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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061259
(43)【公開日】2023-05-01
(54)【発明の名称】配線基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20230424BHJP
【FI】
H05K3/46 B
H05K3/46 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021171148
(22)【出願日】2021-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 輝
(72)【発明者】
【氏名】春日 崇志
(72)【発明者】
【氏名】下平 朋幸
(72)【発明者】
【氏名】近藤 人資
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA12
5E316AA15
5E316AA43
5E316BB16
5E316CC09
5E316CC32
5E316CC37
5E316CC38
5E316CC54
5E316CC55
5E316DD23
5E316DD24
5E316DD25
5E316DD32
5E316DD33
5E316EE33
5E316FF07
5E316FF13
5E316FF14
5E316FF15
5E316GG17
5E316GG22
5E316HH01
(57)【要約】
【課題】外部接続用のパッドの外縁が平面視で絶縁層の開口部の外縁よりも内側に位置する配線基板の提供。
【解決手段】本配線基板は、外部接続用のパッドと、絶縁層と、を有し、前記パッドの下面の一部は、前記絶縁層に被覆され、前記パッドは、本体部と、前記本体部と一体に形成され、前記本体部の側面の下端側において平面視で前記本体部の側面の外周側に延伸する延伸部と、を備え、前記絶縁層には、平面視で前記パッドの周囲に位置して前記パッドの側面を露出し、前記絶縁層の上面側に開口する溝が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部接続用のパッドと、絶縁層と、を有し、
前記パッドの下面の一部は、前記絶縁層に被覆され、
前記パッドは、
本体部と、
前記本体部と一体に形成され、前記本体部の側面の下端側において平面視で前記本体部の側面の外周側に延伸する延伸部と、を備え、
前記絶縁層には、平面視で前記パッドの周囲に位置して前記パッドの側面を露出し、前記絶縁層の上面側に開口する溝が設けられている、配線基板。
【請求項2】
前記本体部の上面は、前記絶縁層の上面よりも低い位置にある、請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記溝の前記絶縁層側の側面に段差面が形成され、
前記本体部の上面は、前記段差面よりも低い位置にある、請求項2に記載の配線基板。
【請求項4】
前記延伸部の上面は、前記溝の底面よりも低い位置にある、請求項1乃至3の何れか一項に記載の配線基板。
【請求項5】
前記本体部の上面及び側面、並びに前記延伸部の上面を被覆する金属層が設けられている、請求項1乃至4の何れか一項に記載の配線基板。
【請求項6】
前記金属層の上面は、前記絶縁層の上面よりも高い位置にある、請求項5に記載の配線基板。
【請求項7】
前記金属層において、前記延伸部に積層された部分の上面は、前記溝の底面よりも高い位置にある、請求項5又は6に記載の配線基板。
【請求項8】
前記本体部の上面及び側面、並びに前記延伸部の上面を被覆する有機被膜が設けられている、請求項1乃至4の何れか一項に記載の配線基板。
【請求項9】
支持体上に第1犠牲層を形成し、さらに前記第1犠牲層の上面から突起する環状の第2犠牲層を形成する工程と、
前記第1犠牲層と前記第2犠牲層とが形成する凹部を充填し、さらに前記第2犠牲層の上面の内周側を被覆し外周側を露出する金属層を形成する工程と、
前記支持体上に、前記第1犠牲層、前記第2犠牲層、及び前記金属層を被覆する絶縁層を形成する工程と、
前記支持体、前記第1犠牲層、及び前記第2犠牲層をエッチングにより除去し、前記金属層を含む外部接続用のパッドを形成する工程と、を有し、
前記第1犠牲層及び前記第2犠牲層は、前記金属層と選択的にエッチングできる材料から形成される、配線基板の製造方法。
【請求項10】
前記第1犠牲層は、前記支持体上の所定領域に形成され、
前記第2犠牲層の外縁は、平面視で前記第1犠牲層の外縁よりも内側に形成される、請求項9に記載の配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
配線基板は、例えば、最外層に配置された絶縁層から露出するパッドを有する。このパッドは、例えば、マザーボード等と電気的に接続するための外部接続用のパッドとなる。この配線基板の製造工程は、例えば、支持体の上面に外部接続用のパッドを形成する工程と、支持体の上面に外部接続用のパッドを被覆する絶縁層を形成する工程と、支持体を除去する工程とを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-141070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、パッドの上面の面積が大きいと、静電容量が大きくなって電気信号が劣化する場合がある。そこで、近年では、静電容量を低減するために、パッドの上面の面積を小さくしたいという要求がある。一方、配線基板との接続に用いるソケット等に関して従来の配線基板との互換性を確保する観点から、パッドは小型化しても、パッドの周囲の絶縁層の開口の大きさは変えたくないという要求がある。
【0005】
これらの要求に答えるためには、平面視で、パッドの周囲の絶縁層の開口部の外縁は移動させずに、パッドの外縁を絶縁層の開口部の外縁よりも内側に移動させる必要がある。しかし、上記の配線基板では、パッドの外縁のみを絶縁層の開口部の外縁よりも内側に移動させることは困難である。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、外部接続用のパッドの外縁が平面視で絶縁層の開口部の外縁よりも内側に位置する配線基板の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本配線基板は、外部接続用のパッドと、絶縁層と、を有し、前記パッドの下面の一部は、前記絶縁層に被覆され、前記パッドは、本体部と、前記本体部と一体に形成され、前記本体部の側面の下端側において平面視で前記本体部の側面の外周側に延伸する延伸部と、を備え、前記絶縁層には、平面視で前記パッドの周囲に位置して前記パッドの側面を露出し、前記絶縁層の上面側に開口する溝が設けられている。
【発明の効果】
【0008】
開示の技術によれば、外部接続用のパッドの外縁が平面視で絶縁層の開口部の外縁よりも内側に位置する配線基板を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る配線基板を例示する図である。
図2】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その1)である。
図3】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その2)である。
図4】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その3)である。
図5】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その4)である。
図6】第1実施形態の変形例1に係る配線基板を例示する図である。
図7】第2実施形態に係る配線基板を例示する図である。
図8】第2実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その1)である。
図9】第2実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その2)である。
図10】第2実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その3)である。
図11】第2実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その4)である。
図12】第2実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その5)である。
図13】第2実施形態の変形例1に係る配線基板を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0011】
〈第1実施形態〉
[配線基板の構造]
図1は、第1実施形態に係る配線基板を例示する図であり、図1(a)は部分平面図、図1(b)は図1(a)のA-A線に沿う部分断面図である。
【0012】
図1を参照すると、配線基板1は、パッド10と、絶縁層20と、配線層30と、絶縁層40と、配線層50とを有している。配線基板1において、さらに多数の絶縁層及び配線層が積層されてもよい。
【0013】
なお、本実施形態では、便宜上、図1(b)における配線基板1の絶縁層20側を上側又は一方の側、絶縁層40側を下側又は他方の側とする。また、各部位の絶縁層20側の面を上面又は一方の面、絶縁層40側の面を下面又は他方の面とする。但し、配線基板1は天地逆の状態で用いることができ、又は任意の角度で配置することができる。また、平面視とは対象物を絶縁層20の上面20aの法線方向から視ることを指し、平面形状とは対象物を絶縁層20の上面20aの法線方向から視た形状を指すものとする。
【0014】
パッド10は、外部接続用のパッドである。パッド10は、例えば、マザーボード等の実装基板(図示せず)と電気的に接続するために使用できる。パッド10は積層構造であり、金属層11と、金属層12とを含む。
【0015】
金属層11は、本体部11bと、延伸部11sとを備えている。延伸部11sは、本体部11bと一体に形成され、本体部11bの側面の下端側において平面視で本体部11bの側面の外周側に延伸している。延伸部11sは、例えば、平面視で本体部11bの側面の外周側に環状(リング状)に形成されている。
【0016】
本体部11bの平面形状は、例えば、直径が600μm~800μm程度の円形である。ただし、本体部11bの平面形状は、楕円形や矩形、その他の任意の形状であってもよい。延伸部11sの幅は、例えば、10~30μm程度である。本体部11bの厚さは、例えば、10~30μm程度である。延伸部11sの厚さは、例えば、0.5~3.0μm程度である。金属層11の下面の面積は、上面の面積よりも大きい。金属層11は、例えば、銅層(Cu層)である。
【0017】
金属層12は、金属層11の絶縁層20から露出する表面を被覆している。具体的には、金属層12は、本体部11bの上面及び側面、並びに延伸部11sの上面を連続的に被覆している。金属層12は、例えば、金層(Au層)である。金属層12の厚さは、例えば、5~10μm程度である。
【0018】
なお、金属層12は、最上層をAu層とする積層構造であってもよい。金属層12は、例えば、Ni/Au層(金属層11上にNi層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(金属層11上にNi層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等とすることができる。
【0019】
パッド10は、絶縁層20の上面20a側に露出している。パッド10において、下面(金属層11の本体部11b及び延伸部11sの下面)の一部(ビア配線と接続される部分を除く部分)は、絶縁層20に被覆されている。また、金属層11の延伸部11sの側面は、絶縁層20に被覆されている。絶縁層20の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂を主成分とする絶縁性樹脂等を用いることができる。絶縁層20は、シリカ(SiO)等のフィラーを含有しても構わない。絶縁層20の厚さは、例えば、10~70μm程度とすることができる。
【0020】
金属層11の本体部11bの上面は、絶縁層20の上面20aよりも低い位置にある。金属層11の本体部11bの上面を基準とする絶縁層20の上面20aの高さは、例えば、2~3μm程度である。パッド10の上面10a(金属層12の上面)は、絶縁層20の上面20aよりも高い位置にある。絶縁層20の上面20aを基準とするパッド10の上面10a(金属層12の上面)の高さは、例えば、2~8μm程度である。
【0021】
絶縁層20には、平面視でパッド10の周囲に位置してパッド10の側面を露出し、絶縁層20の上面20a側に開口する溝20gが設けられている。パッド10の平面形状が円形である場合、溝20gは、例えば、平面視において、内縁及び外縁が径の異なる円形となるようにリング状に形成することができる。溝20gの幅は、例えば、80μm~100μm程度とすることができる。
【0022】
金属層11の本体部11bの側面を被覆する金属層12、及び金属層11の延伸部11sの上面を被覆する金属層12は、溝20g内において絶縁層20から露出している。ここで、溝20g内に露出する絶縁層20で形成された面のうち、最も低い位置にある面を溝20gの底面と定義すると、延伸部11sの上面は、溝20gの底面よりも低い位置にある。延伸部11sの上面を基準とする溝20gの底面の高さは、例えば、2~3μm程度である。また、金属層12において、延伸部11sに積層された部分の上面を金属層12の外周面と定義すると、金属層12の外周面は、溝20gの底面よりも高い位置にある。溝20gの底面を基準とする金属層12の外周面の高さは、例えば、2~8μm程度である。
【0023】
配線層30は、絶縁層20の他方の側に形成されている。配線層30は、例えば、絶縁層20を貫通しパッド10の下面を露出するビアホール20x内に充填されたビア配線、絶縁層20の下面に形成されたビア受けパッド、及び配線パターンを含んで構成されている。ビア配線は、絶縁層20を貫通してパッド10の下面と接する。ビアホール20xは、絶縁層40側に開口されている開口部の径がパッド10の下面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい円錐台状の凹部とすることができる。配線層30の材料としては、例えば、銅等を用いることができる。配線層30を構成するビア受けパッド、及び配線パターンの厚さは、例えば、10~30μm程度とすることができる。
【0024】
絶縁層40は、絶縁層20の下面に配線層30を覆うように形成されている。絶縁層40の材料や厚さは、例えば、絶縁層20と同様とすることができる。絶縁層40は、シリカ(SiO)等のフィラーを含有しても構わない。
【0025】
配線層50は、絶縁層40の他方の側に形成されている。配線層50は、例えば、絶縁層40を貫通し配線層30のビア受けパッドの下面を露出するビアホール40x内に充填されたビア配線、絶縁層40の下面に形成されたパッド、及び配線パターンを含んで構成されている。ビアホール40xは、絶縁層40の下面側に開口されている開口部の径が配線層30のビア受けパッドの下面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい円錐台状の凹部とすることができる。配線層50の材料や配線層50を構成するビア受けパッド、及び配線パターンの厚さは、例えば、配線層30と同様とすることができる。
【0026】
このように、配線基板1において、絶縁層20には、平面視でパッド10の周囲に位置し、絶縁層20の上面20a側に開口する溝20gが設けられている。これにより、パッド10の外縁が平面視で絶縁層20の開口部の外縁(溝20gの外縁)よりも内側に位置することが可能となるため、パッド10の上面10aの面積を小さくできる。パッド10の上面10aの面積を小さくすることで、パッド10の静電容量を低減することが可能となり、パッド10を通過する電気信号の劣化を抑制できる。
【0027】
また、仮に、溝20gを設けないとすると、パッド10の上面10aを露出する絶縁層20の開口部の位置は、平面視で、パッド10の外縁とが同じ位置になる。この場合、パッド10の上面10aの面積を従来より小さくすると、開口部の大きさも小さくなってしまい、従来の配線基板との互換性を確保できなくなる。
【0028】
すなわち、パッド10をマザーボード等の実装基板に接続する際にソケットが使用されるが、パッド10の上面10aを露出する絶縁層20の開口部は、ソケットが絶縁層20に接触しない大きさとされている。したがって、従来の配線基板との互換性を確保しながらパッド10の静電容量を低減するためには、絶縁層20の開口部の大きさを変えることなく、パッド10の上面10aの面積を小さくする必要がある。平面視でパッド10の周囲に位置し、絶縁層20の上面20a側に開口する溝20gを設けることで、従来の配線基板との互換性を確保しつつ、パッド10の上面10aの面積を小さくすることが可能となる。
【0029】
また、パッド10とマザーボード等の実装基板とを、はんだを介して接続する場合には、余剰のはんだがパッド10の上面10aから溝20g内に流れ込むため、隣接するパッド同士の短絡を抑制できる。また、はんだが溝20g内に入り込むことで、パッド10の上面10a及び側面がはんだと3次元的に接合されるため、パッド10とはんだとの接合強度を向上できる。
【0030】
また、溝20gの底面と金属層12の外周面との境界部分に段差が形成されているため、溝20g内に流れ込んだはんだが接触する角部分が増える。これにより、はんだに加わる力が分散されるため、はんだの耐久性を向上できる。
【0031】
[配線基板の製造方法]
次に、第1実施形態に係る配線基板の製造方法について説明する。図2図5は、第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図である。なお、本実施形態では、単品の配線基板を形成する工程を示すが、配線基板となる複数の部分を作製後、個片化して各配線基板とする工程としてもよい。
【0032】
まず、図2(a)に示す工程では、上面が平坦面である支持体300を準備する。支持体300としては、金属板や金属箔等を用いることができるが、本実施形態では、支持体300として銅箔を用いる例を示す。支持体300の厚さは、例えば18~100μm程度とすることができる。
【0033】
次に、支持体300上に犠牲層310及び320を形成する。犠牲層310は、例えば、支持体300の上面全体を被覆するように形成される。犠牲層320は、例えば、犠牲層310の上面全体を被覆するように形成される。また、犠牲層320は、後工程で金属層11に対して選択的にエッチングできる材料から形成される。ここでは、一例として、犠牲層310は銅層、犠牲層320はニッケル層とする。犠牲層310の厚さは例えば1~5μm程度、犠牲層320の厚さは例えば1~5μm程度とすることができる。なお、支持体300側に銅層である犠牲層310を設けることは必須ではないが、支持体300側に銅層である犠牲層310を設けることにより、支持体300の上面の凹凸をキャンセルする効果、及び支持体300との密着性を向上する効果が得られる。
【0034】
次に、図2(b)に示す工程では、支持体300上に、犠牲層320の上面から突起する環状(リング状)の犠牲層330を形成する。具体的には、まず、犠牲層320の上面の所定位置に、犠牲層330を形成する部分に開口部400xを備えたレジスト層400(例えば、ドライフィルムレジスト等)を形成する。開口部400xは、例えば、平面視において、内縁及び外縁が径の異なる円形となるようにリング状に形成される。そして、支持体300、犠牲層310、及び犠牲層320をめっき給電層に利用する電解めっき法等により、レジスト層400の開口部400x内に露出する犠牲層320の上面に、犠牲層330を形成する。犠牲層330は、後工程で金属層11に対して選択的にエッチングできる材料から形成される。ここでは、一例として、犠牲層330をニッケル層とする。犠牲層330の幅は、例えば、5~30μm程度とすることができる。犠牲層330の厚さは、例えば、5~20μm程度とすることができる。犠牲層330を形成後、図2(c)に示す工程では、レジスト層400を除去する。なお、犠牲層320は、本発明に係る第1犠牲層の代表的な一例である。また、犠牲層330は、本発明に係る第2犠牲層の代表的な一例である。
【0035】
次に、図3(a)及び図3(b)に示す工程では、犠牲層320と犠牲層330とが形成する凹部を充填し、さらに犠牲層330の上面の内周側を被覆し外周側を露出する金属層11を形成する。具体的には、まず、図3(a)に示す工程では、犠牲層320の上面の所定位置に、平面視でリング状の犠牲層330の上面の外周側を被覆し、内周側を露出する開口部410xを備えたレジスト層410(例えば、ドライフィルムレジスト等)を形成する。開口部410xは、例えば、平面視で、円形状に形成される。開口部410x内には、平面視で、犠牲層330の上面の内周側と、犠牲層330に囲まれた犠牲層320の上面が露出する。
【0036】
次に、図3(b)に示す工程では、支持体300、犠牲層310、犠牲層320、及び犠牲層330をめっき給電層に利用する電解めっき法等により、レジスト層410の開口部410x内に露出する犠牲層320の上面、並びに犠牲層330の上面及び内側面を被覆する金属層11を形成する。金属層11は、本体部11b及び延伸部11sを含む。開口部410x内に露出する犠牲層330の上面上に形成される部分が延伸部11sであり、その他が本体部11bである。金属層11は、後工程で犠牲層320及び330を選択的にエッチングできるように、犠牲層320及び330とは異なる材料から形成される。ここでは、犠牲層310及び320がニッケル層であるため、金属層11は銅層とする。
【0037】
次に、図3(c)に示す工程では、支持体300上に、犠牲層320、犠牲層330、及び金属層11を被覆する絶縁層20を形成する。具体的には、まず、レジスト層410を除去後、支持体300上に、半硬化状態のフィルム状のエポキシ系樹脂等をラミネートし、硬化させて絶縁層20を形成する。絶縁層20は、金属層11から露出する犠牲層320の上面、金属層11から露出する犠牲層330の上面及び外周側面、犠牲層330から露出する金属層11の上面及び側面を被覆するように形成される。或いは、フィルム状のエポキシ系樹脂等のラミネートに代えて、液状又はペースト状のエポキシ系樹脂等を塗布後、硬化させて絶縁層20を形成してもよい。絶縁層20の厚さ等は、前述のとおりである。
【0038】
次に、図4(a)に示す工程では、絶縁層20に、絶縁層20を貫通し金属層11の上面を露出させるビアホール20xを形成する。ビアホール20xは、例えばCOレーザ等を用いたレーザ加工法により形成できる。その後、デスミア処理を行い、ビアホール20xの底部に露出する金属層11の上面に付着した樹脂残渣を除去してもよい。
【0039】
次に、図4(b)に示す工程では、絶縁層20上に配線層30を形成する。配線層30は、例えば、ビアホール20x内に充填されたビア配線、及び絶縁層20上に形成されたビア受けパッド、及び配線パターンを含んで構成される。配線層30は、ビアホール20xの底部に露出した金属層11と電気的に接続される。配線層30の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。配線層30は、セミアディティブ法やサブトラクティブ法等の各種の配線層形成方法を用いて形成できる。
【0040】
次に、図4(c)に示す工程では、図3(c)~図4(b)と同様の工程を繰り返し、配線層30上に絶縁層40を形成し、絶縁層40に配線層30のビア受けパッドの上面を露出するビアホール40xを形成し、さらに配線層50を形成する。絶縁層40の材料や厚さは、例えば、絶縁層20の材料や厚さと同様とすることができる。配線層50の材料や厚さは、例えば、配線層30の材料や厚さと同様とすることができる。
【0041】
次に、図5(a)~図5(c)に示す工程では、支持体300、犠牲層310、犠牲層320、及び犠牲層330をエッチングにより除去し、金属層11を含む外部接続用のパッド10を形成する。具体的には、まず、図5(a)に示す工程では、図4(c)に示す支持体300及び犠牲層310を除去する。銅箔からなる支持体300及び銅層からなる犠牲層310は、例えば、過酸化水素/硫酸系水溶液や、過硫酸ナトリウム水溶液、過硫酸アンモニウム水溶液等を用いたウェットエッチングにより除去できる。ニッケル層である犠牲層320は、エッチングストッパ層となり、支持体300及び犠牲層310のみが除去される。なお、図5(a)は、図4(c)等とは上下を反転させた状態で描かれている。後述の、図5(b)及び図5(c)についても同様である。
【0042】
次に、図5(b)に示す工程では、図5(a)に示す犠牲層320及び330を除去する。ニッケル層である犠牲層320及び330は、例えば、過酸化水素/硝酸系水溶液等を用いたウェットエッチングにより除去できる。ニッケル層のエッチング液では、銅は除去されないため、金属層11はエッチングされない。これにより、絶縁層20に、平面視で金属層11の周囲に位置し、絶縁層20の上面20a側に開口する溝20gが形成される。溝20gは、例えば、平面視において、内縁及び外縁が径の異なる円形となるようにリング状に形成される。また、金属層11において、本体部11bの側面、及び延伸部11sの上面が溝20g内に露出する。この時点では、本体部11bの上面は、絶縁層20の上面20aと略面一である。また、延伸部11sの上面は、絶縁層20の溝20gの底面と略面一である。
【0043】
次に、必要に応じ、本体部11bの上面及び側面、並びに延伸部11sの上面に形成された酸化膜を除去するために、本体部11bの上面及び側面、並びに延伸部11sの上面を2~3μm程度エッチングする。これにより、図5(b)に示すように、本体部11bの上面は、絶縁層20の上面20aから2~3μm程度窪んだ位置に露出する。また、延伸部11sの上面は、絶縁層20の溝20gの底面から2~3μm程度窪んだ位置に露出する。
【0044】
次に、図5(c)に示す工程では、例えば、無電解めっき法により、絶縁層20から露出する金属層11の表面に、金属層12を形成する。これにより、配線基板1が完成する。金属層12は、例えば、Au層、Ni/Au層(パッド10上にNi層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(パッド10上にNi層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等とすることができる。
【0045】
この工程において、金属層11の本体部11bの側面を被覆する金属層12、及び金属層11の延伸部11sの上面を被覆する金属層12は、溝20g内において絶縁層20から露出する。また、金属層12の上面は、絶縁層20の上面20aよりも2~8μm程度高い位置となる。また、金属層12の外周面は、溝20gの底面よりも2~8μm程度高い位置となる。
【0046】
〈第1実施形態の変形例1〉
第1実施形態の変形例1では、パッドの層構造が異なる配線基板の例を示す。なお、第1実施形態の変形例1において、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0047】
図6は、第1実施形態の変形例1に係る配線基板を例示する図であり、図6(a)は部分平面図、図6(b)は図6(a)のB-B線に沿う部分断面図である。
【0048】
図6を参照すると、配線基板1Aは、パッド10が単層構造である点が、配線基板1(図1等参照)と相違する。パッド10は、例えば、銅層である。パッド10は、本体部11b及び延伸部11sを有しているが、金属層12は有していない。
【0049】
パッド10の上面10a(本体部11bの上面)は、絶縁層20の上面20aよりも低い位置にある。パッド10の本体部11bの上面を基準とする絶縁層20の上面20aの高さは、例えば、2~3μm程度である。延伸部11sの上面は、溝20gの底面よりも低い位置にある。延伸部11sの上面を基準とする溝20gの底面の高さは、例えば、2~3μm程度である。
【0050】
パッド10の本体部11bの上面及び側面、並びに延伸部11sの上面を被覆する有機被膜が設けられてもよい。有機被膜は、例えば、アゾール化合物やイミダゾール化合物等を含む。有機被膜の厚さは、例えば、1μm以下程度とすることができる。
【0051】
図6に示す配線基板1Aは、例えば、第1実施形態の図2(a)~図5(b)に示す工程と同様の工程により作製できる。図5(b)に示す工程後に、必要に応じ、本体部11b及び延伸部11sに対して、OSP(Organic Solderability Preservative)処理を施して有機被膜を形成することができる。
【0052】
なお、パッド10が単層構造であって有機被膜を形成しない場合には、酸化膜を除去するためのエッチング工程は不要である。
【0053】
〈第2実施形態〉
第2実施形態では、絶縁層に形成する溝の形状が異なる配線基板の例を示す。なお、第2実施形態において、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0054】
図7は、第2実施形態に係る配線基板を例示する図であり、図7(a)は部分平面図、図7(b)は図7(a)のC-C線に沿う部分断面図である。
【0055】
図7を参照すると、配線基板2は、溝20gの絶縁層20側の側面に段差面20sが形成された点、パッド10の上面10aが絶縁層20の上面20aに対して窪んだ位置にある点が、配線基板1(図1等参照)と相違する。パッド10の上面10aを基準とする絶縁層20の上面20aの高さは、例えば、5~20μm程度である。
【0056】
絶縁層20において、段差面20sは、配線基板2の厚さ方向において、絶縁層20の上面20aと溝20gの底面との間に位置する。段差面20sは、絶縁層20の上面20a及び溝20gの底面と略平行である。本体部11bの上面は、段差面20sよりも低い位置にある。本体部11bの上面を基準とする段差面20sの高さは、例えば、2~3μm程度である。また、パッド10の上面10a(金属層12の上面)は、段差面20sよりも高い位置にある。段差面20sを基準とするパッド10の上面10a(金属層12の上面)の高さは、例えば、2~8μm程度である。
【0057】
パッド10の平面形状が円形である場合、溝20gは、例えば、平面視において、内縁及び外縁が径の異なる円形となるようにリング状に形成することができる。溝20gにおいて、段差面20sよりも下側の部分の幅は、例えば、80μm~100μm程度とすることができる。また、段差面20sの幅は、例えば、10~30μm程度とすることができる。
【0058】
図7に示す配線基板2は、例えば、以下のようにして形成できる。まず、図8(a)~図9(b)に示す工程では、支持体300上の所定領域に犠牲層340及び350を順次形成し、さらに犠牲層350の上面から突起する環状の犠牲層360を形成する。なお、犠牲層350は、本発明に係る第1犠牲層の代表的な一例である。また、犠牲層360は、本発明に係る第2犠牲層の代表的な一例である。
【0059】
具体的には、まず、図8(a)に示す工程では、支持体300上面の所定領域に、開口部420xを備えたレジスト層420(例えば、ドライフィルムレジスト等)を形成する。そして、支持体300をめっき給電層に利用する電解めっき法等により、レジスト層420の開口部420x内に露出する支持体300の上面に、犠牲層340及び350を順次積層する。その後、レジスト層420を除去する。ここでは、一例として、犠牲層340は銅層、犠牲層350はニッケル層とする。なお、犠牲層340及び350は、最終的にエッチングにより除去される金属層である。犠牲層340の厚さは例えば5~20μm程度、犠牲層350の厚さは例えば1~10μm程度とすることができる。なお、支持体300側に銅層である犠牲層340を設けることは必須ではないが、支持体300側に銅層である犠牲層340を設けることにより、支持体300の上面の凹凸をキャンセルする効果、及び支持体300との密着性を向上する効果が得られる。
【0060】
次に、図8(b)に示す工程では、支持体300の上面に、犠牲層350の上面の外周側をリング状に開口する開口部430xを備えたレジスト層430(例えば、ドライフィルムレジスト等)を形成する。犠牲層350の上面との位置ずれを防止するために、開口部430xは犠牲層350の上面の最外周部には設けないことが好ましい。言い換えれば、犠牲層350の上面の最外周部は、レジスト層430で被覆されることが好ましい。
【0061】
次に、図9(a)に示す工程では、支持体300上に、犠牲層350の上面から突起する環状(リング状)の犠牲層360を形成する。具体的には、支持体300、犠牲層340、及び犠牲層350をめっき給電層に利用する電解めっき法等により、レジスト層430の開口部430x内に露出する犠牲層350の上面に、犠牲層360を形成する。犠牲層360は、後工程で金属層11に対して選択的にエッチングできる材料から形成される。ここでは、一例として、犠牲層360をニッケル層とする。犠牲層360の幅は、例えば、5~30μm程度とすることができる。犠牲層360の厚さは、例えば10~30μm程度とすることができる。犠牲層360を形成後、図9(b)に示す工程では、レジスト層430を除去する。犠牲層340と犠牲層350は、平面視で重複する位置に形成され、犠牲層360の外縁は、平面視で犠牲層340及び350の外縁よりも内側に形成される。
【0062】
次に、図9(c)及び図10(a)に示す工程では、犠牲層350と犠牲層360とが形成する凹部を充填し、さらに犠牲層360の上面の内周側を被覆し外周側を露出する金属層11を形成する。具体的には、まず、図9(c)に示す工程では、支持体300の上面の所定位置に、平面視でリング状の犠牲層360の上面の外周側を被覆し、内周側を露出する開口部440xを備えたレジスト層440(例えば、ドライフィルムレジスト等)を形成する。開口部440xは、例えば、平面視で、円形状に形成される。開口部440x内には、平面視で、犠牲層360の上面の内周側と、犠牲層360に囲まれた犠牲層350の上面が露出する。
【0063】
次に、図10(a)に示す工程では、支持体300、犠牲層340、犠牲層350、及び犠牲層360をめっき給電層に利用する電解めっき法等により、レジスト層440の開口部440x内に露出する犠牲層350の上面、並びに犠牲層360の上面及び内側面を被覆する金属層11を形成する。金属層11は、本体部11b及び延伸部11sを含む。開口部440x内に露出する犠牲層360の上面上に形成される部分が延伸部11sであり、その他が本体部11bである。金属層11は、後工程で犠牲層350及び360を選択的にエッチングできるように、犠牲層350及び360とは異なる材料から形成される。ここでは、犠牲層350及び360がニッケル層であるため、金属層11は銅層とする。
【0064】
次に、図10(b)に示す工程では、支持体300上に、犠牲層340、犠牲層350、犠牲層360、及び金属層11を被覆する絶縁層20を形成する。具体的には、まず、レジスト層440を除去後、支持体300上に、半硬化状態のフィルム状のエポキシ系樹脂等をラミネートし、硬化させて絶縁層20を形成する。絶縁層20は、金属層11から露出する犠牲層360の上面及び外側面、犠牲層360から露出する金属層11の上面及び側面、犠牲層350の上面の外周部及び側面、犠牲層340の側面を被覆するように形成される。或いは、フィルム状のエポキシ系樹脂等のラミネートに代えて、液状又はペースト状のエポキシ系樹脂等を塗布後、硬化させて絶縁層20を形成してもよい。絶縁層20の厚さ等は、前述のとおりである。
【0065】
次に、図11(a)に示す工程では、図4(a)~図4(c)と同様にして、絶縁層20に金属層11の上面を露出するビアホール20xを形成し、さらに配線層30を形成する。そして、配線層30上に絶縁層40を形成し、絶縁層40に配線層30のビア受けパッドの上面を露出するビアホール40xを形成し、さらに配線層50を形成する。
【0066】
次に、図11(b)~図12(b)に示す工程では、支持体300、犠牲層340、犠牲層350、及び犠牲層360をエッチングにより除去し、金属層11を含む外部接続用のパッド10を形成する。具体的には、まず、図11(b)に示す工程では、図11(a)に示す支持体300を除去する。支持体300は、例えば、機械的に剥離することで除去できる。この場合には、犠牲層340は除去されない。銅箔からなる支持体300は、例えば、過酸化水素/硫酸系水溶液や、過硫酸ナトリウム水溶液、過硫酸アンモニウム水溶液等を用いたウェットエッチングにより除去してもよい。この場合には、銅層である犠牲層340も除去される。なお、図11(b)は、図10(b)等とは上下を反転させた状態で描かれている。後述の、図12(a)及び図12(b)についても同様である。
【0067】
次に、図12(a)に示す工程では、図11(b)に示す犠牲層340、350、及び360を除去する。銅層である犠牲層340は、例えば、過酸化水素/硫酸系水溶液や、過硫酸ナトリウム水溶液、過硫酸アンモニウム水溶液等のエッチング液等を用いたウェットエッチングにより除去できる。ニッケル層である犠牲層350及び犠牲層360は、例えば、過酸化水素/硝酸系水溶液等を用いたウェットエッチングにより除去できる。なお、図11(b)に示す工程で犠牲層340が除去されている場合には、犠牲層340のエッチングは不要である。ニッケル層のエッチング液では、銅は除去されないため、金属層11はエッチングされない。これにより、絶縁層20に、平面視で金属層11の周囲に位置し、絶縁層20の上面20a側に開口する溝20gが形成される。溝20gは、例えば、平面視において、内縁及び外縁が径の異なる円形となるようにリング状に形成される。また、溝20gの絶縁層20側の側面に段差面20sが形成される。また、金属層11において、本体部11bの上面が絶縁層20の上面20aに対して窪んだ位置に露出し、本体部11bの側面、及び延伸部11sの上面が溝20g内に露出する。この時点では、本体部11bの上面は、段差面20sと略面一である。また、延伸部11sの上面は、絶縁層20の溝20gの底面と略面一である。
【0068】
次に、必要に応じ、本体部11bの上面及び側面、並びに延伸部11sの上面に形成された酸化膜を除去するために、本体部11bの上面及び側面、並びに延伸部11sの上面を2~3μm程度エッチングする。これにより、図12(a)に示すように、本体部11bの上面は、段差面20sから2~3μm程度窪んだ位置に露出する。また、延伸部11sの上面は、絶縁層20の溝20gの底面から2~3μm程度窪んだ位置に露出する。
【0069】
次に、図12(b)に示す工程では、例えば、無電解めっき法により、絶縁層20から露出する金属層11の表面に、金属層12を形成する。金属層12については、前述のとおりである。これにより、配線基板2が完成する。
【0070】
この工程において、金属層11の本体部11bの側面を被覆する金属層12、及び金属層11の延伸部11sの上面を被覆する金属層12は、溝20g内において絶縁層20から露出する。また、金属層12の上面は、段差面20sよりも2~8μm程度高い位置となる。また、金属層12の外周面は、溝20gの底面よりも2~8μm程度高い位置となる。
【0071】
配線基板2は、配線基板1が奏する効果に加えて、さらに以下の効果を奏する。すなわち、配線基板2では、配線基板1と比べて、パッド10の上面10aが、絶縁層20の上面20aよりもさらに低い位置にあるため、はんだ全体の重心が配線基板2の中心側に位置するようになる。そのため、パッド10とはんだとの接続の安定性を向上できる。特に、配線基板2の水平方向(上面10aと平行な方向)にかかる力に対するはんだの耐久性を大幅に向上できる。
【0072】
また、溝20gの絶縁層20側の側面に段差面20sが形成されているため、溝20g内に流れ込んだはんだが接触する角部分が増える。これにより、はんだに加わる力が分散されるため、はんだの耐久性を向上できる。
【0073】
〈第2実施形態の変形例1〉
第2実施形態の変形例1では、パッドの層構造が異なる配線基板の例を示す。なお、第2実施形態の変形例1において、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0074】
図13は、第2実施形態の変形例1に係る配線基板を例示する図であり、図13(a)は部分平面図、図13(b)は図13(a)のD-D線に沿う部分断面図である。
【0075】
図13を参照すると、配線基板2Aは、パッド10が単層構造である点が、配線基板2(図7等参照)と相違する。パッド10は、例えば、銅層である。パッド10は、本体部11b及び延伸部11sを有しているが、金属層12は有していない。
【0076】
パッド10の上面10a(本体部11bの上面)は、絶縁層20の上面20aよりも低い位置にある。パッド10の本体部11bの上面を基準とする絶縁層20の上面20aの高さは、例えば、10~70μm程度である。また、パッド10の上面10a(本体部11bの上面)は、段差面20sよりも低い位置にある。パッド10の本体部11bの上面を基準とする段差面20sの高さは、例えば、2~3μm程度である。延伸部11sの上面は、溝20gの底面よりも低い位置にある。延伸部11sの上面を基準とする溝20gの底面の高さは、例えば、2~3μm程度である。
【0077】
パッド10の本体部11bの上面及び側面、並びに延伸部11sの上面を被覆する有機被膜が設けられてもよい。有機被膜は、例えば、アゾール化合物やイミダゾール化合物等を含む。有機被膜の厚さは、例えば、1μm以下程度とすることができる。
【0078】
図13に示す配線基板2Aは、例えば、第2実施形態の図8(a)~図12(a)に示す工程と同様の工程により作製できる。図12(a)に示す工程後に、必要に応じ、本体部11b及び延伸部11sに対して、OSP処理を施して有機被膜を形成することができる。
【0079】
なお、パッド10が単層構造であって有機被膜を形成しない場合には、酸化膜を除去するためのエッチング工程は不要である。
【0080】
以上、好ましい実施形態等について詳説したが、上述した実施形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0081】
1,1A,2,2A 配線基板
10 パッド
10a,20a 上面
11 金属層
11b 本体部
11s 延伸部
20,40 絶縁層
20g 溝
20s 段差面
20x,40x ビアホール
30,50 配線層
300 支持体
310,320,330,340,350,360 犠牲層
400,410,420,430,440 レジスト層
400x,410x,420x,430x,440x 開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13