(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059152
(43)【公開日】2023-04-26
(54)【発明の名称】支持装置、検査システム及び支持装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20230419BHJP
G01R 31/28 20060101ALI20230419BHJP
【FI】
H01L21/66 B
G01R31/28 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021169106
(22)【出願日】2021-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】小西 顕太朗
【テーマコード(参考)】
2G132
4M106
【Fターム(参考)】
2G132AE02
2G132AE22
2G132AF02
2G132AL21
4M106AA01
4M106BA01
4M106DD03
4M106DD10
4M106DD23
4M106DH02
4M106DH44
4M106DH45
4M106DH46
4M106DJ02
4M106DJ07
(57)【要約】
【課題】検査対象である基板Wを支持する支持部の温度制御を柔軟に行うことが可能な検査システムを提供する。
【解決手段】検査対象を支持し、第1温調媒体が流入口から流出口まで流れる流路を内部に有する支持部と、設定された比率で、前記流出口から流出する前記第1温調媒体と、外部から供給される第2温調媒体と、を混合した第3温調媒体を排出する混合部と、前記第3温調媒体を前記第1温調媒体として前記流入口に送る媒体移送部と、前記第1温調媒体又は前記第3温調媒体を加熱する加熱部と、を備える支持装置。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象を支持し、第1温調媒体が流入口から流出口まで流れる流路を内部に有する支持部と、
設定された比率で、前記流出口から流出する前記第1温調媒体と、外部から供給される第2温調媒体と、を混合した第3温調媒体を排出する混合部と、
前記第3温調媒体を前記第1温調媒体として前記流入口に送る媒体移送部と、
前記第1温調媒体又は前記第3温調媒体を加熱する加熱部と、
を備える、
支持装置。
【請求項2】
制御部を更に備え、
前記制御部は、前記支持部の温度に応じて、前記比率を制御する、
請求項1に記載の支持装置。
【請求項3】
前記第2温調媒体の温度は、前記第1温調媒体より温度が低く、
前記制御部は、前記支持部の温度が目標温度より高い場合は、前記第2温調媒体の割合が多くなるように前記比率を制御する、
請求項2に記載の支持装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2温調媒体の割合を零に制御する、
請求項3に記載の支持装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記加熱部の発熱量と前記媒体移送部の流量を制御する、
請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の支持装置。
【請求項6】
前記混合部は、三方弁を備え、
前記三方弁は、外部から供給された温調媒体を、外部に排出する経路と前記媒体移送部に送る経路に分配する、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の支持装置。
【請求項7】
前記混合部は、三方弁を備え、
前記三方弁は、外部から供給された温調媒体を、外部に排出する経路と前記媒体移送部に送る経路に分配し、
前記制御部は、前記三方弁の開度を制御する、
請求項2から請求項5のいずれか一項に記載の支持装置。
【請求項8】
前記支持部は、内部に前記加熱部を備える、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の支持装置。
【請求項9】
冷媒供給部と、
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の支持装置を複数備え、
前記冷媒供給部は、複数の前記支持装置のそれぞれに、前記第2温調媒体を供給する、
検査システム。
【請求項10】
検査対象を支持し、第1温調媒体が流入口から流出口まで流れる流路を内部に有する支持部と、
前記第1温調媒体を加熱する加熱部と、
設定された比率で、前記流出口から流出する前記第1温調媒体と、外部から供給される第2温調媒体と、を混合した第3温調媒体を排出する混合部と、
前記第3温調媒体を前記第1温調媒体として前記流入口に送る媒体移送部と、
を備える支持装置の制御方法であって、
前記支持部の温度に応じて、前記比率を制御する、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、支持装置、検査システム及び支持装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、ステージ上の被検査体の電気的検査を行う検査ユニットを収容する検査室を複数備える検査システムが開示されている。特許文献1には、検査システムが、ステージに冷媒を供給する冷媒供給部と、冷媒供給部から対応する検査室に延びる複数の冷媒配管と、を備えることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、検査対象の基板を支持する支持部の温度制御を柔軟に行うことが可能な検査システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一の態様によれば、検査対象を支持し、第1温調媒体が流入口から流出口まで流れる流路を内部に有する支持部と、設定された比率で、前記流出口から流出する前記第1温調媒体と、外部から供給される第2温調媒体と、を混合した第3温調媒体を排出する混合部と、前記第3温調媒体を前記第1温調媒体として前記流入口に送る媒体移送部と、前記第1温調媒体又は前記第3温調媒体を加熱する加熱部と、を備える支持装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本開示は、検査対象の基板を支持する支持部の温度制御を柔軟に行うことが可能な検査システムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る検査システムの概略構成を示す上面横断面図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る検査システムの概略構成を示す正面縦断面図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る検査システムの検査領域の構成を示す正面縦断面図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る検査システムのテスタの詳細を示す部分拡大図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係る検査システムのチャックトップの詳細を示す断面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る検査システムの支持装置の概略を示す図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る検査システムの温調媒体の流れを説明する図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係る検査システムの温調媒体の流れを説明する図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係る検査システムの支持装置の概略を示す図である。
【
図10】
図10は、第3実施形態に係る検査システムの概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。
【0009】
<検査システムの全体構成>
図1は、本実施形態に係る検査システム100の概略構成を示す上面横断面図である。
図2は、本実施形態に係る検査システム100の概略構成を示す正面縦断面図である。
【0010】
基板の一例である基板Wごとに設定された設定温度に基づき電気的特性の検査を行う装置である検査システム100は、筐体110を備える。筐体110の内部は、搬入出領域111、搬送領域112及び検査領域113に分割されている。
【0011】
搬入出領域111は、検査前の基板Wを検査システム100に搬入したり、検査後の基板Wを検査システム100から搬出したりするための領域である。また、後述するプローブカード180を検査システム100に搬入したり、検査システム100から搬出したりするための領域である。搬入出領域111には、複数の基板Wを収容したカセットCを受け入れるポート120及び後述するプローブカード180を収容するローダ121が設けられている。また、搬入出領域111には、検査システム100の各構成要素を制御する制御部122が設けられている。
【0012】
搬送領域112は、搬入出領域111と検査領域113との間で基板W等を運搬するための領域である。搬送領域112には、基板W等を保持した状態で自在に移動可能な搬送装置130が配置されている。この搬送装置130は、搬入出領域111のポート120内のカセットCと検査領域113の後述する位置合わせ部150との間で、基板Wの搬送を行う。また、搬送装置130は、検査領域113内の後述するポゴフレーム170に固定されたプローブカード180のうちメンテナンスを必要とするプローブカード180を、搬入出領域111のローダ121へ搬送する。さらに、搬送装置130は、新規又はメンテナンス済みのプローブカード180をローダ121から検査領域113内の上記ポゴフレーム170へ搬送する。
【0013】
検査領域113は、基板Wに形成された電子デバイスの電気的特性の検査が行われる領域である。検査領域113には、検査部としてのテスタ140が複数設けられている。具体的には、検査領域113は、
図2に示すように、鉛直方向に3つに分割され、各分割領域113aには、
図2の水平方向に配列された4つのテスタ140からなるテスタ列が設けられている。また、各分割領域113aには、1つの位置合わせ部150と、1つのカメラ160が設けられている。なお、テスタ140、位置合わせ部150、カメラ160の数や配置は任意に選択できる。テスタ140は、電気的特性検査用の電気信号を基板Wとの間で送受するものである。
【0014】
位置合わせ部150は、チャックトップ151と、アライナ153と、を備える。チャックトップ151とアライナ153の詳細については、後述する。位置合わせ部150は、基板である基板Wを載置する。また、位置合わせ部150は、当該載置された基板Wと、テスタ140の下方に配設されるプローブカード180との位置合わせを行う。位置合わせ部150は、位置合わせを行うためにテスタ140の下方の領域内を移動できるように設けられている。
【0015】
カメラ160は、当該テスタ140の下方に配設されるプローブカード180と、位置合わせ部150に載置された基板Wとの位置関係を撮像する。カメラ160は、水平に移動して、当該カメラ160が設けられた分割領域113a内の各テスタ140の前に位置するように設けられている。
【0016】
本実施形態に係る検査システム100では、搬送装置130が分割領域113aの複数のテスタ140の中の1つのテスタ140へ向けて基板Wを搬送している間に、分割領域113aの他のテスタ140は他の基板Wに形成された電子デバイスの電気的特性の検査を行うことができる。
【0017】
次に、
図3及び
図4を用いて、テスタ140と位置合わせ部150とそれらに関連する構成について詳細を説明する。
図3は、本実施形態に係る検査システム100の検査領域113の構成を示す正面縦断面図である。
図4は、本実施形態に係る検査システム100のテスタ140の詳細を示す部分拡大図である。
【0018】
テスタ140は、
図3及び
図4に示すように、テスタ140の底部に水平に設けられたテスタマザーボード141を有する。テスタマザーボード141には、不図示の複数の検査回路基板が立設状態で装着されている。また、テスタマザーボード141の底面には複数の電極が設けられている。
【0019】
さらに、テスタ140の下方には、ポゴフレーム170とプローブカード180とがそれぞれ1つずつ上側からこの順で設けられている。
【0020】
テスタ140の周囲において、各分割領域113aの上壁110aから複数の支持壁110bが鉛直方向下方に延出して設けられている。そして、互いに対向する支持壁110bの下部にポゴフレーム170が取り付けられている。当該互いに対向する支持壁110b及び当該支持壁110b間に取り付けられているポゴフレーム170により、各テスタ140は支持されている。
【0021】
ポゴフレーム170は、プローブカード180を支持すると共に、当該プローブカード180とテスタ140とを電気的に接続する。ポゴフレーム170は、テスタ140とプローブカード180との間に位置するように配設されている。ポゴフレーム170は、テスタ140とプローブカード180とを電気的に接続するポゴピンを有する。具体的には、ポゴフレーム170は、多数のポゴピンを保持するポゴブロック172と、このポゴブロック172が挿嵌されることによりポゴピンが取り付けられる取付孔173aが形成されたフレーム本体部173と、を有する。
【0022】
ポゴフレーム170の下面には、プローブカード180が、所定の位置に位置合わせされた状態で真空吸着される。
【0023】
また、ポゴフレーム170の下面には、プローブカード180の取り付け位置を囲むように、鉛直下方に延出するベローズ174が取り付けられている。当該ベローズ174により、プローブカード180と基板Wを含む密閉空間が形成される。当該密閉空間内では、後述するチャックトップ151上の基板Wがプローブカード180の後述するプローブ182に接触させた状態になっている。
【0024】
また、バキューム機構(図示せず)によってポゴフレーム170及びプローブカード180に真空吸引力が作用する。当該真空吸引力により、ポゴフレーム170の各ポゴピンの下端は、プローブカード180の後述するカード本体181における上面の対応する電極パッドに接触する。また、当該真空吸引力により、ポゴフレーム170の各ポゴピンの上端は、テスタマザーボード141の下面の対応する電極に接触する。
【0025】
プローブカード180は、円板状のカード本体181と、カード本体181の上面に設けられた複数の電極パッド(図示せず)と、カード本体181の下面から下方へ向けて延びる複数の針状の端子であるプローブ182とを有する。カード本体181の上面に設けられた上述の複数の電極はそれぞれ対応するプローブ182と電気的に接続されている。また、検査時には、プローブ182はそれぞれ、基板Wに形成された電子デバイスにおける電極パッドや半田バンプと接触する。したがって、電気的特性検査時には、ポゴピン、カード本体181の上面に設けられた電極及びプローブ182を介して、テスタマザーボード141と基板W上の電子デバイスとの間で、検査に係る電気信号が送受される。
【0026】
位置合わせ部150は、チャックトップ151と、アライナ153と、を備える。チャックトップ151は、アライナ153に着脱可能に載置される。チャックトップ151には、基板Wが載置される。また、チャックトップ151は、当該載置された基板Wを吸着する。チャックトップ151には、温度調整機構152が設けられている。この温度調整機構152は、電気的特性検査時にチャックトップ151の温度調整を行う。温度調整機構152により温度調整を行うことにより、チャックトップ151に載置された基板Wの電気的特性検査時の温度を例えば-30℃~+130℃に調整することができる。
【0027】
また、アライナ153は、チャックトップ151を支持し、当該チャックトップ151を
図3及び
図4の上下方向、紙面前後方向及び左右方向に移動させる。
【0028】
この位置合わせ部150により、チャックトップ151上の基板Wとプローブカード180のプローブ182とを接触させた状態に位置合わせする。また、当該位置合わせ後に、プローブカード180と基板Wを含む密閉空間を形成し、その密閉空間をバキューム機構(図示せず)により真空引きする。このときにアライナ153を下方に移動させることにより、チャックトップ151がアライナ153から切り離され、ポゴフレーム170側に吸着される。
【0029】
<チャックトップ>
次に、本実施形態の係る検査システム100のチャックトップ151について説明する。
図5は、本実施形態に係る検査システム100のチャックトップ151の詳細を示す断面図である。なお、
図5は、基板Wがチャックトップ151上に載置された状態の図である。
【0030】
本実施形態に係る検査システム100のチャックトップ151は、トッププレート155と、冷却ジャケット156と、を備える。
【0031】
トッププレート155は、基板Wが載置される部材である。トッププレート155には、基板Wを吸着するための機構、例えば、静電チャック等、が設けられている。
【0032】
冷却ジャケット156は、基板Wの温度を調整するための部材である。冷却ジャケット156の内部には、温調媒体HMが流通する媒体流路158が形成されている。媒体流路158は、例えば、上面視で螺旋状に形成されている。なお、媒体流路158の上面視形状は螺旋状に限らず、例えば、ジグザグ形状でもよい。媒体流路158に導入された温調媒体HMは冷却ジャケット156の外側に設けられた導入導出配管158aより、後述する冷媒供給部2に接続される。なお、温度を調節するための部材として、別途ヒータを備えるようにしてもよい。温調媒体HMは、基板Wの温度を調節するための媒体である。温調媒体HMは、例えば、水、ブライン等である。温調媒体HMは、基板Wを冷却するために用いてもよいし、基板Wを加熱するために用いてもよい。
【0033】
≪第1実施形態≫
<検査システムS1>
第1実施形態に係る検査システムの一例である検査システムS1について説明する。第1実施形態に係る検査システムS1について、上述の検査システム100の構成から、第1実施形態に係る検査システムS1の要点となる部分を抽出して説明する。
図6は、第1実施形態に係る検査システムの一例である検査システムS1について概略を説明する図である。
【0034】
検査システムS1は、温度を調整した状態で基板Wの電気的検査を行う。検査システムS1は、検査装置1と、冷媒供給部2と、を備える。検査システムS1は、検査を行うセルの数、すなわち、支持部10の数と、冷媒供給部2の数とが1対1の関係となっている。
【0035】
検査装置1は、基板Wの電気的検査を行う。冷媒供給部2は、検査装置1に温度調整された温調媒体を供給する。
【0036】
[検査装置1]
検査装置1は、支持装置3と、検査部70と、制御部80と、を備える。支持装置3は、検査対象である基板Wを載置して支持する。検査部70は、支持装置3に支持された基板Wの電気的検査を行う。
【0037】
検査装置1には、冷媒供給部2から温調媒体が供給され、回収される。冷媒供給部2は、配管Pa1を継ぎ手F1に接続して、配管P1と接続される。冷媒供給部2は、配管Pa1を介して検査装置1に温調媒体を供給する。配管P1は、ストップバルブSV1を介して、配管P2に接続される。また、冷媒供給部2は、配管Pa2を継ぎ手F2に接続して、配管P12と接続される。冷媒供給部2は、配管Pa2を介して検査装置1から温調媒体を回収する。配管P12は、ストップバルブSV2を介して、配管P11に接続される。なお、ストップバルブSV1及びストップバルブSV2は、制御部80により制御される。
【0038】
各要素について説明する。
【0039】
(支持装置3)
支持装置3は、検査対象である基板Wが所望の温度になるように温度調整しながら、基板Wを保持する。支持装置3は、支持部10と、混合部20と、媒体移送部30と、加熱部40と、を備える。
【0040】
(支持部10)
支持部10は、検査対象である基板Wを載置して保持する。支持部10は、例えば、検査システム100におけるチャックトップ151である。支持部10は、内部に流路11(媒体流路)を有する。支持部10は、温調媒体が流入する流入口12aと、温調媒体が流出する流出口12bと、を有する。流路11には、温調媒体が流入口12aから流入して、流出口12bから流出するように温調媒体が流れる。
【0041】
支持部10の内部に温調媒体が流れて、基板Wと熱交換することにより、基板Wの温度が所望の温度に制御される。
【0042】
また、支持部10は、温度計測素子15を備える。温度計測素子15は、支持部10の温度を測定する。温度計測素子15が計測した結果は、制御部80に入力される。制御部80は、温度計測素子15により計測した温度が、所望の温度になるように制御を行う。
【0043】
(混合部20)
混合部20は、検査装置1の外部、具体的には冷媒供給部2、から供給される温調媒体と、支持部10の流出口12bから流出する温調媒体とを、混合した温調媒体を媒体移送部30に排出する。
【0044】
混合部20は、三方弁21と、分岐管B1、分岐管B2及び分岐管B3と、を備える。分岐管B1、分岐管B2及び分岐管B3のそれぞれは、三方に分岐している。
【0045】
三方弁21は、冷媒供給部2から供給される温調媒体が流入する流入口21aと、冷媒供給部2に回収される経路に温調媒体を流出する第1流出口21bと、支持部10に流す経路に温調媒体を流出する第2流出口21cと、を有する。
【0046】
三方弁21の流入口21aには、冷媒供給部2から供給される温調媒体が流れる配管P2が接続される。三方弁21の第1流出口21bには、分岐管B3に接続する配管P10が接続される。三方弁21の第2流出口21cには、分岐管B1に接続する配管P3が接続される。なお、配管P3には、温調媒体が三方弁21から分岐管B1に流れて、分岐管B1から三方弁21に流れないように、逆止弁22が設けられる。
【0047】
分岐管B1は、前述のように配管P3と、支持部10に温調媒体を流す経路の配管P4と、分岐管B2に接続する配管P8と、に接続する。なお、配管P8には、温調媒体が分岐管B2から分岐管B1に流れて、分岐管B1から分岐管B2に流れないように、逆止弁23が設けられる。
【0048】
分岐管B2は、支持部10から流出する温調媒体が流れる配管P7と、前述のように配管P8と、分岐管B3に接続する配管P9と、に接続する。分岐管B3は、前述のように配管P9と、配管P10と、冷媒供給部2に温調媒体を流す配管P11と、に接続する。
【0049】
三方弁21は、開度を調整することにより、流入口21aから第1流出口21bに流出する温調媒体の量と、流入口21aから第2流出口21cに流出する温調媒体の量との分配する比率を制御できる。三方弁21は、制御部80に接続される。制御部80は、三方弁21の開度が所望の開度になるように制御する。制御部80が三方弁21の開度を制御することにより、流入口21aから第1流出口21bに流出する温調媒体の量と、流入口21aから第2流出口21cに流出する温調媒体の量との比率を、所望の比率に制御できる。
【0050】
(媒体移送部30)
媒体移送部30は、配管P5から流入する温調媒体を配管P6に流す。媒体移送部30は、例えば、ポンプである。媒体移送部30は、混合部20から流出する温調媒体を支持部10の流入口12aに流す。媒体移送部30に用いられるポンプの種類は特に限定されず、例えば、軸流ポンプ等である。
【0051】
媒体移送部30は、制御部80に接続される。制御部80は、媒体移送部30が流す温調媒体の流量を制御する。制御部80は、媒体移送部30が回転式ポンプの場合は、ポンプの回転数を制御する。なお、別途バルブを設けて流量を制御してもよい。
【0052】
(加熱部40)
加熱部40は、温調媒体を加熱する。加熱部40は、例えば、熱線ヒータである。加熱部40は、制御部80に接続される。制御部80は、加熱部40の加熱量を制御する。例えば、加熱部40が熱線ヒータの場合は、熱線ヒータに供給する電力を制御して、熱線ヒータから発する発熱量を制御する。
【0053】
(検査部70)
検査部70は、基板Wを電気的に検査する。検査部70は、例えば、検査システム100におけるテスタ140及びプローブカード180である。検査部70は、例えば、検査プローブを備える。検査部70は、基板Wにプローブを接触させることにより、基板Wの電気的検査を行う。
【0054】
(制御部80)
制御部80は、検査装置1を制御する。制御部80は、演算部と、記憶部と、を備えたコンピュータにより構成される。制御部80は、検査装置1の各部を制御する。演算部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含む。記憶部は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)又はこれらの組み合わせを含む。
【0055】
記憶部は、検査処理に必要な動作を実行するためのステップ(命令)群が組まれたプログラムを記憶する。プログラムには、例えば、基板Wの温度、より具体的には、温度計測素子15の温度、を所望の温度に調整するように、混合部20の三方弁21、媒体移送部30及び加熱部40の動作を制御するように構成されたステップ群が含まれる。プログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、光磁気ディスク、メモリカード等の記憶媒体に格納され、記憶媒体からコンピュータにインストールされる。
【0056】
例えば、制御部80は、支持部10の温度計測素子15の温度が所望の温度になるように、三方弁21の開度を制御する。制御部80が三方弁21の開度を制御することにより、支持部10から排出された温調媒体と、冷媒供給部2から供給された温調媒体の混合する比率を制御する。上述のように、制御部80により、本実施形態に係る制御方法が実行される。
【0057】
[冷媒供給部2]
冷媒供給部2は、所定の温度の温調媒体を検査装置1に供給する。冷媒供給部2は、例えば、チラーである。冷媒供給部2が供給する温調媒体の温度は、支持部10を流れる温調媒体より低い温度になっている。
【0058】
冷媒供給部2は、配管Pa1を継ぎ手F1に接続することにより、温調媒体を検査装置1に供給する。また、冷媒供給部2は、配管Pa2を継ぎ手F2に接続することにより、温調媒体を検査装置1から回収する。
【0059】
<検査システムS1における温調媒体の流れ>
検査システムS1における温調媒体の流れについて説明する。
図7及び
図8は、第1実施形態に係る検査システムS1の温調媒体の流れを説明する図である。
【0060】
検査システムS1は、加熱モードと冷却モードの二つのモードを有する。それぞれのモードについて説明する。
【0061】
(加熱モード)
加熱モードは、例えば、基板Wの発熱がなく、冷却する必要がない場合に用いられるモードである。加熱モードにおける温調媒体の流れを
図7に示す。加熱モードにおいては、支持部10を流れる温調媒体(以下、第1温調媒体L1という)を媒体移送部30によって循環させる。また、加熱モードにおいては、冷媒供給部2から供給される温調媒体(以下、第2温調媒体L2という)を、すべて冷媒供給部2に戻す。
【0062】
具体的には、混合部20の三方弁21において、第2温調媒体L2を支持部10の側に流さないようにする。そして、混合部20の三方弁21において、第2温調媒体L2のすべてを冷媒供給部2に戻す。すなわち、三方弁21において、分岐管B1に流れる第2温調媒体L2の比率を零にする。
【0063】
加熱部40は、混合部20から排出された第1温調媒体L1を加熱する。加熱された第1温調媒体L1は、媒体移送部30により支持部10に送られる。
【0064】
(冷却モード)
冷却モードは、例えば、検査を行うことによって、基板Wが発熱し、基板を冷却する必要がある場合に用いられるモードである。冷却モードにおける温調媒体の流れを
図8に示す。冷却モードにおいては、混合部20において、支持部10から流出した第1温調媒体L1の一部(第1温調媒体L1a)と、冷媒供給部2から供給される第2温調媒体L2の一部(第2温調媒体L2a)とを混合した第3温調媒体L3を媒体移送部30に排出する。
【0065】
加熱部40は、混合部20から排出された第3温調媒体L3を加熱する。加熱された第3温調媒体L3は、媒体移送部30により第1温調媒体L1として支持部10に送られる。
【0066】
具体的には、混合部20の三方弁21において、第2温調媒体L2の一部である第2温調媒体L2aを支持部10の側に流す。一方、第2温調媒体L2において、支持部10の側に流れなかった残りの第2温調媒体L2bは、分岐管B3に流れる。また、分岐管B2において、第1温調媒体L1の一部である第1温調媒体L1aが分岐管B1側に流れる。一方、第1温調媒体L1において、分岐管B2から分岐管B1側に流れなかった第1温調媒体L1bは、分岐管B3側に流れる。なお、第1温調媒体L1bの量は、第2温調媒体L2aの量と等しくなる。
【0067】
分岐管B1において、第1温調媒体L1aと第2温調媒体L2aは混合される。そして、第1温調媒体L1aと第2温調媒体L2aとが混合された第3温調媒体L3は、媒体移送部30側に流れる。検査装置1においては、第3温調媒体L3は、加熱部40で加熱され、媒体移送部30から支持部10に送られる。
【0068】
一方、分岐管B3において、第1温調媒体L1bと第2温調媒体L2bは混合される。そして、第1温調媒体L1bと第2温調媒体L2bとが混合された温調媒体L2rは、冷媒供給部2に回収される。
【0069】
また、制御部80は、所望の温度(目標温度)に対して、支持部10の温度が高い場合は、第2温調媒体L2aの割合が高くなるように比率を制御する。
【0070】
なお、上記の説明では、加熱モードと、冷却モードを分けて説明したが、加熱モードは、冷却モードにおいて、混合部20の三方弁21において分岐管B1に流れる第2温調媒体L2の比率を零にした第3温調媒体L3を混合部20から排出する場合であるとしてもよい。その場合は、混合部20の三方弁21において分岐管B1に流れる第2温調媒体L2の比率を零にした第3温調媒体L3は、第1温調媒体L1と等しい。
【0071】
<作用、効果>
第1実施形態に係る検査システムS1によれば、検査対象の基板を支持する支持部の温度制御を柔軟に行うことができる。
【0072】
検査システムS1によれば、基板Wの温度を制御するために、加熱部40と、三方弁21と、を制御することにより、検査対象である基板Wを支持する支持部10の温度を制御する際に、支持部10を流れる温調媒体の温度を制御できる。チラーである冷媒供給部2においては、温調媒体の温度を一定に保つために、一定の流量を流すことが望ましい。検査システムS1によれば、冷媒供給部2から供給される温調媒体の流量は、支持部10の目標温度によらず一定の流量となることから、冷媒供給部2から供給される温調媒体の温度を安定させることができる。また、検査システムS1によれば、ヒータである加熱部40により、温調媒体を加熱させることから、温調媒体の温度を高い応答速度で制御できる。
【0073】
また、検査システムS1によれば、基板Wの温度を制御するために、媒体移送部30を制御することにより、検査対象である基板Wを支持する支持部10の温度を制御する際に、支持部10を流れる温調媒体の流量を制御できる。検査システムS1によれば、温調媒体の流量を制御することにより、単位時間あたりの温調媒体から支持部10に伝達する熱量を制御できる。したがって、検査システムS1によれば、支持部10の単位時間あたりの温度の応答速度を制御できる。
【0074】
例えば、一般には、検査対象である基板Wを支持する支持台の温度制御は、供給される温調媒体の温度を一定にして、温調媒体の流量を制御する。チラーによって、温調媒体の温度を変動させると、応答速度が遅い場合がある。また、チラーにおいて、流量が変動すると、温調媒体の温度が安定しない場合がある。本実施形態に係る検査システムS1によれば、安定して温度を制御することができるとともに、応答速度を考慮した制御ができる。
【0075】
≪第2実施形態≫
<検査システムS2>
第1実施形態に係る検査システムS1では、加熱部40は、支持部10とは別に設けられていたが、加熱部を支持部の内部に設けてもよい。第2実施形態に係る検査システムS2は、検査装置1に換えて、支持装置3Aを備える検査装置1Aを備える。
【0076】
支持装置3Aは、第1実施形態に係る支持装置3の支持部10に換えて支持部10Aを備える。また、支持装置3Aは、第1実施形態に係る支持装置3の加熱部40に換えて支持部10Aの内部に設けられる加熱部40Aを備える。
【0077】
第2実施形態に係る検査システムの一例である検査システムS2について説明する。
図9は、第2実施形態に係る検査システムの一例である検査システムS2について概略を説明する図である。
【0078】
(支持部10A)
支持部10Aは、検査対象である基板Wを載置して保持する。支持部10Aは、内部に流路11を有する。支持部10Aは、温調媒体が流入する流入口12aと、温調媒体が流出する流出口12bと、を有する。流路11には、温調媒体が流入口12aから流入して、流出口12bから流出するように温調媒体が流れる。
【0079】
また、支持部10Aは、内部に加熱部40Aを備える。加熱部40Aは、第1温調媒体L1を加熱する。加熱部40Aは、支持部10Aを加熱するとともに、温調媒体を加熱する。加熱部40Aは、例えば、熱線ヒータである。加熱部40Aは、制御部80に接続される。制御部80は、加熱部40Aの加熱量を制御する。支持部10Aの内部に温調媒体が流れて、加熱部40Aにより温調媒体が加熱されるとともに、基板Wと温調媒体とが熱交換することにより、基板Wの温度が所望の温度に制御される。
【0080】
<作用、効果>
第2実施形態に係る検査システムS2によれば、第1実施形態に係る検査システムS1の作用、効果に加えて、加熱部を支持部と一体化することにより、システムの規模を小さくできる。
【0081】
なお、第2実施形態に係る検査システムS2においては、支持部10の外部に加熱部を備えていないが、支持部10の内部の加熱部40Aとは別に更に温調媒体を加熱する加熱部を支持部10の外部に備えてもよい。
【0082】
≪第3実施形態≫
<検査システムS3>
第1実施形態に係る検査システムS1では、支持装置3と冷媒供給部2とは、1対1の関係になっていたが、1つの冷媒供給部2に対して、複数の支持装置3を備えるようにしてもよい。第3実施形態に係る検査システムS3は、検査装置1に換えて、複数の支持装置3を備える検査装置1Bを備える。すなわち、検査システムS3は、支持装置3を複数備える。検査システムS3は、いわゆるマルチセルテストシステムである。
図10は、第3実施形態に係る検査システムS3の概略を示す図である。
【0083】
第3実施形態に係る検査システムS3の検査装置1Bは、1つの冷媒供給部2に対して、複数の支持装置3を備える。冷媒供給部2から供給される温調媒体は、配管により分岐されて、複数の支持装置3のそれぞれに供給される。また、複数の支持装置3のそれぞれから排出された温調媒体は、分岐した配管から合流して冷媒供給部2に回収される。
【0084】
なお、検査システムS3において、支持装置3に換えて、第2実施形態に係る検査システムS2が備える支持装置3Aを用いてもよい。
【0085】
<作用、効果>
第3実施形態に係る検査システムS3によれば、第1実施形態に係る検査システムS1の作用、効果に加えて、複数の支持装置3のそれぞれにおいて個別に温度を制御できる。すなわち、検査システムS3によれば、複数の検査装置のそれぞれにおいて、異なる温度条件で検査をできる。
【0086】
例えば、検査システム100のような複数のテスタを備えるマルチセルテストシステムにおいては、1つの冷媒供給部から複数の検査装置に温調媒体を供給すると、複数の検査装置のすべてにおいて、同じ温度条件での検査しかできない。本実施形態に係る検査システムS3によれば、複数の支持装置3のそれぞれが混合部20、媒体移送部30及び加熱部40を備えることから、複数のテスタのそれぞれにおいて、個別に温度の制御ができる。したがって、検査システムS3によれば、複数のテスタのそれぞれにおいて、異なる温度条件で検査をできる。
【0087】
また、検査システムS3によれば、冷媒供給部2から各検査装置1Bに供給される温調媒体の流量の総量は、各支持装置3における支持部10の目標温度によらず一定の流量となることから、冷媒供給部2から供給される温調媒体の温度を安定させることができる。
【0088】
今回開示された本実施形態に係る支持装置、検査システム及び支持装置の制御方法は、すべての点において例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で変形及び改良が可能である。上記複数の実施形態に記載された事項は、矛盾しない範囲で他の構成も取り得ることができ、また、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0089】
1、1A、1B 検査装置
2 冷媒供給部
3、3A 支持装置
10、10A 支持部
11 流路
12a 流入口
12b 流出口
15 温度計測素子
20 混合部
21 三方弁
30 媒体移送部
40、40A 加熱部
70 検査部
80 制御部
W 基板