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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023060653
(43)【公開日】2023-04-28
(54)【発明の名称】D級増幅回路
(51)【国際特許分類】
   H03F 3/217 20060101AFI20230421BHJP
   H03F 3/68 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
H03F3/217 130
H03F3/68 210
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021170369
(22)【出願日】2021-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 康之
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA02
5J500AA23
5J500AA27
5J500AA41
5J500AA66
5J500AC36
5J500AC54
5J500AC73
5J500AC95
5J500AF12
5J500AF14
5J500AF15
5J500AF18
5J500AH02
5J500AH10
5J500AH17
5J500AH25
5J500AH33
5J500AK02
5J500AK05
5J500AK10
5J500AK15
5J500AK28
5J500AK33
5J500AK35
5J500AK42
5J500AK47
5J500AK53
5J500AK62
5J500AM19
5J500AM20
5J500AM21
5J500AS05
5J500AT01
5J500AT03
5J500AT06
5J500WU01
5J500WU09
(57)【要約】
【課題】容量性負荷駆動アプリケーションにおいて、実装面積を抑制し、かつ、消費電力を低減すること。
【解決手段】実施形態に係るD級増幅回路は、PWM変調回路と、第1の出力ドライバ及び第2の出力ドライバとを備える。PWM変調回路は、N値(Nは3以上の奇数)の出力論理を有する。第1の出力ドライバ及び第2の出力ドライバは、PWM変調回路の出力論理に応じた(N-1)/2+1段階の出力電圧レベルをそれぞれ有する。第1の出力ドライバ及び第2の出力ドライバの出力電圧レベルが等しい場合、第1の出力ドライバ及び第2の出力ドライバによる出力抵抗は、それぞれ第1の出力抵抗である。第1の出力ドライバ及び第2の出力ドライバの出力電圧レベルが異なる場合、第1の出力ドライバ及び第2の出力ドライバの少なくとも一方による出力抵抗は、第1の出力抵抗より大きい第2の出力抵抗である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
N値(Nは3以上の奇数)の出力論理を有するPWM変調回路と、
前記PWM変調回路の出力論理に応じた(N-1)/2+1段階の出力電圧レベルをそれぞれ有する、第1の出力ドライバ及び第2の出力ドライバと
を備え、
前記第1の出力ドライバ及び前記第2の出力ドライバの出力電圧レベルが等しい場合、前記第1の出力ドライバ及び前記第2の出力ドライバによる出力抵抗は、それぞれ第1の出力抵抗であり、
前記第1の出力ドライバ及び前記第2の出力ドライバの出力電圧レベルが異なる場合、前記第1の出力ドライバ及び前記第2の出力ドライバの少なくとも一方による出力抵抗は、前記第1の出力抵抗より大きい第2の出力抵抗である、
D級増幅回路。
【請求項2】
前記第1の出力ドライバ及び前記第2の出力ドライバの少なくとも一方の前記第2の出力抵抗とする出力ドライバにおけるジャンクション温度の変化に応じて、前記第2の出力抵抗が一定に保たれるように前記出力ドライバによる出力抵抗を制御する出力抵抗制御回路をさらに備える、請求項1に記載のD級増幅回路。
【請求項3】
前記第1の出力ドライバ及び前記第2の出力ドライバの出力電圧レベルが異なるパルス数をカウントし、前記パルス数が予め定められたカウント数に達するまでは、前記第1の出力ドライバ及び前記第2の出力ドライバによる出力抵抗を、それぞれ第1の出力抵抗とし、パルス数が予め定められたカウント数に達したとき、前記第1の出力ドライバ及び前記第2の出力ドライバによる出力抵抗を、それぞれ前記第2の出力抵抗とする論理回路構成をさらに備える、請求項1又は請求項2に記載のD級増幅回路。
【請求項4】
前記第1の出力ドライバ及び前記第2の出力ドライバからの出力電流を検出する負荷電流検出回路をさらに備え、
前記出力電流が予め定められた期間、予め定められたしきい値以下であるとき、前記第1の出力ドライバ及び前記第2の出力ドライバの出力電圧レベルによらず、前記第1の出力ドライバ及び前記第2の出力ドライバによる出力抵抗は、前記第2の出力抵抗である、
請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載のD級増幅回路。
【請求項5】
前記第1の出力ドライバ及び前記第2の出力ドライバの出力電圧レベルが等しくなってからの経過時間を計測し、前記経過時間が予め定められた時間に達するまでは、前記第1の出力ドライバ及び前記第2の出力ドライバによる出力抵抗を、それぞれ第1の出力抵抗とし、前記経過時間が予め定められた時間に達したとき、前記第1の出力ドライバ及び前記第2の出力ドライバによる出力抵抗を、それぞれ前記第2の出力抵抗とする論理回路構成をさらに備える、請求項1から請求項4のうちのいずれか一項に記載のD級増幅回路。
【請求項6】
スイッチング動作開始時から予め定められた時間が経過するまで、前記第1の出力ドライバ及び前記第2の出力ドライバの出力電圧レベルによらず、前記第1の出力ドライバ及び前記第2の出力ドライバによる出力抵抗を、前記第2の出力抵抗とする論理回路構成をさらに備える、請求項1から請求項5のうちのいずれか一項に記載のD級増幅回路。
【請求項7】
前記第1の出力ドライバ及び前記第2の出力ドライバの出力電圧レベルが等しい場合、前記第1の出力ドライバ及び前記第2の出力ドライバの出力電圧レベルは、それぞれ最低電圧レベルである、請求項1に記載のD級増幅回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の実施形態は、D級増幅回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オーディオアンプなどの増幅回路においては、環境への負荷を低減する観点から、電力効率が高いことが好ましい。例えばD級増幅回路は、他の増幅回路に比べて損失が小さく、高効率であることが知られている。
【0003】
例えば、誘導性のダイナミックスピーカやアクチュエータに代えて、圧電スピーカや圧電アクチュエータなどの容量性負荷を用いて低消費電力化を図るD級増幅回路の容量性負荷駆動アプリケーションがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,614,297号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、大容量の容量性負荷を搭載する容量性負荷駆動アプリケーションにおいては、印加電圧及び入力周波数が大きい場合、出力側のLCフィルタの共振を抑えるために定格電流及び許容損失の大きな部品を搭載する必要があり、実装面積が大きくなるという問題があった。また、当該部品による電力消費に起因して消費電力の低減が困難であるという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、上記に鑑みてなされたものであって、容量性負荷駆動アプリケーションにおいて、実装面積を抑制し、かつ、消費電力を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、実施形態に係るD級増幅回路は、PWM変調回路と、第1の出力ドライバ及び第2の出力ドライバとを備える。前記PWM変調回路は、N値(Nは3以上の奇数)の出力論理を有する。前記第1の出力ドライバ及び前記第2の出力ドライバは、前記PWM変調回路の出力論理に応じた(N-1)/2+1段階の出力電圧レベルをそれぞれ有する。前記第1の出力ドライバ及び前記第2の出力ドライバの出力電圧レベルが等しい場合、前記第1の出力ドライバ及び前記第2の出力ドライバによる出力抵抗は、それぞれ第1の出力抵抗である。前記第1の出力ドライバ及び前記第2の出力ドライバの出力電圧レベルが異なる場合、前記第1の出力ドライバ及び前記第2の出力ドライバの少なくとも一方による出力抵抗は、前記第1の出力抵抗より大きい第2の出力抵抗である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、容量性負荷駆動アプリケーションにおいて、実装面積を抑制し、かつ、消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施形態に係るD級増幅回路の構成の一例を示す図である。
図2図2は、図1のD級増幅回路の各部の動作波形の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係るD級増幅回路とは異なり、PWM信号の出力論理に応じてオン抵抗状態が変化しない、一般的なD級増幅回路の構成の一例を示す図である。
図4図4は、図3のD級増幅回路の各部の動作波形の一例を示す図である。
図5図5は、図3のD級増幅回路のLCフィルタの周波数特性の一例を示す図である。
図6図6は、第2の実施形態に係るD級増幅回路の構成の一例を示す図である。
図7図7は、図6のD級増幅回路におけるハイサイド側のゲート制御回路の構成の一例を示す図である。
図8図8は、第3の実施形態に係るD級増幅回路の構成の一例を示す図である。
図9図9は、第4の実施形態に係るD級増幅回路の構成の一例を示す図である。
図10図10は、図9のD級増幅回路の各部の動作波形の一例を示す図である。
図11図11は、第5の実施形態に係るD級増幅回路の構成の一例を示す図である。
図12図12は、第6の実施形態に係るD級増幅回路の構成の一例を示す図である。
図13図13は、図12のD級増幅回路の各部の動作波形の一例を示す図である。
図14図14は、第7の実施形態に係るD級増幅回路の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、D級増幅回路の実施形態について詳細に説明する。以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作を行うものとして、重複する説明は適宜省略する。なお、以下の実施形態において、「接続」とは、「電気的な接続」を意味するものとする。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るD級増幅回路101の構成の一例を示す図である。
【0012】
D級増幅回路101の入力端子INは、図1に示すように、入力信号源V101を介して、グラウンド電位に接続される。入力端子INには、例えばオーディオ信号など、入力信号源V101からの入力信号が入力される。
【0013】
D級増幅回路101の出力端子OUTP,OUTNには、図1に示すように、LCフィルタが接続される。LCフィルタは、出力端子OUTP,OUTNから出力される信号をフィルタリングしてアナログ信号に平滑するように構成される。具体的には、LCフィルタは、インダクタL101P及び容量性負荷CLOADを有する。容量性負荷CLOADは、一端がインダクタL101Pを介して正側の出力端子OUTPに接続され、他の一端が負側の出力端子OUTNに接続される。
【0014】
D級増幅回路101は、外部電源(図示しない)からの電源電圧を用いて入力信号源V101からの入力信号を増幅し、増幅されたパルス信号を出力端子OUTP,OUTNから出力するように構成される。なお、以下の説明では、外部電源(図示しない)に接続されるプラス側の電源端子の電位をVDDと記載する場合もある。同様に、マイナス側の電源端子の電位をVSS又はグラウンドと記載する場合もある。
【0015】
D級増幅回路101は、図1に示すように、3値PWM変調回路X102、XORゲートX105、インバータX103,X104,X106、ORゲートX107,X109、ANDゲートX108,X110、PMOSトランジスタM101,M103,M105,M107及びNMOSトランジスタM102,M104,M106,M108を有する。ここで、XORゲートX105、インバータX103,X106、ORゲートX107、ANDゲートX108、PMOSトランジスタM101,M103及びNMOSトランジスタM102,M104は、第1の出力ドライバの一例である。また、XORゲートX105、インバータX104,X106、ORゲートX109、ANDゲートX110、PMOSトランジスタM105,M107及びNMOSトランジスタM106,M108は、第2の出力ドライバの一例である。
【0016】
3値PWM変調回路X102の入力端は、入力端子INに接続される。3値PWM変調回路X102は、3値の出力論理を有するPWM変調回路である。3値PWM変調回路X102は、入力信号源V101からの入力信号に応じて、当該入力信号の振幅に応じたパルス幅のPWM(Pulse Width Modulation)信号を出力する。本実施形態では、プラス側の出力端から出力されるPWM信号とマイナス側の出力端から出力されるPWM信号とを、それぞれ、出力信号PWMP,PWMNとする。
【0017】
XORゲートX105の一対の入力端は、3値PWM変調回路X102の一対の出力端にそれぞれ接続される。
【0018】
インバータX103の入力端は、3値PWM変調回路X102のハイサイド側の出力端に接続される。インバータX104の入力端は、3値PWM変調回路X102のローサイド側の出力端に接続される。インバータX106の入力端は、XORゲートX105の出力端に接続される。
【0019】
ORゲートX107の一対の入力端は、XORゲートX105の出力端とインバータX103の出力端とに接続される。ORゲートX109の一対の入力端は、XORゲートX105の出力端とインバータX104の出力端とに接続される。
【0020】
ANDゲートX108の一対の入力端は、インバータX103,X106の各出力端に接続される。ANDゲートX110の一対の入力端は、インバータX104,X106の各出力端に接続される。
【0021】
PMOSトランジスタM101及びNMOSトランジスタM102は、それぞれハイサイド側のパワートランジスタである。PMOSトランジスタM101及びNMOSトランジスタM102の各ゲートは、インバータX103の出力端(N101)に接続される。PMOSトランジスタM101のソースは、外部電源(図示しない)のプラス側の電源端子に接続される。NMOSトランジスタM102のソースは、外部電源(図示しない)のマイナス側の電源端子に接続される。PMOSトランジスタM101及びNMOSトランジスタM102の各ドレインの接続点は、プラス側の出力端子OUTPに接続される。
【0022】
PMOSトランジスタM105及びNMOSトランジスタM106は、それぞれローサイド側のパワートランジスタである。PMOSトランジスタM105及びNMOSトランジスタM106の各ゲートは、インバータX104の出力端(N104)に接続される。PMOSトランジスタM105のソースは、外部電源(図示しない)のプラス側の電源端子に接続される。NMOSトランジスタM106のソースは、外部電源(図示しない)のマイナス側の電源端子に接続される。PMOSトランジスタM105及びNMOSトランジスタM106の各ドレインの接続点は、マイナス側の出力端子OUTNに接続される。
【0023】
PMOSトランジスタM103は、ソースが外部電源(図示しない)のプラス側の電源端子に接続され、ゲートがORゲートX107の出力端(N102)に接続される。NMOSトランジスタM104は、ソースが外部電源(図示しない)のマイナス側の電源端子に接続されゲートがANDゲートX108の出力端(N103)に接続される。PMOSトランジスタM103及びNMOSトランジスタM104の各ドレインの接続点は、プラス側の出力端子OUTPに接続される。
【0024】
PMOSトランジスタM107は、ソースが外部電源(図示しない)のプラス側の電源端子に接続され、ゲートがORゲートX109の出力端(N105)に接続される。NMOSトランジスタM108は、ソースが外部電源(図示しない)のマイナス側の電源端子に接続されゲートがANDゲートX110の出力端(N106)に接続される。PMOSトランジスタM107及びNMOSトランジスタM108の各ドレインの接続点は、マイナス側の出力端子OUTNに接続される。
【0025】
PMOSトランジスタM101,M105及びNMOSトランジスタM102,M106は、それぞれ高オン抵抗に設定されている。
【0026】
ここで、実施形態に係るD級増幅回路101の動作例について図面を参照しつつ説明する。図2は、図1のD級増幅回路101の各部の動作波形の一例を示す図である。
【0027】
3値PWM変調回路X102は、入力端子INからの入力信号に応じて、プラス側の出力信号PWMPと、マイナス側の出力信号PWMNとを出力する。
【0028】
インバータX103は、プラス側の出力信号PWMPの論理反転信号(N101)を出力し、ハイサイド側のパワートランジスタであるPMOSトランジスタM101及びNMOSトランジスタM102の各ゲートを駆動する。
【0029】
ORゲートX107は、3値PWM変調回路X102からの各出力信号PWMP,PWMNの排他的論理和信号と、インバータX103からのプラス側の出力信号PWMPの論理反転信号(N101)との論理和信号(N102)を出力し、PMOSトランジスタM103のゲートを駆動する。
【0030】
ANDゲートX108は、インバータX106からの出力信号PWMP,PWMNの排他的論理和信号の論理反転信号と、インバータX103からのプラス側の出力信号PWMPの論理反転信号(N101)との論理積信号(N103)を出力し、NMOSトランジスタM104のゲートを駆動する。
【0031】
インバータX104は、マイナス側の出力信号PWMNの論理反転信号(N104)を出力し、ローサイド側のパワートランジスタであるPMOSトランジスタM105及びNMOSトランジスタM106の各ゲートを駆動する。
【0032】
ORゲートX109は、3値PWM変調回路X102からの各出力信号PWMP,PWMNの排他的論理和信号と、インバータX104からのマイナス側の出力信号PWMPの論理反転信号(N104)との論理和信号(N105)を出力し、PMOSトランジスタM107のゲートを駆動する。
【0033】
ANDゲートX110は、インバータX106からの出力信号PWMP,PWMNの排他的論理和信号の論理反転信号と、インバータX104からのマイナス側の出力信号PWMPの論理反転信号(N104)との論理積信号(N106)を出力し、NMOSトランジスタM108のゲートを駆動する。
【0034】
プラス側の出力端子OUTPは、PMOSトランジスタM101及びNMOSトランジスタM102の接続点の電位と、PMOSトランジスタM103及びNMOSトランジスタM104の接続点の電位とに応じて、2値の出力電圧レベルを出力する。
【0035】
マイナス側の出力端子OUTNは、PMOSトランジスタM105及びNMOSトランジスタM106の接続点の電位と、PMOSトランジスタM107及びNMOSトランジスタM108の接続点の電位とに応じて、2値の出力電圧レベルを出力する。
【0036】
D級増幅回路101の出力端子OUTP,OUTNからの出力信号は、インダクタL101Pを介し、容量性負荷CLOADをBTL(Bridged TransLess)で駆動する。
【0037】
一般に、オーディオアンプなどの増幅回路においては、環境への負荷を低減する観点から、電力効率が高いことが好ましい。例えばD級増幅回路は、他の増幅回路に比べて損失が小さく、高効率であることが知られている。
【0038】
例えば、誘導性のダイナミックスピーカやアクチュエータに代えて、圧電スピーカや圧電アクチュエータなどの容量性負荷を用いて低消費電力化を図るD級増幅回路の容量性負荷駆動アプリケーションがある。ここで、容量性負荷駆動アプリケーションの一例として、一般的なD級増幅回路1201について、図3図5を参照しつつ説明する。ここでは、図1のD級増幅回路101との相違点を主に説明する。図3は、実施形態に係るD級増幅回路101とは異なり、3値PWM変調回路X1202からの出力信号PWMP,PWMNの出力論理に応じてオン抵抗状態が変化しない、一般的なD級増幅回路1201の構成の一例を示す図である。図4は、図3のD級増幅回路1201の各部の動作波形の一例を示す図である。図5は、図3のD級増幅回路1201のLCフィルタの周波数特性の一例を示す図である。
【0039】
図3のD級増幅回路1201は、図1の実施形態に係るD級増幅回路101と同様に、3値PWM変調回路X1202、インバータX1203,X1204、PMOSトランジスタM1201,M1203及びNMOSトランジスタM1202,M1204を有する。
【0040】
ここで、図3の3値PWM変調回路X1202は、図1の3値PWM変調回路X102に相当する。図3のインバータX1203,X1204は、それぞれ、図1のインバータX103,X104に相当する。図3のPMOSトランジスタM1201,M1203は、それぞれ、図1のPMOSトランジスタM101,M105に相当する。図3のNMOSトランジスタM1202,M1204は、それぞれ、図1のNMOSトランジスタM102,M106に相当する。
【0041】
ただし、図3のD級増幅回路1201において、PMOSトランジスタM1201,M1203及びNMOSトランジスタM1202,M1204は、図1の実施形態に係るD級増幅回路101とは異なり、それぞれ低オン抵抗に設定されている。一例として、図3のPMOSトランジスタM1201のオン抵抗は、図1のPMOSトランジスタM101,M103が共にオン状態であるときのオン抵抗に相当する。また、図3のNMOSトランジスタM1202のオン抵抗は、図1のNMOSトランジスタM102,M104が共にオン状態であるときのオン抵抗に相当する。また、図3のPMOSトランジスタM1203のオン抵抗は、図1のPMOSトランジスタM105,M107が共にオン状態であるときのオン抵抗に相当する。また、図3のNMOSトランジスタM1204のオン抵抗は、図1のNMOSトランジスタM106,M108が共にオン状態であるときのオン抵抗に相当する。つまり、図1の実施形態に係るD級増幅回路101におけるパワートランジスタであるPMOSトランジスタM101,M103あるいはNMOSトランジスタM102,M104が共にオン状態かオフ状態かの制御のみであるため、第1の出力ドライバの出力抵抗(オン抵抗状態)は変化しない。同様に、パワートランジスタであるPMOSトランジスタM105,M107あるいはNMOSトランジスタM106,M108が共にオン状態かオフ状態かの制御のみであるため、第2の出力ドライバの出力抵抗(オン抵抗状態)は変化しない。
【0042】
図3のD級増幅回路1201の出力端子OUTP,OUTNには、図3に示すように、LCフィルタが接続される。LCフィルタは、出力端子OUTP,OUTNから出力される信号をフィルタリングしてアナログ信号に平滑するように構成される。具体的には、LCフィルタは、インダクタL1201,L1202及び容量性負荷CLOADを有する。容量性負荷CLOADは、一端がインダクタL1201を介して正側の出力端子OUTPに接続され、他の一端がインダクタL1202を介して負側の出力端子OUTNに接続される。
【0043】
また、図3のD級増幅回路1201の出力端子OUTP,OUTNには、図3に示すように、出力側のLCフィルタの共振を抑えるための外付け抵抗R1201,R1202が接続される。
【0044】
図3のD級増幅回路1201において、PMOSトランジスタM1201及びNMOSトランジスタM1202の各ゲートは、インバータX1203の出力端(図4のN1201)に接続される。インバータX1203の入力端は、3値PWM変調回路X1202のプラス側の出力端に接続される。また、PMOSトランジスタM1203及びNMOSトランジスタM1204の各ゲートは、インバータX1204の出力端(図4のN1202)に接続される。インバータX1204の入力端は、3値PWM変調回路X1202のマイナス側の出力端に接続される。PMOSトランジスタM1201,M1203の各ソースは、外部電源(図示しない)のプラス側の電源端子に接続される。NMOSトランジスタM1202,M1204の各ソースは、外部電源(図示しない)のマイナス側の電源端子に接続される。PMOSトランジスタM1201及びNMOSトランジスタM1202の各ドレインの接続点は、プラス側の出力端子OUTPに接続される。また、PMOSトランジスタM1203及びNMOSトランジスタM1204の各ドレインの接続点は、マイナス側の出力端子OUTNに接続される。
【0045】
図3のD級増幅回路1201において、3値PWM変調回路X1202は、入力端子INからの入力信号に応じて、プラス側の出力信号PWMPと、マイナス側の出力信号PWMNとを出力する。インバータX1203は、プラス側の出力信号PWMPの論理反転信号(図4のN1201)を出力し、ハイサイド側のパワートランジスタであるPMOSトランジスタM1201及びNMOSトランジスタM1202の各ゲートを駆動する。インバータX1204は、マイナス側の出力信号PWMNの論理反転信号(図4のN1202)を出力し、ローサイド側のパワートランジスタであるPMOSトランジスタM1203及びNMOSトランジスタM1204の各ゲートを駆動する。
【0046】
出力端子OUTP,OUTNからの出力信号は、インダクタL1201,L1202及び外付け抵抗R1201,R1202を介し、容量性負荷CLOADをBTLで駆動する。このとき、出力端子OUTP,OUTNからの出力信号が矩形波であるため、直接容量性負荷CLOADを駆動すると大きな電流が流れる。このため、図3のD級増幅回路1201は、インダクタL1201,L1202及び容量性負荷CLOADを含むLCフィルタにより高調波成分を除去するように構成されている。また、LCフィルタでは、図5に示すように、LC共振周波数にて共振ピークが生じる。このため、図3のD級増幅回路1201は、LCフィルタに直列に外付け抵抗R1201,R1202を接続することにより、共振ピークのQ値を低減するように構成されている。ここで、外付けのインダクタL1201,L1202のインダクタンスをL、容量性負荷CLOADの負荷容量をC、外付け抵抗の抵抗値をROUT、パワートランジスタであるPMOSトランジスタM1201,M1203及びNMOSトランジスタM1202,M1204の各オン抵抗をRONとしたとき、BTL出力における共振周波数のQ値は以下の式で表される。
【0047】
【数1】
【0048】
PMOSトランジスタM1201,M1203及びNMOSトランジスタM1202,M1204の各オン抵抗をRONは、上述したように十分に小さい値であるため、Q値の調整においては、ROUTの値が支配的である。また、外部電源の電源電圧をVSUPとし、角周波数をωとしたとき、出力電圧のピーク値が電源電圧と等しくなるときの容量性負荷駆動時の消費電力PSUPは、以下の式で表すことができる。
【0049】
【数2】
【0050】
しかしながら、大容量の容量性負荷を搭載する容量性負荷駆動アプリケーションにおいては、印加電圧及び入力周波数が大きい場合、出力側のLCフィルタの共振を抑えるために定格電流及び許容損失の大きな部品を搭載する必要があり、実装面積が大きくなるという問題があった。例えば、上記のD級増幅回路1201においては、外付け抵抗R1201,R1202が搭載されている。また、外付け抵抗R1201,R1202による電力消費など、出力側のLCフィルタの共振を抑えるための部品による電力消費に起因して消費電力の低減が困難であるという問題があった。
【0051】
そこで、本実施形態に係るD級増幅回路101は、D級増幅回路101の出力端子OUTP,OUTNからの出力抵抗を、3値PWM変調回路X102からの各出力信号PWMP,PWMNの論理に応じて、高オン抵抗状態HS(第2の出力抵抗)と低オン抵抗状態LS(第1の出力抵抗)との間で遷移させるように構成されている。
【0052】
例えば、3値PWM変調回路X102からの各出力信号PWMP,PWMNの論理が異なる場合、XORゲートX105の出力信号は、「H」になる。このため、インバータX103(N101),X104(N104)からの出力信号「H」(「L」)によらず、ORゲートX107(N102),X109(N105)がそれぞれ「H」を出力する。また、インバータX106の出力信号が「L」であるから、インバータX103(N101),X104(N104)からの出力信号「H」(「L」)によらず、ANDゲートX108(N103),X110(N106)がそれぞれ「L」の出力信号を出力する。これにより、PMOSトランジスタM101,M105及びNMOSトランジスタM102,M106にそれぞれ並列に接続されているPMOSトランジスタM103,M107及びNMOSトランジスタM104,M108は、いずれもオフ状態になる。上述したように、PMOSトランジスタM101,M105及びNMOSトランジスタM102,M106は、それぞれ高オン抵抗に設定されている。つまり、3値PWM変調回路X102からの各出力信号PWMP,PWMNの論理が異なる場合、D級増幅回路101の出力端子OUTP,OUTNからの出力抵抗は、高オン抵抗状態HSである。
【0053】
一方で、3値PWM変調回路X102からの各出力信号PWMP,PWMNの論理が等しい場合、XORゲートX105の出力信号は、ローレベル「L」になる。
【0054】
したがって、3値PWM変調回路X102からの各出力信号PWMP,PWMNが共にハイレベル「H」であるときには、インバータX103(N101),X104(N104)からの出力信号「L」に応じて、ORゲートX107(N102),X109(N105)がそれぞれ「L」の出力信号を出力する。また、インバータX106の出力信号が「H」であるから、インバータX103(N101),X104(N104)からの出力信号「L」に応じて、ANDゲートX108(N103),X110(N106)がそれぞれ「L」の出力信号を出力する。これにより、オン状態のPMOSトランジスタM101,M105にそれぞれ並列に接続されているPMOSトランジスタM103,M107がオン状態になる。つまり、PMOSトランジスタM101,M103,M105,M107がオン状態になるため、D級増幅回路101の出力端子OUTP,OUTNからの出力抵抗を、低オン抵抗状態LSに遷移させることができる。
【0055】
同様に、3値PWM変調回路X102からの各出力信号PWMP,PWMNが共に「L」であるときには、インバータX103(N101),X104(N104)からの出力信号「H」に応じて、ORゲートX107(N102),X109(N105)がそれぞれ「H」の出力信号を出力する。また、インバータX106の出力信号が「H」であるから、インバータX103(N101),X104(N104)からの出力信号「H」に応じて、ANDゲートX108(N103),X110(N106)がそれぞれ「H」の出力信号を出力する。これにより、オン状態のNMOSトランジスタM102,M106にそれぞれ並列に接続されているNMOSトランジスタM104,M108がオン状態になる。つまり、NMOSトランジスタM102,M104,M106,M108がオン状態になるため、D級増幅回路101の出力端子OUTP,OUTNからの出力抵抗を、低オン抵抗状態LSに遷移させることができる。
【0056】
このように、実施形態に係るD級増幅回路101は、出力端子OUTP,OUTNからの出力抵抗を、3値PWM変調回路X102からの各出力信号PWMP,PWMNの論理に応じて遷移させるように構成されている。換言すれば、PWM信号の1周期内で低オン抵抗状態と高オン抵抗状態とが現れるため、共振電流が高オン抵抗状態の時に低減され、外付け抵抗を設けることなく、等価的にLCフィルタのQ値を抑えることができる。したがって、実施形態に係るD級増幅回路101によれば、外付け抵抗を不要とすることができるため、実装面積を抑制することができる。
【0057】
ここで、高オン抵抗状態におけるオン抵抗をRON0、低オン抵抗状態におけるオン抵抗をRON1、容量性負荷CLOADの負荷容量をC、電源電圧をVSUPとしたとき、容量性負荷CLOADを駆動するときの消費電力Pは以下の式で表すことができる。
【0058】
【数3】
【0059】
このように、式(3)に示す図1のD級増幅回路101の消費電力Pは、式(2)に示す図3のD級増幅回路1201の消費電力PSUPに比べて低消費電力となる。これは、容量性負荷の場合、出力電圧と出力電流との位相が90度ずれているため、実施形態に係るD級増幅回路101においては、負荷電流が大きい時にはオン抵抗がRON1である低オン抵抗状態で駆動する期間が大きいためである。つまり、実施形態に係るD級増幅回路101によれば、図3のD級増幅回路1201による消費電力PSUPに比べて低消費電力化が可能となる。
【0060】
(第2の実施形態)
図6は、第2の実施形態に係るD級増幅回路301の構成の一例を示す図である。ここでは、図1の第1の実施形態に係るD級増幅回路101との相違点を主に説明する。
【0061】
例えば高オン抵抗状態では、MOSトランジスタにおける発熱が大きく、ジャンクション温度が上昇する。ジャンクション温度が上昇すると、通常のMOSトランジスタのオン抵抗は大きくなる。このため、さらにジャンクション温度が上昇し、MOSトランジスタなどが焼損に至る場合があり得る。そこで、第2の実施形態では、ジャンクション温度に応じて出力端子OUTP,OUTNからの出力抵抗を制御することができるD級増幅回路301について説明する。
【0062】
本実施形態に係るD級増幅回路301は、図6に示すように、ゲート制御回路X301~X304を有すること以外は、図1の第1の実施形態に係るD級増幅回路101と同様である。具体的には、ハイサイド側のゲート制御回路X301は、PMOSトランジスタM101のゲートとインバータX103の出力端とに接続される。ハイサイド側のゲート制御回路X302は、NMOSトランジスタM102のゲートとインバータX103の出力端とに接続される。ローサイド側のゲート制御回路X303は、PMOSトランジスタM105のゲートとインバータX104の出力端とに接続される。ローサイド側のゲート制御回路X304は、NMOSトランジスタM106のゲートとインバータX104の出力端とに接続される。ここで、ゲート制御回路X301~X304は、それぞれ出力抵抗制御回路の一例である。
【0063】
図7は、図6のD級増幅回路301におけるハイサイド側のゲート制御回路X301の構成の一例を示す図である。なお、ハイサイド側のゲート制御回路X303の構成は、図示しないが、図7の構成と同様である。また、ローサイド側のゲート制御回路X302,X304は、図示しないが、図7の構成において極性のみを変更した構成とすればよい。以下の説明の簡単のために、ハイサイド側のゲート制御回路X301を例示して説明を続ける。
【0064】
ハイサイド側のゲート制御回路X301は、図7に示すように、電流源I401,I402、バイポーラトランジスタQ401、アンプX401、NMOSトランジスタM401,M402,M403、PMOSトランジスタM404,M405、抵抗R401,R402を有する。
【0065】
電流源I401,I402は、それぞれ外部電源(図示しない)のプラス側の電源端子に接続される。バイポーラトランジスタQ401は、エミッタが電流源I401の出力端に接続され、コレクタとベースとがグラウンドに接続されている。アンプX401の非反転入力端子(+)は、バイポーラトランジスタQ401のエミッタと電流源I401の出力端との接続点に接続される。アンプX401の反転入力端子(-)は、抵抗R401を介してグラウンドに接続される。NMOSトランジスタM401は、ゲートがアンプX401の出力端に接続され、ドレインが電流源I402の出力端に接続され、ソースがアンプX401の反転入力端子(-)と抵抗R401との接続点に接続される。
【0066】
NMOSトランジスタM402,M403は、カレントミラー回路を構成する。具体的には、NMOSトランジスタM402は、ゲートがNMOSトランジスタM403のゲートに接続され、ドレインが電流源I402の出力端に接続され、ソースがグラウンドに接続される。NMOSトランジスタM402,M403の各ゲートの接続点は、NMOSトランジスタM402のドレインに接続される。NMOSトランジスタM403のソースは、グラウンドに接続される。
【0067】
PMOSトランジスタM404,M405は、ソースフォロア回路を構成する。具体的には、PMOSトランジスタM404は、ゲートがPMOSトランジスタM405のゲートに接続され、ドレインがNMOSトランジスタM403のドレインに接続され、ソースが抵抗R402を介して外部電源(図示しない)のプラス側の電源端子に接続される。PMOSトランジスタM404,M405の各ゲートの接続点は、PMOSトランジスタM404のドレインに接続される。PMOSトランジスタM405は、ソースがPMOSトランジスタM101のゲートに接続され、ドレインがグラウンドに接続される。
【0068】
本実施形態に係るD級増幅回路301において、ゲート制御回路X301は、ジャンクション温度をバイポーラトランジスタQ401でモニターし、抵抗R401にてジャンクション温度の上昇に反比例した電流を生成する。カレントミラー回路は、抵抗R401に発生した電流と、定電流源としての電流源I402からの電流との差をカレントミラーし、抵抗R402でジャンクション温度に比例した電圧を生成する。ソースフォロア回路は、抵抗R402に発生した電圧をPMOSトランジスタM101のゲートに入力する。なお、ゲート制御回路X302~X304においても、ゲート制御回路X301と同様にして、各MOSトランジスタのゲートへ出力する電圧がジャンクション温度に応じて制御される。したがって、PMOSトランジスタM101,M105及びNMOSトランジスタM102,M106のそれぞれに関して、ジャンクション温度の上昇に伴いゲート-ソース間電圧が大きくなるため、ジャンクション温度の上昇に伴いオン抵抗を低下させることができる。
【0069】
このように、本実施形態に係るD級増幅回路301は、ジャンクション温度に応じて出力端子OUTP,OUTNからの出力抵抗が制御されるように構成されている。具体的には、本実施形態に係るD級増幅回路301は、ジャンクション温度の上昇に伴いオン抵抗が増加したとき、MOSトランジスタのゲート-ソース間電圧をジャンクション温度の上昇に応じて大きくするように構成されている。この構成によれば、ジャンクション温度の上昇に伴い増加したオン抵抗を低下させ、オン抵抗を一定に保とうとする制御を実現することができる。
【0070】
(第3の実施形態)
図8は、第3の実施形態に係るD級増幅回路501の構成の一例を示す図である。ここでは、図1の第1の実施形態に係るD級増幅回路101との相違点を主に説明する。
【0071】
第1の実施形態では、各出力信号PWMP,PWMNの論理が異なる場合には高オン抵抗状態に遷移するD級増幅回路101を例示したが、これに限らない。例えば、各出力信号PWMP,PWMNの論理が異なる場合であっても、共振電流を抑制してLCフィルタのQ値を抑えることができる範囲内であれば、出力抵抗を低オン抵抗状態に遷移させてもよい。
【0072】
本実施形態に係るD級増幅回路501は、図8に示すように、カウンタX501及びANDゲートX502を含む論理回路構成を有すること以外は、図1の第1の実施形態に係るD級増幅回路101と同様である。カウンタX501及びANDゲートX502を含む論理回路構成は、XORゲートX105の出力端に接続される。具体的には、ANDゲートX502の一対の入力端は、いずれか一方がカウンタX501を介して、共にXORゲートX105の出力端に接続される。ANDゲートX502の出力端は、図1の第1の実施形態に係るD級増幅回路101におけるXORゲートX105の出力端と同様に、インバータX106及びORゲートX107,X109に接続される。
【0073】
本実施形態に係るD級増幅回路501において、カウンタX501は、各出力信号PWMP,PWMNの論理が異なる場合のパルス数、すなわちXORゲートX105からの「H」の出力をカウントする。カウンタX501は、XORゲートX105からの「H」のカウントが予め定められたカウント数に達していないときには「H」を出力し、カウントが予め定められたカウント数に達したときには「L」を出力するように構成される。つまり、本実施形態に係るD級増幅回路501においては、各出力信号PWMP,PWMNの論理が異なる場合のうち所定の頻度で、出力端子OUTP,OUTNからの出力抵抗を、低オン抵抗状態に遷移させることができる。
【0074】
なお、カウンタX501による「H」のカウント数は、共振電流を抑えることができる範囲で高オン抵抗状態が現れる頻度を低下させることができるように予め定められている。つまり、カウンタX501による「H」のカウント数は、高オン抵抗状態による共振電流の抑制と、低オン抵抗状態による消費電力の低減とのバランスを考慮しつつ、任意に設定可能である。例えば、高オン抵抗状態が現れる頻度を1/M倍に低下させる場合、容量性負荷CLOADを駆動するときの消費電力Pは、以下の式で表すことができる。
【0075】
【数4】
【0076】
このように、本実施形態に係るD級増幅回路501は、共振電流を抑制してLCフィルタのQ値を抑えることができる範囲内で、各出力信号PWMP,PWMNの論理が異なる場合のうち所定の期間、出力抵抗を低オン抵抗状態に遷移させるように構成されている。この構成によれば、式(3)に示す図1のD級増幅回路101の消費電力Pに比べて、さらなる低消費電力化が可能となる。
【0077】
なお、第3の実施形態に係る技術は、上述の各実施形態に係る技術と適宜組み合わせることができる。
【0078】
(第4の実施形態)
図9は、第4の実施形態に係るD級増幅回路601の構成の一例を示す図である。図10は、図9のD級増幅回路601の各部の動作波形の一例を示す図である。ここでは、図1の第1の実施形態に係るD級増幅回路101との相違点を主に説明する。
【0079】
第1の実施形態では、PMOSトランジスタM101,M105及びNMOSトランジスタM102,M106を高オン抵抗に設定し、各出力信号PWMP,PWMNの論理に応じてPMOSトランジスタM103,M107及びNMOSトランジスタM104,M108のオン/オフを制御することにより、オン抵抗の状態を遷移するD級増幅回路101を例示したが、これに限らない。本実施形態では、各出力信号PWMP,PWMNの論理に応じてオン抵抗の状態を遷移させる他の構成について説明する。
【0080】
本実施形態に係るD級増幅回路601は、図9に示すように、3値PWM変調回路X102、XORゲートX601、インバータX602,X603,X606、ORゲートX604,X605、PMOSトランジスタM601,M603及びNMOSトランジスタM602,M604を有する。ここで、XORゲートX601、インバータX602,X606、ORゲートX604、PMOSトランジスタM601及びNMOSトランジスタM602は、第1の出力ドライバの一例である。また、XORゲートX601、インバータX603,X606、ORゲートX605、PMOSトランジスタM603及びNMOSトランジスタM604は、第2の出力ドライバの一例である。
【0081】
ここで、図9のXORゲートX601は、図1のXORゲートX105に相当する。図9のインバータX602,X603は、それぞれ、図1のインバータX103,X104に相当する。図9のORゲートX604,X605は、それぞれ、図1のORゲートX107,X109に相当する。図9のインバータX606は、図1のインバータX106に相当する。図9のPMOSトランジスタM601は、図1のPMOSトランジスタM101,M103の組に相当する。図9のNMOSトランジスタM602は、図1のNMOSトランジスタM102,M104の組に相当する。図9のPMOSトランジスタM603は、図1のPMOSトランジスタM105,M107の組に相当する。図9のNMOSトランジスタM604は、図1のNMOSトランジスタM106,M108の組に相当する。一方で、図9のD級増幅回路601は、図1のANDゲートX108,X110に相当する構成は有していない。
【0082】
本実施形態に係るD級増幅回路601において、PMOSトランジスタM601,M603は、それぞれ高オン抵抗に設定されている。一方で、NMOSトランジスタM602,M604は、それぞれ低オン抵抗に設定されている。
【0083】
図9のD級増幅回路601において、XORゲートX601の出力端は、インバータX606を介して、図1のXORゲートX105の出力端と同様に、各ORゲートX604,X605の入力端の一方にそれぞれ接続される。ORゲートX604の出力端(N601)は、PMOSトランジスタM601及びNMOSトランジスタM602の各ゲートに接続される。PMOSトランジスタM601及びNMOSトランジスタM602の各ドレインの接続点は、プラス側の出力端子OUTPに接続される。ORゲートX605の出力端(N602)は、PMOSトランジスタM603及びNMOSトランジスタM604の各ゲートに接続される。PMOSトランジスタM603及びNMOSトランジスタM604の各ドレインの接続点は、マイナス側の出力端子OUTNに接続される。
【0084】
実施形態に係るD級増幅回路601において、3値PWM変調回路X102からの各出力信号PWMP,PWMNの論理が異なる場合、XORゲートX601の出力信号が「H」であるため、インバータX606の出力信号は「L」である。ORゲートX604(N601),X605(N602)は、3値PWM変調回路X102からの各出力信号PWMP,PWMNの論理に応じて、いずれか一方の出力信号が「H」となり、他方の出力信号が「L」となる。
【0085】
例えば出力信号PWMPが「H」であり、かつ、出力信号PWMNが「L」であるとき、ORゲートX604の出力信号(N601)が「H」となり、ORゲートX605の出力信号(N602)が「L」となる。このとき、プラス側の出力端子OUTPに関して、PMOSトランジスタM601がオフ状態であり、NMOSトランジスタM602がオン状態である。また、マイナス側の出力端子OUTNに関して、PMOSトランジスタM603がオン状態であり、NMOSトランジスタM604がオフ状態である。
【0086】
また、例えば出力信号PWMPが「L」であり、かつ、出力信号PWMNが「H」であるとき、ORゲートX604の出力信号(N601)が「L」となり、ORゲートX605の出力信号(N602)が「H」となる。このとき、プラス側の出力端子OUTPに関して、PMOSトランジスタM601がオン状態であり、NMOSトランジスタM602がオフ状態である。また、マイナス側の出力端子OUTNに関して、PMOSトランジスタM603がオフ状態であり、NMOSトランジスタM604がオン状態である。
【0087】
したがって、実施形態に係るD級増幅回路601において、3値PWM変調回路X102からの各出力信号PWMP,PWMNの論理が異なる場合、出力端子OUTP,OUTNのいずれか一方に関して、高オン抵抗に設定されたPMOSトランジスタがオン状態になる。
【0088】
一方で、実施形態に係るD級増幅回路601において、3値PWM変調回路X102からの各出力信号PWMP,PWMNの論理が等しい場合、XORゲートX601の出力信号が「L」であるため、インバータX606の出力信号は「H」である。このため、ORゲートX604(N601),X605(N602)の出力信号は、3値PWM変調回路X102からの各出力信号PWMP,PWMNの論理によらず共に「H」となる。したがって、3値PWM変調回路X102からの各出力信号PWMP,PWMNの論理が等しい場合、出力端子OUTP,OUTNの両方に関して、低オン抵抗に設定されたローサイド側のMOSトランジスタがオン状態になる。換言すれば、3値PWM変調回路X102からの各出力信号PWMP,PWMNの論理が等しい場合、出力端子OUTP,OUTNからの出力電圧レベルは、それぞれ最低電圧レベルである。
【0089】
このように、実施形態に係るD級増幅回路601は、3値PWM変調回路X102からの各出力信号PWMP,PWMNの論理に応じて、高オン抵抗に設定されたPMOSトランジスタと、低オン抵抗に設定されたNMOSトランジスタとの駆動を制御するように構成されている。この構成では、PMOSトランジスタM601,M603は、高オン抵抗状態のみで使用されるため、高オン抵抗状態の実現に必要な程度までPMOSパワートランジスタを小さく設計することができ、実装面積をさらに低減できるという効果が得られる。
【0090】
(第5の実施形態)
図11は、第5の実施形態に係るD級増幅回路801の構成の一例を示す図である。ここでは、図1の第1の実施形態に係るD級増幅回路101との相違点を主に説明する。
【0091】
容量性負荷駆動で入力周波数が小さい信号を扱う場合、駆動電流が小さく、パワートランジスタのスイッチング電流が消費電流の支配的要素となる場合がある。そこで、本実施形態では、パワートランジスタのスイッチング電流に応じて出力端子OUTP,OUTNからの出力抵抗を制御するように構成されたD級増幅回路801について説明する。
【0092】
本実施形態に係るD級増幅回路801は、図11に示すように、負荷電流検出回路X801及びORゲートX802をさらに有すること以外は、図1の第1の実施形態に係るD級増幅回路101と同様である。負荷電流検出回路X801は、出力端子OUTP,OUTNにおける駆動電流を検出するように構成されている。具体的には、負荷電流検出回路X801は、予め定められた一定期間、駆動電流が小さい状態、すなわち予め定められたしきい値以下の駆動電流を検出したときに「H」を出力するように構成されている。ORゲートX802は、一対の入力端の一方がXORゲートX105の出力端に接続され、他方が負荷電流検出回路X801の出力端に接続される。ORゲートX802の出力端は、図1の第1の実施形態に係るD級増幅回路101におけるXORゲートX105の出力端と同様に、インバータX106及びORゲートX107,X109に接続される。
【0093】
本実施形態に係るD級増幅回路501において、負荷電流検出回路X801で一定期間駆動電流が小さい状態が検出されていない場合、負荷電流検出回路X801からORゲートX802に出力される信号は「L」である。このため、負荷電流検出回路X801で一定期間駆動電流が小さい状態が検出されていない場合、ORゲートX802の出力は、XORゲートX105の出力と同じである。つまり、本実施形態に係るD級増幅回路501は、負荷電流検出回路X801で一定期間駆動電流が小さい状態が検出されていない場合には、図1の第1の実施形態に係るD級増幅回路101と同様に動作する。
【0094】
一方で、本実施形態に係るD級増幅回路501において、負荷電流検出回路X801で一定期間駆動電流が小さい状態が検出された場合、負荷電流検出回路X801からORゲートX802に「H」が出力される。このとき、ORゲートX802の出力は、XORゲートX105の出力によらず「H」である。つまり、本実施形態に係るD級増幅回路501は、負荷電流検出回路X801で一定期間駆動電流が小さい状態が検出された場合、各出力信号PWMP,PWMNの論理によらず、PMOSトランジスタM103,M107及びNMOSトランジスタM104,M108をオフ状態とする。これにより、出力端子OUTP,OUTNからの出力抵抗は、高オン抵抗状態に遷移する。
【0095】
このように、本実施形態に係るD級増幅回路801は、入力周波数が小さい信号を扱う場合など、駆動電流が小さい場合には、出力端子OUTP,OUTNからの出力抵抗を、高オン抵抗状態に遷移させる。この構成によれば、容量性負荷CLOADから見たD級増幅回路801のインピーダンスが小さい場合のように低オン抵抗状態に遷移させる必要性が低い場合には、出力端子OUTP,OUTNからの出力抵抗を、高オン抵抗状態に遷移させることができる。また、PMOSトランジスタM103,M107及びNMOSトランジスタM104,M108をオフ状態とすることによりパワートランジスタのスイッチング電流を小さくすることができる。
【0096】
なお、第5の実施形態に係る技術は、第1~第3の各実施形態に係る技術と適宜組み合わせることができる。
【0097】
(第6の実施形態)
図12は、第6の実施形態に係るD級増幅回路901の構成の一例を示す図である。図13は、図12のD級増幅回路901の各部の動作波形の一例を示す図である。ここでは、図1の第1の実施形態に係るD級増幅回路101との相違点を主に説明する。
【0098】
本実施形態に係るD級増幅回路901は、図12に示すように、タイマーX901及びORゲートX902を含む論理回路構成を有すること以外は、図1の第1の実施形態に係るD級増幅回路101と同様である。タイマーX901及びORゲートX902を含む論理回路構成は、XORゲートX105の出力端に接続される。具体的には、ORゲートX902の一対の入力端は、いずれか一方がタイマーX901を介して、共にXORゲートX105の出力端に接続される。換言すれば、ORゲートX902の一対の入力端のいずれか一方は、タイマーX901の出力端(N901)に接続される。ORゲートX902の出力端は、図1の第1の実施形態に係るD級増幅回路101におけるXORゲートX105の出力端と同様に、インバータX106及びORゲートX107,X109に接続される。
【0099】
本実施形態に係るD級増幅回路901において、タイマーX901は、出力端子OUTP,OUTNにおける負荷両端電圧VLOADがゼロレベル付近となってからの経過時間に応じて、「H」又は「L」を出力するように構成される。
【0100】
容量性負荷駆動でバースト信号のようなオーディオ信号を扱う場合、図13に示すように、出力電圧と出力電流との位相が90度ずれているため、負荷両端電圧VLOADがゼロレベルとなっても負荷電流ILOADは最大値の状態であり、インダクタL101Pと負荷容量CLOADのLC共振周波数で共振する。このため、負荷両端電圧VLOADがゼロレベル付近となり低オン抵抗駆動の頻度が多くなると、電流経路の電力消費が非常に小さいため、LC共振電流が小さくならず、不要な信号が発生することになる。ここで、負荷両端電圧VLOADがゼロレベル付近となる場合とは、入力端子INからの入力信号がゼロレベル付近となることに伴い、3値PWM変調回路X102の出力信号PWMP,PWMNの論理が等しい状態が異なる状態より多く、低オン抵抗駆動の頻度が多くなる場合である。
【0101】
そこで、本実施形態に係るD級増幅回路901において、タイマーX901は、XORゲートX105から「L」が出力されてからの経過時間を計測し、経過時間が予め定められた所定の時間に達するまでは「L」を出力し、予め定められた所定の時間に達したときに「H」を出力するように構成される。タイマーX901の出力(N901)が「H」となることに伴い、PMOSトランジスタM103,M107及びNMOSトランジスタM104,M108はオフ状態になる。つまり、本実施形態に係るD級増幅回路901においては、負荷両端電圧VLOADがゼロレベル付近となってからの経過時間に応じて、具体的にはタイマーX901で設定したある一定期間、入力信号がゼロレベル付近となる場合には、高オン抵抗駆動状態となるため、共振電流は低下する。
【0102】
このように、本実施形態に係るD級増幅回路901は、負荷両端電圧VLOADがゼロレベル付近となった場合には、高オン抵抗駆動の頻度を増加させるように構成される。これにより、電流経路の電力消費が増加するため、共振電流を熱として消費させ、共振電流を低下させることができる。
【0103】
なお、第6の実施形態に係る技術は、第1~第3,第5の各実施形態に係る技術と適宜組み合わせることができる。
【0104】
(第7の実施形態)
図14は、第7の実施形態に係るD級増幅回路1101の構成の一例を示す図である。ここでは、図1の第1の実施形態に係るD級増幅回路101との相違点を主に説明する。
【0105】
本実施形態に係るD級増幅回路1101は、図14に示すように、タイマーX1101及びORゲートX1102を含む論理回路構成を有し、負荷端にLCフィルタが追加されていること以外は、図1の第1の実施形態に係るD級増幅回路101と同様である。
【0106】
タイマーX1101及びORゲートX1102を含む論理回路構成は、XORゲートX105の出力端に接続される。具体的には、ORゲートX1102の一対の入力端は、いずれか一方がタイマーX1101の出力端(N1101)に接続され、他方がXORゲートX105の出力端に接続される。ORゲートX1102の出力端は、図1の第1の実施形態に係るD級増幅回路101におけるXORゲートX105の出力端と同様に、インバータX106及びORゲートX107,X109に接続される。
【0107】
出力端子OUTP,OUTNには、輻射ノイズを考慮して、LCフィルタが接続される。図14に示す例では、プラス側の出力端子OUTPと容量性負荷CLOADとの間に、インダクタL101P及びキャパシタC1101を含むLCフィルタが接続される。同様に、容量性負荷CLOADとマイナス側の出力端子OUTNとの間に、インダクタL101N及びキャパシタC1102を含むLCフィルタが接続される。
【0108】
図14に示すように、輻射ノイズを考慮して出力端子OUTP,OUTNにLCフィルタが接続された場合、第6の実施形態で説明した場合と同様に、インダクタL101P,L101Nと、キャパシタC1101,C1102とでLC共振が起き、不要な信号が発生することになる。
【0109】
そこで、本実施形態に係るD級増幅回路1101において、タイマーX1101は、D級増幅回路901が起動されてスイッチングが開始されてから予め定められた所定の時間が経過するまでは「H」の出力信号を出力し、予め定められた所定の時間が経過した後には「L」の出力信号を出力するように構成される。これにより、スイッチング開始からの一定期間では、タイマーX1101の出力信号(N1101)が「H」となることに伴い、PMOSトランジスタM103,M107及びNMOSトランジスタM104,M108はオフ状態になる。
【0110】
このように、本実施形態に係るD級増幅回路1101においては、スイッチング動作開始時からの一定期間では高オン抵抗状態HSとなるため、起動時のLCフィルタ共振を抑制することができる。
【0111】
なお、第7の実施形態に係る技術は、第1~第3,第5~第6の各実施形態に係る技術と適宜組み合わせることができる。
【0112】
なお、上述の各実施形態では、3値の出力論理を有する3値PWM変調回路X102が使用される場合を例示したが、5値以上の出力論理を有するマルチレベルPWM変調回路が使用されても構わない。例えば、PWM変調回路がN値(Nは3以上の奇数)の出力論理を有する場合、出力端子OUTP,OUTNからの出力電圧レベルは、それぞれ(N-1)/2+1段階の出力電圧レベルとなる。
【0113】
また、上述の各実施形態では、例えば図1に示すように、プラス側の出力端子OUTP及びマイナス側の出力端子OUTNに接続されるパワートランジスタをPMOSトランジスタ及びNMOSトランジスタにより構成する場合を例示したが、これに限らない。PMOSトランジスタに代えてNMOSトランジスタにより構成してもよく、この場合であっても、上述の各実施形態と同様に、同等のオン抵抗を小さいチップ面積で実現することができる。
【0114】
また、上述の各実施形態に係るD級増幅回路に対して、GaN FETなどのパワートランジスタを外付けで接続してもよい。この構成によれば、上述の各実施形態に係るD級増幅回路のさらなる低オン抵抗化を図ることができる。
【0115】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、容量性負荷駆動アプリケーションにおいて、実装面積を抑制し、かつ、消費電力を低減することができる。
【0116】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0117】
101,301,501,601,801,901,1101 D級増幅回路
CLOAD 容量性負荷
I401,I402 電流源
IN 入力端子
L101P,L101N インダクタ
M101,M103,M105,M107,M601,M603 PMOSトランジスタ
M102,M104,M106,M108,M602,M604 NMOSトランジスタ
OUTP,OUTN 出力端子
V101 入力信号源
X102 3値PWM変調回路
X103,X104,X106,X602,X603,X606 インバータ
X105,X601 XORゲート
X107,X109,X604,X605,X802,X902,X1102 ORゲート
X108,X110,X502 ANDゲート
X301,X303,X302,X304 ゲート制御回路
X501 カウンタ
X801 負荷電流検出回路
X901,X1101 タイマー
図1
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