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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056689
(43)【公開日】2023-04-20
(54)【発明の名称】分析装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20230413BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 643A
H01L21/304 651B
H01L21/304 648K
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021166051
(22)【出願日】2021-10-08
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001096
【氏名又は名称】倉敷紡績株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅野 至
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AB02
5F157AB16
5F157AB33
5F157AB48
5F157AB51
5F157AB64
5F157AB90
5F157BB23
5F157BB45
5F157CB14
5F157CD34
5F157CD44
5F157CE28
5F157CF40
5F157CF42
5F157CF44
5F157DB37
5F157DB41
5F157DC21
(57)【要約】
【課題】基板の枚葉処理に用いられた処理液に含まれる成分の濃度を精度よく検出することができる技術を提供する。
【解決手段】本開示の一態様による分析装置は、液受け部と、濃度センサと、を備える。液受け部は、回転しながら液処理が施される基板から流れ出る処理液を受ける。濃度センサは、液受け部内に滞留する処理液に含まれる成分の濃度を検出する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転しながら液処理が施される基板から流れ出る処理液を受ける液受け部と、
前記液受け部内に滞留する前記処理液に含まれる成分の濃度を検出する濃度センサと、
を備える分析装置。
【請求項2】
前記液受け部は、
前記基板から流れ出る前記処理液が流入する流入口と、
前記流入口よりも低い位置に配置され、内部に滞留する前記処理液を排出する排出口と、
前記流入口よりも低く、かつ前記排出口よりも高い位置に配置され、前記濃度センサによって前記処理液が測定される被測定部と、
を有する請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
前記基板の液処理時において前記被測定部に前記処理液が常時滞留するように、前記流入口および前記排出口の大きさが設定される
請求項2に記載の分析装置。
【請求項4】
前記排出口は、前記液受け部に複数設けられる
請求項2または3に記載の分析装置。
【請求項5】
前記液受け部は、
前記基板から流れ出る前記処理液を受ける回収カップの外側に設けられる
請求項1~4のいずれか一つに記載の分析装置。
【請求項6】
前記液受け部は、
前記基板から流れ出る前記処理液が流入する流入口と、
前記流入口の下流側に設けられ、U字形状を有する送液通路と、
前記送液通路の下流側に設けられ、前記処理液を貯留する容器部と、
前記容器部の上面側に設けられ、前記容器部に滞留する前記処理液を排出する排出口と、
前記容器部において前記排出口よりも低い位置に配置され、前記濃度センサによって前記処理液が測定される被測定部と、
を有する請求項1に記載の分析装置。
【請求項7】
前記流入口は、前記排出口よりも高い位置に配置される
請求項6に記載の分析装置。
【請求項8】
前記液受け部は、
前記基板の縁部に沿って少なくとも前記縁部よりも外側に配置されるリング部と、
前記リング部の縁部に配置され、前記処理液をせき止める堰部と、
を有する請求項1に記載の分析装置。
【請求項9】
前記濃度センサは、前記堰部の近傍に滞留する前記処理液を上方から検出する
請求項8に記載の分析装置。
【請求項10】
前記リング部は、液処理中の前記基板とともに回転する
請求項8または9に記載の分析装置。
【請求項11】
前記リング部は、固定されており、
前記液受け部は、前記堰部の近傍に接続される排出流路と、前記排出流路に設けられる強制排出部とを有する
請求項8または9に記載の分析装置。
【請求項12】
前記濃度センサは、赤外分光法によって前記成分の濃度を検出する
請求項1~11のいずれか一つに記載の分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウェハ(以下、ウェハとも呼称する。)などの基板を複数まとめて浸漬処理するバッチ処理において、かかる処理に用いられた処理液に含まれる成分の濃度を検出する技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-261793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、基板の枚葉処理に用いられた処理液に含まれる成分の濃度を精度よく検出することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による分析装置は、液受け部と、濃度センサと、を備える。液受け部は、回転しながら液処理が施される基板から流れ出る処理液を受ける。濃度センサは、前記液受け部内に滞留する前記処理液に含まれる成分の濃度を検出する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板の枚葉処理に用いられた処理液に含まれる成分の濃度を精度よく検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る基板処理システムの概略構成を示す模式図である。
図2図2は、実施形態に係る処理ユニットの具体的な構成の一例を示す模式図である。
図3図3は、実施形態に係る分析装置の構成の一例を示す図である。
図4図4は、実施形態の変形例1に係る分析装置の構成の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態の変形例2に係る分析装置の構成の一例を示す図である。
図6図6は、実施形態の変形例3に係る分析装置の構成の一例を示す図である。
図7図7は、実施形態の変形例4に係る分析装置の構成の一例を示す図である。
図8図8は、実施形態の変形例4に係る分析装置の構成の一例を示す図である。
図9図9は、実施形態の変形例5に係る分析装置の構成の一例を示す図である。
図10図10は、実施形態の変形例6に係る分析装置の構成の一例を示す図である。
図11図11は、実施形態の変形例7に係る処理ユニットの具体的な構成の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する分析装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により本開示が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。さらに、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0009】
従来、半導体ウェハ(以下、ウェハとも呼称する。)などの基板を複数まとめて浸漬処理するバッチ処理において、かかる処理に用いられた処理液に含まれる成分の濃度を検出する技術が知られている。
【0010】
一方で、基板を一枚ずつ回転させながら処理液を吐出して液処理する枚葉処理において、かかる処理に用いられた処理液に含まれる成分の濃度を精度よく検出することは非常に困難である。なぜなら、基板上に形成される液膜の膜厚が非常に薄いため、基板上の処理液を測定した場合、成分の濃度を精度よく検出するための測定長が十分に取れないからである。
【0011】
そこで、上述の問題点を克服し、基板の枚葉処理に用いられた処理液に含まれる成分の濃度を精度よく検出することができる技術の実現が期待されている。
【0012】
<基板処理システムの概要>
最初に、図1を参照しながら、実施形態に係る分析装置60(図2参照)が設けられる基板処理システム1の概略構成について説明する。図1は、実施形態に係る基板処理システム1の概略構成を示す図である。以下では、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。
【0013】
図1に示すように、基板処理システム1は、搬入出ステーション2と、処理ステーション3とを備える。搬入出ステーション2と処理ステーション3とは隣接して設けられる。
【0014】
搬入出ステーション2は、フープ載置部11と、搬送部12とを備える。フープ載置部11には、複数枚の基板、実施形態では半導体ウェハW(以下、ウェハWと呼称する。)を水平状態で収容する複数のフープHが載置される。
【0015】
搬送部12は、フープ載置部11に隣接して設けられ、内部に基板搬送装置13と、受渡部14とを備える。基板搬送装置13は、ウェハWを保持するウェハ保持機構を備える。また、基板搬送装置13は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構を用いてフープHと受渡部14との間でウェハWの搬送を行う。
【0016】
処理ステーション3は、搬送部12に隣接して設けられる。処理ステーション3は、搬送部15と、複数の処理ユニット16とを備える。複数の処理ユニット16は、搬送部15の両側に並べて設けられる。
【0017】
搬送部15は、内部に基板搬送装置17を備える。基板搬送装置17は、ウェハWを保持するウェハ保持機構を備える。また、基板搬送装置17は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構を用いて受渡部14と処理ユニット16との間でウェハWの搬送を行う。
【0018】
処理ユニット16は、基板搬送装置17によって搬送されるウェハWに対して所定の基板処理を行う。
【0019】
また、基板処理システム1は、制御装置4を備える。制御装置4は、たとえばコンピュータであり、制御部18と記憶部19とを備える。記憶部19には、基板処理システム1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部18は、記憶部19に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板処理システム1の動作を制御する。
【0020】
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御装置4の記憶部19にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0021】
上記のように構成された基板処理システム1では、まず、搬入出ステーション2の基板搬送装置13が、フープ載置部11に載置されたフープHからウェハWを取り出し、取り出したウェハWを受渡部14に載置する。受渡部14に載置されたウェハWは、処理ステーション3の基板搬送装置17によって受渡部14から取り出されて、処理ユニット16へ搬入される。
【0022】
処理ユニット16へ搬入されたウェハWは、処理ユニット16によって処理された後、基板搬送装置17によって処理ユニット16から搬出されて、受渡部14に載置される。そして、受渡部14に載置された処理済のウェハWは、基板搬送装置13によってフープ載置部11のフープHへ戻される。
【0023】
<処理ユニットの構成>
次に、分析装置60が搭載される処理ユニット16の構成について、図2を参照しながら説明する。図2は、処理ユニット16の具体的な構成の一例を示す模式図である。図2に示すように、処理ユニット16は、チャンバ20と、基板処理部30と、液供給部40と、回収カップ50と、分析装置60とを備える。
【0024】
チャンバ20は、基板処理部30と、液供給部40と、回収カップ50と、分析装置60とを収容する。チャンバ20の天井部には、FFU(Fan Filter Unit)21が設けられる。FFU21は、チャンバ20内にダウンフローを形成する。
【0025】
基板処理部30は、保持部31と、支柱部32と、駆動部33とを備え、載置されたウェハWに液処理を施す。保持部31は、ウェハWを水平に保持する。支柱部32は、鉛直方向に延在する部材であり、基端部が駆動部33によって回転可能に支持され、先端部において保持部31を水平に支持する。駆動部33は、支柱部32を鉛直軸まわりに回転させる。
【0026】
かかる基板処理部30は、駆動部33を用いて支柱部32を回転させることによって支柱部32に支持された保持部31を回転させ、これにより、保持部31に保持されたウェハWを回転させる。
【0027】
保持部31は、たとえば、ウェハWの下面を吸着することにより、かかるウェハWを水平に保持する。なお、保持部31は、吸着チャックに限られず、静電チャックなどであってもよい。なお、ウェハWは、基板処理が行われる表面を上方に向けた状態で保持部31に保持される。
【0028】
液供給部40は、ウェハWに対して処理流体を供給する。液供給部40は、ノズル41a、41bと、ノズル41a、41bを水平に支持するアーム42aと、アーム42aを旋回および昇降させる旋回昇降機構43aとを備える。
【0029】
また、液供給部40は、ノズル41cと、ノズル41cを水平に支持するアーム42bと、アーム42bを旋回および昇降させる旋回昇降機構43bとを備える。
【0030】
ノズル41aは、バルブ44aおよび流量調整器45aを介してDHF供給源46aに接続される。DHF供給源46aは、たとえば、DHF(希フッ酸)を貯留するタンクである。かかるDHFは、処理液の一例である。
【0031】
ノズル41bは、バルブ44bおよび流量調整器45bを介してIPA供給源46bに接続される。IPA供給源46bは、たとえば、IPA(IsoPropyl Alcohol)を貯留するタンクである。かかるIPAは、処理液の別の一例である。
【0032】
ノズル41cは、バルブ44cおよび流量調整器45cを介してDIW供給源46cに接続される。DIW供給源46cは、たとえば、DIW(DeIonized Water:脱イオン水)を貯留するタンクである。かかるDIWは、処理液のさらに別の一例である。
【0033】
ノズル41aからは、DHF供給源46aより供給されるDHFが吐出される。ノズル41bからは、IPA供給源46bより供給されるIPAが吐出される。ノズル41cからは、DIW供給源46cより供給されるDIWが吐出される。
【0034】
回収カップ50は、保持部31を取り囲むように配置され、保持部31の回転によってウェハWから飛散する処理液S(図3参照)を捕集する。回収カップ50の底部には、排液口51が形成されており、回収カップ50によって捕集された処理液Sは、かかる排液口51から処理ユニット16の外部へ排出される。また、回収カップ50の底部には、FFU21から供給される気体を処理ユニット16の外部へ排出する排気口52が形成される。
【0035】
分析装置60は、保持部31の回転によってウェハWから流れ出る処理液Sに含まれる成分の濃度を検出する。分析装置60は、たとえば、ウェハWの縁部よりも外側かつ回収カップ50よりも内側に配置される。また、分析装置60は、保持部31に保持されるウェハWよりも低い位置に配置される。
【0036】
<分析装置の構成>
次に、実施形態に係る分析装置60の構成について、図3を参照しながら説明する。図3は、実施形態に係る分析装置60の構成の一例を示す図である。
【0037】
図3に示すように、実施形態に係る分析装置60は、液受け部61と、濃度センサ62とを備える。液受け部61は、回転しながら液処理が施されるウェハW(図2参照)から流れ出る処理液Sを受ける。濃度センサ62は、液受け部61内に滞留する処理液Sに含まれる成分の濃度を検出する。
【0038】
実施形態に係る濃度センサ62は、たとえば、赤外分光法によって処理液Sに含まれる成分の濃度を検出する。濃度センサ62は、投光部62aおよび受光部62bを有する。
【0039】
投光部62aは、たとえば、光ファイバ(図示せず)によって赤外線光源(図示せず)と接続される。投光部62aは、かかる赤外線光源から供給される赤外光IRを、液受け部61の被測定部65を介して受光部62bに照射する。
【0040】
受光部62bは、たとえば、光ファイバ(図示せず)によって測光部(図示せず)と接続される。受光部62bは、投光部62aから液受け部61の被測定部65を介して照射された赤外光IRを受光し、かかる受光した光を測光部に送る。かかる測光部は、受光した赤外光IRを分光し、そのデータを制御部18(図1参照)に送る。
【0041】
物質は、それぞれ固有の吸収スペクトルを有する。制御部18は、赤外光IRの吸収スペクトルから、測定したい成分に応じた所定波長における吸光度を求め、かかる成分の濃度を算出することができる。
【0042】
たとえば、測光部で得られた赤外光IRの吸収スペクトルにおいて、波長1460(nm)付近には、HOのOH結合に起因する吸収のピークが認められる。また、波長1690(nm)付近には、IPAのCH結合に起因する2つの吸収ピークが認められる。
【0043】
そこで、処理液SにおけるHOの濃度を検出したい場合には、波長約1460(nm)付近のOH基の吸収ピークにおける吸光度Aに着目すればよい。なお、波長1460(nm)付近はOH基の伸縮振動の倍音であり、波長1690(nm)付近はCH基の伸縮振動の倍音である。
【0044】
吸光度Aは、ランベルト・ベールの法則により、以下の式(1)で表される。
A=αLC ・・・(1)
A:吸光度
α:吸光係数
L:測定長
C:濃度
【0045】
上記の式(1)に基づけば、検出対象となる成分の吸光係数αおよび測定長Lが既知であれば、濃度Cの値を求めることができる。そして、実施形態では、図3に示すように、投光部62aと受光部62bとの間の距離L0が測定長Lとなる。
【0046】
一方で、吸光係数αは共存する成分の影響等を受けて変化するため、実際の処理条件に近い条件において、測定長Lが等しい処理液Sを用いて測定を行って検量線を作成し、その検量線に基づいて濃度Cの値を算出するのが好ましい。
【0047】
実施形態では、濃度センサ62の赤外線光源が、連続する波長範囲の赤外光IRを発生するとよい。これにより、制御部18の設定を変更するだけで、多くの成分の濃度検出に対応することができる。
【0048】
また、検出する成分が定まっている場合でも、吸収ピーク波長は共存する周囲の物質によってシフトする場合があるため、連続した波長の赤外光IRを用いるほうが、より高精度での測定が可能となる。このような光源としては、ハロゲンタングステンランプなどの市販のものを用いることができる。
【0049】
なお、赤外線光源が発生する赤外光IRは、単一の波長であってもよい。たとえば、赤外線光源は、波長可変レーザであってもよいし、干渉フィルタなどを用いて目的とする成分の吸収ピーク波長を選択的に取り出すものであってもよい。また、投光部62aに、バンドパスフィルタである干渉フィルタを設置して、所望の波長の赤外光IRを照射してもよい。
【0050】
このように、単一の波長の赤外光IRを用いることにより、制御部18における演算処理を単純にすることができることから、演算速度を速くすることができる。
【0051】
投光部62aは、コリメータなどを用いて平行光線を投光できることが好ましいが、光学系の明るさを確保するために受光部62bに集光する光線を投光できてもよい。
【0052】
受光部62bに接続される測光部は、受光部62bから光ファイバによって導かれた赤外光IRを必要に応じて分光し、検出して電気信号に変換し、必要に応じて増幅等の処理を行う。
【0053】
かかる測光部の構造は特に限定されず、回折格子等を用いた分散型分光光度計、フーリエ変換赤外分光光度計等の非分散型分光光度計など、公知のものを用いることができる。なお、投光部62aから特定の波長の赤外光IRが投光される場合は、測光部での分光手段は不要である。
【0054】
制御部18は、測光部からの電気信号に基づいて、吸収スペクトルや所定波長における吸光度を計算する。また、制御部18は、吸光度を積算による平均化処理あるいは、単位時間内に度数分布を作成して、メディアン値(中央値)を求めて、測定データのばらつきを抑える処理を行う。その後、制御部18は、濃度演算等を行う。
【0055】
連続する波長範囲の赤外光IRを用いる場合、その波長範囲は、検出対象となる成分が吸収する波長を含む必要がある。たとえば、HOとIPAとを測定する場合、好ましくは、1350(nm)~1720(nm)を含む波長範囲の赤外光IRを照射する。
【0056】
また、HOの濃度を測定するための吸収ピークは、前述の波長1460(nm)付近の他に、波長1200(nm)付近、波長1900(nm)付近、波長2600(nm)付近にも存在する。波長1200(nm)付近の吸収ピークは吸光係数が小さいが、波長1900(nm)および波長2600(nm)付近の吸収ピークは吸光係数が大きいため、液受け部61に滞留する被測定液の滞留量(測定長L)に応じて適した波長や波長領域を選定すると良い。
【0057】
図3の説明に戻る。液受け部61は、流入口63と、排出口64と、被測定部65とを有する。流入口63は、ウェハWから流れ出る処理液Sが流入する。排出口64は、液受け部61の内部に滞留する処理液Sを排出する。かかる排出口64は、流入口63よりも低い位置に配置される。
【0058】
被測定部65は、濃度センサ62によって処理液Sが測定される部位である。すなわち、被測定部65は、投光部62aと受光部62bとの間に位置し、測定用の赤外光IRが通過する部位である。被測定部65は、流入口63よりも低く、かつ排出口64よりも高い位置に配置される。
【0059】
ここで、実施形態では、回転しながら液処理が施されるウェハWから流れ出る処理液Sを一旦液受け部61で受けて、かかる液受け部61において処理液Sに含まれる成分の濃度を濃度センサ62で検出する。
【0060】
これにより、ウェハW上に形成される処理液Sの液膜に対して赤外光を照射して濃度を検出する場合と比べて、成分の濃度を精度よく検出するための測定長Lを十分に取ることができる。
【0061】
したがって、実施形態によれば、ウェハWの枚葉処理に用いられた処理液Sに含まれる成分の濃度を精度よく検出することができる。
【0062】
なお、実施形態において、測定長Lは、たとえば、2000(nm)付近の波長では1(mm)以下であることが望ましく、1000(nm)付近の波長では10(mm)以上であることが望ましい。これにより、ウェハWの枚葉処理に用いられた処理液Sに含まれる成分の濃度をさらに精度よく検出することができる。
【0063】
また、実施形態では、液受け部61が、被測定部65よりも高い位置に流入口63を有し、被測定部65よりも低い位置に排出口64を有する。これにより、液受け部61で受けた処理液Sが被測定部65で澱まないように、常に外部に流れるようにすることができる。
【0064】
したがって、実施形態によれば、ウェハWの枚葉処理において、かかるウェハWから流れ出る処理液Sの成分濃度の時間経過を連続的に検出することができる。
【0065】
また、実施形態では、ウェハWの液処理時において、被測定部65に処理液Sが常時滞留するように、流入口63および排出口64の大きさが適宜設定されるとよい。これにより、ウェハWの液処理の最初から最後まで、処理液Sの成分濃度の時間経過を連続的に検出することができる。
【0066】
たとえば、実施形態に係るウェハWの液処理では、最初にDHFによる基板処理が行われ、次にDIWによるリンス処理が行われ、次にIPAによる乾燥処理が行われる。
【0067】
そして、DIWによるリンス処理では、処理液Sに含まれるDHFの濃度を分析装置60で検出することにより、かかるリンス処理の終点検知が可能となる。さらに、IPAによる乾燥処理では、処理液Sに含まれるDIWの濃度を検出することにより、かかる乾燥処理の終点検知が可能となる。すなわち、実施形態では、余分な時間の液処理を省くことができる。
【0068】
したがって、実施形態によれば、処理ユニット16に分析装置60が設けられることにより、ウェハWの全体的な処理時間を短くすることができることから、ウェハWを効率的に液処理することができる。
【0069】
また、実施形態では、余分な液処理を省くことができることから、使用済みの処理液Sの排液処理コストや、処理液Sの準備コストなどを低減することができる。
【0070】
なお、実施形態に係るウェハWの液処理は、上記の例に限られず、2種類以上の成分が処理液S内で混ざった状態となる液処理であれば適用可能である。
【0071】
実施形態に係るウェハWの液処理に用いられる薬液としては、たとえば、HF(フッ酸)、NHOH(アンモニア水)、HSO(硫酸)、H(過酸化水素水)、HCl(塩酸)、NHF(フッ化アンモニウム)などが挙げられる。
【0072】
また、実施形態に係るウェハWの液処理では、HNO(硝酸)、HPO(リン酸)、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)などが用いられてもよい。
【0073】
また、実施形態では、液受け部61内に洗浄液(たとえば、DIWなど)を吐出するノズル(図示せず)が分析装置60に設けられてもよい。そして、制御部18は、ウェハWが液処理されていない時に、かかるノズルから洗浄液を吐出し、液受け部61の内部を洗浄処理してもよい。
【0074】
これにより、直前の液処理において液受け部61に残留する成分によって、次の液処理における濃度検出に誤差が生じることを抑制することができる。したがって、実施形態によれば、ウェハWの枚葉処理に用いられた処理液Sに含まれる成分の濃度をさらに精度よく検出することができる。
【0075】
また、実施形態では、制御部18が、上述した液受け部61の洗浄処理の際に、洗浄液(たとえば、DIWなど)の測定値を校正基準として赤外分光分析の感度やドリフトを補正してもよい。これにより、ウェハWの枚葉処理に用いられた処理液Sに含まれる成分の濃度をさらに精度よく検出することができる。
【0076】
<変形例1>
つづいては、実施形態に係る基板処理の各種変形例について、図4図11を参照しながら説明する。図4は、実施形態の変形例1に係る分析装置60の構成の一例を示す図である。
【0077】
図4に示すように、変形例1に係る分析装置60は、濃度センサ62の構成が上記の実施形態と異なる。具体的には、変形例1では、投光部62a(図3参照)と受光部62b(図3参照)とが一体となった濃度センサ62が用いられる。
【0078】
また、この濃度センサ62と向かい合うように、液受け部61における被測定部65の反対側にミラー66が設けられる。かかるミラー66は、濃度センサ62から照射される赤外光IRを、かかる濃度センサ62に反射させる。
【0079】
このような構成であっても、液受け部61に滞留する処理液Sを濃度センサ62で測定することにより、ウェハWの枚葉処理に用いられた処理液Sに含まれる成分の濃度を精度よく検出することができる。
【0080】
また、変形例1では、濃度センサ62とミラー66との間の距離の2倍の長さの測定長Lを取ることができる。すなわち、変形例1では、液受け部61のサイズを小さくしたとしても、測定長Lを十分に取ることができる。
【0081】
したがって、実施形態によれば、回収カップ50内の余剰スペースが小さい処理ユニット16であっても、分析装置60を問題無く設置することができる。
【0082】
<変形例2>
図5は、実施形態の変形例2に係る分析装置60の構成の一例を示す図である。図5に示すように、変形例2に係る分析装置60は、液受け部61の構成が上記の実施形態と異なる。具体的には、変形例2では、液受け部61の底部に排出口64が複数(図では2つ)設けられる。
【0083】
これにより、液受け部61で受けた処理液Sが被測定部65で澱まないように、さらに円滑に外部に流れるようにすることができる。したがって、変形例2によれば、ウェハWの枚葉処理において、かかるウェハWから流れ出る処理液Sの成分濃度の時間経過を円滑に検出することができる。
【0084】
なお、図5の例では、液受け部61に排出口64が2つ設けられる例について示したが、本開示はかかる例に限られず、液受け部61に排出口64が3つ以上設けられてもよい。
【0085】
<変形例3>
図6は、実施形態の変形例3に係る分析装置60の構成の一例を示す図である。図6に示すように、変形例3に係る分析装置60は、液受け部61の配置および構成が上記の実施形態と異なる。具体的には、変形例3では、液受け部61が回収カップ50よりも外側に、かつ回収カップ50と一体となって設けられる。
【0086】
具体的には、回収カップ50の側壁50aに開口部50bが形成され、かかる開口部50bと液受け部61の流入口63とが繋がっている。また、回収カップ50の側壁50aの外側に、かかる側壁50aの一部を用いて液受け部61が形成される。
【0087】
さらに、液受け部61の排出口64に排出流路67が接続され、かかる排出流路67は回収カップ50の排液口51に繋がっている。
【0088】
このような構成であっても、液受け部61に滞留する処理液Sを濃度センサ62(図3参照)で測定することにより、ウェハWの枚葉処理に用いられた処理液Sに含まれる成分の濃度を精度よく検出することができる。
【0089】
また、変形例3では、回収カップ50内に余剰スペースが無い処理ユニット16であっても、分析装置60を問題無く設置することができる。
【0090】
なお、この変形例3において、液受け部61などは、着脱可能に構成されていてもよい。またこの場合、液受け部61などを取り外す際には、回収カップ50に形成される開口部50bが蓋などで塞がれるとよい。
【0091】
<変形例4>
図7および図8は、実施形態の変形例4に係る分析装置60の構成の一例を示す図である。図7に示すように、変形例4に係る分析装置60は、流入口63と被測定部65とが離間して設けられる。
【0092】
具体的には、変形例4では、漏斗状に形成される流入口63の下流側に、U字形状を有する送液通路80が設けられる。また、かかる送液通路80の下流側は、たとえば、被測定部65および排出口64が設けられる容器部81の底面に接続される。
【0093】
かかる容器部81は、送液通路80から供給される処理液Sを貯留可能に構成され、上面に排出口64が設けられるとともに、かかる排出口64よりも低い位置に被測定部65(すなわち、濃度センサ62)が設けられる。
【0094】
そして、変形例4では、図7に示すように、回転しながら液処理が施されるウェハWから流れ出る処理液Sを一旦液受け部61の流入口63で受けて、かかる処理液Sを送液通路80を介して容器部81に供給する。
【0095】
そして、容器部81に設けられる被測定部65において処理液Sに含まれる成分の濃度を濃度センサ62で検出する。さらに、容器部81に貯留される処理液Sは、上面の排出口64からあふれ出る(オーバーフローする)ように排出される。
【0096】
このような構成にすることによって、変形例4では、容器部81において、処理液Sに含まれる気泡Bが移動する向きと、処理液Sが移動する向きとを揃えることができる。すなわち、変形例4では、容器部81において気泡Bが処理液S内で滞留することを抑制することができる。
【0097】
したがって、変形例4によれば、被測定部65において赤外光IRが気泡Bによって妨げられることを抑制することができることから、ウェハWの枚葉処理に用いられた処理液Sに含まれる成分の濃度をさらに精度よく検出することができる。
【0098】
また、変形例4では、流入口63が排出口64よりも高い位置に設けられるとよい。これにより、図8に示すように、ウェハWから流れ出る処理液Sの供給が停止された場合でも、容器部81からの処理液Sの排出を抑制することができる。
【0099】
すなわち、変形例4では、流入口63が排出口64よりも高い位置に設けられることにより、ウェハWからの処理液Sの流入量の大小にかかわらず、被測定部65において処理液Sが液切れすることを抑制することができる。
【0100】
なお、変形例4の液受け部61は、送液通路80とドレイン部DRとの間を接続する排出流路82と、かかる排出流路82に設けられるバルブ83とを有していてもよい。
【0101】
これにより、直前の液処理において液受け部61に残留する処理液Sを排出することができることから、かかる処理液Sによって次の液処理における濃度検出に誤差が生じることを抑制することができる。したがって、変形例4によれば、ウェハWの枚葉処理に用いられた処理液Sに含まれる成分の濃度をさらに精度よく検出することができる。
【0102】
<変形例5>
図9は、実施形態の変形例5に係る分析装置60の構成の一例を示す図である。図9に示すように、変形例5に係る分析装置60は、液受け部61の配置および構成が上記の実施形態と異なる。具体的には、変形例5に係る液受け部61は、リング部68と、堰部69とを有する。
【0103】
リング部68は、保持部31に支持され、平面視でウェハWの縁部に沿って配置される円環形状の部位である。すなわち、変形例5では、リング部68が保持部31およびウェハWとともに回転する。また、リング部68は、少なくともウェハWの縁部よりも外側に配置される。
【0104】
リング部68は、上面が各種薬液に対する耐食性を有するとともに、赤外光IRを反射させる機能を有する。たとえば、リング部68は、リング状の反射材(金属材やミラー材など)で構成され、かかる反射材の表面が耐食性を有する透明材料(たとえば、テフロン(登録商標)など)で覆われる。また、リング部68は、耐食性を有する反射材(たとえば、ステンレスや金めっき材など)で構成されていてもよい。
【0105】
堰部69は、リング部68の縁部に配置され、ウェハWから流れ出る処理液S(図3参照)をせき止める。堰部69は、リング部68の上面に対して所定の長さ(たとえば、1(mm)~5(mm)程度)突出する。
【0106】
また、変形例5では、投光部62a(図3参照)と受光部62b(図3参照)とが一体となった濃度センサ62が、堰部69にせき止められている処理液Sの上方に配置される。かかる濃度センサ62は、たとえば、アーム42aまたはアーム42b(図ではアーム42b)に支持される。
【0107】
そして、変形例5では、回転するウェハWから流れ出し、堰部69にせき止められている処理液Sを、かかる処理液Sの上方に位置する濃度センサ62で測定する。このような構成であっても、処理液Sを所定の高さの堰部69でせき止めることにより、成分濃度を精度よく検出するための測定長Lを十分に取ることができる。
【0108】
したがって、変形例5によれば、ウェハWの枚葉処理に用いられた処理液Sに含まれる成分の濃度を精度よく検出することができる。
【0109】
また、変形例5では、ウェハWとともにリング部68および堰部69が回転することから、堰部69で受けた処理液Sが堰部69の近傍で澱まないように、常に外部に流れるようにすることができる。
【0110】
したがって、変形例5によれば、ウェハWの枚葉処理において、かかるウェハWから流れ出る処理液Sの成分濃度の時間経過を連続的に検出することができる。
【0111】
<変形例6>
図10は、実施形態の変形例6に係る分析装置60の構成の一例を示す図である。図10に示すように、変形例6に係る分析装置60は、液受け部61の構成が上記の変形例5と異なる。
【0112】
具体的には、変形例6に係る液受け部61は、リング部68が保持部31ではなく回収カップ50に支持される。すなわち、変形例6では、リング部68が回転せずに固定されている。
【0113】
また、変形例6では、リング部68に2つの堰部69(以下、堰部69A、69Bとも呼称する。)が設けられる。堰部69Aは、リング部68の縁部に配置され、ウェハWから流れ出る処理液S(図3参照)が外方に流れ出るのをせき止める。
【0114】
堰部69Bは、堰部69AとウェハWの縁部との間に配置され、ウェハWから流れ出る処理液Sが内方に流れ出るのをせき止める。堰部69A、69Bは、リング部68の上面に対して所定の長さ(たとえば、1(mm)~5(mm)程度)突出する。
【0115】
すなわち、変形例6では、回転するウェハWから流れ出した処理液Sが、リング部68、堰部69Aおよび堰部69Bで形成される凹部に貯留される。そして、濃度センサ62は、かかる凹部に貯留される処理液Sを測定する。
【0116】
このような構成であっても、処理液Sを所定の深さの凹部で貯留することにより、成分濃度を精度よく検出するための測定長Lを十分に取ることができる。したがって、変形例6によれば、ウェハWの枚葉処理に用いられた処理液Sに含まれる成分の濃度を精度よく検出することができる。
【0117】
また、変形例6では、リング部68、堰部69Aおよび堰部69Bで形成される凹部に排出流路70が接続され、かかる排出流路70にエジェクタ71が設けられるとよい。エジェクタ71は、強制排出部の一例である。エジェクタ71は、排出流路70を介して、凹部に貯留される処理液Sを強制的に排出する。
【0118】
これにより、凹部で貯留した処理液Sがかかる凹部内で澱まないように、常に外部に流れるようにすることができる。したがって、変形例6によれば、ウェハWの枚葉処理において、かかるウェハWから流れ出る処理液Sの成分濃度の時間経過を連続的に検出することができる。
【0119】
なお、図10の例では、凹部に貯留される処理液Sをエジェクタ71で強制的に排出する例について示したが、本開示はかかる例に限られず、エジェクタ71とは異なる部材で凹部に貯留される処理液Sを強制的に排出してもよい。
【0120】
また、上記の変形例5および変形例6では、リング部68に堰部69を設ける例について示したが、本開示はかかる例に限られず、リング部68の上面に凹部が形成されていてもよい。
【0121】
これによっても、処理液Sを所定の深さの凹部で貯留することにより、成分濃度を精度よく検出するための測定長Lを十分に取ることができることから、ウェハWの枚葉処理に用いられた処理液Sに含まれる成分の濃度を精度よく検出することができる。
【0122】
<変形例7>
図11は、実施形態の変形例7に係る処理ユニット16の具体的な構成の一例を示す模式図である。図11に示すように、変形例7では、上記の実施形態で説明した分析装置60に加えて、ウェハW表面の処理液S(図3参照)の成分濃度を検出する別の濃度センサ62Aが設けられる。
【0123】
かかる濃度センサ62Aは、投光部62a(図3参照)と受光部62b(図3参照)とが一体となっており、保持部31に保持されるウェハWの上方に配置される。かかる濃度センサ62Aは、たとえば、アーム42aまたはアーム42b(図ではアーム42b)に支持される。
【0124】
そして、濃度センサ62Aは、シリコンで構成されるウェハWの表面で赤外光IRを反射させることにより、ウェハW表面の処理液Sの成分濃度を検出する。
【0125】
ここで、変形例7では、制御部18(図1参照)が、分析装置60に設けられる濃度センサ62(図3参照)による成分濃度の検出結果と、濃度センサ62Aによる成分濃度の検出結果とに基づいて、液処理の終点を判定するとよい。これにより、液処理の終点を精度よく判定することができる。
【0126】
実施形態に係る分析装置60は、液受け部61と、濃度センサ62と、を備える。液受け部61は、回転しながら液処理が施される基板(ウェハW)から流れ出る処理液Sを受ける。濃度センサ62は、液受け部61内に滞留する処理液Sに含まれる成分の濃度を検出する。これにより、ウェハWの枚葉処理に用いられた処理液Sに含まれる成分の濃度を精度よく検出することができる。
【0127】
また、実施形態に係る分析装置60において、液受け部61は、流入口63と、排出口64と、被測定部65と、を有する。流入口63は、基板(ウェハW)から流れ出る処理液Sが流入する。排出口64は、流入口63よりも低い位置に配置され、内部に滞留する処理液Sを排出する。被測定部65は、流入口63よりも低く、かつ排出口64よりも高い位置に配置され、濃度センサ62によって処理液Sが測定される。これにより、ウェハWの枚葉処理において、かかるウェハWから流れ出る処理液Sの成分濃度の時間経過を連続的に検出することができる。
【0128】
また、実施形態に係る分析装置60において、基板(ウェハW)の液処理時において被測定部65に処理液Sが常時滞留するように、流入口63および排出口64の大きさが設定される。これにより、ウェハWの液処理の最初から最後まで、処理液Sの成分濃度の時間経過を連続的に検出することができる。
【0129】
また、実施形態に係る分析装置60において、排出口64は、液受け部61に複数設けられる。これにより、ウェハWの枚葉処理において、かかるウェハWから流れ出る処理液Sの成分濃度の時間経過を円滑に検出することができる。
【0130】
また、実施形態に係る分析装置60において、液受け部61は、基板(ウェハW)から流れ出る処理液Sを受ける回収カップ50の外側に設けられる。これにより、回収カップ50内に余剰スペースが無い処理ユニット16であっても、分析装置60を問題無く設置することができる。
【0131】
また、実施形態に係る分析装置60において、液受け部61は、流入口63と、送液通路80と、容器部81と、排出口64と、被測定部65とを有する。流入口63は、基板(ウェハW)から流れ出る処理液Sが流入する。送液通路80は、流入口63の下流側に設けられ、U字形状を有する。容器部81は、送液通路80の下流側に設けられ、処理液Sを貯留する。排出口64は、容器部81の上面側に設けられ、容器部81に滞留する処理液Sを排出する。被測定部65は、容器部81において排出口64よりも低い位置に配置され、濃度センサ62によって処理液Sが測定される。これにより、ウェハWの枚葉処理に用いられた処理液Sに含まれる成分の濃度をさらに精度よく検出することができる。
【0132】
また、実施形態に係る分析装置60において、流入口63は、排出口64よりも高い位置に配置される。これにより、ウェハWからの処理液Sの流入量の大小にかかわらず、被測定部65において処理液Sが液切れすることを抑制することができる。
【0133】
また、実施形態に係る分析装置60において、液受け部61は、リング部68と、堰部69と、を有する。リング部68は、基板(ウェハW)の縁部に沿って少なくとも縁部よりも外側に配置される。堰部69は、リング部68の縁部に配置され、処理液Sをせき止める。これにより、ウェハWの枚葉処理に用いられた処理液Sに含まれる成分の濃度を精度よく検出することができる。
【0134】
また、実施形態に係る分析装置60において、濃度センサ62は、堰部69の近傍に滞留する処理液Sを上方から検出する。これにより、ウェハWの枚葉処理に用いられた処理液Sに含まれる成分の濃度を精度よく検出することができる。
【0135】
また、実施形態に係る分析装置60において、リング部68は、液処理中の基板(ウェハW)とともに回転する。これにより、ウェハWの枚葉処理において、かかるウェハWから流れ出る処理液Sの成分濃度の時間経過を連続的に検出することができる。
【0136】
また、実施形態に係る分析装置60において、リング部68は、固定されており、液受け部61は、堰部69の近傍に接続される排出流路70と、排出流路70に設けられる強制排出部(エジェクタ71)とを有する。これにより、ウェハWの枚葉処理において、かかるウェハWから流れ出る処理液Sの成分濃度の時間経過を連続的に検出することができる。
【0137】
また、実施形態に係る分析装置60において、濃度センサ62は、赤外分光法によって成分の濃度を検出する。これにより、ウェハWから流れ出る処理液Sに含まれる成分の濃度を精度よくかつ簡便に検出することができる。
【0138】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0139】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0140】
W ウェハ(基板の一例)
1 基板処理システム
16 処理ユニット
50 回収カップ
60 分析装置
61 液受け部
62 濃度センサ
63 流入口
64 排出口
65 被測定部
68 リング部
69、69A、69B 堰部
70 排出流路
71 エジェクタ(強制排出部の一例)
80 送液通路
81 容器部
S 処理液
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11