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特開2023-56708エッチング処理システム、エッチング品質予測方法及びエッチング品質予測プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056708
(43)【公開日】2023-04-20
(54)【発明の名称】エッチング処理システム、エッチング品質予測方法及びエッチング品質予測プログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20230413BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20230413BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20230413BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20230413BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
G06N20/00 130
H01L21/02 Z
G06T7/00 350B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021166079
(22)【出願日】2021-10-08
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】高良 穣二
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀彦
(72)【発明者】
【氏名】木村 友里
(72)【発明者】
【氏名】京兼 広和
【テーマコード(参考)】
5F004
5L096
【Fターム(参考)】
5F004AA16
5F004CB20
5F004FA08
5L096AA02
5L096AA06
5L096BA03
5L096CA02
5L096DA02
5L096FA15
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】エッチング品質の検査結果を取得するまでの時間を短縮する。
【解決手段】エッチング処理システムであって、基板の搬送経路上に配置された撮像装置により撮影された前記基板の画像データと、前記基板のエッチング品質を予測するための情報とが対応付けられた学習用データを用いて学習が行われた学習済みモデルに、予測対象の基板の画像データを入力することで、予測対象の基板のエッチング品質を予測する予測部を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の搬送経路上に配置された撮像装置により撮影された前記基板の画像データと、前記基板のエッチング品質を予測するための情報とが対応付けられた学習用データを用いて学習が行われた学習済みモデルに、予測対象の基板の画像データを入力することで、予測対象の基板のエッチング品質を予測する予測部、
を有するエッチング処理システム。
【請求項2】
前記学習済みモデルは、エッチング処理された前記基板を撮影することで生成された処理後画像データを入力データとし、エッチング処理された前記基板のエッチング品質の検査を行うことで出力されたエッチング品質情報を正解データとする学習用データを用いて学習が行われたモデルである、請求項1に記載のエッチング処理システム。
【請求項3】
前記学習済みモデルは、エッチング処理される前の前記基板を撮影することで生成された処理前画像データと、エッチング処理された後の前記基板を撮影することで生成された処理後画像データとを差分した差分画像データを入力データとし、エッチング処理される前の前記基板のエッチング品質に関わる項目の検査を行うことで出力された処理前品質情報と、エッチング処理された後の前記基板のエッチング品質に関わる項目の検査を行うことで出力された処理後品質情報と、を差分したエッチング品質情報を正解データとする学習用データを用いて学習が行われたモデルである、請求項1に記載のエッチング処理システム。
【請求項4】
前記学習済みモデルは、
エッチング処理される前の前記基板を撮影することで生成された処理前画像データを入力データとし、エッチング処理される前の前記基板のエッチング品質に関わる項目の検査を行うことで出力された処理前品質情報を正解データとする学習用データを用いて学習が行われた第1の学習済みモデルと、
エッチング処理された後の前記基板を撮影することで生成された処理後画像データを入力データとし、エッチング処理された後の前記基板のエッチング品質に関わる項目の検査を行うことで出力された処理前品質情報を正解データとする学習用データを用いて学習が行われた第2の学習済みモデルと、を有し、
前記予測部は、
前記第1の学習済みモデルに、エッチング処理される前の予測対象の基板を撮影することで生成された処理前画像データを入力することで出力された予測対象の基板の処理前品質情報と、前記第2の学習済みモデルに、エッチング処理された後の予測対象の基板を撮影することで生成された処理後画像データを入力することで出力された処理後品質情報とに基づいて、予測対象の基板のエッチング品質を予測する、請求項1に記載のエッチング処理システム。
【請求項5】
前記予測部は、エッチング処理された予測対象の基板の膜厚値、CD値、断面形状に関する値のいずれかを、前記エッチング品質として予測する、請求項2に記載のエッチング処理システム。
【請求項6】
前記エッチング品質に関わる項目には、膜厚値、CD値、断面形状に関する値のいずれかが含まれ、
前記予測部は、エッチング処理された予測対象の基板のエッチング量、エッチングレート、ΔCD値のいずれかを、前記エッチング品質として予測する、請求項3または4に記載のエッチング処理システム。
【請求項7】
前記処理前画像データ及び前記処理後画像データは、特定の色成分の画像データである、請求項6に記載のエッチング処理システム。
【請求項8】
予測された前記予測対象の基板のエッチング品質に基づいて、前記予測対象の基板より後にエッチング処理される基板の処理内容を制御する制御部を更に有する請求項1に記載のエッチング処理システム。
【請求項9】
前記学習済みモデルを生成するとともに、所定の条件が成立した場合には、生成した前記学習済みモデルについて再学習を行う学習部を更に有する請求項1に記載のエッチング処理システム。
【請求項10】
基板の搬送経路上に配置された撮像装置により撮影された前記基板の画像データと、前記基板のエッチング品質を予測するための情報とが対応付けられた学習用データを用いて学習が行われた学習済みモデルに、予測対象の基板の画像データを入力することで、予測対象の基板のエッチング品質を予測する予測工程、
を有するエッチング品質予測方法。
【請求項11】
基板の搬送経路上に配置された撮像装置により撮影された前記基板の画像データと、前記基板のエッチング品質を予測するための情報とが対応付けられた学習用データを用いて学習が行われた学習済みモデルに、予測対象の基板の画像データを入力することで、予測対象の基板のエッチング品質を予測する予測工程、
をコンピュータに実行させるためのエッチング品質予測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エッチング処理システム、エッチング品質予測方法及びエッチング品質予測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
基板の製造プロセスにおいて、例えば、エッチング処理された基板に対しては、各種の検査が行われる。このうち、CD(Critical Dimension)値やエッチング量等の、いわゆるエッチング品質(エッチングの出来栄えともいう)の検査には、一般に、外部の検査装置が用いられる。このため、エッチング処理システムが、エッチング処理後に当該基板の検査結果を取得するまでには一定程度の時間を要する。
【0003】
このようなことから、現状のエッチング処理システムでは、例えば、エッチング品質の検査結果を、次の基板のエッチング処理にフィードバックするといった制御を行うことが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2021/0143039号明細書
【特許文献2】米国特許第10955832号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、エッチング品質の検査結果を取得するまでの時間を短縮する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によるエッチング処理システムは、例えば、以下のような構成を有する。即ち、
基板の搬送経路上に配置された撮像装置により撮影された前記基板の画像データと、前記基板のエッチング品質を予測するための情報とが対応付けられた学習用データを用いて学習が行われた学習済みモデルに、予測対象の基板の画像データを入力することで、予測対象の基板のエッチング品質を予測する予測部を有する。
【発明の効果】
【0007】
エッチング品質の検査結果を取得するまでの時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】学習フェーズにおけるエッチング処理システムのシステム構成の一例を示す第1の図である。
図2】予測フェーズにおけるエッチング処理システムのシステム構成の一例を示す第1の図である。
図3】エッチング処理システムにおける撮像装置の配置例を示す図である。
図4】学習装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図5】学習用データの具体例を示す第1の図である。
図6】学習装置の機能構成の一例を示す第1の図である。
図7】予測装置の機能構成の一例を示す第1の図である。
図8】エッチング品質情報と予測エッチング品質情報との関係を示す第1の図である。
図9】エッチング品質予測処理の流れを示すフローチャートである。
図10】学習フェーズにおけるエッチング処理システムのシステム構成の一例を示す第2の図である。
図11】予測フェーズにおけるエッチング処理システムのシステム構成の一例を示す第2の図である。
図12】学習用データの具体例を示す第2の図である。
図13】学習装置の機能構成の一例を示す第2の図である。
図14】差分画像データとエッチング量との関係を示す図である。
図15】予測装置の機能構成の一例を示す第2の図である。
図16】エッチング品質情報と予測エッチング品質情報との関係を示す第2の図である。
図17】学習用データの具体例を示す第3の図である。
図18】学習装置の機能構成の一例を示す第3の図である。
図19】予測装置の機能構成の一例を示す第3の図である。
図20】エッチング品質情報と予測エッチング品質情報との関係を示す第3の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、各実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する。
【0010】
[第1の実施形態]
<エッチング処理システムのシステム構成>
はじめに、第1の実施形態に係るエッチング処理システムのシステム構成について、学習フェーズと予測フェーズとに分けて説明する。
【0011】
(1)学習フェーズの場合
図1は、学習フェーズにおけるエッチング処理システムのシステム構成の一例を示す第1の図である。図1に示すように、学習フェーズにおけるエッチング処理システム100は、処理室101、撮像装置102、学習装置103を有する。
【0012】
図1の例は、処理前基板が、エッチング処理システム100内の搬送経路上を搬送され、処理室101においてエッチング処理された後に、処理後基板として搬送経路上を搬送され、撮像装置102において撮影された後に、搬出される様子を表している。
【0013】
このうち、処理室101は、収容された処理前基板をエッチング処理し、処理後基板を生成する。
【0014】
撮像装置102は、エッチング処理システム100内の搬送経路上に配置され、本実施形態においては、処理後基板を撮影することで、処理後画像データを生成する。また、撮像装置102は、生成した処理後画像データを学習装置103に送信する。なお、撮像装置102により生成される処理後画像データは、複数の色成分(例えば、R成分、G成分、B成分)を含む画像データであるとする。
【0015】
学習装置103は、撮像装置102より送信された処理後画像データを取得するとともに、外部検査装置110において処理後基板に対してエッチング品質(Etching Quality)の検査が行われることで出力されたエッチング品質情報を取得する。
【0016】
また、学習装置103は、処理後画像データとエッチング品質情報とを対応付けた学習用データを生成し、生成した学習用データを用いてモデルの学習を行うことで、学習済みモデルを生成する。更に、学習装置103は、生成した学習済みモデルのモデルパラメータを、後述する予測装置に設定する。
【0017】
外部検査装置110は、エッチング処理システム100より搬出された処理後基板に対してエッチング品質の検査を行う。本実施形態における外部検査装置110では、エッチング品質の検査として、例えば、エッチングの出来栄えを示す絶対値を測定し、エッチング品質情報を生成する。なお、エッチングの出来栄えを示す絶対値とは、例えば、膜厚値、CD(Critical Dimension)値、基板の断面形状に関する値等のいずれかを含む。
【0018】
(2)予測フェーズの場合
図2は、予測フェーズにおけるエッチング処理システムのシステム構成の一例を示す第1の図である。図2に示すように、予測フェーズにおけるエッチング処理システム200は、処理室101、撮像装置102、予測装置203を有する。
【0019】
図2の例は、処理前基板が、エッチング処理システム200内の搬送経路上を搬送され、処理室101においてエッチング処理された後に、処理後基板として搬送経路上を搬送され、撮像装置102において撮影された後に、搬出される様子を表している。
【0020】
学習フェーズ同様、処理室101は、収容された処理前基板をエッチング処理し、処理後基板を生成する。
【0021】
また、撮像装置102は、エッチング処理システム200内の搬送経路上に配置され、本実施形態においては、処理後基板を撮影することで、処理後画像データを生成する。また、撮像装置102は、生成した処理後画像データを予測装置203に送信する。
【0022】
予測装置203は、撮像装置102より送信された処理後画像データを、学習済みモデルに入力することでエッチング品質を予測し、予測エッチング品質情報を出力する。
【0023】
このように、エッチング処理システム200によれば、処理前基板1枚をエッチング処理するごとに、エッチング品質を予測し、予測エッチング品質情報を出力することができる。これにより、外部検査装置がエッチング品質の検査を行い、エッチング品質情報を出力する場合と比較して、エッチング処理システムがエッチング品質の検査結果を取得するまでの時間を大幅に短縮することができる。
【0024】
この結果、エッチング処理システム200によれば、エッチング品質の検査結果を、処理室101での次の処理前基板のエッチング処理にフィードバックするといった制御を行うことが可能になる(点線参照)。
【0025】
<撮像装置の配置例>
次に、エッチング処理システム100または200内における撮像装置102の配置例について説明する。図3は、撮像装置の配置例を示す図である。このうち、図3(a)は、エッチング処理システム100または200全体のモジュール構成を示した図である。
【0026】
ここでは、撮像装置102の配置例を説明するにあたり、まず、撮像装置102が配置される特定のモジュールを含むエッチング処理システム100または200全体のモジュール構成について簡単に説明する。
【0027】
図3(a)に示すように、エッチング処理システム100または200は、例えば、
・6つの処理室PM(Process Module)、
・搬送室VTM(Vacuum Transfer Module)、
・2つのロードロック室LLM(Load Lock Module)、
・ローダモジュール(Loader Module)、
・3つのロードポートLP(Load Port)、
を有する。
【0028】
6つの処理室PMは、搬送室VTMの周囲に配置され、処理前基板をエッチング処理する。なお、図1または図2に示した処理室101は、6つの処理室PMのうちのいずれかの処理室を指す。
【0029】
搬送室VTMの内部には、搬送装置VAが配置され、2つのロードロック室LLMから6つの処理室PMに処理前基板を搬送するとともに、エッチング処理された処理後基板を、6つの処理室PMからロードロック室LLMに搬送する。
【0030】
ロードロック室LLMは、搬送室VTMとローダモジュールLMとの間に設けられ、大気雰囲気と真空雰囲気との切り替えを行う。
【0031】
ローダモジュールLMの内部には、処理前基板または処理後基板を搬送する搬送装置LAが配置される。搬送装置LAは、各ロードポートLPに取り付けられたFOUP(Front Opening Unified Pod)に収容された処理前基板を2つのロードロック室LLMに搬送する。また、搬送装置LAは、各ロードポートLPに取り付けられた空のFOUPに、2つのロードロック室LLMから処理後基板を搬送する。つまり、ロードポートLPは、処理前基板を搬入し、処理後基板を搬出する際の出入口となる。
【0032】
ローダモジュールLMには、処理前基板の位置をアライメントするオリエンタORTが設けられている。オリエンタORTは、処理前基板の中心位置、偏心量及びノッチ位置を検出する。オリエンタORTでの検出結果に基づく処理前基板の補正は、ローダモジュールLMのロボットアームAA、ABを用いて行われる。
【0033】
図3(b)は、撮像装置102が配置されるオリエンタORT内部を、模式的に示した図である。図3(b)に示すように、撮像装置102は、例えば、処理前基板(符号W)のノッチ位置を検出する検出器301の近傍に配置される。
【0034】
このように、撮像装置102が、エッチング処理システム100または200内の搬送経路上に配置することで、撮像装置102では、エッチング処理された処理後基板(あるいはエッチング処理される前の処理前基板)を撮影することができる。
【0035】
<学習装置及び予測装置のハードウェア構成>
次に、学習装置103及び予測装置203のハードウェア構成について説明する。なお、本実施形態において学習装置103及び予測装置203は、同様のハードウェア構成を有することから、ここでは、学習装置103のハードウェア構成について説明する。
【0036】
図4は、学習装置のハードウェア構成の一例を示す図である。図4に示すように、学習装置103は、プロセッサ401、メモリ402、補助記憶装置403、ユーザインタフェース装置404、接続装置405、通信装置406を有する。なお、学習装置103の各ハードウェアは、バス407を介して相互に接続されている。
【0037】
プロセッサ401は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の各種演算デバイスを有する。プロセッサ401は、各種プログラム(例えば、学習プログラム等)をメモリ402上に読み出して実行する。
【0038】
メモリ402は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の主記憶デバイスを有する。プロセッサ401とメモリ402とは、いわゆるコンピュータを形成し、プロセッサ401が、メモリ402上に読み出した各種プログラムを実行することで、当該コンピュータは各種機能を実現する。
【0039】
補助記憶装置403は、各種プログラムや、各種プログラムがプロセッサ401によって実行される際に用いられる各種データを格納する。なお、後述する学習用データ格納部620は、補助記憶装置403において実現される。
【0040】
ユーザインタフェース装置404は、例えば、学習装置103のユーザが各種コマンドの入力操作等を行うキーボードまたはタッチパネル、あるいは、学習装置103の内部状態をユーザに表示する表示装置等を含む。
【0041】
接続装置405は、エッチング処理システム100内の各部(例えば、撮像装置102等)と接続する接続デバイスである。通信装置406は、ネットワークを介して不図示の外部装置と通信するための通信デバイスである。
【0042】
<学習用データの具体例>
次に、学習装置103により生成される学習用データの具体例について説明する。図5は、学習用データの具体例を示す第1の図である。図5に示すように、学習用データ500は、情報の項目として、"入力データ"と"正解データ"とを含む。
【0043】
"入力データ"には、処理室101においてエッチング処理された処理後基板が、撮像装置102により撮影されることで生成された処理後画像データが格納される。図5の例は、処理後画像データとして、ファイル名="処理後画像データ1"、"処理後画像データ2"、・・・等が格納された様子を示している。
【0044】
"正解データ"には、処理室101においてエッチング処理された処理後基板が搬出され、外部検査装置110においてエッチング品質の検査が行われることで出力されたエッチング品質情報が、処理後画像データと対応付けて格納される。図5の例は、エッチング品質情報として、ファイル名="エッチング品質情報1"、"エッチング品質情報2"・・・等が、ファイル名="処理後画像データ1"、"処理後画像データ2"、・・・等と対応付けて格納された様子を示している。
【0045】
<学習装置の機能構成>
次に、学習装置103の機能構成について説明する。図6は、学習装置の機能構成の一例を示す第1の図である。上述したように、学習装置103には学習プログラムがインストールされており、当該プログラムが実行されることで、学習装置103は、学習部610として機能する。
【0046】
学習部610は、モデル611と比較/変更部612とを有する。学習部610は、学習用データ格納部620より学習用データ500を読み出し、"入力データ"に格納された処理後画像データ(ファイル名:"処理後画像データ1"、"処理後画像データ2"、・・・等)を、モデル611に入力する。これにより、モデル611は、出力データを出力する。また、学習部610は、"正解データ"に格納されたエッチング品質情報(ファイル名="エッチング品質情報1"、"エッチング品質情報2"・・・等)を、比較/変更部612に入力する。
【0047】
比較/変更部612は、モデル611により出力された出力データが、学習部610により入力されたエッチング品質情報に近づくように、モデル611のモデルパラメータを更新する。これにより、学習部610では、学習済みのモデルを生成する。
【0048】
<予測装置の機能構成>
次に、予測装置203の機能構成について説明する。図7は、予測装置の機能構成の一例を示す第1の図である。予測装置203にはエッチング品質予測プログラムがインストールされており、当該プログラムが実行されることで、予測装置203は、エッチング品質予測部710として機能する。
【0049】
エッチング品質予測部710は予測部の一例である。エッチング品質予測部710は、学習部610により生成された学習済みモデル711を有し、予測対象の処理後基板の処理後画像データを、学習済みモデル711に入力することで、エッチング品質を予測し、予測エッチング品質情報を出力する。
【0050】
<予測エッチング品質情報の具体例>
次に、予測装置203より出力された予測エッチング品質情報の具体例について、外部検査装置110より出力されたエッチング品質情報と対比しながら説明する。ここでは、外部検査装置110が膜厚測定装置であり、エッチング品質情報及び予測エッチング品質情報が、実測膜厚値または予測膜厚値であるとして説明する。
【0051】
図8は、エッチング品質情報と予測エッチング品質情報との関係を示す第1の図である。図8において横軸は、膜厚測定装置より出力された実測膜厚値を示しており、縦軸は、予測装置203より出力された予測膜厚値を示している。また、各プロットは、複数の処理後基板それぞれの複数の測定点における実測膜厚値と予測膜厚値との組を表している。なお、直線801は、実測膜厚値と予測膜厚値とが一致した場合にプロットされる位置を示している。
【0052】
図8に示すように、各プロット位置は、概ね直線801に沿っており、直線801から大きく外れたプロットも見当たらない。したがって、予測装置203により出力された予測膜厚値は、実測膜厚値を概ね再現できているといえる。このように、予測装置203によれば、良好な予測精度を実現することができる。
【0053】
<エッチング品質予測処理の流れ>
次に、エッチング処理システム100、200によるエッチング品質予測処理の流れについて説明する。図9は、エッチング品質予測処理の流れを示すフローチャートである。
【0054】
はじめに、エッチング処理システム100による学習フェーズでの処理(ステップS901~ステップS904)が行われる。
【0055】
ステップS901において、学習装置103は、エッチング処理された処理後基板が撮影されることで生成された処理後画像データを取得する。
【0056】
ステップS902において、学習装置103は、エッチング処理された処理後基板に対して、外部検査装置110によるエッチング品質の検査が行われることで出力されたエッチング品質情報を取得する。
【0057】
ステップS903において、学習装置103は、取得した処理後画像データを入力データ、取得したエッチング品質情報を正解データとする、学習用データを生成する。
【0058】
ステップS904において、学習装置103は、生成した学習用データを用いて学習を行い、学習済みモデルを生成する。
【0059】
エッチング処理システム100による学習フェーズでの処理(ステップS901~ステップS904)が完了すると、続いて、エッチング処理システム200による予測フェーズでの処理(ステップS905~ステップS907)が行われる。
【0060】
ステップS905において、予測装置203は、エッチング処理された予測対象の処理後基板が撮影されることで生成された処理後画像データを取得する。
【0061】
ステップS906において、予測装置203は、取得した処理後画像データを学習済みモデルに入力することで、エッチング品質を予測し、予測エッチング品質情報を出力する。
【0062】
ステップS907において、予測装置203は、エッチング品質予測処理を終了するか否かを判定する。ステップS907において終了しないと判定した場合には(ステップS907においてNoの場合には)、ステップS905に戻る。
【0063】
一方、ステップS907において終了すると判定した場合には(ステップS907においてYesの場合には)、エッチング品質予測処理を終了する。
【0064】
<まとめ>
以上の説明から明らかなように、第1の実施形態に係るエッチング処理システムは、
・基板の搬送経路上に配置された撮像装置により撮影された基板の処理後画像データと、外部検査装置により検査が行われることで出力された基板のエッチング品質情報とを取得する。
・基板の処理後画像データと、基板のエッチング品質情報とが対応付けられた学習用データを用いて学習を行うことで、学習済みモデルを生成する。
・学習済みモデルに、予測対象の基板の処理後画像データを入力することで、予測対象の基板のエッチング品質を予測し、予測エッチング品質情報を出力する。
【0065】
このように、第1の実施形態に係るエッチング処理システムでは、内部に撮像装置を配置し、基板の処理後画像データを用いて学習済みモデルを動作させることで、エッチング品質の検査結果を取得する。これにより、第1の実施形態によれば、エッチング処理システムから搬出された処理後基板に対して、外部検査装置が検査を行う場合と比較して、エッチング品質の検査結果を取得するまでの時間を大幅に短縮することができる。
【0066】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、処理室101においてエッチング処理された処理後基板を撮影することで生成された処理後画像データを用いることで、エッチングの出来栄えを示す絶対値を予測する場合について説明した。
【0067】
これに対して、第2の実施形態では、
・処理室101においてエッチング処理される前の処理前基板を撮影することで生成された処理前画像データと、
・処理室101においてエッチング処理された後の処理後基板を撮影することで生成された処理後画像データと、
の差分画像データを用いて、エッチングの出来栄えを示す相対値を、エッチング品質として予測する場合について説明する。なお、エッチングの出来栄えを示す相対値とは、例えば、エッチング量、エッチングレート、ΔCD値等のいずれかを含む。以下、第2の実施形態について、上記第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0068】
<エッチング処理システムのシステム構成>
はじめに、第2の実施形態に係るエッチング処理システムのシステム構成について、学習フェーズと予測フェーズとに分けて説明する。
【0069】
(1)学習フェーズの場合
図10は、学習フェーズにおけるエッチング処理システムのシステム構成の一例を示す第2の図である。図11に示すように、学習フェーズにおけるエッチング処理システム1000は、処理室101、撮像装置102、学習装置1003を有する。なお、本実施形態の学習フェーズにおいて、処理前基板及び処理後基板は、外部検査装置110により、エッチング品質に関わる項目の検査が行われるように構成されている。
【0070】
具体的には、本実施形態の学習フェーズにおいて、処理前基板及び処理後基板は、以下の手順により処理される。
【0071】
はじめに、処理前基板は、外部検査装置110においてエッチング品質に関わる項目(例えば、エッチング品質が"エッチング量"であった場合には、処理前基板の膜厚)の検査が行われる。その後、処理前基板は、エッチング処理システム1000内の搬送経路上を搬送され、搬送経路上に配置された撮像装置102により撮影される。
【0072】
なお、外部検査装置110においてエッチング品質に関わる項目の検査が行われることで出力される処理前品質情報(例えば、処理前基板の膜厚値)は、学習装置1003に送信される。また、撮像装置102により撮影されることで生成される処理前画像データは、学習装置1003に送信される。
【0073】
撮像装置102により撮影された処理前基板は、処理室101内に収容され、処理室101においてエッチング処理される。エッチング処理されることで生成された処理後基板は、搬送経路上を搬送され、搬送経路上に配置された撮像装置102により撮影される。また、撮像装置102により撮影された処理後基板は搬出され、外部検査装置110においてエッチング品質に関わる項目(例えば、エッチング品質が"エッチング量"であった場合には、処理後基板の膜厚)の検査が行われる。
【0074】
なお、処理後基板が撮像装置102により撮影されることで生成される処理後画像データは、学習装置1003に送信される。また、処理後基板が外部検査装置110においてエッチング品質に関わる項目の検査が行われることで出力される処理後品質情報(例えば、処理後基板の膜厚値)は、学習装置1003に送信される。
【0075】
学習装置1003は、撮像装置102より送信された処理前画像データ及び処理後画像データを取得するとともに、外部検査装置110より送信された処理前品質情報及び処理後品質情報を取得する。
【0076】
また、学習装置1003は、処理前画像データと処理後画像データとの差分を算出し、差分画像データを生成する。また、学習装置1003は、処理前品質情報と処理後品質情報との差分を算出することで、エッチング品質情報を算出する。また、学習装置1003は、算出したエッチング品質情報と、差分画像データとを対応付けた学習用データを生成する。また、学習装置103は、生成した学習用データを用いてモデルの学習を行うことで、学習済みモデルを生成する。更に、学習装置1003は、生成した学習済みモデルのモデルパラメータを、後述する予測装置に設定する。
【0077】
(2)予測フェーズの場合
図11は、予測フェーズにおけるエッチング処理システムのシステム構成の一例を示す第2の図である。図11に示すように、予測フェーズにおけるエッチング処理システム1100は、処理室101、撮像装置102、予測装置1103を有する。
【0078】
本実施形態の予測フェーズにおいて、処理前基板及び処理後基板は、以下の手順により処理される。
【0079】
はじめに、処理前基板は、エッチング処理システム1100内の搬送経路上を搬送され、搬送経路上に配置された撮像装置102により撮影される。なお、撮像装置102により撮影されることで生成される処理前画像データは、予測装置1103に送信される。
【0080】
撮像装置102により撮影された処理前基板は、処理室101内に収容され、処理室101においてエッチング処理される。エッチング処理されることで生成された処理後基板は、搬送経路上を搬送され、搬送経路上に配置された撮像装置102により撮影された後に、搬出される。
【0081】
なお、処理後基板が撮像装置102により撮影されることで生成される処理後画像データは、予測装置1103に送信される。
【0082】
予測装置1103は、撮像装置102より送信された処理前画像データと処理後画像データとの差分を算出し、差分画像データを生成する。また、予測装置1103は、生成した差分画像データを、学習済みモデルに入力することで、エッチング品質を予測し、予測エッチング品質情報を出力する。
【0083】
このように、エッチング処理システム1100によれば、処理前基板1枚をエッチング処理するごとに、エッチング品質を予測し、予測エッチング品質情報を出力することができる。これにより、外部検査装置がエッチング品質に関わる項目の検査を行い、処理前品質情報及び処理後品質情報を出力する場合と比較して、エッチング処理システムがエッチング品質の検査結果を取得するまでの時間を大幅に短縮することができる。
【0084】
この結果、エッチング処理システム1100によれば、エッチング品質の検査結果を、処理室101での次の処理前基板のエッチング処理にフィードバックするといった制御を行うことが可能になる(点線参照)。
【0085】
<学習用データの具体例>
次に、学習装置1003により生成される学習用データの具体例について説明する。図12は、学習用データの具体例を示す第2の図である。図12に示すように、学習用データ1200は、情報の項目として、"取得画像データ"、"入力データ"、"取得品質情報"、"正解データ"を含む。
【0086】
"取得画像データ"には、処理室101においてエッチング処理される前の処理前基板とエッチング処理された後の処理後基板とが、それぞれ、撮像装置102により撮影されることで生成された処理前画像データ及び処理後画像データが格納される。図12の例は、処理前画像データとして、ファイル名="処理前画像データ1"、"処理前画像データ2"、・・・等が格納され、処理後画像データとして、ファイル名="処理後画像データ1"、"処理後画像データ2"、・・・等が格納された様子を示している。
【0087】
"入力データ"には、"取得画像データ"に格納された処理前画像データと、対応する処理後画像データとの差分が算出されることで生成された差分画像データが格納される。図12の例は、差分画像データとして、ファイル名="差分画像データ1"、"差分画像データ2"、・・・等が格納された様子を示している。
【0088】
"取得品質情報"には、処理前基板と処理後基板とが、それぞれ、外部検査装置110においてエッチング品質に関わる項目の検査が行われることで出力された、処理前品質情報及び処理後品質情報が格納される。図12の例は、処理前品質情報として、ファイル名="処理前品質情報1"、"処理前品質情報2"、・・・等が格納され、処理後品質情報として、ファイル名="処理後品質情報1"、"処理後品質情報2"、・・・等が格納された様子を示している。
【0089】
"正解データ"には、"取得品質情報"に格納された処理前品質情報と、対応する処理後品質情報との差分が算出されることで生成されたエッチング品質情報が格納される。図12の例は、エッチング品質情報として、ファイル名="エッチング品質情報1"、"エッチング品質情報2"、・・・等が格納された様子を示している。
【0090】
<学習装置の機能構成>
次に、学習装置1003の機能構成について説明する。図13は、学習装置の機能構成の一例を示す第2の図である。学習装置1003には、学習プログラムがインストールされており、当該プログラムが実行されることで学習装置1003は、差分算出部1310、学習部1320として機能する。
【0091】
差分算出部1310は、撮像装置102により処理前基板及び処理後基板がそれぞれ撮影されることで生成された処理前画像データ及び処理後画像データを取得する。
【0092】
また、差分算出部1310は、取得した処理前画像データと処理後画像データとの差分を算出し、差分画像データを生成する。更に、差分算出部1310は、生成した差分画像データを、処理前画像データ及び処理後画像データと対応付けて、学習用データ格納部1330の学習用データ1200の"入力データ"及び"取得画像データ"にそれぞれ格納する。
【0093】
また、差分算出部1310は、外部検査装置110により処理前基板及び処理後基板それぞれに対してエッチング品質に関わる項目の検査が行われることで出力された、処理前品質情報及び処理後品質情報を取得する。
【0094】
また、差分算出部1310は、取得した処理前品質情報と処理後品質情報との差分を算出し、エッチング品質情報を生成する。更に、差分算出部1310は、生成したエッチング品質情報を、処理前品質情報及び処理後品質情報と対応付けて、学習用データ格納部1330の学習用データ1200の"正解データ"及び"取得品質情報"にそれぞれ格納する。
【0095】
学習部1320は、モデル1321と比較/変更部1322とを有する。学習部1320は、学習用データ格納部1330より学習用データ1200を読み出し、"入力データ"に格納された差分画像データ(ファイル名:"差分画像データ1"、"差分画像データ2"、・・・等)をモデル1321に入力する。これにより、モデル1321は、出力データを出力する。また、学習部1320は、"正解データ"に格納されたエッチング品質情報(ファイル名:"エッチング品質情報1"、"エッチング品質情報2"、・・・等)を、比較/変更部1322に入力する。
【0096】
比較/変更部1322は、モデル1321により出力された出力データが、学習部1320により入力されたエッチング品質情報に近づくように、モデル1321のモデルパラメータを更新する。これにより、学習部1320は、学習済みのモデルを生成する。
【0097】
<差分画像データとエッチング品質情報との関係>
次に、差分算出部1310により生成される差分画像データとエッチング品質情報との関係について説明する。ここでは、一例として、差分画像データと、エッチング量との関係について説明する。
【0098】
図14は、差分画像データとエッチング量との関係を示す図である。図14において、横軸は差分画像データの輝度値(処理前画像データと処理後画像データとの輝度値の差分)を表しており、縦軸はエッチング量を表しており、それぞれのプロットは、以下の手順により行われる。
・処理前基板について、複数の測定点における膜厚を測定し、複数の膜厚値を含む膜厚値情報を生成し、出力する。
・処理前基板を撮影し、処理前画像データより、上記複数の測定点における輝度値を抽出する。
・処理前基板をエッチング処理することで、処理後基板を生成する。
・処理後基板を撮影し、処理後画像データより上記複数の測定点における輝度値を抽出する。
・処理後基板について、上記複数の測定点における膜厚を測定し、複数の膜厚値を含む膜厚値情報を生成し、出力する。
・上記複数の測定点それぞれにおいて、輝度値の差分と膜厚値の差分(つまり、エッチング量)との組を生成し、グラフ上にプロットする。
【0099】
図14において、符号1410は輝度値の差分とエッチング量との組に基づいて算出した近似直線を表している。図14に示すように、差分画像データとエッチング量との間には一定程度の相関がある。
【0100】
<予測装置の機能構成>
次に、予測装置1103の機能構成について説明する。図15は、予測装置の機能構成の一例を示す第2の図である。予測装置1103にはエッチング品質予測プログラムがインストールされており、当該プログラムが実行されることで、予測装置1103は、差分画像生成部1510、エッチング品質予測部1520として機能する。
【0101】
差分画像生成部1510は、予測対象の処理前基板及び処理後基板の処理前画像データ及び処理後画像データを取得する。また、差分画像生成部1510は、処理前画像データと処理後画像データとの差分を算出し、差分画像データを生成する。
【0102】
エッチング品質予測部1520は予測部の他の一例であり、学習部1320により生成された学習済みモデル1521を有する。エッチング品質予測部1520は、差分画像生成部1510により生成された差分画像データを学習済みモデル1521に入力することで、エッチング品質を予測し、予測エッチング品質情報を出力する。
【0103】
<予測エッチング品質情報の具体例>
次に、予測装置1103より出力された予測エッチング品質情報の具体例について、外部検査装置110より出力された処理前品質情報と処理後品質情報との差分を算出することで生成されるエッチング品質情報と対比しながら説明する。図16は、エッチング品質情報と予測エッチング品質情報との関係を示す第2の図である。具体的には、図16の例は、初期膜厚及び膜種が異なるそれぞれの処理前基板をエッチング処理した場合において、
・予測装置1103より出力されたエッチング量(縦軸:予測エッチング量)と、
・外部検査装置110より出力された処理前基板の膜厚値と処理後基板の膜厚値との差分を算出することで生成されたエッチング量(横軸:実測エッチング量)と、
を対比したものである。
【0104】
図16において、符号1610は、初期膜厚が1.0μm、膜種がシリコン酸化膜(Ox)である処理前基板をエッチング処理した場合の、予測エッチング量と実測エッチング量との関係を示している。
【0105】
また、符号1620は、初期膜厚が0.1μm、膜種がシリコン酸化膜(Ox)である処理前基板をエッチング処理した場合の、予測エッチング量と実測エッチング量との関係を示している。
【0106】
また、符号1630は、初期膜厚が1.0μm、膜種がシリコン酸化膜(Ox)である処理前基板をエッチング処理した場合の、予測エッチング量と実測エッチング量との関係を示している。
【0107】
また、符号1640は、初期膜厚が1.5μm、膜種がフォトレジスト(PR)である処理前基板をエッチング処理した場合の、予測エッチング量と実測エッチング量との関係を示している。
【0108】
また、符号1650は、初期膜厚が0.25μm、膜種がシリコン窒化膜(SiN)である処理前基板をエッチング処理した場合の、予測エッチング量と実測エッチング量との関係を示している。
【0109】
図16の例に示すように、予測装置1103の場合、有機膜より硬質膜(Ox、SiN)の方が高い予測精度を実現することができる。また、予測装置1103の場合、初期膜厚が小さい方が高い予測精度を実現することができる。
【0110】
<まとめ>
以上の説明から明らかなように、第2の実施形態に係るエッチング処理システムは、
・基板の搬送経路上に配置された撮像装置により撮影された処理前基板の処理前画像データ及び処理後基板の処理後画像データと、外部検査装置により検査が行われることで出力された処理前基板の処理前品質情報及び処理後基板の処理後品質情報とを取得する。
・処理前画像データと処理後画像データとを差分した差分画像データと、処理前品質情報と処理後品質情報とを差分したエッチング品質情報とが対応付けられた学習用データを用いて学習を行うことで、学習済みモデルを生成する。
・学習済みモデルに、予測対象の処理前基板の処理前画像データと予測対象の処理後基板の処理後画像データとを差分した差分画像データを入力することで、予測対象の処理前基板及び処理後基板の予測エッチング品質情報を出力する。
【0111】
このように、第2の実施形態に係るエッチング処理システムでは、内部に撮像装置を配置し、処理前基板の処理前画像データ及び処理後基板の処理後画像データを用いて学習済みモデルを動作させることでエッチング品質の検査結果を取得する。これにより、第2の実施形態によれば、エッチング処理システムに搬入される処理前基板及び搬出された処理後基板に対して、外部検査装置が検査を行う場合と比較して、エッチング品質の検査結果を取得するまでの時間を大幅に短縮することができる。
【0112】
[第3の実施形態]
上記第2の実施形態では、エッチング品質を予測する際、予測部が、学習済みモデルに、処理前画像データと処理後画像データとを差分した差分画像データを入力し、直接、エッチング品質を予測する構成とした。
【0113】
これに対して、第3の実施形態では、2つの学習済みモデルを配し、一方の学習済みモデルが処理前画像データから処理前品質を予測し、他方の学習済みモデルが処理後画像データから処理後品質を予測する。そして、予測した処理前品質と処理後品質とに基づいてエッチング品質を予測する。以下、第3の実施形態について、上記第1及び第2の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0114】
<学習用データの具体例>
はじめに、第3の実施形態において生成される学習用データの具体例について説明する。図17は、学習用データの具体例を示す第3の図である。図17に示すように、学習用データ1710は、情報の項目として、"入力データ"、"正解データ"を含む。
【0115】
"入力データ"には、処理室101においてエッチング処理される前の処理前基板が、撮像装置102により撮影されることで生成された処理前画像データが格納される。図17の例は、処理前画像データとして、ファイル名="処理前画像データ1"、"処理前画像データ2"、・・・等が格納された様子を示している。
【0116】
"正解データ"には、外部検査装置110において、処理前基板に対してエッチング品質に関わる項目の検査が行われることで出力された、処理前品質情報が格納される。図17の例は、処理前品質情報として、ファイル名="処理前品質情報1"、"処理前品質情報2"、・・・等が格納された様子を示している。
【0117】
同様に、学習用データ1720は、情報の項目として、"入力データ"、"正解データ"を含む。
【0118】
"入力データ"には、処理室101においてエッチング処理された後の処理後基板が、撮像装置102により撮影されることで生成された処理後画像データが格納される。図17の例は、処理後画像データとして、ファイル名="処理後画像データ1"、"処理後画像データ2"、・・・等が格納された様子を示している。
【0119】
"正解データ"には、外部検査装置110において、処理後基板に対してエッチング品質に関わる項目の検査が行われることで出力された、処理後品質情報が格納される。図17の例は、処理後品質情報として、ファイル名="処理後品質情報1"、"処理後品質情報2"、・・・等が格納された様子を示している。
【0120】
<学習装置の機能構成>
次に、学習装置の機能構成について説明する。図18は、学習装置の機能構成の一例を示す第3の図である。学習装置1800には学習プログラムがインストールされており、当該プログラムが実行されることで、学習装置1800は、学習部1810、学習部1820として機能する。
【0121】
学習部1810は、モデル1811と比較/変更部1812とを有する。学習部1810は、学習用データ格納部1830より学習用データ1710を読み出し、"入力データ"に格納された処理前画像データ(ファイル名:"処理前画像データ1"、"処理前画像データ2"、・・・等)をモデル1811に入力する。これにより、モデル1811は、出力データを出力する。また、学習部1810は、"正解データ"に格納された処理前品質情報(ファイル名:"処理前品質情報1"、"処理前品質情報2"、・・・等)を、比較/変更部1812に入力する。
【0122】
比較/変更部1812は、モデル1811により出力された出力データが、学習部1810により入力された処理前品質情報に近づくように、モデル1811のモデルパラメータを更新する。これにより、学習部1810は、学習済みのモデルを生成する。
【0123】
同様に、学習部1820は、モデル1821と比較/変更部1822とを有する。学習部1820は、学習用データ格納部1830より学習用データ1720を読み出し、"入力データ"に格納された処理後画像データ(ファイル名:"処理後画像データ1"、"処理後画像データ2"、・・・等)をモデル1821に入力する。これにより、モデル1821は、出力データを出力する。また、学習部1820は、"正解データ"に格納された処理後品質情報(ファイル名:"処理後品質情報1"、"処理後品質情報2"、・・・等)を、比較/変更部1822に入力する。
【0124】
比較/変更部1822は、モデル1821により出力された出力データが、学習部1820により入力された処理後品質情報に近づくように、モデル1821のモデルパラメータを更新する。これにより、学習部1820は、学習済みのモデルを生成する。
【0125】
<予測装置の機能構成>
次に、第3の実施形態における予測装置の機能構成について説明する。図19は、予測装置の機能構成の一例を示す第3の図である。予測装置1900にはエッチング品質予測プログラムがインストールされており、当該プログラムが実行されることで、予測装置1900は、予測部1910、予測部1920、エッチング品質算出部1930として機能する。
【0126】
予測部1910は、学習部1810により生成された学習済みモデル1911を有し、予測対象の処理前基板が撮影されることで生成された処理前画像データを、学習済みモデル1911に入力することで、処理前品質を予測し、処理前品質情報を出力する。
【0127】
予測部1920は、学習部1820により生成された学習済みモデル1921を有し、予測対象の処理後基板が撮影されることで生成された処理後画像データを、学習済みモデル1921に入力することで、処理後品質を予測し、処理後品質情報を出力する。
【0128】
エッチング品質算出部1930は、予測部1910より出力された処理前品質情報と、予測部1920より出力された処理後品質情報との差分を算出することで、エッチング品質を予測し、予測エッチング品質情報を出力する。
【0129】
<予測エッチング品質情報の具体例>
次に、予測装置1900より出力された予測エッチング品質情報の具体例について、外部検査装置110より出力された、処理前品質情報と処理後品質情報との差分を算出することで生成されるエッチング品質情報と対比しながら説明する。図20は、エッチング品質情報と予測エッチング品質情報との関係を示す第3の図である。具体的には、図20の例は、初期膜厚及び膜種が異なるそれぞれの処理前基板をエッチング処理した場合において、
・予測装置1900より出力されたエッチング量(縦軸:予測エッチング量)と、
・外部検査装置110より出力された処理前基板の膜厚値と処理後基板の膜厚値との差分を算出することで生成されたエッチング量(横軸:実測エッチング量)と、
を対比したものである。
【0130】
図20において、符号2010は、初期膜厚が0.1μm、膜種がシリコン酸化膜(Ox)である処理前基板をエッチング処理した場合の、予測エッチング量と実測エッチング量との関係を示している。
【0131】
また、符号2020は、初期膜厚が0.25μm、膜種がシリコン窒化膜(SiN)である処理前基板をエッチング処理した場合の、予測エッチング量と実測エッチング量との関係を示している。
【0132】
図20の例に示すように、予測装置1900の場合、同じ硬質膜であっても、シリコン窒化膜(SiN)よりシリコン酸化膜(Ox)の方が高い予測精度を実現することができる。
【0133】
<まとめ>
以上の説明から明らかなように、第3の実施形態に係るエッチング処理システムは、
・基板の搬送経路上に配置された撮像装置により撮影された処理前基板の処理前画像データ及び処理後基板の処理後画像データと、外部検査装置により検査が行われることで出力された処理前基板の処理前品質情報及び処理後基板の処理後品質情報とを取得する。
・処理前画像データと処理前品質情報とが対応付けられた学習用データを用いて学習を行うことで第1の学習済みモデルを生成する。
・処理後画像データと処理後品質情報とが対応付けられた学習用データを用いて学習を行うことで第2の学習済みモデルを生成する。
・第1の学習済みモデルに、予測対象の処理前基板の処理前画像データを入力することで、予測対象の処理後基板の処理前品質情報を出力する。また、第2の学習済みモデルに、予測対象の処理後基板の処理後画像データを入力することで、予測対象の処理後基板の処理後品質情報を出力する。
・処理前品質情報と処理後品質情報との差分を算出し、予測対象の処理前基板及び処理後基板の予測エッチング品質情報を出力する。
【0134】
このように、第3の実施形態に係るエッチング処理システムでは、内部に撮像装置を配置し、処理前基板の処理前画像データ及び処理後基板の処理後画像データを用いて、それぞれの学習済みモデルを動作させることで、エッチング品質の検査結果を取得する。これにより、第3の実施形態によれば、エッチング処理システムに搬入される処理前基板及び搬出された処理後基板に対して、外部検査装置が検査を行う場合と比較して、エッチング品質の検査結果を取得するまでの時間を大幅に短縮することができる。
【0135】
[第4の実施形態]
上記第1乃至第3の実施形態において、予測装置は、予測エッチング品質情報を出力する機能を有するものとして説明したが、予測装置が有する機能はこれに限定されない。例えば、予測エッチング品質をフィードバックし、予測対象の基板より後にエッチング処理される基板の処理内容を制御(例えば、制御ノブの制御量を補正)する制御部を有していてもよい。
【0136】
この場合、例えば、制御ノブの制御量とエッチング品質との関係について予め学習を行うことで生成した学習済みのプロセス制御モデルを制御部に配し、当該制御部が、当該モデルを用いて導出した制御量により制御ノブを動作させる。具体的には、制御部は、予測エッチング品質情報が目標値からずれた場合に、当該ずれ量を補正するように、当該モデルを用いて制御量を導出し、導出した制御量により制御ノブを動作させる。
【0137】
このように、予測エッチング品質情報を利用して、エッチング処理の処理内容を制御する構成とすることで、エッチング処理システム200によれば、目標値に則したエッチング品質を実現することができる。
【0138】
[第5の実施形態]
上記第1乃至第4の実施形態において、学習部は、学習フェーズにおいて学習を行い、学習済みモデルを生成するものとして説明したが、学習部が有する機能はこれに限定されない。例えば、予測フェーズにおいて、所定の条件が成立した場合には、生成した学習済みモデルに対して再学習を行う機能を有していてもよい。
【0139】
ここでいう所定の条件した場合とは、例えば、予測フェーズにおいても外部検査装置110によるエッチング品質の検査を継続して行うことで学習用データを生成しておき、所定量の学習用データが蓄積された場合を指す。あるいは、予測フェーズにおいても外部検査装置110によるエッチング品質の検査を継続して行うことで、エッチング品質情報と予測エッチング品質情報との差分を監視しておき、両者の差分が所定の閾値以上になった場合を指す。
【0140】
なお、学習部による再学習の方法は任意である。例えば、予測フェーズにおいて蓄積された学習用データを用いて、1から学習を行うことで新たに学習済みモデルを生成してもよい。あるいは、予測フェーズにおいて動作中の学習済みモデルに、予測フェーズにおいて蓄積された学習用データを用いて、追加学習を行うことで学習済みモデルを更新してもよい。
【0141】
このように、学習部が再学習を行う機能を有することにより、エッチング処理システム100によれば、予測フェーズに移行した後に、予測精度を向上させることができる。
【0142】
[その他の実施形態]
上記各実施形態では、学習装置と予測装置とを別体として構成する場合について説明したが、学習装置と予測装置とは、一体の装置として構成してもよい。
【0143】
また、上記各実施形態では、学習装置及び予測装置が、エッチング処理システム100または200を構成する複数のモジュールと一体に構成されるものとして説明した。しかしながら、学習装置及び予測装置は、エッチング処理システム100または200を構成する複数のモジュールとは別体に、例えば、ネットワークを介して接続されるように構成してもよい。
【0144】
また、上記各実施形態では、撮像装置102を、エッチング処理システム100または200を構成するオリエンタORT内に配置するものとして説明したが、撮像装置102の配置は、オリエンタORT内に限定されない。処理前基板と処理後基板の両方を撮影可能な配置であれば、搬送経路上の任意の位置に配置することができる。また、設置する撮像装置の数は、1台に限定されず、複数台であってもよい。
【0145】
また、上記各実施形態では、エッチング品質情報または予測エッチング品質情報として、膜厚値または膜厚値の差分であるエッチング量を用いるものとして説明した。しかしながら、エッチング品質情報または予測エッチング品質情報は、これらに限定されない。
【0146】
また、上記第2の実施形態では、差分画像データの算出方法について言及しなかったが、差分画像データは、例えば、色成分ごとにわけて算出し、エッチング品質に関わる項目との相関がより高い特定の色成分の差分画像データを選択してもよい。あるいは、特定の色成分の処理前画像データと処理後画像データとを用いて差分画像データを算出してもよい。あるいは、特定の色成分の差分画像データを選択する代わりに、エッチング品質に関わる項目との相関がより高くなるように、差分画像データを加工してもよい。
【0147】
なお、上記実施形態に挙げた構成等に、その他の要素との組み合わせ等、ここで示した構成に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0148】
100 :エッチング処理システム
101 :処理室
102 :撮像装置
103 :学習装置
110 :外部検査装置
200 :エッチング処理システム
203 :予測装置
500 :学習用データ
610 :学習部
710 :エッチング品質予測部
1000 :エッチング処理システム
1003 :学習装置
1103 :予測装置
1200 :学習用データ
1310 :差分算出部
1320 :学習部
1510 :差分画像生成部
1520 :エッチング品質予測部
1710 :学習用データ
1720 :学習用データ
1800 :学習装置
1810 :学習部
1820 :学習部
1900 :予測装置
1910 :予測部
1920 :予測部
1930 :エッチング品質算出部
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