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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057742
(43)【公開日】2023-04-24
(54)【発明の名称】蓄熱装置および蓄熱方法
(51)【国際特許分類】
   F28D 20/00 20060101AFI20230417BHJP
   F17C 13/00 20060101ALI20230417BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
F28D20/00 B
F17C13/00 302A
F25B1/00 399Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021167402
(22)【出願日】2021-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】502040041
【氏名又は名称】日揮株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000148357
【氏名又は名称】株式会社前川製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】神谷 篤志
(72)【発明者】
【氏名】仲村 直子
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB01
3E172AB04
3E172AB05
3E172AB11
3E172AB20
3E172BA06
3E172BB04
3E172BB12
3E172BB17
3E172BD05
3E172EB10
3E172HA13
3E172HA15
(57)【要約】
【課題】変動性再生可能エネルギーを有効活用できるように、冷熱を蓄熱することのできる蓄熱装置を提供する。
【解決手段】
蓄熱装置1は、変動性再生可能エネルギーによって運転可能な冷凍機10と、冷凍機に連結されて、ブラインを貯蔵可能なブライン貯蔵タンク20と、ブライン貯蔵タンクに貯蔵されたブラインが循環する第1循環ライン30と、第1循環ラインを循環するブラインおよびLPGを熱交換する第1熱交換部40と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷熱を蓄熱する蓄熱装置であって、
変動性再生可能エネルギーによって運転可能な冷凍機と、
前記冷凍機に連結されて、ブラインを貯蔵可能なブライン貯蔵タンクと、
前記ブライン貯蔵タンクに貯蔵された前記ブラインが循環する第1循環ラインと、
前記第1循環ラインを循環する前記ブラインおよび液化ガスを熱交換する第1熱交換部と、を有する蓄熱装置。
【請求項2】
前記第1熱交換部は、液体状態の前記液化ガスを、前記ブラインによってサブクール状態まで冷却する、サブクール熱交換器である、請求項1に記載の蓄熱装置。
【請求項3】
前記第1熱交換部は、前記液化ガスのBOGを、前記ブラインによって冷却して凝縮させる、BOG凝縮器である、請求項1に記載の蓄熱装置。
【請求項4】
前記ブライン貯蔵タンクに連結されて、前記ブライン貯蔵タンク内の前記ブラインが循環する第2循環ラインと、
液体状態の前記液化ガス、および前記第2循環ラインを循環する前記ブラインを熱交換して、前記ブラインを冷却する第2熱交換部と、をさらに有する請求項1~3のいずれか1項に記載の蓄熱装置。
【請求項5】
前記液化ガスは、LPGまたは液化アンモニアである、請求項1~4のいずれか1項に記載の蓄熱装置。
【請求項6】
前記液化ガスを貯蔵する貯蔵タンクは複数設けられる、請求項1~5のいずれか1項に記載の蓄熱装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の蓄熱装置によって、冷熱を蓄熱する蓄熱方法であって、
前記変動性再生可能エネルギーにより前記冷凍機を運転することによって、前記ブラインを冷却して、前記ブラインに冷熱を蓄熱し、
前記冷熱が蓄熱された前記ブラインを前記第1循環ラインで循環させて、前記第1熱交換部において、前記液化ガスと熱交換させる、蓄熱方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変動性再生可能エネルギーによって運転可能な冷凍機が発生させる冷熱を蓄熱する蓄熱装置および蓄熱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液化天然ガスや液体水素等の低温液化ガス(以下、液化ガスとも称する)は、貯蔵タンクの外部からの入熱によって温められることで、BOG(ボイルオフガス)が発生している。このBOGの発生に伴って、貯蔵タンク内の圧力上昇が招かれる。
【0003】
これに関連して、従来から、発生したBOGを再液化する処理方法が知られている(例えば下記の特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-19199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、BOGを再液化するための再液化システムは、圧縮機で昇圧した後、熱交換器などで冷却して液化したり、送出される液化ガスにBOGを注入して液化したりし、その後ポンプで圧送する方法が一般的である。しかし、このシステムではシステムが煩雑になるため、信頼性の低減や装置の大型化などが課題となる。
【0006】
一方で、太陽光、風力、太陽熱といった変動性再生可能エネルギーを有効活用することが求められている。変動性再生可能エネルギーは、温室効果ガスを排出せず、国内で生産できることから、エネルギー安全保障にも寄与できる有望かつ多様で、重要な低炭素の国産エネルギー源である。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために発明されたものであり、変動性再生可能エネルギーで運転可能な冷凍機が発生させる冷熱を蓄熱することのできる蓄熱装置および蓄熱方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明に係る蓄熱装置は、冷熱を蓄熱する蓄熱装置である。蓄熱装置は、変動性再生可能エネルギーによって運転可能な冷凍機と、前記冷凍機に連結されて、ブラインを貯蔵可能なブライン貯蔵タンクと、前記ブライン貯蔵タンクに貯蔵された前記ブラインが循環する第1循環ラインと、前記第1循環ラインを循環する前記ブラインおよび液化ガスを熱交換する第1熱交換部と、を有する。
【0009】
また、上記目的を達成する本発明に係る蓄熱方法は、上記の蓄熱装置によって、冷熱を蓄熱する蓄熱方法であって、前記変動性再生可能エネルギーを用いて前記冷凍機を運転することによって、前記ブラインを冷却して、前記ブラインに冷熱を蓄熱し、前記冷熱が蓄熱された前記ブラインを前記第1循環ラインで循環させて、前記第1熱交換部において、前記液化ガスと熱交換させる。
【発明の効果】
【0010】
上述の蓄熱装置および蓄熱方法によれば、変動性再生可能エネルギーを用いて冷凍機を運転することによって、ブラインを冷却して、ブラインに冷熱を蓄熱することができる。そして、所定のタイミングで、冷熱が蓄熱されたブラインを第1循環ラインで循環させて、第1熱交換部において、液化ガスと熱交換させることができる。したがって、変動性再生可能エネルギーで運転可能な冷凍機が発生させる冷熱を好適に蓄熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態に係る蓄熱装置を示す概略図である。
図2】サブクール状態を説明するための図であって、状態図を示す図である。
図3】第1実施形態に係る蓄熱装置の変形例を示す概略図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る蓄熱装置を示す概略図である。
図5】第2実施形態に係る蓄熱装置の変形例を示す概略図である。
図6】変形例1に係る蓄熱装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態を、図1図2を参照しつつ説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0013】
図1は、本発明の第1実施形態に係る蓄熱装置1を示す概略図である。図2は、サブクール状態を説明するための図であって、状態図を示す図である。
【0014】
第1実施形態に係る蓄熱装置1は、変動性再生可能エネルギーによって運転可能な冷凍機10が発生させる冷熱を好適に蓄熱して、蓄熱した冷熱を用いて、液化ガスのBOGの発生を抑制するための装置である。ここで、液化ガスとは特に限定されないが、LNG(液化天然ガス)、LPG(液化石油ガス)、液体水素、液化窒素、液化アンモニア等を挙げることができる。この中でも、特にLPGまたは液化アンモニアを採用することによって、冷凍機10の成績係数を高くすることができ、効率よく変動性再生可能エネルギーを冷熱エネルギーに変換できる。以下の説明では、液化ガスとしてLPGを用いた場合を例に挙げて説明する。
【0015】
蓄熱装置1は、図1に示すように、冷凍機10と、冷凍機10によって冷却されるブラインが貯蔵されるブライン貯蔵タンク20と、ブラインが循環する第1循環ライン30と、ブラインおよび液体状態のLPGを熱交換する第1熱交換部40と、ブラインが循環する第2循環ライン50と、貯蔵タンクTから流出した液体状態のLPGおよび第2循環ライン50を循環するブラインを熱交換する第2熱交換部60と、貯蔵タンクT内に設けられるポンプ70と、ポンプ70および第1熱交換部40を連結してLPGが流れるLPG循環ライン80と、LPG循環ライン80から分岐されて貯蔵タンクT内のLPGを外部に送る分岐ライン90と、冷凍機10およびブライン貯蔵タンク20内のブラインの移動等を制御する制御部(不図示)と、を有する。
【0016】
図1に示すように、貯蔵タンクTには、船の積み荷Sから、所定のタイミングで受入管Lを介して、LPGが送液される。
【0017】
冷凍機10は、変動性再生可能エネルギーとして太陽光発電を用いる場合、昼間に発生する可能性が高い余剰電力を用いて、冷凍機10をオンにして、ブライン貯蔵タンク20内のブラインを冷却する。そして余剰電力が無い時には、冷凍機10をオフにする。冷凍機10のオン・オフは、制御部によって行われる。このように、冷凍機10は、変動性再生可能エネルギーの余剰電力を活用した間欠運転を行うことで、変動性再生可能エネルギーの有効活用と変動性再生可能エネルギーの蓄熱を行うことができるため、カーボンニュートラルの実現を達成できる。
【0018】
冷凍機10としては、ブライン貯蔵タンク20内のブラインを好適に冷却することのできるものであれば特に限定されないが、成績係数の観点から、例えば、蒸気圧縮式サイクルの冷凍機を用いることができる。
【0019】
ブライン貯蔵タンク20には、ブラインが貯蔵される。ブラインとしては、特に限定されないが、例えば不凍液を用いることができる。このようにブラインを使用することでLPGと冷凍機10を切り離すことが出来るため、設備や法規が簡便となる。具体的には、ブライン貯蔵タンク20と冷凍機10を非防爆とすることができる。特に、冷凍機10を非防爆とすることのメリットが大きい。また、増設も容易であるため、既存設備への追加も容易となる。
【0020】
ブライン貯蔵タンク20には、図1に示すように、第1循環ライン30および第2循環ライン50が連結する。ブライン貯蔵タンク20内のブラインは、制御部によって、第1循環ライン30または第2循環ライン50における循環が切り替えられる。
【0021】
第1循環ライン30は、ブライン貯蔵タンク20に貯蔵されているブラインが循環する。第1循環ライン30は、ブライン貯蔵タンク20に連結されている。
【0022】
第1熱交換部40は、第1循環ライン30を循環するブラインおよびLPG循環ライン80を循環する液体状態のLPGを熱交換する。LPG循環ライン80において、第1熱交換部40を通過した液体状態のLPGは、ブラインの冷熱を受け取って、サブクール状態となる。すなわち、第1熱交換部40は、液体状態のLPGを、ブラインによってサブクール状態まで冷却する、サブクール熱交換器である。一方、第1循環ライン30において、第1熱交換部40を通過したブラインは、LPGから温熱を受け取って、温度が上昇する。
【0023】
以下、図2の状態図を参照して、サブクール状態について説明する。LPGは、通常、図2の黒丸で示す液相および気相の境界の飽和状態にある。この飽和状態にあるLPGをブラインの冷熱で冷却することによって、黒丸の箇所から左側の白丸の箇所に移動して、サブクール状態となる。サブクール状態にあるLPGは、完全に液体の状態にあるため、BOGが発生することを抑制できる。
【0024】
第2循環ライン50は、ブライン貯蔵タンク20に貯蔵されているブラインが循環する。第2循環ライン50は、ブライン貯蔵タンク20に連結されている。第2循環ライン50上には、第2熱交換部60が配置されている。
【0025】
第2熱交換部60は、第2循環ライン50を循環するブラインおよび分岐ライン90を通過する液体状態のLPGを熱交換する。分岐ライン90において、第2熱交換部60を通過した液体状態のLPGは、第2循環ライン50を循環するブライン等によって加温されて、常温高圧の液体状態で、下流の球形タンクや枕型タンクに移送される。一方、第2循環ライン50において、第2熱交換部60を通過したブラインは、LPGから冷熱を受け取って、冷却される。
【0026】
ポンプ70は、図1に示すように、貯蔵タンクTの底部近傍に設けられる。ポンプ70は、貯蔵タンクT内のLPGを、LPG循環ライン80を介して第1熱交換部40に送液するために設けられる。また、ポンプ70は、貯蔵タンクT内のLPGをLPG循環ライン80および分岐ライン90を介して、球形タンクまたは枕型タンクに送液するために設けられる。ポンプ70としては、公知のものを用いることができる。
【0027】
LPG循環ライン80は、ポンプ70から第1熱交換部40に向かう第1ライン81と、第1熱交換部40から貯蔵タンクTに向かう第2ライン82と、を有する。
【0028】
第1ライン81から、分岐ライン90が分岐される。第2ライン82を流れるLPGは、サブクール状態である。
【0029】
分岐ライン90には、第2熱交換部60が配置される。分岐ライン90は、球形タンクまたは枕型タンクに接続されている。
【0030】
制御部は、冷凍機10のオン・オフを制御する。また、制御部は、ブライン貯蔵タンク20に貯蔵されているブラインの、第1循環ライン30または第2循環ライン50への循環の切り替えを制御する。また、制御部は、ポンプ70の駆動を制御する。制御部は、例えば、PLCである。
【0031】
次に、第1実施形態に係る蓄熱装置1を用いて、変動性再生可能エネルギーによって運転可能な冷凍機10が発生させる冷熱をブラインに蓄熱して、ブラインに蓄熱した冷熱を用いて、LPGのBOGの発生を抑制する方法について説明する。
【0032】
まず、制御部は、ブライン貯蔵タンク20に貯蔵されているブラインを第2循環ライン50にて循環させる。第2循環ライン50を循環するブラインは、第2熱交換部60において、LPGから冷熱を受け取って、予冷される。
【0033】
次に、制御部は、余剰電力を用いて、冷凍機10を運転して、ブライン貯蔵タンク20内のブラインを冷却する。この結果、ブライン貯蔵タンク20には、冷凍機10が発生させる冷熱を蓄熱することができる。
【0034】
次に、制御部は、ブライン貯蔵タンク20に貯蔵されているブラインを第1循環ライン30にて循環させる。第1循環ライン30を循環するブラインは、第1熱交換部40において、LPG循環ライン80を循環しているLPGをサブクール状態まで冷却する。そして、第1熱交換部40においてサブクール状態まで冷却されたLPGは、第2ライン82を介して、貯蔵タンクTに戻る。このため、貯蔵タンクTにおいて、BOGの発生を抑制することができる。
【0035】
以上説明したように、本実施形態に係る蓄熱装置は、冷熱を蓄熱する蓄熱装置1である。蓄熱装置1は、変動性再生可能エネルギーによって運転可能な冷凍機10と、冷凍機10に連結されて、ブラインを貯蔵可能なブライン貯蔵タンク20と、ブライン貯蔵タンク20に貯蔵されたブラインが循環する第1循環ライン30と、第1循環ライン30を循環するブラインおよびLPGを熱交換する第1熱交換部40と、を有する。このように構成された蓄熱装置1によれば、変動性再生可能エネルギーを用いて冷凍機10を運転することによって、ブラインを冷却して、ブラインに冷熱を蓄熱することができる。そして、所定のタイミングで、冷熱が蓄熱されたブラインを第1循環ライン30で循環させて、第1熱交換部40において、LPGと熱交換させることができる。したがって、変動性再生可能エネルギーによって運転可能な冷凍機10が発生させる冷熱を好適に蓄熱することできる。
【0036】
また、第1熱交換部40は、液体状態のLPGを、ブラインによってサブクール状態まで冷却する、サブクール熱交換器である。このように構成された蓄熱装置1によれば、BOGの発生をより好適に抑制することができる。
【0037】
また、蓄熱装置1は、ブライン貯蔵タンク20に連結されて、ブライン貯蔵タンク20内のブラインが循環する第2循環ライン50と、液体状態のLPG、および第2循環ライン50を循環するブラインを熱交換して、ブラインを冷却する第2熱交換部60とをさらに有する。このように構成された蓄熱装置1によれば、ブライン貯蔵タンク20に貯蔵されているブラインを第2循環ライン50で循環させることによって、第2熱交換部60においてブラインを予冷することができる。したがって、ブライン貯蔵タンク20に貯蔵されているブラインの冷却効率を向上させることができる。
【0038】
また、以上説明したように、本実施形態に係る蓄熱方法は、上述した蓄熱装置1によって、冷熱を蓄熱する蓄熱方法であって、変動性再生可能エネルギーにより冷凍機10を運転することによって、ブラインを冷却して、ブラインに冷熱を蓄熱し、冷熱が蓄熱されたブラインを第1循環ライン30で循環させて、第1熱交換部40において、LPGと熱交換させる。この蓄熱方法によれば、BOGの発生を抑制する目的で、変動性再生可能エネルギーを有効活用できるように、冷熱を蓄熱することできる。
【0039】
<第1実施形態の変形例>
次に、図3を参照して、第1実施形態の変形例に係る蓄熱装置2の構成について説明する。図3は、第1実施形態の変形例に係る蓄熱装置2を示す概略図である。
【0040】
第1実施形態の変形例に係る蓄熱装置2は、第1実施形態に係る蓄熱装置1と比較して、第2循環ライン50および第2熱交換部60を備えていない。蓄熱装置2のその他の構成は、第1実施形態に係る蓄熱装置1と同様である。このように構成された蓄熱装置2によれば、蓄熱装置2の構造をシンプルにしつつ、冷凍機10が発生させる冷熱をブラインに蓄熱することができる。
【0041】
<第2実施形態>
次に、図4を参照して、第2実施形態に係る蓄熱装置3の構成について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。図4は、本発明の第2実施形態に係る蓄熱装置3を示す概略図である。第2実施形態に係る蓄熱装置2は、第1熱交換部140においてブラインと熱交換する対象が、第1実施形態に係る蓄熱装置1と異なる。
【0042】
第2実施形態に係る蓄熱装置3は、図4に示すように、冷凍機10と、冷凍機10によって冷却されるブラインが貯蔵されるブライン貯蔵タンク20と、ブラインが循環する第1循環ライン30と、ブラインおよびガス状態のLPG(BOG)を熱交換する第1熱交換部140と、ブラインが循環する第2循環ライン50と、貯蔵タンクTから流出した液体状態のLPGおよび第2循環ライン50を循環するブラインを熱交換する第2熱交換部60と、貯蔵タンクT内に設けられるポンプ70と、ポンプ70から貯蔵タンクT内のLPGを球形タンクまたは枕型タンクに送る第1LPGライン180と、貯蔵タンクT内のBOGが第1熱交換部140に送られて凝縮されたLPGを貯蔵タンクTに戻す第2LPGライン190と、冷凍機10およびブライン貯蔵タンク20内のブラインの運転を制御する制御部(不図示)と、を有する。冷凍機10、ブライン貯蔵タンク20、第1循環ライン30、第2循環ライン50、第2熱交換部60、ポンプ70、および制御部の構成は、第1実施形態に係る蓄熱装置1と同一であるため、説明は省略する。
【0043】
第1熱交換部140は、第1循環ライン30を循環するブラインおよび第2LPGライン190を通過するBOGを熱交換する。第2LPGライン190において、第1熱交換部140を通過したBOGは、ブラインの冷熱を受け取って、凝縮される。すなわち、第1熱交換部140はBOG凝縮器として用いられる。そして凝縮されたLPGは、第2LPGライン190を介して、貯蔵タンクTに戻る。このため、貯蔵タンクTからのBOGの発生を抑制することができる。一方、第1循環ライン30において、第1熱交換部140を通過したブラインは、BOGから温熱を受け取って、温度が上昇する。
【0044】
第1LPGライン180は、ポンプ70および球形タンクを連結する。第1LPGライン180には、第2熱交換部60が配置される。
【0045】
第2LPGライン190は、貯蔵タンクTから第1熱交換部140に向かう第1ライン191と、第1熱交換部140から貯蔵タンクTに向かう第2ライン192と、を有する。第1ライン191は、BOGが流れて、第2ライン192は、凝縮されたLPGが流れる。
【0046】
次に、第2実施形態に係る蓄熱装置3を用いて、変動性再生可能エネルギーによって運転可能な冷凍機10が発生させる冷熱を好適に蓄熱して、蓄熱した冷熱を用いて、LPGのBOGの発生を抑制する方法について説明する。
【0047】
まず、制御部は、ブライン貯蔵タンク20に貯蔵されているブラインを第2循環ライン50にて循環させる。第2循環ライン50を循環するブラインは、第2熱交換部60において、LPGから冷熱を受け取って、予冷される。
【0048】
次に、制御部は、余剰電力を用いて、冷凍機10を運転して、ブライン貯蔵タンク20内のブラインを冷却する。この結果、ブライン貯蔵タンク20には、冷凍機10が発生させる冷熱を蓄熱することができる。
【0049】
次に、制御部は、ブライン貯蔵タンク20に貯蔵されているブラインを第1循環ライン30にて循環させる。第1循環ライン30を循環するブラインは、第1熱交換部140において、第2LPGライン190を通過しているBOGを冷却して凝縮する。そして、第1熱交換部140において凝縮されたLPGは、貯蔵タンクTに戻る。このため、貯蔵タンクTにおいて、BOGの発生を抑制することができる。
【0050】
第2実施形態に係る蓄熱装置3において、第1熱交換部140は、BOGをブラインによって冷却して凝縮させるBOG凝縮器である。このように構成された蓄熱装置3によれば、貯蔵タンクTにおいて発生したBOGを凝縮して、貯蔵タンクT内に戻すことができる。このため、BOGの発生を抑制することができる。
【0051】
<第2実施形態の変形例>
次に、図5を参照して、第2実施形態の変形例に係る蓄熱装置4の構成について説明する。図5は、第2実施形態の変形例に係る蓄熱装置4を示す概略図である。
【0052】
蓄熱装置4は、第2実施形態に係る蓄熱装置3と比較して、第2循環ライン50および第2熱交換部60を備えていない。蓄熱装置4のその他の構成は、第2実施形態に係る蓄熱装置3と同様である。このように構成された蓄熱装置2によれば、蓄熱装置4の構造をシンプルにしつつ、冷凍機10が発生させる冷熱をブラインに蓄熱することができる。
【0053】
以上、実施形態および変形例を通して本発明について説明したが、本発明は上述した実施形態および変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で種々改変することができる。
【0054】
例えば、上述した第2実施形態では、貯蔵タンクT、第1循環ライン30、第1熱交換部140、ポンプ70、および第2LPGライン190は1つ設けられた。しかしながら、図6に示すように、貯蔵タンクT、第1循環ライン30、第1熱交換部140、ポンプ70、および第2LPGライン190は2つ設けられてもよい。なお、図6では、ポンプ70および第1LPGライン180は省略する。さらに、貯蔵タンクT、第1循環ライン30、第1熱交換部140、ポンプ70、および第2LPGライン190は3つ以上設けられていてもよい。この構成によれば、複数の貯蔵タンクTにおいて発生するBOGの凝縮が可能である。また、2つの貯蔵タンクTのうち1つにLPGを貯蔵して、もう1つに液体アンモニアを貯蔵することで、異なる液化ガスのBOGの発生を抑制することができる。さらに、上記の2つの貯蔵タンクTを用いる構成は、第1実施形態に係る蓄熱装置1においても適用可能である。なお、LPGタンクをアンモニアタンクに転用した場合にも同じシステムで運用できる。
【0055】
また、上述した実施形態および変形例では、液化ガスとしてLPGを例に挙げて説明したが、液化ガスとしては液体アンモニアを用いることもできる。
【0056】
また、上述した実施形態および変形例では、蓄熱装置に蓄熱された冷熱の使用対象として、BOGの発生の抑制に用いられた。しかしながら、蓄熱装置に蓄熱された冷熱の使用対象としては、基地内のオフィス・計器室の冷房や、隣接地のデータセンター、植物工場、養殖事業、食品コールドチェーン等の冷熱源としても利用可能である。
【符号の説明】
【0057】
1、2、3、4 蓄熱装置、
10 冷凍機、
20 ブライン貯蔵タンク、
30 第1循環ライン、
40、140 第1熱交換部、
50 第2循環ライン、
60 第2熱交換部、
70 ポンプ、
80 LPG循環ライン、
90 分岐ライン、
180 第1LPGライン、
190 第2LPGライン、
T 貯蔵タンク。
図1
図2
図3
図4
図5
図6