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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061131
(43)【公開日】2023-05-01
(54)【発明の名称】充電ステーション及び充電方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20230424BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20230424BHJP
   B60L 53/36 20190101ALI20230424BHJP
   B60M 7/00 20060101ALN20230424BHJP
   B60L 5/00 20060101ALN20230424BHJP
【FI】
H02J7/00 301A
H02J50/10
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
B60L53/36
B60M7/00 X
B60L5/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021170937
(22)【出願日】2021-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】久保田 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】川上 好弘
(72)【発明者】
【氏名】富田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】長野 龍平
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 和博
(72)【発明者】
【氏名】眞鍋 博紀
(72)【発明者】
【氏名】前野 耕一
(72)【発明者】
【氏名】貝塚 啓
(72)【発明者】
【氏名】木下 岳
(72)【発明者】
【氏名】山崎 広行
(72)【発明者】
【氏名】東 純史
【テーマコード(参考)】
5G503
5H105
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA01
5G503FA06
5G503GB08
5H105BA09
5H105BB10
5H105CC07
5H105CC19
5H105DD10
5H105EE15
5H125AA17
5H125AB03
5H125AC11
5H125AC25
5H125BE02
5H125EE51
5H125FF15
(57)【要約】
【課題】移動体の利用者の手間を掛けずに、移動体の充電を効率的に行なうことができる充電ステーション及び充電方法を提供する。
【解決手段】電動キックスケータ10は、前輪15及び後輪16と、後輪16を駆動する駆動モータ及び駆動ユニット18とを備える。電動キックスケータ10は、前輪15及び後輪16を繋ぐボード本体11と、ボード本体11に取り付けられ駆動モータを駆動する電力を非接触で受電する受電部とを備える。電動キックスケータ10に電力を送電する充電ステーション20は、前輪15及び後輪16の下端部がそれぞれ嵌合する前孔25及び後孔26を備える。充電ステーション20は、前孔25に前輪15が嵌合した状態において、受電部に対向する位置に配置された送電部を備える。充電ステーション20は、前孔25への前輪15の嵌合を検知して、送電部から受電部への電力の供給を開始可能とする制御部を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車輪と、前記車輪の少なくとも1つを駆動する動力機構と、前記複数の車輪を繋ぐ本体部と、前記本体部に取り付けられ前記動力機構を駆動する電力を非接触で受電する受電部とを備えた移動体に電力を送電する充電ステーションであって、
前記移動体の接地部分が嵌合する孔と、
前記接地部分が前記孔に嵌合した状態において、前記受電部に対向する位置に配置された給電部と、
前記接地部分の嵌合を検知して、前記給電部から前記受電部への電力の供給を開始可能とする制御部と、を備えることを特徴とする充電ステーション。
【請求項2】
前記孔の上方に配置され、前記孔を覆う蓋部材を更に有し、
前記蓋部材に前記車輪を載置することにより前記車輪が前記孔に嵌合することを特徴とする請求項1に記載の充電ステーション。
【請求項3】
前記車輪が前記孔に嵌合することに連動して前記給電部を上昇させ、前記車輪が前記孔から外れることにより連動して前記給電部を降下させる昇降機構を更に設けたことを特徴とする請求項2に記載の充電ステーション。
【請求項4】
前記複数の車輪は、前輪及び後輪であって、
前記孔は、前記前輪が嵌る前孔と、前記後輪が嵌る後孔とを備えていることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の充電ステーション。
【請求項5】
複数の車輪と、前記車輪の少なくとも1つを駆動する動力機構と、前記複数の車輪を繋ぐ本体部と、前記本体部に取り付けられて前記動力機構を駆動する電力を非接触で受電する受電部とを備えた移動体に電力を送電する充電方法であって、
前記移動体の接地部分が嵌合する孔への前記接地部分の嵌合を検知した状態で、制御部の制御によって、前記受電部に対向する位置に配置された給電部から前記受電部への電力の供給を開始することを特徴とする充電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動キックスケータ等の移動体を駐輪して充電を行なう充電ステーション及び充電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、手軽な移動手段として、電動キックスケータが注目されている。電動キックスケータは、電気により車輪を駆動させる。このため、電動キックスケータは、バッテリ残量に応じて充電を行なう必要がある。そこで、電動キックスケータのバッテリを手軽に充電する技術が検討されている(特許文献1参照。)。この文献に記載の電動キックスケータは、前輪、後輪、本体フレーム、踏み板、バッテリ及びコネクタを備える。バッテリは、前輪及び後輪の少なくとも一方を駆動させる際の電源である。コネクタは、バッテリを充電する際に、商用電源に接続された給電線に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3232835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最近は、電動キックスケータのレンタルも行なわれている。このようなレンタルでは、無人の待機ステーションに電動キックスケータが設置される。そして、利用時に、充電された電動キックスケータを借り出し、利用後に待機ステーションに戻す。待機ステーションに戻されたときに、充電されずに、放置されると、次の利用時にバッテリ残量不足になる可能性がある。また、待機中に、電動キックスケータを充電する場合にも、待機ステーションが複雑な構造になっていると、利用者に手間がかかり、的確に充電できない可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する充電ステーションは、複数の車輪と、前記車輪の少なくとも1つを駆動する動力機構と、前記複数の車輪を繋ぐ本体部と、前記本体部に取り付けられ前記動力機構を駆動する電力を非接触で受電する受電部とを備えた移動体に電力を送電する充電ステーションであって、前記移動体の接地部分が嵌合する孔と、前記接地部分が前記孔に嵌合した状態において、前記受電部に対向する位置に配置された給電部と、前記接地部分の嵌合を検知して、前記給電部から前記受電部への電力の供給を開始可能とする制御部と、を備える。
【0006】
また、上記課題を解決する充電方法は、複数の車輪と、前記車輪の少なくとも1つを駆動する動力機構と、前記複数の車輪を繋ぐ本体部と、前記本体部に取り付けられて前記動力機構を駆動する電力を非接触で受電する受電部とを備えた移動体に電力を送電する充電方法であって、前記移動体の接地部分が嵌合する孔への前記接地部分の嵌合を検知した状態で、制御部の制御によって、前記受電部に対向する位置に配置された給電部から前記受電部への電力の供給を開始する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、移動体の利用者の手間を掛けずに、移動体の充電を効率的に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態における充電ステーションとキックスケータの斜視図である。
図2】実施形態における充電ステーションの上面図である。
図3】実施形態における充電ステーションの正面断面図である。
図4】実施形態における充電ステーションとキックスケータの電気的構成を説明する説明図である。
図5】実施形態における充電ステーションにキックスケータが駐輪した状態の説明図である。
図6】第1変更例における充電ステーションの側面断面図である。
図7】第1変更例における充電ステーションにキックスケータが駐輪した状態の説明図である。
図8】第2変更例における充電ステーションにキックスケータが駐輪した状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図1図5を用いて、充電ステーション及び充電方法を具体化した一実施形態を説明する。ここでは、充電対象である移動体としての電動キックスケータを駐輪して充電する充電ステーションについて説明する。
【0010】
(電動キックスケータの構成)
図1に示すように、本実施形態の電動キックスケータ10は、前後に延在する板形状のボード本体11と、ハンドル軸12と、連結部材13とを備えている。連結部材13は、ボード本体11の前端部とハンドル軸12の下部を連結する。
【0011】
ハンドル軸12の上端部には、左右に突出したハンドル部14が固定されている。更に、ハンドル部14には、アクセル(図示せず)やブレーキハンドルが取り付けられている。
【0012】
ハンドル軸12の下端部には、二股状のフロントフォーク12fが設けられている。このフロントフォーク12fの端部には、回転自在に、接地部分としての前輪15が回転可能に取り付けられている。更に、ハンドル軸12には、前輪15の上方を覆う位置に、タイヤカバー12cが設けられている。
【0013】
一方、ボード本体11の後方部には、二股状のバックフォーク11f及びタイヤカバー11cが設けられている。このバックフォーク11fには、回転可能に後輪16が取り付けられている。後輪16は、前輪15と、ボード本体11の中心線上に一直線に並んで配置されている。従って、ボード本体11は、前輪15及び後輪16を繋ぐ本体部として機能する。更に、ボード本体11には、後輪16を駆動するための駆動ユニット18が内蔵されている。この駆動ユニット18の詳細については、後述する。
【0014】
(充電ステーションの構成)
図1に示すように、上述した電動キックスケータ10を駐輪する充電ステーション20は、上面が地面と面一となるように、地面に埋設されている。
【0015】
図2及び図3は、充電ステーション20の上面図及び正面断面図である。
図2及び図3に示すように、充電ステーション20は、ボックス形状の本体部21を有する。この本体部21の長手方向の中間位置に、給電ユニット22が設けられている。また、給電ユニット22を挟んで本体部21の長手方向の各端部近傍には、前孔25及び後孔26がそれぞれ設けられている。給電ユニット22、前孔25及び後孔26は、充電ステーション20の中心軸C1上に配置されている。前孔25及び後孔26は、電動キックスケータ10の前輪15と後輪16とをそれぞれ同時に載置可能な間隔で配置される。前孔25及び後孔26は、上が開口した直方体形状の孔であって、前輪15と後輪16の下端部がそれぞれ嵌合する大きさであって、車両や歩行者の通行を妨げない程度の深さを有する。
【0016】
前孔25及び後孔26の上面は、それぞれ蓋部材27,28によって覆われている。蓋部材27,28は、同じ構造を有する。蓋部材27,28には、短手方向に延在する軸27a,28aが貫通している。軸27a,28aは、蓋部材27,28の長手方向の中間に位置する。蓋部材27,28は、軸27a,28aを中心軸として回動する。
【0017】
更に、蓋部材27,28の下面には、接触部27b,28b及びウエイト部27w,28wが固定されている。接触部27b,28bは、蓋部材27,28の給電ユニット22側に設けられ、車輪(15,16)が孔(25,26)に嵌った際に孔(25,26)の底面に当接する。この前孔25の接触部27bから後孔26の接触部28bまでの距離が、電動キックスケータ10の前輪15及び後輪16の長さに対応している。ウエイト部27w,28wは、軸27a,28aに対して接触部27b,28bの反対側に設けられる。そして、車輪(15,16)が孔(25,26)から取り出された際に、蓋部材27,28が水平に戻るように重量バランスをとる。
【0018】
また、前孔25の底面には、スイッチ部材29aが設けられている。このスイッチ部材29aは、接触部27bが底面に当接する位置に設けられている。スイッチ部材29aは、電線29bを介して給電ユニット22に接続される。
【0019】
(駆動ユニット及び給電ユニットの構成)
図4には、電動キックスケータ10の駆動ユニット18と、充電ステーション20の給電ユニット22との構成を示している。
【0020】
駆動ユニット18は、電気を蓄える蓄電部180と、受電部181及び駆動部185を備える。受電部181は、充電ステーション20から供給された電力を取得し、蓄電部180に供給する。駆動部185は、蓄電部180の電力を用いて駆動モータM1を駆動する。駆動モータM1は、後輪16を駆動する。本実施形態では、蓄電部180と駆動モータM1が動力機構を構成する。
【0021】
一方、充電ステーション20の給電ユニット22は、制御部220及び送電部221を備える。送電部221は、駆動ユニット18に給電を行なう給電部であって、電動キックスケータ10の受電部181に近接するように、給電ユニット22の上端部に設けられる。制御部220は、スイッチ部材29aのオン信号を検知した場合に給電を行なう。
【0022】
(充電方法)
上述した構成の充電ステーション20を用いて電動キックスケータ10を充電する場合には、まず、電動キックスケータ10の前輪15及び後輪16を、蓋部材27,28の接触部27b,28bの上方に移動させる。
接触部27bから接触部28bまでの距離が、前輪15から後輪16までの距離に対応しているため、同時に各孔(25,26)に前輪15及び後輪16がそれぞれ位置する。
【0023】
この場合、図5に示すように、蓋部材27,28が、軸27a,28aを中心として回動することにより、前輪15及び後輪16の下端部が、前孔25及び後孔26にそれぞれ嵌合する。そして、車輪(15,16)が各孔(25,26)に嵌った場合には、電動キックスケータ10のボード本体11に内蔵された駆動ユニット18の受電部181が、充電ステーション20の給電ユニット22の送電部221と対向するように位置決めされる。なお、この場合、スタンド17を用いて電動キックスケータ10を自立させる。
【0024】
そして、蓋部材27の回動に応じて、蓋部材27に固定された接触部27bが、前孔25の底面に位置するスイッチ部材29aに当接する。接触部27bがスイッチ部材29aに当接した場合、スイッチ部材29aは、オン信号を制御部220に供給する。
【0025】
図4に示す制御部220は、スイッチ部材29aからオン信号を取得した場合、送電部221を用いて、無線給電を開始する。これにより、送電部221に対向する受電部181が電力の供給を受ける。そして、受電部181は、取得した電力を蓄電部180に蓄電する。なお、電力供給中に、前輪15が前孔25より外れた場合には、スイッチ部材29aに接触部27bが当接しなくなるため、制御部220はオン信号を取得しなくなる。これにより、制御部220は、無線給電を停止する。
【0026】
その後、制御部220が、電力の供給状態により、充電完了と判定した場合、給電を停止する。
そして、電動キックスケータ10を使用する場合には、スタンド17を外して、車輪(15,16)を各孔(25,26)からそれぞれ外す。これにより、軸27a,28aを中心に、接触部27b,28bとウエイト部27w,28wとの釣り合いにより、蓋部材27,28は、回動して水平状態になり、各孔(25,26)の上面を覆う。
【0027】
(作用)
本実施形態では、電動キックスケータ10の前輪15が前孔25に嵌合した場合、駆動ユニット18の受電部181に対向する位置に、充電ステーション20の送電部221が配置されている。これにより、電動キックスケータ10を受電に適した位置に的確に配置して、充電を行なうことができる。
【0028】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、充電ステーション20の制御部220は、電動キックスケータ10の前輪15が前孔25に嵌合することにより、接触部27bのスイッチ部材29aへの当接を検知した後、充電を開始する。これにより、前輪15が前孔25に確実に嵌合してから充電を行なうので、駆動ユニット18の受電部181が、給電ユニット22に対向した位置にある状態で、充電を行なうことができる。従って、効率的に給電を行なうことができる。また、車輪(15,16)の下端部が孔(25,26)に嵌って地面より降下するので、電動キックスケータ10のボード本体11の受電部181を、充電ステーション20の送電部221に近づけることができる。従って、電力の送電効率を上げることができる。
【0029】
(2)本実施形態では、充電ステーション20は、上面が地面と面一になるように地面に埋設される。これにより、充電ステーション20の上面には、突起物がないため、人が躓く恐れが少ないとともに、良好な景観にすることができる。
【0030】
(3)本実施形態の充電ステーション20は、電動キックスケータ10の前輪15及び後輪16がそれぞれ嵌合する前孔25及び後孔26を有する。従って、前輪15及び後輪16を各孔(25,26)に嵌合させることによって、受電部181の位置決めを精度よく行なうことができる。
【0031】
(4)本実施形態では、各孔(25,26)の上面には、蓋部材27,28が設けられている。蓋部材27,28は、車輪(15,16)が孔(25,26)の上に位置しない場合には、水平状態で、孔(25,26)をそれぞれ塞ぐので、より躓き難いとともに、良好な景観にすることができる。
【0032】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態においては、電動キックスケータ10の受電部181に対向して配置される送電部221を備える給電ユニット22を、充電ステーション20の本体部21に固定した。これに加えて、電動キックスケータ10の車輪(15,16)が各孔(25,26)に嵌合した際に、送電部221を受電部181に更に近づけるように、給電ユニット22が上昇する昇降機構を更に設けてもよい。
【0033】
例えば、図6に示す充電ステーション40の本体部41には、充電ステーション20と同様に、前孔45及び後孔46が離間して設けられ、これら前孔45及び後孔46の間に給電ユニット22が配置されている。前孔45及び後孔46の上面には、軸47a,48aを中心軸として回動する蓋部材47,48が設けられている。蓋部材47(48)の下面には、接触部47b(48b)及び支持部材43(44)が設けられている。支持部材43(44)は、軸47a(48a)よりも給電ユニット22側、接触部47b(48b)は、軸47a(48a)よりも給電ユニット22の反対側(外側)に設けられている。支持部材43,44は、給電ユニット22の昇降機構であって、給電ユニット22の側部に回動可能に取り付けられている。また、蓋部材47が回動したときに接触部47bが当接する前孔45の底面には、スイッチ部材49aが配置されている。スイッチ部材49aは、電線49bを介して給電ユニット22に接続されている。
【0034】
図7に示すように、電動キックスケータ10の車輪(15,16)が、各孔(45,46)の接触部47b,48bのそれぞれの上方に位置した場合、接触部47b,48bが下方に押される。これにより、蓋部材47,48が軸47a,48aを中心に回動するのに連動して支持部材43,44が傾斜する。従って、支持部材43,44の端部が取り付けられている給電ユニット22が上昇する。結果として、給電ユニット22を、電動キックスケータ10の駆動ユニット18の受電部181に近づけることができる。なお、車輪(15,16)が孔(45,46)から離脱した場合、蓋部材47,48が回動することにより水平状態となる。この場合には、これに連動して支持部材43,44も回動して、給電ユニット22が降下する。
また、車輪が孔に嵌合することに連動して給電部を上昇させ、車輪が孔から外れることにより連動して給電部を降下させる昇降機構は、蓋部材を用いた機構に限られず、他の部材を用いて給電部を昇降する機構であってもよい。
【0035】
更に、給電ユニットの送電部の水平位置を調整する位置調整機構を設けてもよい。例えば、給電ユニットの制御部は、電動キックスケータの種類に関連付けた受電部の水平位置の位置データを記憶する。ここで、受電部の水平位置は、前孔45に嵌合する前輪を基準とした2次元の座標である。そして、充電ステーションの本体部に、給電ユニットを水平面内(X方向及びY方向)に移動させる位置調整機構を設ける。電動キックスケータの前輪の嵌合を検知した場合、制御部は、電動キックスケータから種類情報を取得し、この種類に応じた受電部の水平位置を位置データから特定する。そして、制御部は、特定した水平位置の真下に、給電ユニットの送電部が位置するように、位置調整機構を制御する。
【0036】
・上記実施形態においては、充電ステーション20において、車輪(15,16)が嵌合する各孔(25,26)は、直方体形状で構成した。各孔(25,26)は、直方体形状に限られず、車輪の位置が動かないように嵌合する形状であればよい。
【0037】
例えば、図8に示すように、充電ステーション50の本体部51に、前孔55及び後孔56を離間して設ける。この場合、前孔55及び後孔56の給電ユニット22側を、上に向かうに従って広くなる傾斜面55a,56aで構成する。これにより、各車輪(15,16)の着脱を容易に行なうことができる。
更に、前孔55及び後孔56の底面部に、前孔55及び後孔56の着脱性に影響しない大きさの排水孔を設けてもよい。
【0038】
・上記実施形態では、蓋部材27,28は、回動することにより、車輪(15,16)が各孔(25,26)に嵌合するように構成した。孔の上面を覆う蓋部材は、開放される構成でもよい。例えば、車輪が上方に位置したときには、観音開きによって開放される構成であってもよい。
【0039】
また、図8に示すように、各孔(55,56)を覆う蓋部材57,58が回動する軸57a,58aを、蓋部材57,58の外側端部(給電ユニット22の反対側)に設けてもよい。この場合、蓋部材57,58の下面に、接触部57b,58b及びバネ57s,58sを設ける。これにより、車輪(15,16)が孔(55,56)から離脱した場合に、バネ57s,58sの圧縮力により、蓋部材57,58が上方向に押圧されて各孔(55,56)の上面を覆うことができる。
【0040】
・上記実施形態では、前輪15が嵌合する前孔25にスイッチ部材29aを設けた。電動キックスケータ10の位置が固定されたことを検知する部材は、車輪の孔への嵌合状態を検知する部材に限られない。例えば、電動キックスケータ10が接地する下端部(接地部分)が孔に嵌合した状態を把握できればよい。具体的には、機械式スイッチであるスイッチ部材29aの代わりに、赤外線センサ等を用いてもよい。
また、前輪15が前孔に嵌合したことを把握する構成に限らず、後輪16が嵌合する後孔にスイッチ部材を設けてもよい。この場合には、制御部は、前輪15及び後輪16の両方からスイッチ部材に接触部が当接することにより、前輪15及び後輪16が孔に嵌合したことを検知した場合にのみ充電を開始してもよい。また、後輪16が後孔に嵌合したことのみを検知した場合に、充電を開始してもよい。
更に、電動キックスケータ10のスタンド17が嵌合する孔を、充電ステーションに設けてもよい。この場合、接地部分としてのスタンド17が孔に嵌合していることを検知した場合にのみ充電を開始してもよいし、車輪(前輪15及び後輪16の少なくとも1つ)とスタンド17とが孔に嵌合したことを検知した場合に、充電を開始してもよい。
【0041】
・上記実施形態では、充電ステーション20は、前輪15が嵌合する前孔25にスイッチ部材29aを備える。これに加えて、充電ステーションに、停車状態、充電状態、スイッチのオンオフ状態等を知らせる報知装置を設けてもよい。
例えば、充電ステーション20に、スイッチ部材のオン信号を取得して動作する表示部を設けてもよい。具体的には、スイッチ部材がオン信号になり電力供給中は点灯するLED照明を設けてもよい。また、LED照明の代わりに、液晶モニタ、音や振動を出力するスピーカ等を設けて、状態を知らせしてもよい。
ここで、車輪等が孔に嵌合した停車状態を知らせる報知装置を設けた場合には、報知装置の通知に応じて、利用者自身が、電動キックスケータ10を正常に停止できたことを把握することができる。また、充電状態を知らせる報知装置を設けた場合には、充電中は、赤色表示、充電が完了した場合には、充電中と異なる色(例えば緑色)や消灯で通知してもよい。
【0042】
・上記実施形態では、充電ステーション20は、前輪と後輪を1つずつ有する電動キックスケータを充電した。充電する移動体は、前後に車輪がそれぞれ少なくとも1つ備える移動体であればよく、例えば、前輪又は後輪が2つの3輪の移動体や、前輪及び後輪を2つずつ備えた4輪の移動体であってもよい。この場合には、少なくとも1つの車輪が孔に嵌合したことを検知した場合に充電を開始してもよいし、すべての車輪が孔に嵌合したことを検知した場合に充電を開始してもよい。更に、セグウェイ(登録商標)のように、移動体の本体に対して、1対の車輪を、左右に設けた部材を充電してもよい。
【0043】
・上記実施形態では、充電ステーション20は、電動キックスケータ10を充電した。充電ステーションが、充電する移動体は、電動キックスケータに限られず、車輪を駆動して、前輪及び後輪を繋ぐ本体部を備えた移動体であればよく、例えば、電動アシストスケートボードや、電動キックスケータに椅子を備えた物でもよい。この場合、充電ステーション20の送電部221の近傍となる箇所に、受電部を備える移動体であることが好ましい。
【符号の説明】
【0044】
C1…中心軸、M1…駆動モータ、10…電動キックスケータ、11…本体部としてのボード本体、11c,12c…タイヤカバー、11f…バックフォーク、12…ハンドル軸、12f…フロントフォーク、13…連結部材、14…ハンドル部、15…接地部分としての前輪、16…後輪、17…スタンド、18…駆動ユニット、20,40,50…充電ステーション、21,41,51…本体部、22…給電ユニット、25,45,55…前孔、26,46,56…後孔、27,28,47,48,57,58…蓋部材、27a,28a,47a,48a,57a,58a…軸、27b,28b,47b,48b,57b,58b…接触部、27w,28w…ウエイト部、29a,49a…スイッチ部材、29b,49b…電線、43,44…支持部材、180…蓄電部、181…受電部、185…駆動部、220…制御部、221…送電部。
図1
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図8