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特開2023-57012発光モジュールの温度予測方法、発光モジュール及び車両ユニット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057012
(43)【公開日】2023-04-20
(54)【発明の名称】発光モジュールの温度予測方法、発光モジュール及び車両ユニット
(51)【国際特許分類】
   G01K 7/00 20060101AFI20230413BHJP
   B60Q 1/14 20060101ALI20230413BHJP
   B60Q 1/04 20060101ALI20230413BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20230413BHJP
   G01K 13/00 20210101ALI20230413BHJP
【FI】
G01K7/00 381L
B60Q1/14 H
B60Q1/04 E
H01L33/00 K
G01K13/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095066
(22)【出願日】2022-06-13
(31)【優先権主張番号】P 2021166075
(32)【優先日】2021-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】三賀 大輔
(72)【発明者】
【氏名】山路 芳紀
(72)【発明者】
【氏名】▲蔭▼山 良幸
(72)【発明者】
【氏名】黒田 浩章
【テーマコード(参考)】
2F056
3K339
5F241
【Fターム(参考)】
2F056WA01
3K339AA02
3K339BA01
3K339BA11
3K339BA12
3K339BA25
3K339CA01
3K339DA01
3K339GB01
3K339HA04
3K339JA23
3K339KA07
3K339MA06
3K339MC41
5F241AA46
5F241FF11
5F241FF16
(57)【要約】
【課題】複数の発光素子の温度を予測可能な発光モジュールの温度予測方法、発光モジュール及び車両ユニットを提供する。
【解決手段】発光モジュールの温度予測方法は、複数の発光素子を含む発光モジュールの温度予測方法であって、前記複数の発光素子の点灯パターンに基づいて、前記複数の発光素子の温度を推定する工程を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子を含む発光モジュールの温度予測方法であって、
前記複数の発光素子の点灯パターンに基づいて、前記複数の発光素子の温度を推定する工程を備える発光モジュールの温度予測方法。
【請求項2】
前記複数の発光素子の温度を推定する工程は、
前記複数の発光素子の点灯パターンに基づいて、前記複数の発光素子のそれぞれについて、前記発光素子が有する熱量に相当するデータを表す変数を算出することにより、複数の前記変数を得る工程と、
前記複数の発光素子のうち一部の発光素子の温度を測定する工程と、
前記温度を測定する工程で得られた測定値を用いて、前記変数を変換することにより、残りの前記発光素子の温度を得る工程と、
を有する請求項1に記載の発光モジュールの温度予測方法。
【請求項3】
前記発光モジュールは、前記複数の発光素子が配置される配線基板を含み、前記配線基板は、前記複数の発光素子の数よりも少ない複数の温度センサーを含み、
前記温度を測定する工程は、前記複数の温度センサーにより前記一部の発光素子の温度を測定する請求項2に記載の発光モジュールの温度予測方法。
【請求項4】
前記複数の変数を得る工程は、前記複数の発光素子の点灯パターンに基づいて、一の前記発光素子が前記一の発光素子又は他の前記発光素子から受ける熱量に相当するデータと、前記一の発光素子と前記一の発光素子又は前記他の発光素子との距離に相当するデータとの関係を表す関数を畳み込み積分することにより、前記複数の発光素子のそれぞれについて、受ける熱量の総和に相当する変数を算出して、前記温度センサーの位置に対応する第1変数群とそれ以外の第2変数群からなる複数の変数を得る工程であり、
前記発光素子の温度を得る工程は、
前記第1変数群を前記複数の温度センサーの測定値に変換する変換係数を求める工程と、
前記変換係数を用いて前記第2変数群を変換することにより、前記発光素子の温度を得る工程と、
を有する、
請求項3に記載の発光モジュールの温度予測方法。
【請求項5】
前記一の発光素子が前記一の発光素子又は前記他の発光素子から受ける熱量をhとし、前記一の発光素子から前記一の発光素子自体が受ける熱量又は前記他の発光素子から前記他の発光素子自体が受ける熱量をhとし、減衰率をrとし、前記一の発光素子の中心と前記一の発光素子の中心又は前記他の発光素子の中心との距離をdとするとき、前記関数は以下のように表現できる請求項4に記載の発光モジュールの温度予測方法。
h=h×r
【請求項6】
前記変換係数をK1及びK2とし、前記複数の温度センサーの測定値の平均値をSen_aとし、前記測定値の最大値と最小値の差をSen_rとし、前記第1変数群の平均値をSim_aとし、前記第1変数群の最大値と最小値の差をSim_rとするとき、前記変換係数K1及びK2は以下のように定義される請求項4に記載の発光モジュールの温度予測方法。
K1=Sen_r/Sim_r
K2=Sen_a-Sim_a×K1
【請求項7】
前記一の発光素子が受ける熱量の総和を表す変数をΣhとし、前記一の発光素子の温度の推定値をTとするとき、前記温度の推定値Tを下記数式によって算出する請求項6に記載の発光モジュールの温度予測方法。
T=K1×Σh+K2
【請求項8】
前記一の発光素子が受ける熱量の総和を表す変数をΣhとし、補正項をΔTjsとし、前記複数の温度センサーによる測定値のうち、最大値をSen_maxとし、最小値をSen_minとし、前記一の発光素子から、前記一の発光素子の直下に位置する前記温度センサーまでの距離を単位距離としたときに、この単位距離を熱が伝わる割合である熱拡散係数をbとし、前記一の発光素子の温度の推定値をTjとするとき、前記温度の推定値Tjを下記数式によって算出する請求項6に記載の発光モジュールの温度予測方法。
Tj=K1×Σh+K2+ΔTjs
ΔTjs={Sen_max-(1-b)×Sen_min}/b-Sen_max
【請求項9】
前記複数の発光素子は行列状に配列された請求項1~8のいずれか1つに記載の発光モジュールの温度予測方法。
【請求項10】
配線基板と、
前記配線基板に配置された複数の発光素子と、
を備え、
前記配線基板は、
前記複数の発光素子の点灯パターンに基づいて、前記複数の発光素子の温度を推定する制御部を有する、
発光モジュール。
【請求項11】
前記制御部は、
前記複数の発光素子の点灯パターンに基づいて、前記複数の発光素子のそれぞれについて、前記発光素子が有する熱量に相当するデータを表す変数を算出することにより、複数の前記変数を得て、
前記複数の発光素子のうち一部の発光素子の温度の測定値を用いて、前記変数を変換することにより、残りの前記発光素子の温度を得る請求項10に記載の発光モジュール。
【請求項12】
前記配線基板は、前記複数の発光素子の数よりも少ない複数の温度センサーをさらに有し、
前記温度の測定値は、前記複数の温度センサーにより測定される請求項11に記載の発光モジュール。
【請求項13】
前記制御部は、
前記複数の発光素子の点灯パターンに基づいて、一の前記発光素子が前記一の発光素子又は他の前記発光素子から受ける熱量に相当するデータと、前記一の発光素子と前記一の発光素子又は前記他の発光素子との距離に相当するデータとの関係を表す関数を畳み込み積分することにより、前記複数の発光素子のそれぞれについて、受ける熱量の総和に相当する変数を算出して、前記温度センサーの位置に対応する第1変数群とそれ以外の第2変数群からなる複数の変数を得て、
前記第1変数群を前記複数の温度センサーの測定値に変換する変換係数を求めて、
前記変換係数を用いて前記第2変数群を変換することにより、前記発光素子の温度を得る請求項12に記載の発光モジュール。
【請求項14】
前記複数の発光素子は行列状に配列された請求項10~13のいずれか1つに記載の発光モジュール。
【請求項15】
配線基板と、前記配線基板に配置された複数の発光素子と、を有する発光モジュールと、
前記発光モジュールを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記複数の発光素子の点灯パターンに基づいて、前記複数の発光素子の温度を推定する、
車両ユニット。
【請求項16】
前記制御部は、
前記複数の発光素子の点灯パターンに基づいて、前記複数の発光素子のそれぞれについて、前記発光素子が有する熱量に相当するデータを表す変数を算出することにより、複数の前記変数を得て、
前記複数の発光素子のうち一部の発光素子の温度の測定値を用いて、前記変数を変換することにより、残りの前記発光素子の温度を得る請求項15に記載の車両ユニット。
【請求項17】
前記配線基板は、前記複数の発光素子の数よりも少ない複数の温度センサーをさらに有し、
前記温度の測定値は、前記複数の温度センサーにより測定される請求項16に記載の車両ユニット。
【請求項18】
前記制御部は、
前記複数の発光素子の点灯パターンに基づいて、一の前記発光素子が前記一の発光素子又は他の前記発光素子から受ける熱量に相当するデータと、前記一の発光素子と前記一の発光素子又は前記他の発光素子との距離に相当するデータとの関係を表す関数を畳み込み積分することにより、前記複数の発光素子のそれぞれについて、受ける熱量の総和に相当する変数を算出して、前記温度センサーの位置に対応する第1変数群とそれ以外の第2変数群からなる複数の変数を得て、
前記第1変数群を前記複数の温度センサーの測定値に変換する変換係数を求めて、
前記変換係数を用いて前記第2変数群を変換することにより、前記発光素子の温度を得る請求項17に記載の車両ユニット。
【請求項19】
前記発光モジュールは車両の前照灯の光源であり、
前記制御部は前記車両のECUに含まれる請求項15~18のいずれか1つに記載の車両ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、発光モジュールの温度予測方法、発光モジュール及び車両ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、配線基板に多数の発光素子を搭載し、発光素子を個別に制御する発光モジュールが提案されている。このような発光モジュールにおいては、点灯パターンに依存して発光素子毎の温度上昇の程度が異なるため、全ての発光素子の温度を一律に管理することが困難である。また、発光素子の数が多い場合、全ての発光素子の温度を直接測定することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-186288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の実施形態は、上述の問題点に鑑みてなされたものであって、複数の発光素子の温度を予測可能な発光モジュールの温度予測方法、発光モジュール及び車両ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施形態に係る発光モジュールの温度予測方法は、複数の発光素子を含む発光モジュールの温度予測方法であって、前記複数の発光素子の点灯パターンに基づいて、前記複数の発光素子の温度を推定する工程を備える。
【0006】
本開示の実施形態に係る発光モジュールは、配線基板と、前記配線基板に配置された複数の発光素子と、を備える。前記配線基板は、前記複数の発光素子の点灯パターンに基づいて、前記複数の発光素子の温度を推定する制御部を有する。
【0007】
本開示の実施形態に係る車両ユニットは、発光モジュールと、前記発光モジュールを制御する制御部と、を備える。前記発光モジュールは、配線基板と、前記配線基板に配置された複数の発光素子と、を有する。前記制御部は、前記複数の発光素子の点灯パターンに基づいて、前記複数の発光素子の温度を推定する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の実施形態によれば、複数の発光素子の温度を予測可能な発光モジュールの温度予測方法、発光モジュール及び車両ユニットを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施形態に係る発光モジュールを示す平面図である。
図2図2は、図1に示す領域IIを示す一部拡大平面図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る発光モジュールを示す斜視図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る発光モジュールの温度予測方法を示すフローチャートである。
図5図5は、図4のステップS1を示すフローチャートである。
図6図6は、図4のステップS3を示すフローチャートである。
図7A図7Aは、点灯パターンを表す信号の例を示す図である。
図7B図7Bは、点灯パターンを表す信号の例を示す図である。
図8図8は、横軸に発光素子の位置をとり、縦軸に熱量をとって、関数の例を表すグラフである。
図9A図9Aは、点灯パターンの例を表す図である。
図9B図9Bは、一の発光素子20aがそれ自体及び周囲に及ぼす熱量に相当するデータの例を示す図である。
図9C図9Cは、他の発光素子20bがそれ自体及び周囲に及ぼす熱量に相当するデータの例を示す図である。
図9D図9Dは、一の発光素子20aと他の発光素子20bの影響の和を示す図である。
図10図10は、複数の発光素子に対応する複数の変数を示す図である。
図11図11は、関数の畳み込み積分に用いるカーネルの例を示す図である。
図12図12は、一部の発光素子の温度の測定値の例を示す図である。
図13A図13Aは、発光素子の温度の推定値の例を示す図である。
図13B図13Bは、発光素子の温度の推定値の例を示す図である。
図14図14は、第2の実施形態に係る車両ユニットを示す図である。
図15図15は、第2の実施形態に係る温度予測方法を示すブロック図である。
図16図16は、第3の実施形態に係る温度予測方法を示すブロック図である。
図17図17は、第4の実施形態に係る発光モジュールを示す一部拡大端面図である。
図18図18は、縦軸に温度をとって、第4の実施形態の前提条件を示す図である。
図19図19は、横軸に実施形態を示し、縦軸に推定誤差をとって、第1の実施形態と第4の実施形態の予測精度を比較する図である。
図20図20は、代表的な3種類の点灯パターンについて、第1の実施形態と第4の実施形態の予測精度を比較する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施形態>
先ず、第1の実施形態に係る発光モジュールについて説明する。
図1は、第1の実施形態に係る発光モジュールを示す平面図である。
図2は、図1に示す領域IIを示す一部拡大平面図である。
図3は、第1の実施形態に係る発光モジュールを示す斜視図である。
【0011】
図1図3に示すように、第1の実施形態に係る発光モジュール1は、配線基板10と、配線基板10に配置された複数の発光素子20と、を備える。配線基板10は、複数の発光素子20の点灯パターンに基づいて、複数の発光素子20の温度を推定する制御部11を有する。配線基板10は、複数の発光素子20の数よりも少ない複数の温度センサー12をさらに有していてもよい。
【0012】
以下、より詳細に説明する。
図1及び図3に示すように、発光モジュール1においては、モジュール基板30が設けられている。モジュール基板30の上面に配線基板10が配置されている。配線基板10は、例えば、絶縁性の基材の内部及び表面に配線が設けられた基板であり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit:特定用途向け集積回路)基板である。配線基板10内には、制御部11が形成されている。また、配線基板10には、複数の温度センサー12が設けられている。
【0013】
配線基板10の上面上の一部には、発光領域19が設定されている。平面視で、発光領域19の形状は例えば長方形である。複数の発光素子20は、発光領域19内に例えば行列状に配列されている。一例では、発光素子20は、発光領域19の長手方向に沿って256個、短手方向に沿って64個の行列状に配列されている。この場合、発光モジュール1には、16,384個の発光素子20が配置されている。温度センサー12の数は発光素子20の数よりも少なく、例えば、2個以上であり、10個~数10個程度であることが好ましい。各温度センサー12は、それぞれ1つの発光素子20に対応する位置に配置されている。
【0014】
モジュール基板30上及び配線基板10上には、発光領域19を囲むように、枠状の樹脂40が設けられている。樹脂40内には、モジュール基板30の端子を配線基板10の端子に接続するワイヤ41が配置されていてもよい。また、発光領域19においては、複数の発光素子20上に波長変換部材が配置されていてもよい。波長変換部材の形状は例えば板状やシート状であり、例えば蛍光体を含む。なお、発光素子20上に波長変換部材等が配置されている場合は、図2は波長変換部材等を透過した図である。
【0015】
図2に示すように、平面視で、各発光素子20の形状は矩形である。発光素子20は、例えば、発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)である。平面視で、発光領域19の長手方向(以下、「X方向」という)における発光素子20の配列距離をPx、発光領域19の短手方向(以下、「Y方向」という)における発光素子20の配列距離をPyとするとき、X方向において隣り合う発光素子20の中心間の距離dはPxであり、Y方向において隣り合う発光素子20の中心間の距離dはPyであり、対角方向において隣り合う発光素子20の中心間の距離dは、d=√(Px+Py)である。
【0016】
より一般的には、一の発光素子20の中心と、この一の発光素子20からX方向においてa個先、Y方向においてb個先にある他の発光素子20の中心との距離dabは、dab=√{(a×Px)+(b×Py)}である。なお、平面視で発光素子20の形状が矩形である場合、発光素子20の中心は発光素子20の外縁の対角線の交点である。一例では、配列距離Px及びPyはそれぞれ50μmである。
【0017】
発光モジュール1においては、外部からの信号に基づいて、制御部11が複数の発光素子20の発光を制御する。例えば、制御部11は発光素子20を時分割で256階調に制御する。制御部11は発光素子20をそれぞれ制御することができる。なお、制御部11は各発光素子20に供給する電流の大きさを制御することにより、各発光素子20の発光を制御してもよい。このように、制御部11が複数の発光素子20のそれぞれについて発光の階調を制御することにより、複数の発光素子20全体で様々な点灯パターンを実現できる。また、第1の実施形態においては、制御部11は各発光素子20の温度を予測する。
【0018】
次に、第1の実施形態に係る発光モジュールの温度予測方法を説明する。
図4は、第1の実施形態に係る発光モジュールの温度予測方法を示すフローチャートである。
図5は、図4のステップS1を示すフローチャートである。
図6は、図4のステップS3を示すフローチャートである。
【0019】
第1の実施形態に係る発光モジュールの温度予測方法は、複数の発光素子20を含む発光モジュール1の温度予測方法である。第1の実施形態に係る発光モジュールの温度予測方法は、複数の発光素子20の点灯パターンに基づいて、複数の発光素子20の温度を推定する工程を備える。図4に示すステップS1、S2及びS3により、この工程が実現される。第1の実施形態においては、以下に説明する温度予測のための演算処理は制御部11が実行する。なお、本明細書において「予測」とは、現在または将来の状態を推定することを含む。
【0020】
図4に示すように、複数の発光素子20の温度を推定する工程は、複数の発光素子20の点灯パターンに基づいて、複数の発光素子20のそれぞれについて、発光素子20が有する熱量に相当するデータを表す変数Σhを算出することにより、複数の変数Σhを得る工程(ステップS1)と、複数の発光素子20のうち一部の発光素子20の温度を測定する工程(ステップS2)と、この温度を測定する工程で得られた測定値を用いて、変数Σhを変換することにより、残りの発光素子20の温度を得る工程(ステップS3)と、を有する。
【0021】
以下、より詳細に説明する。
先ず、図4のステップS1に示すように、複数の発光素子20の点灯パターンに基づいて、複数の発光素子20のそれぞれについて、発光素子20が有する熱量に相当するデータを表す変数Σhを算出することにより、複数の変数Σhを得る。
【0022】
以下に、ステップS1の内容を詳細に説明する。
先ず、図5のステップS11に示すように、発光モジュール1の外部から、点灯パターンを表す信号が制御部11に入力される。本明細書において「点灯パターン」とは、各発光素子20の発光の階調を制御することにより、発光モジュール1の全ての発光素子20によって実現される明暗のパターンをいう。なお、点灯パターンを表す信号が発光モジュール1の外部から入力される替わりに、制御部11が点灯パターンを生成してもよい。
【0023】
図7A及び図7Bは、点灯パターンを表す信号の例を示す図である。
なお、図7A及び図7Bにおいては、図の簡略化のために、点灯パターンを(7×7)のマトリクスで表しているが、実際には、1つの発光素子20について1つの数値を対応させることが好ましい。このため、例えば、点灯パターンは(64×256)のマトリクスで表される。
【0024】
図7A及び図7Bに示す例では、点灯パターンを表す信号は、発光素子20毎の点灯率(%)の数値を配列したものである。発光素子20を時分割制御する場合は、「点灯率」は、例えば、一点灯期間に対するその発光素子20が点灯している時間の割合である。発光素子20を電流制御する場合は、「点灯率」は、例えば、最大電流値に対するその発光素子20に供給する電流値の割合である。図7A及び図7Bにおいて、「100(%)」は最も明るい階調での点灯を表し、「0(%)」は消灯を表す。例えば、発光素子20を時分割で0~255の256階調に制御する場合は、255を「100(%)」と表し、0を「0(%)」と表す。
【0025】
図7Aに示す点灯パターンは、発光領域19の中心付近を強く発光させるパターンであり、図7Bに示す点灯パターンは、発光領域19の上部を強く発光させるパターンである。但し、点灯パターンはこれらの例には限定されない。
【0026】
次に、図5のステップS12に示すように、点灯パターンに基づいて、各発光素子20について、受ける熱量の総和に相当する変数Σhを算出する。
【0027】
以下の説明では、変数を算出する対象の一の発光素子を「発光素子20a」とし、発光素子20aに熱を伝導する他の発光素子を「発光素子20b」とする。ある発光素子20bが点灯すると、その発光素子20bは熱を生成する。その熱は、その発光素子20b自体を加熱すると共に、その発光素子20bの周囲にも伝導されて、周囲の発光素子20も加熱する。このため、ある発光素子20aの温度は、その発光素子20a自体の点灯状態に加えて、周囲の発光素子20bの点灯状態の影響も受ける。したがって、ある発光素子20aの温度を予測するためには、その発光素子20aがそれ自体から受ける熱量と、周囲の発光素子20bから受ける熱量の総和を算出することが好ましい。周囲の発光素子20bの点灯状態は、点灯パターンに依存する。
【0028】
具体的には、ある発光素子20aがその発光素子20a自体及び他の発光素子20bから受ける熱量を表す関数f(d)を設定する。概略的に表現すれば、この関数f(d)は、熱源からの距離と、この熱源から受ける熱量との関数である。詳細に表現すれば、この関数f(d)は、一の発光素子20aが一の発光素子20a又は他の発光素子20bから受ける熱量に相当するデータと、一の発光素子20aとこの一の発光素子20a又は他の発光素子20bとの距離に相当するデータとの関係を表す関数である。
【0029】
例えば、一の発光素子20aが一の発光素子20a又は他の発光素子20bから受ける熱量をhとし、一の発光素子20aから一の発光素子20a自体が受ける熱量又は他の発光素子20bからこの他の発光素子20b自体が受ける熱量をhとし、減衰率をrとし、一の発光素子20aの中心と一の発光素子20aの中心又は他の発光素子20bの中心との距離をdとするとき、上述の関数f(d)は例えば下記数式(1)のように表現できる。減衰率rは0より大きく1より小さい値である。ここでの熱量は、熱量に相当するデータを意味する。
【0030】
h=f(d)=h×r (1)
【0031】
一の発光素子20a自体が発光するときに、この一の発光素子20aが受ける熱量hは、距離dが0であるため、h=h×r=h×1=hとなる。すなわち、一の発光素子20aがこの一の発光素子20a自体から受ける熱量はhである。
【0032】
図8は、横軸に発光素子の位置をとり、縦軸に熱量hをとって、関数f(d)の例を表すグラフである。
図8の横軸が表す位置は、発光している他の発光素子20bの位置を基準としたX方向又はY方向の位置である。図8に示すプロットについては、図8の横軸が表す位置の絶対値が、上述の距離dに相当する。図8においては、熱量hを100とし、減衰率rを0.8とし、発光素子20の配列距離Px及びPyを共に1としている。減衰率rは、発光モジュール1において複数個の発光素子20の温度を実測することにより算出され得る。この場合、X方向及びY方向において隣り合う発光素子20の中心間の距離は1である。この場合、上記数式(1)は、h=100×0.8となる。図8に示すように、距離dが大きくなるほど、熱量hは減少する。
【0033】
次に、点灯パターンに基づいて、関数f(d)を畳み込み積分する。これにより、複数の発光素子20のそれぞれについて、受ける熱量hの総和に相当する変数Σhを算出する。
【0034】
以下、関数f(d)の畳み込み積分について説明する。以下の説明では、説明の簡略化のために、2つの発光素子20a及び20bのみが点灯し、他の発光素子20が消灯している場合について説明する。また、減衰率rを0.8とし、配列距離Px及びPyを共に1とする。
【0035】
図9Aは点灯パターンの例を表す図である。図9Bは一の発光素子20aがそれ自体及び周囲に及ぼす熱量に相当するデータの例を示す図である。図9Cは他の発光素子20bがそれ自体及び周囲に及ぼす熱量に相当するデータの例を示す図である。図9Dは一の発光素子20aと他の発光素子20bがそれ自体及び周囲に及ぼす熱量に相当するデータの和を示す図である。なお、記載の簡略化のために、以下の説明においては、「熱量に相当するデータ」を単に「熱量」という場合もある。
【0036】
図9Aに示すように、一の発光素子20aの点灯率が100%であり、他の発光素子20bの点灯率が50%であり、それ以外の発光素子20の点灯率が0%である場合を想定する。なお、図9Aにおいて、「0%」の表記は省略している。
【0037】
図9Bにおいては、一の発光素子20aがそれ自体及び周囲に及ぼす熱量のみを示し、他の発光素子20bが及ぼす熱量は示していない。この場合、上記数式(1)より、一の発光素子20aの熱量は100となり、一の発光素子20aから遠い発光素子20ほど、熱量は小さくなる。他の発光素子20bが受ける熱量は、上記数式(1)より、100×0.8=64となる。また、対角方向において一の発光素子20aと隣り合う発光素子20aについては、一の発光素子20aからの距離dは、d=√(1+1)=√2であるから、この発光素子20が受ける熱量hは、h=100×0.8√2≒73となる。
【0038】
図9Cにおいては、他の発光素子20bがそれ自体及び周囲に及ぼす熱量のみを示し、一の発光素子20aが及ぼす熱量は示していない。この場合、上記数式(1)より、他の発光素子20bの熱量は50となり、他の発光素子20bから遠い発光素子20ほど、熱量は小さくなる。一の発光素子20aが受ける熱量は、上記数式(1)より、50×0.8=32となる。
【0039】
図9Bに示す数値と図9Cに示す数値を足し合わせることにより、図9Dに示すマトリクスを得る。このようにして、複数の発光素子20のそれぞれについて、受ける熱量hの総和に相当する変数Σhを算出する。例えば、一の発光素子20aが受ける熱量の総和に相当する変数Σhは100+32=132であり、他の発光素子20bが受ける熱量の総和に相当する変数Σhは50+64=114である。
【0040】
図10は、複数の発光素子に対応する複数の変数を示す図である。
上述の如く、発光モジュール1には、複数の発光素子20と複数の温度センサー12が設けられているが、温度センサー12の数は発光素子20の数よりも少ない。このため、一部の発光素子20は温度センサー12の位置に対応しているが、残りの発光素子20は温度センサー12の位置に対応していない。温度センサー12の位置に対応する発光素子20の変数Σhを「第1変数群」とし、それ以外の発光素子20の変数Σhを「第2変数群」とする。図10において、ハッチングを付したセルに記載された変数は第1変数群であり、ハッチングを付していないセルに記載された変数は第2変数群である。
【0041】
なお、関数f(d)の畳み込み積分は、発光モジュール1の全ての発光素子20について行ってもよく、変数Σhを求める発光素子20の近傍の発光素子20についてのみ行ってもよい。近傍の発光素子20についてのみ畳み込み積分を行うことにより、計算量を低減できる。例えば、対象となる発光素子20から、X方向両側に10個以内、Y方向両側に10個以内に位置する発光素子20のみについて計算してもよい。この場合は、対象となる発光素子20を中心として、(21×21)の範囲について、畳み込み積分を行う。
【0042】
また、関数f(d)の畳み込み積分は、上記数式(1)をその都度計算してもよいが、カーネルを用いたフィルタ処理によって実行してもよい。この場合、予め、上記数式(1)を用いてカーネル係数を計算し、カーネルを作成しておく。そして、図7Aに示すような点灯パターンを表すマトリクスのうち、変数Σhを求める発光素子20に相当するセルにカーネルの中心セルを合わせ、カーネルが重なったセルについて、それぞれ熱量とカーネル係数の積を求め、全ての積の総和をその発光素子20の変数Σhとする。
図11は、関数f(d)の畳み込み積分に用いるカーネルの例を示す図である。
【0043】
図11の各セルに記載された数値はカーネル係数である。図11に示す例では、熱量hを1とし、減衰率rを0.8とし、発光素子20の配列距離Px及びPyを共に1としている。また、カーネルのサイズは(5×5)としている。なお、カーネルのサイズは上述の如く(21×21)としてもよく、それ以外のサイズとしてもよい。カーネルのサイズが大きいほど精度は向上するが計算量が増大する。
【0044】
このようにして、全ての発光素子20について変数Σhを得ることにより、図4のステップS1が終了する。
【0045】
次に、図4のステップS2に示すように、複数の温度センサー12により、それぞれの温度センサー12に対応する発光素子20の温度を測定する。これにより、発光モジュール1に設けられた複数の発光素子20のうち、一部の発光素子20の温度が測定される。このようにして、複数の温度センサー12のそれぞれについて、温度の測定値が得られる。
【0046】
図12は、一部の発光素子の温度の測定値の例を示す図である。
図12に示すマトリクスは図10に示すマトリクスに対応している。図12において、空欄となっているセルは、温度センサー12に対応しておらず、温度が測定されていない発光素子を表している。図10及び図12に示すように、第1変数群に対応する発光素子20の温度が測定され、第2変数群に対応する発光素子20の温度は測定されない。
【0047】
次に、図4のステップS3に示すように、発光モジュール1に設けられた複数の発光素子20のうち、残りの発光素子20、すなわち、温度センサー12に対応していない第2変数群に対応する発光素子20の温度を得る。
【0048】
以下、ステップS3の内容を詳細に説明する。
図6のステップS31に示すように、上述の第1変数群を複数の温度センサー12の測定値に変換する変換係数K1及びK2を求める。複数の温度センサー12の測定値の平均値をSen_aとし、これらの測定値の最大値と最小値の差をSen_rとし、第1変数群の平均値をSim_aとし、第1変数群の最大値と最小値の差をSim_rとするとき、下記数式(2)及び(3)により、変換係数K1及びK2を定義する。
【0049】
K1=Sen_r/Sim_r (2)
【0050】
K2=Sen_a-Sim_a×K1 (3)
【0051】
変換係数K1は、第1変数群の最大値と最小値の差Sim_rに対する温度センサー12による測定値の最大値と最小値の差Sen_rの比の値である。変換係数K1により、第1変数群の最大値と最小値の差を、温度センサー12による測定値の最大値と最小値の差に一致させることができる。
【0052】
変換係数K2は、温度センサー12による測定値の平均値Sen_aと、変換係数K1によって変換された第1変数群の平均値(Sim_a×K1)との差である。変換係数K2により、変換係数K1によって変換された第1変換群の平均値を温度センサー12による測定値の平均値に一致させることができる。
【0053】
図10に示す数値例を用いて第1変数群の平均値Sim_aと、第1変数群の最大値と最小値の差Sim_rを計算すると、以下のようになる。
Sim_a=83.1875
Sim_r=114-61=53
【0054】
図12に示す数値例を用いて測定値の平均値Sen_aと、測定値の最大値と最小値の差Sen_rを計算すると、以下のようになる。
Sen_a=128.5625(℃)
Sen_r=142-110=32(℃)
【0055】
このため、図10及び図12に示す数値例を用いて変換係数K1及びK2を計算すると、以下のようになる。
K1=Sen_r/Sim_r=32/53=0.6038
K2=Sen_a-Sim_a×K1=78.334
【0056】
次に、図6のステップS32に示すように、変換係数K1及びK2を用いて第2変数群を変換することにより、残りの発光素子20の温度を得る。具体的には、発光素子20の温度の推定値をTとするとき、温度の推定値Tを下記数式(4)によって算出する。
【0057】
T=K1×Σh+K2 (4)
【0058】
このようにして、ステップS3が実行されて、残りの発光素子20の温度が得られる。
図13A及び図13Bは、発光素子20の温度の推定値の例を示す図である。
図13A及び図13Bにおいては、図10及び図12に示す数値例を用いて推定値Tを計算している。
【0059】
図13Aに示す例では、発光素子20の温度の予測値として、温度センサー12に対応する発光素子20については、温度センサー12による測定値を使用し、温度センサー12に対応しない発光素子20については、第2変数群を上記数式(4)により変換した推定値Tを使用している。温度センサー12による測定値を用いたセルは、ハッチングを付している。
【0060】
図13Bに示す例では、全ての発光素子20について、上記数式(4)による推定値Tを使用している。すなわち、第2変数群に加えて、第1変数群も上記数式(4)により変換する。この場合、温度センサー12による測定値は、変換係数K1及びK2を算出するデータとしてのみ用いる。
【0061】
制御部11は、各発光素子20の温度の予測値を監視する。そして、制御部11は、ある発光素子20の温度の予測値が予め設定された上限値を超えた場合は、この発光素子20の発光強度を低減させるか又は消灯させる。このとき、上限値を超えた発光素子20の近傍の発光素子20についても、発光強度を低減させるか又は消灯させてもよい。
【0062】
次に、第1の実施形態の効果について説明する。
第1の実施形態によれば、発光素子20の点灯パターンに基づいて、発光素子20よりも少数の温度センサー12を用いて、全ての発光素子20の温度を予測することができる。これにより、全ての発光素子20の温度を管理し、過熱により一部の発光素子20が損傷することを回避又は抑制できる。
【0063】
また、第1の実施形態によれば、発光モジュール1内に設けられた制御部11が発光素子20の温度を予測するため、外部の演算装置等による補助動作がなくても独立して発光素子20の温度を管理することができる。
【0064】
<第2の実施形態>
第2の実施形態は、発光モジュールを備えた車両ユニットの実施形態である。
第2の実施形態においては、車両に設けられた制御部によって、発光素子の温度を予測する。
図14は、第2の実施形態に係る車両ユニットを示す図である。
【0065】
図14に示すように、第2の実施形態に係る車両ユニット100は、発光モジュール2と、発光モジュール2を制御する制御部50と、を備える。発光モジュール2は、配線基板10と、配線基板10に配置された複数の発光素子20と、を有する。制御部50は、複数の発光素子20の点灯パターンに基づいて、複数の発光素子20の温度を推定する。
【0066】
車両ユニット100においては、前照灯120を備える車両110と、車両110全体を制御する電子制御ユニット(Electronic Control Unit:ECU)130を備える。発光モジュール2は前照灯120の光源である。前照灯120は例えば、配光可変型ヘッドランプ(Adaptive Driving Beam:ADB)である。制御部50はECU130に含まれる。なお、制御部50はECU130とは別に備えられていてもよい。
【0067】
発光モジュール2は、第1の実施形態に係る発光モジュール1と比較して、制御部11が発光素子20の温度を予測しない点が異なっている。発光モジュール2の上記以外の構成は、第1の実施形態に係る発光モジュール1と同様である。なお、発光モジュール2の制御部11は発光素子20の温度を予測可能であってもよい。
【0068】
次に、第2の実施形態に係る温度予測方法について説明する。
図15は、第2の実施形態に係る温度予測方法を示すブロック図である。
【0069】
図15に示すように、第2の実施形態においては、ECU130から発光モジュール2に対して発光素子20の点灯パターンを表す信号を出力する。ECU130は点灯パターンを記憶していてもよく、外部センサーの検出結果等に基づいて点灯パターンを生成してもよい。
【0070】
発光モジュール2の制御部11に点灯パターンを表す信号が入力されると、制御部11が発光素子20の点灯を制御する。そして、温度センサー12が一部の発光素子20の温度を測定し、その測定値を表すデータをECU130の制御部50に対して出力する。制御部50は、点灯パターン及び温度の測定値に基づいて全ての発光素子20の温度を予測する。この温度予測方法は、第1の実施形態において説明したとおりである。
【0071】
制御部50は、温度の予測値が許容範囲の上限値を超えた発光素子20及びその近傍の発光素子20について、発光強度を低減させるか又は消灯させる点灯制御信号を生成し、発光モジュール2の制御部11に対して出力してもよい。
【0072】
第2の実施形態によれば、発光素子20の温度の予測を発光モジュール2の外部に設けられた制御部50によって行うことができる。これにより、発光モジュール2の制御部11の構成を簡略化することができる。また、温度の予測値に基づいて、点灯パターン自体を変更することもできる。第2の実施形態における上記以外の構成、方法及び効果は、第1の実施形態と同様である。
【0073】
<第3の実施形態>
第3の実施形態に係る温度予測方法は、点灯パターンに基づいて発光素子の温度を予測し、予測結果を出力する方法である。
図16は、第3の実施形態に係る温度予測方法を示すブロック図である。
【0074】
図16に示すように、第3の実施形態においては、外部から発光モジュール3及びコンピュータ200に対して発光素子20の点灯パターンを表す信号が入力される。発光モジュール3は、第1の実施形態に係る発光モジュール1と比較して、制御部11が発光素子20の温度を予測しない点が異なっている。なお、発光モジュール3の制御部11は発光素子20の温度を予測可能であってもよい。また、コンピュータ200は汎用のコンピュータであってもよく、専用のコンピュータであってもよい。
【0075】
発光モジュール3の制御部11に点灯パターンを表す信号が入力されると、制御部11が点灯パターンにしたがって発光素子20を点灯させる。そして、温度センサー12が一部の発光素子20の温度を測定し、その測定値を表すデータをコンピュータ200に対して出力する。コンピュータ200は、外部から入力された点灯パターン及び発光モジュール3から入力された温度の測定値に基づいて、全ての発光素子20の温度を予測する。この温度予測方法は、第1の実施形態において説明したとおりである。そして、コンピュータ200は、発光素子20の温度の予測値を外部に対して出力する。
【0076】
コンピュータ200は、プログラムを実行することによって、上述の演算処理を実行してもよい。このプログラムは複数の発光素子20を含む発光モジュール3の温度予測プログラムであって、コンピュータ200に、複数の発光素子20の点灯パターンに基づいて、複数の発光素子20の温度を推定する工程を実行させるプログラムである。
【0077】
このプログラムは、コンピュータ200に、複数の発光素子20の点灯パターンに基づいて、複数の発光素子20のそれぞれについて、発光素子20が有する熱量に相当するデータを表す変数Σhを算出することにより、複数の変数Σhを得る工程と、複数の発光素子20のうち一部の発光素子20の温度の測定値を用いて、変数Σhを変換することにより、残りの発光素子20の温度を得る工程と、を実行させるプログラムであってもよい。
【0078】
第3の実施形態によれば、新たな点灯パターンが作成された場合に、この点灯パターンを実装する前に、発光素子の温度の観点から、この点灯パターンを評価することができる。第3の実施形態における上記以外の構成、方法及び効果は、第1の実施形態と同様である。
【0079】
<第4の実施形態>
第4の実施形態に係る温度予測方法は、第1の実施形態に係る温度予測方法において、高さ方向(Z方向)における温度センサー12と発光素子20との距離に起因して発生する誤差を補正する例である。
【0080】
図17は、本実施形態に係る発光モジュールを示す一部拡大端面図である。
図17に示すように、本実施形態に係る発光モジュールの構成は、第1の実施形態に係る発光モジュール1と同様である。発光モジュール1においては、モジュール基板30上に配線基板10が配置されており、配線基板10上に複数の発光素子20が配置されている。
【0081】
発光モジュール1の温度センサー12は、配線基板10内のセンサレイヤー10sに配置されているため、発光素子20とは高さ方向(Z方向)において離れている。このため、特にセンサレイヤー10sと発光素子20との距離が大きい場合は、温度センサー12による測定値は発光素子20の実際の温度に対してずれが顕著になることがある。発光素子20の実際の温度は、例えば、発光素子20内の発光層における温度である。本実施形態においては、第1の実施形態において説明した数式(4)に対して、このずれを補正するための補正項ΔTjsを付加している。これにより、発光素子20の実際の温度をより精度よく推定することができる。
【0082】
本実施形態においては、発光素子20の温度の推定値をTjとし、発光素子20が有する熱量に相当するデータを表す変数をΣhとし、変換係数をK1及びK2とし、補正項をΔTjsとする。そして、温度の推定値Tjを下記数式(5)によって算出する。なお、変数Σh並びに変換係数をK1及びK2は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0083】
また、複数の温度センサー12による測定値のうち、最大値をSen_maxとし、最小値をSen_minとし、熱拡散係数をbとする。そして、補正項ΔTjsを下記数式(6)によって算出する。熱拡散係数bは、ある発光素子20から、その発光素子20の直下に位置する温度センサー12までの距離を単位距離としたときに、この単位距離を熱が伝わる割合である。単位距離は、例えば、発光素子20の発光層とセンサレイヤー10sとの最短距離である。熱拡散係数bは発光モジュールの構成に依存する係数であり、0より大きく1未満の値をとる。一例では、熱拡散係数bは0.8である。
【0084】
Tj=K1×Σh+K2+ΔTjs (5)
【0085】
ΔTjs={Sen_max-(1-b)×Sen_min}/b-Sen_max (6)
【0086】
以下、上記数式(6)の導出過程を説明する。
図18は、縦軸に温度をとって、本実施形態の前提条件を示す図である。
図18においては、複数の温度センサーの測定値を温度が高い順に並べている。また、発光素子は温度センサーの直上に配置されたものだけを図示している。
図18に示すように、本実施形態においては、以下の2つの前提条件を設定している。
【0087】
(前提条件1)ある発光素子20の温度と、その発光素子20の直下に位置する温度センサー12の測定値との差ΔTjsは、全ての温度センサー12について同一である。
【0088】
(前提条件2)測定値が最も高い温度センサー12の直上に配置された発光素子20から測定値が最も低い温度センサー12までの距離をn×単位距離としたときに、最も低い温度センサー12まで熱が伝わる割合をbで表すことができる。
【0089】
発光素子20から放出される熱量をΔTとするとき、図18に示す温度差A及び温度差Bは、下記数式(7)及び(8)のように表すことができる。なお、温度差Aは、測定値が最も高い温度センサー12の温度と、その直上に配置された発光素子20の温度と、の差を示す。温度差Bは、測定値が最も高い温度センサー12の直上に配置された発光素子20の温度と、測定値が最も低い温度センサー12の温度と、の差を示す。
A=ΔTjs=(1-b)×ΔT=Tj-Sen_max (7)
B=(1-b)×ΔT=Tj-Sen_min (8)
【0090】
上記数式(7)及び(8)より、比(A/B)の値は、以下のようになる。
A/B={(1-b)×ΔT}/{(1-b)×ΔT}=(Tj-Sen_max)/(Tj-Sen_min)
【0091】
bは0より大きく1未満であるため、nが十分に大きければ、(1-b)の値は略1となる。この場合、上記数式は分母と分子のΔTを相殺して、以下のようになる。
(1-b)=(Tj-Sen_max)/(Tj-Sen_min)
【0092】
上記数式は、以下のように順次変形できる。
(1-b)×(Tj-Sen_min)=(Tj-Sen_max)
【0093】
(1-b)×Tj-(1-b)×Sen_min=Tj-Sen_max
【0094】
Tj-b×Tj-(1-b)×Sen_min=Tj-Sen_max
【0095】
Tj-b×Tj-Tj=-Sen_max+(1-b)×Sen_min
【0096】
b×Tj=Sen_max-(1-b)×Sen_min
【0097】
Tj={Sen_max-(1-b)×Sen_min}/b (9)
【0098】
上記数式(7)より、ΔTjs=Tj-Sen_max、であるから、この式に上記数式(9)を代入すると、以下のようになる。
ΔTjs={Sen_max-(1-b)×Sen_min}/b-Sen_max
これにより、上記数式(6)が導出できる。
【0099】
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態によれば、上記数式(5)に、上記数式(6)に示す補正項ΔTjsを設けることにより、高さ方向(Z方向)における発光素子20と温度センサー12との距離に起因する温度差を補正して、発光素子20の温度をより正確に予測することができる。
【0100】
<試験例>
本実施形態の効果を示す試験例について説明する。
本試験例においては、第1の実施形態に係る発光モジュール1を準備して、第1の実施形態に係る温度予測方法と、第4の実施形態に係る温度予測方法により、各発光素子20の温度を予測した。また、熱抵抗測定機によるVF法を用いて、各発光素子20の温度を発光モジュール1の外部から実際に測定した。VF法は、例えば、熱による発光素子のVF変動を利用して発光素子の温度を測定する方法である。なお、例えば、放射温度計を用いて発光素子の温度を測定してもよい。このような温度予測と実測を16種類の点灯パターンについて行い、推定値と実測値の差を評価した。
【0101】
図19は、横軸に実施形態を示し、縦軸に推定誤差をとって、第1の実施形態と第4の実施形態の予測精度を比較する図である。
図20は、代表的な3種類の点灯パターンについて、第1の実施形態と第4の実施形態の予測精度を比較する図である。
【0102】
なお、推定誤差とは、推定値から実測値を減じた値である。
すなわち、推定誤差(℃)=推定値(℃)-実測値(℃)である。
推定値は第1の実施形態又は第4の実施形態に係る温度予測方法により予測した値であり、実測値は熱抵抗測定機によるVF法により測定した値である。
【0103】
図19に示すように、16種類の点灯パターンについて評価した結果、第1の実施形態に係る温度予測方法においては、推定誤差の平均値が-3℃であり、最大値と最小値の差が10.9℃であった。一方、第4の実施形態に係る温度予測方法においては、推定誤差の平均値が略0℃であり、最大値と最小値の差が4.5℃であった。
【0104】
図20に示すように、代表的な3種類の点灯パターン、すなわち、広配光パターン、狭配光パターン、端配光パターンのいずれにおいても、第4の実施形態は、第1の実施形態よりも精度よく推定ができていた。特に、狭配光パターン及び端配光パターンにおいて、第4の実施形態による推定誤差が小さかった。
【0105】
このように、第4の実施形態によれば、第1の実施形態よりもさらに発光素子の温度を高精度に予測することができた。
【0106】
前述の各実施形態は、本発明を具現化した例であり、本発明はこれらの実施形態には限定されない。例えば、前述の各実施形態において、いくつかの構成要素又は工程を追加、削除又は変更したものも本発明に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【0107】
例えば、発光モジュールの構成は前述の例には限定されず、少なくとも複数の発光素子を備えていればよい。前述の各実施形態においては、発光素子20が行列状に配列された例を示したが、本発明はこれには限定されない。発光素子20は、例えば、千鳥状に配列されていてもよく、同心円状に配列されていてもよい。
【0108】
また、前述の各実施形態においては、配線基板10に設けられた温度センサー12を用いて発光素子20の温度を測定する例を示したが、温度の測定方法はこれには限定されない。例えば、配線基板10の外部に設けられた手段によって発光素子20の温度を測定してもよい。
【0109】
さらに、前述の各実施形態においては、変換係数として、第1変数群の最大値と最小値の差を測定値の最大値と最小値の差に一致させるための変換係数K1と、第1変換群の平均値を測定値の平均値に一致させるための変換係数K2を算出する例を示したが、本発明はこれには限定されない。例えば、最大値と最小値の差の替わりに、標準偏差を一致させてもよく、平均値の替わりに中央値又は最頻値を一致させてもよい。
【0110】
さらにまた、前述の各実施形態においては、熱量hを表す関数f(d)として、指数関数を用いる例を示したが、本発明はこれには限定されない。例えば、1次関数を用いてもよい。この場合は、例えば、上記関数はh=h-r×dのように表現できる。
【0111】
実施形態は、以下の態様を含む。
【0112】
(付記1)
複数の発光素子を含む発光モジュールの温度予測方法であって、
前記複数の発光素子の点灯パターンに基づいて、前記複数の発光素子の温度を推定する工程を備える発光モジュールの温度予測方法。
【0113】
(付記2)
前記複数の発光素子の温度を推定する工程は、
前記複数の発光素子の点灯パターンに基づいて、前記複数の発光素子のそれぞれについて、前記発光素子が有する熱量に相当するデータを表す変数を算出することにより、複数の前記変数を得る工程と、
前記複数の発光素子のうち一部の発光素子の温度を測定する工程と、
前記温度を測定する工程で得られた測定値を用いて、前記変数を変換することにより、残りの前記発光素子の温度を得る工程と、
を有する付記1に記載の発光モジュールの温度予測方法。
【0114】
(付記3)
前記発光モジュールは、前記複数の発光素子が配置される配線基板を含み、前記配線基板は、前記複数の発光素子の数よりも少ない複数の温度センサーを含み、
前記温度を測定する工程は、前記複数の温度センサーにより前記一部の発光素子の温度を測定する付記2に記載の発光モジュールの温度予測方法。
【0115】
(付記4)
前記複数の変数を得る工程は、前記複数の発光素子の点灯パターンに基づいて、一の前記発光素子が前記一の発光素子又は他の前記発光素子から受ける熱量に相当するデータと、前記一の発光素子と前記一の発光素子又は前記他の発光素子との距離に相当するデータとの関係を表す関数を畳み込み積分することにより、前記複数の発光素子のそれぞれについて、受ける熱量の総和に相当する変数を算出して、前記温度センサーの位置に対応する第1変数群とそれ以外の第2変数群からなる複数の変数を得る工程であり、
前記発光素子の温度を得る工程は、
前記第1変数群を前記複数の温度センサーの測定値に変換する変換係数を求める工程と、
前記変換係数を用いて前記第2変数群を変換することにより、前記発光素子の温度を得る工程と、
を有する、
付記3に記載の発光モジュールの温度予測方法。
【0116】
(付記5)
前記一の発光素子が前記一の発光素子又は前記他の発光素子から受ける熱量をhとし、前記一の発光素子から前記一の発光素子自体が受ける熱量又は前記他の発光素子から前記他の発光素子自体が受ける熱量をhとし、減衰率をrとし、前記一の発光素子の中心と前記一の発光素子の中心又は前記他の発光素子の中心との距離をdとするとき、前記関数は以下のように表現できる付記4に記載の発光モジュールの温度予測方法。
h=h×r
【0117】
(付記6)
前記変換係数をK1及びK2とし、前記複数の温度センサーの測定値の平均値をSen_aとし、前記測定値の最大値と最小値の差をSen_rとし、前記第1変数群の平均値をSim_aとし、前記第1変数群の最大値と最小値の差をSim_rとするとき、前記変換係数K1及びK2は以下のように定義される付記4または5に記載の発光モジュールの温度予測方法。
K1=Sen_r/Sim_r
K2=Sen_a-Sim_a×K1
【0118】
(付記7)
前記一の発光素子が受ける熱量の総和を表す変数をΣhとし、前記一の発光素子の温度の推定値をTとするとき、前記温度の推定値Tを下記数式によって算出する付記6に記載の発光モジュールの温度予測方法。
T=K1×Σh+K2
【0119】
(付記8)
前記一の発光素子が受ける熱量の総和を表す変数をΣhとし、補正項をΔTjsとし、前記複数の温度センサーによる測定値のうち、最大値をSen_maxとし、最小値をSen_minとし、前記一の発光素子から、前記一の発光素子の直下に位置する前記温度センサーまでの距離を単位距離としたときに、この単位距離を熱が伝わる割合である熱拡散係数をbとし、前記一の発光素子の温度の推定値をTjとするとき、前記温度の推定値Tjを下記数式によって算出する付記6に記載の発光モジュールの温度予測方法。
Tj=K1×Σh+K2+ΔTjs
ΔTjs={Sen_max-(1-b)×Sen_min}/b-Sen_max
【0120】
(付記9)
前記複数の発光素子は行列状に配列された付記1~8のいずれか1つに記載の発光モジュールの温度予測方法。
【0121】
(付記10)
配線基板と、
前記配線基板に配置された複数の発光素子と、
を備え、
前記配線基板は、
前記複数の発光素子の点灯パターンに基づいて、前記複数の発光素子の温度を推定する制御部を有する、
発光モジュール。
【0122】
(付記11)
前記制御部は、
前記複数の発光素子の点灯パターンに基づいて、前記複数の発光素子のそれぞれについて、前記発光素子が有する熱量に相当するデータを表す変数を算出することにより、複数の前記変数を得て、
前記複数の発光素子のうち一部の発光素子の温度の測定値を用いて、前記変数を変換することにより、残りの前記発光素子の温度を得る付記10に記載の発光モジュール。
【0123】
(付記12)
前記配線基板は、前記複数の発光素子の数よりも少ない複数の温度センサーをさらに有し、
前記温度の測定値は、前記複数の温度センサーにより測定される付記11に記載の発光モジュール。
【0124】
(付記13)
前記制御部は、
前記複数の発光素子の点灯パターンに基づいて、一の前記発光素子が前記一の発光素子又は他の前記発光素子から受ける熱量に相当するデータと、前記一の発光素子と前記一の発光素子又は前記他の発光素子との距離に相当するデータとの関係を表す関数を畳み込み積分することにより、前記複数の発光素子のそれぞれについて、受ける熱量の総和に相当する変数を算出して、前記温度センサーの位置に対応する第1変数群とそれ以外の第2変数群からなる複数の変数を得て、
前記第1変数群を前記複数の温度センサーの測定値に変換する変換係数を求めて、
前記変換係数を用いて前記第2変数群を変換することにより、前記発光素子の温度を得る付記12に記載の発光モジュール。
【0125】
(付記14)
前記複数の発光素子は行列状に配列された付記10~13のいずれか1つに記載の発光モジュール。
【0126】
(付記15)
配線基板と、前記配線基板に配置された複数の発光素子と、を有する発光モジュールと、
前記発光モジュールを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記複数の発光素子の点灯パターンに基づいて、前記複数の発光素子の温度を推定する、
車両ユニット。
【0127】
(付記16)
前記制御部は、
前記複数の発光素子の点灯パターンに基づいて、前記複数の発光素子のそれぞれについて、前記発光素子が有する熱量に相当するデータを表す変数を算出することにより、複数の前記変数を得て、
前記複数の発光素子のうち一部の発光素子の温度の測定値を用いて、前記変数を変換することにより、残りの前記発光素子の温度を得る付記15に記載の車両ユニット。
【0128】
(付記17)
前記配線基板は、前記複数の発光素子の数よりも少ない複数の温度センサーをさらに有し、
前記温度の測定値は、前記複数の温度センサーにより測定される付記16に記載の車両ユニット。
【0129】
(付記18)
前記制御部は、
前記複数の発光素子の点灯パターンに基づいて、一の前記発光素子が前記一の発光素子又は他の前記発光素子から受ける熱量に相当するデータと、前記一の発光素子と前記一の発光素子又は前記他の発光素子との距離に相当するデータとの関係を表す関数を畳み込み積分することにより、前記複数の発光素子のそれぞれについて、受ける熱量の総和に相当する変数を算出して、前記温度センサーの位置に対応する第1変数群とそれ以外の第2変数群からなる複数の変数を得て、
前記第1変数群を前記複数の温度センサーの測定値に変換する変換係数を求めて、
前記変換係数を用いて前記第2変数群を変換することにより、前記発光素子の温度を得る付記17に記載の車両ユニット。
【0130】
(付記19)
前記発光モジュールは車両の前照灯の光源であり、
前記制御部は前記車両のECUに含まれる付記15~18のいずれか1つに記載の車両ユニット。
【符号の説明】
【0131】
1、2、3:発光モジュール
10:配線基板
10s:センサレイヤー
11:制御部
12:温度センサー
19:発光領域
20、20a、20b:発光素子
30:モジュール基板
40:樹脂
41:ワイヤ
50:制御部
100:車両ユニット
110:車両
120:前照灯
130:電子制御ユニット(Electronic Control Unit:ECU)
200:コンピュータ
Px、Py:配列距離
、d、d:距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20