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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061258
(43)【公開日】2023-05-01
(54)【発明の名称】配線基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20230424BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
H05K3/46 B
H05K3/46 N
H01L23/12 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021171147
(22)【出願日】2021-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 輝
(72)【発明者】
【氏名】春日 崇志
(72)【発明者】
【氏名】下平 朋幸
(72)【発明者】
【氏名】近藤 人資
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA12
5E316AA15
5E316AA43
5E316BB16
5E316CC09
5E316CC32
5E316CC37
5E316CC38
5E316CC54
5E316DD24
5E316DD32
5E316DD33
5E316EE33
5E316FF07
5E316FF14
5E316GG17
5E316GG22
5E316HH01
(57)【要約】
【課題】外部接続用のパッドの外縁が平面視で絶縁層の開口部の外縁よりも内側に位置する配線基板の提供。
【解決手段】本配線基板は、外部接続用のパッドと、絶縁層と、を有し、前記パッドの下面の一部は、前記絶縁層に被覆され、前記パッドの上面は、絶縁層の上面よりも低い位置にあり、前記絶縁層には、平面視で前記パッドの周囲に位置し、前記絶縁層の上面側に開口する溝が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部接続用のパッドと、絶縁層と、を有し、
前記パッドの下面の一部は、前記絶縁層に被覆され、
前記パッドの上面は、絶縁層の上面よりも低い位置にあり、
前記絶縁層には、平面視で前記パッドの周囲に位置し、前記絶縁層の上面側に開口する溝が設けられている、配線基板。
【請求項2】
溝の底面は、前記パッドの下面と同じ位置にあるか、前記パッドの下面よりも低い位置にある、請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記パッドの側面は、前記絶縁層から露出している、請求項1又は2に記載の配線基板。
【請求項4】
前記絶縁層は、平面視で、前記パッドの側面と前記溝の底面との間に、前記パッドの側面全体を被覆する被覆部を有している、請求項1又は2に記載の配線基板。
【請求項5】
前記パッドは、積層構造であり、
前記絶縁層と接する最下層は銅層であり、最上層は金層である、請求項1乃至4の何れか一項に記載の配線基板。
【請求項6】
前記パッドは、銅層の単層構造であり、
前記パッドの前記絶縁層から露出する面に有機被膜が形成されている、請求項1乃至4の何れか一項に記載の配線基板。
【請求項7】
前記絶縁層の前記パッドの下面を被覆する面は、平面視で、前記パッドの側面と前記溝の底面との間に延伸する延伸部を有している、請求項6に記載の配線基板。
【請求項8】
複数のパッドを有し、
各々のパッドの周囲に溝があり、
隣接するパッドの周囲の溝同士が連通する、請求項1乃至7の何れか一項に記載の配線基板。
【請求項9】
前記絶縁層の下面側に形成された配線層を有し、
前記配線層は、前記絶縁層を貫通して前記パッドの下面と接するビア配線を含む、請求項1乃至8の何れか一項に記載の配線基板。
【請求項10】
支持体の上面の所定位置に、犠牲層、及び外部接続用のパッドを順次積層する工程と、
前記支持体の上面に、第1面が前記支持体の上面と接し、かつ前記犠牲層及び前記パッドを被覆する絶縁層を形成する工程と、
前記支持体及び前記犠牲層を除去する工程と、
前記絶縁層に、平面視で前記パッドの周囲に位置し、前記絶縁層の第1面側に開口する溝を形成する工程と、を有する、配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
配線基板は、例えば、最外層に配置された絶縁層から露出するパッドを有する。このパッドは、例えば、マザーボード等と電気的に接続するための外部接続用のパッドとなる。この配線基板の製造工程は、例えば、支持体の上面に外部接続用のパッドを形成する工程と、支持体の上面に外部接続用のパッドを被覆する絶縁層を形成する工程と、支持体を除去する工程とを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-141070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、パッドの上面の面積が大きいと、静電容量が大きくなって電気信号が劣化する場合がある。そこで、近年では、静電容量を低減するために、パッドの上面の面積を小さくしたいという要求がある。一方、配線基板との接続に用いるソケット等に関して従来の配線基板との互換性を確保する観点から、パッドは小型化しても、パッドの周囲の絶縁層の開口の大きさは変えたくないという要求がある。
【0005】
これらの要求に答えるためには、平面視で、パッドの周囲の絶縁層の開口部の外縁は移動させずに、パッドの外縁を絶縁層の開口部の外縁よりも内側に移動させる必要がある。しかし、上記の配線基板では、パッドの外縁のみを絶縁層の開口部の外縁よりも内側に移動させることは困難である。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、外部接続用のパッドの外縁が平面視で絶縁層の開口部の外縁よりも内側に位置する配線基板の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本配線基板は、外部接続用のパッドと、絶縁層と、を有し、前記パッドの下面の一部は、前記絶縁層に被覆され、前記パッドの上面は、絶縁層の上面よりも低い位置にあり、前記絶縁層には、平面視で前記パッドの周囲に位置し、前記絶縁層の上面側に開口する溝が設けられている。
【発明の効果】
【0008】
開示の技術によれば、外部接続用のパッドの外縁が平面視で絶縁層の開口部の外縁よりも内側に位置する配線基板を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る配線基板を例示する図である。
図2】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その1)である。
図3】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その2)である。
図4】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その3)である。
図5】第1実施形態の変形例1に係る配線基板を例示する図である。
図6】第2実施形態に係る配線基板を例示する図である。
図7】第3実施形態に係る配線基板を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0011】
〈第1実施形態〉
[配線基板の構造]
図1は、第1実施形態に係る配線基板を例示する図であり、図1(a)は部分平面図、図1(b)は図1(a)のA-A線に沿う部分断面図である。
【0012】
図1を参照すると、配線基板1は、パッド10と、絶縁層20と、配線層30と、絶縁層40と、配線層50とを有している。配線基板1において、さらに多数の絶縁層及び配線層が積層されてもよい。
【0013】
なお、本実施形態では、便宜上、図1(b)における配線基板1の絶縁層20側を上側又は一方の側、絶縁層40側を下側又は他方の側とする。また、各部位の絶縁層20側の面を上面又は一方の面、絶縁層40側の面を下面又は他方の面とする。但し、配線基板1は天地逆の状態で用いることができ、又は任意の角度で配置することができる。また、平面視とは対象物を絶縁層20の上面20aの法線方向から視ることを指し、平面形状とは対象物を絶縁層20の上面20aの法線方向から視た形状を指すものとする。
【0014】
パッド10は、外部接続用のパッドである。パッド10は、例えば、マザーボード等の実装基板(図示せず)と電気的に接続するために使用できる。パッド10は積層構造である。例えば、絶縁層20と接する最下層である金属層13は銅層(Cu層)であり、最上層である金属層12は金層(Au層)である。金属層13の厚さは、例えば、10~30μm程度である。
【0015】
なお、金属層12は、最上層をAu層とする積層構造であってもよい。金属層12は、例えば、Ni/Au層(金属層13上にNi層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(金属層13上にNi層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等とすることができる。金属層12がNi/Pd/Au層である場合、例えば、Ni層の厚さは5~10μm程度であり、Pd層の厚さは0.015~0.065μm程度であり、Au層の厚さは0.030~0.090μm程度である。
【0016】
パッド10の平面形状は、例えば、直径が600μm~800μm程度の円形である。ただし、パッド10の平面形状は、楕円形や矩形、その他の任意の形状であってもよい。
【0017】
パッド10は、絶縁層20の上面20a側に露出している。絶縁層20の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂を主成分とする絶縁性樹脂等を用いることができる。絶縁層20は、シリカ(SiO)等のフィラーを含有しても構わない。絶縁層20の厚さは、例えば、10~70μm程度とすることができる。
【0018】
パッド10の下面の一部(ビア配線と接続される部分を除く部分)は、絶縁層20に被覆されている。また、パッド10の上面10aは、絶縁層20の上面20aよりも低い位置にある。パッド10の上面10aと絶縁層20の上面20aとの距離は、例えば、5~20μm程度である。絶縁層20には、平面視でパッド10の周囲に位置し、絶縁層20の上面20a側に開口する溝20gが設けられている。パッド10の平面形状が円形である場合、溝20gは、例えば、平面視において、内縁及び外縁が径の異なる円形となるようにリング状に形成することができる。溝20gの幅は、例えば、80μm~100μm程度とすることができる。
【0019】
溝20gの底面は、例えば、パッド10の下面(金属層13の下面)よりも深い位置にある。ただし、溝20gの底面は、パッド10の下面(金属層13の下面)と同じ位置にあってもよいし、パッド10の下面(金属層13の下面)よりも浅い位置にあってもよい。溝20gの底面は、例えば、パッド10の下面(金属層13の下面)に対して±30μmの位置にある。すなわち、パッド10の側面は絶縁層20から露出しているが、パッド10の側面全体が絶縁層20から露出する場合と、パッド10の側面の上面10aに近い側が露出し下面に近い側が絶縁層20に被覆される場合とがある。
【0020】
配線層30は、絶縁層20の他方の側に形成されている。配線層30は、例えば、絶縁層20を貫通しパッド10の下面を露出するビアホール20x内に充填されたビア配線、絶縁層20の下面に形成されたビア受けパッド、及び配線パターンを含んで構成されている。ビア配線は、絶縁層20を貫通してパッド10の下面と接する。ビアホール20xは、絶縁層40側に開口されている開口部の径がパッド10の下面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい円錐台状の凹部とすることができる。配線層30の材料としては、例えば、銅等を用いることができる。配線層30を構成するビア受けパッド、及び配線パターンの厚さは、例えば、10~30μm程度とすることができる。
【0021】
絶縁層40は、絶縁層20の下面に配線層30を覆うように形成されている。絶縁層40の材料や厚さは、例えば、絶縁層20と同様とすることができる。絶縁層40は、シリカ(SiO)等のフィラーを含有しても構わない。
【0022】
配線層50は、絶縁層40の他方の側に形成されている。配線層50は、例えば、絶縁層40を貫通し配線層30のビア受けパッドの下面を露出するビアホール40x内に充填されたビア配線、絶縁層40の下面に形成されたパッド、及び配線パターンを含んで構成されている。ビアホール40xは、絶縁層40の下面側に開口されている開口部の径が配線層30のビア受けパッドの下面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい円錐台状の凹部とすることができる。配線層50の材料や配線層50を構成するビア受けパッド、及び配線パターンの厚さは、例えば、配線層30と同様とすることができる。
【0023】
このように、配線基板1において、絶縁層20には、平面視でパッド10の周囲に位置し、絶縁層20の上面20a側に開口する溝20gが設けられている。これにより、パッド10の外縁が平面視で絶縁層20の開口部の外縁(溝20gの外縁)よりも内側に位置することが可能となるため、パッド10の上面10aの面積を小さくできる。パッド10の上面10aの面積を小さくすることで、パッド10の静電容量を低減することが可能となり、パッド10を通過する電気信号の劣化を抑制できる。
【0024】
また、仮に、溝20gを設けないとすると、パッド10の上面10aを露出する絶縁層20の開口部の位置は、後述の図4(a)のようになる。つまり、平面視で、開口部の外縁とパッド10の外縁とが同じ位置になる。この場合、パッド10の上面10aの面積を従来より小さくすると、開口部の大きさも小さくなってしまい、従来の配線基板との互換性を確保できなくなる。
【0025】
すなわち、パッド10をマザーボード等の実装基板に接続する際にソケットが使用されるが、パッド10の上面10aを露出する絶縁層20の開口部は、ソケットが絶縁層20に接触しない大きさとされている。したがって、従来の配線基板との互換性を確保しながらパッド10の静電容量を低減するためには、絶縁層20の開口部の大きさを変えることなく、パッド10の上面10aの面積を小さくする必要がある。平面視でパッド10の周囲に位置し、絶縁層20の上面20a側に開口する溝20gを設けることで、従来の配線基板との互換性を確保しつつ、パッド10の上面10aの面積を小さくすることが可能となる。
【0026】
また、パッド10とマザーボード等の実装基板とを、はんだを介して接続する場合には、余剰のはんだがパッド10の上面10aから溝20g内に流れ込むため、隣接するパッド同士の短絡を抑制できる。また、はんだが溝20g内に入り込むことで、パッド10の上面10a及び側面がはんだと3次元的に接合されるため、パッド10とはんだとの接合強度を向上できる。また、配線基板1では、パッド10の上面10aが絶縁層20の上面20aよりも低い位置にあるため、はんだ全体の重心が配線基板1の中心側に位置するようになるため、パッド10とはんだとの接続の安定性を向上できる。特に、配線基板1の水平方向(上面10aと平行な方向)にかかる力に対するはんだの耐久性を大幅に向上できる。はんだとの接合に関するこれらの効果は、溝20gの底面がパッド10の下面と同じ位置にあるか、パッド10の下面よりも低い位置にある場合に大きくなる。
【0027】
[配線基板の製造方法]
次に、第1実施形態に係る配線基板の製造方法について説明する。図2図4は、第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図である。なお、本実施形態では、単品の配線基板を形成する工程を示すが、配線基板となる複数の部分を作製後、個片化して各配線基板とする工程としてもよい。
【0028】
まず、図2(a)に示す工程では、上面が平坦面である支持体300を準備する。支持体300としては、金属板や金属箔等を用いることができるが、本実施形態では、支持体300として銅箔を用いる例を示す。支持体300の厚さは、例えば18~100μm程度とすることができる。
【0029】
次に、支持体300の上面の所定位置に、パッド10を形成する部分に開口部400xを備えたレジスト層400(例えば、ドライフィルムレジスト等)を形成する。そして、支持体300をめっき給電層に利用する電解めっき法等により、レジスト層400の開口部400x内に露出する支持体300の上面に、犠牲層11及び外部接続用のパッド10を順次積層する。その後、レジスト層400を除去する。
【0030】
パッド10は、例えば、犠牲層11側から金属層12及び金属層13が順次積層した積層構造とすることができる。金属層12自体が積層構造であってもよい。ここでは、一例として、犠牲層11及び金属層13は銅層とする。また、金属層12は、犠牲層11側から、金層、ニッケル層、パラジウム層の積層構造とする。各金属層の厚さについては、前述のとおりである。なお、犠牲層11は、最終的にエッチングにより除去される金属層である。
【0031】
次に、図2(b)に示す工程では、支持体300の上面に、下面が支持体300の上面と接し、かつ犠牲層11の側面、及びパッド10の上面と側面を被覆するように半硬化状態のフィルム状のエポキシ系樹脂等をラミネートし、硬化させて絶縁層20を形成する。或いは、フィルム状のエポキシ系樹脂等のラミネートに代えて、液状又はペースト状のエポキシ系樹脂等を塗布後、硬化させて絶縁層20を形成してもよい。絶縁層20の厚さ等は、前述のとおりである。
【0032】
次に、図3(a)に示す工程では、絶縁層20に、絶縁層20を貫通しパッド10の上面を露出させるビアホール20xを形成する。ビアホール20xは、例えばCOレーザ等を用いたレーザ加工法により形成できる。その後、デスミア処理を行い、ビアホール20xの底部に露出するパッド10の上面に付着した樹脂残渣を除去してもよい。
【0033】
次に、図3(b)に示す工程では、絶縁層20上に配線層30を形成する。配線層30は、例えば、ビアホール20x内に充填されたビア配線、及び絶縁層20上に形成されたビア受けパッド、及び配線パターンを含んで構成される。配線層30は、ビアホール20xの底部に露出したパッド10と電気的に接続される。配線層30の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。配線層30は、セミアディティブ法やサブトラクティブ法等の各種の配線層形成方法を用いて形成できる。
【0034】
次に、図3(c)に示す工程では、図2(b)~図3(b)と同様の工程を繰り返し、配線層30上に絶縁層40を形成し、絶縁層40に配線層30のビア受けパッドの上面を露出するビアホール40xを形成し、さらに配線層50を形成する。絶縁層40の材料や厚さは、例えば、絶縁層20の材料や厚さと同様とすることができる。配線層50の材料や厚さは、例えば、配線層30の材料や厚さと同様とすることができる。
【0035】
次に、図4(a)に示す工程では、支持体300を除去する。銅箔からなる支持体300は、例えば、過酸化水素/硫酸系水溶液や、過硫酸ナトリウム水溶液、過硫酸アンモニウム水溶液等を用いたウェットエッチングにより除去できる。犠牲層11も銅層であるため、支持体300の除去と同時に犠牲層11も除去される。
【0036】
一方、金属層12の再表面は金層であるため、銅層を除去するエッチング液では除去されず、エッチングストッパ層となる。パッド10の上面10a(金属層12の上面)は、絶縁層20の上面20aから窪んだ位置に露出する。なお、図4(a)は、図3(c)等とは上下を反転させた状態で描かれている。後述の、図4(b)についても同様である。
【0037】
次に、図4(b)に示す工程では、絶縁層20に、平面視でパッド10の周囲に位置し、絶縁層20の上面20a側に開口する溝20gを形成する。溝20gは、例えば、レーザ加工法により形成できる。溝20gは、例えば、平面視において、内縁及び外縁が径の異なる円形となるようにリング状に形成される。溝20gの底面は、例えば、パッド10の下面(金属層13の下面)よりも深い位置に形成される。ただし、溝20gの底面は、パッド10の下面(金属層13の下面)と同じ位置に形成されてもよいし、パッド10の下面(金属層13の下面)よりも浅い位置に形成されてもよい。溝20gの底面の位置は、レーザのパワーによって調整可能であり、例えば、パッド10の下面(金属層13の下面)に対して上下方向に±30μmの範囲内で形成される。これにより、配線基板1が完成する。
【0038】
〈第1実施形態の変形例1〉
第1実施形態の変形例1では、絶縁層がパッドの側面を被覆する例を示す。なお、第1実施形態の変形例1において、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0039】
図5は、第1実施形態の変形例1に係る配線基板を例示する図であり、図5(a)は部分平面図、図5(b)は図5(a)のB-B線に沿う部分断面図である。
【0040】
図5を参照すると、配線基板1Aは、パッド10の側面全体が絶縁層20に被覆されている点が、配線基板1(図1等参照)と相違する。つまり、絶縁層20は、平面視で、パッド10の側面と溝20gの底面との間に、パッド10の側面全体を被覆するリング状の被覆部20rを有している。被覆部20rの幅は、例えば、0.1~2μm程度である。被覆部20rは、溝20gを形成する際に絶縁層20にレーザ光を照射する位置を調整することで形成できる。
【0041】
このように、パッド10の側面は必ずしも絶縁層20から露出していなくてもよい。このような構造でも、従来の配線基板との互換性を確保しつつ、パッド10の上面10aの面積を小さくしてパッド10の静電容量を低減することが可能となる。
【0042】
〈第2実施形態〉
第2実施形態では、パッドの層構造が異なる配線基板の例を示す。なお、第2実施形態において、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0043】
図6は、第2実施形態に係る配線基板を例示する図であり、図6(a)は部分平面図、図6(b)は図6(a)のC-C線に沿う部分断面図である。
【0044】
図6を参照すると、配線基板2は、パッド10が単層構造である点が、配線基板1(図1等参照)と相違する。パッド10は、例えば、銅層である。絶縁層20のパッド10の下面を被覆する面は、例えば、平面視で、パッド10の側面と溝20gの底面との間にリング状に延伸する延伸部20sを有している。延伸部20sの幅は、例えば、0.5~3μm程度である。パッド10の上面10aには、例えば、有機被膜(図示せず)が形成されている。有機被膜は、パッド10の側面を被覆してもよい。有機被膜は、例えば、アゾール化合物やイミダゾール化合物等を含む。
【0045】
図6に示すパッド10及び絶縁層20の構造は、例えば、以下のようにして形成できる。まず、図2(a)の工程で、犠牲層11を銅層、金属層12をニッケル層とする。この場合、金属層12も犠牲層となる。そして、図2(b)~図3(c)の工程を実行後、図4(a)の工程で支持体300及び犠牲層11を除去後、ニッケルをエッチング可能で銅はエッチングされないエッチング液で、犠牲層である金属層12を除去する。
【0046】
そして、図4(b)と同様に、溝20gを形成する。この時点では、平面視で、溝20gの内縁とパッド10の外縁は同じ位置にある。次に、パッド10の上面10a及び側面に形成された酸化膜を除去するために、パッド10の上面10a及び側面を2~3μm程度エッチングする。これにより、絶縁層20のパッド10の下面を被覆する面が、平面視で、パッド10の側面と溝20gの底面との間にリング状に延伸する延伸部20sを有する構造となる。その後、パッド10に対して、OSP(Organic Solderability Preservative)処理を施して有機被膜を形成する。
【0047】
なお、パッド10が単層構造であって有機被膜を形成しない場合には、酸化膜を除去するためのエッチング工程は不要である。この場合は、平面視で、溝20gの内縁とパッド10の外縁は同じ位置となり、延伸部20sは形成されない。
【0048】
また、第2実施形態と第1実施形態の変形例1とを組み合わせることも可能である。この形態では、単層構造のパッドの10の側面は絶縁層20で被覆される。そのため、有機被膜を形成する場合には、パッド10の上面10aのみに形成される。
【0049】
〈第3実施形態〉
第3実施形態では、複数のパッドを有する配線基板の例を示す。なお、第3実施形態において、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0050】
図7は、第3実施形態に係る配線基板を例示する図であり、図7(a)は部分平面図、図7(b)は図7(a)のD-D線に沿う部分断面図である。
【0051】
図7を参照すると、配線基板3は、複数のパッド10を有している。図7では、複数のパッドうち、隣接する2つのパッド10を示している。各々のパッド10の周囲に溝20gがあり、隣接するパッド10の周囲の溝20g同士が連通している。
【0052】
このように、隣接する溝20gが連通してもよい。隣接するパッド10の間隔が狭い場合に有効である。隣接するパッド10は、同じ電位のパッドであってもよい。例えば、隣接するパッド10は、GNDであってもよい。この場合、はんだが隣接する溝20gに流れ込んで隣接するパッド10同士が導通しても問題はない。なお、隣接するパッド10が異なる電位である場合は、例えば、各々のパッド10の上面10aのみにはんだを形成すればよい。
【0053】
なお、第3実施形態と第1実施形態の変形例1及び/又は第2実施形態とを組み合わせることも可能である。
【0054】
以上、好ましい実施形態等について詳説したが、上述した実施形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0055】
1,1A,2,3 配線基板
10 パッド
11 犠牲層
12,13 金属層
10a,20a 上面
20,40 絶縁層
20g 溝
20r 被覆部
20s 延伸部
20x,40x ビアホール
30,50 配線層
300 支持体
400 レジスト層
400x 開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7