(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023005735
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】数理モデル取得装置、推定装置、数理モデル取得方法、推定方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20230111BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20230111BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
G06N20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021107875
(22)【出願日】2021-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000231464
【氏名又は名称】株式会社アルバック
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(72)【発明者】
【氏名】林 裕太
(72)【発明者】
【氏名】▲曾▼山 俊也
(72)【発明者】
【氏名】川久保 大輔
(57)【要約】
【課題】チャンバを備える処理装置の動作であって所定の条件を満たす結果が得られる動作の候補の推定に係る労力を軽減させる。
【解決手段】本発明の一態様は、チャンバを備える処理装置の動作を示す製造レシピ情報と、前記製造レシピ情報が示す内容にしたがって動作する前記処理装置において前記チャンバ内で生じる現象の状態を示すチャンバ内状態情報と、前記処理装置の処理結果の性能を示す性能情報とに基づき、前記製造レシピ情報から前記性能情報を推定する主数理モデルを取得する主数理モデル取得部、を備える数理モデル取得装置である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバを備える処理装置の動作を示す製造レシピ情報と、前記製造レシピ情報が示す内容にしたがって動作する前記処理装置において前記チャンバ内で生じる現象の状態を示すチャンバ内状態情報と、前記処理装置の処理結果の性能を示す性能情報とに基づき、前記製造レシピ情報から前記性能情報を推定する主数理モデルを取得する主数理モデル取得部、
を備える数理モデル取得装置。
【請求項2】
前記主数理モデル取得部は、前記製造レシピ情報と前記チャンバ内状態情報とに基づき前記製造レシピ情報から前記チャンバ内状態情報を推定する数理モデルである第1副モデルを取得する第1副モデル取得処理、を実行することで前記主数理モデルを取得する、
請求項1に記載の数理モデル取得装置。
【請求項3】
前記第1副モデル取得処理は、機械学習の方法によって前記第1副モデルを取得する、
請求項2に記載の数理モデル取得装置。
【請求項4】
前記主数理モデル取得部は、前記チャンバ内状態情報と前記性能情報とに基づき前記チャンバ内状態情報から前記性能情報を推定する数理モデルである第2副モデルを取得する第2副モデル取得処理、をさらに実行することで前記主数理モデルを取得する、
請求項2又は3に記載の数理モデル取得装置。
【請求項5】
前記第2副モデル取得処理は、機械学習の方法によって前記第2副モデルを取得する、
請求項4に記載の数理モデル取得装置。
【請求項6】
前記主数理モデル取得部は、前記第1副モデルを用いた転移学習又はファインチューニングにより、前記チャンバ内状態情報を用いて、前記主数理モデルを取得する、
請求項2又は3に記載の数理モデル取得装置。
【請求項7】
前記チャンバ内状態情報は、前記処理装置の構成に関する情報である装置構成情報と、前記製造レシピ情報とに基づき、得られた情報である、
請求項1から6のいずれか一項に記載の数理モデル取得装置。
【請求項8】
前記チャンバ内状態情報は、前記装置構成情報と前記製造レシピ情報とに基づき、シミュレーションにより得られた情報である、
請求項7に記載の数理モデル取得装置。
【請求項9】
前記チャンバ内状態情報は、時空間的に2次元以上の量を示す、
請求項1から8のいずれか一項に記載の数理モデル取得装置。
【請求項10】
前記主数理モデル取得部は、前記主数理モデルの推定する前記性能情報が複数ある場合には、それぞれの種類に対応した複数の前記主数理モデルを用いてそれぞれ異なる結果を推定する、
請求項1から9のいずれか一項に記載の数理モデル取得装置。
【請求項11】
前記主数理モデル取得部は、さらに前記結果を用いて1つの評価値を推定する、
請求項10に記載の数理モデル取得装置。
【請求項12】
チャンバを備える処理装置の処理の結果が満たすべき条件を示す条件情報を取得する条件情報取得部と、
製造レシピ情報と、前記処理装置の動作を示す製造レシピ情報が示す内容にしたがって動作する前記処理装置において前記チャンバ内で生じる現象の状態を示すチャンバ内状態情報と、前記処理装置の処理結果の性能を示す性能情報とに基づき、前記チャンバ内状態情報と、前記性能情報との関係を示す主数理モデルを取得する主数理モデル取得部を備える、数理モデル取得装置によって得られた前記主数理モデルを用いて、前記条件を満たす結果が得られる前記処理装置の動作の候補を推定する動作候補推定処理を実行する動作候補推定部と、
を備える推定装置。
【請求項13】
製造レシピ情報を取得する製造レシピ情報取得部、
を備え、
前記動作候補推定処理は、前記製造レシピ情報取得部の取得した前記製造レシピ情報が示す動作で対象装置が動作して得られる前記処理装置の処理結果を、前記主数理モデルを用いて推定する結果推定処理を含む、
請求項12に記載の推定装置。
【請求項14】
前記動作候補推定処理は、前記結果推定処理の結果と前記条件情報が示す条件とに基づき前記条件情報が示す条件を満たす処理結果が得られる前記処理装置の動作の候補を推定する探索処理をさらに含む、
請求項13に記載の推定装置。
【請求項15】
前記探索処理は、所定の探索の方法により、前記処理装置の動作の候補を推定する、
請求項14に記載の推定装置。
【請求項16】
前記チャンバ内状態情報は、前記処理装置の構成に関する情報である装置構成情報と、前記製造レシピ情報とに基づき、得られた情報である、
請求項12から15のいずれか一項に記載の推定装置。
【請求項17】
前記チャンバ内状態情報は、前記装置構成情報と前記製造レシピ情報とに基づき、シミュレーションにより得られた情報である、
請求項16に記載の推定装置。
【請求項18】
前記チャンバ内状態情報は、時空間的に2次元以上の量を示す、
請求項12から17のいずれか一項に記載の推定装置。
【請求項19】
前記結果推定処理の結果の種類が複数ある場合には、前記結果推定処理は、それぞれの種類に対応した複数の前記主数理モデルを用いてそれぞれ異なる処理結果を推定する、
請求項13から15のいずれか一項に記載の推定装置。
【請求項20】
前記結果推定処理は、さらに前記処理結果を用いて1つの評価値を推定する、
請求項19に記載の推定装置。
【請求項21】
チャンバを備える処理装置の動作を示す製造レシピ情報と、前記製造レシピ情報が示す内容にしたがって動作する前記処理装置において前記チャンバ内で生じる現象の状態を示すチャンバ内状態情報と、前記処理装置の処理結果の性能を示す性能情報とに基づき、前記製造レシピ情報から前記性能情報を推定する主数理モデルを取得する主数理モデル取得ステップ、
を有する数理モデル取得方法。
【請求項22】
チャンバを備える処理装置の処理の結果が満たすべき条件を示す条件情報を取得する条件情報取得ステップと、
製造レシピ情報と、前記処理装置の動作を示す製造レシピ情報が示す内容にしたがって動作する前記処理装置において前記チャンバ内で生じる現象の状態を示すチャンバ内状態情報と、前記処理装置の処理結果の性能を示す性能情報とに基づき、前記チャンバ内状態情報と、前記性能情報との関係を示す主数理モデルを取得する主数理モデル取得部を備える、数理モデル取得装置によって得られた前記主数理モデルを用いて、前記条件を満たす結果が得られる前記処理装置の動作の候補を推定する動作候補推定処理を実行する動作候補推定ステップと、
を有する推定方法。
【請求項23】
請求項1から11のいずれか一項に記載の数理モデル取得装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項24】
請求項12から20のいずれか一項に記載の推定装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、数理モデル取得装置、推定装置、数理モデル取得方法、推定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
真空スパッタ装置や真空蒸着装置などチャンバを備える処理装置を用いて、半導体等の加工対象を加工する技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような処理装置を用いた加工では、再現性の確保などの観点から、目的の加工を行う処理装置の動作の適切な条件を探し出す作業が必要である。しかしながら、処理装置の動作を制御するパラメータは複数であり、各パラメータのバランスが加工結果に強く影響を及ぼすため、加工に適した条件を見出す作業は労力を要する作業である場合があった。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、チャンバを備える処理装置の動作であって所定の条件を満たす結果が得られる動作の候補の推定に係る労力を軽減させる技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、チャンバを備える処理装置の動作を示す製造レシピ情報と、前記製造レシピ情報が示す内容にしたがって動作する前記処理装置において前記チャンバ内で生じる現象の状態を示すチャンバ内状態情報と、前記処理装置の処理結果の性能を示す性能情報とに基づき、前記製造レシピ情報から前記性能情報を推定する主数理モデルを取得する主数理モデル取得部、を備える数理モデル取得装置である。
【0007】
本発明の一態様は、チャンバを備える処理装置の処理の結果が満たすべき条件を示す条件情報を取得する条件情報取得部と、製造レシピ情報と、前記処理装置の動作を示す製造レシピ情報が示す内容にしたがって動作する前記処理装置において前記チャンバ内で生じる現象の状態を示すチャンバ内状態情報と、前記処理装置の処理結果の性能を示す性能情報とに基づき、前記チャンバ内状態情報と、前記性能情報との関係を示す主数理モデルを取得する主数理モデル取得部を備える、数理モデル取得装置によって得られた前記主数理モデルを用いて、前記条件を満たす結果が得られる前記処理装置の動作の候補を推定する動作候補推定処理を実行する動作候補推定部と、を備える推定装置である。
【0008】
本発明の一態様は、チャンバを備える処理装置の動作を示す製造レシピ情報と、前記製造レシピ情報が示す内容にしたがって動作する前記処理装置において前記チャンバ内で生じる現象の状態を示すチャンバ内状態情報と、前記処理装置の処理結果の性能を示す性能情報とに基づき、前記製造レシピ情報から前記性能情報を推定する主数理モデルを取得する主数理モデル取得ステップ、を有する数理モデル取得方法である。
【0009】
本発明の一態様は、チャンバを備える処理装置の処理の結果が満たすべき条件を示す条件情報を取得する条件情報取得ステップと、製造レシピ情報と、前記処理装置の動作を示す製造レシピ情報が示す内容にしたがって動作する前記処理装置において前記チャンバ内で生じる現象の状態を示すチャンバ内状態情報と、前記処理装置の処理結果の性能を示す性能情報とに基づき、前記チャンバ内状態情報と、前記性能情報との関係を示す主数理モデルを取得する主数理モデル取得部を備える、数理モデル取得装置によって得られた前記主数理モデルを用いて、前記条件を満たす結果が得られる前記処理装置の動作の候補を推定する動作候補推定処理を実行する動作候補推定ステップと、を有する推定方法である。
【0010】
本発明の一態様は、上記の数理モデル取得装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0011】
本発明の一態様は、上記の推定装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、チャンバを備える処理装置の動作であって所定の条件を満たす結果が得られる動作の候補の推定に係る労力を軽減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態の推定システムの概要を説明する説明図。
【
図2】第1実施形態における数理モデル取得装置のハードウェア構成の一例を示す図。
【
図3】実施形態における数理モデル取得装置が備える制御部の機能構成の一例を示す図。
【
図4】第1実施形態における主数理モデル取得処理の流れの一例を示すフローチャート。
【
図5】第1実施形態における第1副モデル取得処理の流れの一例を示すフローチャート。
【
図6】第1実施形態における第2副モデル取得処理の流れの一例を示すフローチャート。
【
図7】第1実施形態における推定装置のハードウェア構成の一例を示す図。
【
図8】第1実施形態における推定装置が備える制御部の機能構成の一例を示す図。
【
図9】第1実施形態における推定装置が実行する処理の流れの一例を示すフローチャート。
【
図10】第2実施形態の推定システムの概要を説明する説明図。
【
図11】第2実施形態における数理モデル取得装置のハードウェア構成の一例を示す図。
【
図12】第2実施形態における制御部の機能構成の一例を示す図。
【
図13】第2実施形態における主数理モデル取得処理の流れの一例を示すフローチャート。
【
図14】第2実施形態における修正モデル取得処理の流れの一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の推定システム100の概要を説明する説明図である。推定システム100は、真空スパッタ装置や真空蒸着装置や基板処理装置等のチャンバを備える処理装置(以下「対象装置」という。)の動作の候補を推定するシステムである。推定システム100は、数理モデル取得装置1及び推定装置2を備える。数理モデル取得装置1は、主数理モデル取得処理を実行する。主数理モデル取得処理は、製造レシピ情報と、チャンバ内状態情報と、性能情報とに基づき、製造レシピ情報から性能情報を推定する数理モデルである主数理モデルを取得する処理である。
【0015】
製造レシピ情報は、対象装置の動作を示す情報である。製造レシピ情報は、例えば対象装置の制御の条件を含む。製造レシピ情報は、例えば対象装置の処理対象に対する加工の条件を示す情報を含んでもよい。
【0016】
チャンバ内状態情報は、製造レシピ情報が示す内容にしたがって動作する対象装置においてチャンバ内で生じる現象の状態を示す情報である。チャンバ内状態情報は、例えば対象装置の処理対象を加工する流体の圧力のチャンバ内における分布を示す情報を含む。チャンバ内状態情報は、例えば対象装置の処理対象を加工する流体の圧力のチャンバ内における分布を示す情報を含んでもよい。
【0017】
性能情報は、対象装置の処理結果の性能を示す情報である。処理結果は、処理の結果の意味である。対象装置が膜を形成する装置である場合には、処理結果は、例えば対象装置によって形成された膜の抵抗率の空間分布の時間変化を示す情報を含んでもよい。対象装置が膜を形成する装置である場合、処理結果は、例えば対象装置によって形成された膜の膜厚の空間分布の時間変化を示す情報を含んでもよい。対象装置が膜を形成する装置である場合、処理結果は、例えば対象装置によって形成された膜の透過率の空間分布の時間変化を示す情報を含んでもよい。
【0018】
主数理モデル取得処理は、第1副モデル取得処理と第2副モデル取得処理とを含む。第1副モデル取得処理は、製造レシピ情報とチャンバ内状態情報とに基づき製造レシピ情報からチャンバ内状態情報を推定する数理モデルである第1副モデルを取得する処理である。第2副モデル取得処理は、チャンバ内状態情報と性能情報とに基づきチャンバ内状態情報から性能情報を推定する数理モデルである第2副モデルを取得する処理である。第1副モデルと第2副モデルとは主数理モデルが含む数理モデルである。
【0019】
第1副モデルは、例えば機械学習の方法により得られる。第1副モデルが機械学習の方法により得られる場合、第1副モデル取得処理は、機械学習の方法を用いて、所定の終了条件(以下「第1学習終了条件」という。)が満たされるまで第1基礎モデルを更新することで第1副モデルを得る。すなわち、第1副モデルは、第1学習終了条件が満たされた時点の第1基礎モデルである。第1基礎モデルは、製造レシピ情報とチャンバ内状態情報との関係を示す数理モデルであって、第1学習終了条件が満たされる前の数理モデルである。なお第1学習終了条件を示す情報は、ユーザによって入力されてもよい。
【0020】
第2副モデルは、例えば機械学習の方法により得られる。第2副モデルが機械学習の方法により得られる場合、第2副モデル取得処理は、機械学習の方法を用いて、所定の終了条件(以下「第2学習終了条件」という。)が満たされるまで第2基礎モデルを更新することで第2副モデルを得る。すなわち、第2副モデルは、第2学習終了条件が満たされた時点の第2基礎モデルである。第2基礎モデルは、チャンバ内状態情報と性能情報との関係を示す数理モデルであって、第2学習終了条件が満たされる前の数理モデルである。なお第2学習終了条件を示す情報は、ユーザによって入力されてもよい。
【0021】
第1副モデル取得処理が実行する機械学習の方法は、第1基礎モデルを更新可能であればどのような機械学習の方法であってもよい。機械学習の方法は、例えばニューラルネットワークを用いた機械学習であってもよいし、深層学習であってもよいし、強化学習であってもよい。機械学習の方法では、畳み込みの方法が用いられてもよいし、オートエンコーダが用いられてもよいし、敵対的学習が用いられてもよい。機械学習の方法は、例えば回帰であってもよい。機械学習の方法は、例えばガウス過程回帰であってもよい。機械学習の方法は、例えば決定木であってもよい。機械学習の方法は、例えばランダムフォレストであってもよい。機械学習の方法は、例えばクラスタリングの方法であってもよい。機械学習の方法は、例えばk-meansの方法であってもよいし、主成分分析の方法であってもよい。機械学習の方法は、例えばサポートベクターマシンの方法であってもよい。機械学習の方法は、例えば隠れマルコフモデルを実行する方法であってもよい。
【0022】
第2副モデル取得処理が実行する機械学習の方法は、第2基礎モデルを更新可能であればどのような機械学習の方法であってもよい。機械学習の方法は、例えばニューラルネットワークを用いた機械学習であってもよいし、深層学習であってもよいし、強化学習であってもよい。機械学習の方法では、畳み込みの方法が用いられてもよいし、オートエンコーダが用いられてもよいし、敵対的学習が用いられてもよい。
【0023】
推定装置2は、対象装置の処理結果が満たすべき条件を示す条件情報を取得する。推定装置2は動作候補推定処理を実行する。動作候補推定処理は、取得した条件情報が示す条件(以下「被取得条件」という。)を満たす処理結果が得られる対象装置の動作の候補を、主数理モデルを用いて推定する処理である。
【0024】
動作候補推定処理は、例えば、被取得条件を満たす処理結果が得られる対象装置の動作の候補を、1又は複数の製造レシピ情報に基づき主数理モデルを用いて推定する処理である。動作候補推定処理で用いられる1又は複数の製造レシピ情報は、他の装置や人によって推定装置2に入力された情報であってもよいし、予め推定装置2が記憶済みであってもよい。
【0025】
動作候補推定処理は、例えば結果推定処理と探索処理とを含む処理である。結果推定処理は、製造レシピ情報が示す動作で対象装置が動作して得られる対象装置の処理結果を、主数理モデルを用いて推定する処理である。探索処理は、結果推定処理の結果と被取得条件とに基づき被取得条件を満たす処理結果が得られる対象装置の動作の候補を推定する処理である。結果推定処理は、処理結果の種類が複数ある場合には、それぞれの種類に対応した主数理モデルを複数用いてそれぞれ異なる処理結果を推定してよく、さらに各処理結果の推定値を使って1つの評価値を計算してもよい。評価値の計算は、例えば被取得条件を使った考慮したものでも良い。なおそれぞれ異なるとは、それぞれの種類に対応する主数理モデルごとに異なる、ということを意味する。したがって、異なる種類に対応する主数理モデルは、同じ結果を推定することは無い。
【0026】
探索処理では、例えば所定の探索の方法により、対象装置の動作の候補が推定される。所定の探索の方法は、例えば最適化探索法であってもよいし、グリッドサーチ法であってもよいし、ランダム探索法であってもよい。
【0027】
図2は、第1実施形態における数理モデル取得装置1のハードウェア構成の一例を示す図である。数理モデル取得装置1は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ91とメモリ92とを備える制御部11を備え、プログラムを実行する。数理モデル取得装置1は、プログラムの実行によって制御部11、通信部12、入力部13、記憶部14及び出力部15を備える装置として機能する。
【0028】
より具体的には、数理モデル取得装置1は、プロセッサ91が記憶部14に記憶されているプログラムを読み出し、読み出したプログラムをメモリ92に記憶させる。プロセッサ91が、メモリ92に記憶させたプログラムを実行することによって、数理モデル取得装置1は、制御部11、通信部12、入力部13、記憶部14及び出力部15を備える装置として機能する。
【0029】
制御部11は、数理モデル取得装置1が備える各種機能部の動作を制御する。制御部11は、例えば第1副モデル取得処理と第2副モデル取得処理とを含む主数理モデル取得処理を実行する。
【0030】
通信部12は、数理モデル取得装置1を外部装置に接続するための通信インタフェースを含んで構成される。通信部12は、有線又は無線を介して外部装置と通信する。外部装置は、例えば推定装置2である。通信部12は、例えば推定装置2に主数理モデル取得装置の実行により得た主数理モデルを送信する。
【0031】
入力部13は、例えばマウスやキーボード、タッチパネル等の入力装置を含んで構成される。入力部13は、これらの入力装置を数理モデル取得装置1に接続するインタフェースとして構成されてもよい。入力部13は、数理モデル取得装置1に対する各種情報の入力を受け付ける。
【0032】
入力部13には、例えば機械学習に用いられる学習データが入力される。より具体的には、入力部13には、例えば製造レシピ情報を説明変数としチャンバ内状態情報を目的変数として有する学習データが入力される。製造レシピ情報を説明変数としチャンバ内状態情報を目的変数として有する学習データ(以下「第1学習データ」という。)は、第1副モデルの取得に用いられる。
【0033】
入力部13には、例えばチャンバ内状態情報を説明変数とし性能情報を目的変数として有する学習データが入力される。チャンバ内状態情報を説明変数とし性能情報を目的変数用いられる。なお、入力部13に入力可能な情報は、必ずしも入力部13に入力される必要は無く、例えば通信部12に入力されてもよい。
【0034】
記憶部14は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などのコンピュータ読み出し可能な記憶媒体装置を用いて構成される。記憶部14は、数理モデル取得装置1に関する各種情報を記憶する。記憶部14は、例えば通信部12又は入力部13を介して入力された情報を記憶する。
【0035】
記憶部14は、例えば制御部11による処理の実行により生じた各種情報を記憶する。記憶部14は、例えば予め第1基礎モデルを記憶する。記憶部14は、例えば予め第2基礎モデルを記憶する。記憶部14は、主数理モデル取得装置の実行により得た主数理モデルを記憶する。
【0036】
出力部15は、各種情報を出力する。出力部15は、例えばCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイや液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等の表示装置を含んで構成される。出力部15は、これらの表示装置を数理モデル取得装置1に接続するインタフェースとして構成されてもよい。出力部15は、例えば入力部13に入力された情報を出力する。出力部15は、例えば制御部11による処理の実行の結果を表示してもよい。なお、出力部15が出力可能な情報は、必ずしも出力部15から出力される必要はない。出力部15が出力可能な情報は、例えば通信部12から所定の出力先に出力されてもよい。
【0037】
図3は、第1実施形態における制御部11の機能構成の一例を示す図である。制御部11は、主数理モデル取得部111、通信制御部112、入力制御部113、記憶制御部114及び出力制御部115を備える。
【0038】
主数理モデル取得部111は主数理モデル取得処理を実行する。通信制御部112は通信部12の動作を制御する。入力制御部113は入力部13の動作を制御する。記憶制御部114は記憶部14の動作を制御する。出力制御部115は出力部15の動作を制御する。
【0039】
図4は、第1実施形態における主数理モデル取得処理の流れの一例を示すフローチャートである。主数理モデル取得部111は第1副モデル取得処理を実行する(ステップS101)。次に、主数理モデル取得部111は第2副モデル取得処理を実行する(ステップS102)。なお、ステップS101の処理とステップS102の処理とは、必ずしもこの順番に実行される必要は無く、例えばステップS102の次にステップS101が実行されてもよい。
【0040】
図5は、第1実施形態における第1副モデル取得処理の流れの一例を示すフローチャートである。入力部13に第1学習データが入力される(ステップS201)。次に、主数理モデル取得部111は第1学習データを用いて、第1基礎モデルの学習を行う(ステップS202)。次に主数理モデル取得部111は、第1学習終了条件が満たされたか否かを判定する(ステップS203)。第1学習終了条件が満たされない場合、ステップS201の処理に戻る。一方、第1学習終了条件が満たされた場合、処理が終了する。第1終了条件が満たされた時点の第1基礎モデルを、以下学習済みの第1基礎モデルという。
【0041】
図6は、第1実施形態における第2副モデル取得処理の流れの一例を示すフローチャートである。入力部13に第2学習データが入力される(ステップS301)。次に、主数理モデル取得部111は第2学習データを用いて、第2基礎モデルの学習を行う(ステップS302)。次に主数理モデル取得部111は、第2学習終了条件が満たされたか否かを判定する(ステップS303)。第2学習終了条件が満たされない場合、ステップS301の処理に戻る。一方、第2学習終了条件が満たされた場合、処理が終了する。第2終了条件が満たされた時点の第2基礎モデルを、以下学習済みの第2基礎モデルという。
【0042】
図7は、第1実施形態における推定装置2のハードウェア構成の一例を示す図である。推定装置2は、バスで接続されたCPU等のプロセッサ93とメモリ94とを備える制御部21を備え、プログラムを実行する。推定装置2は、プログラムの実行によって制御部21、通信部22、入力部23、記憶部24及び出力部25を備える装置として機能する。
【0043】
より具体的には、推定装置2は、プロセッサ93が記憶部24に記憶されているプログラムを読み出し、読み出したプログラムをメモリ94に記憶させる。プロセッサ93が、メモリ94に記憶させたプログラムを実行することによって、推定装置2は、制御部21、通信部22、入力部23、記憶部24及び出力部25を備える装置として機能する。
【0044】
制御部21は、推定装置2が備える各種機能部の動作を制御する。制御部21は、例えば動作候補推定処理を実行する。
【0045】
通信部22は、推定装置2を外部装置に接続するための通信インタフェースを含んで構成される。通信部22は、有線又は無線を介して外部装置と通信する。外部装置は、例えば数理モデル取得装置1である。通信部22は、例えば数理モデル取得装置1が送信した主数理モデルを受信する。
【0046】
入力部23は、例えばマウスやキーボード、タッチパネル等の入力装置を含んで構成される。入力部23は、これらの入力装置を推定装置2に接続するインタフェースとして構成されてもよい。入力部23は、推定装置2に対する各種情報の入力を受け付ける。
【0047】
入力部23には、例えば条件情報が入力される。入力部23には、製造レシピ情報が入力されてもよい。なお、入力部23に入力可能な情報は、必ずしも入力部23に入力される必要は無く、例えば通信部22に入力されてもよい。
【0048】
記憶部24は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などのコンピュータ読み出し可能な記憶媒体装置を用いて構成される。記憶部24は、推定装置2に関する各種情報を記憶する。記憶部24は、例えば通信部22又は入力部23を介して入力された情報を記憶する。
【0049】
記憶部24は、例えば制御部21による処理の実行により生じた各種情報を記憶する。記憶部24は、例えば主数理モデルを記憶する。記憶部24は、例えば予め製造レシピ情報を記憶していてもよい。
【0050】
出力部25は、各種情報を出力する。出力部25は、例えばCRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示装置を含んで構成される。出力部25は、これらの表示装置を推定装置2に接続するインタフェースとして構成されてもよい。出力部25は、例えば入力部23に入力された情報を出力する。出力部25は、例えば制御部21による処理の実行の結果を表示してもよい。なお、出力部25が出力可能な情報は、必ずしも出力部25から出力される必要はない。出力部25が出力可能な情報は、例えば通信部22から所定の出力先に出力されてもよい。
【0051】
図8は、第1実施形態における制御部21の機能構成の一例を示す図である。制御部21は動作候補推定部211、通信制御部212、入力制御部213、記憶制御部214、出力制御部215、条件情報取得部216及び製造レシピ情報取得部217を備える。
【0052】
動作候補推定部211は、動作候補推定処理を実行する。通信制御部212は通信部22の動作を制御する。入力制御部213は入力部23の動作を制御する。記憶制御部214は記憶部24の動作を制御する。出力制御部215は出力部25の動作を制御する。
【0053】
条件情報取得部216は、入力部23に入力された条件情報を取得する。なお、予め条件情報が記憶部24に記憶済みの場合には、条件情報取得部216は記憶部24から読み出すことで条件情報を取得してもよい。
【0054】
製造レシピ情報取得部217は、入力部23に入力された製造レシピ情報を取得する。なお、予め製造レシピ情報が記憶部24に記憶済みの場合には、製造レシピ情報取得部217は記憶部24から読み出すことで製造レシピ情報を取得してもよい。
【0055】
図9は、第1実施形態における推定装置2が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。条件情報取得部216が条件情報を取得する(ステップS401)。次に製造レシピ情報取得部217が製造レシピを取得する(ステップS402)。次に、動作候補推定部211が動作候補推定処理を実行する(ステップS403)。なお、ステップS401の処理とステップS402の処理とは、必ずしもこの順番に実行される必要は無く、例えばステップS402の次にステップS401が実行されてもよい。
【0056】
このように構成された第1実施形態における数理モデル取得装置1は、チャンバ内状態情報を用いて、製造レシピ情報から性能情報を推定する数理モデルである主数理モデルを取得する。真空蒸着装置等のチャンバを備える処理装置では、処理対象の処理はチャンバ内で行われる。そのため同じ型番の装置に同じ製造レシピで処理を行わせたとしても、チャンバ内の微小な傷や汚れ等のチャンバの違いにより生じるチャンバ内の状態の違いにより、異なる結果を生じてしまう場合がある。このことは、チャンバ内の情報が製造レシピよりも強く処理の結果に影響を与えることを意味する。
【0057】
したがって、チャンバ内状態情報を用いて得られる主数理モデルは、チャンバ内状態情報を用いない数理モデルよりも高い精度で、製造レシピ情報から性能情報を推定することができる。その結果、数理モデル取得装置1は、チャンバを備える処理装置の動作であって所定の条件を満たす結果が得られる動作の候補の推定に係る労力を軽減させることができる。
【0058】
また、このように構成された第1実施形態における推定装置2は、チャンバ内状態情報を用いて、製造レシピ情報から性能情報を推定する数理モデルである主数理モデルを用いた推定を行う。そのため、推定装置2は、チャンバを備える処理装置の動作であって所定の条件を満たす結果が得られる動作の候補の推定に係る労力を軽減させることができる。
【0059】
また、このように構成された第1実施形態の推定システム100は、数理モデル取得装置1及び推定装置2を備える。そのため、推定システム100は、チャンバを備える処理装置の動作であって所定の条件を満たす結果が得られる動作の候補の推定に係る労力を軽減させることができる。
【0060】
(第2実施形態)
図10は、第2実施形態の推定システム100aの概要を説明する説明図である。推定システム100aは、数理モデル取得装置1に代えて数理モデル取得装置1aを備える点で推定システム100と異なる。数理モデル取得装置1aは、第2副モデル取得処理の実行に代えて、修正モデル取得処理の実行により主数理モデルを取得する点で数理モデル取得装置1と異なる。以下、推定システム100が備えるものと同様のものについては、
図1、
図2、
図3、
図7及び
図8と同じ符号を付すことで説明を省略する。
【0061】
修正モデル取得処理は、第1副モデルを用いた転移学習又はファインチューニングにより、チャンバ内状態情報を用いて、主数理モデルを取得する処理である。数理モデル取得装置1aが得る主数理モデルは、転移学習又はファインチューニングにより得られた数理モデルであり、第1副モデルを含まない数理モデルである。すなわち、数理モデル取得装置1aが得る主数理モデルは、数理モデル取得装置1が得る主数理モデルと異なり第1副モデルを含まない数理モデルである。
【0062】
図11は、第2実施形態における数理モデル取得装置1aのハードウェア構成の一例を示す図である。数理モデル取得装置1aは、制御部11に代えて制御部11aを備える点で数理モデル取得装置1と異なる。数理モデル取得装置1aは、バスで接続されたCPU等のプロセッサ91aとメモリ92aとを備える制御部11aを備え、プログラムを実行する。数理モデル取得装置1aは、プログラムの実行によって制御部11a、通信部12、入力部13、記憶部14及び出力部15を備える装置として機能する。
【0063】
より具体的には、数理モデル取得装置1aは、プロセッサ91aが記憶部14に記憶されているプログラムを読み出し、読み出したプログラムをメモリ92aに記憶させる。プロセッサ91aが、メモリ92aに記憶させたプログラムを実行することによって、数理モデル取得装置1aは、制御部11a、通信部12、入力部13、記憶部14及び出力部15を備える装置として機能する。
【0064】
制御部11aは、数理モデル取得装置1aが備える各種機能部の動作を制御する。制御部11aは、例えば第1副モデル取得処理と修正モデル取得処理とを含む主数理モデル取得処理を実行する。
【0065】
図12は、第2実施形態における制御部11aの機能構成の一例を示す図である。制御部11aは、主数理モデル取得部111に代えて主数理モデル取得部111aを備える点で制御部11と異なる。主数理モデル取得部111aは、第1副モデル取得処理と第2副モデル取得処理とを含む主数理モデル取得処理の実行に代えて、第1副モデル取得処理と修正モデル取得処理とを含む主数理モデル取得処理を実行する点で、主数理モデル取得部111と異なる。以下、主数理モデル取得部111aが実行する第1副モデル取得処理は、主数理モデル取得部111が実行する第1副モデル取得処理と同様のため説明を省略する。
【0066】
図13は、第2実施形態における主数理モデル取得処理の流れの一例を示すフローチャートである。主数理モデル取得部111aは第1副モデル取得処理を実行する(ステップS101a)。次に、主数理モデル取得部111aは修正モデル取得処理を実行する(ステップS102a)。
【0067】
図14は、第2実施形態における修正モデル取得処理の流れの一例を示すフローチャートである。入力部13に第3学習データが入力される(ステップS501)。第3学習データは、製造レシピ情報を説明変数とし性能情報を目的変数として有する学習データである。次に主数理モデル取得部111aが、第1副モデルに対する転移学習又はファインチューニングを、第3学習データを用いて実行する(ステップS502)。
【0068】
次に主数理モデル取得部111aは、第3学習終了条件が満たされたか否かを判定する(ステップS503)。第3学習終了条件は、転移学習又はファインチューニングの終了に関する所定の終了条件である。第3学習終了条件が満たされない場合、ステップS501の処理に戻る。一方、第3学習終了条件が満たされた場合、処理が終了する。第3終了条件が満たされた時点の転移学習又はファインチューニングで得られた数理モデルが主数理モデルである。なお第3学習終了条件を示す情報は、ユーザによって入力されてもよい。
【0069】
このように構成された第2実施形態における数理モデル取得装置1aは、チャンバ内状態情報を用いて、製造レシピ情報から性能情報を推定する数理モデルである主数理モデルを取得する。したがって、数理モデル取得装置1aは、チャンバを備える処理装置の動作であって所定の条件を満たす結果が得られる動作の候補の推定に係る労力を軽減させることができる。
【0070】
また、このように構成された第2実施形態における推定装置2は、数理モデル取得装置1aが得た主数理モデルを用いた推定を行う。そのため、推定装置2は、チャンバを備える処理装置の動作であって所定の条件を満たす結果が得られる動作の候補の推定に係る労力を軽減させることができる。
【0071】
また、このように構成された第2実施形態の推定システム100aは、数理モデル取得装置1a及び推定装置2を備える。そのため、推定システム100aは、チャンバを備える処理装置の動作であって所定の条件を満たす結果が得られる動作の候補の推定に係る労力を軽減させることができる。
【0072】
(変形例)
なお、チャンバ内状態情報は計測されたデータであってもよいし、シミュレーション等の計算によって得られたデータであってもよい。チャンバ内状態情報を得るシミュレーションは、例えば製造レシピ情報と装置構成情報とに基づいてチャンバ内状態情報を得るシミュレーションであってもよい。装置構成情報は、処理装置の構成に関する情報である。装置構成情報は、例えば処理装置の構造を示す情報を含む。装置構成情報は、例えば処理装置で生じる反応を示す情報を含む。なお、チャンバ内状態情報を得るシミュレーションは、例えば処理装置の構造に対して電磁場を計算するシミュレーションである。チャンバ内状態情報を得るシミュレーションは、例えば処理装置に入れるガスの流速分布を有限要素法で解くシミュレーションであってもよい。チャンバ内状態情報を得るシミュレーションは、例えば処理装置の反応をモンテカルロ法を用いて再現し圧力分布を解くシミュレーションであってもよい。
【0073】
なお、チャンバ内状態情報は、時空間的に2次元以上の量を示す。時空間的に2次元以上の量を示すとは、1種類以上の空間的な量の時間変化を示すことを意味する。すなわち2次元以上の量のうちの1次元の量は時間であり、残りの次元の量は空間的な量である。空間的な量は、例えば、処理装置内に設置された基板等の処理対象の物性値の空間分布である。時空間的に2次元以上の量をより具体的に言い換えるならば、時空間的に2次元以上の量は、時間と3次元空間の4つの要素のうちの2つ以上の要素を意味する。
【0074】
なお、主数理モデル取得部111及び111aは、主数理モデルの推定する性能情報が複数ある場合には、それぞれの種類に対応した複数の主数理モデルを用いてそれぞれ異なる結果を推定してもよい。また、主数理モデル取得部111及び111aは、さらに、それぞれの種類に対応した複数の主数理モデルを用いて推定されたそれぞれ異なる結果を用いて1つの評価値を推定してもよい。評価値の計算は、例えば被取得条件を考慮したものでも良い。被取得条件を考慮するとは、被取得条件に基づく、ことを意味する。なお、それぞれ異なるとは、それぞれの種類に対応する主数理モデルごとに異なる、ということを意味する。したがって、異なる種類に対応する主数理モデルは、同じ結果を推定することは無い。
【0075】
なお、数理モデル取得装置1、数理モデル取得装置1a及び推定装置2は、それぞれネットワークを介して通信可能に接続された複数台の情報処理装置を用いて実装されてもよい。この場合、数理モデル取得装置1、数理モデル取得装置1a及び推定装置2それぞれが備える各機能部は、複数の情報処理装置に分散して実装されてもよい。
【0076】
なお、条件情報は、少なくとも2種類の量が満たすべき条件を示す。
【0077】
なお、第2副モデルを予め数理モデル取得装置1が記憶済みである場合には、数理モデル取得装置1の実行する主数理モデル取得処理では必ずしも第2副モデル取得処理が実行される必要は無い。すなわち、数理モデル取得装置1の実行する主数理モデル取得処理は、必ずしも第2副モデル取得処理を含む必要は無い。なお、第2副モデルを予め数理モデル取得装置1が記憶済みである場面は、例えば第2副モデルが他の装置によって生成済みである等の主数理モデル取得処理の実行前に事前に存在する場合に生じる。
【0078】
なお動作候補推定処理は、必ずしも探索処理を含む必要は無い。探索処理は、他の装置が実行してもよい。
【0079】
なお、推定システム100、数理モデル取得装置1、数理モデル取得装置1a及び推定装置2それぞれの各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0080】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0081】
100…推定システム、 1、1a…数理モデル取得装置、 2…推定装置、 11、11a…制御部、 12…通信部、 13…入力部、 14…記憶部、 15…出力部、 111、111a…主数理モデル取得部、 112…通信制御部、 113…入力制御部、 114…記憶制御部、 115…出力制御部、 21…制御部、 22…通信部、 23…入力部、 24…記憶部、 25…出力部、 211…動作候補推定部、 212…通信制御部、 213…入力制御部、 214…記憶制御部、 215…出力制御部、 216…条件情報取得部、 217…製造レシピ情報取得部、 91、91a…プロセッサ、 92、92a…メモリ、 93…プロセッサ、 94…メモリ