
【0200】
図18に示すフローチャートのステップS1において、タイミングtが、電磁場EWをM個の検出素子3-1~3-Mに無線給電するタイミングT
SPであるか否かを判定するのは、次の理由による。
【0201】
検出装置10においては、送受信装置1は、遠隔で、電磁場EWをM個の検出素子3-1~3-Mに無線給電してM個の検出素子3-1~3-MにおけるM個の振動子24の共振周波数を計測してM個の検出素子3-1~3-Mにおける検出対象物を検出することを半永久的に実行する。そして、M個の検出素子3-1~3-Mは、電磁場EWの供給源を備えておらず、送受信装置1が電磁場EWをM個の検出素子3-1~3-Mに無線給電すれば、M個の検出素子3-1~3-Mが動作する。その結果、送受信装置1は、常に、電磁場EWをM個の検出素子3-1~3-Mに無線給電する必要は無く、検出対象物を検出すべきタイミングTSPになったときに電磁場EWをM個の検出素子3-1~3-Mに無線給電すればよいからである。
【0202】
また、ステップS8において、受信信号R0_1(t)は、検出素子3-1における受信信号R0(振動子24が振動電場Eのみに起因して振動しているときの受信信号)を表わし、受信信号R1_1(t)は、検出素子3-1における受信信号R1(振動子24が検出対象物の影響を受けて振動しているときの受信信号)を表わす。受信信号R0_2(t),R1_2(t)~R0_M(t),R1_M(t)についても同様である。
【0203】
そして、M個の検出素子3-1~3-Mは、それぞれ、受信信号R0_1(t),R1_1~R0_M(t),R1_M(t)をアンテナ27,28(またはアンテナ25,26)によってほぼ同時に送信すると考えられるので、ステップS8において、送受信装置1の受信アンテナ13は、M個の受信信号R0_1(t)~R0_M(t)が重畳された受信信号R0_SPM_D(t)と、M個の受信信号R1_1(t)~R1_M(t)が重畳された受信信号R1_SPM_D(t)とを無線によって順次受信することになる。
【0204】
更に、M=1である場合、検出回路2は、ステップS10において、受信信号R1_SPM_D(t)をk個の時間t1~tkにおいてフーリエ変換したとき、k組の周波数成分{R1_1(f)~R1_M(f)}_1~{R1_1(f)~R1_M(f)}_kを取得することになる。その結果、ステップS12~ステップS14が1回だけ実行されることになる。
【0205】
更に、M個の検出素子3-1~3-Mが、例えば、4個の検出素子3-1~3-4からなる場合、検出装置10は、
図18に示すフローチャートを実行することによって、4個の検出素子3-1~3-4がそれぞれ
図14において説明したバイオセンサー、力(応力)センサー、温度センサーおよびガスセンサーとして機能し、生体物質、力(応力)、温度およびガスを検出対象物として一度に検出することができる。
【0206】
更に、検出回路2は、検出素子3-1~3-Mの識別情報IDと、検出素子3-1~3-Mにおける振動子24の共振周波数との対応関係を示す対応表を内蔵する。
【0207】
検出素子3-1~3-Mの識別情報IDと、検出素子3-1~3-Mにおける振動子24の共振周波数との対応関係を示す対応表を表1に示す。
【0208】
【0209】
表1において、ID_1~ID_Mは、それぞれ、検出素子3-1~3-Mの識別情報を表わし、f1_1~f1_Mは、それそれ、検出素子3-1~3-Mにおける振動子24の共振周波数(振動子24が検出対象物の影響を受けて振動しているときの共振周波数)を表す。
【0210】
そして、共振周波数f1_1~f1_Mは、それそれ、検出素子3-1~3-Mの識別情報ID_1~ID_Mに対応付けられる。
【0211】
検出回路2は、
図18に示すフローチャートを実行して検出対象物Dm_iが検出されたことを検知したとき、表1に示す対応表を参照して、ステップS13において検出した共振周波数f1_i_1~f1_i_kに一致する共振周波数f1(f1_1~f1_Mのいずれか)を検出し、その検出した共振周波数f1(f1_1~f1_Mのいずれか)に対応付けられた検出素子の識別情報ID(ID_1~ID_Mのいずれか)を検出して、検出対象物Dm_iを検出した検出素子(検出素子3-1~3-Mのいずれか)を特定する。また、検出回路2は、共振周波数f1(f1_1~f1_Mのいずれか)に基づいて検出対象物Dm_i(温度およびガス等のいずれか)を特定する。
【0212】
その結果、M個の検出素子3-1~3-Mを所定の領域内に配置することによって、所定の領域内において少なくとも1つの検出対象物を検出した範囲を特定することができる。
【0213】
また、所定の領域内において少なくとも1つの検出対象物を検出した範囲を特定することを所定の時間間隔で繰り返し実行することによって、所定の領域内において少なくとも1つの検出対象物を検出した範囲が変化したか否かを検出できる。
【0214】
図21は、実施の形態1による別の検出装置の概略図である。実施の形態1による検出装置は、
図21に示す検出装置10Aであってもよい。
【0215】
図21を参照して、検出装置10Aは、
図1に示す検出装置10の送信アンテナ12および受信アンテナ13をアンテナ17に変えたものであり、その他は、
図1に示す検出装置10と同じである。
【0216】
検出装置10Aにおいて、アンテナ17は、発生回路によって発生された電磁場EWを、一定期間、M個の検出素子3-1~3-Mに無線給電し、一定期間が経過すると、電磁場EWのM個の検出素子3-1~3-Mへの無線給電を停止する。その後、アンテナ17は、M個の検出素子3-1~3-Mから受信信号Rを受信し、その受信した受信信号Rを受信回路へ出力する。
【0217】
このように、アンテナ17は、送信アンテナ12および受信アンテナ13の両方の機能を果たす1個のアンテナである。
【0218】
検出装置10Aの動作は、
図18に示すフローチャートにおいて、ステップS2を「電磁場EWを発生し、その発生した電磁場EWを、アンテナ17によって、一定期間、M個の検出素子3-1~3-Mに無線給電するステップ」に変え、ステップS8を「アンテナ17がM個の受信信号R0_1(t)~R0_M(t)が重畳された受信信号R0_SPM_D(t)と、M個の受信信号R1_1(t)~R1_M(t)が重畳された受信信号R1_SPM_D(t)とを無線によって受信するステップ」に変えたフローチャートに従って実行される。
【0219】
図22は、実施の形態1における別の検出素子の概略図である。実施の形態1における検出素子は、
図22に示す検出素子3-1Bであってもよい。
【0220】
図22を参照して、検出素子3-1Bは、
図2から
図4に示す検出素子3-1のアンテナ27,28を削除したものであり、その他は、検出素子3-1と同じである。その結果、検出素子3-1Bは、アンテナ25,26からなる1個のアンテナ部材を有する。
【0221】
検出素子3-1Bは、
図6から
図11に示す製造方法において、
図6および
図7に示すガラスプロセスにおける工程(A-4)~工程(A-9)を削除して構造物COMP1を作製し、その後、
図6および
図7に示すガラスプロセスにおける工程(A-1)~工程(A-9)を実行して構造物COMP2を作製する製造方法によって作製される。この場合、構造物COMP1は、工程(A-3)が終了した基板23に送廃液口233を形成した構造からなる。
【0222】
検出素子3-1Bにおいては、アンテナ25,26(1個のアンテナ部材)は、一定期間、送受信装置1(または送受信装置1A)から無線給電された電磁場EWを無線によって受信し、その受信した電磁場EWに基づく振動電場Eを振動子24に印加する。その後、アンテナ25,26(1個のアンテナ部材)は、振動子24の振動波形からなる受信信号R0(t),R1(t)を受信し、その受信した受信信号R0(t),R1(t)を無線によって送受信装置1(または送受信装置1A)へ順次送信する。
【0223】
なお、検出素子3-1Bは、アンテナ25,26に代えてアンテナ27,28を備えていてもよい。この場合、アンテナ27,28は、1個のアンテナ部材を構成する。つまり、検出素子3-1Bは、アンテナ25,26からなる1個のアンテナ部材と、アンテナ27,28からなる1個のアンテナ部材とのうちのいずれか一方を備えていればよい。
【0224】
検出素子3-1Bがアンテナ25,26に代えてアンテナ27,28を備える場合、検出素子3-1Bは、
図6から
図11に示す製造方法において、
図6および
図7に示すガラスプロセスを実行して
図7に示す構造物COMP1を作製し、その後、
図6および
図7に示すガラスプロセスにおける工程(A-4)~工程(A-10)を削除して構造物COMP2を作製する製造方法によって作製される。この場合、構造物COMP2は、工程(A-3)に示す“凹部231”および“支持部材232”に代えてそれぞれ“凹部211”および“支持部材212”が形成された基板21からなる。
【0225】
図1に示す検出装置10のM個の検出素子3-1~3-Mの各々が検出素子3-1Bからなる場合、検出装置10の動作は、
図18に示すフローチャートにおいて、ステップS2を「電磁場EWを発生し、その発生した電磁場EWを、送信アンテナ12によって、一定期間、M個の検出素子3-1(3-1B)~3-M(3-1B)に無線給電するステップ」に変え、ステップS3を「アンテナ25,26(またはアンテナ27,28)が電磁場EWを無線によって、一定期間、受信するステップ」に変え、ステップS7を「アンテナ25,26(またはアンテナ27,28)が受信信号R0(t),R1(t)を無線によって送信するステップ」に変えたフローチャートに従って実行される。
【0226】
また、
図21に示す検出装置10AのM個の検出素子3-1~3-Mの各々が検出素子3-1Bからなる場合、検出装置10Aの動作は、
図18に示すフローチャートにおいて、ステップS2を「電磁場EWを発生し、その発生した電磁場EWを、アンテナ17によって、一定期間、M個の検出素子3-1~3-Mに無線給電するステップ」に変え、ステップS3を「アンテナ25,26(またはアンテナ27,28)が電磁場EWを無線によって、一定期間、受信するステップ」に変え、ステップS7を「アンテナ25,26(またはアンテナ27,28)が受信信号R0(t),R1(t)を無線によって送信するステップ」に変え、ステップS8を「アンテナ17が、M個の受信信号R0_1(t)~R0_M(t)が重畳された受信信号R0_SPM_D(t)と、M個の受信信号R1_1(t)~R1_M(t)が重畳された受信信号R1_SPM_D(t)とを無線によって順次受信するステップ」に変えたフローチャートに従って実行される。
【0227】
M個の検出素子3-1~3-MにおけるM個の振動子24のM個の共振周波数が同じである場合の検出装置10の動作について説明する。
【0228】
この場合、送受信装置1は、発生回路および受信回路に追加して制御回路を備える。制御回路は、検出素子3-1~3-Mの識別情報ID_1~ID_Mと、送受信装置1の位置を基準とした検出素子3-1~3-Mの配置位置の方向θ3-1~θ3-Mとを相互に対応付けた対応表を保持する。検出素子3-1~3-Mの識別情報ID_1~ID_Mと、送受信装置1の位置を基準とした検出素子3-1~3-Mの配置位置の方向θ3-1~θ3-Mとの対応関係を示す対応表を表2に示す。
【0229】
【0230】
表2において、検出素子3-1~3-Mの配置位置の方向θ3-1~θ3-Mは、それぞれ、検出素子3-1~3-Mの識別情報ID_1~ID_Mに対応付けられる。
【0231】
送受信装置1の位置を[x1,y1]とし、検出素子3-1の位置を[x3-1,y3-1]とすると、方向θ3-1は、次式によって算出される。
【0232】
θ3-1=tan-1[|y3-1-y1|/|x3-1-x1|]・・・(2)
検出素子3-2~3-Mの位置をそれぞれ[x3-2,y3-2]~[x3-M,y3-M]とすると、式(2)の“x3-1”,“y3-1”に代えてそれぞれ“x3-2”,“y3-2”を式(2)に代入することによって方向θ3-2が算出され、以下、同様にして、式(2)の“x3-1”,“y3-1”に代えてそれぞれ“x3-M”,“y3-M”を式(2)に代入することによって方向θ3-Mが算出される。
【0233】
送受信装置1の発生回路は、電磁場EWを発生し、その発生した電磁場EWを搬送波(例えば、1GHzの搬送波)に重畳して送信アンテナ12へ供給する。制御回路は、電磁場EWを検出素子3-1に無線給電する場合、表2に示す対応表を参照して、識別情報ID_1に対応付けられた方向θ3-1に基づいて、電磁場EWが重畳された搬送波を、方向θ3-1を有する指向性の電波によって送信するように送信アンテナ12を制御する。送受信装置1の制御回路は、電磁場EWが重畳された搬送波をそれぞれ検出素子3-2~3-Mへ無線給電する場合も、同様にして、電磁場EWが重畳された搬送波を、それぞれ、方向θ3-2~θ3-Mを有する指向性の電波によって送信するように送信アンテナ12を制御する。
【0234】
なお、指向性を有する電波の送信方法は、周知であるので、その詳細についての説明は、省略する。
【0235】
図23は、
図1に示す検出装置10の動作を説明するための別のフローチャートである。なお、
図23においては、M個の検出素子3-1~3-Mが送受信装置1の送信アンテナ12によって送信された電磁波EWの到達範囲内に配置されていることを前提とし、M個の検出素子3-1~3-MにおけるM個の振動子24のM個の共振周波数が相互に同じであることを前提とする。
【0236】
図23に示すフローチャートは、
図18に示すフローチャートのステップS2をステップS21,S22に変え、
図18に示すフローチャートのステップS8~S16をステップS23~S28に変えたものであり、その他は、
図18に示すフローチャートと同じである。
【0237】
図23を参照して、検出装置10の動作が開始されると、上述したステップS1が実行され、ステップS1において、タイミングtが、電磁場EWをM個の検出素子3-1~3-Mに無線給電するタイミングT
SPであると判定されると、送受信装置1の制御回路は、i=1を設定する(ステップS21)。
【0238】
そして、発生回路は、電磁場EWを発生し、その発生した電磁場EWを搬送波に重畳して送信アンテナ12へ供給する。制御回路は、表2に示す対応表を参照して、送受信装置1から検出素子3-iへの方向θ3-iに基づいて、電磁場EWが重畳された搬送波を、方向θ3-iを有する指向性の電波によって送信するように送信アンテナ12を制御する。そうすると、送信アンテナ12は、制御回路からの制御に従って、発生回路からの搬送波(電磁場EWが重畳された搬送波)を、方向θ3-iを有する指向性の電波によって検出素子3-iに無線給電する(ステップS22)。
【0239】
ステップS22の後、検出素子3-iは、
図18において説明したステップS3~S7を順次実行する。
【0240】
ステップS7の後、送受信装置1の受信回路は、受信アンテナ13を介して受信信号R0(t)_i,R1(t)_iを無線によって順次受信し(ステップS23)、その受信した受信信号R0(t)_i,R1(t)_iを検出回路2へ出力する。
【0241】
検出回路2は、受信信号R0(t)_i,R1(t)_iを受け、その受けた受信信号R0(t)_iに基づいて共振周波数f0(t)_iを検出し(ステップS24)、受信信号R1(t)_iに基づいて共振周波数f1(t)_iを検出する(ステップS25)。
【0242】
そして、検出回路2は、共振周波数f0(t)_i,f1(t)_iに基づいて共振周波数の変化量Δf(t)_iが時間tに対して低下することを検出することによって検出素子3-iにおいて検出対象物Dm_iが検出されたことを検知する(ステップS26)。
【0243】
その後、検出回路2は、i=Mであるか否かを判定する(ステップS27)。
【0244】
ステップS27において、i=Mでないと判定されたとき、検出回路2は、i=i+1を設定する(ステップS28)。その後、一連の動作は、ステップS22へ移行し、ステップS27において、i=Mであると判定されるまで、ステップS22,S3~S7,S23~ステップS28が繰り返し実行される。
【0245】
そして、ステップS27において、i=Mであると判定されると判定されると、一連の動作が終了する。
【0246】
図23に示すフローチャートによれば、電磁場EWを1個の検出素子3-iに無線給電し、1個の検出素子3-iから受信した受信信号R0(t)_i,R1(t)_iに基づいて検出素子3-iにおいて検出対象物Dm_iが検出されたことを検知すること(ステップS24~S26参照)をM個の検出素子3-1~3-Mの全てについて実行するので、M個の検出素子3-1~3-MにおけるM個の振動子24のM個の共振周波数が同じであっても、M個の検出素子3-1~3-Mにおいて同じ検出対象物が検出されたことを遠隔で正確に検知できる。
【0247】
そして、M個の検出素子3-1~3-Mを所定の領域内に配置することによって所定の領域内において1個の検出対象物を検出した範囲を特定することができる。
【0248】
また、所定の領域内において1個の検出対象物を検出した範囲を特定することを所定の時間間隔で繰り返し実行することによって、所定の領域内において1個の検出対象物を検出した範囲が変化したか否かを検出できる。
【0249】
検出装置10Aの動作は、
図23に示すフローチャートにおいて、ステップS22を「電磁場EWを発生し、アンテナ17が、発生回路からの電磁場EWが重畳された搬送波を、方向θ
3-iを有する指向性の電波によって、一定の期間、検出素子3-iに無線給電するステップ」に変え、ステップS23を「アンテナ17が受信信号R0(t)_i,R1(t)_iを無線によって順次受信するステップ」に変えたフローチャートに従って実行される。
【0250】
図1に示す検出装置10のM個の検出素子3-1~3-Mの各々が検出素子3-1Bからなる場合、検出装置10の動作は、
図23に示すフローチャートにおいて、ステップS22を「電磁場EWを発生し、その発生した電磁場EWが重畳された搬送波を、方向θ
3-iを有する指向性の電波によって、一定期間、検出素子3-iに無線給電するステップ」に変え、ステップS3を「アンテナ25,26(またはアンテナ27,28)が搬送波(電磁場EWが重畳された搬送波)を無線によって、一定期間、受信するステップ」に変え、ステップS7を「アンテナ25,26(またはアンテナ27,28)が受信信号R0(t)_i,R1(t)_iを無線によって送信するステップ」に変えたフローチャートに従って実行される。
【0251】
また、
図21に示す検出装置10AのM個の検出素子3-1~3-Mの各々が検出素子3-1Bからなる場合、検出装置10Aの動作は、
図23に示すフローチャートにおいて、ステップS22を「電磁場EWを発生し、アンテナ17が、発生回路からの電磁場EWが重畳された搬送波を、方向θ
3-iを有する指向性の電波によって、一定期間、検出素子3-iに無線給電するステップ」に変え、ステップS3を「アンテナ25,26(またはアンテナ27,28)が搬送波(電磁場EWが重畳された搬送波)を無線によって、一定期間、受信するステップ」に変え、ステップS7を「アンテナ25,26(またはアンテナ27,28)が受信信号R0(t)_i,R1(t)_iを無線によって送信するステップ」に変え、ステップS23を「アンテナ17が受信信号R0(t)_i,R1(t)_iを無線によって受信するステップ」に変えたフローチャートに従って実行される。
【0252】
図23に示すフローチャートについてのその他の説明は、
図18に示すフローチャートについての説明と同じである。
【0253】
図24は、実施の形態1による検出対象物の検出方法を示すフローチャートである。
図24を参照して、検出対象物の検出が開始されると、送受信装置1は、電磁場EWをM個の検出素子3-1~3-Mに無線給電する(ステップS51)。
【0254】
そして、送受信装置1は、M個の検出素子3-1~3-MにおけるM個の振動子24の電場E(電磁場EWに基づいた電場)のみに起因した振動波形からなる受信信号R0_SPM_D(t)を無線によってM個の検出素子3-1~3-Mから受信する(ステップS52)。
【0255】
また、送受信装置1は、M個の検出素子3-1~3-MにおけるM個の振動子24の検出対象物の影響を受けて振動するときの振動波形からなる受信信号R1_SPM_D(t)を無線によってM個の検出素子3-1~3-Mから受信する(ステップS53)。
【0256】
そうすると、検出回路2は、受信信号R0_SPM_D(t)に基づいてM個の検出素子3-1~3-MのM個の振動子24のM個の共振周波数f0(t)_1~f0(t)_Mを検出する(ステップS54)。
【0257】
引き続いて、検出回路2は、受信信号R1_SPM_D(t)に基づいてM個の検出素子3-1~3-MのM個の振動子24のM個の共振周波数f1(t)_1~f1(t)_Mを検出する(ステップS55)。
【0258】
そして、検出回路2は、M個の共振周波数f0(t)_1~f0(t)_MおよびM個の共振周波数f1(t)_1~f1(t)_Mに基づいて、共振周波数の変化量Δf(t)_1~Δf(t)_Mが時間tに対して低下することを検出することによってM個の検出素子3-1~3-Mにおいて検出対象物が検出されたことを検知する(ステップS56)。
【0259】
これによって、検出対象物の検出が終了する。
【0260】
図24に示す検出対象物の検出方法において、ステップS51における電磁場EWのM個の検出素子3-1~3-Mへの無線給電は、
図18に示すフローチャートのステップS2を実行することによって実現される。
【0261】
また、
図24に示す検出対象物の検出方法において、ステップS52における受信信号R0_SPM_D(t)の無線によるM個の検出素子3-1~3-Mからの受信は、
図18に示すフローチャートのステップS8を実行することによって実現される。
【0262】
更に、
図24に示す検出対象物の検出方法において、ステップS53における受信信号R1_SPM_D(t)の無線によるM個の検出素子3-1~3-Mからの受信は、
図18に示すフローチャートのステップS8を実行することによって実現される。
【0263】
更に、
図24に示す検出対象物の検出方法において、ステップS54におけるM個の共振周波数f0(t)_1~f0(t)_Mの検出は、
図18に示すフローチャートのステップS12をi=1~Mの全てについて実行することによって実現され、ステップS55におけるM個の共振周波数f1(t)_1~f1(t)_Mの検出は、
図18に示すフローチャートのステップS13をi=1~Mの全てについて実行することによって実現され、ステップS56における「M個の検出素子3-1~3-Mにおいて検出対象物が検出されたことを検知すること」は、
図18に示すフローチャートのステップS14をi=1~Mの全てについて実行することによって実現される。
【0264】
また、
図24に示す検出対象物の検出方法においては、指向性の電波を用いて電磁場EWをM個の検出素子3-1~3-Mへ無線給電してもよい。
【0265】
この場合、ステップS51において、送受信装置1は、指向性の電波によって搬送波(電磁場EWが重畳された搬送波)を1個の検出素子3-iに無線給電することをM個の検出素子3-1~3-Mの全てについて実行する。このとき、指向性の電波によって搬送波(電磁場EWが重畳された搬送波)を1個の検出素子3-iに無線給電することをM個の検出素子3-1~3-Mの全てについて実行することは、
図23に示すフローチャートのステップS22をi=1~Mの全てについて実行することによって実現される。
【0266】
また、ステップS52において、送受信装置1は、受信信号R0_SPM_D(t)に代えて、M個の検出素子3-1~3-MからM個の受信信号R0(t)_1~R0(t)_Mを無線によって受信する。この時、ステップS52におけるM個の受信信号R0(t)_1~R0(t)_Mの受信は、
図23に示すフローチャートのステップS23をi=1~Mの全てについて実行することによって実現される。
【0267】
更に、ステップS53において、送受信装置1は、受信信号R1_SPM_D(t)に代えて、M個の検出素子3-1~3-MからM個の受信信号R1(t)_1~R1(t)_Mを無線によって受信する。この時、ステップS53におけるM個の受信信号R1(t)_1~R1(t)_Mの受信は、
図23に示すフローチャートのステップS23をi=1~Mの全てについて実行することによって実現される。
【0268】
更に、ステップS54において、検出回路2は、受信信号R0_SPM_D(t)に代えて、M個の検出素子3-1~3-MからのM個の受信信号R0(t)_1~R0(t)_Mに基づいて、M個の共振周波数f0(t)_1~f0(t)_Mを検出する。この時、ステップS54におけるM個の共振周波数f0(t)_1~f0(t)_Mの検出は、
図23に示すフローチャートのステップS24をi=1~Mの全てについて実行することによって実現される。
【0269】
更に、ステップS55において、検出回路2は、受信信号R1_SPM_D(t)に代えて、M個の検出素子3-1~3-MからのM個の受信信号R1(t)_1~R1(t)_Mに基づいて、M個の共振周波数f1(t)_1~f1(t)_Mを検出する。この時、ステップS55におけるM個の共振周波数f1(t)_1~f1(t)_Mの検出は、
図23に示すフローチャートのステップS25をi=1~Mの全てについて実行することによって実現される。
【0270】
更に、ステップS56において、M個の共振周波数f0(t)_1~f0(t)_MおよびM個の共振周波数f1(t)_1~f1(t)_Mに基づいて、共振周波数の変化量Δf(t)_1~Δf(t)_Mが時間tに対して低下することを検出することによってM個の検出素子3-1~3-Mにおいて検出対象物が検出されたことを検知することは、
図23に示すフローチャートのステップS26をi=1~Mの全てについて実行することによって実現される。
【0271】
従って、
図24に示す検出対象物の検出方法は、上述した実施の形態1における説明に基づいた検出方法である。
【0272】
なお、実施の形態1においては、検出素子3-1~3-Mの各々において、基板21は、複数の支持部材212を有し、基板23は、複数の支持部材232を有するが、複数の支持部材212は、少なくとも1個が金属からなっていればよく、複数の支持部材232は、少なくとも1個が金属からなっていればよい。複数の支持部材212の少なくとも1個が金属からなっていれば、アンテナ26を電気的にアンテナ25に接続でき、複数の支持部材232の少なくとも1個が金属からなっていれば、アンテナ28を電気的にアンテナ27に接続できるからである。
【0273】
また、支持部材212および支持部材232の各々は、円柱形状に限らず、三角柱、四角柱、および五角柱等の形状を有していてもよく、長さ方向に垂直な方向における断面形状は、任意の形状からなっていてもよい。
【0274】
更に、空間部SPおよび振動子24の平面形状は、流線形に限らず、楕円形状であってもよい。
【0275】
[実施の形態2]
図25は、実施の形態2による検出装置の概略図である。
図25を参照して、実施の形態2による検出装置10Bは、
図1に示す検出装置10のM個の検出素子3-1~3-MをM個の検出素子4-1~4-Mに変えたものであり、その他は、検出装置10と同じである。M個の検出素子4-1~4-Mの各々は、複数の振動子24を含む。
【0276】
図26は、
図25に示す検出素子4-1の概略図である。なお、
図26は、複数の振動子24が3個の振動子24である場合について検出素子4-1の概略図を示す。
【0277】
図26を参照して、検出素子4-1は、素子ユニットUnit_1~Unit_3と基台400とを含む。素子ユニットUnit_1~Unit_3は、所定の間隔で基台400上に固定される。素子ユニットUnit_1~Unit_3の各々は、
図2から
図4に示す検出素子3-1と同じ構成からなる。
【0278】
その結果、検出素子4-1は、素子ユニットUnit_1~Unit_3を基台400上に所定の間隔で一列に配列した構成からなる。
【0279】
検出素子4-1において、素子ユニットUnit_1~Unit_3に含まれる3個の振動子24は、相互に異なる共振周波数(即ち、例えば、相互に異なる厚み)を有する。
【0280】
図25に示す検出素子4-2~4-Mの各々も、
図26に示す検出素子4-1と同じ構成からなる。
【0281】
図27は、素子ユニットの配列構造を示す概略図である。
図27を参照して、検出素子4-1がp×q(p,qの一方は、2以上の整数であり、p,qの他方は、1以上の整数である)個の素子ユニットUnit_11~Unit_pqを含む場合、p×q個の素子ユニットUnit_11~Unit_pqは、p行q列の行列状に配置される。そして、検出素子4-2~4-Mの各々も、検出素子4-1と同じようにp行q列の行列状に配置されたp×q個の素子ユニットUnit_11~Unit_pqを含む。
【0282】
検出素子4-1~4-Mの各々において、p×q個の素子ユニットUnit_11~Unit_pqにおけるp×q個の振動子24は、相互に異なる共振周波数(即ち、例えば、相互に異なる厚み)を有する。
【0283】
このように、検出素子4-1~4-Mにおいては、複数の素子ユニットUnitは、列状に配列されていてもよく、行列状に配列されていてもよい。
【0284】
そして、検出素子4-1~4-Mの各々に含まれる振動子24の個数は、検出対象物の種類の総数以下である。
【0285】
また、検出素子4-1~4-Mは、相互に同じ個数の振動子24(即ち、相互に同じ個数の素子ユニットUnit)を備えていてもよく、相互に異なる個数の振動子24(即ち、相互に異なる個数の素子ユニットUnit)を備えていてもよい。
【0286】
検出素子4-1~4-Mが相互に同じ個数の振動子24(即ち、相互に同じ個数の素子ユニットUnit)を備える場合、検出装置10Bは、検出素子4-1~4-Mを用いて個数および種類が相互に同じである検出対象物を検出し、または検出素子4-1~4-Mを用いて個数が相互に同じであり、かつ、種類が相互に異なる検出対象物を検出する。
【0287】
個数および種類が相互に同じである検出対象物を検出するとき、M個の検出素子4-1~4-Mは、M個の検出素子4-1~4-Mにおいて相互に同じ個数および相互に同じ共振周波数の振動子24を含む。一方、個数が相互に同じであり、かつ、種類が相互に異なる検出対象物を検出するとき、M個の検出素子4-1~4-Mは、M個の検出素子4-1~4-Mにおいて個数が相互に同じであり、かつ、共振周波数が相互に少なくとも1つ異なる振動子24を含む。
【0288】
図28は、
図25に示す検出装置10Bの動作を説明するためのフローチャートである。なお、
図28においては、M個の検出素子4-1~4-Mが送受信装置1の送信アンテナ12によって送信された電磁場EWの到達範囲内に配置されていることを前提とする。
【0289】
図28に示すフローチャートは、
図23に示すフローチャートのステップS4~ステップS7をそれぞれステップS4A~ステップS7Aに変え、
図23に示すフローチャートのステップS23~ステップS26をステップS23A,S24Aに変えたものであり、その他は、
図23に示すフローチャートと同じである。
【0290】
図28を参照して、検出装置10Bの動作が開始されると、上述したステップS1,S21,S22,S3が順次実行される。なお、実施の形態2においては、ステップS22において、「電磁場EWが重畳された搬送波は、検出素子4-iに無線給電される」ことになる。
【0291】
そして、ステップS3の後、検出素子4-iにおいて、アンテナ25,26(またはアンテナ27,28)は、電磁場EWに基づいた振動電場Eを複数の振動子24に印加する(ステップS4A)。
【0292】
その後、検出素子4-iにおいて、アンテナ27,28(またはアンテナ25,26)は、複数の振動子24の振動波形からなる複数の受信信号R0_1(t)~R0_jmax(t)が重畳された受信信号R0_SPM_SC(t)_iを複数の振動子24から受信する(ステップS5A)。
【0293】
引き続いて、検出素子4-iにおいて、アンテナ27,28(またはアンテナ25,26)は、複数の振動子24の振動波形からなる複数の受信信号R1_1(t)~R1_jmax(t)が重畳された受信信号R1_SPM_SC(t)_iを複数の振動子24から受信する(ステップS6A)。
【0294】
そうすると、検出素子4-iにおいて、アンテナ27,28(またはアンテナ25,26)は、受信信号R0_SPM_SC(t)_i,R1_SPM_SC(t)_iを無線によって送信する(ステップS7A)。
【0295】
送受信装置1の受信回路は、受信アンテナ13を介して、受信信号R0_SPM_SC(t)_i,R1_SPM_SC(t)_iを無線によって受信し(ステップS23A)、その受信した受信信号R0_SPM_SC(t)_i,R1_SPM_SC(t)_iを検出回路2へ出力する。
【0296】
検出回路2は、受信信号R0_SPM_SC(t)_i,R1_SPM_SC(t)_iを受信回路から受け、その受けた受信信号R0_SPM_SC(t)_i,R1_SPM_SC(t)_iに基づいて複数の共振周波数の変化量{Δf_1~Δf_jmax}_iを検出して複数の検出対象物{Dm_1~Dm_jmax}_iを検出する(ステップS24A)。
【0297】
その後、上述したステップS27が実行され、ステップS27において、i=Mでないと判定されたとき、ステップS27において、i=Mであると判定されるまで、ステップS22,S3,S4A~7A,S23A,S24A,S27,S28が繰り返し実行される。
【0298】
そして、ステップS27において、i=Mであると判定されると、一連の動作が終了する。
【0299】
図29は、
図28のステップS24Aの詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0300】
図29を参照して、
図28のステップS23Aの後、検出回路2は、受信信号R0_SPM_SC(t)_iを1個の時間においてフーリエ変換して周波数成分R0_1(f)_i~R0_j
max(f)_iを取得する(ステップS31)。
【0301】
そして、検出回路2は、受信信号R0_SPM_SC(t)_iをk個の時間t1~tkにおいてフーリエ変換して周波数成分{R1_1(f)_i~R1_jmax(f)_i}_1~{R1_1(f)_i~R1_jmax(f)_i}_kを取得する(ステップS32)。
【0302】
その後、検出回路2は、j=1を設定し(ステップS33)、周波数成分{R0_j(f)_iに基づいて共振周波数f0_j_iを検出する(ステップS34)。
【0303】
引き続いて、検出回路2は、周波数成分{R1_j(f)_i}_1~{R1_j(f)_i}_kに基づいてそれぞれ共振周波数{f1_j_i}_1~{f1_j_i}_kを検出する(ステップS35)。
【0304】
そうすると、検出回路2は、
図18のステップS14において説明した方法によって、共振周波数f0_j_iおよび共振周波数{f1_j_i}_1~{f1_j_i}_kに基づいて共振周波数の変化量Δf_j_iが時間tに対して低下することを検出することによって検出素子4-iにおいて検出対象物Dm_j_iが検出されたことを検知する(ステップS36)。
【0305】
そして、検出回路2は、j=j
maxであるか否かを判定する(ステップS37)。ステップS37において、j=j
maxでないと判定されたとき、検出回路2は、j=j+1を設定する(ステップS38)。その後、一連の動作は、ステップS34へ移行し、ステップS37において、j=j
maxであると判定されるまで、ステップS34~ステップS38が繰り返し実行される。そして、ステップS37において、j=j
maxであると判定されると、一連の動作は、
図28のステップS27へ移行する。
【0306】
図29に示すフローチャートにおいて、ステップS34~S36がj=1~j
maxの全てについて実行されることによって、検出素子4-iにおけるj
max個の共振周波数の変化量Δf_1_i~Δf_j
max_iが検出される。従って、j
max個の共振周波数の変化量Δf_1_i~Δf_j
max_iは、
図28に示すフローチャートのステップS24Aにおける複数の変化量{Δf_1~Δf_j
max}_iに等しい。
【0307】
図30は、受信信号R0_SPM_SC(t),R1_SPM_SC(t)を示す概念図である。また、
図31は、受信信号R0_SPM_SC(t),R1_SPM_SC(t)をフーリエ変換したときの周波数成分を示す概念図である。
【0308】
なお、
図30および
図31は、1個の検出素子4-iにおける受信信号R0_SPM_SC(t),R1_SPM_SC(t)および受信信号R0_SPM_SC(t),R1_SPM_SC(t)をフーリエ変換したときの周波数成分を示す。また、
図31において、k個の時間t
1~t
kのkをk=4とする。
【0309】
図30を参照して、受信信号R0_SPM_SC(t)は、1個の検出素子4-iにおいて、時間tに対して、j
max個の振動子24が振動電場Eのみに起因して振動しているときのj
max個の振動子24からの受信信号R0_1(t)~R0_j
max(t)が重畳された振動波形からなる。
【0310】
また、受信信号R1_SPM_SC(t)は、1個の検出素子4―iにおいて、時間tに対して、jmax個の振動子24が検出対象物の影響を受けて振動しているときのjmax個の振動子24からの受信信号R1_1(t)~R1_jmax(t)が重畳された振動波形からなる。
【0311】
そして、1個の時間t
0において、受信信号R0_SPM_SC(t)をフーリエ変換すると、
図31に示すj
max個の周波数成分R0_1(f)_i,R0_2(f)_i,・・・,R0_j
max(f)_iが得られる。
【0312】
R0_1(f)_i,R0_2(f)_i,・・・,R0_jmax(f)_iの各部の説明を表3に示す。
【0313】
【0314】
また、k個の時間t
1~t
kにおいて、受信信号R1_SPM_SC(t)をフーリエ変換すると、
図31に示すk(=4)個の周波数成分R1_1(f)_i_1~R1_1(f)_i_2,・・・,R1_1(f)_i_k;R1_2(f)_i_1~R1_2(f)_i_2,・・・,R1_2(f)_i_k;・・・;R1_j
max(f)_i_1~R1_j
max(f)_i_2,・・・,R1_j
max(f)_i_kが得られる。
【0315】
R1_1(f)_i_1~R1_1(f)_i_2,・・・,R1_1(f)_i_kの各部の説明を表4に示す。
【0316】
【0317】
なお、R1_2(f)_i_1~R1_2(f)_i_2,・・・,R1_2(f)_i_k;・・・;R1_jmax(f)_i_1~R1_jmax(f)_i_2,・・・,R1_jmax(f)_i_kの各部の説明も、表4に示す通りである。
【0318】
そして、周波数成分R0_1(f)_iに基づいて、周波数成分R0_1(f)_iの振幅が最大になるときの周波数が検出素子4-iにおける1番目の振動子24の共振周波数f0_1_iとして検出され、周波数成分R0_2(f)_iに基づいて、周波数成分R0_2(f)_iの振幅が最大になるときの周波数が検出素子4-iにおける2番目の振動子24の共振周波数f0_2_iとして検出され、以下、同様にして、周波数成分R0_j
max(f)_iに基づいて、周波数成分R0_j
max(f)_iの振幅が最大になるときの周波数が検出素子4-iにおけるj
max番目の振動子24の共振周波数f0_j
max_iとして検出される(
図31参照)。
【0319】
また、周波数成分R1_1(f)_i_1に基づいて、周波数成分R1_1(f)_i_1の振幅が最大になるときの周波数が検出素子4-iにおける1番目の振動子24の時間t
1における共振周波数f1_1_i_1として検出され、周波数成分R1_1(f)_i_2に基づいて、周波数成分R1_1(f)_i_2の振幅が最大になるときの周波数が検出素子4-iにおける1番目の振動子24の時間t
2における共振周波数f1_1_i_2として検出され、以下、同様にして、周波数成分R1_1(f)_i_kに基づいて、周波数成分R1_1(f)_i_kの振幅が最大になるときの周波数が検出素子4-iにおける1番目の振動子24の時間t
kにおける共振周波数f1_1_i_kとして検出される(
図31参照)。
【0320】
更に、周波数成分R1_2(f)_i_1に基づいて、周波数成分R1_2(f)_i_1の振幅が最大になるときの周波数が検出素子4-iにおける2番目の振動子24の時間t
1における共振周波数f1_2_i_1として検出され、周波数成分R1_2(f)_i_2に基づいて、周波数成分R1_2(f)_i_2の振幅が最大になるときの周波数が検出素子4-iにおける2番目の振動子24の時間t
2における共振周波数f1_2_i_2として検出され、以下、同様にして、周波数成分R1_2(f)_i_kに基づいて、周波数成分R1_2(f)_i_kの振幅が最大になるときの周波数が検出素子4-iにおける2番目の振動子24の時間t
kにおける共振周波数f1_2_i_kとして検出される(
図31参照)。
【0321】
以下、同様にして、周波数成分R1_j
max(f)_i_1に基づいて、周波数成分R1_j
max(f)_i_1の振幅が最大になるときの周波数が検出素子4-iにおけるj
max番目の振動子24の時間t
1における共振周波数f1_j
max_i_1として検出され、周波数成分R1_j
max(f)_i_2に基づいて、周波数成分R1_j
max(f)_i_2の振幅が最大になるときの周波数が検出素子4-iにおけるj
max番目の振動子24の時間t
2における共振周波数f1_j
max_i_2として検出され、以下、同様にして、周波数成分R1_j
max(f)_i_kに基づいて、周波数成分R1_j
max(f)_i_kの振幅が最大になるときの周波数が検出素子4-iにおけるj
max番目の振動子24の時間t
kにおける共振周波数f1_j
max_i_kとして検出される(
図31参照)。
【0322】
そうすると、共振周波数f0_1_iから共振周波数f1_1_i_1~f1_1_i_kを減算することによって、検出素子4-iにおける1番目の振動子24における共振周波数の変化量Δf_1_iが検出され、共振周波数f0_2_iから共振周波数f1_2_i_1~f1_2_i_kを減算することによって、検出素子4-iにおける2番目の振動子24における共振周波数の変化量Δf_2_iが検出され、以下、同様にして、共振周波数f0_j
max_iから共振周波数f1_j
max_i_1~f1_j
max_i_kを減算することによって、検出素子4-iにおけるj
max番目の振動子24における共振周波数の変化量Δf_j
max_iが検出される(
図31参照)。
【0323】
そして、共振周波数の変化量Δf_1_i,Δf_2_i,・・・,Δf_j
max_iが時間tに対して低下していることを検出することによって、それぞれ、検出素子4-iにおける1番目の振動子24、2番目の振動子24、・・・、j
max番目の振動子24が検出対象物を検出したことが検知される(
図28のステップS24A(=
図29に示すフローチャート)参照)。
【0324】
上述した
図28に示すフローチャート(
図29に示すフローチャートを含む)によれば、ステップS27において、i=Mであると判定されるまで、ステップS22,S3,S4A~S7A,S23A,S24A,S27,S28を繰り返し実行することによって、M個の検出素子4-1~4-Mの各々において、j
max個の振動子24によって、相互に異なるj
max個の検出対象物が検出される。
【0325】
この場合、M個の検出素子4-1~4-Mの各々が、共振周波数f0_1,f1_1を有する振動子24(j=1)と、共振周波数f0_2,f1_2を有する振動子24(j=2)と、共振周波数f0_3,f1_3を有する振動子24(j=jmax(=3))とのjmax(=3)個の振動子24を備え、f0_1=f0_2=f0_3およびf1_1=f1_2=f1_3である場合、M個の検出素子4-1~4-Mにおいて、jmax(=3)個の振動子24の共振周波数f0,f1が相互に同じであるので、M個の検出素子4-1~4-Mの各々は、同じ3種類の検出対象物を検出する。そして、M個の検出素子4-1~4-Mの各々において検出される検出対象物の種類の個数は、3個に限らず、2個以上であればよい。
【0326】
また、例えば、M=3として、検出素子4-1が共振周波数f0_1,f1_1を有する振動子24(j=1)と、共振周波数f0_2,f1_2を有する振動子24(jmax=2)とのjmax(=2)個の振動子24を備え、検出素子4-2が共振周波数f0_3,f1_3を有する振動子24(j=1)と、共振周波数f0_4,f1_4を有する振動子24(jmax=2)とのjmax(=2)個の振動子24を備え、検出素子4-3が共振周波数f0_5,f1_5を有する振動子24(j=1)と、共振周波数f0_6,f1_6を有する振動子24(jmax=2)とのjmax(=2)個の振動子24を備え、f0_1≠f0_2≠f0_3≠f0_4≠f0_5≠f0_6およびf1_1≠f1_2≠f1_3≠f1_4≠f1_5≠f1_6である場合、検出素子4-1~4-3は、相互に異なる2種類の検出対象物を検出する。即ち、検出素子4-1~4-3は、相互に同じ個数(=2個)の振動子24を備えるが、共振周波数f0_1~f0_6が相互に異なり、かつ、共振周波数f1_1~f1_6が相互に異なるので、検出素子4-1~4-3においてそれぞれ検出される2種類の検出対象物が相互に異なる。そして、検出素子4-1~4-3においてそれぞれ検出される検出対象物の種類の個数は、2個に限らず、2個以上であればよい。
【0327】
更に、例えば、M=3として、検出素子4-1が共振周波数f0_1,f1_1を有する振動子24(j=1)と、共振周波数f0_2,f1_2を有する振動子24(jmax=2)とのjmax(=2)個の振動子24を備え、検出素子4-2が共振周波数f0_3,f1_3を有する振動子24(j=1)と、共振周波数f0_4,f1_4を有する振動子24(j=2)と、共振周波数f0_5,f1_5を有する振動子24(jmax=3)とのjmax(=3)個の振動子24を備え、検出素子4-3が共振周波数f0_6,f1_6を有する振動子24(j=1)と、共振周波数f0_7,f1_7を有する振動子24(j=2)と、共振周波数f0_8,f1_8を有する振動子24(j=3)と、共振周波数f0_9,f1_9を有する振動子24(jmax=4)とのjmax(=4)個の振動子24を備え、f0_1≠f0_2,f0_3≠f0_4≠f0_5,f0_6≠f0_7≠f0_8≠f0_9およびf1_1≠f1_2,f1_3≠f1_4≠f1_5,f1_6≠f1_7≠f1_8≠f1_9である場合、検出素子4-1は、2種類の検出対象物を検出し、検出素子4-2は、3種類の検出対象物を検出し、検出素子4-3は、4種類の検出対象物を検出する。即ち、検出素子4-1~4-3が相互に異なる個数の振動子24を備え、検出素子4-1~4-3の各々において複数の振動子24の複数の共振周波数f0,f1が相互に異なる場合、相互に異なる種類の検出対象物を検出する。
【0328】
このように、検出装置10Bにおいては、1個の検出素子4-i(i=1~Mのいずれか)が備える複数の振動子24の複数の共振周波数が相互に異なっていればよい。
【0329】
図28に示すフローチャート(
図29に示すフローチャートを含む)についてのその他の説明は、
図18に示すフローチャートについての説明と同じである。
【0330】
図32は、実施の形態2における別の検出素子の概略図である。実施の形態2における検出素子は、
図32に示す検出素子4-1Aであってもよい。
【0331】
図32を参照して、検出素子4-1Aは、
図26に示す検出素子4-1に接続部材41,42,51,52を追加したものであり、その他は、
図26に示す検出素子4-1と同じである。
【0332】
接続部材41は、素子ユニットUnit_1のアンテナ26と素子ユニットUnit_2のアンテナ26とを電気的に接続する。接続部材42は、素子ユニットUnit_2のアンテナ26と素子ユニットUnit_3のアンテナ26とを電気的に接続する。そして、接続部材41,42の各々は、アンテナ26と同じ導電性薄膜からなる。
【0333】
接続部材51は、一方端側が基台400を厚み方向に貫通して素子ユニットUnit_1のアンテナ28に電気的に接続され、他方端側が基台400を厚み方向に貫通して素子ユニットUnit_2のアンテナ28に電気的に接続される。接続部材52は、一方端側が基台400を厚み方向に貫通して素子ユニットUnit_2のアンテナ28に電気的に接続され、他方端側が基台400を厚み方向に貫通して素子ユニットUnit_3のアンテナ28に電気的に接続される。そして、接続部材51,52の各々は、アンテナ28と同じ導電性薄膜からなる。
【0334】
素子ユニットUnit_1~Unit_3の各々において、アンテナ26は、アンテナ25に電気的に接続されているので、素子ユニットUnit_1~Unit_3において、アンテナ25,26および接続部材41,42は、1個のアンテナ40を構成する。
【0335】
また、素子ユニットUnit_1~Unit_3の各々において、アンテナ28は、アンテナ27に電気的に接続されているので、素子ユニットUnit_1~Unit_3において、アンテナ27,28および接続部材51,52は、1個のアンテナ50を構成する。
【0336】
なお、検出素子4-1Aは、接続部材51,52を備えていなくてもよい。この場合、検出素子4-1Aは、1個のアンテナ40と、3個の振動子24に対応して設けられた3個のアンテナ(3個のアンテナの各々がアンテナ27,28からなる)とを備える。
【0337】
また、検出素子4-1Aは、接続部材41,42を備えていなくてもよい。この場合、検出素子4-1Aは、3個の振動子24に対応して設けられた3個のアンテナ(3個のアンテナの各々がアンテナ25,26からなる)と、1個のアンテナ50とを備える。
【0338】
検出装置10Bにおいては、検出素子4-1~4-Mの各々が検出素子4-1Aからなっていてもよい。この場合、検出装置10Bの動作は、
図28に示すフローチャート(
図29に示すフローチャートを含む)のステップS3を「アンテナ40が搬送波(電磁場EWが重畳された搬送波)を無線によって受信するステップ」に変え、ステップS4Aを「アンテナ40が電磁場EWに基づいた振動電場Eを複数の振動子24に印加するステップ」に変え、ステップS5Aを「アンテナ50が受信信号R0_SPM_SC(t)_iを複数の振動子から受信するステップ」に変え、ステップS6Aを「アンテナ50が受信信号R1_SPM_SC(t)_iを複数の振動子から受信するステップ」に変え、ステップS7Aを「アンテナ50が受信信号R0_SPM_SC(t)_iおよび受信信号R1_SPM_SC(t)_iを無線によって送信するステップ」に変えたフローチャートに従って実行される。
【0339】
図33は、実施の形態2による別の検出装置の概略図である。実施の形態2による検出装置は、
図33に示す検出装置10Cであってもよい。
【0340】
図33を参照して、検出装置10Cは、
図25に示す検出装置10Bの送信アンテナ12および受信アンテナ13をアンテナ17に変えたものであり、その他は、
図25に示す検出装置10Bと同じである。
【0341】
検出装置10Bにおいて、アンテナ17は、発生回路によって発生された電磁場EWを、一定期間、M個の検出素子4-1~4-Mに無線給電し、一定期間が経過すると、電磁場EWのM個の検出素子4-1~4-Mへの無線給電を停止する。その後、アンテナ17は、検出素子4-i(検出素子4-1~4-Mのいずれか)から受信信号R0_SPM_SC(t)_i,R1_SPM_SC(t)_iを受信し、その受信した受信信号R0_SPM_SC(t)_i,R1_SPM_SC(t)_iを受信回路へ出力する。
【0342】
このように、アンテナ17は、送信アンテナ12および受信アンテナ13の両方の機能を果たす1個のアンテナである。
【0343】
検出装置10Cの動作は、
図28に示すフローチャート(
図29に示すフローチャートを含む)において、ステップS22を「電磁場EWを発生し、その発生した電磁場EWが重畳された搬送波を、アンテナ17によって、一定期間、指向性の電波によって検出素子4-iに無線給電するステップ」に変え、ステップS23Aを「アンテナ17が受信信号R0_SPM_SC(t)_i,R1_SPM_SC(t)_iを無線によって受信するステップ」に変えたフローチャートに従って実行される。
【0344】
図34は、実施の形態2における更に別の検出素子の概略図である。実施の形態2における検出素子は、
図34に示す検出素子4-1Bであってもよい。
【0345】
図34を参照して、検出素子4-1Bは、
図26に示す検出素子4-1における素子ユニットUnit_1~Unit_3のアンテナ27,28を削除したものであり、その他は、検出素子4-1と同じである。その結果、検出素子4-1Bにおける素子ユニットUnit_1~Unit_3の各々は、アンテナ25,26からなる1個のアンテナ部材を有する。
【0346】
検出素子4-1Bは、
図6から
図11に示す製造方法において、
図6および
図7に示すガラスプロセスにおける工程(A-4)~工程(A-9)を削除して構造物COMP1を作製し、その後、
図6および
図7に示すガラスプロセスにおける工程(A-1)~工程(A-9)を実行して構造物COMP2を作製することを素子ユニットUnit_1~Unit_3の個数分だけ実行する製造方法によって作製される。この場合、構造物COMP1は、工程(A-3)が終了した基板23に送廃液口233を形成した構造からなる。
【0347】
検出素子4-1Bにおいては、アンテナ25,26(1個のアンテナ部材)は、一定期間、送受信装置1(または送受信装置1A)から無線給電された搬送波(電磁場EWが重畳された搬送波)を無線によって受信し、その受信した搬送波の電磁場EWに基づいた振動電場Eを振動子24に印加する。その後、アンテナ25,26(1個のアンテナ部材)は、振動子24から振動波形からなる受信信号R0_SPM_SC(t)_i,R1_SPM_SC(t)_iを受信し、その受信した受信信号R0_SPM_SC(t)_i,R1_SPM_SC(t)_iを無線によって送受信装置1(または送受信装置1A)へ送信する。
【0348】
なお、検出素子4-1Bは、アンテナ25,26に代えてアンテナ27,28を備えていてもよい。この場合、アンテナ27,28は、1個のアンテナ部材を構成する。つまり、検出素子4-1Bは、アンテナ25,26からなる1個のアンテナと、アンテナ27,28からなる1個のアンテナとのうちのいずれか一方を備えていればよい。
【0349】
検出素子4-1Bがアンテナ25,26に代えてアンテナ27,28を備える場合、検出素子4-1Bは、
図6から
図11に示す製造方法において、
図6および
図7に示すガラスプロセスを実行して
図7に示す構造物COMP1を作製し、その後、
図6および
図7に示すガラスプロセスにおける工程(A-4)~工程(A-10)を削除して構造物COMP2を作製することを素子ユニットUnit_1~Unit_3の個数分だけ実行する製造方法によって作製される。この場合、構造物COMP2は、工程(A-3)に示す凹部231および支持部材232が形成された基板21からなる。
【0350】
図25に示す検出装置10BのM個の検出素子4-1~4-Mの各々が検出素子4-1Bからなる場合、検出装置10Bの動作は、
図28に示すフローチャート(
図29に示すフローチャートを含む)において、ステップS22を「電磁場EWを発生し、その発生した電磁場EWが重畳された搬送波を、送信アンテナ12によって、一定期間、指向性の電波によって検出素子4-i(4-1B)に無線給電するステップ」に変え、ステップS3を「アンテナ25,26(またはアンテナ27,28)が搬送波(電磁場EWが重畳された搬送波)を無線によって、一定期間、受信するステップ」に変え、ステップS4Aを「電磁場EWに基づいた振動電場Eを、一定期間、複数の振動子24に印加するステップ」に変え、ステップS5Aを「一定期間が経過した後、アンテナ25,26(またはアンテナ27,28)が受信信号R0_SPM_SC(t)_iを複数の振動子24から受信するステップ」に変え、ステップS6Aを「一定期間が経過した後、アンテナ25,26(またはアンテナ27,28)が受信信号R1_SPM_SC(t)_iを複数の振動子24から受信するステップ」に変え、ステップS7Aを「アンテナ25,26(またはアンテナ27,28)が受信信号R0_SPM_SC(t)_i,R1_SPM_SC(t)_iを無線によって送信するステップ」に変えたフローチャートに従って実行される。
【0351】
また、
図33に示す検出装置10CのM個の検出素子4-1~4-Mの各々が検出素子4-1Bからなる場合、検出装置10Cの動作は、
図28に示すフローチャート(
図29に示すフローチャートを含む)において、ステップS22を「電磁場EWを発生し、その発生した電磁場EWが重畳された搬送波を、アンテナ17によって、一定期間、指向性の電波によって検出素子4-i(4-1B)に無線給電するステップ」に変え、ステップS3を「アンテナ25,26(またはアンテナ27,28)が搬送波(電磁場EWが重畳された搬送波)を無線によって、一定期間、受信するステップ」に変え、ステップS4Aを「電磁場EWに基づいた振動電場Eを、一定期間、複数の振動子24に印加するステップ」に変え、ステップS5Aを「一定期間が経過した後、アンテナ25,26(またはアンテナ27,28)が受信信号R0_SPM_SC(t)_iを複数の振動子24から受信するステップ」に変え、ステップS6Aを「一定期間が経過した後、アンテナ25,26(またはアンテナ27,28)が受信信号R1_SPM_SC(t)_iを複数の振動子24から受信するステップ」に変え、ステップS7Aを「アンテナ25,26(またはアンテナ27,28)が受信信号R0_SPM_SC(t)_i,R1_SPM_SC(t)_iを無線によって送信するステップ」に変え、ステップS23Aを「アンテナ17が、受信信号R0_SPM_SC(t)_i,R1_SPM_SC(t)_iを無線によって受信するステップ」に変えたフローチャートに従って実行される。
【0352】
図35は、実施の形態2による検出対象物の検出方法を示すフローチャートである。
図35を参照して、検出対象物の検出が開始されると、送受信装置1は、電磁場EWをM個の検出素子4-1~4-Mに無線給電する(ステップS61)。
【0353】
そして、送受信装置1は、M個の検出素子4-1~4-Mの各々における複数(jmax個)の振動子24の電場E(電磁場EWに基づいた電場)のみに起因した振動波形からなる複数(jmax個)の受信信号R0_1(t)~R0_jmax(t)が重畳された受信信号R0_SPM_SC(t)_iを無線によってM個の検出素子4-1~4-Mの各々から受信する(ステップS62)。
【0354】
また、送受信装置1は、M個の検出素子4-1~4-Mの各々における複数(jmax個)の振動子24の検出対象物の影響を受けた振動波形からなる複数(jmax個)の受信信号R1_1(t)~R1_jmax(t)が重畳された受信信号R1_SPM_SC(t)_iを無線によってM個の検出素子4-1~4-Mの各々から受信する(ステップS63)。
【0355】
そうすると、検出回路2は、M組の複数(jmax個)の受信信号{R0_1(t)~R0_jmax(t)}_1~{R0_1(t)~R0_jmax(t)}_Mに基づいて、上述した方法によって、M個の検出素子4-1~4-MにおけるM組の複数(jmax個)の共振周波数{f0_1~f0_jmax}_1~{f0_1~f0_jmax}_Mを検出する(ステップS64)。
【0356】
また、検出回路2は、M組の複数(jmax個)の受信信号{R1_1(t)~R1_jmax(t)}_1~{R1_1(t)~R1_jmax(t)}_Mに基づいて、上述した方法によって、M個の検出素子4-1~4-MにおけるM組の複数(jmax個)の共振周波数{f1_1~f1_jmax}_1~{f1_1~f1_jmax}_Mを検出する(ステップS65)。
【0357】
そして、検出回路2は、共振周波数f0_1~f0_jmaxからそれぞれ共振周波数f1_1~f1_jmaxを減算して共振周波数の変化量Δf_1~Δf_jmaxを求めることをM組の複数(jmax個)の共振周波数{f0_1~f0_jmax}_1~{f0_1~f0_jmax}_MおよびM組の複数(jmax個)の共振周波数{f1_1~f1_jmax}_1~{f1_1~f1_jmax}_Mの全てについて実行してM組の共振周波数の変化量{Δf_1~Δf_jmax}_1~{Δf_1~Δf_jmax}_Mを検出する(ステップS66)。
【0358】
その後、検出回路2は、上述した方法によって変化量Δf_jに基づいて検出対象物を検出することをM組の変化量{Δf_1~Δf_jmax}_1~{Δf_1~Δf_jmax}_Mの全てについて実行してM個の検出素子4-1~4-MにおけるM組の複数(jmax個)の検出対象物{Dm_1~Dm_jmax}_1~{Dm_1~Dm_jmax}_Mを検出する(ステップS67)。これによって、検出対象物の検出が終了する。
【0359】
図35に示す検出対象物の検出方法においては、ステップS61において、電磁場EWをM個の検出素子4-1~4-Mへ無線給電することは、
図28に示すフローチャート(
図29に示すフローチャートを含む)のステップS22をi=1~Mの全てについて実行することによって実現される。
【0360】
また、
図35に示す検出対象物の検出方法においては、ステップS62において、受信信号R0_SPM_SC(t)_iを無線によってM個の検出素子4-1~4-Mの各々から受信すること、およびステップS63において、受信信号R1_SPM_SC(t)_iを無線によってM個の検出素子4-1~4-Mの各々から受信することは、
図28に示すフローチャート(
図29に示すフローチャートを含む)のステップS23Aをi=1~Mの全てについて実行することによって実現される。
【0361】
更に、
図35に示す検出対象物の検出方法においては、ステップS64におけるM組の複数(j
max個)の共振周波数{f0_1~f0_j
max}_1~{f0_1~f0_j
max}_Mの検出は、
図28に示すフローチャート(
図29に示すフローチャートを含む)のステップS24Aに含まれるステップS34をj=1~j
maxの全てについて実行することをi=1~Mの全てについて実行することによって実現される。
【0362】
更に、
図35に示す検出対象物の検出方法においては、ステップS65におけるM組の複数(j
max個)の共振周波数{f1_1~f1_j
max}_1~{f1_1~f1_j
max}_Mの検出は、
図28に示すフローチャート(
図29に示すフローチャートを含む)のステップS24Aに含まれるステップS35をj=1~j
maxの全てについて実行することをi=1~Mの全てについて実行することによって実現される。
【0363】
更に、
図35に示す検出対象物の検出方法においては、ステップS66におけるM組の変化量{Δf_1~Δf_j
max}_1~{Δf_1~Δf_j
max}_Mの検出、およびステップS67におけるM組の複数(j
max個)の検出対象物{Dm_1~Dm_j
max}_1~{Dm_1~Dm_j
max}_Mの検出は、
図28に示すフローチャート(
図29に示すフローチャートを含む)のステップS24Aに含まれるステップS36をj=1~j
maxの全てについて実行することをi=1~Mの全てについて実行することによって実現される。
【0364】
従って、
図35に示す検出対象物の検出方法は、上述した実施の形態2における説明に基づいた検出方法である。
【0365】
実施の形態2についてのその他の説明は、実施の形態1における説明と同じである。
【0366】
上述した実施の形態1においては、M個の検出素子3-1~3-Mを備える検出装置10(または検出装置10A)において、送受信装置1(または送受信装置1A)が電磁場EWをM個の検出素子3-1~3-Mに無線給電し、M個の検出素子3-1~3-Mから受信信号R0_SPM_D(t),R1_SPM_D(t)(または受信信号R0(t)_i,R1(t)_i)を受信し、検出回路2が受信信号R0_SPM_D(t),R1_SPM_D(t)(または受信信号R0(t)_i,R1(t)_i)に基づいて、M個の検出素子3-1~3-Mにおける検出対象物を検出することを説明した。この場合、M個の検出素子3-1~3-Mの各々は、1個の振動子24を含む。
【0367】
また、上述した実施の形態2においては、M個の検出素子4-1~4-Mを備える検出装置10B(または検出装置10C)において、送受信装置1(または送受信装置1A)が搬送波(電磁場EWが重畳された搬送波)をM個の検出素子4-1~4-Mに無線給電し、M個の検出素子4-1~4-Mから受信信号R0_SPM_SC(t)_i,R1_SPM_SC(t)_i(i=1~M)を受信し、検出回路2が受信信号R0_SPM_SC(t)_i,R1_SPM_SC(t)_i(i=1~M)に基づいて、M個の検出素子4-1~4-Mにおける検出対象物を検出することを説明した。この場合、M個の検出素子4-1~4-Mの各々は、共振周波数が相互に異なる複数の振動子24を含む。
【0368】
従って、この発明の実施の形態においては、M個の検出素子にそれぞれ含まれる振動子24の個数をそれぞれn1,n2,・・・,nM(n1,n2,・・・,nMの各々は、1以上の整数)としたとき、M個の検出素子DE_1,DE_2,・・・,DE_Mは、それぞれ、n1個の振動子24、n2個の振動子24、・・・、nM個の振動子24を含む。その結果、M個の検出素子DE_1~DE_Mにおける振動子24の総数Nは、1以上の整数であり、N=n1+n2+・・・+nMを満たす。
【0369】
M個の検出素子DE_1~DE_Mと、M個の検出素子DE_1~DE_Mにおける振動子24の個数n1~nMと、振動子24の共振周波数との関係を表5に示す。
【0370】
【0371】
n1~nMの各々が“1”である場合、M個の検出素子DE_1~DE_MにおけるM個の振動子24は、それぞれ、共振周波数f_rsn_1~f_rsn_Mを有する。そして、M個の共振周波数f_rsn_1~f_rsn_Mは、相互に同じであってもよく、相互に異なっていてもよい。また、M個の共振周波数f_rsn_1~f_rsn_Mは、相互に同じ共振周波数からなるグループと、相互に異なる共振周波数からなるグループとを含んでいてもよい。
【0372】
n1~nMの各々が“2”以上である場合、検出素子DE_1におけるn1個の振動子24は、それぞれ、相互に異なるn1個の共振周波数f_rsn_1_1,f_rsn_1_2,・・・,f_rsn_1_n1を有し、検出素子DE_2におけるn2個の振動子24は、それぞれ、相互に異なるn2個の共振周波数f_rsn_2_1,f_rsn_2_2,・・・,f_rsn_2_n2を有し、検出素子DE_3におけるn3個の振動子24は、それぞれ、相互に異なるn3個の共振周波数f_rsn_3_1,f_rsn_3_2,・・・,f_rsn_3_n3を有し、以下、同様にして、検出素子DE_MにおけるnM個の振動子24は、それぞれ、相互に異なるnM個の共振周波数f_rsn_M_1,f_rsn_M_2,・・・,f_rsn_M_nMを有する。そして、n1,n2,・・・,nMは、相互に同じであってもよく、相互に異なっていてもよい。また、n1,n2,・・・,nMは、相互に同じ個数からなるグループと、相互に異なる個数からなるグループとを含んでいてもよい。例えば、M=10であるとき、n1,n2,・・・,n10は、相互に同じ個数n2=n3=n5からなるグループと、相互に異なる個数n1≠n4≠n7≠n8からなるグループとを含んでいてもよい。
【0373】
n1~nMの各々が“1”以上である場合、M個の検出素子DE_1~DE_Mは、振動子24の個数が1個である検出素子のグループと、振動子24の個数が複数である検出素子のグループとを含んでいてもよい。そして、振動子24の個数が複数である検出素子のグループにおいて、各検出素子の複数の振動子24は、相互に異なる共振周波数を有する。
【0374】
上述した実施の形態によれば、検出装置は、
各々が、振動子と、第1の受信アンテナと、第1の送信アンテナとを含むM(Mは、1以上の整数)個の検出素子と、
M個の検出素子にそれぞれ含まれる振動子の個数をそれぞれn1,n2,・・・,nM(n1,n2,・・・,nMの各々は、1以上の整数)としたとき、M個の検出素子におけるN(Nは、1以上の整数であり、N=n1+n2+・・・+nMを満たす。)個の振動子のそれぞれを共振周波数で振動させる電磁場を発生する発生回路と、発生回路によって発生された電磁場をM個の検出素子におけるM個の第1の受信アンテナへ無線給電する第2の送信アンテナと、M個の検出素子におけるM個の第1の送信アンテナからM個の検出素子におけるM個の受信信号を無線によって受信する第2の受信アンテナとを含む送受信装置と、
第2の受信アンテナによって受信されたM個の受信信号に基づいて検出対象物を検出する検出回路とを備え、
M個の受信信号の各々は、50MHz以上の共振周波数で振動する振動波形からなり、
M個の第1の受信アンテナは、第2の送信アンテナから無線給電された電磁場を受信し、その受信した電磁場に基づいた振動電場をそれぞれn1個の振動子、n2個の振動子、・・・、およびnM個の振動子に印加し、
M個の検出素子におけるn1個の振動子、n2個の振動子、・・・、およびnM個の振動子は、共振周波数で振動可能に支持されるとともに、振動電場が印加されると、M個の受信信号を発生し、
M個の第1の送信アンテナは、n1個の振動子、n2個の振動子、・・・、およびnM個の振動子によって発生されたM個の受信信号を無線によって第2の受信アンテナへ送信し、
検出回路は、第2の受信アンテナによって受信されたM個の受信信号に基づいて、1個の受信信号における共振周波数の変化量を検出することによって検出対象物を検出する検出処理をM個の受信信号の全てについて実行するものであればよい。
【0375】
また、検出方法は、
M(Mは、1以上の整数)個の検出素子にそれぞれ含まれる振動子の個数をそれぞれn1,n2,・・・,nM(n1,n2,・・・,nMの各々は、1以上の整数)としたとき、M個の検出素子におけるN(Nは、1以上の整数であり、N=n1+n2+・・・+nMを満たす。)個の振動子のそれぞれを共振周波数で振動させる電磁場を送信アンテナによってM個の検出素子に無線給電する第1のステップと、
n1個の振動子、n2個の振動子、・・・、およびnM個の振動子が電磁場に基づいた振動電場の印加に応じてそれぞれ50MHz以上の共振周波数で振動する振動波形からなるM個の受信信号を受信アンテナによってM個の検出素子から受信する第2のステップと、
M個の受信信号に基づいて、1個の受信信号における共振周波数の変化量を検出することによって検出対象物を検出する処理を検出回路によってM個の受信信号の全てについて実行する第3のステップとを備えていればよい。
【0376】
この発明の実施の形態においては、アンテナ25,26(またはアンテナ27,28)は、「第1の受信アンテナ」を構成し、アンテナ27,28(またはアンテナ25,26)は、「第1の送信アンテナ」を構成する。
【0377】
また、この発明の実施の形態においては、複数の素子ユニットUnit_1~Unit_3において、3個の振動子24に対応して設けられた3組のアンテナ27,28(または3組のアンテナ25,26)は、「nm(mは、1~Mのいずれか)個の第2のアンテナ部材」を構成する。
【0378】
更に、この発明の実施の形態においては、送信アンテナ12は、「第2の送信アンテナ」または「第3のアンテナ部材」を構成し、受信アンテナ13は、「第2の受信アンテナ」または「第4のアンテナ部材」を構成する。
【0379】
更に、この発明の実施の形態においては、アンテナ25,26(またはアンテナ27,28)は、「第1のアンテナ部材」を構成し、アンテナ17は、「第2のアンテナ部材」を構成する。
【0380】
更に、この発明の実施の形態においては、アンテナ17は、「第2のアンテナ部材」または「送受信アンテナ」を構成する。
【0381】
更に、この発明の実施の形態においては、アンテナ40(またはアンテナ50)は、「第1の受信アンテナ」を構成し、アンテナ50(またはアンテナ40)は、「第1の送信アンテナ」を構成する。
【0382】
更に、この発明の実施の形態においては、アンテナ40(またはアンテナ50)は、「第1のアンテナ部材」を構成する。
【0383】
更に、この発明の実施の形態においては、受信信号R0_SPM_D(t),R1_SPM_D(t)は、「M個の受信信号」を構成する。また、受信信号R0_SPM_D(t)は、「M個の第1の受信信号」を構成し、受信信号R1_SPM_D(t)は、「M個の第2の受信信号」を構成する。
【0384】
更に、この発明の実施の形態においては、
図18のステップS12をi=1~Mの全てについて実行したときのM個の共振周波数f0_1~f0_Mは、「M個の第1の共振周波数」を構成する。
【0385】
更に、この発明の実施の形態においては、
図18のステップS13をi=1~Mの全てについて実行したときの“M個の共振周波数f1_1_1~f1_M_1”、“M個の共振周波数f1_1_2~f1_M_2”、・・・、および“M個の共振周波数f1_1_k~f1_M_k”のそれぞれは、「M個の第2の共振周波数」を構成する。
【0386】
更に、この発明の実施の形態においては、
図18のステップS14をi=1~Mの全てについて実行したときの共振周波数の変化量Δf_1~Δf_Mは、「M個の共振周波数の変化量」を構成する。
【0387】
更に、この発明の実施の形態においては、
図23のステップS23をi=1~Mの全てについて実行したときの受信信号R0(t)_1~R0(t)_M,R1(t)_1~R1(t)_Mは、「M個の受信信号」を構成し、受信信号R0(t)_1~R0(t)_Mは、「M個の第1の受信信号」を構成し、受信信号R1(t)_1~R1(t)_Mは、「M個の第2の受信信号」を構成する。
【0388】
更に、この発明の実施の形態においては、
図23のステップS24をi=1~Mの全てについて実行したときの共振周波数f0(t)_1~f0(t)_Mは、「M個の第1の共振周波数」を構成する。
【0389】
更に、この発明の実施の形態においては、
図23のステップS25をi=1~Mの全てについて実行したときの共振周波数f1(t)_1~f1(t)_Mは、「M個の第2の共振周波数」を構成する。
【0390】
更に、この発明の実施の形態においては、
図23のステップS26をi=1~Mの全てについて実行したときの共振周波数の変化量Δf(t)_1~Δf(t)_Mは、「M個の共振周波数の変化量」を構成する。
【0391】
更に、この発明の実施の形態においては、
図28のステップS23Aをi=1~Mの全てについて実行したときの受信信号R0_SPM_SC(t)_1~R0_SPM_SC(t)_M,R1_SPM_SC(t)_1~R1_SPM_SC(t)_Mは、「M個の受信信号」を構成し、受信信号R0_SPM_SC(t)_1~R0_SPM_SC(t)_Mは、「M個の第1の受信信号」を構成し、受信信号R1_SPM_SC(t)_1~R1_SPM_SC(t)_Mは、「M個の第2の受信信号」を構成する。
【0392】
更に、この発明の実施の形態においては、
図28のステップS24Aをi=1~Mの全てについて実行したとき、
図29のフローチャートがi=1~Mの全てについて実行されるので、
図29のステップS34をi=1~Mの全てについて実行したときの共振周波数f0_j_1~f0_j_Mは、「M個の第1の共振周波数」を構成し、
図29のステップS35をi=1~Mの全てについて実行したときの“共振周波数{f1_j_1}_1~{f1_j_M}_1”~“共振周波数{f1_j_1}_k~{f1_j_M}_k”のそれぞれは、「M個の第2の共振周波数」を構成し、
図29のステップS36をi=1~Mの全てについて実行したときの共振周波数の変化量Δf_j_1~Δf_j_Mは、「M個の共振周波数の変化量」を構成する。
【0393】
更に、この発明の実施の形態においては、受信信号R0_SPM_SC(t)_i,R1_SPM_SC(t)_iは、「n
m(n
mは、2以上の整数であり、mは、1~Mのいずれか)個の振動波形が重畳された重畳振動波形からなる重畳受信信号」を構成し、
図28のステップS23Aをi=1~Mの全てについて実行したときの受信信号R0_SPM_SC(t)_1~R0_SPM_SC(t)_M,R1_SPM_SC(t)_1~R1_SPM_SC(t)_Mは、「M個の重畳受信信号」を構成し、受信信号R0_SPM_SC(t)_1~R0_SPM_SC(t)_Mは、「M個の第1の重畳受信信号」を構成し、受信信号R1_SPM_SC(t)_1~R1_SPM_SC(t)_Mは、「M個の第2の重畳受信信号」を構成する。
【0394】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0395】
この発明は、検出装置および検出方法に適用される。
【符号の説明】
【0396】
1,1A 送受信装置、2 検出回路、3-1~3-M,3-1A,3-1B,4-1~4-M,4-1A,4-1B 検出素子、10,10A,10B,10C 検出装置、11 本体部、12 送信アンテナ、13 受信アンテナ、14~16 ケーブル、21~23 基板、24 振動子、17,25~28 アンテナ、30 針部材、41,42,51,52 接続部材、211,231 凹部、211A,231A 底面、212,212A,232,232a,232b,232c,232A 支持部材、213,214 流路、215 導入口、216 排出口、233 送廃液口、400 基台。