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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023005840
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20230111BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
G03G21/00 530
G03G15/00 460
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021108046
(22)【出願日】2021-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】塩寺 広太
【テーマコード(参考)】
2H072
2H270
【Fターム(参考)】
2H072AA17
2H072AA22
2H072AB17
2H270SA01
2H270SA03
2H270SB12
2H270SB14
2H270SB15
2H270SC08
2H270SC14
2H270SC15
(57)【要約】
【課題】シートを汚すことなく、排出口からの微粒子の外部への漏れを抑制できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像を形成したシートを排出する排出口72を備えた画像形成装置において、排出口72のシート搬送方向上流側の近傍にシートの移動に伴う気流に乱流を生じさせる乱流発生部74,75,73を設けた。乱流発生部は、シートの移動に伴う気流を分岐させ、相対的にシート搬送経路から離れた側の分岐気流を前記シート搬送経路に対し離間させた後に接近させて他方の分岐気流に合流させる気流案内部材74,75を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を形成したシートを排出する排出口を備えた画像形成装置において、
前記排出口のシート搬送方向上流側の近傍にシートの移動に伴う気流に乱流を生じさせる乱流発生部を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記乱流発生部は、前記シートの移動に伴う気流を分岐させ、相対的にシート搬送経路から離れた側の分岐気流を前記シート搬送経路に対し離間させた後に接近させて他方の分岐気流に合流させる気流案内部材を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、
前記気流案内部材は、前記他方の分岐気流に合流させるに当たり、シート搬送の向きとは逆の向きから合流させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の画像形成装置において、
前記相対的にシート搬送経路から離れた側の分岐気流の経路は、相対的にシート搬送経路に近い側の分岐気流の経路よりも流路断面が大きいことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一に記載の画像形成装置において、
前記乱流発生部は、前記排出口に向けてシートに搬送力を与える最終段の搬送部材よりも搬送方向下流側に設けることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像を形成したシートを排出する排出口を備えた画像形成装置が知られている。
例えば特許文献1には、係る画像形成装置であって、画像形成装置の定着部で発生するシロキサン等の微粒子(UFP:Ultra Fine Particle)が排出口から外部に漏れるのを抑制するため、送出口から送出される記録媒体(シート)の少なくとも一方側の表面に当接するクリーニング部材を送出口に設けたものが開示されている。これによれば、クリーニング部材で記録媒体上に付着したUFPを掻き落とすことができるとしている。また、クリーニング部材により送出口の開口面積を小さくすることができるとしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、クリーニング材にトナーが付着し、シートを汚してしまう虞が残っていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するために、本発明は、画像を形成したシートを排出する排出口を備えた画像形成装置において、前記排出口のシート搬送方向上流側の近傍にシートの移動に伴う気流に乱流を生じさせる乱流発生部を設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、シートを汚すことなく、排出口からの微粒子の外部への漏れを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態の画像形成装置である複写機の全体の概略構成図。
図2】同複写機の斜視説明図。
図3】同複写機の定着装置と排紙口の概略構成図。
図4】微粒子漏れ抑制構成の第一構成例の説明図。
図5】他の構成例の説明図。
図6】更に他の構成例の説明図。
図7】更に他の構成例の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を適用した画像形成装置の一実施形態について説明する。電子写真方式の複写機(以下、単に「複写機1」という。)として、カラー画像形成装置を例に挙げて説明するが、本発明は、公知のモノクロ画像形成装置についても同様に適用することができる。
【0008】
図1は、実施形態の画像形成装置である複写機1の全体の概略構成図であり、図2は、複写機1の全体の斜視説明図である。まず画像形成装置の全体構成について説明する。図1に示すように、複写機1本体の画像形成部110は、四つの作像装置2(2a、2b、2c及び2d)、中間転写装置E、二次転写装置F、用紙搬送装置G、定着装置H及びトナー補給装置J等を備えている。また、複写機1は、画像形成部110の図1中の下方に、シートである用紙Pを収容する記録媒体収納容器である給紙トレイ40を備える記録媒体収納部である給紙装置111を備え、画像形成部110の図1中の右方には両面装置113を備える。
【0009】
さらに、複写機1は、画像形成部110の図1中の上方には画像読取装置114を備え、画像形成部110と画像読取装置114との間に胴内排紙部112を形成する。胴内排紙部112は、図1及び図2に示すように、排紙口51(51a、51b)が設けられた壁面部を含む壁面部(排紙壁面部112a及び奥側壁面部112b)と天井部112cとに囲まれている。また、画像形成部110内の各部材は、外装カバー10内に収容されている。
【0010】
四つの作像装置2(2a、2b、2c及び2d)は、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色のトナーを用いて異なる単色画像を形成するものである。それぞれの作像装置2は、回転可能に支持するドラム状の潜像担持体である感光体12を備え、複写機1の画像形成部110では、四つの感光体12をタンデム式に並べて備える。個々の作像装置2は、感光体12の周りに、帯電手段である帯電装置13、現像手段である現像装置14、一次転写手段である一次転写ローラ15、潜像担持体クリーニング手段である感光体クリーニング装置16、除電手段である除電装置17を備える。
【0011】
さらに、画像形成部110内の四つの作像装置2(2a、2b、2c及び2d)の下方には、個々の感光体12の表面上を各々別々に露光する潜像形成手段である共通の露光装置18が設けられている。図1では、イエロー用作像装置2aについてのみ、作像装置2を構成する各部材の符号を付しているが、マゼンタ用作像装置2b、シアン用作像装置2c及びブラック用作像装置2dは、同様の構成を備える。露光装置18は、光源やレンズ等の光学部品を備え、光源が照射したレーザ光を光学部品によって感光体12の表面に向けて照射し、感光体12の表面を光学的に走査し、光書き込みを行うものである。
【0012】
中間転写装置Eは、個々の作像装置2(2a、2b、2c及び2d)で形成された各色のトナー像が一次転写ローラ15によってそれぞれ一次転写されて担持する、ベルト状の一次転写像担持体である中間転写ベルト20を備える。中間転写装置Eは、三つの支持ローラである中間転写ベルト第一支持ローラ21、中間転写ベルト第二支持ローラ22及び中間転写ベルト第三支持ローラ23に中間転写ベルト20を掛け回している。また、中間転写装置Eは、中間転写ベルト20を、それぞれの感光体12に接触させ、感光体12とそれに対応するそれぞれの一次転写ローラ15との間に中間転写ベルト20を通している。さらに、中間転写装置Eは、中間転写ベルト20の周りに、中間転写ベルトクリーニング装置24と、二次転写手段である二次転写ローラ25とを備えている。
【0013】
二次転写装置Fは、両面印刷の際に、中間転写ベルト20に担持されたトナー像を二次転写ローラ25によって二次転写されて担持するベルト状の二次転写像担持体である二次転写ベルト30を備える。二次転写装置Fは、三つの支持ローラである二次転写ベルト第一支持ローラ31、二次転写ベルト第二支持ローラ32及び二次転写ベルト第三支持ローラ33に二次転写ベルト30を掛け回している。また、二次転写装置Fは、二次転写ベルト30を、中間転写ベルト20に接触させ、中間転写ベルト20と二次転写ローラ25との間に通して、中間転写ベルト20と二次転写ベルト30との間で所定の二次転写ニップを形成している。さらに、二次転写装置Fは、二次転写ベルト30の周りに、二次転写ベルトクリーニング装置35と、二次転写ベルト30に担持された裏面用の画像を用紙Pに転写する裏面画像転写装置36とを配置している。
【0014】
給紙装置111は、給紙トレイ40と、給紙トレイ40内の用紙Pを送り出す給紙ローラ41とを上下に二段備える構成であり、二つの給紙トレイ40のそれぞれに用紙Pを収納する。給紙ローラ41は二段の給紙トレイ40のそれぞれから用紙Pを上から一枚ずつ送り出す。記録媒体搬送手段である用紙搬送装置Gは、給紙装置111から給紙された用紙Pが、中間転写装置Eと二次転写装置Fとの間を通過して図1中の下方から上方へと伸びる記録媒体搬送路である用紙搬送路を通過するように用紙Pを搬送するものである。用紙搬送装置Gは、給紙ガイド42、レジストローラ対43、排紙ガイド44及び排紙ローラ対45(45a、45b)等を備えている。
【0015】
給紙ガイド42は、給紙ローラ41によって送り出された用紙Pをレジストローラ対43の二つのローラによって形成されるレジストニップに向けて案内する。レジストローラ対43は、給紙ガイド42によって案内され搬送されてくる用紙Pの先端をレジストニップに突き当てて止め、用紙Pの傾きを補正する。その後、給紙ガイド42は、中間転写ベルト20及び二次転写ベルト30の表面上の画像とタイミングを取って、用紙Pを二次転写ニップに向けて送り出す。
【0016】
排紙ガイド44は定着装置Hで画像が定着された後の用紙Pを排紙口51(51aまたは51b)に向けて案内する。排紙口51(51a、51b)に配置された排紙ローラ対45(45a、45b)は、排紙ガイド44で案内されて搬送されてきた用紙Pを胴内排紙部112に向けて図1中の矢印a(a1またはa2)方向の外装カバー10の外部に向けて排紙する。図1に示すように、排紙口51は下部排紙口51aと上部排紙口51bとの二箇所あり、それぞれに下部排紙ローラ対45aと上部排紙ローラ対45bとが設けられている。
【0017】
定着装置Hは、中間転写ベルト20及び二次転写ベルト30から用紙Pに転写されたトナー像を用紙Pに定着するものであり、トナー像が担持された用紙Pを加熱・圧着し、トナー像を用紙Pに定着するものである。定着装置Hは、一対の加熱ローラからなる定着ローラ対47を備えている。トナー補給装置Jは、四つの作像装置2(2a、2b、2c及び2d)のそれぞれに粉体ポンプ等を用いて新規トナーを補給するものである。トナー補給装置Jのトナー収納部52は各色のトナーをそれぞれ収容するトナーカートリッジ53(53a、53b、53c及び53d)を備えている。複写機1には、定着装置Hの周辺の空気の排出量を調整することにより、定着装置Hの温度調整を行う定着排気手段としての排気システム100が設けられている。
【0018】
複写機1で、用紙Pの表裏両面にカラー画像を形成するときは、画像読取装置114のコンタクトガラス上に原稿をセットし、操作表示部115にあるスタートスイッチを押す。すると、感光体12、中間転写ベルト20の支持ローラの一つ(21、22または23)、二次転写ベルト30の支持ローラの一つ(31、32または33)、給紙ローラ41などが、それぞれタイミングを取って回転する。四つの作像装置2(2a、2b、2c及び2d)では、個々の感光体12が図1中の時計回り方向に回転するのに伴い、それぞれの帯電装置13で感光体12の表面を一様に帯電する。そして、複写機1は、共通の露光装置18からの個別の書き込み光で感光体12に書き込みを行って、色別の潜像を形成し、それぞれの現像装置14で各色のトナーを感光体12の表面上付着させ、個々の感光体12上にそれぞれ色別のトナー像を形成する。
【0019】
中間転写装置Eは、中間転写ベルト20の支持ローラの一つ(21、22または23)が駆動回転するとともに、他の二つの支持ローラが従動回転し、中間転写ベルト20を感光体12に同期させて図1中の反時計回り方向に回転移動する。中間転写装置Eは、中間転写ベルト20を挟んで感光体12と対向する一次転写ローラ15のそれぞれに一次転写バイアスを印加し、それぞれの感光体12の表面上のトナー像を中間転写ベルト20に順次転写する。これにより、中間転写ベルト20の表面上に四色のトナー像を重ね合わせた第一のフルカラー画像(裏面用の画像)を形成する。
【0020】
中間転写ベルト20にトナー像を転写した後の四つの作像装置2(2a、2b、2c及び2d)の感光体12は、表面上に残留した転写残トナーを感光体クリーニング装置16によって除去され、表面上の電位を除電装置17によって除電される。その後、再び、それぞれの帯電装置13で帯電して露光装置18で潜像の書き込みを行い、それぞれの現像装置14で現像して個々の感光体12上にそれぞれ再度色別のトナー像が形成される。
【0021】
二次転写装置Fは、二次転写ベルト30の支持ローラの一つ(31、32または33)が駆動回転するとともに、他の二つの支持ローラが従動回転し、二次転写ベルト30を中間転写ベルト20に同期させて図1中の時計回り方向に回転移動する。二次転写装置Fは、二次転写ニップで、二次転写ベルト30を挟んで中間転写ベルト20と対向する二次転写ローラ25に二次転写バイアスを印加し、中間転写ベルと20の表面上のトナー像を二次転写ベルト30に転写する。このとき、二次転写ベルトクリーニング装置35は、クリーニング装置支持軸56を中心に回動して二次転写ベルト30から離れた、非クリーニング状態にある。
【0022】
中間転写装置Eは、二次転写ベルト30に第一のフルカラー画像を転写した後の中間転写ベルト20の表面上に残留した転写残トナーを、中間転写ベルトクリーニング装置24で静電的に除去する。その後、中間転写装置Eは、再び中間転写ベルト20の表面上に個々の一次転写ローラ15によって個の感光体12の表面上のトナーを順次転写し、中間転写ベルト20の表面上に四色のトナー像を重ね合わせた第二のフルカラー画像(おもて面用の画像)を形成する。
【0023】
第二のフルカラー画像を形成する各色のトナー像が転写された後の四つの作像装置2(2a、2b、2c及び2d)の感光体12は、表面上に残留した転写残トナーを感光体クリーニング装置16によって除去される。そして、感光体12は表面上の電位を除電装置17によって除電され、次の作像サイクルに備える。
【0024】
一方、給紙装置111は、二つの給紙ローラ41のうちの一つを適宜選択的に回転して、給紙トレイ40内の用紙Pを送り出す。用紙搬送装置Gは、給紙装置111から送り出された用紙Pを給紙ガイド42で案内し、用紙Pの先端をレジストローラ対43のレジストニップに突き当てて止める。そして、レジストローラ対43は、上述した第一のフルカラー画像及び第二のフルカラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ対43を回転し、中間転写ベルト20と二次転写ベルト30との間である二次転写ニップに用紙Pを送り込む。
【0025】
二次転写ニップでは、用紙Pの裏面側に位置する二次転写ローラ25に二転写バイアスが印加されることで、中間転写ベルト20の表面上の上述した第二のフルカラー画像を用紙Pのおもて面に転写する。次に、複写機1は、用紙Pを若干上方へと搬送した裏面画像転写装置36と二次転写ベルト30との対向部では、裏面画像転写装置36によって裏面画像転写バイアスを印加する。これによって、二次転写ベルト30の表面上の上述した第一のフルカラー画像を用紙Pの裏面に転写する。その後、表裏両面にトナー像が転写された後の用紙Pを定着装置Hへと導き、定着ローラ対47によって形成される定着ニップを通過させて、熱と圧力とを加えて両面の転写画像を用紙Pに定着する。その後、複写機1は、排紙ガイド44で用紙Pを案内し、排紙ガイド44によって形成される用紙搬送路の途中に配置された経路切換爪によって搬送先を適宜振り分ける。そして、下部または上部の一方の排紙ローラ対45は排紙口51から外装カバー10の外に用紙Pを排出し、胴内排紙部112のスタック部50上に表面を下にしてフェイスダウンでスタックする。
【0026】
複写機1は、中間転写装置Eで、第二のフルカラー画像を用紙Pに転写した後の中間転写ベルト20の表面上に残留した転写残トナーを、中間転写ベルトクリーニング装置24で除去する。また、二次転写装置Fは、第一のフルカラー画像を用紙Pに転写した後の二次転写ベルト30の表面上に残留した転写残トナーを、二次転写ベルトクリーニング装置35で除去する。このとき、中間転写ベルト20から第一のフルカラー画像が転写される際に非クリーニング状態にあった二次転写ベルトクリーニング装置35を、クリーニング装置支持軸56を中心に回動して二次転写ベルト30に接触させてクリーニング状態としておく。複写機1は、中間転写ベルト20及び二次転写ベルト30の表面上の転写残トナーを除去し、それぞれ次の画像担持に備える。
【0027】
画像形成を続けることにより、個々の現像装置14内のトナーがなくなったときには、トナー補給装置Jのトナー収納部52における、現像装置14に対応するトナーカートリッジ53から粉体ポンプ等で搬送して同色のトナーを補給する。また、ジャムにより用紙Pの搬送が妨げられたときには、両面装置113を、両面装置支持軸55を中心として図1中の矢印d方向に開き、用紙搬送路を開放してジャム処理を行う。
【0028】
図1に示す複写機1で、用紙Pの片面にフルカラー画像を形成するときは、四つの作像装置2(2a、2b、2c及び2d)のそれぞれの感光体12の表面上に形成したトナー像を中間転写ベルト20の表面上に転写してフルカラー画像を形成する。次に、複写機1は、そのフルカラー画像を二次転写装置Fの二次転写ベルト30に転写することなく用紙搬送装置Gで搬送する用紙Pの片面に転写する。そして、複写機1は、定着装置Hで転写画像を用紙Pに定着し、胴内排紙部112のスタック部50上に画像面を下にしてフェイスダウンでページ順に揃えてスタックする。
【0029】
また、図1に示す複写機1で、用紙Pに二色画像やモノクロ画像を形成するときは、四つの作像装置2(2a、2b、2c及び2d)のうちの対応する色の作像装置2を用いてトナー像を形成する。複写機1は、そのトナー像を中間転写装置Eの中間転写ベルト20や二次転写装置Fの二次転写ベルト30を介して用紙Pに転写する。
【0030】
次に、本実施形態の特徴部である排出口からの微粒子の外部への漏れを抑制するための構成(以下、微粒子漏れ抑制構成という)について説明する。定着の際に気化したワックスが凝集したり、定着部材に用いられるシリコーンゴムから低分子成分が揮発し凝集することで微粒子が発生する。たとえば、超微粒子(以下UFPと示す)は、シロキサンやパラフィンなどの高沸点の物質であることが多く、定着時の熱エネルギーにより揮発したものである。シロキサンは、定着ローラのシリコーンゴムやトナーのシリコーンオイルから蒸発して発生する。また、定着ベルトの摺動剤としてシリコーンオイルが使用されていたり、ウエブクリーニングにシリコーンオイルが使用されていたりすれば、シロキサンが発生し得る。パラフィンはトナーに含有しているワックス及びトナー中の不純物が揮発して発生する。定着器で発生した微粒子は、排気システム100において、排気ファンによる気流に乗り微粒子捕集フィルタで捕集する。このフィルタ部の他に開口部があるとそこから微粒子が漏れ出てしまう。特に、用紙が排出される排紙口から漏れ出る量が多い。
【0031】
図3は、微粒子抑制構成を設ける前の複写機1の定着装置Hと排紙口51aの概略構成図である。定着装置Hで発生するUFPは用紙Pが搬送される際に発生する気流Aに乗って流動し、排紙ローラ対45の周囲の隙間を通り抜け下部排紙口51aから排出される。用紙Pの移動に伴った図中上面側と下面側それぞれに平行な気流Aが生じる。用紙Pは気流を示す矢印を見やすくするため先端、中間部、後端側のみ太い実線で示す。
【0032】
図3(b)は排紙壁面部112aの排紙口51a近傍を胴内排紙部112側からの見た左側面図である。排紙ローラ対45aを構成する上側のローラ60は駆動軸61の幅方向の複数箇所に駆動ローラ62が固設されている。下側のローラ63は駆動ローラ62に当接する複数の従動コロ64からなる。排紙ローラ対45周囲と下部排紙口51aの縁との間に隙間が生じている。
【0033】
本実施形態の微粒子漏れ抑制構成は、画像を形成したシートを排出する排出口のシート搬送方向上流側の近傍にシートの移動に伴う気流に乱流を生じさせる乱流発生部を備える。乱流を生じさせることによって圧損を高め、排出口から外部へ気流が通りにくくし、漏れ出る気流量を少なくする。また、乱流によってUFP同士を衝突・合体させ、2つの微粒子が1つの微粒子となるというように微粒子の排出個数を少なくする。
【0034】
[構成例1]
図4は微粒子漏れ抑制構成の第一構成例の説明図である。この微粒子漏れ抑制部70は排紙壁面部112aに排紙口51aの近傍をカバーするケース71を備えている。このケース71には排紙ローラ対45aで排紙された用紙Pが通過する排出口72が形成されている。ケース71の内部には用紙Pの図中下面に対向するガイド面73が形成され、用紙Pの図中上面側には乱流を発生させるための部材が配置されている。
【0035】
具体的には、この構成例1は、シートの移動に伴う気流を分岐させる分岐部材としての分岐板74と備えている。この分岐板74は、相対的にシート搬送経路から離れた側の分岐気流A2をシート搬送経路に対し離間させる。離間した気流はケース71の上壁内面で向きを変えられて排出口72が形成された出口側側壁に向かい、その後に、出口側側壁の内面に沿って降下し他方の分岐気流A1に合流する。構成例1は、この合流箇所で乱流Cを発生させる。以上の分岐板74,ケース71の上壁、ケース71の出口側側壁及びガイド面73により、気流案内部材が構成されている。そして、この出口側側壁は、内面に気流をシート搬送方向上流に向くようにガイドする傾斜面部75を備えている。この傾斜面部75を構成する部材は反転部材ともいえる。この傾斜面部75により、他方の分岐気流A1に合流させるに当たり、シート搬送の向きとは逆の向きから合流させる。
【0036】
相対的にシート搬送経路から離れた側の分岐気流A2の経路は、相対的にシート搬送経路に近い側の分岐気流A1の経路よりも流路断面が大きいことが好ましい。たとえば、図4(c)に示すように、分岐気流A2の経路の流路断面を決める分岐板74の上端とケース71の上壁内面との間隔L1や分岐板74とケース71の出口側側壁内面との間隔L2は、他方の分岐気流A1の経路端面を決める分岐板74の下端とガイド面73との間隔L3よりも大きいことが好ましい。これによれば、互い同じ流路断面の場合や逆大小関係の場合に比べて、分岐気流A2の流量を大きくして乱流の発生量を多くできる。
【0037】
[構成例2]
図5は他の構成例の説明図である。この構成例2は分岐部材と反転部材を用紙搬送面に対して上下に配置する。すなわち、構成例2は、分岐板74a、74bと傾斜面部75a、75bを用紙搬送面の両側それぞれに備える。これにより、片側のみに設ける場合に比べ、より効果的に気流の合流点で乱流を発生させることができるため、排出口72から漏れ出る微粒子量を一層減らすことができる。
【0038】
[構成例3]
図6は更に他の構成例の説明図である。この構成例3は分岐経路を排紙方向に2ヶ所以上繰り返し配置する。図示の例は、シート搬送経路の上側に二ヶ所配置する。傾斜板80上流側傾斜面が一段目の合流点に導く傾斜面部を構成し、この傾斜板80の下流側の傾斜板81と傾斜面部75とにより二段目の分岐経路と合流経路とが形成される。気流の合流点が増え乱流の発生箇所が増えるため、排出口72から漏れ出る微粒子量を一層減らすことができる。
【0039】
[構成例4]
図7は更に他の構成例の説明図である。この構成例4は分岐経路に微粒子を捕集するフィルタ部材82を配置したものである。圧損が高いフィルタ部材82を使用すると分岐経路に向かう気流が減少してしまい、合流点で乱流が発生しにくくなるため、圧損の低いフィルタを使用することが望ましい。図示の例は構成例1にフィルタ部材82を付設したものであるが、他の構成例2又は3についてフィルタ部材82を付設してもよい。
【0040】
以上の構成例1~4は、乱流発生部を、排出口に向けてシートに搬送力を与える最終段の搬送部材である排紙ローラ対45よりも搬送方向下流側に設けているが、乱流発生部よりも下流側に最終段の搬送部材を設けてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 :複写機
2 :作像装置
2a :イエロー用作像装置
2b :マゼンタ用作像装置
2c :シアン用作像装置
2d :ブラック用作像装置
10 :外装カバー
12 :感光体
13 :帯電装置
14 :現像装置
15 :一次転写ローラ
16 :感光体クリーニング装置
17 :除電装置
18 :露光装置
20 :中間転写ベルト
21 :中間転写ベルト第一支持ローラ
22 :中間転写ベルト第二支持ローラ
23 :中間転写ベルト第三支持ローラ
24 :中間転写ベルトクリーニング装置
25 :二次転写ローラ
30 :二次転写ベルト
31 :二次転写ベルト第一支持ローラ
32 :二次転写ベルト第二支持ローラ
33 :二次転写ベルト第三支持ローラ
35 :二次転写ベルトクリーニング装置
36 :裏面画像転写装置
40 :給紙トレイ
41 :給紙ローラ
42 :給紙ガイド
43 :レジストローラ対
44 :排紙ガイド
45 :排紙ローラ対
45a :下部排紙ローラ対
45b :上部排紙ローラ対
47 :定着ローラ対
50 :スタック部
51 :排紙口
51a :下部排紙口
51b :上部排紙口
52 :トナー収納部
53 :トナーカートリッジ
55 :両面装置支持軸
56 :クリーニング装置支持軸
60 :ローラ
61 :駆動軸
62 :駆動ローラ
63 :ローラ
64 :従動コロ
70 :抑制部
71 :ケース
72 :排出口
73 :ガイド面
74 :分岐板
74a :分岐板
74b :分岐板
75 :傾斜面部
75a :傾斜面部
75b :傾斜面部
80 :傾斜板
81 :傾斜板
82 :フィルタ部材
100 :排気システム
110 :画像形成部
111 :給紙装置
112 :胴内排紙部
112a :排紙壁面部
112b :奥側壁面部
112c :天井部
113 :両面装置
114 :画像読取装置
115 :操作表示部
120 :排紙部上部仕切壁
A :気流
A1 :分岐気流
A2 :分岐気流
C :乱流
E :中間転写装置
F :二次転写装置
G :用紙搬送装置
H :定着装置
J :トナー補給装置
P :用紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0042】
【特許文献1】特開2017-173491号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7