(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059023
(43)【公開日】2023-04-26
(54)【発明の名称】インクジェット記録方法
(51)【国際特許分類】
B41M 5/00 20060101AFI20230419BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20230419BHJP
B41J 2/015 20060101ALI20230419BHJP
C09D 11/30 20140101ALI20230419BHJP
C09D 11/101 20140101ALI20230419BHJP
【FI】
B41M5/00 100
B41M5/00 120
B41M5/00 112
B41J2/01 127
B41J2/015 101
B41J2/01 303
C09D11/30
C09D11/101
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021168890
(22)【出願日】2021-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】藤田 勇祐
(72)【発明者】
【氏名】小林 広紀
(72)【発明者】
【氏名】小島 智之
(72)【発明者】
【氏名】山口 竜輝
(72)【発明者】
【氏名】小林 俊介
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
2H186
4J039
【Fターム(参考)】
2C056HA38
2C056HA44
2C057AM21
2H186AB11
2H186BA08
2H186DA10
2H186FB04
2H186FB15
2H186FB34
2H186FB36
2H186FB38
2H186FB44
2H186FB46
2H186FB48
2H186FB55
4J039AD21
4J039BC20
4J039BC32
4J039BC33
4J039EA23
4J039EA46
4J039FA01
4J039FA02
4J039FA03
4J039FA04
4J039FA05
4J039GA24
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高生産性であり、かつインク滴の着弾位置精度、画像の耐ブロッキング性、及び画像の基材密着性に優れ、インク滴の飛散による画像汚染を抑制することができるインクジェット記録方法の提供。
【解決手段】インクジェット記録装置のインクジェットヘッドから、少なくとも1種の活性エネルギー線硬化型インク組成物を記録媒体上に吐出する吐出工程と、活性エネルギー付与手段から活性エネルギーを付与し、吐出された前記活性エネルギー線硬化型インク組成物を硬化する硬化工程と、を含むインクジェット記録方法であって、前記吐出工程における走査速度が、前記記録媒体に対して相対的に1.5m/s以上であり、前記インクジェットヘッドがピエゾ方式であり、前記ピエゾ方式に用いられる駆動信号が、第一の引き込みパルス、第二の引き込みパルス、第三の引き込みパルス、及び押し込みパルスを含むことを特徴とするインクジェット記録方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット記録装置のインクジェットヘッドから、少なくとも1種の活性エネルギー線硬化型インク組成物を記録媒体上に吐出する吐出工程と、
活性エネルギー付与手段から活性エネルギーを付与し、吐出された前記活性エネルギー線硬化型インク組成物を硬化する硬化工程と、を含むインクジェット記録方法であって、
前記吐出工程における走査速度が、前記記録媒体に対して相対的に1.5m/s以上であり、
前記インクジェットヘッドがピエゾ方式であり、
前記ピエゾ方式に用いられる駆動信号が、第一の引き込みパルス、第二の引き込みパルス、第三の引き込みパルス、及び押し込みパルスを含み、
前記第一の引き込みパルス、前記第二の引き込みパルス、及び前記第三の引き込みパルスにおけるパルス幅(Pw)が、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物の吐出速度が最も速くなるときのパルス幅(P1)に対して、30%以上120%未満であり、
前記押し込みパルスは、前記第三の引き込みパルスの後に出力され、
前記インクジェットヘッドの駆動周波数が20kHz以上であり、
前記活性エネルギー線硬化型インク組成物が、
(A)ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が90℃以上であり、かつ環構造を有する化合物と、
(B)アミン変性アクリレートオリゴマーと、
(C)ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が-30℃以下である化合物と、を含有し、
前記(A)成分の含有量が、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物全量に対して、45質量%以上であり、
前記(C)成分の含有量が、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物全量に対して、10質量%以下であることを特徴とするインクジェット記録方法。
【請求項2】
前記吐出工程における走査速度が、前記記録媒体に対して相対的に1.8m/s以上である、請求項1に記載のインクジェット記録方法。
【請求項3】
前記押し込みパルスの波高値が、中間電位に対して120%以上160%以下である駆動信号を用いる、請求項1から2のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
【請求項4】
前記(A)成分の含有量が、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物全量に対して、50質量%以上含有する、請求項1から3のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
【請求項5】
前記活性エネルギー線硬化型インク組成物が、官能基数が2以上であるウレタンアクリレートオリゴマーを含む、請求項1から4のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
【請求項6】
前記ウレタンアクリレートオリゴマーが、3官能ウレタンアクリレートオリゴマーである、請求項5に記載のインクジェット記録方法。
【請求項7】
前記P1に対する前記第三の引き込みパルスのPwの比率をA(%)とし、前記P1に対する前記第一の引き込みパルスのPw、又は前記第二の引き込みパルスのPwの比率をB(%)としたとき、以下の式(1)を満たす、請求項1から6のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
|100-A|<|100-B|・・・式(1)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンターは、大型の宣伝広告の印刷などの産業用途における利用機会が多くなってきており、近年では、高生産性であることや、速い印刷速度及び高い周波数で印刷可能である等の性能を有したインクジェットプリンターが求められている。
【0003】
インクジェットプリンターに用いられるインク組成物には、例えば、水性インクジェトインク組成物、油性インクジェットインク組成物、活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物などが用いられており、特に、前記活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物は、活性エネルギー線の照射によって組成物を硬化させることから、例えば、アクリル板の様な非浸透性基材であっても、乾燥性に優れるため好適に用いられている。
前記インクジェットプリンターに用いられるインク組成物には、前記インク組成物が付与された面及び基材(記録媒体)面同士、又は前記インク組成物が付与された面同士が接触する状態で保管される場合があるため、耐ブロッキング性や基材密着性が求められている。
【0004】
従来のインク組成物としては、高周波数、高射出速度で印刷した場合の射出特性に優れた、特に1Pass硬化型の活性エネルギー線硬化型インクジェットインキを提供し、高生産性のデジタル印刷機を得る目的で、エチレン性二重結合を含有する反応性モノマー中にて、ポリエチレンイミンを主骨格とし、側鎖にウレタン骨格を含有する樹脂型分散剤を用いて顔料を分散してなる分散体を含有するインクジェットインキが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、高生産性であり、かつインク滴の着弾位置精度、画像の耐ブロッキング性、及び画像の基材密着性に優れ、インク滴の飛散による画像汚染を抑制することができるインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための手段としての本発明のインクジェット記録方法は、インクジェット記録装置のインクジェットヘッドから、少なくとも1種の活性エネルギー線硬化型インク組成物を記録媒体上に吐出する吐出工程と、活性エネルギー付与手段から活性エネルギーを付与し、吐出された前記活性エネルギー線硬化型インク組成物を硬化する硬化工程と、を含むインクジェット記録方法であって、前記吐出工程における走査速度が、前記記録媒体に対して相対的に1.5m/s以上であり、前記インクジェットヘッドがピエゾ方式であり、前記ピエゾ方式に用いられる駆動信号が、第一の引き込みパルス、第二の引き込みパルス、第三の引き込みパルス、及び押し込みパルスを含み、前記第一の引き込みパルス、前記第二の引き込みパルス、及び前記第三の引き込みパルスにおけるパルス幅(Pw)が、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物の吐出速度が最も速くなるときのパルス幅(P1)に対して、30%以上120%未満であり、前記押し込みパルスは、前記第三の引き込みパルスの後に出力され、前記インクジェットヘッドの駆動周波数が20kHz以上であり、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物が、(A)ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が90℃以上であり、かつ環構造を有する化合物と、(B)アミン変性アクリレートオリゴマーと、(C)ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が-30℃以下である化合物と、を含有し、前記(A)成分の含有量が、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物全量に対して、45質量%以上であり、前記(C)成分の含有量が、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物全量に対して、10質量%以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、高生産性であり、かつインク滴の着弾位置精度、画像の耐ブロッキング性、及び画像の基材密着性に優れ、インク滴の飛散による画像汚染を抑制することができるインクジェット記録方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明における駆動パルス、及び駆動波形の一例を示す概略図である。
【
図2A】本発明におけるP1を説明するための図である。
【
図2B】本発明におけるP1を説明するための図である。
【
図3】本発明における像形成装置の一例を示す概略図である。
【
図4】本発明における別の像形成装置の一例を示す概略図である。
【
図5】本発明におけるさらに別の像形成装置の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(インクジェット記録方法)
本発明におけるインクジェット記録方法は、インクジェット記録装置のインクジェットヘッドから、少なくとも1種の活性エネルギー線硬化型インク組成物を記録媒体上に吐出する吐出工程と、活性エネルギー付与手段から活性エネルギーを付与し、吐出された前記活性エネルギー線硬化型インク組成物を硬化する硬化工程と、を含むインクジェット記録方法であって、前記吐出工程における走査速度が、前記記録媒体に対して相対的に1.5m/s以上であり、前記インクジェットヘッドがピエゾ方式であり、前記ピエゾ方式に用いられる駆動信号が、第一の引き込みパルス、第二の引き込みパルス、第三の引き込みパルス、及び押し込みパルスを含み、前記第一の引き込みパルス、前記第二の引き込みパルス、及び前記第三の引き込みパルスにおけるパルス幅(Pw)が、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物の吐出速度が最も速くなるときのパルス幅(P1)に対して、30%以上120%未満であり、前記押し込みパルスは、前記第三の引き込みパルスの後に出力され、前記インクジェットヘッドの駆動周波数が20kHz以上であり、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物が、(A)ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が90℃以上であり、かつ環構造を有する化合物と、(B)アミン変性アクリレートオリゴマーと、(C)ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が-30℃以下である化合物と、を含有し、前記(A)成分の含有量が、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物全量に対して、45質量%以上であり、前記(C)成分の含有量が、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物全量に対して、10質量%以下であることを特徴とする。
なお、本明細書において、「(A)ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が90℃以上であり、かつ環構造を有する化合物」は「(A)成分」、「(B)アミン変性アクリレートオリゴマー」は「(B)成分」、「(C)ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が-30℃以下である化合物」は「(C)成分」、「活性エネルギー線硬化型インク組成物」は「組成物」又は「インク」と称することがある。
【0010】
本発明者らが鋭意検討したところ、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物として、(A)ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が90℃以上であり、かつ環構造を有する化合物と、(C)ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が-30℃以下である化合物と、を含有することにより、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物を硬化して得られる硬化物において、優れた耐ブロッキング性及び基材密着性が得られることを知見した。
さらに、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物が、(B)アミン変性アクリレートオリゴマーを含有することで、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物が付与された面及び基材(記録媒体)面同士、又は前記活性エネルギー線硬化型インク組成物が付与された面同士を接触させた場合においても、耐ブロッキング性に優れた硬化物(画像)を形成することができることを見出した。
【0011】
上記の優れた効果が得られる理由は定かではないが、以下に示すことが考えられる。
従来の活性エネルギー線硬化型インク組成物においては、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物が前記(A)成分を含有することで、ガラス転移温度(Tg)が高く、環構造を有する剛直な構造を有する硬化物が形成され、耐ブロッキング性が向上する。しかしながら、前記硬化物における構造の嵩高さ故に、硬化時の反応性に劣る場合があった。より具体的には、前記硬化物において微量ながら未反応物が残留し、特に前記活性エネルギー線硬化型インク組成物が付与された面同士を接触させた場合においては、局所的に未反応な残留物が増える場合があった。その結果ブロッキングが発生するものと考えられる。
従来の活性エネルギー線硬化型インク組成物に対して、本発明における活性エネルギー線硬化型インク組成物は、前記(A)成分及び前記(C)成分に加え、前記(B)成分をさらに含有することで、前記(A)成分の反応性をより向上させることができ、特に前記活性エネルギー線硬化型インク組成物が付与された面同士を接触させた場合においては、耐ブロッキング性に優れた硬化物(画像)を形成することができると考えられる。
【0012】
前記特許文献1で提案されている従来のインクジェットインキ、及びデジタル印刷機には、インク吐出時におけるインク滴のサテライトによる画像汚染の発生や、インク滴の着弾位置精度の低下といった問題があった。一般的に、速い印刷速度、高い周波数で印刷した場合や、活性エネルギー線硬化型インク組成物が高粘度である場合、インク吐出時にサテライトが発生し、非印刷部分にまでインクが散ることで、画像が汚染されたり、インク滴の着弾位置の精度が低下したりすることがある。
インク吐出時におけるサテライトを抑制し、画像汚染を防ぐためには、インク粘度を下げた状態でインクを吐出することが好ましく、加温機構を備えたインクジェットヘッドを用いることで、インクを加熱し、粘度を下げた状態でインクを吐出することができる。
しかしながら、本発明における活性エネルギー線硬化型インク組成物のように、(B)アミン変性アクリレートオリゴマーを用いる場合、前記(B)成分を含んだ活性エネルギー線硬化型インク組成物が、インクジェットヘッド部分を劣化させる場合があり、特に加温機構を併用すると劣化が加速されるという問題があった。その理由は定かではないが、前記(B)成分が、極性に特徴のあるアミン構造を有していることが影響していると考えられる。
【0013】
本発明者らが、更に鋭意検討を重ねた結果、インクジェット記録装置におけるインクジェットヘッドがピエゾ方式であり、前記ピエゾ方式における駆動信号が、第一の引き込みパルス、第二の引き込みパルス、第三の引き込みパルス、及び押し込みパルスを少なくとも含み、前記第一の引き込みパルス、前記第二の引き込みパルス、及び前記第三の引き込みパルスにおけるパルス幅(Pw)が、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物の吐出速度が最も速くなるときのパルス幅(P1)に対して、30%以上120%未満であり、前記押し込みパルスは、前記第三の引き込みパルスの後に出力されることによって、前記(B)アミン変性アクリレートオリゴマーを使用した場合においても、著しい加温を必要とせずに画像汚染を抑制することができ、またインク滴における着弾位置の精度に優れた硬化物(画像)を形成することができることを見出した。
【0014】
したがって、本発明においては、インクジェット記録装置のインクジェットヘッドから、少なくとも1種の活性エネルギー線硬化型インク組成物を記録媒体上に吐出する吐出工程と、活性エネルギー付与手段から活性エネルギーを付与し、吐出された前記活性エネルギー線硬化型インク組成物を硬化する硬化工程と、を含むインクジェット記録方法であって、前記吐出工程における走査速度が、前記記録媒体に対して相対的に1.5m/s以上であり、前記インクジェットヘッドがピエゾ方式であり、前記ピエゾ方式に用いられる駆動信号が、第一の引き込みパルス、第二の引き込みパルス、第三の引き込みパルス、及び押し込みパルスを含み、前記第一の引き込みパルス、前記第二の引き込みパルス、及び前記第三の引き込みパルスにおけるパルス幅(Pw)が、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物の吐出速度が最も速くなるときのパルス幅(P1)に対して、30%以上120%未満であり、前記押し込みパルスは、前記第三の引き込みパルスの後に出力され、前記インクジェットヘッドの駆動周波数が20kHz以上であり、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物が、(A)ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が90℃以上であり、かつ環構造を有する化合物と、(B)アミン変性アクリレートオリゴマーと、(C)ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が-30℃以下である化合物と、を含有し、前記(A)成分の含有量が、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物全量に対して、45質量%以上であり、前記(C)成分の含有量が、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物全量に対して、10質量%以下であることによって、高生産性であり、かつインク滴の着弾位置精度、画像の耐ブロッキング性、及び画像の基材密着性に優れ、インク滴の飛散による画像汚染を抑制することができるインクジェット記録方法、活性エネルギー線硬化型インク組成物を得ることができる。
【0015】
<インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置>
本発明のインクジェット記録方法は、吐出工程と、硬化工程とを含み、必要に応じて、その他の工程を含んでいてもよい。
本発明のインクジェット記録方法は、インクジェット記録装置によって行うことができる。
前記インクジェット記録装置は、吐出手段と、硬化手段と、を含み、必要に応じて、その他の手段を含んでいてもよい。
また、前記インクジェット記録装置は、後述する活性エネルギー線硬化型インク組成物を収容するための収容部を備えていてもよく、前記収容部には後述する組成物収容容器を収容していてもよい。
前記インクジェット記録装置におけるインクジェットヘッドは、インク液滴を吐出するノズルを有するノズル板、前記ノズルが連通する液室、及び前記液室内に圧力を発生させる圧力発生手段を有する。なお、本発明における前記圧力発生手段は、ピエゾ素子を用いたピエゾ方式である。
<<吐出工程及び吐出手段>>
前記吐出工程は、インクジェット記録装置のインクジェットヘッドから、少なくとも1種の活性エネルギー線硬化型インク組成物を記録媒体上に吐出する工程である。
前記吐出手段は、インクジェット記録装置のインクジェットヘッドから、少なくとも1種の活性エネルギー線硬化型インク組成物を記録媒体上に吐出する手段である。
【0016】
本発明において、前記吐出工程における走査速度は、後述する記録媒体に対して相対的に1.5m/s以上である。
前記吐出工程における走査速度が、前記記録媒体に対して相対的に1.5m/s以上であることにより、生産性が優れるため好適である。
前記吐出工程における走査速度は、生産性に優れるという観点から、前記記録媒体に対して相対的に1.8m/s以上であることがより好ましい。
【0017】
本発明において、前記吐出工程におけるインクジェットの駆動周波数は20kHz以上である。
前記駆動周波数が20kHz以上であることにより、前記走査速度が前記記録媒体に対して相対的に1.5m/s以上であっても、高解像度の画像を印刷することができるため好適である。
また、前記走査速度が前記記録媒体に対して相対的に1.8m/s以上である場合、前記駆動周波数は25kHz以上であることが好ましい。
【0018】
<<<記録媒体>>>
前記記録媒体としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、又はこれらの複合材料などが挙げられる。これらの中でも、加工性の観点から、プラスチック基材が好ましい。
【0019】
<<<駆動信号>>>
本発明において、後述する活性エネルギー線硬化型インク組成物を吐出する方法としては、ピエゾ方式であれば、特に制限はないが、オンデマンド型であることが好ましい。
本発明において、前記吐出工程及び前記吐出手段における前記ピエゾ方式に用いられる駆動信号は、第一の引き込みパルス、第二の引き込みパルス、及び第三の引き込みパルス、及び押し込みパルスを含む。
本発明において、前記押し込みパルスは、前記第三の引き込みパルスの後に出力される。
【0020】
ここで、第一の引き込みパルス、第二の引き込みパルス、及び第三の引き込みパルス、及び押し込みパルスを含む駆動信号の例を
図1に示す。
図1において、中間電位に対して
図1中下側に電圧が変位するものは、引き込みパルスを示し、中間電位に対して
図1中上側に電圧が変位するものは、押し込みパルスを示す。
図1中の左側から順に、第一の引き込みパルス、第二の引き込みパルス、第三の引き込みパルス、押し込みパルスを示す。
【0021】
本発明において、前記第一の引き込みパルス、前記第二の引き込みパルス、及び前記第三の引き込みパルスにおけるパルス幅(Pw;pulse width)のいずれもが、本発明のインクジェット記録方法によって、後述する活性エネルギー線硬化型インク組成物が吐出されるとき、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物の吐出速度が最も速くなるときのパルス幅(P1)に対して、30%以上120%未満である。
前記第一の引き込みパルス、前記第二の引き込みパルス、及び前記第三の引き込みパルスにおけるPwのいずれもが、前記P1に対して、30%以上120%未満であることにより、インク滴の着弾精度が良好となり、またインク吐出時におけるサテライトの発生を防ぐことで、印刷部周辺の画像汚染を抑制することができ、好適である。
【0022】
ここで、本発明のインクジェット記録方法によって、後述する活性エネルギー線硬化型インク組成物が吐出されるとき、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物の吐出速度が最も速くなるときのパルス幅(P1)の例を
図2A及び
図2Bを用いて示す。
前記P1とは、例えば、
図2Aに示すような、1つの引き込みパルスから成るような駆動信号において、
図2Bに示すように、パルス幅(Pw)に対するインクの吐出速度(V
j)をみたとき、前記吐出速度(V
j)が最も速くなる第一ピークのときのパルス幅(Pw)を示す。
【0023】
前記第一の引き込みパルスのPw、及び前記第二の引き込みパルスのPwが、前記P1に対して、30%以上80%未満であることが好ましい。
前記第一の引き込みパルスのPw、及び前記第二の引き込みパルスのPwが、前記P1に対して、上記範囲であることにより、インク滴の着弾精度が良好となり、またインク吐出時におけるサテライトの発生を防ぐことで、印刷部周辺の画像汚染を抑制することができ、好適である。
【0024】
本発明のインクジェット記録方法は、前記P1に対する前記第三の引き込みパルスのPwの比率をA(%)とし、前記P1に対する前記第一の引き込みパルスのPw、又は前記第二の引き込みパルスのPwの比率をB(%)としたとき、以下の式(1)を満たすことが好ましい。
|100-A|<|100-B|・・・式(1)
本発明のインクジェット記録方法が、上記(1)式を満たすことによって、インク滴の着弾精度が優れるため、好適である。
【0025】
本発明のインクジェット記録方法において、印刷制御部によりインク液滴の大きさに応じた吐出パルスが発生される。前記吐出パルスは、1つ以上の駆動パルスを時系列で含む駆動波形から駆動パルスを選択して構成される。
なお、前記「駆動パルス」とは、駆動波形を構成する要素としてのパルス(前記第一の引き込みパルス、前記第二の引き込みパルス、前記第三の引き込みパルス、及び押し込みパルス)を示す用語として用い、前記「吐出パルス」とは、前記圧力発生手段を具備したインクジェットヘッドに印加されて、インク液滴を吐出させるパルスを示す用語として用いる。
【0026】
本発明のインクジェット記録方法において、吐出させたいインク液滴の大きさに応じて、1つ以上の駆動パルスを時系列で含む駆動波形から、任意の駆動パルスを選択することで吐出させるインク液滴の大きさを変えることができる。例えば、一例として示した
図1の駆動波形においては、3つの引き込みパルスのうち1つを選択することで小滴、3つの引き込みパルスのうち2つを選択することで中滴、3つの引き込みパルスの全てを選択することで大滴といったように、吐出させるインク液滴の大きさを変えることができる。
なお、本発明においては、吐出させるインク液滴の大きさにかかわらず、押し込みパルスは使用することが好ましい。
【0027】
本発明においては、駆動パルスを時系列で含む駆動波形において、最も小さいインク液滴を吐出させるために、前記押し込みパルスと、前記第三の引き込みパルスとを使用することが好ましく、より大きいインク液滴を吐出させるために、前記押し込みパルスと、前記第三の引き込みパルスと、前記第一の引き込みパルス及び前記第二の引き込みパルスのいずれか又は両方と、を使用することが好ましい。
【0028】
本発明における押し込みパルスの波高値は、中間電位に対して120%以上160%以下であることが好ましい。換言すると、前記波高値は、中間電位をA(V)、押し込みパルスによる立ち上がり最大電位をB(V)としたとき、B(V)が、1.2×A(V)以上1.6×A(V)以下であることが好ましい。
前記押し込みパルスの波高値が、上記数値範囲であることにより、インク滴の着弾精度が良好となり、またインク吐出時におけるサテライトの発生を防ぐことで、印刷部周辺の画像汚染を抑制することができ、好適である。
ここで、前記押し込みパルスの波高値とは、中間電位と、押し込みパルスによる立ち上がり最大電位との電位差を示し、例えば、
図1中のV
Hに相当する。
【0029】
<<硬化工程及び硬化手段>>
前記硬化工程は、後述する活性エネルギー線照射手段から活性エネルギーを付与し、吐出された前記活性エネルギー線硬化型インク組成物を硬化する工程である。
前記硬化手段は、後述する活性エネルギー線照射手段から活性エネルギーを付与し、吐出された前記活性エネルギー線硬化型インク組成物を硬化する手段である。
【0030】
<<<活性エネルギー線照射工程及び活性エネルギー線照射手段>>>
前記活性エネルギー線照射工程は、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物に対して活性エネルギーを付与(照射)する工程である。
前記活性エネルギー線照射手段は、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物に対して活性エネルギーを付与(照射)する手段である。
【0031】
―活性エネルギー線―
本発明における活性エネルギー線硬化型インク組成物を硬化させるために用いる活性エネルギー線としては、組成物中の重合性成分の重合反応を進める上で必要なエネルギーを付与できるものであればよく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、紫外線、電子線、α線、β線、γ線、X線などが挙げられる。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物等は、高エネルギーな光源を用いて活性エネルギー線を照射することで、重合開始剤を使用しなくても重合反応を進めることができる。
前記活性エネルギー線が紫外線である場合、環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。さらに、紫外線発光ダイオード(UV-LED)及び紫外線レーザダイオード(UV-LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、紫外線光源として好ましい。
【0032】
<<収容部>>
前記インクジェット記録装置は、収容部を備えていてもよく、前記収容部は組成物収容容器に収容されていてもよい。
前記組成物収容容器は、後述する活性エネルギー線硬化型インク組成物を収容してなる。
前記組成物収容容器の形状、大きさ、材質等は、用途や使い方に適したものとすればよく、特に限定されないが、前記組成物収容容器が光を透過しない遮光性材料であること、又は遮光性シート等で覆われていることが好ましい。
前記組成物収容容器は、本発明の活性エネルギー線硬化型インク組成物が収容された状態の容器を意味し、後述する<用途>に供する際に好適である。例えば、本発明における活性エネルギー線硬化型インク組成物が収容された組成物収容容器は、インクカートリッジやインクボトルとして使用することができ、インクの搬送や交換等の作業において、インクに直接触れる必要がなくなり、手指や着衣の汚れを防ぐことができる。また、ごみ等の異物のインクへの混入を防止することができる。
【0033】
<<活性エネルギー線硬化型インク組成物>>
本発明における活性エネルギー線硬化型インク組成物は、(A)ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が90℃以上であり、かつ環構造を有する化合物と、(B)アミン変性アクリレートオリゴマーと、(C)ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が-30℃以下である化合物とを含有し、必要に応じて、その他の成分を含んでいてもよい。
【0034】
<<<(A)ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が90℃以上であり、かつ環構造を有する化合物>>>
前記(A)成分は、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が90℃以上であり、環構造を有する化合物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イソボロニル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、ビニルカプロラクタムなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、本発明において「(メタ)アクリル」とは、メタクリル酸又はアクリル酸を意味し、「(メタ)アクリロイル」とは、メタクリロイル又はアクリロイルを意味し、「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレート又はアクリレートを意味する。
【0035】
前記(A)成分の含有量としては、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物全量に対して、45質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。
前記(A)成分の含有量が、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物全量に対して45質量%以上であることで、耐ブロッキング性に優れた硬化物を形成することができる。
【0036】
本発明における「ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)」とは、該化合物のホモポリマー硬化物のガラス転移温度(Tg)を指す。
前記Tgの測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、示差走査熱量測定(DSC)法によってホモポリマー硬化物のTgを測定することができる。
前記ホモポリマーのカタログにTgの値の記載があれば、その数値を参照してもよい。
【0037】
前記(A)成分は、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記(A)成分の合成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0038】
前記(A)成分の市販品としては、例えば、ACMO(アクリロイルモルフォリン)(KJケミカルズ社製)、IBXA(イソボロニルアクリレート)(大阪有機化学工業社製)、BR-30(トリブロモフェニルアクリレート)(第一工業製薬株式会社製)などが挙げられる。
【0039】
<<<(B)アミン変性アクリレートオリゴマー>>>
前記(B)成分としては、アミン変性アクリレートオリゴマーであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記(B)成分の含有量としては、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物全量に対して、1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、1質量%以上7.5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以上7.5質量%以下であることが特に好ましい。
前記(B)成分の含有量が、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物全量に対して、1質量%以上10質量%以下であることで、耐ブロッキング性に優れた硬化物(画像)を形成することができ、また、インク吐出性に優れた活性エネルギー線硬化型インク組成物を得ることができ、好適である。
【0040】
前記(B)成分は、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記(B)成分の合成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0041】
前記(B)成分の市販品としては、例えば、CN371(アミン変性アクリレートオリゴマー)(サートマー社製)、GENOMER5275(アミン変性アクリレートオリゴマー)(Rahn社製)などが挙げられる。
【0042】
<<<(C)ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が-30℃以下である化合物>>>
前記(C)成分としては、ホモポリマーのガラス転移(Tg)が-30℃以下であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2ーエチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-アクリロイロキシエチル-コハク酸、イソデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(350)モノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(550)モノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0043】
前記(C)成分の含有量としては、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物全量に対して、1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、1質量%以上7.5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以上5質量%以下であることが特に好ましい。
前記(C)成分の含有量が、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物全量に対して、1質量%以上10質量%以下であることで、耐ブロッキング性に優れ、かつ基材密着性にも優れた硬化物(画像)を形成することができ、好適である。
【0044】
前記(C)成分の含有量は、耐ブロッキング性、及び基材密着性の両方に優れた硬化物を形成することができる観点から、前記(B)成分の含有量と同等か、又は少ないことが好ましい。
【0045】
前記(C)成分は、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記(C)成分の合成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0046】
前記(C)成分の市販品としては、例えば、2-MTA(メトキシエチルアクリレート)(大阪有機化学工業社製)、ライトアクリレートIAA(イソアミルアクリレート)(共栄社化学社製)、ライトアクリレートEC-A(エトキシジエチレングリコールアクリレート)(共栄社化学社製)、4HBA(4-ヒドロキシブチルアクリレート)(三菱ケミカル社製)、アクリル酸-2-エチルヘキシル(2ーエチルヘキシルアクリレート)(三菱ケミカル社製)、NOAA(n-オクチルアクリレート)(大阪有機化学工業社製)、アクリル酸ブチル(ブチルアクリレート)(三菱ケミカル社製)、IDAA(イソデシルアクリレート)(大阪有機化学工業社製)などが挙げられる。
【0047】
<<<(D)ウレタンアクリレートオリゴマー>>>
本発明の活性エネルギー線硬化型インク組成物は、ウレタンアクリレートオリゴマーを含んでいてもよい。
本発明の活性エネルギー線硬化型インク組成物は、基材密着性を保持しつつ、耐ブロッキング性に優れた硬化物(画像)を形成することができる観点から、ウレタンアクリレートオリゴマーを含有することが好ましく、重合性官能基数が2以上のウレタンアクリレートオリゴマーを含有することがより好ましく、重合性官能基数が3以上のウレタンアクリレートオリゴマーを含有することがさらに好ましく、重合性官能基数が3であるウレタンアクリレートオリゴマーを含有することが特に好ましい。
【0048】
前記(D)成分は、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記(D)成分の合成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0049】
前記(D)成分の市販品としては、例えば、EBECRYL230(ダイセル・オルネクス株式会社製)、EBECRYL4491(ダイセル・オルネクス株式会社製)、EBECRYL8413(ダイセル・オルネクス株式会社製)、GENOMER 5275(Rahn社製)などが挙げられる。
【0050】
<<<その他の成分>>>
本発明における活性エネルギー線硬化型組成物は、必要に応じて、公知のその他の成分を含有していてもよい。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分、及び前記(D)成分以外のその他の重合性化合物、界面活性剤、重合開始剤、重合促進剤(増感剤)、重合禁止剤、色材、分散剤、有機溶媒、レべリング剤、消泡剤、蛍光増白剤、浸透促進剤、湿潤剤(保湿剤)、定着剤、粘度安定化剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、増粘剤などが挙げられる。
前記その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0051】
-前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分、及び前記(D)成分以外のその他の重合性化合物-
本発明の活性エネルギー線硬化型インク組成物は、必要に応じて、前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分、及び前記(D)成分以外のその他の重合性化合物を含んでいてもよい。
なお、本明細書において「前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分、及び前記(D)成分以外その他の重合性化合物」は、「その他の重合性化合物」と称することがある。
【0052】
前記その他の重合性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、単官能重合性化合物、多官能重合性化合物などが挙げられる。
前記単官能重合性化合物の具体例としては、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、エチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、環状トリメチロールプロパンフォルマルモノアクリレート、イミドアクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート、N-ビニルホルムアミド、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、4-t-ブチルシクロヘキシルアクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、エトキシ化トリブロモフェニルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、ビニルピロリドン、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアクリレート、エトキシ化ノニルフェニルアクリレート、アルコキシ化2-フェノキシエチルアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、ジメチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどが挙げられる。
前記多官能重合性化合物の具体例としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール(メタ)ヘキサアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、変性グリセリントリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(メタ)アクリル酸付加物、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコール(メタ)アクリル酸付加物、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクリレート、ウレタンアクリレートオリゴマー、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマーなどが挙げられる。
前記その他の重合性化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0053】
前記その他の重合性化合物は、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記その他の重合性化合物の合成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0054】
前記その他の重合性化合物の市販品としては、例えば、ビスコート#192(フェノキシエチルアクリレート)(大阪有機化学工業社製)、ジプロピレングリコールジアクリレート(東京化成工業株式会社製)、ビスコート#150(テトラヒドロフルフリルアクリレート)(大阪有機化学工業社製)、HEA(2-ヒドロキシエチルアクリレート)(大阪有機化学工業社製)、アクリル酸エチル(エチルアクリレート)(三菱ケミカル社製)、HPA(2-ヒドロキシプロピルアクリレート)(大阪有機化学工業社製)、AIB(イソブチルアクリレート)(大阪有機化学工業社製)、TBA(t-ブチルアクリレート)(大阪有機化学工業社製)、ビスコート#200(環状トリメチロールプロパンフォルマルモノアクリレート)(大阪有機化学工業社製)、ビスコート3F(2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート)(大阪有機化学工業社製)、ビスコート#155(シクロヘキシルアクリレート)(大阪有機化学工業社製)、ビスコート#160(ベンジルアクリレート)(大阪有機化学工業社製)、ライトアクリレートP2H-A(フェノキシジエチレングリコールアクリレート)(共栄社化学社製)、N-ビニルピロリドン(日本触媒社製)、BR-31(トリブロモフェニルアクリレート)(第一工業製薬社製)、エポキシエステルM-600A(2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート)(共栄社化学社製)、CHDMMA(1,4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート)(三菱ケミカル社製)、STA(ステアリルアクリレート)(大阪有機化学工業社製)、LA(ラウリルアクリレート)(大阪有機化学工業社製)、ビスコート#196(3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアクリレート)(大阪有機化学工業社製)、ライトアクリレートP-200A(フェノキシポリエチレングリコールアクリレート)(共栄社化学社製)、DMAA(ジメチルアクリルアミド)(KJケミカルズ社製)、HEAA(ヒドロキシエチルアクリルアミド)(KJケミカルズ社製)、NIPAM(イソプロピルアクリルアミド)(KJケミカルズ社製)、DEAA(ジエチルアクリルアミド)(KJケミカルズ社製)、DMAPAA(ジメチルアミノプロピルアクリルアミド)(KJケミカルズ社製)、A-TMM-3、A-TMM-3L(ペンタエリスリトールトリアクリレート)(新中村化学工業社製)、ビスコート#310HP(トリプロピレングリコールジアクリレート)(大阪有機化学工業社製)、ビスコート#295(トリメチロールプロパントリアクリレート)(大阪有機化学工業社製)、ライトアクリレートMPD-A(3-メチル-1,5ペンタンジオールジアクリレート)(共栄社化学社製)、ビスコート#230(1,6-ヘキサンジオールジアクリレート)(大阪有機化学工業社製)、ビスコート#260(1,9-ノナンジオールジアクリレート)(大阪有機化学工業社製)、A-DOD-N(1,10-デカンジオールジアクリレート)(新中村化学工業社製)、ライトアクリレートHPP-A(ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート)(共栄社化学社製)、ライトアクリレートDCP-A(ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート)(共栄社化学社製)、A-GLY-3E、A-GLY-9E、A-GLY-20E(変性グリセリントリアクリレート)(新中村化学工業社製)、ビスコート#540(ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物)(大阪有機化学工業社製)、BPE-4(変性ビスフェノールAジアクリレート)(第一工業製薬社製)、ライトアクリレートDPE-6A(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)、ライトエステルG-201P(2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクリレート)(共栄社化学社製)、UA-306H(ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー)(共栄社化学社製)などが挙げられる。
【0055】
―界面活性剤―
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0056】
-重合開始剤-
本発明における活性エネルギー線硬化型インク組成物は、重合開始剤を含有していてもよい。
前記重合開始剤としては、活性エネルギー線のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、重合性化合物(モノマーやオリゴマー)の重合を開始させることが可能なものであれば特に制限はない。
前記重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、塩基発生剤などが挙げられる。これらの中でも、ラジカル重合開始剤が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0057】
前記ラジカル重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、芳香族ケトン類、アシルフォスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物など)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物などが挙げられる。
【0058】
前記ラジカル重合開始剤の具体例として、ベンゾフェノン、アセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-エトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-メトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-イソプロポキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-イソブトキシ-2-フェニルアセトフェノン、4-メトキシアセトフェノン、4-ベンジルオキシアセトフェノン、4-フェニルアセトフェノン、4-ベンゾイル 4‘-メチルジフェニルスルフィド、ベンゾイルギ酸メチル、ベンゾイルギ酸エチル2-ヒドロキシ-1-(4-イソプロペニルフェニル)-2-メチルプロパン-1-オンのオリゴマー[ベンゼン,(1-メチルエチニル)-,ホモポリマー,ar-(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-オキソプロピル)誘導体](IGM社製、「Esacure ONE」)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1(商品名「イルガキュア369」)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(商品名「イルガキュア819」)、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(商品名「イルガキュアTPO」)、ポリエチレングリコール200-ジ(β-4(4-(2-ジメチルアミノ-2-ベンジル)ブタノニルフェニル)ピペラジン)(IGM社製、「Omnipol 910」)、1,3-ジ({α-[1-クロロ-9-オキソ-9H-チオキサンテン-4-イル)オキシ]アセチルポリ[オキシ(1-メチルエチレン)]}オキシ)-2,2-ビス({α-[1-クロロ-9-オキソ-9H-チオキサンテン-4-イル)オキシ]アセチルポリ[オキシ(1-メチルエチレン)]}オキシメチル)プロパン(Lambson社製、「Speedcure7010」)、ポリブチレングリコールビス(9-オキソ-9H-チオキサンチニルオキシ)アセテート(IGM社製、「Omnipol TX」)、高分子型チオキサンテン化合物(Lahn AG社製、「Genepol TX-2」)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、前記ラジカル重合開始剤は、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0059】
前記重合開始剤の含有量としては、十分な硬化速度が得られるという観点から、活性エネルギー線硬化型組成全量に対して、5質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
【0060】
-重合促進剤(増感剤)-
前記重合開始剤に加え、重合促進剤(増感剤)を併用してもよい。
前記増感剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p-ジエチルアミノアセトフェノン、p-ジメチルアミノ安息香酸エチル、p-ジメチルアミノ安息香酸-2-エチルヘキシル、N,N-ジメチルベンジルアミン、及び4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどのアミン化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記増感剤の含有量は、使用する重合開始剤の種類や量に応じて適宜設定することができる。
【0061】
―重合禁止剤―
前記重合禁止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、4-メトキシフェノール、ジブチルヒドロキシトルエン、フェノチアジンなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0062】
-色材-
本発明における活性エネルギー線硬化型インク組成物は、色材を含有していてもよい。
前記色材としては、本発明の活性エネルギー線硬化型インク組成物の目的や要求特性に応じて、ブラック、ホワイト、マゼンタ、シアン、イエロー、グリーン、オレンジ、金や銀等の光沢色などを付与する種々の顔料や染料を用いることができる。
【0063】
前記顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、無機顔料、有機顔料などを使用することができる。前記顔料は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0064】
前記無機顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンなどが挙げられる。
前記有機顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料などが挙げられる。
【0065】
前記染料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料、塩基性染料などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0066】
前記色材の含有量は、特に制限はなく、所望の色濃度や活性エネルギー線硬化型組成物中における分散性等を考慮して適宜決定すればよいが、活性エネルギー線硬化型インク組成物全量に対して、0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
なお、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、色材を含まずに無色透明であってもよい。前記活性エネルギー線硬化型組成物が無色透明である場合、例えば、画像を保護するためのオーバーコート層として好適に用いることができる。
【0067】
-分散剤-
本発明の活性エネルギー線硬化型インク組成物は、前記顔料の分散性をより良好なものとする観点から、分散剤をさらに含有していてもよい。
前記分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、高分子分散剤などの顔料分散物を調製するのに慣用されている分散剤などが挙げられる。
【0068】
-有機溶媒-
本発明における活性エネルギー線硬化型インク組成物は、有機溶媒を含有してもよいが、可能であれば含有しないことが好ましい。
前記有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、本発明の活性エネルギー線硬化型インク組成物を扱う際の安全性がより高まり、かつ環境汚染防止を図ることができる観点から、揮発性の有機溶媒を含まない(VOC(Volatile Organic Compounds)フリー)組成物であることが好ましい。
なお、本明細書における「有機溶媒」とは、例えば、エーテル、ケトン、キシレン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、トルエンなどの一般的な非反応性の有機溶媒を意味するものであり、反応性モノマーとは区別すべきものである。
また、本明細書における「有機溶媒を含有しない」とは、実質的に有機溶媒を含有しないことを意味し、前記有機溶媒の含有量が、活性エネルギー線硬化型インク組成物全量に対して、0.1質量%未満であることが好ましい。
【0069】
<<活性エネルギー線硬化型インク組成物の調製方法>>
本発明の活性エネルギー線硬化型インク組成物は、上述した各種成分を用いて作製することができ、その調製手段や条件は特に限定されないが、例えば、前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分、色材、分散剤等をボールミル、キティーミル、ディスクミル、ピンミル、ダイノーミルなどの分散機に投入することで分散させて顔料分散液を調製し、前記顔料分散液にさらに、前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分、前記(D)成分、その他成分(重合禁止剤、界面活性剤、及び重合開始剤など)を混合させることにより調製することができる。
【0070】
本発明の活性エネルギー線硬化型インク組成物における粘度は、用途や適用手段に応じて適宜調整すればよく、特に限定されないが、例えば、20℃から65℃の範囲における粘度、好ましくは25℃における粘度が、3mPa・s以上40mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上30mPa・s以下がより好ましく、6mPa・s以上25mPa・s以下が特に好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化型インク組成物における粘度の好ましい範囲は、前記有機溶媒を含まずに満たしていることが好ましい。
なお、前記粘度は、東機産業株式会社製コーンプレート型回転粘度計VISCOMETER TVE-22Lにより、コーンロータ(1°34’×R24)を使用し、回転数50rpm、恒温循環水の温度を20℃~65℃の範囲で適宜選択して測定することができる。循環水の温度調整にはVISCOMATE VM-150IIIを用いることができる。
【0071】
<用途>
本発明における活性エネルギー線硬化型インク組成物は、一般的に活性エネルギー線硬化型材料が用いられている分野であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、成形用樹脂、塗料、接着剤、絶縁材、離型剤、コーティング材、シーリング材、各種レジスト、各種光学材料などとして用いることができる。
また、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物は、2次元の文字や画像、各種基材への意匠塗膜を形成するだけでなく、3次元の立体像(立体造形物)を形成するための立体造形用材料として用いることができる。
【0072】
前記立体造形用材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粉体層の硬化と積層とを繰り返して立体造形を行う粉体積層法において用いる粉体粒子同士のバインダーとして用いてもよく、
図4や
図5に示すような積層造形法(光造形法)において用いる立体構成材料(モデル材)や支持部材(サポート材)として用いてもよい。なお、
図4は、本発明における活性エネルギー線硬化型インク組成物を所定領域に吐出し、活性エネルギー線を照射して硬化させた硬化物を順次積層して立体造形を行う方法であり(詳細後述)、
図5は、本発明の活性エネルギー線硬化型インク組成物5の貯留プール1(収容部)に活性エネルギー線4を照射して所定形状の硬化層6を可動ステージ3上に形成し、これを順次積層して立体造形を行う方法である。
【0073】
本発明のインクジェット記録方法を用いて立体造形物を造形するための立体造形装置としては、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、活性エネルギー線硬化型インク組成物を収容する収容手段、活性エネルギー線硬化型インク組成物を供給する供給手段、活性エネルギー線硬化型インク組成物を吐出する吐出手段、活性エネルギー線硬化型インク組成物に対して活性エネルギー線を照射する照射手段などを備えるものなどが挙げられる。
【0074】
本発明のインクジェット記録方法によって、活性エネルギー線硬化型インク組成物を硬化して得られる硬化物には、前記硬化物が基材上に形成されることで得られる構造体を加工してなる成形加工品も含まれる。
前記成形加工品としては、特に制限はなく、例えば、シート状、フィルム状に形成された硬化物や構造体に対して、加熱延伸や打ち抜き加工等の成形加工を施したものであり、例えば、自動車、OA機器、電気・電子機器、カメラ等におけるメーターや操作部のパネルなど、表面を加飾後に成形することが必要な場合に好適に使用することができる。
また、本発明のインクジェット記録方法によって、活性エネルギー線硬化型インク組成物を硬化させて得られる硬化物を用いて、基材上に前記硬化物からなる表面加飾が施されてなる加飾体を形成することができる。
前記成形加工品、及び前記加飾体における基材としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、又はこれらの複合材料などが挙げられる。これらの中でも、加工性の観点から、プラスチック基材が好ましい。
【0075】
本発明のインクジェット記録方法は、2次元又は3次元の像形成方法として用いることもできる。
本発明のインクジェット記録方法を前記2次元又は3次元の像形成方法として用いる場合、前記2次元又は3次元の像形成方法は、2次元又は3次元の像形成装置によって行うことができる。なお。前記2次元又は3次元の像形成装置は、前記インクジェット記録装置と同様のものを用いることができる。
なお、前記2次元又は3次元の像形成方法は、活性エネルギー線硬化型組成物等に対して活性エネルギー線を用いて像を形成してもよいし、活性エネルギー線硬化型組成物等を加温することによって像を形成してもよい。
なお、本明細書において、「2次元又は3次元の像形成装置」は「像形成装置、」「2次元又は3次元の像形成方法」は「像形成方法」と称されることがある。
【0076】
以下、本発明における活性エネルギー線硬化型インク組成物を立体造形用材料として使用した場合の立体造形物の像形成方法(インクジェット記録方法)、及び像形成装置について説明する。ただし、本発明のインクジェット記録方法の用途は、これらの実施形態に何ら限定されるものではない。
【0077】
図3は、吐出手段を備えた像形成装置の一例である。イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックの各色活性エネルギー線硬化型インク組成物のインクカートリッジと、吐出ヘッドを備える各色印刷ユニット23a、23b、23c、及び23dとにより、供給ロール21から供給された記録媒体22に各色活性エネルギー線硬化型インク組成物が吐出される。その後、各色活性エネルギー線硬化型インク組成物を硬化させるための光源24a、24b、24c、24dから、活性エネルギー線を照射して硬化させ、カラー画像を形成する。その後、記録媒体22は、加工ユニット25、及び印刷物巻取りロール26へと搬送される。
【0078】
各印刷ユニット23a、23b、23c、及び23dには、インク吐出部で各色活性エネルギー線硬化型インク組成物が液状化するように、加温機構を設けてもよい。また、必要に応じて、接触又は非接触により記録媒体を室温程度まで冷却する機構を設けてもよい。
インクジェット記録方式としては、吐出ヘッド幅に応じて間欠的に移動する記録媒体に対し、吐出ヘッドを移動させて記録媒体上に各色活性エネルギー線硬化型インク組成物を吐出するシリアル方式や、連続的に記録媒体を移動させ、一定の位置に保持された吐出ヘッドから記録媒体上に各色活性エネルギー線硬化型インク組成物を吐出するライン方式のいずれであっても適用することができる。また、前記記録媒体の片面印刷のみを可能とする構成であっても、両面印刷も可能とする構成であってもよい。
【0079】
前記記録媒体の材質としては、一般的な記録媒体として用いられるものに限られず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紙、フィルム、セラミックスやガラス、金属、ダンボール、壁紙や床材等の建材、コンクリート、Tシャツなど衣料用等の布、テキスタイル、皮革、これらの複合材料などが挙げられる。
前記記録媒体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することでき、例えば、シート状などが挙げられる。
前記記録媒体の大きさ及び構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することできる。
【0080】
光源24a、24b、24cからの活性エネルギー線の照射を微弱にする、又は省略し、複数色を印刷した後に、光源24dから活性エネルギー線を照射してもよい。これにより省エネ、及び低コスト化を図ることができる。
【0081】
本発明のインクジェット記録方法により記録される記録物としては、通常の紙や樹脂フィルムなどの平滑面に印刷されたものだけでなく、凹凸を有する被印刷面に印刷されたものや、金属やセラミックスなどの種々の材料からなる被印刷面に印刷されたものも含まれる。また、2次元の画像を積層することで、一部に立体感のある画像(2次元及び3次元からなる像)や立体物を形成することもできる。
【0082】
図4は、本発明に係る別の像形成装置(3次元立体像の形成装置)の一例を示す概略図である。
図4の像形成装置39は、インクジェットヘッドを配列したヘッドユニット(AB方向に可動)を用いて、造形物用吐出ヘッドユニット30から第一の活性エネルギー線硬化型インク組成物を、支持体用吐出ヘッドユニット31、32から第一の活性エネルギー線硬化型インク組成物とは組成が異なる第二の活性エネルギー線硬化型インク組成物を吐出し、隣接した活性エネルギー線照射手段33及び34を用いて、これら各活性エネルギー線硬化型インク組成物を硬化しながら積層するものである。より具体的には、例えば、造形物支持基板37上に、第二の活性エネルギー線硬化型インク組成物を支持体用吐出ヘッドユニット31、32から吐出し、活性エネルギー線を照射して固化させて溜部を有する第一の支持体層を形成した後、前記溜部に第一の活性エネルギー線硬化型インク組成物を造形物用吐出ヘッドユニット30から吐出し、活性エネルギー線を照射して固化させて第一の造形物層を形成する工程を、積層回数に合わせて、上下方向に可動なステージ38を下げながら複数回繰り返すことで、支持体層と造形物層を積層して立体造形物35を製作する。その後、必要に応じて支持体積層部36は除去される。
なお、
図4では、造形物用吐出ヘッドユニット30は1つしか設けていないが、2つ以上設けることもできる。
【実施例0083】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明の範囲はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0084】
<顔料分散液1の調製>
フェノキシエチルアクリレート39.5部(大阪有機化学株式会社製)と、高分子顔料分散剤「DISPERBYK-168」1.5部(BYK社製)と、シアン顔料「LIONOL BLUE FG-7330」9.0部(トーヨーカラー社製)とを添加し、撹拌機を用いて、常温で1時間撹拌混合した後、ビーズミルでさらに2時間撹拌処理し、顔料分散液1(シアン粒子分散液)を調製した。
【0085】
<活性エネルギー線硬化型インク組成物の調製>
表1~8に示す材料と含有量(質量%)に従って、常法により、各実施例及び比較例の活性エネルギー線硬化型インク組成物を調製した。表中におけるTgの値は、各重合性化合物のホモポリマー硬化物のTgであり、各製品の商品カタログ又はホームページに記載されていた値を参照した。なお、表6~8における(A´)成分は、(A)成分の比較成分である。
【0086】
<生産性の評価>
各活性エネルギー線硬化型インク組成物を、RICOH MH5320ヘッドを有するインクジェット印刷装置に充填し、インクジェットヘッドと基材面のギャップ2mm、かつ表1~8に示す印刷条件において、印刷時の記録媒体に対する相対速度(キャリッジ速度)によって、下記基準により評価した。
〔生産性の評価基準〕
〇:キャリッジ速度が1.8m/s以上
△:キャリッジ速度が1.5m/s以上1.8m/s未満
×:キャリッジ速度が1.5m/s未満
【0087】
<画質(印刷部周辺の画像汚染)の評価>
各活性エネルギー線硬化型インク組成物を、RICOH MH5320ヘッドを有するインクジェット印刷装置に充填し、インクジェットヘッドと基材面のギャップ2mm、かつ表1~8に示す印刷条件において、主走査方向の解像度360dpi、パス数1でPVC(ポリ塩化ビニル)基材上にベタ画像を印刷した。
表1~8に示す印字条件で得られた印刷物を、マイクロスコープ(VHX-7000、株式会社キーエンス製)を用いて観察し、画質(印刷部周辺の画像汚染)を下記基準により、評価した。結果は表1~8に示す。
[画質(印刷部周辺の画像汚染)の評価基準]
〇:印刷部周辺(非印字部)へのインク滴の飛び散りの発生がない
△:ベタ画像の端(エッジ)部分から約35μm以内への飛び散り着弾あり、かつ飛び散りの量が著しくない
×:ベタ画像の端(エッジ)部分から約35μm超への飛び散り着弾あり、ないしは飛び散りの量が著しい
【0088】
<インク滴の着弾精度の評価>
各活性エネルギー線硬化型インク組成物を、RICOH MH5320ヘッドを有するインクジェット印刷装置に充填し、インクジェットヘッドと基材面のギャップ2mm、かつ表1~8に示す印刷条件において、主走査方向の解像度360dpi、パス数1で、MH5320ヘッドにある4つのノズル列のうち、任意の1列のみを用いた条件でPVC基材上に1ドットライン画像を印刷した。得られた印刷物を、マイクロスコープ(VHX-7000、株式会社キーエンス製)を用いて観察し、インク滴の着弾精度を下記基準により、評価した。結果は表1~8に示す。
[インク滴の着弾精度の評価基準]
〇:ドット同士のずれ量が、±半ドット以内である
△:ドット同士のずれ量が、±半ドットより大きく1ドット以内である
×:ドット同士のずれ量が、±1ドットより大きい
【0089】
<耐ブロッキング性の評価>
各活性エネルギー線硬化型インク組成物を、RICOH MH5320ヘッドを有するインクジェット印刷装置に充填し、インクジェットヘッドと基材面のギャップ2mm、かつ表1~8に示す印刷条件において、アクリル基材上にベタ画像を印刷した。なお、基材上に付着させた活性エネルギー線硬化型インク組成物は、ウシオ電機製LEDランプ(ピーク波長395nm、3000mJ/cm2)で硬化させた。
硬化させて得られた硬化物の面同士が接触するようにアクリル基材を重ね合わせ、上からA4あたり3kgの荷重をかけた状態で、室温で24時間放置後、貼り付きの有無及び硬化物の変化度合いを目視で確認し、以下の基準に従って評価した。結果は表1~8に示す。
[耐ブロッキング性の評価基準]
◎:貼り付きが無く、硬化物の変化も見られない
〇:貼り付きはあるが、硬化物の変化は見られない
△:貼り付きがあり、硬化物の一部分に変化が見られる
×:貼り付きがあり、硬化物の全体にわたって変化が見られる
【0090】
<基材密着性の評価>
各活性エネルギー線硬化型インク組成物を、RICOH MH5320ヘッドを有するインクジェット印刷装置に充填し、インクジェットヘッドと基材面のギャップ2mm、かつ表1~8に示す印刷条件において、アクリル基材上にベタ画像を印刷した。なお、基材上に付着させた活性エネルギー線硬化型インク組成物は、ウシオ電機製LEDランプ(ピーク波長395nm、3000mJ/cm2)で硬化させた。
密着性試験JIS K5600-5-6のクロスカット法の評価方法に従い、以下の基準に従って評価した。結果は表1~8に示す。
[基材密着性の評価基準]
◎:剥がれが無い
〇:カッターの切込みに沿って剥がれが見られるが、マスは剥がれていない
△:全体の半分未満のマスが剥がれている
×:全体の半分以上のマスが剥がれている
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
【0098】
【0099】
前記実施例1~22、及び比較例1~13で使用した各材料の製品名及び製造元を下記に示す。
<(A)成分>
・ACNO(アクリロイルモルフォリン)/KJケミカルズ社製
・IBXA(イソボロニルアクリレート)/大阪有機化学工業社製
<(A´)成分>
・ビスコート#200(環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート)/大阪有機化学工業社製
<(B)成分>
・CN371(アミン変性アクリレートオリゴマー:Mw1250)/サートマー社製
・GENOMER5275(アミン変性アクリレートオリゴマー:Mw1010)/Rahn社製
<(C)成分>
・2-MTA(メトキシエチルアクリレート)/大阪有機化学工業社製
・ライトアクリレートIAA(イソアミルアクリレート)/共栄社化学社製
・ライトアクリレートEC-A(エトキシジエチレングリコールアクリレート)/共栄社化学社製
<ウレタンアクリレートオリゴマー>
・EBEVRYL8402(ウレタンアクリレート:官能基数2)/ダイセル・オルネクス株式会社製
・EBEVRYL4513(ウレタンアクリレート:官能基数3)/ダイセル・オルネクス株式会社製
<その他の成分>
・ビスコート#192(フェノキシエチルアクリレート)/大阪有機化学工業社製
・ジプロピレングリコールジアクリレート/東京化成工業株式会社製
・Omnirad TPO/IGM社製
・MEHQ/東京化成工業株式会社製
【0100】
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1>インクジェット記録装置のインクジェットヘッドから、少なくとも1種の活性エネルギー線硬化型インク組成物を記録媒体上に吐出する吐出工程と、
活性エネルギー付与手段から活性エネルギーを付与し、吐出された前記活性エネルギー線硬化型インク組成物を硬化する硬化工程と、を含むインクジェット記録方法であって、
前記吐出工程における走査速度が、前記記録媒体に対して相対的に1.5m/s以上であり、
前記インクジェットヘッドがピエゾ方式であり、
前記ピエゾ方式に用いられる駆動信号が、第一の引き込みパルス、第二の引き込みパルス、第三の引き込みパルス、及び押し込みパルスを含み、
前記第一の引き込みパルス、前記第二の引き込みパルス、及び前記第三の引き込みパルスにおけるパルス幅(Pw)が、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物の吐出速度が最も速くなるときのパルス幅(P1)に対して、30%以上120%未満であり、
前記押し込みパルスは、前記第三の引き込みパルスの後に出力され、
前記インクジェットヘッドの駆動周波数が20kHz以上であり、
前記活性エネルギー線硬化型インク組成物が、
(A)ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が90℃以上であり、かつ環構造を有する化合物と、
(B)アミン変性アクリレートオリゴマーと、
(C)ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が-30℃以下である化合物と、を含有し、
前記(A)成分の含有量が、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物全量に対して、45質量%以上であり、
前記(C)成分の含有量が、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物全量に対して、10質量%以下であることを特徴とするインクジェット記録方法である。
<2>前記吐出工程における走査速度が、前記記録媒体に対して相対的に1.8m/s以上である、前記<1>に記載のインクジェット記録方法である。
<3>前記押し込みパルスの波高値が、中間電位に対して120%以上160%以下である駆動信号を用いる、前記<1>から前記<2>のいずれかに記載のインクジェット記録方法である。
<4>前記(A)成分の含有量が、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物全量に対して、50質量%以上含有する、前記<1>から前記<3>のいずれかに記載のインクジェット記録方法である。
<5>前記活性エネルギー線硬化型インク組成物が、官能基数が2以上であるウレタンアクリレートオリゴマーを含む、前記<1>から前記<4>のいずれかに記載のインクジェット記録方法である。
<6>前記ウレタンアクリレートオリゴマーが、3官能ウレタンアクリレートオリゴマーである、前記<5>に記載のインクジェット記録方法である。
<7>前記P1に対する前記第三の引き込みパルスのPwの比率をA(%)とし、前記P1に対する前記第一の引き込みパルスのPw、又は前記第二の引き込みパルスのPwの比率をB(%)としたとき、以下の式(1)を満たす、前記<1>から前記<6>のいずれかに記載のインクジェット記録方法である。
|100-A|<|100-B|・・・式(1)
【0101】
前記<1>から<7>のインクジェット記録方法によれば、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができる。