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特開2023-59399基板処理装置、基板処理方法及び記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059399
(43)【公開日】2023-04-27
(54)【発明の名称】基板処理装置、基板処理方法及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20230420BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20230420BHJP
   G03F 7/38 20060101ALI20230420BHJP
【FI】
G03F7/20 501
G03F7/20 521
H01L21/30 502A
G03F7/38 501
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021169387
(22)【出願日】2021-10-15
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100183438
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 泰史
(72)【発明者】
【氏名】古閑 法久
(72)【発明者】
【氏名】岩田 和也
【テーマコード(参考)】
2H196
2H197
5F146
【Fターム(参考)】
2H196AA25
2H196DA02
2H196EA05
2H197AA12
2H197AB15
2H197BA04
2H197BA15
2H197CA01
2H197CA10
2H197CA18
2H197CD12
2H197CD18
2H197DB06
2H197DB16
2H197DC02
2H197GA01
2H197HA03
2H197JA07
5F146AA01
(57)【要約】
【課題】EUVリソグラフィに適したレジスト材料を用いた基板における露光処理時の感度を面内で均一にすること。
【解決手段】基板処理装置は、基板支持部と、光源と、照度計を有する計測部と、回転中心に照射される照射光の部分を常に遮る第1状態と、該第1状態以外の状態である第2状態とを遷移可能に構成された遮蔽部と、制御部と、を備え、制御部は、遮蔽部を第2状態とした状態で、一部の領域にのみ照射光が照射されるように光源を制御する第1制御と、照度計によって計測された照射光の照度に基づき回転中心における露光量が所定の閾値を上回っているか否かを判定する第2制御と、回転中心における露光量が閾値を上回っていると判定された場合に、遮蔽部を第1状態に遷移させる第3制御と、基板に対する照射光の照射が継続されるように光源を制御する第4制御と、を実行するように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
EUVリソグラフィ用レジスト材によるレジスト膜が形成された基板を回転させながら支持可能に構成された基板支持部と、
真空紫外光を含む照射光を照射する光源と、
前記照射光の光路上と該光路以外の領域との間で移動することにより、前記照射光が前記基板に到達する状態と到達しない状態とを切り替えるシャッターと、
前記照射光を透過する透光板と、
開口部分のみ前記照射光を通過させることにより、前記基板に到達する前記照射光の照射範囲を制限する遮光板と、
前記基板支持部に支持されて回転する前記基板の回転中心に照射される前記照射光を遮る位置に配置可能な遮蔽部と、を備え、
前記照射光が、前記基板の表面における一部の領域であって半径方向に連続した領域に照射される、基板処理装置。
【請求項2】
前記光源から前記基板に向かって、前記シャッター、前記透光板、前記遮蔽部、及び前記遮光板の順番で配置されている、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記照射光の照度を計測する一又は複数の照度計を有する計測部と、
制御部と、を更に備え、
前記遮蔽部は、前記基板の回転中心に照射される前記照射光の部分を常に遮る第1状態と、該第1状態以外の状態である第2状態とを遷移可能に構成され、
前記制御部は、
前記遮蔽部を前記第2状態とした状態で、前記基板支持部に支持されて回転する前記基板に対して、前記基板の回転中心及び前記基板の一端部を含む一部の領域にのみ前記照射光が照射されるように前記光源を制御する第1制御と、
前記照度計によって計測された前記照射光の照度に基づき前記回転中心における露光量が所定の閾値を上回っているか否かを判定する第2制御と、
前記第2制御において前記回転中心における露光量が前記閾値を上回っていると判定された場合に、前記遮蔽部を前記第1状態に遷移させる第3制御と、
前記遮蔽部を前記第1状態とした状態で、前記基板に対する前記照射光の照射が継続されるように前記光源を制御する第4制御と、を実行するように構成されている、請求項1又は2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記計測部は、前記複数の照度計として、前記第1制御において照射される前記照射光の光軸中心に対応する位置に設けられた第1照度計と、前記光軸中心を中心とした前記回転中心を通る円の円周上に設けられた第2照度計と、を有している、請求項3記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第2制御では、前記第1制御中に前記第2照度計によって計測された前記照射光の照度に基づき、前記回転中心における露光量が前記閾値を上回っているか否かを判定する、請求項4記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記基板支持部に前記基板が支持されていない状態において、前記第1制御にて前記回転中心に照射される前記照射光の部分が、前記第2照度計に照射されるように、前記光源を制御する第5制御を更に実行し、
前記第2制御では、前記第5制御中に前記第2照度計によって計測された前記照射光の照度に基づき、前記回転中心における露光量が前記閾値を上回っているか否かを判定する、請求項4記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記遮蔽部は、前記回転中心に蓋をするように配置可能に構成された蓋部を有し、
前記制御部は、前記第1状態では、前記回転中心に照射される前記照射光を遮る位置に前記蓋部を配置し、前記第2状態では、前記照射光を遮らない位置に前記蓋部を配置する、請求項3~6のいずれか一項記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記遮蔽部は、開口が形成されると共に回転動作可能に構成されたシャッター部を有し、
前記制御部は、前記第1状態では、前記シャッター部における前記開口以外の部分が前記回転中心に照射される前記照射光を遮るように前記シャッター部を配置し、前記第2状態では、前記シャッター部を回転させることにより、前記開口を通過した前記照射光が前記回転中心に照射される状態と、前記開口以外の部分が前記回転中心に照射される前記照射光を遮る状態とが交互に繰り返されるように前記シャッター部を制御する、請求項3~6のいずれか一項記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記光源は、前記基板に対して斜めの方向から前記照射光が照射される位置に配置されている、請求項1~8のいずれか一項記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記光源は、前記回転中心までの距離よりも前記基板の一端部までの距離の方が近くなる位置に配置されている、請求項9記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記遮光板の前記開口部分は、前記回転中心を中心として前記基板の一端部に向かって延びる2本の半径と、該半径の端点を結ぶ孤とにより区画された略扇形形状とされており、
前記開口部分の前記半径は、少なくとも前記回転中心に近接する部分において、周方向の内側に窪んだ形状とされている、請求項1~10のいずれか一項記載の基板処理装置。
【請求項12】
EUVリソグラフィ用レジスト材によるレジスト膜が形成された、回転する基板に対して、前記基板の回転中心及び前記基板の一端部を含む一部の領域にのみ照射光を照射することと、
照度計によって計測された前記照射光の照度に基づき前記回転中心における露光量が所定の閾値を上回っているか否かを判定することと、
前記回転中心における露光量が前記閾値を上回っていると判定された場合に、前記回転中心に照射される前記照射光の部分を遮るように遮蔽部を配置することと、
前記遮蔽部を配置した状態で、前記基板に対する前記照射光の照射を継続することと、を含む基板処理方法。
【請求項13】
請求項12記載の基板処理方法を装置に実行させるためのプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、基板処理方法及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板上に形成されたレジスト膜に対して、露光処理とは別に紫外線を照射することによって、レジストパターンの膜圧または線幅の精度または面内均一性の向上を図る補助露光装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-186191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、EUVリソグラフィに適したレジスト材料を用いた基板における露光処理時の感度を面内で均一にすることが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による基板処理装置は、EUVリソグラフィ用レジスト材によるレジスト膜が形成された基板を回転させながら支持可能に構成された基板支持部と、真空紫外光を含む照射光を照射する光源と、照射光の光路上と該光路以外の領域との間で移動することにより、照射光が基板に到達する状態と到達しない状態とを切り替えるシャッターと、照射光を透過する透光板と、開口部分のみ照射光を通過させることにより、基板に到達する照射光の照射範囲を制限する遮光板と、基板支持部に支持されて回転する基板の回転中心に照射される照射光を遮る位置に配置可能な遮蔽部と、を備え、照射光が、基板の表面における一部の領域であって半径方向に連続した領域に照射される。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、EUVリソグラフィに適したレジスト材料を用いた基板における露光処理時の感度を面内で均一にすることが可能な技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一つの例示的実施形態に係る基板処理装置を示す図である。
図2図2は、遮光板を説明する図である。
図3図3は、遮光板の開口部分を説明する図である。
図4図4は、照度計の配置を説明する図である。
図5図5は、コントローラのハードウェア構成を例示するブロック図である。
図6図6は、ワークにおける領域毎のドーズ量を示すグラフである。
図7図7は、蓋部の動作を説明する図である。
図8図8は、基板処理方法の一例を説明するフロー図である。
図9図9は、VUV光の照射に係る動作シーケンスを説明する図である。
図10図10は、変形例に係る遮蔽部を説明する図である。
図11図11は、変形例に係る光照射機構を説明する図である。
図12図12は、変形例に係る光照射機構を説明する図である。
図13図13は、変形例に係る光照射機構を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0009】
[基板処理装置の構成]
図1は、本実施形態の基板処理装置の第1の構成例を示す模式図(縦断側面図)である。図1に示す基板処理装置1は、ワークWに対して処理用の光を照射する。例えば、基板処理装置1は、ワークWの表面に形成されたレジスト膜またはレジストパターンに対し真空紫外光(VUV光:Vacuum Ultra Violet Light)を含む光を照射するように構成されている。基板処理装置1による真空紫外光を含む光の照射によって、これらのレジスト膜の露光時の感度を向上させ得る。また、真空紫外光を含む光を照射することによって、露光・現像処理によって得られるレジストパターンの表面のラフネスも改善され得る。
【0010】
処理対象のワークWは、例えば基板、あるいは所定の処理が施されることで膜及び回路等が形成された状態の基板である。ワークWに含まれる基板は、一例として、シリコンを含むウエハである。ワークW(基板)は、一例として円板状を呈するが、円形の一部が切り欠かれていたり、多角形などの円形以外の形状を呈していてもよい。処理対象のワークWは、ガラス基板、マスク基板、FPD(Flat Panel Display)などであってもよく、これらの基板等に所定の処理が施されて得られる中間体であってもよい。
【0011】
基板処理装置1では、ワークWの表面に対して処理用の照射光L1を照射する機能を有する。一例としては、基板上にSOC膜(Silicon-on-Carbon)及びSOC膜上のSOG膜(Silicon-on-Glass)上にレジスト膜を形成した後に、露光・現像処理を行うことによって所定のパターンのレジストパターンが形成される。レジストパターンは下層膜であるSOC膜及びSOG膜をエッチングしてこれらの下層膜にパターンを形成するためのマスクパターンである。基板処理装置1は、例えば、レジストパターンが形成されたワークWの表面に対して処理用の照射光L1を照射することによって、レジストパターンの表面の荒れを改善する機能を有している。本実施形態では、レジスト膜を形成した後、露光・現像処理を行う前のワークWに対して基板処理装置1による処理用の照射光L1の照射が行われる場合について説明する。
【0012】
なお、本実施形態に係る基板処理装置1では、レジストパターンの形成に使用されるレジスト材がEUVレーザーを露光光源とするEUVリソグラフィに適した材料である場合について説明する。なお、EUVレーザー(Extreme Ultraviolet)とは、波長13.5nmのレーザーである。レジスト材によるレジスト膜が形成されたワークWに対して基板処理装置1を用いて所定の条件で上記のVUV光を含む光の照射を行う。この結果、その後の露光処理における感度が向上する。さらに、露光・現像処理によってレジストパターンを形成した際のレジストの表面の荒れが改善される。また、このレジストパターンをマスクとしてエッチングを行った結果のパターンについても表面の荒れが改善され得る。
【0013】
基板処理装置1の各部について説明する。基板処理装置1は、図1に示されるように、処理室20と、光照射機構40(光源)と、光量調整機構50と、計測部60と、コントローラ100(制御部)とを備える。
【0014】
処理室20は、筐体21と、搬送口22と、回転支持部25(基板支持部)と、ガス供給部30と、ガス排出部32と、雰囲気調整部34と、を含む。筐体21は、例えば大気雰囲気中に設けられた真空容器の一部であり、搬送機構(不図示)によって搬送されたワークWを収納可能に構成されている。すなわち、筐体21は内部でワークWに係る処理を行う処理容器として機能する。
【0015】
基板処理装置1では、筐体21内にワークWが収納された状態でワークWに対する処理が行われる。筐体21の側壁には、搬送口22が形成されている。搬送口22は、筐体21に対してワークWを搬入出するための開口である。搬送口22は、ゲートバルブ23によって開閉される。
【0016】
回転支持部25は、筐体21において、コントローラ100の指示に基づいてワークWを回転させながら支持可能に構成されている。回転支持部25は、例えば、保持部26と、回転駆動部27と、を有する。保持部26は、レジストパターンが形成された表面を上にして水平に配置されたワークWの中央部分を支持し、当該ワークWを例えば真空吸着等によって保持する(チャンバーの圧力との差圧分で保持する)。これにより、ワークWを高速させることができる。回転駆動部27は、ワークWを保持した保持部26を当該ワークWと共に鉛直な軸線まわりに回転させる機能を有する。回転駆動部27は、例えば電動モータを動力源とする回転アクチュエータである。回転駆動部27は、その回転軸がワークWの回転中心A1に設けられている。
【0017】
ガス供給部30は、筐体21に形成された貫通孔21aを介して筐体21内に不活性ガス(例えば、アルゴン、窒素など)を供給するように構成されている。ガス供給部30は、ガス源30aと、バルブ30bと、配管30cとを有する。ガス源30aは、不活性ガスを貯留しており、不活性ガスの供給源として機能する。バルブ30bは、コントローラ100からの動作信号に基づいて動作し、配管30cを開放及び閉塞させる。配管30cは、上流側から順に、ガス源30a、バルブ30b及び貫通孔21aを接続している。
【0018】
ガス排出部32は、筐体21に形成された貫通孔21bを介して筐体21からの気体を排出する。ガス排出部32は、真空ポンプ32aと、配管32cとを有する。真空ポンプ32aは、筐体21内から気体を排出する。配管32cは、貫通孔21bと真空ポンプ32aとを接続している。
【0019】
雰囲気調整部34は、筐体21に形成された貫通孔21cを介して筐体21内を大気雰囲気に調整し得る。雰囲気調整部34はバルブ34bと配管34cを有する。バルブ34bは、コントローラ100からの動作信号に基づいて動作し、配管34cを開放及び閉塞させる。配管34cは、貫通孔21cを大気雰囲気と接続し得る。すなわち、バルブ34bを開放した際には、筐体21内が大気雰囲気に調整される。
【0020】
光照射機構40は、真空紫外光を含む照射光を照射する光源部42を有している。光源部42は、筐体21の上部に設けられた筐体(不図示)内に収容されていてもよい。また、光源部42は、例えばコントローラ100によって制御されるスイッチ(不図示)により点灯のオンオフが切り替えられてもよい。基板処理装置1では、回転支持部25によってワークWを回転することを前提として、光源部42の照射位置をワークW全体ではなく、一部に区切った構成としている。具体的には、光源部42の光軸中心A2が、ワークWの回転中心A1に対してワークWの径方向に沿って外側にオフセットした配置となっている。図1に示される例では、光源部42からの照射光L1は、ワークWの中央付近を照射しつつ、ワークWの一端部(図1では右側端部)が照射可能な程度に、光軸中心A2がオフセットしている。この場合、ワークWの全面に対して光源部42からの照射光L1を照射しないため、光源部42とワークWとの距離を近くすることができる。
【0021】
光源部42内のランプは、例えば、115nm~400nmの波長範囲の光を含む光を照射する。ランプは、光源の安定性のため例えば常時点灯とされる。一例として、光源部42は、115nm~400nmの連続スペクトルをなす光を照射する。「連続スペクトルをなす光」とは、波長100nm~200nm(真空紫外光(VUV光)の波長域に対応する)に含まれる少なくとも一部(例えば、波長幅が10nm以上)の帯域の連続したスペクトル成分を含む光を含んでいればよい。
【0022】
なお、連続スペクトルとは、特定の波長範囲(本実施形態では、10nm以上の波長幅)において連続的に広がるスペクトルを指し、特定波長における線スペクトル(輝線スペクトル)とは区別されるスペクトルである。なお、波長100nm~200nmの波長範囲の一部を含む連続スペクトルをなす光として、上述の115nm~400nmの波長範囲において連続スペクトルをなす光が用いられてもよい。なお、光源部42から出射する光は、その波長範囲の全てにおいて「連続スペクトルをなす光」である必要はなく、少なくとも一部の範囲範囲において連続スペクトルをなす光とされる。一例として、光源部42から出射する光は、波長100nm~200nm(真空紫外光(VUV光)の波長域に対応する)と重なる波長範囲において連続スペクトルをなしていることで、後述の光源部42から照射する光による作用が効果的に奏されることになる。
【0023】
真空紫外光(VUV光)は、一般的に波長10nm~200nmの範囲の光とされる。ただし、光源部42から出射される光は、VUV光の中でも100nm以上の長波長側の光を用いた場合のほうが、基板処理装置1による処理の効果、すなわち、レジスト膜に対する改質の効果がより高められ得る。短波長側の光(100nmよりも短い波長の光)は、レジスト膜の内部へ入り込みにくいことから、レジスト膜全体への改質効果は奏されにくい可能性がある。
【0024】
なお、光源部42から照射される光のメインとなる波長域は、例えば、レジスト膜に対する露光で使用される光の波長とは異ならせることとしてもよい。露光で使用される光の波長は、例えば、EUVレーザー(Extreme Ultraviolet)とは、波長13.5nmのレーザーである。レジスト膜の露光で使用される波長の光、すなわち、EUV光を基板処理装置1で用いると、基板処理装置1による処理のタイミングで、ワークWに対する露光処理が進行する可能性がある。したがって、光源部42から出射される光のメインとなる波長域を100nm以上とすることで、EUV光による露光とは別の波長の光による効果が得られると考えられる。
【0025】
また、光源部42から出射する光は、VUV光に加えて、VUV光よりも波長が大きい近紫外光(近紫外線)を含んでいてもよい。また、一例として、光源部42からの光は波長160nm以下の帯域の光を含む構成とすることができる。このように、光源部42から出射される光は、少なくともVUV光として定義される波長域の光を含んでいる。
【0026】
光源部42に設けられるランプは、例えば重水素ランプであり、波長が200nm以下のVUV光を照射するように構成されていてもよい。連続スペクトルのピークの波長は、例えば、160nm以下であってもよいし、150nm以上であってもよい。また、光源部42からの光は、分光スペクトルにおけるピークの波長が248nm以下であることで、光源部42から光に含まれるVUV光の波長域の光の効果が高められる。光源部42からの光は、複数のサブピークを有する連続スペクトルをなす光であってもよい。サブピークは、248nm以下にあってもよく、例えば160nm以下にあってもよい。なお、光源部42からの光は、連続スペクトルに限定されるものではなく、例えば、115nm~400nmの波長範囲の1以上の波長の光を含んでいる。
【0027】
光源部42から照射される光のスペクトルの波長域は比較的広いため、ワークW上のレジスト膜は様々な波長の光のエネルギーを受けることになる。その結果、レジスト膜の表面では様々な反応が起こる。具体的には、レジスト膜を構成する分子中の様々な位置における化学結合が切断されることで、レジスト膜の露光に対する感度が上昇する。そのため、より少ない露光量であっても露光が適切に行われる。また、上述の化学結合の切断によって様々な化合物が生成するため、光照射前にレジスト膜中に存在していた分子が持つ配向性が解消される。その結果、レジスト膜における表面自由エネルギーが低下し、内部応力が低下する。つまり、光源として光源部42を用いることで、レジスト膜の表面の流動性が高くなりやすく、その結果として、レジストパターンを形成した際の表面の荒れの改善効果を向上させることができる。
【0028】
なお、光源部42からVUV光を含む光を照射する場合、ワークW上のレジスト膜が受ける光のエネルギーに偏りが生じると、VUV光が照射されたワークW表面においてレジストの特性に偏りが生じる可能性がある。そのため、VUV光を含む光は、ワークW表面全体においてできるだけ均等に照射されることが求められる。また、光源部42からの光の照射によってワークW表面のレジスト膜の特性を調整しようとする場合、光の照射量が重要となる場合がある。そのため、基板処理装置1では、光量調整機構50を用いて光量の調整を行う。
【0029】
光量調整機構50は、上述のとおり、光源部42から照射される照射光L1の光路上において、照射光L1の光量を調整する機能を有する。図1に示される例では、光量調整機構50として、ランプシャッター51と、回転中心シャッター52(遮蔽部)と、透光板53と、遮光板54と、を有する。
【0030】
ランプシャッター51は、光源部42からの照射光L1がワークWへ到達する状態と、到達しない状態とを切り替える機能を有する。ランプシャッター51は、例えば、照射光L1の光路上に配置可能な遮蔽板51a(シャッター)と、遮蔽板51aを移動可能(開閉可能)に支持する支持部51bとを有する。遮蔽板51aは、光源部42からの照射光L1を全て塞ぐことが可能な大きさとされている。また、支持部51bは、例えば、遮蔽板51aが照射光L1の光軸に対して直交した状態で、光路上と光路以外の領域との間で遮蔽板51aを移動可能に支持する。支持部51bによって遮蔽板51aを移動させることで、光源部42からの照射光L1がワークWに到達する状態と、到達しない状態とを切り替えることができる。すなわち、遮蔽板51aは、照射光L1の光路上と光路以外の領域との間で移動することにより、照射光L1がワークWに到達する状態と到達しない状態とを切り替える。遮蔽板51aの移動は、例えばコントローラ100により制御される。なお、図1では、遮蔽板51aが光路上に配置された状態を示している。
【0031】
透光板53は、ランプシャッター51よりも下方(光源部42から離間した側)に設けられて、照射光L1を透過させる、所謂仕切壁としての機能も有する。すなわち、透光板53は、筐体21内の空間を、光源部42側とワークW側とに区画するように配置される。これにより、透光板53よりも下方の空間が、上方の空間とは独立した閉じた空間となる。ガス供給部30、ガス排出部32、及び、雰囲気調整部34を、透光板53よりも下方に配置した場合、透光板53よりも下方のワークWが存在する空間における雰囲気の調整が適切に行われ得る。透光板53は、例えば、ガラス(例えば、フッ化マグネシウムガラス)であってもよい。なお、透光板53全体が照射光L1を実質的に100%透過可能でなくてもよく、少なくとも照射光L1の光路上が照射光L1を透過可能であればよい。
【0032】
回転中心シャッター52は、回転支持部25の保持部26に支持されて回転するワークWの回転中心A1に照射される照射光L1の部分を常に遮る第1状態と、該第1状態以外の状態である第2状態とを遷移可能に構成された遮蔽部である。回転中心シャッター52は、例えば、ワークWの回転中心A1に蓋をするように配置可能に構成された蓋部52aと、蓋部52aを移動可能(開閉可能)に支持する支持部52bとを有する。ここでの「ワークWの回転中心A1に蓋をするように配置」とは、平面視した場合に回転中心A1に重なるように配置されてワークWの回転中心A1に照射される照射光の部分を完全に遮るように配置されることをいう。支持部52bは、例えば、蓋部52aが照射光L1の光軸に対して直交した状態で、回転中心A1に照射される照射光L1を遮る位置(第1状態の位置)と、遮らない位置(第2状態の位置)との間で蓋部52aを移動可能に支持する。支持部52bによって蓋部52aを移動させることで、第1状態と第2状態とを切り替えることができる。蓋部52aの移動は、例えばコントローラ100により制御される。なお、図1では、蓋部52aがワークWの回転中心A1に蓋をするように配置された状態を示している。
【0033】
遮光板54は、光源部42から照射される照射光L1の照射範囲(ワークW表面における照射光L1の到達範囲)を調整する、遮光部材としての機能を有する。遮光板54は、照射光L1を通過させる開口部分54aを含んでいる。遮光板54は、開口部分54aのみ照射光L1を通過させることにより、ワークWに到達する照射光L1の照射範囲を制限(調整)している。
【0034】
遮光板54の形状の詳細について、図2及び図3を参照して説明する。図2(a)は、遮光板54を用いていない場合における、ワークWに対する照射光L1の照射領域ARを模式的に示している。上述したように、照射光L1は、ワークWの中央付近に照射されつつ、ワークWの一端(図2(a)では右側端部)に照射される。ここで、図2(a)の照射領域において色の濃淡で示されるように、照射光L1は、光軸中心である中央領域CAから外側に向かうにつれて徐々に照度が低くなり、さらに、外周領域OAにおいて再び照度が高くなっている。このような外周領域OAの照度が高い領域が、ワークWの外周部に重なった場合には、ワークWの外周部だけ露光量が過多となるおそれがある。このような事態を回避するために、照射光L1は、外周領域OAとワークWの外周部とが重ならないように照射領域ARが設定されて(照射領域ARが外側にずらされて)いる。
【0035】
図1では、光源部42からワークWへ向かって、遮蔽板51a、透光板53、回転中心シャッター52の蓋部52a、及び遮光板54の開口部分54aという順で配置されている。このように、遮蔽板51aは光源部42寄りの位置にあり、それに対し蓋部52aはワークW寄りの位置にある。これにより、遮蔽板51aはあまり拡散されていない光に対し比較的小さい面積で遮蔽可能であり、また、遮蔽と開放(第2状態)の切替え動作もその分小さいスペースで可能となる。対して蓋部52aはワークWに近いことで、ワークWの照射範囲の境界が光の拡散によって曖昧になりにくく、つまりワークWの中央領域の照射範囲を精度よく設定可能である。
【0036】
また、透光板53は光源部42寄りの位置にあり、それに対して開口部分54aはワークW寄りの位置にある。このとき、透光板53は光があまり拡散されておらず光の内側と外側との強度分布の差が小さいうちに光を透過させることができるため、透過により光がある程度減衰するときに光の内側と外側の強度分布の偏りが小さいまま全体的に減衰させることが可能である。なお、光の内側と外側との強度分布が少なくとも生じる点は、後述の図2を参照すると理解できる。対して、開口部分54aはワークWへの照射領域の全体的な境界を決定するものなので、ワークWに近い位置のため、光の拡散影響が小さい、全体的な照射領域を精度よく定めることが可能である。
【0037】
透光板53は、その下方のワークWを含む空間と、その上方の光源部42を含む空間を区画する部分に設けられている。このため、遮蔽板51aが透光板53よりも光源部42に近い位置に設けられることで遮蔽と開放を切替える支持部51bと遮蔽板51aの接続部がワークW側の空間とは区画された位置にあり、ワークW側の空間の気密性が保たれ易い
【0038】
図2(b)は遮光板54の開口部分54aの形状を模式的に示している。回転支持部25によって所定の回転速度(角速度)でワークWを回転させながら光源部42から照射光L1を照射した場合、ワークWの中央付近と比べて周縁では周速度が大きくなる。この点を考慮して、図2(b)に示されるように、照射領域がワークWの中心から周縁へ向けて拡がるように、遮光板54の開口部分54aの形状が設定されている。開口部分54aは、略扇形形状であり、ワークWの回転中心を中心としてワークWの周縁(一端部)に向かって延びる2本の半径54x,54xと、該半径54xの端点を結ぶ孤54yとにより区画されている。
【0039】
ここで、上述したように、照射光L1の外周領域OAとワークWの外周部とが重ならないように照射領域ARが外側にずらされていることにより、照射光L1の外周領域OAとワークWの回転中心とが重なるおそれがある(図2(b)参照)。この場合、回転中心の露光量が過多になるおそれがある。回転中心の露光量については、回転中心シャッター52の開閉動作によって調整されるが(詳細は後述)、回転中心シャッター52の開閉動作にかかわらず、極力、露光量を均等にできることが好ましい。
【0040】
そこで、本実施形態に係る基板処理装置1の遮光板54では、2本の半径54x,54xが、孤54yに対する直線の半径(図2(b)中の一点鎖線で示された半径)ではなく、周方向の内側に窪んだ形状とされている。このような内側に窪んだ形状は、少なくとも半径54x,54xにおける回転中心に近接する部分に形成されている。このように、少なくとも半径54x,54xにおける回転中心に近接する部分が内側に窪んだ形状とされることにより、回転中心に近接する領域において遮光板54を通過する照射光の量を低減することができる。これにより、回転中心における露光量が過多となることを効果的に抑制することができる。
【0041】
図3は、遮光板54の開口部分54aを説明する図である。いま、照射光L1の照度Eが均一ではなく、照度Eが位置に応じて決まる場合においては、周方向の経路Cに沿う照度Eの積分が半径rに比例するように、開口部分54aの形状(上述した半径54x,54xの窪んだ形状を含む形状)が調整されている。
【0042】
光源部42から出射された照射光L1は、光量調整機構50を経ることで、光量が抑制され、その結果、微弱光となる。本実施形態において、「微弱光」とは、ワークWに対して光を照射した際のワークWの温度の変化は、外部の温度(筐体21外の温度、室温)に対して1℃未満に抑えられる程度の光である。また、光量調整機構50を経た後の照射光L1は、ワークW表面における照射光L1の照射領域ARの全体において微弱光に調整され得る。
【0043】
図1に戻り、計測部60は、照射光L1の照度を計測する2つの照度計61,62(第1照度計,第2照度計)を有している。照度計61は、回転支持部25に支持されて回転するワークWに対して照射される照射光L1の光軸中心A2に対応する位置、詳細には光軸中心A2の直下に設けられた照度計である。このような照度計61によれば、照射光L1の光軸中心A2の照度が計測され、例えば光源部42のランプ自体の劣化状況等を適切に特定することができる。
【0044】
照度計62は、図4に示されるように、光軸中心A2を中心とした、回転中心A1を通る円Ci(一点鎖線で示される円Ci)の円周上に設けられている。すなわち、照度計62は、光軸中心A2からの離間距離が、回転中心A1と同じになるいずれかの位置に設けられている。図4に示される例では、照度計62は、光軸中心A2に対して回転中心A1と対称となる位置に設けられている。詳細は後述するが、回転中心A1については露光量が過多になりやすいため回転中心シャッター52の開閉動作により露光量が調整される。このような露光量の調整においては、ワークWの回転中心A1における露光量(リアルタイムの露光量)を適切に取得することが重要である。しかしながら、ワークWの回転中心A1には回転駆動部27のθ軸が設けられている(図1参照)ため、照度計62を設けることが困難である。ここで、照射光L1は、概ね、光軸中心A2において最も照度が高く、光軸中心A2からの離間距離に応じて照度が変化する。そのため、光軸中心A2を中心として回転中心A1を通る円Ciの円周上に照度計62が設けられることにより、回転中心A1における照度と同程度の照度となる領域に設けられた照度計62によって回転中心A1における露光量を適切に推定することが可能となる。
【0045】
コントローラ100は、回転支持部25、ガス供給部30、ガス排出部32、雰囲気調整部34、光照射機構40、及び、光量調整機構50を制御する。
【0046】
コントローラ100は、一つ又は複数の制御用コンピュータにより構成される。例えばコントローラ100は、図5に示す回路120を有する。回路120は、一つ又は複数のプロセッサ121と、メモリ122と、ストレージ123と、入出力ポート124とを有する。ストレージ123は、例えばハードディスク等、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を有する。記憶媒体は、後述の基板処理手順を基板処理装置1に実行させるためのプログラムを記憶している。記憶媒体は、不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスクおよび光ディスク等の取り出し可能な媒体であってもよい。メモリ122は、ストレージ123の記憶媒体からロードしたプログラムおよびプロセッサ121による演算結果を一時的に記憶する。プロセッサ121は、メモリ122と協働して上記プログラムを実行することで、上述した各機能モジュールを構成する。入出力ポート124は、プロセッサ121からの指令に従って、コントローラ100が制御する各部との間で電気信号の入出力を行う。
【0047】
なお、コントローラ100のハードウェア構成は、必ずしもプログラムにより各機能モジュールを構成するものに限られない。例えばコントローラ100の各機能モジュールは、専用の論理回路又はこれを集積したASIC(Application Specific Integrated Circuit)により構成されていてもよい。
【0048】
コントローラ100は、第1制御と、第2制御と、第3制御と、第4制御と、を実行するように構成されている。第2制御は第1制御中に実施される。第3制御は第2制御後に実施される。第4制御は第3制御後に実施される。
【0049】
第1制御では、コントローラ100は、回転中心シャッター52を第2状態とした状態で、回転支持部25の保持部26に支持されて回転するワークWに対して、照射光L1が照射されるように、光照射機構40を制御する。具体的には、コントローラ100は、ワークWの回転中心A1及びワークWの周縁(一端部)を含む一部の領域にのみ照射光L1が照射されるように、光照射機構40を制御する。ここでの光照射機構40を制御するとは、例えば、照射光L1の照射領域が意図する領域となるように光源部42の向きを調整すること等をいう。回転中心シャッター52を第2状態とした状態とは、上述したように、ワークWの回転中心A1に照射される照射光L1の部分を遮らない位置に蓋部52aを配置した状態である。すなわち、第1制御では、コントローラ100は、蓋部52aがワークWの回転中心A1に照射される照射光L1を遮らない位置に配置されるように、支持部52bを制御する。
【0050】
第2制御では、コントローラ100は、第1制御中に照度計62によって計測された照射光L1の照度に基づき、回転中心A1における露光量が閾値を上回っているか否かを判定する。上述したように、照度計62は、光軸中心A2を中心として回転中心A1を通る円Ciの円周上に設けられており、回転中心A1における露光量に近似する露光量を計測できる。図6は、第1制御によってワークWに照射光L1を照射した場合の、ワークWにおける領域毎のドーズ量(露光量)の一例を示すグラフである。図6において、横軸はワークWの径方向の位置を示しており、縦軸はドーズ量を示している。上述した第1制御では、ワークWの回転中心A1以外の領域についてはワークWの回転に応じて連続的に照射光L1が照射される領域が変化することとなるが、ワークWの回転中心A1については常に照射光L1が照射されることとなる。これにより、図6に示されるように、ワークWの回転中心A1のみ露光が過多となり、結果として、真空紫外光照射後に実施される露光処理時においてワークWの感度が面内で不均一になるおそれがある。このような事態を回避すべく、コントローラ100は、第2制御において回転中心A1における露光量が閾値を上回っているか否かを判定し、上回っている場合には後述する第3制御を実施し、ワークWの回転中心A1のみ露光が過多となることを防止している。このような露光量の閾値は、少なくとも、「回転中心A1の露光が過多」とならない値とされている。
【0051】
第3制御では、コントローラ100は、第2制御において回転中心A1における露光量が閾値を上回っていると判定された場合に、回転中心シャッター52を第1状態に遷移させる。回転中心シャッター52を第1状態とした状態とは、上述したように、ワークWの回転中心A1に照射される照射光L1の部分を常に遮る位置に蓋部52aを配置した状態(図1に示される状態)である。すなわち、第3制御では、コントローラ100は、蓋部52aがワークWの回転中心A1に照射される照射光L1を遮る位置に配置されるように、支持部52bを制御する。
【0052】
図7は、蓋部52aの動作を説明する図である。なお、図7に示される照射光L1の照射領域ARは、遮光板54のマスク形状によって回転中心A1の周囲の部分が円形とされている例を示している。第1制御中においては、図7(a)に示されるように回転中心A1に照射される照射光L1の部分を遮らない位置に蓋部52aが配置されている。一方で、第2制御にて回転中心A1における露光量が閾値を上回っていると判定された場合には、図7(b)に示されるように、第3制御において、回転中心A1に照射される照射光L1の部分を常に遮る位置に蓋部52aが移動させられる。
【0053】
そして、第4制御では、コントローラ100は、回転中心シャッター52の蓋部52aを第1状態(図7(b)参照)とした状態で、ワークWに対する照射光L1の照射が継続されるように、光照射機構40の光源部42を制御する。
【0054】
[基板処理方法]
次に、基板処理装置での動作を含む基板処理方法について、説明する。本実施形態に示す基板処理方法は、レジスト膜が形成されたワークWに対して、基板処理装置1を用いて露光前にVUV光を含む光を照射する。
【0055】
図8は、ワークWに対してレジストパターンを形成する際の手順をフロー図として示している。
【0056】
ステップS01では、ワークWの表面に対してレジスト液を塗布し、レジスト膜を形成する。レジスト膜の形成方法は特に限定されない。レジスト膜を形成する前のワークWの表面には、下層膜等が形成されていてもよい。この段階ではレジスト膜がワークWの表面の全面に対して形成される。
【0057】
ステップS02では、基板処理装置1を用いてレジスト膜が形成されたワークWの表面にVUV光を含む光を照射する。筐体21で保持されたワークWに対して、VUV光として光源部42からの照射光L1を照射する。照射光L1はVUV光を含む光である。以下、ステップS02における基板処理装置1の動作について図9を参照して説明する。
【0058】
図9は、VUV光の照射に係る動作シーケンスを説明する図である。まず、ガス排出部32の動作によって、真空引きが実施され筐体21内の圧力が低くされる(図9(a)参照)。そして、ガス供給部30およびガス排出部32の動作が停止された状態で、搬送機構によりワークWが筐体21内に搬入され、回転支持部25の保持部26にワークWが載置される(図9(b)参照)。その後、、ガス供給部30のバルブ30bが開かれて筐体21内でN2パージが実施される。
【0059】
つづいて、N2パージが停止されると共にゲートバルブ23が閉じられて筐体21内が気密にされる(図9(c)参照)。このとき、筐体21内は、例えば標準気圧の大気雰囲気とされる。その後、ガス排出部32の動作によって、チャンバー粗挽き排気が約30秒程度実施され、筐体21内の圧力が低くされる(図9(d)参照)。
【0060】
その後、チャンバーメイン排気が約5秒程度実施され、減圧が進行して、筐体21内の圧力が0.02Pa程度まで低くされる(図9(e)参照)。そして、圧力が低くされた状態が約30秒程度継続される(図9(f)参照)。
【0061】
そして、ガス供給部30のバルブ30bが開かれて筐体21内にArガスが供給される(図9(g)参照)。これにより、筐体21内にArガス雰囲気が形成されると共に、当該筐体21内の圧力が上昇する。なお、減圧速度および昇圧速度は、ガス供給部30およびガス排出部32の動作によって制御することができる。また、減圧速度および昇圧速度は、一定であってもよいし、途中で変動させてもよい。
【0062】
Arガスにより例えば筐体21内の圧力が10000Paに達すると、筐体21内の圧力を維持した状態で、ランプシャッター51が開状態(光源部42からの照射光L1がワークWへ到達する状態)とされる(図9(h)参照)。
【0063】
そして、回転支持部25によってワークWを回転させた状態で、光源部42からワークWに対してVUV光を含む光が例えば約31秒程度照射される(図9(i)参照)。途中、回転中心A1における露光量が閾値を上回っていると判定された場合には、蓋部52aがワークWの回転中心A1に照射される照射光L1を遮る位置に移動させられる。
【0064】
所定の時間(例えば約31秒間)、光源部42から照射光が照射されると、当該光照射が停止され、ランプシャッター51が閉状態(光源部42からの照射光L1がワークWへ到達しない状態)とされる(図9(j)参照)。そして、ガス供給部30およびガス排出部32の動作が停止される。その後、ガス供給部30のバルブ30bが開かれて筐体21内でN2パージが実施され、筐体21内の圧力が大気雰囲気に戻される(図9(k)参照)。最後に、ワークWが筐体21内から搬出される(図9(l)参照)。以上により、基板処理装置1によるワークWの処理が終了する。
【0065】
VUV光を含む光の照射時における単位面積あたりの光量(積算照射量、または、線量という場合がある)は、レジストパターンを照射した後にワークWの表面に対してVUV光を含む光を照射する場合と比較して小さくされる。具体的には、露光・現像処理によってレジストパターンを形成した後にワークWの表面に対してVUV光を含む光を照射して、表面のラフネス改善を図る場合と比較して、VUV光を含む光の照射量が1%~2%となるように調整される。例えば、レジストパターンに対してVUV光を含む光を照射する場合には、VUV光を含む光の光量を25mj/cm~100mj/cmと調整し得る。一方、露光処理を行う前のレジスト膜に対してVUV光を含む光を照射する場合には、VUV光を含む光の光量が1mj/cm~2mj/cm程度に調整し得る。このように、露光処理前のレジスト膜に対してVUV光を含む光を照射する場合には、照射光の光量が小さく調整され得る。
【0066】
図8に戻り、ステップS03では、VUV光を含む光を照射した後のワークWに対して加熱処理を行う。この段階での加熱処理は、固化していないレジスト膜に対する加熱処理であり、PAB(Pre Applied Bake)といわれる熱処理である。
【0067】
ステップS04では、加熱処理(PAB)後のワークWに対する露光処理を行う。露光処理では、液浸露光等の方法を用いて、ワークWに形成されたレジスト膜の露光対象部分にエネルギー線を照射する。
【0068】
ステップS05では、露光処理後のワークWに対して加熱処理を行う。この段階での加熱処理は、固化していないレジスト膜に対する加熱処理であり、PEB(Post Exposure Bake)といわれる熱処理である。
【0069】
ステップS06では、加熱処理(PEB)後のワークWに対する現像処理を行う。現像処理では、ワークWの表面上に現像液を塗布した後、これをリンス液により洗い流す。これによりワークWの表面上に所定のパターンが形成される。なお、現像処理後に再度加熱処理(PB:Post Bake)が行われてもよい。なお、ステップS01およびステップS03~S06で説明した、塗布処理、加熱処理(PAB,PEB)、露光処理、および現像処理は、例えば公知の塗布・現像装置および露光装置を含む基板処理システム等を用いて行うことができる。
【0070】
上記の一連の処理を行うことによって、従来の基板処理方法と比較して、レジスト膜における露光感度が向上し、さらに露光・現像処理後のレジストパターンのラフネスが改善する効果が得られる。
【0071】
[作用]
本実施形態に係る基板処理装置1では、回転するワークWに対して、ワークWの回転中心A1及び周縁(一端部)を含む一部の領域にのみ真空紫外光を含む照射光L1が照射されている。ワークWが回転していることから、ワークWの一部の領域にのみ照射光L1が照射されてもワークWの略全域に照射光L1を照射することができる。ワークWの一部の領域にのみ照射光L1が照射される構成においては、ワークWの全ての領域に照射光L1が照射される構成と比較して、光源部42をワークWに近づけて配置することが可能になるので、チャンバー容積を小さくすることができる。ここで、ワークWの一部の領域にのみ照射光L1が照射される構成においては、ワークWの回転中心A1以外の領域についてはワークWの回転に応じて連続的に照射光L1が照射される領域が変化することとなる。一方で、ワークWの回転中心A1については常に照射光L1が照射されることとなる。これにより、ワークWの回転中心A1のみ露光が過多となり、結果として、真空紫外光照射後の露光処理時においてワークWの感度が面内で不均一になるおそれがある。この点、本実施形態に係る基板処理装置1では、蓋部52aが回転中心に照射される照射光L1を遮る位置に配置可能とされているので、ワークWの回転中心A1のみ露光が過多となることが適切に抑制される。このことで、露光処理前における照射光L1(真空紫外光を含む光)のワークWに対する照射について面内均一性を向上させることができ、結果として、ワークWにおける露光処理時の感度の面内均一性を向上させることができる。以上のように、本実施形態に係る基板処理装置1によれば、EUVリソグラフィに適したレジスト材料を用いたワークWにおける露光処理時の感度を面内で均一にすることができる。
【0072】
また、基板処理装置1では、計測部60が有する照度計62によって計測された照射光L1の照度に基づき、ワークWの回転中心A1における露光量が所定の閾値を上回っているか否かが判定される。そして、上回っていると判定された場合に、蓋部52aが回転中心に照射される照射光L1の部分を遮る第1状態に遷移させられ、当該第1状態で、ワークWに対する照射光L1の照射が継続される。このような構成によれば、ワークWの回転中心A1における露光量が所定の閾値を上回ると、その後は、ワークWの回転中心A1に照射光L1が照射されないこととなる。これにより、ワークWの回転中心A1のみ露光が過多となることが適切に抑制される。このことで、露光処理前における照射光L1(真空紫外光を含む光)のワークWに対する照射について面内均一性を向上させることができ、結果として、ワークWにおける露光処理時の感度の面内均一性を向上させることができる。
【0073】
計測部60は、複数の照度計として、第1制御において照射される照射光L1の光軸中心A2に対応する位置に設けられた照度計61と、光軸中心A2を中心とした回転中心A1を通る円Ciの円周上に設けられた照度計62と、を有している。照射光L1の光軸中心A2に対応する位置に照度計61が設けられることにより照度計61によって照射光L1の中心の照度を計測することができるので照度計61によって計測された照度に基づいて光源部42自体の劣化状況等を適切に特定することが可能となる。また、上述したとおり、ワークWの回転中心A1における露光量を適切に取得することが重要であるところ、通常、ワークWの回転中心A1には回転駆動部27が設けられており、照度計を設けることが困難である。ここで、照射光L1は、概ね、光軸中心A2において最も照度が高く、光軸中心A2からの離間距離に応じて照度が変化する。そのため、光軸中心A2を中心として回転中心A1を通る円Ciの円周上に照度計62が設けられることにより、回転中心A1における照度と同程度の照度となる領域に設けられた照度計62によって回転中心A1における露光量を適切に推定することが可能となる。
【0074】
コントローラ100は、第2制御では、第1制御中に照度計62によって計測された照射光L1の照度に基づき、回転中心A1における露光量が閾値を上回っているか否かを判定する。このような構成によれば、第1制御中に回転中心A1における露光量の推定を行うことが可能となり、上述した第1制御~第4制御を迅速且つ簡易に行うことができる。
【0075】
回転中心シャッター52は、回転中心A1に蓋をするように配置可能に構成された蓋部52aを有し、コントローラ100は、第1状態では、前記回転中心A1に照射される照射光L1を遮る位置に蓋部52aを配置する。また、コントローラ100は、第2状態では、照射光L1を遮らない位置に蓋部52aを配置する。このように蓋の開け閉めにより第1状態及び第2状態を切り替える構成によれば、簡易な構成により、光軸中心A2における露光量調整を実現することができる。
【0076】
基板処理装置1は、開口部分54aのみ照射光L1を通過させることにより、ワークWに到達する照射光L1の照射範囲を制限する遮光板54を更に備える。遮光板54の開口部分54aは、回転中心A1を中心としてワークWの周縁(一端部)に向かって延びる2本の半径54x,54xと、半径54xの端点を結ぶ孤54yとにより区画された略扇形形状とされている。そして、開口部分54aの半径54xは、少なくとも回転中心A1に近接する部分において、周方向の内側に窪んだ形状とされている。
【0077】
上述したように、照射光L1は、概ね、光軸中心A2において最も照度が高く、光軸中心A2からの離間距離に応じて照度が変化するが、照射範囲の外周付近では再び照度が高くなる領域が存在する場合がある。このような照射光L1の外周付近の照度が高い部分がワークWの周縁(一端部)であるワークWの外周部に照射されると、ワークWの外周部だけ露光量が過多となるおそれがある。このような事態を抑制するために、例えば、照射光L1の照射範囲を外側にずらすことにより、上述した外周付近の照度が高くなる領域がワークWの外周部に照射されないようにすることが考えられる。しかしながらこの場合、照射光L1の照射範囲を外側にずらすことにより、ワークWの回転中心A1に照射光L1の外周付近の照度が高い領域が位置するおそれがあり、回転中心A1の露光量が過多となることが問題となり得る。この点、遮光板54の開口部分54aが略扇形形状とされ、開口部分54aの半径54x,54xにおける回転中心A1に近接する部分が周方向の内側に窪んだ形状とされている。これにより、回転中心A1に近接する領域において遮光板54を通過する照射光L1の量を低減することができ、回転中心A1における露光量が過多となることを効果的に抑制することができる。
【0078】
[変形例]
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な省略、置換、および変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。
【0079】
例えば、第1状態と第2状態とを遷移可能に構成された遮蔽部として、回転中心シャッター52の例を説明したが、遮蔽部はその他の構成であってもよい。例えば、遮蔽部は、図10に示されるシャッター部152であってもよい。図10(a)に示されるように、シャッター部152は、遮光板54に重なるように遮光板54の上部に配置される。なお、図10に示される遮光板54の開口部分54aは、回転中心A1の周囲の部分が円形部54zとされている。シャッター部152は、円形状であり、一部の領域に開口152aが形成されている。開口152aは、円形状の開口である。シャッター部152は、回転動作可能に構成されている。
【0080】
このような構成において、コントローラ100は、第1状態では、シャッター部152における開口152a以外の部分が回転中心A1に照射される照射光L1を遮るように、シャッター部152を制御する。この場合、シャッター部152は、例えば回転せずに停止している。一方で、コントローラ100は、第2状態では、図10(b)に示されるように、シャッター部152を回転させる。これにより、開口152aを通過した照射光L1が回転中心A1に照射される状態と、開口152a以外の部分が回転中心A1に照射される照射光L1を遮る状態とが交互に繰り返されるように、シャッター部152を制御する。
【0081】
このような構成によれば、回転中心A1における露光量が閾値を上回っていると判定された後においてはシャッター部152における開口152a以外の部分によって回転中心A1に照射される照射光が確実に遮られる。一方で、まだ回転中心A1における露光量が閾値を上回っていないと判定されている状態(第2状態)では、シャッター部152が回転する。これにより、シャッター部152の開口152aを通過した照射光L1が回転中心A1に照射される状態と、開口152a以外の部分が回転中心A1に照射される照射光L1を遮る状態とが交互に繰り返される。このことで、第2状態においてはシャッター部152の回転速度(回転数)によって回転中心における露光量を調整することが可能になり、より細かな露光量調整が可能となる。
【0082】
また、コントローラ100は、図11(a)に示されるように、保持部26にワークWが支持されていない状態において、第1制御にて回転中心A1に照射される照射光L1の部分が、照度計62に照射されるように光照射機構240(光源)を制御してもよい。当該制御(第5制御)は、例えばワークWの搬入前に実施されてもよいし、いわゆるアイドルタイムに実施されてもよい。光照射機構240は、図11(b)に示されるように、光源部42と、モータ201と、ベルト202とを有している。ベルト202は、モータ201からの駆動を光源部42に伝える部材である。モータ201は、その駆動力により、ベルト202を介して光源部42を180°回転させ(光源部42の向きを変化させ)、光源部42から照射される照射光L1の照射位置を変化させる。このような構成では、第1制御が実施されておらず保持部26にワークWが支持されていない状態において、モータ201を駆動させて光源部42を回転させることにより、第1制御にて回転中心A1に照射される照射光L1の部分を照度計62に照射する。そして、コントローラ100は、第2制御では、第5制御中に照度計62によって計測された照射光L1の照度と、例えば第1制御の開始からの経過時間とに基づき、回転中心A1における露光量が閾値を上回っているか否かを判定する。
【0083】
上述したように、照射光L1は概ね光軸中心A2からの離間距離に応じて照度が変化するが、光軸中心A2を中心として回転中心A1を通る円の円周上であっても、実際の回転中心A1と円周上のその他の点とでは厳密には照度が同じにならない。この点、第1制御とは異なる第5制御において、第1制御にて回転中心A1に照射される照射光の部分が照度計62によって照射されるように光源部42の向き等が調整される。これにより、実際に第1制御にて回転中心A1に照射される照射光L1の部分の照度により近い照度を取得することができる。そして、このようにして取得された照度に基づき回転中心A1における露光量が推定されることにより、該露光量の推定精度を向上させ、結果的に、露光処理前における照射光L1のワークWに対する照射の面内均一性をより向上させることができる。
【0084】
また、図12(a)及び図12(b)に示されるように、光源部42は、ワークWに対して斜めの方向から照射光L1が照射される位置に配置されていてもよい。このような構成によれば、ワークWに対して垂直に照射光L1が配置されている場合と比較して、光源部42をワークWに近づけながら、より大きな領域に対して照射光を照射することができる。すなわち、チャンバー容積を小さくしながら必要十分な領域に照射光L1を照射する上では、ワークWに対して斜め方向から照射光L1が照射される構成が好適である。
【0085】
さらに、図12(b)に示されるように、光源部42は、回転中心A1までの距離よりもワークWの周縁である一端部Wa(照射光L1が照射される側の一端部)までの距離の方が近くなる位置に配置されていてもよい。照射光L1が斜め方向からワークWに照射されるように光源部42が配置される場合、光源部42からワークWの各領域に対する距離が一定とならない。露光量は光源部42からの距離が近いほど多くなるところ、仮に光源部42から回転中心A1までの距離が近くされると、ただでさえ常に照射光L1が照射されて露光量が多くなる回転中心についてさらに露光量を増やしてしまうこととなる。この点、光源部42から回転中心A1までの距離よりも光源部42からワークWの一端部Waまでの距離の方が近くされることにより、回転中心A1の露光量が過多となりやすくなることを抑制することができる。
【0086】
また、図13(a)に示されるように、光源部として複数の光源部542,642,742,842が配置されていてもよい。このような構成では、例えばランプシャッター351の開閉動作によって、各光源部542,642,742,842からの照射光L1がワークWへ到達する状態と、到達しない状態とが切り替えられる。図13(b)に示されるように、例えば、まず、光源部542から照射光L1が照射され、遮光板354の開口部分354aを通過した照射光L1がワークWに照射される。そして、例えば、光源部542のランプが寿命により照射不可となった場合には、照射光L1を照射する光源部が光源部642に切り替えられ、光源部642によって照射された照射光L1がワークWに照射される。ランプの交換時期は例えば3カ月程度であるところ、本構成のように光源部を複数配置して切り替える構成とすることにより、ランプ交換のメンテナンス周期を延ばすことができる。
【符号の説明】
【0087】
1…基板処理装置、25…回転支持部(基板支持部)、40,240…光照射機構(光源)、51a…遮蔽板(シャッター)、52…回転中心シャッター(遮蔽部)、52a…蓋部、53…透光板、54…遮光板、54a…開口部分、54x…半径、54y…孤、60…計測部、61,62…照度計(第1照度計,第2照度計)、100…コントローラ(制御部)、152…シャッター部、A1…回転中心、A2…光軸中心、W…ワーク(基板)。
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