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特開2023-6105画像形成装置、画像形成方法及び画像形成プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006105
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成方法及び画像形成プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/387 20060101AFI20230111BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
H04N1/387 110
H04N1/00 127A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021108513
(22)【出願日】2021-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 敦
【テーマコード(参考)】
5C062
5C076
【Fターム(参考)】
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA35
5C062AA37
5C062AB17
5C062AB22
5C062AB38
5C062AC02
5C062AC24
5C062AC34
5C062AC58
5C062AF15
5C076AA12
5C076AA19
(57)【要約】
【課題】サーバ装置との間のデータ転送量を削減して、印刷開始時刻の遅延を防止する。
【解決手段】取得部が、サーバ装置等の外部機器に記憶されている被合成画像を、ネットワークを介して取得する。合成処理部は、取得された被合成画像を、合成先となる画像に合成処理して合成画像を形成する。出力制御部は、形成された合成画像を例えば印刷して出力する。外部機器から被合成画像のみをダウンロードするため、外部機器から取得するデータのデータ量を少なくすることができ、短時間で合成画像の出力を開始することができる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器に記憶されている被合成画像を、ネットワークを介して取得する取得部と、
取得された前記被合成画像を、合成先となる画像に合成処理して合成画像を形成する合成処理部と、
形成された前記合成画像を出力制御する出力制御部と、
を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記ネットワークの通信速度を判断する通信速度判断部を、さらに備え、
前記取得部は、前記通信速度判断部により判断された前記ネットワークの通信速度に応じた画質の前記被合成画像を、前記外部機器から取得すること
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記通信速度判断部は、前記ネットワークの通信速度、及び、前記外部機器から取得する前記被合成画像の画質に基づいて、前記外部機器から前記被合成画像を取得し、前記合成画像を形成して出力制御を開始するまでに要する時間である出力開始時間を算出し、
前記出力開始時間が所定の基準時間以上である場合に、前記合成画像の出力に時間を要する旨の報知を行う報知制御部を、さらに備えること
を特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
ネットワークを介して取得された前記被合成画像の真正性を審査する画像審査部を、さらに備え、
前記合成処理部は、前記画像審査部により真正性を有するものと判断された前記被合成画像を、合成先となる画像に合成処理して合成画像を形成すること
を特徴とする請求項1から請求項3のうち、いずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
取得部が、外部機器に記憶されている被合成画像を、ネットワークを介して取得する取得ステップと、
合成処理部が、取得された前記被合成画像を、合成先となる画像に合成処理して合成画像を形成する合成処理ステップと、
出力制御部が、形成された前記合成画像を出力制御する出力制御ステップと、
を有する画像形成方法。
【請求項6】
コンピュータを、
外部機器に記憶されている被合成画像を、ネットワークを介して取得する取得部と、
取得された前記被合成画像を、合成先となる画像に合成処理して合成画像を形成する合成処理部と、
形成された前記合成画像を出力制御する出力制御部として機能させること、
を特徴とする画像形成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成方法及び画像形成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日において、ネットワーク上のサーバ装置に画像データを送信して所定の画像処理を実行させ、この画像処理された画像データをサーバ装置から取得して印刷等を行う画像形成装置が知られている。
【0003】
また、特許文献1(特開2005-25425号公報)には、ユーザが所望の画像データを、ネットワーク等を介してユーザの許容時間内に供給可能とした画像情報システムが開示されている。この画像情報システムは、画像データサーバに、画像ビューアのユーザが要求する画像データ(第1の画像データ)が保管されている。また、付帯情報保管部には、この画像データの付帯情報が保管されている。付帯情報保管部は、画像データのデータ容量の情報を、予め画像ビューアに供給する。
【0004】
画像ビューアの圧縮条件設定部は、供給された情報で示されるデータ容量とネットワーク能力に基づいて、ユーザの許容時間内にネットワークを介して受信可能なデータ圧縮条件を画像モダリティ単位で設定する。そして、画像データサーバのデータ圧縮演算部は、画像データ保管部の第1の画像データを、データ圧縮条件に基づいてデータ圧縮して第2の画像データを生成し、画像ビューアに供給する。これにより、ユーザが所望の画像データを、ネットワーク等を介してユーザの許容時間内に供給できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の技術も含め、従来の画像形成装置は、サーバ装置に対して画像処理を行う画像データを送信し、また、画像処理後の画像データを、サーバ装置からダウンロードする必要がある。このため、画像形成装置とサーバ装置との間で送受信する画像データのデータ転送量が多くなり、サーバ装置で画像処理された画像データを画像形成装置で取得するまでに長時間を要し、印刷開始時刻が遅延する問題があった。このような問題は、画像形成装置とサーバ装置とを接続するネットワークの通信速度が遅い場合、より顕著となる。
【0006】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、サーバ装置との間のデータ転送量を削減して、印刷開始時刻の遅延を防止した画像形成装置、画像形成方法及び画像形成プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、外部機器に記憶されている被合成画像を、ネットワークを介して取得する取得部と、取得された被合成画像を、合成先となる画像に合成処理して合成画像を形成する合成処理部と、形成された合成画像を出力制御する出力制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、サーバ装置との間のデータ転送量を削減して、印刷開始時刻の遅延を防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施の形態の画像形成システムのシステム構成を示す図である。
図2図2は、MFPのハードウェア構成を示すブロック図である。
図3図3は、MFPの機能構成を説明するための機能ブロック図である。
図4図4は、サーバ装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図5図5は、被合成画像の一例を示す図である。
図6図6は、第1の実施の形態の画像形成システムのMFPにおける画像合成処理の流れを示すシーケンス図である。
図7図7は、画像合成モード設定画面の一例を示す図である。
図8図8は、画像合成モード設定画面でユーザ設定ボタンが操作された際に、合成画像ジョブ管理部により操作パネルに表示されるユーザ設定画面の一例を示す図である。
図9図9は、画像合成処理プログラムに基づいて通信速度判断部及び画像品質決定部により行われる、自動モード時の画質自動選択動作を説明するためのシーケンス図である。
図10図10は、第1の実施の形態の画像形成システムのMFPにおける、印刷開始までに要する時間を説明するための図である。
図11図11は、第2の実施の形態の画像形成システムのMFPの機能ブロック図である。
図12図12は、第2の実施の形態の画像形成システムのMFPにおける画像合成処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、実施の形態となる画像形成システムの説明をする。
【0011】
(システム構成)
図1は、第1の実施の形態の画像形成システムのシステム構成を示す図である。この図1に示すように、第1の実施の形態の画像形成システムは、画像形成装置の一例である複合機(MFP:Multi-Function Peripheral)、スマートフォン又はタブレット端末装置等の携帯端末装置2、及び、ネットワーク上のサーバ装置3を有している。携帯端末装置2及びサーバ装置3は、外部機器の一例である。
【0012】
サーバ装置3は、例えばインターネット等の広域網又はLAN(Local Area Network)等のプライベート網に設けられている。MFP1及び携帯端末装置2は、アクセスポイント4及び上述のネットワークを介してサーバ装置3と画像データ等の送受信を行う。
【0013】
なお、図1は、MFP1及びアクセスポイント4を無線接続する例であるが、両者を有線接続してもよい。
【0014】
(MFPのハードウェア構成)
図2は、MFP1のハードウェア構成を示すブロック図である。この図2に示すように、MFP1は、コントローラ200、RAM(Random Access Memory)201、ROM(Read Only Memory)202、印刷エンジン203及びHDD(Hard Disk Drive)204を有している。また、MFP1は、ネットワークインターフェース(ネットワークI/F)206、画像形成制御部208及び操作パネル210を有している。
【0015】
コントローラ200は、MFP1のメインCPU(Central Processing Unit)である。コントローラ200は、シングルコアからマルチコアに対応し、MFP1全体の制御を行う。RAM201は、MFP1の動作に必要なプログラムの各種情報を一時的に保持する。ROM202は、MFP1のスキャナ機能、コピー機能、プリンタ機能及びネットワーク通信機能に必要なプログラムを記憶している。
【0016】
印刷エンジン203は、ROM202に記憶されている各種プログラムに基づくコントローラ200の制御により、スキャナ機能、コピー機能及びプリンタ機能を実現して所望の画像を形成する。HDD204は、スキャン機能又はコピー機能により形成した画像データ、及び、システムの設定データ等を記憶している。
【0017】
また、HDD204は、画像合成処理プログラム(画像形成プログラムの一例)を記憶している。コントローラ200は、画像合成処理プログラムに基づいて、サーバ装置3に記憶されている合成を行う画像(主となる画像に合成される画像:被合成画像)を取得し、この取得した被合成画像を、主となる画像(合成先となる画像)に合成処理して印刷を行う。これにより、サーバ装置3から被合成画像のみを取得だけで、MFP1側で合成画像を生成して印刷を開始できるため、印刷開始までに要する時間を短縮化できる。詳しくは、後述する。
【0018】
ネットワークI/F206は、ネットワークを介して有線通信及び無線通信を行う物理的なインターフェースである。画像形成制御部208は、印刷エンジン203を介して画像形成制御を行う。また、画像形成制御部208は、サーバ装置3から取得した被合成画像を、主となる画像に合成処理し、印刷エンジン203を介して印刷制御する。
【0019】
操作パネル210は、例えば液晶表示部と透明電極で形成された接触センサとを備える、いわゆるタッチパネルとなっている。操作パネル210は、ユーザがGUI(Graphical User Interface:液晶表示部)を接触操作することで行われた指示に対応する各アプリケーションに対するコントロール情報をコントローラ200に伝達する。また、後述するが、ユーザは、この操作パネル210を接触操作して画像合成モードの設定操作を行う。
【0020】
(MFPの機能構成)
図3は、MFP1の機能構成を説明するための機能ブロック図である。MFP1のコントローラ200は、HDD204に記憶されている画像合成処理プログラムを実行することで、図3に示す各機能を実現する。すなわち、コントローラ200は、アプリケーション層(アプリ層)301において、合成画像ジョブ管理部310及び画像品質決定部311の各機能を実現する。また、コントローラ200は、コントローラ層302において、ジョブ管理部312の機能を実現する。また、コントローラ200は、画像サービス層303において、画像処理部313及び合成画像取得部314の各機能を実現する。そして、コントローラ200は、ネットワークサービス層304において、通信速度判断部315の機能を実現する。
【0021】
合成画像ジョブ管理部310は、合成画像の識別番号の管理(ID管理)を行う。画像品質決定部311は、ネットワークの通信速度を監視し、被合成画像の画像品質を決定する。ジョブ管理部312は、どの印刷ジョブに対して、アプリ層301でダウンロードした被合成画像を合成するかを管理する。合成画像取得部314(取得部の一例)は、アプリ層301で指示された被合成画像をサーバ装置3、又は、携帯端末装置2、パーソナルコンピュータ装置等の他の電子機器から取得する。画像処理部313(合成処理部の一例)は、印刷ジョブに対して、被合成画像を合成する画像処理、及び、コントローラ200から指示された画像処理を実行する。通信速度判断部315は、通信速度判断部において定期的(又は不定期)に通信速度を監視し、サーバ装置3からダウンロードする被合成画像の品質を決定する。
【0022】
なお、この例では、合成画像ジョブ管理部310~通信速度判断部315は、画像合成処理プログラムにより、ソフトウェアで実現することとした。しかし、これらのうち全部又は一部を、IC(Integrated Circuit)等のハードウェアで実現してもよい。
【0023】
また、画像合成処理プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイル情報でCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)などのコンピュータ装置で読み取り可能な記録媒体に記録して提供してもよい。また、画像合成処理プログラムは、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、半導体メモリ等のコンピュータ装置で読み取り可能な記録媒体に記録して提供してもよい。また、画像合成処理プログラムは、インターネット等のネットワーク経由でインストールするかたちで提供してもよい。また、画像合成処理プログラムは、機器内のROM等に予め組み込んで提供してもよい。
【0024】
(サーバ装置のハードウェア構成)
図4は、サーバ装置3のハードウェア構成を示すブロック図である。この図4に示すように、サーバ装置3は、CPU501、ROM502及びRAM503を有している。また、サーバ装置3は、HDD504、HDDコントローラ505、ディスプレイ506、外部機器接続I/F508、ネットワークI/F509、バスライン510、キーボード511及びメディアI/F516を備えている。
【0025】
CPU501は、サーバ装置10全体の動作を制御する。ROM502は、IPL等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。HDD504は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ505は、CPU501の制御にしたがってHDD504に対する各種データの書き込み及び読み出しを制御する。ディスプレイ506は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。
【0026】
外部機器接続I/F508は、例えばUSB(Universal Serial Bus)メモリ又はプリンタ装置等の各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。ネットワークI/F509は、ネットワークを介してMFP1とデータ通信をするためのインターフェースである。バスライン510は、CPU501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスライン又はデータバスライン等である。
【0027】
また、キーボード511は、複数のキーを備えており、文字、数値、各種指示等の入力を行う。ポインティングデバイス512は、各種指示の選択、実行、処理対象の選択、又は、カーソルの移動等の入力操作を行う。メディアI/F516は、フラッシュメモリ等の記録メディア515に対するデータの書き込み(記憶)又は読み出しを制御する。
【0028】
また、このような構成のサーバ装置3において、HDD504には、MFP1側で主となる画像と合成される被合成画像の合成画像情報が記憶されている。図5は、このような被合成画像の一例を示す図である。HDD504には、例えば図5(a)に示す社外秘の資料であることを明示したい場合に合成する被合成画像、図5(b)に示す印刷防止等のための格子パターンの被合成画像、図5(c)に示す背景として合成する被合成画像等が記憶されている。
【0029】
このような被合成画像は、後述するようにユーザにより、MFP1を介して選択され、サーバ装置3からMFP1にダウンロードされる。このようにサーバ装置3に予め被合成画像を記憶しておくことで、ユーザは、既存の印刷物にパーソナルコンピュータ装置等で変更を加えることなく、コピー又はスキャン等を指定する操作を行うだけで、被合成画像が合成された画像を生成できる。
【0030】
なお、サーバ装置3に記憶される被合成画像は、MFP1のユーザ及びサードパーティ等が自由に追加可能としてもよい。また、被合成画像は、MFP1の他、携帯端末装置2及び通信機能を備えたパーソナルコンピュータ装置等からも追加可能としてよい。
【0031】
(画像合成処理)
次に、第1の実施の形態の画像形成システムにおける画像合成処理を説明する。まず、主となる画像に所望の被合成画像を合成して印刷する場合、ユーザは、操作パネル210を操作して、「画像合成モード」を指定する。この画像合成モードが指定操作されると、図3に示す合成画像ジョブ管理部310が、図7に例示するような画像合成モード設定画面を操作パネル210に表示制御する。この図7に示す画像合成モード設定画面の例は、自動モード選択ボタン704、ユーザ設定ボタン705、ホーム画面表示ボタン701及びリターンボタン702が表示された例である。
【0032】
自動モード選択ボタン704は、サーバ装置3からダウンロードする被合成画像の画質をコントローラ200が自動で決定する「自動モード」を選択する際に操作するボタンである。なお、被合成画像は、サーバ装置3からダウンロードすることとして説明を進めるが、携帯端末装置2又はパーソナルコンピュータ装置等の、通信機能を備えた他の電子機器からダウンロードしてもよい。
【0033】
ホーム画面表示ボタン701は、ホーム画面(初期画面)の表示を指定するためのボタンである。また、リターンボタン702は、1回操作される毎に、表示画面を一つ前の表示画面に戻すためのボタンである。
【0034】
図8は、画像合成モード設定画面でユーザ設定ボタン705が操作された際に、合成画像ジョブ管理部310により操作パネル210に表示されるユーザ設定画面の一例を示す図である。この図8に示すユーザ設定画面の例は、高画質指定ボタン708、中画質指定ボタン709、低画質指定ボタン710、解像度手動設定ボタン711、ホーム画面表示ボタン706及びリターンボタン707が表示された例である。
【0035】
高画質指定ボタン708は、高画質の被合成画像のダウンロードを指定するためのボタンである。中画質指定ボタン709は、中画質の被合成画像のダウンロードを指定するためのボタンである。低画質指定ボタン710は、低画質の被合成画像のダウンロードを指定するためのボタンである。解像度手動設定ボタン711は、ダウンロードする被合成画像の画質(解像度)を、ユーザが手動で設定する際の操作するボタンである。ホーム画面表示ボタン706は、ホーム画面(初期画面)の表示を指定するためのボタンである。また、リターンボタン707は、1回操作される毎に、表示画面を一つ前の表示画面に戻すためのボタンである。
【0036】
ユーザは、図7に示す画像合成モード設定画面の自動モード選択ボタン704又はユーザ設定ボタン705を操作することで、サーバ装置3からダウンロードする被合成画像の画質を、自動で決定するか、又は、手動で設定するかを選択する。サーバ装置3からダウンロードする被合成画像の画質を手動で設定する場合は、図8に示す高画質指定ボタン708~低画質指定ボタン710で、ダウンロードする被合成画像の画質を指定する。または、サーバ装置3からダウンロードする被合成画像の画質を手動で設定する場合、図8に示す解像度手動設定ボタン711を操作し、所望の解像度を手動で入力して指定する。
【0037】
次に、図6は、第1の実施の形態の画像形成システムのMFP1における画像合成処理の流れを示すシーケンス図である。上述のように、画像合成モードが指定されると、合成画像ジョブ管理部310は、ステップS1において、被合成画像のサムネイル画像を操作パネル210に表示する。被合成画像のサムネイル画像は、例えばMFP1の非操作時、MFP1の起動時、又は、画像合成モードが指定されたタイミング等の所定のタイミングで、合成画像取得部314によりサーバ装置3から予めダウンロードされ、識別番号(合成画像ID)が付加されてHDD204等の記憶部に記憶されている。
【0038】
ステップS1では、合成画像ジョブ管理部310が、このような被合成画像のサムネイル画像をHDD204等の記憶部から読み出し、操作パネル210に一覧表示する。ユーザは、一覧表示された被合成画像のサムネイル画像に基づいて、主となる画像に合成する被合成画像を、操作パネル210を介して選択操作する。
【0039】
次に、ステップS2では、合成画像ジョブ管理部310が、被合成画像のダウンロードに関するユーザ設定情報を取得する。具体的には、合成画像ジョブ管理部310は、図7及び図8を用いて説明した画像合成モード設定画面に基づいてユーザにより選択された被合成画像の画像品質を示す情報を、ユーザ設定情報として取得する。また、合成画像ジョブ管理部310は、上述のサムネイル画像の一覧に基づいて選択されたサムネイル画像の合成画像IDを、ユーザ設定情報として取得する。
【0040】
このユーザ設定情報は、印刷開始要求に含められ、ジョブ管理部312を介して合成画像ジョブ管理部310から画像処理部313に送信される(ステップS3、ステップS4)。画像処理部313は、ステップS5において、ユーザ設定情報と共に合成画像取得要求を合成画像取得部314に送信する。合成画像取得部314は、ステップS6において、ユーザ設定情報と共に合成画像取得要求をサーバ装置3に送信する。
【0041】
サーバ装置3は、ステップS7において、ユーザ設定情報に基づいて、合成画像IDに対応する被合成画像のうち、画像品質を示す情報で示される画質の被合成画像をHDD204等の記憶部から読み出し、これをMFP1の合成画像取得部314に送信する(合成画像応答)。すなわち、サーバ装置3のHDD504には、合成画像IDが付された複数の高画質の被合成画像が記憶されている。サーバ装置3のCPU501は、MFP1から指定された合成画像IDの高画質の被合成画像をHDD504から読み出す。そして、HDD504から読み出した被合成画像を、MFP1から指定された画質の被合成画像に変換処理して、MFP1に送信する。
【0042】
具体的には、MFP1から低画質が指定されている場合、CPU501は、HDD504から読み出した高画質の被合成画像を、低画質の被合成画像に変換処理して、MFP1に送信する。または、ユーザの手入力により解像度が指定されている場合、CPU501は、HDD504から読み出した高画質の被合成画像を、ユーザにより指定された解像度に対応する画質の被合成画像に変換処理して、MFP1に送信する。
【0043】
なお、この例は、サーバ装置3が、高画質の被合成画像から所望の画質の被合成画像を形成する例であった。しかし、高画質、中画質、低画質、各解像度等の各画質の被合成画像をHDD504等の記憶部に記憶しておき、MFP1から指定された画質の被合成画像をHDD504から読み出してMFP1に送信してもよい。この場合、画質の変換処理を省略でき、より迅速に被合成画像をMFP1に送信できる(被合成画像のダウンロードに要する時間を短縮化できる)。
【0044】
次に、このようにサーバ装置3から所望の画質の被合成画像を取得すると、合成画像取得部314は、ステップS8において、画像処理部313に対して合成画像取得完了応答を行う。この合成画像取得完了応答を受信すると、画像処理部313は、ステップS9において、予めユーザにより指定されている主となる画像に対して、サーバ装置3からダウンロードされた画質の被合成画像を画像合成処理する。そして、画像処理部313は、ステップS10において、画像形成制御部208に対して、印刷処理の開始要求を行う。これにより、画像形成制御部208は、図2に示す印刷エンジン203を制御して、合成処理された画像を印刷制御する。これにより、主となる画像に、所望の画質の被合成画像が合成された画像を印刷できる。なお、画像処理部313及び画像形成制御部208は、出力制御部の一例である。
【0045】
(自動モードにおける画質自動選択動作)
次に、第1の実施の形態の画像形成システムのMFP1は、図7に示した自動モード選択ボタン704が操作されると、自動的に選択した画質の被合成画像を、サーバ装置3からダウンロードして取得する。図9は、画像合成処理プログラムに基づいて通信速度判断部315及び画像品質決定部311により行われる、自動モード時の画質自動選択動作を説明するためのシーケンス図である。
【0046】
まず、MFP1の通信速度判断部315は、ステップS21及びステップS22に示すように、サーバ装置3との間でネットワークを介した通信を行う。そして、通信速度判断部315は、ステップS23において、ネットワークの通信速度を算出し、ステップS24において、画像品質決定部311に、算出したネットワークの通信速度を通知する(通信速度結果通知)。
【0047】
このようなネットワークの通信速度の算出は、例えばMFP1におけるジョブの非実行時、MFP1の起動時、ユーザにより指定された際、又は、自動モード選択ボタン704の操作時等の所定のタイミングで行えばよい。また、ネットワークの通信速度の算出は、定期的に行ってもよいし、又は、不定期に行ってもよい。
【0048】
画像品質決定部311は、通信速度判断部315から通信速度結果が通知されると、ステップS25において、通信速度結果に対応する画質を決定する。図6のシーケンス図のステップS6では、合成画像取得部314が、画像品質決定部311で決定された画質の被合成画像の取得要求をサーバ装置3に対して行う。これにより、通信速度判断部315で算出されたネットワークの通信速度に対応する画質の被合成画像を、サーバ装置3からダウンロードすることができる。このため、ネットワーク負荷に応じて最適な画質の被合成画像をサーバ装置3から取得することができる。
【0049】
(印刷開始までに要する時間)
次に、図10は、第1の実施の形態の画像形成システムのMFP1における、印刷開始までに要する時間を説明するための図である。この図10に示すように、MFP1は、印刷開始要求を受けた後、合成画像データ受信時間t1と画像処理時間t2とを加算処理した時間が、印刷開始時間Tとなる(T=t1+t2)。
【0050】
合成画像データ受信時間t1は、「画像のサイズ(bit)÷ネットワークのスループット(bps)」で算出可能である。画像処理時間t2は、コントローラ200のCPUスペック情報から内部情報として予め保持される値となる。よって、印刷開始時間Tは、主に合成画像データ受信時間t1が変動値となり、その変動の要因は合成する画像の画像サイズとネットワークの通信速度になる。
【0051】
印刷開始時間Tは、被合成画像によって変動するが、印刷準備時間t3及び印刷処理時間t4は、印刷開始時間Tの影響は受けない。印刷開始時間Tが長くなると、印刷開始要求から印刷完了までの時間が長くなるため、印刷開始時間Tを調整することで印刷開始までに要する時間を調整できる。
【0052】
このため、画像品質決定部311は、通信速度判断部315で算出されたネットワークの通信速度、及び、サーバ装置3からダウンロードする被合成画像の各画質に対応する印刷開始時間Tを計算する。そして、通信速度判断部315は、内部情報として予め保持していた印刷開始時間Tの基準値KT(STD)と、計算した印刷開始時間Tとを比較し、印刷開始時間Tが基準値KT(STD)未満(T>KT(STD))となる画質を、サーバ装置3からダウンロードする被合成画像の画質として決定する(ステップS25)。これにより、印刷開始時間Tを基準値KT(STD)未満とすることができ、サーバ装置3から被合成画像のダウンロードに要する時間が長くなり、印刷開始までに長時間を要する不都合を防止できる。
【0053】
また、サーバ装置3からダウンロードする被合成画像を低画質としても、ネットワークの混雑等により、印刷開始時間Tが基準値KT(STD)未満とならない場合がある。この場合、画像品質決定部311は、合成画像ジョブ管理部310に対して、印刷開始時間Tが基準値KT(STD)以上となる旨の通知を行う。この通知を受信すると、報知制御部の一例である合成画像ジョブ管理部310は、操作パネル210に、例えば「印刷完了までに時間が掛かる可能性があります」等の警告メッセージを表示制御する。なお、このような警告メッセージは、例えば音声で出力する等、他の報知形態で報知制御してもよい。
【0054】
この警告メッセージを見たユーザは、暫く時間をおいてから印刷を行う。または、画像合成モードの設定を自動モードからユーザ設定モードに切り替え、サーバ装置3からダウンロードする被合成画像の画質を、低画質よりも低い解像度に手動で設定する。これにより、ネットワークの混雑時でも、多少早く被合成画像をダウンロードして、印刷を開始できる。
【0055】
(第1の実施の形態の効果)
以上の説明から明らかなように、第1の実施の形態の画像形成システムは、主となる画像に合成処理する被合成画像を、サーバ装置3(又は携帯端末装置2)に記憶しておく。そして、印刷時に、サーバ装置3から被合成画像のみをダウンロードし、MFP1側で、主となる画像に合成処理して印刷を行う。
【0056】
これにより、サーバ装置3から被合成画像のみダウンロードするため、サーバ装置3からダウンロードする画像データのデータ量を少なくすることができ、短時間で印刷を開始することができる。
【0057】
また、サーバ装置3からダウンロードする被合成画像の画質は、ネットワークの混雑状況に応じた画質の被合成画像を自動的に選択してダウンロードする。これにより、ネットワークが混在していることで被合成画像のダウンロードに時間を要し、印刷開始までに要する時間が長時間となる不都合を防止できる。
【0058】
また、ネットワークの混雑により、サーバ装置3からの被合成画像のダウンロードに時間を要し、印刷開始時間が基準となる印刷開始時間よりも長時間となる場合は、例えば「印刷完了までに時間が掛かる可能性があります」等の警告メッセージを表示制御する。これにより、ユーザは、暫く時間をおいてから印刷を行う、又は、現在のネットワークの混雑状況でもスムーズにダウンロードが可能となる解像度を指定して、サーバ装置3から被合成画像をダウンロードする等の、ネットワークの混雑状況に応じた対処を行うことができる。
【0059】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態の画像形成システムの説明をする。この第2の実施の形態の画像形成システムは、MFP1の合成画像取得部314が、サーバ装置3からダウンロードされた被合成画像の真正性を審査したうえで、主となる画像に合成処理するようにした例である。なお、上述の第1の実施の形態と下記に説明する第2の実施の形態とでは、この点のみが異なる。このため、以下、両者の差異の説明のみ行い、重複説明は省略する。
【0060】
図11は、MFP1のHDD204に記憶された画像合成処理プログラムをコントローラ200が実行することで実現される各機能の機能ブロック図である。この図11に示すように、第2の実施の形態の場合、画像サービス層303の合成画像取得部314は、画像審査部901を備えている。
【0061】
図12は、第2の実施の形態の画像形成システムのMFP1における画像合成処理の流れを示すシーケンス図である。この図12に示すシーケンス図は、図6に示したシーケンス図に対して、ステップS7及びステップS8の間に、ステップS31~ステップS34の画像審査処理及び画像合成判断処理を付加したシーケンス図となっている。
【0062】
すなわち、上述のようにサーバ装置3に対して被合成画像の取得要求を行い(ステップS6)、サーバ装置3から被合成画像をダウンロードすると(ステップS7)、合成画像取得部314は、画像審査部901に対して画像審査要求を行う(ステップS31)。この画像審査要求がされると、画像審査部901は、例えば電子証明書又はPKI(Public Key Infrastructure:公開鍵基盤)の仕組みを用いて、被合成画像が正規のサーバ装置3からダウンロードされた被合成画像であるか否かを審査する(ステップS32)。そして、画像審査部901は、この審査結果を、合成画像取得部314に通知する(ステップS33)。
【0063】
合成画像取得部314は、画像審査部901からの審査結果が、ダウンロードされた被合成画像は、正規のサーバ装置3からダウンロードされたものあることを示す審査結果であった場合、ダウンロードされた被合成画像は、主となる画像に対して合成可能であると判断する。そして、合成画像取得部314は、ステップS8において、上述の合成画像取得完了応答に、ダウンロードされた被合成画像は、主となる画像に対して合成可能であるとの判断結果を含めて、画像処理部313に通知する。これにより、ステップS9において、画像処理部313により、主となる画像に、正規のサーバ装置3からダウンロードされた被合成画像が合成処理される。
【0064】
これに対して、合成画像取得部314は、画像審査部901からの審査結果が、ダウンロードされた被合成画像は、非正規のサーバ装置からダウンロードされたものあることを示す審査結果であった場合、ダウンロードされた被合成画像は、主となる画像に対して合成不可であると判断する。そして、合成画像取得部314は、ステップS8において、上述の合成画像取得完了応答に、ダウンロードされた被合成画像は、主となる画像に対して合成不可であるとの判断結果を含めて、画像処理部313に通知する。
【0065】
これにより、ステップS9において、画像処理部313は、非正規のサーバ装置からダウンロードされた被合成画像を破棄する。この場合、合成画像ジョブ管理部310は、印刷処理を中止すると共に、操作パネル210に対して、画像合成処理が中止された旨のメッセージを表示する。これにより、非正規のサーバ装置からダウンロードされた被合成画像で合成画像が形成される不都合を防止できる。
【0066】
(第2の実施の形態の効果)
以上の説明から明らかなように、第2の実施の形態の画像形成システムは、サーバ装置3からダウンロードされた被合成画像の真正性を審査し、被合成画像の真正性が証明された場合のみ、画像合成処理を行う。これにより、非正規のサーバ装置からダウンロードされた被合成画像で合成画像が形成される不都合を防止できる他、上述の第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0067】
最後に、上述の各実施の形態は、一例として提示したものであり、本発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことも可能である。また、実施の形態及び実施の形態の変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0068】
1 MFP
2 携帯端末装置
3 サーバ装置
4 アクセスポイント
200 コントローラ
203 印刷エンジン
204 HDD
206 ネットワークI/F
208 画像形成制御部
210 操作パネル
301 アプリ層
302 コントローラ層
303 画像サービス層
304 ネットワークサービス層
310 合成画像ジョブ管理部
311 画像品質決定部
312 ジョブ管理部
313 画像処理部
314 合成画像取得部
315 通信速度判断部
501 CPU
504 HDD
509 ネットワークI/F
704 自動モード選択ボタン
705 ユーザ設定ボタン
708 高画質指定ボタン
709 中画質指定ボタン
710 低画質指定ボタン
711 解像度手動設定ボタン
901 画像審査部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0069】
【特許文献1】特開2005-25425号公報
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図12