(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061376
(43)【公開日】2023-05-01
(54)【発明の名称】偏光板及びこれを含む光学表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20230424BHJP
G02B 1/10 20150101ALI20230424BHJP
G02B 5/02 20060101ALI20230424BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
G02B5/30
G02B1/10
G02B5/02
G02F1/1335 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164257
(22)【出願日】2022-10-12
(31)【優先権主張番号】10-2021-0139326
(32)【優先日】2021-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0109546
(32)【優先日】2022-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ホン, ヒョン ア
(72)【発明者】
【氏名】リ, デ ギュ
(72)【発明者】
【氏名】ソ, ジン ア
(72)【発明者】
【氏名】チョ, ジャン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】リ, ウン ファ
【テーマコード(参考)】
2H042
2H149
2H291
2K009
【Fターム(参考)】
2H042BA02
2H042BA12
2H042BA14
2H042BA15
2H042BA20
2H149AB05
2H149AB23
2H149AB26
2H149BA02
2H149CA02
2H149DA02
2H149EA02
2H149EA12
2H149EA19
2H149FA03W
2H149FA05X
2H149FA12X
2H149FA66
2H149FC01
2H149FC02
2H149FC03
2H149FC05
2H149FC06
2H149FD05
2H291FA22X
2H291FA22Z
2H291FA59X
2H291FA59Z
2H291FA94X
2H291FA94Z
2H291FB02
2H291FB12
2H291FB13
2H291FC33
2H291FD03
2H291FD10
2H291HA05
2H291LA24
2K009AA12
2K009CC02
2K009CC03
2K009CC42
(57)【要約】
【課題】光学パターン又は光学パターンを含むパターン層を含まない場合にも、明暗比及び/又は輝度を改善する偏光板を提供する。
【解決手段】偏光子、及び偏光子の光出射面に積層された光学機能性層及び第1保護層、を含み、光学機能性層は、樹脂層、及び針状形マイクロ粒子、を含み、樹脂層は、活性エネルギー線硬化型樹脂を含む組成物で形成され、光学機能性層の面内方向において、針状形マイクロ粒子は配向されており、偏光子の光吸収軸を0゜としたとき、偏光子の光吸収軸に対する針状形マイクロ粒子の長手方向の配向角度の平均値は-10゜から+10゜で、配向角度の標準偏差は15゜以下である偏光板を構成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光子、及び前記偏光子の光出射面に積層された光学機能性層及び第1保護層、を含み、
前記光学機能性層は、樹脂層、及び針状形マイクロ粒子、を含み、
前記樹脂層は、活性エネルギー線硬化型樹脂を含む組成物で形成され、
前記光学機能性層の面内方向において、前記針状形マイクロ粒子は配向され、前記偏光子の光吸収軸を0゜としたとき、前記偏光子の光吸収軸に対する前記針状形マイクロ粒子の長手方向の配向角度の平均値は-10゜から+10゜で、前記配向角度の標準偏差は15゜以下である、偏光板。
【請求項2】
前記偏光板は、前記偏光子から前記光学機能性層及び前記第1保護層の順に積層される、又は前記偏光子から前記第1保護層及び前記光学機能性層の順に積層されたものである、請求項1に記載の偏光板。
【請求項3】
前記光学機能性層は明暗比改善層である、請求項1に記載の偏光板。
【請求項4】
前記光学機能性層の上部面及び下部面は、それぞれ全体的に平面である、請求項1に記載の偏光板。
【請求項5】
前記光学機能性層は、インデンテーションモジュラスが2.0×103MPaから3.5×103MPaである、請求項1に記載の偏光板。
【請求項6】
前記針状形マイクロ粒子は、前記樹脂層内に含浸されて含まれている、請求項1に記載の偏光板。
【請求項7】
前記針状形マイクロ粒子は、前記樹脂層に比べて屈折率が高い、請求項1に記載の偏光板。
【請求項8】
前記針状形マイクロ粒子と樹脂層との間の屈折率差は0.8以下である、請求項7に記載の偏光板。
【請求項9】
前記組成物は、活性エネルギー線硬化型組成物である、請求項1に記載の偏光板。
【請求項10】
前記組成物は、光開始剤、及び多官能性モノマーのうち1種以上をさらに含む、請求項9に記載の偏光板。
【請求項11】
前記針状形マイクロ粒子は、前記光学機能性層のうち1重量%から30重量%で含まれる、請求項1に記載の偏光板。
【請求項12】
前記針状形マイクロ粒子は、前記樹脂層に比べて屈折率が高い、請求項1に記載の偏光板。
【請求項13】
前記針状形マイクロ粒子は、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、ベーマイト(Boehmite)、ホウ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸マグネシウム水和物、チタン酸カリウム、ガラス、及び合成樹脂のうち1種以上で形成された粒子を含む、請求項1に記載の偏光板。
【請求項14】
前記針状形マイクロ粒子の表面は改質される、請求項1に記載の偏光板。
【請求項15】
前記針状形マイクロ粒子は、長さLが10μmから30μmで、直径Dが0.5μmから2μmで、平均アスペクト比が5から60である、請求項1に記載の偏光板。
【請求項16】
前記第1保護層は、波長550nmでの面内位相差が4000nm以上である、請求項1に記載の偏光板。
【請求項17】
前記第1保護層の上部面又は下部面には機能性コーティング層がさらに積層される、請求項1に記載の偏光板。
【請求項18】
前記機能性コーティング層は、ハードコーティング層、散乱層、低反射層、極低反射層、プライマー層、耐指紋性層、反射防止層、及びアンチグレア層のうち1種以上を含む、請求項17に記載の偏光板。
【請求項19】
請求項1乃至請求項18のいずれか1項の偏光板を含む光学表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光板及びこれを含む光学表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、バックライトユニットから出る光が光源側偏光板、液晶パネル、及び視認側偏光板の順に透過することによって作動する。光源から出射される光は、バックライトユニットを通過しながら拡散されて出射された後、光源側偏光板に入射する。よって、光源側偏光板、液晶パネル、及び視認側偏光板を通過しながら、正面から側面に行くほど明暗比が減少するという問題がある。
【0003】
視認側偏光板に明暗比又は視認性改善層を含ませ、正面及び側面での明暗比又は視認性を改善する方法が検討されている。明暗比又は視認性改善層は、所定の陽刻又は陰刻の光学パターンを低屈折層と高屈折層の界面に備えることによって、光が透過するとき、パターンで屈折されて出射されることによって明暗比及び視認性を改善する。
【0004】
しかし、パターンを備える明暗比又は視認性改善層は、パターン製造過程を必須的に含む。また、低屈折層と高屈折層の2個の層を必ず含まなければならない。パターン製造工程には、パターンロールに特定のピッチを有するパターンを刻印した後、これをフィルムに転写するハードモールディング(hard molding)方式及びソフトモールディング(soft molding)方式が使用されている。ところが、パターン製造工程中にパターンロールに微細な不良が発生すると、転写されるフィルムに即時に不良が反映され、製品化が困難になり得る。よって、偏光板の製造を複雑にし、追加の費用がかかり、偏光板が厚くなるおそれがある。
【0005】
一方、近年、フレキシブル光学表示装置に対する関心が集まっていることから、偏光板も柔軟性を実現できるようにする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国公開特許第2018-0047569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、光学パターン又は光学パターンを含むパターン層を含まなくても、明暗比及び/又は輝度を改善することができる偏光板を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、光学パターン又はパターン層を含まないので、偏光板の製造工程を改善することができ、薄型化した偏光板を提供することにある。
【0009】
本発明の更に他の目的は、硬度及び柔軟性に優れた光学機能性層を備える偏光板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態は偏光板に関する。
【0011】
1.偏光板は、偏光子、及び偏光子の光出射面に積層された光学機能性層及び第1保護層を含み、光学機能性層は、樹脂層、及び針状形マイクロ粒子、を含み、樹脂層は、活性エネルギー線硬化型樹脂を含む組成物で形成され、針状形マイクロ粒子は、光学機能性層の面内方向において配向され、偏光子の光吸収軸を0゜としたとき、偏光子の光吸収軸に対する針状形マイクロ粒子の長手方向の配向角度の平均値は-10゜から+10゜で、配向角度の標準偏差は15゜以下である。
【0012】
2.1において、偏光板は、偏光子から光学機能性層及び第1保護層の順に積層される、又は偏光子から第1保護層及び光学機能性層の順に積層されたものであってもよい。
【0013】
3.1または2において、光学機能性層は明暗比改善層であってもよい。
【0014】
4.1から3において、光学機能性層の上部面及び下部面は、それぞれ全体的に平面であってもよい。
【0015】
5.1から4において、光学機能性層は、インデンテーションモジュラスが2.0×103MPaから3.5×103MPaであってもよい。
【0016】
6.1から5において、針状形マイクロ粒子は、樹脂層内に含浸されて含まれていてもよい。
【0017】
7.1から6において、針状形マイクロ粒子は、樹脂層に比べて屈折率が高くてもよい。
【0018】
8.1から7において、針状形マイクロ粒子と樹脂層との間の屈折率差は0.8以下であってもよい。
【0019】
9.1から8において、組成物は、活性エネルギー線硬化型組成物であってもよい。
【0020】
10.9において、組成物は、光開始剤、及び多官能性モノマーのうち1種以上をさらに含んでもよい。
【0021】
11.1から10において、針状形マイクロ粒子は、光学機能性層中に1重量%から30重量%含まれてもよい。
【0022】
12.1から11において、針状形マイクロ粒子は、樹脂層に比べて屈折率が高くてもよい。
【0023】
13.1から12において、針状形マイクロ粒子は、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、ベーマイト(Boehmite)、ホウ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸マグネシウム水和物、チタン酸カリウム、ガラス、及び合成樹脂のうち1種以上で形成される粒子を含んでもよい。
【0024】
14.1から13において、針状形マイクロ粒子の表面は改質されてもよい。
【0025】
15.1から14において、針状形マイクロ粒子は、長さLが10μmから30μmで、直径Dが0.5μmから2μmで、平均アスペクト比が5から60であってもよい。
【0026】
16.1から15において、第1保護層は、波長550nmでの面内位相差が4000nm以上であってもよい。
【0027】
17.1から16において、第1保護層の上部面又は下部面には機能性コーティング層がさらに積層されてもよい。
【0028】
18.17において、機能性コーティング層は、ハードコーティング層、散乱層、低反射層、極低反射層、プライマー層、耐指紋性層、反射防止層、及びアンチグレア層のうち1種以上を含んでもよい。
【0029】
本発明の他の実施形態は光学表示装置に関する。
【0030】
該光学表示装置は、本発明の偏光板を含む。
【発明の効果】
【0031】
本発明の一実施形態によると、光学パターン又は光学パターンを含むパターン層を含まなくても、明暗比及び/又は輝度を改善することができる偏光板を提供することができる。
【0032】
本発明の一実施形態によると、光学パターン又はパターン層を含まないので、偏光板の製造工程を改善することができ、薄型化した偏光板を提供することができる。
【0033】
本発明の一実施形態によると、硬度及び柔軟性に優れた光学機能性層を備える偏光板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の一実施形態に係る偏光板の断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る針状形マイクロ粒子のTEM写真である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る針状形マイクロ粒子の長手方向の概略的断面図である。
【
図4】偏光子の光吸収軸を90゜としたときの、本発明の一実施形態に係る光学機能性層の針状形マイクロ粒子の配向角度の分布を示す図である。
【
図5A】本発明の一実施形態に係る光学機能性層の針状形マイクロ粒子の配向状態を示す図である。
【
図5B】本発明の一実施形態に係る偏光子の光吸収軸を90゜としたときの、針状形マイクロ粒子の角度の実際の測定結果を示す図である。
【
図6】本発明の他の実施形態に係る偏光板の断面図である。
【
図7】本発明の更に他の実施形態に係る偏光板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
添付の図面を参照して、実施形態に対して本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は、様々の異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0036】
図面において、本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、明細書全体にわたって同一又は類似する構成要素に対しては同一の符号を付した。
【0037】
本明細書において、「上部」と「下部」は、図面における垂直方向を基準にして定義したものであり、視る角度によって「上部」が「下部」に、「下部」が「上部」に変更されてもよく、「上(on)」と称されるものは、直上のみならず、間に他の構造を介在した場合も含むことができる。その一方で、「直接上(directly on)」、「直上」、「直接的に形成」又は「直接接して形成」と称されるものは、中間に他の構造を介在しないことを意味する。
【0038】
本明細書において、「面内方向の位相差(Re)」は、波長550nmでの値であり、下記の式Aで表される。
【0039】
<式A>
Re=(nx-ny)×d
(式Aにおいて、nx、nyは、波長550nmにおける保護層の遅相軸(slow axis)方向、進相軸(fast axis)方向の屈折率で、dは、保護層の厚さ(単位:nm)である。)
【0040】
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及び/又はメタクリルを意味する。
【0041】
本明細書において、「屈折率」は、波長380nmから780nm、具体的には550nmで測定された値であってもよい。
【0042】
本明細書において、光学機能性層の「モジュラス」は、インデンテーションモジュラス(indentation modulus)である。具体的には、インデンテーションモジュラスは、光学機能性層に対して押す力F=20mN/10sec、25℃でマイクロインデンターを用いて光学機能性層の一面を押したときに測定される値である。モジュラスは、下記で説明した実施例での方法によって測定され得る。
【0043】
本明細書において、数値範囲の記載時、「XからY」は、「X≦そして≦Y」を意味する。
【0044】
本発明の発明者は、光学パターン又は光学パターンを含むパターン層を含まなくても、正面及び側面での明暗比及び/又は輝度を改善することができる偏光板を提供する。本発明の一実施形態に係る偏光板は、光学パターン又はパターン層を含まないので、偏光板の製造工程を改善することができ、薄型化した偏光板を提供する。本発明の一実施形態に係る偏光板は、硬度及び柔軟性に優れた光学機能性層を備えることによって、フォルダブル(foldable)又はフレキシブル(flexible)光学表示装置に使用され得る。
【0045】
本発明の一実施形態に係る偏光板は、偏光子、及び偏光子の光出射面に積層された光学機能性層及び第1保護層、を含み、光学機能性層は、樹脂層、及び針状形マイクロ粒子、を含み、樹脂層は、活性エネルギー線硬化型樹脂を含む組成物で形成され、針状形マイクロ粒子は、光学機能性層の面内方向において配向され、偏光子の光吸収軸を0゜としたとき、偏光子の光吸収軸に対する針状形マイクロ粒子の長手方向の配向角度の平均値は-10゜から+10゜で、配向角度の標準偏差は15゜以下である。
【0046】
以下、本発明の一実施形態に係る偏光板を
図1、
図6及び
図7を参考にして説明する。
【0047】
図1、
図6及び
図7を参照すると、偏光板は、偏光子10、光学機能性層20、 第1保護層30、及び第2保護層40を含んでもよい。
【0048】
偏光子10の一面、特に偏光子10の上部面は、偏光板を光学表示装置に適用させたとき、偏光子に対する内部光の光出射面になってもよい。よって、光学機能性層20及び第1保護層30は、偏光子10に対する内部光の光出射面に積層されてもよい。しかし、本発明はこれに限定されず、光学機能性層20は、偏光子10の内部光に対する光入射面に積層されてもよい。
【0049】
好ましくは、光学機能性層20及び第1保護層30は、偏光子に対する内部光の光出射面に積層されてもよく、この場合、本発明の効果がさらによく実現され得る。「内部光」は、バックライトユニットなどの光源から出射され、偏光子を介して出射される光を意味する。
【0050】
一実施形態において、偏光子10の光出射面には、偏光子10から光学機能性層20及び第1保護層30が順次積層されてもよい。
【0051】
他の実施形態において、偏光子10の光出射面には、偏光子10から第1保護層30及び光学機能性層20が順次積層されてもよい。
【0052】
[光学機能性層]
光学機能性層20は、偏光板に含まれ、明暗比及び/又は輝度改善層として機能してもよい。好ましくは、光学機能性層20は、明暗比改善層として機能してもよい。
【0053】
図1を参照すると、光学機能性層20は、偏光子10と第1保護層30との間に積層されてもよい。しかし、光学機能性層20の偏光板の位置は変更されてもよく、これに関しては、下記で詳細に説明する。
【0054】
光学機能性層20の上部面、すなわち、光学機能性層20の光出射面、及び下部面、すなわち、光入射面は、それぞれ
図1に示すように、全体的に平面であり、パターン化されていない。光学機能性層20は、下記で説明する針状形マイクロ粒子を含有し、針状形マイクロ粒子のうち少なくとも1個は、光学機能性層の面内方向において、針状形マイクロ粒子の長手方向が偏光子の光吸収軸に対して配向角度-10゜から+10゜で配向されて整列され、配向角度の標準偏差は15゜以下である。このため、偏光板の正面及び側面での明暗比及び/又は輝度を改善することができる。よって、本発明の一実施形態は、光学パターン又はパターン層を含まないので、偏光板の製造工程を改善することができ、薄型化した偏光板を提供することができる。
【0055】
図2は、本発明の一実施形態で使用された針状形マイクロ粒子のTEM写真である。
図2を参照すると、針状形マイクロ粒子は、所定の断面及び長さを有する針状形の粒子である。
図3を参照して、針状形マイクロ粒子を詳細に説明する。
【0056】
図3を参照すると、針状形マイクロ粒子は、長さL及び所定の直径Dを有し、直径Dが長さL全体で均一でなく、その代わりに、針状形マイクロ粒子の両末端に行くほど直径Dが減少する形状の粒子であってもよい。厚さが非均質性の針状形マイクロ粒子が光学的異方性を示すことによって、偏光子から入射する光は、針状形マイクロ粒子を通過するとき、互いに異なる方向に出射されてもよい。
【0057】
図3は、針状形マイクロ粒子の直径が両末端に行くほど減少する場合を示した図である。しかし、針状形マイクロ粒子の製造方法によっては、一端側では直径が均一であり、一端とは反対側の他端でのみ直径が減少する場合もある。
【0058】
針状形マイクロ粒子は、長さがマイクロメートル単位の値を有する粒子を意味してもよい。針状形マイクロ粒子において、長さLは、マイクロメートル単位の値を有する。ここで、「マイクロメートル単位の値」は、長さLが最小1μm以上であることを意味する。これは、本発明の一実施形態において、針状形マイクロ粒子の配向が容易であり、明暗比及び輝度の改善に役立つ。長さLがナノメートル単位の値を有する針状形ナノ粒子は、本発明の一実施形態において配向自体が容易でないので、本発明の効果を得ることが容易ではない。
【0059】
針状形マイクロ粒子の長さLは、好ましくは、10μmから30μm、具体的には、10μm、11μm、12μm、13μm、14μm、15μm、16μm、17μm、18μm、19μm、20μm、21μm、22μm、23μm、24μm、25μm、26μm、27μm、28μm、29μm、30μm、好ましくは15μmから28μmであってもよい。針状形マイクロ粒子の長さLが上記範囲であると、本発明の一実施形態における針状形マイクロ粒子の配向が容易であり、明暗比及び輝度の改善に役立つ。
【0060】
針状形マイクロ粒子の直径Dは、0.5μmから2μm、具体的には、0.5μm、0.6μm、0.7μm、0.8μm、0.9μm、1μm、1.1μm、1.2μm、1.3μm、1.4μm、1.5μm、1.6μm、1.7μm、1.8μm、1.9μm、2μm、好ましくは1μmから2μmであってもよい。針状形マイクロ粒子の直径Dは上記範囲であると、アスペクト比が増加し、側面拡散効果を奏し得る。
【0061】
針状形マイクロ粒子は、平均アスペクト比が5から60であってもよい。針状形マイクロ粒子の平均アスペクト比が上記範囲であると、本発明の一実施形態に係る偏光板の明暗比及び輝度を改善することができる。針状形マイクロ粒子の平均アスペクト比は、具体的には、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、好ましくは10から50、さらに好ましくは10から18であってもよい。
【0062】
ここで、「平均アスペクト比」は、針状形マイクロ粒子のそれぞれに対して測定されたアスペクト比の平均値を意味し、「アスペクト比」は、針状形マイクロ粒子の最大直径に対する長手方向の長さの比を意味する。
【0063】
光学機能性層の面内方向において針状形マイクロ粒子が配向されており、偏光子の光吸収軸を0゜としたとき、偏光子の光吸収軸に対する針状形マイクロ粒子の長手方向の配向角度の平均値は-10゜から+10゜で、配向角度の標準偏差は15゜以下である。
【0064】
光学機能性層の面内方向において、針状形マイクロ粒子は、所定の配向角度で配向されている。ここで、「配向角度」は、偏光子の光吸収軸を0゜としたとき、針状形マイクロ粒子の長手方向がなす角度を意味する。球形粒子は、長手方向自体がないので、配向角度が存在しない。
【0065】
本発明は、針状形マイクロ粒子の配向角度の平均値が-10゜から+10゜でありながら、配向角度の標準偏差を15゜以下にすることによって、偏光子から入射する光が針状形マイクロ粒子を通過するとき、互いに異なる方向に出射される。このため、偏光板の正面と側面での明暗比及び輝度を改善することができる。偏光子の光吸収軸は、偏光子のMD(machine direction)であってもよい。
【0066】
配向角度の平均値及び標準偏差は、
図4及び
図5を参照して説明する。
【0067】
図4は、基準に対して偏光子の光吸収軸を90゜としたとき、基準に対して針状形マイクロ粒子の長手方向がなす角度の分布を示す概略図で、
図5Aは、本発明の一実施形態に係る光学機能性層の針状形マイクロ粒子の配向状態を示し、
図5Bは、本発明の一実施形態に係る光学機能性層に対して実際に測定された針状形マイクロ粒子の配向角度の分布を示す結果である。針状形マイクロ粒子の角度の平均値を求めた後、得られた平均値から90゜を差し引いた値が本発明の一実施形態針状形マイクロ粒子の配向角度の平均値である。例えば、計算された平均値が80゜の場合、配向角度の平均値は-10゜で、計算された平均値が100゜の場合、配向角度の平均値は+10゜である。標準偏差は、分布を通じて通常の方法で計算して得ることができる。
【0068】
針状形マイクロ粒子の配向角度の平均値は、具体的には、-10゜、-9゜、-8゜、-7゜、-6゜、-5゜、-4゜、-3゜、-2゜、-1゜、0゜、+1゜、+2゜、+3゜、+4゜、+5゜、+6゜、+7゜、+8゜、+9゜、+10゜、好ましくは-4.0゜から+4.0゜、さらに好ましくは-2.5゜から+2.5゜、配向角度の標準偏差は、具体的には、0゜、0.5゜、1゜、1.5゜、2゜、2.5゜、3゜、3.5゜、4゜、4.5゜、5゜、5.5゜、6゜、6.5゜、7゜、7.5゜、8゜、8.5゜、9゜、9.5゜、10゜、10.5゜、11゜、11.5゜、12゜、12.5゜、13゜、13.5゜、14゜、14.5゜、15゜、好ましくは0゜から8.5゜、さらに好ましくは5゜から8.5゜であってもよい。針状形マイクロ粒子の配向角度の平均値と標準偏差が上記範囲であると、本発明の効果がさらに改善され得る。
【0069】
一実施形態において、針状形マイクロ粒子のうち少なくとも90%、例えば、95%から100%は、配向角度が-10゜から+10゜になるように配向されて整列されている。針状形マイクロ粒子の配向角度が上記範囲であると、均一な明暗比及び視認性の改善効果を得ることができる。
【0070】
針状形マイクロ粒子は、樹脂層に比べて屈折率が高くてもよい。これを通じて、本発明の一実施形態に係る偏光板の側面での明暗比及び輝度の改善効果をさらに高めることができる。
【0071】
針状形マイクロ粒子と樹脂層との間の屈折率差は、0.8以下、具体的には、0超過、0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、好ましくは0.5以下、さらに好ましくは0.15から0.25であってもよい。針状形マイクロ粒子と樹脂層との間の屈折率差が上記範囲であることで、偏光板の明暗比及び輝度の改善効果をさらに高め、樹脂層の光学特性も改善することができる。
【0072】
針状形マイクロ粒子は、屈折率が1.5から2.2、具体的には、1.5、1.55、1.6、1.65、1.7、1.75、1.8、1.85、1.9、1.95、2、2.05、2.1、2.15、2.2、好ましくは1.6から1.8、さらに好ましくは1.65から1.7であってもよい。針状形マイクロ粒子の屈折率が上記範囲であることで、下記で説明する樹脂層に比べて適正な屈折率を有し、偏光板の明暗比及び視認性の改善に役立つことができる。
【0073】
針状形マイクロ粒子は、酸化チタン(例:TiO2)、酸化ジルコニウム(例:ZrO2)、酸化亜鉛(例:ZnO)などの金属酸化物、炭酸カルシウム(CaCO3)、ベーマイト(Boehmite)、ホウ酸アルミニウム(例:AlBO3)、ケイ酸カルシウム(例:CaSiO3、wollastonite)、硫酸マグネシウム(MgSO4)、硫酸マグネシウム水和物(例:MgSO4・7H2O)、チタン酸カリウム(例:K2Ti8O17)などの金属化合物、ガラスなどの無機粒子、及び合成樹脂などの有機粒子のうち1種以上で形成された粒子であってもよい。好ましくは、針状形マイクロ粒子を炭酸カルシウム(CaCO3)で形成することによって、本発明の効果を容易に実現することができ、製造が容易になり得る。
【0074】
針状形マイクロ粒子は、表面改質されていない状態で樹脂層内に含まれてもよい。しかし、表面改質された針状形マイクロ粒子は、下記で説明する有機素材の樹脂層との相溶性及び粒子の分散性をさらに高め、光学機能性層の光学特性を改善することができ、粒子の凝集を防止できるので、本発明の効果を容易に実現することができる。針状形マイクロ粒子の全体の表面積のうち50%以上、例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、好ましくは60%から100%、60%から95%が表面改質されてもよい。針状形マイクロ粒子の表面が上記範囲で改質されることによって、相溶性及び分散性の改善効果を得ることができる。
【0075】
一実施形態において、針状形マイクロ粒子の表面は、シラン系化合物、界面活性剤、及び油脂類(Oil)のうち1種以上で表面改質されてもよい。好ましくは、針状形マイクロ粒子は、(メタ)アクリロイルオキシ基又は(メタ)アクリレート基を有するシラン系化合物で表面処理されることによって、下記で説明する活性エネルギー線硬化型組成物で形成された樹脂層のマトリックスとの相溶性及び分散性が良好になり得る。
【0076】
(メタ)アクリロイルオキシ基又は(メタ)アクリレート基を有するシラン系化合物は、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、好ましくは、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、及び3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランのうち1種以上を含むことができる。
【0077】
表面改質された針状形マイクロ粒子と樹脂層との間の屈折率差は、0.8以下、具体的には、0超過、0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、好ましくは0.5以下、さらに好ましくは0.15から0.25になってもよい。表面改質された針状形マイクロ粒子と樹脂層との間の屈折率差が上記範囲であることで、偏光板の明暗比及び輝度の改善効果をさらに高め、樹脂層の光学特性も改善することができる。
【0078】
表面改質された針状形マイクロ粒子は、屈折率が1.5から2.2、具体的には、1.5、1.55、1.6、1.65、1.7、1.75、1.8、1.85、1.9、1.95、2、2.05、2.1、2.15、2.2、好ましくは1.6から1.8、さらに好ましくは1.65から1.7になってもよい。表面改質された針状形マイクロ粒子の屈折率が上記範囲であることで、下記で説明する樹脂層に比べて適正な屈折率を有し、偏光板の明暗比及び視認性の改善に役立つことができる。
【0079】
針状形マイクロ粒子は、光学機能性層の1重量%から30重量%、具体的には、1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、14重量%、15重量%、16重量%、17重量%、18重量%、19重量%、20重量%、21重量%、22重量%、23重量%、24重量%、25重量%、26重量%、27重量%、28重量%、29重量%、30重量%、好ましくは4重量%から15重量%含まれてもよい。針状形マイクロ粒子の含有量が上記範囲であることで、本発明の一実施形態に係る偏光板の明暗比及び輝度の改善効果を得ることができ、過量で含まれると、ヘイズが高くなり得る。
【0080】
針状形マイクロ粒子は、光学機能性層の上部面の最も外側、又は下部面の最も外側に配置されてもよい。好ましくは、針状形マイクロ粒子は、光学機能性層、好ましくは、樹脂層内に均一に配置されてもよい。
【0081】
一実施形態において、針状形マイクロ粒子は、樹脂層内に含浸させて光学機能性層20に含まれてもよい。
【0082】
樹脂層は、活性エネルギー線硬化型樹脂を含む組成物で形成されてもよい。樹脂層は、光学機能性層のうち針状形マイクロ粒子がない層を意味する。これを通じて、樹脂層は、光学機能性層及び偏光板の硬度を高め、柔軟性を確保することができる。熱硬化型樹脂を含む組成物で形成された樹脂層は、硬度が低いので、硬度を高めるためには硬化剤の含量を高めなければならないが、この場合、柔軟性が低下するという問題があり、互いにトレード-オフ(trade-off)の関係にある光学機能性層の柔軟性と硬度の両方の著しい改善に問題があり得る。
【0083】
活性エネルギー線硬化型樹脂は、UVを含む紫外線によって硬化する樹脂であって、例えば、光硬化性官能基を有する樹脂を含んでもよい。例えば、光硬化性官能基は、ビニル基、アクリレート基又はメタクリレート基などであってもよく、活性エネルギー線硬化型樹脂は、光硬化性官能基を1個以上有してもよい。
【0084】
例えば、活性エネルギー線硬化型樹脂は、(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、エポキシ(メタ)アクリレート系、シリコン(メタ)アクリレートなどの樹脂のうち本発明の効果を実現できるものを選択して使用してもよい。
【0085】
上述の組成物は、活性エネルギー線硬化型組成物であって、活性エネルギー線硬化型樹脂を硬化できる光開始剤を含む開始剤、多官能性光硬化性モノマーなどを含む架橋剤、及び各種添加剤のうち1種以上をさらに含んでもよい。開始剤としては、当業者に通常的に知られている光開始剤を選択して使用することができ、例えば、リン系、ホスフィンオキシド系、ケトン系、シクロヘキシルケトン系などの光ラジカル開始剤を使用してもよい。多官能性光硬化性モノマーは、光硬化性官能基を2個以上、例えば、2個から6個有するモノマーであって、多官能性光硬化性モノマーとしては、当業者に知られている通常の種類を選択して使用してもよい。針状形マイクロ粒子の分散を容易にするために、添加剤として分散剤を含んでもよい。分散剤としては、当業者に知られている通常の分散剤、例えば、DISPERBYK 180(Alkylol ammonium salt of copolymer with acidic groups)又はこれと同種系列を使用できるが、これに限定されない。
【0086】
光学機能性層は、インデンテーションモジュラスが2.0×103MPaから3.5×103MPa、具体的には、2.0×103MPa、2.1×103MPa、2.2×103MPa、2.3×103MPa、2.4×103MPa、2.5×103MPa、2.6×103MPa、2.7×103MPa、2.8×103MPa、2.9×103MPa、3.0×103MPa、3.1×103MPa、3.2×103MPa、3.3×103MPa、3.4×103MPa、3.5×103MPaであってもよい。光学機能性層のインデンテーションモジュラスが上述の範囲であることで、光学機能性層の柔軟性及び硬度を優れたものにする助けとなり得る。光学機能性層のインデンテーションモジュラスは、樹脂層を形成する組成物のうち活性エネルギー線硬化型樹脂の種類及び/又は含量、硬化程度、又は針状形粒子の光学機能性層中の含量、又は針状形粒子の配向角度、配向角度の平均値及び/又は標準偏差などを調節することによって実現され得る。
【0087】
樹脂層は、屈折率が1.4から1.6、具体的には、1.4、1.45、1.5、1.55、1.6、好ましくは1.45から1.57、さらに好ましくは1.45から1.50であってもよい。樹脂層の屈折率が上記範囲であることで、偏光板の明暗比及び輝度の改善効果をさらに高めることができる。
【0088】
一実施形態において、樹脂層は、粘着性及び/又は接着性のない、非粘着層又は非接着層であってもよい。
【0089】
光学機能性層20は、厚さが100μm以下、具体的には、0μm超過、5μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、45μm、50μm、55μm、60μm、65μm、70μm、75μm、80μm、85μm、90μm、95μm、100μm、具体的には、0μm超過50μm未満、さらに具体的には5μmから15μmであってもよい。光学機能性層20の厚さが上記範囲であることで、偏光板の硬度が容易に確保され得る。
【0090】
光学機能性層20は、光透過度が90%以上、具体的には、90%から100%であってもよい。光学機能性層20は、ヘイズが30%以下、具体的には、0%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、具体的には0%から30%、さらに具体的には10%から25%であってもよい。光学機能性層20の光透過度およびヘイズが上記範囲であることで、光学機能性層20は、偏光板に適用可能であり、白濁度が低いので、明暗比及び輝度の改善効果を提供するのに役立つ。
【0091】
光学機能性層20は、以下で説明する方法で製造されてもよい。
【0092】
一実施形態において、光学機能性層20は、第1保護層30又は離型フィルムにコーティング層として形成されてもよい。光学機能性層20は、スロットダイコーティング、マイクログラビアコーティング、ギャップロール(Gap Roll)、バー(Bar)コーティング方法で製造されてもよい。具体的には、本発明の針状形マイクロ粒子の配向角度及び標準偏差は、光学機能性層用組成物を形成するとき、組成物の粘度(25℃で100cPsから400cPs)、コーティング時の圧力(25℃で0.1mPaから0.4mPa)などの調節を通じて実現され得るが、これに限定されない。光学機能性層用組成物は、針状形マイクロ粒子に樹脂層用組成物を混合して調整されてもよい。
【0093】
光学機能性層20が離型フィルムに上述した方法で形成される場合、離型フィルムから光学機能性層20を転写することによって第1保護層30に設けてもよい。このとき、光学機能性層20と第1保護層30は、粘着層又は接着層によって接着されてもよい。
【0094】
光学機能性層20は、粘着層又は接着層によって偏光子10に接着されてもよい。
【0095】
[第1保護層30]
第1保護層30は、光学機能性層20の内部光の光出射面に積層され、光学機能性層20を支持してもよい。光学機能性層20は、第1保護層30に直接積層されてもよく、又は粘着層又は接着層によって第1保護層30に積層されてもよい。
【0096】
一実施形態において、第1保護層30は、波長550nmでの面内位相差が4000nm以上であってもよい。第1保護層30の波長550nmでの面内位相差が上記範囲であることで、光学機能性層と組み合わせた時、偏光板の明暗比及び/又は輝度の改善に役立つ。好ましくは、第1保護層30の波長550nmでの面内位相差は、6,000nm以上、8,000nm以上、具体的には10,000nm以上、さらに具体的には10,000nm超過、さらに具体的には10,100nmから30,000nm、10,100nmから15,000nmであってもよい。
【0097】
他の実施形態において、第1保護層30は、波長550nmでの面内位相差が4000nm未満であってもよい。例えば、第1保護層30は、波長550nmでの面内位相差が0nmから1000nm、10nmから500nmであってもよい。
【0098】
第1保護層30は、透明基材を含んでもよい。透明基材は、光学機能性層20と異なる屈折率を有してもよい。透明基材は、光学機能性層20に比べて屈折率が高くてもよく、屈折率が低くてもよい。好ましくは、透明基材は、光学機能性層20樹脂に比べて屈折率が高くてもよい。これを通じて、偏光板の明暗比及び輝度の改善に役立つ。
【0099】
透明基材は、光入射面、及び光入射面と対向する光出射面、を備える、光学的に透明な樹脂フィルムを含んでもよい。透明基材は、単一層の樹脂フィルムからなってもよいが、樹脂フィルムが複数個積層されてもよい。樹脂は、トリアセチルセルロース(TAC)などを含むセルロースエステル系樹脂、非晶性環状ポリオレフィン(COP)などを含む環形ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)などを含むポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、非環形-ポリオレフィン系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂などを含むポリアクリレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、及びポリ塩化ビニリデン系樹脂のうち1種以上を含んでもよいが、これに限定されない。好ましくは、透明基材は、ポリエチレンテレフタレート(PET)などを含むポリエステル系樹脂を含むことによって、偏光板の明暗比及び輝度の改善効果をさらに高めることができる。
【0100】
透明基材は、ヘイズが30%以下、具体的には2%から30%であってもよい。透明基材のヘイズが上記範囲であることで、透明基材が偏光板に適用され得る。
【0101】
透明基材の厚さは、5μmから200μm、例えば、30μmから120μmであってもよい。透明基材の厚さが上記範囲であることで、透明基材が偏光板に使用され得る。
【0102】
第1保護層30は、光透過度が90%以上、例えば、90%から100%であってもよい。第1保護層30の光透過度が上記範囲であることで、入射光に影響を与えずに入射光を透過させることができる。第1保護層30は、ヘイズが30%以下、具体的には、1%から30%、2%から20%になってもよい。第1保護層30のヘイズが上記範囲であることで、第1保護層30は、偏光板に適用可能であり、白濁度が低いので、偏光板の明暗比及び輝度を改善することができる。
【0103】
第1保護層30の上部面又は下部面には、機能性コーティング層がさらに積層されてもよい。
【0104】
機能性コーティング層は、ハードコーティング層、散乱層、低反射層、極低反射層、プライマー層、耐指紋性層、反射防止層、及びアンチグレア層のうち1種以上を含んでもよい。
【0105】
好ましくは、第1保護層30は、機能性コーティング層であって、反射防止層又は低反射層をさらに含んでもよく、この場合、第1保護層30と機能性コーティング層の積層体は、反射率が5%以下、例えば、0.1%から3%、例えば、0.2%以下であってもよい。積層体の反射率が上記範囲であることで、本発明の効果を容易に実現することができる。「反射率」は、当業者に知られている通常の方法で測定され得る。一実施形態において、機能性コーティング層は、第1保護層と一体に形成されてもよく、粘着層などによって積層されてもよい。
【0106】
好ましくは、第1保護層30と機能性コーティング層全体のヘイズは、30%以下、具体的には、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、さらに具体的には1%から30%、2%から20%であってもよい。第1保護層30と機能性コーティング層全体のヘイズが上記範囲であることで、第1保護層30と機能性コーティング層は、偏光板に適用可能であり、白濁度が低いので、偏光板の明暗比及び輝度を改善することができる。
【0107】
図6を参照すると、偏光板は、偏光子10から光学機能性層20、第1保護層30及び機能性コーティング層50が順次積層されてもよい。
図7を参照すると、偏光板は、偏光子10から第1保護層30、光学機能性層20及び機能性コーティング層50が順次積層されてもよい。機能性コーティング層は、上で説明したハードコーティング層、散乱層、低反射層、超低反射層、プライマー層、耐指紋性層、反射防止層、及びアンチグレア層のうち1種以上を含んでもよい。
図7において、第1保護層30は、粘着層又は接着層によって偏光子10に接着されてもよい。
【0108】
光学機能性層20と第1保護層30の積層体は、ヘイズが30%以下、具体的には、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、さらに具体的には、1%から30%、2%から20%であってもよい。積層体のヘイズが上記範囲であることで、光学機能性層20と第1保護層30の積層体は、偏光板に適用可能であり、白濁度が低いので、偏光板の明暗比及び視認性を改善することができる。
【0109】
[偏光子10]
偏光子10は、液晶パネルから入射した光を偏光させた後、光学機能性層20に透過させることができる。偏光子10は、光学機能性層20の内部光の光入射面に積層されてもよい。
【0110】
偏光子10は、ポリビニルアルコール系フィルムを一軸延伸して製造されるポリビニルアルコール系偏光子を含んでもよい。
【0111】
偏光子10は、厚さが5μmから40μmであってもよい。偏光子10の厚さが上記範囲であることで、偏光子10が光学表示装置に使用され得る。
【0112】
[第2保護層40]
第2保護層40は、偏光子10の内部光の光入射面に積層されてもよい。
【0113】
第2保護層40は、光透過率が90%以上、例えば、90%から100%になってもよい。第2保護層40の光透過率が上記範囲であることで、第2保護層40は、入射光に影響を与えずに入射光を透過させることができる。
【0114】
第2保護層40は、透明基材を含んでもよい。透明基材は、光入射面、及び光入射面と対向する光出射面、を備える、光学的に透明な樹脂フィルムを含んでもよい。透明基材は、単一層の樹脂フィルムからなってもよいが、樹脂フィルムが複数個積層されてもよい。樹脂は、トリアセチルセルロース(TAC)などを含むセルロースエステル系樹脂、非晶性環状ポリオレフィン(COP)などを含む環形ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)などを含むポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、非環形-ポリオレフィン系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂などを含むポリアクリレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、及びポリ塩化ビニリデン系樹脂のうち1種以上を含んでもよいが、これに限定されない。好ましくは、透明基材は、非晶性環状ポリオレフィン(COP)などを含む環形ポリオレフィン系樹脂を含んでもよい。
【0115】
透明基材は、無延伸フィルムであってもよいが、樹脂を所定の方法で延伸させた所定範囲の位相差を有する位相差フィルム又は等方性光学フィルムであってもよい。
【0116】
一実施形態において、透明基材は、Reが0nm以上60nm以下、具体的には、40nmから60nmの等方性光学フィルムであってもよい。透明基材のReが上記範囲であることで、偏光板の視野角を補償し、画像品質を良好にすることができる。「等方性光学フィルム」は、nx、ny、nz(nx、nyは、波長550nmでの遅相軸方向、進相軸方向の屈折率で、nzは、波長550nmでの厚さ方向の屈折率を意味する)が実質的に同じ値のフィルムを意味し、「実質的に同じ値」は、完全に同一である場合のみならず、多少の誤差を含む場合も含む。
【0117】
他の具体例において、透明基材は、Reが60nm以上である位相差フィルムであってもよい。例えば、透明基材は、Reが60nmから500nm、60nmから300nmであってもよい。例えば、透明基材は、Reが6,000nm以上、8,000nm以上、具体的には10,000nm以上、さらに具体的には10,000nm超過、さらに具体的には10,100nmから30,000nm、10,100nmから15,000nmであってもよい。透明基材のReが上記範囲であることで、偏光板の虹ムラの視認を防止することができ、第1樹脂層を介して拡散された光の明暗比及び視認性の改善効果がさらに大きくなり得る。
【0118】
第2保護層40、特に透明基材の厚さは、5μmから200μm、例えば、30μmから120μmであってもよい。透明基材の厚さが上記範囲であることで、第2保護層40が偏光板に使用され得る。
【0119】
第2保護層40は、粘着層又は接着層によって偏光子10に接着されてもよい。
【0120】
第2保護層40は、本発明の偏光板から省略されてもよい。
図1には示していないが、第2保護層40の下部面には、粘着層又は接着層がさらに積層されることによって、偏光板を光学表示装置用素子、例えば、パネルに積層させることができる。
【0121】
本発明の光学表示装置は、本発明の偏光板を含む。
【0122】
一実施形態において、本発明の光学表示装置は、液晶パネルに対して本発明の偏光板を視認側偏光板として含んでもよい。「視認側偏光板」は、液晶パネルに対して画面側、すなわち、光源側と対向して配置される偏光板である。
【0123】
一実施形態において、液晶表示装置には、集光バックライトユニット、光源側偏光板、液晶パネル、及び視認側偏光板が順次積層され、視認側偏光板は、本発明の一実施形態に係る偏光板を含んでもよい。「光源側偏光板」は、光源側に配置される偏光板である。液晶パネルは、VA(vertical alignment)モード、IPSモード、PVA(patterned vertical alignment)モード又はS-PVA(super-patterned vertical alignment)モードを採用できるが、これに限定されない。
【0124】
光学表示装置は、フォルダブル又はフレキシブル光学表示装置又はノンフォルタブル又はノンフレキシブル光学表示装置であってもよい。
【0125】
以下、本発明の好ましい実施例を通じて、本発明の構成及び作用をさらに詳細に説明する。ただし、下記の実施例は、本発明の理解を促進するためのものに過ぎなく、本発明の範囲が下記の実施例に限定されることはない。
【0126】
[実施例1]
(1)CaCO3粒子の混合物(CaCO3:針状形マイクロ光拡散粒子、長さ:10μmから30μm、直径:0.5μmから2.0μm、Whiscal A、MARUO CALCIUM社、屈折率:1.68)を準備し、KBM503(3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン)を含むメチルエチルケトン溶液に添加し、常温条件で反応させた後、90℃オーブンで乾燥させることによって溶剤を除去し、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランで表面改質したCaCO3粒子混合物を製造した。
【0127】
CaCO3粒子混合物に、UV硬化型樹脂を含む組成物(4550P、SHIN-A T&C社)を添加し、撹拌機を用いて4時間にわたって混合することによって光学機能性層用組成物(CaCO3粒子混合物の含量:10重量%)を製造した。
【0128】
第1保護層としてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを使用した。上部面に低反射層が形成されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(DSG-17(Z)PET80、大日本印刷株式会社、反射率:0.2%)を準備した。第1保護層であるPETフィルムは、波長550nmでの面内位相差が8000nmで、低反射層とPETフィルム全体は、波長550nmでの面内位相差が8000nmである。
【0129】
PETフィルムの下部面(プライマー層がある面)に光学機能性層用組成物をコーティングバーを使用して厚さ10μmでコーティングし、BLランプを使用して4秒間露光し(光量基準80mJ/cm2)、金属ハライドランプを使用して1000mJ/cm2の光量で照射してUV硬化させ、第1保護層の下部面に光学機能性層(表面改質されたCaCO3粒子の屈折率:1.68、樹脂層の屈折率:1.455、表面改質されたCaCO3粒子は、樹脂層中に配向される)を形成した。
【0130】
(2)ポリビニルアルコール系フィルムを60℃で3倍延伸し、ヨードを吸着させた後、40℃のホウ酸水溶液で2.5倍延伸することによって偏光子(厚さ:13μm、光透過率:44%)を製造した。
【0131】
製造した偏光子の上部面に(メタ)アクリル系粘着剤を塗布した後、90℃で4分間乾燥させることによって粘着剤層を形成し、粘着剤層の上部面に製造した光学機能性層及び第1保護層の積層体を積層した。製造した偏光子の下部面に環状オレフィンポリマー(COP)フィルム(ZEON社)を接着し、低反射層-第1保護層-光学機能性層(厚さ:10μm)-偏光子-COPフィルムの順に積層した偏光板を製造した。光学機能性層の面内方向において、CaCO3粒子は配向されており、配向角度の平均値は+1.6゜で、配向角度の標準偏差は7.2゜である。
【0132】
[実施例2]
(1)針状形マイクロ光拡散粒子として、CaCO3粒子の混合物(長さ:10μmから30μm、直径:0.5μmから2.0μm、Whiscal A、MARUO CALCIUM社、屈折率:1.68)を準備し、KBM503(3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン)を含むメチルエチルケトン溶液に添加し、常温条件で反応させた後、90℃オーブンで乾燥させることによって溶剤を除去し、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランで表面改質したCaCO3粒子混合物を製造した。
【0133】
CaCO3粒子混合物に、UV硬化型樹脂を含む組成物(4550P、SHIN-A T&C社)を添加し、撹拌機を用いて4時間にわたって混合することによって光学機能性層用組成物(CaCO3粒子混合物の含量:10重量%)を製造した。
【0134】
(2)ポリビニルアルコール系フィルムを60℃で3倍延伸し、ヨードを吸着させた後、40℃のホウ酸水溶液で2.5倍延伸することによって偏光子(厚さ:13μm、光透過率:44%)を製造した。
【0135】
製造した偏光子の上部面に(メタ)アクリル系粘着剤を塗布した後、90℃で4分間乾燥させることによって粘着剤層を形成し、粘着剤層の上部面にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(大日本印刷株式会社、DSG-17(Z)PET80、波長550nmでの面内位相差8000nm)を積層した。製造した偏光子の下部面に環状オレフィンポリマー(COP)フィルム(ZEON社)を接着した。
【0136】
PETフィルムの上部面に、製造した光学機能性層用組成物をコーティングバーを使用して厚さ10μmでコーティングし、BLランプを使用して4秒間露光し(光量基準80mJ/cm2)、金属ハライドランプを使用して1000mJ/cm2の光量で照射してUV硬化させ、PETフィルムの上部面に光学機能性層(表面改質されたCaCO3粒子の屈折率:1.68、樹脂層の屈折率:1.455、表面改質されたCaCO3粒子は、樹脂層中に配向される)を形成した。
【0137】
光学機能性層の上部面に低反射層を形成することによって、低反射層-光学機能性層-第1保護層-偏光子-COPフィルムの順に積層した偏光板を製造した。光学機能性層の面内方向において、CaCO3粒子は配向されており、配向角度の平均値は+1.2゜で、配向角度の標準偏差は5.9゜である。
【0138】
[実施例3]
実施例1において、光学機能性層の厚さを15μmに変更したことを除いて、実施例1と実質的に同一の方法で偏光板を製造した。
【0139】
[実施例4]
実施例2において、光学機能性層の厚さを15μmに変更したことを除いて、実施例2と実質的に同一の方法で偏光板を製造した。
【0140】
[実施例5]
実施例1において、UV硬化型樹脂を含む組成物として、4550P(SHIN-A T&C社)の代わりに4530P(SHIN-A T&C社)を使用したことを除いて、実施例1と実質的に同一の方法で偏光板を製造した。
【0141】
[比較例1]
実施例2において、CaCO3粒子の混合物(Whiscal A、MARUO CALCIUM社)の代わりにCaCO3粒子の混合物(MX14、MARUO CALCIUM社、CUBE形粒子、粒径:1.4μm)を使用したことを除いては、実施例2と実質的に同一の方法で偏光板を製造した。
【0142】
[比較例2]
実施例1において、CaCO3粒子の混合物(Whiscal A、MARUO CALCIUM社)の代わりにCaCO3粒子の混合物(MX14、MARUO CALCIUM社、CUBE形粒子、粒径:1.4μm)を使用したことを除いては、実施例1と実質的に同一の方法で偏光板を製造した。
【0143】
[比較例3]
実施例1において、配向角度の平均値及び配向角度の標準偏差を下記の表1のように変更したことを除いて、実施例1と同一の方法で偏光板を製造した。
【0144】
[比較例4]
実施例2において、配向角度の平均値及び配向角度の標準偏差を下記の表1のように変更したことを除いて、実施例2と同一の方法で偏光板を製造した。
【0145】
比較例5
実施例1と同一の方法で表面改質したCaCO3粒子混合物を製造した。
【0146】
CaCO3粒子混合物に熱硬化型アクリル系粘着剤樹脂PL8540(SADIEN社、熱硬化型樹脂)99.8重量部、及び硬化剤としてイソホロンジイソシアネート0.2重量部、及び溶媒メチルエチルケトンを添加し、撹拌機を用いて4時間にわたって混合することによって光学機能性層用組成物(CaCO3粒子混合物の含量:10重量%)を製造した。
【0147】
上部面に低反射層が形成されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(DSG-17(Z)PET80、大日本印刷株式会社、反射率:0.2%)の下部面に、製造した光学機能性層用組成物をアプリケーターを用いて厚さ10μmでコーティングし、ドライオーブン内で90℃で4分間乾燥させることによって拡散粘着層を形成した。その後、実施例1での方法を参照し、低反射層-第1保護層-拡散粘着層(厚さ:10μm)-偏光子-COPフィルムの順に積層した偏光板を製造した。
【0148】
[参照例1]
実施例1において、光学機能性層を用いることなく、PETフィルム-偏光子-COPフィルムが順次積層した偏光板を製造した。
【0149】
実施例及び比較例で製造した偏光板に対して下記の視野角測定用モデルを製造し、下記の表1の物性を評価した。
【0150】
液晶パネルモデルUN55KS8000F(55インチ、サムスン電子TV)で視認側偏光板を除去し、実施例及び比較例で製造した偏光板を視認側偏光板に合わせることによって視野角測定用モデルを製造した。視野角測定用モデルのうち光源側偏光板は、液晶パネルからCOPフィルム-偏光子-PETフィルムの順に積層したものである。
【0151】
下記の物性を評価し、その結果を下記の表1に示した。
【0152】
(1)光学機能性層のモジュラス(単位:MPa):離型フィルムであるPETフィルムの上部面に実施例及び比較例の光学機能性層用組成物を、実施例及び比較例と同一の方法でコーティングバーを用いて厚さ10μmから15μmでコーティングし、BLランプを用いて4秒間露光し(光量基準80mJ/cm2)、金属ハライドランプを用いて1000mJ/cm2の光量で照射してUV硬化し、PETフィルムの上部面に光学機能性層を形成した。マイクロインデンター(HM2000Xyp、FISCHER社)を使用し、PETフィルム及び光学機能性層で構成される試片の表面でマイクロインデンターを用いて押す力F=20mN/10s、25℃で押すことによってインデンテーションモジュラスを測定した。
【0153】
(2)正面輝度及び相対輝度(単位:%):LED光源、導光板、視野角測定用モデルを組み立て、1辺エッジ型LED光源を含む液晶表示装置(実施例及び比較例の液晶表示装置用モジュールの構成を除いて、サムスンTV(55インチ、モデル名:UN55KS8000F)と同一の構成)を製造した。EZCONTRAST X88RC(EZXL-176R-F422A4、ELDIM社)を用いて球面座標系で正面(0゜、0゜)における輝度を測定した。相対輝度は、{(実施例、比較例、参照例1の正面輝度)/(参照例1の正面輝度)}×100で計算した。
【0154】
(3)正面及び側面での相対明暗比(単位:%):(2)と同一の方法で液晶表示装置を製造した。EZCONTRAST X88RC(EZXL-176R-F422A4、ELDIM社)を用いて球面座標系で正面(0゜、0゜)及び側面(0゜、60゜)での明暗比を測定した。明暗比は、ブラックモードでの輝度に対するホワイトモードでの輝度の比で計算する。相対明暗比は、{(実施例、比較例、参照例1の明暗比)/(参照例1の明暗比)}×100で計算した。
【0155】
(4)鉛筆硬度:実施例及び比較例で製造した偏光板をガラス板に合わせ、反射防止層面に対して鉛筆硬度テスター(コアテック株式会社、CT-PC2)を使用してASTM D3502方法で荷重200gで評価した。鉛筆硬度が2H以上の場合、偏光板は、光学表示装置のうち最外郭に使用可能である。
【0156】
(5)マンドレル評価:実施例及び比較例で製造した偏光板を、偏光子のMD×TDが150mm×25mmになるように矩形の大きさに裁断することによって試験片を製造した。試験片のうち偏光板のCOPフィルム側がマンドレル棒(断面が円)に接するように巻いてから5秒間常温で放置した後、偏光板全体へのクラックの発生有無を評価した。マンドレル棒の直径(単位:mm)を変更して評価することによって、クラックが発生する最初の直径を評価した。9mm以下の場合は柔軟性に優れ、フォルダブル表示装置に適用可能である。
【0157】
(6)配向角度の平均値及び標準偏差:実施例及び比較例で製造された光学機能性層においては、光学顕微鏡(オリンパスMX61L、500倍率(10×50))を用いて光学機能性層の表面に焦点を合わせ、高さを調節することによって光学機能性層の表面イメージを格納し、FIJIプログラム(Method:Fourier Components、N bis:90゜、Histogram start:0゜、Histogram end:180゜入力)を実施し、配向角度の平均値及び配向角度の標準偏差を得た。
【0158】
【0159】
表1に示すように、本発明の偏光板は、光学パターン又は光学パターンを含むパターン層を含まなくても、明暗比及び/又は輝度を改善し、軽度及び柔軟性に優れていた。
【0160】
その一方で、表1に示すように、本発明の構成を満さない比較例の偏光板は、上述した本発明の効果を得ることができなかった。
【0161】
本発明の単純な変形及び変更は、この分野で通常の知識を有する者によって容易に実施可能であり、このような変形や変更は、いずれも本発明の領域に含まれるものと見なすことができる。