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  • 特開-屠体冷却システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057738
(43)【公開日】2023-04-24
(54)【発明の名称】屠体冷却システム
(51)【国際特許分類】
   A22C 21/00 20060101AFI20230417BHJP
【FI】
A22C21/00 A
A22C21/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021167397
(22)【出願日】2021-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000148357
【氏名又は名称】株式会社前川製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】江原 誠
(72)【発明者】
【氏名】田上 諒
(72)【発明者】
【氏名】高見 太郎
【テーマコード(参考)】
4B011
【Fターム(参考)】
4B011FA01
(57)【要約】
【課題】コンベアによって搬送された懸吊部から屠体を外す工程と、冷却後に屠体を再度懸吊部に取り付ける工程が発生せず、容易に屠体を冷却することのできる屠体冷却システムを提供する。
【解決手段】
屠体冷却システム1は、屠体Dが吊るされた懸吊部10と、懸吊部に吊るされた屠体に対して水を散水する散水部30と、散水部によって散水される水を冷却する冷凍機40と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屠体が吊るされる懸吊部と、
前記懸吊部に吊るされた前記屠体に対して水を散水する散水部と、
前記散水部によって散水される前記水を冷却する冷凍機と、を有する屠体冷却システム。
【請求項2】
前記散水部は、前記屠体の内部に向けて前記水を散水する、請求項1に記載の屠体冷却システム。
【請求項3】
前記懸吊部を上流から下流に向けて搬送するコンベアをさらに有し、
前記散水部は、前記懸吊部が前記コンベアによって搬送される搬送経路上に複数設けられる、請求項1に記載の屠体冷却システム。
【請求項4】
前記コンベアは、前記懸吊部を前記上流から前記下流に向けて蛇行するように搬送する、請求項3に記載の屠体冷却システム。
【請求項5】
前記散水部によって前記屠体に対して散水された前記水を貯蔵する貯蔵部と、
前記貯蔵部および前記冷凍機を連結する配管と、
前記貯蔵部に貯蔵された前記水を前記冷凍機および前記散水部にくみ上げるポンプと、を有する、請求項3または4に記載の屠体冷却システム。
【請求項6】
前記貯蔵部は、前記上流から前記下流に沿って、複数の区画に区分けされている、請求項5に記載の屠体冷却システム。
【請求項7】
前記下流側から補給水を供給する供給部をさらに有する、請求項3~6のいずれか1項に記載の屠体冷却システム。
【請求項8】
前記懸吊部および前記散水部は、鉛直方向に沿って複数段設けられる、請求項1~7のいずれか1項に記載の屠体冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屠体冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
牛、馬、豚、羊、鳥等の食用動物を屠殺して、毛皮・内臓などが除去された屠体は、解体、加工等された後、冷蔵又は冷凍されて保存される。例えば鳥の場合、屠殺、放血、脱毛または脱羽、内臓取り出し、冷却、解体、冷蔵等の各処理が行われた後に、商品として流通する。
【0003】
従来から、屠体の冷却として、冷水が貯められた冷却水槽に屠体を投入して長時間浸漬させるという冷水浴によって冷却することが行われている(例えば、下記の特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-262704号公報の図5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の方法の場合、水槽に屠体を浸漬させるために、コンベアによって搬送された懸吊部から屠体を外す工程と、冷却後に屠体を再度懸吊部に取り付ける工程が発生するため、人手が必要となり作業が煩雑になる。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために発明されたものであり、コンベアによって搬送された懸吊部から屠体を外す工程と、冷却後に屠体を再度懸吊部に取り付ける工程が発生せず、容易に屠体を冷却することのできる屠体冷却システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する屠体冷却システムは、屠体が吊るされた懸吊部と、前記懸吊部に吊るされた前記屠体に対して水を散水する散水部と、前記散水部によって散水される前記水を冷却する冷凍機と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
このような屠体冷却システムによれば、屠体を懸吊部に吊るしたまま、冷凍機で冷却された冷却水が屠体に対して散水されることによって、屠体が冷却される。したがって、コンベアによって搬送された懸吊部から屠体を外す工程と、冷却後に屠体を再度懸吊部に取り付ける工程が発生せず、容易に屠体を冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る屠体冷却システムを示す正面図である。
図2】本実施形態に係る屠体冷却システムを示す平面図である。
図3】貯蔵部の構成を説明するための概略断面図である。
図4】屠体の内部に向けて水が噴射される様子を示すイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態を、図1図4を参照しつつ説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0011】
図1は、本実施形態に係る屠体冷却システム1を示す正面図である。図2は、本実施形態に係る屠体冷却システム1を示す平面図である。図3は、貯蔵部50の構成を説明するための概略断面図である。図4は、屠体Dの内部に向けて水が噴射される様子を示すイメージ図である。本実施形態に係る屠体冷却システム1は、例えば、42℃の屠体Dを10℃まで冷却することができる。
【0012】
本実施形態に係る屠体冷却システム1は、図1図3に示すように、屠体Dが吊るされる懸吊部10と、懸吊部10を搬送するコンベア20と、懸吊部10に吊るされた屠体Dに対して水を散水する散水部30と、散水部30によって散水される水を冷却する冷凍機40と、散水部30によって屠体Dに対して散水された水を貯蔵する貯蔵部50と、貯蔵部50および冷凍機40を連結する配管60と、貯蔵部50に貯蔵された水を冷凍機40および散水部30にくみ上げるポンプ70と、補給水を供給する供給部80と、を有する。
【0013】
懸吊部10は、図1図4に示すように、屠体Dの足が上方となるように屠体Dを吊るす。このとき、食鳥の内臓をくりぬいたことによって屠体Dに形成される空間部D1は、鉛直方向の上方に向けて開口するように吊るされる。懸吊部10の構成は、屠体Dを吊るすことのできる構成であれば特に限定されない。
【0014】
懸吊部10は、コンベア20によって、搬送される。懸吊部10は、図1図2に示すように、コンベア20の搬送経路に沿って、複数設けられる。
【0015】
コンベア20は、図2に示すように、懸吊部10を上流(図2の上方)から下流(図2の下方)に向けて蛇行するように搬送する。具体的にはまず、コンベア20は、上流から搬送されてきた懸吊部10を図2の右方向に搬送した後、図2の下方向にわずかに移動させ、その後、図2の左方向に搬送し、図2の下方向にわずかに移動させ、その後は上記の搬送を繰り返して、屠体Dを下流まで到達させる。
【0016】
このようにコンベア20は懸吊部10を蛇行するように搬送することによって、長時間、屠体Dに対して冷却水を散水することができ、屠体Dを好適に冷却することができる。コンベア20は、公知のコンベアを用いることができる。
【0017】
コンベア20は、図1に示すように、上流コンベア90が分割機91において、鉛直方向に沿って3段となるように分離される。また、鉛直方向に沿って3段となるように分離されたコンベア20は、貯蔵部50内において屠体Dを冷却した後に、集合機92において、鉛直方向に1段となるように集合される。そして、屠体Dは、下流コンベア93によって、次工程に搬送される。
【0018】
散水部30は、屠体Dに対して水を散水する。散水部30は、図4に示すように、屠体Dの空間部D1に向けて水を散水する。このとき、屠体Dの空間部D1から漏れ出た冷却水は、屠体Dの外表面に接するようにして下方に落ちるように、散水部30の流量を調整することが好ましい。この構成によれば、屠体Dの内表面および外表面から屠体Dを冷却することができるため、好適に屠体Dを冷却することができる。
【0019】
散水部30は、懸吊部10がコンベア20によって搬送される搬送経路上に複数設けられる。このため、連続的に屠体Dに冷却水を散水することができるため、好適に屠体Dを冷却することができる。散水部30から散水される冷却水の温度は特に限定されないが、例えば1℃である。このとき、従来の浸漬によって冷却する方法と比較して、確実に冷却することが可能になるとともに、冷却時間も短縮することができる。
【0020】
散水部30は、図1に示すように、鉛直方向に、3段構成される。この構成によれば、鉛直方向3段で、屠体Dを冷却することができるため、省スペース化を達成できる。
【0021】
冷凍機40は、貯蔵部50に貯蔵されている水を受け取って冷却する。冷凍機40は、例えば、貯蔵部50に貯蔵されている3~4℃の水を受け取って1℃に冷却する。冷凍機40は、図2に示すように、後述する第1貯蔵部51用の第1冷凍機41と、第2貯蔵部52用の第2冷凍機42と、第3貯蔵部53用の第3冷凍機43と、を有する。
【0022】
冷凍機40としては公知のものを用いることができるが、例えばノンフロンゼロポイントチラー(株式会社前川製作所製)を用いることができる。
【0023】
貯蔵部50は、散水部30によって屠体Dに対して散水された水を貯蔵する。具体的には、図1に示すように、屠体Dに対して散水された水は、貯蔵部50に連続する傾斜部55を介して、貯蔵部50に移動する(図1の矢印参照)。貯蔵部50は、図2図3に示すように、上流から第1貯蔵部51と、第2貯蔵部52と、第3貯蔵部53と、を有する。
【0024】
第1貯蔵部51には、図2に示すように、上下方向に沿って4列の搬送経路が配置される。第1貯蔵部51において冷却される屠体Dは、まだ比較的高温であるため、比較的少ない数の屠体Dを冷却することで、第1冷凍機41の負荷を低減することができる。
【0025】
第2貯蔵部52には、図2に示すように、上下方向に沿って7列の搬送経路が配置される。第2貯蔵部52において冷却される屠体Dは、第1貯蔵部51において冷却される屠体Dよりも低温となっているため、第2冷凍機42の負荷を考慮して、第2貯蔵部52では、第1貯蔵部51において冷却する屠体Dの数よりも多い数の屠体Dを冷却することができる。
【0026】
第3貯蔵部53には、図2に示すように、上下方向に沿って10列の搬送経路が配置される。第3貯蔵部53において冷却される屠体Dは、第2貯蔵部52において冷却される屠体Dよりも低温となっているため、第3冷凍機43の負荷を考慮して、第3貯蔵部53では、第2貯蔵部52において冷却する屠体Dの数よりも多い数の屠体Dを冷却することができる。
【0027】
このように、貯蔵部50を3つの貯蔵部51、52、53に区切ることによって、冷却水の量を低減することができる。さらに、3つの冷凍機41、42、43で受け持つ負荷を、それぞれ略均一にすることができるため、冷凍機40を効率的に運転することができる。
【0028】
第1貯蔵部51に貯蔵される水は、第1ポンプ71によって第1冷凍機41にくみ上げられ、冷却された後、散水部30に供給される。
【0029】
第2貯蔵部52に貯蔵される水は、第2ポンプ72によって第2冷凍機42にくみ上げられ、冷却された後、散水部30に供給される。
【0030】
第3貯蔵部53に貯蔵される水は、第3ポンプ73によって第3冷凍機43にくみ上げられ、冷却された後、散水部30に供給される。
【0031】
配管60は、図1に示すように、貯蔵部50および冷凍機40を連結する。配管60は、図2に示すように、第1貯蔵部51および第1冷凍機41を連結する第1配管61と、第2貯蔵部52および第2冷凍機42を連結する第2配管62と、第3貯蔵部53および第3冷凍機43を連結する第3配管63と、を有する。
【0032】
配管60には、図1に示すように、洗浄部61が配置されていることが好ましい。線状部61は、貯蔵部50において貯蔵された冷却水に混在された肉片等を除去することができる。
【0033】
ポンプ70は、図1に示すように、貯蔵部50に貯蔵された水を冷凍機40および散水部30にくみ上げる。ポンプ70は、図1に示すように、貯蔵部50および冷凍機40の間、ならびに冷凍機40および散水部30の間にそれぞれ設けられる。ポンプ70は、図2に示すように、第1貯蔵部51に貯蔵された水を第1冷凍機41および散水部30にくみ上げる第1ポンプ71と、第2貯蔵部52に貯蔵された水を第2冷凍機42および散水部30にくみ上げる第2ポンプ72と、第3貯蔵部53に貯蔵された水を第3冷凍機43よび散水部30にくみ上げる第3ポンプ73と、を有する。
【0034】
供給部80は、図2図3に示すように、第3貯蔵部53に補給水を供給する。ここで例えば補給水が供給されない場合、散水部30によって屠体Dに対して散水した水は、屠体Dに付着した状態で次の工程に搬送されるため、水が不足する可能性がある。これに対して、本実施形態に係る屠体冷却システム1によれば、供給部80によって補給水が補給されるため、水が不足することを防止できる。供給部80の構成は、貯蔵部50に対して補給水を供給できる構成であれば、特に限定されない。
【0035】
供給部80から第3貯蔵部53に供給された補給水は、第3貯蔵部53において、所定の高さH1まで到達した後に、第3貯蔵部53および第2貯蔵部52の間に設けられる第1連通部57を介して、第3貯蔵部53から第2貯蔵部52に移動する。そして、第2貯蔵部52に移動した補給水は、第2貯蔵部52において、所定の高さH2まで到達した後に、第2貯蔵部52および第1貯蔵部51の間に設けられる第2連通部58を介して、第2貯蔵部52から第1貯蔵部51に移動する。そして、第1貯蔵部51に移動した補給水は、第1貯蔵部51において、所定の高さH1まで到達した後に、第1貯蔵部51に設けられる排出口59から外部に排出される。外部に排出された補給水は、フィルターなどで洗浄した上で、再度供給部80に戻して、第3貯蔵部53に供給してもよい。
【0036】
以下、本実施形態に係る屠体冷却システム1の効果について説明する。
【0037】
例えば、従来技術である冷水を貯蔵した水槽に屠体Dを浸漬し冷却する方法の場合、コンベアによって搬送された懸吊部から屠体Dを外す工程と、冷却後に屠体Dを再度懸吊部に取り付ける工程が発生するため、人手が必要となり作業が煩雑になる。これに対して、本実施形態に係る屠体冷却システム1によれば、屠体Dを懸吊部10に吊るしたまま、冷凍機40で冷却された冷却水が屠体Dに対して散水されることによって、屠体Dが冷却される。したがって、コンベアによって搬送された懸吊部から屠体Dを外す工程と、冷却後に屠体Dを再度懸吊部に取り付ける工程が発生せず、容易に屠体Dを冷却することができる。
【0038】
また、冷水を貯蔵した水槽に屠体Dを浸漬し冷却する方法の場合、水槽に全量の屠体Dを入れるため、水の汚れが大きくなるとともに、屠体D同士で汚染してしまう。これに対して、本実施形態に係る屠体冷却システム1によれば、散水部30によって屠体Dに冷却水を散水するため、水の汚れを抑制することができ、また屠体D同士で汚染することを好適に抑制することができる。
【0039】
また、冷水を貯蔵した水槽に屠体Dを浸漬し冷却する方法の場合、初期の張り水が大量に必要となり、張り水を冷却するためのエネルギーが多くかかる。これに対して、本実施形態に係る屠体冷却システム1によれば、散水部30から冷却水を散水する構成であるため、初期の張り水の量を低減できるとともに、冷却するためのエネルギーも低減できる。
【0040】
また、冷水を貯蔵した水槽に屠体Dを浸漬し冷却する方法の場合、水槽が大きいため、屠体Dの冷えムラが生じる。これに対して、本実施形態に係る屠体冷却システム1によれば、連続的に屠体Dに散水部30から冷却水を散水するため、屠体Dの冷えムラの発生を防止できる。
【0041】
また、冷水を貯蔵した水槽の中にスクリュー型のコンベアを入れて、屠体Dを搬送しようとすると、屠体Dの先入れ先出しが困難となり、水槽内で滞留してしまう屠体Dが生じる虞がある。これに対して、本実施形態に係る屠体冷却システム1によれば、コンベアで懸吊部10を搬送しつつ、散水部30によって冷却するため、確実に屠体Dの先入れ先出しが可能となる。
【0042】
以上説明したように、本実施形態に係る屠体冷却システム1は、屠体Dが吊るされる懸吊部10と、懸吊部10に吊るされた屠体Dに対して水を散水する散水部30と、散水部30によって散水される水を冷却する冷凍機40と、を有する。このように構成された屠体冷却システム1によれば、屠体Dを懸吊部10に吊るしたまま、冷凍機40で冷却された冷却水が屠体Dに対して散水されることによって、屠体Dが冷却される。したがって、コンベアによって搬送された懸吊部から屠体Dを外す工程と、冷却後に屠体Dを再度懸吊部に取り付ける工程が発生せず、容易に屠体Dを冷却することができる。
【0043】
また、散水部30は、屠体Dの内部に向けて水を散水する。このように構成された屠体冷却システム1によれば、屠体Dの空間部から漏れ出た冷却水は、屠体Dの外表面に接するようにして下方に落ちるように散水部30の流量を調整することで、屠体Dの内表面および外表面から屠体Dを冷却することができるため、好適に屠体Dを冷却することができる。
【0044】
また、屠体冷却システム1は、懸吊部10を上流から下流に向けて搬送するコンベア20をさらに有し、散水部30は、懸吊部10がコンベア20によって搬送される搬送経路上に複数設けられる。このように構成された屠体冷却システム1によれば、連続的に屠体Dに冷却水を散水することができるため、好適に屠体Dを冷却することができる。
【0045】
また、コンベア20は、懸吊部10を上流から下流に向けて蛇行するように搬送する。このように構成された屠体冷却システム1によれば、長時間、屠体Dに対して冷却水を散水することができ、屠体Dを好適に冷却することができる。
【0046】
また、屠体冷却システム1は、散水部30によって屠体Dに対して散水された水を貯蔵する貯蔵部50と、貯蔵部50および冷凍機40を連結する配管60と、貯蔵部50に貯蔵された水を冷凍機40および散水部30にくみ上げるポンプ70と、を有する。このように構成された屠体冷却システム1によれば、散水部30によって散水された水を回収して再利用することができるため、水の消費量を低減することができる。
【0047】
また、貯蔵部50は、上流から下流に沿って、3つの区画(第1貯蔵部51、第2貯蔵部52、および第3貯蔵部)に区分けされている。このように構成された屠体冷却システム1によれば、各区画(第1貯蔵部51、第2貯蔵部52、および第3貯蔵部)に貯蔵される水を好適に冷却することができる。
【0048】
また、屠体冷却システム1は、下流側から補給水を供給する供給部80をさらに有する。このように構成された屠体冷却システム1によれば、水が不足することを防止できるとともに、水の汚染を抑制することができる。
【0049】
また、懸吊部10および散水部30は、、鉛直方向に沿って3段設けられる。このように構成された屠体冷却システム1によれば、省スペース化を達成できる。
【0050】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で種々改変することができる。
【0051】
例えば、上述した実施形態では、散水部30は、屠体Dの内部に向けて水を散水した。しかしながら、散水部は、懸鳥された屠体Dの任意の位置に散水してもよい。
【0052】
また、上述した実施形態では、コンベア20は、懸吊部10を上流から下流に向けて蛇行するように搬送した。しかしながら、コンベア20は、懸吊部10を上流から下流に向けて直線的に搬送してもよい。
【0053】
また、上述した実施形態では、貯蔵部50は、上流から下流に沿って、3つの区画に区分けされていた。しかしながら、貯蔵部は、区分けされていなくてもよいし、2つまたは4つ以上の区画に区分けされていてもよい。
【0054】
また、上述した実施形態では、屠体冷却システム1は、下流側から補給水を供給する供給部80を有した。しかしながら、屠体冷却システム1は、供給部80を有していなくてもよい。さらに、供給部は、下流側以外の箇所から補給水を供給してもよい。
【0055】
また、上述した実施形態では、懸吊部10および散水部30は、上下方向に沿って3段設けられた。しかしながら、懸吊部10および散水部30は、上下方向に沿って2段または4段以上設けられてもよい。また、懸吊部10および散水部30は、1段のみ設けられてもよい。
【0056】
また、上述した実施形態では、散水部30は、搬送経路の始点から終点に亘って、所定の間隔をあけて、全ての箇所に配置されていた。しかしながら、散水部30は、搬送経路の一部に配置されず、散水部30が配置されない箇所では、屠体Dに対して、冷風を送風する送風部が設けられる構成であってもよい。この場合は、上流側に散水部30が設けられて、下流側に送風部が設けられることが好ましい。この構成によれば、使用する水の量を低減することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 屠体冷却システム、
10 懸吊部、
20 コンベア、
30 散水部、
40 冷凍機、
41 第1冷凍機、
42 第2冷凍機、
43 第3冷凍機、
50 貯蔵部、
51 第1貯蔵部、
52 第2貯蔵部、
53 第3貯蔵部、
60 配管、
61 第1配管、
62 第2配管、
63 第3配管、
70 ポンプ、
71 第1ポンプ、
72 第2ポンプ、
73 第3ポンプ、
80 供給部、
D 屠体、
D1 屠体の空間部。
図1
図2
図3
図4