(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059092
(43)【公開日】2023-04-26
(54)【発明の名称】制御基盤サーバ、機器制御システム、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20230419BHJP
H02J 3/14 20060101ALI20230419BHJP
【FI】
H02J13/00 311T
H02J3/14 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021169003
(22)【出願日】2021-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】天津 孝之
(72)【発明者】
【氏名】増田 浩
(72)【発明者】
【氏名】馬場 博幸
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
【Fターム(参考)】
5G064AA01
5G064AA04
5G064AC05
5G064AC09
5G064CB08
5G064CB10
5G064CB21
5G064DA05
5G066HB06
5G066HB09
5G066JB03
5G066KA12
5G066KD01
(57)【要約】
【課題】制御対象の機器に対してそれぞれ独立した複数のアプリケーションソフトウェアに従った制御命令を生成する機器制御システムにおいて、柔軟な制御を実現可能とする。
【解決手段】機器制御サーバが実行するアプリケーションソフトウェアのそれぞれに対して設定された、前記機器制御命令の実行権限の優先度を示すアプリ優先度を格納し、前記機器制御サーバから前記機器制御命令を受信し、前記制御対象機器に対して設定された優先閾値を前記機器属性管理サーバから取得し、前記受信した機器制御命令を生成した機器制御サーバに対して設定されたアプリ優先度と前記機器制御命令の対象となる制御対象機器に対して設定された優先閾値とを比較して、前記アプリ優先度が前記優先閾値よりも高い優先度を有するか否かを判定し、前記アプリ優先度が前記優先閾値よりも高い優先度を有する場合のみに前記機器制御命令を前記機器属性管理サーバに送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象機器の機器属性値を管理する機器属性管理サーバと、前記制御対象機器に対する制御命令を含む機器制御命令を生成する複数の機器制御サーバとに通信可能に接続されている制御基盤サーバであって、
前記機器制御サーバが実行するアプリケーションソフトウェアのそれぞれに対して設定された、前記機器制御命令の実行権限の優先度を示すアプリ優先度を格納したアプリ優先度格納部と、
前記機器制御サーバから前記機器制御命令を受信する受信部と、
前記制御対象機器に対して設定された優先閾値を前記機器属性管理サーバから取得する取得部と、
前記受信した機器制御命令を生成した機器制御サーバが実行するアプリケーションソフトウェアに対して設定されたアプリ優先度と前記機器制御命令の対象となる制御対象機器に対して設定された優先閾値とを比較して、前記アプリ優先度が前記優先閾値よりも高い優先度を有するか否かを判定する比較判定部と、
前記比較および判定の結果、前記アプリ優先度が前記優先閾値よりも高い優先度を有する場合のみに前記機器制御命令を前記機器属性管理サーバに送信することにより制御対象機器に対する制御命令を許可する制御許可部と、を備えた
制御基盤サーバ。
【請求項2】
請求項1に記載の制御基盤サーバであって、
前記アプリ優先度と優先閾値とは、3段階以上の同じ段階数により設定される、
制御基盤サーバ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の制御基盤サーバであって、
前記機器制御命令は、電力需給協調要請に応じるための制御命令を含む、
制御基盤サーバ。
【請求項4】
請求項3に記載の制御基盤サーバであって、
前記アプリ優先度格納部に格納された前記アプリ優先度は、前記機器制御サーバが実行するアプリケーションソフトウェアのそれぞれに対して予め設定された固定値であり、予め電力需給協調要請者と前記制御対象機器のユーザとの間で決定された値を含み、前記機器制御サーバからの前記機器制御命令に基づいて更新することができない値である、
制御基盤サーバ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の制御基盤サーバであって、
通知部をさらに備え、
前記受信部で前記機器制御命令についての実行可否の問い合わせを受信すると、前記比較判定部において、該受信した問い合わせにかかる機器制御命令を生成した機器制御サーバが実行するアプリケーションソフトウェアに対して設定されたアプリ優先度と前記機器制御命令の対象となる制御対象機器に対して設定された優先閾値とを比較判定し、前記通知部は、該比較判定の結果に対応した前記機器制御命令の実行可否の情報を前記機器制御サーバに通知し、前記制御許可部は、該比較判定の結果にかかわらず、前記機器制御命令を前記機器属性管理サーバに送信しない、
制御基盤サーバ。
【請求項6】
請求項5に記載の制御基盤サーバであって、
前記受信部が、前記制御対象機器に対して設定された優先閾値の最終更新情報の問い合わせを受信すると、前記取得部は、前記機器属性管理サーバから前記制御対象機器の機器属性値を取得し、前記通知部は取得した前記機器属性値を前記機器制御サーバに通知する、
制御基盤サーバ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の制御基盤サーバであって、
前記機器属性値は、前記制御対象機器に対して設定された優先閾値と、当該優先閾値に更新することを指示した制御命令を含む機器制御命令を生成した機器制御サーバが実行するアプリケーションソフトウェアを識別する最終更新アプリIDと、前記更新の日時を示す最終更新日時とを含む、
制御基盤サーバ。
【請求項8】
前記制御対象機器の機器属性値を管理する機器属性管理サーバと、前記制御対象機器に対する制御命令を含む機器制御命令を生成する複数の機器制御サーバと、請求項1から7のいずれか1項に記載の制御基盤サーバと、を備えた機器制御システムであって、
前記機器制御サーバは、前記制御対象機器に対して設定された優先閾値を変更するための制御命令を含む機器制御命令を生成し、
前記機器属性管理サーバは、制御対象機器の機器属性値を格納する機器属性値格納部を有し、前記制御対象機器に対して設定された優先閾値を変更する制御命令を含む機器制御命令を受信すると、前記機器属性値格納部に格納された前記機器属性値に含まれる、制御対象機器に対して設定された優先閾値の情報を更新する、
機器制御システム。
【請求項9】
請求項8に記載の機器制御システムであって、
前記機器制御サーバは、実行するアプリケーションソフトウェアに設定された前記アプリ優先度の値を超えない値の範囲内で前記制御対象機器に対して設定された優先閾値を変更するための制御命令を含む機器制御命令を生成する、
機器制御システム。
【請求項10】
請求項5を引用する請求項8または9に記載の機器制御システムであって、
前記機器制御サーバは、前記制御対象機器ごとに制御状態を示す情報を格納した機器状態格納部を有し、
前記機器制御サーバは、前記機器制御命令の実行可否の情報の通知を受け取ると、前記制御対象機器ごとに前記機器状態格納部に格納された制御状態を示す情報を更新する、
機器制御システム。
【請求項11】
制御対象機器の機器属性値を管理する機器属性管理サーバと、前記制御対象機器に対する制御命令を含む機器制御命令を生成する複数の機器制御サーバとに通信可能に接続されている制御基盤サーバにおいて実行される方法であって、
前記機器制御サーバが実行するアプリケーションソフトウェアのそれぞれに対して設定された、前記機器制御命令の実行権限の優先度を示すアプリ優先度を格納するステップと、
前記機器制御サーバから前記機器制御命令を受信するステップと、
前記制御対象機器に対して設定された優先閾値を前記機器属性管理サーバから取得するステップと、
前記受信した機器制御命令を生成した機器制御サーバが実行するアプリケーションソフトウェアに対して設定されたアプリ優先度と前記機器制御命令の対象となる制御対象機器に対して設定された優先閾値とを比較して、前記アプリ優先度が前記優先閾値よりも高い優先度を有するか否かを判定するステップと、
前記比較および判定の結果、前記アプリ優先度が前記優先閾値よりも高い優先度を有する場合のみに前記機器制御命令を前記機器属性管理サーバに送信することにより制御対象機器に対する制御命令を許可するステップと、を含む、
方法。
【請求項12】
制御対象機器の機器属性値を管理する機器属性管理サーバと、前記制御対象機器に対する制御命令を含む機器制御命令を生成する複数の機器制御サーバとに通信可能に接続されている制御基盤サーバを、
前記機器制御サーバが実行するアプリケーションソフトウェアのそれぞれに対して設定された、前記機器制御命令の実行権限の優先度を示すアプリ優先度を格納する手段と、
前記機器制御サーバから前記機器制御命令を受信する手段と、
前記制御対象機器に対して設定された優先閾値を前記機器属性管理サーバから取得する手段と、
前記受信した機器制御命令を生成した機器制御サーバが実行するアプリケーションソフトウェアに対して設定されたアプリ優先度と前記機器制御命令の対象となる制御対象機器に対して設定された優先閾値とを比較して、前記アプリ優先度が前記優先閾値よりも高い優先度を有するか否かを判定する手段と、
前記比較および判定の結果、前記アプリ優先度が前記優先閾値よりも高い優先度を有する場合のみに前記機器制御命令を前記機器属性管理サーバに送信することにより制御対象機器に対する制御命令を許可する手段として機能させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は制御基盤サーバおよびこれを用いた機器制御システムに関し、詳細には、制御対象の機器に対してそれぞれ独立した複数のアプリケーションソフトウェアに従った制御命令を生成する制御基盤サーバおよび機器制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スマートハウスやHEMS(Home Energy Management System)などに代表される機器制御システムが提案されている。こうした機器制御システムでは、蓄電池、EV充放電器、ヒートポンプ給湯機、太陽光発電機などの制御対象機器を遠隔制御することができるため、エネルギーの見える化や利便性向上により生活の質の向上を図れることが知られている。
【0003】
機器制御システムでは、さまざまなアプリケーションベンダーが提供するアプリケーションソフトウェア(以下、アプリともいう。)を利用して、制御対象機器にさまざまな機能を実現させることができる。例えば、制御対象機器がEV充放電器の場合、EV充放電器に、タイマー充電アプリによってタイマー充電機能を実現させたり、緊急お出かけアプリによって外出時の緊急充電機能を実現させたりすることができる。
【0004】
しかしながら、これらのアプリケーションソフトウェアは、それぞれ独立したアルゴリズムに従って機器制御命令を生成するため、複数のアプリケーションソフトウェアが同じ制御対象機器に対して競合する複数の機器制御命令を生成してしまうことがある。競合する複数の機器制御命令を生成した場合、機器制御命令が干渉して、結果として全てのアプリケーションソフトウェアによる機器制御命令による機能が正常に動作しないこととなってしまう。
【0005】
また、近年の電力自由化によって、分散して存在する仮想発電施設からの電力を、情報通信技術によって遠隔制御し束ねて、あたかも一つの発電所(仮想発電所:バーチャルパワープラント(VPP:Virtual Power Plant))のように機能させるリソースアグリゲーションと呼ばれる技術が普及しつつある。リソースアグリゲーションでは、仮想発電施設を有する電力需要家を管理するリソースアグリゲータが、電力需給状況に応じて電力需要家側にデマンドレスポンス(以下、「DR」ともいう。)を行い、機器制御システムが、DRに応じて電力需要家の制御対象機器を遠隔制御することにより、電力需給をバランスさせることができる。
【0006】
特許文献1には、アプリケーションソフトウェア側から送信される機器制御情報の優先度と、電力需給協調要請情報に含まれる閾値設定情報により設定される電気機器の閾値とを比較判別し、設定された閾値未満の機器制御情報に基づいた電気機器の動作制御は実行させないようにした機器制御システムが記載されている。この機器制御システムによれば、デマンドレスポンスなどの電力需給協調要請時には、電力需要家側の機器や設備に対し電力需給協調を目的とした制御を優先させ、生活の質の向上を図ることを目的とした制御を制限することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の機器制御システムでは、電力需給協調要請情報に含まれる閾値設定情報により設定される電気機器の閾値が高い値となっている間は、たとえデマンドレスポンスを目的とした制御をしない場合でも、他のアプリケーションソフトウェアから送信される機器制御情報に基づく制御は実行できない。
【0009】
しかしながら、デマンドレスポンスを目的とした制御をしない間は、生活の質の向上を図ることを目的とした制御を制限しなくても、リソースアグリゲーションにおける電力需給バランスを実現するうえでは問題があるとは言えない。
【0010】
また、電力需要家において、例えば、緊急に自動車を使って外出しなければならない事態が生じたときに、EV充放電器について、緊急お出かけアプリによる緊急充電機能を実現する制御をデマンドレスポンスの制御よりも優先的に実行したい場合もある。
【0011】
すなわち、機器制御システムが普及するためには、電力需要家であるユーザの生活・業務に不都合を発生させず、またリソースアグリゲータなど関係者の円滑なビジネス運営に資するような柔軟な制御が安定に動作することが重要であると考えられる。
【0012】
そこで、本願発明者らは、制御対象の機器に対してそれぞれ独立した複数のアプリケーションソフトウェアに従った制御命令を生成する機器制御システムにおいて、柔軟な制御を実現する技術が必要であると考えた。
【0013】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、制御対象の機器に対してそれぞれ独立した複数のアプリケーションソフトウェアに従った制御命令を生成する機器制御システムにおいて、柔軟な制御を実現することができる制御基盤サーバおよび機器制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の代表的な実施の形態に係る制御基盤サーバは、制御対象機器の機器属性値を管理する機器属性管理サーバと、前記制御対象機器に対する制御命令を含む機器制御命令を生成する複数の機器制御サーバとに通信可能に接続されている制御基盤サーバであって、前記機器制御サーバが実行するアプリケーションソフトウェアのそれぞれに対して設定された、前記機器制御命令の実行権限の優先度を示すアプリ優先度を格納したアプリ優先度格納部と、前記機器制御サーバから前記機器制御命令を受信する受信部と、前記制御対象機器に対して設定された優先閾値を前記機器属性管理サーバから取得する取得部と、前記受信した機器制御命令を生成した機器制御サーバが実行するアプリケーションソフトウェアに対して設定されたアプリ優先度と前記機器制御命令の対象となる制御対象機器に対して設定された優先閾値とを比較して、前記アプリ優先度が前記優先閾値よりも高い優先度を有するか否かを判定する比較判定部と、前記比較および判定の結果、前記アプリ優先度が前記優先閾値よりも高い優先度を有する場合のみに前記機器制御命令を前記機器属性管理サーバに送信することにより制御対象機器に対する制御命令を許可する制御許可部と、を備えている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、制御対象の機器に対してそれぞれ独立した複数のアプリケーションソフトウェアに従った制御命令を生成する機器制御システムにおいて、柔軟な制御を実現することができる制御基盤サーバおよび機器制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態に係る機器制御システムの構成を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る機器制御システムにおける機器属性管理サーバと機器との接続構成例を示す図である。
【
図3】機器属性値テーブルの構成例を示す図である。
【
図4】アプリ優先度テーブルの構成例を示す図である。
【
図8】制御命令と制御値との組み合わせ例を示す図である。
【
図9】状態把握、状態変更処理の処理フローを示す図である。
【
図10】機器制御命令問い合わせの構成例を示す図である。
【
図11】最終更新情報問い合わせ処理の処理フローを示す図である。
【
図12】優先閾値最終更新情報問い合わせの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。なお、以下の説明では、一例として、発明の構成要素に対応する図面上の参照符号を、括弧を付して記載している。
【0018】
〔1〕本発明の代表的な実施の形態に係る制御基盤サーバは、制御対象機器の機器属性値を管理する機器属性管理サーバと、前記制御対象機器に対する制御命令を含む機器制御命令を生成する複数の機器制御サーバとに通信可能に接続されている制御基盤サーバであって、前記機器制御サーバが実行するアプリケーションソフトウェアのそれぞれに対して設定された、前記機器制御命令の実行権限の優先度を示すアプリ優先度を格納したアプリ優先度格納部と、前記機器制御サーバから前記機器制御命令を受信する受信部と、前記制御対象機器に対して設定された優先閾値を前記機器属性管理サーバから取得する取得部と、前記受信した機器制御命令を生成した機器制御サーバが実行するアプリケーションソフトウェアに対して設定されたアプリ優先度と前記機器制御命令の対象となる制御対象機器に対して設定された優先閾値とを比較して、前記アプリ優先度が前記優先閾値よりも高い優先度を有するか否かを判定する比較判定部と、前記比較および判定の結果、前記アプリ優先度が前記優先閾値よりも高い優先度を有する場合のみに前記機器制御命令を前記機器属性管理サーバに送信することにより制御対象機器に対する制御命令を許可する制御許可部と、を備えている。
【0019】
〔2〕上記〔1〕に記載の制御基盤サーバにおいて、前記アプリ優先度と優先閾値とは、3段階以上の同じ段階数により設定されることとしてもよい。
【0020】
〔3〕上記〔1〕または〔2〕に記載の制御基盤サーバにおいて、前記機器制御命令は、電力需給協調要請に応じるための制御命令を含む、こととしてもよい。
【0021】
〔4〕上記〔3〕に記載の制御基盤サーバにおいて、前記アプリ優先度格納部に格納された前記アプリ優先度は、前記機器制御サーバが実行するアプリケーションソフトウェアのそれぞれに対して予め設定された固定値であり、予め電力需給協調要請者と前記制御対象機器のユーザとの間で決定された値を含み、前記機器制御サーバからの前記機器制御命令に基づいて更新することができない値であることとしてもよい。
【0022】
〔5〕上記〔1〕から〔4〕に記載の制御基盤サーバにおいて、通知部をさらに備え、前記受信部で前記機器制御命令についての実行可否の問い合わせを受信すると、前記比較判定部において、該受信した問い合わせにかかる機器制御命令を生成した機器制御サーバが実行するアプリケーションソフトウェアに対して設定されたアプリ優先度と前記機器制御命令の対象となる制御対象機器に対して設定された優先閾値とを比較判定し、前記通知部は、該比較判定の結果に対応した前記機器制御命令の実行可否の情報を前記機器制御サーバに通知し、前記制御許可部は、該比較判定の結果にかかわらず、前記機器制御命令を前記機器属性管理サーバに送信しないこととしてもよい。
【0023】
〔6〕上記〔5〕に記載の制御基盤サーバにおいて、前記受信部が、前記制御対象機器に対して設定された優先閾値の最終更新情報の問い合わせを受信すると、前記取得部は、前記機器属性管理サーバから前記制御対象機器の機器属性値を取得し、前記通知部は取得した前記機器属性値を前記機器制御サーバに通知することとしてもよい。
【0024】
〔7〕上記〔1〕から〔6〕に記載の制御基盤サーバにおいて、前記機器属性値は、前記制御対象機器に対して設定された優先閾値と、当該優先閾値に更新することを指示した制御命令を含む機器制御命令を生成した機器制御サーバが実行するアプリケーションソフトウェアを識別する最終更新アプリIDと、前記更新の日時を示す最終更新日時とを含むこととしてもよい。
【0025】
〔8〕本発明の代表的な実施の形態に係る機器制御システムは、前記制御対象機器の機器属性値を管理する機器属性管理サーバと、前記制御対象機器に対する制御命令を含む機器制御命令を生成する複数の機器制御サーバと、〔1〕から〔7〕に記載の制御基盤サーバと、を備えた機器制御システムであって、前記機器制御サーバは、前記制御対象機器に対して設定された優先閾値を変更するための制御命令を含む機器制御命令を生成し、前記機器属性管理サーバは、制御対象機器の機器属性値を格納する機器属性値格納部を有し、前記制御対象機器に対して設定された優先閾値を変更する制御命令を含む機器制御命令を受信すると、前記機器属性値格納部に格納された前記機器属性値に含まれる、制御対象機器に対して設定された優先閾値の情報を更新する。
【0026】
〔9〕上記〔8〕に記載の機器制御システムにおいて、前記機器制御サーバは、実行するアプリケーションソフトウェアに設定された前記アプリ優先度の値を超えない値の範囲内で前記制御対象機器に対して設定された優先閾値を変更するための制御命令を含む機器制御命令を生成することとしてもよい。
【0027】
〔10〕上記〔8〕に記載の機器制御システムにおいて、前記機器制御サーバは、前記制御対象機器ごとに制御状態を示す情報を格納した機器状態格納部を有し、前記機器制御サーバは、前記機器制御命令の実行可否の情報の通知を受け取ると、前記制御対象機器ごとに前記機器状態格納部に格納された制御状態を示す情報を更新することとしてもよい。
【0028】
〔11〕本発明の代表的な実施の形態に係る方法は、制御対象機器の機器属性値を管理する機器属性管理サーバと、前記制御対象機器に対する制御命令を含む機器制御命令を生成する複数の機器制御サーバとに通信可能に接続されている制御基盤サーバにおいて実行される方法であって、前記機器制御サーバが実行するアプリケーションソフトウェアのそれぞれに対して設定された、前記機器制御命令の実行権限の優先度を示すアプリ優先度を格納するステップと、前記機器制御サーバから前記機器制御命令を受信するステップと、前記制御対象機器に対して設定された優先閾値を前記機器属性管理サーバから取得するステップと、前記受信した機器制御命令を生成した機器制御サーバが実行するアプリケーションソフトウェアに対して設定されたアプリ優先度と前記機器制御命令の対象となる制御対象機器に対して設定された優先閾値とを比較して、前記アプリ優先度が前記優先閾値よりも高い優先度を有するか否かを判定するステップと、前記比較および判定の結果、前記アプリ優先度が前記優先閾値よりも高い優先度を有する場合のみに前記機器制御命令を前記機器属性管理サーバに送信することにより制御対象機器に対する制御命令を許可するステップと、を含む。
【0029】
〔12〕本発明の代表的な実施の形態に係るプログラムは、制御対象機器の機器属性値を管理する機器属性管理サーバと、前記制御対象機器に対する制御命令を含む機器制御命令を生成する複数の機器制御サーバとに通信可能に接続されている制御基盤サーバを、前記機器制御サーバが実行するアプリケーションソフトウェアのそれぞれに対して設定された、前記機器制御命令の実行権限の優先度を示すアプリ優先度を格納する手段と、前記機器制御サーバから前記機器制御命令を受信する手段と、前記制御対象機器に対して設定された優先閾値を前記機器属性管理サーバから取得する手段と、前記受信した機器制御命令を生成した機器制御サーバが実行するアプリケーションソフトウェアに対して設定されたアプリ優先度と前記機器制御命令の対象となる制御対象機器に対して設定された優先閾値とを比較して、前記アプリ優先度が前記優先閾値よりも高い優先度を有するか否かを判定する手段と、前記比較および判定の結果、前記アプリ優先度が前記優先閾値よりも高い優先度を有する場合のみに前記機器制御命令を前記機器属性管理サーバに送信することにより制御対象機器に対する制御命令を許可する手段として機能させる。
【0030】
2.実施の形態の具体例
以下、本発明の実施の形態の具体例について図を参照して説明する。なお、以下の説明において、各実施の形態において共通する構成要素には同一の参照符号を付し、繰り返しの説明を省略する。
【0031】
図1は、本実施形態に係る機器制御システムの構成を示す図である。
【0032】
機器制御システムは、機器属性管理サーバ100A、100B、100Cと、制御基盤サーバ200と、機器制御サーバ300A、300B、300CとがネットワークN1、N2によって通信可能に接続された構成である。なお、機器属性管理サーバ100A、100B、100C、機器制御サーバ300A、300B、300C、機器M1、M2、M3のそれぞれを区別しない場合には、単に「機器属性管理サーバ100」、「機器制御サーバ300」、「機器M」と表記する場合がある。
【0033】
機器属性管理サーバ100A、100B、100Cと、制御基盤サーバ200と、機器制御サーバ300A、300B、300Cとは、それぞれ、単一のコンピュータによって別々に構築されていてもよいし、複数のサーバが一つのコンピュータによって構築されていてもよい。例えば、機器属性管理サーバ100A、100B、100Cが、それぞれ単一のコンピュータによって別々に構築されていてもよいし、機器属性管理サーバ100A、100B、100Cが一つのコンピュータによって構築されていてもよい。同様に、制御基盤サーバ200、機器属性管理サーバ100A、100B、100Cが、それぞれ単一のコンピュータによって別々に構築されていてもよいし、一つのコンピュータによって構築されていてもよい。それぞれのコンピュータは通信機能を有するものを用いることができる。機器属性管理サーバ100A、100B、100Cと、制御基盤サーバ200と、機器制御サーバ300A、300B、300Cとは、それぞれにインストールされたプログラムによって、後述する各種機能を実現する。
機器制御サーバ300には、制御対象の機器Mに対する機器制御命令を生成することにより、様々な制御機能を実現するアプリケーションソフトウェアがインストールされている。機器制御命令を生成することにより実現される制御機能としては、リソースアグリゲーションにおけるリソースアグリゲータ(電力需給協調要請者)が電力需給状況に応じてDR(デマンドレスポンス)の指令を電力需要家(機器Mのユーザ)側に行うものや、EV充電器などの機器Mをタイマーなどの条件に従って遠隔制御するものなどがあげられるがこれに限定されない。機器制御サーバ300には、これらの様々な制御機能ごとに異なるアプリケーションソフトウェアがインストールされている。
アプリケーションソフトウェアは、機器制御サーバ300にインストールされたプログラムであって、機器制御サーバ300によって実行されることにより、制御対象の機器Mに対する機器制御命令を生成すること以外にも、該機器制御命令の問い合わせを生成したり、制御対象機器の制御状態の記録を変更したり、制御対象機器の優先閾値の最終更新情報を問い合わせたりする機能(以下、アプリ機能ともいう)を実現する。本明細書では、アプリケーションソフトウェアのプログラムがインストールされた機器制御サーバ300が、インストールされたアプリケーションソフトウェアを実行することにより実現している処理を、アプリケーションソフトウェアを処理の主体として記載することもある。
なお、本実施の形態では、1つの機器制御サーバ300に対し、1つのアプリケーションソフトウェアがインストールされている場合を例に挙げて説明するが、これに限定されない。1つの機器制御サーバ300に対し、複数のアプリケーションソフトエアがインストールされていてもよい。この場合、1つの機器制御サーバ300が実行するアプリケーションソフトウェアが複数であり、1つの機器制御サーバ300が、複数のアプリケーションソフトウェアに従って、複数の種類の制御機能を実現することとなる。
【0034】
本実施形態に係る機器制御システムにおいて、ネットワークN1とネットワークN2としてはインターネットや専用ネットワークを用いることができる。ネットワークN1とネットワークN2とが、それぞれ別々のネットワークとして構成されていてもよいが、同一のネットワークを用いて構成してもよい。
【0035】
本実施形態に係る機器制御システムにおいて、機器属性管理サーバ100A、100B、100Cにはさらに、機器M1、M2、M3が通信可能に接続されている。機器M1、M2、M3のそれぞれを区別しない場合には、単に「機器M」と表記する場合がある。
【0036】
機器Mは、本実施形態における「制御対象の機器(制御対象機器)」である。機器Mとしては、蓄電池、EV充放電器、ヒートポンプ給湯機、太陽光発電機などが含まれ、その他にも、エアコン、照明器具などの家電製品も含まれる。
【0037】
機器属性管理サーバ100A、100B、100Cは、制御基盤サーバ200からの問い合わせに対応しつつ、それぞれ制御対象機器である機器M1、M2、M3の制御状態を管理する。
【0038】
機器属性管理サーバ100A、100B、100Cは、それぞれ、機器接続部101A、101B、101Cと、機器属性値テーブル102A、102B、102Cと、機器属性管理部103A、103B、103Cとを備えている。なお、機器接続部101A、101B、101Cと、機器属性値テーブル102A、102B、102Cと、機器属性管理部103A、103B、103Cとのそれぞれを区別しない場合には、単に「機器接続部101」、「機器属性値テーブル102」、「機器属性管理部103」と表記する場合がある。
【0039】
機器接続部101は、機器Mと直接または間接的に通信可能に接続するとともに、制御基盤サーバ200と通信可能に接続するインタフェースである。
【0040】
機器属性値テーブル102は、制御対象の機器Mの優先閾値を含む機器属性を管理するための機器属性値を格納したテーブルであり、機器属性管理部103によってアクセスされる。
【0041】
図3は、機器属性値テーブルの構成例を示す図である。
【0042】
機器属性値テーブル102には、
図3に示すように、機器Mごとに、優先閾値と、最終更新アプリIDと、最終更新日時とを紐づけたデータテーブルとして構成されている。
図3の例では、1つの機器に対する機器属性値のみが格納されている。機器属性値は、機器Mごとの、機器IDと、優先閾値と、最終更新アプリIDと、最終更新日時とを含んでいる。機器属性管理サーバ100が複数の機器を管理する場合、
図3の機器属性値を対応する機器Mの機器IDに紐づけることにより複数の機器属性値を格納すればよい。
【0043】
優先閾値は、機器Mに設定された値であり、制御基盤サーバ200における比較判定の際に用いられ、アプリケーションソフトウェアの機器制御命令の実行の可否を判定する基準となる値である。優先閾値は、後述するアプリ優先度と同じ段階数により設定される。優先閾値は、アプリケーションソフトウェアの機器制御命令によって更新される。
【0044】
最終更新アプリIDは、最後に機器Mの優先閾値を更新したアプリケーションソフトウェアのアプリIDである。アプリIDについては後述する。最終更新日時は、最後に機器Mの優先閾値を更新した日時を示す値である。最終更新アプリIDと最終更新日時とは、機器Mの優先閾値を更新する際に更新される。
【0045】
機器属性管理部103は、機器属性管理サーバ100にインストールされたプログラムによって実行される機能部であって、機器属性値テーブル102にアクセスしつつ、機器Mの優先閾値を含む機器属性値を管理する。具体的には、機器属性管理部103は、制御基盤サーバ200から送られた機器制御命令を機器Mへと送って制御を実行させたり、制御基盤サーバ200からの問い合わせに基づいて機器属性値テーブル102に格納された機器属性値を返送したりする。
【0046】
機器属性管理部103は、優先閾値設定の制御命令に基づいて、機器属性値テーブル102の優先閾値を更新する。
【0047】
制御基盤サーバ200は、機器制御サーバ300から受け取った情報に基づいて処理を実行するサーバである。制御基盤サーバ200は、制御対象機器に対する機器制御命令や機器制御命令の問い合わせを受け取ると、機器制御命令に含まれるアプリIDに紐づいたアプリ優先度と機器制御命令に含まれる機器IDに紐づいた優先閾値との比較に基づいて、機器制御命令の実行可否を判定する。この比較判定の詳細については、後述する。制御基盤サーバ200は、比較判定の結果、実行可能な機器制御命令を前記機器属性管理サーバ100に送り、比較判定の結果を機器制御サーバ300に通知する。
【0048】
制御基盤サーバ200は、また、機器制御サーバ300から最終更新情報の問い合わせを受け取ると、機器属性管理サーバ100から機器属性値を取得し、機器制御サーバ300に返送する。
【0049】
制御基盤サーバ200は、相互接続部201(受信部)と、アプリ優先度テーブル202(アプリ優先度格納部に相当)と、優先制御部203(取得部、比較判定部、制御許可部、通知部に相当)とを備えている。
【0050】
相互接続部201は、ネットワークN1を介して機器属性管理サーバ100A、100B、100Cと通信可能に接続し、ネットワークN2を介して機器制御サーバ300A、300B、300Cと通信可能に接続するインタフェースである。
【0051】
アプリ優先度テーブル202は、アプリケーションソフトウェアごとに設定されたアプリ優先度の情報を格納したテーブルであり、優先閾値との比較判定の際に、優先制御部203によってアクセスされる。
【0052】
図4は、アプリ優先度テーブルの構成例を示す図である。
【0053】
アプリ優先度テーブル202は、
図4に示すように、アプリIDとアプリ優先度とを紐づけたデータテーブルとして構成されている。アプリIDは、機器制御サーバ300A、300B、300Cのそれぞれにインストールされたアプリケーションソフトウェアを識別するために設定されたIDである。
【0054】
アプリ優先度は、紐づけられたアプリケーションソフトウェアによる機器制御命令が制御対象機器に対して制御を実行するか否かを判断するに際に、用いられる値(例えば、数値の高さが優先度を示す)であり、優先閾値と比較される値である。例えば、より制御が実行されるべき可能性が高い場合は、優先度が高く設定される。このように、アプリ優先度は、優先閾値との比較に用いられる値であり、他のアプリケーションソフトウェアに紐づけられたアプリ優先度との比較は行われない。
【0055】
図4に示す例において、アプリIDがAP2のアプリケーションソフトウェアとアプリIDがAP3のアプリケーションソフトウェアとについて考える。
図4によれば、AP2のアプリ優先度は「3」であり、AP3のアプリ優先度は「5」であるので、制御対象機器の優先閾値が「3」の場合は、AP2もAP3も制御実行可能であるが、制御対象機器の優先閾値が「5」の場合は、AP3は制御実行可能だがAP2は制御実行不可となる。ただし、AP2もAP3も制御実行可能である場合は、どちらも制御実行可能であるので、制御基盤サーバ200が受け取った順番に機器制御命令が実行される。アプリ優先度は、予め設定されたものであり、機器制御サーバ300A、300B、300Cから自身のアプリ優先度は変更できない。
【0056】
アプリ優先度は、優先閾値と同じ段階数により設定される。段階数は、3段階以上とされる。アプリ優先度テーブル202に格納されたアプリ優先度は、機器制御サーバ300A、300B、300Cのそれぞれに対して予め設定された固定値であり、予め電力需給協調要請者と機器Mのユーザとの間で決定された値を含んでいてもよい。
【0057】
電力需給協調要請者とは、リソースアグリゲーションにおいて、電力需給状況に応じて、仮想発電施設を管理する電力需要家(機器Mのユーザ)側にDR(デマンドレスポンス)を行うリソースアグリゲータのことである。リソースアグリゲーションでは、電力需給をバランスさせるために、電力需給協調要請者が管理する機器制御サーバ300が、DRによって電力需要家の管理する機器Mを遠隔制御可能にするための契約を、仮想発電施設を有する電力需要家とリソースアグリゲータとが結ぶ。この契約の際に、DRをどの程度優先させて実行させるかを決めることができ、機器制御サーバ300のアプリ優先度を高い値に設定することにより、DRを他のアプリケーションソフトウェアによる機器制御命令よりも優先させて実行可能とすることができる。
【0058】
アプリ優先度は、予め設定された値であり、後述するように、アプリケーションソフトウェアがインストールされた機器制御サーバ300から機器制御命令に基づいて更新することができない値である。アプリ優先度は、制御基盤サーバ200内の図示しない制御部によって設定することとしてもよい。
【0059】
優先制御部203は、制御基盤サーバ200にインストールされたプログラムによって実行される機能部であって、機器制御サーバ300から制御対象機器に対する機器制御命令や機器制御命令の問い合わせなどを受け取ると、上記の比較判定を実行し、比較判定の結果に基づいた処理を実行する。優先制御部203は、機器制御サーバ300から最終更新者情報問い合わせを受け取ると、機器属性管理サーバ100から必要な情報を取得し、機器制御サーバ300に返送する。
【0060】
ここで、優先制御部203における比較判定について説明する。優先制御部203(取得部に相当)は、機器制御サーバ300から制御対象機器に対する機器制御命令や機器制御命令の問い合わせなどを受け取ると、アプリ優先度テーブル202にアクセスして、機器制御命令に含まれるアプリIDに紐づいたアプリ優先度の値を取得するとともに、機器属性管理サーバ100対して、機器制御命令に含まれる機器IDに紐づいた優先閾値の値を要求して、取得する。
【0061】
優先制御部203(比較判定部に相当)は、取得したアプリ優先度の値と優先閾値の値とを比較して、機器制御命令の実行可否を判定する。アプリ優先度の値と優先閾値の値とを比較してアプリ優先度が優先閾値よりも高い優先度を有する場合に、機器制御命令の実行であると判定する。例えば、アプリ優先度と優先閾値とにおける値が高いものを優先度が高いと定義した場合について考える。この場合、アプリ優先度の値が優先閾値の値以上である場合にアプリ優先度が優先閾値よりも高い優先度を有すると考えられる。よって、アプリ優先度の値が優先閾値の値以上である場合は、制御実行可能であると判定し、アプリ優先度の値が優先閾値の値未満である場合は、制御実行不能であると判定する。
なお、これとは逆に、例えば、アプリ優先度と優先閾値とにおける値が低いものを優先度が高いと定義してもよい。この場合、アプリ優先度の値が優先閾値の値以下である場合にアプリ優先度が優先閾値よりも高い優先度を有すると考えられる。よって、アプリ優先度の値が優先閾値の値以下である場合は、制御実行可能であると判定し、アプリ優先度の値が優先閾値の値より大きい場合は、制御実行不能であると判定する。
【0062】
優先制御部203(制御許可部に相当)は、機器制御命令を受け取っていた場合は、アプリ優先度が優先閾値よりも高い優先度を有する場合(制御実行可能と判定された場合)のみに機器制御命令を機器属性管理サーバ100に送信することにより制御対象機器に対する制御命令を許可する。優先制御部203は、アプリ優先度が優先閾値よりも高い優先度を有さない場合(制御実行不能と判定された場合)や受け取っていたのが機器制御命令の問い合わせである場合は、機器制御命令を機器属性管理サーバ100に送信しない。
【0063】
優先制御部203(通知部に相当)は、比較判定の結果に対応した機器制御命令の実行可否の情報を機器制御サーバ300に通知する。
【0064】
機器制御サーバ300は、アプリケーションベンダー(
図1ではα社、β社、γ社)が管理するサーバである。アプリケーションベンダーは、機器制御命令を生成するアプリケーションソフトウェアを提供する主体である。アプリケーションソフトウェアは、機器制御サーバ300にインストールされたプログラムであって、機器制御サーバ300によって実行されることにより、アプリ機能が実現される。
【0065】
機器制御サーバ300A、300B、300Cは、それぞれ、通信部301A、301B、301Cと、機器状態管理テーブル302A、302B、302Cと、アプリ機能部303A、303B、303Cとを備えている。なお、通信部301A、301B、301Cと、機器状態管理テーブル302A、302B、302Cと、アプリ機能部303A、303B、303Cとのそれぞれを区別しない場合には、単に「通信部301」、「機器状態管理テーブル302」、「アプリ機能部303」と表記する場合がある。
【0066】
通信部301は、ネットワークN2を介して制御基盤サーバ200と通信可能に接続するインタフェースである。
【0067】
機器状態管理テーブル302は、アプリケーションソフトウェアを識別するためのアプリIDと制御対象機器の制御状態を記録した機器状態テーブルとを格納している。
【0068】
【0069】
機器状態テーブルは、
図5に示すように、機器IDと、制御状態とを紐づけたデータテーブルとして構成されている。機器IDは、制御対象機器Mを識別するためのIDである。制御状態は、制御命令の実行状態を示す情報であり、制御命令を送信し実行されていることを示す「制御中」、制御命令を送信したが実行されていないことを示す「休止」、制御命令を送信していない「制御未実施」などの値が格納される。機器状態テーブルに格納された状態により、制御対象機器Mに対する制御状態を管理することができる。
【0070】
アプリ機能部303は、アプリケーションソフトウェアによる処理を実行する機能を実現する機能部である。具体的には、必要に応じて機器状態管理テーブル302にアクセスするとともに、機器制御命令を生成したり、機器制御命令の問い合わせを生成したり、制御対象機器の制御状態の記録を変更したり、最終更新情報の問い合わせを生成したりする。
【0071】
前記機器制御命令は、電力需給協調要請に応じるための制御命令を含んでいてもよい。電力需給協調要請に応じるための制御命令とは、リソースアグリゲーションにおいてリソースアグリゲータ(電力需給協調要請者)が、電力需給状況に応じて電力需要家(機器Mのユーザ)側に行うDR(デマンドレスポンス)の指令である。リソースアグリゲータ(電力需給協調要請者)が利用する機器制御サーバ300が、電力需給協調要請に応じさせるための制御命令を含む機器制御命令を生成する。これにより、機器制御サーバ300が、電力需給状況に応じて電力需要家側にDRを含む機器制御命令を生成して、電力需要家の制御対象機器を遠隔制御することにより、電力需給をバランスさせることができる。
【0072】
以上説明した本実施形態の機器制御システムでは、機器属性管理サーバ100と、制御基盤サーバ200と、機器制御サーバ300とがそれぞれ上述した処理を実行することにより、優先制御処理と、状況把握・状態変更処理と、原因者特定処理とを実行する。ここで、「優先制御処理」とは、制御対象の機器に設定された優先閾値よりも優先度の高いアプリケーションソフトウェアからの機器制御命令のみ実行可能とする処理である。「状況把握・状態変更処理」とは、生成した機器制御命令が実行可能か否かを確認し、確認した制御状態を機器状態管理テーブルに反映させる処理である。「原因者特定処理」とは、制御状態が中断となる原因となった機器制御命令を生成したアプリケーションソフトウェアやその原因発生日時を特定可能とする処理である。これらの優先制御処理と、状況把握・状態変更処理と、原因者特定処理とについて具体的な処理の流れについて以下に説明する。
【0073】
本実施形態の機器制御システムでは、「優先制御処理」によって、優先閾値よりも優先度の低いアプリケーションソフトウェアからの機器制御命令を拒否して、優先閾値よりも優先度の高いアプリケーションソフトウェアからの機器制御命令のみを実行することができる。優先度の設定によって、柔軟性の高い制御が実現できる。
【0074】
本実施形態の機器制御システムにおいて、「状況把握・状態変更処理」によって、必要に応じてアプリケーションソフトウェアは、生成した機器制御命令が実行可能か否かを適宜確認することができる。アプリケーションソフトウェアは、状況把握処理により確認した結果を、状態変更処理によって機器状態管理テーブル302で管理する制御対象機器である機器Mの制御状態に反映させることができる。
【0075】
さらに、本実施形態の機器制御システムにおいて、「原因者特定処理」によって、アプリケーションソフトウェアは、機器制御命令が中断した場合に、その中断の原因となった機器制御命令を生成したアプリケーションソフトウェアやその原因発生日時を特定することができる。
【0076】
例えば、デマンドレスポンスを含む機器制御命令が中断された場合を考える。デマンドレスポンスが中断された場合、リソースアグリゲータの処理としては、代わりとなる他の機器の制御を開始するとともに、中断した機器に対して契約上のペナルティを加えることが考えられる。しかし、中断の原因となった機器制御命令を生成したアプリケーションソフトウェアを特定することによって、契約面での自由度を増やすことができる。中断の原因となった機器制御命令を生成したアプリケーションソフトウェアが緊急お出かけアプリであれば、月2回まではデマンドレスポンスが中断したことを免責にする、という契約も可能となる。一方で、中断の原因となった制御命令を生成したアプリケーションソフトウェアが、ブレーカー断抑止アプリであれば、ユーザの利便性を考慮してデマンドレスポンスが中断したことを免責にする、という契約も可能となる。
【0077】
これらの処理について、さらに詳細に説明する。
[優先制御処理]
図6は、優先制御処理の処理フローを示す図である。
【0078】
機器制御サーバ300は、機器制御命令を生成して制御基盤サーバ200に送る(S101)。
【0079】
図7は、機器制御命令の構成例を示す図である。
図8は、制御命令と制御値との組み合わせ例を示す図である。
【0080】
機器制御命令は、
図7に示すように、アプリIDと、機器IDと、制御命令と、制御値とを含む命令である。アプリIDは機器制御命令を生成したアプリケーションソフトウェアのアプリIDである。機器IDは機器制御命令の対象となる制御対象機器の機器IDである。制御命令と制御値とは、あらかじめ決められた
図8に示すような組み合わせの中から選択することができる。すなわち、制御命令が「充電設定」の場合、「充電開始」または「停止」のいずれかを制御値とすることができる。同様に、制御命令が「充電許容電力設定」の場合、設定する電力値を制御値とすることができ、制御命令が「優先閾値設定」の場合、設定する優先閾値を制御値とすることができる。
【0081】
機器制御サーバ300は、アプリケーションソフトウェアに従って、そのアプリケーションソフトウェアに設定されたアプリ優先度の値を超えない値の範囲内で制御対象機器に対して設定された優先閾値を変更するための制御命令を含む機器制御命令を生成することができる。この優先閾値を変更するための制御命令を含む機器制御命令は、生成した機器制御サーバ300が実行するアプリケーションソフトウェアに設定されたアプリ優先度が制御対象機器に対して設定された優先閾値未満の場合は、実行されない。その結果、機器制御サーバ300は、アプリ優先度が優先閾値以上の場合のみ、優先閾値を変更することができることとなっている。また機器制御サーバ300は、「優先閾値設定」の制御命令によって、対象となるアプリケーションソフトウェアのアプリIDに設定されたアプリ優先度に等しい優先閾値に設定することによって、機器制御サーバ300から、その値未満のアプリ優先度を持つ他のアプリケーションソフトウェアに従って、制御対象機器に対しての制御を実行できないようにすることができる。
【0082】
制御基盤サーバ200は、機器制御命令を受け取ると、アプリ優先度テーブル202にアクセスして、機器制御命令に含まれるアプリIDに紐づいたアプリ優先度の値を取得する(ステップS102)。
【0083】
制御基盤サーバ200は、さらに、機器属性管理サーバ100対して、機器制御命令に含まれる機器IDに紐づいた優先閾値の値を要求して、取得する(ステップS103)。ステップS103において、機器属性管理サーバ100は、制御基盤サーバ200からの要求に応じて、機器属性値テーブル102から要求された機器IDに紐付いた機器属性値に含まれる優先閾値を抽出して制御基盤サーバ200に渡す。
【0084】
制御基盤サーバ200は、取得したアプリ優先度の値と優先閾値の値とを比較して、機器制御命令の実行可否を判定する(ステップS104)。制御基盤サーバ200は、アプリ優先度が優先閾値よりも高い優先度を有する場合、具体的には、アプリ優先度の値が優先閾値の値以上である場合(ステップS104:YES)は、制御実行可能であると判定する。一方、制御基盤サーバ200は、アプリ優先度が優先閾値よりも高い優先度を有さない場合、具体的には、アプリ優先度の値が優先閾値の値未満である場合(ステップS104:NO)は、制御実行不能であると判定する。
【0085】
制御基盤サーバ200は、制御実行不能であると判定した場合(ステップS104:NO)は、比較判定の結果として制御拒否の旨を機器制御サーバ300に通知する(ステップS105)。
【0086】
制御基盤サーバ200は、制御実行可能であると判定した場合(ステップS104:YES)は、比較判定の結果として制御許可(制御実行)の旨を機器制御サーバ300に通知し(ステップS106)、機器制御命令を、優先閾値を取得した機器属性管理サーバ100に送信する(ステップS107)。
【0087】
機器制御サーバ300は、制御拒否の旨または制御許可の旨の通知を受けたら、機器状態管理テーブル302に格納された機器状態テーブルの制御対象機器の制御状態を更新することができる。
【0088】
機器属性管理サーバ100は、機器制御命令を受け取ると、機器Mに制御命令を実行させ(ステップS108)、機器制御命令の制御結果を制御基盤サーバ200に送信する(ステップS109)。
【0089】
制御基盤サーバ200は、機器制御命令の制御結果を受け取ると、機器制御命令に含まれるアプリIDに対応する機器制御サーバ300に制御結果を送信する(ステップS110)。
[状況把握・状態変更処理]
図9は、状態把握・状態変更処理の処理フローを示す図である。
【0090】
機器制御サーバ300は、機器制御命令問い合わせを生成して制御基盤サーバ200に送る(S201)。
【0091】
図10は、機器制御命令問い合わせの構成例を示す図である。
【0092】
機器制御命令問い合わせは、機器制御命令の実行可否を問い合わせるものである。機器制御命令問い合わせは、
図10に示すように、機器制御命令と同じく、アプリIDと、機器IDと、制御命令と、制御値とを含む問い合わせである。機器制御サーバ300において、アプリ機能部303は、機器状態管理テーブル302に格納された機器状態テーブルの制御状態が「制御中」のものを選択して機器制御命令問い合わせを生成する。なお、アプリ機能部303は、機器状態管理テーブル302に格納された機器状態テーブルの制御状態が「制御中」以外の機器制御命令についても機器制御命令問い合わせを生成してもよい。アプリ機能部303は、所定の時間間隔ごとに機器制御命令問い合わせを生成してもよい。
【0093】
制御基盤サーバ200は、機器制御命令を受け取ると、アプリ優先度テーブル202にアクセスして、機器制御命令に含まれるアプリIDに紐づいたアプリ優先度の値を取得する(ステップS202)。
【0094】
制御基盤サーバ200は、さらに、機器属性管理サーバ100に対して、機器制御命令に含まれる機器IDに紐づいた優先閾値の値を要求して、取得する(ステップS203)。ステップS203において、機器属性管理サーバ100は、制御基盤サーバ200からの要求に応じて、機器属性値テーブル102から要求された機器IDに紐付いた機器属性値に含まれる優先閾値を抽出して制御基盤サーバ200に渡す。
【0095】
制御基盤サーバ200は、取得したアプリ優先度の値と優先閾値の値とを比較して、機器制御命令の実行可否を判定する(ステップS204)。制御基盤サーバ200は、アプリ優先度が優先閾値よりも高い優先度を有する場合、具体的には、アプリ優先度の値が優先閾値の値以上である場合(ステップS204:YES)は、制御実行可能であると判定する。一方、制御基盤サーバ200は、アプリ優先度が優先閾値よりも高い優先度を有さない場合、具体的には、アプリ優先度の値が優先閾値の値未満である場合(ステップS204:NO)は、制御実行不能であると判定する。
【0096】
制御基盤サーバ200は、制御実行不能であると判定した場合(ステップS204:NO)は、制御拒否の旨を機器制御サーバ300に通知し(ステップS205)、制御実行可能であると判定した場合(ステップS204:YES)は、制御許可(制御許可)の旨を機器制御サーバ300に通知する(ステップS206)。
【0097】
機器制御サーバ300は、通知を受け取ると、制御実行が可能であったか否かを通知から判断し(ステップS207)、制御実行が可能であったと判断した場合(ステップS207:YES)は、定期的に機器Mの制御状態を確認するために、一定時間待機して(ステップS208)、再度ステップS201の問い合わせ処理に戻る。
【0098】
ステップS207において、制御実行が可能でなかったと判断した場合(ステップS207:NO)は、機器状態管理テーブル302に格納された機器状態テーブルの制御状態を「休止」に変更する(ステップS209)。制御状態を変更した後は、必要に応じて、原因者特定処理を行う。
[原因者特定処理]
図11は、最終更新情報問い合わせ処理の処理フローを示す図である。
【0099】
機器制御サーバ300は、最終更新情報問い合わせを生成して制御基盤サーバ200に送る(S301)。
【0100】
図12は、最終更新情報問い合わせの構成例を示す図である。
【0101】
最終更新情報問い合わせは、
図12に示すように、機器IDを含んでいる。この問い合わせに含まれている機器IDは、この機器IDに紐づいた機器Mの最終更新情報を取得したいことを示している。
【0102】
制御基盤サーバ200は、最終更新情報問い合わせを受け取ると、機器属性管理サーバ100対して、機器制御命令に含まれる機器IDに紐づいた機器属性値、すなわち優先閾値、最終更新アプリID、最終更新日時の情報を要求して、取得する(ステップS302)。ステップS302において、機器属性管理サーバ100は、制御基盤サーバ200からの要求に応じて、機器属性値テーブル102から要求された機器IDに紐付いた機器属性値を抽出して制御基盤サーバ200に渡す。
【0103】
制御基盤サーバ200は、取得した、機器IDに紐づいた機器属性値、すなわち優先閾値、最終更新アプリID、最終更新日時の情報を機器制御サーバ300に送信する(ステップS303)。
【0104】
機器制御サーバ300は、送信された機器IDに紐づいた機器属性値に基づいて最終更新アプリIDを特定する(ステップS304)。
【0105】
以上説明した本実施形態の機器制御システムにおいて、例えば、アプリ優先度が「3」である機器制御サーバ300Bのアプリケーションソフトウェアが、機器制御命令を生成して、その実行がなされた後に、アプリ優先度が「5」である機器制御サーバ300Cのアプリケーションソフトウェアが、機器制御命令を生成して、
図3に示すように優先閾値を変更した場合を考える。
【0106】
機器制御サーバ300Bが、11時20分00秒に定期的な状況把握・状態変更処理を実行する。機器制御サーバ300Bは、機器制御命令問い合わせを制御基盤サーバ200に送る(S201)。制御基盤サーバ200は、機器制御命令問い合わせに含まれるアプリIDに紐付いたアプリ優先度と、機器IDに紐付いた優先閾値とを取得し(ステップS202、S203)、アプリ優先度「3」が優先閾値「5」よりも低いので、機器制御サーバ300Bに制御拒否を通知する(ステップS205)。
【0107】
機器制御サーバ300Bは、通知を受けて、制御実行がされているか否かを判断して、(ステップS207)、実行されていないと判断できるので、機器状態管理テーブルの制御状態を変更し(ステップS209)、原因者特定処理を実行する。。
【0108】
機器制御サーバ300Bは、原因者特定処理において、最終更新情報問い合わせを生成する(ステップS301)。制御基盤サーバ200は、最終更新情報問い合わせに含まれる機器IDに紐付いた機器属性値を取得して(ステップS302)、機器制御サーバ300Bに送信する(ステップS303)。
【0109】
機器属性値には、
図3に示すように、優先閾値「5」と、最終更新アプリID「AP3」と、最終更新日時「2021/5/31 11:19:55」とが含まれている。機器制御サーバ300Bは、この値に基づいて、優先閾値を5にしたのは「AP3」のアプリIDのアプリケーションソフトウェアであり、優先閾値の変更が「2021/5/31 11:19:55」に発生したことが判断できる。機器制御サーバ300Bは、これらの値に基づいて、さらに必要な機器制御命令を生成することができる。
【0110】
以上説明した実施の形態に係る制御基盤サーバ200は、制御対象機器の機器属性値を管理する機器属性管理サーバ100と、制御対象機器に対する制御命令を含む機器制御命令を生成する複数の機器制御サーバ300とに通信可能に接続されている制御基盤サーバ200であって、機器制御サーバ300が実行するアプリケーションソフトウェアのそれぞれに対して設定された、機器制御命令の実行権限の優先度を示すアプリ優先度を格納したアプリ優先度格納部(202)と、機器制御サーバ300から機器制御命令を受信する受信部(201)と、制御対象機器(M1、M2、M3)に対して設定された優先閾値を機器属性管理サーバ(100A、100B、100C)から取得する取得部(203)と、受信した機器制御命令を生成した機器制御サーバ(300A、300B、300C)が実行するアプリケーションソフトウェアに対して設定されたアプリ優先度と機器制御命令の対象となる制御対象機器(M1、M2、M3)に対して設定された優先閾値とを比較して、アプリ優先度が優先閾値よりも高い優先度を有するか否かを判定する比較判定部(203)と、比較および判定の結果、アプリ優先度が優先閾値よりも高い優先度を有する場合のみに機器制御命令を機器属性管理サーバ(100A、100B、100C)に送信することにより制御対象機器(M1、M2、M3)に対する制御命令を許可する制御許可部(203)と、を備えている。これによって、制御対象の機器に対してそれぞれ独立した複数のアプリケーションソフトウェアに従った制御命令を生成する機器制御システムにおいて、柔軟な制御を実現することができる。
【0111】
また、アプリ優先度と優先閾値とは、3段階以上の同じ段階数により設定されることとしてもよい。これによれば、電力需要家であるユーザの生活・業務に不都合を発生させず、またリソースアグリゲータなど関係者の円滑なビジネス運営に資する値を設定することができる。
【0112】
また、機器制御命令は、電力需給協調要請に応じるための制御命令を含むこととしてもよい。これによれば、機器制御サーバ300が、電力需給状況に応じて電力需要家側にDRを含む機器制御命令を生成して、電力需要家の制御対象機器を遠隔制御することにより、電力需給をバランスさせることができる。
【0113】
また、アプリ優先度格納部に格納されたアプリ優先度は、機器制御サーバが実行するアプリケーションソフトウェアのそれぞれに対して予め設定された固定値であり、予め電力需給協調要請者と制御対象機器のユーザとの間で決定された値を含み、機器制御サーバからの機器制御命令に基づいて更新することができない値であることとしてもよい。これによれば、電力需給協調要請者が管理する機器制御サーバ300が、DRによって電力需要家の管理する機器Mを遠隔制御可能にするための契約を結ぶ際に、DRをどの程度優先させて実行させるかを決めた内容を、機器制御サーバ300のアプリ優先度の設定値として反映させることができる。
【0114】
実施の形態に係る制御基盤サーバ200は、通知部をさらに備え、受信部で機器制御命令についての実行可否の問い合わせを受信すると、比較判定部において、該受信した問い合わせにかかる機器制御命令を生成した機器制御サーバが実行するアプリケーションソフトウェアに対して設定されたアプリ優先度と機器制御命令の対象となる制御対象機器に対して設定された優先閾値とを比較判定し、通知部は、該比較判定の結果に対応した機器制御命令の実行可否の情報を機器制御サーバに通知し、制御許可部は、該比較判定の結果にかかわらず、機器制御命令を機器属性管理サーバに送信しないこととしてもよい。これによれば、機器制御サーバは、自らが生成した機器制御命令が受け付けられたこと、または拒否されたことを知るなどして、機器制御命令の生成から時間が経過した後でも自らの機器制御命令の受け付けについて知ることができる。
【0115】
実施の形態に係る制御基盤サーバ200において、受信部が、制御対象機器に対して設定された優先閾値の最終更新情報の問い合わせを受信すると、取得部は、機器属性管理サーバから制御対象機器の機器属性値を取得し、通知部は取得した機器属性値を機器制御サーバに通知することとしてもよい。これによれば、機器制御サーバは、自らが生成した機器制御命令が拒否されたことを知るなどした場合に、そのような結果をもたらした原因を知ることができる。
【0116】
実施の形態に係る制御基盤サーバ200において、機器属性値は、制御対象機器に対して設定された優先閾値と、当該優先閾値に更新することを指示した制御命令を含む機器制御命令を生成した機器制御サーバが実行するアプリケーションソフトウェアを識別する最終更新アプリIDと、更新の日時を示す最終更新日時とを含むこととしてもよい。これによれば、機器制御サーバは、自らが生成した機器制御命令が拒否されたことを知るなどした場合に、どのアプリケーションのどのような動作がいつそのような結果をもたらしたのかを知ることができる。
【0117】
以上説明した実施の形態に係る機器制御システムは、制御対象機器の機器属性値を管理する機器属性管理サーバと、制御対象機器に対する制御命令を含む機器制御命令を生成する複数の機器制御サーバと、上記制御基盤サーバと、を備えた機器制御システムであって、機器制御サーバは、制御対象機器に対して設定された優先閾値を変更するための制御命令を含む機器制御命令を生成し、機器属性管理サーバは、制御対象機器の機器属性値を格納する機器属性値格納部を有し、制御対象機器に対して設定された優先閾値を変更する制御命令を含む機器制御命令を受信すると、機器属性値格納部に格納された機器属性値に含まれる、制御対象機器に対して設定された優先閾値の情報を更新する。これによれば、機器制御サーバは、必要に応じて優先閾値に設定することができる。
【0118】
以上説明した実施の形態に係る機器制御システムにおいて、機器制御サーバは、実行するアプリケーションソフトウェアに設定されたアプリ優先度の値を超えない値の範囲内で制御対象機器に対して設定された優先閾値を変更するための制御命令を含む機器制御命令を生成することとしてもよい。これによれば、機器制御サーバは、自らのアプリ優先度に等しい優先閾値に設定することによって、その値未満のアプリ優先度を持つ他のアプリケーションソフトウェアに従って、機器制御サーバ300から制御対象機器に対しての制御を実行できないようにすることができる。
【0119】
以上説明した実施の形態に係る機器制御システムにおいて、機器制御サーバは、制御対象機器ごとの制御状態を示す情報を格納した機器状態格納部を有し、機器制御サーバは、機器制御命令の実行可否の情報の通知を受け取ると、制御対象機器ごとに機器状態格納部に格納された制御状態を示す情報を更新することとしてもよい。これによれば、機器制御サーバは、制御対象機器がどのような制御状態であるかを知ることができる。
【0120】
(実施の形態の拡張)
以上、本発明者らによってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0121】
例えば、
図1に示す構成例では、機器属性管理サーバ100と機器Mとが機器に直結された
図2(a)に示す態様で接続されている場合が示されているが、これに限定されず、
図2(a)から(c)の別の態様で接続されいてもよい。さらに、
図2(a)から(c)の態様が混在していてもよい。また、1つの機器属性管理サーバ100に対して、1つの機器Mが接続された構成が記載されているが、1つの機器属性管理サーバ100に対して複数の機器Mが接続された構成であってもよい。
【0122】
図2は、本実施形態に係る機器制御システムにおける機器属性管理サーバと機器との接続構成例を示す図である。
図2において、(a)は機器直結の場合、(b)は機器サーバ経由の場合、(c)はコントローラ経由の場合をそれぞれ示している。
【0123】
図2に示すように、機器属性管理サーバ100はインターネットを介して、電力需要家側の宅内等に配置された機器Mと通信可能に接続されている。
図2(a)に示す態様では、機器属性管理サーバ100と機器Mが直接通信可能接続されている。この場合、機器Mはインターネットによる通信機能を有している。
図2(b)に示す態様では、機器属性管理サーバ100と機器Mとが、機器サーバ401を介して通信可能接続されている。この場合も、機器Mはインターネットによる通信機能を有している。機器サーバ401は、機器Mと機器属性管理サーバ100とのインタフェース機能を有する。
図2(c)に示す態様では、機器属性管理サーバ100と機器Mとが、コントローラ402を介して通信可能接続されている。この場合は、コントローラ402がインターネットによる通信機能を有しており、コントローラ402と機器Mとは有線接続や他の無線通信機能により通信可能に接続されている。コントローラ402は、遠隔制御とは別に、機器に対する手動制御を入力するために用いることができる。
【0124】
また、上記実施形態において、
図6、9、11を用いて説明した処理フローについても図示のものに限定されない。例えば、
図6におけるS102とS103との処理の順番と
図9におけるS202とS203との処理の順番とは逆順であってもよい。
【0125】
また、上記実施形態において、優先度、優先閾値について値が大きいものが優先されることとして説明したが、値が小さいものが優先されることとしてもよい。
【0126】
また、上記実施形態においては、制御対象機器における電力の需要・供給等の制御を行う場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。管理者不在の機器を制御対象機器として、制御を行うものに適用可能である。
【符号の説明】
【0127】
100(100A、100B、100C)…機器属性管理サーバ、N1、N2…ネットワーク、M1、M2、M3…機器、101(101A、101B、101C)…機器接続部、102(102A、102B、102C)…機器属性値テーブル、103(103A、103B、103C)…機器属性管理部、200…制御基盤サーバ、201…相互接続部、202…アプリ優先度テーブル、203…優先制御部、300(300A、300B、300C)…機器制御サーバ、301(301A、301B、301C)…通信部、302(302A、302B、302C)…機器状態管理テーブル、303(303A、303B、303C)…アプリ機能部