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特開2023-6114プラズマ処理チャンバ、プラズマ処理装置及び締結部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006114
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】プラズマ処理チャンバ、プラズマ処理装置及び締結部材
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20230111BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20230111BHJP
   F16C 11/06 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01L21/205
F16C11/06 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021108531
(22)【出願日】2021-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(74)【代理人】
【識別番号】100187849
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 隆史
(74)【代理人】
【識別番号】100212059
【弁理士】
【氏名又は名称】三根 卓也
(72)【発明者】
【氏名】溝井 公亮
【テーマコード(参考)】
3J105
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
3J105AA22
3J105AB50
3J105AC10
5F004AA16
5F004BA09
5F004BB22
5F004BB28
5F004BB29
5F004BD04
5F004CA06
5F045AA09
5F045DP03
5F045EF05
5F045EH05
5F045EH14
5F045EH20
5F045EM05
(57)【要約】
【課題】プラズマ処理チャンバにおいて、チャンバ部材を締結する締結部材に生じる応力を緩和する。
【解決手段】プラズマ処理チャンバであって、複数のチャンバ部材と、前記複数のチャンバ部材を締結する締結部材とを備え、前記締結部材は、頭部と、前記頭部から延び、前記複数のチャンバ部材のうち少なくとも1つが有するネジ穴と螺合するネジ部とを有するネジ部材と、前記頭部を収容する空孔を有するネジ筐体部材と、を備え、前記頭部の少なくとも前記ネジ部側の面は凸状滑り面を有し、前記ネジ筐体部材の内側面は、前記頭部の凸状滑り面に適合する凹状滑り面を有し、前記ネジ部材の凸状滑り面に沿って前記ネジ筐体部材の凹状滑り面が滑り合うことが可能である、プラズマ処理チャンバが提供される。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理チャンバであって、
複数のチャンバ部材と、
前記複数のチャンバ部材を締結する締結部材と、を備え、
前記締結部材は、
頭部と、前記頭部から延び、前記複数のチャンバ部材のうち少なくとも1つが有するネジ穴と螺合するネジ部とを有するネジ部材と、
前記頭部を収容する空孔を有するネジ筐体部材と、を備え、
前記頭部の少なくとも前記ネジ部側の面は凸状滑り面を有し、
前記ネジ筐体部材の内側面は、前記頭部の凸状滑り面に適合する凹状滑り面を有し、
前記ネジ部材の凸状滑り面に沿って前記ネジ筐体部材の凹状滑り面が滑り合うことが可能である、プラズマ処理チャンバ。
【請求項2】
前記複数のチャンバ部材は、それぞれの熱容量が互いに異なる、請求項1に記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項3】
前記複数のチャンバ部材は、静電チャックと、前記静電チャックを支持する基台である、請求項1又は2に記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項4】
前記締結部材は、前記静電チャックの外周部と前記基台の外周部を締結する、請求項3に記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項5】
前記複数のチャンバ部材は、天板と、前記天板を支持する天板上部材である、請求項1又は2に記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項6】
前記締結部材は、前記天板の外周部と前記天板上部材の外周部を締結する、請求項5に記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項7】
前記凸状滑り面は凸状球面であり、前記凹状滑り面は凹状球面である、請求項1~6のいずれか一項に記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項8】
プラズマ処理チャンバを構成する、複数のチャンバ部材を締結する締結部材であって、
頭部と、前記頭部から延び、前記複数のチャンバ部材のうち少なくとも1つが有するネジ穴と螺合するネジ部とを有するネジ部材と、
前記頭部を収容するネジ筐体部材と、を備え、
前記頭部の少なくとも前記ネジ部側の面は凸状滑り面を有し、
前記ネジ筐体部材の内側面は、前記頭部の凸状滑り面に適合する凹状滑り面を有し、
前記ネジ部材の凸状滑り面に沿って前記ネジ筐体部材の凹状滑り面が滑り合うことが可能である、締結部材。
【請求項9】
プラズマ処理装置であって、チャンバを備え、
前記チャンバは、内部において複数のチャンバ部材と、前記複数のチャンバ部材を締結する締結部材と、を含み、
前記締結部材は、
頭部と、前記頭部から延び、前記複数のチャンバ部材のうち少なくとも1つが有するネジ穴と螺合するネジ部とを有するネジ部材と、
前記頭部を収容するネジ筐体部材と、を備え、
前記頭部の少なくとも前記ネジ部側の面は凸状滑り面を有し、
前記ネジ筐体部材の内側面は、前記頭部の凸状滑り面に適合する凹状滑り面を有し、
前記ネジ部材の凸状滑り面に沿って前記ネジ筐体部材の凹状滑り面が滑り合うことが可能である、プラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラズマ処理チャンバ、プラズマ処理装置及び締結部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、移動及び位置決めされる可動子と、該可動子を案内するガイド機構と、該ガイド機構を搭載するステージベースと、を含むステージ装置であって、前記ステージベースと、前記装置を支える支持構造体との間に球面静圧軸受けが配置されているステージ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0178579号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示にかかる技術は、プラズマ処理チャンバにおいて、チャンバ部材を締結する締結部材に生じる応力を緩和する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によると、プラズマ処理チャンバであって、複数のチャンバ部材と、前記複数のチャンバ部材を締結する締結部材とを備え、前記締結部材は、頭部と、前記頭部から延び、前記複数のチャンバ部材のうち少なくとも1つが有するネジ穴と螺合するネジ部とを有するネジ部材と、前記頭部を収容する空孔を有するネジ筐体部材と、を備え、前記頭部の少なくとも前記ネジ部側の面は凸状滑り面を有し、前記ネジ筐体部材の内側面は、前記頭部の凸状滑り面に適合する凹状滑り面を有し、前記ネジ部材の凸状滑り面に沿って前記ネジ筐体部材の凹状滑り面が滑り合うことが可能である、プラズマ処理チャンバが提供される。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、プラズマ処理チャンバにおいて、チャンバ部材を締結する締結部材に生じる応力を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態にかかるプラズマ処理システムの構成を模式的に示す説明図である。
図2】本実施形態にかかるプラズマ処理装置の構成の一例を示す断面図である
図3】参考例の締結部材を用いたチャンバの内部構造の一例を示す断面図である。
図4】参考例の締結部材の構成の一例を示す斜視図である。
図5】参考例の締結部材を用いたチャンバの内部構造の変形の一例を示す説明図である。
図6】参考例の締結部材を用いたチャンバの内部構造の変形の他の一例を示す説明図である。
図7】本実施形態にかかる締結部材を用いたチャンバの内部構造の一例を示す断面図である。
図8A】本実施形態にかかる締結部材の構成の一例を示す側面図である。
図8B】本実施形態にかかる締結部材に適用可能なワッシャの一例を示す平面図である。
図8C】本実施形態にかかる締結部材の構成の一例を示す締結部材の構成の一例を示す斜視図である。
図9A】本実施形態にかかる締結部材の組み立て方法の一例を示す斜視図である。
図9B】本実施形態にかかる締結部材の組み立て時の構成の一例を示す斜視図である。
図10】本実施形態にかかる締結部材を用いたチャンバの内部構造の変形の一例を示す説明図である。
図11】本実施形態にかかる締結部材を用いたチャンバの内部構造の変形の他の一例を示す説明図である。
図12】本実施形態にかかる締結部材を用いたチャンバの内部構造の他の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
プラズマ処理装置において、プラズマ処理チャンバの内部の各構成部材は締結部材により締結されることにより組み上げられることがある。
【0009】
締結部材によって締結されるチャンバの各構成部材(以下、チャンバ部材)は、組み上げ時の締結に伴う応力、内部圧力の変化に伴う応力などによって、変形を生じる場合がある。特許文献1では、真空チャンバの組み立て又は真空引き時の応力によって基台が変形するという課題に対し、基台をチャンバ壁面に対して球面静圧軸受を介して取り付けることで基台の変形を低減することを開示している。なお、本開示においてチャンバ部材とは、チャンバ内部の装置や部品を構成する部材及び、チャンバ外壁を構成する部材の両方を含む。言い換えれば、プラズマ処理装置の機能を発揮するために設けられる機能的な部材と、プラズマ処理装置の構造を構成するために設けられる構造的な部材と、これら両方の性質を有する部材と、を含む。
【0010】
チャンバ部材には、例えば下部電極など、プロセス最適化のため温調されるものが含まれる。本発明者は、上記締結時の応力や内部圧力の変化に伴う応力による変形の他、温調による膨張又は収縮などに伴って応力が発生し、チャンバ部材が変形し得ることを知見した。このとき、例えば複数のチャンバ部材が締結部材によって締結されている場合に、1のチャンバ部材と他のチャンバ部材における変形の度合いが異なる場合などは、締結部材には上記複数のチャンバ部材のそれぞれが異なる度合いで変形することによる応力が発生する。また、異なる温度間における温調を繰り返す場合には、特に1のチャンバ部材と他のチャンバ部材における熱容量が異なるようなとき、異なる度合いで変形する上記複数のチャンバ部材を締結している締結部材には繰り返し応力が発生し、疲労により締結部材の劣化を招くおそれがあることを知見した。
【0011】
特許文献1には、組み立て又は真空引きに伴う応力による基台の変形を低減することの記載はあるものの、温調による膨張又は収縮に伴う応力による変形や、これらの変形による締結部材の疲労や劣化に関しては記載がない。そのため、特にチャンバ部材のうち変形を生じ得るもの同士を締結する締結部材について、疲労を緩和できる余地があった。
【0012】
本開示にかかる技術は、プラズマ処理チャンバにおいて、チャンバ部材同士を締結する締結部材に生じる応力を緩和する。
【0013】
以下、本実施形態にかかるプラズマ処理チャンバの構成について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0014】
<プラズマ処理システム>
図1は、本実施形態にかかるプラズマ処理システムの構成の概略を示す平面図である。一実施形態において、プラズマ処理システムは、プラズマ処理装置1及び制御部2を含む。プラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、基板支持部11及びプラズマ生成部12を含む。プラズマ処理チャンバ10は、プラズマ処理空間を有する。また、プラズマ処理チャンバ10は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間に供給するための少なくとも1つのガス供給口と、プラズマ処理空間からガスを排出するための少なくとも1つのガス排出口とを有する。ガス供給口は、後述するガス供給部20に接続され、ガス排出口は、後述する排気システム40に接続される。基板支持部11は、プラズマ処理空間内に配置され、基板を支持するための基板支持面を有する。
【0015】
プラズマ生成部12は、プラズマ処理空間内に供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマを生成するように構成される。プラズマ処理空間において形成されるプラズマは、容量結合プラズマ(CCP;Capacitively Coupled Plasma)、誘導結合プラズマ(ICP;Inductively Coupled Plasma)、ECRプラズマ(Electron-Cyclotron-resonance plasma)、ヘリコン波励起プラズマ(HWP:Helicon Wave Plasma)、又は、表面波プラズマ(SWP:Surface Wave Plasma)等であってもよい。また、AC(Alternating Current)プラズマ生成部及びDC(Direct Current)プラズマ生成部を含む、種々のタイプのプラズマ生成部が用いられてもよい。一実施形態において、ACプラズマ生成部で用いられるAC信号(AC電力)は、100kHz~10GHzの範囲内の周波数を有する。従って、AC信号は、RF(Radio Frequency)信号及びマイクロ波信号を含む。一実施形態において、RF信号は、200kHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。
【0016】
制御部2は、本開示において述べられる種々の工程をプラズマ処理装置1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御部2は、ここで述べられる種々の工程を実行するようにプラズマ処理装置1の各要素を制御するように構成され得る。一実施形態において、制御部2の一部又は全てがプラズマ処理装置1に含まれてもよい。制御部2は、例えばコンピュータ2aを含んでもよい。コンピュータ2aは、例えば、処理部(CPU:Central Processing Unit)2a1、記憶部2a2、及び通信インターフェース2a3を含んでもよい。処理部2a1は、記憶部2a2に格納されたプログラムに基づいて種々の制御動作を行うように構成され得る。記憶部2a2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース2a3は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介してプラズマ処理装置1との間で通信してもよい。
【0017】
次に、プラズマ処理装置1の一例としての容量結合プラズマ処理装置の構成例について、図2を用いて説明する。容量結合プラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、ガス供給部20、電源30及び排気システム40を含む。また、プラズマ処理装置1は、基板支持部11及びガス導入部を含む。ガス導入部は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に導入するように構成される。ガス導入部は、シャワーヘッド13を含む。基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10内に配置される。シャワーヘッド13は、基板支持部11の上方に配置される。一実施形態において、シャワーヘッド13は、プラズマ処理チャンバ10の天部(ceiling)の少なくとも一部を構成する。プラズマ処理チャンバ10は、シャワーヘッド13、プラズマ処理チャンバ10の側壁10a及び基板支持部11により規定されたプラズマ処理空間10sを有する。側壁10aは接地される。シャワーヘッド13及び基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10筐体とは電気的に絶縁される。
【0018】
基板支持部11は、本体部111及びリングアセンブリ112を含む。本体部111は、基板(ウェハ)Wを支持するための中央領域(基板支持面)111aと、リングアセンブリ112を支持するための環状領域(リング支持面)111bとを有する。本体部111の環状領域111bは、平面視で本体部111の中央領域111aを囲んでいる。基板Wは、本体部111の中央領域111a上に配置され、リングアセンブリ112は、本体部111の中央領域111a上の基板Wを囲むように本体部111の環状領域111b上に配置される。一実施形態において、本体部111は、基台120及び静電チャック122を含む。基台120は、導電性部材を含む。基台120の導電性部材は下部電極として機能する。静電チャック122は、基台120の上に配置され、締結される。静電チャック122の上面は、基板支持面111aを有する。リングアセンブリ112は、1又は複数の環状部材を含む。1又は複数の環状部材のうち少なくとも1つはエッジリングである。また、図示は省略するが、基板支持部11は、静電チャック122、リングアセンブリ112及び基板のうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、流路、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。流路には、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。また、基板支持部11は、基板Wの裏面と基板支持面111aとの間に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部を含んでもよい。
【0019】
シャワーヘッド13は、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。シャワーヘッド13は、少なくとも1つのガス供給口13a、少なくとも1つのガス拡散室13b、及び複数のガス導入口13cを有する。ガス供給口13aに供給された処理ガスは、ガス拡散室13bを通過して複数のガス導入口13cからプラズマ処理空間10s内に導入される。また、シャワーヘッド13は、導電性部材を含む。シャワーヘッド13の導電性部材は上部電極として機能する。なお、ガス導入部は、シャワーヘッド13に加えて、側壁10aに形成された1又は複数の開口部に取り付けられる1又は複数のサイドガス注入部(SGI:Side Gas Injector)を含んでもよい。シャワーヘッド13は天板130に組み込まれていてもよい。この場合、天板130は天板上部材132に締結され支持されるように構成されていてもよい。
【0020】
ガス供給部20は、少なくとも1つのガスソース21及び少なくとも1つの流量制御器22を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスを、それぞれに対応のガスソース21からそれぞれに対応の流量制御器22を介してシャワーヘッド13に供給するように構成される。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスの流量を変調又はパルス化する少なくとも1つの流量変調デバイスを含んでもよい。
【0021】
電源30は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ処理チャンバ10に結合されるRF電源31を含む。RF電源31は、ソースRF信号及びバイアスRF信号のような少なくとも1つのRF信号(RF電力)を、基板支持部11の導電性部材及び/又はシャワーヘッド13の導電性部材に供給するように構成される。これにより、プラズマ処理空間10sに供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマが形成される。従って、RF電源31は、プラズマ生成部12の少なくとも一部として機能し得る。また、バイアスRF信号を基板支持部11の導電性部材に供給することにより、基板Wにバイアス電位が発生し、形成されたプラズマ中のイオン成分を基板Wに引き込むことができる。
【0022】
一実施形態において、RF電源31は、第1のRF生成部31a及び第2のRF生成部31bを含む。第1のRF生成部31aは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して基板支持部11の導電性部材及び/又はシャワーヘッド13の導電性部材に結合され、プラズマ生成用のソースRF信号(ソースRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、ソースRF信号は、13MHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第1のRF生成部31aは、異なる周波数を有する複数のソースRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のソースRF信号は、基板支持部11の導電性部材及び/又はシャワーヘッド13の導電性部材に供給される。第2のRF生成部31bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して基板支持部11の導電性部材に結合され、バイアスRF信号(バイアスRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、バイアスRF信号は、ソースRF信号よりも低い周波数を有する。一実施形態において、バイアスRF信号は、400kHz~13.56MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第2のRF生成部31bは、異なる周波数を有する複数のバイアスRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のバイアスRF信号は、基板支持部11の導電性部材に供給される。また、種々の実施形態において、ソースRF信号及びバイアスRF信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。
【0023】
また、電源30は、プラズマ処理チャンバ10に結合されるDC電源32を含んでもよい。DC電源32は、第1のDC生成部32a及び第2のDC生成部32bを含む。一実施形態において、第1のDC生成部32aは、基板支持部11の導電性部材に接続され、第1のDC信号を生成するように構成される。生成された第1のDC信号は、基板支持部11の導電性部材に印加される。一実施形態において、第1のDC信号が、静電チャック122内の電極のような他の電極に印加されてもよい。一実施形態において、第2のDC生成部32bは、シャワーヘッド13の導電性部材に接続され、第2のDC信号を生成するように構成される。生成された第2のDC信号は、シャワーヘッド13の導電性部材に印加される。種々の実施形態において、第1及び第2のDC信号がパルス化されてもよい。なお、第1及び第2のDC生成部32a,32bは、RF電源31に加えて設けられてもよく、第1のDC生成部32aが第2のRF生成部31bに代えて設けられてもよい。
【0024】
排気システム40は、例えばプラズマ処理チャンバ10の底部に設けられたガス排出口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力調整弁及び真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、プラズマ処理空間10s内の圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0025】
<参考例>
次に、チャンバの内部構造の変形による本実施形態の参考例としての締結部材に対する影響について説明する。
【0026】
図3は、チャンバの内部構造の一例として、チャンバ部材である基板支持部11の本体部111に含まれる基台120及び静電チャック122を、本実施形態の参考例としての締結部材(以下、従来締結部材200)を用いて締結した場合の構成の一例である。従来締結部材200は、頭部202、ネジ部204が一体的に設けられ、ネジ部204にはねじ切り(図示せず)が施されている。基台120にはネジ部204のねじ切りに対応するネジ穴206が設けられている。また、静電チャック122には、従来締結部材200の頭部202が貫通する円筒形状の第一の貫通孔208と、ネジ部204が貫通する第二の貫通孔210と、座面212と、が設けられている。以下、第一の貫通孔208と第二の貫通孔210を合わせて、単に貫通孔と称することがある。
【0027】
従来締結部材200を用いた締結において、従来締結部材200は貫通孔を貫通し、ネジ部204がネジ穴206に螺合する。このとき、従来締結部材200の頭部202の下面(頭部下面214)がワッシャ220を介して座面212に接し、頭部下面214がワッシャ220を介して座面212を基台120側に押す(締め付ける)ことで、基台120に対する静電チャック122の締結を実現する。なお、基台120と静電チャック122との間には、任意のOリング216が設けられていてもよい。
【0028】
図4は、従来締結部材200とワッシャ220とを組合わせたときの斜視図である。従来締結部材200の頭部202には締結に用いる締結用工具に適合する六角穴203が設けられる。頭部202とネジ部204は一体的に設けられており、これらの境界部分を首部222と称する。上記締結を可能とするため、頭部202の直径は第一の貫通孔208の直径よりも小さいものを用い、ネジ部204の直径は第二の貫通孔210の直径よりも小さいものを用いる。またワッシャ220は、特に限定されないが、上記締結を可能とするため、例えばワッシャ220の外径が、第一の貫通孔208の直径よりも小さくかつ頭部202の直径よりも大きく、内径がネジ部の直径よりも大きくかつ頭部202の直径よりも小さいものを用いてもよい。
【0029】
図3のように構成されるチャンバの内部構造において、静電チャック122の温度を低温から高温又は、高温から低温へ温度を変化させる温調を繰り返すと、従来締結部材200の一部分が劣化し、破断することがある。このような破断について、発明者は、下記に示すような静電チャック122の変形に起因して、従来締結部材200の首部222に繰返し応力が発生していることを知見した。このような変形の詳細について、図5及び図6を用いて説明する。図5及び図6は、基台120及び静電チャック122が締結された状態で、図示しない温調モジュールによって静電チャック122が温調される場合に生じる変形の一例及び、変形の他の一例を示す模式図である。
【0030】
図5では、静電チャック122が低温から高温に温調される場合の変形の一例を示す。静電チャック122が低温から高温に温調される場合、仮に静電チャック122の下面(静電チャック下面230)から入熱されるとすると、静電チャック下面230と上面(静電チャック上面240)との間で温度差が生じる。すなわち、温調モジュールからの入熱によって温度上昇して膨張する静電チャック下面230に対して、温調モジュールから離間する静電チャック上面240は、静電チャック下面230ほどは温度が上昇せず膨張しない。この膨張の度合いの差によって、図中太線矢印に示す向きの応力が生じ、静電チャック外周側(図面左側)が静電チャック上面240側に持ち上がるような変形が生じる。また、静電チャック122と基台120とは、互いに熱容量が異なるためプロセス中の温調によっては、静電チャックのみが変形し、基台120は変形しない。上記変形によると、従来締結部材200には、頭部下面214が座面212に押されることで図中太線矢印に示す向きと同方向の応力が生じる。このとき、首部222における静電チャック122の外周側に示す応力集中部250及び、静電チャック122の内周側(図面右側)に示す応力集中部252には、応力が集中する。特に、静電チャック122の外周側に示す応力集中部250における応力集中は、従来締結部材200における他の部位よりも顕著である。
【0031】
図6では、静電チャック122が高温から低温に温調される場合の変形の一例を示す。静電チャック122が高温から低温に温調される場合、仮に静電チャック下面230から抜熱されるとすると、静電チャック下面230と静電チャック上面240との間で温度差が生じる。すなわち、抜熱によって温度低下し収縮する静電チャック下面230に対して、温調モジュールから離間する静電チャック上面240は、静電チャック下面230ほどは温度が低下せず収縮しない。この収縮の度合いの差によって、図中太線矢印に示す向きの応力が生じ、静電チャック外周側(図面左側)が静電チャック下面230側に引き下がるような変形が生じる。上記変形によると、従来締結部材には頭部下面が座面に押されることで図中太線矢印に示す向きと同方向の応力が生じる。このとき、首部222における静電チャック内周側(図面右側)に示す応力集中部254及び、静電チャック122の内周側(図面右側)に示す応力集中部256には、応力が集中する。特に、静電チャック122の内周側に示す応力集中部256における応力集中は、従来締結部材200における他の部位よりも顕著である。
【0032】
温調を繰り返し、図5又は図6に示す応力が繰り返し生じる場合、特に応力が集中する応力集中部250及び応力集中部256は、疲労により破断する恐れがある。
【0033】
これに対し、本開示にかかるチャンバの内部構造によると、締結部材に生じる応力を緩和することができる。
【0034】
<第1の実施形態>
第1の実施形態にかかるチャンバの内部構造について、図7を用いて説明する。図7は、第1の実施形態にかかるチャンバの内部構造の一例として基板支持部11の本体部111に含まれる基台120及び静電チャック122を、本実施形態にかかる締結部材300を用いて締結した場合の構成の一例である
【0035】
図7において、締結部材300は、ネジ筐体部材302と、ネジ部材304と、を備える。ネジ筐体部材302とネジ部材304は別体に設けられ、後述する方法により互いに回動可能に組み立てられた状態で締結に用いられる。ネジ部材は頭部310とネジ部312を有し、ネジ部312にはねじ切り(図示せず)が施されている。基台120にはネジ部312のねじ切りに対応するネジ穴206が設けられている。また、静電チャック122には、締結部材300のネジ筐体部材302が貫通する直径Rの円筒形状の第一の貫通孔208と、ネジ部312が貫通する直径Rの第二の貫通孔210と、座面212と、が設けられている。
【0036】
締結部材300を用いた締結においては、締結部材300は貫通孔を貫通し、ネジ部312がネジ穴206に螺合する。このとき、ネジ筐体部材302の下面(筐体下面314)がワッシャ220を介して座面212に接し、筐体下面314がワッシャ220を介して座面212を基台120側に押す(締め付ける)ことで、基台120に対する静電チャック122の締結を実現する。なお、基台120と静電チャック122との間には、任意のOリング216が設けられていてもよい。
【0037】
次に、締結部材300の詳細について、図8A図8Cを用いて説明する。図8A図8Cは、締結部材300の構成の詳細を示す模式図であり、図8Aは締結部材300のネジ筐体部材302及びネジ部材304の側面図、図8Bはワッシャ220の平面図、図8Cは締結部材300のネジ筐体部材302及びネジ部材304と、ワッシャ220と、を組み立てたときの斜視図である。
【0038】
図8Aにおいて、ネジ部材304は、頭部310と、頭部310から延びるネジ部312とを含む。頭部310は、上部において締結用工具に適合する六角穴313が設けられ、上部以外の部分は凸状球面を有している。ネジ部312は、頭部310の下部から延び、ネジ穴206に螺合するようにねじ切りが施されている。頭部310とネジ部312との境界を首部320と称する。頭部310は外観上、六角穴を有する上部及びネジ部312につながる首部320を除き、直径rを有する略球形状となっている。また、首部320の断面直径をrとする。ネジ筐体部材302は、直径rの略円筒形状を有し、内部には筐体空孔330が設けられる。筐体空孔330は、筐体上面332、筐体下面314及び、筐体側面334の裏面(筐体内側面336)に形成される凹状球面に囲まれた、直径rの略球形状の空間である。筐体空孔330の直径rは、ネジ部材304の頭部310の直径rよりも大きくなるよう設けられる。
【0039】
図8Bにおいて、ワッシャ220の構成は、特に限定されない。上記締結を可能とするため、例えばワッシャ220の外径rが、第一の貫通孔208の直径R1よりも小さくかつネジ筐体部材の直径rよりも大きく、内径rがネジ部312の首部320の断面直径rよりも大きくかつ頭部310の直径rよりも小さいものを用いてもよい。なおワッシャ220は、必須の構成要素ではなく省略が可能である。
【0040】
図8Cにおいて、筐体上面332には、筐体空孔330に通じる第一の開口340が設けられる。第一の開口340は、六角穴313に対応する締結用工具を挿入し、締結操作をすることが可能な大きさの開口である。筐体下面314には、筐体空孔330に通じる直径rの第二の開口342が設けられる。第二の開口342の直径rは、ネジ部材304の首部320の断面直径rよりも大きくなるよう設けられる。筐体側面334には、筐体空孔330に通じる第三の開口344が設けられる。第三の開口344は第二の開口342とつながり、連続した開口を形成する。第三の開口344の寸法の詳細については後述する。
【0041】
次に、締結部材300の組み立てについて、図9を用いて説明する。図9図8Cに示すネジ筐体部材302、ネジ部材304及びワッシャ220を、図7で締結に用いるように組み立てるときの組み立て操作の例(図9A)及び、組み立て時の構成(図9B)の概略を示す斜視図である。
【0042】
図9Aにおいて、締結部材300の組み立ては、ネジ筐体部材302とネジ部材304とを組合わせることで行う。例えば、ネジ部材304の頭部310を、ネジ筐体部材302の第三の開口344を通るように、図中太線矢印の方向に筐体空孔330に挿入することで組み立てることができる。したがって、上述の第三の開口344の寸法については、頭部310が第三の開口344を通過可能とするのに必要かつ十分な大きさとする。例えば、第三の開口344の筐体下面314からの高さは、ネジ部材の頭部の高さよりも大きければよい。また、第三の開口344の任意の高さにおける幅が、対応する当該高さにおけるネジ部材304の頭部310の幅よりも大きければよい。第三の開口344を上記寸法とすることにより、頭部310が第三の開口344を通るようにして上記組み立てを行うことができる。
【0043】
図9Bにおいて、締結部材300の上記組み立てを行った結果、組み立て時においてネジ部材304の頭部310がネジ筐体部材302の筐体空孔330に収容される。このとき、筐体空孔330の直径rは頭部の直径rよりも大きいため、上記収容が可能となっている。また、第二の開口342の直径rは、首部320の断面直径rよりも大きいため、第二の開口342に首部320がはまり込んだ状態で、ネジ部材304のネジ部312がネジ筐体部材302の外部に露出した状態で組み立てることができる。なお、ワッシャ220は、上面が筐体下面314に接するようにして、首部320の直下に位置するように組み立てることができる。
【0044】
上記のようにして組み立てられた締結部材300は、ネジ部材304の頭部310の凸状球面と、ネジ筐体部材302の筐体空孔330の凹状球面とが互いに滑り合うことによって回動可能である。
【0045】
次に、上記のようにして構成されるチャンバの内部構造が、温調による膨張又は収縮に伴う応力によって変形が生じる場合の、応力の緩和機構について、図10及び図11を用いて説明する。図10及び図11は、基台120及び静電チャック122が締結された状態で静電チャック122が図示しない温調モジュールによって温調される場合の変形の一例及び、変形の他の一例を示す模式図である。
【0046】
図10は、静電チャック122が低温から高温に温調される場合の変形の一例を示す。静電チャック122が低温から高温に温調される場合、仮に静電チャック下面230から入熱されるとすると、静電チャック下面230と上面との間で温度差が生じる。すなわち、温調モジュールからの入熱によって温度上昇して膨張する静電チャック下面230に対して、温調モジュールから離間する静電チャック上面240は、静電チャック下面230ほどは温度が上昇せず膨張しない。この膨張の度合いの差によって、図中太線矢印に示す向きの応力が生じ、静電チャック外周側(図面左側)が静電チャック上面240側に持ち上がるような変形が生じる。上記変形によると、ネジ筐体部材302には、筐体下面314が座面212に押されることで図中太線矢印に示す向きと同方向の応力が生じる。
【0047】
上記応力によると、ネジ筐体部材302の筐体空孔330の凹状球面が、ネジ部材304の頭部310の凸状球面と互いに滑り合うことで、ネジ筐体部材302はネジ部材304の頭部310を軸として図中の曲線矢印で示す方向(図中時計回り方向)に回動する。このような回動によると、従来締結部材200について図5で示すような応力集中部250、252に集中して生じていた応力が、本実施形態にかかる締結部材300においては分散され、応力の集中が緩和される。
【0048】
図11は、静電チャック122が高温から低温に温調される場合の変形の一例を示す。静電チャック122が高温から低温に温調される場合、仮に静電チャック下面230から抜熱されるとすると、静電チャック下面230と静電チャック上面240との間で温度差が生じる。すなわち、抜熱によって温度低下し収縮する静電チャック下面230に対して、温調モジュールから離間する静電チャック上面240は、静電チャック下面230ほどは温度が低下せず収縮しない。この収縮の度合いの差によって、図中太線矢印に示す向きの応力が生じ、静電チャック外周側(図中左側)が静電チャック下面230側に引き下がるような変形が生じる。上記変形によると、ネジ筐体部材302には、筐体下面314が座面212に押されることで図中太線矢印に示す向きと同方向の応力が生じる。
【0049】
上記応力によると、ネジ筐体部材302の筐体空孔330の凹状球面が、ネジ部材304の頭部310の凸状球面と互いに滑り合うことで、ネジ筐体部材302はネジ部材304の頭部310を軸として図中の曲線矢印で示す方向(図中半時計回り方向)に回動する。このような回動によると、従来締結部材200について図6で示すような応力集中部254、256に集中して生じていた応力が、本実施形態にかかる締結部材300においては分散され、応力の集中が緩和される。
【0050】
したがって、本実施形態にかかる締結部材300においては、温調に伴う静電チャックの変形によっては、応力の集中を緩和し、破断を抑制することができる。
【0051】
<第2の実施形態>
上記第1の実施形態において説明した締結部材300は、他のチャンバ部材の締結にも適用可能であり、当該他のチャンバ部材が変形する場合にも、締結部材300に生じる応力を緩和するよう構成することができる。特に、熱容量の異なる2以上のチャンバ部材であって、プロセス中に温調が必要なものについては、締結部材300を適用することで特に好ましい効果を発揮する。当該他のチャンバ部材の一例であって、第2の実施形態にかかるチャンバの構成について、図12を用いて説明する。図12は、第2の実施形態にかかるチャンバ部材としての天板130及び天板130を支持する天板上部材132と、これらを締結する締結部材300と、の構成の概略を示す模式図である。
【0052】
図12において、天板130及び天板130を支持する天板上部材132は、天板上面400と天板上部材下面402とが接した状態で、締結部材300によって締結される。天板上部材132にはネジ部材304のネジ部312のねじ切り(図示せず)に対応するネジ穴404が設けられている。また、天板には、ネジ筐体部材302が貫通する直径Rの円筒形状の第一の貫通孔406と、ネジ部312が貫通する直径Rの第二の貫通孔408と、座面410と、が設けられている。なお、第一の貫通孔406の直径Rは、締結部材300のネジ筐体部材302の直径rよりも大きければよい。または、ワッシャ220を用いる場合は、ワッシャ220の外径rよりも大きければよい。第二の貫通孔408の直径Rは、締結部材300のネジ部材304におけるネジ部312の断面直径よりも大きければよい。
【0053】
締結部材300を用いた締結において、締結部材300は貫通孔を貫通し、ネジ部312がネジ穴404に螺合する。このとき、筐体下面314がワッシャ220を介して座面410に接し、筐体下面314がワッシャ220を介して座面410を押すことで、天板上部材132に対する天板130の締結を実現する。なお、天板上部材132と天板130との間には、任意のOリング412が設けられていてもよい。
【0054】
上記のようにして締結される天板130及び天板上部材132においては、真空引きや温調などの操作によって、例えば天板130が変形する場合がある。このような変形が生じる場合であっても、第1の実施形態にかかる静電チャック122の変形時と同様にして、ネジ筐体部材302がネジ部材304の頭部310を軸として回動することで変形による応力を分散することができ、応力の集中が緩和される。
【0055】
ところで、第1の実施形態及び第2の実施形態に用いることのできる締結部材300について、ネジ筐体部材302の直径r及び高さを、従来締結部材200の頭部202の直径及び高さと同様にし、ネジ部材304のネジ部312の直径及び長さを、従来締結部材200のネジ部204の直径及び長さと同様に設けることで、締結部材300及び従来締結部材200の外径の寸法を同様とすることができる。これによって、従来締結部材200を適用していたチャンバ部材について、従来締結部材200をそのまま本実施形態にかかる締結部材300に置き換えることが可能であり、チャンバ部材の貫通孔やネジ穴などの設計の変更を必要とせず、本実施形態にかかる締結部材300を適用することができる。
【0056】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【0057】
例えば、本開示に係る締結部材300を適用可能なチャンバ部材は、静電チャック122と基台120、天板130と天板上部材132のみに限定されない。例えば、チャンバの側壁を構成する部材同士や、基台120の内部の部材同士も含む。特に、本開示の締結部材300は、温調により温度変化が生じ、それにより部材間で応力が発生するようなチャンバ部材同士の締結において好適な効果を発揮することできる。また、本開示に係る締結部材300は、2つのチャンバ部材に対して適用されてもよく、3つ以上のチャンバ部材に対して適用されてもよい。
【0058】
また、締結部材300においてネジ部材304の頭部310は、全体が凸状球面を有することとしたが、ネジ部312側の半面が凸状球面を有する構成とすれば足り、上面側の半面は凸状球面でなくてもよい。すなわち、例えば、頭部310の少なくとも首部320側の面が凸状球面を有することで、ネジ筐体部材302の筐体内側面336の凹状球面と滑り合うことができ、応力を分散する効果を発揮することができる。
【0059】
また、頭部310を凸状球面、筐体内側面336を凹状球面として互いに滑り合うことが可能な構成としたが、これに代えて、互いに滑り合うことが可能な球面以外の曲率を有する凸状滑り面を有する頭部310と、凹状滑り面を有する筐体内側面336と、を備えるように締結部材300を構成してもよい。
【0060】
また、本実施形態にかかる締結部材300は、六角穴313を設けることで六角穴313に適合する締結用工具を用いて締結可能な構成としたが、これに限定されず、プラス溝やマイナス溝など、任意の形状の穴とそれに対応する締結用工具を適用して締結可能な構成としてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 プラズマ処理装置
10 プラズマ処理チャンバ
120 基台
122 静電チャック
300 締結部材
302 ネジ筐体部材
304 ネジ部材
310 頭部
312 ネジ部
330 筐体空孔
336 筐体内側面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10
図11
図12