(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061507
(43)【公開日】2023-05-02
(54)【発明の名称】乾燥システム
(51)【国際特許分類】
F26B 21/04 20060101AFI20230425BHJP
F26B 3/04 20060101ALI20230425BHJP
【FI】
F26B21/04
F26B3/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021171426
(22)【出願日】2021-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000148357
【氏名又は名称】株式会社前川製作所
(71)【出願人】
【識別番号】390003333
【氏名又は名称】新晃工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小松 富士夫
(72)【発明者】
【氏名】高見 太郎
(72)【発明者】
【氏名】山口 雅弘
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AA01
3L113AB02
3L113AC22
3L113AC48
3L113AC49
3L113AC54
3L113AC67
3L113BA04
3L113BA05
3L113BA17
3L113DA06
(57)【要約】
【課題】冬季でも電気ヒータ等のバックアップが不要で、乾燥温度まで昇温させることのできる乾燥システムを提供する。
【解決手段】
乾燥システム1は、ガスクーラに空気を通風して冷媒との熱交換により、空気を昇温させる熱風発生装置10と、熱風発生装置に空気を供給する給気送風機20と、熱風発生装置によって昇温された空気によって乾燥が行われる乾燥室30において使用された空気を外部に排気する排気送風機40と、を有し、給気送風機および排気送風機は、開度が調整自在なダンパー50を介して互いに連通している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスクーラに空気を通風して冷媒との熱交換により、前記空気を昇温させる熱風発生装置と、
前記熱風発生装置に前記空気を供給する給気送風機と、
前記熱風発生装置によって昇温された前記空気によって乾燥が行われる乾燥室において使用された前記空気を外部に排出する排気送風機と、を有し、
前記給気送風機および前記排気送風機は、開度が調整自在なダンパーを介して互いに連通している、乾燥システム。
【請求項2】
前記給気送風機および前記排気送風機は、一体型として構成されている、請求項1に記載の乾燥システム。
【請求項3】
前記給気送風機および前記排気送風機は、別体として構成され、
前記給気送風機および前記排気送風機の間には、連通経路が配置され、
前記ダンパーは、前記連通経路および前記給気送風機の入口側の空間を連結する箇所に配置されている、請求項1に記載の乾燥システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、木材や海産物、工業製品等を乾燥させるために、熱風を用いて乾燥することが知られている。温風を生成する方法としては、例えば、電気ヒータやスチームヒータを挙げることができる。しかしながら、電気ヒータやスチームヒータを用いる場合、所定の温度まで昇温させるのに時間がかかってしまい、好ましくない。
【0003】
これに関連して、例えば下記の特許文献1には、CO2を冷媒としてヒートポンプサイクルを構成し、ガスクーラに空気を通風して冷媒との熱交換により昇温させて熱風を発生させる熱風発生装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような熱風発生装置は、一般的に夏季の外気の気温(例えば30℃)を乾燥温度(例えば90℃)まで昇温できるように設計されている。このため、外気の気温が低い冬季(例えば0℃)においては、熱風発生装置だけでは乾燥温度まで加熱する能力が足りず、電気ヒータ等のバックアップが必要となってくる。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために発明されたものであり、冬季でも電気ヒータ等のバックアップが不要で、乾燥温度まで昇温させることのできる乾燥システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する乾燥システムは、ガスクーラに空気を通風して冷媒との熱交換により、前記空気を昇温させる熱風発生装置と、前記熱風発生装置に前記空気を供給する給気送風機と、前記熱風発生装置によって昇温された前記空気によって乾燥が行われる乾燥室において使用された前記空気を外部に排気する排気送風機と、を有する。前記給気送風機および前記排気送風機は、開度が調整自在なダンパーを介して互いに連通している。
【発明の効果】
【0008】
このように構成された乾燥システムによれば、冬季において給気送風機から熱風発生装置に供給される空気の温度に基づいてダンパーの開度を調整することによって、排気送風機から排気される比較的高温な空気を給気送風機に送ることができる。そして、外気に排気送風機40からの空気を混合させることで、熱風発生装置に供給される空気を昇温させて、夏場と略同一の温度の空気を熱風発生装置に供給することができる。したがって、冬季でも電気ヒータ等のバックアップが不要で、乾燥温度まで昇温させることのできる乾燥システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る乾燥システムを示す概略図である。
【
図2】比較例に係る乾燥システムを示す平面図である。
【
図3】変形例に係る乾燥システムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態を、
図1を参照しつつ説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0011】
図1は、本実施形態に係る乾燥システム1を示す概略図である。本実施形態に係る乾燥システム1は、例えば、木材や海産物、工業製品等を乾燥させることができる。
【0012】
本実施形態に係る乾燥システム1は、
図1に示すように、熱風発生装置10と、熱風発生装置10に空気を供給する給気送風機20と、乾燥が行われる乾燥室30と、空気を外部に排出する排気送風機40と、給気送風機20および排気送風機40の間に配置されるダンパー50と、ダンパー50の開度を制御する制御部90と、を有する。
【0013】
熱風発生装置10は、CO2を冷媒としてヒートポンプサイクルを構成し、ガスクーラに空気を通風して冷媒との熱交換により、空気を昇温させる。熱風発生装置10は、例えば、給気送風機20から給気される30℃の空気を80~90℃まで昇温させることができる。熱風発生装置10としては、特開2010-281553号公報に開示されている熱風発生装置10を用いることができる。
【0014】
給気送風機20は、熱風発生装置10に空気を供給する。給気送風機20としては公知のものを用いることができる。給気送風機20および熱風発生装置10の間には、第1連通路21が配置されている。第1連通路21には、温度計70が配置されている。温度計70は、第1連通路21を通過する空気の温度を測定する。
【0015】
乾燥室30は、内部において、乾燥が行われる。乾燥室30は、断熱材によって覆われる。乾燥室30では、例えば80~90℃の温風で乾燥される。乾燥室30および熱風発生装置10の間には、第2連通路31が配置されている。
【0016】
排気送風機40は、乾燥室30において使用された空気を外部に排出する。このように排気送風機40が空気を外部に排出するため、乾燥室30内の圧力が、意図せず上昇することを防止できる。
【0017】
給気送風機20および排気送風機40は、
図1に示すように一体型として構成されている。この構成によれば、装置全体を簡素化することができる。排気送風機40および乾燥室30の間には、第3連通路41が配置されている。
【0018】
ダンパー50は、
図1に示すように、給気送風機20および排気送風機40の間に配置されている。ダンパー50の開度は、制御部90によって調整される。ダンパー50が開くことによって、排気送風機40から排気される比較的高温な空気を給気送風機20に送ることができる。また、ダンパー50を閉じることによって、給気送風機20および排気送風機40の連通を停止することができる。
【0019】
制御部90は、温度計70によって測定される第1連通路21を通過する空気の温度に基づいて、ダンパー50の開度を制御する。制御部90は、例えばCPUである。
【0020】
次に、本実施形態に係る乾燥システム1の運転方法について説明する。
【0021】
まず夏季における運転方法について説明する。夏季は、外気温度が高いため(例えば30℃)、制御部90がダンパー50を閉じた状態で、熱風発生装置10を駆動させることによって、乾燥室30内の温度を所定の乾燥温度(例えば80~90℃)まで昇温させることができる。
【0022】
夏季において、30℃/70%RHの外気が熱風発生装置10に供給されたとき、熱風発生装置10によって、80℃/6.3%RHの熱風を発生させることができる。
【0023】
次に冬季における運転方法について説明する。冬季は、外気温度が低いため(例えば0℃)、制御部90はダンパー50を開いた状態で、熱風発生装置10を駆動させることによって、乾燥室30内の温度を所定の乾燥温度(例えば90℃)まで昇温させる。
【0024】
具体的には、制御部90は、温度計70で測定される第1連通路21を通過する空気の温度に基づいて、ダンパー50の開度を調整する。冬季において、比較的温度が高いときは、制御部90はダンパー50の開度を小さくして、比較的温度が低いときは、制御部90はダンパー50の開度を大きくする。この結果、排気送風機40から排気される比較的高温な空気を、好適なだけ給気送風機20に送ることができる。そして、外気に排気送風機40からの空気を混合させることで、熱風発生装置10に供給される空気を昇温させて、夏場と略同一の温度の空気を熱風発生装置10に供給することができる。このため、熱風発生装置10が常に同じ加熱能力を発揮すればよいことになる。
【0025】
冬季において、0℃/70%RHの外気に対して、排気送風機40から60℃/10%RHの空気が混合されると、30℃/29%RHの空気が生成されて、熱風発生装置10に取り込まれ、熱風発生装置10において80℃/2.6%RHの熱風を発生させることができる。このように冬季において、夏季よりも乾燥した空気を供給することができる。
【0026】
ここで、
図2に示すように、対比例として給気送風機20および排気送風機40が互いに連通されていない乾燥システム900の場合、排気送風機40からの空気は外部に排出されるため、外気の気温が低い冬季(例えば0℃)においては、熱風発生装置10だけでは乾燥温度まで加熱する能力が足りず、電気ヒータHのバックアップが必要となってくる。
【0027】
これに対して、本実施形態に係る乾燥システム1によれば、冬季でも電気ヒータ等のバックアップが不要で、乾燥温度まで昇温させることができる。
【0028】
ここで、排気送風機40からの排気は絶対湿度が高い状態で排出される。しかしながら、排気送風機40からの排気を外気と混合させるのは、外気温度および絶対湿度が夏季よりも低くなる冬季であるため、夏季と比較して、混合空気の温度、相対湿度ともに高くなる可能性は低い。なお、確実に夏季と比較して、混合空気の温度、相対湿度ともに高くなることを防止するために、温度計70とともに湿度計を設置して、混合空気の絶対湿度が設計条件を上回らないような制御を制御部90によって行われることが好ましい。
【0029】
以上説明したように、本実施形態に係る乾燥システム1は、ガスクーラに空気を通風して冷媒との熱交換により、空気を昇温させる熱風発生装置10と、熱風発生装置10に空気を供給する給気送風機20と、熱風発生装置10によって昇温された空気によって乾燥が行われる乾燥室30において使用された空気を外部に排出する排気送風機40と、を有する。給気送風機20および排気送風機40は、開度が調整自在なダンパー50を介して互いに連通している。このように構成された乾燥システム1によれば、冬季において給気送風機20から熱風発生装置10に供給される空気の温度に基づいてダンパー50の開度を調整することによって、排気送風機40から排気される比較的高温な空気を給気送風機20に送ることができる。そして、外気に排気送風機40からの空気を混合させることで、熱風発生装置10に供給される空気を昇温させて、夏場と略同一の温度の空気を熱風発生装置10に供給することができる。したがって、冬季でも電気ヒータ等のバックアップが不要で、乾燥温度まで昇温させることのできる乾燥システム1を提供することができる。
【0030】
また、給気送風機20および排気送風機40は、一体型として構成されている。このように構成された乾燥システム1によれば、システム全体を簡素化することができる。
【0031】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で種々改変することができる。
【0032】
例えば、上述した実施形態では、給気送風機20および排気送風機40は一体型として構成されていた。しかしながら、
図3に示すように、乾燥システム2において、給気送風機20および排気送風機40は、別体として構成されてもよい。このとき、給気送風機20および排気送風機40の間には、連通経路60が配置され、連通経路60および給気送風機20の入口側の空間を連結する箇所に、ダンパー50が配置される。
【符号の説明】
【0033】
1、2 乾燥システム、
10 熱風発生装置、
20 給気送風機、
30 乾燥室、
40 排気送風機、
50 ダンパー、
60 連通経路。