(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059368
(43)【公開日】2023-04-27
(54)【発明の名称】冷熱システムおよび運転方法
(51)【国際特許分類】
F25B 30/02 20060101AFI20230420BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20230420BHJP
A22C 21/00 20060101ALI20230420BHJP
F24H 4/02 20220101ALI20230420BHJP
F24H 1/18 20220101ALI20230420BHJP
F24H 1/00 20220101ALI20230420BHJP
【FI】
F25B30/02 Z
F25B1/00 399Y
A22C21/00 A
F24H4/02 F
F24H1/18 D
F24H1/00 631Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021169327
(22)【出願日】2021-10-15
(71)【出願人】
【識別番号】000148357
【氏名又は名称】株式会社前川製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】江原 誠
(72)【発明者】
【氏名】小松 富士夫
(72)【発明者】
【氏名】高見 太郎
【テーマコード(参考)】
3L122
【Fターム(参考)】
3L122AA02
3L122AA23
3L122AB42
3L122AC14
(57)【要約】
【課題】食肉加工工場において、カーボンニュートラルで冷水および温水を生成することのできる、冷熱システムを提供する。
【解決手段】
冷熱システム1は、冷熱および温熱を同時に取り出し可能なヒートポンプ10、20と、ヒートポンプから取り出される温熱によって加熱される第1媒体を温水タンク40に供給する温水経路30、31と、ヒートポンプから取り出される冷熱によって冷却される第2媒体によって、冷水タンク50内の水を冷却する冷水経路32、33と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷熱および温熱を同時に取り出し可能なヒートポンプと、
前記ヒートポンプから取り出される前記温熱によって加熱される第1媒体を温水タンクに供給する温水経路と、
前記ヒートポンプから取り出される前記冷熱によって冷却される第2媒体によって、冷水タンク内の水を冷却する冷水経路と、を有する、冷熱システム。
【請求項2】
前記ヒートポンプは、
水熱源ヒートポンプと、水空気熱源ヒートポンプと、を有する、請求項1に記載の冷熱システム。
【請求項3】
前記水熱源ヒートポンプから取り出される前記冷熱によって冷却された前記第2媒体が、前記冷水タンクに連結される循環経路を循環する水と熱交換される第1熱交換器と、
前記水空気熱源ヒートポンプから取り出される前記冷熱によって冷却された前記第2媒体が、外気と熱交換される第2熱交換器と、
前記水空気熱源ヒートポンプから取り出される前記冷熱によって冷却された前記第2媒体が、冷凍機の廃熱によって加温された冷却水と熱交換される第3熱交換器と、を有する、請求項2に記載の冷熱システム。
【請求項4】
前記冷水タンク内の冷水は、屠体を冷却するための水槽に供給され、
前記水空気熱源ヒートポンプから取り出された前記冷熱によって冷却された前記外気は、生鳥ホームの冷却に使用され、
前記水空気熱源ヒートポンプから取り出された前記冷熱によって冷却された前記冷凍機の前記冷却水は、前記冷凍機に再度供給される、請求項3に記載の冷熱システム。
【請求項5】
請求項4に記載の冷熱システムの運転方法であって、
工場が停止する夜間において、
前記水熱源ヒートポンプから取り出される前記冷熱によって冷却される前記第2媒体を用いて前記冷水タンク内の水を冷却するとともに、前記水熱源ヒートポンプから取り出される前記温熱によって加熱される前記第1媒体を前記温水タンクに供給し、
前記水空気熱源ヒートポンプを用いて、前記外気から採熱した前記温熱を用いて温水を生成し、前記温水タンクに供給する、運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷熱システムおよび運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、鶏肉加工工場のような食肉加工工場において、冷熱と温熱の需要が大量にあり、冷熱および温熱の生成のために、大量のエネルギーを投入している。
【0003】
冷熱は、例えば、屠体の冷却、生肉の凍結、生鳥ホームの空調等に用いられる。冷熱は、冷凍機を用いて冷水を生成することで得ることができる(例えば下記の特許文献1)。
【0004】
温熱は、例えば、生鳥脱毛のための温水加熱、屠体の中抜き後の洗浄、および工場内の温水洗浄等に用いられる。温熱は、ボイラー等で化石燃料を使って温水を生成することで得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ボイラー等で化石燃料を用いて温水を生成する場合、CO2や燃焼熱を排出している。したがって、地球規模の環境悪化の一因となる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために発明されたものであり、食肉加工工場において、カーボンニュートラルで冷水および温水を生成することのできる、冷熱システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明に係る冷熱システムは、冷熱および温熱を同時に取り出し可能なヒートポンプと、前記ヒートポンプから取り出される前記温熱によって加熱される第1媒体を温水タンクに供給する温水経路と、前記ヒートポンプから取り出される前記冷熱によって冷却される第2媒体によって、冷水タンク内の水を冷却する冷水経路と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
上述のように構成した冷熱システムによれば、ヒートポンプから取り出される温熱によって加熱される第1媒体を、温水タンクに供給して温水を生成するとともに、ヒートポンプから取り出される冷熱によって冷却される第2媒体によって、冷水タンク内の水を冷却して冷水を生成することができる。したがって化石燃料を電化して、再生可能エネルギー(例えばソーラー発電)を用いることによって、温水を生成することができる。以上から、食肉加工工場において、カーボンニュートラルで冷水および温水を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係る冷熱システムを示す系統図である。
【
図2】日中運転時(工場稼働時)における、冷熱システムの運転方法を説明するための系統図である。
【
図3】夜間運転時(工場停止時)における、冷熱システムの運転方法を説明するための系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態を、
図1を参照しつつ説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0012】
図1は、本実施形態に係る冷熱システム1を示す系統図である。本実施形態に係る冷熱システム1は、一例として、鶏肉加工工場に配置されるものとして説明する。
【0013】
冷熱システム1は、
図1に示すように、水熱源ヒートポンプ(ヒートポンプに相当)10と、水空気熱源ヒートポンプ(ヒートポンプに相当)20と、水熱源ヒートポンプ10から取り出される温熱によって加熱される第1媒体が流れる第1温水経路(温水経路に相当)30と、水空気熱源ヒートポンプ20から取り出される温熱によって加熱される第1媒体が流れる第2温水経路(温水経路に相当)31と、水熱源ヒートポンプ10から取り出される冷熱によって冷却される第2媒体が循環する第1冷水経路(冷水経路に相当)32と、水空気熱源ヒートポンプ20から取り出される冷熱によって冷却される第2媒体が循環する第2冷水経路(冷水経路に相当)33と、第1温水経路30および第2温水経路31に連結される温水タンク40と、第1冷水経路32を循環する第2媒体の冷熱を受け取って冷却される冷水が貯蔵される冷水タンク50と、水熱源ヒートポンプ10および冷水タンク50の間に配置される第1熱交換器60と、第2冷水経路33を循環する第2媒体と外気を熱交換する第2熱交換器61と、第2冷水経路33を循環する第2媒体と冷凍機70の廃熱によって加温された冷却水を熱交換する第3熱交換器62と、を有する。
【0014】
水熱源ヒートポンプ10は、供給水の熱エネルギーを利用して冷熱および温熱を同時に取り出し可能に構成されている。水熱源ヒートポンプ10は、図示を省略するが、冷媒が循環する冷媒流路と、冷媒を圧縮する圧縮機と、冷媒を膨張する膨張弁と、第1温水経路30内を循環する第1媒体に温熱を供給する温水熱交換器と、第1冷水経路32内を循環する第2媒体に冷熱を供給する冷水熱交換器と、を有する。
【0015】
水熱源ヒートポンプ10としては、例えば、株式会社前川製作所製の水熱源エコキュートユニモWWを用いることができる。水熱源ヒートポンプ10は、電気によって作動される。
【0016】
水空気熱源ヒートポンプ20は、水・空気の熱エネルギーを利用して冷熱および温熱を同時に取り出し可能に構成されている。水空気熱源ヒートポンプ20は、上述した水熱源ヒートポンプ10の構成に対して、外部から取り込んだ空気を冷却する空気熱交換器をさらに有する。
【0017】
水空気熱源ヒートポンプ20としては、例えば、株式会社前川製作所製の空気・水両熱源エコキュートユニモAWWを用いることができる。水空気熱源ヒートポンプ20は、電気によって作動される。
【0018】
第1温水経路30は、水熱源ヒートポンプ10から取り出される温熱によって加熱される第1媒体が内部を移動する。第1媒体は水である。第1温水経路30は、温水タンク40に連結されて、加熱された第1媒体は温水タンク40に貯蔵される。第1温水経路30内の第1媒体の循環は、ポンプによって行われる。
【0019】
第2温水経路31は、水空気熱源ヒートポンプ20から取り出される温熱によって加熱される第1媒体が内部を移動する。第2温水経路31は、温水タンク40に連結されて、加熱された第1媒体は温水タンク40に貯蔵される。第2温水経路31内の第1媒体の循環は、ポンプによって行われる。
【0020】
第1冷水経路32は、水熱源ヒートポンプ10から取り出される冷熱によって冷却される第2媒体が内部を移動する。第2媒体は水である。第1冷水経路32を循環する第2媒体は、第1熱交換器60において、冷水タンク50に連結される循環経路51を循環する水と熱交換される。第1冷水経路32内の第2媒体の循環は、ポンプによって行われる。
【0021】
第2冷水経路33は、水空気熱源ヒートポンプ20から取り出される冷熱によって冷却される第2媒体が内部を移動する。第2冷水経路33を循環する第2媒体は、まず第2熱交換器61において外気と熱交換され、その後、第3熱交換器62において冷凍機70の廃熱によって加温された冷却水と熱交換される。第2冷水経路33内の第2媒体の循環は、ポンプによって行われる。
【0022】
温水タンク40には、水熱源ヒートポンプ10および水空気熱源ヒートポンプ20から取り出される温熱によって加熱される第1媒体(水)が供給される。温水タンク40内の温水の温度は例えば80℃である。
【0023】
温水タンク40内の温水は、
図1に示すように、スコルダー90および手洗い場91等に供給される。スコルダー90では、屠体を温水に浸漬させて、屠体の脱毛が行われる。スコルダー90内の温水の温度は、例えば、60℃である。また、手洗い場91における温水の温度は、例えば40℃である。
【0024】
冷水タンク50内には新水が供給される。冷水タンク50内の水は、循環経路51を循環して、第1熱交換器60において、水熱源ヒートポンプ10から取り出される冷熱によって冷却された第2媒体と熱交換して冷却される。冷水タンク50内の冷水の温度は、例えば、3℃である。
【0025】
冷水タンク50内の冷水は、屠体の冷却用の水槽80に供給される。
【0026】
冷凍機70は、冷凍機70に供給された新水を、例えば2℃まで冷却する。冷凍機70によって2℃まで冷却された新水は、水槽80に供給される。水槽80内の冷水の温度は、例えば、2~3℃である。
【0027】
第1熱交換器60では、第1冷水経路32を循環する第2媒体および循環経路51を循環する水で熱交換が行われる。これによって、循環経路51を循環する水は、第1冷水経路32を循環する第2媒体から冷熱を受け取って、冷却される。一方、第1冷水経路32を循環する第2媒体は、循環経路51を循環する水から温熱を受け取って、加熱される。
【0028】
第2熱交換器61では、第2冷水経路33を循環する第2媒体および取り込んだ外気で熱交換が行われる。これによって、取り込んだ外気は、第2冷水経路33を循環する第2媒体から冷熱を受け取って冷却される。第2媒体から冷熱を受け取って冷却された外気は、生鳥ホーム81の冷却に使用される。一方、第2冷水経路33を循環する第2媒体は、取り込んだ外気から温熱を受け取って、加熱される。
【0029】
第3熱交換器62では、第2冷水経路33を循環する第2媒体および冷凍機70からの廃熱によって加温された冷却水で熱交換が行われる。冷却水は、冷凍機70および第3熱交換器62を連結する循環経路64を循環する。これによって、冷凍機70からの廃熱によって加温された冷却水は、第2冷水経路33を循環する第2媒体から冷熱を受け取って冷却される。第2媒体から冷熱を受け取って冷却された冷却水は、再度冷却水として冷凍機70に供給される。一方、第2冷水経路33を循環する第2媒体は、冷却水から温熱を受け取って、加熱される。
【0030】
循環経路64には、
図1に示すように、バイパス経路65が連結される。冷凍機70からの廃熱によって加温された冷却水は、バイパス経路65を移動して冷却塔71において冷却されて、再度冷却水として冷凍機70に供給される場合もある。
【0031】
次に、
図2を参照して、日中運転時(工場稼働時)における、冷熱システム1の運転方法について説明する。
図2において、稼働している系統を実線で示し、稼働していない系統を点線で示す。
【0032】
日中運転時は、水熱源ヒートポンプ10を駆動させて、水熱源ヒートポンプ10から冷熱および温熱を同時に取り出す。また、水空気熱源ヒートポンプ20は、水のみを熱源として利用して、冷熱および温熱を同時に取り出す。
【0033】
水熱源ヒートポンプ10から取り出される温熱によって加熱される第1媒体は、温水タンク40内に貯蔵される。また、水空気熱源ヒートポンプ20から取り出される温熱によって加熱される第1媒体も、温水タンク40内に貯蔵される。温水タンク40内の温水は、スコルダー90および手洗い場91に供給される。
【0034】
水熱源ヒートポンプ10から取り出される冷熱によって冷却される第2媒体は、第1熱交換器60において、冷水タンク50に連結される循環経路51を循環する水と熱交換される。冷水タンク50内の冷水は水槽80に供給される。
【0035】
水空気熱源ヒートポンプ20から取り出される冷熱によって冷却される第2媒体は、第2熱交換器61において、外気と熱交換されるとともに、第3熱交換器62において、冷凍機70の廃熱によって加温された冷却水と熱交換される。
【0036】
ここで、例えば、水熱源ヒートポンプ10に供給される電気エネルギーを1、第1熱交換器60において循環経路51を循環する水から回収する熱エネルギーを3とすると、温水タンク40に供給される第1媒体に与えられる熱エネルギーは4(=1+3)となる。すなわち、温水タンク40に供給する温水の加熱に、循環経路51を循環する水の温熱が利用されている。
【0037】
また、例えば、水空気熱源ヒートポンプ20に供給される電気エネルギーを1、第2熱交換器61において外気から回収する熱エネルギーを2、第3熱交換器62において冷却水から回収する熱エネルギーを1とすると、温水タンク40に供給される第1媒体に与えられる熱エネルギーは4(=1+2+1)となる。すなわち、温水タンク40に供給する温水の加熱に、外気の熱および冷凍機70の廃熱が利用されている。
【0038】
次に、
図3を参照して、夜間運転時(工場停止時)における、冷熱システム1の運転方法について説明する。
図3において、稼働している系統を実線で示し、稼働していない系統を点線で示す。
【0039】
夜間運転時は、水熱源ヒートポンプ10を駆動させて、水熱源ヒートポンプ10から冷熱および温熱を同時に取り出す。また、水空気熱源ヒートポンプ20は、空気のみを熱源として利用して、温熱を取り出す。
【0040】
水熱源ヒートポンプ10から取り出される温熱によって加熱される第1媒体は、温水タンク40内に貯蔵される。
【0041】
水熱源ヒートポンプ10から取り出される冷熱によって冷却される第2媒体は、第1熱交換器60において、冷水タンク50に連結される循環経路51を循環する水と熱交換される。
【0042】
水空気熱源ヒートポンプ20では、外気から採熱した温熱を用いて第1媒体を加熱して温水を生成し、生成された温水は温水タンク40内に供給されて貯蔵される。
【0043】
ここで、例えば、水熱源ヒートポンプ10に供給される電気エネルギーを1、第1熱交換器60において循環経路51を循環する水から回収する熱エネルギーを3とすると、温水タンク40に供給される第1媒体に与えられる熱エネルギーは4(=1+3)となる。すなわち、温水タンク40に供給する温水の加熱に、循環経路51を循環する水の温熱が利用されている。
【0044】
また、例えば、水空気熱源ヒートポンプ20に供給される電気エネルギーを1、外気から採熱される熱エネルギーを3とすると、温水タンク40に供給される第1媒体に与えられる熱エネルギーは4(=1+3)となる。すなわち、温水タンク40に供給する温水の加熱に、外気の熱が利用されている。
【0045】
ここで従来の工場の場合、温水はボイラー等で化石燃料を使用してCO2や燃焼熱を排出していた。一方、冷水は冷凍機を用いて生成し、凝縮熱は再利用することなく排出していた。このため、従来の工場では化石燃料や電力の消費が多くランニングコストがかかっていた。
【0046】
これに対して、本実施形態に係る冷熱システム1によれば、ボイラーの燃焼行程が存在せず、CO2を排出することなく温水を生成することができる。このため、カーボンニュートラルな工場を設置することができる。
【0047】
また、本実施形態に係る冷熱システム1によれば、冷水や温水が稼働していない夜間に、水熱源ヒートポンプ10を用いて、冷水タンク50に冷水を貯蔵し、温水タンク40に温水を貯湯することができる。さらに夜間に、水空気熱源ヒートポンプ20を用いて、外気から採熱して、温水の不足分を温水タンク40に貯湯することができる。このため、冷水および温水をバランスよく生成することができる。
【0048】
以上説明したように、本実施形態に係る冷熱システム1は、冷熱および温熱を同時に取り出し可能なヒートポンプ10、20と、ヒートポンプ10、20から取り出される温熱によって加熱される第1媒体を温水タンク40に供給する温水経路30、31と、ヒートポンプ10、20から取り出される冷熱によって冷却される第2媒体によって、冷水タンク50内の水を冷却する冷水経路32、33と、を有する。このように構成された冷熱システム1によれば、ヒートポンプ10、20から取り出される温熱によって加熱される第1媒体を、温水タンク40に供給して温水を生成するとともに、ヒートポンプ10、20から取り出される冷熱によって冷却される第2媒体によって、冷水タンク50内の水を冷却して冷水を生成することができる。したがって化石燃料を電化して、再生可能エネルギー(例えばソーラー発電)を用いることによって、温水を生成することができる。以上から、食肉加工工場において、カーボンニュートラルで冷水および温水を生成することができる。
【0049】
また、ヒートポンプ10、20は、水熱源ヒートポンプ10と、水空気熱源ヒートポンプ20と、を有する。このように構成された冷熱システム1によれば、水空気熱源ヒートポンプ20を用いることで、外気の熱を利用して温水を生成することができる。
【0050】
また、冷熱システム1は、水熱源ヒートポンプ10から取り出される冷熱によって冷却された第2媒体が、冷水タンク50に連結される循環経路51を循環する水と熱交換される第1熱交換器60と、水空気熱源ヒートポンプ20から取り出される冷熱によって冷却された第2媒体が、外気と熱交換される第2熱交換器61と、水空気熱源ヒートポンプ20から取り出される冷熱によって冷却された第2媒体が、冷凍機70の廃熱によって加温された冷却水と熱交換される第3熱交換器62と、を有する。このように構成された冷熱システム1によれば、第1熱交換器60、第2熱交換器61、および第3熱交換器62において熱交換した温熱を用いて、ヒートポンプ10、20で所望の量の温水を生成することができる。
【0051】
また、冷水タンク50内の冷水は、屠体を冷却するための水槽80に供給され、水空気熱源ヒートポンプ20から取り出された冷熱によって冷却された外気は、生鳥ホーム81の冷却に使用され、水空気熱源ヒートポンプ20から取り出された冷熱によって冷却された冷凍機70の冷却水は、冷凍機70に再度供給される。このように構成された冷熱システム1によれば、ヒートポンプ10、20において得られる冷熱を好適に使用することができる。
【0052】
また、本実施形態に係る冷熱システム1の運転方法であって、工場が停止する夜間において、水熱源ヒートポンプ10から取り出される冷熱によって冷却される第2媒体を用いて冷水タンク50内の水を冷却するとともに、水熱源ヒートポンプ10から取り出される温熱によって加熱される第1媒体を温水タンク40に供給し、水空気熱源ヒートポンプ20を用いて、外気から採熱した温熱を用いて温水を生成し、温水タンク40に供給する。この運転方法によれば、冷水および温水をバランスよく生成することができる。
【0053】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で種々改変することができる。
【0054】
例えば、上述した実施形態では、冷熱システム1は鶏肉加工工場に適用されたが、豚等の加工工場にも適用することができる。
【0055】
また、上述した実施形態では、ヒートポンプは、水熱源ヒートポンプ10と、水空気熱源ヒートポンプ20と、を有したが、どちらか一方であってもよい。
【0056】
また、上述した実施形態では、冷水タンク50内の冷水は屠体の冷却用の水槽80に供給され、温水タンク40内の温水はスコルダー90および手洗い場91に供給されたが、供給先はこれらに限定されない。
【符号の説明】
【0057】
1 冷熱システム、
10 水熱源ヒートポンプ(ヒートポンプ)、
20 水空気熱源ヒートポンプ(ヒートポンプ)、
30 第1温水経路(温水経路)、
31 第2温水経路(温水経路)、
32 第1冷水経路(冷水経路)、
33 第2冷水経路(冷水経路)、
40 温水タンク、
50 冷水タンク、
51 循環経路、
60 第1熱交換器、
61 第2熱交換器、
62 第3熱交換器、
64 循環経路、
65 バイパス経路、
70 冷凍機、
71 冷却塔
80 水槽、
81 生鳥ホーム、
90 スコルダー、
91 手洗い場。