IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京エレクトロン株式会社の特許一覧

特開2023-59948プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法
<>
  • 特開-プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法 図1
  • 特開-プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法 図2
  • 特開-プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法 図3
  • 特開-プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法 図4
  • 特開-プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法 図5
  • 特開-プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法 図6
  • 特開-プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法 図7
  • 特開-プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法 図8
  • 特開-プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法 図9
  • 特開-プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法 図10
  • 特開-プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059948
(43)【公開日】2023-04-27
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20230420BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20230420BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20230420BHJP
【FI】
H01L21/302 101B
H01L21/31 C
H05H1/46 M
H05H1/46 A
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026020
(22)【出願日】2023-02-22
(62)【分割の表示】P 2019099249の分割
【原出願日】2019-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(72)【発明者】
【氏名】輿水 地塩
(72)【発明者】
【氏名】広津 信
(72)【発明者】
【氏名】池田 武信
(72)【発明者】
【氏名】永海 幸一
(72)【発明者】
【氏名】檜森 慎司
(57)【要約】
【課題】単一レベルの直流電圧が基板支持器に印加されるときのイオンのエネルギーと基板支持器の電位が接地電位であるならば得られるイオンのエネルギーとの間のエネルギーを有するイオンを基板に供給可能とするプラズマ処理装置を提供する。
【解決手段】開示されるプラズマ処理装置は、プラズマ処理装置のチャンバ内でのプラズマの生成中の第1の期間において、チャンバ内に設けられた基板支持器に第1の直流電圧を印加する。プラズマ処理装置は、チャンバ内でのプラズマの生成中の第1の期間と交互の第2の期間において、基板支持器に第2の直流電圧を印加する。第2の直流電圧は、第1の直流電圧のレベルと異なるレベルを有する。第2の直流電圧は、第1の直流電圧の極性と同じ極性を有する。第1の期間と第2の期間との間、第2の期間と第1の期間との間に、基板支持器は接地電位に設定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバと、
前記チャンバ内に設けられた基板支持器と、
電源装置と、
前記電源装置から前記基板支持器への電圧の印加を制御するように構成された制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記チャンバ内でのプラズマの生成中の第1の期間において、前記電源装置から前記基板支持器に第1の直流電圧を印加する第1の制御を実行し、
前記チャンバ内での前記プラズマの生成中の前記第1の期間と交互の第2の期間において、前記電源装置から前記基板支持器に第2の直流電圧を印加する第2の制御を実行し、
前記第1の期間の後且つ前記第2の期間の前の第3の期間において、前記基板支持器の電位を接地電位に設定する第3の制御を実行し、
前記第2の期間の後且つ前記第1の期間の前の第4の期間において、前記基板支持器の電位を接地電位に設定する第4の制御を実行する
ように構成されており、
前記第2の直流電圧は、前記第1の直流電圧のレベルと異なるレベルを有し、該第1の直流電圧の極性と同じ極性を有する、
プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記電源装置は、前記第1の直流電圧用の第1の出力及び前記第2の直流電圧用の第2の出力を有し、
該プラズマ処理装置は、
前記第1の出力と前記基板支持器との間で接続された第1のスイッチと、
前記第2の出力と前記基板支持器との間で接続された第2のスイッチと、
を更に備え、
前記制御部は、
前記第1の制御において、前記第1の出力と前記基板支持器とを互いに接続するために前記第1のスイッチを導通状態に設定し、前記第2の出力と前記基板支持器との間の接続を切断するために前記第2のスイッチを非導通状態に設定し、
前記第2の制御において、前記第2の出力と前記基板支持器とを互いに接続するために前記第2のスイッチを導通状態に設定し、前記第1の出力と前記基板支持器との間の接続を切断するために前記第1のスイッチを非導通状態に設定する
ように構成されている、
請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記基板支持器とグランドとの間で接続された第3のスイッチを更に備え、
前記制御部は、
前記第1の制御及び前記第2の制御において、前記基板支持器と前記グランドとの間の接続を切断するために前記第3のスイッチを非導通状態に設定し、
前記第3の制御及び前記第4の制御の各々において、前記基板支持器と前記グランドとを互いに接続するために前記第3のスイッチを導通状態に設定し、前記第1の出力と前記基板支持器との間の接続を切断するために前記第1のスイッチを非導通状態に設定し、前記第2の出力と前記基板支持器との間の接続を切断するために前記第2のスイッチを非導通状態に設定する
ように構成されている、
請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第3の期間の終了時点と前記第2の期間の開始時点との間の期間において、前記第1のスイッチ、前記第2のスイッチ、及び前記第3のスイッチを非導通状態に設定する制御を更に実行するように構成されている、請求項3に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
プラズマ処理装置のチャンバ内でのプラズマの生成中の第1の期間において、該チャンバ内に設けられた基板支持器に第1の直流電圧を印加する工程と、
前記チャンバ内での前記プラズマの生成中の前記第1の期間と交互の第2の期間において、前記基板支持器に第2の直流電圧を印加する工程であり、該第2の直流電圧は、前記第1の直流電圧のレベルと異なるレベルを有し、該第1の直流電圧の極性と同じ極性を有する、該工程と、
前記第1の期間の後且つ前記第2の期間の前の第3の期間において、前記基板支持器の電位を接地電位に設定する工程と、
前記第2の期間の後且つ前記第1の期間の前の4の期間において、前記基板支持器の電位を接地電位に設定する工程と、
を含むプラズマ処理方法。
【請求項6】
前記プラズマ処理装置は、
前記第1の直流電圧用の第1の出力及び前記第2の直流電圧用の第2の出力を有する電源装置と、
前記第1の出力と前記基板支持器との間で接続された第1のスイッチと、
前記第2の出力と前記基板支持器との間で接続された第2のスイッチと、
を備え、
前記第1の期間において、前記第1の出力と前記基板支持器とを互いに接続するために前記第1のスイッチが導通状態に設定され、前記第2の出力と前記基板支持器との間の接続を切断するために前記第2のスイッチが非導通状態に設定され、
前記第2の期間において、前記第2の出力と前記基板支持器とを互いに接続するために前記第2のスイッチが導通状態に設定され、前記第1の出力と前記基板支持器との間の接続を切断するために前記第1のスイッチが非導通状態に設定される、
請求項5に記載のプラズマ処理方法。
【請求項7】
前記プラズマ処理装置は、前記基板支持器とグランドとの間で接続された第3のスイッチを更に備え、
前記第1の期間及び前記第2の期間において、前記基板支持器と前記グランドとの間の接続を切断するために前記第3のスイッチが非導通状態に設定され、
前記第3の期間及び前記第4の期間において、前記基板支持器と前記グランドとを互いに接続するために前記第3のスイッチが導通状態に設定され、前記第1の出力と前記基板支持器との間の接続を切断するために前記第1のスイッチが非導通状態に設定され、前記第2の出力と前記基板支持器との間の接続を切断するために前記第2のスイッチが非導通状態に設定される、
請求項6に記載のプラズマ処理方法。
【請求項8】
前記第3の期間の終了時点と前記第2の期間の開始時点との間の期間において前記第1のスイッチ、前記第2のスイッチ、及び前記第3のスイッチを非導通状態に設定する工程を更に含む、請求項7に記載のプラズマ処理方法。
【請求項9】
チャンバと、
前記チャンバ内に設けられた基板支持器と、
電源装置と、
前記電源装置と前記基板支持器との間で接続された第1のスイッチと、
前記基板支持器とグランドとの間で接続された第2のスイッチと、
前記電源装置から前記基板支持器への電圧の印加を制御するように構成された制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記チャンバ内でのプラズマの生成中の第1の期間において、前記電源装置を前記基板支持器に接続して該基板支持器に該電源装置から直流電圧を印加するために、前記第1のスイッチを導通状態に設定し、前記基板支持器を前記グランドから電気的に分離するために前記第2のスイッチを非導通状態に設定する第1の制御を実行し、
前記チャンバ内での前記プラズマの生成中の前記第1の期間とは異なる第2の期間において前記基板支持器を前記グランドに接続するために前記第2のスイッチを導通状態に設定し、前記基板支持器を前記電源装置から電気的に分離するために前記第1のスイッチを非導通状態に設定する第2の制御を実行し、
前記チャンバ内での前記プラズマの生成中且つ前記第2の期間の後の第3の期間であり前記基板支持器の電位が接地電位に到達する前に開始する該第3の期間において前記基板支持器に前記電源装置を接続するために前記第1のスイッチを導通状態に設定し、前記基板支持器を前記グランドから電気的に分離するために前記第2のスイッチを非導通状態に設定する第3の制御を実行する、
ように構成されており、
前記第3の期間の終了時点は前記基板支持器の電位が定常状態になる前の時点であり、前記制御部は、該第3の期間の該終了時点において、前記基板支持器を前記電源装置から電気的に分離するために前記第1のスイッチを非導通状態に設定するように構成されている、
プラズマ処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記第2の期間の終了時点と前記第3の期間の開始時点との間の期間において、前記基板支持器を前記電源装置と前記グランドの双方から電気的に分離するために前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチの双方を非導通状態に設定する制御を更に実行するように構成されている、請求項9に記載のプラズマ処理装置。
【請求項11】
前記制御部は、
前記第2の制御と前記第3の制御を交互に繰り返し、
前記第3の制御の実行後、前記基板支持器の電位が定常状態に達する前に、前記第2の制御の実行を再び開始する、
ように構成されている、
請求項9又は10に記載のプラズマ処理装置。
【請求項12】
プラズマ処理装置のチャンバ内でのプラズマの生成中の第1の期間において、該チャンバ内に設けられた基板支持器に電源装置から直流電圧を印加する工程と、
前記チャンバ内での前記プラズマの生成中の前記第1の期間とは異なる第2の期間において前記基板支持器をグランドに接続する工程であり、該第2の期間において前記基板支持器は前記電源装置から電気的に分離される、該工程と、
前記チャンバ内での前記プラズマの生成中且つ前記第2の期間の後の第3の期間であり前記基板支持器の電位が接地電位に到達する前に開始する該第3の期間において前記基板支持器に前記電源装置を接続する工程であり、該第3の期間において前記基板支持器は前記グランドから電気的に分離される、該工程と、
を含み、
前記第3の期間の終了時点は前記基板支持器の電位が定常状態になる前の時点であり、該第3の期間の該終了時点において、前記基板支持器は前記電源装置から電気的に分離される、プラズマ処理方法。
【請求項13】
前記第2の期間の終了時点と前記第3の期間の開始時点との間の期間において、前記電源装置と前記グランドの双方から前記基板支持器を電気的に分離する工程を更に含む、請求項12に記載のプラズマ処理方法。
【請求項14】
前記基板支持器を前記グランドに接続する前記工程と前記基板支持器に前記電源装置を接続する前記工程とが交互に繰り返され、
前記基板支持器に前記電源装置を接続する前記工程の実行後、前記基板支持器の電位が定常状態に達する前に、前記基板支持器を前記グランドに接続する前記工程が再び開始される、
請求項12又は13に記載のプラズマ処理方法。
【請求項15】
チャンバと、
前記チャンバ内に設けられた基板支持器と、
第1の直流電圧用の第1の出力及び該第1の直流電圧のレベルよりも低いレベルを有する第2の直流電圧用の第2の出力を有する電源装置と、
前記第1の出力と前記基板支持器との間で接続された第1のスイッチと、
前記第2の出力と前記基板支持器との間で接続された第2のスイッチと、
前記基板支持器とグランドとの間で接続された第3のスイッチと、
前記電源装置から前記基板支持器への電圧の印加を制御するように構成された制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記チャンバ内でのプラズマの生成中の第1の期間において、前記第1の出力を前記基板支持器に接続して該基板支持器に該第1の出力から第1の直流電圧を印加するために、前記第1のスイッチを導通状態に設定し、前記基板支持器を前記第2の出力及び前記グランドから電気的に分離するために前記第2のスイッチ及び前記第3のスイッチを非導通状態に設定する第1の制御を実行し、
前記チャンバ内での前記プラズマの生成中の前記第1の期間とは異なる第2の期間において前記基板支持器を前記グランドに接続するために前記第3のスイッチを導通状態に設定し、前記基板支持器を前記第1の出力及び前記第2の出力から電気的に分離するために前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチを非導通状態に設定する第2の制御を実行し、
前記チャンバ内での前記プラズマの生成中且つ前記第2の期間の後の第3の期間であり前記基板支持器の電位が接地電位に到達する前に開始する該第3の期間において前記基板支持器に前記第2の出力を接続するために前記第2のスイッチを導通状態に設定し、前記基板支持器を前記第1の出力及び前記グランドから電気的に分離するために前記第1のスイッチ及び前記第3のスイッチを非導通状態に設定する第3の制御を実行する、
ように構成されており、
前記第3の期間の終了時点は前記基板支持器の電位が定常状態になる前の時点であり、前記制御部は、該第3の期間の該終了時点において、前記基板支持器を前記第1の出力及び前記第2の出力から電気的に分離するために前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチを非導通状態に設定するように構成されている、
プラズマ処理装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記第2の期間の終了時点と前記第3の期間の開始時点との間の期間において、前記基板支持器を第1の出力、前記第2の出力、及び前記グランドから電気的に分離するために前記第1のスイッチ、前記第2のスイッチ、及び前記第3のスイッチを非導通状態に設定する制御を更に実行するように構成されている、請求項15に記載のプラズマ処理装置。
【請求項17】
前記制御部は、
前記第2の制御と前記第3の制御を交互に繰り返し、
前記第3の制御の実行後、前記基板支持器の電位が定常状態に達する前に、前記第2の制御の実行を再び開始する、
ように構成されている、
請求項15又は16に記載のプラズマ処理装置。
【請求項18】
プラズマ処理装置のチャンバ内でのプラズマの生成中の第1の期間において、該チャンバ内に設けられた基板支持器に電源装置の第1の出力から第1の直流電圧を印加する工程であり、該電源装置は、該第1の出力及び前記第1の直流電圧のレベルよりも低いレベルを有する第2の直流電圧用の第2の出力を有する、該工程と、
前記チャンバ内での前記プラズマの生成中の前記第1の期間とは異なる第2の期間において前記基板支持器をグランドに接続する工程であり、該第2の期間において前記基板支持器は前記第1の出力及び前記第2の出力から電気的に分離される、該工程と、
前記チャンバ内での前記プラズマの生成中且つ前記第2の期間の後の第3の期間であり前記基板支持器の電位が接地電位に到達する前に開始する該第3の期間において前記基板支持器に前記第2の出力を接続する工程であり、該第3の期間において前記基板支持器は前記第1の出力及び前記グランドから電気的に分離される、該工程と、
を含み、
前記第3の期間の終了時点は前記基板支持器の電位が定常状態になる前の時点であり、該第3の期間の該終了時点において、前記基板支持器は前記第1の出力及び前記第2の出力から電気的に分離される、プラズマ処理方法。
【請求項19】
前記第2の期間の終了時点と前記第3の期間の開始時点との間の期間において、前記第1の出力、前記第2の出力、及び前記グランドから前記基板支持器を電気的に分離する工程を更に含む、請求項18に記載のプラズマ処理方法。
【請求項20】
前記基板支持器を前記グランドに接続する前記工程と前記基板支持器に前記第2の出力を接続する前記工程とが交互に繰り返され、
前記基板支持器に前記第2の出力を接続する前記工程の実行後、前記基板支持器の電位が定常状態に達する前に、前記基板支持器を前記グランドに接続する前記工程が再び開始される、
請求項18又は19に記載のプラズマ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的実施形態は、プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラズマ処理装置が基板に対するプラズマ処理において用いられている。プラズマ処理装置は、チャンバ及び基板保持電極を備える。基板保持電極は、チャンバ内に設けられている。基板保持電極は、その主面上に載置された基板を保持する。このようなプラズマ処理装置の一種は、特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載されたプラズマ処理装置は、高周波発生装置及びDC負パルス発生装置を更に備えている。高周波発生装置は、基板保持電極に対して高周波電圧を印加する。特許文献1に記載されたプラズマ処理装置では、高周波電圧のオンとオフが交互に切り替えられる。また、特許文献1に記載されたプラズマ処理装置では、高周波電圧のオンとオフのタイミングに応じてDC負パルス発生装置から基板保持電極にDC負パルス電圧が印加される。特許文献1に記載されたプラズマ処理装置では、DC負パルス電圧、即ち負極性のパルス状の直流電圧が基板保持電極に印加されているときに基板に供給されるイオンのエネルギーは最大となる。DC負パルス電圧が基板に印加されていないときに基板に供給されるイオンのエネルギーは最小となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-187975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
単一レベルの直流電圧が基板支持器に印加されるときのイオンのエネルギーと基板支持器の電位が接地電位であるならば得られるイオンのエネルギーとの間のエネルギーを有するイオンを基板に供給可能とすることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置が提供される。プラズマ処理装置は、チャンバと、前記チャンバ内に設けられた基板支持器と、電源装置と、前記電源装置から前記基板支持器への電圧の印加を制御するように構成された制御部と、を備える。前記制御部は、前記チャンバ内でのプラズマの生成中の第1の期間において、前記電源装置から前記基板支持器に第1の直流電圧を印加する第1の制御を実行し、前記チャンバ内での前記プラズマの生成中の前記第1の期間と交互の第2の期間において、前記電源装置から前記基板支持器に第2の直流電圧を印加する第2の制御を実行し、前記第1の期間の終了時点と前記第2の期間の開始時点との間の第3の期間において、前記基板支持器の電位を接地電位に設定する第3の制御を実行し、前記第2の期間の終了時点と前記第1の期間の開始時点との間の第4の期間において、前記基板支持器の電位を接地電位に設定する第4の制御を実行するように構成されている。前記第2の直流電圧は、前記第1の直流電圧のレベルと異なるレベルを有し、該第1の直流電圧の極性と同じ極性を有する。
【発明の効果】
【0007】
一つの例示的実施形態によれば、単一レベルの直流電圧が基板支持器に印加されるときのイオンのエネルギーと基板支持器の電位が接地電位であるならば得られるイオンのエネルギーとの間のエネルギーを有するイオンを基板に供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理方法の流れ図である。
図2】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
図3図3の(a)及び図3の(b)の各々は、図2に示すプラズマ処理装置の電源装置の構成を示す図である。
図4図1に示すプラズマ処理方法に関連する一例のタイミングチャートである。
図5図1に示すプラズマ処理方法に関連する別の例のタイミングチャートである。
図6】別の例示的実施形態に係るプラズマ処理方法の流れ図である。
図7】別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
図8図6に示すプラズマ処理方法に関連する一例のタイミングチャートである。
図9】一つ以上の電位測定プローブの例を示す図である。
図10】更に別の例示的実施形態に係るプラズマ処理方法の流れ図である。
図11図10に示すプラズマ処理方法に関連する一例のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、種々の例示的実施形態について説明する。
【0010】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理方法が提供される。プラズマ処理方法は、プラズマ処理装置のチャンバ内でのプラズマの生成中の第1の期間において、チャンバ内に設けられた基板支持器の下部電極に第1の直流電圧を印加する工程を含む。プラズマ処理方法は、チャンバ内でのプラズマの生成中の第2の期間において、下部電極に第2の直流電圧を印加する工程を更に含む。第2の期間は、第1の期間とは異なる期間である。第2の直流電圧は、第1の直流電圧のレベルと異なるレベルを有する。第2の直流電圧は、第1の直流電圧の極性と同じ極性を有する。
【0011】
上記実施形態のプラズマ処理方法では、第1の直流電圧と第2の直流電圧は、互いに同じ極性を有する。また、第1の直流電圧と第2の直流電圧のうち一方の直流電圧の絶対値は、他方の直流電圧の絶対値よりも小さい。したがって、第1の期間と第2の期間のうち一方の直流電圧が下部電極に印加される一方の期間において基板に供給されるイオンのエネルギーは、他方の期間において基板に供給されるイオンのエネルギーよりも低い。また、一方の期間において基板に供給されるイオンのエネルギーは、下部電極の電位が接地電位であるならば基板に供給されるエネルギーよりも高い。故に、単一レベルの直流電圧が下部電極に印加されるときに基板に供給されるイオンのエネルギーと下部電極の電位が接地電位であるならば基板に供給されるイオンのエネルギーとの間のエネルギーを有するイオンを基板に供給することが可能となる。
【0012】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置は、電源装置、第1のスイッチ、及び第2のスイッチを備えていてもよい。この実施形態において、電源装置は、第1の直流電圧用の第1の出力及び第2の直流電圧用の第2の出力を有する。第1のスイッチは、第1の出力と下部電極との間で接続されている。第2のスイッチは、第2の出力と下部電極との間で接続されている。第1の期間において、第1の出力と下部電極とを互いに接続するために第1のスイッチが導通状態に設定され、第2の出力と下部電極との間の接続を切断するために第2のスイッチが非導通状態に設定される。第2の期間において、第2の出力と下部電極とを互いに接続するために第2のスイッチが導通状態に設定され、第1の出力と下部電極との間の接続を切断するために第1のスイッチが非導通状態に設定される。
【0013】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理方法は、第3の期間において、下部電極の電位を接地電位に設定する工程を更に含む。第3の期間は、第1の期間の終了時点と第2の期間の開始時点との間の期間である。この実施形態において、プラズマ処理装置は、下部電極とグランドとの間で接続された第3のスイッチを更に備える。第1の期間及び第2の期間において、下部電極とグランドとの間の接続を切断するために第3のスイッチが非導通状態に設定される。第3の期間において、下部電極とグランドとを互いに接続するために第3のスイッチが導通状態に設定される。また、第3の期間において、第1の出力と下部電極との間の接続を切断するために第1のスイッチが非導通状態に設定され、第2の出力と下部電極との間の接続を切断するために第2のスイッチが非導通状態に設定される。
【0014】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理方法は、第3の期間の終了時点と第2の期間の開始時点との間の期間において第1のスイッチ、第2のスイッチ、及び第3のスイッチを非導通状態に設定する工程を更に含んでいてもよい。
【0015】
一つの例示的実施形態において、第1の直流電圧を印加する工程と第2の直流電圧を印加する工程とが交互に繰り返されてもよい。一つの例示的実施形態において、プラズマ処理方法は、第2の期間の終了時点と次の第1の期間の開始時点との間の期間において、下部電極の電位を接地電位に設定する工程を更に含んでいてもよい。
【0016】
別の例示的実施形態において、プラズマ処理装置が提供される。プラズマ処理装置は、チャンバ、基板支持器、電源装置、及び制御部を備える。基板支持器は、下部電極を含み、チャンバ内に設けられている。制御部は、電源装置から下部電極への電圧の印加を制御するように構成されている。制御部は、チャンバ内でのプラズマの生成中の第1の期間において、電源装置から下部電極に第1の直流電圧を印加する第1の制御を実行するように構成されている。制御部は、チャンバ内でのプラズマの生成中の第2の期間において、電源装置から下部電極に第2の直流電圧を印加する第2の制御を更に実行するように構成されている。第2の期間は、第1の期間とは異なる期間である。第2の直流電圧は、第1の直流電圧のレベルと異なるレベルを有し、第1の直流電圧の極性と同じ極性を有する。
【0017】
一つの例示的実施形態において、電源装置は、第1の直流電圧用の第1の出力及び第2の直流電圧用の第2の出力を有し得る。この実施形態において、プラズマ処理装置は、第1のスイッチ及び第2のスイッチを更に備え得る。第1のスイッチは、第1の出力と下部電極との間で接続されている。第2のスイッチは、第2の出力と下部電極との間で接続されている。制御部は、第1の制御において、第1の出力と下部電極とを互いに接続するために第1のスイッチを導通状態に設定し、第2の出力と下部電極との間の接続を切断するために第2のスイッチを非導通状態に設定するように構成されている。制御部は、第2の制御において、第2の出力と下部電極とを互いに接続するために第2のスイッチを導通状態に設定し、第1の出力と下部電極との間の接続を切断するために第1のスイッチを非導通状態に設定するように構成されている。
【0018】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置は、下部電極とグランドとの間で接続された第3のスイッチを更に備え得る。制御部は、第1の制御及び第2の制御において、下部電極とグランドとの間の接続を切断するために第3のスイッチを非導通状態に設定するように構成されている。制御部は、第3の期間において、下部電極とグランドとを互いに接続するために第3のスイッチを導通状態に設定する制御を更に実行するように構成されている。第3の期間は、第1の期間の終了時点と第2の期間の開始時点との間の期間である。制御部は、第3の期間における当該制御において、第1の出力と下部電極との間の接続を切断するために第1のスイッチを非導通状態に設定し、第2の出力と下部電極との間の接続を切断するために第2のスイッチを非導通状態に設定するように構成されている。
【0019】
一つの例示的実施形態において、制御部は、第3の期間の終了時点と第2の期間の開始時点との間の期間において、第1のスイッチ、第2のスイッチ、及び第3のスイッチを非導通状態に設定する制御を更に実行するように構成されていてもよい。
【0020】
一つの例示的実施形態において、制御部は、第1の制御と第2の制御を交互に繰り返すように構成されていてもよい。一つの例示的実施形態において、制御部は、第2の期間の終了時点と次の第1の期間の開始時点との間の期間において、別の制御を更に実行してもよい。制御部は、当該別の制御において、下部電極とグランドとを互いに接続するために第3のスイッチを導通状態に設定するように構成されている。制御部は、当該別の制御において、第1の出力と下部電極との間の接続を切断するために第1のスイッチを非導通状態に設定し、第2の出力と下部電極との間の接続を切断するために第2のスイッチを非導通状態に設定するように構成されている。
【0021】
更に別の例示的実施形態において、プラズマ処理方法が提供される。プラズマ処理方法は、プラズマ処理装置のチャンバ内でのプラズマの生成中の第1の期間において、チャンバ内に設けられた基板支持器の下部電極に電源装置から直流電圧を印加する工程を含む。プラズマ処理方法は、チャンバ内でのプラズマの生成中の第2の期間において下部電極をグランドに接続する工程を更に含む。第2の期間は、第1の期間とは異なる期間である。第2の期間において下部電極は電源装置から電気的に分離される。プラズマ処理方法は、チャンバ内でのプラズマの生成中の第3の期間において下部電極に電源装置を接続する工程を更に含む。第3の期間は、第2の期間の後の期間であり、下部電極の電位が接地電位に到達する前に開始する。第3の期間において下部電極はグランドから電気的に分離される。第3の期間の終了時点は、下部電極の電位が定常状態になる前の時点である。第3の期間の終了時点において、下部電極は電源装置から電気的に分離される。
【0022】
上記実施形態のプラズマ処理方法では、第2の期間では、下部電極の電位の絶対値は、第1の期間の下部電極の電位の絶対値から減少するが、ゼロには到達しない。また、第3の期間では、下部電極の電位の絶対値は、第2の期間の下部電極の電位の絶対値から増加するが、第1の期間の下部電極の電位と同じ電位には到達しない。したがって、第2の期間において基板に供給されるイオンのエネルギー及び第3の期間において基板に供給されるイオンのエネルギーは、第1の期間において基板に供給されるイオンのエネルギーよりも低い。また、第2の期間において基板に供給されるイオンのエネルギー及び第3の期間において基板に供給されるイオンのエネルギーは、下部電極の電位が接地電位であるならば基板に供給されるエネルギーよりも高い。故に、単一レベルの直流電圧が下部電極に印加されるときに基板に供給されるイオンのエネルギーと下部電極の電位が接地電位であるならば基板に供給されるイオンのエネルギーとの間のエネルギーを有するイオンを基板に供給することが可能となる。
【0023】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理方法は、第2の期間の終了時点と第3の期間の開始時点との間の期間において、電源装置とグランドの双方から下部電極を電気的に分離する工程を更に含んでいてもよい。
【0024】
一つの例示的実施形態において、下部電極をグランドに接続する工程と下部電極に電源装置を接続する工程とが交互に繰り返されてもよい。この実施形態では、下部電極に電源装置を接続する工程の実行後、下部電極の電位が定常状態に達する前に、下部電極をグランドに接続する工程が再び開始される。
【0025】
更に別の例示的実施形態において、プラズマ処理装置が提供される。プラズマ処理装置は、チャンバ、基板支持器、電源装置、第1のスイッチ、第2のスイッチ、及び制御部を備える。基板支持器は、下部電極を含み、チャンバ内に設けられている。第1のスイッチは、電源装置と下部電極との間で接続されている。第2のスイッチは、下部電極とグランドとの間で接続されている。制御部は、電源装置から下部電極への電圧の印加を制御するように構成されている。制御部は、チャンバ内でのプラズマの生成中の第1の期間において、第1の制御を実行するように構成されている。制御部は、第1の制御において、電源装置を下部電極に接続して下部電極に電源装置から直流電圧を印加するために、第1のスイッチを導通状態に設定するように構成されている。制御部は、第1の制御において、下部電極をグランドから電気的に分離するために第2のスイッチを非導通状態に設定するように構成されている。制御部は、チャンバ内でのプラズマの生成中の第2の期間において、第2の制御を更に実行するように構成されている。第2の期間は、第1の期間とは異なる期間である。制御部は、第2の制御において、下部電極をグランドに接続するために第2のスイッチを導通状態に設定し、下部電極を電源装置から電気的に分離するために第1のスイッチを非導通状態に設定するように構成されている。制御部は、チャンバ内でのプラズマの生成中の第3の期間において第3の制御を更に実行するように構成されている。第3の期間は、第2の期間の後の期間であり、下部電極の電位が接地電位に到達する前に開始する。制御部は、第3の制御において、下部電極に電源装置を接続するために第1のスイッチを導通状態に設定し、下部電極をグランドから電気的に分離するために第2のスイッチを非導通状態に設定するように構成されている。第3の期間の終了時点は下部電極の電位が定常状態になる前の時点である。制御部は、第3の期間の終了時点において、下部電極を電源装置から電気的に分離するために第1のスイッチを非導通状態に設定するように構成されている。
【0026】
一つの例示的実施形態において、制御部は、第2の期間の終了時点と第3の期間の開始時点との間の期間において、別の制御を更に実行するように構成されていてもよい。制御部は、当該別の制御において、下部電極を電源装置とグランドの双方から電気的に分離するために第1のスイッチ及び第2のスイッチの双方を非導通状態に設定するように構成されている。
【0027】
一つの例示的実施形態において、制御部は、第2の制御と第3の制御を交互に繰り返し、第3の制御の実行後、下部電極の電位が定常状態に達する前に、第2の制御の実行を再び開始するように構成されていてもよい。
【0028】
更に別の例示的実施形態において、プラズマ処理方法が提供される。プラズマ処理方法は、プラズマ処理装置のチャンバ内でのプラズマの生成中の第1の期間において、チャンバ内に設けられた基板支持器の下部電極に電源装置の第1の出力から第1の直流電圧を印加する工程を含む。電源装置は、第1の出力及び第2の出力を有する。第2の出力は、第1の直流電圧のレベルよりも低いレベルを有する第2の直流電圧用の出力である。プラズマ処理方法は、チャンバ内でのプラズマの生成中の第2の期間において下部電極をグランドに接続する工程を更に含む。第2の期間は、第1の期間とは異なる期間である。第2の期間において下部電極は第1の出力及び第2の出力から電気的に分離される。プラズマ処理方法は、チャンバ内でのプラズマの生成中の第3の期間において下部電極に第2の出力を接続する工程を更に含む。第3の期間は、第2の期間の後の期間であり、下部電極の電位が接地電位に到達する前に開始する。第3の期間において下部電極は第1の出力及びグランドから電気的に分離される。第3の期間の終了時点は、下部電極の電位が定常状態になる前の時点である。第3の期間の終了時点において、下部電極は第1の出力及び第2の出力から電気的に分離される。
【0029】
上記実施形態のプラズマ処理方法では、第2の期間では、下部電極の電位の絶対値は、第1の期間の下部電極の電位の絶対値から減少するが、ゼロには到達しない。また、第3の期間では、下部電極の電位の絶対値は、第2の期間の下部電極の電位の絶対値から増加するが、第1の期間の下部電極の電位と同じ電位には到達しない。したがって、第2の期間において基板に供給されるイオンのエネルギー及び第3の期間において基板に供給されるイオンのエネルギーは、第1の期間において基板に供給されるイオンのエネルギーよりも低い。また、第2の期間において基板に供給されるイオンのエネルギー及び第3の期間において基板に供給されるイオンのエネルギーは、下部電極の電位が接地電位であるならば基板に供給されるエネルギーよりも高い。故に、単一レベルの直流電圧が下部電極に印加されるときに基板に供給されるイオンのエネルギーと下部電極の電位が接地電位であるならば基板に供給されるイオンのエネルギーとの間のエネルギーを有するイオンを基板に供給することが可能となる。
【0030】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理方法は、第2の期間の終了時点と第3の期間の開始時点との間の期間において、第1の出力、第2の出力、及びグランドから下部電極を電気的に分離する工程を更に含んでいてもよい。
【0031】
一つの例示的実施形態において、下部電極をグランドに接続する工程と下部電極に第2の出力を接続する工程とが交互に繰り返されてもよい。この実施形態では、下部電極に第2の出力を接続する工程の実行後、下部電極の電位が定常状態に達する前に、下部電極をグランドに接続する工程が再び開始される。
【0032】
更に別の例示的実施形態において、プラズマ処理装置が提供される。プラズマ処理装置は、チャンバ、基板支持器、電源装置、第1のスイッチ、第2のスイッチ、第3のスイッチ、及び制御部を備える。基板支持器は、下部電極を含み、チャンバ内に設けられている。電源装置は、第1の直流電圧用の第1の出力及び第2の直流電圧用の第2の出力を有する。第2の直流電圧は、第1の直流電圧のレベルよりも低いレベルを有する。第1のスイッチは、第1の出力と下部電極との間で接続されている。第2のスイッチは、第2の出力と下部電極との間で接続されている。第3のスイッチは、下部電極とグランドとの間で接続されている。制御部は、電源装置から下部電極への電圧の印加を制御するように構成されている。制御部は、チャンバ内でのプラズマの生成中の第1の期間において、第1の制御を実行するように構成されている。制御部は、第1の制御において、第1の出力を下部電極に接続して下部電極に第1の出力から第1の直流電圧を印加するために、第1スイッチを導通状態に設定するように構成されている。制御部は、第1の制御において、下部電極を第2の出力及びグランドから電気的に分離するために第2のスイッチ及び第3のスイッチを非導通状態に設定するように構成されている。制御部は、チャンバ内でのプラズマの生成中の第2の期間において第2の制御を更に実行するように構成されている。第2の期間は、第1の期間とは異なる期間である。制御部は、第2の制御において、下部電極をグランドに接続するために第3のスイッチを導通状態に設定し、下部電極を第1の出力及び第2の出力から電気的に分離するために第1のスイッチ及び第2のスイッチを非導通状態に設定するように構成されている。制御部は、チャンバ内でのプラズマの生成中の第3の期間において第3の制御を更に実行するように構成されている。第3の期間は、第2の期間の後の期間であり、下部電極の電位が接地電位に到達する前に開始する。制御部は、第3の制御において、下部電極に第2の出力を接続するために第2のスイッチを導通状態に設定し、下部電極を第1の出力及びグランドから電気的に分離するために第1のスイッチ及び第3のスイッチを非導通状態に設定するように構成されている。第3の期間の終了時点は下部電極の電位が定常状態になる前の時点である。制御部は、第3の期間の終了時点において、下部電極を第1の出力及び第2の出力から電気的に分離するために第1のスイッチ及び第2のスイッチを非導通状態に設定するように構成されている。
【0033】
一つの例示的実施形態において、制御部は、第2の期間の終了時点と第3の期間の開始時点との間の期間において、第1~第3のスイッチを非導通状態に設定する制御を更に実行するように構成されていてもよい。
【0034】
一つの例示的実施形態において、制御部は、第2の制御と第3の制御を交互に繰り返してもよい。制御部は、第3の制御の実行後、下部電極の電位が定常状態に達する前に、第2の制御の実行を再び開始するように構成されていてもよい。
【0035】
以下、図面を参照して種々の例示的実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0036】
図1は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理方法の流れ図である。図1に示すプラズマ処理方法(以下、「方法MT1」という)は、プラズマ処理装置を用いて実行される。図2は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。方法MT1は、図2に示すプラズマ処理装置1を用いて実行され得る。
【0037】
プラズマ処理装置1は、容量結合型のプラズマ処理装置である。プラズマ処理装置1は、チャンバ10を備えている。チャンバ10は、その中に内部空間10sを提供している。一実施形態において、チャンバ10は、チャンバ本体12を含んでいる。チャンバ本体12は、略円筒形状を有している。内部空間10sは、チャンバ本体12の中に提供されている。チャンバ本体12は、例えばアルミニウムから構成されている。チャンバ本体12は電気的に接地されている。チャンバ本体12の内壁面、即ち、内部空間10sを画成する壁面には、耐プラズマ性を有する膜が形成されている。この膜は、陽極酸化処理によって形成された膜又は酸化イットリウムから形成された膜といったセラミック製の膜であり得る。
【0038】
チャンバ本体12の側壁には通路12pが形成されている。基板Wは、内部空間10sとチャンバ10の外部との間で搬送されるときに、通路12pを通過する。この通路12pの開閉のために、ゲートバルブ12gがチャンバ本体12の側壁に沿って設けられている。
【0039】
プラズマ処理装置1は、基板支持器16を更に備えている。基板支持器16は、チャンバ10の中、即ち内部空間10s内に設けられている。基板支持器16は、その上に載置される基板Wを支持するように構成されている。基板Wは、略円盤形状を有し得る。基板支持器16は、支持体15によって支持されている。支持体15は、チャンバ本体12の底部から上方に延在している。支持体15は、略円筒形状を有している。支持体15は、石英といった絶縁材料から形成されている。
【0040】
基板支持器16は、下部電極18を含んでいる。基板支持器16は、静電チャック20を更に含み得る。基板支持器16は、電極プレート19を更に含んでいてもよい。電極プレート19は、アルミニウムといった導電性材料から形成されており、略円盤形状を有している。下部電極18は、電極プレート19上に設けられている。下部電極18は、アルミニウムといった導電性材料から形成されており、略円盤形状を有している。下部電極18は、電極プレート19に電気的に接続されている。
【0041】
下部電極18内には、流路18fが形成されている。流路18fは、熱交換媒体用の流路である。熱交換媒体としては、液状の冷媒、或いは、その気化によって下部電極18を冷却する冷媒(例えば、フロン)が用いられる。流路18fには、熱交換媒体の供給装置(例えば、チラーユニット)が接続されている。この供給装置は、チャンバ10の外部に設けられている。流路18fには、供給装置から配管23aを介して熱交換媒体が供給される。流路18fに供給された熱交換媒体は、配管23bを介して供給装置に戻される。
【0042】
静電チャック20は、下部電極18上に設けられている。基板Wは、内部空間10sの中で処理されるときには、静電チャック20上に載置され、静電チャック20によって保持される。静電チャック20は、本体及び電極を有している。静電チャック20の本体は、酸化アルミニウム又は窒化アルミニウムといった誘電体から形成されている。静電チャック20の本体は、略円盤形状を有している。静電チャック20は、基板載置領域及びエッジリング搭載領域を含んでいる。基板載置領域は、略円盤形状を有する領域である。基板載置領域の上面は、水平面に沿って延在している。基板載置領域の中心を含み、鉛直方向に延びる軸線AXは、チャンバ10の中心軸線と略一致する。基板Wは、チャンバ10内で処理されるときには、基板載置領域の上面の上に載置される。
【0043】
エッジリング搭載領域は、基板載置領域を囲むように周方向に延在している。エッジリング搭載領域の上面の上にはエッジリングERが搭載される。エッジリングERは、環形状を有している。基板Wは、エッジリングERによって囲まれた領域内に配置される。即ち、エッジリングERは、静電チャック20の基板載置領域上に載置された基板Wのエッジを囲む。エッジリングERは、例えばシリコン又は炭化ケイ素から形成されている。
【0044】
静電チャック20の電極は、静電チャック20の本体内に設けられている。静電チャック20の電極は、導体から形成された膜である。静電チャック20の電極には、直流電源が電気的に接続されている。直流電源から静電チャック20の電極に直流電圧が印加されると、静電チャック20と基板Wとの間で静電引力が発生する。発生した静電引力により、基板Wは、静電チャック20に引き付けられ、静電チャック20によって保持される。
【0045】
プラズマ処理装置1は、ガス供給ライン25を更に備え得る。ガス供給ライン25は、ガス供給機構からの伝熱ガス、例えばHeガスを、静電チャック20の上面と基板Wの裏面(下面)との間に供給する。
【0046】
プラズマ処理装置1は、筒状部28及び絶縁部29を更に備え得る。筒状部28は、チャンバ本体12の底部から上方に延在している。筒状部28は、支持体15の外周に沿って延在している。筒状部28は、導電性材料から形成されており、略円筒形状を有している。筒状部28は、電気的に接地されている。絶縁部29は、筒状部28上に設けられている。絶縁部29は、絶縁性を有する材料から形成されている。絶縁部29は、例えば石英といったセラミックから形成されている。絶縁部29は、略円筒形状を有している。絶縁部29は、電極プレート19の外周、下部電極18の外周、及び静電チャック20の外周に沿って延在している。
【0047】
プラズマ処理装置1は、上部電極30を更に備えている。上部電極30は、基板支持器16の上方に設けられている。上部電極30は、部材32と共にチャンバ本体12の上部開口を閉じている。部材32は、絶縁性を有している。上部電極30は、この部材32を介してチャンバ本体12の上部に支持されている。
【0048】
上部電極30は、天板34及び支持体36を含んでいる。天板34の下面は、内部空間10sを画成している。天板34には、複数のガス吐出孔34aが形成されている。複数のガス吐出孔34aの各々は、天板34を板厚方向(鉛直方向)に貫通している。この天板34は、限定されるものではないが、例えばシリコンから形成されている。或いは、天板34は、アルミニウム製の部材の表面に耐プラズマ性の膜を設けた構造を有し得る。この膜は、陽極酸化処理によって形成された膜又は酸化イットリウムから形成された膜といったセラミック製の膜であり得る。
【0049】
支持体36は、天板34を着脱自在に支持している。支持体36は、例えばアルミニウムといった導電性材料から形成されている。支持体36の内部には、ガス拡散室36aが設けられている。ガス拡散室36aからは、複数のガス孔36bが下方に延びている。複数のガス孔36bは、複数のガス吐出孔34aにそれぞれ連通している。支持体36には、ガス導入ポート36cが形成されている。ガス導入ポート36cは、ガス拡散室36aに接続している。ガス導入ポート36cには、ガス供給管38が接続されている。
【0050】
ガス供給管38には、ガスソース群40が、バルブ群41、流量制御器群42、及びバルブ群43を介して接続されている。ガスソース群40、バルブ群41、流量制御器群42、及びバルブ群43は、ガス供給部を構成している。ガスソース群40は、複数のガスソースを含んでいる。バルブ群41及びバルブ群43の各々は、複数のバルブ(例えば開閉バルブ)を含んでいる。流量制御器群42は、複数の流量制御器を含んでいる。流量制御器群42の複数の流量制御器の各々は、マスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器である。ガスソース群40の複数のガスソースの各々は、バルブ群41の対応のバルブ、流量制御器群42の対応の流量制御器、及びバルブ群43の対応のバルブを介して、ガス供給管38に接続されている。プラズマ処理装置1は、ガスソース群40の複数のガスソースのうち選択された一以上のガスソースからのガスを、個別に調整された流量で、内部空間10sに供給することが可能である。
【0051】
筒状部28とチャンバ本体12の側壁との間には、バッフル部材48が設けられている。バッフル部材48は、板状の部材であり得る。バッフル部材48は、例えば、アルミニウム製の板材に酸化イットリウム等のセラミックを被覆することにより構成され得る。このバッフル部材48には、複数の貫通孔が形成されている。バッフル部材48の下方においては、排気管52がチャンバ本体12の底部に接続されている。この排気管52には、排気装置50が接続されている。排気装置50は、自動圧力制御弁といった圧力制御器、及び、ターボ分子ポンプなどの真空ポンプを有しており、内部空間10sの中の圧力を減圧することができる。
【0052】
プラズマ処理装置1は、高周波電源61を更に備える。高周波電源61は、プラズマ生成用の高周波電力RFを発生する電源である。高周波電力RFの周波数は、限定されるものではないが、27~100MHzの範囲内の周波数、例えば40MHz又は60MHzである。高周波電源61は、高周波電力RFを下部電極18に供給するために、整合器63及び電極プレート19を介して下部電極18に接続されている。整合器63は、高周波電源61の出力インピーダンスと負荷側(下部電極18側)のインピーダンスを整合させるための整合回路を有している。なお、高周波電源61は、下部電極18に電気的に接続されていなくてもよく、整合器63を介して上部電極30に接続されていてもよい。
【0053】
プラズマ処理装置1は、電源装置70を更に備えている。電源装置70は、第1の出力70a及び第2の出力70bを有する。第1の出力70aは、電源装置70によって発生される第1の直流電圧用の出力である。第2の出力70bは、電源装置70によって発生される第2の直流電圧用の出力である。第2の直流電圧は、第1の直流電圧の極性と同じ極性を有する。第1の直流電圧の極性及び第2の直流電圧の極性は、例えば負極性である。第1の直流電圧の極性及び第2の直流電圧の極性は、正極性であってもよい。第2の直流電圧は、第1の直流電圧のレベルと異なるレベルを有する。一実施形態において、第2の直流電圧のレベル(絶対値)は、第1の直流電圧のレベル(絶対値)よりも低い。なお、第2の直流電圧のレベル(絶対値)は、第1の直流電圧のレベル(絶対値)よりも高くてもよい。
【0054】
図3の(a)及び図3の(b)の各々は、図2に示すプラズマ処理装置の電源装置の構成を示す図である。図3の(a)に示すように、電源装置70は、直流電源71a及び直流電源71bを有していてもよい。図3の(a)に示す電源装置70では、直流電源71aは第1の出力70aに接続されており、直流電源71bは第2の出力70bに接続されている。
【0055】
図3の(b)に示すように、電源装置70は、直列接続された複数の直流電源71を含んでいてもよい。図3の(b)に示す電源装置70では、第1の出力70aは、複数の直流電源71の直列接続のグランド側の端部とは反対側の端部に接続されている。図3の(b)に示す電源装置70では、第2の出力70bは、複数の直流電源71の直列接続において連続する二つの直流電源の間のノードに接続されている。
【0056】
図2に示すように、プラズマ処理装置1は、第1のスイッチSW1、第2のスイッチSW2、及び第3のスイッチSW3を更に備えている。第1のスイッチSW1は、第1の出力70aと下部電極18との間で電気的に接続されている。第2のスイッチSW2は、第2の出力70bと下部電極18との間で電気的に接続されている。図2に示す例では、第1のスイッチSW1と第2のスイッチSW2は、共通の電気的パス74に接続している。電気的パス74は、高周波電源61と下部電極18とを互いに接続する電気的パス64に接続している。電気的パス74は、フィルタ76を含んでいる。フィルタ76は、ローパスフィルタであり、電気的パス64から電源装置70に向かう高周波電力を遮断するか又は低減させる。第3のスイッチSW3は、グランドと下部電極18との間で接続されている。一例において、第3のスイッチSW3は、グランドと電気的パス74との間で接続されている。
【0057】
プラズマ処理装置1を用いたプラズマ処理の実行時には、内部空間10sにガスが供給される。そして、高周波電力RFが供給されることにより、内部空間10sの中でガスが励起される。その結果、内部空間10sの中でプラズマが生成される。生成されたプラズマからのイオン及び/又はラジカルといった化学種により、基板Wが処理される。
【0058】
プラズマ処理装置1は、制御部MCを更に備える。制御部MCは、プロセッサ、記憶装置、入力装置、表示装置等を備えるコンピュータであり、プラズマ処理装置1の各部を制御する。具体的に、制御部MCは、記憶装置に記憶されている制御プログラムを実行し、当該記憶装置に記憶されているレシピデータに基づいてプラズマ処理装置1の各部を制御する。制御部MCによる制御により、レシピデータによって指定されたプロセスがプラズマ処理装置1において実行される。方法MT1は、制御部MCによるプラズマ処理装置1の各部の制御により、プラズマ処理装置1において実行され得る。
【0059】
以下、図1及び図4を参照して、方法MT1について詳細に説明する。また、以下では、制御部MCによる電源装置70から下部電極18への電圧の印加の制御についても説明する。図4は、図1に示すプラズマ処理方法に関連する一例のタイミングチャートである。図4において、横軸は時間を示している。図4において、縦軸は、第1のスイッチSW1、第2のスイッチSW2、及び第3のスイッチSW3の各々の状態、下部電極18の電位、及び高周波電力RFの状態を示している。第1のスイッチSW1、第2のスイッチSW2、及び第3のスイッチSW3の各々の状態の「ON」は、導通状態を示している。第1のスイッチSW1、第2のスイッチSW2、及び第3のスイッチSW3の各々の状態の「OFF」は、非導通状態を示している。高周波電力RFの状態の「ON」は、高周波電力RFが供給されていることを示しており、高周波電力RFの状態の「OFF」は、高周波電力の供給が停止されていることを示している。
【0060】
方法MT1は、基板Wが基板支持器16上に載置された状態で実行される。方法MT1は、工程STPを含む。工程STPでは、プラズマがチャンバ10内で生成される。工程STPでは、ガス供給部から内部空間10sにガスが供給される。工程STPでは、排気装置50によってチャンバ10内の圧力が指定された圧力に設定される。工程STPでは、チャンバ10内でガスを励起させるために、高周波電源61から高周波電力RFが供給される。工程STPの実行のために、ガス供給部、排気装置50、及び高周波電源61は、制御部MCによって制御される。以下に説明する方法MT1の工程ST1及び工程ST2は、工程STPでのプラズマの生成中に実行される。
【0061】
工程ST1は、第1の期間T1において実行される。工程ST1では、下部電極18に電源装置70から第1の直流電圧が印加される。第1の期間T1は、予め定められた時間長を有し得る。第1の期間T1は、第1の出力70aと下部電極18とが互いに接続された後に下部電極18の電位が定常状態になっている期間を含む。工程ST1では、第1の出力70aと下部電極18とを互いに接続するために、第1のスイッチSW1が導通状態に設定される。工程ST1では、第2の出力70bと下部電極18との間の接続を切断するために第2のスイッチSW2が非導通状態に設定される。工程ST1では、グランドと下部電極18との間の接続を切断するために第3のスイッチSW3が非導通状態に設定される。工程ST1の実行のために、制御部MCは、第1のスイッチSW1を導通状態に設定し、第2のスイッチSW2及び第3のスイッチSW3を非導通状態に設定する制御(第1の制御)を実行する。
【0062】
工程ST2は、第2の期間T2において実行される。第2の期間T2は、第1の期間T1とは異なる期間である。工程ST2では、下部電極18に電源装置70から第2の直流電圧が印加される。第2の期間T2は、予め定められた時間長を有し得る。第2の期間T2は、第2の出力70bと下部電極18とが互いに接続された後に下部電極18の電位が定常状態になっている期間を含む。工程ST2では、第2の出力70bと下部電極18とを互いに接続するために、第2のスイッチSW2が導通状態に設定される。工程ST2では、第1の出力70aと下部電極18との間の接続を切断するために第1のスイッチSW1が非導通状態に設定される。工程ST2では、グランドと下部電極18との間の接続を切断するために第3のスイッチSW3が非導通状態に設定される。工程ST2の実行のために、制御部MCは、第2のスイッチSW2を導通状態に設定し、第1のスイッチSW1及び第3のスイッチSW3を非導通状態に設定する制御(第2の制御)を実行する。
【0063】
方法MT1は、工程ST1と工程ST2との間に工程STG11を更に含んでいてもよい。工程STG11は、期間TG11(第3の期間)において実行される。期間TG11は、第1の期間T1の終了時点と第2の期間T2の開始時点との間の期間である。工程STG11では、下部電極18とグランドとを互いに接続するために、第3のスイッチSW3が導通状態に設定される。工程STG11では、第1の出力70aと下部電極18との間の接続を切断するために第1のスイッチSW1が非導通状態に設定される。工程STG11では、第2の出力70bと下部電極18との間の接続を切断するために第2のスイッチSW2が非導通状態に設定される。工程STG11の実行のために、制御部MCは、第3のスイッチSW3を導通状態に設定し、第1のスイッチSW1及び第2のスイッチSW2を非導通状態に設定する制御(第3の制御)を実行する。
【0064】
方法MT1は、工程STG11と工程ST2との間に工程STF11を更に含んでいてもよい。工程STF11は、期間TF11において実行される。期間TF11は、期間TG11の終了時点と第2の期間T2の開始時点との間の期間である。工程STF11では、第1のスイッチSW1、第2のスイッチSW2、及び第3のスイッチSW3が非導通状態に設定される。即ち、工程STF11では、下部電極18の電位がフロート状態に設定される。工程STF11の実行のために、制御部MCは、第1のスイッチSW1、第2のスイッチSW2、及び第3のスイッチSW3を非導通状態に設定する制御を実行する。
【0065】
方法MT1では、工程ST1と工程ST2が交互に繰り返されてもよい。この場合において、方法MT1は、工程ST2と次の工程ST1との間に工程STG12を更に含んでいてもよい。工程STG12は、期間TG12において実行される。期間TG12は、第2の期間T2の終了時点と次の第1の期間T1の開始時点との間の期間である。工程STG12では、下部電極18とグランドとを互いに接続するために、第3のスイッチSW3が導通状態に設定される。工程STG12では、第1の出力70aと下部電極18との間の接続を切断するために第1のスイッチSW1が非導通状態に設定される。工程STG12では、第2の出力70bと下部電極18との間の接続を切断するために第2のスイッチSW2が非導通状態に設定される。工程STG12の実行のために、制御部MCは、第3のスイッチSW3を導通状態に設定し、第1のスイッチSW1及び第2のスイッチSW2を非導通状態に設定する制御を実行する。
【0066】
方法MT1は、工程STG12と次の工程ST1との間に工程STF12を更に含んでいてもよい。工程STF12は、期間TF12において実行される。期間TF12は、期間TG12の終了時点と次の第1の期間T1の開始時点との間の期間である。工程STF12では、第1のスイッチSW1、第2のスイッチSW2、及び第3のスイッチSW3が非導通状態に設定される。即ち、工程STF12では、下部電極18の電位がフロート状態に設定される。工程STF12の実行のために、制御部MCは、第1のスイッチSW1、第2のスイッチSW2、及び第3のスイッチSW3を非導通状態に設定する制御を実行する。
【0067】
方法MT1は、工程STJ1を更に含み得る。工程STJ1では、停止条件が満たされるか否かが判定される。停止条件は、例えば、工程ST1及び工程ST2を含むシーケンスSQ1の実行回数が所定回数に達している場合に満たされる。工程STJ1において停止条件が満たされていないと判定されると、シーケンスSQ1が工程ST1から再び実行される。一方、工程STJ1において停止条件が満たされていると判定されると、方法MT1が終了する。
【0068】
上述したように、第1の直流電圧と第2の直流電圧は、互いに同じ極性を有する。また、第1の直流電圧と第2の直流電圧のうち一方の直流電圧の絶対値は、他方の直流電圧の絶対値よりも小さい。したがって、第1の期間T1と第2の期間T2のうち一方の直流電圧が下部電極18に印加される一方の期間において基板Wに供給されるイオンのエネルギーは、他方の期間において基板Wに供給されるイオンのエネルギーよりも低い。また、一方の期間において基板Wに供給されるイオンのエネルギーは、下部電極18の電位が接地電位であるならば基板Wに供給されるエネルギーよりも高い。故に、単一レベルの直流電圧が下部電極18に印加されるときに基板に供給されるイオンのエネルギーと下部電極18の電位が接地電位であるならば基板Wに供給されるイオンのエネルギーとの間のエネルギーを有するイオンを基板Wに供給することが可能となる。
【0069】
以下、図5を参照する。図5は、図1に示すプラズマ処理方法に関連する別の例のタイミングチャートである。図4に示す例では、シーケンスSQ1の実行中又は繰り返し中に高周波電力RFは連続的に供給されている。図5に示すように、方法MT1では、高周波電力RFの供給と供給停止が交互に切り替えられてもよい。図5に示す例では、高周波電力RFの供給は、第1の期間T1及び第2の期間T2において、停止される。図5に示す例では、高周波電力RFは、第1の期間T1及び第2の期間T2以外の期間において供給される。
【0070】
以下、図6を参照して、別の実施形態に係るプラズマ処理方法について説明する。図6は、別の例示的実施形態に係るプラズマ処理方法の流れ図である。図6に示すプラズマ処理方法(以下、「方法MT2」という)は、プラズマ処理装置を用いて実行される。図7は、別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。以下、図7に示すプラズマ処理装置1Bのプラズマ処理装置1に対する相違点について説明する。
【0071】
プラズマ処理装置1Bは、電源装置70に代えて、電源装置70Bを備えている。電源装置70Bは、出力70Baを有する。電源装置70Bは、直流電圧を発生する直流電源を有し、当該直流電圧を出力70Baから出力するように構成されている。電源装置70Bが出力する直流電圧のレベルは単一のレベルであり得る。
【0072】
プラズマ処理装置1Bは、第1のスイッチSWB1及び第2のスイッチSWB2を更に備え得る。第1のスイッチSWB1は、電源装置70Bの出力70Baと下部電極18との間で接続されている。第2のスイッチSWB2は、下部電極18とグランドとの間で接続されている。一実施形態において、第1のスイッチSWB1は、電気的パス74に接続している。電気的パス74は、電気的パス64に接続している。第2のスイッチSWB2は、グランドと電気的パス74との間で接続されている。
【0073】
以下、図6及び図8を参照して、方法MT2について詳細に説明する。また、以下では、プラズマ処理装置1Bの制御部MCによる電源装置70Bから下部電極18への電圧の印加の制御についても説明する。図8は、図6に示すプラズマ処理方法に関連する一例のタイミングチャートである。図8において、横軸は時間を示している。図8において、縦軸は、第1のスイッチSWB1及び第2のスイッチSWB2の各々の状態、下部電極18の電位、及び基板Wの電位を示している。第1のスイッチSWB1及び第2のスイッチSWB2の各々の状態の「ON」は、導通状態を示している。第1のスイッチSWB1及び第2のスイッチSWB2の各々の状態の「OFF」は、非導通状態を示している。
【0074】
方法MT2は、基板Wが基板支持器16上に載置された状態で実行される。図6に示すように、方法MT2は、工程STPで開始する。方法MT2の工程STPは、方法MT1の工程STPと同じ工程である。方法MT2においても、工程STPの実行のために、ガス供給部、排気装置50、及び高周波電源61は、制御部MCによって制御される。以下に説明する方法MT2の工程ST21、工程ST22、及び工程ST23は、工程STPでのプラズマの生成中に実行される。
【0075】
工程ST21は、第1の期間T21において実行される。工程ST21では、下部電極18に電源装置70Bから直流電圧が印加される。第1の期間T21は、予め定められた時間長を有し得る。第1の期間T21は、出力70Baと下部電極18とが互いに接続された後に下部電極18の電位が定常状態になっている期間を含む。工程ST21では、出力70Baと下部電極18とを互いに接続するために、第1のスイッチSWB1が導通状態に設定される。工程ST21では、下部電極18とグランドとの間の接続を切断するために第2のスイッチSWB2が非導通状態に設定される。工程ST21の実行のために、制御部MCは、第1のスイッチSWB1を導通状態に設定し、第2のスイッチSWB2を非導通状態に設定する制御(第1の制御)を実行する。
【0076】
工程ST22は、第2の期間T22において実行される。第2の期間T22は、第1の期間T21とは異なる期間である。工程ST22では、下部電極18がグランドに接続される。工程ST22では、下部電極18は電源装置70Bから電気的に分離される。工程ST22では、下部電極18をグランドに接続するために第2のスイッチSWB2が導通状態に設定される。工程ST22では、出力70Baと下部電極18との間の接続を切断するために第1のスイッチSWB1が非導通状態に設定される。工程ST22の実行のために、制御部MCは、第2のスイッチSWB2を導通状態に設定し、第1のスイッチSWB1を非導通状態に設定する制御(第2の制御)を実行する。第2の期間T22は、下部電極18の電位が接地電位に到達する前に終了する。第2の期間T22の時間長は、予め定められていてもよい。
【0077】
工程ST23は、第3の期間T23において実行される。第3の期間T23は、第2の期間T22の後の期間であり、第2の期間T22においてグランドに接続された下部電極18の電位が接地電位に到達する前に開始する。工程ST23では、下部電極18に電源装置70Bが接続される。工程ST23では、下部電極18はグランドから電気的に分離される。工程ST23では、出力70Baと下部電極18とを互いに接続するために、第1のスイッチSWB1が導通状態に設定される。工程ST23では、下部電極18とグランドとの間の接続を切断するために第2のスイッチSWB2が非導通状態に設定される。工程ST23の実行のために、制御部MCは、第1のスイッチSWB1を導通状態に設定し、第2のスイッチSWB2を非導通状態に設定する制御(第3の制御)を実行する。
【0078】
工程ST23の終了時点、即ち第3の期間T23の終了時点は、下部電極18の電位が定常状態になる前の時点である。第3の期間T23は、予め定められた時間長を有し得る。第3の期間T23の終了時点において、下部電極18は、電源装置70Bから電気的に分離される。即ち、第3の期間T23の終了時点において、制御部MCは、第1のスイッチSWB1を非導通状態に設定する。
【0079】
一実施形態において、方法MT2は、工程STF21を更に含んでいてもよい。工程STF21は、工程ST22と工程ST23との間で実行される。即ち、工程STF21は、第2の期間T22の終了時点と第3の期間T23の開始時点との間の期間TF21において、実行される。工程STF21では、下部電極18が、電源装置70Bとグランドの双方から電気的に分離される。工程STF21では、第1のスイッチSWB1及び第2のスイッチSWB2の双方が非導通状態に設定される。工程STF21の実行のために、制御部MCは、第1のスイッチSWB1及び第2のスイッチSWB2の双方を非導通状態に設定する制御を実行する。
【0080】
一実施形態において、工程ST22と工程ST23は交互に繰り返されてもよい。即ち、工程ST22と工程ST23を含むシーケンスSQ21が繰り返されてもよい。この場合において、方法MT2は、工程STJ21を更に含む。工程STJ21では、停止条件が満たされるか否かが判定される。停止条件は、例えば、シーケンスSQ21の実行回数が所定回数に達している場合に満たされる。工程STJ21において停止条件が満たされていないと判定されると、シーケンスSQ21が工程ST22から再び実行される。一方、工程STJ21において停止条件が満たされていると判定されると、シーケンスSQ21の繰り返しが終了する。
【0081】
一実施形態においては、工程ST21とシーケンスSQ21とを含むシーケンスSQ22が繰り返されてもよい。シーケンスSQ22は、工程ST24を更に含んでいてもよい。工程ST24は、工程STJ21の判定の後に、実行される。即ち、工程ST24は、第3の期間T23の後の期間T24において実行される。
【0082】
工程ST24では、下部電極18がグランドに接続される。工程ST24では、下部電極18は電源装置70Bから電気的に分離される。工程ST24では、下部電極18をグランドに接続するために第2のスイッチSWB2が導通状態に設定される。工程ST24では、出力70Baと下部電極18との間の接続を切断するために第1のスイッチSWB1が非導通状態に設定される。工程ST24の実行のために、制御部MCは、第2のスイッチSWB2を導通状態に設定し、第1のスイッチSWB1を非導通状態に設定する制御を実行する。
【0083】
シーケンスSQ22は、工程STF22を更に含んでいてもよい。工程STF22は、工程ST24の後に、実行される。即ち、工程STF22は、期間T24の後の期間TF22において実行される。工程STF22では、下部電極18が、電源装置70Bとグランドの双方から電気的に分離される。工程STF22では、第1のスイッチSWB1及び第2のスイッチSWB2の双方が非導通状態に設定される。工程STF22の実行のために、制御部MCは、第1のスイッチSWB1及び第2のスイッチSWB2の双方を非導通状態に設定する制御を実行する。
【0084】
方法MT2は、工程STJ22を更に含み得る。工程STJ22では、停止条件が満たされるか否かが判定される。停止条件は、例えば、シーケンスSQ22の実行回数が所定回数に達している場合に満たされる。工程STJ22において停止条件が満たされていないと判定されると、シーケンスSQ22が工程ST21から再び実行される。一方、工程STJ22において停止条件が満たされていると判定されると、方法MT2が終了する。
【0085】
第2の期間T22では、下部電極18の電位の絶対値は、第1の期間T21の下部電極18の電位の絶対値から減少するが、ゼロには到達しない。また、第3の期間T23では、下部電極18の電位の絶対値は、第2の期間T22の下部電極18の電位の絶対値から増加するが、第1の期間T21の下部電極18の電位と同じ電位には到達しない。したがって、第2の期間T22において基板Wに供給されるイオンのエネルギー及び第3の期間T23において基板Wに供給されるイオンのエネルギーは、第1の期間T21において基板に供給されるイオンのエネルギーよりも低い。また、第2の期間T22において基板Wに供給されるイオンのエネルギー及び第3の期間T23において基板Wに供給されるイオンのエネルギーは、下部電極18の電位が接地電位であるならば基板Wに供給されるエネルギーよりも高い。故に、単一レベルの直流電圧が下部電極18に印加されるときに基板に供給されるイオンのエネルギーと下部電極18の電位が接地電位であるならば基板に供給されるイオンのエネルギーとの間のエネルギーを有するイオンを基板に供給することが可能となる。
【0086】
以下、図8及び図9を参照する。図9は、一つ以上の電位測定プローブの例を示す図である。プラズマ処理装置1Bは、一つ以上の電位測定プローブを更に備えていてもよい。図9に示す例では、プラズマ処理装置1Bは、電位測定プローブ81を備えている。電位測定プローブ81は、基板Wの電位を測定するように構成されている。制御部MCは、電位測定プローブ81によって測定された電位が指定電位V23に到達した時点で、工程ST22を終了させてもよい。即ち、制御部MCは、電位測定プローブ81によって測定された電位が指定電位V23に到達した時点で、第2のスイッチSWB2を非導通状態に設定してもよい。
【0087】
また、制御部MCは、電位測定プローブ81によって測定された電位が指定電位V22に到達した時点で、工程ST23を終了させてもよい。即ち、制御部MCは、電位測定プローブ81によって測定された電位が指定電位V22に到達した時点で、第1のスイッチSWB1を非導通状態に設定してもよい。
【0088】
別の例では、プラズマ処理装置1Bは、一つ以上の電位測定プローブとして、電位測定プローブ82又は電位測定プローブ83を更に備えていてもよい。電位測定プローブ82は、エッジリングERの電位を測定するように構成されている。電位測定プローブ83は、下部電極18の電位を測定するように構成されている。制御部MCは、電位測定プローブ82又は電位測定プローブ83によって測定された電位が指定電位に到達した時点で、工程ST22を終了させてもよい。また、制御部MCは、電位測定プローブ82又は電位測定プローブ83によって測定された電位が別の指定電位に到達した時点で、工程ST23を終了させてもよい。
【0089】
以下、図10を参照して、更に別の実施形態に係るプラズマ処理方法について説明する。図10は、更に別の例示的実施形態に係るプラズマ処理方法の流れ図である。図10に示すプラズマ処理方法(以下、「方法MT3」という)は、プラズマ処理装置を用いて実行される。方法MT3の実行には、プラズマ処理装置1が用いられ得る。方法MT3の実行においてプラズマ処理装置1が用いられる場合に、電源装置70の第2の出力70bから出力される第2の直流電圧は、電源装置70の第1の出力70aから出力される第1の直流電圧のレベル(絶対値)よりも低いレベル(絶対値)を有する。
【0090】
以下、図10及び図11を参照して、方法MT3について詳細に説明する。また、以下では、プラズマ処理装置1の制御部MCによる電源装置70から下部電極18への電圧の印加の制御についても説明する。図11は、図10に示すプラズマ処理方法に関連する一例のタイミングチャートである。図11において、横軸は時間を示している。図11において、縦軸は、第1のスイッチSW1、第2のスイッチSW2、及び第3のスイッチSW3の各々の状態、下部電極18の電位、及び基板Wの電位を示している。第1のスイッチSW1、第2のスイッチSW2、及び第3のスイッチSW3の各々の状態の「ON」は、導通状態を示している。第1のスイッチSW1、第2のスイッチSW2、及び第3のスイッチSW3の各々の状態の「OFF」は、非導通状態を示している。
【0091】
方法MT3は、基板Wが基板支持器16上に載置された状態で実行される。図10に示すように、方法MT3は、工程STPで開始する。方法MT3の工程STPは、方法MT1の工程STPと同じ工程である。方法MT3においても、工程STPの実行のために、ガス供給部、排気装置50、及び高周波電源61は、制御部MCによって制御される。以下に説明する方法MT3の工程ST31、工程ST32、及び工程ST33は、工程STPでのプラズマの生成中に実行される。
【0092】
工程ST31は、第1の期間T31において実行される。工程ST31では、下部電極18に電源装置70の第1の出力70aから第1の直流電圧が印加される。第1の期間T31は、予め定められた時間長を有し得る。第1の期間T31は、第1の出力70aと下部電極18とが互いに接続された後に下部電極18の電位が定常状態になっている期間を含む。工程ST31では、第1の出力70aと下部電極18とを互いに接続するために、第1のスイッチSW1が導通状態に設定される。工程ST31では、下部電極18と第2の出力70bとの間の接続を切断するために、第2のスイッチSW2が非導通状態に設定される。工程ST31では、下部電極18とグランドとの間の接続を切断するために第3のスイッチSW3が非導通状態に設定される。工程ST31の実行のために、制御部MCは、第1のスイッチSW1を導通状態に設定し、第2のスイッチSW2及び第3のスイッチSW3を非導通状態に設定する制御(第1の制御)を実行する。
【0093】
工程ST32は、第2の期間T32において実行される。第2の期間T32は、第1の期間T31とは異なる期間である。工程ST32では、下部電極18がグランドに接続される。工程ST32では、下部電極18は、第1の出力70a及び第2の出力70bから電気的に分離される。工程ST32では、下部電極18をグランドに接続するために、第3のスイッチSW3が導通状態に設定される。工程ST32では、第1の出力70aと下部電極18との間の接続を切断するために第1のスイッチSW1が非導通状態に設定される。工程ST32では、第2の出力70bと下部電極18との間の接続を切断するために第2のスイッチSW2が非導通状態に設定される。工程ST32の実行のために、制御部MCは、第3のスイッチSW3を導通状態に設定し、第1のスイッチSW1及び第2のスイッチSW2を非導通状態に設定する制御(第2の制御)を実行する。第2の期間T32は、下部電極18の電位が接地電位に到達する前に終了する。第2の期間T32の時間長は、予め定められていてもよい。
【0094】
工程ST33は、第3の期間T33において実行される。第3の期間T33は、第2の期間T32の後の期間であり、第2の期間T32においてグランドに接続された下部電極18の電位が接地電位に到達する前に開始する。工程ST33では、下部電極18に第2の出力70bが接続される。工程ST33では、下部電極18は第1の出力70a及びグランドから電気的に分離される。工程ST33では、第2の出力70bと下部電極18とを互いに接続するために、第2のスイッチSW2が導通状態に設定される。工程ST33では、下部電極18と第1の出力70aとの間の接続を切断するために、第1のスイッチSW1が非導通状態に設定される。工程ST33では、下部電極18とグランドとの間の接続を切断するために第3のスイッチSW3が非導通状態に設定される。工程ST32の実行のために、制御部MCは、第2のスイッチSW2を導通状態に設定し、第1のスイッチSW1及び第3のスイッチSW3を非導通状態に設定する制御(第3の制御)を実行する。
【0095】
工程ST33の終了時点、即ち第3の期間T33の終了時点は、下部電極18の電位が定常状態になる前の時点である。第3の期間T33は、予め定められた時間長を有し得る。第3の期間T33の終了時点において、下部電極18は、電源装置70の第2の出力70bから電気的に分離される。即ち、第3の期間T33の終了時点において、制御部MCは、第2のスイッチSW2を非導通状態に設定する。
【0096】
一実施形態において、方法MT3は、工程STF31を更に含んでいてもよい。工程STF31は、工程ST32と工程ST33との間で実行される。即ち、工程STF31は、第2の期間T32の終了時点と第3の期間T33の開始時点との間の期間TF31において、実行される。工程STF31では、下部電極18が、第1の出力70a、第2の出力70b、及びグランドから電気的に分離される。工程STF31では、第1のスイッチSW1、第2のスイッチSW2、及び第3のスイッチSW3が非導通状態に設定される。工程STF31の実行のために、制御部MCは、第1のスイッチSW1、第2のスイッチSW2、及び第3のスイッチSW3を非導通状態に設定する制御を実行する。
【0097】
一実施形態において、工程ST32と工程ST33は交互に繰り返されてもよい。即ち、工程ST32と工程ST33を含むシーケンスSQ31が繰り返されてもよい。この場合において、方法MT3は、工程STJ31を含む。工程STJ31では、停止条件が満たされるか否かが判定される。停止条件は、例えば、シーケンスSQ31の実行回数が所定回数に達している場合に満たされる。工程STJ31において停止条件が満たされていないと判定されると、シーケンスSQ31が工程ST32から再び実行される。一方、工程STJ31において停止条件が満たされていると判定されると、シーケンスSQ31の繰り返しが終了する。
【0098】
一実施形態においては、工程ST31とシーケンスSQ31とを含むシーケンスSQ32が繰り返されてもよい。シーケンスSQ32は、工程ST34を更に含んでいてもよい。工程ST34は、工程STJ31の判定の後に、実行される。即ち、工程ST34は、第3の期間T33の後の期間T34において実行される。
【0099】
工程ST34では、下部電極18がグランドに接続される。工程ST34では、下部電極18は第1の出力70a及び第2の出力70bから電気的に分離される。工程ST34では、下部電極18をグランドに接続するために第3のスイッチSW3が導通状態に設定される。工程ST34では、第1の出力70aと下部電極18との間の接続を切断するために第1のスイッチSW1が非導通状態に設定される。工程ST34では、第2の出力70bと下部電極18との間の接続を切断するために第2のスイッチSW2が非導通状態に設定される。工程ST34の実行のために、制御部MCは、第3のスイッチSW3を導通状態に設定し、第1のスイッチSW1及び第2のスイッチSW2を非導通状態に設定する制御を実行する。
【0100】
シーケンスSQ32は、工程STF32を更に含んでいてもよい。工程STF32は、工程ST34の後に、実行される。即ち、工程STF32は、期間T34の後の期間TF32において実行される。工程STF32では、下部電極18が、第1の出力70a、第2の出力70b、及びグランドから電気的に分離される。工程STF32では、第1のスイッチSW1、第2のスイッチSW2、及び第3のスイッチSW3が非導通状態に設定される。工程STF32の実行のために、制御部MCは、第1のスイッチSW1、第2のスイッチSW2、及び第3のスイッチSW3を非導通状態に設定する制御を実行する。
【0101】
方法MT3は、工程STJ32を更に含み得る。工程STJ32では、停止条件が満たされるか否かが判定される。停止条件は、例えば、シーケンスSQ32の実行回数が所定回数に達している場合に満たされる。工程STJ32において停止条件が満たされていないと判定されると、シーケンスSQ32が工程ST31から再び実行される。一方、工程STJ32において停止条件が満たされていると判定されると、方法MT3が終了する。
【0102】
第2の期間T32では、下部電極18の電位の絶対値は、第1の期間T31の下部電極18の電位の絶対値から減少するが、ゼロには到達しない。また、第3の期間T33では、下部電極18の電位の絶対値は、第2の期間T32の下部電極18の電位の絶対値から増加するが、第1の期間T31の下部電極18の電位と同じ電位には到達しない。したがって、第2の期間T32において基板Wに供給されるイオンのエネルギー及び第3の期間T33において基板Wに供給されるイオンのエネルギーは、第1の期間T31において基板に供給されるイオンのエネルギーよりも低い。また、第2の期間T32において基板Wに供給されるイオンのエネルギー及び第3の期間T33において基板Wに供給されるイオンのエネルギーは、下部電極18の電位が接地電位であるならば基板Wに供給されるエネルギーよりも高い。故に、単一レベルの直流電圧が下部電極18に印加されるときに基板に供給されるイオンのエネルギーと下部電極18の電位が接地電位であるならば基板に供給されるイオンのエネルギーとの間のエネルギーを有するイオンを基板に供給することが可能となる。
【0103】
なお、方法MT3の実行においても、電位測定プローブ81、電位測定プローブ82、又は電位測定プローブ83が用いられてもよい。制御部MCは、電位測定プローブ81によって測定された基板Wの電位が指定電位V33に到達した時点で、工程ST32を終了させてもよい。即ち、制御部MCは、電位測定プローブ81によって測定された電位が指定電位V33に到達した時点で、第3のスイッチSW3を非導通状態に設定してもよい。
【0104】
また、制御部MCは、電位測定プローブ81によって測定された基板Wの電位が指定電位V32に到達した時点で、工程ST33を終了させてもよい。即ち、制御部MCは、電位測定プローブ81によって測定された基板Wの電位が指定電位V32に到達した時点で、第2のスイッチSW2を非導通状態に設定してもよい。
【0105】
別の例では、制御部MCは、電位測定プローブ82によって測定されたエッジリングERの電位又は電位測定プローブ83によって測定された下部電極18の電位が指定電位に到達した時点で、工程ST32を終了させてもよい。また、制御部MCは、電位測定プローブ82によって測定されたエッジリングERの電位又は電位測定プローブ83によって測定された下部電極18の電位が別の指定電位に到達した時点で、工程ST33を終了させてもよい。
【0106】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。
【0107】
例えば、方法MT1、方法MT2、及び方法MT3において用いられるプラズマ処理装置は、容量結合型以外の任意のタイプのプラズマ処理装置であってもよい。そのようなプラズマ処理装置としては、誘導結合型のプラズマ処理装置、マイクロ波といった表面波を用いてプラズマを生成するプラズマ処理装置等が例示される。また、種々の実施形態に係るプラズマ処理方法の各々において下部電極18に設定される電位のレベルの個数は、三つよりも多くてもよい。
【0108】
以上の説明から、本開示の種々の実施形態は、説明の目的で本明細書で説明されており、本開示の範囲及び主旨から逸脱することなく種々の変更をなし得ることが、理解されるであろう。したがって、本明細書に開示した種々の実施形態は限定することを意図しておらず、真の範囲と主旨は、添付の特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0109】
1…プラズマ処理装置、10…チャンバ、16…基板支持器、18…下部電極、70…電源装置、T1…第1の期間、T2…第2の期間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11