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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061278
(43)【公開日】2023-05-01
(54)【発明の名称】プリンタおよび印刷システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/393 20060101AFI20230424BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20230424BHJP
   B41J 21/16 20060101ALI20230424BHJP
   B41J 3/28 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
H04N1/393
H04N1/00 Z
H04N1/00 C
B41J21/16
B41J3/28
H04N1/00 127A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021171179
(22)【出願日】2021-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】廣井 貴明
【テーマコード(参考)】
2C055
2C187
5C062
5C076
【Fターム(参考)】
2C055AA00
2C055AA03
2C187AC05
2C187AC08
2C187AD20
2C187AE07
2C187AE13
2C187BF41
2C187BH17
2C187BH22
2C187DB16
2C187DB29
5C062AA05
5C062AA14
5C062AA17
5C062AA35
5C062AA37
5C062AB02
5C062AB07
5C062AB08
5C062AB25
5C062AB27
5C062AB41
5C062AB42
5C062AB43
5C062AB44
5C062AC02
5C062AC07
5C062AC08
5C062AC64
5C062AC66
5C062AC67
5C062AE01
5C062AF02
5C062AF03
5C062AF12
5C062AF14
5C062AF16
5C062BB03
5C076AA21
5C076AA22
5C076CA10
5C076CB02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】情報記入に関するユーザの負担や誤記を減らすプリンタ及び印刷システムを提供する。
【解決手段】プリンタ1は、読取部と、印刷部と、媒体上の記入項目情報及び記入領域を含む画像を読取部で読み取る読取制御部と、比較キー情報と印刷対象情報とが関連付けられた関連付け情報を記憶する記憶部と、関連付け情報を前記記憶部から読み出す記憶制御部と、読取部で読み取った画像から記入項目情報及び記入領域を識別して、記入項目情報と一致する比較キー情報に関連付けられた印刷対象情報を判定する判定部と、判定部が判定した印刷対象情報を媒体に印刷するときの大きさを、判定部が識別した記入領域の大きさに応じて変換する変換部と、変換部で大きさを変換した印刷対象情報を、判定部で識別済みの記入領域と新たに読取部で読み取った画像との比較によって同一とみなされた記入領域に対して、印刷部で印刷させる印刷制御部と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取部と、
印刷部と、
媒体上の記入項目情報および記入領域を含む画像を前記読取部で読み取る読取制御部と、
比較キー情報と印刷対象情報とが関連付けられた関連付け情報を記憶する記憶部と、
前記関連付け情報を前記記憶部から読み出す記憶制御部と、
前記読取部で読み取った画像から前記記入項目情報および前記記入領域を識別して、前記記入項目情報と一致する前記比較キー情報に関連付けられた印刷対象情報を判定する判定部と、
前記判定部が判定した前記印刷対象情報を前記媒体に印刷するときの大きさを、前記判定部が識別した前記記入領域の大きさに応じて変換する変換部と、
前記変換部で大きさを変換した印刷対象情報を、前記判定部で識別済みの前記記入領域と新たに前記読取部で読み取った画像との比較によって同一とみなされた前記記入領域に対して、前記印刷部で印刷させる印刷制御部と、
を備えることを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記印刷対象情報は、氏名、住所、生年月日、年齢、性別、電話番号、メールアドレス、の少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記関連付け情報を前記記憶部から読み込む情報読込部を備える、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記読取部は、ラインスキャナである、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記読取部は、カメラである、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記印刷部は、ユーザにより把持されて前記媒体上を走査されることにより、前記媒体上への印刷を行う、
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載のプリンタ。
【請求項7】
前記読取制御部は、ユーザを特定する情報を含む画像を前記読取部で読み取り、
前記判定部は、前記読取部で読み取った画像から、前記ユーザを特定する情報に基づく前記記入項目情報を識別する、
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載のプリンタ。
【請求項8】
印刷部を備えるプリンタと、前記プリンタに接続された少なくとも1以上の外部装置と、を備える印刷システムにおいて、
読取部と、
媒体上の記入項目情報および記入領域を含む画像を前記読取部で読み取る読取制御部と、
比較キー情報と印刷対象情報とが関連付けられた関連付け情報を記憶する記憶部と、
前記関連付け情報を前記記憶部から読み出す記憶制御部と、
前記読取部で読み取った画像から前記記入項目情報および前記記入領域を識別して、前記記入項目情報と一致する前記比較キー情報に関連付けられた印刷対象情報を判定する判定部と、
前記判定部が判定した前記印刷対象情報を前記媒体に印刷するときの大きさを、前記判定部が識別した前記記入領域の大きさに応じて変換する変換部と、
前記変換部で大きさを変換した印刷対象情報を、前記判定部で識別済みの前記記入領域と新たに前記読取部で読み取った画像との比較によって同一とみなされた前記記入領域に対して、前記印刷部で印刷させる印刷制御部と、
を備えることを特徴とする印刷システム。
【請求項9】
前記外部装置は、情報処理装置である、
ことを特徴とする請求項8に記載の印刷システム。
【請求項10】
前記外部装置は、ネットワーク上の1以上のサーバ装置によって実現されるクラウドである、
ことを特徴とする請求項8に記載の印刷システム。
【請求項11】
前記外部装置は、ネットワークを中継する機器であるゲートウェイである、
ことを特徴とする請求項8に記載の印刷システム。
【請求項12】
前記記憶部は、前記外部装置に設けられ、
前記記憶制御部は、前記プリンタに設けられ、
前記記憶部が記憶する前記関連付け情報は、前記プリンタの前記記憶制御部によって読み出される、
ことを特徴とする請求項8ないし11のいずれか一項に記載の印刷システム。
【請求項13】
前記読取制御部は、ユーザを特定する情報を含む画像を前記読取部で読み取り、
前記判定部は、前記読取部で読み取った画像から、前記ユーザを特定する情報に基づく前記記入項目情報を識別する、
ことを特徴とする請求項8ないし12のいずれか一項に記載の印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタおよび印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、既に印刷されている内容をスキャンして読取る機構と、印刷を実行する機構と、を備えるハンディモバイルプリンタが知られている。
【0003】
特許文献1には、ユーザに負担をかけずに申請書などの書類を簡単に作成する目的で、IDカードまたは記憶装置から取得したデータを記載した書類を印刷する技術が開示されている。
【0004】
特許文献2には、書類の書面を電子化した上で、手書き入力の必要な領域を電子入力可能にする技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術によれば、IDカードなどに保存されている予め決まった書類のフォーマットに沿った形の書類しか発行することができず、事前にシステムを構築して定型のフォーマットを登録しなければならない、という問題があった。
【0006】
また、従来技術によれば、記入用紙が定められている場合には、手書き入力した情報を記入用紙の特定の位置に対応させて出力することが難しい、という問題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、情報記入に関するユーザの負担や誤記を減らすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、読取部と、印刷部と、媒体上の記入項目情報および記入領域を含む画像を前記読取部で読み取る読取制御部と、比較キー情報と印刷対象情報とが関連付けられた関連付け情報を記憶する記憶部と、前記関連付け情報を前記記憶部から読み出す記憶制御部と、前記読取部で読み取った画像から前記記入項目情報および前記記入領域を識別して、前記記入項目情報と一致する前記比較キー情報に関連付けられた印刷対象情報を判定する判定部と、前記判定部が判定した前記印刷対象情報を前記媒体に印刷するときの大きさを、前記判定部が識別した前記記入領域の大きさに応じて変換する変換部と、前記変換部で大きさを変換した印刷対象情報を、前記判定部で識別済みの前記記入領域と新たに前記読取部で読み取った画像との比較によって同一とみなされた前記記入領域に対して、前記印刷部で印刷させる印刷制御部と、を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、情報記入に関するユーザの負担や誤記を減らすことができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1の実施の形態の印刷システムのシステム構成を示す図である。
図2図2は、ハンディプリンタのハードウェア構成の例を示すブロック図である。
図3図3は、ハンディプリンタの機能構成の例を示すブロック図である。
図4図4は、記入項目情報および記入領域を含む媒体の例を示す図である。
図5図5は、関連付け情報の例を示す図である。
図6図6は、ハンディプリンタの制御方法を示すシーケンス図である。
図7図7は、媒体に対する識別例を示す図である。
図8図8は、媒体に対する印刷例を示す図である。
図9図9は、第2の実施の形態の印刷システムの機能構成の例を示すブロック図である。
図10図10は、情報処理装置及びクラウドのハードウェア構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、プリンタおよび印刷システムの実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
(第1の実施の形態)
[システム構成の例]
図1は、第1の実施の形態の印刷システムのシステム構成を示す図である。図1に示すように、印刷システムは、ハンディプリンタ1および情報処理装置2を有している。情報処理装置2としては、例えばスマートフォン、タブレット型端末装置、ノート型又はデスクトップ型のパーソナルコンピュータ装置等の無線通信(有線通信でもよい)が可能な電子機器を用いることができる。情報処理装置2は、印刷を行う画像の画像データをハンディプリンタ1に送信する。
【0013】
ハンディプリンタ1は、軽量小型化されたプリンタであり、図1に示すように、ユーザにより片手で把持されて用紙等の媒体P上を矢印Aで示される方向に走査されることで、情報処理装置2から受信した画像データの画像を媒体P上に印刷する。また、ハンディプリンタ1は、ユーザにより片手で把持されて用紙等の媒体P上を矢印Aで示される方向に走査されることで、媒体P上の画像を取得する。
【0014】
媒体Pは、例えば履歴書や役所の提出書類等である。なお、媒体Pの材質は紙に限られず任意でよい。また、媒体Pは、用紙の形状とは限らない。媒体Pは、用紙形状のものもあれば、厚紙、さらに厚手のもの、立体(箱やすでに中身の入っている封筒)であってもよい。
【0015】
[ハンディプリンタのハードウェア構成の例]
図2は、ハンディプリンタ1のハードウェア構成の例を示すブロック図である。
【0016】
本実施形態のハンディプリンタ1は、制御装置10、操作装置111、印刷部である印刷装置112、読取部である読取装置113、表示装置114を備える。また、制御装置10は、HostI/F(Interface)101、CPU102、ROM(Read Only Memory)103、RAM(Random Access Memory)104、記憶装置105、ネットワークI/F106を備える。
【0017】
まず、制御装置10の構成について説明する。HostI/F101は、情報処理装置2を接続するためのインターフェースである。CPU102は、ハンディプリンタ1全体の動作を制御する。ROM103は、CPU102の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM104は、CPU102のワークエリアとして利用される。
【0018】
記憶装置105は、ハンディプリンタ用のプログラムや画像データ等の各種データを記憶する。ネットワークI/F106は、インターネット等の通信ネットワークおよびゲートウェイ(中継器)を利用して、データ通信をするためのインターフェースである。
【0019】
操作装置111は、ユーザからの指示を受付けてCPU102に出力する。操作装置111は、例えば、テンキーやタッチパネル等の入力装置である。また、操作装置111は、印刷開始ボタン等のボタンも含む。
【0020】
印刷装置112は、媒体Pに画像を印刷する。本実施形態において、印刷装置112は、媒体Pに液体を吐出して画像の印刷を行うインクジェットヘッドである。なお、印刷装置112は、インクジェットヘッドに限定されない。例えば、熱によって媒体Pに印刷を行うサーマルヘッドであってもよい。
【0021】
読取装置113は、媒体Pに印刷された画像を読み取る。本実施形態において、読取装置113は、ラインスキャナとして機能するイメージセンサ等を備える読取装置である。イメージセンサとしては、例えば、一次元CCD(Charged Coupled Device)イメージセンサや一次元CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが挙げられる。読取装置113は、読み取り面に近接して設置することで、媒体Pをなぞることで画像として読み取ることが可能となる。
【0022】
なお、読取装置113は、カメラ(CCD/CMOSなどの光学カメラ)であってもよい。読取装置113としてカメラを採用した場合であっても、媒体Pをなぞることで画像として読み取ることが可能となる。ラインスキャナは読み取る面に設置する必要があるが、本実施形態のハンディプリンタ1は、印刷装置112も内蔵する必要があるため、ハンディプリンタ1内の設置性を考慮してカメラを採用するようにしてもよい。
【0023】
本実施形態において、読取装置113は、ユーザがハンディプリンタ1を走査することにより媒体Pに印刷された画像を読み取る。また、読取装置113は、ハンディプリンタ1の印刷時の移動方向において印刷装置112よりも移動方向前方側に設けられる。
【0024】
表示装置114は、ハンディプリンタ1の操作画面等を表示する。表示装置114は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示装置である。
【0025】
なお、ハンディプリンタ1のハードウェア構成は上記に限定されるものではない。例えば、ハンディプリンタ1は、座標を検知するセンサを設けて、座標と読取装置113が読取った媒体Pに印刷された画像の情報とに基づいて、再走査時の印刷装置の位置を補正できる構成としてもよい。
【0026】
本実施形態のハンディプリンタ1で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0027】
さらに、本実施形態のハンディプリンタ1で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施の形態のハンディプリンタ1で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0028】
[ハンディプリンタの機能構成の例]
次に、ハンディプリンタ1のCPU102がプログラムを読み出して実行することにより実現される機能について説明する。なお、後述する各機能ブロックの一部又は全部をソフトウェアにより実現せずに、IC(Integrated Circuit)等のハードウェアにより実現してもよい。
【0029】
図3は、ハンディプリンタ1の機能構成の例を示すブロック図である。ハンディプリンタ1は、読取制御部11、記憶制御部12、記憶部13、判定部14、変換部15、印刷制御部16、通信制御部17及び入力制御部18を備える。
【0030】
読取制御部11は、記入項目情報および記入領域を含む媒体Pを、読取装置113で読み取らせる。記入項目情報および記入領域は、判定部14による判定処理に用いられる情報である。
【0031】
図4は、記入項目情報および記入領域を含む媒体Pの例を示す図である。図4に示す履歴書の例では、記入項目情報は、例えば氏名、氏名フリガナ、住所、住所フリガナ、電話及びメール等である。記入領域は、記入項目情報に対応して設けられた領域であって、例えば申請や申込に必要な内容を記載する枠で示された領域である。
【0032】
図4に示すような履歴書および役所の提出書類などに、手書きで定型的な文字を記載することは多い。しかしながら、このような申請や申込に必要な記載内容はある程度の共通の情報に基づいて記載することができるが、そのフォーマットや必要な項目は様々である。定型のフォーマットが存在するものは登録済みのフォーマットに合わせて記入項目情報を配置して出力すればよいが、個人事業主や小規模店舗などのものでは独自のものも多いため、あらかじめフォーマットを作成登録する作業が必要となる。
【0033】
そこで、本実施形態においては、ハンディプリンタ1に搭載された読取装置113で、媒体Pの記入項目情報と記入領域とを識別する画像処理を行うとともに、媒体Pに対して記入項目情報に対応する内容を印字する際にも、認識済みの記入領域と印刷時に取り込んでいる画像とを比較して位置合わせを行いながら、媒体Pの記入領域に合わせて印字出力を行うようにしたものである。
【0034】
図3に戻り、記憶制御部12は、記憶部13からの情報の読出し制御、及び、記憶部13への情報の書き込み制御を行う。記憶部13は、例えばハンディプリンタ1の記憶装置105により実現される。なお、記憶部13は、ハンディプリンタ1と、インターネット等のネットワークを介して接続された外部装置によって実現されていてもよい。
【0035】
記憶部13は、読取制御部11により読み取られた情報、通信制御部17により受信された情報、及び、入力制御部18により入力された情報等を記憶する。
【0036】
例えば、記憶部13は、比較キー情報と印刷対象情報とが関連付けられた関連付け情報を記憶する。比較キー情報は、記入項目情報と比較されるキー情報である。印刷対象情報は、氏名、住所、生年月日、年齢、性別、電話番号、メールアドレス、の少なくとも1つを含む。なお、印刷対象情報は、文字に限るものではなく、記号、数字、画像などであってもよい。
【0037】
記憶制御部12は、比較キー情報と印刷対象情報とが関連付けられた関連付け情報を、記憶部13から読み出す。
【0038】
図5は、関連付け情報の例を示す図である。図5の例では、例えば比較キー情報“氏名”には、印刷対象情報“山田太郎”が関連付けられている。また、図5の例では、例えば比較キー情報“氏名フリガナ”には、印刷対象情報“ヤマダタロウ”が関連付けられている。
【0039】
図3に戻り、判定部14は、記入項目情報と比較キー情報とが一致するか否かを判定する。また、判定部14は、記入領域を判定する。
【0040】
変換部15は、記入項目情報と一致する比較キー情報に関連付けられた印刷対象情報を媒体Pに印刷するときの大きさを、媒体P上の記入領域の大きさに応じて変換する。
【0041】
印刷制御部16は、記入項目情報と一致する比較キー情報に関連付けられた印刷対象情報を、媒体Pに印刷装置112で印刷させる。
【0042】
通信制御部17は、比較キー情報、及び、比較キー情報に関連付ける印刷対象情報の少なくとも一方を受信する。
【0043】
入力制御部18は、比較キー情報の入力、及び、比較キー情報に関連付ける印刷対象情報の入力の少なくとも一方を受け付ける。なお、入力制御部18は、ハンディプリンタ1本体に備えられた操作装置111等から入力を受け付けてもよいし、ハンディプリンタ1に接続された情報処理装置2等から入力を受け付けてもよい。
【0044】
ハンディプリンタ1は、通信制御部17又は入力制御部18によってユーザから比較キー情報及び印刷対象情報を受け付けることができる。
【0045】
なお、ハンディプリンタ1は、例えばURLやファイルパス等の保存先情報を本体内の記憶部13に記憶しておき、当該保存先情報によって特定される保存先(クラウド等の本体外)に印刷対象情報を記憶しておいてもよい。すなわち、印刷対象情報そのものは本体外に記憶されており、その保存先情報と、比較キー情報とが関連づけられた関連付け情報が記憶部13に記憶されていてもよい。
【0046】
なお、ハンディプリンタ1は、比較キー情報と印刷対象情報とが関連付けられた関連付け情報を読み込む情報読込部を備えるようにしてもよい。セキュリティまたは個人情報の観点により、ハンディプリンタ1の記憶部13、または保存先(クラウド等の本体外)に関連付け情報を保存したくない場合がある。この場合、関連付け情報をIDカードやUSBメモリのような記憶部である記憶媒体で保存および携帯し、記憶媒体をハンディプリンタ1の情報読込部に読み込ませることで、関連付け情報に基づいて出力データを作成することができる。なお、情報読込部は、利便性を考えるとNFCカードをかざして関連付け情報を読み込む形が好ましい。
【0047】
[ハンディプリンタの制御方法の例]
次に、ハンディプリンタ1の制御方法について説明する。
【0048】
図6は、ハンディプリンタ1の制御方法を示すシーケンス図である。はじめに、入力制御部18が、印刷対象情報の事前情報入力を受け付ける(ステップS1)。具体的には、入力制御部18は、事前情報入力として、例えば氏名、氏名フリガナ、住所、住所フリガナ、電話及びメールなどの比較キー情報と、対応する印刷対象情報と、を受け付ける。
【0049】
印刷対象情報は、氏名、住所、生年月日、年齢、性別、電話番号、メールアドレス、の少なくとも1つを含む。本実施形態においては、あらかじめ記憶している印刷対象情報から媒体Pに記載が必要な情報(印刷内容)を取り出して、該当する記入領域に印刷出力する。
【0050】
次に、入力制御部18は、ステップS1の処理により受け付けられた印刷対象情報を記憶部13に保存する(ステップS2)。具体的には、入力制御部18が、印刷対象情報を記憶制御部12に入力し、記憶制御部12が、印刷対象情報を比較キー情報に関連付けて、関連付け情報として記憶部13に記憶する。
【0051】
次に、読取制御部11が、媒体Pの所定の記入項目情報および記入領域をハンディプリンタ1でなぞるユーザの走査動作に応じて、媒体Pの情報記入が必要な記入項目情報および記入領域を読取装置113で読み取らせる(ステップS3)。
【0052】
次に、読取制御部11は、ステップS3の処理により読み取られたスキャンデータを判定する判定依頼を判定部14に入力する(ステップS4)。ここで、図7は媒体Pに対する識別例を示す図である。図7は、“氏名”および“氏名フリガナ”を記入項目情報として識別するとともに、その記入領域が識別された例である。
【0053】
次に、判定部14が、記憶部13から関連付け情報を取得する(ステップS5)。
【0054】
次に、判定部14は、ステップS3の処理により読み取られたスキャンデータと、ステップS5の処理により取得された関連付け情報とを比較照合し、印刷対象情報を選択する(ステップS6)。具体的には、判定部14は、スキャンデータから文字列を識別し、スキャンデータに含まれる記入項目情報を取得する。判定部14は、スキャンデータに含まれる記入項目情報と、関連付け情報に含まれる比較キー情報とが一致する場合、当該比較キー情報に関連付けられた印刷対象情報を選択する。
【0055】
併せて、判定部14は、ステップS3の処理により読み取られたスキャンデータから枠線および空欄を認識する周知の画像処理によって記入領域を識別する(ステップS6)。
【0056】
また、判定部14は、印刷対象情報を媒体Pに印刷するときの文字の大きさを、識別した記入領域の大きさに応じて決定する(ステップS6)。例えば、判定部14は、印刷対象情報の文字数に応じて、スキャンデータに含まれる記入領域に記入可能な文字のポイントサイズを計算し、印刷対象情報の文字の大きさを決定する。
【0057】
なお、ステップS6の比較照合の処理では、判定部14は、スキャンデータを文字認識して文字情報にしてから比較照合をしたが、画像として比較照合してもよい。また、印刷対象情報を媒体Pに印刷するときの文字の大きさは、ユーザが予めハンディプリンタ1に登録できるようにしておいてもよい。
【0058】
次に、判定部14は、印刷対象情報を媒体Pに印刷するときの大きさの変換依頼を変換部15に入力する(ステップS7)。
【0059】
次に、変換部15が、ステップS7の処理によって入力された変換依頼に応じて、印刷対象情報について、媒体Pに印刷するときの文字の大きさに変換する(ステップS8)。
【0060】
次に、ステップS3と同一の媒体Pの所定の記入項目および記入領域をハンディプリンタ1でなぞるユーザの走査動作に従い(ステップS9)、変換部15は、媒体Pの情報記入が必要な記入項目情報および記入領域を読取装置113で読み取らせたことを条件として(ステップS10)、印刷対象情報を印刷する印刷依頼を、印刷制御部16に入力する(ステップS11)。
【0061】
続いて、印刷制御部16が、ステップS11の処理により入力された印刷依頼に応じて、印刷対象情報を媒体Pに印刷装置112で印刷させる(ステップS12)。なお、印刷制御部16は、ステップS9で読み取ったスキャンデータとステップS6で識別済みの記入領域との比較によって同一とみなされる媒体Pの記入領域の位置を判別し、特定のマーク(本実施形態においては、縦線)の直後から、印刷対象情報の印刷を開始する。
【0062】
ここで、図8は媒体Pに対する印刷例を示す図である。図8は、“氏名”および“氏名フリガナ”を印刷対象情報として、媒体Pの記入領域に印刷した例である。
【0063】
ステップS3~S12の処理を媒体Pの全体に繰り返して行うことで、媒体P全体の記入領域が自動的に埋められる。
【0064】
以上、説明したように、第1実施形態のハンディプリンタ1では、読取制御部11が、記入項目情報および記入領域を含む媒体Pを読取装置113で読み取らせる。記憶制御部12が、比較キー情報と印刷対象情報とが関連付けられた関連付け情報を、記憶部13から読み出す。そして、印刷制御部16が、記入項目情報と一致する比較キー情報に関連付けられた印刷対象情報を、識別した記入領域に応じて大きさを決定し、媒体Pに印刷装置112で印刷させる。
【0065】
このように本実施形態によれば、ハンディプリンタ1に搭載された読取装置113で、媒体Pの記入項目と記入領域を識別する処理を、画像処理を用いて行い、媒体Pに記入内容を印字する際にも、識別済みの記入領域と印刷時に同時に読取装置113で取り込んでいる画像とを比較して位置合わせを行いながら、媒体Pの記入領域の大きさに合わせて印字出力を行うことで、記入を自動化することができる。これにより、窓口での申請書類、郵便、宅配便の伝票などへの情報記入に関するユーザの負担や誤記を減らすことができる。
【0066】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同様の説明については省略し、第1の実施の形態と異なる箇所について説明する。第2の実施の形態では、複数の装置を組み合わせて、第1の実施の形態と同様の機能を実現する場合について説明する。
【0067】
[機能構成の例]
図9は、第2の実施の形態の印刷システム100の機能構成の例を示すブロック図である。本実施形態の印刷システム100は、ハンディプリンタ1、情報処理装置2、クラウド3及びゲートウェイ4を備える。情報処理装置2、クラウド3及びゲートウェイ4は、外部装置である。ゲートウェイ4は、ネットワークを中継する機器である。ハンディプリンタ1および情報処理装置2は、ゲートウェイ4を介してクラウド3との間でデータをやりとりする。
【0068】
印刷システム100は、ハンディプリンタ1、情報処理装置2及びクラウド3を備える。ハンディプリンタ1は、読取制御部11、印刷制御部16及び通信制御部17を備える。情報処理装置2は入力制御部21を備える。クラウド3は、記憶制御部31、記憶部32、通信制御部33、判定部34及び変換部35を備える。クラウド3は、例えばネットワーク上の1以上のサーバ装置によって実現される。
【0069】
第2の実施の形態では、情報処理装置2の入力制御部21が、事前情報の入力(上述のステップS1)で関連付け情報(図5参照)を受け付け、当該関連付け情報をクラウド3に送信する。クラウド3の記憶制御部31は、情報処理装置2から関連付け情報を受け付けると、当該関連付け情報を記憶部32に記憶する。すなわち、第2の実施の形態では、関連付け情報がクラウド3上の記憶部32に保存される。なお、関連付け情報は、情報処理装置2上の記憶部32に保存されるものであってもよい。
【0070】
また、入力制御部21は、URLやファイルパス等の保存先情報をハンディプリンタ1に通知する。例えば、各種のカードなどに付されたユーザを特定する情報であるIDに保存先情報を紐づけることで、ハンディプリンタ1は、ユーザに紐づいた関連付け情報を簡単に取得することができる。
【0071】
ハンディプリンタ1の読取制御部11は、印刷対象情報を印刷する場所の前から、媒体Pを走査し、スキャンデータを取得する。加えて、ハンディプリンタ1の読取制御部11は、ユーザを特定するIDを付したカードなどを走査して読取装置113で読み取らせ、スキャンデータを取得する。読取制御部11は、スキャンデータを通信制御部17に入力する。通信制御部17は、読取制御部11からスキャンデータを受け付けると、当該スキャンデータをクラウド3に送信する。
【0072】
なお、ハンディプリンタ1の読取制御部11は、ユーザを特定するIDを付したカードなどを読取装置113で走査した結果のスキャンデータからユーザを特定するIDを取得するようにしたが、これに限るものではなく、ユーザを特定するIDを読み込む装置(例えば、カードリーダなど)を、読取装置113とは別に備えるようにしてもよい。
【0073】
クラウド3の通信制御部33は、ハンディプリンタ1からスキャンデータを受け付けると、当該スキャンデータを判定部34に入力する。判定部34は、スキャンデータに含まれるユーザを特定するIDに基づいて、スキャンデータと、記憶部32の関連付け情報とを比較照合し、印刷対象情報(例えば文字列等)を選択し、記入領域を識別し、当該印刷対象情報の大きさ(例えば文字列の場合はフォントサイズ等)を記入領域に応じて決定する。これにより、ユーザを特定し、そのユーザに紐づく関連付け情報を簡単に取得することができる。
【0074】
印刷対象情報(例えば文字列等)の選択、記入領域の識別などは、処理能力を必要とする(より多くの電力を必要とする)ため、クラウド3側で行うのが好ましい。
【0075】
判定部34は、印刷対象情報及び当該印刷対象情報の大きさを含む変換依頼を変換部35に入力する。変換部35は、判定部34から変換依頼を受け付けると、当該変換依頼に基づき、印刷対象情報を媒体Pに印刷するときの大きさを変換し、大きさが変換された印刷対象情報を通信制御部33に入力する。
【0076】
通信制御部33は、変換部35から印刷対象情報を受け付けると、当該印刷対象情報をハンディプリンタ1に送信する。
【0077】
ハンディプリンタ1の通信制御部17は、クラウド3から印刷対象情報を受信すると、当該印刷対象情報を印刷制御部16に入力する。印刷制御部16は、通信制御部17から印刷対象情報を受け付けると、同一の媒体Pの情報記入が必要な記入項目情報および記入領域を読取装置113で読み取らせたことを条件として、当該印刷対象情報を媒体Pに印刷装置112で印刷させる。
【0078】
このように、第1の実施の形態ではハンディプリンタ1によって実現されていた一部の機能は、情報処理装置2やクラウド3によって実現されていてもよい。
【0079】
[ハードウェア構成の例]
図10は、情報処理装置2及びクラウド3のハードウェア構成の例を示す図である。情報処理装置2及びクラウド3のハードウェア構成は同様のため、以下の説明ではクラウド3を実現するコンピュータの場合を例にして説明する。なお、ゲートウェイ4のハードウェア構成も、情報処理装置2及びクラウド3のハードウェア構成と同様である。
【0080】
クラウド3は、制御装置301、主記憶装置302、補助記憶装置303、表示装置304、入力装置305及び通信装置306を備える。制御装置301、主記憶装置302、補助記憶装置303、表示装置304、入力装置305及び通信装置306は、バス310を介して接続されている。
【0081】
制御装置301は、補助記憶装置303から主記憶装置302に読み出されたプログラムを実行する。主記憶装置302は、ROM、及び、RAM等のメモリである。補助記憶装置303は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、及び、メモリカード等である。
【0082】
表示装置304は表示情報を表示する。表示装置304は、例えば液晶ディスプレイ等である。入力装置305は、コンピュータを操作するためのインターフェースである。入力装置305は、例えばキーボードやマウス等である。コンピュータがスマートフォン及びタブレット型端末等のスマートデバイスの場合、表示装置304及び入力装置305は、例えばタッチパネルである。通信装置306は、他の装置と通信するためのインターフェースである。
【0083】
コンピュータで実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、メモリカード、CD-R及びDVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録されてコンピュータ・プログラム・プロダクトとして提供される。
【0084】
またコンピュータで実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。またコンピュータで実行されるプログラムをダウンロードさせずにインターネット等のネットワーク経由で提供するように構成してもよい。
【0085】
またコンピュータで実行されるプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0086】
コンピュータで実行されるプログラムは、上述のクラウド3の機能構成(機能ブロック)のうち、プログラムによっても実現可能な機能ブロックを含むモジュール構成となっている。当該各機能ブロックは、実際のハードウェアとしては、制御装置301が記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより、上記各機能ブロックが主記憶装置302上にロードされる。すなわち上記各機能ブロックは主記憶装置302上に生成される。
【0087】
なお上述した各機能ブロックの一部又は全部をソフトウェアにより実現せずに、IC(Integrated Circuit)等のハードウェアにより実現してもよい。
【0088】
また複数のプロセッサを用いて各機能を実現する場合、各プロセッサは、各機能のうち1つを実現してもよいし、各機能のうち2つ以上を実現してもよい。
【0089】
このように本実施形態によれば、情報処理装置2及びクラウド3で必要な情報を処理することで、ハンディプリンタ1自体に多くのリソース(CPUパワーや記憶容量)がなくても処理が可能になる。
【0090】
なお、本実施形態においては、ハンディプリンタ1によって実現されていた一部の機能を、情報処理装置2やクラウド3によって実現するようにしたが、これに限るものではなく、ネットワークを中継する機器であるゲートウェイによってクラウド3側の処理を実現するようにしてもよい。このようにゲートウェイ側で必要な情報を処理することで、ハンディプリンタ1自体に多くのリソース(CPUパワーや記憶容量)がなくても処理が可能になる。また、すべてをクラウド3側に上げて処理するよりもレスポンスや通信量の負荷が低くて済むことになる。
【符号の説明】
【0091】
1 プリンタ
2,3,4 外部装置
11 読取制御部
12 記憶制御部
13 記憶部
14 判定部
15 変換部
16 印刷制御部
100 印刷システム
112 印刷部
113 読取部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0092】
【特許文献1】特開平10-006602号公報
【特許文献2】特開2017-130867号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10