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特開2023-603スクリューコンベヤ、及び紙片からの石膏の分離方法
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  • 特開-スクリューコンベヤ、及び紙片からの石膏の分離方法 図1
  • 特開-スクリューコンベヤ、及び紙片からの石膏の分離方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000603
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】スクリューコンベヤ、及び紙片からの石膏の分離方法
(51)【国際特許分類】
   B07B 1/04 20060101AFI20221222BHJP
   B07B 1/00 20060101ALI20221222BHJP
   B02C 23/14 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
B07B1/04 Z
B07B1/00 B
B02C23/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021101531
(22)【出願日】2021-06-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003182
【氏名又は名称】株式会社トクヤマ
(74)【代理人】
【識別番号】100086830
【弁理士】
【氏名又は名称】塩入 明
(74)【代理人】
【識別番号】100096046
【弁理士】
【氏名又は名称】塩入 みか
(72)【発明者】
【氏名】平中 晋吾
【テーマコード(参考)】
4D021
4D067
【Fターム(参考)】
4D021AA03
4D021AA12
4D021AB02
4D021CA01
4D021CB02
4D021DA13
4D021DA20
4D021EA10
4D021EB01
4D067EE04
4D067EE11
4D067EE14
4D067EE17
4D067EE27
4D067EE50
4D067GA20
4D067GB05
(57)【要約】

【課題】 廃石膏ボードから二水石膏を回収する際に、廃石膏ボード由来の紙片をスクリューコンベヤにより搬送すると共に、紙片に付着している石膏を分離する。
【構成】 スクリューコンベヤは、一方向に被搬送物を送るための羽根を複数備えるスクリュー軸と、スクリュー軸を回転させる駆動手段と、スクリュー軸を取り囲むケーシングとを備えている。スクリュー軸は、長さ方向中間部に羽根が無い区間を備え、かつケーシングの底部にメッシュが設けられている。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に被搬送物を送るための羽根を複数備えるスクリュー軸と、
前記スクリュー軸を回転させる駆動手段と、
前記スクリュー軸を取り囲むケーシングとを備え、
前記スクリュー軸は、長さ方向中間部に前記羽根が無い区間を備え、
かつ前記ケーシングの底部にメッシュが設けられている、スクリューコンベヤ。
【請求項2】
前記区間に前記一方向とは反対方向に被搬送物を搬送する逆送羽根が設けられている、請求項1に記載のスクリューコンベヤ。
【請求項3】
廃石膏ボードを破砕し分離することにより得た紙片を、スクリューコンベヤにより搬送するに際して、
請求項1または2の何れかに記載のスクリューコンベヤを用いて、前記紙片を搬送し、
前記区間で紙片を圧縮することにより、紙片から石膏を分離し、
分離した石膏を前記メッシュからケーシングの外部に排出する、
紙片からの石膏の分離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スクリューコンベヤ、及び紙片から石膏を分離する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明者らは、廃石膏ボードからの二水石膏の工業的回収に成功した(特許文献1:WO2012/176688A)。廃石膏ボードを破砕し、紙片及び石膏片とする。これらを篩分けし、紙片を製紙原料等として回収する。石膏片を加熱し半水石膏及び/叉は無水III型石膏とし、石膏スラリーと混合し、晶析槽で二水石膏結晶を析出させる。二水石膏が析出したスラリーから篩により紙粉を除去し、固液分離装置で二水石膏粉体を抽出する。抽出した二水石膏粉体は石膏ボード原料等となる。
【0003】
破砕後に篩分した紙片には、石膏が付着している。紙片と石膏をさらに分離できれば、紙片の価値が増し、また石膏の回収率も向上する。しかし紙片に付着した石膏を除去するために、別途専用の設備を設けることは非効率である。
【0004】
関連する先行技術を示す。特許文献2(特許3281340)は、2軸のスクリューコンベヤにより石膏ボードを破砕し、紙片と石膏に選別する装置を開示している。スクリューコンベヤの羽根の外周に破砕板を設け、ケーシングの内周と破砕板の間に廃石膏を挟み込み破砕する。破砕された石膏をケーシングの孔から落下させ、紙片はスクリューコンベヤにより搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2012/176688A
【特許文献2】特許3281340
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の課題は、
・ 被搬送物を搬送する際に、付着している異物を分離できるスクリューコンベヤを提供すること、及び
・ このスクリューコンベヤを用いて、廃石膏ボードを破砕して得られた紙片の搬送と、紙片からの石膏の分離を同時に行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明のスクリューコンベヤは、
一方向に被搬送物を送るための羽根を複数備えるスクリュー軸と、
前記スクリュー軸を回転させる駆動手段と、
前記スクリュー軸を取り囲むケーシングとを備え、
前記スクリュー軸は、長さ方向中間部に前記羽根が無い区間を備え、
かつ前記ケーシングの底部にメッシュが設けられている。
【0008】
好ましくは、前記区間に、前記一方向とは反対方向に被搬送物を搬送する逆送羽根が設けられている。
【0009】
この発明のスクリューコンベヤでは、羽根が無い区間を設けることにより、被搬送物へ作用する搬送力をその区間で低下させる。この区間で被搬送物は圧縮され、互いに擦れ合う。すると被搬送物から付着物が脱落するので、付着物をメッシュを介してスクリューコンベヤの外部に排出する。この発明のスクリューコンベヤでは、被搬送物の搬送と同時に付着物を分離できる。なおここで羽根が無い区間とは、スクリューコンベヤの投入口から出口への順方向に搬送する順送羽根が無い区間との意味である。この区間に前記一方向とは反対方向に被搬送物を搬送する逆送羽根を設けると、順送羽根からの力と逆送羽根からの力とが働き、被搬送物は強く圧縮されかつ強く擦れ合う。このためより効率的に付着物を分離できる。
【0010】
この発明の紙片からの石膏の分離方法では、廃石膏ボードを破砕し分離することにより得た紙片を、スクリューコンベヤにより搬送するに際して、
上記のスクリューコンベヤを用いて、前記紙片を搬送し、
前記区間で紙片を圧縮することにより、紙片から石膏を分離し、
分離した石膏を前記メッシュからケーシングの外部に排出する。
【0011】
この発明の紙片からの石膏の分離方法では、紙片を搬送するスクリューコンベヤ内で石膏を紙片から分離できる。このため別途に専用の設備を設けずに、紙片の不純物である石膏を除き、かつ石膏の回収率も増すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】廃石膏ボードからの二水石膏の回収システムを示す図
図2】実施例のスクリューコンベヤの断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明を実施するための実施例を示す。この発明の範囲は、特許請求の範囲の記載に基づき、明細書の記載とこの分野での周知技術とを参酌し、当業者の理解に従って定められるべきである。この発明の範囲は実施例により限定されるものではない。
【実施例0014】
図1は、実施例のスクリューコンベヤ8を備えた、廃石膏ボードからの二水石膏の回収システム2を示す。廃石膏ボードをクラッシャー、シュレッダー等の破砕機4で破砕し、紙片及び石膏とする。これらを振動篩等の篩6により篩上の紙片と篩下の石膏とに分離する。分離した紙片をスクリューコンベヤ8で搬送し、搬送と同時に付着している石膏を紙片から分離する。石膏を除いた紙片は製紙原料等となる。
【0015】
スクリューコンベヤ8で分離した石膏は篩下の石膏と共に加熱器で加熱し、半水及び/叉は無水III型の石膏とし、混合器で石膏スラリーと混合する。晶析槽14でスラリーから二水石膏結晶を析出させ、振動篩16等の篩でスラリー中の紙粉を除去する。次いでスラリーをフィルタープレス等の固液分離装置18で処理し、二水石膏粉体を抽出し、スラリーは混合器12等へ還流させる。
【0016】
図2にスクリューコンベヤ8の構造を示す。スクリューコンベヤ8は投入口27から出口28へ上向きに傾斜しており、図の下部の鎖線は水平と上下の方向を示す。円筒状のケーシング26の中心軸に沿って回転軸20が設けられ、モータ等の駆動源24に回転する。回転軸20は投入口27側と出口28側の双方に順送羽根21を備え、紙片を投入口27から出口28側へ順方向に搬送する。中間の圧縮区間25には順送羽根21は無く、代わりに逆送羽根22を設け、紙片に投入口27側への搬送力を加える。さらに圧縮区間25及びその両側で、ケーシング26の底部及び側周の下部に、多数の開口から成るメッシュ30を設ける。
【0017】
圧縮区間25に、順送羽根21も逆送羽根22も設けず、単に回転軸20が貫通するだけにしても良い。また圧縮区間25に、逆送羽根22の代わりに、紙片の移動を制限する絞りあるいは邪魔板等を設けても良い。
【0018】
投入口27から投入された紙片は、順送羽根21により図の右側(実機では斜め上側)に搬送される。圧縮区間25では逆送羽根22が作用するため、紙片が圧縮されると共に紙片同士が擦れ合い、紙片から石膏が剥がされる。逆送羽根22が無い場合でも、順送羽根21からの推進力が低下するので、重力、及びケーシング26との摩擦(例えばメッシュ30との摩擦)等が抵抗として作用することのため、紙片の移動速度は低下する。すると紙片は圧縮され、石膏が剥離する。絞り、邪魔板等を設けると、紙片に圧縮力と摩擦力がより強く作用する。紙片から剥がれた石膏は、ケーシング26の底部付近のメッシュ30から落下し、紙片は出口28から排出される。
【0019】
好ましくは、メッシュ30の下部に補助スクリューコンベヤ32を設ける。円筒状のケーシング40の中心に回転軸34を設け、モータ等の駆動源40により回転させる。またケーシング40の中程に設けた出口42へ石膏を搬送するように、送り羽根35,36を回転軸34に取り付ける。出口42がケーシング40の中程に有るので、送り羽根35と送り羽根36は搬送方向が逆である。このようにしてメッシュ30から落下した石膏を搬送し、出口42から排出する。なお出口42がケーシング40の何れか一端に有る場合、石膏の搬送方向は一方向で、一種類の送り羽根を設ければ良い。
【0020】
実施例のスクリューコンベヤ8は、紙片の搬送と、紙片に付着した石膏の除去とを同時に行うことができる。このため出口28から取り出す紙片の価値を高め、また石膏の回収率を増すことができる。
【0021】
実施例では、スクリューコンベヤ8により紙片と石膏とを分離する。しかしスクリューコンベヤ8は、異物が付着したシート片状の被搬送物の搬送と付着物の分離を同時に行う用途一般に使用できる。
【符号の説明】
【0022】
2 石膏回収システム
4 破砕機
6 篩
8 スクリューコンベヤ
10 加熱機
12 混合器
14 晶析槽
16 篩
18 分離装置
20 回転軸
21 順送羽根
22 逆送羽根
24 駆動源
25 圧縮区間
26 ケーシング
27 投入口
28 出口
30 メッシュ
32 補助スクリューコンベヤ
34 回転軸
35,36 送り羽根
38 駆動源
40 ケーシング
42 出口
図1
図2