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特開2023-60681ティーチング治具、基板処理装置及び位置合わせ方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023060681
(43)【公開日】2023-04-28
(54)【発明の名称】ティーチング治具、基板処理装置及び位置合わせ方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20230421BHJP
   B25J 9/06 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B25J9/06 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021170404
(22)【出願日】2021-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(74)【代理人】
【識別番号】100187849
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 隆史
(74)【代理人】
【識別番号】100212059
【弁理士】
【氏名又は名称】三根 卓也
(72)【発明者】
【氏名】酒井 俊充
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 栄幾
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 誠
(72)【発明者】
【氏名】鳴海 純
【テーマコード(参考)】
3C707
5F131
【Fターム(参考)】
3C707AS05
3C707AS24
3C707BS15
3C707CS04
3C707LS01
3C707NS13
5F131AA02
5F131BA17
5F131BA37
5F131BB03
5F131BB04
5F131BB23
5F131CA45
5F131DA32
5F131DA33
5F131DA36
5F131DB04
5F131DB52
5F131DB62
5F131DB72
5F131DB76
5F131DD03
5F131DD25
5F131DD26
5F131DD28
5F131DD43
5F131DD57
5F131DD72
5F131DD76
5F131EA06
5F131EB81
5F131FA10
5F131FA26
5F131FA32
5F131FA33
5F131FA37
5F131KA72
5F131KB12
5F131KB32
5F131KB48
(57)【要約】
【課題】チャンバ内の基板搬送位置に対する搬送アームのティーチングを適切に行う。
【解決手段】基板を処理する基板処理装置であって、内部で前記基板を搬送する搬送モジュールと、前記搬送モジュールの内部に配置され、前記基板を保持する少なくとも1つの保持アームを備える搬送アームと、前記搬送モジュールに接続され、内部で前記基板を処理する処理チャンバを備える処理モジュールと、前記処理チャンバの内部に設けられ、前記基板の支持面を有する基板支持部と、前記基板支持部に対する前記搬送アームの位置合わせを行うための位置合わせ部と、を有する。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する基板処理装置であって、
内部で前記基板を搬送する搬送モジュールと、
前記搬送モジュールの内部に配置され、前記基板を保持する少なくとも1つの保持アームを備える搬送アームと、
前記搬送モジュールに接続され、内部で前記基板を処理する処理チャンバを備える処理モジュールと、
前記処理チャンバの内部に設けられ、前記基板の支持面を有する基板支持部と、
前記基板支持部に対する前記搬送アームの位置合わせを行うための位置合わせ部と、を有する、基板処理装置。
【請求項2】
前記位置合わせ部は、前記処理チャンバに固定されるティーチング治具上に形成され、
前記ティーチング治具は、
本体部と、
前記位置合わせ部と、
前記処理チャンバに挿入される挿入部と、を有し、
前記処理チャンバに前記ティーチング治具が固定された状態において、
前記基板支持部の基板支持面高さと前記本体部の上面高さが一致するとともに、
前記基板支持部に対する前記搬送アームの進退方向に直交する方向に対して、前記位置合わせ部の中心位置と前記基板支持部の中心位置とが一致する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記位置合わせ部は、前記本体部に形成された切欠き部であり、
前記搬送アームは、前記切欠き部に対して進退自在に構成される、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記ティーチング治具上に形成される仮想位置と、前記基板支持部上における前記基板の受渡位置である目標位置と、用いて前記基板支持部に対する前記搬送アームの位置合わせを実行する制御部を有する、請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記保持アームを前記本体部の前記切欠き部に挿入することで、前記搬送アームを前記仮想位置に配置する制御を行うことと、
前記本体部に形成された第1の輪郭線に沿って、前記ティーチング治具上に位置合わせ用基板を配置する制御を行うことと、
前記仮想位置に配置された前記搬送アームを、前記保持アームの上面で前記位置合わせ用基板を保持すると共に、前記保持アームに形成された第2の輪郭線が前記位置合わせ用基板の外縁に接触するティーチング位置に移動させる制御を行うことと、
前記基板支持部に対する前記搬送アームの進退方向における、前記位置合わせ部の中心位置と前記基板支持部の中心位置との距離を用いて、前記ティーチング位置の位置座標を目標位置の位置座標に補正する制御を行うことと、を実行する、請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記処理モジュールは、鉛直方向に積層された複数の前記処理チャンバを備え、
前記制御部は、
前記処理チャンバのそれぞれに対して、独立して前記搬送アームの位置合わせを実行する、請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記処理モジュールは、鉛直方向に積層された複数の前記処理チャンバを備え、
前記制御部は、
一の前記処理チャンバに対する前記搬送アームの位置合わせで取得された前記ティーチング位置の位置座標に基づいて、他の前記処理チャンバに対するティーチング位置の位置座標を取得する、請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記搬送アームは、第1の基板を保持する第1の保持アームと、第2の基板を前記第1の基板と鉛直方向において重なるように保持する第2の保持アームと、を有し、
前記制御部は、
前記処理チャンバに対する前記第1の保持アームの位置合わせで取得された前記ティーチング位置の位置座標に基づいて、前記処理チャンバに対する前記第2の保持アームのティーチング位置の位置座標を取得する、請求項5~7のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
処理チャンバ内の基板支持部に対する搬送アームの位置合わせに用いられるティーチング治具であって、
本体部と、
前記搬送アームの位置合わせを行うための位置合わせ部と、
前記処理チャンバの内部に挿入される挿入部と、を有し、
前記処理チャンバに固定された状態において、
前記基板支持部の基板支持面高さと前記本体部の上面高さが一致すると共に、
前記基板支持部に対する前記搬送アームの進退方向に直交する方向に対して、前記位置合わせ部の中心位置と前記基板支持部の中心位置とが一致する、ティーチング治具。
【請求項10】
前記位置合わせ部は、前記本体部に形成された切欠き部であり、
前記切欠き部は、内側に前記搬送アームが進退自在に形成される、請求項9に記載のティーチング治具。
【請求項11】
前記挿入部は、前記本体部の長手方向に沿って延在して配置され、
前記本体部の上面には、処理対象の基板の外縁に沿った輪郭線が形成され、
前記輪郭線に沿って前記本体部の上面に保持された前記基板の中心位置は、前記長手方向において前記挿入部の中心位置と一致する、請求項9又は10に記載のティーチング治具。
【請求項12】
処理チャンバ内の基板支持部に対する搬送アームの位置合わせ方法であって、
前記搬送アームは、
基板を保持する少なくとも1つの保持アームを有し、
前記位置合わせに用いられるティーチング治具は、
本体部と、
前記本体部に形成され、前記搬送アームの位置合わせを行うための位置合わせ部と、
前記処理チャンバの内部に挿入される挿入部と、を有し、
(A)前記挿入部の挿入により前記処理チャンバの外面側に前記ティーチング治具を固定する工程と、
(B)前記保持アームを前記本体部に形成された位置合わせ部に挿入する工程と、
(C)前記本体部に形成された第1の輪郭線に沿って、前記ティーチング治具上に位置合わせ用基板を配置する工程と、
(D)前記保持アームの上面で前記位置合わせ用基板を保持すると共に、前記保持アームに形成された第2の輪郭線が前記位置合わせ用基板の外縁に接触するティーチング位置に、前記搬送アームを移動させる工程と、
(E)前記基板支持部に対する前記搬送アームの進退方向における、前記位置合わせ部の中心位置と前記基板支持部の中心位置との距離を用いて、前記ティーチング位置の位置座標を目標位置の位置座標に補正する工程と、
(F)前記処理チャンバから前記ティーチング治具を取り外す工程と、を含む、位置合わせ方法。
【請求項13】
前記搬送アームは、第1の基板を保持する第1の保持アームと、第2の基板を前記第1の基板と鉛直方向において重なるように保持する第2の保持アームと、を有し、
(G)前記処理チャンバに対する前記第1の保持アームの位置合わせで取得された前記ティーチング位置の位置座標に基づいて、前記処理チャンバに対する前記第2の保持アームのティーチング位置の位置座標を取得する工程、を含む、請求項12に記載の位置合わせ方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ティーチング治具、基板処理装置及び位置合わせ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ウェハを搬送する搬送装置に対してウェハの受け渡し位置を位置座標として覚えこませるティーチング工程を行うことが開示されている。特許文献1に開示されるティーチング工程では、処理チャンバ内に搬送アーム部を侵入させてフォークを仮の位置座標に移動させた後、オペレータの目視の手作業により、フォークが正規位置に配置されるように細やかな位置合わせを行う。そして、正確に位置合わせされた状態の位置座標を、正規のティーチング位置座標として記憶させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-81276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示にかかる技術は、チャンバ内の基板搬送位置に対する搬送アームのティーチングを適切に行う。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、基板を処理する基板処理装置であって、内部で前記基板を搬送する搬送モジュールと、前記搬送モジュールの内部に配置され、前記基板を保持する少なくとも1つの保持アームを備える搬送アームと、前記搬送モジュールに接続され、内部で前記基板を処理する処理チャンバを備える処理モジュールと、前記処理チャンバの内部に設けられ、前記基板の支持面を有する基板支持部と、前記基板支持部に対する前記搬送アームの位置合わせを行うための位置合わせ部と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、チャンバ内の基板搬送位置に対する搬送アームのティーチングを適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態にかかるウェハ処理装置の構成の概略を示す平面図である。
図2】ウェハ搬送機構の構成の概略を示す斜視図である。
図3】ウェハ洗浄モジュールの構成の概略を示す正面図である。
図4】ウェハ洗浄モジュールの構成の概略を示す側面図である。
図5】ウェハ洗浄モジュールの構成の概略を示す平面図である。
図6】洗浄チャンバの構成の概略を示す説明図である。
図7】キャップ部の構成の概略を示す説明図である。
図8】チャンバ及びドア機構の構成の概略を示す斜視図である。
図9A】ドア機構の閉状態の様子を示す斜視図である。
図9B】ドア機構の開状態の様子を示す斜視図である。
図10】ティーチング治具の構成の概略を示す斜視図である。
図11】洗浄チャンバに対する搬送アームの位置合わせの様子を示す斜視図である。
図12】洗浄チャンバに対する搬送アームの位置合わせの様子を示す平面図である。
図13】本実施形態にかかるティーチング作業の主な工程を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
半導体デバイスの製造プロセスにおいては、半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という場合がある。)の表面に形成された酸化膜をエッチングして除去する工程が行われている。例えば、酸化膜のエッチング工程は、COR(Chemical Oxide Removal)処理とPHT(Post Heat Treatment)処理により行われる。
【0009】
この時、酸化膜の除去後のウェハの表面には、COR処理で使用される処理ガス(例えばフッ化水素)に由来するフッ素が残留する場合がある。残留したフッ素はウェハの表面に形成された配線膜などを腐食し、ウェハから製造される半導体デバイスの電気特性を劣化させるおそれがある。このため、ウェハの表面に残留するフッ素を除去する工程が必要になる。例えば、フッ素の除去工程は、ウェハ洗浄装置のチャンバ内において、水分を含有する雰囲気へウェハを晒すことで行われる。
【0010】
ところで、上述のウェハ洗浄装置は、限られたスペースで複数のウェハの洗浄を効率的に行うため、例えば、チャンバ間のピッチを最小化するための狭小設計構造を有する複数のチャンバが、鉛直方向に積層して構成される場合がある。
【0011】
ここで、基板処理システムにおいては、それぞれの処理装置内でウェハに対する処理を適切に実行するため、処理対象のウェハを載置台等の適切な位置に正確に受け渡す必要がある。このため、処理装置にウェハを搬送する搬送アームに、載置台等のウェハの受渡位置を目標位置として位置座標として記憶させるティーチングという作業が行われる。
【0012】
上述した特許文献1には、この搬送アームのティーチング手法として、処理チャンバ内の仮の位置座標に搬送アームを移動させた後、オペレータの目視の手作業により細やかな位置合わせを行うことが開示されている。
【0013】
しかしながら、上述したように、ウェハの搬入対象であるチャンバが狭小設計構造を有する場合、特許文献1に記載の方法では適切に搬送アームのティーチングを実施できないおそれがある。具体的には、特許文献1に記載の手法では目視の手作業により搬送アームの細やかな位置合わせ作業を行っているが、チャンバが狭小設計構造を有する場合、チャンバ内を目視により確認することが困難である場合や、チャンバ内で手作業を行うことが困難である場合がある。
【0014】
また、このようにチャンバ内での手作業が困難である場合、チャンバ内にセンサや撮像機構を設けることで、搬送アームの位置合わせ作業を行うことが考えられる。しかしながら、上述したウェハ洗浄装置では加熱部260によりチャンバ自体の加熱が行われるため、かかる高温下においてはセンサや撮像機構の設置も困難であった。
【0015】
本開示にかかる技術は、上記事情に鑑みてされたものであり、チャンバ内の基板搬送位置に対する搬送アームのティーチングを適切に行う。以下、本実施形態にかかるウェハ処理装置及びウェハ処理方法について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0016】
<ウェハ処理装置>
先ず、本実施形態にかかるウェハ処理装置の構成について説明する。図1は、本実施形態にかかるウェハ処理装置の構成の概略を示す平面図である。本実施形態においては、ウェハ処理装置1が、基板としてのウェハWにCOR処理、PHT処理、洗浄処理、及びオリエント処理を行うための各種処理モジュールを備える場合について説明する。なお、本開示のウェハ処理装置1のモジュール構成はこれに限られず、任意に選択され得る。
【0017】
図1に示すようにウェハ処理装置1は、大気部10と減圧部11がロードロックモジュール20a、20bを介して一体に接続された構成を有している。大気部10は、大気圧雰囲気下においてウェハWに所望の処理を行う複数の大気モジュールを備える。減圧部11は、減圧雰囲気下においてウェハWに所望の処理を行う複数の減圧モジュールを備える。
【0018】
ロードロックモジュール20aは、大気部10の後述するローダモジュール30から搬送されたウェハWを、減圧部11の後述するトランスファモジュール60に引き渡すため、ウェハWを一時的に保持する。ロードロックモジュール20aは、2枚のウェハWを鉛直方向に沿って保持する上部ストッカ21aと下部ストッカ22aを有している。
【0019】
ロードロックモジュール20aは、ゲートバルブ23aが設けられたゲート24aを介して後述するローダモジュール30に接続されている。このゲートバルブ23aにより、ロードロックモジュール20aとローダモジュール30の間の気密性の確保と互いの連通を両立する。また、ロードロックモジュール20aは、ゲートバルブ25aが設けられたゲート26aを介して後述するトランスファモジュール60に接続されている。このゲートバルブ25aにより、ロードロックモジュール20aとトランスファモジュール60の間の気密性の確保と互いの連通を両立する。
【0020】
ロードロックモジュール20aにはガスを供給する給気部(図示せず)とガスを排出する排気部(図示せず)が接続され、当該給気部と排気部によって内部が大気圧雰囲気と減圧雰囲気に切り替え可能に構成されている。すなわちロードロックモジュール20aは、大気圧雰囲気の大気部10と、減圧雰囲気の減圧部11との間で、適切にウェハWの受け渡しができるように構成されている。
【0021】
なお、ロードロックモジュール20bはロードロックモジュール20aと同様の構成を有している。すなわち、ロードロックモジュール20bは、上部ストッカ21bと下部ストッカ22b、ローダモジュール30側のゲートバルブ23bとゲート24b、トランスファモジュール60側のゲートバルブ25bとゲート26bを有している。
【0022】
なお、ロードロックモジュール20a、20bの数や配置は、本実施形態に限定されるものではなく、任意に設定できる。
【0023】
大気部10は、後述するウェハ搬送機構40を備えたローダモジュール30と、複数のウェハWを保管可能なフープ31を載置するロードポート32と、ウェハWのフッ素を除去するウェハ洗浄モジュール33と、ウェハWの水平方向の向きを調節するオリエンタモジュール34とを有している。
【0024】
ウェハWの搬送装置としてのローダモジュール30は内部が矩形の筐体からなり、筐体の内部は大気圧雰囲気に維持されている。ローダモジュール30の筐体の長辺を構成する一側面には、複数、例えば3つのロードポート32が並設されている。ローダモジュール30の筐体の長辺を構成する他側面には、ロードロックモジュール20a、20bが並設されている。ローダモジュール30の筐体の短辺を構成する一側面には、ウェハ洗浄モジュール33が設けられている。ローダモジュール30の筐体の短辺を構成する他側面には、オリエンタモジュール34が設けられている。
【0025】
なお、ロードポート32、ウェハ洗浄モジュール33、及びオリエンタモジュール34の数や配置は、本実施形態に限定されるものではなく、任意に設計できる。例えばウェハ洗浄モジュール33は、複数設けられ、ロードロックモジュール20a、20bを挟んで両側に設けられていてもよい。
【0026】
フープ31は複数の、例えば1ロット25枚のウェハWを等間隔で多段に重なるようにして収容する。また、ロードポート32に載置されたフープ31の内部は、例えば、大気や窒素ガスなどで満たされて密閉されている。
【0027】
ウェハ洗浄モジュール33は、COR処理とPHT処理を行った後のウェハWの表面に残留するフッ素を除去して、当該ウェハWの表面を洗浄する。なお、ウェハ洗浄モジュール33の具体的な構成は後述する。
【0028】
図1の説明に戻る。
オリエンタモジュール34は、ウェハWを回転させて水平方向の向きの調節を行う。具体的に、オリエンタモジュール34は、複数のウェハWのそれぞれにウェハ処理を行うにあたり、当該ウェハ処理毎に、基準位置(例えばノッチ位置)からの水平方向からの向きが同じになるように調節される。
【0029】
ローダモジュール30の内部には、ウェハWを搬送するウェハ搬送機構40が設けられている。ウェハ搬送機構40は、図1及び図3に示すように、ウェハWを保持して移動する搬送アーム41と、搬送アーム41を回転可能に支持する回転台42と、回転台42を搭載した回転載置台43とを有している。ウェハ搬送機構40は、ローダモジュール30の筐体の内部において長手方向に移動可能に構成されている。
【0030】
図3に示すように搬送アーム41は、一端が回転台42に対して回転自在に接続された第1アーム45と、第1アーム45の他端に対して一端が回転自在に接続された第2アーム46と、第2アーム46の他端に対して回転自在に接続される第3アーム47aと、第2アーム46の他端に対して回転自在に接続される第4アーム47bとを有している。また、第3アーム47a及び第4アーム47bの他端には、それぞれウェハWを保持するための上部ピック48a及び下部ピック48bが接続されている。すなわち搬送アーム41は、2軸で3種類のアームが連結されたリンクアーム構造を有している。
【0031】
上部ピック48aと下部ピック48bは、2枚のウェハWを重なるように保持して移動する。一例において上部ピック48aと下部ピック48bの保持面の間の距離(ギャップ)は10mmであり、換言すれば、2枚のウェハWは10mmの隙間を空けて重なるように搬送アーム41に保持される。また、上部ピック48a及び下部ピック48bにおけるウェハWの保持面である上面には、図2に示すようにウェハWの外周に沿った輪郭線L1が罫書きされている。2枚のウェハWは、上部ピック48a及び下部ピック48b上においてその外縁が輪郭線L1に沿って配置されることで、上部ピック48a及び下部ピック48b上の所望の位置に位置合わせされた状態で搬送アーム41に保持される。
【0032】
減圧部11は、2枚のウェハWを同時に搬送するトランスファモジュール60と、トランスファモジュール60から搬送されたウェハWにCOR処理を行うCORモジュール61と、PHT処理を行うPHTモジュール62とを有している。トランスファモジュール60、CORモジュール61、及びPHTモジュール62の内部は、それぞれ減圧雰囲気に維持される。トランスファモジュール60に対し、CORモジュール61及びPHTモジュール62は複数、例えば3つずつ設けられている。
【0033】
トランスファモジュール60は内部が矩形の筐体からなり、上述したようにゲートバルブ25a、25bを介してロードロックモジュール20a、20bに接続されている。トランスファモジュール60は内部が矩形の筐体からなり、ロードロックモジュール20aに搬入されたウェハWを一のCORモジュール61、一のPHTモジュール62に順次搬送してCOR処理とPHT処理を施した後、ロードロックモジュール20bを介して大気部10に搬出する。
【0034】
CORモジュール61の内部には、2枚のウェハWを水平方向に並べて載置する2つのステージ63a、63bが設けられている。CORモジュール61は、ステージ63a、63bにウェハWを並べて載置することにより、2枚のウェハWに対して同時にCOR処理を行う。なお、CORモジュール61には、処理ガスやパージガスなどを供給する給気部(図示せず)とガスを排出する排気部(図示せず)が接続されている。
【0035】
また、CORモジュール61は、ゲートバルブ64が設けられたゲート65を介してトランスファモジュール60に接続されている。このゲートバルブ64により、トランスファモジュール60とCORモジュール61の間の気密性の確保と互いの連通を両立する。
【0036】
PHTモジュール62の内部には、2枚のウェハWを水平方向に並べて載置する2つのステージ66a、66bが設けられている。PHTモジュール62は、ステージ66a、66bにウェハWを並べて載置することにより、2枚のウェハWに対して同時にPHT処理を行う。なお、PHTモジュール62には、ガスを供給する給気部(図示せず)とガスを排出する排気部(図示せず)が接続されている。
【0037】
また、PHTモジュール62は、ゲートバルブ67が設けられたゲート68を介してトランスファモジュール60に接続されている。このゲートバルブ67により、トランスファモジュール60とPHTモジュール62の間の気密性の確保と互いの連通を両立する。
【0038】
トランスファモジュール60の内部には、ウェハWを搬送するウェハ搬送機構70が設けられている。ウェハ搬送機構70は、2枚のウェハWを保持して移動する搬送アーム71a、71bと、搬送アーム71a、71bを回転可能に支持する回転台72と、回転台72を搭載した回転載置台73とを有している。また、トランスファモジュール60の内部には、トランスファモジュール60の長手方向に延伸するガイドレール74が設けられている。回転載置台73はガイドレール74上に設けられ、ウェハ搬送機構70をガイドレール74に沿って移動可能に構成されている。
【0039】
トランスファモジュール60では、ロードロックモジュール20aにおいて上部ストッカ21aと下部ストッカ22aに保持された2枚のウェハWを搬送アーム71aで受け取り、CORモジュール61に搬送する。また、COR処理が施された2枚のウェハWを、搬送アーム71aが保持し、PHTモジュール62に搬送する。また更に、PHT処理が施された2枚のウェハWを、搬送アーム71bが保持し、ロードロックモジュール20bに搬出する。
【0040】
以上のウェハ処理装置1には、制御部80が設けられている。制御部80は、例えばCPUやメモリ等を備えたコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、ウェハ処理装置1におけるウェハWの処理を制御するプログラムが格納されている。なお、上記プログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、当該記憶媒体Hから制御部80にインストールされたものであってもよい。また、上記記憶媒体Hは、一時的なものであっても非一時的なものであってもよい。
【0041】
<ウェハ洗浄モジュール>
次に、上述したウェハ洗浄モジュール33の構成について説明する。図3及び図4は、ウェハ洗浄モジュール33の構成の概略を示す正面図及び側面図である。図5は、ウェハ洗浄モジュール33の構成の概略を示す平面図である。
【0042】
ウェハ洗浄モジュール33は、気化器100、給気ライン群102、排気ライン群103、電装品ボックス104、ブレーカー101、4つの洗浄チャンバ105及び4つのドア機構106、を有している。
【0043】
気化器100は、ウェハ洗浄モジュール33の下段、より具体的には後述する4つの洗浄チャンバ105の下方(Z軸負方向側)に配置されている。気化器100では、純水を気化させて水蒸気を生成する。
【0044】
ブレーカー101は、ウェハ洗浄モジュール33の下段、すなわち4つの洗浄チャンバ105の下方(Z軸負方向側)において、気化器100より正面側(X軸負方向側)に配置されている。
【0045】
給気ライン群102は、ウェハ洗浄モジュール33の中段、より具体的には気化器100の上方(Z軸正方向側)であって4つの洗浄チャンバ105の背面側(X軸正方向側)に配置されている。給気ライン群102は、4つの洗浄チャンバ105のそれぞれに接続され、洗浄チャンバ105の内部に水蒸気や窒素ガス等の処理ガスを供給する。また、給気ライン群102は、気化器100から供給される水蒸気供給ラインや、後述の窒素ガス供給源から供給される窒素ガス供給ライン等を含む。
【0046】
排気ライン群103は、ウェハ洗浄モジュール33の中段、より具体的は気化器100の上方(Z軸正方向側)であって4つの洗浄チャンバ105の背面側(X軸正方向側)に配置されている。排気ライン群103は、4つの洗浄チャンバ105のそれぞれに接続され、洗浄チャンバ105から排出される水蒸気や窒素ガス等を排気する。
【0047】
電装品ボックス104は、ウェハ洗浄モジュール33の上段、すなわち4つの洗浄チャンバ105の上方(Z軸負正向側)に配置されている。電装品ボックス104は、ウェハ洗浄モジュール33の各部に用いられる電装品を収容する。
【0048】
洗浄チャンバ105は、ウェハ洗浄モジュール33の中段の前面側(X軸負方向側)において、鉛直方向に複数、例えば4つ積層されて設けられている。洗浄チャンバ105は、図1に示すように、ローダモジュール30の筐体の短辺を構成する一側面において、後述の搬入出口240及び後述のドア機構106がローダモジュール30側に対向するように配置されている。なお、積層する洗浄チャンバ105の数は、本実施形態に限定されず、任意に設定できる。
【0049】
図6に示すように洗浄チャンバ105は、留め板200、キャップ部201、収容部202、及び留め部材203が上方から下方に向けてこの順で積層されて構成されている。キャップ部201は収容部202に嵌め込まれるように配置され、更に留め板200がキャップ部201の上面を覆い、これら留め板200と留め部材203が、キャップ部201と収容部202を挟み込んで固定する。
【0050】
収容部202は、第1の側壁211、第2の側壁212、第3の側壁213、及び第4の側壁214を有している。第1の側壁211と第3の側壁213は対向し、第2の側壁212と第4の側壁214は対向している。収容部202の内部には、第1~第4の側壁211~214、及び収容部202に嵌め込まれたキャップ部201により規定された、2枚のウェハWを収容する収容空間220が形成される。また、収容部202の内部には、洗浄チャンバ105に収容される2枚のウェハWのうち、下側のウェハWを支持する支持部材221が設けられている。
【0051】
第1の側壁211には、複数、例えば2つの供給口230が形成されている。供給口230には、前述の給気ライン群102が接続されている。上述したように収容空間220は上部収容空間220Aと下部収容空間220Bに区画され、供給口230は、これら上部収容空間220Aと下部収容空間220Bのそれぞれに1つずつ、合計2箇所に形成されている。また、第1の側壁211には、複数、例えば2つの排気口231が形成されている。排気口231には、前述の排気ライン群103が接続されている。排気口231も、上部収容空間220Aと下部収容空間220Bのそれぞれに1つずつ、合計2箇所に形成されている。なお、排気口231は、第2の側壁212に形成されていてもよい。また、排気口231の面積は、供給口230の面積よりも大きい。
【0052】
図7は、キャップ部201の構成の概略を示す説明図である。キャップ部201は、天板300、仕切り板310、及び底板320が上方から下方に向けてこの順で積層されて構成されている。仕切り板310には、平面視において略円形状に開口した開口部311が形成されている。また底板320は、仕切り板310の開口部311に沿って分割されている。この開口部311には、洗浄チャンバ105に収容される2枚のウェハWのうち、上側のウェハWが配置される。そして、仕切り板310と上側のウェハWにより、収容空間220が上部収容空間220Aと下部収容空間220Bに区画される。なお、支持部材221に支持される下側のウェハWと、仕切り板310の開口部311に支持される上側のウェハWとの支持間隔は、例えば10mmである。
【0053】
仕切り板310において開口部311より第1の側壁211側には、当該仕切り板310より突起した突起312が設けられている。突起312は、仕切り板310の上面と下面の両方に設けられている。この突起312により、上述した供給口230と排気口231が形成される。
【0054】
仕切り板310において、開口部311より第1の側壁211側であって、かつ排気口231側には、当該仕切り板310より突出した複数のピラー313が設けられている。複数のピラー313は、平面視において開口部311(ウェハW)の外周外側に沿って、所望の間隔で配置されている。また、複数のピラー313は、仕切り板310の上面と下面の両方に設けられている。なお、各ピラー313は、例えば円柱形状を有している。
【0055】
第3の側壁213には、ウェハWの搬入出口240が形成されている。搬入出口240の開口高さは2枚のウェハWを同時に洗浄チャンバ105の内部(支持部材221及び仕切り板310)に搬入できる高さ、一例として25mmである。搬入出口240には後述するドア機構106が設けられ、当該ドア機構106により開閉自在になっている。
【0056】
各洗浄チャンバ105は、このように例えば2枚のウェハWを収容する。洗浄チャンバ105の内部では、気化器100から給気ライン群102を介して水蒸気が供給され、ウェハWの表面全面が水蒸気に晒される。そうすると、ウェハWの表面のフッ素と水蒸気が反応して、当該フッ素が除去される。より具体的には、供給口230から収容空間220内に供給された水蒸気は、ウェハWの表面(上面)を通って排気口231に向かって流れる。この際、水蒸気は、洗浄チャンバ105の内側面(上部収容空間220Aの側面及び下部収容空間220Bの側面)に沿って、略円弧型に流れる。なお、上部収容空間220Aと下部収容空間220Bにおけるガスの流路は、ほぼ同じである。そして、かかるガスの流れにより、2枚のウェハWの表面全面が均一に水蒸気に晒され、これによりウェハWの表面全面のフッ素が適切に除去される。
【0057】
なお、洗浄チャンバ105の第3の側壁213には、図8に示すように後述するドア機構106の弁体120を加熱する加熱部260が設けられている。加熱部260は、一例としてヒータを内蔵する。上述したように、洗浄チャンバ105の内部では、水蒸気を用いてウェハWのフッ素を除去するため、ドア機構106の弁体120は結露しやすい。また、弁体120は、ローダモジュール30の内部の大気雰囲気(ダウンフロー)に露出しているため、洗浄チャンバ105の内部から放熱しやすい。そこで、加熱部260は弁体120を加熱する。加熱部260の設定温度は任意であるが、例えば80℃~90℃である。
【0058】
また、洗浄チャンバ105の第3の側壁213には、断熱材261が埋設されている。上述したようにローダモジュール30の内部はダウンフローによって大気雰囲気に維持されているため、洗浄チャンバ105の内部から放熱しやすい。そこで、断熱材261151を設けて、当該放熱を抑制する。
【0059】
なお、洗浄チャンバ105の第1の側壁211、第2の側壁212及び第4の側壁214に対しても、断熱材261が埋設されてもよい。
【0060】
ウェハ洗浄モジュール33の説明に戻る。
ドア機構106は、洗浄チャンバ105のウェハWの搬入出口240に設けられる(図3図8等を参照)。すなわち、ドア機構106の数は洗浄チャンバ105の数と対応しており、本実施形態ではドア機構106は4つ設けられている。また、図1に示すようにドア機構106は、洗浄チャンバ105から突出して、ローダモジュール30の内部に配置されている。
【0061】
図9A及び図9ABに示すように、ドア機構106は、ハウジング110、弁体120、シャフト130、及び駆動部140を有している。
【0062】
ハウジング110は、側面視において略門型形状を有している。ハウジング110は、洗浄チャンバ105と反対側の側面110aと、洗浄チャンバ105側の側面110bを有している。ハウジング110は、、例えばOリング等のシール部材(図示せず)を介在して側面110bが洗浄チャンバ105の第3の側壁213と接触するように、洗浄チャンバ105に固定される。側面110bと第3の側壁213の接触面にはがなお、ハウジング110の固定方法は任意であるが、例えばネジ止めされる。
【0063】
ハウジング110の側面110aには、弁体120及びシャフト130を収容可能な窪み部111が形成されている。窪み部111の弁体120側の表面は、当該弁体120に接触するシール面112を構成する。また、ハウジング110の内側には、シール面112から側面110bまで貫通する開口部113が形成されている。開口部113は、洗浄チャンバ105の第3の側壁213に形成されたウェハWの搬入出口240に適合する形状を有する。
【0064】
また、ハウジング110の側面110aには、2つの挿通孔114が形成されている。2つの挿通孔114には、後述するティーチング治具400の突起部403が嵌合する。
【0065】
弁体120は、ハウジング110の窪み部111に設けられている。弁体120は、本体部121と支持部122を有している。本体部121は、ハウジング110のシール面112と接触する。支持部122は、本体部121から突出して設けられている。支持部122はシャフト130に固定され、これにより弁体120はシャフト130に取り付けられる。
【0066】
シャフト130は、ハウジング110の窪み部111において、弁体120の下方に設けられている。シャフト130は、軸部131と突起部132を有している。軸部131は水平方向に延伸し、弁体120の側面120aと平行に配置されている。軸部131の一端131aは、ハウジング110に軸支される。軸部131の他端131bは、ハウジング110を貫通し、駆動部140に取り付けられる。突起部132は、シャフト130から突出して設けられている。突起部132は、弁体120の支持部122を支持する。
【0067】
駆動部140は、弁体120の水平方向側方に配置されている。駆動部140の内部には電動アクチュエータが設けられ、電動アクチュエータは例えばモータ、ギア、減速機等を備えている。駆動部140は、シャフト130を回動させる。
【0068】
以上の構成のドア機構106は、洗浄チャンバ105の第3の側壁213に形成されたウェハWの搬入出口240を開閉する。すなわち、ドア機構106は、駆動部140によるシャフト130及び弁体120の回動動作のみによって、搬入出口240を開閉する。
これにより、図9Aに示すドア機構106の閉状態(ローダモジュール30の内部と洗浄チャンバ105の内部が縁切りされた状態)と、図9Bに示す開状態(ローダモジュール30の内部と洗浄チャンバ105の内部が連通された状態)と、を切り替え自在に構成されている。
【0069】
<搬送アームのティーチング>
一実施形態にかかるウェハ処理装置1及びウェハ洗浄モジュール33は以上のように構成されている。続いて、ウェハ処理装置1におけるウェハ洗浄モジュール33に対するウェハ搬送機構40(搬送アーム41)のティーチング手法について説明する。
【0070】
処理モジュールに対する搬送アームのティーチングでは、処理モジュール内における目標位置(ウェハWの受渡位置)を、位置座標として制御部に保存する。具体的に、特許文献1に開示されるティーチング手法では、搬送アームを処理モジュール内の仮の目標位置まで移動させた後、当該仮の目標位置で目視の手作業により搬送アームの位置が真の目標位置となるように微修正を行い、その後、当該真の目標位置における搬送アームの位置座標を制御部に出力する。
【0071】
しかしながら、上記実施形態に示すウェハ洗浄モジュール33の洗浄チャンバ105は、一例として搬入出口240の開口高さが25mmで形成される狭小チャンバ構造を有するため、当該洗浄チャンバ105の内部で目視の手作業を行うことは困難である。そこで本実施形態にかかるウェハ処理装置1においては、従来手法のような洗浄チャンバ105内でのティーチング作業に代え、目視の手作業が可能なローダモジュール30の内部で、ウェハ洗浄モジュール33に対する搬送アーム41のティーチング作業を行う。具体的には、ウェハ洗浄モジュール33(洗浄チャンバ105)にティーチング用の外部取り付け治具を固定し、当該外部取り付け治具に対して搬送アーム41の位置合わせを行うことで、疑似的にウェハ洗浄モジュール33に対するティーチングを実施する。
【0072】
以下、洗浄チャンバ105に固定される外部取り付け治具としてのティーチング治具400の構成、及び当該ティーチング治具400を用いた搬送アーム41のティーチング手法について、図面を参照して説明する。
【0073】
図10は、ティーチング治具400の構成の概略を示す斜視図である。図10に示すようにティーチング治具400は、本体部401、挿入部402及び突起部403を備える。
【0074】
本体部401には、一例として略L字形状の切欠き部401aと、ウェハWの外周に沿った輪郭線L2が形成されている。
【0075】
また本体部401には、固定部としての挿入部402及び2本の突起部403が設けられている。挿入部402は、本体部401の長手方向に沿って、当該本体部401から延在して配置される。挿入部402は、ドア機構106が開放された状態において洗浄チャンバ105の内部に挿入され、当該挿入部402のセンタ位置C1が、洗浄チャンバ105のセンタ位置C1´と略一致する形状で構成される。2本の突起部403は、ドア機構106のハウジング110に形成された2つの挿通孔114に挿通される。これにより、図11及び図12に示すようにティーチング治具400を一の洗浄チャンバ105に対して固定可能に構成される。なお、洗浄チャンバ105のセンタ位置C1´は、後述の目標位置(洗浄チャンバ105内における仕切り板310の開口部311、すなわち上側のウェハWの受渡位置)の中心である。
【0076】
なお、洗浄チャンバ105に取り付けられた後のティーチング治具400の本体部401の上面位置は、洗浄チャンバ105内における仕切り板310の開口部311の上面位置、すなわち、洗浄チャンバ105内における上側のウェハWの保持面の上面位置と略一致する。また、切欠き部401aには後述するように搬送アーム41の上部ピック48aが挿入されるが、この時、上部ピック48aの上面位置(ウェハWの保持面の上面位置)と、ティーチング治具400の本体部401における輪郭線L2下部の上面位置は略一致する。
【0077】
また、洗浄チャンバ105に取り付けられた後のティーチング治具400の本体部401のセンタ位置C1(洗浄チャンバ105のセンタ位置C1´)とティーチング治具400上に保持される位置合わせ用基板としてのダミーウェハWdのセンタ位置C2との間の距離D(図12を参照)は、既知の値(例えばティーチング治具400のサイズにより決定)であり、予め制御部80に出力されている。
【0078】
センタ位置C1とセンタ位置C2のY軸方向位置は略一致している。また、上述したようにティーチング治具400の本体部401の上面高さと仕切り板310の開口部311の上面位置は略一致するため、センタ位置C1とセンタ位置C2のZ軸方向位置は略一致している。
換言すれば、ティーチング治具400は、上面に保持されたダミーウェハWdのセンタ位置C2が、ウェハWの受け渡し目標位置であるセンタ位置C1´とY軸方向位置及びZ軸方向位置で略一致し、かつ、X軸負方向側に距離Dずらした位置となるように、その形状が決定される。
【0079】
なお、洗浄チャンバ105に対するティーチング治具400の固定方法は上記実施形態に限定されない。
具体的には、例えばティーチング治具400に突起部403を設けることに代え、ドア機構106のハウジング110に突起部(図示せず)を設けてもよい。かかる場合、ティーチング治具400には、突起部403に代えて挿通孔(図示せず)が形成される。
【0080】
一実施形態にかかるティーチング治具400は以上のように構成される。続いて、ティーチング治具400を用いたティーチング手法について説明する。なお、ウェハ洗浄モジュール33に対する搬送アーム41のティーチングは、例えばウェハ処理装置1のスタートアップ時に行われる。また、以下の説明においてはウェハWの受渡位置である目標位置を基準座標(x,y,z=0,0,0)として説明を行う。
【0081】
搬送アーム41の位置合わせに際しては、先ず、ティーチング目標の洗浄チャンバ105に対してティーチング治具400の取付けを行う(図13のステップSt1)。ティーチング治具400は、例えば挿入部402を洗浄チャンバ105の内部に挿入すると共に、突起部403をドア機構106に形成された挿通孔114に挿通させることにより、洗浄チャンバ105に対して固定される。
【0082】
この時、挿入部402のセンタ位置C1と洗浄チャンバ105のセンタ位置C1´は、例えば図6に示したキャップ部201を収容部202に嵌め込むことで、また、2つの突起部403を基準として、自動的に略一致(センタリング)されるが、必要に応じて、当該センタリングを手作業により微調整、補正、又はやり直ししてもよい(図13のステップSt2)。
【0083】
続いて、搬送アーム41を洗浄チャンバ105に対する位置合わせを行うための仮想位置に移動させる(図13のステップSt3)。具体的には、図11に示したように、平面視で上部ピック48aと下部ピック48bとが重なるように配置された状態で、上部ピック48aを、ティーチング治具400の本体部401に形成された切欠き部401aに挿入する。すなわち、本実施形態において切欠き部401aは、本開示の技術に係る「位置合わせ部」に相当する。
この時、ステップSt3の完了後の上部ピック48aの位置座標は、一例として(x,y,z=-D±α,β,γ)となる。
【0084】
続いて、図12に示すように、洗浄チャンバ105に挿入されたティーチング治具400上にダミーウェハWdを配置する(図13のステップSt4)。この時、ダミーウェハWdは、ティーチング治具400上において輪郭線L2に沿って配置される。
すなわち、ステップSt4においてティーチング治具400上に配置されたダミーウェハWdのセンタ位置C2の位置座標は、(x,y,z=-D,0,0)となる。
【0085】
続いて、仮想位置に移動された搬送アーム41とティーチング治具400とを、目視の手作業により本位置合わせ(微調整)し、ステップSt3で生じた位置ずれ(上記α、β及びγ)を補正する(図13のステップSt5)。
具体的には、ティーチング治具400に保持されたダミーウェハWdを上部ピック48aの上面に保持(Z軸方向、すなわち上記γの補正)するとともに、上部ピック48aに形成された輪郭線L1をダミーウェハWdの外縁と一致させ、更に上部ピック48aのY軸方向位置を洗浄チャンバ105のセンタ位置C1´のY軸方向位置と一致させるX軸及びY軸方向、すなわち上記α及びβの補正)。
すなわち、ステップSt5の完了後の上部ピック48aの位置座標は、一例として(x,y,z=-D,0,0)となる。
【0086】
続いて、本位置合わせ後の上部ピック48aのティーチング位置座標を制御部80に記憶させる(図13のステップSt6)。ティーチング位置の記憶は、一例として図示しない情報入力部(例えばタッチパネル等)でコマンドが選択されることにより開始される。ここで、上述したようにティーチング治具400上のダミーウェハWdのセンタ位置C2と洗浄チャンバ105のセンタ位置C1´との間の距離Dは既知の値である。このため制御部80では、本位置合わせ後の上部ピック48aの位置座標を、X軸方向に距離Dずらした座標をティーチング位置座標として記憶する。
すなわち、ステップSt6で制御部80に記憶されるティーチング位置座標は、(x,y,z=0,0,0)となり、洗浄チャンバ105内の目標位置座標と一致する。
【0087】
ティーチング位置座標が制御部80に記憶されると、その後、洗浄チャンバ105からティーチング治具400を取外し(図13のステップSt7)、一の洗浄チャンバ105に対する搬送アーム41の位置合わせが終了する。
【0088】
なお、上記実施形態では搬送アーム41が備える上部ピック48aの位置合わせが行われ、ティーチング位置座標が制御部80に記憶されるが、この時、下部ピック48bの位置合わせも同時に完了する。具体的には、洗浄チャンバ105の内部において上側に保持されるウェハW(上部ピック48aに対応)と下側に保持されるウェハW(下部ピック48bに対応)の支持間隔はZ軸方向に10mmである。このため、上部ピック48aのティーチング位置座標をZ軸負方向側に移動させた位置、すなわち(x,y,z=0,0,-10mm)が下部ピック48bのティーチング位置座標となる。
【0089】
ここで、上述したようにウェハ洗浄モジュール33には複数、本実施形態においては4つの洗浄チャンバ105が設けられている。そこで本実施形態にかかるウェハ処理装置1においては、4つの洗浄チャンバ105のそれぞれに対して、上述のティーチング処理(図13のステップSt1~ステップSt7)が実行される。
すなわち図13に示すように、一の洗浄チャンバ105に対する位置合わせが完了した後、ティーチング未完了の洗浄チャンバ105がある場合には、ティーチング未完了の他の洗浄チャンバに対してティーチング治具400の取付けが行われる。
そして、全ての洗浄チャンバ105に対する搬送アーム41の位置合わせ(ティーチング)が終了すると、ウェハ洗浄モジュール33での一連の位置合わせ処理が完了する。
【0090】
なお、上記実施形態においては、一連のティーチング動作、特に図13のステップSt1に示したティーチング治具400の取付け、図13のステップSt4に示したダミーウェハWdの配置、ステップSt5に示した搬送アーム41とティーチング治具400の本位置合わせ等を手作業により行ったが、かかる動作は、必要や目的に応じて制御部80により自動制御されてもよい。
【0091】
<本開示の技術に係る作用効果>
以上の実施形態にかかるウェハ処理装置1によれば、洗浄チャンバ105に対する搬送アーム41のティーチングに際し、ティーチング治具400を洗浄チャンバ105の外部に取り付け、当該ティーチング治具400上に仮のティーチング位置(仮想位置)を形成する。これにより、ティーチング対象の洗浄チャンバ105が内部を目視できず、また手作業が困難である狭小チャンバ構造を有する場合であっても、当該洗浄チャンバ105の外部であって、目視の手作業が容易であるローダモジュールの内部でティーチングができる。
【0092】
特に、本実施の形態によれば、洗浄チャンバ105に固定されたティーチング治具400上に保持されるダミーウェハWdのセンタ位置C2の位置座標が、目標位置におけるセンタ位置C1´の位置座標とY軸方向及びZ軸方向で一致している。このため、ティーチング治具400に対するティーチング作業の完了後、X軸方向のオフセット(距離D)を補正することのみによってティーチング位置座標を目標位置の位置座標と一致させることができるため、ティーチングに係る処理が非常に容易である。
【0093】
またこの時、搬送アーム41が同時に複数のウェハWを搬送する複数のピックを備える場合であっても、一の目標位置の位置座標に対する他の目標位置の位置座標を予め取得しておくことで、複数のピックのそれぞれでティーチング作業を行う必要がない。すなわち、一のピックのティーチング位置座標を取得することのみによって、他のピック全てのティーチング作業を完了させることができ、洗浄チャンバ105に対する搬送アーム41のティーチングに要する時間を適切に短縮できる。
【0094】
また本実施形態によれば、ティーチング治具400上面及び上部ピック48aの上面に形成された輪郭線L1、L2は、ウェハW(ダミーウェハWd)の外縁に沿って形成される。このため、ティーチング治具400に対して輪郭線L2に沿うようにダミーウェハWdを配置し、その後、配置されたダミーウェハWdの外縁に沿って更に上部ピック48aを配置することのみによって、容易に搬送アーム41を仮の位置合わせ位置に配置することができる(図13のステップSt4、St5)。換言すれば、ステップSt4及びSt5における上部ピック48aの位置合わせに要する時間を適切に短縮できる。
【0095】
なお、上記実施形態ではティーチング治具400に対して上部ピック48aのティーチングを行い、当該上部ピック48aのティーチング位置座標を基準として下部ピック48bのティーチング位置座標を取得した。しかしながら、実施の形態にかかるティーチング方法はこれに限定されるものではなく、ティーチング治具400に対して下部ピック48bのティーチングを行い、当該下部ピック48bのティーチング位置座標を基準として上部ピック48aのティーチング位置座標を取得してもよい。
かかる場合、目標座標となる洗浄チャンバ105のセンタ位置C1´は、図6に示した支持部材221の中心となる。
またかかる場合、支持部材221を目標座標として、ティーチング治具400に対するダミーウェハWdの保持位置が変更されることが望ましい。すなわち、上記実施形態と比較して、ティーチング治具400に保持されるダミーウェハWdのセンタ位置C2がZ軸方向(高さ方向)に変更されることが望ましい。
【0096】
なお、上記実施形態ではティーチング治具400の本体部401を略L字形状で形成したが、本体部401の形状はこれに限定されない。具体的には、ローダモジュール30におけるティーチング治具400に対する搬送アーム41の進退方向に鑑みて、本体部401に形成する切欠き部401aの形状を決定できる。より具体的には、例えばティーチング治具400に対して搬送アーム41が正面方向から進退する場合においては、本体部401を略U字形状で形成してもよい。
【0097】
なお、上記実施形態ではウェハ洗浄モジュール33に設けられた4つの洗浄チャンバ105の全てに対して搬送アーム41の位置合わせ(ティーチング作業)を行ったが、例えば積層される洗浄チャンバ105間の距離が既知である場合には、一の洗浄チャンバ105のティーチング位置座標を基準として、1つ又は複数の他の洗浄チャンバ105のティーチング位置座標を取得してもよい。
【0098】
ただし、本実施の形態にかかるウェハ処理装置1では、高温下(例えば60℃~80℃程度)でのティーチング作業が行われる場合があり、熱影響により洗浄チャンバ105に変形が生じるおそれがある。かかる事情に鑑みて、洗浄チャンバ105に対する搬送アーム41の位置合わせ(ティーチング作業)は、複数の洗浄チャンバ105のそれぞれに対して個別に行われることが望ましい。
【0099】
又は、例えば熱影響による洗浄チャンバ105の変形量を予め取得できる場合には、かかる熱変形量に応じてティーチング位置座標を補正することにより、一の洗浄チャンバ105のティーチング位置座標を基準として、他の洗浄チャンバ105のティーチング位置座標を取得するようにしてもよい。
【0100】
なお、上記実施形態ではティーチング治具400を洗浄チャンバ105に固定し、ウェハ洗浄モジュール33の外部(ローダモジュール30の内部)に仮想位置を創出することで、当該仮想位置において搬送アーム41の位置合わせ(ティーチング作業)を行った。しかしながら、例えば光軸センサやマーカ等を使用してローダモジュール30の内部における搬送アーム41の位置を正確に検知することができれば、必ずしもティーチング治具400を洗浄チャンバ105に固定する必要はない。
【0101】
すなわち、例えば光軸センサやマーカ等により洗浄チャンバ105に対する搬送アーム41(上部ピック48a又は下部ピック48b)の相対的な位置を正確に検知することができればよい。かかる場合、ティーチング治具400を用いることなく光軸センサやマーカ等によりウェハ洗浄モジュール33の外部(ローダモジュール30の内部)の任意の位置に仮想位置を創出することができ、かかる仮想位置を用いて搬送アーム41の位置合わせを行うことができる。
【0102】
ただし、上述したようにウェハ処理装置1では、高温下(例えば60℃~80℃程度)でのティーチング作業が行われる場合があり、熱影響により洗浄チャンバ105に変形が生じるおそれがある。かかる事情に鑑みて、洗浄チャンバ105に対する搬送アーム41の位置合わせ(ティーチング作業)は、ティーチング治具400を用いたアナログな手法により行われることがより好ましい。
【0103】
なお、上記実施形態では、本開示の技術に係るティーチング手法を目視の手作業が困難な狭小チャンバに対する搬送アーム41の位置合わせを行う場合に適用したが、本ティーチング手法の適用例はこれに限定されない。すなわち、ティーチング対象の処理チャンバの内部でのティーチング作業が困難な場合であれば上記ティーチング手法を適用できる。
具体的には、例えばティーチング対象の処理チャンバの内部が手作業が困難な高温状態である場合や、単に目視が困難である場合、又は処理チャンバの内部で人体に影響のある処理ガスが用いられる場合等、任意の状況下において上記ティーチング手法を適用できる。
【0104】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0105】
41 搬送アーム
48a 上部ピック
48b 下部ピック
105 洗浄チャンバ
221 支持部材
311 開口部
400 ティーチング治具
401 本体部
402 挿入部
C1 センタ位置
C2´ センタ位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13