(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057370
(43)【公開日】2023-04-21
(54)【発明の名称】フィルタ性能評価装置、フィルタウェッティング装置及びフィルタ性能評価方法
(51)【国際特許分類】
B01D 37/04 20060101AFI20230414BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20230414BHJP
【FI】
B01D37/04
H01L21/304 648F
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021166869
(22)【出願日】2021-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】一野 克憲
【テーマコード(参考)】
4D116
5F157
【Fターム(参考)】
4D116AA09
4D116AA30
4D116BB01
4D116KK04
4D116QA02C
4D116QA02D
4D116QA02F
4D116QA14C
4D116QA14D
4D116QA14E
4D116QA14F
4D116QB41
4D116QC20A
4D116QC20B
4D116QC23A
4D116QC23B
4D116QC25A
4D116QC25B
4D116QC51A
4D116QC51B
4D116TT01
4D116TT07
4D116UU01
4D116VV30
5F157CF14
5F157CF42
5F157CF44
5F157CF60
5F157CF74
5F157CF99
5F157DC90
(57)【要約】 (修正有)
【課題】フィルタの性能をより精度よく評価する、フィルタ性能評価装置、フィルタウェッティング装置及びフィルタ性能評価方法を提供する。
【解決手段】フィルタ性能評価装置は、流路と、流路を流れる液体中の異物を検出する異物検出部70と、異物検出部70よりも上流側に設けられる、評価対象である対象フィルタと、対象フィルタに対して異物の含有状態が互いに異なる複数種類の液体を個別に供給する異物含有状態調整部と、制御部と、を備え、異物検出部70は、対象フィルタを通過しない液体に含まれる異物量と、通過した後の液体に含まれる異物量とを検出し、制御装置100は、異物の含有状態が互いに異なる複数種類の液体を個別に供給したときの、それぞれの条件における、対象フィルタを通過しない液体に含まれる異物量と、対象フィルタを通過した後の液体に含まれる異物量とに基づいて、対象フィルタの異物捕集性能及び発塵性を算出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側から下流側へ液体を通流する流路と、
前記流路において、前記流路を流れる液体中の異物を検出する異物検出部と、
前記流路のうち前記異物検出部よりも上流側に設けられる、評価対象のフィルタである対象フィルタと、
前記流路のうち前記対象フィルタよりも上流側に設けられ、前記流路を介して、前記対象フィルタに対して異物の含有状態が互いに異なる複数種類の液体を個別に供給する異物含有状態調整部と、
制御部と、を備え、
前記異物検出部は、前記対象フィルタを通過しない液体に含まれる異物量と、前記対象フィルタを通過した後の液体に含まれる異物量と、を検出し、
前記制御部は、異物の含有状態が互いに異なる複数種類の液体を個別に供給したときの、それぞれの条件における、前記対象フィルタを通過しない液体に含まれる異物量と、前記対象フィルタを通過した後の液体に含まれる異物量と、に基づいて、前記対象フィルタの性能として、前記対象フィルタの異物捕集性能を算出する、フィルタ性能評価装置。
【請求項2】
前記流路は、前記対象フィルタの上流側で分岐し、前記対象フィルタの下流側で合流するバイパス流路をさらに含み、
前記異物検出部は、前記バイパス流路の合流位置よりも前記流路の下流側に設けられ、
前記制御部は、前記流路上に設けられたバルブの開閉によって、前記対象フィルタに液体を通過させるか、前記バイパス流路に液体を通過させるかを選択し、
前記異物検出部は、
前記対象フィルタに液体を通過させた場合に、前記対象フィルタを通過した後の液体に含まれる異物量を検出し、
前記バイパス流路に液体を通過させた場合に、前記対象フィルタを通過しない液体に含まれる異物量を検出する、請求項1に記載のフィルタ性能評価装置。
【請求項3】
前記制御部は、
異物の含有状態が互いに異なる複数種類の液体を個別に供給したときの、それぞれの条件における、前記対象フィルタを通過しない液体に含まれる異物量と、前記対象フィルタを通過した後の液体に含まれる異物量と、に基づいて、前記対象フィルタの性能として、前記対象フィルタの発塵性能も算出する、請求項1または2に記載のフィルタ性能評価装置。
【請求項4】
前記制御部は、異物の含有状態が互いに異なる複数種類の液体を個別に供給したときの、それぞれの条件における、前記対象フィルタを通過しない液体に含まれる異物量と、前記対象フィルタを通過した後の液体に含まれる異物量とから、前記異物捕集性能と前記発塵性能とを算出するための相関モデルを予め保持し、前記相関モデルに基づいて前記異物捕集性能と前記発塵性能を求める、請求項3に記載のフィルタ性能評価装置。
【請求項5】
前記異物含有状態調整部は、前記対象フィルタよりも上流側において、2つに分岐されると共に前記対象フィルタよりも上流側で合流する2つの分岐流路を含み、前記2つの分岐流路において前記異物の含有状態を互いに異ならせ、
前記制御部は、前記流路上に設けられたバルブの開閉によって、前記2つの分岐流路のうち液体が流れる流路を選択する、請求項1~4のいずれか一項に記載のフィルタ性能評価装置。
【請求項6】
前記異物含有状態調整部は、前記2つの分岐流路の一方の流路のみに設けられるフィルタを含む、請求項5に記載のフィルタ性能評価装置。
【請求項7】
前記制御部は、算出された前記対象フィルタの前記性能に基づいて、前記対象フィルタが劣化しているかを判定する、請求項1~6のいずれか一項に記載のフィルタ性能評価装置。
【請求項8】
前記制御部は、算出された前記対象フィルタの前記性能に基づいて、前記対象フィルタのウェッティング状態を評価する、請求項1~7のいずれか一項に記載のフィルタ性能評価装置。
【請求項9】
対象フィルタに係るウェッティングを行うフィルタウェッティング装置であって、
液体供給源と、
前記液体供給源から供給される液体を上流側から下流側へ通流する流路と、
前記流路において、前記流路を流れる液体中の異物を検出する異物検出部と、
前記流路のうち前記異物検出部よりも上流側に設けられる前記対象フィルタと、
前記流路のうち前記対象フィルタよりも上流側に設けられ、前記流路を介して、前記対象フィルタに対して異物の含有状態が互いに異なる複数種類の液体を個別に供給する異物含有状態調整部と、
制御部と、を備え、
前記流路は、前記対象フィルタの上流側で分岐し、前記対象フィルタの下流側で合流するバイパス流路をさらに含み、
前記異物検出部は、前記バイパス流路の合流位置よりも前記流路の下流側に設けられ、
前記制御部は、
前記流路上に設けられたバルブの開閉によって、前記対象フィルタに液体を通過させるか、前記バイパス流路に液体を通過させるかを選択し、
前記異物検出部は、
前記対象フィルタに液体を通過させた場合に、前記対象フィルタを通過した後の液体に含まれる異物量を検出し、
前記バイパス流路に液体を通過させた場合に、前記対象フィルタを通過しない液体に含まれる異物量を検出し、
前記制御部は、異物の含有状態が互いに異なる複数種類の液体を個別に供給したときの、それぞれの条件における、前記対象フィルタを通過しない液体に含まれる異物量と、前記対象フィルタを通過した後の液体に含まれる異物量と、に基づいて、前記対象フィルタのウェッティング状態として、前記対象フィルタの異物捕集性能に係る情報を作成する、フィルタウェッティング装置。
【請求項10】
前記制御部は、
異物の含有状態が互いに異なる複数種類の液体を個別に供給したときの、それぞれの条件における、前記対象フィルタを通過しない液体に含まれる異物量と、前記対象フィルタを通過した後の液体に含まれる異物量と、に基づいて、前記対象フィルタのウェッティング状態として、前記対象フィルタの発塵性能に係る情報も作成する、請求項9に記載のフィルタウェッティング装置。
【請求項11】
前記異物含有状態調整部は、前記対象フィルタよりも上流側において、2つに分岐されると共に前記対象フィルタよりも上流側で合流する2つの分岐流路を含み、前記2つの分岐流路において前記異物の含有状態を互いに異ならせ、
前記制御部は、前記流路上に設けられたバルブの開閉によって、前記2つの分岐流路のうち液体が流れる流路を選択する、請求項9または10に記載のフィルタウェッティング装置。
【請求項12】
前記異物検出部は、前記バイパス流路の合流位置よりも前記流路の下流側に代えて、前記バイパス流路の合流位置と前記対象フィルタとの間と、前記バイパス流路上との両方に個別に設けられ、
前記制御部は、
前記対象フィルタへの液体の通過と、前記バイパス流路への液体の通過と、を同時に行うように制御し、
2つの前記異物検出部のうち、前記バイパス流路の合流位置と前記対象フィルタとの間に設けられた異物検出部によって、前記対象フィルタを通過した後の液体に含まれる異物量を検出し、
2つの前記異物検出部のうち、前記バイパス流路上に設けられた前記異物検出部によって、前記対象フィルタを通過しない液体に含まれる異物量を検出する、請求項9~11のいずれか一項に記載のフィルタウェッティング装置。
【請求項13】
上流側から下流側へ液体を通流する流路上において、前記流路を流れる液体中の異物を検出する異物検出部と、
前記流路のうち前記異物検出部よりも上流側に設けられる、評価対象のフィルタである対象フィルタと、
制御部と、
を備えるフィルタ性能評価装置によるフィルタ性能評価方法であって、
前記流路のうち前記対象フィルタよりも上流側において、前記流路を介して、前記対象フィルタに対して異物の含有状態が互いに異なる複数種類の液体を個別に供給することと、
前記異物検出部によって、前記対象フィルタを通過しない液体に含まれる異物量と、前記対象フィルタを通過した後の液体に含まれる異物量と、を検出することと、
前記制御部によって、異物の含有状態が互いに異なる複数種類の液体を個別に供給したときの、それぞれの条件における、前記対象フィルタを通過しない液体に含まれる異物量と、前記対象フィルタを通過した後の液体に含まれる異物量と、に基づいて、前記対象フィルタの性能として、前記対象フィルタの異物捕集性能を算出することと、
を含む、フィルタ性能評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フィルタ性能評価装置、フィルタウェッティング装置及びフィルタ性能評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、液体をろ過するフィルタの状態を検知することを目的として、フィルタの一次側通路と二次側通路に異物センサを設け、2つの異物センサによる検出結果から異物の除去率を求める構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、フィルタの性能をより精度よく評価する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によるフィルタ性能評価装置は、上流側から下流側へ液体を通流する流路と、前記流路において、前記流路を流れる液体中の異物を検出する異物検出部と、前記流路のうち前記異物検出部よりも上流側に設けられる、評価対象のフィルタである対象フィルタと、前記流路のうち前記対象フィルタよりも上流側に設けられ、前記流路を介して、前記対象フィルタに対して異物の含有状態が互いに異なる複数種類の液体を個別に供給する異物含有状態調整部と、制御部と、を備え、前記異物検出部は、前記対象フィルタを通過しない液体に含まれる異物量と、前記対象フィルタを通過した後の液体に含まれる異物量と、を検出し、前記制御部は、異物の含有状態が互いに異なる複数種類の液体を個別に供給したときの、それぞれの条件における、前記対象フィルタを通過しない液体に含まれる異物量と、前記対象フィルタを通過した後の液体に含まれる異物量と、に基づいて、前記対象フィルタの性能として、前記対象フィルタの異物捕集性能を算出する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、フィルタの性能をより精度よく評価する技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、フィルタウェッティング装置の概略構成の一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、制御装置の機能上の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、制御装置のハードウェア上の構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4(a)及び
図4(b)は、フィルタの性能評価に係る考え方の一例を説明する図である。
【
図5】
図5(a)及び
図5(b)は、フィルタウェッティング装置においてフィルタの性能評価を行うための装置の制御内容の一例を説明する図である。
【
図6】
図6は、フィルタウェッティング装置においてフィルタの性能評価を行うための装置の制御内容の一例を説明する図である。
【
図7】
図7は、フィルタの種類による性能の違いの一例を説明する図である。
【
図8】
図8は、フィルタ性能評価方法の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、種々の例示的実施形態について説明する。
【0009】
一つの例示的実施形態において、フィルタ性能評価装置が提供される。フィルタ性能評価装置は、上流側から下流側へ液体を通流する流路と、前記流路において、前記流路を流れる液体中の異物を検出する異物検出部と、前記流路のうち前記異物検出部よりも上流側に設けられる、評価対象のフィルタである対象フィルタと、前記流路のうち前記対象フィルタよりも上流側に設けられ、前記流路を介して、前記対象フィルタに対して異物の含有状態が互いに異なる複数種類の液体を個別に供給する異物含有状態調整部と、制御部と、を備え、前記異物検出部は、前記対象フィルタを通過しない液体に含まれる異物量と、前記対象フィルタを通過した後の液体に含まれる異物量と、を検出し、前記制御部は、異物の含有状態が互いに異なる複数種類の液体を個別に供給したときの、それぞれの条件における、前記対象フィルタを通過しない液体に含まれる異物量と、前記対象フィルタを通過した後の液体に含まれる異物量と、に基づいて、前記対象フィルタの性能として、前記対象フィルタの異物捕集性能を算出する。
【0010】
上記のフィルタ性能装置によれば、異物含有状態調整部によって、対象フィルタに対して異物の含有状態が互いに異なる複数種類の液体が個別に供給される。そして、制御装置では、異物の含有状態が互いに異なる複数種類の液体を個別に供給したときの、それぞれの条件において、対象フィルタを通過しない液体に含まれる異物量と、対象フィルタを通過した後の液体に含まれる異物量と、に基づいて、対象フィルタの性能として、対象フィルタの異物捕集性能が求められる。異物の含有状態が互いに異なる複数種類の液体を用いて対象フィルタの特性を評価する構成とすることで、対象フィルタが液体中の異物の量によって異物の捕集性能が変化するフィルタであっても、その性能を精度よく評価することができる。
【0011】
前記流路は、前記対象フィルタの上流側で分岐し、前記対象フィルタの下流側で合流するバイパス流路をさらに含み、前記異物検出部は、前記バイパス流路の合流位置よりも前記流路の下流側に設けられ、前記制御部は、前記流路上に設けられたバルブの開閉によって、前記対象フィルタに液体を通過させるか、前記バイパス流路に液体を通過させるかを選択し、前記異物検出部は、前記対象フィルタに液体を通過させた場合に、前記対象フィルタを通過した後の液体に含まれる異物量を検出し、前記バイパス流路に液体を通過させた場合に、前記対象フィルタを通過しない液体に含まれる異物量を検出する態様としてもよい。
【0012】
上記の構成とすることで、バイパス流路の合流位置よりも流路の下流側に設けられた異物検出部によって、対象フィルタを通過しない液体に含まれる異物量と、対象フィルタを通過した後の液体に含まれる異物量との両方を検出することができる。また、制御部では、流路上に設けられたバルブの開閉によって、対象フィルタに液体を通過させるか、バイパス流路に液体を通過させるかを選択することができるため、簡単な構成によって上記の2つの状態を形成することができる。
【0013】
前記制御部は、異物の含有状態が互いに異なる複数種類の液体を個別に供給したときの、それぞれの条件における、前記対象フィルタを通過しない液体に含まれる異物量と、前記対象フィルタを通過した後の液体に含まれる異物量と、に基づいて、前記対象フィルタの性能として、前記対象フィルタの発塵性能も算出する態様としてもよい。
【0014】
フィルタの性能として、フィルタ自身から排出される異物に関する発塵性能も重要である。上記の構成とすることによって、制御装置では、異物の含有状態が互いに異なる複数種類の液体を個別に供給したときの、それぞれの条件において、対象フィルタを通過しない液体に含まれる異物量と、対象フィルタを通過した後の液体に含まれる異物量と、に基づいて、対象フィルタの発塵性能も求めることができる。したがって、対象フィルタの性能をさらに精度よく評価することができる。
【0015】
前記制御部は、異物の含有状態が互いに異なる複数種類の液体を個別に供給したときの、それぞれの条件における、前記対象フィルタを通過しない液体に含まれる異物量と、前記対象フィルタを通過した後の液体に含まれる異物量とから、前記異物捕集性能と前記発塵性能とを算出するための相関モデルを予め保持し、前記相関モデルに基づいて前記異物捕集性能と前記発塵性能を求める態様としてもよい。
【0016】
上記のように異物捕集性能と前記発塵性能とを算出するための相関モデルを予め保持しておき、相関モデルに基づいて異物捕集性能と発塵性能とを求める構成とすることで、より簡単且つ精度よく異物捕集性能と発塵性能とを求めることができる。
【0017】
前記異物含有状態調整部は、前記対象フィルタよりも上流側において、2つに分岐されると共に前記対象フィルタよりも上流側で合流する2つの分岐流路を含み、前記2つの分岐流路において前記異物の含有状態を互いに異ならせ、前記制御部は、前記流路上に設けられたバルブの開閉によって、前記2つの分岐流路のうち液体が流れる流路を選択する態様としてもよい。
【0018】
上記のように、2つの分岐流路を利用して異物の含有状態を互いに異ならせ、制御部が2つの分岐流路のうち液体が流れる流路を選択する構成とすることで、対象フィルタに対して異物の含有状態が互いに異なる複数種類の液体を個別に供給する構成をより簡単に実現することができる。
【0019】
前記異物含有状態調整部は、前記2つの分岐流路の一方の流路のみに設けられるフィルタを含む態様としてもよい。
【0020】
上記のように、2つの分岐流路の一方の流路のみに設けられるフィルタを利用して、異物の含有状態を互いに異ならせる構成とした場合、対象フィルタに対して異物の含有状態が互いに異なる複数種類の液体を個別に供給する構成をさらに簡単に実現することができる。
【0021】
前記制御部は、算出された前記対象フィルタの前記性能に基づいて、前記対象フィルタが劣化しているかを判定する態様としてもよい。
【0022】
上記の構成とすることで、算出されたフィルタの性能から、フィルタが劣化しているか否かを速やかに且つ精度よく判定することができる。
【0023】
前記制御部は、算出された前記対象フィルタの前記性能に基づいて、前記対象フィルタのウェッティング状態を評価する態様としてもよい。
【0024】
上記の構成とすることで、算出されたフィルタの性能から、フィルタのウェッティング状態を速やかに且つ精度よく評価することができる。
【0025】
別の例示的実施形態において、フィルタウェッティング装置が提供される。フィルタウェッティング装置は、対象フィルタに係るウェッティングを行うフィルタウェッティング装置であって、液体供給源と、前記液体供給源から供給される液体を上流側から下流側へ通流する流路と、前記流路において、前記流路を流れる液体中の異物を検出する異物検出部と、前記流路のうち前記異物検出部よりも上流側に設けられる前記対象フィルタと、前記流路のうち前記対象フィルタよりも上流側に設けられ、前記流路を介して、前記対象フィルタに対して異物の含有状態が互いに異なる複数種類の液体を個別に供給する異物含有状態調整部と、制御部と、を備え、前記流路は、前記対象フィルタの上流側で分岐し、前記対象フィルタの下流側で合流するバイパス流路をさらに含み、前記異物検出部は、前記バイパス流路の合流位置よりも前記流路の下流側に設けられ、前記制御部は、前記流路上に設けられたバルブの開閉によって、前記対象フィルタに液体を通過させるか、前記バイパス流路に液体を通過させるかを選択し、前記異物検出部は、前記対象フィルタに液体を通過させた場合に、前記対象フィルタを通過した後の液体に含まれる異物量を検出し、前記バイパス流路に液体を通過させた場合に、前記対象フィルタを通過しない液体に含まれる異物量を検出し、前記制御部は、異物の含有状態が互いに異なる複数種類の液体を個別に供給したときの、それぞれの条件における、前記対象フィルタを通過しない液体に含まれる異物量と、前記対象フィルタを通過した後の液体に含まれる異物量と、に基づいて、前記対象フィルタのウェッティング状態として、前記対象フィルタの異物捕集性能に係る情報を作成する。
【0026】
上記のフィルタウェッティング装置によれば、異物含有状態調整部によって、対象フィルタに対して異物の含有状態が互いに異なる複数種類の液体が個別に供給される。そして、制御装置では、異物の含有状態が互いに異なる複数種類の液体を個別に供給したときの、それぞれの条件において、対象フィルタを通過しない液体に含まれる異物量と、対象フィルタを通過した後の液体に含まれる異物量と、に基づいて、対象フィルタの性能として、対象フィルタの異物捕集性能が求められる。異物の含有状態が互いに異なる複数種類の液体を用いて対象フィルタの特性を評価する構成とすることで、対象フィルタの異物の捕集性能に係る情報が得られるため、その性能として、フィルタのウェッティング状態を精度よく評価することができる。また、上記の構成では、バイパス流路の合流位置よりも流路の下流側に設けられた異物検出部によって、対象フィルタを通過しない液体に含まれる異物量と、対象フィルタを通過した後の液体に含まれる異物量との両方を検出することができる。また、制御部では、流路上に設けられたバルブの開閉によって、対象フィルタに液体を通過させるか、バイパス流路に液体を通過させるかを選択することができるため、簡単な構成によって上記の2つの状態を形成することができる。
【0027】
前記制御部は、異物の含有状態が互いに異なる複数種類の液体を個別に供給したときの、それぞれの条件における、前記対象フィルタを通過しない液体に含まれる異物量と、前記対象フィルタを通過した後の液体に含まれる異物量と、に基づいて、前記対象フィルタのウェッティング状態として、前記対象フィルタの発塵性能に係る情報も作成する態様であってもよい。
【0028】
フィルタのウェッティング状態を把握する際の情報として、フィルタ自身から排出される異物に関する発塵性能も重要である。上記の構成とすることによって、制御装置では、異物の含有状態が互いに異なる複数種類の液体を個別に供給したときの、それぞれの条件において、対象フィルタを通過しない液体に含まれる異物量と、対象フィルタを通過した後の液体に含まれる異物量と、に基づいて、対象フィルタの発塵性能に係る情報を作成することができる。したがって、対象フィルタの性能としてのフィルタのウェッティング状態をさらに精度よく評価することができる。
【0029】
前記異物含有状態調整部は、前記対象フィルタよりも上流側において、2つに分岐されると共に前記対象フィルタよりも上流側で合流する2つの分岐流路を含み、前記2つの分岐流路において前記異物の含有状態を互いに異ならせ、前記制御部は、前記流路上に設けられたバルブの開閉によって、前記2つの分岐流路のうち液体が流れる流路を選択する態様であってもよい。
【0030】
2つの分岐流路を利用して異物の含有状態を互いに異ならせ、制御部が2つの分岐流路のうち液体が流れる流路を選択する構成とすることで、対象フィルタに対して異物の含有状態が互いに異なる複数種類の液体を個別に供給する構成をより簡単に実現することができる。
【0031】
前記異物検出部は、前記バイパス流路の合流位置よりも前記流路の下流側に代えて、前記バイパス流路の合流位置と前記対象フィルタとの間と、前記バイパス流路上との両方に個別に設けられ、前記制御部は、前記対象フィルタへの液体の通過と、前記バイパス流路への液体の通過と、を同時に行うように制御し、2つの前記異物検出部のうち、前記バイパス流路の合流位置と前記対象フィルタとの間に設けられた異物検出部によって、前記対象フィルタを通過した後の液体に含まれる異物量を検出し、2つの前記異物検出部のうち、前記バイパス流路上に設けられた前記異物検出部によって、前記対象フィルタを通過しない液体に含まれる異物量を検出する態様であってもよい。
【0032】
上記の構成によれば、対象フィルタへの液体の通過と、バイパス流路への液体の通過と、を同時に行われる。また、2つの異物検出部のうち、バイパス流路の合流位置と前記対象フィルタとの間に設けられた異物検出部によって、対象フィルタを通過した後の液体に含まれる異物量が検出される。そして、もう1つのバイパス流路上に設けられた前記異物検出部によって、対象フィルタを通過しない液体に含まれる異物量が検出される。2つの異物検出部を用いて、対象フィルタを通過した後の液体に含まれる異物量と対象フィルタを通過しない液体に含まれる異物量とを同時に検出されるので、流路を切り替える等の動作が不要となり2種類の液体が混合されて測定が行われるリスクを低減することができる。
【0033】
別の例示的実施形態において、フィルタ性能評価方法が提供される。上流側から下流側へ液体を通流する流路上において、前記流路を流れる液体中の異物を検出する異物検出部と、前記流路のうち前記異物検出部よりも上流側に設けられる、評価対象のフィルタである対象フィルタと、制御部と、を備えるフィルタ性能評価装置によるフィルタ性能評価方法であって、前記流路のうち前記対象フィルタよりも上流側において、前記流路を介して、前記対象フィルタに対して異物の含有状態が互いに異なる複数種類の液体を個別に供給することと、前記異物検出部によって、前記対象フィルタを通過しない液体に含まれる異物量と、前記対象フィルタを通過した後の液体に含まれる異物量と、を検出することと、前記制御部によって、異物の含有状態が互いに異なる複数種類の液体を個別に供給したときの、それぞれの条件における、前記対象フィルタを通過しない液体に含まれる異物量と、前記対象フィルタを通過した後の液体に含まれる異物量と、に基づいて、前記対象フィルタの性能として、前記対象フィルタの異物捕集性能を算出することと、を含む。
【0034】
上記のフィルタ性能評価方法によれば、対象フィルタに対して異物の含有状態が互いに異なる複数種類の液体が個別に供給された状態で、異物検出部による異物の検出が行われる。そして、制御装置では、異物の含有状態が互いに異なる複数種類の液体を個別に供給したときの、それぞれの条件において、対象フィルタを通過しない液体に含まれる異物量と、対象フィルタを通過した後の液体に含まれる異物量と、に基づいて、対象フィルタの性能として、対象フィルタの異物捕集性能が求められる。異物の含有状態が互いに異なる複数種類の液体を用いて対象フィルタの特性を評価する構成とすることで、対象フィルタが液体中の異物の量によって異物の捕集性能が変化するフィルタであっても、その性能を精度よく評価することができる。
【0035】
以下、図面を参照して種々の例示的実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0036】
[フィルタウェッティング装置]
一実施形態に係るフィルタウェッティング装置について
図1を参照しながら説明する。一実施形態に係るフィルタウェッティング装置1は、基板(ワーク)に対して処理液を吐出して種々の液処理を行う基板処理装置において使用されるフィルタに係るウェッティング処理を行う装置である。
【0037】
基板処理装置では、処理液の供給源と、基板に対して処理液を吐出するノズルとの間に、処理液を通す配管(流路)を含んだ供給系が設けられ得る。ウェッティングの対象となるフィルタは、供給系の配管に設けられて、処理液中の異物(パーティクル)を除去する機能を有する。ウェッティングとは、フィルタに対して通液を行う処理をいう。また、フィルタウェッティング装置とは、基板処理装置で使用するフィルタについて、基板処理での使用の前等所定のタイミングで、液体を通す処理を行う装置である。
【0038】
基板処理装置で使用されるフィルタは、製造時にフィルタ自体にパーティクルが混入する可能性がある。したがって、ウェッティングを行わずに、基板処理に使用した場合、液体(処理液)と接することによってフィルタ自体が保持しているパーティクルが下流側へ排出されてしまう可能性がある。この場合、フィルタ自体のパーティクルの捕集性能に関係なくパーティクルが下流側へ排出され、基板(ワーク)に供給されてしまう可能性がある。そのため、ウェッティングを行うことでフィルタに混入するパーティクルが下流側へ排出されるリスクを抑制する処理が行われる。このように、フィルタウェッティング装置では、フィルタが基板処理装置での使用に適した状態となるまでウェッティングが行われることが求められる。そこで、本実施形態に係るフィルタウェッティング装置では、フィルタによる異物除去に係る性能を確認しながら、フィルタウェッティングを行う。つまり、本実施形態に係るフィルタウェッティング装置は、フィルタ性能評価装置としての機能も有する。
【0039】
図1では、フィルタウェッティング装置1の概略構成を示している。
図1に示されるように、対象フィルタに対して処理液を通液するための処理液供給源10(液体供給源)と、送液系30と、異物検出部70を備える。送液系30は、処理液を供給する流路および流路中の送液のためのポンプ、バルブ等を含んで構成される。送液系30は、送液の調整等に使用され得る不活性ガスを供給するガス供給系50も含んで構成される。さらに、フィルタウェッティング装置1は、上記の各部を制御する制御装置100(制御部)を含んで構成される。
【0040】
処理液は処理液供給源10から供給され得る。フィルタウェッティング装置1における「処理液」とは、フィルタウェッティングまたはフィルタの性能評価に適した液体であり、例えば、基板処理装置において基板の洗浄のための洗浄液として使用されるシンナー等を用いることができる。ただし、処理液として使用できる液体の種類は、基板の洗浄液に限定されない。処理液供給源10は処理液を貯留するタンクであり、送液系30に対して着脱可能とされている。
【0041】
処理液供給源10にはガス供給系50が接続されている。具体的には、処理液供給源10には、ガス供給系50に含まれるバルブV51が設けられたガス供給路R51を介して、例えば窒素(N2)等の不活性ガスを供給するガス供給源51が接続されている。ガス供給源51及びガス供給路R51は、処理液供給源10内の液面を加圧して処理液供給源10から処理液を移動させる加圧機構を構成している。また、ガス供給路R51には、不活性ガスを排気するための経路が別途設けられていてもよい。なお、ガス供給源51およびガス供給路R51は、処理液供給源10から下流の流路Lに対して処理液を移動させるためのガス供給系統としての機能を有している。
【0042】
処理液供給源10に接続されるメイン流路L1には、送液系30として、上流側から順にバルブV1、中間タンク31、上流側フィルタ部32、ポンプ流路系40、及び、バルブV2が設けられている。
【0043】
中間タンク31は、処理液供給源10内の処理液を貯留し、吸い込み、吸い込んだ処理液を下流へ向けて送り出す。中間タンク31の上面に処理液供給源10からの流路が接続され、下面には下流の上流側フィルタ部32への流路が接続されてもよい。中間タンク31は、例えば、処理液を収容する収容室を有し、収容室を収縮させる収縮部を有するポンプとしての機能を有していてもよい。その場合、中間タンク31には、例えば、チューブフラムポンプ、ダイヤフラムポンプ、または、ベローズポンプが用いられてもよい。なお、中間タンク31には、内部の気体を排出するための排出管31aが設けられていてもよい。排出管31aは、例えば、収容室において処理液中から分離された気体を排出するために使用されてもよい。
【0044】
上流側フィルタ部32は、ポンプ流路系40の上流において、メイン流路L1を流れる処理液中のパーティクルを除去するためのフィルタが設置される。また、上流側フィルタ部32の上流側及び下流側に接続されるバイパス路L11が設けられる。上流側のバイパス路L11との分岐点よりも下流側のメイン流路L1上、及び、バイパス路L11には、それぞれ、処理液の流路を切り替えるためのバルブV11,V12が設けられる。バルブV11,V12の開閉を制御することによって、処理液が流れる流路を切り替えることが可能となる。バイパス路L11、メイン流路L1のうちバイパス路L11と並行して設けられる区間、上流側フィルタ部32、バルブV11,V12は、異物含有状態調整部としての機能を有する。この点は後述する。
【0045】
ポンプ流路系40は、下流側から順に、ポンプ41と、トラップ部42と、フィルタ部43と、バルブV40を含んでいる。フィルタ部43には、処理液中のパーティクルを除去するためのフィルタが装着される。
【0046】
ポンプ41は処理液を下流側の異物検出部70が設けられている流路に向けて排出するに吐出するためのものであり、例えばダイヤフラムポンプからなる。ポンプ41は、加圧部411およびポンプ内流路412を含む。加圧部411は、例えば、圧縮空気を用いてポンプ内流路412を加圧する。また、ポンプ内流路412は、例えばフラム部を有し、加圧部411の加圧によってその形状を強制的に変更し得る。圧縮空気を調整することで、ポンプ内流路412が変形し、処理液を受け入れ及び送り出しを行う。
【0047】
なお、ポンプ41には、液供給用のバルブV41、液排出用のバルブV42、及びベント用のバルブV43が設けられる。ベント用のバルブV43とトラップ部42との間は接続路L41により接続されている。また、メイン流路L1におけるバルブV40の上流側とポンプ41との間にはトラップ部42を介して、フィルタ部43をバイパスすると共にバルブV45を備えたバイパス路L42が設けられている。
【0048】
フィルタ部43及びトラップ部42は、それぞれベント用のバルブ(図示せず)を有する排出路L43に接続されている。トラップ部42は、処理液から機体を分離する機能を有する。また、フィルタ部43には、ウェッティングの対象となるフィルタが取り付けられる。すなわち、フィルタ部43に取り付けられるフィルタは、ウェッティングの対象であり、且つ、性能評価の対象となるフィルタ(対象フィルタ)である。
【0049】
上記の送液系30に設けられるバルブは、例えば、エアオペレーションバルブを用いることができる。ただし、バルブの構成はこれに限定されるものではない。
【0050】
異物検出部70は、メイン流路L1を流れる処理液中の異物の数(異物量)を測定する。異物検出部70としては、例えば、測定光を流路中の処理液に対して照射することによって発生する散乱光に基づいてパーティクルを検出する、公知のパーティクルカウンタを用いることができる。ただし、異物検出部70の種類は特に限定されない。なお、本実施形態で説明する「異物量」とは、処理液中(例えば、所定量の処理液中)の異物の実数であってもよいが、異物がどの程度含有しているかを示す値であればよく、実数に限定されない。例えば、散乱光の測定等の光学測定、またはその他の測定方法によって得られた異物の含有程度を示す情報を、含有程度を示す数値に換算し、その値を異物量として取り扱ってもよい。
【0051】
メイン流路L1を流れた処理液は、異物検出部70を通過した後、外部へ排出される。
【0052】
次に、
図2を参照して、制御装置100について詳細に説明する。制御装置100は、フィルタのウェッティングのための機能として、処理液供給源10からメイン流路L1へ処理液を供給し、メイン流路L1から外部へ送出する機能を有する。また、制御装置100は、フィルタの性能を評価するための送液系30の各部を制御、異物検出部70による異物の検出結果の取得及びその分析を行う機能を有する。
【0053】
なお、フィルタウェッティング装置1に含まれるメイン流路L1、バイパス路L11、接続路L41、バイパス路L42、及び、排出路L43は、いずれも処理液を通流させる管路(通路)となる。したがって、これらの管路をまとめて「流路」という。
【0054】
図2に示されるように、制御装置100は、機能上のモジュール(以下、「機能モジュール」という。)として、送液制御部101、測定条件制御部102、異物検出結果取得部103、フィルタ性能推定部104、及び結果出力部105を含んで構成される。
【0055】
送液制御部101は、フィルタウェッティング装置1における各部を制御し、処理液供給源10からメイン流路L1へ処理液を供給し、メイン流路L1から外部へ送出する制御を行う。また、対象フィルタのウェッティングを行う場合には、送液系30及びポンプ流路系40を制御し、フィルタ部43に装着されたフィルタに対して処理液が流れるようにする。また、フィルタの性能を評価する場合には、測定条件制御部102によって指示される制御内容に基づいて、所定の経路に処理液が流れるように送液系30及びポンプ流路系40を制御する。
【0056】
測定条件制御部102は、フィルタの性能を評価するための条件を制御する。フィルタの性能の評価方法に関して詳細は後述するが、バルブV11,L12の開閉及びバルブV40,V45の開閉を制御して、測定条件に対応した流路を処理液が流れるように制御する。そのため、測定条件制御部102は、バルブの開閉による流路の切り替えを行う機能を有する流路切替部111と、フィルタの性能を評価する際の条件に係る情報を保持する機能を有する測定条件情報保持部112とを含んで構成される。なお、流路切替部111は、フィルタの性能を評価する際の測定条件として、フィルタに供給される処理液の異物の含有状態を調整する異物含有状態調整部としての機能も有する。
【0057】
異物検出結果取得部103は、測定条件制御部102による測定条件において、処理液を流路内に供給した際の異物検出部70による測定結果を取得する機能を有する。異物検出部70による測定結果は、フィルタ性能推定部104によるフィルタ性能の推定に使用される。
【0058】
フィルタ性能推定部104は、異物検出結果取得部103によって取得された異物検出部70による測定結果に基づいて、評価対象のフィルタについて、その性能を評価する。評価するフィルタの性能とは、フィルタによって処理液中の異物をどの程度できるかに係る捕集性能と、フィルタ自体が保持していた異物をどの程度排出するかを示す発塵性能と、を含む。詳細は後述する。
【0059】
結果出力部105は、フィルタ性能推定部104によるフィルタ性能の推定結果を出力する機能を有する。なお、結果出力部105は、異物検出結果取得部103が取得した異物検出部70による測定結果について出力する機能を有していてもよい。出力先は特に限定されず、例えば、フィルタウェッティング装置1の使用者が使用する他の端末装置等の外部装置が挙げられる。
【0060】
制御装置100は、一つ又は複数の制御用コンピュータにより構成される。例えば、制御装置100は、
図3に示される回路120を有する。回路120は、一つ又は複数のプロセッサ121と、メモリ122と、ストレージ123と、入出力ポート124と、タイマ125と、を備える。
【0061】
ストレージ123は、例えばハードディスク等、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を有する。記憶媒体は、後述の液処理手順をフィルタウェッティング装置1に実行させるためのプログラムを記録している。記憶媒体は、不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスクおよび光ディスク等の取り出し可能な媒体であってもよい。メモリ122は、ストレージ123の記憶媒体からロードしたプログラムおよびプロセッサ121による演算結果を一時的に記録する。プロセッサ121は、メモリ122と協働して上記プログラムを実行することで、上述した各機能モジュールを構成する。入出力ポート124は、フィルタウェッティング装置1の各部との間で電気信号の入出力を行う。
【0062】
なお、制御装置100のハードウェア構成は、必ずしもプログラムにより各機能モジュールを構成するものに限られない。例えば制御装置100の各機能モジュールは、専用の論理回路又はこれを集積したASIC(Application Specific Integrated Circuit)により構成されていてもよい。
【0063】
[フィルタ性能の評価方法について]
フィルタウェッティング装置1で行うフィルタ性能の評価方法について説明する。まず、
図4を参照しながら、流路上に設けられたフィルタと流路中のパーティクルとの関係について説明する。
【0064】
図4(a)に示すように、流路P上にフィルタFが設けられた状態を仮定する。ここで、フィルタFの上流側の流路Pを流れる液体に含まれるパーティクル量をXとし、フィルタFを通過した後の下流側の流路Pを流れる液体に含まれるパーティクル量をYとする。下流側の流路Pにおけるパーティクル量Yは、液体にもともと含まれるパーティクル量Xに対して係数aを乗じたパーティクル量aXと、フィルタFから排出されたパーティクル量bの和として記述することができる。つまり、「Y=aX+b」の関係を示すことになる。このとき、フィルタFを通過することによってパーティクルがどの程度低減されるかを示すパーティクル除去率については、上記の係数aを用いて1-aと記述することができる。この「1-a」がフィルタの「捕集性能」ということができる。一方、上記の「Y=aX+b」の式における係数bは、フィルタFから排出されたパーティクル量であるので、この係数bがフィルタの「発塵性能」に相当する。したがって、上記の式における係数a及び係数bがわかれば、フィルタの性能を把握することができたといえる。
【0065】
上記の係数a,bを含む式「Y=aX+b」は、例えば、
図4(b)のように記述することができる。横軸を
図4(a)に示す上流側のパーティクル量Xとし、縦軸を
図4(a)に示す下流側のパーティクル量Yとすると、上記式は1次関数の直線として記述することができる。このとき、
図4(b)に示すように上流側のパーティクル量を2条件(X
1,X
2)設定して互いに異なるパーティクル量を含む液体をフィルタFに通液すると、各条件での下流側のパーティクル量は互いに異なる量(Y
1,Y
2)になると予測される。したがって、これらの結果を
図4(b)に示すようにプロットすると、近似式を求めることによって、係数a,bを推測することが可能となるため、フィルタの捕集性能(1-a)及び発塵性能(b)を求めることが可能となる。
【0066】
フィルタウェッティング装置1では、
図4に示す方法のように、パーティクル量が異なる2種類の液体を対象フィルタ、つまり、フィルタ部43に装着されるフィルタに対して通液させることで、フィルタ性能を評価している。具体的には、装置内の流路を切り替えることで、上記手法を実現している。
【0067】
図5(a)は、フィルタウェッティング装置1のうち、フィルタ性能評価に関係する部分を模式的に示したものである。
図5(a)では、メイン流路L1、メイン流路L1上の上流側フィルタ部32、上流側フィルタ部32の上流及び下流に接続されているバイパス路L11を示している。さらに、その下流に、メイン流路L1上のフィルタ部43、及び、フィルタ部43と並行して設けられているバイパス路L42を示している。この構成では、上流側において上流側フィルタ部32を通るメイン流路L1とバイパス路L11とから処理液の経路を選択し、下流側においてフィルタ部43を通るメイン流路L1とバイパス路L42とから処理液の経路を選択することができる。この結果、
図5(b)に示すように4パターン(条件1~4)の流路を形成することができる。
【0068】
上流側の2つの分岐した経路(分岐経路;上流側フィルタ部32を通るメイン流路L1及びバイパス路L11)は、対象フィルタを通過させる処理液に含まれるパーティクルの量を上流側フィルタ部32のフィルタによって調整したものである。すなわち、上流側の2種類の経路のどちらの経路を選択するかによって、評価に利用する処理液のパーティクル量を調整することができる。また、下流側の2種類の経路(フィルタ部43を通るメイン流路L1及びバイパス路L42)は、処理液がフィルタ部43を通過する場合と、通過しない場合とを特定することができる。
【0069】
具体的には、
図5(b)に示す、条件1(上流側フィルタ部32+バイパス路L42)と、条件2(バイパス路L11+バイパス路L42)とは、いずれも対象フィルタを通過しない条件での処理液のパーティクル量を測定するものである。これは、
図6に示すように、
図4(b)に対応する2つの条件(X
1,X
2)を算出することに相当する。また、条件3(上流側フィルタ部32+フィルタ部43)と、条件4(バイパス路L11+フィルタ部43)とは、いずれも対象フィルタを通過した条件での処理液のパーティクル量を測定するものである。これは、
図6に示すように、
図4(b)に対応する2つの条件(Y
1,Y
2)を算出することに相当する。このように4つの条件において処理液を通液させた場合のパーティクル量の計測結果から、
図6に示すようにY=aX+bの関係式における係数a,bを算出することが可能となる。
【0070】
フィルタウェッティング装置1の制御装置100は、バルブV11,V12,V40,V45の開閉を利用して上記の4つの条件を設定し、それぞれの状態で処理液を通液させて、異物検出部70による測定を行う。この結果に基づいて、近似式を作成することで、係数a,bを算出することによってフィルタの捕集性能と発塵性能とを個別に評価することができる。上記のバルブの開閉の設定等は、制御装置100の測定条件情報保持部は112に保持される。
【0071】
また、上記の4つの条件による測定結果からどのように近似式を作成し係数a,bを算出するかについての情報は、フィルタ性能推定部104において保持されていてもよい。
上記の4つの条件による測定結果と、捕集性能及び発塵性能との相関関係を示す情報は、制御装置100において相関モデルとして取り扱われてもよい。
【0072】
図7は、フィルタの種類によって捕集性能及び発塵性能が異なることを確認した結果の一例を示している。フィルタ1~3は、互いに異なる材質によって作成されたフィルタである。
図7では、フィルタ1~3に対して、上記の4つの条件を設定して同一の処理液を供給した場合に、異物検出部70で検出されたパーティクル量から、パーティクル除去率、すなわち捕集性能(1-a)と、発塵性能(b)とを算出した結果を示している。パーティクル除去率が100%に近くなると、捕集性能が高いことを示す。一方、発塵性能(b)は、0に近いほど性能が高いことを示す。
図7に示すように、フィルタ1とフィルタ3とを比較すると、パーティクル除去率(1-a)はどちらも同程度であるが、発塵性能(b)はフィルタ3と比べてフィルタ1が十分に高くなっている。一方、フィルタ2はフィルタ1,3と比べてパーティクル除去率(1-a)が高く、発塵性能(b)はフィルタ1よりやや低い。この結果は、フィルタの材質による特性の差を評価したものであるが、同一材質から作成されたフィルタにおいても、個体間で特性の差が生じる場合がある。また、
図7に示す結果から、捕集性能(パーティクル除去率)と発塵性能とは関連性があまりないことが予想される。このため、2つの性能を個別に評価することで、フィルタの性能をより正確に把握することが可能となる。
【0073】
なお、制御装置100のフィルタ性能推定部104では、上記のフィルタの捕集性能と発塵性能との評価結果に基づいて、評価対象のフィルタを基板処理装置における基板の処理時に使用してよいかを判定してもよい。捕集性能または発塵性能に問題があるフィルタを基板の処理に使用すると、パーティクルの残存量が大きな処理液が基板に供給される可能性がある。そのため、フィルタウェッティング装置1において、基板処理時に使用可能なフィルタであるかを判断するための基準の捕集性能及び発塵性能を予め設定してもよい。この場合、捕集性能及び発塵性能が所定の条件を満たさない場合には、フィルタが劣化しているため、当該フィルタは使用不可であると判定する、という運用を行ってもよい。
【0074】
また、フィルタ性能推定部104では、上記のフィルタの捕集性能と発塵性能との評価結果に基づいて、フィルタのウェッティングが適切に行われたかを評価してのよい。例えば、フィルタのウェッティングが十分に行われていない状況では、発塵性能が安定しない、すなわち、フィルタから下流に排出されるパーティクルの量が安定しない(例えば増加する)ことが想定される。また、このような状態では、フィルタの捕集性能も安定しない可能性がある。そこで、フィルタの種類等に応じて、ウェッティングが十分行われたと判断するための基準の捕集性能及び発塵性能を予め設定してもよい。この場合、捕集性能及び発塵性能が所定の条件を満たさない場合にはフィルタウェッティングが不十分ではないとして、フィルタのウェッティング処理を再度行うという運用を行ってもよい。
【0075】
[フィルタ性能の評価方法(推定方法)]
図8を参照しながら、上記のフィルタウェッティング装置におけるフィルタ性能の評価方法の一例について説明する。
【0076】
本実施形態では、フィルタウェッティング装置1においてウェッティングを行った後のフィルタを対象フィルタとし、そのフィルタにつてウェッティングが十分に行われたかどうかを評価する手順について説明する。そのため、前提として、フィルタ部43に対して対象となるフィルタが取り付けられた状態で、当該フィルタに対するウェッティング処理が行われたものとする。
【0077】
まず、ステップS01では、制御装置100は、性能の評価を行うための条件設定を行う。具体的には、制御装置100の測定条件制御部102において、測定条件情報保持部112に保持されている情報に基づいて、流路切替部111が流路の切替えを行う。例えば、
図5(b)に示す条件1の設定とする場合には、流路切替部111は、バルブV11を開状態とし、バルブV12を閉状態とし、バルブV40を閉状態とし、バルブv45を開状態とする。
【0078】
次に、ステップS02では、流路内に処理液を通液させる。具体的には、制御装置100の送液制御部101は、処理液供給源10から処理液をメイン流路L1に供給する。処理液は所定の流路を流れて、下流の異物検出部70を通過し、外部へ排出される。このとき、異物検出部70では、処理液中のパーティクルの測定が行われ、計測結果は制御装置100へ送られる。制御装置100の異物検出結果取得部103は異物検出部70から送信される測定結果を取得する。所定量の処理液を通液させると、処理液供給源10からの処理液の供給を停止する。
【0079】
上記のステップS01,S02は、例えば、上述の4つの条件それぞれでの送液・測定が終了するまで繰り返される。つまり、ステップS03において、全条件での測定が終了したと判定される(S03-YES)まで、ステップS01,S02が繰り返される。
【0080】
全条件での測定が終了すると、ステップS04として、フィルタ性能の評価が行われる。具体的には、制御装置100のフィルタ性能推定部104では、異物検出結果取得部103が取得した結果に基づいて、フィルタの性能を推定する。フィルタ性能を推定する方法は上述の通りであり、4つの条件で処理液を通液させた際の異物の検出結果から、上記の近似式(Y=aX+b)を算出し、係数a,bを算出し、パーティクルの捕集性能(1-a)と、発塵性能(b)とを算出する。
【0081】
次に、ステップS05では、予め定められた基準に基づいて、フィルタの性能が安定しているかどうかを判定する。具体的には、制御装置100のフィルタ性能推定部104は、上記の手順によって算出された捕集性能及び発塵性能が予め設定された条件を満たしているかに基づいて、フィルタ性能が安定しているかを判定する。これは、ウェッティングが十分に行われた状態であるかの判定に相当する。この結果、フィルタ性能が安定していないと判断した場合(S05-NO)は、フィルタウェッティング装置1におけるウェッティング処理を再度行うこととして、制御装置100におけるウェッティングに係る制御を実行する(ステップS06)。なお、ウェッティング処理(S06)の実行後、ウェッティングが十分行われたかを確認するために、上記の一連の処理(S01~S05)を再度行うこととしてもよい。一方、フィルタ性能が安定したと判断した場合(S05-YES)は、一連の処理を終了する。
【0082】
なお、ウェッティングが十分であるかに代えて、対象フィルタが劣化しているか否かを判定する場合、ステップS05において、対象フィルタの性能が良品として適切か否かを判定してもよい。そして、フィルタ性能が良品として適切ではないと判断した場合(S05-NO)は、対象フィルタが劣化していることを通知するアラーム等を発出して処理を終了する構成としてもよい。
【0083】
[作用]
上記のフィルタ性能装置としての機能を含むフィルタウェッティング装置1によれば、異物含有状態調整部によって、対象フィルタ(フィルタ部43に装着されるフィルタ)に対して異物の含有状態が互いに異なる複数種類の液体が個別に供給される。また、この状態で異物検出部70による測定が行われる。そして、制御装置100では、異物の含有状態が互いに異なる複数種類の液体を個別に供給したときの、それぞれの条件において、対象フィルタを通過しない液体に含まれる異物量と、対象フィルタを通過した後の液体に含まれる異物量と、に基づいて、対象フィルタの性能として、対象フィルタの異物捕集性能が求められる。異物の含有状態が互いに異なる複数種類の液体を用いて対象フィルタの特性を評価する構成とすることで、対象フィルタが液体中の異物の量によって異物の捕集性能が変化するフィルタであっても、その性能を精度よく評価することができる。
【0084】
流路は、対象フィルタの上流側で分岐し、対象フィルタの下流側で合流するバイパス流路としてのバイパス路L42をさらに含んでいてもよい。また、異物検出部70は、バイパス路L42の合流位置よりも流路の下流側に設けられてもよい。さらに、制御装置100は、流路上に設けられたバルブV40,V45の開閉によって、対象フィルタに液体を通過させるか、バイパス流路に液体を通過させるかを選択してもよい。そして、異物検出部70は、対象フィルタに液体を通過させた場合に、対象フィルタを通過した後の液体に含まれる異物量を検出し、バイパス路L42に液体を通過させた場合に、対象フィルタを通過しない液体に含まれる異物量を検出してもよい。上記の構成とすることで、バイパス路L42の合流位置よりも流路の下流側に設けられた異物検出部によって、対象フィルタを通過しない液体に含まれる異物量と、対象フィルタを通過した後の液体に含まれる異物量との両方を検出することができる。また、制御装置100では、流路上に設けられたバルブV40,V45の開閉によって、対象フィルタに液体を通過させるか、バイパス流路に液体を通過させるかを選択することができるため、簡単な構成によって上記の2つの状態を形成することができる。
【0085】
フィルタの性能として、フィルタ自身から排出される異物に関する発塵性能も重要である。そこで、制御装置100は、異物の含有状態が互いに異なる複数種類の液体を個別に供給したときの、それぞれの条件における、対象フィルタを通過しない液体に含まれる異物量と、対象フィルタを通過した後の液体に含まれる異物量と、に基づいて、対象フィルタの発塵性能も算出してもよい。上記の構成とすることによって、制御装置100では、対象フィルタの発塵性能も求めることができる。したがって、対象フィルタの性能をさらに精度よく評価することができる。
【0086】
制御装置100は、異物の含有状態が互いに異なる複数種類の液体を個別に供給したときの、それぞれの条件における、対象フィルタを通過しない液体に含まれる異物量と、対象フィルタを通過した後の液体に含まれる異物量とから、異物捕集性能と発塵性能とを算出するための相関モデルを予め保持してもよい。また、この相関モデルに基づいて異物捕集性能と発塵性能を求めてもよい。このような構成とすることで、より簡単且つ精度よく異物捕集性能と発塵性能とを求めることができる。
【0087】
異物含有状態調整部は、対象フィルタよりも上流側において、2つに分岐されると共に前記対象フィルタよりも上流側で合流する2つの分岐流路、すなわち、上流側フィルタ部32前後の区間のメイン流路L1と、バイパス路L11と、を含んでもよい。また、2つの分岐流路において異物の含有状態を互いに異ならせてもよい。このとき、制御装置100は、流路上に設けられたバルブV11,V12の開閉によって、2つの分岐流路のうち液体が流れる流路を選択してもよい。上記の構成とすることで、対象フィルタに対して異物の含有状態が互いに異なる複数種類の液体を個別に供給する構成をより簡単に実現することができる。
【0088】
さらに、異物含有状態調整部は、2つの分岐流路の一方の流路のみに設けられるフィルタ、すなわち、上流側フィルタ部32に装着されるフィルタを含んでもよい。この場合、上流側フィルタ部32に装着されるフィルタを利用して、異物の含有状態を互いに異ならせる構成とできるので、対象フィルタに対して異物の含有状態が互いに異なる複数種類の液体を個別に供給する構成をさらに簡単に実現することができる。
【0089】
制御装置100は、算出された対象フィルタの性能に基づいて、対象フィルタが劣化しているかを判定してもよい。この場合、算出されたフィルタの性能から、フィルタが劣化しているか否かを速やかに且つ精度よく判定することができる。
【0090】
制御装置100は、算出された対象フィルタの性能に基づいて、対象フィルタのウェッティング状態を評価してもよい。この場合、算出されたフィルタの性能から、フィルタのウェッティング状態を速やかに且つ精度よく評価することができる。
【0091】
[変形例]
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な省略、置換、および変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。
【0092】
例えば、フィルタウェッティング装置1におけるフィルタ性能評価装置としての構成は適宜変更され得る。例えば、上記の手法を用いてフィルタの性能を評価するためには、パーティクルの量が互いに異なる2種類の処理液(液体)を準備することが必要である。上記のフィルタウェッティング装置1では、2種類の処理液を対象フィルタに供給するための構成として、上流側フィルタ部32を通過するメイン流路L1と、上流側フィルタ部32を通過しないバイパス路L11とを組み合わせることで、パーティクルの量が互いに異なる2種類の処理液を対象フィルタに通過させる構成とした。しかしながら、例えば、パーティクルの量が互いに異なる2種類の処理液を対象フィルタに供給するための構成として、処理液供給源10から供給する処理液自体を2種類準備し、流路全体として互いに異なる2種類の処理液を供給する構成としてもよい。さらに、上流側フィルタ部32におけるフィルタを用いてパーティクルの量を調整することに代えて、例えば、流路の途中でパーティクルを添加する等、上記実施形態で説明した構成とは異なる構成を採用してもよい。上流側フィルタ部32を通過するメイン流路L1と、上流側フィルタ部32を通過しないバイパス路L11とを組み合わせる上記実施形態とは異なる構成を採用する場合、バイパス路L11を使用しない構成としてもよい。
【0093】
また、上記の手法を用いてフィルタの性能を評価するためには、対象フィルタを通過する前と通過した後とでパーティクルの量がどの程度変化したかを示す情報として、通過前後のパーティクル量(X,Y)を把握する必要がある。上記実施形態ではこの情報を得るために、対象フィルタを通過しないバイパス路L42に処理液を流す条件(
図5における条件1,2)を設定し、これらの条件で異物検出部70による測定を行うことで、通過前にパーティクル量(X)を取得した。この構成に対して、例えば、異物検出部70をフィルタ部43よりも上流側に設定できるのであれば、バイパス路L42を用いた測定を行うことに代えて、フィルタ部43に対して処理液を供給しながら、上流側と下流側との流路上で異物検出部70による測定を個別に行ってもよい。この場合、例えば、
図5に示す条件1,3に対応する測定を同時に行うことが可能となる。このように、フィルタの性能評価を行うための測定条件を実現するための装置構成は適宜変更することができる。
【0094】
また、2つの異物検出部70を用いることができる場合、例えば、フィルタ部43の下流であって、バイパス路L42との合流位置(
図1ではトラップ部42)よりも上流側のメイン流路L1と、バイパス路L42上と、の両方に異物検出部70を設けて、両方の異物検出部70が設けられている流路に同時に処理液が供給されるように制御装置100が制御した上で、両方の異物検出部70において異物を検出する構成としてもよい。2つの流路に同時に処理液が流れるように制御するして2つの異物検出部70による測定を行う構成とした場合、一方を流れる処理液が他方の流路に流れることは防がれる。したがってフィルタ部43を通過した処理液と、フィルタ部43を通過しない処理液とが混合された状態で異物検出部70による測定が行われることが防がれる。なお、2つの流路内での処理液の流量を安定させるための流路の構成変更等が行われてもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、フィルタウェッティング装置1において、フィルタの性能評価を行う場合について説明したが、上記で説明したフィルタの性能評価を行うための構成は、フィルタウェッティング装置とは別の装置に搭載させる構成としてもよい。例えば、フィルタの性能評価を行うためだけの装置構成としてもよい。その場合、
図1に示した各部のうち、フィルタの性能評価とは関係しない部分を備えていなくてもよい。また、フィルタの性能評価に係る構成を、例えば基板処理装置に搭載する構成としてもよい。この場合、メイン流路L1の最下流にはノズルが取り付けられ、ノズルから基板に対して処理液を吐出する構成としてもよい。この場合、異物検出部70としてパーティクルカウンタを用いることに代えて、例えば基板に対して吐出された処理液における異物(パーティクル)の分散状態を撮像し、撮像によって得られた画像から異物量を求める構成としてもよい。
【0096】
また、上記実施形態では、フィルタウェッティング装置1において、制御装置100のフィルタ性能推定部104において係数a,bを算出する構成としたが、別の構成として、フィルタウェッティング装置と、フィルタ性能評価に係る計算を行う装置とを別体として設けてもよい。具体的には、フィルタウェッティング装置では、係数a,bの算出自体は行わず、異物検出結果取得部103によって異物検出部70による検出結果を取得するのみとしてもよい。この場合、フィルタ性能の推定に係る計算を行う装置を別途設けて、フィルタウェッティング装置において取得された異物検出結果は別途設けられた装置で行う構成としてもよい。このように、フィルタの性能評価に係る一連の処理に係る機能は、フィルタウェッティング装置と、他の装置とに分散して搭載されていてもよい。
【0097】
以上の説明から、本開示の種々の実施形態は、説明の目的で本明細書で説明されており、本開示の範囲及び主旨から逸脱することなく種々の変更をなし得ることが、理解されるであろう。したがって、本明細書に開示した種々の実施形態は限定することを意図しておらず、真の範囲と主旨は、添付の特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0098】
1…フィルタウェッティング装置、10…処理液供給源、30…送液系、32…上流側フィルタ部、40…ポンプ流路系、43…フィルタ部、50…ガス供給系、70…異物検出部、100…制御装置。