(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057348
(43)【公開日】2023-04-21
(54)【発明の名称】液体吐出ユニット、液体吐出装置、液体吐出ヘッド
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20230414BHJP
【FI】
B41J2/175 121
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021166834
(22)【出願日】2021-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100207181
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 朋
(72)【発明者】
【氏名】久保寺 貴也
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA21
2C056FA10
2C056FA13
2C056HA01
2C056KB37
2C056KC14
(57)【要約】
【課題】フィルム部材の破損を抑制することを課題とする。
【解決手段】液体吐出ヘッド101と、液体吐出ヘッド101に供給する液体を収容するヘッドタンク1とを備えた液体吐出ユニット200であって、ヘッドタンク1は、孔部21cを有する本体部21と、本体部21に固着される固着部22aを有し、孔部21cを覆うダンパーフィルム22と、ダンパーフィルム22に対してその外面側から接触するカバー部材23と、を備え、カバー部材23は、カバー部材23は、ダンパーフィルム22の固着部22aに隣接した部分に接触する固着部側カバー部232を有し、固着部側カバー部232のダンパーフィルム22に対する接触面が曲面状をなすことを特徴とする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドに供給する液体を収容するヘッドタンクとを備えた液体吐出ユニットであって、
前記ヘッドタンクは、
孔部を有する本体部と、
前記本体部に固着される固着部を有し、前記孔部を覆うフィルム部材と、
前記フィルム部材に対してその外面側から接触するカバー部材と、を備え、
前記カバー部材は、前記フィルム部材の前記固着部に隣接した部分に接触する固着部側カバー部を有し、
前記固着部側カバー部の前記フィルム部材に対する接触面が曲面状をなすことを特徴とする液体吐出ユニット。
【請求項2】
前記カバー部材の前記接触面の曲面部の曲率半径が、前記フィルム部材の短手方向の長さよりも大きい請求項1記載の液体吐出ユニット。
【請求項3】
液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドに供給する液体を収容するヘッドタンクとを備えた液体吐出ユニットであって、
前記ヘッドタンクは、
孔部を有する本体部と、
前記本体部に固着される固着部を有し、前記孔部を覆うフィルム部材と、
前記フィルム部材に対してその外面側から接触するカバー部材と、を備え、
前記カバー部材は、前記フィルム部材の前記固着部に隣接した部分に接触する固着部側カバー部を有し、
前記固着部側カバー部は、前記フィルム部材に対して3面以上で接触し、かつ、当該接触面同士によって形成される接触角の角度が90度以上であることを特徴とする液体吐出ユニット。
【請求項4】
前記カバー部材は弾性材により構成される請求項1から3いずれか1項に記載の液体吐出ユニット。
【請求項5】
前記カバー部材は、前記固着部側カバー部よりも前記フィルム部材の中央側に接触する中央側カバー部を有し、
前記中央側カバー部が網の目状に形成される請求項1から4いずれか1項に記載の液体吐出ユニット。
【請求項6】
前記カバー部材は、前記固着部側カバー部よりも前記フィルム部材の中央側に接触する中央側カバー部を有し、
前記固着部側カバー部および前記中央側カバー部は複数の線状部を有し、
前記固着部側カバー部の前記線状部の幅が、前記中央側カバー部の前記線状部の幅よりも大きい請求項1から5いずれか1項に記載の液体吐出ユニット。
【請求項7】
前記カバー部材は、前記固着部側カバー部よりも前記フィルム部材の中央側に接触する中央側カバー部を有し、
前記中央側カバー部は、その前記固着部側の密度が中央側よりも大きい請求項1から6いずれか1項に記載の液体吐出ユニット。
【請求項8】
請求項1から7いずれか1項に記載の液体吐出ユニットを備えた液体吐出装置。
【請求項9】
液体収容部と、
前記液体収容部に固着される固着部を有し、前記孔部を覆うフィルム部材と、
前記フィルム部材に対してその外面側から接触するカバー部材とを有し、
前記カバー部材は、前記フィルム部材の前記固着部に隣接した部分に接触する固着部側カバー部を有し、
前記固着部側カバー部の前記フィルム部材に対する接触面が曲面状をなすことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項10】
液体収容部と、
前記液体収容部に固着される固着部を有し、前記孔部を覆うフィルム部材と、
前記フィルム部材に対してその外面側から接触するカバー部材とを有し、
前記カバー部材は、前記フィルム部材の前記固着部に隣接した部分に接触する固着部側カバー部を有し、
前記固着部側カバー部は、前記フィルム部材に対して3面以上で接触し、かつ、当該接触面同士によって形成される接触角の角度が90度以上であることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出ユニットおよび液体吐出ユニットを備えた液体吐出装置、液体吐出ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
液体吐出ヘッドに液体を供給するヘッドタンクには、ヘッドタンク内の圧力変動時に、タンクの体積変動を抑制するためのダンパーフィルムが設けられる。
【0003】
例えば特許文献1(WO2015/194496号)では、インクヘッドに設けられた共通インク室の壁面の一部を構成する緩衝用フィルムに対して、緩衝用フィルムの変形を規制する規制部材が、緩衝用フィルムの外側に間隔を空けて配置される。規制部材は、平板をL字状に形成した形状を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フィルム部材の破損を抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、本発明は、液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドに供給する液体を収容するヘッドタンクとを備えた液体吐出ユニットであって、前記ヘッドタンクは、孔部を有する本体部と、前記本体部に固着される固着部を有し、前記孔部を覆うフィルム部材と、前記フィルム部材に対してその外面側から接触するカバー部材と、を備え、前記カバー部材は、前記フィルム部材の前記固着部に隣接した部分に接触する固着部側カバー部を有し、前記固着部側カバー部の前記フィルム部材に対する接触面が曲面状をなすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、フィルム部材の破損を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態に係る液体吐出ヘッドを備えた液体吐出装置の概略構成図である。
【
図2】
図1の液体吐出ユニットを拡大して表示した図である。
【
図3】
図2の左方向からヘッドタンクを見た図である。
【
図4】
図3のA-A線断面図で、通常状態の図である。
【
図5】
図3のA-A線断面図で、ダンパーフィルムが変形した状態の図である。
【
図6】本実施形態と異なるカバー部材を示す断面図である。
【
図7】異なる実施形態のカバー部材の断面図である。
【
図8】さらに異なる実施形態のカバー部材を示す平面図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【
図10】ヘッドユニットの一例を示す平面説明図である。
【
図11】液体循環装置の一例を示すブロック説明図である。
【
図12】異なる実施形態の印刷装置の要部平面説明図である。
【
図13】異なる実施形態の印刷装置の要部側面説明図である。
【
図14】異なる実施形態の液体吐出ユニットの要部平面説明図である。
【
図15】異なる実施形態の液体吐出ユニットの要部正面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0009】
図1に示すように、液体吐出装置300は、液体吐出ユニット200と、カートリッジ2と、サブタンク3と、送液ポンプ4と、エアポンプ5と、電磁弁6と、大気開放弁7等を有する。液体吐出ユニット200は、液体吐出ヘッド101と、ヘッドタンク1等を有する。以下、液体吐出ヘッド101を単にヘッド101とも呼ぶ。
【0010】
ヘッドタンク1は、その上部に供給ポート21aを有する。ヘッドタンク1は、供給ポート21aの部分でヘッド供給経路8Bに接続される。
【0011】
カートリッジ2はサブタンク供給経路8Aを介してサブタンク3に接続される。サブタンク供給経路8Aの途中には送液ポンプ4が設けられる。
【0012】
サブタンク3は、エア経路8Cを介してエアポンプ5に接続される。サブタンク3は、大気開放経路8Dを介して大気開放弁7に接続される。サブタンク3は、ヘッド供給経路8Bを介してヘッドタンク1に接続される。ヘッド供給経路8Bの途中には電磁弁6が設けられる。
【0013】
送液ポンプ4が駆動することにより、カートリッジ2内の、液体としてのインクが、サブタンク供給経路8Aを通ってサブタンク3に供給される。また、サブタンク3内のインクが、ヘッド供給経路8Bを通ってヘッドタンク1へ供給される。
【0014】
ヘッド101のメンテナンスを行う際には、電磁弁6と大気開放弁7とを閉じた状態で、エアポンプ5を駆動させてサブタンク3内を加圧する。そして、サブタンク3内が所定の圧力になったら電磁弁6を開放し、ヘッド101内のインクを外部へ排出する。インクの排出が終わると、大気開放弁7を開放し、サブタンク3内の圧力を大気圧に戻す。
【0015】
ところで、上記のヘッド101のメンテナンス時やサブタンク内のインクをヘッドタンク側へ補充するタイミングなどには、ヘッドタンク1内の圧力が変動する。この圧力変動を吸収するために、ヘッドタンク1内にはダンパーフィルム22およびカバー部材23が設けられる。
【0016】
以下、このダンパーフィルム22を含むヘッドタンク1内の構造およびヘッド101の構造について、
図2を用いて説明する。
【0017】
図2に示すように、ヘッドタンク1は、外装部である本体部21と、フィルム部材としてのダンパーフィルム22と、カバー部材23とを有する。
【0018】
本体部21は、供給ポート21aと液体導入口21bと、孔部21cとを有する。ヘッドタンク1は、液体導入口21bを介してヘッド101の共通流路51に接続される。
【0019】
ヘッド101は、共通流路51や複数の圧電素子53、圧力発生室54、ノズル孔55などを有する。
【0020】
ヘッドタンク1からヘッド101へ供給されたインクは、共通流路51および個別流路52を通って圧力発生室54へ供給される。圧力発生室54の直上に配置された圧電素子53が信号によって変形することで、圧力発生室54内の圧力を変化させ、圧力発生室54内のインクをノズル孔55から吐出する。
【0021】
本体部21の孔部21cを覆うようにして、ダンパーフィルム22が設けられる。ダンパーフィルム22は、その端縁側の固着部22aが本体部21に溶着固定される。ただし、ダンパーフィルム22を本体部21に対して固着する方法はこれに限らず、例えば接着剤によって接着してもよい。ダンパーフィルム22は弾性材により形成される。また、ダンパーフィルム22の外面側(
図2の左側の面)に接触するカバー部材23が設けられる。なお
図2では、前述のメンテナンス動作などにより、ダンパーフィルム22が外側へ膨出した状態を簡略化して示している。ただし、ダンパーフィルム22やカバー部材23の詳細な形状やその変形の様子については後述する。
【0022】
図3は
図2の左方向からダンパーフィルム22およびカバー部材23を見た図である。
図3に示すように、ダンパーフィルム22は、その端縁側に周状に設けられた固着部22aが本体部21に固定される。
【0023】
カバー部材23は、中央側カバー部231と固着部側カバー部232とを有する。カバー部材23は弾性材により形成され、本実施形態ではシリコンゴムにより形成される。固着部側カバー部232は、中央側カバー部231よりもダンパーフィルム22の固着部22aに近い側(固着部22aの近傍)に接触する部分であり、本実施形態では特に、ダンパーフィルム22の固着部22aに隣接する部分に接触する部分である。
【0024】
中央側カバー部231は、網の目状の線状部により構成される。固着部側カバー部232は、線状部により構成され、中央側カバー部231を囲うようにして設けられる。別の言い方をすると、固着部側カバー部232は、ダンパーフィルム22の固着部22aに隣接して、固着部22aよりもダンパーフィルム22の内側を囲うようにして設けられる窓枠部である。中央側カバー部231を構成する各線状部はその間隔が略均等に設けられる。中央側カバー部231を構成する各線状部の端部が、それらを囲う固着部側カバー部232の線状部と連結され、中央側カバー部231と固着部側カバー部232とが一体的に設けられる。
【0025】
固着部側カバー部232は、中央側カバー部231よりもその幅が大きく設けられる。なお、ここで言う固着部側カバー部232あるいは中央側カバー部231の幅とは、その線状部の長手方向に直交する方向である短手方向の長さのことである。
【0026】
図4および
図5は
図3の拡大図のA-A線断面図で、
図4は通常状態、つまり、上記メンテナンス動作などによるヘッドタンク1内の圧力変動が生じていない状態の図で、
図5は圧力変動によりダンパーフィルム22が弾性変形した状態の図である。
【0027】
図4に示すように、通常状態ではヘッドタンク1内が負圧になっており、ダンパーフィルム22は内側にへこんだ凹状になっている。
【0028】
図4の状態からヘッドタンク1内の圧力変動が生じることにより、
図5に示すようにダンパーフィルム22が外側へ膨出する。これにより、中央側カバー部231および固着部側カバー部232の表面に設けられた曲面部が、それぞれの位置でダンパーフィルム22に対してその外側から接触する。これにより、ダンパーフィルム22の変形が抑制される。具体的には、カバー部材23が設けられていない場合には
図5の点線部のようにダンパーフィルム22が変形するのに対して、カバー部材23により
図5の実線部のようにダンパーフィルム22の変形を抑制する。なお、固着部側カバー部232の曲面部の曲率半径は、ダンパーフィルム22の短辺の長さB(
図3参照)よりも大きく設けられる。
【0029】
ところで、このように固着部22aによりダンパーフィルム22を本体部21に固定する構成の場合、ヘッドタンク1内の圧力変動によるダンパーフィルム22の変形時に、固着部22aに過度な圧力が加わって、ダンパーフィルム22のこの部分での破断などの破損が生じてしまうおそれがある。これに対して、上記のようにカバー部材23を設けてダンパーフィルム22の変形を抑制することで、ダンパーフィルム22の破断を抑制できる。
【0030】
しかし、カバー部材の形状によっては、ダンパーフィルム22の破断を十分に抑制できなかったり、かえって破断のリスクを高めてしまう。
【0031】
例えば
図6に示す本実施形態と異なる形状のカバー部材23’は、平面部によりダンパーフィルム22に接触する。また、カバー部材23’はダンパーフィルム22の固着部側に対してのみ接触する。つまりカバー部材23’は、本実施形態のカバー部材23の固着部側カバー部232に相当する部分のみが設けられる。
【0032】
このような形態のカバー部材23’でも、ダンパーフィルム22の変形を抑制できる。しかし、ダンパーフィルム22のカバー部材23’に変形を抑制された部分、つまりカバー部材23’に接触された部分に加えられる圧力が大きくなり、この部分での破断が生じやすくなってしまう。
【0033】
これに対して本実施形態では、
図5に示すように、ダンパーフィルム22の固着部22a側に接触する固着部側カバー部232が、曲面部により構成される。これにより、固着部側カバー部232が接触するダンパーフィルム22の部分の圧力を抑制できる。つまり、
図6のように平面部によりダンパーフィルム22に接触する場合には、接触部においてダンパーフィルム22がほとんど変形しない。このため、接触部と非接触部における変形量の落差が大きくなって接触部に加えられる圧力が過大になり、ダンパーフィルム22の破断の原因になる。これに対して本実施形態のように、カバー部材23が曲面部によりダンパーフィルム22に接触することで、接触部分においてダンパーフィルム22を緩やかに変形させることができる。従って、ダンパーフィルム22の接触部に加えられる圧力を抑制し、ダンパーフィルム22の破断などの破損を効果的に抑制できる。
【0034】
さらに本実施形態では、ダンパーフィルム22の中央側に対して、中央側カバー部231を接触させる。これにより、中央側のダンパーフィルム22の変形を抑制し、ダンパーフィルム22の固着部22a側にかかる圧力を低減できる。
【0035】
ただし、このように中央側カバー部231を設ける構成では、中央側のダンパーフィルム22の変形を抑制しすぎると、ダンパーフィルム22がヘッドタンク1内の圧力変動を十分に吸収できなくなってしまう。この点本実施形態では、中央側カバー部231を網の目状とする。これにより、ヘッドタンク1内の圧力変動時に、ダンパーフィルム22の中央側で、中央側カバー部231に接触されて特にその変形を抑制される部分と中央側カバー部231に接触されない部分とを交互に設けることができる。従って、ダンパーフィルム22の中央側の変形を部分的に許容しつつ、中央側カバー部231のダンパーフィルム22に対する接触面積をより大きくできる。従って、ダンパーフィルム22によるヘッドタンク1内の圧力変動を吸収する効果を得るとともに、中央側のダンパーフィルム22の変形を抑制してダンパーフィルム22の破断などの破損を効果的に抑制できる。
【0036】
また本実施形態では、前述のように、カバー部材23が弾性材により形成されることにより、ダンパーフィルム22のカバー部材23に接触する部分での変形を柔軟に許容できる。ただし、カバー部材23は必ずしも弾性材により形成されるものではない。
【0037】
また本実施形態では、前述のように、固着部側カバー部232の幅が中央側カバー部231の幅よりも大きく設けられる。これにより、固着部側カバー部232のダンパーフィルム22に対する接触面積を大きくし、固着部22a側でのダンパーフィルム22が受ける圧力を低減できる。従って、ダンパーフィルム22の破断を効果的に抑制できる。ただし、必ずしも固着部側カバー部232の幅が中央側カバー部231の幅よりも大きく設けられる必要はない。
【0038】
また本実施形態では、前述のように、固着部側カバー部232の曲面部の曲率半径は、ダンパーフィルム22の短辺の長さB(
図3参照)よりも大きく設けられる。固着部側カバー部232が接触するダンパーフィルム22に対して、固着部側カバー部232の曲面部の曲率半径を適切な大きさで設けることにより、ダンパーフィルム22に加えられる圧力を効果的に抑制できる。従って、ダンパーフィルム22の破断を効果的に抑制できる。ただし、必ずしも固着部側カバー部232の曲面部の曲率半径がダンパーフィルム22の短辺の長さよりも大きく設けられる必要はない。
【0039】
以上の実施形態では、中央側カバー部231および固着部側カバー部232が、各線状部の長手方向に直交する断面で見た時に、全面が曲面状をなす場合について説明した。しかし、中央側カバー部231は必ずしも曲面部を有する必要はない。また、固着部側カバー部232もダンパーフィルム22に接触する部分の全てを曲面部とする必要はない。
【0040】
以上の実施形態では、カバー部材23の表面が曲面部により構成される場合を示したが、本発明はこれに限らない。例えば
図7に示すように、カバー部材23の固着部側カバー部232は、平面部232a、232b,233cによりダンパーフィルム22に接触する。また、平面部232a、232bにより形成される接触角α1および平面部232b、232cにより形成される接触角α2はその角度が90度以上で設けられる。接触角α1,α2は、固着部側カバー部232のダンパーフィルム22に対する接触面同士によって形成され、ダンパーフィルム22に接触する部分である。
【0041】
このように、固着部側カバー部232が3面でダンパーフィルム22に接触し、かつ、接触角の角度を90度以上とすることにより、ダンパーフィルム22の膨張時にその変形を緩やかにすることができ、ダンパーフィルム22の固着部側カバー部232が接触する部分に加えられる圧力を低減できる。従って、ダンパーフィルム22の破断を効果的に抑制できる。なお、本実施形態の固着部側カバー部232が3面で接触する、あるいは、接触角の角度が90度であるというのは、前述のメンテナンス動作などによりヘッドタンク1内に圧力変動が生じていない状態で、ダンパーフィルム22に接触する固着部側カバー部の部分(つまり、線状部)の長手方向に直交する断面(
図7の断面)あるいは短手方向に直交する断面(
図3の上下方向に直交する断面)で見た時に、その接触面が3面であることや、その接触面同士によって形成される角度が90度以上であることを言う。
【0042】
また以上の実施形態では、中央側カバー部231を構成する各線状部が均等な間隔で配置される場合を示したが、本発明はこれに限らない。例えば
図8に示す実施形態では、
図8の左右方向であるダンパーフィルム22の長手方向の中央側に向かうに従って、中央側カバー部231を構成する各線状部の間隔が広くなっている。つまり、中央側カバー部231を構成する線状部は、その中央側の密度が、固着部側22aの側の密度よりも大きくなっている。このような構成により、ダンパーフィルム22の中央側へ向かうに従って、カバー部材23のダンパーフィルム22に対する変形の規制が緩やかになる構成とすることができる。従って、ヘッドタンク1内へインクが補充された際に、ヘッドタンク1で圧力変動を吸収してヘッド101への圧力変動の影響を低減でき、ヘッド101のノズル孔からインクが漏れ出してしまうことを防止できる。また中央側カバー部231を構成する各線状部の間隔が短手方向の中央側へ向かうに従って広くなる構成であってもよい。また中央側カバー部231は線状部が不規則に配置されていてもよいし、必ずしも線状部により構成される必要はない。
【0043】
以上の実施形態では、ヘッドタンクにダンパーフィルム(フィルム部材)やカバー部材を設ける場合を示したが、液体吐出ヘッドに設けられた共通液室などの液体収容部にフィルム部材やカバー部材が設けられていてもよい。つまり、
図2のヘッドタンクに代えて、共通流路51に連通する共通液室を備えた流路部材を液体吐出ヘッドが有した構成において、この共通液室の孔部に前述のフィルム部材やカバー部材を設ける構成であってもよい。このような構成の液体吐出ヘッドにおいても、フィルム部材の破損を抑制できる。
【0044】
次に、以上のダンパーフィルム(フィルム部材)やカバー部材を有する液体吐出ヘッドあるいは液体吐出ユニット、あるいはこれらを備えた液体吐出装置の例について、
図9~
図15を用いて説明する。
【0045】
図9は液体吐出装置である画像形成装置の異なる例を示すものである。本実施形態では、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の4色の液体吐出ヘッドを有する画像形成装置を説明するが、本発明を適用できる画像形成装置はこれらの吐出ヘッドを有するものに限定されない。すなわち、画像形成装置は、グリーン(G)、レッド(R)、ライトシアン(LC)及び/又はその他の色に対応する吐出ヘッドをさらに有するもの、又は、ブラック(K)のみの吐出ヘッドを有するものであってもよい。ここで、以後の説明において、添え字K、C、M及びYを付与された記号は、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの夫々に対応するものとする。
【0046】
また本実施形態では、液体が付着可能なものである記録媒体として、ロール状に巻かれた連続紙(以下、「ロール紙Md」という。)を用いる。ここで、ロール紙とは、切断可能なミシン目が所定間隔で形成された連続紙(連帳紙、連続帳票)である。また、ロール紙におけるページとは、例えば所定間隔のミシン目で挟まれる領域とする。
【0047】
図9に示すように、本発明の実施形態に係る画像形成装置500は、搬入手段510、前処理液塗布手段520、乾燥手段530、画像形成手段540、プロテクターコート液付与手段550、プロテクターコート液乾燥手段532、搬出手段560等を備えている。搬入手段510は、ロール紙Mdを搬入する。前処理液塗布手段520は搬入されたロール紙Mdに前処理液を塗布する。言い換えると、前処理液塗布手段520はロール紙Mdに前処理を実行する。乾燥手段530のうちの前処理液乾燥手段531は、前処理されたロール紙Mdを乾燥させる。画像形成手段540は、ロール紙Mdの表面に画像を形成する。プロテクターコート液付与手段550は、画像が形成されたロール紙Mdの全体又は一部にプロテクターコート液を付与する。言い換えると、プロテクターコート液付与手段550は、ロール紙Mdの全体又は一部にプロテクターコート液を吐出する後処理を行う。搬出手段560は後処理されたロール紙Mdを搬出する。さらに、画像形成装置500は、画像形成装置500の動作を制御する制御手段を有する。
【0048】
本実施形態に係る画像形成装置500は、搬入手段510によってロール紙Mdを搬入し、前処理液塗布手段520及び前処理液乾燥手段531によってロール紙Mdの表面を前処理及び乾燥する。また、画像形成装置500は、画像形成手段540によって、前処理及び乾燥した後のロール紙Mdの表面に画像を形成する。さらに、画像形成装置500は、本実施形態では、プロテクターコート液付与手段550によって、画像が形成されたロール紙Mdを後処理する。その後、プロテクターコート液乾燥手段532はロール紙Md上のプロテクターコート液を乾燥させる。そして、画像形成装置500は、搬出手段560によって、ロール紙Mdを巻き取る。言い換えると、画像形成装置500は、搬出手段560によって、ロール紙Mdを排出する、あるいは搬出する。
【0049】
なお、本発明を用いることができる画像形成装置は、少なくとも記録媒体に形成される画像部と非画像部の光沢度に基づいて、プロテクターコート液付与手段550及びプロテクターコート液乾燥手段532の動作を制御する。また、画像形成装置は、後述する前処理液塗布手段520等のいずれか一つ又は複数を含まない構成とすることができる。
【0050】
搬入手段510は、記録媒体を前処理液塗布手段520等に搬送する手段である。搬入手段510は、本実施形態では、給紙部511及び複数の搬送ローラ512等で構成される。搬入手段510は、搬送ローラ512等を用いて、給紙部511の給紙ロールに巻き付けて保持されたロール紙Mdを搬入し、前処理液塗布手段520に搬送する。
【0051】
前処理液塗布手段520は、画像が形成される前の記録媒体を処理する手段である。前処理液塗布手段520は、本実施形態では、搬入手段510によって搬入されたロール紙Mdの表面を、前処理液で前処理する。ここで、前処理とは、ロール紙Md表面に、インクを凝集させる機能を有する前処理液(後述)を均一に塗布する処理である。
【0052】
本発明の実施形態に係る画像形成装置500の前処理液塗布手段520は、画像データに基づいて、塗布する前処理液の量を制御することができる。これにより、画像形成装置500は、インクジェット方式の専用紙以外の記録媒体に画像を形成する場合において、前処理液塗布手段520を用いて、記録媒体に画像を形成する前に、インクを凝集させる機能を有する前処理液を記録媒体表面に塗布することができる。このため、画像形成装置500は、形成される画像の滲み、濃度、色調及び裏写りなどの品質問題、並びに、耐水性、耐候性及びその他画像堅牢性に関する問題が発生することを低減することができる。すなわち、画像形成装置500は、前処理液塗布手段520を用いて、記録媒体に画像を形成する前にインクを凝集させる機能を有する前処理液を塗布することによって、その後形成される画像の品質を向上することができる。
【0053】
なお、画像形成装置500は、前処理液塗布手段520を用いて、インクジェット方式の専用紙(記録媒体)に画像を形成する前に、インクを凝集させる機能を有する前処理液を塗布してもよい。
【0054】
図10に示すように、画像形成手段であるヘッドユニット540には、例えば、搬送方向Fの上流側から、4色分のフルライン型ヘッドアレイ541A、541B、541C、541Dが配置されている。以下、これらのヘッドアレイの色の区別しないときはヘッドアレイ541という。
【0055】
各ヘッドアレイ541は、液体吐出手段であり、それぞれ、搬送されるロール紙Mdに対してブラックK,シアンC、マゼンタM、イエローYの液体を吐出する。なお、色の種類及び数はこれに限るものではない。
【0056】
ヘッドアレイ541は、例えば、液体吐出ヘッド101をベース部材542上に千鳥状に並べて配置したものであるが、これに限らない。
【0057】
次に、液体循環装置の一例について
図11を参照して説明する。
図11は同循環装置のブロック説明図である。なお、ここでは1つの液体吐出ヘッドのみ図示しているが、複数のヘッドを配列する場合には、マニホールドなどを介して複数のヘッドの供給側、回収側にそれぞれ供給側液体経路、回収側液体経路を接続する。
【0058】
液体循環装置600は、供給タンク601、回収タンク602、メインタンク603、第1送液ポンプ604、第2送液ポンプ605、コンプレッサ611、レギュレータ612、真空ポンプ621、レギュレータ622、供給側圧力センサ631、回収側圧力センサ632などで構成されている。
【0059】
ここで、コンプレッサ611及び真空ポンプ621は、供給タンク601内の圧力と回収タンク602内の圧力とに差圧を生じさせる手段を構成している。
【0060】
供給側圧力センサ631は、供給タンク601とヘッド101との間であって、ヘッド101の供給ポートに繋がった供給側液体経路に接続されている。回収側圧力センサ632は、液体吐出ヘッド101と回収タンク602との間であって、液体吐出ヘッド101の回収ポート72に繋がった回収側液体経路に接続されている。
【0061】
回収タンク602の一方は、第1送液ポンプ604を介して供給タンク601と接続されており、回収タンク602の他方は第2送液ポンプ605を介してメインタンク603と接続されている。
【0062】
これにより、供給タンク601から供給ポートを通ってヘッド101内に液体が流入し、回収ポート72から回収タンク602へ回収され、第1送液ポンプ604によって回収タンク602から供給タンク601へ液体が送られることによって、液体が循環する循環経路が構成される。
【0063】
ここで、供給タンク601にはコンプレッサ611がつなげられており、供給側圧力センサ631で所定の正圧が検知されるように制御される。一方、回収タンク602には真空ポンプ621がつなげられており、回収側圧力センサ632で所定の負圧が検知されるよう制御される。
【0064】
これにより、ヘッド101内を通って液体を循環させつつ、メニスカスの負圧を一定に保つことができる。
【0065】
また、ヘッド101のノズル孔から液体を吐出すると、供給タンク601及び回収タンク602内の液体量が減少していく。そのため、適宜、第2送液ポンプ605を用いて、メインタンク603から回収タンク602に液体を補充する。
【0066】
なお、メインタンク603から回収タンク602への液体補充のタイミングは、回収タンク602内の液体の液面高さが所定高さよりも下がったときに液体補充を行うなど、回収タンク602内に設けた液面センサなどの検知結果によって制御できる。
【0067】
次に、本発明に係る液体吐出装置としての画像形成装置の他の例について
図12及び
図13を参照して説明する。
図12は同装置の要部平面説明図、
図13は同装置の要部側面説明図である。
【0068】
この画像形成装置500は、シリアル型装置であり、主走査移動機構493によって、キャリッジ403は主走査方向Dに往復移動する。主走査移動機構493は、ガイド部材401、主走査モータ405、タイミングベルト408等を含む。ガイド部材401は、左右の側板491A、491Bに架け渡されてキャリッジ403を移動可能に保持している。そして、主走査モータ405によって、駆動プーリ406と従動プーリ407間に架け渡したタイミングベルト408を介して、キャリッジ403は主走査方向Dに往復移動される。
【0069】
このキャリッジ403には、液体吐出ヘッド101及びヘッドタンク1を一体にした液体吐出ユニット200を搭載している。液体吐出ユニット200の液体吐出ヘッド101は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色の液体を吐出する。また、液体吐出ヘッド101は、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向Dと直交する副走査方向Eに配置し、吐出方向を下方に向けて装着している。
【0070】
液体吐出ヘッド101は、前述した液体循環装置600と接続されて、所要の色の液体が循環供給される。
【0071】
この画像形成装置500は、用紙410を搬送するための搬送機構495を備えている。搬送機構495は、搬送手段である搬送ベルト412、搬送ベルト412を駆動するための副走査モータ416を含む。
【0072】
搬送ベルト412は用紙410を吸着して液体吐出ヘッド101に対向する位置で搬送する。この搬送ベルト412は、無端状ベルトであり、搬送ローラ413と、テンションローラ414との間に掛け渡されている。吸着は静電吸着、あるいは、エア吸引などで行うことができる。
【0073】
そして、搬送ベルト412は、副走査モータ416によってタイミングベルト417及びタイミングプーリ418を介して搬送ローラ413が回転駆動されることによって、副走査方向Eに周回移動する。
【0074】
さらに、キャリッジ403の主走査方向Dの一方側には搬送ベルト412の側方に液体吐出ヘッド101の維持回復を行う維持回復機構420が配置されている。
【0075】
維持回復機構420は、例えば液体吐出ヘッド101のノズル面(ノズルが形成された面)をキャッピングするキャップ部材421、ノズル面を払拭するワイパ部材422などで構成されている。
【0076】
主走査移動機構493、維持回復機構420、搬送機構495は、側板491A,491B、背板491Cを含む筐体に取り付けられている。
【0077】
このように構成した画像形成装置500においては、用紙410が搬送ベルト412上に給紙されて吸着され、搬送ベルト412の周回移動によって用紙410が副走査方向Eに搬送される。
【0078】
そこで、キャリッジ403を主走査方向Dに移動させながら画像信号に応じて液体吐出ヘッド101を駆動することにより、停止している用紙410に液体を吐出して画像を形成する。
【0079】
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの他の例について
図14を参照して説明する。
図14は同ユニットの要部平面説明図である。
【0080】
この液体吐出ユニット200は、前記液体吐出装置を構成している部材のうち、側板491A、491B及び背板491Cで構成される筐体部分と、主走査移動機構493と、キャリッジ403と、液体吐出ヘッド101と、で構成されている。
【0081】
なお、この液体吐出ユニット200の例えば側板491Bに、前述した維持回復機構420を更に取り付けた液体吐出ユニットを構成することもできる。
【0082】
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの更に他の例について
図15を参照して説明する。
図15は同ユニットの正面説明図である。
【0083】
この液体吐出ユニット200は、流路部品444が取り付けられた液体吐出ヘッド101と、流路部品444に接続されたチューブ456で構成されている。
【0084】
なお、流路部品444はカバー442の内部に配置されている。流路部品444に代えてヘッドタンク1(
図13参照)を含むこともできる。また、流路部品444の上部には液体吐出ヘッド101と電気的接続を行うコネクタ443が設けられている。
【0085】
以上の
図9~
図15で説明した液体吐出装置や液体吐出ユニットに設けられた液体吐出ヘッドに前述のダンパーフィルム(フィルム部材)やカバー部材を設けることにより、あるいは、液体吐出ユニットのヘッドタンクに前述のフィルム部材やカバー部材を設けることにより、フィルム部材の破損を抑制できる。
【0086】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0087】
本願において、吐出される液体は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0088】
液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
【0089】
「液体吐出ユニット」は、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体が含まれる。「液体吐出ユニット」は、液体吐出ヘッドの他に、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、主走査移動機構、液体循環装置を上記部材と組み合わせたものなどが含まれる。
【0090】
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合、嵌合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
【0091】
例えば、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、カバー部材が装着された液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。ここで、これらの液体吐出ユニットのヘッドタンクと液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
【0092】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。
【0093】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。また、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構が一体化されているものがある。
【0094】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。
【0095】
また、液体吐出ユニットとして、ヘッドタンク若しくは流路部品が取り付けられ、液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。このチューブを介して、液体貯留源の液体が液体吐出ヘッドに供給される。
【0096】
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
【0097】
本願において、「液体吐出装置」は、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて、液体を吐出させる装置である。液体吐出装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0098】
この「液体吐出装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0099】
例えば、「液体吐出装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0100】
また、「液体吐出装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0101】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0102】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0103】
また、「液体吐出装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0104】
また、「液体吐出装置」としては他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0105】
なお、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
【符号の説明】
【0106】
1 ヘッドタンク
21 本体部
21c 孔部
22 ダンパーフィルム(フィルム部材)
22a 固着部
23 カバー部材
231 中央側カバー部
232 固着部側カバー部
101 液体吐出ヘッド
200 液体吐出ユニット
B ダンパーフィルムの短手方向の幅
α1,α2 接触角
【先行技術文献】
【特許文献】
【0107】